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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1365376
審判番号 不服2019-15090  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-11 
確定日 2020-08-13 
事件の表示 特願2015-165718号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年3月2日出願公開、特開2017-42278号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成27年8月25日の出願であって、平成30年12月10日に手続補正書が提出され、平成31年2月25日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月25日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和1年8月5日付け(送達日:同年8月13日)で、拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年11月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和1年11月11日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和1年11月11日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成31年4月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?2のうち、請求項1における
「【請求項1】
識別情報の可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可変表示を実行可能な可変表示手段と、
可変表示に対応する特定表示を行う特定表示手段と
を備え、
前記可変表示手段は、可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに仮停止した後に再可変表示を実行する所定可変表示を実行可能であり、
再可変表示の演出態様には、特定の組合せの識別情報を仮停止させた後に再可変表示を実行する第1態様と、特別表示を表示した後に再可変表示を実行する第2態様とが含まれ、
前記第2態様の再可変表示において前記特別表示を表示する場合、識別情報の可変表示を通常態様よりも縮小させる縮小態様で表示し、
前記特定表示は、遊技者にとって有利な有利状態に制御される期待度に応じて変化可能であり、当該変化のタイミングが前記所定可変表示の種類に応じて異なり、
前記有利状態に制御される期待度は、前記特定表示の変化のタイミングが特定タイミングであるかに応じて異なる、
ことを特徴とする遊技機。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(令和1年11月11日付け)の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
識別情報の可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
可変表示を実行可能な可変表示手段と、
可変表示に対応する特定表示を行う特定表示手段と、
を備え、
前記可変表示手段は、可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに仮停止した後に再可変表示を実行する所定可変表示を実行可能であり、
再可変表示の演出態様は、特定の組合せの識別情報を仮停止させた後に再可変表示を実行する第1態様と、特別表示を表示した後に再可変表示を実行する第2態様と、を含み、
前記第2態様の再可変表示において前記特別表示を表示する場合、識別情報の可変表示を通常態様よりも縮小させる縮小態様で表示し、
前記特定表示は、前記有利状態に制御される期待度に応じて変化可能であり、当該変化のタイミングが前記所定可変表示の種類に応じて異なり、
前記有利状態に制御される期待度は、前記特定表示の変化のタイミングが特定タイミングであるかに応じて異なり、
前記第2態様の再可変表示は、前記第1態様の再可変表示より前記有利状態に制御される期待度が高く、
前記特定表示手段は、前記所定可変表示が実行されているときに前記特定表示の表示態様を変化させることが可能であり、
前記第2態様の再可変表示が実行されているときは、前記第1態様の再可変表示が実行されているときより前記特定表示の表示態様が変化する割合が高い、
ことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審判合議体にて付した。)。

2 補正の適否
2-1 補正の目的及び新規事項について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2態様の再可変表示」に関して、「前記第2態様の再可変表示は、前記第1態様の再可変表示より前記有利状態に制御される期待度が高く」と限定し、同じく、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特定表示手段」に関して、「前記特定表示手段は、前記所定可変表示が実行されているときに前記特定表示の表示態様を変化させることが可能であり」と限定し、同じく、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特定表示の表示態様が変化する割合」に関して、「前記第2態様の再可変表示が実行されているときは、前記第1態様の再可変表示が実行されているときより前記特定表示の表示態様が変化する割合が高い」と限定することを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正の補正事項は、願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)の段落【0241】、【0254】、【0255】の記載、および、【図27】、【図28】の図示内容に基づくものであり、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

2-2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Lは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「A 識別情報の可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示を実行可能な可変表示手段と、
C 可変表示に対応する特定表示を行う特定表示手段と、
を備え、
D 前記可変表示手段は、可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに仮停止した後に再可変表示を実行する所定可変表示を実行可能であり、
E 再可変表示の演出態様は、特定の組合せの識別情報を仮停止させた後に再可変表示を実行する第1態様と、特別表示を表示した後に再可変表示を実行する第2態様と、を含み、
F 前記第2態様の再可変表示において前記特別表示を表示する場合、識別情報の可変表示を通常態様よりも縮小させる縮小態様で表示し、
G 前記特定表示は、前記有利状態に制御される期待度に応じて変化可能であり、当該変化のタイミングが前記所定可変表示の種類に応じて異なり、
H 前記有利状態に制御される期待度は、前記特定表示の変化のタイミングが特定タイミングであるかに応じて異なり、
I 前記第2態様の再可変表示は、前記第1態様の再可変表示より前記有利状態に制御される期待度が高く、
J 前記特定表示手段は、前記所定可変表示が実行されているときに前記特定表示の表示態様を変化させることが可能であり、
K 前記第2態様の再可変表示が実行されているときは、前記第1態様の再可変表示が実行されているときより前記特定表示の表示態様が変化する割合が高い、
L ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献として引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に閲覧可能となった特開2015-73693号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。
ア 記載事項
(ア)「【0010】
そこで、本発明は、特定画像を用いた演出の演出効果を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(手段1)本発明による遊技機は、各々を識別可能な複数種類の識別情報(例えば、第1特別図柄、第2特別図柄または演出図柄)を可変表示する可変表示手段(例えば、特別図柄表示器18a,18b、演出表示装置9)にあらかじめ定められた特定表示結果(例えば、大当り図柄)が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば、大当り遊技状態)に制御する遊技機であって、可変表示手段における識別情報の可変表示パターン(例えば、変動パターン)を決定する可変表示パターン決定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS105を実行する部分)と、可変表示パターン決定手段による決定結果にもとづいて、識別情報の可変表示を実行する可変表示実行手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるステップS8006,S8105を実行する部分)と、所定条件の成立(例えば、始動入賞時コマンドによって特定される変動パターンが特定の演出態様(スーパーリーチなど)である場合や、変動開始時において当該変動表示の変動パターンが特定の演出態様(擬似連やスーパーリーチなど)である場合、大当り遊技開始時において大当り遊技後に制御される遊技状態が特定の遊技状態(例えば、確変状態や時短状態)である場合や、そのような遊技状態に制御される期間(変動回数)が特定期間(特定変動回数)以上である場合)にもとづいて、特定画像(例えば、プレゼント画像)を表示する特定画像表示手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるステップS3507を実行する部分)と、識別情報の可変表示にて、特定画像表示手段によって表示された特定画像を用いた特定演出を複数のタイミング(例えば、予告対象の変動表示において、リーチ前の擬似連1回目や擬似連2回目、リーチ後のスーパーリーチ発展前や発展後の他、大当り遊技中など。また、例えば、変動開始時にプレゼント画像が表示されたときに、当該変動表示で複数回行われる再変動の最後の再変動が実行されるタイミングなど。また、大当り遊技中にプレゼント画像が表示されたときに、大当り遊技後の予告対象の変動表示が実行されるタイミングなど)で実行可能な特定演出実行手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるステップS4205を実行する部分)とを備え、特定演出実行手段は、いずれのタイミングで実行されるかによって遊技に関する期待度(例えば、変動パターン(リーチ)期待度や大当り期待度の他に、確変期待度、ラウンド数期待度、潜伏期待度、確変回数期待度、時短回数期待度など)が異なるように特定演出を実行する(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるステップS4005を実行する部分。図42(B)?(D)参照)ことを特徴とする。
そのような構成により、特定画像を用いた演出の演出効果を向上させることができる。」

(イ)「【0020】
遊技領域7の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9の表示画面には、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄の可変表示を行う演出図柄表示領域がある。よって、演出表示装置9は、演出図柄の可変表示を行う可変表示装置に相当する。演出図柄表示領域には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用)の演出図柄を可変表示する図柄表示エリアがある。図柄表示エリアには「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアがあるが、図柄表示エリアの位置は、演出表示装置9の表示画面において固定的でなくてもよいし、図柄表示エリアの3つ領域が離れてもよい。演出表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出制御用マイクロコンピュータが、第1特別図柄表示器8aで第1特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させ、第2特別図柄表示器8bで第2特別図柄の可変表示が実行されているときに、その可変表示に伴って演出表示装置9で演出表示を実行させる ので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。」

(ウ)「【0042】
この実施の形態では、合算保留記憶表示部18cにおいて、未だ変動が行われていない保留記憶に対する保留表示が行われるとともに、該保留記憶に対する変動表示を開始してから終了するまでの間、該保留記憶に対する演出表示を、合算保留記憶表示部18cとは異なる所定の領域(不図示)において継続して表示し続ける。以下、該所定領域における演出表示を「アクティブ保留表示」という。また、「アクティブ保留表示」における演出表示の画像を「アクティブ保留画像」ということがある。なお、アクティブ保留表示は、「保留」という表現が用いられているが、厳密には変動開始前に記憶される保留記憶や保留記憶に対する保留表示ではなく、保留表示が変動開始以降にも同様の態様で保留表示の表示領域とは異なる所定の領域で演出表示として表示されるものである。」

(エ)「【0067】
演出制御基板80は、演出制御用CPU101、および演出図柄プロセスフラグ等の演出に関する情報を記憶するRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるRAMは電源バックアップされていない。演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に演出表示装置9の表示制御を行わせる。」

(オ)「【0113】・・・なお、再変動とは、演出図柄の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦はずれとなる演出図柄を仮停止させた後に演出図柄の可変表示を再度実行することである。」

(カ)「【0159】
図11(A),(B)は、ROM54に記憶されている当り変動パターン判定テーブル137A?137Bを示す説明図である。当り変動パターン判定テーブル137A?137Bは、可変表示結果を「大当り」や「小当り」にする旨の判定がなされたときに、大当り種別や変動パターン種別の決定結果などに応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム3)にもとづいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。各当り変動パターン判定テーブル137A?137Bは、変動パターン種別の決定結果に応じて、使用テーブルとして選択される。すなわち、変動パターン種別をノーマルCA3-1?ノーマルCA3-2、スーパーCA3-3、非リーチCA3-4のいずれかにする旨の決定結果に応じて当り変動パターン判定テーブル137Aが使用テーブルとして選択され、変動パターン種別を特殊CA4-1、特殊CA4-2のいずれかにする旨の決定結果に応じて当り変動パターン判定テーブル137Bが使用テーブルとして選択される。各当り変動パターン判定テーブル137A?137Bは、変動パターン種別に応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム3)の値と比較される数値(判定値)であって、演出図柄の可変表示結果が「大当り」である場合に対応した複数種類の変動パターンのいずれかに対応するデータ(判定値)を含む。
・・・
【0161】
図12は、ROM54に記憶されているはずれ変動パターン判定テーブル138Aを示す説明図である。はずれ変動パターン判定テーブル138Aは、可変表示結果を「はずれ」にする旨の判定がなされたときに、変動パターン種別の決定結果に応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム3)にもとづいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。はずれ変動パターン判定テーブル138Aは、変動パターン種別の決定結果に応じて、使用テーブルとして選択される。」

(キ)
【図11】:当り変動パターン判定テーブルを示す説明図である。



【図12】はずれ変動パターン判定テーブルを示す説明図である。


(ク)「【0190】
この実施の形態では、決定された変動カテゴリコマンドにもとづいて予告演出が実行される。この実施の形態では、予告演出として、予告対象となる変動表示が開始されるよりも前から複数の変動にわたって実行されるプレゼント演出を行う。プレゼント演出は、プレゼントボックス画像を表示するとともに、予告対象である変動表示中にプレゼントボックスを開封してプレゼントの中身の画像(以下、「プレゼント画像」)を表示する演出である。」

(ケ)「【0341】
図35は、予告演出決定処理を示すフローチャートである。
・・・
【0343】
ステップS3504では、演出制御用CPU101は、受信した変動カテゴリコマンドが特定の変動カテゴリコマンドであるか否かを判定する(ステップS3504)。ここで、特定の変動カテゴリコマンドとは、変動種別がスーパーCA2?7を示す変動カテゴリコマンド(変動カテゴリ8コマンド、変動カテゴリ8コマンド、変動カテゴリ10コマンド、変動カテゴリ12コマンド)と、変動種別がスーパーCA3?3を示す変動カテゴリコマンド(変動カテゴリ23コマンド、変動カテゴリ26コマンド)とである。すなわち、ここでは、スーパーリーチを伴う変動パターン種別であるか否かを判定している。特定の変動カテゴリでない場合、そのまま処理を終了する。
【0344】
ステップS3504において、特定の変動カテゴリである場合、演出制御用CPU101は、受信した始動入賞時コマンドに対応する保留記憶を予告対象としたプレゼント演出を実行するか否かを決定するためのプレゼント演出実行判定を行う(ステップS3505)。ここでは、プレゼント演出実行判定用の乱数にもとづいて、図36に示すプレゼント演出実行判定テーブルを用いてプレゼント演出実行判定を行う。なお、この実施の形態では、常に予告演出決定処理が実行されるように構成されているが、遊技状態や演出状態に応じて予告演出決定処理が実行されないようにしてもよい。すなわち、プレゼント演出が実行される状態を制限するようにしてもよい。例えば、遊技状態が通常状態のときには、第1始動入賞口13への入賞にもとづいて送信された始動入賞時コマンドであるときのみ予告演出決定処理を実行し、遊技状態が確変状態(または時短状態)のときには、第2始動入賞口14への入賞にもとづいて送信された始動入賞時コマンドであるときのみ予告演出決定処理を実行するようにしてもよい。また、確変状態に制御されていることが遊技者に認識されない潜伏確変状態に制御されうる構成であれば、潜伏確変状態に制御されている可能性を示唆する潜伏確変演出中が実行されている場合にのみ予告演出決定処理を実行するようにしてもよい。」

(コ)「【0350】
図38は、図34に示された演出制御プロセス処理における演出図柄変動開始処理(ステップS801)を示すフローチャートである。演出図柄変動開始処理において、演出制御用CPU101は、まず、変動パターンコマンド格納領域から変動パターンコマンドを読み出す(ステップS8001)。次いで、演出制御用CPU101は、ステップS8002で読み出した変動パターンコマンド、および表示結果指定コマンド格納領域に格納されているデータ(すなわち、受信した表示結果指定コマンド)に応じて演出図柄の表示結果(停止図柄)を決定する(ステップS8002)。すなわち、演出制御用CPU101によってステップS8002の処理が実行されることによって、可変表示パターン決定手段が決定した可変表示パターン(変動パターン)に応じて、識別情報の可変表示の表示結果(演出図柄の停止図柄)を決定する表示結果決定手段が実現される。なお、変動パターンコマンドで擬似連が指定されている場合には、演出制御用CPU101は、ステップS8002において、擬似連中の仮停止図柄としてチャンス目図柄(例えば、「223」や「445」のように、リーチとならないものの大当り図柄と1つ図柄がずれている図柄の組み合わせや、通常では表示されない特殊な画像(数字以外の画像であってもよい。)を含む図柄の組み合わせなど。「擬似連図柄」ともいう。)も決定する。また、演出制御用CPU101は、ステップS8002において、「図柄変動時の変動形態の変化」の演出態様の連続演出を実行すると決定されている場合には、演出図柄の停止図柄として、いわゆるチャンス目図柄(例えば、「223」や「445」のように、リーチとならないものの大当り図柄と1つ図柄がずれている図柄の組み合わせ)を決定する。なお、演出制御用CPU101は、決定した演出図柄の停止図柄を示すデータを演出図柄表示結果格納領域に格納する。なお、ステップS8002において、演出制御用CPU101は、受信した変動パターンコマンドにもとづいて大当りであるか否かを判定し、変動パターンコマンドのみにもとづいて演出図柄の停止図柄を決定するようにしてもよい。」

(サ)「【0364】
図41は、予告演出設定処理を示すフローチャートである。予告演出設定処理において、演出制御用CPU101は、まず、プレゼント演出実行中フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS4001)、セットされていない場合、すなわち、プレゼント演出の実行中でない場合には、そのまま予告演出設定処理を終了する。セットされている場合、すなわち、プレゼント演出を実行中である場合には、演出制御用CPU101は、始動入賞時コマンド格納領域の格納領域1のプレゼントデータQの値が0でないか確認する(ステップS4002)。始動入賞時コマンド格納領域の格納領域1のプレゼントデータがQの値が0でない(すなわち本例では1である)場合には、これから開始される変動表示がプレゼント演出の予告対象の変動表示である。したがって、格納領域1のプレゼントデータがQの値が0である(プレゼント演出の予告対象の変動表示ではない)場合には、そのまま予告演出設定処理を終了する。また、格納領域1のプレゼントデータがQの値が0ではない(プレゼント演出の予告対象の変動表示である)場合には、演出制御用CPU101は、開封フラグをセットする(ステップS4003)。開封フラグは、プレゼント演出の予告対象の変動表示であることを示すフラグである。
【0365】
次いで、演出制御用CPU101は、予告演出種別決定用の乱数にもとづいて、図42(A)に示す予告演出種別決定テーブルを用いて、実行する予告演出の種別を決定する(ステップS4004)。この実施の形態では、プレゼント演出は、プレゼントボックス画像を表示するとともに、予告対象である変動表示中にプレゼントボックスを開封してプレゼントの中身の画像(以下、「プレゼント画像」)を表示する(プレゼントボックス画像からプレゼント画像に切り替える)。また、表示されたプレゼント画像によって、擬似連予告演出、発展先予告演出またはアクティブ保留予告演出のいずれかが実行される。つまり、ステップS4004では、表示するプレゼント画像とともに、プレゼント画像によって実行する演出が予告演出種別として決定される。
【0366】
擬似連予告演出は、演出表示装置9に、擬似連演出(演出図柄の仮停止と再変動表示)が実行される(継続される)ことを示唆する擬似連予告、演出表示装置9に、擬似連演出(演出図柄の仮停止と再変動表示)が実行される(継続される)画像(例えば、「擬似連継続!」:図48(a4)参照)が表示される演出である。この実施の形態では、プレゼント画像として擬似連予告画像が表示されることによって、擬似連予告演出が実行される。
・・・
【0368】
また、アクティブ保留演出は、アクティブ保留表示の表示態様を通常態様から特別態様に変化させる演出であって、大当りとなること(スーパーリーチとなること)を示唆する演出である。この実施の形態では、プレゼント画像としてアクティブ保留演出が実行されることを示すアクティブ保留予告画像(例えば、「変化」:図51(b2)参照)が表示されると、その後、アクティブ保留表示の表示態様が通常態様から特別態様に変化する。なお、この実施の形態では、1種類の特別態様を用いて説明するが、信頼度が異なる複数種類の特別態様を設け、変動パターンに応じていずれの特別態様に変化するかを決定するようにしてもよい。」

(シ)「【0372】
次いで、演出制御用CPU101は、決定した予告演出種別に応じて、予告演出実行タイミングを決定する(ステップS4005)。具体的には、演出制御用CPU101は、決定した予告演出種別に応じて、図42(B)?(D)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルのいずれかを選択し、選択したテーブルと予告演出実行タイミング決定用の乱数とにもとづいて、予告演出実行タイミングを決定する。以下、図43に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0373】
決定した予告演出種別が擬似連予告である場合には、演出制御用CPU101は、図42(B)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルを選択する。図42(B)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルには、変動パターンごとに決定事項(実行タイミング:「リーチ前(擬似連1回目)」、「リーチ前(擬似連2回目)」または「リーチ後」)に対応する判定値が割り当てられている。この実行タイミング「リーチ前(擬似連1回目)」、「リーチ前(擬似連2回目)」および「リーチ後」は、図43(A),(B)に示すt1,t2,t3に相当する。
【0374】
図42(B)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルにおいて特徴的なことは、擬似連予告演出は、リーチ成立前に実行され、擬似連3回を伴う変動パターンの場合には、リーチ前(擬似連1回:図43(A),(B)のt1に相当)よりもリーチ前(擬似連2回:図43(A),(B)のt2に相当)に実行される割合が高く、擬似連2回を伴う変動パターンの場合には、リーチ前(擬似連2回)に実行されないように判定値が設定されていることである。また、擬似連3回を伴う変動パターンであっても、表示結果が大当りである場合には、はずれである場合に比べて、リーチ前(擬似連2回:図43(A),(B)のt2に相当)に実行される割合が高くなるように判定値が設定されている。このような特徴を備えていることによって、擬似連予告演出が実行されることで、確実に擬似連が継続すること示すことができるとともに、擬似連1回目よりも擬似連2回目に実行される方が大当りとなる期待度を高くすることができる。すなわち、擬似連予告演出が実行されるタイミングによって、擬似連が継続する回数と大当りとなる期待度を異ならせることができる。」

(ス)
【図43】:予告演出の実行タイミングを示すタイミングチャートである。



(セ)「【0377】
また、決定した予告演出種別がアクティブ保留予告である場合には、演出制御用CPU101は、図42(D)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルを選択する。図42(D)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルには、変動パターンごとに決定事項(実行タイミング:「リーチ前」または「リーチ後」)に対応する判定値が割り当てられている。この実行タイミング「リーチ後(リーチ発展前)」および「リーチ後(リーチ発展後)」は、図43(C)に示すt5,t6に相当する。」

(ソ)
【図42】:予告演出種別決定テーブルおよび予告演出実行タイミング決定テーブルを示す説明図である。


(タ)「【0379】
図42(D)に示す予告演出実行、タイミング決定テーブルにおいて特徴的なことは、表示結果がはずれよりも大当りである方が、また、同じ表示結果であっても変動パターンの期待度が高くなるほど、リーチ後(リーチ発展後)と判定される割合が高くなるように判定値が設定されていることである。このような特徴を備えていることによって、実行タイミングがリーチ後(リーチ発展前)よりもリーチ後(リーチ発展後)である方が、予告対象の変動表示において大当りが発生する割合を高くすることができる。なお、この実施の形態では、発展先予告は、t4またはt5のタイミングに決定され、アクティブ保留予告は、t5またはt6のタイミングに決定されるように構成されているが、図43(A),(B)に示すt1?t3のタイミングに決定されるようにしてもよい。ただし、この場合にも、変動パターン(リーチ)期待度や大当り期待度が高いほど、遅いタイミングに決定される割合を高くすることが望ましい。
・・・
【0381】
この実施の形態では、予告演出種別として、擬似連予告、発展先予告およびアクティブ保留予告が設けられ、いずれも実行されることによって有利になるが、それらが予告する事象はそれぞれ異なる。例えば、擬似連予告は、擬似連予告が実行された後に、擬似連が継続すること(変動表示の前半に行われること)を予告するものである。また、発展先予告は、リーチがいずれかのスーパーリーチに発展すること(変動表示の中後半に行われること)を予告するものである。擬似連予告と発展先予告とは、予告する対象は異なるが、当該演出の後に実行される演出を予告するものである。これに対して、アクティブ保留予告は、当該演出の後に実行される演出を予告するものではなく、例えば、大当りとなること(変動表示の後半に行われること)を予告するものである。以上のことから、この実施の形態では、予告演出種別(すなわち予告する事象)に応じて、予告演出が実行されやすいタイミングが異なるように構成されているため、演出の効果を十分に発揮させることができる。
・・・
【0388】
図45は、予告演出中処理を示すフローチャートである。予告演出中処理において、演出制御用CPU101は、まず、開封フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS4200)、セットされていなければ、そのまま予告演出中処理を終了する。開封フラグがセットされていれば、すなわち、プレゼント演出の予告対象の変動であれば、開封タイマの値を1減算し(ステップS4201)、開封タイマがタイムアウトしたか否かを判定し(ステップS4202)、開封タイマがタイムアウトしていればプレゼントボックス画像からプレゼント画像に切り替えて表示する(ステップS4205)。なお、ステップS4205において、プレゼント画像がアクティブ保留予告画像である場合には、アクティブ保留表示を通常態様から特別態様に変更して表示する。」

(チ)「【0401】
また、図51は、図47(a6)に続き、アクティブ保留予告が実行される例を示している。図51に示す例では、プレゼント演出の予告対象の変動が開始され、リーチが成立した後に、スーパーリーチに発展すると(図51(b1))、プレゼントボックス画像がアクティブ保留予告画像(「変化」)に切り替えられ(図51(b2))、アクティブ保留表示531の表示態様が通常態様から特別態様(斜線を含む)に変化するアクティブ保留予告が行われる(図50(b3))。その後、最終停止図柄が導出表示される。なお、図51(b2)のタイミングは、図43(D)のt6のタイミングに相当する。
・・・
【0403】
また、この実施の形態では、最大1個のプレゼント画像が表示され、予告対象の変動表示に対してプレゼント演出を1対1で行うように構成されているが、1つの予告対象の変動表示に対して複数のプレゼント演出を実行可能とするようにしてもよい。例えば、図52に示す変形例ように、プレゼント演出実行判定テーブルにおいて、入賞時判定結果に応じて、1演出または2演出を実行するように判定してもよい。この場合には、プレゼントデータQに、実行するプレゼント演出の数を示すデータを格納するようにしてもよい。
【0404】
ただし、プレゼント画像を複数表示する場合には、同じ予告演出を実行すると整合性がとれなくなる虞がある。例えば、擬似連2回の変動パターンで擬似連予告が2回行われることになると、擬似連が3回まで継続すると勘違させてしまうことになる。また、アクティブ保留表示の表示態様を通常態様と特別態様との2種類だけ設けている場合には、アクティブ保留予告が2回行われることで整合性がとれなくなる。また、仮に、複数段階の特別態様を設けていた場合でも、2段階変化することで、実際の期待度よりも高くなってしまい、整合性がとれなくなる虞がある。そのため、例えば、ステップS4004において同じ予告演出種別に複数決定しないように制限することや、ステップS3505において擬似連3回の変動パターンの場合やアクティブ保留表示の表示態様が2段階変化しても整合性がとれるような期待度が高い場合にのみ複数のプレゼント演出を実行可能とすることが望ましい。また、例えば、ステップS4004において、図53(A)に示す第1予告演出種別決定テーブルを用いて、1つ目の予告演出を決定し、決定結果に応じて、図53(B)?(D)に示す第2予告演出種別決定テーブルのいずれかを用いて、2つ目の予告演出を決定することで、上記の問題を回避するようにしてもよい。図53(B)?(D)に示す第2予告演出種別決定テーブルでは、擬似連2回の変動パターンで擬似連予告が2回行われることがないように判定値が割り当てられ、アクティブ保留予告が2回行われるのは極めて期待度が高い場合のみになるように判定値が割り当てられている。このように、複数の予告演出を実行する場合に、1つ目の予告演出種別に応じて2つ目の予告演出種別を決定することによって、複数の予告演出の予告演出種別の組み合わせによって期待度を変化させることができる。なお、他の決定方法として、例えば、複数の予告演出種別を一括で決定するためのテーブルを用いるようにしてもよい。」

イ 認定事項
(ア)引用文献2には、プレゼント演出の実行の有無について、次の記載がある。
・「特定の変動カテゴリコマンドとは、変動種別がスーパーCA2-7を示す・・・と、変動種別がスーパーCA3-3を示す変動カテゴリコマンド・・・とである。」(【0343】)
・「特定の変動カテゴリである場合、演出制御用CPU101は、・・・プレゼント演出を実行するか否かを決定するためのプレゼント演出実行判定を行う・・・」(【0344】)
・【図11】(A)に、変動パターン種別の「スーパーCA3-3」に、「スーパーPA3-3」、「スーパーPA3-4」の変動パターンが含まれることが図示され、また、【図12】に、変動パターン種別の「スーパーCA2-7」に、「スーパーPA3-1」、「スーパーPA3-2」の変動パターンが含まれることが図示されている。
上記記載から、引用文献2には、「スーパーCA3-3の変動パターン種別のうち、スーパーPA3-1、スーパーPA3-2の変動パターン、および、スーパーCA2-7の変動パターン種別のうち、スーパーPA3-1、スーパーPA3-2の変動パターンは、プレゼント演出を実行する場合と実行しない場合のある」ことが示されていると認められる。

また、引用文献2には、スーパーPA3-1、スーパーPA3-2の変動パターンについて、次の記載がある。
・【図42】に、スーパーPA3-1の変動パターンの演出内容は、擬似連2回スーパーリーチAはずれであり、スーパーPA3-2の変動パターンの演出内容は、擬似連3回スーパーリーチAはずれであり、スーパーPA3-3の変動パターンの演出内容は、擬似連2回スーパーリーチA大当りであり、スーパーPA3-4の変動パターンの演出内容は、擬似連3回スーパーリーチA大当りであることが図示されている。
・「・・・擬似連演出(演出図柄の仮停止と再変動表示)が実行される・・・」(【0366】)
上記記載から、引用文献2には、スーパーPA3-1?スーパーPA3-4が、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターンであることが示されていると認められる。

したがって、引用文献2には、「変動パターンに、プレゼント演出を実行しない、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターンと、プレゼント演出を実行する、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターンがある」ことが示されていると認められる。

(イ)引用文献2には、予告演出の実行タイミングについて、次の記載がある。
・「次いで、演出制御用CPU101は、決定した予告演出種別に応じて、予告演出実行タイミングを決定する(ステップS4005)。具体的には、演出制御用CPU101は、決定した予告演出種別に応じて、図42(B)?(D)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルのいずれかを選択し、選択したテーブルと予告演出実行タイミング決定用の乱数とにもとづいて、予告演出実行タイミングを決定する。以下、図43に示すタイミングチャートを参照して説明する。」(【0372】)
・「実行タイミング「リーチ前(擬似連1回目)」、「リーチ前(擬似連2回目)」および「リーチ後」は、図43(A)、(B)に示すt1,t2,t3に相当する。」(【0373】)
・「アクティブ保留予告は、t5またはt6のタイミングに決定されるように構成されているが、図43(A)、(B)に示すt1?t3のタイミングに決定されるようにしてもよい。」(【0379】)
そして、予告演出の実行タイミングを示すタイミングチャートである【図43】(A)、(B)に、次の事項が図示されている。
・擬似連1回目と2回目の間に「リーチ前(擬似連1回目)t1」が設定されていること。
・擬似連2回目とリーチ成立の間、もしくは、擬似連2回目と3回目とに「リーチ前(擬似連2回目)t2」が設定されるていること。
・リーチ成立と変動停止の間に「リーチ後t3」が設定されていること。
したがって、引用文献2には、「アクティブ保留予告演出の実行タイミングは、擬似連1回目と2回目の間に設定された「リーチ前(擬似連1回目)t1」、擬似連2回目とリーチ成立の間、もしくは、擬似連2回目と3回目の間に設定された「リーチ前(擬似連2回目)t2」、リーチ成立と変動停止の間に設定された「リーチ後t3」に決定される」ことが示されていると認められる。

