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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  F16L
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  F16L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F16L
管理番号 1366047
異議申立番号 異議2019-701035  
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-12-18 
確定日 2020-07-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6532261号発明「燃料ホース」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6532261号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕について訂正することを認める。 特許第6532261号の請求項1?3に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6532261号の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成27年3月27日に出願され、令和元年5月31日にその特許権の設定登録がされ、同年6月19日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和元年12月18日:特許異議申立人合同会社SAS(以下「申立人」という。)による請求項1?3に係る特許に対する特許異議の申立て
令和2年 2月25日:取消理由通知書
同年 4月23日:意見書、訂正請求書(特許権者)
特許法120条の5第5項の規定に基づき、申立人に意見書を提出する機会を与えたが、申立人から応答はなかった。

2 訂正の適否
(1)訂正の内容
本件訂正請求は、一群の請求項〔1?3〕に対して請求されたものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
ア 訂正事項1
請求項1の「(A)ポリアミド9T、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、および酸変性ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも一つ。」を「(A)ポリアミド9T、および酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つ。」に訂正する。
イ 訂正事項2
明細書の段落【0009】及び【0018】の「(A)ポリアミド9T、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、および酸変性ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも一つ。」を「(A)ポリアミド9T、および酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つ。」に訂正する。
ウ 訂正事項3
明細書の段落【0019】の「上記のように、内層1材料としては、ポリアミド9T(PA9T)、エチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(酸変性ETFE)、酸変性ポリエチレン(酸変性PE)が、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なかでも、柔軟性と燃料バリア性の観点から、PA9Tが好ましく用いられる。ここで、上記酸変性ETFEや酸変性PEは、カルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等の酸により変性されたものである。」を「上記のように、内層1材料としては、ポリアミド9T(PA9T)、酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(酸変性ETFE)が、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なかでも、柔軟性と燃料バリア性の観点から、PA9Tが好ましく用いられる。ここで、上記酸変性ETFEは、カルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等の酸により変性されたものである。」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1の「(A)」成分について、その選択肢から、エチレンビニルアルコール共重合樹脂と、酸変性ポリエチレンとを削除して、選択肢を減らすものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項2、3について
訂正事項2、3は、訂正事項1のとおり請求項1を訂正したことに伴い、明細書中の(A)成分に関する記載を、訂正後の請求項1の記載と整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕について訂正することを認める。

3 本件発明
請求項1?3に係る発明(以下、各発明を「本件発明1」?「本件発明3」という。)は、上記訂正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

【請求項1】
下記(A)成分からなる管状の内層と、その内層外周面に接して設けられた下記(B)成分からなる中間層と、その中間層外周面に接して設けられた下記(C)成分からなる外層とを備え、かつ上記各層間が層間接着されていることを特徴とする燃料ホース。
(A)ポリアミド9T、および酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つ。
(B)下記の(b1)、(b2)、および(b3)が共重合してなるポリアミド三元共重合体であり、上記ポリアミド三元共重合体中の、(b1)の含有量が60?90重量%であり、(b2)の含有量が5?20重量%であり、(b3)の含有量が5?20重量%である、ポリアミド三元共重合体。
(b1)ポリアミド6。
(b2)ポリアミド66およびポリアミド610から選ばれた少なくとも一つ。
(b3)ポリアミド12。
(C)脂肪族ポリアミド樹脂(但し、ポリアミド6およびポリアミド66を除く)。
【請求項2】
上記脂肪族ポリアミド樹脂(C)が、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド1012、ポリアミド1010、ポリアミド612、およびポリアミド610からなる群から選ばれた少なくとも一つである、請求項1記載の燃料ホース。
【請求項3】
上記(b2)成分がポリアミド66である、請求項1または2記載の燃料ホース。

4 取消理由の概要
訂正前の請求項1?3に係る特許に対して、当審が令和2年2月25日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(理由1)29条の2
本件特許の請求項1?3に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証に係る出願の願書に最初に添付した明細書又は特許請求の範囲(以下「当初明細書等」という。)に記載された発明と同一であるから、特許法29条の2の規定により特許を受けることができない。
(理由2)36条6項1号
特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。
すなわち、請求項1は、(A)成分について「ポリアミド9T、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、および酸変性ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも一つ」と特定しているが、実施例で効果が確認されていないエチレンビニルアルコール共重合樹脂や酸変性ポリエチレンを用いた場合については、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるということはできない。
<甲号証一覧>
甲第1号証:PCT/JP2015/075856(国際公開第2016/039445号)(優先日2014年9月12日)
甲第2号証:特願2014-220010号(特開2016-83908号)(出願日2014年10月29日)

5 当審の判断
(1)理由1(29条の2)について
ア 甲第1号証に基づく理由1について
(ア)甲第1号証の記載
甲第1号証には以下の事項が記載されている(「・・・」は記載の省略を意味し、下線は当審で付した。以下同様。)。

「[0011] 本発明の目的は、前記問題点を解決し、薬液透過防止性、層間接着性及びその耐久性、低温耐衝撃性、耐劣化燃料性、及びモノマー、オリゴマーの耐溶出性に優れた積層チューブを提供することにある。」

「[0219][実施例及び比較例で用いた材料]
ポリアミド12組成物(A-1)の製造
ポリアミド12(a-1)(宇部興産(株)製、UBESTA 3030UX1、相対粘度2.21)に、衝撃改良材として・・・真空乾燥して、ポリアミド12 85質量%、衝撃改良材10質量%、可塑剤5質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(A-1)という。)。」

「[0226]ポリアミド6組成物(B1-1)の製造
・・・同様の方法にて、ポリアミド6 80質量%、衝撃改良材10質量%、可塑剤10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド6組成物を(B1-1)という。)。」

