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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1366919
審判番号 不服2019-14429  
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-29 
確定日 2020-10-08 
事件の表示 特願2018- 55060「取得方法、算出方法、糖尿病評価装置、算出装置、糖尿病評価プログラム、算出プログラム、糖尿病評価システム、および端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 2日出願公開、特開2018-119983〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)4月7日(優先権主張 平成25年4月9日 日本国)を国際出願日として出願した特願2015-511257号の一部を、平成30年3月22日に新たに出願したものであって、平成30年12月12日付けで拒絶理由が通知され、平成31年2月14日付けで意見書及び手続補正書が提出され、令和元年7月22日付けで拒絶査定されたところ、同年10月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和元年10月29日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和元年10月29日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項1】
評価対象の血液中の少なくともGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値と、前記濃度値が代入される変数を含む式とを用いて算出された前記式の値を用いて、前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価するための情報を取得する取得ステップ
を含むことを特徴とする取得方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
本件補正前の、平成31年2月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
評価対象の血液中の少なくともGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、または、前記濃度値が代入される変数を含む式と前記濃度値とを用いて算出された前記式の値を用いて、前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価するための情報を取得する取得ステップ
を含むことを特徴とする取得方法。」

2 補正の適否
本件補正は、請求項1について、「前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価するため」に用いる「評価対象の血液中の」「アミノ酸」を、「少なくともGlyおよびTyr」から「少なくともGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrp」とする限定及び「・・・アミノ酸の濃度値、または、前記濃度値が代入される変数を含む式と前記濃度値とを用いて算出された前記式の値」の選択肢を「・・・アミノ酸の濃度値と、前記濃度値が代入される変数を含む式とを用いて算出された前記式の値」とする限定を付加する補正あって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)判断
ア 本願明細書の記載事項
本件明細書の発明の詳細な説明には以下の記載がある。(下線は、当審にて付した。)

(本a)「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、予防医学の観点から、生活習慣病の指標(例えば、メタボリックシンドロームを主な原因として発生し得る生活習慣病のリスク要因(例えば、内臓脂肪蓄積、インスリン抵抗性、及び脂肪肝など)など)の状態の評価に有用な臨床的意義の高いアミノ酸を探索することは行われておらず、故に、生活習慣病の指標の状態を、アミノ酸濃度を用いて高精度且つ体系的に評価する方法の開発は行われていない、という問題点があった。例えば、メタボリックシンドロームの進行が将来的に心血管イベントや脳血管イベントといった重篤な疾患をもたらすことは知られているが、血中アミノ酸プロファイルを用いたこれらのイベントの予防法の探索は行われていない(非特許文献3,4参照)。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる生活習慣病指標の評価方法、生活習慣病指標評価装置、生活習慣病指標評価方法、生活習慣病指標評価プログラム、生活習慣病指標評価システムおよび情報通信端末装置を提供することを目的とする。」

(本b)「【実施例1】
【0226】
人間ドックで採取された受診者の血液サンプルと、人間ドックで行われた腹部CT画像診断において計測された受診者の内臓脂肪面積値とを取得した(計865人)。血液サンプルから、前述のアミノ酸分析法を用いて、19種のアミノ酸(Ala,Arg,Asn,Cit,Gln,Gly,His,Ile,Leu,Lys,Met,Orn,Phe,Pro,Ser,Thr,Trp,Tyr,Val)の血中濃度値(nmol/ml)を測定した。」

