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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1367255
審判番号 不服2020-2916  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-03 
確定日 2020-11-04 
事件の表示 特願2018-123290「X線診断装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月25日出願公開、特開2018-164744、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年6月11日に出願された特願2012-131600号の一部を、平成29年5月1日に新たに出願した特願2017-091074号の一部を、さらに平成30年6月28日に新たに出願したものであって、平成31年4月9日付けで拒絶理由が通知され、令和元年8月8日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年11月22日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)されたところ、令和2年3月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願請求項1?8に係る発明は、以下の引用文献1?3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
引用文献1.特開2012-65802号公報
引用文献2.特開2009-119000号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3.特開2010-125331号公報(周知技術を示す文献)


第3 審判請求時の補正について1 審判請求時の補正
審判請求時の補正によって請求項1の「X線診断装置」に「前記撮像部が移動した場合、当該移動後の前記撮像部の装置位置情報に関連付けられた前記血管壁を示す図形を前記記憶部から読み出して、前記撮像部により撮像される透視画像と重ねて前記表示部に表示する処理を行」う事項が追加された。

2 特許法第17条の2第3項について
審判請求時の補正によって追加された事項は、当初明細書の段落【0057】に記載されているから、当初明細書等に記載された事項であり、新たな技術的事項を導入するものでないといえる。

3 特許法第17条の2第4項について 上記請求項1に係る発明に対する補正は、請求項1に係る発明の「X線診断装置」に必要な事項を追加するものであるから、これらの補正により特別な技術的特徴が変更されたとはいえない。

4 特許法第17条の2第5項について
「前記撮像部が移動した場合、当該移動後の前記撮像部の装置位置情報に関連付けられた前記血管壁を示す図形を前記記憶部から読み出して、前記撮像部により撮像される透視画像と重ねて前記表示部に表示する処理を行」う事項を追加する補正は、請求項1に係る発明の「X線診断装置」を限定する補正であから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

5 特許法第17条の2第6項について
「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1?8に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

6 まとめ
したがって、上記補正は、特許法第17条の2第3項から第6項に規定される要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1?8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明8」という。)は、令和2年3月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。(下線は補正箇所を示す。)

「 【請求項1】
被検体のX線画像を撮像する撮像部と、
前記X線画像に対して血管壁を示す図形を入力する操作を受け付ける入力部と、
前記X線画像を撮像したときの前記撮影部の装置位置情報と、前記入力部により入力された前記血管壁を示す図形とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記撮像部により撮像される透視画像と、前記入力部を介して入力された血管壁を示す図形とを、重ねて表示部に表示する処理を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記装置位置情報に基づく位置に前記撮像部が位置づけられた状態において、前記撮像部により撮像される透視画像と、当該位置に関連付けて管理された前記血管壁を示す図形とを、重ねて前記表示部に表示する処理を行い、
前記撮像部が移動した場合、当該移動後の前記撮像部の装置位置情報に関連付けられた前記血管壁を示す図形を前記記憶部から読み出して、前記撮像部により撮像される透視画像と重ねて前記表示部に表示する処理を行い、
前記表示部に表示されている透視画像の表示の拡大率が変更された場合、当該表示の拡大率の変更に追従するように、前記血管壁を示す図形の表示状態を変更する、X線診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、ズームの変更に追従するように前記血管壁を示す図形の表示状態を変更する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、ズームの変更に追従するように前記血管壁を示す図形の表示位置を変更する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、FOVの変更に追従するように前記血管壁を示す図形の表示状態を変更する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、FOVの変更に追従するように前記血管壁を示す図形の表示位置を変更する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記血管壁を示す図形を入力する操作は、手描きによる操作である、請求項1から5のうちいずれか一項に記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記血管壁を示す図形は、線により構成される、請求項1から6のうちいずれか一項に記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記撮像部を移動させる移動機構と、
前記移動機構の駆動源に設けられた位置検出手段からの出力に基づいて、前記X線画像を撮像したときの前記撮像部の装置位置情報を取得する取得部と、
をさらに備え、
前記記憶部は、前記取得部により取得される前記撮像部の装置位置情報と前記血管壁を示す図形とを関連付けて記憶する、請求項1から7のうちいずれか一項に記載のX線診断装置。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審にて付した。以下同様。)

