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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G07G
管理番号 1367885
審判番号 不服2020-2076  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-17 
確定日 2020-12-02 
事件の表示 特願2016- 41220号「売上データ処理装置およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月 7日出願公開,特開2017-157088号,請求項の数(7)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成28年3月3日の出願であって,令和1年10月28日付けで拒絶理由が通知され,同年11月25日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたが,同年12月27日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がされ,これに対し,令和2年2月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1?7に係る発明は,以下の引用文献1-3に基いて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2015-49809号公報
2.特開2015-111390号公報
3.特開平4-284599号公報

第3 本願発明
本願請求項1?7に係る発明(以下,「本願発明1」?「本願発明7」という。)は,令和2年2月17日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される,以下のとおりの発明である。
【請求項1】
売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における税込小計金額を,商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段と,
商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーと,
を備え,
前記表示制御手段は,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し,且つ,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより,前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように,前記税込小計金額を更新表示させることを特徴とする売上データ処理装置。
【請求項2】
前記第1の税率は,前記第2の税率よりも低い税率に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の売上データ処理装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は,前記税込小計金額の更新表示に伴わせて消費税合計額を更新表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の売上データ処理装置。
【請求項4】
売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における消費税合計額を,商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段と,
商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーと,
を備え,
前記表示制御手段は,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し,且つ,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより,前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように,前記消費税合計額を更新表示させることを特徴とする売上データ処理装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は,前記消費税合計額の更新表示に伴わせて税込小計金額を更新表示させることを特徴とする請求項4に記載の売上データ処理装置。
【請求項6】
売上データ処理装置のコンピュータを,
売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における税込小計金額を,商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段として機能させ,
前記表示制御手段は,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し,且つ,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより,前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように,前記税込小計金額を更新表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
売上データ処理装置のコンピュータを,
売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における消費税合計額を,商品毎に所定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段として機能させ,
前記表示制御手段は,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し,且つ,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより,前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように,前記消費税合計額を更新表示させることを特徴とするプログラム。

第4 引用文献,引用発明等
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。
・「【請求項1】
所定の税率に応じた税額の算出対象となる商品を特定する商品特定手段と,
特定された前記商品に対する所定の税率とは異なる他の税率を指定するための税率指定手段と,
前記商品特定手段で特定された商品の価格に対して前記所定の税率に応じた税額および前記税率指定手段において指定された前記他の税率に応じた税額を算出して報知する税額報知手段と,
を備えることを特徴とする情報処理装置。」
・「【0019】
なお,図5に示すように,商品別税率設定マスタD1においては,同一の単品であっても,店内で食べるか(EAT IN),持ち帰るか(TAKE OUT)によって,標準税率を適用するか,軽減税率を適用するかを区別して設定する。図5に示す例では,ハンバーガーを店内で食べる(EAT IN)場合には,標準税率を適用し,ハンバーガーを持ち帰る(TAKE OUT)場合には,軽減税率を適用する。店内で食べるか(EAT IN),持ち帰るか(TAKE OUT)については,後述するPOS端末2に設けられた「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーのキー操作によって区別する。」
・「【0025】
また,POS端末2の正面に設けられたキーボード13には,「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーが配置されている。「EAT IN」キーは,例えばハンバーガーを店内で食べる(EAT IN)場合に操作するキーである。「TAKE OUT」キーは,例えばハンバーガーを持ち帰る(TAKE OUT)場合に操作するキーである。
【0026】
また,POS端末2の正面に設けられたキーボード13には,税額確認キーが配置されている。税額確認キーは,詳細は後述するが,税率引上げが想定される場合に所望の想定税率に応じて消費税額を算出した支払額目安レポートや,店内で食べるか(EAT IN),持ち帰るか(TAKE OUT)によって税率が区別されている商品についてそれぞれの税率に応じて消費税額を算出した支払額目安レポートを出力する場合に使用される。」
・「【0049】
商品特定部30は,所定の税率に応じた税額の算出対象となる商品を特定する。
【0050】
税率指定部31は,商品特定部30によって特定された商品に対する所定の税率とは異なる他の税率を指定する。」
・「【0054】
なお,商品コードの読み取りに先立って,「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No,ステップS11:Yes)には,商品コード受付部25は,ステップS1で読み取った商品コードに対して,持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し,店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないようにする。このようにするのは,本実施形態においては,所定の商品(例えばハンバーガー)を店内で食べる(EAT IN)場合には,標準税率を適用し,所定の商品(例えばハンバーガー)を持ち帰る(TAKE OUT)場合には,軽減税率(他の税率)を適用するためである。」
・「【0059】
そして,販売登録部27はステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで,その商品の販売登録を行う(ステップS7)。また,販売登録部27は,ステップS3またはステップS5またはステップS6において読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し,商品の販売価格として登録する(ステップS7)。また,表示制御部28は,店員用ディスプレイ15,客用ディスプレイ16に,販売登録部27が登録した各商品の商品名,価格,税込み価格,税率等を表示する(ステップS8)。」
・「【0060】
次に,POS端末2は,キーボード13において現計キーが押下されたか否かを判定する(ステップS9)。現計キーが押下されていない間(ステップS9:No)は,ステップS1に戻ってステップS1?S9の処理を全商品の販売登録が終わるまで続ける。現計キーが押下された場合(ステップS9:Yes)には,印刷制御部29は,店名や各商品の品名,価格,税込み価格,各商品に対する税率,1取引の合計金額,釣銭額等をレシートに印刷し,レシート発行口18からレシートを発行する(ステップS10)。そして,店員は会計処理を行って一会計の販売登録処理を終了する。このようにして販売登録処理で生成された取引データは,取引データファイルF2に記憶された後,所定のタイミングでストアサーバ4に送られて取引データファイルF1に記憶される。」
・「【0065】
加えて,税額確認キーが押下されたと判定した場合は(ステップS1:No,ステップS11:No,ステップS12:Yes),商品特定部30および税率指定部31は,税額確認入力画面を店員用ディスプレイ15に表示する(ステップS13)。
【0066】
図12は,税額確認入力画面P1を示す正面図である。図12に示すように,税額確認入力画面P1は,レシートナンバー確認領域A1と,商品コード確認領域A2と,を有している。
【0067】
図12に示すように,レシートナンバー確認領域A1は,発行されたレシートR1に付記されている対象となる取引データを識別するための識別情報であるレシートナンバーd2を入力するためのレシートナンバー入力領域A11と,税率指定を受け付ける税率指定領域A12とを有している。レシートナンバー入力領域A11に対しては,キーボード13の置数キーを利用することで,レシートナンバーd2の入力が可能となっている。なお,図12の例では,税率指定領域A12は,図7に示すデフォルト税率設定マスタD3の標準税率について税率引上げを想定するものであって,7%,10%,15%の変更が想定される想定税率が指定可能となっている。そして,税率指定領域A12は,各指定可能な想定税率に対してレポート出力をするか否かを指定するラジオボタンB1を有している。」
・「【0069】
さらに,レシートナンバー確認領域A1は,レシートナンバー入力領域A11および税率指定領域A12に対する入力の終了後に,レポート出力を宣言するためのボタンB2を有している。
【0070】
一方,図12に示すように,商品コード確認領域A2は,商品コードを入力するための商品コード入力領域A21と,店内で食べる(EAT IN)のか持ち帰る(TAKE OUT)のかを指定することで税率指定を受け付ける税率指定領域A22とを有している。商品コード入力領域A21に対しては,キーボード13の置数キーまたはスキャナ19を利用することで,商品コードの入力が可能となっている。なお,図12の例では,税率指定領域A22は,商品別税率設定マスタD1において同一の単品であっても店内で食べるか(EAT IN),持ち帰るか(TAKE OUT)によって税率が区別されている商品であるかどうかの確認を行うためのものであって,「EAT IN」または「TAKE OUT」が指定可能となっている。そして,税率指定領域A22は,店内で食べる(EAT IN)のか,持ち帰る(TAKE OUT)のか,に対してレポート出力をするか否かを指定するラジオボタンB3を有している。
【0071】
さらに,商品コード確認領域A2は,商品コード入力領域A21および税率指定領域A22に対する入力の終了後に,レポート出力を宣言するためのボタンB4を有している。
【0072】
上述のような税額確認入力画面P1のレシートナンバー入力領域A11および税率指定領域A12に対する入力の終了後に,ボタンB2が操作されると(ステップS14のYes),税額報知部32は,入力されたレシートナンバーで特定される取引データをPOS端末2の取引データファイルF2またはPOS端末2に接続される上位サーバであるストアサーバ4の取引データファイルF1から抽出し,税率指定領域A22(当審注「A21」の誤記)でレポート出力が選択された所望の税率に応じた消費税額を再計算し,支払額目安レポートをプリンタ17から印字出力する(ステップS15)。」
・「【0075】
また,税額確認入力画面P1の商品コード入力領域A21および税率指定領域A22に対する入力の終了後に,ボタンB4が操作されると(ステップS14のYes),税額報知部32は,入力された商品コードで特定される商品が「EAT IN」または「TAKE OUT」である場合の商品の価格に対する消費税額を再計算し,支払額目安レポートをプリンタ17から印字出力する(ステップS15)。
・図10,図12には,以下の内容が示されている。



図10のフローチャートを参照すると, 「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下されない場合(ステップS11:No)には,税額確認キーが押下されるかが確認され(ステップ12),税額確認キーが押下されない(ステップ12:No)と,ステップS1に戻り,商品コード受付を待つことになり,税額確認キーが押下されると,税額確認入力画面を店員用ディスプレイ15に表示し(ステップS13),レポート出力ボタンが押下されると(ステップS14),レポートが出力される(ステップ15)ことが理解できる。

これらの記載事項からみて,引用文献1には,以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「POS端末2のキーボード13には,「EAT IN」キーや「TAKE OUT」キーや税額確認キーが配置されており,
所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には,標準税率を適用し,所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には,軽減税率(他の税率)を適用するため,商品コードの読み取りに先立って,「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No,ステップS11:Yes)には,商品コード受付部25は,ステップS1で読み取った商品コードに対して,持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し,店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないようにし,
販売登録部27はステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで,ステップS3またはステップS5またはステップS6において読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し,商品の販売価格として登録し(ステップS7),
表示制御部28は,店員用ディスプレイ15,客用ディスプレイ16に,販売登録部27が登録した各商品の商品名,価格,税込み価格,税率等を表示し(ステップS8),
現計キーが押下された場合(ステップS9:Yes)には,印刷制御部29は,店名や各商品の品名,価格,税込み価格,各商品に対する税率,1取引の合計金額,釣銭額等をレシートに印刷し,レシート発行口18からレシートを発行し(ステップS10),
「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下されない場合(ステップS11:No)には,税額確認キーが押下されるかが確認され(ステップ12),税額確認キーが押下されない(ステップ12:No)と,ステップS1に戻り,商品コード受付を待つことになり,税額確認キーが押下されると,税額確認入力画面を店員用ディスプレイ15に表示し(ステップS13),レポート出力ボタンが押下されると(ステップS14),レポートが出力される(ステップ15),
情報処理装置。」

