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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1367958
審判番号 不服2019-13842  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-17 
確定日 2020-11-12 
事件の表示 特願2018- 1569「ゲーム装置、ゲームシステム、ゲームプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月21日出願公開、特開2018- 94431〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年8月12日に出願した特願2014-164516号の一部を平成30年1月10日に新たな特許出願としたものであって、平成30年2月6日に手続補正書が提出され、同年12月6日付けで拒絶理由が通知され、平成31年2月22日に意見書が提出されるとともに、手続補正書が提出され、令和1年7月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである


第2 令和1年10月17日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和1年10月17日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、平成31年2月22日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1乃至13を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至13へと補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトの少なくともいずれかが関連付けられたアイテムを管理するアイテム管理部と、
ユーザ操作に基づいて、複数のアイテムを前記対戦ゲームで用いるアイテムとして登録を受け付ける登録受付部と、
前記登録されたアイテムに関連付けられた実行コマンドオブジェクト及び変化コマンドオブジェクトを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いて所定の処理を実行するコマンド実行部と、
を備えるゲーム装置。
【請求項2】
前記画像出力部は、前記アイテムのうちランダムに選択されたアイテムに関連付けられている実行コマンドオブジェクト又は変化コマンドオブジェクトを表示する、
請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記対戦ゲームはユーザが操作するプレイヤキャラクターと敵キャラクターとの対戦ゲームであり、
前記コマンド実行部は、前記実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第3情報とプレイヤキャラクターに関連付けられた第3情報とが一致するか否かによって、所定の処理の効果を異ならせる、
請求項1?2のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項4】
対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトとを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いた所定の処理を実行するコマンド実行部と、
を備えるゲーム装置。
【請求項5】
前記画像出力部は、前記受付部により選択を受け付けた変化コマンドオブジェクトを非表示にする、
請求項4に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記変化コマンドオブジェクトから前記実行コマンドオブジェクトへのドラッグ操作により選択を受け付ける、
請求項4?5のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記コマンド実行部は、前記受付部における選択を受け付けたか否かに関わらず、実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作があると所定の処理を実行する、
請求項4?6のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記画像出力部は、前記受付部により選択された実行コマンドオブジェクトと、前記受付部により選択されていない実行コマンドオブジェクトとを、視覚的に区別可能な態様で表示させる、
請求項4?7のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項9】
前記対戦ゲームはユーザが操作するプレイヤキャラクターと敵キャラクターとの対戦ゲームであり、
前記コマンド実行部は、前記実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第3情報とプレイヤキャラクターに関連付けられた第3情報とが一致するか否かによって、所定の処理の効果を異ならせる、
請求項4?8のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項10】
ゲーム装置を動作させるプログラムであって、
対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトの少なくともいずれかが関連付けられたアイテムを管理するアイテム管理部と、
ユーザ操作に基づいて、複数のアイテムを前記対戦ゲームで用いるアイテムとして登録を受け付ける登録受付部と、
前記登録されたアイテムに関連付けられた実行コマンドオブジェクト及び変化コマンドオブジェクトを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いて所定の処理を実行するコマンド実行部と、
として前記ゲーム装置を機能させるプログラム。
【請求項11】
ゲーム装置を動作させるプログラムであって、
対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトとを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いた所定の処理を実行するコマンド実行部と、
として前記ゲーム装置を機能させるプログラム。
【請求項12】
対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトの少なくともいずれかが関連付けられたアイテムを管理するアイテム管理部と、
ユーザ操作に基づいて、複数のアイテムを前記対戦ゲームで用いるアイテムとして登録を受け付ける登録受付部と、
前記登録されたアイテムに関連付けられた実行コマンドオブジェクト及び変化コマンドオブジェクトを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いて所定の処理を実行するコマンド実行部と、
を備える、端末と該端末と通信する管理装置とからなるゲームシステム。
【請求項13】
対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトとを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いた所定の処理を実行するコマンド実行部と、
を備える、端末と該端末と通信する管理装置とからなるゲームシステム。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】 対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第1情報に影響を与えない第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトの少なくともいずれかが関連付けられたアイテムを管理するアイテム管理部と、
ユーザ操作に基づいて、複数のアイテムを前記対戦ゲームで用いるアイテムとして登録を受け付ける登録受付部と、
前記登録されたアイテムに関連付けられた実行コマンドオブジェクト及び変化コマンドオブジェクトを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いて所定の処理を実行するコマンド実行部と、
を備えるゲーム装置。
【請求項2】 前記画像出力部は、前記アイテムのうちランダムに選択されたアイテムに関連付けられている実行コマンドオブジェクト又は変化コマンドオブジェクトを表示する、
請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】 前記対戦ゲームはユーザが操作するプレイヤキャラクターと敵キャラクターとの対戦ゲームであり、
前記コマンド実行部は、前記実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第3情報とプレイヤキャラクターに関連付けられた第3情報とが一致するか否かによって、所定の処理の効果を異ならせる、
請求項1?2のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項4】 対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第1情報に影響を与えない第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトとを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いた所定の処理を実行するコマンド実行部と、
を備えるゲーム装置。
【請求項5】 前記画像出力部は、前記受付部により選択を受け付けた変化コマンドオブジェクトを非表示にする、
請求項4に記載のゲーム装置。
【請求項6】 前記受付部は、前記変化コマンドオブジェクトから前記実行コマンドオブジェクトへのドラッグ操作により選択を受け付ける、
請求項4?5のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項7】 前記コマンド実行部は、前記受付部における選択を受け付けたか否かに関わらず、実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作があると所定の処理を実行する、
請求項4?6のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項8】 前記画像出力部は、前記受付部により選択された実行コマンドオブジェクトと、前記受付部により選択されていない実行コマンドオブジェクトとを、視覚的に区別可能な態様で表示させる、
請求項4?7のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項9】 前記対戦ゲームはユーザが操作するプレイヤキャラクターと敵キャラクターとの対戦ゲームであり、
前記コマンド実行部は、前記実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第3情報とプレイヤキャラクターに関連付けられた第3情報とが一致するか否かによって、所定の処理の効果を異ならせる、
請求項4?8のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項10】 ゲーム装置を動作させるプログラムであって、対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第1情報に影響を与えない第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトの少なくともいずれかが関連付けられたアイテムを管理するアイテム管理部と、
ユーザ操作に基づいて、複数のアイテムを前記対戦ゲームで用いるアイテムとして登録を受け付ける登録受付部と、
前記登録されたアイテムに関連付けられた実行コマンドオブジェクト及び変化コマンドオブジェクトを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いて所定の処理を実行するコマンド実行部と、
として前記ゲーム装置を機能させるプログラム。
【請求項11】 ゲーム装置を動作させるプログラムであって、
対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第1情報に影響を与えない第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトとを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いた所定の処理を実行するコマンド実行部と、
として前記ゲーム装置を機能させるプログラム。
【請求項12】対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第1情報に影響を与えない第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトの少なくともいずれかが関連付けられたアイテムを管理するアイテム管理部と、
ユーザ操作に基づいて、複数のアイテムを前記対戦ゲームで用いるアイテムとして登録を受け付ける登録受付部と、
前記登録されたアイテムに関連付けられた実行コマンドオブジェクト及び変化コマンドオブジェクトを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いて所定の処理を実行するコマンド実行部と、
を備える、端末と該端末と通信する管理装置とからなるゲームシステム。
【請求項13】 対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第1情報に影響を与えない第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトとを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いた所定の処理を実行するコマンド実行部と、
を備える、端末と該端末と通信する管理装置とからなるゲームシステム。」


