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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1368138
異議申立番号 異議2020-700637  
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-25 
確定日 2020-11-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第6655703号発明「被整備テストヘッド及びウエハ検査装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6655703号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6655703号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成25年10月29日に出願された特願2013-224460号の一部を平成29年3月28日に新たな出願とした特願2017-62824号の一部を平成30年12月26日に新たな特許出願としたものであって、令和2年2月5日にその特許権の設定登録がされ、同年2月26日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対して、令和2年8月25日に特許異議申立人株式会社東京精密(以下、「特許異議申立人」という。)は、請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てを行った。

第2 本件発明
特許第6655703号の請求項1ないし3の特許に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明3」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
ローダと整備空間との間に配置され、少なくとも上下に重ねられて配された複数の検査室のうちの少なくとも1つの検査室の内部に配置される、半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドであって、
直方体状を呈し、長手方向の側面から突出したフランジ部を備え、
前記フランジ部が前記検査室内部のスライドレールに支持されることにより、前記整備空間側に引き出され、前記スライドレールから離間可能であることを特徴とする被整備テストヘッド。
【請求項2】
前記フランジ部は、前記テストヘッドの長手方向の側面上部から側方へ突出することを特徴とする請求項1に記載の被整備テストヘッド。
【請求項3】
請求項1の被整備テストヘッドを備えることを特徴とするウエハ検査装置。」

第3 申立理由の概要
特許異議申立人は、主たる証拠として再公表WO2011/016096号公報(以下、「文献1」という。)及び従たる証拠として特開平5-175290号公報(以下、「文献2」という。)、特開昭63-114229号公報(以下、「文献3」という。)、特開平8-64645号公報(以下、「文献4」という。)、特開平9-148388号公報(以下、「文献5」という。)、特開2012-63227号公報(以下、「文献6」という。)、特開2013-156084号公報(以下、「文献7」という。)を提出し、請求項1ないし3に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1ないし3に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。

第4 文献の記載
1 文献1
文献1には、図面とともに以下の記載がある。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、試験装置および試験方法に関する。」