「[0227]ポリアミド6/66/12(b-2)の製造
・・・減圧乾燥し、相対粘度4.01のポリアミド6/66/12(カプロアミド単位/ヘキサメチレンアジパミド単位/ドデカンアミド単位=78/11/11質量%)を得た(以下、このポリアミド6/66/12を(b-2)という。)。
[0228]ポリアミド6/66/12組成物(B2-1)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(a-1)をポリアミド6/66/12(b-2)とポリアミド610(b-3)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド6/66/12 50質量%、ポリアミド610 30質量%、衝撃改良材15質量%、可塑剤5質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6/66/12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド6/66/12組成物を(B2-1)という。)。」

「[0231]ポリアミド6/66/12組成物(B2-4)の製造
・・・同様の方法にて、ポリアミド6/66/12 100質量%に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6/66/12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド6/66/12組成物を(B2-4)という。)。」

「[0236]半芳香族ポリアミド組成物(D1-1)の製造
・・・真空乾燥して、半芳香族ポリアミド90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D1-1)という。)。」

「[0275]実施例1
上記に示すポリアミド12組成物(A-1)、ポリアミド6組成物(B1-1)、ポリアミド6/66/12組成物(B2-1)、EVOH(C-1)、及び半芳香族ポリアミド組成物(D1-1)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)5層チューブ成形機にて、(A-1)を押出温度250℃、(B1-1)を押出温度260℃、(B2-1)を押出温度260℃、(C-1)を押出温度220℃、(D1-1)を押出温度300℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A-1)からなる(a)層(最外層)、(B2-1)からなる(b)層(外層)、(C-1)からなる(c)層(中間層)、(B1-1)からなる(b’)層(内層1)、(D1-1)からなる(d)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)/(c)/(b’)/(d)=0.35/0.15/0.10/0.25/0.15mmで内径6mm、外径8mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。」

「[0276]実施例2
実施例1において、ポリアミド6組成物(B1-1)をポリアミド6/66/12組成物(B2-1)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、(A-1)からなる(a)層(最外層)、(B2-1)からなる(b)層(外層、内層1)、(C-1)からなる(c)層(中間層)、(D1-1)からなる(d)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)/(c)/(b)/(d)=0.35/0.15/0.10/0.25/0.15mmで内径6mm、外径8mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。」

「[0300]比較例7
実施例2において、ポリアミド6/66/12組成物(B2-1)を(B2-4)に変更した以外は、実施例2と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。」

「[請求項1] ・・・積層チューブ。
・・・
[請求項13] 燃料チューブとして使用される請求項1から12のいずれかに記載の積層チューブ。」

以上によれば、甲第1号証に係る出願の当初明細書等には、実施例1又は比較例7に係る次の発明が記載されていると認められる。

「層構成が、(A-1)(最外層)/(B2-1)(外層)/(C-1)(中間層)/(B1-1)(内層1)/(D1-1)(最内層)の積層チューブ。」(実施例1に係る発明。以下「甲1発明1」という。)

「層構成が、(A-1)(最外層)/(B2-4)(外層)/(C-1)(中間層)/(B2-4)(内層1)/(D1-1)(最内層)の積層チューブ。」(比較例7に係る発明。以下「甲1発明2」という。)

但し、上記において、
(A-1)は、ポリアミド12 85質量%、衝撃改良材10質量%、可塑剤5質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物、
(B2-1)は、ポリアミド6/66/12(カプロアミド単位/ヘキサメチレンアジパミド単位/ドデカンアミド単位=78/11/11質量%の共重合体) 50質量%、ポリアミド610 30質量%、衝撃改良材15質量%、可塑剤5質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6/66/12組成物、
(C-1)は、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)、
(B1-1)は、ポリアミド6 80質量%、衝撃改良材10質量%、可塑剤10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6組成物、
(D1-1)は、半芳香族ポリアミド90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物、
(B2-4)は、ポリアミド6/66/12 100質量%に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6/66/12組成物
である。

(イ)甲1発明1との対比・判断
本件発明1と甲1発明1とを対比する。
本件発明1において、「内層」の内周面に最内層を形成しても良い(【0031】)ことを踏まえると、甲1発明1の「(C-1)(中間層)」「(C-1)は、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)」は、本件発明1の「下記(A)成分からなる管状の内層」「(A)ポリアミド9T、および酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つ。」と、「管状の内層」との限りで一致する。
甲1発明1の「(B2-1)」に含まれる「ポリアミド6/66/12」は、カプロアミド単位/ヘキサメチレンアジパミド単位/ドデカンアミド単位=78/11/11質量%の共重合体であるから、本件発明1の「(B)下記の(b1)、(b2)、および(b3)が共重合してなるポリアミド三元共重合体であり、上記ポリアミド三元共重合体中の、(b1)の含有量が60?90重量%であり、(b2)の含有量が5?20重量%であり、(b3)の含有量が5?20重量%である、ポリアミド三元共重合体。/(b1)ポリアミド6。/(b2)ポリアミド66およびポリアミド610から選ばれた少なくとも一つ。/(b3)ポリアミド12。」に相当する。
そして、本件発明1において、「からなり」とは、他の材料の含有を妨げる趣旨ではないこと(【0018】、【0026】)を踏まえると、甲1発明1の「(B2-1)(外層)」は、ポリアミド6/66/12を約50質量%含むことから、本件発明1の「下記(B)成分からなる中間層」に相当する。
甲1発明1の「(A-1)(最外層)」は、「(B2-1)(外層)」の外周面に接して設けられており、脂肪族ポリアミドであるポリアミド12を約85質量%含むから、本件発明1の「中間層外周面に接して設けられた下記(C)成分からなる外層」「(C)脂肪族ポリアミド樹脂(但し、ポリアミド6およびポリアミド66を除く)」に相当する。
甲1発明1の「積層チューブ」は、燃料チューブとして用いることが想定され([請求項13])、層間接着されていることは明らか([0011])であるから、本件発明1の「各層間が層間接着されている」「燃料ホース」に相当する。