(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。
・「【技術分野】
【0001】
本発明は,持ち帰り商品(テイクアウト商品)に対して確実にラベル(テイクアウトラベル)を発行することができる販売機,販売システム及び商品販売データ処理装置に関するものである。
・「【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は,テイクアウト商品に対してテイクアウトラベルを発行しないで商品を手渡してしまうことのない販売機,販売システム及び商品販売データ処理装置を提供することにある。」
・「【0078】
(2)客が購入しようとする商品の一部をテイクアウト商品とする場合 この場合も,まず商品登録画面D1中の商品表示部D1-1やセカンダリ表示部D1-2の各ボタンを押下・操作することで,所定の商品を選択する(ステップ2)。商品が選択されると,その商品がRAM337に記憶・登録される(ステップ3)。同時に,登録された商品が,リスト表示部D1-4にリスト表示される。一方ステップ2で,商品が選択されていない場合で,未だ商品登録が行われていない場合はステップ2に戻って商品が選択されるのを待ち,商品登録済の場合はステップ5に移行する(ステップ4)。」
・「【0079】
この例の場合,テイクアウトボタンD101は押下されないので,テイクアウト商品ボタンD103が押下されない以上は,ステップ5,7,9を介して,ステップ1に戻り,引き続き商品の登録が行われる。この例の場合は,まずサラダとディッシュランチとパスタランチを1つずつテイクアウト商品でなく入力する,次に,テイクアウト商品とするピザトーストを入力し,このときはその次にテイクアウト商品ボタンD103を押下する(ステップ7)。これによってピザトーストがテイクアウト商品に指定され,RAM337にはピザトーストがテイクアウト商品である旨が登録される(ステップ8)。次に,再びステップ2,3において,テイクアウト商品とするいちごロールケーキを入力し,このときもその次にテイクアウト商品ボタンD103を押下する(ステップ7)。これによっていちごロールケーキもテイクアウト商品に指定され,RAM337にその旨が登録される(ステップ8)。次に小計キーK3(又は商品登録画面D1中の小計ボタンD123)が押下されると(ステップ9),請求金額が,前記商品登録画面D1のリスト表示部D1-4に表示される(ステップ10)。図22はこのときの商品登録画面D1を示している。同図に示すようにこのときの商品登録画面D1のリスト表示部D1-4の商品リストの「ピザトースト」の下側と,「いちごロールケーキ」の下側には,それぞれ「≪テイクアウト≫」が表示される。
【0080】
そして入力部317からテンキーK1等を用いて預かり金額を入力し(ステップ11),最後に入力部317の現計キーK2(又は現計ボタンD121)を押下すると(ステップ12),図示しないドロワーが開き,会計処理(代金決済)が行われる(ステップ13)。
【0081】
会計処理が終わると,この例の場合はステップ14からステップ18に移行し,テイクアウト商品があるか否かを判断し(ステップ18),テイクアウト商品があるので,ステップ19に移行する。ステップ19では,図23に示すような,テイクアウト商品毎にその下部に「≪テイクアウト」の印字が施されたレシート425を,POSレジスタ310のレシート発行部319から発行する。同時に,この例の場合は,ラベルプリンタ360に対して各テイクアウト商品についてテイクアウトラベルを発行するように指示を出力する(ステップ20)。図24はテイクアウトラベル430の一例を示す図である。同図に示すように,各テイクアウトラベル430には,商品の名称,原材料名,製造年月日,消費期限などが印字されており,各テイクアウトラベル430間は,ハーフカット線C1によって切断可能に枚葉状に連結されている。さらに同時にこの例の場合も,何れかのキッチンプリンタ380に,調理指示シートの発行を指示するが,その際,テイクアウト商品にはテイクアウトマークMを付すように指示を出力する(ステップ21)。図25はこのときの調理指示シート435の一例を示す図である。各調理指示シート435はハーフカット線C2によって連結されており,テイクアウト商品にはテイクアウトマークMとして「★」が表示されている。これによって,キッチンでは,調理を依頼された商品の内の何れの商品がテイクアウト商品であるかを容易に認識することができ調理等することができる。これによって,一連の商品登録処理を終了する。そしてレシート425と共にテイクアウトラベル430を受け取った客は,その後調理された商品を受け取り,テイクアウト商品でない商品は店内で飲食し,テイクアウト商品については客自身又はその代りに店員がそのテイクアウト商品にテイクアウトラベル430を貼り付け,持ち帰る。このように,事前会計を行うような場合に,レシート425と共にテイクアウトラベル430を自動的に発行するように構成したので,忙しい時間帯や繁忙期などにおいても,持ち帰り商品に対してテイクアウトラベル430を発行することを忘れてしまうというような問題を防止できる。」
・「【0088】
またPOSシステム300は,客が買い上げる商品について,店内で飲食する商品,あるいは,持ち帰り商品であるか否かを選択する選択手段(テイクアウトボタンD101やテイクアウト商品ボタンD103等)を更に備え,制御手段は,客が買い上げる商品が選択手段で持ち帰り商品であると選択された商品である場合,テイクアウトラベルの発行を必要とする商品であると判断する。 即ち,テイクアウトラベルは,客が買い上げる商品のうち,持ち帰る商品であることが選択された商品に対してのみ選択的に発行される。これによって,客の要望に応じた臨機応変なテイクアウトラベルの発行対応を行うことができる。」
・図17?図19,図23には以下の内容が示されている。







そうすると,引用文献2には,以下の事項が記載されているといえる。
「持ち帰り商品(テイクアウト商品)に対して確実にラベル(テイクアウトラベル)を発行することができる商品販売データ処理装置であって,
客が買い上げる商品について,店内で飲食する商品,あるいは,持ち帰り商品であるか否かを選択する選択手段(テイクアウトボタンD101やテイクアウト商品ボタンD103等)を更に備え,制御手段は,客が買い上げる商品が選択手段で持ち帰り商品であると選択された商品である場合,テイクアウトラベルの発行を必要とする商品であると判断し,テイクアウトラベルは,客が買い上げる商品のうち,持ち帰る商品であることが選択された商品に対してのみ選択的に発行される商品販売データ処理装置。」

(3)引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には,次の事項が記載されている(以下,○の後の数字は,○の中に数字を入れたものを示す。)。
・「【0002】
【産業上の利用分野】本発明は,顧客のために合計金額等のデータを表示する表示部を備えたキャッシュレジスタのデータ表示方法に関する。
・「【0032】(b)第2の実施例の説明図4は本発明の第2の実施例構成図である。図中,図2で示したものと同一のものは,同一の記号で示してあり,72は小計メモリであり,主制御部7の計算した小計金額を格納しておくもの,63は小計表示部であり,顧客表示器6に設けられ,小計メモリ72の小計金額を表示するためのものである。
【0033】図5は本発明の第2の実施例処理フロー図である。○6キーボード3から登録開始指示を入力すると,主制御部7は,小計メモリ72を初期化(零クリア)する。
【0034】○7係員が,商品をバーコード・スキャナー5で読み取らせると,読み取られた商品コードが主制御部7に与えられる。主制御部7は,PLUファイル8を商品コードで参照し,対応する価格,商品名を求める。
【0035】主制御部7は,この価格,商品名を登録商品メモリ70に格納するとともに,顧客表示器6の商品名表示部60,商品単価表示部61に表示し,小計メモリ72の内容にその単価を加算して,小計メモリ72の内容を更新し,その小計メモリ72の内容を顧客表示器6の小計表示部63に表示する。
【0036】○8主制御部7は,キーボード3からの合計指示による商品登録終了かを判定し,商品登録終了でなければ,ステップ○7に戻る。
【0037】○9一方,キーボード3から合計指示があると,主制御部7は,合計金額を計算し,顧客表示器6の合計金額表示部60に表示し,顧客より代金を受けると,キーボード3より代金を入力し,主制御部7に釣り銭を計算させ,これを顧客表示部6の合計金額表示部60に表示する。
【0038】このようにして,各商品の登録時点での小計金額をリアルタイムで買い物客に伝えることができ,予算を超過して買い物を行った場合などの直前キャンセルの機会を与えることができる。」

引用文献3には,以下の事項が記載されている。
「72は小計メモリであり,主制御部7の計算した小計金額を格納しておくもの,63は小計表示部であり,顧客表示器6に設けられ,小計メモリ72の小計金額を表示するためのものであり,
主制御部7は,PLUファイル8を商品コードで参照し,対応する価格,商品名を求め,この価格,商品名を登録商品メモリ70に格納するとともに,顧客表示器6の商品名表示部60,商品単価表示部61に表示し,小計メモリ72の内容にその単価を加算して,小計メモリ72の内容を更新し,その小計メモリ72の内容を顧客表示器6の小計表示部63に表示する,
顧客のために合計金額等のデータを表示する表示部を備えたキャッシュレジスタ。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,後者の「表示制御部28」は前者の「表示制御手段」に相当し,以下同様に,「『EAT IN』キーや『TAKE OUT』キー」は「商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キー」に,相当する。
後者の「情報処理手段」は「販売登録部27が登録した各商品の商品名,価格,税込み価格,税率等」を処理するものであるから前者の「売上データ処理装置」に相当する。
後者の「販売登録部27はステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで,ステップS3またはステップS5またはステップS6において読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し,商品の販売価格として登録し(ステップS7),表示制御部28は,店員用ディスプレイ15,客用ディスプレイ16に,販売登録部27が登録した各商品の商品名,価格,税込み価格,税率等を表示」する「表示制御部28」と前者の「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に一取引における税込小計金額を,商品毎に所
定の税率を適用して更新表示させる表示制御手段」とは「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に税込金額を,商品毎に所定の税率を適用して表示させる表示制御手段」において共通する。
後者の「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には,標準税率を適用し,所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には,軽減税率(他の税率)を適用するため,商品コードの読み取りに先立って,「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No,ステップS11:Yes)には,商品コード受付部25は,ステップS1で読み取った商品コードに対して,持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し,店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないようにし,
販売登録部27はステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで,ステップS3またはステップS5またはステップS6において読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し,商品の販売価格として登録し(ステップS7),
表示制御部28は,店員用ディスプレイ15,客用ディスプレイ16に,販売登録部27が登録した各商品の商品名,価格,税込み価格,税率等を表示」することと,前者の「前記表示制御手段は,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し,且つ,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより,前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように,前記税込小計金額を更新表示させること」とは,「前記表示制御手段は,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には,前記操作キーに対する操作に応じて前記税込金額の値が異なるように,前記税込金額を表示させる」ことにおいて共通する。
そうすると,両者は,
「売上登録する商品の指定を受け付ける毎に税込金額を,商品毎に所定の税率を適用して表示させる表示制御手段と,
商品の取引を所定の取引形態として指定するための操作キーと,
を備え,
前記表示制御手段は,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には,前記操作キーに対する操作に応じて前記税込金額の値が異なるように,前記税込金額を表示させる,売上データ処理装置。」
の点で一致し,以下の各点で相違する。
<相違点1>
売上登録する商品の指定を受け付ける毎に税込金額を,商品毎に所定の税率を適用して表示させる表示制御手段に関して,本願発明1では,売上登録する商品の指定を受け付ける「毎に一取引における税込小計金額を」,商品毎に所定の税率を適用して「更新表示」させる表示制御手段であるのに対して,引用発明では,「販売登録部27はステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで,ステップS3またはステップS5またはステップS6において読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し,商品の販売価格として登録し(ステップS7),」「店員用ディスプレイ15,客用ディスプレイ16に,販売登録部27が登録した各商品の商品名,価格,税込み価格,税率等を表示」する「表示制御部28」である点。
<相違点2>
前記表示制御手段は,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には,前記操作キーに対する操作に応じて前記税込金額の値が異なるように,前記税込金額を表示させることに関して,本願発明1では,前記表示制御手段は,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて「前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し,且つ,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより,前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように,前記税込小計金額を更新表示させる」のに対して,引用発明では,「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には,標準税率を適用し,所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には,軽減税率(他の税率)を適用するため,商品コードの読み取りに先立って,「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No,ステップS11:Yes)には,商品コード受付部25は,ステップS1で読み取った商品コードに対して,持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し,店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないようにし,販売登録部27はステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで,ステップS3またはステップS5またはステップS6において読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し,商品の販売価格として登録し(ステップS7),表示制御部28は,店員用ディスプレイ15,客用ディスプレイ16に,販売登録部27が登録した各商品の商品名,価格,税込み価格,税率等を表示」した点。
(2)相違点の判断
事案に鑑み,まず,相違点2について検討する。
引用発明では,「商品コードの読み取りに先立って,「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No,ステップS11:Yes)には,商品コード受付部25は,ステップS1で読み取った商品コードに対して,持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し,店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないように」するものであるが,「「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下されない場合(ステップS11:No)には,税額確認キーが押下されるかが確認され(ステップ12),税額確認キーが押下されない(ステップ12:No)と,ステップS1に戻り,商品コード受付を待つことになり,税額確認キーが押下されると,税額確認入力画面を店員用ディスプレイ15に表示し(ステップS13),レポート出力ボタンが押下されると(ステップS14),レポートが出力される(ステップ15)」ものである。
そうすると,引用発明では,「TAKE OUT」キー,「EAT IN」キーのいずれの操作キーも押下されない場合に,税額確認を行うことには,技術的に意味があるから,引用発明において,前記操作キーが押下されない場合に,本願発明1の「操作キーの操作が省かれた商品に対して,第1の税率とは異なる第2の税率を適用する前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように,前記税込小計金額を更新表示させる」ことには,阻害要因があるといえる。
また,引用文献2に記載された事項は,先に述べたように,
「持ち帰り商品(テイクアウト商品)に対して確実にラベル(テイクアウトラベル)を発行することができる商品販売データ処理装置であって,
客が買い上げる商品について,店内で飲食する商品,あるいは,持ち帰り商品であるか否かを選択する選択手段(テイクアウトボタンD101やテイクアウト商品ボタンD103等)を更に備え,制御手段は,客が買い上げる商品が選択手段で持ち帰り商品であると選択された商品である場合,テイクアウトラベルの発行を必要とする商品であると判断し,テイクアウトラベルは,客が買い上げる商品のうち,持ち帰る商品であることが選択された商品に対してのみ選択的に発行される商品販売データ処理装置。」
であり,テイクアウト商品に対して確実にテイクアウトラベルを発行することを目的とするものであって,テイクアウト商品にのみ注目するものであり,店内で飲食する商品とテイクアウト商品にかかる税金の差異について,何ら意識するものではない。
これは,引用文献2には,明細書中に税金についての記載がなく,図21,図23には,内税8%との記載があるが,例えば,図23では,テイクアウト商品(ピザトースト,イチゴロールケーキ)と店内で飲食する商品(サラダ,デッシュランチ,パスタランチ)に係る税率が,内税8%で区別がないことから,店内で飲食する商品とテイクアウト商品にかかる税金の差異について,何ら意識するものではないといえる。
引用文献3には,前述のように,
「72は小計メモリであり,主制御部7の計算した小計金額を格納しておくもの,63は小計表示部であり,顧客表示器6に設けられ,小計メモリ72の小計金額を表示するためのものであり,
主制御部7は,PLUファイル8を商品コードで参照し,対応する価格,商品名を求め,この価格,商品名を登録商品メモリ70に格納するとともに,顧客表示器6の商品名表示部60,商品単価表示部61に表示し,小計メモリ72の内容にその単価を加算して,小計メモリ72の内容を更新し,その小計メモリ72の内容を顧客表示器6の小計表示部63に表示する,
顧客のために合計金額等のデータを表示する表示部を備えたキャッシュレジスタ。」
が記載されており,POSの技術分野において,商品の指定を受け付ける毎に一取引における小計金額を更新表示させることは,常套手段にすぎない。

しかしながら,相違点2に係る本願発明1の構成とすることに阻害要因のある引用発明に,商品を店内で飲食するか,テイクアウトするかによる税率の違いを全く意識していない引用文献2に記載された事項を適用することには,動機付けがなく,引用文献3に例示された常套手段を適用しても,「前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し,且つ,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより,前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように」する構成には至らないから,相違点2に係る本願発明1の構成とすることは,当業者であっても容易に想到し得るものではない。
したがって,相違点1について検討するまでもなく,本願発明1は,引用発明,引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項に基いて,当業者が,容易に発明をすることができたものではない。

2.本願発明2,3について
本願発明2,3は,本願発明1の発明特定事項を全て含み,さらに限定して発明を特定するものであるから,本願発明1と同じ理由により,引用発明,引用文献2に記載された事項及び引用文献3記載された事項に基いて当業者が容易に発明をできたものではない。

3.本願発明4について
本願発明4は,本願発明1の「税込小計金額」をすべて「消費税合計額」としたものである。
本願発明1と引用発明との対比を踏まえて,本願発明4と引用発明とを対比すると,両者は,以下の各点で相違し,残余の点で一致する。
<相違点1’>
本願発明4では,売上登録する商品の指定を受け付ける「毎に一取引における消費税合計額を」,商品毎に所定の税率を適用して「更新表示」させる表示制御手段であるのに対して,引用発明では,「販売登録部27はステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで,ステップS3またはステップS5またはステップS6において読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し,商品の販売価格として登録し(ステップS7),」「店員用ディスプレイ15,客用ディスプレイ16に,販売登録部27が登録した各商品の商品名,価格,税込み価格,税率等を表示」する「表示制御部28」である点。
<相違点2’>
本願発明4では,前記表示制御手段は,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて「前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し,且つ,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより,前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように,前記消費税合計額を更新表示させる」のに対して,引用発明では,「所定の商品を店内で食べる(EAT IN)場合には,標準税率を適用し,所定の商品を持ち帰る(TAKE OUT)場合には,軽減税率(他の税率)を適用するため,商品コードの読み取りに先立って,「EAT IN」キーまたは「TAKE OUT」キーが押下された場合(ステップS1:No,ステップS11:Yes)には,商品コード受付部25は,ステップS1で読み取った商品コードに対して,持ち帰る(TAKE OUT)場合には付加情報を付加し,店内で食べる(EAT IN)場合には付加情報を付加しないようにし,販売登録部27はステップS1で受付けた商品コードに対する商品名や価格を商品マスタM1から読み込んで,ステップS3またはステップS5またはステップS6において読み込んだ税率を商品の価格に適用して税込み価格を計算し,商品の販売価格として登録し(ステップS7),表示制御部28は,店員用ディスプレイ15,客用ディスプレイ16に,販売登録部27が登録した各商品の商品名,価格,税込み価格,税率等を表示」した点。
(2)相違点の判断
事案に鑑み,まず,相違点2’について検討する。
本願発明1の相違点2と同様に,相違点2’に係る本願発明4の構成とすることに阻害要因のある引用発明に,商品を店内で飲食するか,テイクアウトするかによる税率の違いを全く意識していない引用文献2に記載された事項を適用することには,動機付けがなく, 引用文献3に例示された常套手段を適用しても,「前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し,且つ,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより,前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように」する構成には至らないから,相違点2’に係る本願発明4の構成とすることは,当業者であっても容易に想到し得るものではない。
したがって,相違点1’について検討するまでもなく,本願発明4は,引用発明,引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項に基いて,当業者が,容易に発明をすることができたものではない。

4.本願発明5について
本願発明5は,本願発明4の発明特定事項を全て含み,さらに限定して発明を特定するものであるから,本願発明4と同じ理由により,引用発明,引用文献2に記載された事項及び引用文献3記載された事項に基いて当業者が容易に発明をできたものではない。

5.本願発明6について
本願発明6は,上記相違点2に係る本願発明1の構成と同じ「前記表示制御手段は,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し,且つ,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより,前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記税込小計金額の値が異なるように,前記税込小計金額を更新表示させる」構成を有するものである。
そうすると,本願発明6は,本願発明1と同様に,引用発明,引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項に基いて,当業者が,容易に発明をすることができたものではない。

6.本願発明7について
本願発明7は,上記相違点2’に係る本願発明4の構成と同じ「前記表示制御手段は,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けて前記操作キーが操作された場合には当該商品に対しては第1の税率を適用し,且つ,売上登録する商品の指定を受け付けた際に当該商品に対応付けた前記操作キーの操作が省かれた商品に対しては前記第1の税率とは異なる第2の税率を適用することにより,前記操作キーに対する操作の有無に応じて前記消費税合計額の値が異なるように,前記消費税合計額を更新表示させる」構成を有するものである。
そうすると,本願発明7は,本願発明4と同様に,引用発明,引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された事項に基いて,当業者が,容易に発明をすることができたものではない。

第6 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-10-20 
出願番号 特願2016-41220(P2016-41220)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G07G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 泰二郎  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 氏原 康宏
藤井 昇
発明の名称 売上データ処理装置およびプログラム  

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