「【0013】
図1は、試験装置100の正面図の一例を概略的に示す。試験装置100は、EFEM110、操作部120、ロードユニット130、チラーユニット140および動力ユニット180を備える。また、試験装置100は、複数の試験ユニットを内部に収容する筐体171を備える。試験装置100は、例えば、半導体ウエハに形成されたチップの電気的特性を試験して、被試験デバイスの良否を判断する。半導体ウエハおよびチップは、被試験デバイスの一例であってよい。
【0014】
EFEM110は、試験対象となる半導体ウエハ等の基板を試験装置100の内部で搬送する機構を内蔵する。EFEM110は、被試験デバイスを搬送する搬送部の一例であってよい。本実施形態において、EFEM110は試験装置100のなかで最も寸法が大きいので、EFEM110前面の高い位置に、試験装置100の動作状態を示すシグナルランプ112と、試験装置100を非常停止させる場合に操作するEMO114とが配される。
【0015】
操作部120は、EFEM110に支持される。操作部120は、ディスプレイ122、アーム124および入力装置126を有する。アーム124は、一端をEFEM110に結合され、他端においてディスプレイ122および入力装置126を移動自在に支持する。
【0016】
ディスプレイ122は、例えば液晶表示装置、タッチパネルディスプレイを含み、試験装置100の動作状態、入力装置126からの入力内容のエコーバック、ユーザーに対する警告等を表示する。ディスプレイ122は、警告部の一例であってよい。
【0017】
入力装置126は、例えばキーボード、マウス、トラックボール、ジョグタイヤル、タッチパネルディスプレイを含み、試験装置100の設定、操作等に関する指示を受け付ける。入力装置126は、試験装置100のメンテナンスを開始する旨の指示、メンテナンス箇所に関する指示を受け付けてもよい。入力装置126は、第1の選択部または第2の選択部の一例であってよい。なお、これらの指示は、通信回線を介して他のコンピュータから試験装置100に入力されてもよい。
【0018】
ロードユニット130は、ロードテーブル132およびロードゲート134を有する。ロードテーブル132には、試験対象となる半導体ウエハを収容した容器が載せられる。ロードゲート134は、試験装置100に半導体ウエハを搬入または搬出する場合に開閉する。これにより、試験装置100内部の清浄度を低下させることなく、外部から半導体ウエハをロードできる。
【0019】
チラーユニット140は、試験装置100における試験により温度が上昇したウエハを、搬出前に冷却してよい。チラーユニット140への半導体ウエハの搬入および搬出には、例えばEFEM110を利用できる。チラーユニット140は冷却水の温度を調整して、試験装置100内部の温度制御を担う空調設備に冷却水を供給してよい。チラーユニット140はEFEM110に隣接して配されてもよく、ロードユニット130と、試験を実行するテストヘッドとの間に配されてもよい。動力ユニット180は、試験装置100の各部に対して電力を供給する。
【0020】
図2は、試験装置100の部分縦断面図の一例を概略的に示す。図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。試験装置100は、EFEM110、ロードユニット130、メインフレーム160、試験ユニット170およびアライメントユニット400を備える。なお、図2においては、チラーユニット140の図示を省略した。
【0021】
本実施形態においては、ロードユニット130、EFEM110およびメインフレーム160が、前面(図中の左側)から背面(図中の右側)に向かって順次隣接して配される。また、試験ユニット170およびアライメントユニット400は、メインフレーム160の上に、この順に配される。ロードユニット130およびEFEM110と、アライメントユニット400およびEFEM110とは、それぞれ内部で気密に連通しており、これらの内部は高い清浄度を保たれる。試験ユニット170とアライメントユニット400とは、内部で互いに連通している。
【0022】
図2において、ロードユニット130のロードテーブル132には、FOUP150が載せられている。FOUP150は、試験対象となるウエハ101を複数格納する。また、試験終了後のウエハ101を回収する場合にも、FOUP150にウエハ101が収納される。
【0023】
EFEM110は、ロボットアーム116を内蔵する。ロボットアーム116は、レール115に沿って走行するコラム117に搭載され、ロードユニット130およびアライメントユニット400の間でウエハを搬送する。ロボットアーム116は、ロードゲート134を通して、FOUP150からウエハ101を1枚ずつ取り出して、アライメントユニット400に搬送する。
【0024】
メインフレーム160は、試験装置100全体の動作を制御する。例えば、メインフレーム160は操作部120に接続され、操作部120の入力装置126が受け付けた入力を試験装置100の各部に反映させる。また、メインフレーム160は試験装置100の動作状態を反映させた表示内容を生成して、操作部120のディスプレイ122に表示させる。
【0025】
メインフレーム160は、試験装置100の各部の動作を制御するシステムを有してよい。例えば、メインフレーム160は、試験ユニット170の動作を制御する制御システム500を有してよい。制御システム500は、例えば試験プログラムを記憶して、試験プログラムに従って試験ユニット170の動作を制御する。
【0026】
メインフレーム160は、ロードユニット130、EFEM110、試験ユニット170およびアライメントユニット400の動作を同期させ、ウエハ101を相互に受け渡させ、ウエハ101の試験を実行させてよい。メインフレーム160は、EMO114が操作された場合、メインフレーム160は、試験装置100各部の動作を直ちに停止させる。
【0027】
試験ユニット170は、被試験デバイスを試験する。試験ユニット170は、テストヘッド200と、プローブカード300とを有する。本実施形態において、試験装置100は、複数の試験ユニット170を備える。また、試験装置100は、複数の試験ユニット170を内部に収容する筐体171を備え、筐体171は、複数の収容室172を有する。複数の収容室172は、試験ユニット170のそれぞれを内部に収容する。試験ユニット170は、テストユニットの一例であってよい。収容室172は、収容部の一例であってよい。
【0028】
本実施形態において、複数の収容室172のそれぞれには、開口173、背面扉190およびメンテナンスカバー192が設けられる。また、メンテナンスカバー192の外側には、プローブカード300を引き出した場合にプローブカード300を支持するガイドレール193が設けられる。開口173は、筐体171の収容室172の底部に該当する部分に設けられており、開口173を介して収容室172とアライメントユニット400とが連通している。
【0029】
背面扉190およびメンテナンスカバー192は、筐体171の収容室172の背面側の部分に設けられており、複数の試験ユニット170のそれぞれを外部に対して開放または閉鎖できる。背面扉190はテストヘッド200のメンテナンスが容易な位置に配され、メンテナンスカバー192はプローブカード300のメンテナンスが容易な位置に配されている。
【0030】
プローブカード300は、開口173の周囲に支持されているが、メンテナンスカバー192を開けて、背面のメンテナンスカバー192から外部に引き出すことができる。背面扉190およびメンテナンスカバー192は、開閉部の一例であってよい。」