よって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
管状の内層と、その内層外周面に接して設けられた下記(B)成分からなる中間層と、その中間層外周面に接して設けられた下記(C)成分からなる外層とを備え、かつ上記各層間が層間接着されている燃料ホース。
(B)下記の(b1)、(b2)、および(b3)が共重合してなるポリアミド三元共重合体であり、上記ポリアミド三元共重合体中の、(b1)の含有量が60?90重量%であり、(b2)の含有量が5?20重量%であり、(b3)の含有量が5?20重量%である、ポリアミド三元共重合体。
(b1)ポリアミド6。
(b2)ポリアミド66およびポリアミド610から選ばれた少なくとも一つ。
(b3)ポリアミド12。
(C)脂肪族ポリアミド樹脂(但し、ポリアミド6およびポリアミド66を除く)。

[相違点1]
「管状の内層」を構成する成分が、本件発明1は、「(A)ポリアミド9T、および酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つ」であるのに対し、甲1発明1は、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)である点。

以上のとおりの相違点1があり、当該相違点1は、単なる周知、慣用技術の付加や転換といえるものではなく、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1発明1と同一ではない。
また、本件発明2、3は、本件発明1を更に限定した発明であるから、同様に、甲1発明1と同一ではない。

(ウ)甲1発明2との対比・判断
上記(イ)での検討に加え、甲1発明2の「(B2-4)(外層)」は、ポリアミド6/66/12を約100質量%含むことから、本件発明1の「下記(B)成分からなる中間層」に相当する。
よって、本件発明1と甲1発明2とを対比すると、両者の一致点、相違点は、上記(イ)に示した一致点、相違点と同じである。
したがって、上記(イ)で検討したのと同様に、本件発明1?3は甲1発明2と同一ではない。

イ 甲第2号証に基づく理由1について
(ア)甲第2号証の記載
甲第2号証には以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
・・・積層チューブ。
・・・
【請求項9】
燃料チューブとして使用されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の積層チューブ。」

「【0008】
本発明の目的は、前記問題点を解決し、薬液透過防止性、層間接着性及びその耐久性、低温耐衝撃性、及び溶出に対する耐性に優れた積層チューブを提供することにある。」

「【0122】
[実施例及び比較例で用いた材料]
脂肪族ポリアミド(A)
ポリアミド12組成物(A-1)の製造
ポリアミド12(a-1)(宇部興産(株)製、UBESTA 3030UX1、相対粘度2.21)に、衝撃改良材として・・・真空乾燥して、ポリアミド12 85質量%、衝撃改良材10質量%、可塑剤5質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(A-1)という。)。」

「【0128】
ポリアミド6/66/12組成物(B)
ポリアミド6/66/12(b-1)の製造
・・・減圧乾燥し、相対粘度4.01のポリアミド6/66/12(カプロアミド単位/ヘキサメチレンアジパミド単位/ドデカンアミド単位=78/11/11質量%)を得た(以下、このポリアミド6/66/12を(b-1)という。)。
【0129】
ポリアミド6/66/12組成物(B-1)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(a-1)をポリアミド6/66/12(b-1)とポリアミド610(b-2)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド6/66/12 50質量%、ポリアミド610 30質量%、耐衝撃改良材15質量%、可塑剤5質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6/66/12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド6/66/12組成物を(B-1)という。)。」

「【0132】
ポリアミド6/66/12組成物(B-4)の製造
・・・同様の方法にて、ポリアミド6/66/12 100質量%に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6/66/12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド6/66/12組成物を(B-4)という。)。」

「【0136】
可塑剤を含有しない脂肪族ポリアミド組成物(D)
ポリアミド12組成物(D-1)の製造
・・・同様の方法にて、ポリアミド12 85質量%、衝撃改良材15質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(D-1)という。)。」

「【0152】
ポリアミド6組成物(D-11)の製造
・・・同様の方法にて、ポリアミド6 85質量%、耐衝撃改良材15質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド6組成物を(D-11)という。)。」

「【0154】
実施例1
上記に示すポリアミド12組成物(A-1)、ポリアミド6/66/12組成物(B-1)、EVOH(C-1)、及びポリアミド12組成物(D-1)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)5層チューブ成形機にて、(A-1)を押出温度250℃、(B-1)を押出温度260℃、(C-1)を押出温度220℃、(D-1)を押出温度250℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A-1)からなる(a)層(最外層)、(B-1)からなる(b)層(外層、内層)、(C-1)からなる(c)層(中間層)、(D-1)からなる(d)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)/(c)/(b)/(d)=0.35/0.10/0.15/0.10/0.30mmで内径6mm、外径8mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。」

「【0167】
実施例14
上記に示すポリアミド12組成物(A-1)、ポリアミド6/66/12組成物(B-1)、EVOH(C-1)、及びポリアミド6組成物(D-11)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)4層チューブ成形機にて、(A-1)を押出温度250℃、(B-1)を押出温度260℃、(C-1)を押出温度220℃、(D-11)を押出温度260℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A-1)からなる(a)層(最外層)、(B-1)からなる(b)層(外層)、(C-1)からなる(c)層(中間層)、(D-11)からなる(d)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)/(c)/(d)=0.35/0.10/0.15/0.40mmで内径6mm、外径8mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。」

「【0177】
比較例5
実施例1において、ポリアミド6/66/12組成物(B-1)を(B-4)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。」