(本c)「【実施例7】
【0246】
実施例2で用いたサンプルデータを用いた。「GlyとTyrとAsnとAlaの4つのアミノ酸」と、上記19種のアミノ酸から当該4つのアミノ酸を除いた15種のアミノ酸から、変数網羅法を用いて、OGTTの120分時のインスリン値についての相関の観点で選択された「2つのアミノ酸」とを変数として含み、且つ、共変量(年齢)の尤度比検定におけるp値が0.05より大きい複数の重回帰式から、自由度調整済み決定係数が最も高い重回帰式を選んだ結果、下記指標式1が選ばれた。「GlyとTyrとAsnとAlaの4つのアミノ酸」と、「BMI」と、上記15種のアミノ酸から、変数網羅法を用いて、内臓脂肪面積値についての相関の観点で選択された「2つのアミノ酸」とを変数として含み、且つ、共変量(年齢)の尤度比検定におけるp値が0.05より大きい複数の重回帰式から、自由度調整済み決定係数が最も高い重回帰式を選んだ結果、下記指標式2が選ばれた。「GlyとTyrとAsnとAlaの4つのアミノ酸」と、上記15種のアミノ酸から、変数網羅法を用いて、脂肪肝であるか否かを判別する観点で選択された「2つのアミノ酸」とを変数として含み、且つ、共変量(年齢)の尤度比検定におけるp値が0.05より大きい複数のロジスティック回帰式から、赤池情報量規準が最も低いロジスティック回帰式を選んだ結果、下記指標式3が選ばれた。
指標式1:「a_(1)×Asn+b_(1)×Gly+c_(1)×Ala+d_(1)×Val+e_(1)×Tyr+f_(1)×Trp+g_(1)」
指標式2:「a_(2)×Asn+b_(2)×Gly+c_(2)×Ala+d_(2)×Val+e_(2)×Tyr+f_(2)×Trp+g_(2)×BMI+h_(2)」
指標式3:「a_(3)×Asn+b_(3)×Gly+c_(3)×Ala+d_(3)×Cit+e_(3)×Leu+f_(3)×Tyr+g_(3)」
※指標式1において、a_(1),b_(1),c_(1),d_(1),e_(1),f_(1)はゼロではない実数であり、g_(1)は実数である。
※指標式2において、a_(2),b_(2),c_(2),d_(2),e_(2),f_(2),g_(2)はゼロではない実数であり、h_(2)は実数である。
※指標式3において、a_(3),b_(3),c_(3),d_(3),e_(3),f_(3)はゼロではない実数であり、g_(3)は実数である。」

(本d)「【実施例12】
【0260】
実施例1で用いたサンプルデータのうち人間ドックを5年連続で受診した者(2996人)を対象とした。対象となった受診者から、下記1.から15.に示す疾患イベントごとに、初年時点で疾患イベントを発生していない受診者を抽出した。疾患イベントごとに、抽出した受診者のサンプルデータを用いて指標式1,2,3の値を算出した。疾患イベントごと及び指標式1,2,3ごとに、算出された値の昇順に五分位(「1st Quintile」、「2nd Quintile」、「3rd Quintile」、「4th Quintile」、及び「5th Quintile」と5分割した階級)を定義した。疾患イベントごと、指標式1,2,3ごと、及び、分位ごとに、疾患イベント発生率(絶対リスク及び相対リスク)を人年法により計算し、計算された値を比較した。なお、疾患イベント発生の有無は、下記の診断基準に基づいて判断した。
疾患イベント発生率(「絶対リスク」)=疾患イベント発生総数/観察年数総和(「人年」)
相対リスク=「n-thQuintile」の疾患イベント発生率/「1st Quintile」の疾患イベント発生率」

(本e)「【0262】
6.糖尿病
※下記項目1?3のいずれかと項目4が確認された場合に、糖尿病と診断される。
項目1:早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上
項目2:75gOGTT120分時の血糖値が200mg/dL以上
項目3:随時血糖値が200mg/dL以上
項目4:HbA1C(JDS値)が6.1%以上[HbA1C(国際標準値)が6.5%以上]」

(本f)「【0264】
図60?図74には、初年時点で疾患イベントを発生していない受診者数(「人数」)、観察年数総和(「人年」)、疾患イベント発生数(「イベント数」)、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、及び、相対リスクの95%信頼区間の下限が示されている。なお、図60?図74において、「*」は、相対リスクの計算値が有意なものであることを示している。また、図68及び図74において、「-」は、「1st Quintile」のイベント数が0であるため相対リスクの計算値がないことを示している。ただし、図68では、指標式2の「1st Quintile」の絶対リスクに対して、指標式2の「5th Quintile」の絶対リスクが有意であった。また、図74では、指標式2の「1st Quintile」の絶対リスクに対して、指標式2の「2nd Quintile」、「3rd Quintile」、「4th Quintile」、及び「5th Quintile」の絶対リスクが有意であった。
【0265】
これより、指標式1,2,3で、上記1.から15.に示す疾患イベントの将来発症リスクを評価できることが判明した。」