「【0036】
テストヘッド200は、ウエハ101と電気的に接続され、ウエハ101の電気的特性を試験する。テストヘッド200は、被試験デバイスに対して、温度条件が異なる複数の種類の試験を実施してよい。テストヘッド200は、複数のピンエレクトロニクス210を格納する。ピンエレクトロニクス210には、試験の対象および試験の内容に応じて求められる電気回路が実装される。本実施形態において、テストヘッド200は、下面に装着されたコンタクタ202を介して、プローブカード300と電気的に接続される。
【0037】
プローブカード300は、試験装置100において試験を実行する場合に、テストヘッド200とウエハ101との間に介在して、テストヘッド200およびウエハ101を電気的に接続する配線基板ユニットであってよい。ウエハ101に対して試験を実行する場合は、プローブカード300により、テストヘッド200とウエハ101との間に電気的な信号経路が形成される。プローブカード300を交換することにより、レイアウトの異なるウエハ101に試験装置100を対応させることができる。
【0038】
アライメントユニット400は、アライメントステージ410を有する。アライメントステージ410は、ウエハトレイ450およびウエハ101を搭載してレールに沿って走行する。また、アライメントステージ410は、z方向に伸縮して、搭載したウエハ101を上昇または降下させることができる。これにより、プローブカード300に対してウエハ101を位置合わせした後、ウエハ101を上方のプローブカード300に押し付けることができる。
【0039】
図3は、試験装置100の部分水平断面図の一例を概略的に示す。図1および図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。試験装置100は、4基のロードユニット130と、4基の試験ユニット170とを備える。また、ロードユニット130の各々には、FOUP150が装填される。EFEM110およびアライメントユニット400は1基ずつ配される。また、アライメントユニット400は、単一のアライメントステージ410を備える。なお、試験ユニット170は当該断面の上方に位置することから、図3において試験ユニット170を点線で示す。また、図3においては、動力ユニット180の図示を省略した。
【0040】
EFEM110において、ロボットアーム116を支持するコラム117は、レール115に沿って、EFEM110の略全幅にわたって移動する。従って、ロボットアーム116は、4基のロードユニット130および4基の試験ユニット170の全てにウエハ101を搬送できる。」

「【0061】
図5は、テストヘッド200の断面図である。図1から図4と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。テストヘッド200は、筐体201、コンタクタ202、ピンエレクトロニクス210、マザーボード220およびフラットケーブル230を備える。
【0062】
筐体201の内部には、複数の中継コネクタ224を有するマザーボード220が水平に配される。中継コネクタ224は、マザーボード220の上面側および下面側にそれぞれレセプタクルを有して、マザーボード220を貫通する信号経路を形成する。
【0063】
マザーボード220の上面において、中継コネクタ224の各々には、アングルコネクタ222を介してピンエレクトロニクス210が装着される。このような構造により、試験対象の仕様および試験内容に応じてピンエレクトロニクス210を交換することができる。複数のピンエレクトロニクス210は、互いに同じ仕様であってもよく、互いに異なる仕様であってもよい。また、一部の中継コネクタ224に、ピンエレクトロニクス210が装着されなくてもよい。」

「【0069】
図6は、試験装置100の背面図の一例を概略的に示す。図1から図5と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。動力ユニット180は、複数の試験ユニット170のそれぞれに対応して、ランプ182、動力切替スイッチ184およびモード切替スイッチ186を有する。試験装置100は、複数の収容室172のそれぞれに対応して、背面扉190、メンテナンスカバー192、ガイドレール193、施錠部196および警告表示部198を備える。」

「【0080】
例えば、施錠部196は、対応する試験ユニット170の運転状態がメンテナンスモードに切り替えられている場合に、制御システム500から上記通知を受け取ってよい。即ち、制御システム500は、モード切替スイッチ186で選択された試験ユニット170と、施錠部196で選択された試験ユニット170とが一致した場合に、モード切替スイッチ186で選択された試験ユニット170を外部に対して開放することを許可する。これにより、ユーザは、対応する背面扉190およびメンテナンスカバー192を開けて、試験ユニット170のピンエレクトロニクス210、プローブカード300を交換したり、その他のメンテナンスを実施したりすることができる。」

「【0085】
予め定められた動作としては、テストヘッド200とプローブカード300とを接触させる工程、ウエハ101とプローブカード300とを位置合わせする工程のように、機械的な振動または電圧の変動に対して敏感な工程を例示できる。これにより、他の試験ユニット170が予め定められた動作を実行している間、当該動作に影響を与える動作を禁止すべき旨をユーザに伝えることができる。当該動作に影響を与える動作としては、対応する背面扉190およびメンテナンスカバー192を開ける作業、試験ユニット170のピンエレクトロニクス210、プローブカード300を交換する作業、またはその他のメンテナンス作業のように、試験ユニット170に機械的な振動または電圧の変動を与えるような動作を例示できる。」

