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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C08F |
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管理番号 | 1366915 |
審判番号 | 不服2019-13757 |
総通号数 | 251 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-10-16 |
確定日 | 2020-10-08 |
事件の表示 | 特願2014-556846「ビニルアミン(共)重合体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月14日国際公開、WO2015/068806〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、2014年(平成26年)11月7日(優先権主張 平成25年11月8日)を国際出願日とする出願であって、以降の手続は次のとおりである。 平成30年12月19日付け:拒絶理由通知書 平成31年 3月11日 :意見書、手続補正書の提出 令和 1年 7月22日付け:拒絶査定 令和 1年10月16日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 1年10月23日付け:前置審査移管 令和 1年11月15日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書 令和 2年 3月23日付け:前置報告書 令和 2年 3月27日付け:前置審査解除 第2 本願特許請求の範囲に記載された事項 令和1年10月16日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?9には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 架橋結合を有する水不溶性N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体を加水分解し、水溶性ビニルアミン(共)重合体を得るビニルアミン(共)重合体の製造方法であって、前記加水分解により前記架橋結合の少なくとも一部が切断され、 前記水溶性は、室温において、ビニルアミン(共)重合体純分5gに水495gを加えたときの不溶解分が50g以下であり、 前記水不溶性は、室温において、N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体、又はビニルアミン(共)重合体純分5gに水495gを加えたとき不溶解分が50gよりも多いことであり、 前記加水分解は、水123gに48質量%水酸化ナトリウム7g及び亜二チオン酸ナトリウム0.6gを入れた水溶液に、前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体15gを加え、80℃で3時間反応させる条件で行う、 水溶性ビニルアミン(共)重合体の製造方法。 【請求項2】 前記架橋結合が多官能(メタ)アクリレートを架橋剤として、N-ビニルカルボン酸アミドと重合させることにより形成される、請求項1に記載の水溶性ビニルアミン(共)重合体の製造方法。 【請求項3】 前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体がN-ビニルホルムアミド(共)重合体である、請求項1又は2に記載の水溶性ビニルアミン(共)重合体の製造方法。 【請求項4】 前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体が断熱重合法又は光重合法により得られるN-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体である、請求項1?3のいずれか一項に記載の水溶性ビニルアミン(共)重合体の製造方法。 【請求項5】 前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体が重合開始剤として硫酸第一鉄を用いた断熱重合により得られるN-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体である、請求項1?4のいずれか一項に記載の水溶性ビニルアミン(共)重合体の製造方法。 【請求項6】 前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体の原料単量体100質量%に対し、多官能(メタ)アクリレートを0.1?15質量%使用する、請求項2に記載の水溶性ビニルアミン(共)重合体の製造方法。 【請求項7】 加水分解の前に、前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体を105℃以下で乾燥したのち粉砕して粉体とする、請求項1?6のいずれか一項に記載の水溶性ビニルアミン(共)重合体の製造方法。 【請求項8】 前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体中の不飽和アルデヒドの含有量が、前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体100質量%に対して0.05質量%以下である、請求項1?7のいずれか一項に記載の水溶性ビニルアミン(共)重合体の製造方法。 【請求項9】 加水分解を強酸又は強塩基の存在下に行う、請求項1?8のいずれか一項に記載の水溶性ビニルアミン(共)重合体の製造方法。」 第3 前置審査における拒絶の理由 令和1年11月15日付け拒絶理由通知の理由は、概略、次のとおりのものである。 本願請求項9には「加水分解を強酸又は強塩基の存在下に行う」とあり、強酸の存在下に加水分解を行う場合も包含されるが、請求項9が引用する請求項1の「前記加水分解は、水123gに48質量%水酸化ナトリウム7g及び亜二チオン酸ナトリウム0.6gを入れた水溶液に、前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体15gを加え、80℃で3時間反応させる条件で行う」との記載からすると、請求項1では、水酸化ナトリウム(強塩基)の存在下で加水分解を行う場合のみに限定されている。したがって、請求項9の上記記載は、請求項1の記載と整合していないから、特許法36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 第4 当審の判断 本願請求項9は、請求項1を引用するものであり、「加水分解を強酸又は強塩基の存在下に行う」と記載されている。 一方、請求項1には「加水分解」について、「水123gに48質量%水酸化ナトリウム7g及び亜二チオン酸ナトリウム0.6gを入れた水溶液に、前記N-ビニルカルボン酸アミド(共)重合体15gを加え、80℃で3時間反応させる条件で行う」と記載されており、「水酸化ナトリウム」は「強塩基」であるから、請求項1における加水分解は強塩基の存在下で行うと特定している。 そうすると、請求項9は、請求項1を引用しているにもかかわらず、「加水分解」を「強酸」の存在下で行うことも包含しており、請求項1に記載の範囲を超えるものである。 よって、請求項9の「加水分解を強酸・・・の存在下に行う」という記載は、請求項1の記載と整合していない。 したがって、請求項9の記載は明確でなく、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。 第5 むすび 以上のとおり、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項2号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていないものであるから、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2020-08-06 |
結審通知日 | 2020-08-11 |
審決日 | 2020-08-24 |
出願番号 | 特願2014-556846(P2014-556846) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(C08F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中根 知大、大木 みのり |
特許庁審判長 |
杉江 渉 |
特許庁審判官 |
安田 周史 橋本 栄和 |
発明の名称 | ビニルアミン(共)重合体の製造方法 |
代理人 | 大浪 一徳 |
代理人 | 伏見 俊介 |
代理人 | 田▲崎▼ 聡 |