以上によれば、甲第2号証に係る出願の当初明細書等には、実施例14又は比較例5に係る次の発明が記載されていると認められる。

「層構成が、(A-1)(最外層)/(B-1)(外層)/(C-1)(中間層)/(D-11)(最内層)の積層チューブ。」(実施例14に係る発明。以下「甲2発明1」という。)

「層構成が、(A-1)(最外層)/(B-4)(外層)/(C-1)(中間層)/(D-1)(最内層)の積層チューブ。」(比較例5に係る発明。以下「甲2発明2」という。)

但し、上記において、
(A-1)は、ポリアミド12 85質量%、衝撃改良材10質量%、可塑剤5質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物、
(B-1)は、ポリアミド6/66/12 50質量%、ポリアミド610 30質量%、耐衝撃改良材15質量%、可塑剤5質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6/66/12組成物、
(C-1)は、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)、
(D-11)は、ポリアミド6 85質量%、耐衝撃改良材15質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6組成物、
(B-4)は、ポリアミド6/66/12 100質量%に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6/66/12組成物、
(D-1)は、ポリアミド12 85質量%、衝撃改良材15質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物
である。

(イ)甲2発明1との対比・判断
本件発明1と甲2発明1とを対比する。
本件発明1において、「内層」の内周面に最内層を形成しても良い(【0031】)ことを踏まえると、甲2発明1の「(C-1)(中間層)」「(C-1)は、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)」は、本件発明1の「下記(A)成分からなる管状の内層」「(A)ポリアミド9T、および酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つ。」と、「管状の内層」との限りで一致する。
甲2発明1の「(B-1)」に含まれる「ポリアミド6/66/12」は、カプロアミド単位/ヘキサメチレンアジパミド単位/ドデカンアミド単位=78/11/11質量%の共重合体であるから、本件発明1の「(B)下記の(b1)、(b2)、および(b3)が共重合してなるポリアミド三元共重合体であり、上記ポリアミド三元共重合体中の、(b1)の含有量が60?90重量%であり、(b2)の含有量が5?20重量%であり、(b3)の含有量が5?20重量%である、ポリアミド三元共重合体。/(b1)ポリアミド6。/(b2)ポリアミド66およびポリアミド610から選ばれた少なくとも一つ。/(b3)ポリアミド12。」に相当する。
そして、本件発明1において、「からなり」とは、他の材料の含有を妨げる趣旨ではないこと(【0018】、【0026】)を踏まえると、甲2発明1の「(B-1)(外層)」は、ポリアミド6/66/12を約50質量%含むことから、本件発明1の「下記(B)成分からなる中間層」に相当する。
甲2発明1の「(A-1)(最外層)」は、「(B-1)(外層)」の外周面に接して設けられており、脂肪族ポリアミドであるポリアミド12を約85質量%含むから、本件発明1の「中間層外周面に接して設けられた下記(C)成分からなる外層」「(C)脂肪族ポリアミド樹脂(但し、ポリアミド6およびポリアミド66を除く)」に相当する。
甲2発明1の「積層チューブ」は、燃料チューブとして用いることが想定され(【請求項9】)、層間接着されていることは明らか(【0008】)であるから、本件発明1の「各層間が層間接着されている」「燃料ホース」に相当する。

よって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
管状の内層と、その内層外周面に接して設けられた下記(B)成分からなる中間層と、その中間層外周面に接して設けられた下記(C)成分からなる外層とを備え、かつ上記各層間が層間接着されている燃料ホース。
(B)下記の(b1)、(b2)、および(b3)が共重合してなるポリアミド三元共重合体であり、上記ポリアミド三元共重合体中の、(b1)の含有量が60?90重量%であり、(b2)の含有量が5?20重量%であり、(b3)の含有量が5?20重量%である、ポリアミド三元共重合体。
(b1)ポリアミド6。
(b2)ポリアミド66およびポリアミド610から選ばれた少なくとも一つ。
(b3)ポリアミド12。
(C)脂肪族ポリアミド樹脂(但し、ポリアミド6およびポリアミド66を除く)。

[相違点2]
「管状の内層」を構成する成分が、本件発明1は、「(A)ポリアミド9T、および酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つ」であるのに対し、甲2発明1は、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)である点。

以上のとおりの相違点2があり、当該相違点2は、単なる周知、慣用技術の付加や転換といえるものではなく、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲2発明1と同一ではない。
また、本件発明2、3は、本件発明1を更に限定した発明であるから、同様に、甲2発明1と同一ではない。

(ウ)甲2発明2との対比・判断
上記(イ)での検討に加え、甲2発明2の「(B-4)(外層)」は、ポリアミド6/66/12を約100質量%含むことから、本件発明1の「下記(B)成分からなる中間層」に相当する。
よって、本件発明1と甲2発明2とを対比すると、両者の一致点、相違点は、上記(イ)に示した一致点、相違点と同じである。
したがって、上記(イ)で検討したのと同様に、本件発明1?3は甲2発明2と同一ではない。

(2)理由2(36条6項1号)について
本件訂正により、請求項1における(A)成分は、「(A)ポリアミド9T、および酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つ」となり、実施例で効果が確認されていないエチレンビニルアルコール共重合樹脂や酸変性ポリエチレンは含まれないものとなった。
よって、取消理由2は解消した。

6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、請求項1の「(A)成分からなる管状の内層」、「(B)成分からなる中間層」、「(C)成分からなる外層」との記載について、本件明細書の、「上記「からなり」とは、実質的に下記に示す樹脂からなるという趣旨であり、本発明に影響を及ぼさない樹脂以外の材料の含有までも妨げる趣旨ではない。」(【0018】)、「前記(A)?(C)に示す樹脂が用いられるが、その他、必要に応じ・・・有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカー等の補強剤、難燃剤等を含有しても差し支えない。」(【0026】)との記載を踏まえると、必要に応じて「樹脂」を添加するような態様を排除しているのか否かが明確でないから、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない旨を主張する(特許異議申立書60?61ページ)。
しかし、上記明細書の記載を参酌すれば、「(A)成分からなる管状の内層」、「(B)成分からなる中間層」、「(C)成分からなる外層」との記載が、実質的に(A)成分、(B)成分、(C)成分からなるという趣旨であり、有機繊維のような「樹脂」を含有することを排除していないことは明らかである。
よって、特許請求の範囲の記載は特許法36条6項2号に規定する要件を満たしており、上記申立人の主張は採用できない。