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


上記記載から,文献1には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。

「試験対象となる半導体ウエハ(ウエハ)101を搬送する機構を内蔵するEFEM110と、
前記ウエハ101の電気特性を試験するテストヘッド200と、該テストヘッド200と該ウエハ101の間に介在して、該テストヘッド200および該ウエハ101を電気的に接続するプローブカード300を有する複数の試験ユニット170と、
複数の前記試験ユニット170を内部にそれぞれ収容する複数の収容室172であって、複数の収容室172は並列に配置され、前記テストヘッド200のメンテナンスが容易な位置に配された背面扉190と、プローブカード300のメンテナンスが容易な位置に配されたメンテナンスカバー192と、前記プローブカード300を外部に引き出した場合に該プローブカード300を支持するガイドレール193とを、一方の面に備え、
プローブカード300は交換可能であり、
前記プローブカードを外部に引き出した場合の該プローブカード300が存在する空間は、前記複数の収容室172からみて、前記EFEM110と反対側である試験装置100。」

2 文献2
文献2には、図面とともに以下の記載がある。

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,プローブ装置に関する。」

「【0013】一方前記プローブ装置本体1とは別個に、テストヘッド3を保持して当該装置本体1に着脱するためのテストヘッド保持手段4が床面に移動自在に設けられている。このテストヘッド保持手段4は、テストヘッド3の両側面を保持するための一対のアーム41、42を備えており、このアーム41、42は、両端部に互に逆方向にネジ切り部が形成されたボールネジ43に螺合して設けられ、このボールネジ43の回動により開閉するように構成されいる。
【0014】そして前記アーム41、42の内面及びテストヘッド3の側面には、夫々対応する位置に突起部44及び凹部34が形成されており、これら突起部44、凹部34の係合によりテストヘッド3を確実に保持するようにしている。このアーム41、42の外側には、夫々ボールネジ43を支持する支持片45、46が設けられており、これら支持片45、46は、前記ボールネジ43に沿って伸びるコ字形の固定板5の両端部にネジ51により固定されると共に、このネジ51を調整することによりX軸(ボールネジ43の伸びる方向)のまわりに回動する。
【0015】前記固定板5は、断面T字形の回動部材52の垂直端面にネジ53により固定されると共に、このネジ53を調整することによりY軸(X軸と直交して水平に伸びる軸)のまわりに回動する。前記回動部材52は、昇降部材6の凹部内に、ネジ61の調整によりZ軸(鉛直軸)のまわりに回動できるように嵌入して取り付けられており、前記昇降部材6は、支柱62の前面側の溝内にてZ軸方向に伸びかつモータMにより駆動されるボールネジ63に螺合して設けられると共に、ワイヤ64により吊り下げられている。このワイヤ64は、支柱62の上端部の滑車(図示せず)を介して支柱62の背面側に垂下し、その先端(下端)には図では見えない重錘が取り付けられており、従って昇降部材62を通じてボールネジ63に加わる負荷は、前記重錘によって軽減されることになる。また前記支柱62の下端には、放射状に横方向に伸び、キャスタ65aを備えた例えば4本の脚部65が取り付けられており、テストヘッド保持手段4が床面を移動できるように構成されている。
