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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C08J 審判 全部申し立て 2項進歩性 C08J 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08J 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C08J |
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管理番号 | 1368095 |
異議申立番号 | 異議2019-700502 |
総通号数 | 252 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-12-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-06-25 |
確定日 | 2020-09-30 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6443579号発明「ポリイミドフィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6443579号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1?7]について訂正することを認める。 特許第6443579号の請求項1?7に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6443579号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成29年5月31日に出願した特願2017-108158号の一部を平成30年9月28日に新たな特許出願(特願2018-184592号)としたものであって、同年12月7日にその特許権の設定登録(請求項の数7)がされ、同年同月26日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その特許に対し、令和1年6月25日に特許異議申立人 古川興輝(以下、「特許異議申立人A」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:全請求項)がされ、同年同月26日に特許異議申立人 細川桂司(以下、「特許異議申立人B」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:全請求項)がされ、同年9月11日付けで取消理由が通知され、同年11月13日に特許権者 宇部興産株式会社(以下、「特許権者」という。)より意見書の提出及び訂正の請求がされ、同年11月21日付けで特許法第120条の5第5項に基づく通知を行ったところ、同年12月25日に特許異議申立人Aより意見書の提出がされ、同年同月26日に特許異議申立人Bより意見書の提出がされ、令和2年3月3日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年4月22日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求(以下、当該訂正の請求を「本件訂正請求」という。)がされ、同年5月29日付けで特許法第120条の5第5項に基づく通知を行ったところ、いずれの特許異議申立人からも、何ら応答が無かったものである。 なお、令和1年11月13日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の許否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所について合議体が付したものである。) 特許請求の範囲の請求項1に、 「波長308nmの光透過率が0.1%以下であることを特徴とするポリイミドフィルム。」 とあるのを、 「波長308nmの光透過率が0.1%以下であることを特徴とするポリイミドフィルム〔但し、前記ポリイミドフィルムは、下記化学式(1-1)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成されるか、または下記化学式(1-2)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成される。 【化1】 ![]() {式中A_(1)は、下記化学式(A-1)で表される4価の基であり、B_(1)は、下記化学式(B-1)で表される2価の基である。 【化2】 ![]() (式中、R_(1)、R_(2)、R_(3)は、それぞれ独立に、-CH_(2)-、または-CH_(2)CH_(2)-である。) 【化3】 ![]() (式中、n_(1)は0?3の整数を示し、n_(2)は0?3の整数を示す。Y_(1)、Y_(2)、Y_(3)は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基よりなる群から選択される1種を示し、Q_(1)、Q_(2)は、それぞれ独立に、直接結合、または 式:-NHCO-、-CONH-、-COO-、-OCO-で表される基よりなる群から選択される1種を示す。)} 【化4】 ![]() {式中、A_(2)は、下記化学式(A-2)で表される4価の基であり、B_(2)は、下記化学式(B-1)で表される2価の基である。 【化5】 ![]() 【化6】 ![]() (式中、n_(1)は0?3の整数を示し、n_(2)は0?3の整数を示す。Y_(1)、Y_(2)、Y_(3)は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基よりなる群から選択される1種を示し、Q_(1)、Q_(2)は、それぞれ独立に、直接結合、または 式:-NHCO-、-CONH-、-COO-、-OCO-で表される基よりなる群から選択される1種を示す。)}〕。 と訂正する。 (請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?7も同様に訂正する。) なお、本件訂正請求における請求項1に係る訂正は、一群の請求項[1?7]に対して請求されたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 請求項1に係る訂正は、ポリイミドフィルムが、「下記化学式(1-1)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成されるか、または下記化学式(1-2)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成される(化学式省略)」との点を特定することで、ポリイミドフィルムを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、「下記化学式(1-1)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成されるか、または下記化学式(1-2)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成される(化学式省略)」との事項は、明細書の段落【0029】?【0036】の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。 請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?7についても同様である。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1?7]について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、訂正後の請求項[1?7]について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明7」という。)は、令和2年4月22日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 ポリイミドを含むフィルムであって、 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、 400℃で4時間保持した時の重量保持率が99.0%以上であり、 YI(黄色度)が10以下であり、 100?350℃の間の線熱膨張係数が55ppm/K以下であり、且 つ 波長308nmの光透過率が0.1%以下であることを特徴とするポリイミドフィルム〔但し、前記ポリイミドフィルムは、下記化学式(1-1)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成されるか、または下記化学式(1-2)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成される。 【化1】 ![]() {式中A_(1)は、下記化学式(A-1)で表される4価の基であり、B_(1)は、下記化学式(B-1)で表される2価の基である。 【化2】 ![]() (式中、R_(1)、R_(2)、R_(3)は、それぞれ独立に、-CH_(2)-、または-CH_(2)CH_(2)-である。) 【化3】 ![]() (式中、n_(1)は0?3の整数を示し、n_(2)は0?3の整数を示す。Y_(1)、Y_(2)、Y_(3)は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基よりなる群から選択される1種を示し、Q_(1)、Q_(2)は、それぞれ独立に、直接結合、または 式:-NHCO-、-CONH-、-COO-、-OCO-で表される基よりなる群から選択される1種を示す。)} 【化4】 ![]() {式中、A_(2)は、下記化学式(A-2)で表される4価の基であり、B_(2)は、下記化学式(B-1)で表される2価の基である。 【化5】 ![]() 【化6】 ![]() (式中、n_(1)は0?3の整数を示し、n_(2)は0?3の整数を示す。Y_(1)、Y_(2)、Y_(3)は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基よりなる群から選択される1種を示し、Q_(1)、Q_(2)は、それぞれ独立に、直接結合、または 式:-NHCO-、-CONH-、-COO-、-OCO-で表される基よりなる群から選択される1種を示す。)}〕。 【請求項2】 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、430℃で1時間保持した時の重量保持率が99.0%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。 【請求項3】 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、100?380℃の間の線熱膨張係数が65ppm/K以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミドフィルム。 【請求項4】 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、ヘイズが2%以下であることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載のポリイミドフィルム。 【請求項5】 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、厚み方向位相差(Rth)が1000nm以下であることを特徴とする請求項1?4のいずれかに記載のポリイミドフィルム。 【請求項6】 請求項1?5のいずれかに記載のポリイミドフィルムがガラス基材上に形成されていることを特徴とする積層体。 【請求項7】 請求項1?5のいずれかに記載のポリイミドフィルムを備えることを特徴とするディスプレイ用、タッチパネル用、または太陽電池用の基板。」 第4 異議申立理由の概要 特許異議申立人A、Bの申立理由の概要は次のとおりである。 (1) 特許異議申立人Aの申立理由の概要 特許異議申立人Aが特許異議申立書において、訂正前の請求項1?7に係る特許に対して申し立てた特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。 申立理由A-1-1(進歩性) 本件特許の請求項1?7に係る特許は、甲第1A号証に記載された発明および甲第3A号証ないし甲第7A号証の記載事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 申立理由A-1-2(進歩性) 本件特許の請求項1?7に係る特許は、甲第2A号証に記載された発明および甲第3A号証ないし甲第7A号証の記載事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 <証拠方法> 甲第1A号証:特開2016-074915号公報 甲第2A号証:国際公開第2016/084777号 甲第3A号証:MICROELECTRONICS production「LEDs Magazine Japan 2013 年6月号」掲載記事のリプリント(30?32頁) 甲第4A号証:「新訂 最新ポリイミド-基礎と応用-」第1編基礎編 第 5章”ポリイミドの光学特性”(102?113頁)、及び 表紙、奥付、日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会編 (発行日2010年8月25日) 甲第5A号証:特開2011-248072号公報 甲第6A号証:特開2013-237762号公報 甲第7A号証:特開2015-939666号公報 甲第8A-1号証:PCT/JP2018/020805の国際調査報告 甲第8A-2号証:PCT/JP2018/020805の国際調査機関の 見解書 文献名の表記は、特許異議申立人Aの表記に従った。 