2 補正の適否(新規事項の追加の有無について)について
本件補正により、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1、4、10乃至13には、「実行コマンドオブジェクトに第1情報に影響を与えない第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクト」との事項が特定された(以下「補正事項」という。)。
これに対し、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、以下の記載がある。
「【0021】
本実施形態の対戦バトルは、ユーザ操作により選択されたコマンドに基づき進行する。「コマンド」とは、ユーザ操作に応じて発せられるコンピュータに与える命令である。本実施形態では対戦ゲームの進行に係る処理についての命令である。具体的には、コマンドには、実行コマンド及び変化コマンドが含まれる。「実行コマンド」とは、ユーザ操作に応じて実行コマンド効果を得るコマンドである。「実行コマンド効果」とは、実行コマンドの実行時に対戦ゲーム上の所定の効果として得られる効果である。例えば、実行コマンドと予め関連付けされた対戦ゲーム上の所定の効果である。具体的には、プレイヤーキャラクターのパラメータ値や敵キャラクターのパラメータ値を変更する効果である。以下では、実行コマンドが攻撃コマンドである場合を説明するが、実行コマンドは攻撃コマンドに限定されない。
【0022】
一方、「変化コマンド」とは、ユーザ操作に応じて実行コマンド効果に所定の変化を与えるコマンドである。例えば、変化コマンドは、実行コマンドと組み合わされることで、当該組み合わされた実行コマンドの所定のゲーム上の効果に所定の変化を与える効果を奏する。「実行コマンド効果に所定の変化を与える」とは、実行コマンド効果を異なる効果へ変更することをいう。例えば、実行コマンド効果の効果内容の変更(ゲーム上の効果の付加など)、効果回数の変更、実行コマンド効果によって変化するパラメータ値の変化量の増減などである。具体的には、例えば実行コマンドが攻撃コマンドである場合には、攻撃効果に敵キャラクターのステータスを毒状態にする効果を付与すること、攻撃効果を複数回の攻撃効果へと変更すること、攻撃効果を増加させることなどである。すなわち、変化コマンドの例としては、2回の連続攻撃効果を得ることができる二連撃、2倍の攻撃効果を得ることができる二倍撃、敵キャラクターのステータスを毒状態にする毒攻撃などである。なお、変化コマンドは、実行コマンドと組み合わされることなく単体で実行されても所定のゲーム上の効果を奏さないコマンドとしてもよい。以下では、変化コマンドが攻撃コマンドを強化する強化コマンドである場合を例に説明するが、変化コマンドは強化コマン(当審注:「強化コマンド」の誤記と認める。)に限定されない。また、以下では、「強化コマンドにより攻撃コマンド効果の効果内容が変更された攻撃コマンド」を、「進化コマンド」ともいう。」
「【0031】
装備管理部330は、CPU31が記憶部32内のプログラムを実行し、該プログラムに従って制御することで実現される。装備管理部330は、例えば、サーバ側送受信部310を介して携帯端末10の表示部111に装備アイテムの登録に関するゲーム画像を表示させ、サーバ側送受信部310を介して装備アイテム(アイテムの一例)の登録に関するユーザ操作を取得する。「装備アイテム」とは、プレイヤーがバトルで用いるために登録することができるアイテムである。アイテムとは、プレイヤーがゲームで用いることにより、ゲーム上で所定の効果を奏する武器、道具、回復薬などである。ここでは、装備アイテムとコマンドとが関連付けされており、装備アイテムに応じてユーザが選択し得るコマンドが決定される。ユーザは、装備アイテムをバトル前に予め登録しておき、登録された装備アイテムに関連したコマンドを用いてバトルを行う。つまり、本実施形態では、攻撃コマンド(実行コマンドの一例)及び強化コマンド(変化コマンドの一例)は、ユーザ操作によって予め登録されたアイテムに関連付けされている。「ユーザ操作によって予め登録されたアイテム」とは、バトル開始前にユーザが選択して登録したアイテムであり、例えば、プレイヤーに関連して登録されたアイテムである。具体的には、装備管理部330により取得された、装備の登録に関するユーザ操作によって決定されたアイテムである。
【0032】
装備管理部330は、携帯端末10の表示部111に装備アイテムの登録に関するゲーム画像を表示させるために、例えば装備アイテムテーブルTBL101を参照する。装備アイテムテーブルTBL101は、装備アイテムの識別子と、攻撃コマンド又は強化コマンドとを関連付けするテーブルである。図5は、装備アイテムテーブルTBL101の一例を示す図である。図5に示すように、装備アイテムテーブルTBL101は、アイテムの識別子である「アイテムID」、攻撃コマンドの識別子である「攻撃方法」、強化コマンドの識別子である「スキルID」の項目を含み、「アイテムID」と「攻撃方法」、又は、「アイテムID」と「スキルID」とが関連付けされている。