【0016】そして前記筐体1内には,図示しない駆動機構によりX,Y,Z,θ方向に移動可能なウエハ保持台11が設置されると共に,このウエハ保持台11の上方側には,プローブ針21を備えたプローブカード2がウエハ保持台11と対向するように配設されている。前記プローブカード2は,インサートリング22の下面に固定されると共に,このインサートリング22は,取り付けリング71内に嵌合して保持されている。
【0017】前記筐体10の上面部をなすヘッドプレート10aには,例えばインサートリング22をテストヘッド3側のポゴピン13に対して接離させるに十分なストロークだけ昇降させるように,穴23の周縁部にて図示しない昇降機構により昇降する(Z方向に移動する)Zプレート72が設けられており,更にこのZプレート72には,プローブ針21とウエハW上の電極パッドとのθ方向(鉛直軸を中心とする回転方向)の微小な位置合わせを行うためにθ方向に回動自在なθプレート73が取り付けられている。このθプレート73の下面には,一対のL字型のガイドレール74,75が,筐体10前面に形成された引き出し用の窓76を通して水平に外側に伸びるように架設されており,前記インサートリング22は前記ガイドレール74,75に保持されながら案内されるように取り付けられている。
・・・・・・
【0018】次に上述実施例の作用について説明する。・・・・次いでプローブ針21と電極パッドとを接触させ,テストヘッド3に接続された図示しないテスタによりウエハW上のICチップについて測定を行う。
【0019】そして例えばプローブ針21が摩耗してプローブカード2を交換する場合には,テストヘッド3をヘッドプレート10a上に装着したままZプレート72を下降させて,インサートリング22をテストヘッド3側のポゴピン13から離し,その後作業者により取り付けリング71をガイドレール74,75に沿ってスライドさせながら筐体10の窓76を介して外に引き出し,プローブカード2を取り付けリング71から取り外して新たな別のプローブカード2を当該取り付けリング71に嵌入して,逆の操作によりプローブカードを所定位置(プロービングセンタ)に装着する。この場合プローブカード2をプロービングセンタから筐体10の外に引き出し、また逆にプロービングセンタに装着する操作は、別途作動機構を設けて自動化してもよいし、更に取り付けリング71に対するプローブカード2の着脱はロボットアームを用いて行ってもよい。
【0020】またテストヘッド3のパフォーマンスボードの交換、テストヘッド3のメンテナンスなどを行う場合には、テストヘッド保持手段4を前記テストヘッド3に近接する位置に移動させ、次のようにしてテストヘッド3を保持してプローブ装置本体1から分離させる。先ず例えばモータMによりボールネジ63を回動させてアーム41、42をテストヘッド3の両側面と対向する位置まで降下させ、キャスタ64により前記保持手段4本体を動かしてアーム41、42のX、Y方向の位置を調整すると共に、ボールネジ63によりZ方向の位置を調整し、更にネジ51、53及び回動部材52を調整して夫々X、Y、Z軸まわりについてのテストヘッド3に対するアーム41、42の位置合わせを行う。
【0021】そしてボールネジ43を手動であるいは図示しないモータにより駆動させてアーム41、42を閉じ、アーム41、42側の突起部44とテストヘッド3側の凹部34とを係合させこの係合のみによってあるいは更にテストヘッド3の両側面を狭圧した状態で、アーム41、42によりテストヘッド3を保持し、装置本体1から分離して上昇させる。その後保持手段4を例えば別の場所へ移動してテストヘッド3のメンテナンスやパフォーマンスボードの交換などを行う。テストヘッド3について所定の作業が終了した後上述と逆の操作によりテストヘッド3をプローブ装置本体1の元の位置に戻すが、このとき筐体10の上面の突起部14とテストヘッド3の仮面側の凹部31とを係合させることによって筐体10に対してテストヘッド3が自動的に位置合わせされる。」

