• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1365366
審判番号 不服2019-8502  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-26 
確定日 2020-08-13 
事件の表示 特願2014-152485「プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月 7日出願公開、特開2016- 31955〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2014年(平成26年) 7月28日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 8月23日付け:拒絶理由通知書
平成30年10月18日 :意見書,手続補正書の提出
平成31年 3月28日付け:拒絶査定(原査定)
令和 1年 6月26日 :審判請求書,手続補正書の提出

第2 令和 1年 6月26日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和 1年 6月26日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正後の,令和 1年 6月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-4の記載は次のとおりである。(下線部は,補正箇所である。以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)
「 【請求項1】
真空容器内部に配置されその内側でプラズマが形成される処理室と,この処理室内に配置されその上面に前記プラズマによる処理対象のウエハが載置される試料台と,この試料台の内部に配置され前記ウエハの処理中に高周波電力が供給される金属製の基材と,前記試料台の前記ウエハの載置面を構成する誘電体製の膜の内部に配置され前記ウエハを静電吸着するための複数の膜状の電極と,これらの膜状の電極に正負の端子が接続されて当該電極に直流電力を供給する直流電源と,前記複数の膜状の電極と前記直流電源の正及び負の電極の各々との間を接続する2つの給電経路上に配置され高周波電力を妨げる2つの高周波カットフィルタと,各々の前記給電経路上の前記高周波カットフィルタおよび前記膜状の電極の間の箇所と接地電位の箇所との間でこれらと電気的に接続されて配置され各々が前記高周波電力を通す2つの高周波パスフィルタと,を備え,
前記高周波パスフィルタが,コイル及び前記接地電位の箇所と前記コイルとの間で当該コイルと直列に接続された抵抗素子とを備えたものであって,前記膜状の電極と当該高周波パスフィルタとの間の前記給電経路上での電圧を検知する検知器からの出力を用いて当該高周波パスフィルタを通して流れる前記高周波電力の電圧値を予め定められた値となるように前記高周波パスフィルタのインピーダンスを調節する機能を備えたプラズマ処理装置。

【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理装置であって,
前記複数の膜状の電極が,前記載置面の中央側に配置された内側電極とその外周側でこれを囲んで配置されたリング状の外側電極とを備えたプラズマ処理装置。

【請求項3】
真空容器内部の処理室内に配置された試料台の上面にプラズマによる処理対象のウエハを載置し,前記試料台の前記ウエハの載置面を構成する誘電体製の膜の内部に配置された複数の膜状の電極にこれらと正負の端子が電気的に接続された直流電源から電力を供給して前記ウエハを前記載置面の誘電体製の膜上に静電吸着させ,前記処理室内にプラズマを形成して前記試料台の内部に配置された金属製の基材に高周波電力が供給して前記ウエハを処理するプラズマ処理方法であって,
前記複数の膜状の電極と前記直流電源の前記正負の電極の各々との間を接続する2つの給電経路上の箇所であって当該給電経路の各々の上に配置され高周波電力を妨げる2つの高周波カットフィルタおよび前記膜状の電極の間の箇所と接地電位との間でこれらと電気的に接続されて配置されコイル及び前記接地電位の箇所と前記コイルとの間で当該コイルと直列に接続された抵抗素子とを備えた2つの高周波パスフィルタを通って流れる前記高周波電力の電圧を検知し,当該電圧が予め定められた値となるように前記高周波パスフィルタのインピーダンスを調節して前記ウエハの処理を実施するプラズマ処理方法。

【請求項4】
請求項3に記載のプラズマ処理方法であって,
前記複数の膜状の電極が,前記載置面の中央側に配置された内側電極とその外周側でこれを囲んで配置されたリング状の外側電極とを備えたものであるプラズマ処理方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の,平成30年10月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-6の記載は次のとおりである。(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)
「 【請求項1】
真空容器内部に配置されその内側でプラズマが形成される処理室と,この処理室内に配置されその上面に前記プラズマによる処理対象のウエハが載置される試料台と,この試料台の内部に配置され前記ウエハの処理中に高周波電力が供給される金属製の基材と,前記試料台の前記ウエハの載置面を構成する誘電体製の膜の内部に配置され前記ウエハを静電吸着するための複数の膜状の電極と,これらの膜状の電極に正負の端子が接続されて当該電極に直流電力を供給する直流電源と,前記複数の膜状の電極と前記直流電源の正及び負の電極の各々との間を接続する2つの給電経路上に配置され高周波電力を妨げる2つの高周波カットフィルタと,各々の前記給電経路上の前記高周波カットフィルタおよび前記膜状の電極の間の箇所と接地電位との間でこれらと電気的に接続されて配置され各々が前記高周波電力を通す2つの高周波パスフィルタと,を備え,
前記高周波パスフィルタのインピーダンスの値を前記ウエハの処理中に当該高周波パスフィルタを通して流れる前記高周波電力の電流量を予め定められた値となるように調節する機能を備えたプラズマ処理装置。

【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理装置であって,
前記高周波パスフィルタに接続された前記膜状の電極と当該高周波パスフィルタとの間の電圧を検知する検知器からの出力を用いて前記高周波パスフィルタのインピーダンスの値を調節する機能を備えたプラズマ処理装置。

【請求項3】
請求項1または2に記載のプラズマ処理装置であって,
前記複数の膜状の電極が,前記載置面の中央側に配置された内側電極とその外周側でこれを囲んで配置されたリング状の外側電極とを備えたプラズマ処理装置。

【請求項4】
真空容器内部の処理室内に配置された試料台の上面にプラズマによる処理対象のウエハを載置し,前記試料台の前記ウエハの載置面を構成する誘電体製の膜の内部に配置された複数の膜状の電極にこれらと正負の端子が電気的に接続された直流電源から電力を供給して前記ウエハを前記載置面の誘電体製の膜上に静電吸着させ,前記処理室内にプラズマを形成して前記試料台の内部に配置された金属製の基材に高周波電力が供給して前記ウエハを処理するプラズマ処理方法であって,
前記複数の膜状の電極と前記直流電源の前記正負の電極の各々との間を接続する2つの給電経路上の箇所であって当該給電経路の各々の上に配置され高周波電力を妨げる2つの高周波カットフィルタおよび前記膜状の電極の間の箇所と接地電位との間でこれらと電気的に接続されて配置された2つの高周波パスフィルタのインピーダンスの値を当該高周波パスフィルタを通して流れる前記高周波電力の電流量を予め定められた値となるように調節して前記ウエハの処理を実施するプラズマ処理方法。

【請求項5】
請求項4に記載のプラズマ処理方法であって,
前記高周波パスフィルタに接続された前記膜状の電極と当該高周波パスフィルタとの間の電圧を用いて前記高周波パスフィルタのインピーダンスの値を調節して前記ウエハの処理を実施するプラズマ処理方法。

【請求項6】
請求項4または5に記載のプラズマ処理方法であって,
前記複数の膜状の電極が,前記載置面の中央側に配置された内側電極とその外周側でこれを囲んで配置されたリング状の外側電極とを備えたものであるプラズマ処理方法。」