7 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1?3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
燃料ホース
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ホースに関するものであり、詳しくは、ガソリン、アルコール混合ガソリン、ディーゼル燃料等の自動車用燃料輸送ホースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンの直噴化やダウンサイジング化を受けて、燃料精密噴射が求められているが、インジェクターの電子制御のみでは限界を迎えており、燃料均一輸送、すなわち燃料輸送時の脈動低減が求められている。
【0003】
自動車の燃料供給系に適用される配管において、燃料ホースは燃料ポンプから圧送される燃料を供給する経路を形成し、フューエルデリバリパイプに接続される。このような配管では、設定された一定圧力となるようにポンプによりホース内の燃料を加圧することで燃料輸送を行っている。複数のフューエルデリバリ装置にて燃料をエンジンに分配供給するシステムでは、配管中にて一方のフューエルデリバリ装置より脈動(いわゆる燃圧変動)が発生し、もう一方のフューエルデリバリ装置における燃料の圧力に過不足が生じ、噴射される燃料の量が所望の量に対して誤差を生じるおそれがある。そのため、配管内の脈動を低減する燃料ホースが必要とされている。ここで、従来より燃料ホースとして使用されている、樹脂製ホース、ゴム製ホース、樹脂とゴムとの積層ホース等(例えば、特許文献1参照)を使用することも考えられるが、以下のような問題がある。
【0004】
すなわち、樹脂製ホースは、燃料低透過性(燃料バリア性)の効果は得られるが、剛性が高いため、柔軟性に乏しく、結果、脈動低減効果に乏しい。また、ゴム製ホースは、脈動低減の効果は得られるが燃料低透過性(燃料バリア性)が劣るという問題がある。さらに、内層に樹脂層を備えたゴムとの積層ホースにおいては、層間接着性を保持しつつ、燃料低透過性(燃料バリア性)と脈動低減性とを両立させることが困難である。
【0005】
そのため、従来は、上記燃料ホースと、パルセーションダンパー(P/D)等の減衰部品を組み合わせて使用したり、もしくは燃料ホースの全長を長くする等の手法により、脈動の低減に対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-44874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記パルセーションダンパー(P/D)等の減衰部品は高価であり、また、燃料ホースの全長を長くするとコストが高くなる。しかも、これらの手法は、エンジンルームの狭小化ニーズにも合致しないため、新たな対処方法が求められている。加えて、自動車の燃料ホースにおいては、耐塩化カルシウム性(耐融雪剤性)等の性能も要望されている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、耐塩化カルシウム性に優れるとともに、燃料低透過性(燃料バリア性)と脈動低減性とを両立でき、層間接着性にも優れる燃料ホースの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の燃料ホースは、下記(A)成分からなる管状の内層と、その内層外周面に接して設けられた下記(B)成分からなる中間層と、その中間層外周面に接して設けられた下記(C)成分からなる外層とを備え、かつ上記各層間が層間接着されているという構成をとる。
(A)ポリアミド9T、および酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つ。
(B)下記の(b1)、(b2)、および(b3)が共重合してなるポリアミド三元共重合体であり、上記ポリアミド三元共重合体中の、(b1)の含有量が60?90重量%であり、(b2)の含有量が5?20重量%であり、(b3)の含有量が5?20重量%である、ポリアミド三元共重合体。
(b1)ポリアミド6。
(b2)ポリアミド66およびポリアミド610から選ばれた少なくとも一つ。
(b3)ポリアミド12。
(C)脂肪族ポリアミド樹脂(但し、ポリアミド6およびポリアミド66を除く)。
【0010】
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、燃料低透過性、耐塩化カルシウム性等を克服すべく、燃料ホースの層構成に着目し、ポリアミド9T等といった燃料低透過性に優れる特定の樹脂(A)からなる内層と、耐塩化カルシウム性に優れる所定の脂肪族ポリアミド樹脂(C)からなる外層とを備えた構成とすることを想起した。そして、上記内層および外層に対する層間接着性に優れる中間層を設け、その中間層により脈動低減性が得られるよう、本発明者らが各種実験を重ねた結果、中間層材料として特定のポリアミド三元共重合体(B)を用いることにより、所期の目的を達成できることを突き止め、本発明に到達した。
【0011】
上記中間層材料である特定のポリアミド三元共重合体(B)において、ポリアミド6(b1成分)は、主に内層との接着性に寄与し、ポリアミド12(b3成分)は、主に耐塩化カルシウム性や、外層との密着性に寄与する。また、ポリアミド66等(b2成分)は、b1成分およびb3成分の結晶構造を崩す作用があり、これにより、脈動低減性に寄与する。その結果、特定の樹脂(A)からなる内層に対しても、脂肪族ポリアミド樹脂(C)からなる外層に対しても、中間層が接着剤レスで強固に接着するとともに、所望の脈動低減性を得ることができることを、本発明者らは、各種実験を行った結果、突き止めたのである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の燃料ホースは、ポリアミド9T等といった特定の樹脂(A)からなる内層と、その内層外周面に接して設けられた特定のポリアミド三元共重合体(B)からなる中間層と、その中間層外周面に接して設けられた所定の脂肪族ポリアミド樹脂(C)からなる外層とを備えている。そのため、耐塩化カルシウム性に優れるとともに、燃料低透過性(燃料バリア性)と脈動低減性とを両立でき、さらに、上記中間層により、各層間が、接着剤レスであっても層間接着性に優れている。
【0013】
特に、上記中間層材料であるポリアミド三元共重合体(B)中の、ポリアミド6(b1成分)の含有量が60?90重量%であり、ポリアミド66等(b2成分)の含有量が5?20重量%であり、ポリアミド12(b3成分)の含有量が5?20重量%であると、層間接着性や脈動低減性に、より優れるようになる。
【0014】
また、上記外層材料である脂肪族ポリアミド樹脂(C)が、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド1012、ポリアミド1010、ポリアミド612、ポリアミド610といった樹脂であると、耐塩化カルシウム性等により優れるようになる。
【0015】
また、上記中間層材料であるポリアミド三元共重合体(B)におけるb2成分が、ポリアミド66のみであると、脈動低減性等に、より優れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の燃料ホースの一例を示す模式図である。
【図2】脈動低減性を評価するための試験装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0018】
本発明の燃料ホースは、例えば、図1に示すように、燃料を流通させる管状の内層1の外周面に、中間層2が積層形成され、さらにその中間層2の外周面に、外層3が積層形成されて、構成されている。そして、上記内層1が下記の(A)からなり、上記中間層2が下記の(B)からなり、上記外層3が下記の(C)からなり、かつ上記各層間が接着剤レスで層間接着されている。なお、上記「からなり」とは、実質的に下記に示す樹脂からなるという趣旨であり、本発明に影響を及ぼさない樹脂以外の材料の含有までも妨げる趣旨ではない。
(A)ポリアミド9T、および酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つ。
(B)下記の(b1)、(b2)、および(b3)が共重合してなるポリアミド三元共重合体。
(b1)ポリアミド6。
(b2)ポリアミド66およびポリアミド610から選ばれた少なくとも一つ。
(b3)ポリアミド12。
(C)脂肪族ポリアミド樹脂(但し、ポリアミド6およびポリアミド66は、耐塩化カルシウム性に劣るため、外層3の材料からは除く)。
【0019】
上記のように、内層1材料としては、ポリアミド9T(PA9T)、酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(酸変性ETFE)が、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なかでも、柔軟性と燃料バリア性の観点から、PA9Tが好ましく用いられる。ここで、上記酸変性ETFEは、カルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等の酸により変性されたものである。
【0020】
また、中間層2材料としては、上記のように、ポリアミド6(b1成分)と、ポリアミド66およびポリアミド610から選ばれた少なくとも一つ(b2成分)と、ポリアミド12(b3成分)とが共重合してなるポリアミド三元共重合体が用いられる。
【0021】
特に、上記ポリアミド三元共重合体中の、ポリアミド6(b1成分)の含有量が60?90重量%であり、ポリアミド66等(b2成分)の含有量が5?20重量%であり、ポリアミド12(b3成分)の含有量が5?20重量%であると、層間接着性や脈動低減性に、より優れるようになる。
【0022】
また、上記ポリアミド三元共重合体におけるb2成分が、ポリアミド66のみであると、脈動低減性等に、より優れるようになる。
【0023】
上記ポリアミド三元共重合体中のポリアミド6(b1成分)とは、その共重合体の材料としてε-カプロラクタムを使用した部分のことを示す。また、上記ポリアミド三元共重合体中のポリアミド66(b2成分)とは、その共重合体の材料としてアジピン酸ヘキサメチレンアンモニウム塩を使用した部分のことを示し、上記ポリアミド三元共重合体中のポリアミド610(b2成分)とは、その共重合体の材料としてヘキサメチレンジアミンおよびセバシン酸を使用した部分のことを示す。また、上記ポリアミド三元共重合体中のポリアミド12(b3成分)とは、その共重合体の材料としてω-ラウロラクタムを使用した部分のことを示す。そして、上記ポリアミド三元共重合体を調製する際に使用したこれら材料の重量割合が、上記ポリアミド三元共重合体中のb1?b3成分の重量割合となる。
【0024】
ここで、上記ポリアミド三元共重合体の調製方法の一例を示す。すなわち、まず、オートクレーブの重合槽内に、上記b1?b3成分となる各材料を所定の割合で仕込み、窒素置換した後、オートクレーブを180℃程度になるまで昇温させ、さらに、上記重合槽内を撹拌しつつ、上記重合槽内を加圧しながら、240℃程度まで昇温させる。そして、そのまま2時間程経過した後、上記重合槽内の圧力を常圧に戻し、さらに、上記重合槽内に再度窒素を導入し、その窒素気流下で1時間程重合反応させた後、2時間程減圧重合を行う。続いて、上記重合槽内に再度窒素を導入して常圧に復圧後、撹拌機を止めて、ストランドとして抜き出したものをペレット化し、さらに、沸水を用いて、上記ペレット中の未反応モノマーを抽出除去し、乾燥する。これにより、目的とするポリアミド三元共重合体のペレット(中間層2材料)を得ることができる。
【0025】
一方、前記外層3材料である脂肪族ポリアミド樹脂(C)としては、先に述べたように、ポリアミド6およびポリアミド66以外のものが用いられるが、耐塩化カルシウム性等の観点から、好ましくは、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド1012(PA1012)、ポリアミド1010(PA1010)、ポリアミド612(PA612)、およびポリアミド610(PA610)が用いられ、より好ましくはポリアミド12(PA12)が用いられる。そして、これらの脂肪族ポリアミド樹脂は、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0026】
なお、本発明の燃料ホースにおける、内層1、中間層2、および外層3の材料には、前記(A)?(C)に示す樹脂が用いられるが、その他、必要に応じ、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料、炭酸カルシウム等の充填剤、脂肪酸エステル,ミネラルオイル,ブチルベンゼンスルホンアミド等の可塑剤、ヒンダートフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤等の酸化防止剤、耐熱老化防止剤、α-ポリオレフィン等の耐衝撃剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカー等の補強剤、難燃剤等を含有しても差し支えない。
【0027】
前記図1に示した本発明の燃料ホースは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、先に述べたような、内層1用材料、中間層2用材料、および外層3用材料をそれぞれ準備し、その各層の材料を、例えば、押出成形機(プラスチック工学研究所社製の多層押出成形機)を用いて共押出成形し、この共押出した溶融チューブをサイジングダイスに通すことにより、内層1の外周面に中間層2が形成され、さらにその中間層2の外周面に外層3が形成されてなる、三層構造の燃料ホースを作製することができる。このように溶融押出(共押出)成形することによって、層間が良好に接着されるようになる。
【0028】
なお、ホースを蛇腹状に形成する場合には、上記共押出した溶融チューブをコルゲート成形機に通すことにより、所定寸法の蛇腹状ホースを作製することが可能である。
【0029】
本発明の燃料ホースにおいて、上記内層1の厚みは、0.05?0.4mmが好ましく、特に好ましくは0.05?0.3mmである。上記中間層2の厚みは0.2?0.8mmが好ましく、特に好ましくは0.3?0.7mmである。上記外層3の厚みは、0.1?0.5mmが好ましく、特に好ましくは0.2?0.4mmである。
【0030】
また、本発明の燃料ホースの内径は、通常、1?40mmであり、好ましくは2?36mmであり、外径は、通常、2?43mmであり、好ましくは3?40mmである。
【0031】
なお、本発明の燃料ホースは、図1に示した構造の他、本発明の効果を損なわない範囲において、上記内層1の内周面に最内層を形成しても差し支えない。
【0032】
本発明の燃料ホースは、燃料噴射システムに使用することができる。そして、ガソリン、アルコール混合ガソリン、ディーゼル燃料、CNG(圧縮天然ガス)、LPG(液化石油ガス)等の自動車用燃料の輸送用ホースとして好適に用いられるが、これに限定されるものではなく、メタノールや水素、ジメチルエーテル(DME)等の燃料電池自動車用の燃料輸送用ホースとしても使用可能である。
【実施例】
【0033】
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
まず、実施例および比較例に先立ち、内層材料として、下記に示す材料を準備した。
【0035】
〔PA9T〕
ポリアミド9T(クラレ社製、ジェネスタN1001D)
【0036】
〔酸変性ETFE〕
酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(旭硝子社製、AH2000)
【0037】
また、外層材料として、下記に示す材料を準備した。
【0038】
〔PA12〕
ポリアミド12(宇部興産社製、3030JI26L)
【0039】
〔PA6〕
ポリアミド6(東レ社製、アミランCM1017)
【0040】
また、中間層材料として、下記に示す調製方法に従い得られた材料(B1?B5)を準備した。
【0041】
〔中間層材料(B1?B5)の調製〕
オートクレーブの重合槽内に、ポリアミド6成分(b1成分)であるε-カプロラクタム、ポリアミド66成分(b2成分)であるアジピン酸ヘキサメチレンアンモニウム塩の50%水溶液、ポリアミド12成分(b3成分)であるω-ラウロラクタムを、下記の表1に示す割合で仕込み、窒素置換した後、オートクレーブを180℃まで昇温させた。次いで、上記重合槽内を撹拌しつつ、上記重合槽内を1.72MPaに調圧しながら、オートクレーブを240℃まで昇温させた。そして、240℃に達してから2時間後、上記重合槽内の圧力を約2時間かけて常圧に戻した。その後、上記重合槽内に再度窒素を導入し、その窒素気流下で1時間重合反応させた後、650Torr(86.7kPa)の減圧下で2時間減圧重合を行った。続いて、上記重合槽内に再度窒素を導入して常圧に復圧後、撹拌機を止めて、ストランドとして抜き出したものをペレット化した。そして、沸水を用いて、上記ペレット中の未反応モノマーを抽出除去し、乾燥することにより、b1?b3成分が下記の表1に示す重量割合で共重合してなるポリアミド三元共重合体のペレット(中間層材料B1?B5)を得た。
【0042】
【表1】