「【0024】そしてテストヘッド保持手段4を、例えば床面に設けたガイテドレールに沿って移動させると共に、前記保持手段4の移動路に沿って多数のプローブ装置本体1を設置してテストヘッド保持手段4を共用してもよいし、あるいはまた保持手段4を床面に固定しておいてプローブ装置本体1を必要なときに保持手段4まで移動させるようにしてもよい。」

【図1】

【図3】


3 文献3
文献3には、図面とともに以下の記載がある。

「(産業上の利用分野)
本発明は、プローブ装置に関する。
(従来の技術)
プローブ装置例えば半導体ウエハプローバは実開昭60-130646号公報などに記載されていて周知のものである。即ち位置決めされたウエハに形成された半導体チップのパッドにプローブ針を接触させ、そのプローブ針の他方にテストヘッドのピンエレクトロニクスボードを接触させ電気的性能を測定する。この際、ウエハの載置されたステージを移動し、プローブカードの針を上記半導体チップに接触させ測定するものである。このような構成のプローバは、着脱自在に構成されたプローブカードを保持しているインサートリングをプローバ筐体上面のヘッドプレートの測定部に該当する部分に装着し、その部分にテストヘッドを必要時に応じて回転支点を中心にして回転し設置するもの例えば実開昭60-163743号公報に開示されたものもある。
(発明が解決しようとする問題点)
上記プローブ装置は、着脱自在に構成されたプローブカードを保持しているインサートリングをプローパ筐体上面のヘッドプレートの測定部に該当する部分に装着し、その部分にテストヘッドを回転支点を中心に回転して設置する。このような設置構成では、テストヘッドの設置に費やす時間は多大なもので、なおかつテストヘッドを使用しての測定中に頻繁に行なわれる保守点検の際、およびテストヘッドを使用しない測定の際のテストヘッドの収納場所に多大なスペースが必要であり。
プローブ装置の小型化は望めず、超LSI対応のクラス10のクリーンルームのスペース効率の問題からプローブ装置の小型化が要望されている。
本発明は上記点を改善するためになされたもので、テストヘッドをスムーズに平面内でスライド移動可能にし、テストヘッドの駆動系収納部を小型化しクリーンルーム内を有効活用し生産性の向上を計ったプローブ装置を提供するものである。
〔発明の構成〕
(問題を解決するための手段)
この発明は、被測定体の電極部にプローブカードに設けられた測定端を電気的に接触させてテストヘッドにより電気特性を測定するプローブ装置において、上記テストヘッドを測定に際しスライド搬送機構により移動させる手段とを具備してなることを特徴とするプローブ装置を得るものである。
(作 用)
本発明プローブ装置では、テストヘッドを測定に際しスライド搬送機構により移動させる手段とを具備していることにより、テストヘッド収納部を小型化しクリーンルームのスペース効率の向上による有効活用を実現する効果が得られる。
(実施例)
次に本発明プローブ装置を半導体ウエハプローバに適用した実施例を図を参照して説明する。
ウエハプローバは被測定体であるウエハ(1)を収納した状態のカセットをカセット収納部に搬入し、この収納部からウェハ(1)を一枚づつ取出し、オリフラ合わせ後測定ステージ(2)上に搬送する。この搬送されたウエハ(1)をオリフラなどを基準に微細位置合わせしたのち、プローブカード(3)に配線されて導通している、前もって決められた電圧・電流・信号を出力したり、デバイスからの電圧・電流・信号などを入力する基板例えばピンエレクトロニクスボード(4)が構成されているテストヘッド(5)を上面部に設置する。そして下方から測定ステージ(2)がプローブカード(3)に自動的にウエハ(1)上にソフトランディングし、自動的に検査を開始する構成になっている。又、この自動工程を実行するために連続工程に先だちティーチング操作を行なう。」(第1頁左下欄16行ないし第2頁左下欄7行)

「次にテストヘッド(5)を移動させるスライド搬送機構を説明する。
上記コンタクトボード(10)を下状態にしポゴピン(8)とコンタクトボード(10)を非接触にする。この非接触にしたのは、テストヘッド(5)のスライド搬送の際コンタクトボード(10)とポゴピン(8)を保護し損障を与えないためである。第3図に示めすようにテストヘッド(5)の幅例えば410mmの間隔のガイドレール(13)2本をプローバ上面に70mmの間隔を持たせて設置する。このガイドレール(13)にテストヘッド(5)を保持させガイドレール(13)上をスライド可能なようにテストヘッド(5)の側面にガイドレール(13)に合った突起(14)を前面、後面に夫々2箇所設ける。この突起をガイドレール(13)上を滑走させることによりテストヘッド(5)はスライド搬送可能となる。このガイドレール(13)はプローバ筐体上面コーナー部(15)でプローバ側面に設置されているエアシリンダ(16)と接続しており、すなわち操作者によりテストヘッド(5)をコーナー部(15)までスライドさせ、ここから、プローバ筐体側面下部に設けられたテストヘッド収納部(17)まではエアシリンダ(16)により自動搬送する仕組みになっている。又、テストヘッド収納部(17)にはクッション(18)が設けられており、テストヘッド収納動作の際のテストヘッド(5)の保安は保証されている。さらにテストヘッド(5)を収納部(17)よりコーナー部(15)へエアシリンダ(16)により自動搬送し、コーナー部(15)より測定位置へ操作者によりスライド搬送させる際、測定位置の位置決めが容易なように、接触型のスイッチ(19)をセットしておき測定位置でスライドが終わるようにする。」(第2頁右下欄13行ないし第3頁右上欄3行)

第3図

第4図


4 文献4
文献4には、図面とともに以下の記載がある。

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プローブ装置に関する。」

「【0014】
【実施例】本実施例のプローブ措置は、図1?図4に示すように、装置本体(以下単に「本体」と称す。)1のヘッドプレート2に着脱自在に装着されたプロービングカード3と、このプロービングカード3の裏面に形成された接続端子4に、これらと対応して形成された接続端子(図示せず)を有するテストヘッド4とを備え、このテストヘッド5の接続端子を上記プロービングカード3の接続端子4に電気的に導通させて被検査体例えば半導体ウエハ(図示せず)の電気的検査を行なうように構成されている。…。」