2 補正の適否
本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており,特許法第17条の2第3項の規定に適合している。
また,本件補正は,特別な技術的特徴を変更(シフト補正)しようとするものではなく,特許法第17条の2第4項の規定に適合している。

2-1 目的要件
本件補正は上記「1 本件補正について(補正の内容)」のとおり,本件審判の請求と同時にする補正であり,特許請求の範囲について補正をしようとするものであるから,本件補正が,特許法第17条の2第5項の規定を満たすものであるか否か,すなわち,本件補正が,特許法第17条の2第5項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由を示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであるかについて,以下に検討する。

(1)補正前の請求項と補正後の請求項とを比較すると,補正後の請求項1-4はそれぞれ,補正前の請求項1,3,4,6に対応することは明らかである。

(2)よって,本件補正は,下記の補正事項1-5よりなるものである。
ア 補正事項1
補正前の請求項1の「各々の前記給電経路上の前記高周波カットフィルタおよび前記膜状の電極の間の箇所と接地電位との間でこれらと電気的に接続されて配置され各々が前記高周波電力を通す2つの高周波パスフィルタと」との記載を,
補正後の請求項1の「各々の前記給電経路上の前記高周波カットフィルタおよび前記膜状の電極の間の箇所と接地電位の箇所との間でこれらと電気的に接続されて配置され各々が前記高周波電力を通す2つの高周波パスフィルタと」との記載に変更する補正。

イ 補正事項2
補正前の請求項1,4の「高周波パスフィルタ」について,
補正後に「コイル及び前記接地電位の箇所と前記コイルとの間で当該コイルと直列に接続された抵抗素子とを備えたもの」と限定を加える補正。

ウ 補正事項3
補正前の請求項1の「前記高周波パスフィルタのインピーダンスの値を前記ウエハの処理中に当該高周波パスフィルタを通して流れる前記高周波電力の電流量を予め定められた値となるように調節する機能」との記載を,
補正後に「前記膜状の電極と当該高周波パスフィルタとの間の前記給電経路上での電圧を検知する検知器からの出力を用いて当該高周波パスフィルタを通して流れる前記高周波電力の電圧値を予め定められた値となるように前記高周波パスフィルタのインピーダンスを調節する機能」との記載に変更する補正。

エ 補正事項4
補正前の請求項4の「前記高周波パスフィルタのインピーダンスの値を当該高周波パスフィルタを通して流れる前記高周波電力の電流量を予め定められた値となるように調節」して前記ウエハの処理を実施するとの記載を,
補正後に「当該高周波パスフィルタを通って流れる前記高周波電力の電圧を検知し,当該電圧が予め定められた値となるように前記高周波パスフィルタのインピーダンスを調節」して前記ウエハの処理を実施するとの記載に変更する補正。

オ 補正事項5
補正前の請求項2,5を削除する補正。

(3)補正事項1-4について
補正事項1は,補正前の請求項1の発明特定事項である「高周波パスフィルタ」の配置を,補正事項2は補正前の請求項1,4の発明特定事項である「高周波パスフィルタ」の構成を限定するものであるから,「高周波パスフィルタ」について限定的に減縮することを目的とするものである。
補正事項3は,補正前の請求項1の発明特定事項である「高周波パスフィルタのインピーダンスの値を」「調節する機能」について,補正前の請求項2の「前記高周波パスフィルタに接続された前記膜状の電極と当該高周波パスフィルタとの間の電圧を検知する検知器からの出力を用いて前記高周波パスフィルタのインピーダンスの値を調節する機能」の記載に基づいて補正するとともに,その記載を整えるものであるから,「高周波パスフィルタのインピーダンスの値を」「調節する機能」について限定的に限縮することを目的とするものである。
補正事項4は,補正前の請求項4の発明特定事項である「高周波パスフィルタのインピーダンスの値を」「調節」する点について,補正前の請求項5の「前記高周波パスフィルタに接続された前記膜状の電極と当該高周波パスフィルタとの間の電圧を用いて前記高周波パスフィルタのインピーダンスの値を調節」する点の記載に基づいて補正するとともに,その記載を整えるものであるから,「高周波パスフィルタのインピーダンスの値を」「調節する機能」について限定的に限縮することを目的とするものである。

また,本件補正によっても,補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。

(4)小括
したがって,上記補正事項1-4は特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とするものであり,また,上記補正事項5は請求項の削除を目的とするものであるから,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮,及び同条同項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当するといえることから,特許法第17条の2第5項の規定に適合するものである。

2-2 独立特許要件
以上のように,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする上記補正事項1-4を含むものである。

そこで,補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は,上記1(1)に記載した,以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
真空容器内部に配置されその内側でプラズマが形成される処理室と,この処理室内に配置されその上面に前記プラズマによる処理対象のウエハが載置される試料台と,この試料台の内部に配置され前記ウエハの処理中に高周波電力が供給される金属製の基材と,前記試料台の前記ウエハの載置面を構成する誘電体製の膜の内部に配置され前記ウエハを静電吸着するための複数の膜状の電極と,これらの膜状の電極に正負の端子が接続されて当該電極に直流電力を供給する直流電源と,前記複数の膜状の電極と前記直流電源の正及び負の電極の各々との間を接続する2つの給電経路上に配置され高周波電力を妨げる2つの高周波カットフィルタと,各々の前記給電経路上の前記高周波カットフィルタおよび前記膜状の電極の間の箇所と接地電位の箇所との間でこれらと電気的に接続されて配置され各々が前記高周波電力を通す2つの高周波パスフィルタと,を備え,
前記高周波パスフィルタが,コイル及び前記接地電位の箇所と前記コイルとの間で当該コイルと直列に接続された抵抗素子とを備えたものであって,前記膜状の電極と当該高周波パスフィルタとの間の前記給電経路上での電圧を検知する検知器からの出力を用いて当該高周波パスフィルタを通して流れる前記高周波電力の電圧値を予め定められた値となるように前記高周波パスフィルタのインピーダンスを調節する機能を備えたプラズマ処理装置。」

(2) 引用例
(2-1)引用例1に記載されている技術的事項及び引用発明
ア 本願出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原審の拒絶査定の理由である平成30年 8月23日付けの拒絶理由通知において引用された,特開2008-244063号公報(平成20年10月 9日出願公開,以下,「引用例1」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0006】
本発明は,かかる従来技術の問題点を解決するものであり,電極構造の特別な改変や磁界装置等の大掛かりな外部装置の付加を必要とせずに,プラズマ密度分布制御の自由度を改善するプラズマ処理装置を提供することを目的とする。」

