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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W |
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管理番号 | 1366853 |
審判番号 | 不服2018-11029 |
総通号数 | 251 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-08-10 |
確定日 | 2020-10-22 |
事件の表示 | 特願2016-233964「改良されたチャネル品質情報フィードバック方式」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月16日出願公開、特開2017- 55449〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)12月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年1月3日 米国)を国際出願日とする特願2015-549862号の一部を、平成28年12月1日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年11月30日付け 拒絶理由通知書 平成30年 3月 5日 意見書の提出 平成30年 4月 2日付け 拒絶査定 平成30年 8月10日 拒絶査定不服審判の請求 平成30年 9月25日 手続補正書(方式)の提出 令和 元年 7月31日付け 拒絶理由通知書(当審) 令和 元年11月 5日 意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明について 本願の請求項1?14に係る発明は、令和元年11月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。 「 ユーザ装置(UE)であって、 少なくとも一部分がハードウェアに存在するとともに、直交周波数分割多元接続(OFDMA)周波数帯域に対するプリコーディングマトリックスインジケータ(PMI)、ランク指示(RI)、及びチャネル品質指標(CQI)インデックスを報告するようにチャネル状態情報(CSI)処理を設定するロジックであって、当該UEのサービングセルのセル固有参照信号(CRS)アンテナポートの数に対応するCRSリソースエレメントを含むチャネル状態情報(CSI)基準リソースに基づいて、前記CQIインデックスを取得する、前記ロジックと、 無線アップリンクチャネル上で前記CQIインデックスを送信する無線周波数(RF)トランシーバとを備える、UE。」 第3 拒絶の理由 令和元年7月31日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、 「(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」、というものであり、補正前の請求項1に対して引用例4が引用されている。 引用例4:3GPP TS 36.213 V11.1.0(2012-12),pp.73-78,2012年12月20日アップロード,URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.213/36213-b10.zip 第4 引用発明について 当審拒絶理由で引用された3GPP TS 36.213 V11.1.0(2012-12),pp.73-78,2012年12月20日アップロード,URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.213/36213-b10.zip(引用例4)には、図面とともに次の記載がある。 「In the CSI reference resource, the UE shall assume the following for the purpose of deriving the CQI index, and if also configured, PMI and RI: (中略) ●For transmission mode 10 CSI reporting, if a CSI process is configured without PMI/RI reporting: (中略) ■The overhead of CRS REs is assuming the same number of antenna ports as that of the associated CSI-RS resource. 」(75ページ33?76ページ26行) (当審訳: CSI参照リソースでは、UEは、CQIインデックス、そして構成されている場合はPMI及びRIを導出する目的で以下を想定する。 (中略) ●送信モード10 CSI報告について、PMI/RI報告をしないとCSIプロセスが設定されている場合: (中略) ■CRS REのオーバーヘッドは、関連するCSI-RSリソースのアンテナポートと同じ数のアンテナポートを想定する。) 上記記載からみて、 a 上記記載によれば、「CSI参照リソースでは、UEは、CQIインデックス、そして構成されている場合はPMI及びRIを導出する目的で以下を想定する。」と記載されていることから、「UEは、CQIインデックスとPMIとRIをCSI参照リソースから導出」するといえる。 b 上記記載によれば、「送信モード10 CSI報告について、PMI/RI報告をしないとCSIプロセスが設定されている場合」、「CSI参照リソースでは、CRS REのオーバーヘッドは、関連するCSI-RSリソースのアンテナポートと同じ数のアンテナポートを想定」している。 c UEからCSI報告がeNBになされることは技術常識であるから、UEは「CSI報告する」といえる。 以上を総合すると、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 CQIインデックスとPMIとRIをCSI参照リソースから導出し、 送信モード10 CSI報告について、PMI/RI報告をしないとCSIプロセスが設定されている場合、CSI参照リソースでは、CRS REのオーバーヘッドは、関連するCSI-RSリソースのアンテナポートと同じ数のアンテナポートを想定し、 CSI報告する、UE。」 