「【0023】次に動作について説明する。本実施例のプローブ装置のプロービングカード3を交換する際には、まず図9に示すように昇降手段8によりテストヘッド5をプロービングカード3から上昇させる。それには図示しない制御装置の制御下で第2駆動機構40のモータ45が駆動すると駆動軸44が図9の矢印θ方向へ回転する。これに伴って搬送路11の垂下部41に取り付けられたボールネジ43を介して搬送路11がガイドレール39に従って上方へ所定距離だけ上昇し、搬送路11内の支持体10及び連結機構9を介してテストヘッド5が本体1のヘッドプレート2から離れてテストヘッド5とプロービングカード3との電気的な導通状態を解除する。
【0024】次いで、図3、図4に示すように搬送手段7によってテストヘッド5を本体1の側面に沿ってY方向へ搬送する。それにはまず、制御装置の制御下で支持体10に固定された第1駆動機構12のモータ17が駆動してピニオン18がラック19と噛合した状態で回転すると、支持体10がガイドレール14に従って搬送路11を移動する。支持体10が移動すると、連結機構9を介して支持体10に連結されたテストヘッド5がプローブ装置本体1の上方でY方向に搬送されて図2に示すように本体1の右側、即ちテスタの上部空間へ退避すると、ストッパーが作動してテストヘッド5を停止させる。これにより本体1のヘッドプレート2はテストヘッド5と干渉していないため、ヘッドプレート2を持ち上げて本体1を開放してヘッドプレート2の略中央に装着されたプロービングカード3を交換できる。ヘッドプレート2を開放した後、使用後のプロービングカード3を次のプロービングカード3と交換する。プロービングカード3の交換後、ヘッドプレート2を降ろして本体1の上面を閉じる。
【0025】また、この時、テストヘッド5のメンテナンスを行なう場合には回転駆動機構20を構成するモータ21を回転させてテストヘッド5を例えば180°回転させ、ストッパー31を作動させるとストッパー用ロッド32が円板部材28のストッパー用孔33に嵌入してテストヘッド5を反転した状態で停止させる(図6参照)。この状態でテストヘッド5のパフォーマンスボード6などを容易に点検することができる。点検後にはストッパー31を作動させてストッパー用ロッド32をストッパー用孔33から後退させ、モータ21を逆方向へ駆動させれば、テストヘッド5は元の状態に戻り、再度ストッパー31が作動してテストヘッド5を元の水平状態に維持する。」

【図1】

【図2】

【図4】


5 文献5
文献5には、図面とともに以下の記載がある。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プローブ装置に関する。」

「【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載のプローブ装置は、装置本体に設けられたプローブを有するプロービングカードと、このプロービングカードのプローブに対応する接続端子を有するテストヘッドとを備え、上記プロービングカードのプローブと被検査体の電極とを接触させるプローブ装置において、上記テストヘッドを回転動させる回転駆動機構と、上記テストヘッドを上下方向に移動させる昇降駆動機構と、上記テストヘッドを上記装置本体の少なくとも一軸方向に移動させる水平移動機構とを備えたことを特徴とするものである。」

「【0017】上記水平移動機構11は、テストヘッド4を前後方向に移動させる機構で、図6に示すように、第2支持体10に取り付けられたモータ111と、このモータ111の回転軸に連結、固定されたピニオン112と、このピニオン112と噛合するラック113とを備えて構成されている。ラック113は第2ケーシングC2の内面に沿って水平方向に配設されている。そして、このラック113の上方には一対のガイドレール114、114が互いに所定間隔を隔ててラック113に対して上方に平行に配設されている。各ガイドレール114、114は第2ケーシングC2の略全長に亘る長さに設けられ、ラック113は第1ケーシングC1を第2ケーシングC2の全長に亘って移動させる長さに設けられている。即ち、ラック113はテストヘッド4の前後方向の移動範囲に亘って設けられている。そして、各ガイドレール114には第2支持体10に取り付けられた係合部材(図示せず)が係合している。従って、モータ111が回転すると、ピニオン112、ラック113を介して第2支持体10及び第1支持体8がガイドレール114、114に従って水平方向で往復移動するように構成されている。そして、水平移動機構11によるテストヘッド4の移動速度はその重量によって異なるが、その速度は例えば1000?1500mm/40秒が好ましく、本実施形態では例えば1295mm/40秒の速度でテストヘッド4を移動させるようにしてある。」