(ウ)引用文献2には、予告演出の実行タイミングと、擬似連の種類との関係について次の記載がある。
・「決定した予告演出種別がアクティブ保留予告である場合には、演出制御用CPU101は、図42(D)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルを選択する。図42(D)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルには、変動パターンごとに決定事項(実行タイミング:「リーチ前」または「リーチ後」)に対応する判定値が割り当てられている。この実行タイミング「リーチ後(リーチ発展前)」および「リーチ後(リーチ発展後)」は、図43(C)に示すt5,t6に相当する。」(【0377】)
・「同じ表示結果であっても変動パターンの期待度が高くなるほど、リーチ後(リーチ発展後)と判定される割合が高くなるように判定値が設定されていることである。このような特徴を備えていることによって、実行タイミングがリーチ後(リーチ発展前)よりもリーチ後(リーチ発展後)である方が、予告対象の変動表示において大当りが発生する割合を高くすることができる。」(【0379】)
そして、予告演出実行タイミング決定テーブルを示す説明図である【図42】(D)に、アクティブ保留予告演出の実行タイミングについて、次の事項が図示されている。
・「擬似連2回スーパーリーチAはずれ(スーパーPA3-1)」の場合、リーチ後(リーチ発展前)t5に50、リーチ後(リーチ発展後)t6に50の判定値が割り当てられていること。
・「擬似連3回スーパーリーチBはずれ(スーパーPA3-2)」の場合、リーチ後(リーチ発展前)t5に40、リーチ後(リーチ発展後)t6に60の判定値が割り当てられていること。
・「擬似連2回スーパーリーチA大当り(スーパーPA3-3)」の場合、リーチ後(リーチ発展前)t5に20、リーチ後(リーチ発展後)t6に80の判定値が割り当てられていること。
・「擬似連3回スーパーリーチB大当り(スーパーPA3-4)」の場合、リーチ後(リーチ発展前)t5に10、リーチ後(リーチ発展後)t6に90の判定値が割り当てられていること。
すなわち、【図42】(D)には、アクティブ保留予告演出を実行するタイミングについて、表示結果が「はずれ」、「大当り」のいずれの場合にも、「擬似連2回スーパーリーチA」よりも「擬似連3回スーパーリーチB」の方が、リーチ後(リーチ発展前)よりも遅いタイミングで実行されるリーチ後(リーチ発展後)の実行割合が高いことが図示されている。
また、予告演出の実行タイミングを示すタイミングチャートである【図43】(C)には、アクティブ保留予告演出が、リーチ後(リーチ発展前)t5と、リーチ後(リーチ発展後)t6に実行されることが図示されている。

一方、引用文献2には、【0379】に「アクティブ保留予告は、t5またはt6のタイミングに決定されるように構成されているが、図43(A),(B)に示すt1?t3のタイミングに決定されるようにしてもよい。ただし、この場合にも、・・・大当り期待度が高いほど、遅いタイミングに決定される割合を高くすることが望ましい。」ことが記載されている。
そこで、「擬似連3回スーパーリーチB」の「大当り期待度」と、「擬似連2回スーパーリーチA」の「大当り期待度」の高低について検討する。
引用文献2には、擬似連を伴うスーパーリーチの変動パターンについて、【0159】に「図11(A),(B)は、ROM54に記憶されている当り変動パターン判定テーブル137A?137Bを示す説明図である。・・・変動パターン種別を・・・スーパーCA3-3・・・のいずれかにする・・・」ことが記載され、【0161】に「図12は、ROM54に記憶されているはずれ変動パターン判定テーブル138Aを示す説明図である。」ことが記載されている。
そして、【図11】(A)に示される当り変動パターン判定テーブルには、「擬似連2回スーパーリーチA大当り(スーパーPA3-3)」に1?268の268個の判定値が割り振られ、「擬似連3回スーパーリーチB大当り(スーパーPA3-4)」に269?660の391個の判定値が割り振られていることが図示されている。
また、【図12】に示されるはずれ変動パターン判定テーブルには、「擬似連2回スーパーリーチAはずれ(スーパーPA3-1)」に1?268の268個の判定値が割り振られ、「擬似連3回スーパーリーチBはずれ(スーパーPA3-2)」に269?560の291個の判定値が割り振られていることが図示されている。
ここで、「大当り期待度」は、大当り判定値の個数/(大当り判定値の個数+はずれ判定値の個数)により算出されることから、
「擬似連3回スーパーリーチB」の「大当り期待度」は、(スーパーPA3-4)/((スーパーPA3-4)+(スーパーPA3-2))=391個/(391個+291個)=57.3%となり、
「擬似連2回スーパーリーチA」の「大当り期待度」は、(スーパーPA3-3)/((スーパーPA3-3)+(スーパーPA3-1))=268個/(268個+268個)=50%となる。
したがって、「擬似連3回スーパーリーチB」の「大当り期待度」は、「擬似連2回スーパーリーチA」の「大当り期待度」より高いと認められる。

これらのことからみて、引用文献2には、「アクティブ保留予告の実行タイミングは、t1?t3に決定されるように構成され、大当り期待の高い「擬似連3回スーパーリーチB」の変動パターンは、大当り期待度の低い「擬似連2回スーパーリーチA」の変動パターンよりも、遅いタイミング(t3)に決定される割合が高い」ことが示されているものと認められる。

ウ 引用発明
上記アの記載事項および上記イの認定事項を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?lは、本件補正発明のA?Lに対応させて付与した。)。
「b 演出図柄の可変表示を演出表示装置9で実行させる演出制御用マイクロコンピュータに含まれる演出制御用CPU101(【0020】、【0067】)を備え、
a 演出表示装置9にあらかじめ定められた特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り遊技状態)に制御する遊技機であって(【0011】)、
c 演出制御用CPU101は、保留表示が変動開始以降にも同様の態様で保留表示の表示領域とは異なる所定の領域で演出表示として表示されるものである、アクティブ保留表示を表示し(【0042】、【0388】)、
d 演出制御用CPU101は、演出表示装置9に、擬似連演出(演出図柄の仮停止と再変動表示)の表示制御を行わせ(【0067】、【0366】)、
再変動とは、演出図柄の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦はずれとなる演出図柄を仮停止させた後に演出図柄の可変表示を再度実行することであり(【0113】)、
e、j、k 変動パターンに、プレゼント演出を実行しない、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターンと、プレゼント演出を実行する、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターンがあり(認定事項(ア))、
プレゼント演出は、予告対象となる変動表示が開始されるよりも前から複数の変動にわたって実行され、プレゼントボックス画像を表示するとともに、予告対象である変動表示中にプレゼントボックスを開封してプレゼントの中身の画像(プレゼント画像)を表示する演出であり(【0190】)、
プレゼント画像として、アクティブ保留予告画像(「変化」)が表示されると、その後、アクティブ保留表示の表示態様が通常態様から特別態様に変化する、アクティブ保留予告演出が実行され(【0365】、【0368】)、
擬似連中の仮停止図柄として、チャンス目図柄(リーチとならないものの大当り図柄と1つ図柄がずれている図柄の組み合わせ)が決定され(【0350】)、
アクティブ保留予告演出の実行タイミングは、擬似連1回目と2回目の間に設定された「リーチ前(擬似連1回目)t1」、擬似連2回目とリーチ成立の間、もしくは、擬似連2回目と3回目の間に設定された「リーチ前(擬似連2回目)t2」、リーチ成立と変動停止の間に設定された「リーチ後t3」に決定され(認定事項(イ))
f’擬似連3回の変動パターンの場合やアクティブ保留表示の表示態様が2段階変化しても整合性がとれるような期待度が高い場合にのみ、1つの予告対象の変動表示に対して複数のプレゼント演出を実行可能とし(【0403】、【0404】)、
g アクティブ保留予告演出における特別態様には、信頼度の異なる複数種類の特別態様が設けられ、変動パターンに応じていずれの特別態様に変化するかが決定され(【0365】、【0368】)、
アクティブ保留予告の実行タイミングは、t1?t3に決定されるように構成され、大当り期待の高い「擬似連3回スーパーリーチB」の変動パターンは、大当り期待度の低い「擬似連2回スーパーリーチA」の変動パターンよりも、遅いタイミング(t3)に決定される割合が高く(認定事項(ウ))、
h アクティブ保留予告演出は、大当り期待度が高いほど、遅いタイミング(t3)に決定される割合を高くし(【0379】)、
i 大当りとなることを予告するアクティブ保留予告演出は、実行されることによって有利になる(【0365】、【0381】)、
l 遊技機。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(b)
引用発明の構成bの「演出図柄の可変表示を演出表示装置9で実行させる」「演出制御用CPU101」は、本件補正発明の構成Bの「可変表示を実行可能な可変表示手段」としての機能を有する。

(a)(l)
引用発明の構成aの「演出表示装置9」は、構成bより、「演出図柄の可変表示を」「実行」するものであるから、本件補正発明の構成Aの「識別情報の可変表示を行」うものである。
そして、引用発明の構成aの「遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り遊技状態)に制御する」ことは、本件補正発明の構成Aの「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な」ことに相当する。
また、引用発明の構成a、lの「遊技機」は、本件補正発明の構成A、Lの「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明の構成a、lは、それぞれ、本件補正発明の構成A、Lに相当する。

(c)
引用発明の構成cの「変動開始以降にも」「保留表示の表示領域とは異なる所定の領域で演出表示として表示される」「アクティブ保留表示」は、本件補正発明の構成Cの「可変表示に対応する特定表示」に相当する。
したがって、引用発明の構成cの「アクティブ保留表示を表示」する「演出制御用CPU101」は、本件補正発明の構成Cの「可変表示に対応する特定表示を行う特定表示手段」としての機能を有する。

(d)
引用発明の構成dの「演出図柄の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまで」は、本件補正発明の構成Dの「可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまで」に相当する。
そして、引用発明の構成dの「演出図柄の仮停止」、「再変動表示」は、「仮停止」した後に「再変動表示」が開始されることが当業者における技術常識であることからみて、それぞれ、本件補正発明の構成Dの「仮停止」、「仮停止した後に」「実行」される「再可変表示」に相当する。
そうすると、引用発明の構成dの「擬似連演出(演出図柄の仮停止と再変動表示)」は、本件補正発明の構成Dの「仮停止した後に再可変表示を実行する所定可変表示」に相当する。
したがって、引用発明の構成dの「演出表示装置9に、擬似連演出(演出図柄の仮停止と再変動表示)の表示制御を行わせ」る「演出制御用CPU101」は、本件補正発明の構成Dの「可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに仮停止した後に再可変表示を実行する所定可変表示を実行可能であ」る「可変表示手段」としての機能を有する。

(e)
引用発明における構成e、j、kの「プレゼント演出を実行しない、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」は、「仮停止図柄として」「決定され」た「チャンス目図柄(リーチとならないものの大当り図柄と1つ図柄がずれている図柄の組み合わせ)」を「擬似連中」に表示するものである。
そして、引用発明における構成e、j、kの「チャンス目図柄(リーチとならないものの大当り図柄と1つ図柄がずれている図柄の組み合わせ)」は、本件補正発明の構成Eの「特定の組合せの識別情報」に相当する。
そうすると、引用発明における構成e、j、kの「プレゼント演出を実行しない、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」は、本件補正発明の構成Eの「特定の組合せの識別情報を仮停止させた後に再可変表示を実行する第1態様」に相当する。

一方、引用発明における構成e、j、kの「プレゼント演出を実行する、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」は、「プレゼント演出を実行しない、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」と同様に、「仮停止図柄として」「決定され」た「チャンス目図柄」が「擬似連中」に表示されることに加えて、「プレゼント演出」において、「プレゼント画像として、アクティブ保留予告画像(「変化」)が表示され」た「後」、「アクティブ保留表示の表示態様が通常態様から特別態様に変化する、アクティブ保留予告演出が実行され」るものである。
そして、引用発明における構成e、j、kの「予告対象である変動表示中にプレゼントボックス」が「開封」されて、「プレゼント画像として」「表示される」「アクティブ保留予告画像(「変化」)」は、本件補正発明における構成Eの「特別表示」に相当する。
また、引用発明における構成e、j、kにおいて、「アクティブ保留予告演出の実行タイミング」が「リーチ前(擬似連1回目)t1」の場合、「擬似連1回目と2回目の間」に「アクティブ保留予告演出」が実行されるものである。
同様に、引用発明における構成e、j、kにおいて、「アクティブ保留予告演出の実行タイミング」が「リーチ前(擬似連2回目)t2」の場合、「擬似連2回目とリーチ成立の間、もしくは、擬似連2回目と3回目の間」に「アクティブ保留予告演出」が実行されるものである。
したがって、引用発明の構成e、j、kにおいて、「プレゼント画像として、アクティブ保留予告画像(「変化」)が表示され」た「後」に、「アクティブ保留予告演出が実行され」、さらに、その後に、「擬似連2回目」、もしくは、「擬似連3回目」の「再変動表示」が開始されることが可能である。
ゆえに、引用発明における構成e、j、kの「プレゼント演出を実行する、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」は、「プレゼント画像として、アクティブ保留予告画像(「変化」)が表示され」た「後」に、「擬似連2回目」、もしくは、「擬似連3回目」の「再変動表示」を開始されることが可能なパターンであるから、本件補正発明の構成Eの「特別表示を表示した後に再可変表示を実行する第2態様」に相当する。

よって、引用発明における構成e、j、kは、本件補正発明における構成Eに相当する。

(g)
引用発明における構成gの「アクティブ保留予告演出における特別態様には、信頼度の異なる複数種類の特別態様が設けられ、変動パターンに応じていずれの特別態様に変化するかが決定され」ることは、本件補正発明における構成Gの「特定表示は、有利状態に制御される期待度に応じて変化可能であ」ることに相当する。
次に、本件補正発明の構成Gの「当該変化のタイミングが所定可変表示の種類に応じて異な」ることの技術的意義について検討する。
この点に関して、令和1年11月11日付け手続補正書の【0007】に「・・・当該変化のタイミングが前記所定可変表示の種類に応じて異なり(例えば図28に示す変動中表示予告設定処理におけるステップS163の処理にて、変動中表示エリア5Iでの表示態様を通常時における表示態様とは異なる表示態様に変化させる変動中表示予告タイミングが、大当り判定の有無に応じて決定された擬似連演出パターンに応じた決定割合で決定されること等)」と記載されていることから、本件補正発明の構成Gの「当該変化のタイミングが所定可変表示の種類に応じて異な」ることは、変動中表示予告タイミングが、擬似連演出パターンに応じた決定割合で決定されることを意味するものと解される。
そうすると、引用発明における構成gの「アクティブ保留予告の実行タイミングは、t1?t3に決定されるように構成され、大当り期待度の高い「擬似連3回スーパーリーチB」の変動パターンは、大当り期待度の低い「擬似連2回スーパーリーチA」の変動パターンよりも、遅いタイミング(t3)に決定される割合が高」いことは、「アクティブ保留予告の実行タイミング」としての「t1?t3」の決定割合が、「擬似連3回スーパーリーチB」と「擬似連2回スーパーリーチA」とで異なることであるから、本件補正発明における構成Gの「当該変化のタイミングが前記所定可変表示の種類に応じて異な」ることに相当する。
したがって、引用発明の構成gは、本件補正発明の構成Gに相当する。

(h)
引用発明における構成hの「遅いタイミング(t3)」は、本件補正発明における構成Hの「特定タイミング」に相当する。
そうすると、引用発明における構成hの「アクティブ保留予告演出は、大当り期待度が高いほど、遅いタイミング(t3)に決定される割合を高く」することは、「アクティブ保留予告演出」が実行されるタイミングが「遅いタイミング(t3)」であるか否かに応じて「大当り期待度」が異なることであるから、本件補正発明における構成Hの「有利状態に制御される期待度は、特定表示の変化のタイミングが特定タイミングであるかに応じて異な」ることに相当する。

(i)
上記(e)より、引用発明における構成e、j、kの「プレゼント演出」として「アクティブ保留予告演出」を実行しない、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」は、本件補正発明の構成Eの「特定の組合せの識別情報を仮停止させた後に再可変表示を実行する第1態様」に相当し、また、引用発明における構成e、j、kの「プレゼント演出を実行する、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」は、本件補正発明の構成Eの「特別表示を表示した後に再可変表示を実行する第2態様」に相当する。
また、引用発明の構成e、j、kにおいて、「アクティブ保留予告演出」は、「プレゼント演出」として実行されるものである。
そうすると、引用発明の構成iの「大当りとなることを予告するアクティブ保留予告演出は、実行されることによって有利にな」ることは、「プレゼント演出を実行する、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」が、「プレゼント演出を実行しない、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」よりも「大当りとなる」可能性が高く、「有利」であることを意味する。
したがって、引用発明の構成iの「大当りとなることを予告するアクティブ保留予告演出は、実行されることによって有利にな」ることは、本件補正発明の構成Iの「第2態様の再可変表示は、第1態様の再可変表示より有利状態に制御される期待度が高」いことに相当する。

(j) 引用発明の「演出制御用CPU101」は、構成cより、「アクティブ保留表示」の「表示」を制御するとともに、構成dより、「擬似連演出」の「表示」を「制御」するものである。
そして、上記(c)より、引用発明の「アクティブ保留表示」は、本件補正発明の「特定表示」に相当し、上記(d)より、引用発明の「擬似連演出」は、本件補正発明の構成Dの「所定可変表示」に相当する。
また、引用発明の構成e、j、kにおいて、「アクティブ保留表示の表示態様が通常態様から特別態様に変化する」演出が「アクティブ保留予告演出」である。
さらに、引用発明の構成e、j、kにおける「プレゼント演出を実行する、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」は、「アクティブ保留予告演出の実行タイミングは、擬似連1回目と2回目の間に設定された「リーチ前(擬似連1回目)t1」、擬似連2回目とリーチ成立の間、もしくは、擬似連2回目と3回目の間に設定された「リーチ前(擬似連2回目)t2」、リーチ成立と変動停止の間に設定された「リーチ後t3」に決定され」とあるように、擬似連演出の実行中に「アクティブ保留予告演出」を実行可能とするものであるから、本件補正発明の構成Jの「所定可変表示が実行されているときに特定表示の表示態様を変化させることが可能であ」ることに相当する。
したがって、引用発明におけの構成e、j、kは、本件補正発明における構成Jに相当する。

(k)
引用発明の構成e、j、kにおいて、「プレゼント演出」として「アクティブ保留予告演出」を「実行する、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」は、「プレゼント演出」として、「アクティブ保留表示の表示態様が通常態様から特別態様に変化する、アクティブ保留予告演出」が必ず実行されるものである。
一方、引用発明の構成e、j、kにおいて、「プレゼント演出」として「アクティブ保留予告演出」を「実行しない、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」は、「プレゼント演出」として、「アクティブ保留表示」を全く実行しないものである。
そうすると、引用発明の構成e、j、kにおいて、「プレゼント演出を実行する、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」は、「プレゼント演出を実行しない、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」よりも、「アクティブ保留表示の表示態様が通常態様から特別態様に変化する」「アクティブ保留予告演出」を実行する割合が高いことから、引用発明の構成e、j、kは、本件補正発明の構成Kに相当する。
上記(a)?(l)によれば、本件補正発明と引用発明は、
「A 識別情報の可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示を実行可能な可変表示手段と、
C 可変表示に対応する特定表示を行う特定表示手段と、
を備え、
D 前記可変表示手段は、可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに仮停止した後に再可変表示を実行する所定可変表示を実行可能であり、
E 再可変表示の演出態様は、特定の組合せの識別情報を仮停止させた後に再可変表示を実行する第1態様と、特別表示を表示した後に再可変表示を実行する第2態様と、を含み、
G 前記特定表示は、前記有利状態に制御される期待度に応じて変化可能であり、当該変化のタイミングが前記所定可変表示の種類に応じて異なり、
H 前記有利状態に制御される期待度は、前記特定表示の変化のタイミングが特定タイミングであるかに応じて異なり、
I 前記第2態様の再可変表示は、前記第1態様の再可変表示より前記有利状態に制御される期待度が高く、
J 前記特定表示手段は、前記所定可変表示が実行されているときに前記特定表示の表示態様を変化させることが可能であり、
K 前記第2態様の再可変表示が実行されているときは、前記第1態様の再可変表示が実行されているときより前記特定表示の表示態様が変化する割合が高い、
L 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点](構成F)
本件補正発明は、第2態様の再可変表示において特別表示を表示する場合、識別情報の可変表示を通常態様よりも縮小させる縮小態様で表示させるのに対して、引用発明は、そのような構成を備えない点。

(4)当審判合議体の判断
ア 相違点について
上記相違点について検討する。
遊技機の技術分野において、擬似連遊技演出に対する興趣を向上させるために、再可変表示において特別表示を表示する場合、識別情報の可変表示を通常態様よりも縮小させる縮小態様で表示させることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、原査定時に新たに提示された特開2015-51231号公報の【0008】、【0160】、【0462】、【図41】(b)には、再変動を示す「もういっちょ」という文字を表示する場合、全ての演出図柄38を画面の隅の方に縮小表示させることが記載され、同じく、原査定時に新たに提示された特開2012-254203号公報の【0008】、【0421】、【0422】、【図47】には、再変動表示中に背景を山の風景の背景画面に切り替え、演出図柄の変動表示を縮小表示させることが記載されている。以下「周知の技術事項」という。)。
そして、引用発明と上記周知の技術事項とは、演出効果を向上させるという共通の課題を解決するものである。
また、引用発明は、構成f’の「擬似連3回の変動パターンの場合やアクティブ保留表示の表示態様が2段階変化しても整合性がとれるような期待度が高い場合にのみ、1つの予告対象の変動表示に対して複数のプレゼント演出を実行可能と」する構成を備えるものである。
したがって、引用発明の構成f’に上記周知の技術事項を適用して、「プレゼント画像として、アクティブ保留予告画像(「変化」)が表示され」た後の「擬似連2回目」、もしくは、「擬似連3回目」の「再変動表示」において、再度、「プレゼント画像として、アクティブ保留予告画像(「変化」)」を表示する際に、演出図柄の可変表示を縮小態様で表示し、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

イ 請求人の主張について
請求人は、令和1年11月11日付け審判請求書において、次の主張をしている。
「(1)本願発明の説明
(1-1)本願請求項1に係る発明は、下記の構成(a)、(b)を備えています。
(a)「前記第2態様の再可変表示は、前記第1態様の再可変表示より前記有利状態に制御される期待度が高く、」という構成
(b)「前記特定表示手段は、前記所定可変表示が実行されているときに前記特定表示の表示態様を変化させることが可能であり、前記第2態様の再可変表示が実行されているときは、前記第1態様の再可変表示が実行されているときより前記特定表示の表示態様が変化する割合が高い、」という構成
(1-2)本願請求項1に係る発明は、上記4.(1-1)の構成(a)、(b)を備えることにより、遊技者に、第1態様と第2態様との何れの演出態様で再可変表示が実行されるかに注目させ、遊技興趣を向上させることができる、という顕著な効果を奏するものです。

(2)引用発明の説明
(2-1)引用文献2の段落[0379]には、「図42(D)に示す予告演出実行タイミング決定テーブルにおいて特徴的なことは、表示結果がはずれよりも大当りである方が、また、同じ表示結果であっても変動パターンの期待度が高くなるほど、リーチ後(リーチ発展後)と判定される割合が高くなるように判定値が設定されていることである。」という記載があります。・・・ (3)本願発明と引用発明との対比(3-1)引用文献2-4には、本願請求項1に係る発明が備える上記4.(1-1)の構成(a)、(b)が、開示も示唆もされていません。このため、引用文献2-4に記載された発明は、本願請求項1に係る発明とは異なり、上記4.(1-2)の効果を奏することができません。(3-2)具体的に、引用文献2には、上記4.(2-1)に示すように、表示結果がはずれよりも大当りである方が、アクティブ保留予告の実行タイミングがリーチ後と判定される割合が高くなる構成が記載されています。(3-3)しかしながら、引用文献2には、本願請求項1に係る発明が備える「再可変表示の演出態様は、特定の組合せの識別情報を仮停止させた後に再可変表示を実行する第1態様と、特別表示を表示した後に再可変表示を実行する第2態様と、を含み、」という構成が、開示も示唆もされていません。(3-4)当然、引用文献2には、上記4.(3-3)の構成の存在を前提とする、本願請求項1に係る発明が備える上記4.(1-1)の構成(a)、(b)も、開示も示唆もされていません。」
なお、請求人の主張中における(1-1)の構成(a)、(b)は、それぞれ、本件補正発明の構成I、J?Kに対応する。

そこで、請求人の上記主張について検討する。
(ア)上記(3-2)、(3-3)の主張について
当審判合議体では、引用文献2の【0379】の「アクティブ保留予告は、t5またはt6のタイミングに決定されるように構成されているが、図43(A),(B)に示すt1?t3のタイミングに決定されるようにしてもよい。ただし、この場合にも、・・・大当り期待度が高いほど、遅いタイミング(t3)に決定される割合を高くすることが望ましい。」という記載に基づいて、引用発明の構成e、j、kの認定を行った。
そして、上記「(3)対比 (e)」において検討したように、引用発明における構成e、j、kの「プレゼント演出を実行しない、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」は、本件補正発明の構成Eの「特定の組合せの識別情報を仮停止させた後に再可変表示を実行する第1態様」に相当し、また、引用発明における構成e、j、kの「プレゼント演出を実行する、演出図柄の仮停止と再変動表示が行われる擬似連演出を伴う変動パターン」は、本件補正発明の構成Eの「特別表示を表示した後に再可変表示を実行する第2態様」に相当する。
したがって、引用発明は、本件補正発明の「第1態様」、「第2態様」に相当する構成を備えるものである。

(イ)上記(3-4)の主張について
上記「(3)対比 (i)(j)(k)」において検討したように、引用発明の構成i?kは、本件補正発明の構成I?Kに相当する。

(ウ)本件補正発明の奏する効果について
引用発明は、引用文献2の【0010】に記載された「特定画像を用いた演出の演出効果を向上させることができる遊技機を提供する」ことを目的とするものであって、「特定画像」とは、同じく【0011】に「特定画像(例えば、プレゼント画像)」と記載されているように、「プレゼント画像」のことである。
そうすると、引用発明は、プレゼント画像を表示する擬似連の変動パターンと、プレゼント画像を表示しない擬似連の変動パターンを有するものであるから、プレゼント画像が表示されるか、あるいは、プレゼント画像が表示されずに、チャンス目で仮停止するのみであるかに遊技者を注目させることができ、演出効果を向上させるという効果を奏するものであって、本件補正発明の奏する「第1態様と第2態様との何れの演出態様で再可変表示が実行されるかに注目させ、遊技興趣を向上させることができる」という効果と同様の効果を奏するものである。

(エ)小括
上記(ア)?(ウ)より、請求人の審判請求書における主張を採用することはできない。

進歩性の判断について、別の観点からの検討
上記「(3)対比 (g)」において、本件補正発明の構成Gの「当該変化のタイミングが所定可変表示の種類に応じて異な」ることを、変動中表示予告タイミングが、擬似連演出パターンに応じた決定割合で決定されることを意味するものと解して、引用発明の構成gと対比した。
ここでは、仮に、本件補正発明の構成Gの「当該変化のタイミングが所定可変表示の種類に応じて異な」ることが、【図28】(C)において、パターンがGEB、GECなら、初回変動中、1回目の再可変表示中、2回目の再可変表示中、3回目の再可変表示中、の4つのタイミングから選択できるが、パターンがGEAなら、初回変動中、1回目の再可変表示中、の2つのタイミングでしか選択できないことを意味しているとした場合について検討する。
引用文献2には、【図42】(B)に、「擬似連2回スーパーリーチAはずれ(スーパーPA3-1)」の場合、および、「擬似連2回スーパーリーチA大当り(スーパーPA3-3)」の場合、「リーチ前(擬似連2回目)t2」に、判定値が割り振られていないことが図示されている。
また、引用文献2には、「プレゼント画像を複数表示する場合」についてではあるが、【0404】に、「同じ予告演出を実行すると整合性がとれなくなる虞がある。例えば、擬似連2回の変動パターンで擬似連予告が2回行われることになると、擬似連が3回まで継続すると勘違させてしまうことになる。」こと、すなわち、擬似連2回の変動パターンにおいて、2回目の再変動中にプレゼント演出を実行しないことが記載されている。
これらのことからみて、「擬似連演出を伴う変動パターン」の「アクティブ保留予告演出の実行タイミング」を「t1」、「t2」、「t3」とする引用発明の構成gの「擬似連2回スーパーリーチA」の変動パターンにおいて、擬似連が3回まで継続すると勘違させないために、t2のタイミングでプレゼント演出としての「アクティブ保留予告演出」を実行しないようにして、本件補正発明の構成Gの「当該変化のタイミングが所定可変表示の種類に応じて異な」る構成とすることは当業者が容易になし得たものである。

エ 小括
本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明、および、上記周知の技術事項から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。
よって、本件補正発明は、引用発明、および、上記周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(5)まとめ
上記(1)?(4)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成31年4月25日付け手続補正書の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。
「A 識別情報の可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 可変表示を実行可能な可変表示手段と、
C 可変表示に対応する特定表示を行う特定表示手段と を備え、
D 前記可変表示手段は、可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに仮停止した後に再可変表示を実行する所定可変表示を実行可能であり、
E 再可変表示の演出態様には、特定の組合せの識別情報を仮停止させた後に再可変表示を実行する第1態様と、特別表示を表示した後に再可変表示を実行する第2態様とが含まれ、
F 前記第2態様の再可変表示において前記特別表示を表示する場合、識別情報の可変表示を通常態様よりも縮小させる縮小態様で表示し、
G 前記特定表示は、遊技者にとって有利な有利状態に制御される期待度に応じて変化可能であり、当該変化のタイミングが前記所定可変表示の種類に応じて異なり、
H 前記有利状態に制御される期待度は、前記特定表示の変化のタイミングが特定タイミングであるかに応じて異なる、
L ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由
(進歩性)この出願の下記の請求項1、2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
2.特開2015-73693号公報

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用文献として引用された引用文献2の記載事項、および、引用発明の認定については、前記「第2[理由] 2 2-2(2)引用発明」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2[理由] 2 2-2(1)」で検討した本件補正発明から、構成I?Kの限定を省くものである。
そうすると、本件補正発明は本願発明の特定事項をすべて含み、さらに他の構成を付加したものであって、本願発明と引用発明とを対比したときの相違点は、前記「第2[理由] 2 2-2(3)対比」における検討内容からみて、前記相違点で相違し、その余の点において一致する。
そして、前記相違点についての判断は、前記「第2[理由] 2 2-2(4)当審判合議体の判断 ア 相違点について」における検討内容と同様である。
よって、本願発明は、引用発明に上記周知の技術事項を適用することにより、当業者が容易になし得たものである。

5 むすび
上記1?4より、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-06-03 
結審通知日 2020-06-09 
審決日 2020-06-23 
出願番号 特願2015-165718(P2015-165718)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 昌宏  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 長崎 洋一
赤坂 祐樹
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

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