(本g)「【図65】



イ 判断
上記(本a)より、本件補正発明は、「予防医学の観点から、生活習慣病の指標(例えば、メタボリックシンドロームを主な原因として発生し得る生活習慣病のリスク要因(例えば、内臓脂肪蓄積、インスリン抵抗性、及び脂肪肝など)など)の状態の評価に有用な臨床的意義の高いアミノ酸を探索することは行われておらず、故に、生活習慣病の指標の状態を、アミノ酸濃度を用いて高精度且つ体系的に評価する方法の開発は行われていない、という問題点」を解決するために、「生活習慣病の指標の状態を知る上で参考となり得る信頼性の高い情報を提供することができる生活習慣病指標の評価方法、生活習慣病指標評価装置、生活習慣病指標評価方法、生活習慣病指標評価プログラム、生活習慣病指標評価システムおよび情報通信端末装置を提供する」ものである。
また、発明の詳細な説明には、実施例1に「血液サンプルから、前述のアミノ酸分析法を用いて、19種のアミノ酸(Ala,Arg,Asn,Cit,Gln,Gly,His,Ile,Leu,Lys,Met,Orn,Phe,Pro,Ser,Thr,Trp,Tyr,Val)の血中濃度値(nmol/ml)を測定した」点が(上記(本b)参照。)、実施例7に「『GlyとTyrとAsnとAlaの4つのアミノ酸』と、上記19種のアミノ酸から当該4つのアミノ酸を除いた15種のアミノ酸から、変数網羅法を用いて」「指標式1,2,3」を選ぶ方法が記載され(上記(本c)参照。)、実施例12に、「対象となった受診者から、下記1.から15.に示す疾患イベントごとに、初年時点で疾患イベントを発生していない受診者を抽出し」、「疾患イベントごとに、抽出した受診者のサンプルデータを用いて指標式1,2,3の値を算出し」、「疾患イベントごと及び指標式1,2,3ごとに、算出された値の昇順に五分位(「1st Quintile」、「2nd Quintile」、「3rd Quintile」、「4th Quintile」、及び「5th Quintile」と5分割した階級)を定義し」、「疾患イベントごと、指標式1,2,3ごと、及び、分位ごとに、疾患イベント発生率(絶対リスク及び相対リスク)を人年法により計算し、計算された値を比較し」、「図60?図74には、初年時点で疾患イベントを発生していない受診者数(『人数』)、観察年数総和(『人年』)、疾患イベント発生数(『イベント数』)、相対リスク、相対リスクの95%信頼区間の上限、及び、相対リスクの95%信頼区間の下限が示され」、「図60?図74において、『*』は、相対リスクの計算値が有意なものであることを示し」ており、その結果として、「指標式1,2,3で、上記1.から15.に示す疾患イベントの将来発症リスクを評価できることが判明した」旨記載されている。
そして、上記「指標式1,2,3」は、
「指標式1:『a_(1)×Asn+b_(1)×Gly+c_(1)×Ala+d_(1)×Val+e_(1)×Tyr+f_(1)×Trp+g_(1)』
指標式2:『a_(2)×Asn+b_(2)×Gly+c_(2)×Ala+d_(2)×Val+e_(2)×Tyr+f_(2)×Trp+g_(2)×BMI+h_(2)』
指標式3:『a_(3)×Asn+b_(3)×Gly+c_(3)×Ala+d_(3)×Cit+e_(3)×Leu+f_(3)×Tyr+g_(3)』
※指標式1において、a_(1),b_(1),c_(1),d_(1),e_(1),f_(1)はゼロではない実数であり、g_(1)は実数である。
※指標式2において、a_(2),b_(2),c_(2),d_(2),e_(2),f_(2),g_(2)はゼロではない実数であり、h_(2)は実数である。
※指標式3において、a_(3),b_(3),c_(3),d_(3),e_(3),f_(3)はゼロではない実数であり、g_(3)は実数である。」
であって、上記「指標式1,2,3」の「Asn」、「Gly」、「Ala」、「Val」、「Tyr」、「Trp」、「Cit」及び「Leu」は、それぞれ血液サンプルから測定された血中濃度値(nmol/ml)である。
また、「上記1.から15.に示す疾患イベントの」内、「6.」は「糖尿病」であって、「【図65】」に「疾患イベント:糖尿病」の結果が記載されている。
そうすると、本願明細書の発明の詳細な説明には、「前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価するための情報を取得する取得ステップ」としては、評価対象の血液中の少なくともGly、Tyr、Asn、Ala、Val、Trp、Cit及びLeuのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む上記指標式1,2,3を用いて算出された前記式の値を用いて評価するための情報を取得するステップが記載されているのみである。
そして、本件補正発明の「前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価するための情報を取得する取得ステップ」が、「評価対象の血液中の少なくともGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値と、前記濃度値が代入される変数を含む式とを用いて算出された前記式の値を用いて」、「評価するための情報を取得する取得ステップ」であるところ、評価対象の血液中の少なくともGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値だけでは指標式3を算出されないことになり、さらに、前記濃度値が代入される変数を含む上記指標式1,2,3以外のいかなる式を用いて算出された値を用いた場合においても、前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価することができるという技術常識はないことから、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された、評価対象の血液中の少なくともGly、Tyr、Asn、Ala、Val、Trp、Cit及びLeuのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む上記指標式1,2,3を用いて算出された前記式の値を用いて、前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価するための情報を取得する取得ステップを、本件補正発明の「評価対象の血液中の少なくともGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrpのアミノ酸の濃度値と、前記濃度値が代入される変数を含む式とを用いて算出された前記式の値を用いて、前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価するための情報を取得する取得ステップ」まで、拡張ないし一般化できるとはいえないから、本件補正発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえない。