B 「【0032】
図1に,本発明の第1の実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す。このプラズマ処理装置は,カソードカップルの容量結合型プラズマエッチング装置として構成されており,たとえばアルミニウムまたはステンレス鋼等の金属製の円筒型チャンバ(処理容器)10を有している。チャンバ10は保安接地されている。
【0033】
チャンバ10内には,被処理基板としてたとえば半導体ウエハWを載置する円板状のサセプタ12が下部電極として水平に配置されている。このサセプタ12は,たとえばアルミニウムからなり,チャンバ10の底から垂直上方に延びるたとえばセラミック製の絶縁性筒状支持部14により非接地で支持されている。この筒状支持部14の外周に沿ってチャンバ10の底から垂直上方に延びる導電性の筒状支持部16とチャンバ10の内壁との間に環状の排気路18が形成され,この排気路18の底に排気口20が設けられている。この排気口20には排気管22を介して排気装置24が接続されている。排気装置24は,ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており,チャンバ10内の処理空間を所望の真空度まで減圧することができる。チャンバ10の側壁には,半導体ウエハWの搬入出口を開閉するゲートバルブ26が取り付けられている。
【0034】
サセプタ12には,高周波電源28がRFケーブル30,マッチングユニット32および下部給電棒34を介して電気的に接続されている。高周波電源28は,チャンバ10内でプラズマ処理を行う際に所定の周波数たとえば40MHzの高周波を所定のパワーで出力する。RFケーブル30は,たとえば同軸ケーブルからなる。マッチングユニット32には,高周波電源28側のインピーダンスと負荷(主に電極,プラズマ)側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合回路が収容されるとともに,オートマッチング用のRFセンサ,コントローラ,ステッピングモータ等も備わっている。」

C 「【0036】
サセプタ12上面のウエハ載置部には,円板状の静電チャック38が設けられている。この静電チャック38は,サセプタ12の上面に一体形成または一体固着された膜状または板状の誘電体40の中に半径方向で分割された2つの導体つまり中心導体42および周辺導体44を封入または埋設している。中心導体42は,半導体ウエハWよりも小さな口径(直径)を有する円形の板状導体またはメッシュ状導体からなり,サセプタ12と同軸または同心に配置される。一方,周辺導体44は,中心導体42の外径よりも幾らか大きな内径を有するリング形の板状導体またはメッシュ状導体からなり,やはりサセプタ12と同軸または同心に配置される。なお,周辺導体44の外径は半導体ウエハWの外径より小さくても大きくてもよいが,適当に近いのが好ましい。」

D 「【0038】
中心導体42には,チャンバ10の外に配置される外付けのDC(直流)電源46がインピーダンス回路48および直流・高周波兼用の伝送線50を介して電気的に接続されている。ここで,伝送線50およびインピーダンス回路48は中心伝送ライン45Cを構成している。伝送線50の途中にはこの伝送ラインを流れる高周波漏れ電流MI_(C)を測定するための電流センサ52が取り付けられている。DC電源46よりDC電圧が中心導体42に印加されると,中心導体42の直上で半導体ウエハWと静電チャック38との間に静電気が発生し,クーロン力によって静電チャック38に半導体ウエハWが吸着保持されるようになっている。
【0039】
一方,周辺導体44には,別の外付けDC電源54がインピーダンス回路56および直流・高周波兼用の伝送線58を介して電気的に接続されている。ここで,伝送線58およびインピーダンス回路56は周辺伝送ライン45Eを構成している。伝送線58の途中にはこの伝送ラインを流れる高周波漏れ電流MI_(E)を測定するための電流センサ60が取り付けられている。DC電源54より所定のDC電圧が周辺導体44に印加されると,周辺導体44の直上で静電チャック38が半導体ウエハWを吸着保持するためのクーロン力が発生するようになっている。なお,両伝送線50,58は,それぞれ中心導体42,周辺導体44からの高周波漏れ電流MI_(C),MI_(E)を流す機能を有しているので,許容電流の大きな太径の被覆電線で構成されてよい。
【0040】
通常は,中心導体42および周辺導体44に互いに逆極性のDC電圧が印加される。したがって,たとえば,中心導体42には正のDC電圧を印加し,周辺導体44には負のDC電圧を印加するように,両DC電源46,54の極性を選定してよい。」

E 「【0045】
このプラズマエッチング装置において,エッチングを行なうには,先ずゲートバルブ26を開状態にして加工対象の半導体ウエハWをチャンバ10内に搬入して,静電チャック38の上に載置する。そして,処理ガス供給部82よりエッチングガス(一般に混合ガス)を所定の流量および流量比でチャンバ10内に導入し,排気装置24によりチャンバ10内の圧力を設定値にする。さらに,高周波電源28をオンにして高周波(40MHz)を所定のパワーで出力させ,この高周波をRFケーブル30,マッチングユニット32および下部給電棒34を介してサセプタ(下部電極)12に給電ないし印加する。また,両DC電源46,54をオンにし,静電吸着力によって,静電チャック38と半導体ウエハWとの間の接触界面に伝熱ガス(Heガス)を閉じ込める。そして,チラーユニットからサセプタ12内の冷媒通路68に一定温度に温調された冷却水を供給する。シャワーヘッド72より吐出されたエッチングガスは両電極12,72間で高周波の放電によってプラズマ化し,このプラズマで生成されるラジカルやイオンによって半導体ウエハWの主面の膜がエッチングされる。
【0046】
このプラズマエッチング装置においては,高周波電源28からの高周波がサセプタ12に印加されることで,主にサセプタ12と上部電極72との間の高周波放電により,さらにはサセプタ12とチャンバ10の側壁との間の高周波放電により,処理空間S内で処理ガスのプラズマが生成する。生成したプラズマは四方に,特にチャンバ半径方向外側に拡散し,プラズマ中の電子電流は上部電極72やチャンバ10の側壁等を通ってグランドへ流れる。」

F 「【0049】
図2に,中心および周辺インピーダンス調整部64,66の構成例を示す。中心インピーダンス調整部64のインピーダンス回路48は,少なくとも1つの可変リアクタンス素子を含むLC回路からなり,図示の例では可変コンデンサ90Cとコイル92Cとを並列に接続し,このLC並列回路(90C,92C)と固定コンデンサ94Cとを直列に接続し,固定コンデンサ94Cの他方の端子をグランド電位に接続している。そして,LC並列回路(90C,92C)と固定コンデンサ94C間の接続点N_(C)にローパス・フィルタ(LPF)96Cを介してDC電源46の出力端子を接続している。制御部62は,ステップモータ98Cを通じて可変コンデンサ90Cのインピーダンス・ポジションを可変制御できるようになっている。
【0050】
DC電源46より出力されるDC電圧は,LPF96C,コイル92Cをスルーで通り抜け,伝送線50を伝って静電チャック38の中心導体42に印加されるようになっている。一方,高周波電源28より給電棒34を通ってサセプタ12に印加される高周波の一部は,静電チャック38の中心導体42から伝送線50に入り込み,インピーダンス回路48のインピーダンスに逆比例する大きさの電流量で伝送線50をRF電流つまり中心RF漏れ電流MI_(C)が流れる。もっとも,この中心RF漏れ電流MI_(C)は,LC並列回路(90C,92C)から固定コンデンサ94Cを通ってグランドに流れ,DC電源46へは流れない。DC電源46の手前でLPF96Cが中心RF漏れ電流MI_(C)をほぼ完全に遮断する。電流センサ52は,伝送線50を流れる中心RF漏れ電流MI_(C)の電流値または電流量を測定し,そのRF漏れ電流測定値を制御部62に与える。制御部62は,電流センサ52で得られるRF漏れ電流量測定値が設定値に一致するように可変コンデンサ90Cのインピーダンス・ポジションを可変制御することができる。
【0051】
周辺インピーダンス調整部66のインピーダンス回路56は,上記インピーダンス回路48と同じ回路構成を有してよい。すなわち,可変コンデンサ90Eとコイル92Eとを並列に接続し,このLC並列回路(90E,92E)と固定コンデンサ94Eとを直列に接続し,固定コンデンサ94Eの他方の端子をグランド電位に接続している。そして,LC並列回路(90E,92E)と固定コンデンサ94E間の接続点N_(E)にLPF96Eを介してDC電源54の出力端子を接続している。
【0052】
DC電源54より出力されるDC電圧は,LPF96E,コイル92Eをスルーで通り抜け,伝送線58を伝って静電チャック38の周辺導体44に印加されるようになっている。一方,高周波電源28より給電棒34を通ってサセプタ12に印加される高周波の一部は,静電チャック38の周辺導体44から伝送線58に入り込み,インピーダンス回路56のインピーダンスに逆比例する大きさの電流量で伝送ライン58をRF電流つまり周辺RF漏れ電流MI_(E)が流れる。この周辺RF漏れ電流MI_(E)も,LC並列回路(90E,92E)から固定コンデンサ94Eを通ってグランドに流れ,DC電源54へは流れない。DC電源54の手前でLPF96EがRF漏れ電流MI_(E)をほぼ完全に遮断する。電流センサ60は,伝送ライン58を流れる周辺RF漏れ電流MI_(E)の電流値または電流量を測定し,そのRF漏れ電流測定値を制御部62に与える。制御部62は,電流センサ60で得られるRF漏れ電流量測定値が設定値に一致するようにステップモータ98Eを通じて可変コンデンサ90Eのインピーダンス・ポジションを可変制御することができる。」

G 「【0089】
以上本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,その技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【0090】
たとえば,上記した実施形態のインピーダンス回路48,56,108,110におけるインピーダンス可変のLC並列回路をインピーダンス可変のLC直列回路に置き換える構成も可能である。その場合,LC直列回路の前段でDC電源46,54あるいはヒータ電源154,156を伝送ライン45C,45Eに接続すればよい。あるいは,電流変化が度を越えて急にならないように抵抗を加える構成も可能である。また,上記した実施形態では,中心インピーダンス調整部64および周辺インピーダンス調整部66の伝送ライン45C,45EをDC電源46,54あるいはヒータ電源154,156の給電線に兼用させたが,上記実施形態のインピーダンス調整を行うための専用線とすることも可能である。また,他の用途の給電線を上記実施形態の伝送ライン45C,45Eに兼用させてもよい。DC電源46,54のいずれか一方をグランド電位に接続されたコイルに置き換えることも可能である。また,中心インピーダンス調整部64および周辺インピーダンス調整部66の両方ではなく,いずれか一方のみを備える装置構成も可能である。」

H 「 図1



I 「 図2



イ ここで,引用例1に記載されている事項を検討する。
(ア)上記Aの「プラズマ密度分布制御の自由度を改善するプラズマ処理装置を提供することを目的とする。」との記載,上記Hの図1の記載からすると,引用例1には,“プラズマ処理装置”が記載されている。

(イ)上記Bの「図1に,本発明の第1の実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す。このプラズマ処理装置は,カソードカップルの容量結合型プラズマエッチング装置として構成されており,たとえばアルミニウムまたはステンレス鋼等の金属製の円筒型チャンバ(処理容器)10を有している。」との記載,「排気装置24は,ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており,チャンバ10内の処理空間を所望の真空度まで減圧することができる。」との記載,上記Eの「このプラズマエッチング装置においては,高周波電源28からの高周波がサセプタ12に印加されることで,主にサセプタ12と上部電極72との間の高周波放電により,さらにはサセプタ12とチャンバ10の側壁との間の高周波放電により,処理空間S内で処理ガスのプラズマが生成する。」との記載,上記Hの図1の記載からすると,引用例1の“プラズマ処理装置”は,“チャンバ10”を備え,“チャンバ10”内の処理空間を所望の真空度まで減圧され,“チャンバ10”内でプラズマが生成されることが記載されていると認められる。

(ウ)上記Bの「チャンバ10内には,被処理基板としてたとえば半導体ウエハWを載置する円板状のサセプタ12が下部電極として水平に配置されている。このサセプタ12は,たとえばアルミニウムからなり,チャンバ10の底から垂直上方に延びるたとえばセラミック製の絶縁性筒状支持部14により非接地で支持されている。」との記載,「サセプタ12には,高周波電源28がRFケーブル30,マッチングユニット32および下部給電棒34を介して電気的に接続されている。」との記載,上記Hの図1の記載からすると,引用例1の“チャンバ10”内には,被処理基板としての“半導体ウエハW”を載置するたとえばアルミニウムからなる“サセプタ12”が配置されていると解される。

(エ)上記Eの「さらに,高周波電源28をオンにして高周波(40MHz)を所定のパワーで出力させ,この高周波をRFケーブル30,マッチングユニット32および下部給電棒34を介してサセプタ(下部電極)12に給電ないし印加する。」との記載,「シャワーヘッド72より吐出されたエッチングガスは両電極12,72間で高周波の放電によってプラズマ化し,このプラズマで生成されるラジカルやイオンによって半導体ウエハWの主面の膜がエッチングされる。」との記載,「このプラズマエッチング装置においては,高周波電源28からの高周波がサセプタ12に印加されることで,主にサセプタ12と上部電極72との間の高周波放電により,さらにはサセプタ12とチャンバ10の側壁との間の高周波放電により,処理空間S内で処理ガスのプラズマが生成する。」との記載からすると,引用例1には,高周波電源28からの高周波が“サセプタ12”に印加されプラズマが生成されることにより,“半導体ウエハW”の主面の膜がエッチングされることが記載されていると認められる。

(オ)上記Cの「サセプタ12上面のウエハ載置部には,円板状の静電チャック38が設けられている。この静電チャック38は,サセプタ12の上面に一体形成または一体固着された膜状または板状の誘電体40の中に半径方向で分割された2つの導体つまり中心導体42および周辺導体44を封入または埋設している。中心導体42は,半導体ウエハWよりも小さな口径(直径)を有する円形の板状導体またはメッシュ状導体からなり,サセプタ12と同軸または同心に配置される。一方,周辺導体44は,中心導体42の外径よりも幾らか大きな内径を有するリング形の板状導体またはメッシュ状導体からなり,やはりサセプタ12と同軸または同心に配置される。」との記載,上記Eの「このプラズマエッチング装置において,エッチングを行なうには,先ずゲートバルブ26を開状態にして加工対象の半導体ウエハWをチャンバ10内に搬入して,静電チャック38の上に載置する。」との記載,上記Hの図1,上記Iの図2の記載からすると,引用例1の“サセプタ12”の上面のウエハ載置部には,“膜状または板状の誘電体40”の中に板状導体またはメッシュ状導体からなる“中心導体42”および“周辺導体44”を封入または埋設している円板状の静電チャック38が設けられ,“静電チャック38”の上に“半導体ウエハW”が載置されることが記載されていると認められる。

(カ)上記Dの「中心導体42には,チャンバ10の外に配置される外付けのDC(直流)電源46がインピーダンス回路48および直流・高周波兼用の伝送線50を介して電気的に接続されている。ここで,伝送線50およびインピーダンス回路48は中心伝送ライン45Cを構成している。伝送線50の途中にはこの伝送ラインを流れる高周波漏れ電流MI_(C)を測定するための電流センサ52が取り付けられている。DC電源46よりDC電圧が中心導体42に印加されると,中心導体42の直上で半導体ウエハWと静電チャック38との間に静電気が発生し,クーロン力によって静電チャック38に半導体ウエハWが吸着保持されるようになっている。」との記載,「一方,周辺導体44には,別の外付けDC電源54がインピーダンス回路56および直流・高周波兼用の伝送線58を介して電気的に接続されている。ここで,伝送線58およびインピーダンス回路56は周辺伝送ライン45Eを構成している。伝送線58の途中にはこの伝送ラインを流れる高周波漏れ電流MI_(E)を測定するための電流センサ60が取り付けられている。DC電源54より所定のDC電圧が周辺導体44に印加されると,周辺導体44の直上で静電チャック38が半導体ウエハWを吸着保持するためのクーロン力が発生するようになっている。」との記載,「通常は,中心導体42および周辺導体44に互いに逆極性のDC電圧が印加される。したがって,たとえば,中心導体42には正のDC電圧を印加し,周辺導体44には負のDC電圧を印加するように,両DC電源46,54の極性を選定してよい。」との記載,上記Hの図1,上記Iの図2の記載からすると,引用例1の“中心導体42”には,“DC電源46”が“インピーダンス回路48”および“伝送線50”を介して電気的に接続され正のDC電圧が印加され,“周辺導体44”には,別の外付け“DC電源54”が“インピーダンス回路56”および“伝送線58”を介して電気的に接続され負のDC電圧が印加され,半導体ウエハWを吸着保持する点が読み取れる。
ここで,“中心導体42”と“インピーダンス回路48”との間の“伝送線50”には“電流センサ52”が,“周辺導体44”と“インピーダンス回路56”との間の“伝送線50”には“電流センサ60”が取り付けられている点が記載されていると認められる。

(キ)上記Fの「図2に,中心および周辺インピーダンス調整部64,66の構成例を示す。中心インピーダンス調整部64のインピーダンス回路48は,少なくとも1つの可変リアクタンス素子を含むLC回路からなり,図示の例では可変コンデンサ90Cとコイル92Cとを並列に接続し,このLC並列回路(90C,92C)と固定コンデンサ94Cとを直列に接続し,固定コンデンサ94Cの他方の端子をグランド電位に接続している。」との記載,「周辺インピーダンス調整部66のインピーダンス回路56は,上記インピーダンス回路48と同じ回路構成を有してよい。すなわち,可変コンデンサ90Eとコイル92Eとを並列に接続し,このLC並列回路(90E,92E)と固定コンデンサ94Eとを直列に接続し,固定コンデンサ94Eの他方の端子をグランド電位に接続している。そして,LC並列回路(90E,92E)と固定コンデンサ94E間の接続点N_(E)にLPF96Eを介してDC電源54の出力端子を接続している。」との記載,上記Iの図2の記載の記載からすると,引用例1には,“中心導体42”に接続されたインピーダンス回路48は,“LC並列回路(90C,92C)と固定コンデンサ94C”とが直列に接続されており,固定コンデンサ94Cの他方の端子が“グランド電位”に接続されているとともに,LC並列回路(90C,92C)と固定コンデンサ94C間の接続点N_(C)に“ローパス・フィルタ(LPF)96C”を介して“DC電源46”が接続され,また,“周辺導体44”に接続されたインピーダンス回路56は,“LC並列回路(90E,92E)と固定コンデンサ94E”とが直列に接続されており,固定コンデンサ94Eの他方の端子が“グランド電位”に接続されているとともに,LC並列回路(90E,92E)と固定コンデンサ94E間の接続点N_(E)に“ローパス・フィルタ(LPF)96C”を介して“DC電源54”が接続されている点が記載されていると認められる。

(ク)上記Fの「もっとも,この中心RF漏れ電流MI_(C)は,LC並列回路(90C,92C)から固定コンデンサ94Cを通ってグランドに流れ,DC電源46へは流れない。DC電源46の手前でLPF96Cが中心RF漏れ電流MI_(C)をほぼ完全に遮断する電流センサ52は,伝送線50を流れる中心RF漏れ電流MI_(C)の電流値または電流量を測定し,そのRF漏れ電流測定値を制御部62に与える。制御部62は,電流センサ52で得られるRF漏れ電流量測定値が設定値に一致するように可変コンデンサ90Cのインピーダンス・ポジションを可変制御することができる。」との記載,「この周辺RF漏れ電流MI_(E)も,LC並列回路(90E,92E)から固定コンデンサ94Eを通ってグランドに流れ,DC電源54へは流れない。DC電源54の手前でLPF96EがRF漏れ電流MI_(E)をほぼ完全に遮断する。電流センサ60は,伝送ライン58を流れる周辺RF漏れ電流MI_(E)の電流値または電流量を測定し,そのRF漏れ電流測定値を制御部62に与える。制御部62は,電流センサ60で得られるRF漏れ電流量測定値が設定値に一致するようにステップモータ98Eを通じて可変コンデンサ90Eのインピーダンス・ポジションを可変制御することができる。」との記載,上記Hの図1,上記Iの図2の記載からすると,“中心RF漏れ電流MI_(C)”は,“DC電源46”の手前の“LPF96C”で遮断されるとともに,“LC並列回路(90C,92C)”から“固定コンデンサ94C”を通って“グランド”に流れ,また,“周辺RF漏れ電流MI_(E)”も,“DC電源54”の手前の“LPF96E”で遮断されるとともに,“LC並列回路(90E,92E)”から“固定コンデンサ94E”を通って“グランド”に流れる点が読み取れる。
さらに,“電流センサ52”で得られる“RF漏れ電流量測定値”が設定値に一致するように“可変コンデンサ90C”のインピーダンス・ポジションを,“電流センサ60”で得られる“RF漏れ電流量測定値”が設定値に一致するように“可変コンデンサ90E”のインピーダンス・ポジションを可変制御することができる“制御部62”を備えている点も記載されていると認められる。

