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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する D01H
管理番号 1367225
審判番号 訂正2020-390027  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2020-04-02 
確定日 2020-09-30 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4782874号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4782874号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔16-19〕について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第4782874号(以下「本件特許」という。)の請求項1?19に係る特許についての出願は、2007年(平成19年)12月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年12月22日(NZ)ニュージーランド)を国際出願日とする出願であって、平成23年7月15日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:平成23年9月28日)がされ、令和2年4月2日に本件訂正審判が請求されたものである。

第2 請求の趣旨
本件訂正審判は「特許第4782874号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項16?19について訂正することを認める」ものであり、その訂正の内容は、本件特許に係る特許請求の範囲を、次のように訂正するものである。
なお、訂正後の請求項16?19に係る発明については、以下「本件訂正発明16?19」といい、訂正事項については、訂正箇所に下線を付して示す。

<訂正事項1>
特許請求の範囲の請求項16に「糸が巻かれる巻き取りホルダの回転速度を制御する駆動システムであって、糸が前記巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度が、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている前記駆動システム」と記載されているのを、「糸が巻かれる巻き取りホルダの回転速度を制御する駆動システムであって、糸構造の制御のために、糸が前記往復運動する撚りステージを出た後に積極的に張られるように、糸が前記巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度が、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている前記駆動システム」に訂正する(請求項16の記載を引用する請求項17?19も同様に訂正する)。

第3 当審の判断
1 一群の請求項
訂正前の請求項17?19は、訂正前の請求項16を直接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項16に連動して訂正されるものであるから、本件訂正請求は、特許法第126条第3項に規定する、一群の請求項ごとにされたものである。

2 訂正の目的の適否
訂正事項1は、本件訂正前の請求項16の「糸が前記巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度が、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている前記駆動システム」としていたものを、撚りステージを出た後の糸の状態について限定し、「糸構造の制御のために、糸が前記往復運動する撚りステージを出た後に積極的に張られるように、糸が前記巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度が、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている前記駆動システム」と限定するものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 新規事項の有無
本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書」という。)には、
「撚られたストランドに作用する張力を制御することによって、実質的にむらのない撚り構造を有する糸を製造することができるだけではなく、糸の用途に応じて特定の糸構造/撚りプロフィールを有する様々な種類の糸を製造することができる。」(段落[0009])
「往復運動する撚りステージ6は、1対の回転ローラ6a,6b(図3および図4を参照)を有しており、機械が動作すると、その一方または両方が、図3および図4中に矢印Bで示されるように、スライバの移動方向を横切って前後にも往復運動する。」(段落[0041])
「撚られたストランドが撚りローラから出た後に、セルフツイスト糸に作用する張力を変化させると、撚りプロフィール、糸構造、および糸の性質が変化することが見出された。特に、低い張力が作用した糸(低張力糸)は、撚りステージを出た後、巻き取りホルダに巻かれる前に、撚りステージを出た後に積極的に張られた糸(高張力糸)とは異なる糸構造を有することになることが見出された。」(段落[0052])
「撚りローラと巻き取りホルダとの間の糸の張力は、糸の中に蓄えられているトルクの大きさに影響し、それが糸の撚りプロフィールに影響し、特に糸内の撚られたストランドが互いに自撚りするように影響する。そのため、本発明の利点は、糸の張力を変化、制御することによって、様々な撚りプロフィール、それゆえ様々な糸構造を有する様々な糸を製造できるということであり、そのようにして目的とする特有の糸を製造できる。」(段落[0064])
「糸を1つ以上の巻き取りホルダに巻き取る直線速度が、ストランドが1つ以上の撚りローラから出る直線速度よりも、約0.1%から5%の間、より好ましくは約0.25%から3%の間、最も好ましくは約0.5%から2%高くなるように、駆動システムは、1つ以上の巻き取りホルダを駆動するようになっていることが好ましい。」(段落[0024])
と記載されている。
そして、糸が巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度を、ストランドが1つ以上の撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、巻き取りホルダを駆動すれば、糸が撚りステージを出た後に積極的に張られることは自明なことであるから、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

4 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1によって本件訂正発明の「糸を製造する装置」の技術的事項は減縮されており、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

5 独立特許要件について
訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなくてはならない。
そして、訂正事項1については、本件訂正発明の「糸を製造する装置」について、「糸構造の制御のために、糸が前記往復運動する撚りステージを出た後に積極的に張られるように、糸が前記巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度が、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、前記巻き取りホルダを駆動する」ものに限定するものであり、訂正事項1に係るこの限定により、特許要件(特許法第29条柱書、第29条第1項第29条第2項第29条の2第32条第39条第1項?第4項)の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、本件訂正により特許法第36条第4項第1号又は第6項(第4号を除く)に規定する要件を満たさなくなるものでもない。
したがって、本件訂正発明16?19は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の撚られたストランドを製造するために2つ以上のスライバを同時に撚る、往復運動する撚りステージであって、回転軸に沿って回転するようになっている1つ以上の撚りローラを有し、前記撚りローラが1つ以上の前記撚りローラの前記回転軸に沿って往復運動するようになっている、往復運動する前記撚りステージと、
糸が巻かれる巻き取りホルダの回転速度を制御する駆動システムであって、糸が前記巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度が、2つ以上の前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る直線速度よりも低くなるように、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている前記駆動システムと、を有する、糸を製造する装置。
【請求項2】
前記糸を前記巻き取りホルダに巻き取る前記直線速度は、2つ以上の前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る前記直線速度よりも0.1%から5%低くなるように、前記駆動システムは、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記糸を前記巻き取りホルダに巻き取る前記直線速度が、2つ以上の前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る前記直線速度よりも0.25%から3%低くなるように、前記駆動システムは、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記糸を前記巻き取りホルダに巻き取る前記直線速度が、2つ以上の前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る前記直線速度よりも0.5%から2%低くなるように、前記駆動システムは、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、該装置の動作中に、前記巻き取りホルダの回転速度と1つ以上の前記撚りローラの回転速度とを、互いに対して制御するようになっている制御システムを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記制御システムは、前記装置の動作中に、前記巻き取りホルダの前記回転速度と1つ以上の前記撚りローラの前記回転速度とを、互いに対して制御して変化できるようにもなっている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記制御システムは、1つ以上の前記撚りローラの、横断方向の速度、横断方向の往復運動の範囲、および前記回転速度のうちの1つ以上を制御および変化させる、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
撚られていない領域によって分離された、撚られた複数の領域を各々が有し、2つ以上の撚られたストランドを作るように、2つ以上のスライバを、往復運動する撚りステージを通過させるステップと、
2つ以上の前記ストランドを互いに自撚りさせることによって、1つにして糸を構成するステップと、
前記ストランドが前記撚りステージから出る直線速度よりも低い直線巻き取り速度で、前記糸を巻き取りホルダに巻き取るステップと、を有する、糸を製造する方法。
【請求項9】
2つ以上の前記スライバは、2つ以上のコアフィラメントと共に往復運動する前記撚りステージを通過し、撚られていない領域によって分離された撚られた領域とコアフィラメントとを各々が有する2つ以上の撚られた複数のストランドを作るように、前記スライバと前記コアフィラメントとは全体として30TEX以下となる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記糸は、10から30TEXの間である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記糸は、15から30TEXの間である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記糸は、10または15TEXから20または25TEXの間である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記スライバまたは前記ストランドは、1メートルあたり600回未満撚られている、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記スライバまたは前記ストランドは、1メートルあたり250?300回から400?500回までの間撚られている、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
請求項8から14のいずれか1項の方法によって製造された糸。
【請求項16】
2つ以上の撚られたストランドを製造するために2つ以上のスライバを同時に撚る、往復運動する撚りステージであって、回転軸に沿って回転するようになっている1つ以上の撚りローラを有し、前記撚りローラが1つ以上の前記撚りローラの前記回転軸に沿って往復運動するようになっている、往復運動する前記撚りステージと、
糸が巻かれる巻き取りホルダの回転速度を制御する駆動システムであって、糸構造の制御のために、糸が前記往復運動する撚りステージを出た後に積極的に張られるように、糸が前記巻き取りホルダに巻き付けられる直線速度が、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る直線速度よりも高くなるように、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている前記駆動システムと、を有する、糸を製造する装置。
【請求項17】
前記糸を前記巻き取りホルダに巻き取る前記直線速度は、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る前記直線速度よりも0.1%から5%高くなるように、前記駆動システムは、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記糸を前記巻き取りホルダに巻き取る前記直線速度は、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る前記直線速度よりも0.25%から3%高くなるように、前記駆動システムは、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記糸を前記巻き取りホルダに巻き取る前記直線速度は、前記ストランドが1つ以上の前記撚りローラから出る前記直線速度よりも0.5%から2%高くなるように、前記駆動システムは、前記巻き取りホルダを駆動するようになっている、請求項16に記載の装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2020-09-01 
結審通知日 2020-09-03 
審決日 2020-09-15 
出願番号 特願2009-542691(P2009-542691)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (D01H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 白土 博之  
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 杉山 悟史
石井 孝明
登録日 2011-07-15 
登録番号 特許第4782874号(P4782874)
発明の名称 糸を製造する装置および方法  
代理人 緒方 雅昭  
代理人 宮崎 昭夫  
代理人 宮崎 昭夫  
代理人 緒方 雅昭  
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