(引1ア)「【0025】
次に、前述の医用画像診断装置1が行うマーク画像表示について詳しく説明する。
【0026】
まず、撮像部3が寝台2の天板2aとの相対移動により撮像位置に移動し、X線照射部3aにより天板2a上の被検体Pに対してX線を照射し、その被検体Pを透過したX線をX線検出部3bにより検出する撮像を行う。この撮像により検出されたX線、すなわちX線画像信号から画像生成部6aにより透視画像G1が生成され、その透視画像G1(図2中の一番左の画像参照)が表示部5の画面5aに表示される。
【0027】
術者や助手等の操作者は、画面5aに表示されている透視画像G1を確認しながら、自身の指やペン等により画面5a上、すなわちその画面5a上の検出部5bをなぞって、ステントグラフトS1の端部を合せる目標位置をマーキングする。この目標位置は、ステントグラフトS1の端部を合わせる位置、すなわちステントグラフトS1が血管の分岐を塞がないようにする位置である。例えば、操作者は、ステントグラフトS1の安定固定や腎動脈(あるいは腸骨動脈)の閉塞防止等を考慮してステントグラフトS1の本体上端の目標位置を決定し、その目標位置をマーキングする。
【0028】
前述のように操作者が目標位置をマーキングすると、その操作者による画面5aに対する入力位置、例えば、指やペン等の接触位置が検出部5bにより検出され、その接触位置に応じて画像生成部6aによりマーク画像G2(図2中の左から二番目の画像参照)が生成される。例えば、指やペン等が画面5aに直線を描くように触れると、その触れた画面5a上の位置が検出部5bにより接触位置として順次検出され、図2に示すように、直線のマーク画像G2が生成される。なお、指やペン等が画面5aに曲線を描くように触れると、曲線のマーク画像G2が生成される。このようにマーク画像G2は画面5aに対する指やペン等の接触に応じて様々な形状となる。
【0029】
このマーク画像G2が画像生成部6aにより記憶され、さらに、そのマーク画像G2の画面5a上の位置が天板2a上の位置として変換されて記憶される。このとき、マーク画像G2の画面5a上の位置情報、すなわち画面5a上の座標情報が天板2a上の位置情報、すなわち天板2a上の座標情報に関連付けられ、マーク画像G2の画面5a上の位置(画面5a上の座標)が天板2a上の位置(天板2a上の座標)として変換される。すなわち、画面5aに対するマーク画像G2の位置が天板2aに対するマーク画像G2の絶対位置として認識される。
【0030】
なお、天板2aの座標情報(位置情報)は、寝台2の三次元座標情報(XYZ座標情報)のうちの二次元座標情報(例えばXY座標情報)であり、寝台2の三次元座標情報は医用画像診断装置1の三次元座標情報、すなわち撮像部3等の各部の位置基準となる基準座標情報に関連付けられている。したがって、マーク画像G2の画面5a上の座標情報は天板2a上の座標情報を介して医用画像診断装置1の基準座標情報に関連付けられることにもなる。
【0031】
その後、前述のように画像生成部6aにより記憶されたマーク画像G2は、画像生成部6aにより記憶された天板2a上の位置に基づいて表示中の透視画像G1に重ねられて画面5aに表示される。その結果、マーク画像G2が透視画像G1に貼り合わされた状態の合成画像G3(図2中の左から三番目の画像参照)が画面5aに表示されることになる。」

(引1イ)「【0039】
また、水性ペン等を用いることも無くなるので、衛生面及び利便性を向上させることができる。さらに、画面5aに画像の一部としてマーク画像G2を表示することから、視認性や流用性(繰り返し観察等)を向上させることができる。加えて、マーク画像G2としては様々な形状のマークを生成することが可能であり、直線のマーク画像G2だけではなく、例えば、腹部大動脈や腎動脈等の血管の形状をなぞって血管の形状を示すマーク画像G2も生成することが可能となるので、より正確に腎動脈(あるいは腸骨動脈)の位置や分岐位置を把握することができる。」

(引1ウ)「【0035】
ここで、図3及び図4では、天板2aとマーク画像G2(画面5a)との関係を説明するため、天板2a上にマーク画像G2(画面5a)が示されている。さらに、図3及び図4においては、実線が移動前の位置であり、二点鎖線が移動後の位置である。
【0036】
図3に示すように、例えば、天板2aをその天板2a上の被検体Pの体軸方向(図3中の矢印方向である下方向)に移動させた場合には、被検体Pも図3中の矢印方向に移動するため、マーク画像G2は矢印方向に天板2aの移動量分だけ移動する。これはマーク画像G2の位置が天板2a上の位置として認識されているためであり、マーク画像G2は天板2aの移動に伴って(追随して)移動することになる。なお、天板2aの移動により被検体Pが移動するため、生成される透視画像G1は変わることになる。」

(2)引用文献1に記載された発明
ア 上記(引1ア)より、引用文献1には、以下の事項が記載されている。

「マーク画像表示を行う医用画像診断装置1において、
X線照射部3aにより天板2a上の被検体Pに対してX線を照射し、被検体Pを透過したX線をX線検出部3bにより検出する撮像を行う撮像部3と、
透視画像G1と、マーク画像G2とを生成する画像生成部6aと、
透視画像G1を画面5aに表示する表示部5とを有し、
透視画像G1は、撮像により検出されたX線画像信号から生成される画像であり、
マーク画像G2については、
画面5aに表示されている透視画像G1を確認しながら、自身の指やペン等により画面5a上、すなわちその画面5a上の検出部5bをなぞって、ステントグラフトS1の端部を合せる目標位置をマーキングし、
目標位置をマーキングすると、指やペン等の接触位置が検出部5bにより検出され、
その接触位置に応じて、指やペン等が画面5aに直線を描くように触れると、直線のマーク画像G2が生成され、
また、曲線を描くように触れると、曲線のマーク画像G2が生成されるものであり、
マーク画像G2が画像生成部6aにより記憶され、
マーク画像G2の画面5a上の位置が天板2a上の位置として変換されて記憶され、
マーク画像G2の画面5a上の位置情報、すなわち画面5a上の座標情報が天板2a上の位置情報、すなわち天板2a上の座標情報に関連付けられ、マーク画像G2の画面5a上の位置、すなわち、画面5aに対するマーク画像G2の位置が天板2aに対するマーク画像G2の絶対位置として認識され、
天板2aの座標情報は、撮像部3等の各部の位置基準となる基準座標情報に関連付けられ、
マーク画像G2の画面5a上の座標情報は天板2a上の座標情報を介して医用画像診断装置1の基準座標情報に関連付けられ、
画像生成部6aにより記憶されたマーク画像G2は、画像生成部6aにより記憶された天板2a上の位置に基づいて表示中の透視画像G1に重ねられて画面5aに表示される医用画像診断装置1。」

イ 上記(引1イ)に、「直線のマーク画像G2だけではなく、例えば、腹部大動脈や腎動脈等の血管の形状をなぞって血管の形状を示すマーク画像G2も生成することが可能となる」と記載されていることから、引用文献1には、上記アの「医用画像診断装置1」の「その接触位置に応じて、指やペン等が画面5aに直線を描くように触れると、直線の、また、曲線を描くように触れると、曲線のマーク画像G2」以外に、「腹部大動脈や腎動脈等の血管の形状をなぞって血管の形状を示すマーク画像G2」も記載されているといえるから、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「マーク画像表示を行う医用画像診断装置1において、
X線照射部3aにより天板2a上の被検体Pに対してX線を照射し、被検体Pを透過したX線をX線検出部3bにより検出する撮像を行う撮像部3と、
透視画像G1と、マーク画像G2とを生成する画像生成部6aと、
透視画像G1を画面5aに表示する表示部5とを有し、
透視画像G1は、撮像により検出されたX線画像信号から生成される画像であり、
マーク画像G2については、
画面5aに表示されている透視画像G1を確認しながら、自身の指やペン等により画面5a上、すなわちその画面5a上の検出部5bをなぞって、ステントグラフトS1の端部を合せる目標位置をマーキングし、
目標位置をマーキングすると、指やペン等の接触位置が検出部5bにより検出され、
腹部大動脈や腎動脈等の血管の形状をなぞって血管の形状を示すマーク画像G2を生成するものであり、
マーク画像G2が画像生成部6aにより記憶され、
マーク画像G2の画面5a上の位置が天板2a上の位置として変換されて記憶され、
マーク画像G2の画面5a上の位置情報、すなわち画面5a上の座標情報が天板2a上の位置情報、すなわち天板2a上の座標情報に関連付けられ、マーク画像G2の画面5a上の位置、すなわち、画面5aに対するマーク画像G2の位置が天板2aに対するマーク画像G2の絶対位置として認識され、
天板2aの座標情報は、撮像部3等の各部の位置基準となる基準座標情報に関連付けられ、
マーク画像G2の画面5a上の座標情報は天板2a上の座標情報を介して医用画像診断装置1の基準座標情報に関連付けられ、
画像生成部6aにより記憶されたマーク画像G2は、画像生成部6aにより記憶された天板2a上の位置に基づいて表示中の透視画像G1に重ねられて画面5aに表示される医用画像診断装置1。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引2ア)「【0016】
図1に示すように、この補助コントローラ10は、全体として平たいやや横長のボード状であり、タッチパネル式のディスプレイ15と、その外周を取り囲む筐体11とを備えている。この例では、筐体11の角部に押しボタン式のスイッチ18が設けられおり、このスイッチ18を押すことでコントローラ10の電源が入るようになっている。
【0017】
図2に示すように、この補助コントローラ10は、医療画像を処理するための医用ワークステーション30に接続されて使用される。医用ワークステーション30は従来公知のものであり、例えば種々の画像処理を行うコンピュータ31と、それにより画像処理された医療画像を表示するモニタ33と、を備えている。医用ワークステーション30に補助コントローラ10を接続することにより画像処理システム1が構成されている。
【0018】
なお、医用ワークステーション30で取り扱われる被験者の断面画像としては、特に限定されるものではないが、例えばX線CTスキャナで撮像されたものであってもよい。
【0019】
再び図1を参照する。補助コントローラ10のディスプレイ15としては、例えば8.4インチの液晶ディスプレイを利用することができる。ディスプレイ15の表面に設けられたタッチパネル17(図3のブロック図も参照)は、例えば、抵抗膜方式、光学式(赤外線方式)、静電容量結合式等のいずれであってもよい。タッチパネル17は、指又はペンにより入力可能である。
【0020】
図3に示すように、補助コントローラ10は、医用ワークステーション30と有線又は無線接続するための入出力インターフェース22を有している。有線接続の場合、この入出力インターフェース22は例えばUSB(Universal Serial Bus)インターフェースであってもよい。このようにUSB接続を利用する場合、外部からの給電が可能となり、補助コントローラ10側に電源を設ける必要がなくなる。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引3ア)「【0023】
106において、デュアルエネルギー表示が自動的に調整される。例えば、本テクノロジーのある種の実施形態は、単波長画像を表示するウィンドウの自動調整を提供し、様々なエネルギーレベルでの画像の表示を可能としている。例えば、単波長画像を第1のエネルギーレベルから第2のエネルギーレベルに調整したとき、様々なエネルギーレベルにおける画像内のコントラスト剤の変化を反映させるためにウィンドウ幅及び/またはウィンドウレベルを自動的に調整することが可能である。ある種の実施形態では例えば、エネルギーレベルの各1キロ電子ボルト(keV)の変化に対してあるパーセント値だけウィンドウ幅及び/またはウィンドウレベルを増減させることができる。ある種の実施形態では例えば、単波長画像を表示するウィンドウの自動調整は画像特性に基づくことができる。ある種の実施形態では、ウィンドウの自動調整は例えば、信号対ノイズ、コントラスト剤対ノイズ、標準偏差及び/または関心対象解剖部位に基づくことができる。
【0024】
108において、表示された画像内で関心領域が選択される。例えば、キーボード、マウス及び/またはタッチスクリーンを介して入力された入力コマンドを用いて関心領域をハイライトすることによってワークステーションにおいて関心領域を選択することが可能である。ある種の実施形態では関心領域は、例えばデュアルエネルギーデータに関する研究情報に関連する選好に基づいて自動的に選択することも可能である。ある種の実施形態では関心領域は、画素上にカーソルを重ねることによって選択した画素とすることができる。
【0025】
110において、画像に関する情報が表示される。例えば、ワークステーションのユーザインタフェースを介して画像に関する情報をグラフィック表示することが可能である。ある種の実施形態では、例えば対話型ユーザインタフェースを提供するために情報をリアルタイムで表示させることが可能である。ある種の実施形態では、リアルタイムは情報を表示させた処理のすぐ後とすることができる。本テクノロジーのある種の実施形態は、カーソルが画像を指しているときに画像に関する情報の表示を提供することができる。例えば、画像の指示した部分(例えば、関心領域)に関するソース及び/または処理済みデュアルエネルギーデータを表示させることが可能である。例えばカーソルが単波長画像を指
しているとき、指示したボクセルに関する1つまたは複数の材料基礎対の材料密度及び/またはEffective-Z情報を表示させることが可能である。例えばカーソルが材料密度画像を指しているとき、当該対画像の材料密度を表示させることが可能である。例えばカーソルがEffective-Z画像を指しているとき、単波長及び/または材料密度情報を表示させることが可能である。
【0026】
ある種の実施形態では、ユーザインタフェースの周りで移動可能とするように構成されたウィンドウ内に画像に関する情報を表示させることが可能である。こうした実施形態では、画像のうちウィンドウの裏側に入った部分に関する情報をウィンドウ内に表示させることが可能である。ウィンドウを移動させると、その内部に表示させた情報を、画像のうちウィンドウの裏側に入った部分に基づいて更新することが可能である。ウィンドウ内に表示させる情報は例えば、上に記載した情報を含むことができる。ある種の実施形態では、例えば対話型ユーザインタフェースを提供するためにウィンドウ内に表示させた情報をリアルタイムで更新することが可能である。ある種の実施形態では、リアルタイムとは情報を更新させた処理のすぐ後とすることができる。ある種の実施形態では例えば、ローミング、サイズ変更、ウィンドウ内に表示させるデータのタイプの変更、ズームイン、ズームアウト、ウィンドウレベルの変更、基本となるデータとの同期(例えば、ウィンドウの裏側に入った画像の変更に基づくウィンドウ内に表示させた情報の更新)、融合パラメータの表示、及び/または選択した画像領域上での統計値の計算/表示を実行するようにウィンドウを構成することが可能である。ある種の実施形態では例えば、切り出されたマスク、輪郭、ヒストグラム及び/または融合した層としてデータを提供するようにウィンドウを構成することが可能である。」

第6 対比・判断1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「透視画像G1」は、「X線照射部3aにより天板2a上の被検体Pに対してX線を照射し、被検体Pを透過したX線をX線検出部3bにより検出」「されたX線画像信号から」「生成された」画像であるから、本願発明1の「被検体のX線画像」に相当する。そして、引用発明の「透視画像G1」を生成する「X線画像信号」は「撮像により検出された」信号であって、「撮像部3」が「X線をX線検出部3bにより検出する撮像を行う」ものであるから、「透視画像G1」を生成する「X線画像信号」を「X線検出部3bにより検出する撮像を行う」ものである「撮像部3」は、本願発明1の「被検体のX線画像を撮像する撮像部」に相当する。

イ 引用発明の「医用画像診断装置1」は、「透視画像G1」により診断する装置であって、上記アの通り「透視画像G1」は、「X線照射部3aにより天板2a上の被検体Pに対してX線を照射し、被検体Pを透過したX線をX線検出部3bにより検出」「されたX線画像信号から」「生成された」画像であるから、引用発明の「医用画像診断装置1」は、本願発明1の「X線診断装置」に相当する。

ウ 引用発明の「血管の形状を示すマーク画像G2」は「画面5aに表示されている透視画像G1を確認しながら」「生成」されたものであるから、本願発明1の「前記X線画像に対して血管壁を示す図形」に相当する。そして引用発明の「血管の形状を示すマーク画像G2」は、「自身の指やペン等により画面5a上、すなわちその画面5a上の検出部5bをなぞって、ステントグラフトS1の端部を合せる目標位置をマーキングし、目標位置をマーキングすると、指やペン等の接触位置が検出部5bにより検出され、腹部大動脈や腎動脈等の血管の形状をなぞ」ることによってを生成されるから、引用発明の「検出部5b」は、本願発明1の「前記X線画像に対して血管壁を示す図形を入力する操作を受け付ける入力部」に相当する。

エ 引用発明において「マーク画像G2の画面5a上の位置が天板2a上の位置として変換されて記憶され」ていることから、引用発明は、「マーク画像G2の画面5a上の位置が天板2a上の位置として変換され」た情報を記憶する記憶部を有しているといえる。そして、引用発明の「撮像部3等の各部の位置基準となる基準座標情報に関連付けられ」、「マーク画像G2の画面5a上の座標情報は天板2a上の座標情報を介して医用画像診断装置1の基準座標情報に関連付けられ」ているから、「マーク画像G2の画面5a上の座標情報」は、「撮像部3」の位置情報と関連づけられて上記記憶部に記憶されているものといえる。
そうすると、引用発明の「マーク画像G2の画面5a上の位置が天板2a上の位置として変換され」た情報記憶する記憶部は、本願発明1の「前記X線画像を撮像したときの前記撮影部の装置位置情報と、前記入力部により入力された前記血管壁を示す図形とを関連付けて記憶する記憶部」に相当する。

オ 引用発明の「マーク画像G2」は、「検出部5bにより検出され」て生成されるものであるから、引用発明の「検出部5bにより検出され」て生成された「マーク画像G2」は、本願発明の「前記入力部により入力された前記血管壁を示す図形」に相当する。そして、引用発明の「画像生成部6aにより記憶されたマーク画像G2」を、「画像生成部6aにより記憶された天板2a上の位置に基づいて表示中の透視画像G1に重ねられて画面5aに」「表示」する処理は、「画像生成部6a」ないし「表示部5」により行われることは明らかであるから、「記憶されたマーク画像G2は、画像生成部6aにより記憶された天板2a上の位置に基づいて表示中の透視画像G1に重ねられて画面5aに表示」する「画像生成部6a」ないし「表示部5」は、本願発明1の「前記撮像部により撮像される透視画像と、前記入力部を介して入力された血管壁を示す図形とを、重ねて表示部に表示する処理を行う制御部」に相当する。そして、上記エで検討したとおり、引用発明の「マーク画像G2の画面5a上の座標情報」は、「撮像部3」の位置情報と関連づけられて上記記憶部に記憶されているから、引用発明の「画像生成部6a」ないし「表示部5」が行う「記憶されたマーク画像G2は、画像生成部6aにより記憶された天板2a上の位置に基づいて表示中の透視画像G1に重ねられて画面5aに表示」する処理は、本願発明1の「前記制御部」が行う「前記装置位置情報に基づく位置に前記撮像部が位置づけられた状態において、前記撮像部により撮像される透視画像と、当該位置に関連付けて管理された前記血管壁を示す図形とを、重ねて前記表示部に表示する処理」に相当する。

カ 以上ア?オより、本願発明1と引用発明との間には、以下の一致点及び相違点がある。

(一致点)「被検体のX線画像を撮像する撮像部と、
前記X線画像に対して血管壁を示す図形を入力する操作を受け付ける入力部と、
前記X線画像を撮像したときの前記撮影部の装置位置情報と、前記入力部により入力された前記血管壁を示す図形とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記撮像部により撮像される透視画像と、前記入力部を介して入力された血管壁を示す図形とを、重ねて表示部に表示する処理を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記装置位置情報に基づく位置に前記撮像部が位置づけられた状態において、前記撮像部により撮像される透視画像と、当該位置に関連付けて管理された前記血管壁を示す図形とを、重ねて前記表示部に表示する処理を行う、X線診断装置。」

(相違点1)前記制御部が、本願発明1は、「前記撮像部が移動した場合、当該移動後の前記撮像部の装置位置情報に関連付けられた前記血管壁を示す図形を前記記憶部から読み出して、前記撮像部により撮像される透視画像と重ねて前記表示部に表示する処理を行うのに対し、引用発明はそのような処理に関し特定されていない点。

(相違点2)前記制御部が、本願発明1は、「前記表示部に表示されている透視画像の表示の拡大率が変更された場合、当該表示の拡大率の変更に追従するように、前記血管壁を示す図形の表示状態を変更する」のに対し、引用発明はそのような特定がない点。

(2)判断
上記相違点1について検討する。
本願明細書の発明の詳細な説明には、本願発明の課題として、

(本a)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のようにモニタ画面上の透明シートに手書きで目印を記入する場合には、撮像位置を変えると透明シート上の目印が意味をなさなくなるため、複数の撮像位置(例えば、撮像角度)からの確認を実行しようとすると、撮像位置を変える度に透明シートを貼りかえて手書きで目印を記入する作業が必要となり、手間がかかってしまう。また、透視画像をリアルタイムに重ね合わせるような透視ロードマップを活用する場合でも、複数の角度での確認を行おうとすると前述のような再作業が必要になるため、やはり手間がかかってしまう。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、利用者の作業効率を向上させることができるX線診断装置を提供することである。」

旨記載されていることから、本願発明1の「前記撮像部が移動した場合、当該移動後の前記撮像部の装置位置情報に関連付けられた前記血管壁を示す図形を前記記憶部から読み出して、前記撮像部により撮像される透視画像と重ねて前記表示部に表示する処理を行」う構成は、「透明シートに手書きで目印を記入する場合に」「透明シート上の目印が意味をなさなくなる」ような「複数の撮像位置(例えば、撮像角度)からの確認」に対応するための構成であるといえる。しかしながら、引用文献1には、「撮像部3を天板2a上の被検体Pの体軸方向(図4中の矢印方向である上方向)に移動させた場合」などの「撮像部3」が「天板2a」に対して移動した場合について記載はあるものの、この場合、「マーク画像G2」の位置が天板2の上の位置として認識されているため、「マーク画像G2」は固定状態であり、移動しないものであって、「撮像部3」の位置情報に関連づけられた「マーク画像G2」を新たに記憶部から読み出す必要はないから、上記相違点1に係る構成は、引用発明から容易に想到できたものであるとはいえない。また、引用文献2及び3には、撮像位置を変更する点の記載はないから、「前記撮像部が移動した場合、当該移動後の前記撮像部の装置位置情報に関連付けられた前記血管壁を示す図形を前記記憶部から読み出して、前記撮像部により撮像される透視画像と重ねて前記表示部に表示する処理を行」う構成は、引用文献2及び3に記載も示唆もされていない。
そうすると、上記相違点1に係る構成は、引用発明、引用文献2及び3に記載された技術事項に基づいて、容易に想到できたものであるとはいえないから、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2?8について
本願発明2?8も、本願発明1の「前記撮像部が移動した場合、当該移動後の前記撮像部の装置位置情報に関連付けられた前記血管壁を示す図形を前記記憶部から読み出して、前記撮像部により撮像される透視画像と重ねて前記表示部に表示する処理を行」う構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び拒絶査定において引用された引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない

第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-4は、「前記撮像部が移動した場合、当該移動後の前記撮像部の装置位置情報に関連付けられた前記血管壁を示す図形を前記記憶部から読み出して、前記撮像部により撮像される透視画像と重ねて前記表示部に表示する処理を行」うという事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2020-10-19 
出願番号 特願2018-123290(P2018-123290)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (A61B)
P 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 秀樹  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 松谷 洋平
福島 浩司
発明の名称 X線診断装置  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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