(ケ)上記Gの「以上本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,その技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。」との記載,「たとえば,上記した実施形態のインピーダンス回路48,56,108,110におけるインピーダンス可変のLC並列回路をインピーダンス可変のLC直列回路に置き換える構成も可能である。その場合,LC直列回路の前段でDC電源46,54あるいはヒータ電源154,156を伝送ライン45C,45Eに接続すればよい。あるいは,電流変化が度を越えて急にならないように抵抗を加える構成も可能である。」との記載からすると,“LC並列回路”をインピーダンス可変の“LC直列回路”に置き換えること,および,その際には,“LC直列回路”の前段で“DC電源46,54”を“伝送ライン45C,45E”に接続することが記載されている。
そうすると,引用例1には,“インピーダンス回路48”として,“LC直列回路”と“固定コンデンサ94C”とが直列に接続され“抵抗”が加えられ,“固定コンデンサ94C”の他方の端子を“グランド電位”に接続しているとともに,“LC直列回路”の前段に“ローパス・フィルタ(LPF)96C”を介して“DC電源46”が接続されており,“インピーダンス回路56”として,“LC直列回路”と“固定コンデンサ94E”とが直列に接続され“抵抗”が加えられ,“固定コンデンサ94E”の他方の端子を“グランド電位”に接続しているとともに,“LC直列回路”の前段に“ローパス・フィルタ(LPF)96E”を介して“DC電源54”が接続される態様が記載されていると認められる。

ウ 以上,(ア)-(ケ)で示した事項,特に上記(ケ)で示した事項を参酌すると,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「 所望の真空度まで減圧され,プラズマが生成されるチャンバ10と,
チャンバ10内には,被処理基板としての半導体ウエハWを載置するたとえばアルミニウムからなるサセプタ12が配置され,
高周波電源28からの高周波がサセプタ12に印加されることにより,半導体ウエハWがエッチングされ,
サセプタ12の上面のウエハ載置部には,膜状または板状の誘電体40の中に板状導体またはメッシュ状導体からなる中心導体42および周辺導体44を封入または埋設しており,その上に半導体ウエハWが載置される円板状の静電チャック38が設けられ,
中心導体42には,DC電源46がインピーダンス回路48および伝送線50を介して電気的に接続され正のDC電圧が印加され,周辺導体44には,別の外付けDC電源54がインピーダンス回路56および伝送線58を介して電気的に接続され負のDC電圧を印加され,半導体ウエハWを吸着保持し,
中心導体42とインピーダンス回路48との間の伝送線50には電流センサ52が,周辺導体44とインピーダンス回路56との間の伝送線58には電流センサ60が取り付けられ,
インピーダンス回路48として,LC直列回路と固定コンデンサ94Cとが直列に接続され抵抗が加えられ,固定コンデンサ94Cの他方の端子をグランド電位に接続しているとともに,LC直列回路の前段にローパス・フィルタ(LPF)96Cを介してDC電源46が接続されており,インピーダンス回路56として,LC直列回路と固定コンデンサ94Eとが直列に接続され抵抗が加えられ,固定コンデンサ94Eの他方の端子をグランド電位に接続しているとともに,LC直列回路の前段にローパス・フィルタ(LPF)96Eを介してDC電源54が接続されるものが記載され,
中心RF漏れ電流MI_(C)は,LC直列回路から固定コンデンサ94Cを通ってグランドに流れ,周辺RF漏れ電流MI_(E)も,LC直列回路から固定コンデンサ94Eを通ってグランドに流れ,
電流センサ52で得られるRF漏れ電流量測定値が設定値に一致するように可変コンデンサ90Cのインピーダンス・ポジションを,電流センサ60で得られるRF漏れ電流量測定値が設定値に一致するように可変コンデンサ90Eのインピーダンス・ポジションを可変制御することができる制御部62を備えている,
プラズマ処理装置。」

(2-2)周知例1に記載されている技術的事項
本願出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開2007-281205号公報(平成19年10月25日出願公開,以下,「周知例1」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

J 「【0001】
本発明は半導体の製造技術に属する。特にプラズマを用いて半導体ウエハをプラズマ処理する際に好適なプラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体素子の高集積化にともない回路パターンは微細化の一途をたどっており,要求される加工寸法精度はますます厳しくなってきている。また,半導体素子の製造コスト低減の目的でウエハの口径が300mmと大口径化してきているが,歩留りを高めることを目的に,ウエハの中心から外周付近まで広い範囲でプラズマを均一にして高品質で均一な加工ができることが要求されている。製品処理にあたっては,微細な回路パターンを異方性の加工で形成する為に,高周波バイアスが印加されるのが一般的である。この時,ウエハに発生する高周波電圧及び自己バイアス電圧がどのような値になるかは,加工上の重要なパラメータであり,これを正確にモニタすることが重要になる。」

K 「【0041】
第1の実施例の問題をより良く解決する第2の実施例を図10に示す。
【0042】
本構成では,図9と同様に,電圧測定点は静電チャック電極124であるが,この電圧を,同軸ケーブル157を用いて真空外に取り出す。この真空外に取り出した電圧を電圧測定回路154を用いて,DC電圧信号に変換する。この構成のメリットは,電圧測定回路154を大気圧側に配置出来る為,図9のデメリットが消滅することである。電圧測定に関しては,静電チャック電極124の電圧と,電圧測定回路154の電圧が等しければよいので,前述の共振現象は関係が無くなる。」

L 「 図10



上記Jの記載,上記Kの記載,上記Lの図10の記載からすると,周知例1には,
「ウエハの中心から外周付近まで広い範囲でプラズマを均一にして高品質で均一な加工をするために,静電チャック電極の電圧を,同軸ケーブル157を用いて真空外に取り出し,電圧を電圧測定回路154で測定するプラズマ処理装置。」が記載されているものと認められる。

(2-3)周知例2に記載されている技術的事項
本願出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開2002-329777号公報(平成14年11月15日出願公開,以下,「周知例2」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

M 「【0019】図2は,図1に示した静電チャック40の一構成例を示す図である。この図2において,(a)は図1においてIIa-IIa′線方向から見た透視図,(b)は図2(a)においてIIb-IIb′線方向から見た断面図である。図2(b)に示すように,静電チャック40は,セラミック,石英,絶縁性高分子などからなる2つの絶縁層41,42の間に,銅箔などからなる電極43が挟まれた構造をしている。」

N 「 図2



上記Mの記載,上記Nの図2の記載からすると,周知例2には,
「2つの絶縁層41,42の間に,銅箔などからなる電極43が挟まれた構造をしている静電チャック40」が記載されているものと認められる。

(2-4)周知例3に記載されている技術的事項
本願出願前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開平9-82787号公報(平成 9年 3月28日出願公開,以下,「周知例3」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

O 「【0011】このプラズマ処理装置では,図7に示すように,一対の静電チャック電極(第1の静電チャック電極111,第2の静電チャック電極112)を設け,高電圧電源117により第1の静電チャック電極111と第2の静電チャック電極112との間に高電圧を印加する。
【0012】高電圧電源104の正極、負極はそれぞれ第1の静電チャック電極111、第2の静電チャック電極122に接続されているので、第1の静電チャック電極111から出発してウェハ103を透過して第2の静電チャック電極112に終わる電気力線113が発生する。
【0013】これにより、静電チャック電極111,112にそれぞれ正電荷106、負電荷105が誘起されるとともに、静電チャック電極111,112と対向するウェハ103の部分にはそれぞれ負電荷105、正電荷106が誘起され、その結果、ウェハ103と静電チャック電極111,112との間に静電吸着力が発生する。」

P 「 図7



上記Oの記載,上記Pの図7の記載からすると,周知例3には,
「一対の静電チャック電極(第1の静電チャック電極111,第2の静電チャック電極112)を設け,高電圧電源104の正極、負極はそれぞれ第1の静電チャック電極111、第2の静電チャック電極122に接続され,ウェハ103と静電チャック電極111,112との間に静電吸着力が発生するプラズマ処理装置」が記載されているものと認められる。

(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「プラズマ処理装置」は本件補正発明の「プラズマ処理装置」に対応する。

(イ)引用発明の「チャンバ10」は,「所望の真空度まで減圧され,プラズマが生成される」ものであるから,本件補正発明の「真空容器」に相当し,また,引用発明の「チャンバ10」は,“内部空間”を有することは自明であることから,引用発明の「チャンバ10」の“内部空間”が,本件補正発明の「処理室」に相当するといえる。

(ウ)引用発明の「半導体ウエハW」は,本件補正発明の「処理対象のウエハ」に相当する。
ここで,引用発明の「サセプタ12」と,サセプタ12の上面のウエハ載置部に設けられた「静電チャック38」とは,「チャンバ10」内に配置されており,また,その上に「半導体ウエハW」が載置されるから,「サセプタ12」と「静電チャック38」全体で,本件補正発明の「試料台」に相当するといえる。

(エ)引用発明の「たとえばアルミニウムからなるサセプタ12」は,「高周波電源28からの高周波がサセプタ12に印加されることにより,半導体ウエハWの膜がエッチングされ」るものであるから,本件補正発明の「金属製の基材」に相当する。

(オ)引用発明の「静電チャック38」は,「膜状または板状の誘電体40の中に板状導体またはメッシュ状導体からなる中心導体42および周辺導体44を封入または埋設」しているものであり,ここで,引用発明の「膜状または板状の誘電体40」が,本件補正発明の「誘電体製の膜」に相当する。
また,引用発明の「静電チャック38」の「板状導体またはメッシュ状導体からなる中心導体42および周辺導体44」は,「DC電源46」,「DC電源54」が接続され,それぞれ,正,負のDC電圧が印加されることにより「半導体ウエハW」を吸着保持するから,本件補正発明の「前記ウエハを静電吸着するための複数の膜状の電極」と,後記の点で相違するものの,「前記ウエハを静電吸着するための複数の」「電極」である点で一致する。
そして,引用発明の「DC電源46」,「DC電源54」は,「中心導体42」に正のDC電圧を,「周辺導体44」に負のDC電圧を印加するものであるから,本件補正発明の「直流電源」と,後記の点で相違するものの,「これらの」「電極に」「端子が接続されて当該電極に直流電力を供給する直流電源」である点で一致する。

(カ)引用発明の「ローパス・フィルタ(LPF)96C」及び「ローパス・フィルタ(LPF)96E」は,「中心導体42」及び「周辺導体44」と,「DC電源46」及び「DC電源54」との間に配置されているから,本件補正発明の「2つの高周波カットフィルタ」に相当する。

(キ)引用発明の「LC直列回路と固定コンデンサ94Cとが直列に接続され抵抗が加えられ」た回路,及び「LC直列回路と固定コンデンサ94Eとが直列に接続され抵抗が加えられ」た回路は,それぞれ,前段に「ローパス・フィルタ(LPF)96C」「ローパス・フィルタ(LPF)96E」及び「中心導体42」「周辺導体44」が接続され,「固定コンデンサ94C」「固定コンデンサ94E」の他方の端子が「グランド電位」に接続されている。
また,中心RF漏れ電流MI_(C)は,LC直列回路から固定コンデンサ94Cを通ってグランドに流れ,周辺RF漏れ電流MI_(E)は,LC直列回路から固定コンデンサ94Eを通ってグランドに流れるから,「LC直列回路と固定コンデンサ94Cとが直列に接続され抵抗が加えられ」た回路,及び「LC直列回路と固定コンデンサ94Eとが直列に接続され抵抗が加えられ」た回路は,それぞれ,高周波電力を通すものである。
そして,「LC直列回路と固定コンデンサ94Cとが直列に接続され抵抗が加えられ」た回路,及び「LC直列回路と固定コンデンサ94Eとが直列に接続され抵抗が加えられ」た回路はコイルを有しており,また,抵抗が加えられているから,本件補正発明の「高周波パスフィルタ」と,後記の点で相違するものの,「前記高周波カットフィルタおよび前記」「電極の間の箇所と接地電位の箇所との間でこれらと電気的に接続されて配置され各々が高周波電力を通す」点,及び,「コイル及び」「当該コイルと」「接続された抵抗素子とを備えたもの」である点で一致する。

(ク)引用発明の「電流センサ52」「電流センサ60」は,伝送線50,58に流れる中心RF漏れ電流MI_(C),周辺RF漏れ電流MI_(E)を測定するので,本件補正発明の「検知器」と,後記の点で相違するものの,「電極と当該高周波パスフィルタとの間の前記給電経路上で値」「を検知する検知器」である点で一致する。

(ケ)引用発明の「制御部62」は,「電流センサ52で得られるRF漏れ電流量測定値が設定値に一致するように可変コンデンサ90Cのインピーダンス・ポジションを,電流センサ60で得られるRF漏れ電流量測定値が設定値に一致するように可変コンデンサ90Eのインピーダンス・ポジションを可変制御することができる」から,本件補正発明と,後記の点で相違するものの,「検知器からの出力を用いて当該高周波パスフィルタを通して流れる前記高周波電力の」「値を予め定められた値となるように前記高周波パスフィルタのインピーダンスを調節する機能」である点で一致する。

イ 以上から,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。
<一致点>
「真空容器内部に配置されその内側でプラズマが形成される処理室と,この処理室内に配置されその上面に前記プラズマによる処理対象のウエハが載置される試料台と,この試料台の内部に配置され前記ウエハの処理中に高周波電力が供給される金属製の基材と,前記試料台の前記ウエハの載置面を構成する誘電体製の膜の内部に配置され前記ウエハを静電吸着するための複数の電極と,これらの電極に端子が接続されて当該電極に直流電力を供給する直流電源と,前記複数の電極と前記直流電源の電極の各々との間を接続する2つの給電経路上に配置され高周波電力を妨げる2つの高周波カットフィルタと,各々の前記給電経路上の前記高周波カットフィルタおよび前記電極の間の箇所と接地電位の箇所との間でこれらと電気的に接続されて配置され各々が前記高周波電力を通す2つの高周波パスフィルタと,を備え,
前記高周波パスフィルタが,コイル及び当該コイルと接続された抵抗素子とを備えたものであって,前記電極と当該高周波パスフィルタとの間の前記給電経路上で値を検知する検知器からの出力を用いて当該高周波パスフィルタを通して流れる前記高周波電力の値を予め定められた値となるように前記高周波パスフィルタのインピーダンスを調節する機能を備えたプラズマ処理装置。」

<相違点1>
電極に関して,本件補正発明は,ウエハを静電吸着するための複数の電極が,「膜状の電極」であるのに対して,引用発明は,複数の電極である中心導体42および周辺導体44が「板状導体またはメッシュ状導体からなる」点。

<相違点2>
直流電源に関して,本件補正発明は,膜状の電極に正負の端子が単一の「直流電源」が接続されているのに対し,引用発明では,中心導体42には,DC電源46が接続され正のDC電圧が印加され,周辺導体44には,別の外付けDC電源54が接続され負のDC電圧が印加されている点。

<相違点3>
高周波パスフィルタに関して,本件補正発明では,「抵抗素子」が,「コイル及び前記接地電位の箇所と前記コイルとの間で当該コイルと直列に接続され」ているのに対し,引用発明では,抵抗は加えられているが,どのように接続されるのか特定されていない点。

<相違点4>
検知器に関して,本件補正発明では「電圧を検知する検知器」であるのに対し,引用発明では,「電流センサ」である点。

<相違点5>
インピーダンスを調節する機能に関して,本件補正発明では「高周波電力の電圧値を予め定められた値となるように前記高周波パスフィルタのインピーダンスを調節す」るのに対し,引用発明では,「RF漏れ電流量測定値が設定値に一致するように可変コンデンサ90Eのインピーダンス・ポジションを可変制御」するものである点。

(4)当審の判断
上記相違点1-5について検討する。

ア 相違点1について
静電チャックに用いられる電極として,膜状のものを用いることは,例えば周知例2に記載されているように周知技術にすぎない。
引用発明と周知例2とは,どちらも,半導体装置の製造に用いられるプラズマ処理装置に関するものであり,引用発明の中心導体及び周辺導体と周知例2の電極とは,プラズマ処理の際に基板を保持する静電チャックの電極という共通する作用・機能を有する。
そうすると,引用発明において,静電チャックの電極として,当該周知の構成を採用し上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
静電チャックの電極に直流電力を印加する電源を単一の電源とし,電極に単一の電源の正負の端子をそれぞれ接続することは,例えば周知例3に記載されているように周知技術にすぎない。
引用発明と周知例3とは,どちらも,半導体装置の製造に用いられるプラズマ処理装置に関するものであり,引用発明のDC電源と周知例3の高電圧電源とは,プラズマ処理の際に基板を保持する静電チャックの電極に電力を供給する電源という共通する作用・機能を有する。
そうすると,引用発明において,直流電力を印加する電源として,当該周知の構成を採用し上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 相違点3について
引用発明の,インピーダンス可変のLC並列回路をインピーダンス可変のLC直列回路に置き換えた構成において,抵抗は「電流変化が度を越えて急にならないように」加えられているものであることを参酌すると,LC直列回路の共振周波数においてインピーダンスが0近辺となり電流が変化することを防ぐことを目的とするものであることは自明であるから,インピーダンスが0にならないように,LC直列回路に直列に抵抗を接続することは,記載されているに等しい事項である。
ここで,直列に抵抗を接続する場合,その抵抗の位置はどこにおいてもよいことは明らかである。
すると,引用発明において抵抗の接続を特定することは,当業者が実施に当たり適宜なし得る設計的事項にすぎない。

エ 相違点4,5について
プラズマ処理装置において,ウエハの中心から外周付近まで広い範囲でプラズマを均一にして高品質で均一な加工をするために,静電チャック電極の電圧を電圧測定回路154で測定することは,周知例1に記載されている。
引用発明と周知例1とは,どちらもプラズマ処理装置という共通の技術分野に属し,プラズマを均一にして高品質で均一な加工を行うという共通の課題を有するものであるから,引用発明の電流センサを,周知例1の電圧測定回路とすることにより,当該相違点4,5に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
ここで,引用発明の電流センサを,周知例1の電圧測定回路とした際には,制御部62におけるインピーダンスの調整が「高周波電力の電圧値を予め定められた値となるように前記高周波パスフィルタのインピーダンスを調節す」るものとなることは自明である。

オ 小括
上記で検討したごとく,相違点1-5に係る構成は当業者が容易に想到し得たものであり,そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本件補正発明は,上記引用発明及び周知例1-3に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 補正却下の決定のむすび
よって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和 1年 6月26日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成30年10月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,その請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
真空容器内部に配置されその内側でプラズマが形成される処理室と,この処理室内に配置されその上面に前記プラズマによる処理対象のウエハが載置される試料台と,この試料台の内部に配置され前記ウエハの処理中に高周波電力が供給される金属製の基材と,前記試料台の前記ウエハの載置面を構成する誘電体製の膜の内部に配置され前記ウエハを静電吸着するための複数の膜状の電極と,これらの膜状の電極に正負の端子が接続されて当該電極に直流電力を供給する直流電源と,前記複数の膜状の電極と前記直流電源の正及び負の電極の各々との間を接続する2つの給電経路上に配置され高周波電力を妨げる2つの高周波カットフィルタと,各々の前記給電経路上の前記高周波カットフィルタおよび前記膜状の電極の間の箇所と接地電位との間でこれらと電気的に接続されて配置され各々が前記高周波電力を通す2つの高周波パスフィルタと,を備え,
前記高周波パスフィルタのインピーダンスの値を前記ウエハの処理中に当該高周波パスフィルタを通して流れる前記高周波電力の電流量を予め定められた値となるように調節する機能を備えたプラズマ処理装置。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1-6に係る発明は,本願出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用例1: 特開2008-244063号公報

3 引用例に記載されている技術的事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用発明は,前記「第2 令和 1年 6月26日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2 補正の適否」の「2-2 独立特許要件」の「(2)引用例」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は,前記「第2 令和 1年 6月26日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2 補正の適否」の「2-2 独立特許要件」で検討した本件補正発明の発明特定事項である「高周波パスフィルタ」及び「高周波パスフィルタのインピーダンスの値を」「調節する機能」に関する限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が,前記「第2 令和 1年 6月26日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2 補正の適否」の「2-2 独立特許要件」の「(2)引用例」-「(4)当審の判断」に記載したとおり,引用発明,周知例1-3に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,上記限定事項を省いた本願発明も同様の理由により,引用発明,周知例1-3に記載の当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-05-26 
結審通知日 2020-06-09 
審決日 2020-06-23 
出願番号 特願2014-152485(P2014-152485)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 朋一  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 小田 浩
▲吉▼澤 雅博
発明の名称 プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法  
代理人 岩崎 重美  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