【0033】
まず、攻撃コマンドと関連付けされた装備アイテムを説明する。例えば、アイテムID「0001」には、攻撃コマンドの識別子である攻撃方法として「斬撃」が関連付けされている。例えば、アイテムID「0005」には、攻撃コマンドの識別子である攻撃方法として「突撃」が関連付けされている。すなわち、ユーザが装備するアイテムのアイテムIDに応じてユーザがバトルにおいて使用可能な攻撃コマンドが決定される。例えば、アイテムIDが「0001」のアイテムが装備された場合には、ユーザがバトルにおいて「斬撃」を攻撃コマンドとして使用することができる。
【0034】
次に、強化コマンドと関連付けされた装備アイテムを説明する。図5に示すように、アイテムID「0002」には、強化コマンドの識別子であるスキルIDとして「04」が関連付けされている。また、アイテムID「0003」には、強化コマンドの識別子であるスキルIDとして「05」が関連付けされている。
【0035】
「スキルID」は、例えば、別のテーブルにおいて、強化コマンドの詳細と関連付けされている。図6は、スキルテーブルの一例を示す図である。図6に示すように、スキルテーブルTBL102は、強化コマンドの識別子である「スキルID」、スキルの名称である「スキル名」、強化コマンドによるステータスへの影響を示す「影響ステータス」及び攻撃の回数である「攻撃回数」の項目を含む。つまり、「スキル名」、「影響ステータス」及び「攻撃回数」は、強化コマンドの識別子である「スキルID」とそれぞれ関連付けされている。「影響ステータス」の詳細については後述する。例えば、スキルID「01」には、スキル名として「毒攻撃」、影響ステータスとして「01(毒状態)」、攻撃回数として「1」が関連付けされている。つまり、スキルIDが「01」である場合、1回の毒攻撃により敵キャラクターを毒状態とする。また、例えばスキルID「02」には、スキル名として「2連撃」、攻撃回数として「2」が関連付けされている。つまり、スキルIDが「02」である場合、敵キャラクターを2回攻撃する。また、例えば、スキルID「03」には、スキル名として「AA攻撃」、影響ステータスとして「02(AA状態)」、攻撃回数として「1」が関連付けされている。つまり、スキルIDが「03」である場合、1回のAA攻撃により敵キャラクターをAA状態とする。また、例えば、スキルID「04」には、スキル名として「カウンター」、攻撃回数として「1」が関連付けされている。つまり、スキルIDが「04」である場合、敵キャラクターからの攻撃に対して1回のカウンターを発動させる。また、例えば、スキルID「5」には、スキル名として「3連撃」、攻撃回数として「3」が関連付けされている。つまり、スキルIDが「05」である場合、敵キャラクターを3回攻撃する。このように、強化コマンドは、「スキルID」を識別子として処理の詳細が設定されている。」
「【0044】
図4に戻り、画像出力部340を説明する。画像出力部340は、CPU31が記憶部32内のプログラムを実行することで実現される。画像出力部340は、攻撃コマンド(実行コマンドの一例)及び強化コマンド(変化コマンドの一例)それぞれを、攻撃操作ボタン及び強化操作ボタン(選択可能なオブジェクトの一例)として1の領域内に表示するゲーム画像を生成するデータを出力する。「オブジェクト」とは、ゲーム画像上で視覚的に識別可能な仮想物体である。「選択可能なオブジェクト」とは、ユーザ操作の対象となるゲーム画像上の仮想物体である。つまり、ユーザがゲーム画像を用いてユーザ操作により選択することができるオブジェクトである。「1の領域内」とは、ゲーム画像上における1の範囲内である。例えば、1の範囲は、ゲーム画像を表示する画面上に同時に表示される範囲である。つまり、攻撃操作ボタン及び強化操作ボタンは1のゲーム画像上に表示される。「1のゲーム画像上に表示」とは、例えば、画面遷移することなく(携帯端末10の記憶部12におけるゲーム画像を記憶した領域が更新されることなく)攻撃操作ボタン及び強化操作ボタンがゲーム画像上に同時に表示されることである。画像出力部340は、攻撃コマンド表示管理テーブルTBL105及び強化コマンド表示管理テーブルTBL106、敵キャラクタステータス管理テーブルTBL108を参照し、攻撃コマンドのオブジェクト、強化コマンドのオブジェクト及び敵キャラクターのパラメータ値を含むゲーム画像を携帯端末10の表示部111に出力する。」
「【0046】
画像出力部340は、攻撃コマンド表示管理テーブルTBL105及び強化コマンド表示管理テーブルTBL106、敵キャラクタステータス管理テーブルTBL108を参照することで、対戦ゲームのゲーム画像を出力することができる。図12は、対戦ゲームのゲーム画像の一例を示す図である。図12のゲーム画像Gは、携帯端末10の表示部111に表示される画像である。図12に示すように、ゲーム画像Gの中央に敵キャラクターが存在し、ゲーム画像Gの上部に、敵キャラクターのパラメータ値(ここではヒットポイント)が表示されている。画像出力部340は、敵キャラクタステータス管理テーブルTBL108を参照することで、ヒットポイント値を取得し、ゲーム画像Gを出力する。また、ゲーム画像Gの下部には、攻撃コマンドの攻撃操作ボタンP1、及び、強化コマンドの強化操作ボタンP2が並べて表示されている。画像出力部340は、攻撃コマンド表示管理テーブルTBL105を参照することで、「攻撃コマンドスロットID」に対応した攻撃コマンドの攻撃操作ボタンP1をゲーム画像Gに表示する。同様に、画像出力部340は、強化コマンド表示管理テーブルTBL106を参照することで、「強化コマンドスロットID」に対応した強化コマンドの強化操作ボタンP2をゲーム画像Gに表示する。
【0047】
画像出力部340は、複数の攻撃コマンド(実行コマンドの一例)それぞれの攻撃操作ボタンP1(オブジェクトの一例)からなるグループGR1(グループの一例)と複数の強化コマンド(変化コマンドの一例)それぞれの強化操作ボタンP2(オブジェクトの一例)からなるグループGR2(グループの一例)とを視覚的に区別可能な態様で表示してもよい。「視覚的に区別可能な態様」とは、ユーザが視認して区別できる態様であることをいう。つまり、実行コマンドのグループと変化コマンドのグループとが異なるグループであるとユーザが視認することができる態様ことをいう。例えば、グループGR1とグループGR2とが間隔を空けて表示されること、グループごとに所定の規則に従って並ぶこと(縦に並ぶ、余横に並ぶ、環状に並ぶなど)、グループごとに囲い表示がなされること、グループごとに背景色が割り当てられることなどは、グループGR1とグループGR2が「視覚的に区別可能な態様」の一例である。攻撃操作ボタンP1からなるグループGR1と強化操作ボタンP2からなるグループGR2とを視覚的に区別可能な態様とすることで、ユーザは性質の互いに異なるコマンドを1のゲーム画像上に視認することができる。そして、ユーザは、攻撃操作ボタンP1と強化操作ボタンP2とをグループごとに把握することができるので、組合せ元となる強化操作ボタンP2と組合せ先となる攻撃操作ボタンP1とを区別して把握でき、組合せパターンを考えやすくなる。」
当初明細書等の記載から、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の「実行コマンド」、「第1情報」、「第2情報」、「第2情報が関連付けられた情報」、「変化コマンド」とは、それぞれ、発明の詳細な説明に記載の実施例における「攻撃コマンド」、「攻撃方法」、「『スキル名』、『影響ステータス』及び『攻撃回数』」、「スキルID」、「強化コマンド」を指すものと認められ、また、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の「実行コマンドオブジェクト」及び「変化コマンドオブジェクト」とは、それぞれ、「『攻撃コマンド』に対応する『攻撃操作ボタンP1』」及び「『強化コマンド』に対応する『強化操作ボタンP2』」を指すものと認められる。
ここで、「スキルID」と「『スキル名』、『影響ステータス』及び『攻撃回数』」とが関連付けられたスキルテーブルTBL102をみると、「スキルID」が「02」、「04」及び「05」の「スキル名」は、それぞれ「2連撃」、「カウンター」及び「3連撃」であって、攻撃コマンドを強化する強化コマンドであるといえる。そうすると、「『2連撃』、『カウンター』及び『3連撃』(第2情報)」は、「装備アイテムテーブルTBL101における「攻撃方法(第1情報)」に対して影響を与えるものと認められる。
また、「スキルID」が「01」及び「03」の「スキル名」は、それぞれ「毒攻撃」及び「AA攻撃」というものであって、その「スキル名」のとおり攻撃を目的とした強化コマンドであることは明らかであるのだから、攻撃コマンドを強化する強化コマンドであるといえる。そうすると、「『毒攻撃』及び『AA攻撃』(第2情報)」は、いずれも、装備アイテムテーブルTBL101における「攻撃方法(第1情報)」に対して影響を与えるものと認められる。
そうすると、当初明細書等には、「『攻撃コマンド』に対応する『攻撃操作ボタンP1』(実行コマンドオブジェクト)」に「攻撃方法(第1情報)」に影響を与える「『スキル名』、『影響ステータス』及び『攻撃回数』(第2情報)」を関連付けるための「スキルID(情報)」が関連付けられた「『強化コマンド』に対応する『強化操作ボタンP2』(変化コマンドオブジェクト)」が関連付けられた「装備アイテム(アイテム)」は記載されているものの、実行コマンドオブジェクトに第1情報に影響を与えない第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトが関連付けられたアイテムというものは、記載も示唆もされていない。
そうすると、補正事項は、当初明細書等に記載されているとはいえないし,技術常識を勘案しても,その点が当初明細書等の記載から導き出せる根拠も見出せない。

以上のことから、補正事項である「実行コマンドオブジェクトに第1情報に影響を与えない第2情報」との事項は、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等の記載から自明なものともいえないから、本件補正は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

以上のとおり、本件補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3 独立特許要件について
以上のように、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるが、仮に本件補正に含まれる上記補正事項が当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとして補正されたとした場合には,請求項4に係る補正は,同条第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、本件補正後の請求項4に係る発明(令和1年10月17日に提出された手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】乃至【請求項13】(以下、それぞれ「本願補正発明1」乃至「本願補正発明13」という。)における本願補正発明4が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)本願補正発明4
本願補正発明4は、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項4】に記載したとおりのものと認める。

(2)引用例
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由において引用された「ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人,日本,株式会社バンダイ,1990年,第6-7頁、第14-15頁,[online],[検索日2018年12月6日],URL,https://www.nintendo.co.jp/clvj/manuals/pdf/CLV-P-HBAFJ.pdf」(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 なお、引用例1は、1990年10月27日に発売されたファミリーコンピュータ^(TM)で使用するゲームソフト「ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人」の説明書であるので、本願の分割原出願の出願日(平成26年8月12日)前に頒布された刊行物であると認められる。
(ア)「ファミリーコンピュータ^(TM)
DRAGONBALL Z
ドラゴンボール
強襲!サイヤ人 BANDAI」(表紙)
(イ)「このゲームには4つのモードがあるぞ!
自由にルートの取れるマップや3Dの迫力で迫るバトル、時には単独行動、時にはパーティでとPLAYERの、自由度、楽しさが数段アップしたぞ!
マップモード
カードの星の数を使って移動。ルートの取り方は自由、一緒に行動したり、別々のルートを通ったりすることができます。
バトルモード
スピーディーなノーマルバトル、パーティバトル、迫力満点の必殺攻撃と多彩な3Dバトルシーンが、楽しめます。」(4頁)
(ウ)「カードの見かた

A)丸星1(丸囲いの星の数を「丸星数字」で表す。以下同様。)?丸星7、丸Z(丸囲い文字を「丸文字」で表す。以下同様。)までの星の数…数値的には、1?7、8

・バトルモードでは、その時の攻撃力になります。
…」(6頁)
(エ)「ゲームスタート
まずファミコン本体にROMカセットを正しくセットしてから、電源スイッチをONにすると、
写真のようなタイトル画面になります。 続いてSTARTボタンを押すと選択画面になるので、白抜き+(白抜き十字を「白抜き+」と表記する。)ボタンの上下で、新しくゲームする場合は「ゲームスタート」前回の続きをする湯合は「コンティニュー」、サプゲームをする場合は「てんかいち」を選択し、Aポタンで決定します。…」(8頁)
(オ)「マップモード