【0043】
[実施例1?6、参考例1,2、比較例1,2]
後記の表2および表3に示す組合せで、各層の材料を、押出成形機(プラスチック工学研究所社製の多層押出成形機)を用いて、ホース状に溶融押出成形(共押出成形)して、内径12mmの積層ホース(燃料ホース)を作製した。なお、内層の厚みは0.2mm、中間層の厚みは0.5mm、外層の厚みは0.3mmとした。また、比較例2に関しては、中間層の形成を行わず、内層と外層とからなる二層構造の燃料ホースとし、その他の実施例および比較例に関しては、三層構造の燃料ホースとした。
【0044】
このようにして得られた実施例および比較例の燃料ホースを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。この結果を、後記の表2および表3に併せて示した。
【0045】
〔燃料バリア性(燃料低透過性)〕
評価試験用ガソリンとして、トルエン/イソオクタン/エタノールを40:40:20(体積比)の割合で混合した模擬アルコール添加ガソリンを準備した。そして、等圧式ホース透過率測定装置(GTRテック社製、GTR-TUBE3-TG)を用いて、各燃料ホース内に封入した上記評価試験用ガソリンの透過係数を、40℃で一か月間測定した(単位:mg/m/day)。評価は、この値が20(mg/m/day)未満のものを○、20(mg/m/day)以上のものを×とした。
【0046】
〔耐塩化カルシウム性〕
各燃料ホースを10mm幅に切断して得られた短冊状のサンプルを、伸長冶具で20%伸長したまま、沸騰水中で24時間浸漬処理した。その後、上記サンプルの全面に、50重量%塩化カルシウム溶液を塗布し、100℃×24時間熱処理を加えた。これにより、サンプル表面にクラックが発生したものを×、サンプル表面にクラックが発生なかったものを○と評価した。
【0047】
〔層間接着性〕
各燃料ホースを10mm幅に切断して、短冊状のサンプルを作製した。そして、各サンプルの層間を部分的に剥離し、その部分を各々引張試験機のチャックに挟み、引張速度50mm/分の条件で、180°剥離強度(N/cm)を測定した。なお、比較例2においては、内層/外層間の剥離強度を、その他の実施例および比較例においては、内層/中間層間、および中間層/外層間の剥離強度を評価した。そして、上記剥離強度が20N/cm以上のものを○、上記剥離強度が15N/cm以上20N/cm未満のものを△、上記剥離強度が15N/cm未満のものを×と評価した。
【0048】
〔脈動低減性〕
図2は、燃料ホースの脈動低減性を評価するための試験装置を示す。100はサンプルホース、110はクイックコネクタ、111は燃料ポンプ、112はレギュレーター、113はインジェクター、114はパイプを示す。
【0049】
サンプルホース100は、実施例および比較例の各燃料ホースを、長さ200mmに切断して作製した。そして、以下の手順により、圧力変動値(ΔP)を算出した。評価は、ΔPが150KPa以上のものを×、140KPa以上150KPa未満のものを△、140KPa未満のものを○とした。
【0050】
(測定条件)
インジェクター周期:120msec(1000rpm想定)
インジェクター開弁時間:6(msec)
評価温度:室温(25℃)
測定部位:インジェクター部の燃圧(P)を測定
試験流体:シェルゾール
【0051】
(1)サンプルホース100を、図2に示すように組み付け、室温(25℃)で1時間放置して、エア抜きを行う。
(2)燃料ポンプ111内の油温(約50℃でサチレート)が一定になるまで、30分程度保持する。
(3)インジェクター113開弁時間を6secに設定する。
(4)測定結果のグラフから、ピーク-ピークを読み取り、以下の式により圧力変動値(ΔP)を算出する。
ΔP(KPa)=Pmax-Pmin
【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
上記表2および表3より、実施例1?6の燃料ホースは、燃料バリア性、耐塩化カルシウム性、層間接着性、脈動低減性のいずれにおいても、高い評価が得られる結果となった。なお、参考例1の燃料ホースは、中間層材料であるポリアミド三元共重合体に含まれるポリアミド12の含有量が、実施例よりも少なく、そのため、実施例よりも、中間層/外層間の層間接着性や、脈動低減性にやや劣る結果となった。また、参考例2の燃料ホースは、中間層材料であるポリアミド三元共重合体に含まれるポリアミド12の含有量が、実施例よりも多く、そのため、実施例よりも、内層/中間層間の層間接着性にやや劣る結果となった。
【0055】
また、上記実施例の燃料ホースに対し、比較例1の燃料ホースは、外層材料にポリアミド6を用いていることから、耐塩化カルシウム性に劣る結果となった。比較例2の燃料ホースは、中間層がなく、内層/外層間の層間接着性に乏しく、脈動低減性にも劣る結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の燃料ホースは、ガソリン、アルコール混合ガソリン、ディーゼル燃料、CNG(圧縮天然ガス)、LPG(液化石油ガス)等の自動車用燃料の輸送用ホースして好適に用いることができる。また、本発明の燃料ホースは、自動車用の燃料ホースとして使用されるが、自動車のみならず、その他の輸送機械(飛行機,フォークリフト,ショベルカー,クレーン等の産業用輸送車両、鉄道車両等)等の燃料ホースとしても使用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 内層
2 中間層
3 外層
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分からなる管状の内層と、その内層外周面に接して設けられた下記(B)成分からなる中間層と、その中間層外周面に接して設けられた下記(C)成分からなる外層とを備え、かつ上記各層間が層間接着されていることを特徴とする燃料ホース。
(A)ポリアミド9T、および酸変性エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つ。
(B)下記の(b1)、(b2)、および(b3)が共重合してなるポリアミド三元共重合体であり、上記ポリアミド三元共重合体中の、(b1)の含有量が60?90重量%であり、(b2)の含有量が5?20重量%であり、(b3)の含有量が5?20重量%である、ポリアミド三元共重合体。
(b1)ポリアミド6。
(b2)ポリアミド66およびポリアミド610から選ばれた少なくとも一つ。
(b3)ポリアミド12。
(C)脂肪族ポリアミド樹脂(但し、ポリアミド6およびポリアミド66を除く)。
【請求項2】
上記脂肪族ポリアミド樹脂(C)が、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド1012、ポリアミド1010、ポリアミド612、およびポリアミド610からなる群から選ばれた少なくとも一つである、請求項1記載の燃料ホース。
【請求項3】
上記(b2)成分がポリアミド66である、請求項1または2記載の燃料ホース。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-06-29 
出願番号 特願2015-67143(P2015-67143)
審決分類 P 1 651・ 161- YAA (F16L)
P 1 651・ 851- YAA (F16L)
P 1 651・ 537- YAA (F16L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 渡邉 聡  
特許庁審判長 山崎 勝司
特許庁審判官 紀本 孝
塚本 英隆
登録日 2019-05-31 
登録番号 特許第6532261号(P6532261)
権利者 住友理工株式会社
発明の名称 燃料ホース  
代理人 西藤 征彦  
代理人 井▲崎▼ 愛佳  
代理人 井▲崎▼ 愛佳  
代理人 西藤 征彦  
代理人 西藤 優子  
代理人 西藤 優子  

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