申立理由A-2(実施可能要件) 本件特許の請求項1?7についての特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 申立理由A-3(サポート要件) 本件特許の請求項1?7についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 申立理由A-4(明確性) 本件特許の請求項1?7についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 そして、申立理由A-2?A-4の具体的理由の概略は次のとおりである。 ・申立理由A-2、A-3 本件発明では、ポリイミドフィルムとあり、ポリイミドとして組成は何ら特定されていない。 本件明細書の実施例で使用された酸二無水物は、TNDA又はEMDAxxの2つだけである。TNDA又はEMDAxxはいずれも、ノルボルネン構造を有する特殊な酸二無水物であって、ポリイミドの製造に使用される一般的なものではない。本件発明はこのような特殊な酸二無水物を原料とした場合に限り、本件発明の各要件を満足すると解される。すると、本件発明は明細書に記載された発明ではなく、その範囲を大きく超えている。 したがって、本件出願は、本件明細書の詳細な説明において発明の課題が解決できることを記載した範囲を超える組成のポリイミドを包含できることから、不当に広い範囲を請求しており、サポート要件を満たさない。また、本件出願は、不当に広い範囲を請求しており、発明の詳細な説明に記載されたものではないものを含むことから、本件明細書の詳細な説明は、実施可能要件を満たさない。 ・申立理由A-4 本件明細書の実施例や比較例を参照すると、公知の一般的なポリイミドを評価したと解される比較例は、本件発明の要件の一部を満足するが、全部は満足しない。これは公知の一般的なポリイミドは、本件発明から除外され、特定のポリイミドのみが本件発明の要件の全部を満足するだけと解される。すると、本件発明は必須の要件が記載されていない。 したがって、本件発明1?7では、発明の課題を解決する手段が十分に特定されておらず、明細書の詳細な説明に記載した事項とも不整合であることから、本件出願は、明確性要件を満たしていない。 (2) 特許異議申立人Bの申立理由の概要 特許異議申立人Bが特許異議申立書において、訂正前の請求項1?7に係る特許に対して申し立てた特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。 申立理由B-1(新規性) 本件特許の請求項1?7に係る発明は、甲第16B号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 申立理由B-2-1(進歩性) 本件特許の請求項1?7に係る特許は、甲第1B号証に記載された発明および甲第2B号証ないし甲第14B号証の記載事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 申立理由B-2-2(進歩性) 本件特許の請求項1?7に係る特許は、甲第15B号証に記載された発明および甲第2B号証ないし甲第14B号証の記載事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 申立理由B-2-3(進歩性) 本件特許の請求項1?7に係る特許は、甲第16B号証に記載された発明および甲第2B号証ないし甲第14B号証の記載事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 <証拠方法> 甲第1B号証:特開2016-074915号公報(甲第1A号証と同じ) 甲第2B号証:マイクロエレクトロニクスにおける大面積レーザリフトオフ 加工、ラルフ・デルムダール、LEDs Magazine Japan 2013 年6月号、p.30-32(甲第3A号証と同じ) 甲第3B号証:特開2011-227369号公報 甲第4B号証:特開2009-21322号公報 甲第5B号証:脂環式ポリイミドの合成と光学特性、松本利彦、高分子論文 集、Vol.61,No.1,p.39-48 (Jan.,2004) 甲第6B号証:透明ポリイミドの開発とその応用展開、福川健一 他、 ポリイミド・芳香族高分子 最近の進歩 2012 甲第7B号証:無色透明な耐熱樹脂基板-脂環式ポリイミド、松本利彦、エ レクトロニクス実装学会誌、Vol.16,No.5,p.370-373(2013) 甲第8B号証:trans-1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸2無水物か らなる耐熱透明ポリイミドの高機能化、宇野高明、岡田敬 他、JSR TECHNICAL REVIEW No.122/2015,p.13-18 甲第9B号証:第1編 基礎編 p102-103及びp174-177、新訂 最新ポリイ ミド?基礎と応用?、日本ポリイミド・芳香族系高分子研究 会編2010(甲第4A号証と重複) 甲第10B号証:低ウェハ応力i線対応感光性ポリイミド 佐々木顕浩、宮 坂昌宏、廣昌彦、日立化成テクニカルレポート No.38 (2002-1)p.27-30 甲第11B号証:特開2015-214597号公報 甲第12B号証:FPC用ポリイミドフィルム 永野広作、繊維学会誌 Vol.50,No.3,p91-95(1994) 甲第13B号証:再公表WO2015/080158号公報 甲第14B号証:11p-D4-17 塗布・剥離形成基板を用いたフレキシブル液 晶デバイスの作製、生内友輔 他 第62回応用物理学会春 季学術講演会講演予稿集 (2015 東海大学湘南キャンパス) 甲第15B号証:特開2016-102147号公報(甲第2A号証の優先 基礎出願) 甲第16B号証:再公表WO2014/208704号公報 文献名の表記は、特許異議申立人Bの表記に従った。 申立理由B-3(サポート要件) 本件特許の請求項1?7についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 申立理由B-4(実施可能要件) 本件特許の請求項1?7についての特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 そして、申立理由B-3、B-4の具体的理由の概略は次のとおりである。 ・申立理由B-3、B-4 本件発明は、透明性、耐熱性に優れ、線膨張係数も低いポリイミドフィルムを提供することを目的とするものである。そして、特許発明1においては、透明性をYI(黄色度)の特定の範囲で具体的に特定し、耐熱性を重量保持率の特定の範囲で具体的に特定し、線膨張係数を特定の範囲で具体的に特定し、そして製造プロセスの観点から波長308nmの光透過性を特定の範囲で具体的に特定しているが、ポリイミドについては、それを構成する成分等は何ら特定していない。 本件特許明細書の段落0044には、本件発明のポリイミドフィルムを構成するポリイミドを得るために好適に使用できるテトラカルボン酸成分を例示している。また、本件特許明細書の段落0045には、本件発明のポリイミドフィルムを構成するポリイミドを得るために使用できるジアミン成分を例示している。また、本件特許明細書の段落0046?0052には、本件発明のポリイミドフィルムの製造方法が例示されている。しかしながら、本件特許明細書の比較例3には、段落0044に例示されるs-BPDA(3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸)をテトラカルボン酸成分として使用し、段落0045に例示されるPPD(p-フェニレンジアミン)をジアミン成分として使用し、段落0046?0052に記載される方法で製造したポリイミドフィルムが記載されている。さらに、本件特許明細書の比較例1には、段落0044に例示されるシクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸の酸二無水物に含まれるPMDA-HS(1R,2S,4S,5R-シクロヘキサンテトラカルボンサン二無水物)をテトラカルボン酸成分として使用し、段落0045に例示される4,4’-ODA(4,4’-オキシジアニリン)をジアミン成分として使用し、段落0046?0052に記載される方法で製造したポリイミドフィルムが記載されている。これら比較例1及び3のポリイミドフィルムは、特許発明1に記載され得る特性を有していない。 したがって、当業者は、本件特許明細書の段落0044?0052の記載を参酌したとしても、実施例1及び2に具体的に記載されたポリイミドフィルム以外に、どのようにして特許発明1のポリイミドフィルムを製造することができるのか理解できない。 そうだとすると、ポリイミドのモノマー成分や組成範囲等を含め、その構成が一切特定されていない本件発明を実施するためには、本件明細書及び出願当時の技術常識をあわせ考慮しても、当業者が過度な負担なしに具体的な条件を決定し、本件発明を得ることができるものとはできない。 そして、本件発明のポリイミドを含むフィルムにおいて、それを構成する成分については、「ポリイミド」であること以外何ら特定していない本件発明は、明細書の発明の詳細な説明に開示された技術事項を超える広い特許請求の範囲を記載していることになるから、明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。 第5 令和2年3月3日付け取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要 当審が令和2年3月3日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 取消理由1(実施可能要件) 本件特許の請求項1?7についての特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 そして、その具体的理由は次のとおりである。 本件発明1には、 「ポリイミドを含むフィルムであって、 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、 400℃で4時間保持した時の重量保持率が99.0%以上であり、 YI(黄色度)が10以下であり、 100?350℃の間の線熱膨張係数が55ppm/K以下であり、且 つ 波長308nmの光透過率が0.1%以下であることを特徴とするポリイミドフィルム(但し、前記ポリイミドは、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2”-ノルボルナン-5,5”,6,6”-テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体を含むテトラカルボン酸成分と、ジアミンまたはその誘導体を含むジアミン成分とから得られるポリイミドではない。)。」 と特定されている。 これらの特定事項に関し、明細書には次の記載がある。 「本発明のポリイミドフィルムは、フィルム厚みが10μmで測定した場合の、400℃で4時間保持した時の重量保持率が99.0%以上であり、好ましくは99.1%以上、より好ましくは99.2%以上、特に好ましくは99.3%以上である。さらに、フィルム厚みが10μmで測定した場合の、430℃で1時間保持した時の重量保持率が99.0%以上であることが好ましい。ポリイミドフィルムをディスプレイ用の基板などに用いる場合、ポリイミドフィルムの表面に導電層を形成し、トランジスタを形成する。フィルム厚みが10μmで測定した場合の、400℃で4時間保持した時の重量保持率が99.0%以上、特に好ましくは99.3%以上であれば、また、フィルム厚みが10μmで測定した場合の430℃、1時間保持後の重量保持率も99.0%以上であれば、その高温の製造プロセスに耐えられ、良好な特性の薄膜トランジスタが得られる。また、ポリイミドの分解による製造設備の汚染を防止することができる。幅広い製造プロセスに対応するため、また、製造設備の汚染を防止しつつ、より良好な特性の薄膜トランジスタを製造するために、フィルム厚みが10μmで測定した場合の、400℃で4時間保持した時の重量保持率が99.3%以上であることが特に望まれることもある。」(【0012】) 「本発明のポリイミドフィルムは、フィルム厚みが10μmで測定した場合のYI(黄色度)が10以下であり、好ましくは9以下、より好ましくは8以下、より好ましくは7以下、より好ましくは6以下、特に好ましくは5以下である。ポリイミドフィルムをディスプレイ用の基板など、光が透過する用途に用いる場合、ポリイミドフィルムには透明性が求められる。フィルム厚みが10μmで測定した場合のYIが10以下、特に好ましくは5以下であれば、通常、必要とされる透明性を確保できる。なお、YIは、フィルム厚みが厚くなると大きくなる傾向がある。」(【0015】) 「本発明のポリイミドフィルムは、フィルム厚みが10μmで測定した場合の、100?350℃の間の線熱膨張係数が55ppm/K以下であり、好ましくは50ppm/K以下、特に好ましくは45ppm/K以下である。ある実施態様においては、フィルム厚みが10μmで測定した場合の、100?350℃の間の線熱膨張係数がさらに低いことが好ましく、より好ましくは40ppm/K以下、より好ましくは35ppm/K以下、特に好ましくは30ppm/K以下、あるいは30ppm/K未満であることが好ましい。ポリイミドフィルムをディスプレイ用の基板などに用いる場合、ポリイミドフィルムの表面に導電層を形成し、トランジスタを形成する。その製造プロセスにおける温度範囲でポリイミドフィルムの線熱膨張係数が大きいと、金属などの導体との線熱膨張係数の差が大きくなり、そのため、基板の反りが増大するなどの不具合が生じることがある。通常の製造プロセスで、問題なく、良好な特性の薄膜トランジスタを得るには、少なくとも、フィルム厚みが10μmで測定した場合の、100?350℃の間の線熱膨張係数が55ppm/K以下、特に好ましくは40ppm/K以下であることが必要である。」(【0017】) 「さらに、本発明のポリイミドフィルムは、フィルム厚みが10μmで測定した場合の波長308nmの光透過率が、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下であることが好ましい。ポリイミドフィルムを基板などに用いる場合、多くの製造プロセスでは、ポリイミド前駆体のワニス(ポリイミド前駆体を含む組成物)もしくは、ポリイミドのワニス(ポリイミドを含む組成物)をガラス等の基材上に流延、加熱することでポリイミド/基材積層体を得た後、基材(ガラス)面からレーザー光(波長308nm)を照射して、ポリイミドフィルムを基材から剥離させる。ポリイミドフィルムが波長308nmの光透過率が高く、波長308nmの光(レーザー光)のエネルギーを吸収しないと、ポリイミドフィルムを基材から剥離できない。レーザーでポリイミドフィルムを基材から剥離する工程を含むプロセスに適用するためには、フィルム厚みが10μmで測定した場合の波長308nmの光透過率が低いこと、好ましくは0.1%以下であることが必要である。なお、波長308nmの光透過率は、フィルム厚みが厚くなると低下する傾向がある。」(【0023】) また、段落【0044】には、本発明のポリイミドフィルムを構成するポリイミドを得るために好適に使用できるテトラカルボン酸成分が、段落【0045】には、本発明のポリイミドフィルムを構成するポリイミドを得るために好適に使用できるジアミン成分が列記されている。 しかし、実施例において具体的な効果として、請求項1の全ての特定事項を満たすことが確認されているのは、酸二無水物としてTNDA、EMDAxxを、ジアミンとしてDABAN及びBAPBを用いた、極めて限られた範囲のものにすぎない。 また、比較例1はPMDA-HS(1R,2S,4S,5R-シクロヘキサンテトラカルボンサン二無水物)と4,4’-ODA(4,4’-オキシジアニリン)を用いた例、比較例3は、s-BPDA(3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)と、PPD(p-フェニレンジアミン)を用いた例であるが、「シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸」の酸二無水物や、「3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸」の酸二無水物は、段落【0044】で、本件発明1?7のポリイミドフィルムを構成するポリイミドを得るために好適に使用できるテトラカルボン酸成分としてあげられているものであり、4,4’-オキシジアニリンやp-フェニレンジアミンは、段落【0045】で、本件発明1?7のポリイミドフィルムを構成するポリイミドを得るために使用できるジアミン成分としてあげられているものであるにも関わらず、比較例1では308nm透過率や線熱膨張係数が大きく、比較例3ではYI値が大きいことにより、本件発明1?7の特定事項を満たさないものとされている。 以上の記載から見るに、段落【0012】、【0015】、【0017】、【0023】や【0044】、【0045】他の記載はあるものの、発明の詳細な説明全体を通じてみても、実施例1、2以外の場合において、例えば、段落【0044】に列記されているテトラカルボン酸成分と段落【0045】に記載されているジアミン成分をどのように組み合わせて実施すれば、本件発明1?7の特定事項を満たすものを得ることができるのか、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、実施することができる程度に発明の詳細な説明に記載されているとは認めることができない。 なお、当該取消理由は、特許異議申立人Aが主張する申立理由のうち、申立理由A-2と同旨であるとともに、特許異議申立人Bが主張する申立理由のうち、申立理由B-4と同旨である。 取消理由2(サポート要件) 本件特許の請求項1?7についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 そして、その具体的理由は次のとおりである。 本件発明1?7により解決すべき課題は、発明の詳細な説明の段落【0006】に記載されているように、「本発明は、例えばディスプレイ用、タッチパネル用、または太陽電池用の基板など、種々の用途に好適に用いることができるポリイミドフィルム、具体的には、透明性、耐熱性に優れ、線熱膨張係数も低いポリイミドフィルムを提供する」ことである。 そして、この課題を解決するための発明として、本件発明1には、 「ポリイミドを含むフィルムであって、 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、 400℃で4時間保持した時の重量保持率が99.0%以上であり、 YI(黄色度)が10以下であり、 100?350℃の間の線熱膨張係数が55ppm/K以下であり、且つ 波長308nmの光透過率が0.1%以下であることを特徴とするポリイミドフィルム(但し、前記ポリイミドは、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2”-ノルボルナン-5,5”,6,6”-テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体を含むテトラカルボン酸成分と、ジアミンまたはその誘導体を含むジアミン成分とから得られるポリイミドではない。)。」 と特定されているものの、当該特定は、ポリイミドフィルムについての課題のみを特定するにとどまるものであり、ポリイミドフィルムについて課題を達成するための具体的な構成については何ら特定されていない。 本件発明1の特定事項に関し、発明の詳細な説明には、上記取消理由1で摘記したとおりの記載がある。 その記載から見るに、段落【0012】、【0015】、【0017】、【0023】や【0044】、【0045】他の記載はあるものの、発明の詳細な説明全体を通じてみても、実施例1、2以外の場合において、どのようなものが課題を達成するものであるのか、一般的な記載も含め発明の詳細な説明に記載されていない。(好ましいとされるテトラカルボン酸成分とジアミン成分を組み合わせても、課題を達成しないもの(比較例)が示されている。また、発明の詳細な説明に、各成分の組み合わせ指針が示されているわけでもない。) してみると、本件発明1?7のうち、実施例1、2で具体的にあげられている条件を満たすもの以外の部分については、発明の詳細な説明には、当業者が課題を解決できると認識できる程度に記載されているものとはいえないから、本件発明1?7は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 なお、当該取消理由は、特許異議申立人Aが主張する申立理由のうち、申立理由A-3と同旨であるとともに、特許異議申立人Bが主張する申立理由のうち、申立理由B-3と同旨である。 理由3(進歩性) 本件特許の請求項1?7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 そして、理由3の概要は次のとおりである。 (理由3-4) 甲第16B号証を主引用例とする進歩性 なお、当該取消理由は、特許異議申立人Bが主張する申立理由のうち、申立理由B-2-3と同旨である。 第6 当審の判断 1 取消理由通知に記載した取消理由について (1) 理由1(実施可能要件)、理由2(サポート要件)について 訂正により、本件発明1のポリイミドフィルムは、「下記化学式(1-1)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成されるか、または下記化学式(1-2)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成される」(化学式については省略)ものと訂正された。 そして、訂正後の本件発明1は、明細書の段落【0029】?【0036】に記載された化学式(1-1)あるいは化学式(1-2)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成されるものであり、その具体的な例として実施例1、2も記載されている。 してみると、本件発明1及びその従属項である本件発明2ないし7について、発明の詳細な説明に、当業者が過度の試行錯誤を要することなく実施できる程度の記載があるといえるので、実施可能要件を満たすものであるといえるし、また、これらの発明は、発明の課題を解決することができると当業者が認識できる範囲のものであるといえるので、特許請求の範囲の記載は、サポート要件を満たすものであるといえる。 したがって、当該取消理由は解消した。 (2) 理由3-4(進歩性)について ア 主な甲号証の記載事項等 (ア) 甲第16B号証の記載事項 甲第16B号証には次の記載がある。 「【0015】 本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、熱イミド化によって製造される、特定のジアミン成分とテトラカルボン酸成分とからなり、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性に優れ、線熱膨張係数が低いポリイミドが得られるポリイミド前駆体を提供することを目的とする。本発明は、また、線熱膨張係数が低く、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性にも優れたポリイミド、より好ましくは透明性にも優れたポリイミドが得られるポリイミド前駆体を提供することを目的とする。」 「【0033】 13. 前記項10または11に記載のポリイミドを含むTAB用フィルム、電気・電子部品用基板、配線基板、電気・電子部品用絶縁膜、電気・電子部品用保護膜、ディスプレイ用基板、タッチパネル用基板、または太陽電池用基板。」 「【0034】 本発明によって、熱イミド化によって製造され、延伸操作を行うことなく、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性に優れ、線熱膨張係数が低いポリイミドが得られるポリイミド前駆体を提供することができる。また、本発明によって、線熱膨張係数が低く、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性に優れ、さらには透明性にも優れたポリイミドが得られるポリイミド前駆体を提供することができる。本発明によれば、熱イミド化において延伸操作を行うことなく、優れた特性を保持しながら、ポリイミドの線熱膨張係数を低下させることができ、さらには耐熱性を向上させることもできる。」 「【0052】 このようなジアミン成分としては、例えば、m-フェニレンジアミン、2-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-(トリフルオロメチル)ベンゼン-1,4-ジアミンや、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(FDA)、4,4’-オキシジアニリン、3,4’-オキシジアニリン、3,3’-オキシジアニリン、p-メチレンビス(フェニレンジアミン)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-アミノフェニル)スルホン、3,3-ビス((アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス((アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)ジフェニル)スルホン、オクタフルオロベンジジン、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジフルオロ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル等の芳香族ジアミンや、1,4-ジアミノシクロへキサン、1,4-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-エチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-n-プロピルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-イソプロピルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-n-ブチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-イソブチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-sec-ブチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-tert-ブチルシクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロへキサン等の脂環式ジアミンが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。」 「【0054】 本発明で用いるテトラカルボン酸成分は、特に限定されず、脂環式テトラカルボン酸成分であっても、芳香族テトラカルボン酸成分であってもよい。なお、テトラカルボン酸成分には、テトラカルボン酸と、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸シリルエステル、テトラカルボン酸エステル、テトラカルボン酸クロライド等のテトラカルボン酸誘導体が含まれる。 【0055】 テトラカルボン酸成分としては、例えば、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(CpODA)、(4arH,8acH)-デカヒドロ-1t,4t:5c,8c-ジメタノナフタレン-2t,3t,6c,7c-テトラカルボン酸二無水物(DNDAxx)、(4arH,8acH)-デカヒドロ-1t,4t:5c,8c-ジメタノナフタレン-2c,3c,6c,7c-テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、[1,1’-ビ(シクロヘキサン)]-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、[1,1’-ビ(シクロヘキサン)]-2,3,3’,4’-テトラカルボン酸、[1,1’-ビ(シクロヘキサン)]-2,2’,3,3’-テトラカルボン酸、4,4’-メチレンビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-(プロパン-2,2-ジイル)ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-オキシビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-チオビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-スルホニルビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-(ジメチルシランジイル)ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、4,4’-(テトラフルオロプロパン-2,2-ジイル)ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)、オクタヒドロペンタレン-1,3,4,6-テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、6-(カルボキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5-トリカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3,7,8-テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカン-3,4,7,8-テトラカルボン酸、トリシクロ[4.2.2.02,5]デカ-7-エン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、9-オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン-3,4,7,8-テトラカルボン酸や、これらの誘導体等の脂環式テトラカルボン酸成分(脂環式テトラカルボン酸二無水物)や、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)、ピロメリット酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、m-ターフェニルー3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、p-ターフェニルー3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス{4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、2,2-ビス{4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’-ビス〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’-ビス〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物等の芳香族テトラカルボン酸成分(芳香族テトラカルボン酸二無水物)が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、また複数種を組み合わせて使用することもできる。なお、芳香族テトラカルボン酸成分1種以上と脂環式テトラカルボン酸成分1種以上を併用することもできる。」 「【0116】 本発明のポリイミドのフィルム、または本発明のポリイミド層を少なくとも1層有する積層体は、TAB用フィルム、電気・電子部品用基板、配線基板として好適に使用でき、例えば、プリント回路基板、電力用回路基板、フレキシブルヒーター、抵抗器用基板として好適に使用することができる。また、電気・電子部品用の絶縁膜や保護膜、特に、LSI等のベース基材等の線膨張係数が小さい材料上に形成する絶縁膜、保護膜等の用途にも有用である。」 「【0134】 以下の各例で使用した原材料の略称、純度等は、次のとおりである。 【0135】 [ジアミン成分] DABAN: 4,4’-ジアミノベンズアニリド〔純度:99.90%(GC分析)〕 TFMB: 2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン〔純度:99.83%(GC分析)〕 PPD: p-フェニレンジアミン〔純度:99.9%(GC分析)〕 FDA: 9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン BAPB: 4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル [テトラカルボン酸成分] CpODA:ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸無水物 DNDAxx:(4arH,8acH)-デカヒドロ-1t,4t:5c,8c-ジメタノナフタレン-2t,3t,6c,7c-テトラカルボン酸二無水物〔DNDAxxとしての純度:99.2%(GC分析)〕 s-BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 ODPA:4,4’-オキシジフタル酸無水物 【0136】 [溶媒] DMAc: N,N-ジメチルアセトアミド NMP: 1-メチル-2-ピロリドン 【0137】 表1に実施例、比較例で使用したテトラカルボン酸成分、ジアミン成分の構造式を記す。 【0138】 【表1】 ![]() 【0139】 〔実施例1〕 窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 2.000g(6.246ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の32.8gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 1.600g(4.164ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は2であり、末端はアミノ基である。その溶液にDABAN 1.419g(6.246ミリモル)を入れ、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 3.201g(8.327ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0140】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0141】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-1に示す。 【0142】 〔実施例2〕 窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 1.500g(4.684ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の24.7gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 1.350g(3.513ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は3であり、末端はアミノ基である。その溶液にDABAN 1.065g(4.684ミリモル)を入れ、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 2.251g(5.855ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0143】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0144】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-1に示す。 【0145】 〔実施例3〕 窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 1.500g(4.684ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の24.7gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 1.575g(4.099ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は7であり、末端はアミノ基である。その溶液にDABAN 1.065g(4.684ミリモル)を入れ、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 2.026g(5.270ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.7dL/gであった。 【0146】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0147】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-1に示す。 【0148】 〔実施例4〕 窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 1.500g(4.684ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の24.7gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 1.688g(4.391ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は15であり、末端はアミノ基である。その溶液にDABAN 1.065g(4.684ミリモル)を入れ、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 1.913g(4.977ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0149】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0150】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-1に示す。 【0151】 〔実施例5〕 窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 1.500g(4.684ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の24.7gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 1.764g(4.590ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は49であり、末端はアミノ基である。その溶液にDABAN 1.065g(4.684ミリモル)を入れ、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 1.836g(4.778ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.6dL/gであった。 【0152】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0153】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-1に示す。 【0154】 〔実施例6〕 窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 1.500g(4.684ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の24.7gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 1.799g(4.679ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は999であり、末端はアミノ基である。その溶液にDABAN 1.065g(4.684ミリモル)を入れ、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 1.802g(4.689ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0155】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0156】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-1に示す。 【0157】 〔実施例7〕 窒素ガスで置換した反応容器中にCpODA 3.601g(9.368ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の24.7gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にTFMB 1.500g(4.684ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は1であり、末端は酸無水物基である。その溶液にDABAN 1.065g(4.684ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0158】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0159】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-1に示す。 【0160】 〔実施例8〕 窒素ガスで置換した反応容器中にCpODA 3.000g(7.805ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の27.4gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にTFMB 1.666g(5.203ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は2であり、末端は酸無水物基である。その溶液にDABAN 1.183g(5.203ミリモル)を入れ、50℃で5時間撹拌した。その溶液にCpODA 1.00g(2.602ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0161】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0162】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-1に示す。 【0163】 〔実施例9〕 窒素ガスで置換した反応容器中にCpODA 2.500g(6.504ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の30.0gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にTFMB 1.822g(5.691ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は7であり、末端は酸無水物基である。その溶液にDABAN 1.293g(5.691ミリモル)を入れ、50℃で5時間撹拌した。その溶液にCpODA 1.875g(4.878ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0164】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0165】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-2に示す。 【0166】 〔実施例10〕 窒素ガスで置換した反応容器中にCpODA 2.500g(6.504ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の32.1gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にTFMB 1.953g(6.097ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は15であり、末端は酸無水物基である。その溶液にDABAN 1.386g(6.097ミリモル)を入れ、50℃で5時間撹拌した。その溶液にCpODA 2.188g(5.691ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0167】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0168】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-2に示す。 【0169】 〔実施例11〕 窒素ガスで置換した反応容器中にCpODA 2.500g(6.504ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の33.6gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にTFMB 2.041g(6.374ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は49であり、末端は酸無水物基である。その溶液にDABAN 1.449g(6.374ミリモル)を入れ、50℃で5時間撹拌した。その溶液にCpODA 2.40g(6.244ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0170】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0171】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-2に示す。 【0172】 〔実施例12〕 窒素ガスで置換した反応容器中にCpODA 2.500g(6.504ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の34.2gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にTFMB 2.081g(6.497ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は999であり、末端は酸無水物基である。その溶液にDABAN 1.477g(6.497ミリモル)を入れ、50℃で5時間撹拌した。その溶液にCpODA 2.495g(6.491ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0173】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0174】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-2に示す。 【0175】 〔実施例13〕 窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 3.555g(11.101ミリモル)を入れ、NMP 36.1gを加え、室温で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にCpODA 2.844g(7.399ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、170℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、5時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却した。その溶液を500mlの水に滴下し、固体のイミド化合物TFMB5(仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は2であり、末端はアミノ基である。)を析出させ、回収、減圧乾燥した。得られたTFMB5 1.617g(1.173ミリモル)とDABAN 0.800g(3.520ミリモル)を入れ、DMAcを仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の16.9gを加え、室温で1時間攪拌した。その溶液にCpODA 1.804g(4.693ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.8dL/gであった。 【0176】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0177】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-2に示す。 【0178】 〔実施例14〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.713g(3.136ミリモル)とTFMB 1.004g(3.136ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の16.5gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 2.411g(6.272ミリモル)を徐々に加え、室温で24時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、15分間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液(イミド化率:52%)を得た。 【0179】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0180】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-2に示す。 【0181】 〔実施例15〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 0.713g(3.136ミリモル)とTFMB 1.004g(3.136ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の16.5gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にCpODA 2.411g(6.272ミリモル)を徐々に加え、室温で24時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、10分間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液(イミド化率:44%)を得た。 【0182】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0183】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-2に示す。」 「【0188】 〔実施例16〕 窒素ガスで置換した反応容器中にCpODA 4.502g(11.711ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の29.3gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にTFMB 1.500g(4.684ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は1であり、末端は酸無水物基である。その溶液にDABAN 1.065g(4.684ミリモル)とPPD 0.253g(2.342ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0189】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0190】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-3に示す。 【0191】 〔実施例17〕 窒素ガスで置換した反応容器中にCpODA 4.502g(11.711ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の29.3gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にTFMB 1.500g(4.684ミリモル)とPPD 0.253g(2.342ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は1であり、末端は酸無水物基である。その溶液にDABAN 1.065g(4.684ミリモル)とを入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0192】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から420℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0193】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-3に示す。」 「【0197】 〔実施例18〕 窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 1.500g(4.684ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の21.6gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にDNDAxx 1.239g(4.099ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は7であり、末端はアミノ基である。その溶液にDABAN 1.065g(4.684ミリモル)を入れ、室温で1時間攪拌した。この溶液にDNDAxx 1.593g(5.270ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0198】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0199】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-3に示す。 【0200】 〔実施例19〕 窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 1.50g(4.684ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の21.6gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にDNDAxx 1.388g(4.591ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は49であり、末端はアミノ基である。その溶液にDABAN 1.065g(4.684ミリモル)を入れ、室温で1時間攪拌した。この溶液にDNDAxx 1.444g(4.778ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0201】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0202】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-3に示す。 【0203】 〔実施例20〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDNDAxx 3.776g(12.491ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の28.8gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にTFMB 2.000g(6.246ミリモル)とDABAN 0.568g(2.498ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は1であり、末端は酸無水物基である。その溶液にDABAN 0.852g(3.747ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.8dL/gであった。 【0204】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0205】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-3に示す。」 「【0209】 〔実施例21〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDNDAxx 1.773g(5.867ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 15質量%となる量の15.6gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にDABAN 0.400g(1.760ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は1であり、末端は酸無水物基である。その溶液にDABAN 0.267g(1.173ミリモル)とPPD 0.317g(2.933ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0210】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0211】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-4に示す。 【0212】 〔実施例22〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDNDAxx 2.130g(7.048ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 10質量%となる量の29.8gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にDABAN 0.801g(3.524ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は1であり、末端は酸無水物基である。その溶液にPPD 0.381g(3.524ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌した。この溶液を減圧濃縮し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0213】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0214】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-4に示す。 【0215】 〔実施例23〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.400g(6.160ミリモル)とPPD 0.666g(6.160ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の23.5gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にDNDAxx 3.724g(12.320ミリモル)を徐々に加え、室温で24時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、15分間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液(イミド化率:50%)を得た。 【0216】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0217】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-4に示す。 【0218】 〔実施例24〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.400g(6.160ミリモル)とPPD 0.666g(6.160ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の23.5gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にDNDAxx 3.724g(12.320ミリモル)を徐々に加え、室温で24時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、20分間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液(イミド化率:69%)を得た。 【0219】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0220】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-4に示す。」 「【0230】 〔実施例25〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.400g(6.160ミリモル)とPPD 0.666g(6.160ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の23.5gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にDNDAxx 3.724g(12.320ミリモル)を徐々に加え、室温で24時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、20分間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液(イミド化率:73%)を得た。 【0231】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0232】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-4に示す。」 「【0236】 〔実施例26〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDNDAxx 3.540g(11.711ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の25.4gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にTFMB 1.500g(4.684ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は1であり、末端は酸無水物基である。その溶液にDABAN 1.065g(4.684ミリモル)とPPD 0.253g(2.342ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。 【0237】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0238】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-5に示す。 【0239】 〔実施例27〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDNDAxx 5.542g(18.334ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の36.7gを加え、50℃で1時間攪拌し、均一な溶液を得た。この溶液にTFMB 1.174g(3.667ミリモル)とDABAN 0.500g(2.200ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は1であり、末端は酸無水物基である。その溶液にDABAN 1.167g(5.133ミリモル)とPPD 0.793g(7.333ミリモル)を入れ、室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.6dL/gであった。 【0240】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0241】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-5に示す。 【0242】 〔実施例28〕 窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 1.409g(4.400ミリモル)とDABAN 1.000g(4.400ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の40.0gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にDNDAxx 2.657g(8.791ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、イミド化合物を含む溶液を得た。仕込みモノマー量から計算されるこのイミド化合物の重合度(n)は999であり、末端はアミノ基である。その溶液にDABAN 1.000g(4.400ミリモル)とPPD 0.952g(8.800ミリモル)を入れ、室温で5時間攪拌し、DNDAxx 3.993g(13.209ミリモル)室温で24時間攪拌し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.7dL/gであった。 【0243】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0244】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-5に示す。 【0245】 〔実施例29〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDNDAxx 3.325g(11.000ミリモル)を入れ、DMAcを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の21.3gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にFDA 0.383g(1.100ミリモル)を徐々に加え、50℃で5時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、3時間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、50℃まで冷却した。その溶液にDABAN 1.000g(4.400ミリモル)とPPD 0.595g(5.500ミリモル)を入れ、50℃で10時間攪拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25ml添加し、15分間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の対数粘度は0.7dL/gであった。 【0246】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から450℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0247】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-5に示す。 【0248】 〔実施例30〕 窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 3.032g(9.468ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 15質量%となる量の32.27gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にs-BPDA 2.786g(9.468ミリモル)を徐々に加え、室温で24時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、15分間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液(イミド化率:50%)を得た。 【0249】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から410℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0250】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-5に示す。」 「【0254】 〔実施例31〕 窒素ガスで置換した反応容器中にTFMB 2.000g(6.246ミリモル)とDABAN 1.419g(6.246ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の29.18gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にODPA 3.875g(12.491ミリモル)を徐々に加え、室温で24時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、15分間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、均一で粘稠なポリイミド前駆体(イミド化率:47%)溶液を得た。 【0255】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から410℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0256】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-5に示す。」 「【0260】 〔実施例32〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.818g(8.000ミリモル)とPPD 1.108g(1.000ミリモル)とBAPB 0.368g(1.000ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の21.27gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にDNDAxx 3.023g(10.000ミリモル)を徐々に加え、室温で24時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、15分間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、均一で粘稠なポリイミド前駆体(イミド化率:43%)溶液を得た。 【0261】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0262】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-6に示す。」 「【0266】 〔実施例33〕 窒素ガスで置換した反応容器中にDABAN 1.591g(7.000ミリモル)とPPD 1.108g(1.000ミリモル)とBAPB 0.737g(2.000ミリモル)を入れ、NMPを、仕込みモノマー総質量(ジアミン成分とカルボン酸成分の総和)が 20質量%となる量の21.83gを加え、室温で1時間攪拌した。この溶液にDNDAxx 3.023g(10.000ミリモル)を徐々に加え、室温で24時間撹拌した。その後、160℃へ昇温し、トルエンを25mL添加し、15分間トルエンを還流させた後、トルエンを抜き出し、室温まで冷却し、均一で粘稠なポリイミド前駆体(イミド化率:35%)溶液を得た。 【0267】 PTFE製メンブレンフィルターでろ過したポリイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、窒素雰囲気下(酸素濃度200ppm以下)、そのままガラス基板上で室温から430℃まで加熱して熱的にイミド化を行い、無色透明なポリイミドフィルム/ガラス積層体を得た。次いで、得られたポリイミドフィルム/ガラス積層体を水に浸漬した後剥離し、乾燥して、膜厚が約10μmのポリイミドフィルムを得た。 【0268】 このポリイミドフィルムの特性を測定した結果を表2-6に示す。」 「【表2-1】 ![]() 【表2-2】 ![]() 【表2-3】 ![]() 【表2-4】 ![]() 【表2-5】 ![]() 【表2-6】 ![]() 」 (イ) 甲第16B号証に記載された発明 上記(ア)の記載、特に実施例の記載を中心に整理すると、甲第16B号証には、次の発明が記載されていると認める。 「テトラカルボン酸成分としてCpODA(ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2”-ノルボルナン-5,5”,6,6”-テトラカルボン酸無水物)、DNDAxx((4arH,8acH)-デカヒドロ-1t,4t:5c,8c-ジメタノナフタレン-2t,3t,6c,7c-テトラカルボン酸二無水物)、s-BPDA(3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)、ODPA(4,4’-オキシジフタル酸無水物)の少なくとも1種、ジアミン成分としてDABAN(4,4’-ジアミノベンズアニリド)、TFMB(2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)、PPD(p-フェニレンジアミン)、FDA(9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン)、BAPB(4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル)の少なくとも1種を含むポリイミド前駆体から製造された、線熱膨張係数が低く、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性、透明性にも優れた、ディスプレイ用基板、タッチパネル用基板、または太陽電池用基板に用いられるポリイミドを含むフィルム。」(以下、「甲16B発明」という。) イ 対比・判断 (ア) 本件発明1について 本件発明1と甲16B発明とを対比すると、両者は、 「ポリイミドフィルム。」 である点で一致するものの、次の点で相違する。 <相違点1> ポリイミドを含むフィルムについて、本件発明1では、 「フィルム厚みが10μmで測定した場合の、 400℃で4時間保持した時の重量保持率が99.0%以上であり、 YI(黄色度)が10以下であり、 100?350℃の間の線熱膨張係数が55ppm/K以下であり」 と特定されているのに対し、甲16B発明では、そのような特定がない点。 <相違点2> ポリイミドを含むフィルムについて、本件発明1では、 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、 「波長308nmの光透過率が0.1%以下である」 と特定されているのに対し、甲16B発明では、そのような特定がない点。 <相違点3> ポリイミドを含むフィルムについて、本件発明1では、 「〔但し、前記ポリイミドフィルムは、下記化学式(1-1)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成されるか、または下記化学式(1-2)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成される。〕」(注:化学式(1-1)、(1-2)については表記省略) と特定されているのに対し、甲16B発明では、そのような特定がない点。 事案に鑑み、先ず相違点3について検討する。 甲16B発明のポリイミドを含むフィルムは、「テトラカルボン酸成分としてCpODA(ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2”-ノルボルナン-5,5”,6,6”-テトラカルボン酸無水物)、DNDAxx((4arH,8acH)-デカヒドロ-1t,4t:5c,8c-ジメタノナフタレン-2t,3t,6c,7c-テトラカルボン酸二無水物)、s-BPDA(3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)、ODPA(4,4’-オキシジフタル酸無水物)の少なくとも1種、ジアミン成分としてDABAN(4,4’-ジアミノベンズアニリド)、TFMB(2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)、PPD(p-フェニレンジアミン)、FDA(9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン)、BAPB(4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル)の少なくとも1種を含むポリイミド前駆体から製造された」ものであるものの、本件発明1で特定する、化学式(1-1)あるいは化学式(1-2)の繰り返し単位を有するポリイミドではなく、また、甲第16B号証には、化学式(1-1)あるいは化学式(1-2)の繰り返し単位を有するポリイミドを用いることを示唆する記載もない。 また、他の証拠をみても、ポリイミドを含むフィルムについて、本件発明1で特定する、化学式(1-1)あるいは化学式(1-2)の繰り返し単位を有するポリイミドを用いることを示唆する記載もない。 してみれば、甲16B発明において、相違点3に係る本件発明1の特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たものではない。 したがって、他の相違点については検討するまでもなく、本件発明1は、甲16B発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (イ) 本件発明2ないし7について 本件発明2ないし7はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。 そして、上記(ア)のとおり、本件発明1は、甲16B発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の特定事項を全て含む発明である、本件発明2ないし7もまた、甲16B発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について (1) 主な甲号証の記載事項等 ア 甲第1A号証(甲第1B号証と同じ。以下省略)の記載事項等 (ア) 甲第1A号証の記載事項 甲第1A号証には、次の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、高い透明性、高耐熱性などの優れた特性を有し、さらに高温まで極めて低い線熱膨張係数を有するポリイミド、及びその前駆体に関する。また、本発明は、ポリイミドフィルム、ポリイミド前駆体またはポリイミドを含むワニス、及び基板にも関する。」 「【0013】 本発明は、テトラカルボン酸成分として特定の脂環式テトラカルボン酸二無水物を用い、ジアミン成分として好ましくは芳香族ジアミンを用いたポリイミドであって、高い透明性、高耐熱性などの優れた特性を有し、さらに高温まで極めて低い線熱膨張係数を有するポリイミド、及びその前駆体を提供することを目的とする。」 「【0027】 本発明によって、高い透明性、高耐熱性などの優れた特性を有し、さらに高温まで、例えば、300℃以上の温度まで、さらには350℃以上の温度まで、さらには400℃以上の温度まで極めて低い線熱膨張係数を有するポリイミド、及びその前駆体を提供することができる。この本発明のポリイミド前駆体から得られるポリイミド、及び本発明のポリイミドは、透明性が高く、且つ高温まで低線熱膨張係数であって微細な回路の形成が容易であり、ディスプレイ用途などの基板を形成するために好適に用いることができる。また、本発明のポリイミドは、タッチパネル用、太陽電池用の基板を形成するためにも好適に用いることができる。」 (イ) 甲第1A号証に記載された発明 (ア)の記載から、甲第1A号証には次の発明(以下、「甲1A発明」という。)が記載されていると認める。 「高い透明性、高耐熱性などの優れた特性を有し、さらに高温まで極めて低い線熱膨張係数を有する、ポリイミドフィルム。」 イ 甲第2A号証及び甲第15B号証の記載事項等 (ア) 甲第2A号証及び甲第15B号証の記載事項 甲第2A号証には、次の事項が記載されている。 「[0010] 本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、光透過性や耐熱性に優れ、しかも高温での線膨張係数が十分に低いポリイミドフィルム及びその製造方法を提供することを目的とし、更には、そのポリイミドフィルムからなる、フレキシブル配線基板、透明電極用基板、液晶配向膜積層用基板、有機ELディスプレイ用基板及び有機EL照明用基板を提供することを目的とする。」 また、甲第2A号証を優先基礎とする、甲第15B号証には、次の事項が記載されている。 「【0010】 本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、光透過性や耐熱性に優れ、しかも高温での線膨張係数が十分に低いポリイミドフィルム及びその製造方法を提供することを目的とし、更には、そのポリイミドフィルムからなる、フレキシブル配線基板、透明電極用基板、液晶配向膜積層用基板、有機ELディスプレイ用基板及び有機EL照明用基板を提供することを目的とする。」 したがって、以下、甲第2A号証と甲第15B号証を同一のものとして取り扱う。 (イ) 甲第2A号証(甲第15B号証)に記載された発明 (ア)の記載から、甲第2A号証(甲第15B号証)には次の発明(以下、「甲2A(甲15B)発明」という。)が記載されていると認める。 「光透過性や耐熱性に優れ、しかも高温での線膨張係数が十分に低いポリイミドフィルム。」 (2) 甲1A発明を主引用例とする場合(申立理由A-1-1、申立理由B-2-1)について ア 本件発明1について 本件発明1と甲1A発明とを対比すると、両者は、 「ポリイミドフィルム。」 である点で一致するものの、次の点で相違する。 <相違点4> ポリイミドを含むフィルムについて、本件発明1では、 「フィルム厚みが10μmで測定した場合の、 400℃で4時間保持した時の重量保持率が99.0%以上であり、 YI(黄色度)が10以下であり、 100?350℃の間の線熱膨張係数が55ppm/K以下であり」 と特定されているのに対し、甲1A発明では、そのような特定がない点。 <相違点5> ポリイミドを含むフィルムについて、本件発明1では、 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、 「波長308nmの光透過率が0.1%以下である」 と特定されているのに対し、甲1A発明では、そのような特定がない点。 <相違点6> ポリイミドを含むフィルムについて、本件発明1では、 「〔但し、前記ポリイミドフィルムは、下記化学式(1-1)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成されるか、または下記化学式(1-2)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成される。〕」(注:化学式(1-1)、(1-2)については表記省略) と特定されているのに対し、甲1A発明では、そのような特定がない点。 事案に鑑み、先ず相違点6について検討する。 甲1A発明は、本件発明1で特定する、化学式(1-1)あるいは化学式(1-2)の繰り返し単位を有するポリイミドではなく、また、甲第1A号証には、化学式(1-1)あるいは化学式(1-2)の繰り返し単位を有するポリイミドを用いることを示唆する記載もない。 また、他の証拠をみても、ポリイミドを含むフィルムについて、本件発明1で特定する、化学式(1-1)あるいは化学式(1-2)の繰り返し単位を有するポリイミドを用いることを示唆する記載もない。 してみれば、甲1A発明において、相違点6に係る本件発明1の特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たものではない。 したがって、他の相違点については検討するまでもなく、本件発明1は、甲1A発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (イ) 本件発明2ないし7について 本件発明2ないし7はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。 そして、上記(ア)のとおり、本件発明1は、甲1A発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の特定事項を全て含む発明である、本件発明2ないし7もまた、甲1A発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 甲2A発明(甲15B発明)を主引用例とする場合(申立理由A-1-2、申立理由B-2-2)について ア 本件発明1について 本件発明1と甲2A発明(甲15B発明)とを対比すると、両者は、 「ポリイミドフィルム。」 である点で一致するものの、次の点で相違する。 <相違点7> ポリイミドを含むフィルムについて、本件発明1では、 「フィルム厚みが10μmで測定した場合の、 400℃で4時間保持した時の重量保持率が99.0%以上であり、 YI(黄色度)が10以下であり、 100?350℃の間の線熱膨張係数が55ppm/K以下であり」 と特定されているのに対し、甲2A発明(甲15B発明)では、そのような特定がない点。 <相違点8> ポリイミドを含むフィルムについて、本件発明1では、 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、 「波長308nmの光透過率が0.1%以下である」 と特定されているのに対し、甲2A発明(甲15B発明)では、そのような特定がない点。 <相違点9> ポリイミドを含むフィルムについて、本件発明1では、 「〔但し、前記ポリイミドフィルムは、下記化学式(1-1)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成されるか、または下記化学式(1-2)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成される。〕」(注:化学式(1-1)、(1-2)については表記省略) と特定されているのに対し、甲2A発明(甲15B発明)では、そのような特定がない点。 事案に鑑み、先ず相違点9について検討する。 甲2A発明(甲15B発明)は、本件発明1で特定する、化学式(1-1)あるいは化学式(1-2)の繰り返し単位を有するポリイミドではなく、また、甲第2A号証(甲第15B号証)には、化学式(1-1)あるいは化学式(1-2)の繰り返し単位を有するポリイミドを用いることを示唆する記載もない。 また、他の証拠をみても、ポリイミドを含むフィルムについて、本件発明1で特定する、化学式(1-1)あるいは化学式(1-2)の繰り返し単位を有するポリイミドを用いることを示唆する記載もない。 してみれば、甲2A発明(甲15B発明)において、相違点9に係る本件発明1の特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たものではない。 したがって、他の相違点については検討するまでもなく、本件発明1は、甲2A発明(甲15B発明)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (イ) 本件発明2ないし7について 本件発明2ないし7はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。 そして、上記(ア)のとおり、本件発明1は、甲2A発明(甲15B発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の特定事項を全て含む発明である、本件発明2ないし7もまた、甲2A発明(甲15B発明)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4) 甲第16B号証を根拠とする新規性(申立理由B-1)について ア 甲第16B号証の記載事項及び甲第16B号証に記載された発明 上記1(1)アのとおりである。 イ 判断 (ア) 本件発明1について 本件発明1と甲16B発明との対比は、上記1(2)イ(ア)のとおりである。 そして、1(2)イ(ア)であげる相違点1ないし相違点3はいずれも、実質的な相違点であるから、本件発明1は甲16B発明ではない。 (イ) 本件発明2ないし7について 本件発明2ないし7はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。 そして、上記(ア)のとおり、本件発明1は、甲16B発明ではないから、本件発明1の特定事項を全て含む発明である、本件発明2ないし7もまた、甲16B発明ではない。 (5) 明確性要件(申立理由A-4)について 訂正により、本件発明1のポリイミドフィルムは、「下記化学式(1-1)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成されるか、または下記化学式(1-2)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成される」(化学式については省略)ものと訂正された。 そして、本件発明1のポリイミドフィルムは、その構成単位、性状ともに、請求項1に記載のとおりであり、当業者にとって明確である。 本件発明1の特定事項を全て含む発明である、本件発明2ないし7も同様である。 第7 結論 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリイミドを含むフィルムであって、 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、 400℃で4時間保持した時の重量保持率が99.0%以上であり、 YI(黄色度)が10以下であり、 100?350℃の間の線熱膨張係数が55ppm/K以下であり、且つ 波長308nmの光透過率が0.1%以下であることを特徴とするポリイミドフィルム〔但し、前記ポリイミドフィルムは、下記化学式(1-1)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成されるか、または下記化学式(1-2)で表される繰り返し単位1種以上を全繰り返し単位に対して50モル%以上含むポリイミドで構成される。 【化1】 ![]() {式中、A_(1)は、下記化学式(A-1)で表される4価の基であり、B_(1)は、下記化学式(B-1)で表される2価の基である。 【化2】 ![]() (式中、R_(1)、R_(2)、R_(3)は、それぞれ独立に、-CH_(2)-、または-CH_(2)CH_(2)-である。) 【化3】 ![]() (式中、n_(1)は0?3の整数を示し、n_(2)は0?3の整数を示す。Y_(1)、Y_(2)、Y_(3)は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基よりなる群から選択される1種を示し、Q_(1)、Q_(2)は、それぞれ独立に、直接結合、または 式:-NHCO-、-CONH-、-COO-、-OCO-で表される基よりなる群から選択される1種を示す。)} 【化4】 ![]() {式中、A_(2)は、下記化学式(A-2)で表される4価の基であり、B_(2)は、下記化学式(B-1)で表される2価の基である。 【化5】 ![]() 【化6】 ![]() (式中、n_(1)は0?3の整数を示し、n_(2)は0?3の整数を示す。Y_(1)、Y_(2)、Y_(3)は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基よりなる群から選択される1種を示し、Q_(1)、Q_(2)は、それぞれ独立に、直接結合、または 式:-NHCO-、-CONH-、-COO-、-OCO-で表される基よりなる群から選択される1種を示す。)}〕。 【請求項2】 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、430℃で1時間保持した時の重量保持率が99.0%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。 【請求項3】 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、100?380℃の間の線熱膨張係数が65ppm/K以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミドフィルム。 【請求項4】 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、ヘイズが2%以下であることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載のポリイミドフィルム。 【請求項5】 フィルム厚みが10μmで測定した場合の、厚み方向位相差(Rth)が1000nm以下であることを特徴とする請求項1?4のいずれかに記載のポリイミドフィルム。 【請求項6】 請求項1?5のいずれかに記載のポリイミドフィルムがガラス基材上に形成されていることを特徴とする積層体。 【請求項7】 請求項1?5のいずれかに記載のポリイミドフィルムを備えることを特徴とするディスプレイ用、タッチパネル用、または太陽電池用の基板。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2020-09-18 |
出願番号 | 特願2018-184592(P2018-184592) |
審決分類 |
P
1
651・
536-
YAA
(C08J)
P 1 651・ 113- YAA (C08J) P 1 651・ 537- YAA (C08J) P 1 651・ 121- YAA (C08J) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大村 博一 |
特許庁審判長 |
大島 祥吾 |
特許庁審判官 |
植前 充司 加藤 友也 |
登録日 | 2018-12-07 |
登録番号 | 特許第6443579号(P6443579) |
権利者 | 宇部興産株式会社 |
発明の名称 | ポリイミドフィルム |
代理人 | 伊藤 克博 |
代理人 | 伊藤 克博 |