「【0020】次に、本実施形態のプローブ装置のメンテナンス等を行う場合について図10の(a)?(d)を参照しながら説明する。尚、図10において、○印はテストヘッド4の重心位置を示す。本実施形態のプローブ装置のプロービングカード3を交換する際には、まず、図6に示す昇降駆動機構9を駆動させてテストヘッド4を装置本体1の上方へ移動させる。それには昇降駆動機構9のモータ91を回転駆動させる。これにより第1、第2歯車92、93を介してボールネジ94が回転し、ボールネジ94に螺合したナット部材95を介して第1支持体8がガイドレール96に従って上昇する。第1支持体8の上昇で、第1支持体8上の回転駆動機構7に連結された支持フレーム41を介して図1に示すようにテストヘッド4が所望距離(例えば、120mm)だけ上昇し、テストヘッド4とプロービングカード3との電気的な導通状態を解除する。
【0021】次いで、図6に示す水平移動機構11を駆動させてテストヘッド4を装置本体1から後方へ退避させる。それには水平移動機構11のモータ111を回転駆動させる。これによりピニオン112が回転し、ラック113を介して第2支持体10、即ちテストヘッド4がガイドレール114に従って水平方向で後方へ所望の距離(例えば、1295mm)だけ移動し、テストヘッド4が装置本体1から退避し、装置本体1と干渉しない位置へ到達する。この状態で、再び昇降駆動機構9を駆動させると、テストヘッド4が図10の(a)の二点鎖線で示す状態から所定距離(例えば、300mm)だけ下降し、テストヘッド4の重心が下がり、テストヘッド4が安定した同図の実線で示す状態になる。これによりテストヘッド4が装置本体1の後方へ離れているため、ヘッドプレート2を持ち上げて装置本体1を開放してヘッドプレート2の略中央に装着されたプロービングカード3を交換できる。ヘッドプレート2を開放した後、使用後のプロービングカード3を次のプロービングカード3と交換する。プロービングカード3の交換後、ヘッドプレート2を降ろして装置本体1の上面を閉じた後、移動機構6を介してテストヘッド4を検査位置へ戻す。
【0022】また、テストヘッド4のメンテナンスを行う際にテストヘッド4を図10の(b)で示す垂直状態にする必要がある場合には、例えば以下のようにする。即ち、まず、図6に示す昇降駆動機構9を駆動して装置本体1からテストヘッド4を120mm上昇させた後、水平移動機構11を駆動させて975mm後方へ水平移動させる。この状態で、図5に示すロック機構12のエアシリンダ121を駆動させ、シリンダロッドによりフラットバー123、124のピン結合部を図3の実線で示す状態まで押し上げると、ロック爪125が回転駆動機構7の大歯車74から外れ、回転駆動機構7のロックを解除する。この状態で図4に示す回転駆動機構7のモータ71を駆動させる。これにより小歯車72を介して大歯車74が回転すると、大歯車74に連結された支持フレーム41を介してテストヘッド4が大歯車74の回転軸を中心として回転し、テストヘッド4が90°回転した時点で、再び図5に示すロック機構12を駆動させる。この時には、エアシリンダ121の圧縮空気を抜くと、スプリング129、129のバネ力により各フラットバー123、124が図3の実線で示す状態から一点鎖線で示す水平状態になってロック爪125が大歯車74の歯に噛み込み、回転駆動機構7をロックする。これによりテストヘッド4は垂直状態で保持される。更に、図6に示す昇降駆動機構9を駆動させてテストヘッド4が垂直状態のまま図10の(b)の二点鎖線で示した状態から300mm下降させて同図の実線で示した状態にして作業性を良くする。この作業として例えばパフォーマンスボード5のメンテナンスをすることができる。更に必要であれば、図6に示す水平移動機構11を駆動させて例えば320mm後退させて同図の二点鎖線で示す位置まで後退させる。この状態で、テストヘッド4のカバーを外せば、テストヘッド4を両側から点検することができる。
【0023】また、パフォーマンスボード5の交換を行う場合には、例えば以下のようにして行う。まず、図6に示す昇降駆動機構9を駆動させてテストヘッド4を装置本体1から120mm上昇させる。次いで、水平移動機構11を駆動させてテストヘッド4を975mm後方へ移動させる。更に、図5に示すロック機構12のロックを解除した後、図6に示す回転駆動機構7を駆動させてテストヘッド4を90°回転させ、ロック機構12で回転駆動機構7をロックする。再度水平移動機構11を駆動させてテストヘッド4を320mm後方へ移動させた後、回転駆動機構7により更に30°同方向へ回転させテストヘッド4を当初から120°回転した図10の(c)で示す状態にする。更に、昇降駆動機構9によりテストヘッド4を二点鎖線で示す位置から300mm下降させて同図の実線で示す状態にする。これによりパフォーマンスボード5を交換し易い姿勢を採ることができる。また、上述した30°回転を90°回転にすることにより図10の(d)で示すようにテストