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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C11D
管理番号 1367552
審判番号 不服2019-10920  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-08-19 
確定日 2020-10-19 
事件の表示 特願2017-556551「布地の処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月 3日国際公開、WO2016/176282、平成30年 7月 5日国内公表、特表2018-517803〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年4月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年4月29日 (EP)欧州特許庁、2015年10月15日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成30年10月23日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の平成31年1月21日に意見書及び手続補正書が提出され、令和元年5月23日付けで拒絶査定がなされ(謄本送達は同月28日)、これに対して、同年8月19日に拒絶査定不服の審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものであり、同年11月8日に上申書が提出されたものである。

第2 令和元年8月19日付け手続補正についての補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和元年8月19日付け手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
特許法第17条の2第1項第4号に該当する手続補正である、令和元年8月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするものであって、そのうち請求項1についての補正は以下のとおりである。

(1-1)本件補正前の請求項1(すなわち、平成31年1月21日付け手続補正書の請求項1)
「【請求項1】
布地を処理する方法であって、
(i)カチオン性柔軟化化合物、シリコーン柔軟化化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択される布地ケア成分を含む水性液に布地を接触させる工程と、
(ii)デオキシリボヌクレアーゼ又はリボヌクレアーゼ酵素を含む水性液に前記布地を接触させる工程と、
を含む、方法。」

(1-2)本件補正後の請求項1(すなわち、令和元年8月19日付け手続補正書の請求項1)
「【請求項1】
布地を処理する方法であって、
(i)カチオン性柔軟化化合物、シリコーン柔軟化化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択される布地ケア成分を含む水性液に布地を接触させる工程と、
(ii)デオキシリボヌクレアーゼ又はリボヌクレアーゼ酵素を含む水性液に前記布地を接触させる工程と、
を含み、
前記酵素が、E.C.クラスE.C.3.1.21.x(式中、x=1、2、3、4、5、6、7、8、9)、3.1.22.y(式中、y=1、2、3、4、5)、E.C.3.1.30.z(式中、z=1、2)若しくはE.C.3.1.31.1のいずれかのヌクレアーゼ、又はこれらの混合物から選択される、方法。」(以下、「本件補正発明」ともいう。)

本件補正の前後の両請求項を対比すると、本件補正は、補正前の請求項1における発明を特定するために必要な事項である「酵素」なる事項について、「E.C.クラスE.C.3.1.21.x(式中、x=1、2、3、4、5、6、7、8、9)、3.1.22.y(式中、y=1、2、3、4、5)、E.C.3.1.30.z(式中、z=1、2)若しくはE.C.3.1.31.1のいずれかのヌクレアーゼ、又はこれらの混合物から選択される」に限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号にいう特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
そこで、上記本件補正発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(すなわち、いわゆる独立特許要件を満たすか)について以下検討する。

2.独立特許要件の検討
(2-1)引用刊行物及びその記載事項
刊行物A:特開2008-222919号公報(原査定の引用文献1)
刊行物B:国際公開第2014/087011号(原査定の引用文献5)

刊行物A
(1a)「【請求項1】
α-スルホ脂肪酸エステル塩(A)と、石鹸(B)と、カチオン化セルロース(C)とを含有し、
該(A)成分と該(B)成分との質量比が(A)/(B)=25/75?95/5であることを特徴とする粒状洗剤組成物。」

(1b)「【0019】
<(C)成分>
本発明において、(C)成分はカチオン化セルロースである。該(C)成分を含有することにより、被洗物への柔軟性付与効果が得られる。
・・・
【0024】
【化2】

[式(C-1)中、R^(3)?R^(5)は、それぞれ独立して水素原子または下記式(C-1-1)で表される基である。l、m、nは、それぞれエチレンオキシドの平均付加モル数を示す。]
【0025】
【化3】

[式(C-1-1)中、Xはハロゲン原子を示す。]」

(1c)「【0047】
(酵素)
酵素としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類、およびイソメラーゼ類が挙げられ、本発明においてはいずれも適用できる。
なかでも、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ等が好ましい。」

(1d)「【実施例】
【0071】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
【0072】
(実施例1?14、比較例1?3)
表1に示す各例の粒状洗剤組成物を、表1中に示した成分と表2に示した共通成分とを用いて製造した。
なお、表中の配合量の単位は、粒状洗剤組成物の全質量を基準とする質量%を示す。
また、表中の各成分の中で、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、ゼオライトおよびMA剤は純分換算としての配合量、その他はそのもの(有り姿)としての配合量をそれぞれ示す。炭酸Na量の「バランス」は、総量が100質量%となるように調整したことを意味する。
(A)/(B)(質量比)は、(A)成分と(B)成分との配合比率を質量比で表した値を示す。
「比較例1」は、(A)成分が未配合で、かつ(B)成分および(C)成分を含有する例であり、被洗物への柔軟性付与効果の評価における比較対照である。
以下に、表中に示した成分の説明、粒状洗剤組成物の製造方法について示す。
【0073】
<表中に示した成分の説明>。
・アニオン界面活性剤(A)
(A-1)MES:炭素数14の炭化水素基を有する化合物と、炭素数16の炭化水素基を有する化合物との混合割合が質量比で18:82のα-スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩の水溶液(ライオン(株)製;AI濃度=70質量%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等である。)。
ここで、「AI」とは、MES中に含まれる、界面活性剤としての機能を有する化合物を示す。MES中には、通常、α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩のほか、副生物としてα-スルホ脂肪酸ジアルカリ塩が含まれる。α-スルホ脂肪酸ジアルカリ塩も、α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩と同様、界面活性剤としての機能を有している。したがって、AI濃度は、α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩と、副生物の1つであるα-スルホ脂肪酸ジアルカリ塩との合計の濃度を意味する。
【0074】
(A-2)MES:炭素数16の炭化水素基を有する化合物と、炭素数18の炭化水素基を有する化合物との混合割合が質量比で80:20のα-スルホ脂肪酸メチルエステルのナトリウム塩の水溶液(ライオン(株)製;AI濃度=70質量%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等である)。
「AI」については上記と同様である。
【0075】
・石鹸(B)
石鹸:炭素数12?18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分:67質量%、
タイター:40?45℃;脂肪酸組成:C12(ラウリン酸)11.7質量%、C14(ミリスチン酸)0.4質量%、C16(パルミチン酸)29.2質量%、C18F0(ステアリン酸)0.7質量%、C18F1(オレイン酸)56.8質量%、C18F2(リノール酸)1.2質量%;分子量:289)。
【0076】
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(D)
LAS:直鎖アルキル(炭素数10?14)ベンゼンスルホン酸[ライオン(株)製、ライポンLH-200(LAS-H 純分96質量%)]を、界面活性剤組成物の調製時に、48質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和した化合物と、48質量%水酸化カリウム水溶液で中和した化合物とを質量比2:1で混合したもの。表中の配合量は、これら混合物としての値(質量%)を示す。
【0077】
・カチオン化セルロース(C)
(C-1)カチオン化セルロースLF:ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、商品名:LF-15、1質量%水溶液粘度(25℃):700?1300mPa・s)30g(100質量部)に、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒300g(1000質量部)と、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液4.5g(15質量部)とを加えて混合した。次いで、30分間撹拌混合して、混合溶媒の上澄み150g(500質量部)を抜き出した。
その後、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品工業製、商品名:SY-GTA80、有効濃度73質量%の水溶液)4g(13質量部)を加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸イソプロピルアルコール溶液を加えてpH6に調整し、カチオン化セルローススラリーを得た。
そして、遠心脱水し、乾燥(70?80℃)を経て、カチオン化セルロースLF(重量平均分子量:90万、カチオン化度:0.6質量%、固形分:91質量%)を得た。
【0078】
(C-2)カチオン化セルロースAX:ヒドロキシエチルセルロース(住友精化製、商品名:AX-15、1質量%水溶液粘度(25℃):15000?30000mPa・s)30g(100質量部)に、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒300g(1000質量部)と、更に25質量%水酸化ナトリウム水溶液5g(16.5質量部)とを加えて混合した。次いで、30分間撹拌混合して、混合溶媒の上澄み150g(500質量部)を抜き出した。
その後、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品工業製、商品名:SY-GTA80、有効濃度73質量%の水溶液)3g(10質量部)を加えて、3時間反応させた。その後、10質量%塩酸イソプロピルアルコール溶液を加えてpH6に調整し、カチオン化セルローススラリーを得た。
そして、遠心脱水し、乾燥(70?80℃)を経て、カチオン化セルロースAX(重量平均分子量:160万、カチオン化度:0.6質量%、固形分:91質量%)を得た。
【0079】
・その他の成分(共通成分)
ノニオン界面活性剤:ECOROL26(商品名、ECOGREEN社製;炭素数12?16のアルキル基を有するアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(純分90質量%)。
ゼオライト:A型ゼオライト・シルトンB(商品名、水澤化学(株)製;純分80質量%)。
MA剤:アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:アクアリックTL-400、日本触媒(株)製;純分40質量%水溶液)。
亜硫酸Na:無水亜硫酸曹達(神州化学(株)製)。
硫酸Na:中性無水芒硝(日本化学工業(株)製)。
炭酸K:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製;平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm^(3))。
炭酸Na:粒灰(旭硝子(株)製、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm^(3))。
蛍光剤:チノパールCBS-X(商品名、チバスペシャルティケミカルズ)/チノパールAMS-GX(商品名、チバスペシャルティケミカルズ)=3/1(質量比)の混合物。
香料:特開2002-146399号公報 [表11]?[表18]に示す香料組成物A。
酵素:サビナーゼ12T(ノボザイムズ製)/LIPEX100T(ノボザイムズ製)/ステインザイム12T(ノボザイムズ製)=5/1/4(質量比)の混合物。
【0080】
<粒状洗剤組成物の製造方法>
表1、2に示す組成に従って、下記に示す調製方法により、界面活性剤含有粒子を調製し、当該界面活性剤含有粒子を用いて表1に示す各例の粒状洗剤組成物を製造した。
【0081】
(実施例1?5、7?12、14)
[界面活性剤含有粒子の調製]
まず、撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。これに、(B)成分及び(D)成分を添加し、10分間撹拌した。続いて、MA剤、硫酸Na、蛍光剤をそれぞれ添加した(該添加の段階を「原料投入1」と称する)。さらに、10分間撹拌した後、ゼオライトの一部(0.5質量%相当量(対界面活性剤含有粒子、以下同じ。)の捏和時添加用、5.0質量%相当量の粉砕助剤用、2.1質量%相当量の表面被覆用の各ゼオライトを除く。)、炭酸Na、炭酸K、および亜硫酸Naをそれぞれ添加した。さらに、20分間撹拌して水分38質量%の噴霧乾燥用スラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、水分を約5質量%含有する噴霧乾燥粒子を得た。
一方、原料の脂肪酸エステルをスルホン化し、中和して得られた(A)成分(MES)の水性スラリー(水分濃度25質量%)に、ノニオン界面活性剤の一部(MESに対して25質量%)を添加し、水分が11質量%になるまで薄膜式乾燥機で減圧濃縮して、MESとノニオン界面活性剤との混合濃縮物を得た。
上記噴霧乾燥粒子、上記混合濃縮物、2.0質量%相当量のゼオライト、1.0質量%相当量の噴霧添加用を除く残りのノニオン界面活性剤および水を、連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、KRC-S4型)に投入(該投入の段階を「原料投入2」と称する)し、捏和能力120kg/hr、温度60℃の条件で捏和し、界面活性剤含有混練物を得た。この界面活性剤含有混練物を、穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS-100型)を用いて押し出しつつ、カッターで切断し(カッター周速は5m/s)、長さ5?30mm程度のペレット状界面活性剤含有成型物を得た。
次いで、得られたペレット状界面活性剤含有成型物に、粉砕助剤としての粒子状ゼオライト(平均粒子径180μm)3.2質量%相当量を添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で、直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA-3)を用いて粉砕した(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4700rpm)。最後に、水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で1.5質量%相当量の微粉ゼオライトを加え、1.0質量%相当量のノニオン界面活性剤と香料を噴霧しつつ、1分間転動し、表面改質して界面活性剤含有粒子を調製した。
【0082】
[粒状洗剤組成物の製造]
水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)を用いて、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、(C-1)カチオン化セルロースLF、界面活性剤含有粒子、および酵素等の成分を5分間混合(該混合の段階を「原料投入3」と称する)し、各例の粒状洗剤組成物を製造した。
【0083】
(実施例6)
実施例7の製造方法において、(D)成分を配合しない以外は、実施例7の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0084】
(実施例13)
実施例1の製造方法において、原料投入3の際に、(C-1)カチオン化セルロースLFの代わりに、(C-2)カチオン化セルロースAXを投入して混合した以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0085】
(比較例1)
実施例1の製造方法において、(A)成分を配合せず、(B)成分の配合量を16質量%とした以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0086】
(比較例2)
実施例1の製造方法において、(B)成分を配合せず、(A)成分の配合量を16質量%とした以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0087】
(比較例3)
実施例1の製造方法において、原料投入3の際に、(C)成分[(C-1)カチオン化セルロースLF]を配合しない以外は、実施例1の製造方法と同様にして粒状洗剤組成物を製造した。
【0088】
<被洗物への柔軟性付与効果の評価方法>
[前処理]
ポリエステルジャージ(染色試材(株)、谷頭商店から入手)1kg、二槽式洗濯機(製品名:CW-C30A1-H1形、三菱電機株式会社製)を使用し、50℃の水道水を用い、市販の洗剤トップ(ライオン(株)製)を標準使用濃度(水道水30Lに対して洗剤トップ20g、すなわち667ppm)および浴比30倍で、「15分間洗浄後、5分間脱水」の洗浄・脱水の操作を2度繰り返した後、「15分間流水濯ぎ後、5分間脱水」の濯ぎ・脱水の操作を5回繰り返し、その後、室温で吊り干しすることにより乾燥して前処理を施し、試験に供した。
綿タオル((株)東進社製、220匁ボーダーソフトFT)1kg、B.V.D肌シャツ(丸首半袖Tシャツ、品番G0134TS)1kgにおいても同様の前処理を施した。
【0089】
[洗浄処理]
洗濯機としてミニ全自動洗濯機(製品名:JW-Z23A、Haier社製)を使用し、該ミニ全自動電気洗濯機の槽内に、水温28℃の水道水12Lを溜め、各例の粒状洗剤組成物13.3gをそれぞれ溶解した後、合計800gの衣類(綿タオル3枚、B.V.D肌シャツ4枚、ポリエステルジャージ(60cm×30cm)1枚)を投入し、標準コースで洗濯を行い、室内で乾燥させた。
【0090】
乾燥後の綿タオルを用い、比較例1を比較対照として被洗物への柔軟性付与効果について、以下のようにして評価を行った。
綿タオルの柔軟性について、上記各例の粒状洗剤組成物により洗浄処理を施した綿タオルと、比較例1の粒状洗剤組成物により洗浄処理を施した綿タオルとの一対比較を、専門パネラー10人により行った。
評価は、比較する一対の綿タオル間の柔軟性にはっきりと差がある場合、柔軟性が高い方の綿タオルに+2点、低い方の綿タオルに-2点を与え;やや差がある場合、柔軟性がやや高い方の綿タオルに+1点、やや低い方の綿タオルに-1点を与え;差がなければ0点を与えた。そして、10人の合計点を求め、下記評価基準に基づいて、綿タオルへの柔軟性付与効果を評価した。その結果を表1に示した。
(評価基準)
◎◎:10人の合計点が17?20点であった。
◎:10人の合計点が13?16点であった。
○:10人の合計点が9?12点であった。
△:10人の合計点が5?8点であった。
×:10人の合計点が-4?4点であった。
××:10人の合計点が-5点以下であった。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】



刊行物B
原査定で引用された本願優先日前に頒布された刊行物Bには、次の記載がある。
なお、摘記事項の後ろに当審の仮訳を掲載した。
(2a)「CLAIMS
1 . A detergent composition comprising
a. One or more anionic surfactants;
b. An enzyme selected from the group consisting of: a protease, a lipase, a cutinase, an amylase, a carbohydrase, a cellulase, a pectinase, a mannanase, an arabinase, a galactanase, a xylanase, and an oxidase; and
c. a deoxyribonuclease (DNase).
2. Composition according to claim 1 , wherein the composition comprises 10-40 w/w% of a surfactant, 4-50 w/w% of a builder and 0-5 w/w% of a polymer and optionally a filler, solvents and an enzyme stabilizer.
3. Composition according to any of the preceding claims, wherein the DNase is obtainable from Bacillus.
4. Composition according to any of the preceding claims,wherein the detergent composition is capable of reducing adhesion of bacteria selected from the group consisting of Acinetobacter sp., Aeromicrobium sp.,Brevundimonas sp., Microbacterium sp., Micrococcus luteus, Pseudomonas sp.,Staphylococcus epidermidis, and Stenotrophomonas sp. to a surface, or releasing the bacteria from a surface to which they adhere.
5. Composition according to any of the preceding claims,wherein the composition is capable of reducing malodor from wet and/or dry laundry.
6. Composition according to any of the preceding claims,wherein the composition is capable of reducing E-2-nonenal from wet and/or dry laundry.
7. A washing method for textile comprising:
a. exposing a textile to a wash liquor comprising a DNase or a detergent composition according to any of claims 1 -6,
b. completing at least one wash cycle; and
c. optionally rinsing the textile.
8. Method according to claim 7, wherein the temperature of the wash liquor is in the range of 5°C to 95°C, or in the range of 10°C to80°C, or in the range of 10°C to 70°C, or in the range of 10°C to 60°C, or in the range of 10°C to 50°C, or in the range of 15°C to 40°C, or in the range of20°C to 30°C.
9. Method according to any of the preceding method claims, wherein the whiteness of the textile is maintained or improved.
10. Method according to any of the preceding method claims, wherein the redeposition of soil is reduced.
11. Textile washed according to the method of any of claims 7-10.
12. Use of a deoxyribonuclease (DNase) for reducing malodor from laundry and/or textile.」

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.1種又は複数のアニオン界面活性剤;
b.プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、及びオキシダーゼからなる群から選択される酵素;並びに
c.デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)
を含む洗剤組成物。
【請求項2】
前記組成物が、10?40w/w%の界面活性剤、4?50w/w%のビルダー及び0?5w/w%のポリマー、並びに任意選択で充填剤、溶媒及び酵素安定剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記DNaseが、バチルス属(Bacillus)から取得可能である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記洗剤組成物が、アシネトバクター属(Acinetobacter sp.)、アエロミクロビウム属(Aeromicrobium sp.)、ブレブンディモナス属(Brevundimonas sp.)、ミクロバクテリウム属(Microbacterium sp.)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、及びステノトロホモナス属(Stenotrophomonas sp.)からなる群から選択される細菌の表面への付着を低減するか、又は前記細菌が付着していた表面からそれらを放出させることができる、請求項1?3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、湿った及び/又は乾いた洗濯物からの悪臭を低減することができる、請求項1?4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、湿った及び/又は乾いた洗濯物からのE-2-ノネナールを低減することができる、請求項1?5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
a.DNase又は請求項1?6のいずれか一項に記載の組成物を含む洗浄液に生地を暴露するステップ、
b.少なくとも1回の洗浄サイクルを完了するステップ;及び
c.任意選択で前記生地をすすぐステップ
を含む、生地の洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄液の温度が、5℃?95℃の範囲、又は10℃?80℃の範囲、又は10℃?70℃の範囲、又は10℃?60℃の範囲、又は10℃?50℃の範囲、又は15℃?40℃の範囲、又は20℃?30℃の範囲である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記生地の白色度が維持又は改善される、請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
汚れの再付着が低減される、請求項1?9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項7?10のいずれか一項に記載の方法により洗浄される生地。
【請求項12】
洗濯物及び/又は生地から悪臭を低減することを目的とするデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)の使用。

(2b)「Deoxyribonuclease(DNase)
A deoxyribonuclease (DNase) is any enzyme that catalyzes the hydrolytic cleavage of phosphodiester linkages in the DNA backbone, thus degrading DNA.
According to the present invention, a DNase which is obtainable from a bacterium is preferred;in particular a DNase which is obtainable from a Bacillus is preferred; inparticular a DNase which is obtainable from Bacillus subtilis or Bacillus licheniformis is preferred.

The DNase used in the present invention includes the mature polypeptide of SEQ ID NO: 1 , shownas amino acids 1 to 110 (27 to 136) of SEQ ID NO: 1 , which is derived from Bacillus subtilis; or the mature polypeptide of SEQ ID NO: 2, shown as aminoacids 1 to 109 of SEQ ID NO: 2, which is derived from Bacillus licheniformis.」(第8ページ第35行?第9ページ第7行)

デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)
デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)は、DNA骨格中のホスホジエステル結合の加水分解的開裂を触媒し、これによってDNAを分解する任意の酵素である。
本発明によれば、細菌から得ることができるDNaseが好ましく;特に、バチルス属(Bacillus)から取得可能なDNaseが好ましく;とりわけ、枯草菌(Bacillus subtilis)又はバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)から取得可能なDNaseが好ましい。
本発明で用いられるDNaseとして、枯草菌(Bacillus subtilis)に由来する、配列番号1のアミノ酸1?110(27?136)として示される、配列番号1の成熟ポリペプチド;又はバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)に由来する、配列番号2のアミノ酸1?109として示される配列番号2の成熟ポリペプチドが挙げられる。

(2-2)刊行物Aに記載された発明
上記刊行物Aの実施例1?14には、「カチオン化セルロース(C)と酵素を含む粒状洗剤組成物が記載されており(摘記1d参照)、洗浄処理において、ミニ全自動電気洗濯機の槽内に、水温28℃の水道水12Lを溜め、各例の粒状洗剤組成物13.3gをそれぞれ溶解した後、合計800gの衣類(綿タオル3枚、B.V.D肌シャツ4枚、ポリエステルジャージ(60cm×30cm)1枚)を投入し、標準コースで洗濯を行い、室内で乾燥させたことが、記載されていることから(摘記1d参照)、「カチオン化セルロース(C)と酵素を含む水溶液に布地を接触させる工程を含む布地を処理する方法」の発明(以下、「引用発明」という。)が、記載されている。

(2-3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「カチオン化セルロース(C)」は、被洗物への柔軟性付与効果を有するものであるから(摘記1b参照)、本件補正発明の「カチオン性柔軟化化合物、シリコーン柔軟化化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択される布地ケア成分」に相当する。
引用発明の「酵素」は、本件補正発明の「デオキシリボヌクレアーゼ又はリボヌクレアーゼ酵素」と「酵素」という限りにおいて一致する。
そうすると、本件補正発明と上記引用発明は、
「布地を処理する方法であって、
カチオン性柔軟化化合物、シリコーン柔軟化化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択される布地ケア成分、並びに、酵素を含む水性液に布地を接触させる工程を含む方法」である点で一致し、下記の点で一応相違する。

<相違点1>
本件補正発明は、(i)カチオン性柔軟化化合物、シリコーン柔軟化化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択される布地ケア成分を含む水性液に布地を接触させる工程に加えて、
(ii)酵素を含む水性液に前記布地を接触させる工程と、
を含むことが特定されているのに対し、引用発明においては、それらの工程が同時に行われる点。

<相違点2>
酵素が、本件補正発明は、デオキシリボヌクレアーゼ又はリボヌクレアーゼであって、E.C.クラスE.C.3.1.21.x(式中、x=1、2、3、4、5、6、7、8、9)、3.1.22.y(式中、y=1、2、3、4、5)、E.C.3.1.30.z(式中、z=1、2)若しくはE.C.3.1.31.1のいずれかのヌクレアーゼ、又はこれらの混合物から選択されると特定されているのに対し、引用発明はそのような特定がない点。

(2-4)一応の相違点についての検討
<相違点1>について
本願の【請求項5】及び【0006】には、工程(i)及び(ii)が同時に行われることが記載されていることから、本件補正発明は工程(i)及び(ii)が同時に行われる態様を包含すると認められるため、相違点1は実質的な相違点ではない。

<相違点2>について
刊行物Aには、引用発明がヌクレアーゼを含んでも良いことが記載されている(摘記1c参照)。
そして、本願明細書において「【0068】 好ましくは、ヌクレアーゼ酵素は、微生物の酵素を含む。ヌクレアーゼ酵素は、真菌又は細菌起源であってよい。細菌ヌクレアーゼが最も好ましい場合がある。真菌ヌクレアーゼが最も好ましい場合がある。【0069】 微生物ヌクレアーゼは、バチルス属、例えば、バチルス・リケニフォルミス(Bacilluslicheniformis)又はバチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)の細菌ヌクレアーゼなどから得ることができる。好ましいヌクレアーゼは、バチルス・リケニフォルミス、好ましくはEI-34-6株から得ることができる。好ましいデオキシリボヌクレアーゼは、本明細書における配列番号1に規定するEI-34-6株nucBデオキシリボヌクレアーゼに由来するバチルス・リケニフォルミスの変異体、すなわち、例えば、それに対して少なくとも70%又は75%又は80%又は85%又は90%又は95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるその変異体である。」と記載されており、これらは、刊行物Bに記載の「DNaseとして、枯草菌(Bacillus subtilis)に由来する、配列番号1のアミノ酸1?110(27?136)として示される、配列番号1の成熟ポリペプチド;又はバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)に由来する、配列番号2のアミノ酸1?109として示される配列番号2の成熟ポリペプチド」と(摘記2b参照)同じものであるか、異なるにしても、それに対して少なくとも70%同一であるその変異体に相当する。
そして、刊行物Bに記載のDNaseは、洗濯物及び/又は生地から悪臭を低減することを目的とするものであり、この目的は布地を処理する方法において通常求められるものである。
そうすると、引用発明において、酵素としてヌクレアーゼを採用し、布地を処理する方法において通常求められる目的である洗濯物及び/又は生地から悪臭を低減するために、刊行物Bに記載の枯草菌(Bacillus subtilis)に由来する、配列番号1のアミノ酸1?110(27?136)として示される、配列番号1の成熟ポリペプチド;又はバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)に由来する、配列番号2のアミノ酸1?109として示される配列番号2の成熟ポリペプチドを採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2-6)審判請求人の主張に対して
請求人は、令和元年8月19日付け審判請求書において、引用文献1には、布地ケア成分を含む水性液に布地を接触させる工程(i)の後に、本願所定の酵素を含む水性液を接触させる工程(ii)をおこなうことが示されておらず、布地処理方法として2つの工程を実施する本願発明を容易に想到するものではないことを主張している。
しかし、本件補正発明において、上記2つの工程を実施する順序に関しては一切記載されていないし、更に、本願明細書【請求項5】及び【0006】の記載を参酌すれば、工程(i)及び(ii)は、同時に行ってもよい(すなわち上記2種類の水性液を混合したものを使用してもよい)ことも示されているから、(i)(ii)を同時に実施する引用発明は、本願と同じ布地処理方法をおこなっているものと認められるから、上記請求人の主張を採用できない。

(2-6)小括
したがって、本件補正発明は、刊行物A、Bに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願発明は、平成31年1月21日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1は次のとおりである。
「 【請求項1】
布地を処理する方法であって、
(i)カチオン性柔軟化化合物、シリコーン柔軟化化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択される布地ケア成分を含む水性液に布地を接触させる工程と、
(ii)デオキシリボヌクレアーゼ又はリボヌクレアーゼ酵素を含む水性液に前記布地を接触させる工程と、
を含む、方法。」(以下、「本願発明」という。)

2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶の理由は、「平成30年10月23日付け拒絶理由通知書に記載した理由1」であって、要するに、この出願の請求項1?15に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

そして、該拒絶の理由において引用された刊行物は次のとおりである。

<引用文献等一覧>

1.特開2008-222919号公報
2.特開2015-78479号公報
3.特表平11-511803号公報
4.特表2010-520350号公報
5.国際公開第2014/087011号(周知技術を示す文献)
6.特表2010-520767号公報(周知技術を示す文献)
7.特表2006-504835号公報(周知技術を示す文献)

3 引用刊行物
原査定の拒絶の理由で引用された刊行物1、5は、上記刊行物A、Bにほかならず、刊行物A、Bの記載事項は、前記「2(2-1)A、B」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2 1(1-1)」で検討した本件補正発明の酵素について「E.C.クラスE.C.3.1.21.x(式中、x=1、2、3、4、5、6、7、8、9)、3.1.22.y(式中、y=1、2、3、4、5)、E.C.3.1.30.z(式中、z=1、2)若しくはE.C.3.1.31.1のいずれかのヌクレアーゼ、又はこれらの混合物から選択される」との事項が「デオキシリボヌクレアーゼ又はリボヌクレアーゼ酵素」に拡張されたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに上記事項によって限定したものに相当する本件補正発明が、前記「第2(2-6)」に記載したとおり、当該刊行物A、Bに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、当該刊行物A、Bに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-05-20 
結審通知日 2020-05-22 
審決日 2020-06-02 
出願番号 特願2017-556551(P2017-556551)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C11D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 林 建二  
特許庁審判長 蔵野 雅昭
特許庁審判官 門前 浩一
瀬下 浩一
発明の名称 布地の処理方法  
代理人 村田 卓久  
代理人 永井 浩之  
代理人 出口 智也  
代理人 中村 行孝  
代理人 小島 一真  
代理人 朝倉 悟  
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