ウ したがって、本件補正発明は、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、特許法36条6項1号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和元年10月29日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成31年2月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち理由4の概要は、次のとおりである。
本願は、請求項1の記載が、本願発明は、アミノ酸濃度値のGlyおよびTyrの2つを変数として用いた式と当該濃度値をもとに、糖尿病状態を評価することが特定されているだけであって、具体的な式の種類が何ら特定されていない以上、本願発明は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものであるから、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。

3 判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価するため」に用いる「評価対象の血液中の」「アミノ酸」を、「少なくともGlyおよびTyr」から「少なくともGly、Tyr、Asn、Ala、Val、およびTrp」とする限定及び「・・・アミノ酸の濃度値、または、前記濃度値が代入される変数を含む式と前記濃度値とを用いて算出された前記式の値」の選択肢を「・・・アミノ酸の濃度値と、前記濃度値が代入される変数を含む式とを用いて算出された前記式の値」とする限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の「前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価するための情報を取得する取得ステップ」は、「評価対象の血液中の少なくともGlyおよびTyrのアミノ酸の濃度値、または、前記濃度値が代入される変数を含む式と前記濃度値とを用いて算出された前記式の値を用いて」「評価するための情報を取得する取得ステップ」であって、前記第2の[理由]2(2)イに記載したとおり、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された、評価対象の血液中の少なくともGly、Tyr、Asn、Ala、Val、Trp、Cit及びLeuのアミノ酸の濃度値が代入される変数を含む上記指標式1,2,3を用いて算出された前記式の値を用いて、前記評価対象について糖尿病の将来の発症リスクを評価するための情報を取得する取得ステップを、本願発明の取得ステップまで拡張ないし一般化できるとはいえないから、本件補正発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえないから、本願発明も、明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法36条6項1号の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明に対する同号の規定、さらには、原査定のその他の理由について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-07-27 
結審通知日 2020-07-28 
審決日 2020-08-19 
出願番号 特願2018-55060(P2018-55060)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01N)
P 1 8・ 537- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 草川 貴史  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 福島 浩司
▲高▼見 重雄
発明の名称 取得方法、算出方法、糖尿病評価装置、算出装置、糖尿病評価プログラム、算出プログラム、糖尿病評価システム、および端末装置  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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