黒丸(黒い丸を「黒丸」と表記する。以下同様。)画面下の5枚のカードがPLAYERのカードです。選択したカードの星の数だけ、白抜き+ボタンで好きな方向にPLAYERのメンバーを動かすことができます。…」(12頁)
(カ)「バトルモード
マップ上で敵に出会うと面面に敵の姿が表示され、バトルモードが始まります。

バトルにおいては、各メンバーが選択したカードの攻撃力(星の数)、防御力(漢字の数)とBP(戦闘力)の他に、各メンバーが持っている技攻撃力、基本防御力等が影響します。
基本的には、BPの影響力が最も大きくバトルの結果に出てきます。
丸1(丸囲い数字を「丸数字」と表記する。以下同様。)コマンドを選択します。
・せんとう…敵との戦闘に突入します。
・カード……お助けカードを使って、補強することができます。
・にげる……敵から逃げることができる楊合があります。
丸2せんとう
PLAYERのメンバーの誰を使うか、そして、使うカードを選択し、攻撃する敵を決定します。
この順番にPLAYERのメンバー全員(バトルに参加できるのは、最大5人まで)が、攻撃する敵を決定すると3Dアニメーションバトルに突入します。敵を倒すとBPがアップしたり、お助けカードが入手できたりする場合があります。
*ある程度ダメージを受けると、顔が苦痛にゆがんできます。」(14?15頁)
(キ)「お助けカード丸1
バトルモードやマップモードでメニュー画面を表示して「カード」を選択するとお助けカード選択画面になります。
・使いたいカードを選択すると使用できる場所(バトル・いどう)が表示されます。
・更に「せつめい」を選択すると、そのカードの内容が表示されます。
・「つかう」を選択すると、そのカードを使用します。
・お助けカードは、「ドラゴンレーダー」を除いて、1回毎に1枚消費します。
・お助けカードは、最大24枚(+ドラゴンボール7枚)まで持つことができます。

」(22?23頁)
(ク)引用例1は、ゲームソフト「ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人」の説明書であって、前記ゲームソフトはファミリーコンピュータ^(TM)で実行可能なものであることから、ゲームソフト「ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人」が実行可能なファミリーコンピュータ^(TM)が認められる。
(ケ)上記(カ)の「バトルにおいては、各メンバーが選択したカードの攻撃力(星の数)、防御力(漢字の数)とBP(戦闘力)の他に、各メンバーが持っている技攻撃力、基本防御力等が影響します。」との記載より、バトルモードにおいては、選択したカードを用いて、バトルを行うものと認められる。そして、表示された画像から、選択したカードを表示することが看取できる。また、「お助けカードを使って、補強することができます。」及び「使いたいカードを選択すると」との記載より、選択したお助けカードによりバトルを補強するものと認められる。

そうすると、上記(ア)乃至(ケ)の記載事項から、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「スピーディーなノーマルバトル、パーティバトル、迫力満点の必殺攻撃と多彩な3Dバトルシーンが、楽しめるバトルモードを含む4つのモードがあるゲームのゲームソフト「ドラゴンボールZ強襲!サイヤ人」が実行可能なファミリーコンピュータ^(TM)であって、
バトルモードにおいて、
カードに表示された星の数は、その時の攻撃力になり、
せんとうコマンドを選択すると、敵との戦闘に突入し、選択したカードを表示して用いて、バトルを行い、
カードコマンドを選択すると、お助けカード選択画面になり、選択したお助けカードを使って、バトルを補強することができ、
お助けカードには、
1人のHPをある程度回復させるという効果を奏し、「亀仙人」という名前の「気」を含むものである、
ファミリーコンピュータ^(TM)。」

(3)対比
そこで、本願補正発明4と引用発明1とを対比すると、
ア 後者の「ゲーム」は、前者の「ゲーム」に相当し、後者の「ゲームソフト「ドラゴンボールZ強襲!サイヤ人」」の「ゲーム」は、バトルモードを含むものであるから、前者の「ゲーム」と後者の「ゲーム」とは、「対戦ゲーム」との概念で共通する。
イ 後者の「バトル」は、バトルモードにおいて、敵との戦闘に突入し、表示された星の数が攻撃力であるカードを用いた行為であって、後者の「ゲーム」における処理といえるものであるから、後者の「選択したカードを用いたバトル」は、前者の「所定の処理」に相当する。
ウ 後者の「カード」は、前者の「実行コマンドオブジェクト」に相当し、後者の「カードに表示された星の数」は、バトルモードにおける攻撃力であるから、前者の「所定の処理を実行する際に参照される第1情報」に相当する。そして、後者の「カード」には、星の数が表示されているのであるから、前者の「実行コマンドオブジェクト」と後者の「カード」とは、「第1情報が関連付けられた」ものであるとの概念で共通する。
エ 後者の「お助けカード」及び「『お助けカード』『気』」の「1人のHPをある程度回復させるという効果」は、それぞれ、前者の「変化コマンドオブジェクト」及び「第2情報」に相当する。
そして、後者の「『お助けカード』『気』」の「1人のHPをある程度回復させるという効果」は、選択したお助けカードを使った際に発揮される効果であるから、前者の「第2情報」と後者の「『お助けカード』『気』」の「1人のHPをある程度回復させるという効果」は、「選択された変化コマンドオブジェクトに基づく」ものとの概念で共通する。
ここで、後者の「『お助けカード』『気』」の「1人のHPをある程度回復させるという効果」は、「選択したカード」の攻撃力には影響を与えないものであるから、後者の「1人のHPをある程度回復させるという効果」は、前者の「第1情報に影響を与えない第2情報」に相当する。
そして、後者の「『お助けカード』『気』」を使うと、「1人のHPをある程度回復させるという効果」が奏されるのであるから、前者の「変化コマンドオブジェクト」と後者の「『お助けカード』『気』」とは、「第1情報に影響を与えない第2情報が関連付けられた」ものであるとの概念で共通する。
また、後者の「『お助けカード』『気』」は、バトルモードにおいて、選択されると、バトルを補強するものであるから、前者の「変化コマンドオブジェクト」と後者の「『お助けカード』『気』」とは、実行コマンドオブジェクトに関連付けられたものとの概念で共通する。
オ 後者の「選択したカード」のには、星の数が表示されているのであるから、後者の「ファミリーコンピュータ^(TM)」が「選択したカード」を表示するための手段を備えていることは明らかである。また、後者の「カードコマンド」が選択されると、「お助けカード選択画面」になるのであるから、後者の「ファミリーコンピュータ^(TM)」が「お助けカード」を表示手段に表示するための手段を備えていることは明らかである。そうすると、前者の「ゲーム装置」と後者の「ファミリーコンピュータ^(TM)」とは、「『実行コマンドオブジェクト』と『変化コマンドオブジェクト』とを表示させる画像出力部」を備える点で共通する。
カ 後者の「カード」及び「お助けカード」は、選択されたものがバトルで使用されるのであるから、前者の「ゲーム装置」と後者の「ファミリーコンピュータ^(TM)」とは、「実行コマンドオブジェクトと変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部」を備える点で共通する。
キ 後者の「ゲームソフト「ドラゴンボールZ強襲!サイヤ人」」においては、選択した「カード(本願補正発明4の「実行コマンドオブジェクト」に相当)」を用いて、バトルを行い、選択した「お助けカード(本願補正発明4の「変化コマンドオブジェクト」に相当)」を使って、バトルを補強するものであるところ、前記ゲームソフト「ドラゴンボールZ強襲!サイヤ人」が実行可能な「ファミリーコンピュータ^(TM)」においては、選択した「カード」及び「お助けカード」を特定するための情報が記憶されることは明らかであるから、前者の「ゲーム装置」と後者の「ファミリーコンピュータ^(TM)」とは、「選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、選択された変化コマンドオブジェクトに基づく情報とを記憶させる情報管理部」を備える点で共通する。ク 後者の「バトル」は、攻撃力である星の数が表示されたカードを選択して行うものであるところ、カードを選択することはユーザの操作といえるのであるから、前者の「所定の処理」と、後者の「バトル」とは、「実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報を用いた」ものとの概念で共通する。 また、後者において、選択した「『お助けカード』『気』」を使った際に「1人のHPをある程度回復させるという効果」が奏されるのであるから、後者の「『お助けカード』『気』」を使った際に「1人のHPをある程度回復させるという効果」が奏されることとは、前者の「第2情報を用いた所定の処理」に相当する。
そして、後者において、「『お助けカード』『気』」を使った際に「1人のHPをある程度回復させるという効果」が奏されるのは、バトルモードにおいて、カードを選択してバトルを行うことが前提となるものであるから、前者の「第2情報」と後者の「1人のHPをある程度回復させるという効果」とは、「実行コマンドオブジェクトに関連付けられ」との概念で共通し、前者の「第2情報を用いた所定の処理」と後者の「『お助けカード』『気』」を使った際に「1人のHPをある程度回復させるという効果」が奏されることとは、「実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づく」との概念で共通する。
してみると、前者の「ゲーム装置」と後者の「ファミリーコンピュータ^(TM)」とは、「実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いた所定の処理を実行するコマンド実行部」を備える点で共通する。

したがって、両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
[一致点]
「対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに関連付けられ、第1情報に影響を与えない第2情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトとを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いた所定の処理を実行するコマンド実行部と、
を備えるゲーム装置。」

[相違点1]
本願補正発明4は、「変化コマンドオブジェクト」が「実行コマンドオブジェクトに」第1情報に影響を与えない「第2情報を関連付けるための情報」が関連付けられたものであるのに対し、引用発明は、「『お助けカード』『気』」には、「1人のHPをある程度回復させるという効果」が関連付けられている点。

[相違点2]
本願補正発明4の「情報管理部」が、選択された変化コマンドオブジェクトに基づく「第2情報」を記憶させるものであるのに対し、引用発明は、「第2情報」を記憶させるものであるかがが定かでない点。

(4)判断
上記各相違点について、以下、検討する。
ア [相違点1]について
ゲーム装置において、情報を管理・識別するために、該情報にID等の情報を関連付けて管理・識別することは通常為されていることであるところ、引用発明1の「1人のHPをある程度回復させるという効果」に管理・識別するための「情報」を設けて関連付けることは、当業者が適宜なし得る程度のものである。
そうすると、引用発明1において、「1人のHPをある程度回復させるという効果」を管理・識別するために「情報」を関連付けることは、当業者が容易になし得るといえるところ、引用発明1の「『お助けカード』『気』」と「1人のHPをある程度回復させるという効果」とは、上記(2)ア(キ)で摘記したように関連付けられているのであるから、「1人のHPをある程度回復させるという効果」を管理・識別するための「情報」は、「『お助けカード』『気』」と関連付けられることは明らかである。
以上のことから、引用発明1において、「1人のHPをある程度回復させるという効果」を管理・識別するための「情報」を設け関連付けることにより、「『お助けカード』『気』」に「1人のHPをある程度回復させるという効果」を管理・識別するための「情報」を関連付けることは、当業者が容易になし得る程度のことである。

イ [相違点2]について
引用発明1においては、選択された「『お助けカード』『気』」の情報が記憶されていることは明らかであるところ、「『お助けカード』『気』」には、「1人のHPをある程度回復させるという効果」が関連付けられているのであるから、引用発明1において、選択した「『お助けカード』『気』」の情報とともに、その効果である「1人のHPをある程度回復させるという効果」の情報を記憶させていることは明らかといえるか、少なくとも、当業者であれば容易になし得る程度のことといえる。
してみると、上記相違点2は、実質的な相違点ではないか、少なくとも、引用発明1において、相違点2のように構成することは、当業者が適宜なし得ることであって、格別なことではない。

そして、本願補正発明4の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明から、当業者が予測しうる範囲内のものである。

請求人は、「引用文献1には、バトル中に一部のお助けカードが他カードのパラメータを変化させることが記載されているものの、お助けカードは他のカードのパラメータを変化させる情報であるという点において、相違する。」と主張する。
しかし、上記(3)エのとおり、引用発明1の「『お助けカード』『気』」の「1人のHPをある程度回復させるという効果」は、「選択したカード」の攻撃力には影響を与えないものであるから、引用発明1には、請求人の主張するような相違点はないといえる。
よって、上記請求人の主張は採用できない。

よって、本願補正発明4は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることが出来ない。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
また、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項4に係る発明は、平成31年2月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項4に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに第2情報を関連付けるための情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトとを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく第2情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いた所定の処理を実行するコマンド実行部と、
を備えるゲーム装置。」(以下「本願発明」という。)

2 引用例
平成30年12月6日付けの拒絶理由通知に引用された引用例、及び、その記載内容は上記「第2 3 (2)引用例」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、実質的に、本願補正発明4の「第1の情報に影響を与えない」との限定を省くものである。

そうすると、本願発明と引用発明とを対比すると、上記「第2 3 (3)対比」での検討を勘案すると、両者は、
「対戦ゲームの所定の処理を実行する際に参照される第1情報が関連付けられた実行コマンドオブジェクトと、実行コマンドオブジェクトに関連付けられ、第2情報が関連付けられた変化コマンドオブジェクトとを表示させる画像出力部と、
前記実行コマンドオブジェクトと前記変化コマンドオブジェクトとの選択を受け付ける受付部と、
前記選択された実行コマンドオブジェクトを特定するための情報と、前記選択された変化コマンドオブジェクトに基づく情報とを記憶させる情報管理部と、
実行コマンドオブジェクトに対するユーザ操作に基づいて、該実行コマンドオブジェクトに関連付けられた第1情報及び第2情報を用いた所定の処理を実行するコマンド実行部と、
を備えるゲーム装置。」
の点で一致し、以下の点で、相違する。

[相違点1’]
本願発明は、「変化コマンドオブジェクト」が「実行コマンドオブジェクトに第2情報を関連付けるための情報」が関連付けられたものであるのに対し、引用発明は、「『お助けカード』『気』」には、「1人のHPをある程度回復させるという効果」が関連付けられている点。

[相違点2]
本願発明の「情報管理部」が、選択された変化コマンドオブジェクトに基づく「第2情報」を記憶させるものであるのに対し、引用発明は、「第2情報」を記憶させるものであるかがが定かでない点。

そして、上記相違点1’は、上記相違点1の一部の構成を削除したものであり、また、上記相違点2は、実質的に同じものであるから、上記「第2 3 (4)判断」における検討内容を踏まえれば、上記と同様の理由により、本願発明は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-08-31 
結審通知日 2020-09-01 
審決日 2020-09-28 
出願番号 特願2018-1569(P2018-1569)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐々木 崇田辺 正樹  
特許庁審判長 藤田 年彦
特許庁審判官 尾崎 淳史
藤本 義仁
発明の名称 ゲーム装置、ゲームシステム、ゲームプログラム  

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