第5 対比及び判断 本願発明と引用発明とを対比する。 1.引用発明の「UE」は、本願発明の「ユーザ装置(UE)」に相当する。 2.引用発明が記載されている引用例4はLTE、LTE-Aに係る規格書であるところ、LTEでは直交周波数分割多元接続(OFDMA)周波数帯域で通信が行われていることは技術常識であり、引用発明のUEは「CQIインデックスとPMIとRIをCSI参照リソースから導出」しており、更に引用発明の「CSIプロセス」は「CSI処理」といえることから、引用発明のUEは直交周波数分割多元接続(OFDMA)周波数帯域に対するプリコーディングマトリックスインジケータ(PMI)、ランク指示(RI)、及びチャネル品質指標(CQI)インデックスを導出するCSI処理を行っているといえる。 また、引用発明の「CSI報告する」とは、PMI、RIとCQIインデックスを報告することであることは技術常識である。 よって、引用発明のUEが「CQIインデックスとPMIとRIをCSI参照リソースから導出し」、「CSI報告する」ことは、本願発明と同様に、「直交周波数分割多元接続(OFDMA)周波数帯域に対するプリコーディングマトリックスインジケータ(PMI)、ランク指示(RI)、及びチャネル品質指標(CQI)インデックスを報告するようにチャネル状態情報(CSI)処理を行」っているといえる。 また、引用発明の「送信モード10 CSI報告について、PMI/RI報告をしないとCSIプロセスが設定されている場合」にはCSI報告する上で報告の中にCQIインデックスが含まれていることは明らかであるから、引用発明のUEも、本願発明と同様に、「CQIインデックスを取得する」といえる。 そして、引用発明の「CSI参照リソースでは、CRS REのオーバーヘッドは、関連するCSI-RSリソースのアンテナポートと同じ数のアンテナポートを想定」していることから、引用発明の当該構成は、本願発明と同様に、「UEのサービングセルのセル固有参照信号(CRS)アンテナポートの数に対応するCRSリソースエレメントを含むチャネル状態情報(CSI)基準リソース」といえる。 よって、引用発明の「送信モード10 CSI報告について、PMI/RI報告をしないとCSIプロセスが設定されている場合、CSI参照リソースでは、CRS REのオーバーヘッドは、関連するCSI-RSリソースのアンテナポートと同じ数のアンテナポートを想定し」は、本願発明と同様に、「UEのサービングセルのセル固有参照信号(CRS)アンテナポートの数に対応するCRSリソースエレメントを含むチャネル状態情報(CSI)基準リソースに基づいて、CQIインデックスを取得する」といえる。 3.引用発明では「CSI報告する」ところ、CSI報告はeNB向けの無線アップリンクチャネル上でCSIを送信することであることは明らかであり、CSIを送信する上でUEがトランシーバを備えることも明らかである。また、CSI報告にCQIインデックスが含まれていることは技術常識である。 よって、引用発明のUEが「CSI報告する」ことは、本願発明と同様に、UEは「無線アップリンクチャネル上でCQIインデックスを送信する無線周波数(RF)トランシーバとを備える」といえる。 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「ユーザ装置(UE)であって、 直交周波数分割多元接続(OFDMA)周波数帯域に対するプリコーディングマトリックスインジケータ(PMI)、ランク指示(RI)、及びチャネル品質指標(CQI)インデックスを報告するようにチャネル状態情報(CSI)処理を行うものであって、当該UEのサービングセルのセル固有参照信号(CRS)アンテナポートの数に対応するCRSリソースエレメントを含むチャネル状態情報(CSI)基準リソースに基づいて、前記CQIインデックスを取得する、 無線アップリンクチャネル上で前記CQIインデックスを送信する無線周波数(RF)トランシーバとを備える、UE。」 (相違点) 「直交周波数分割多元接続(OFDMA)周波数帯域に対するプリコーディングマトリックスインジケータ(PMI)、ランク指示(RI)、及びチャネル品質指標(CQI)インデックスを報告するようにチャネル状態情報(CSI)処理を行うものであって、当該UEのサービングセルのセル固有参照信号(CRS)アンテナポートの数に対応するCRSリソースエレメントを含むチャネル状態情報(CSI)基準リソースに基づいて、前記CQIインデックスを取得する」ことについて、本願発明では「少なくとも一部分がハードウェアに存在するとともに」「ロジックで設定」しているのに対して、引用発明では当該発明特定事項が特定されていない点。 以下、相違点について検討する。 (相違点について) UEの装置内で処理を行う上で、少なくとも一部分がハードウェアに存在するとともに処理をロジックで設定することは常套手段であり、引用発明において当然行われている構成にすぎない。 仮にそうとまではいえないとしても、少なくとも一部分がハードウェアに存在するとともに処理をロジックで設定することに格別困難なことではなく、当業者が容易に想到し得る。 したがって、本願発明と引用発明とは同一であり、また本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例4に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、当業者が引用例4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2019-12-17 |
結審通知日 | 2019-12-24 |
審決日 | 2020-01-07 |
出願番号 | 特願2016-233964(P2016-233964) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WZ
(H04W)
P 1 8・ 121- WZ (H04W) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 伊東 和重 |
特許庁審判長 |
菅原 道晴 |
特許庁審判官 |
井上 弘亘 中木 努 |
発明の名称 | 改良されたチャネル品質情報フィードバック方式 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠重 |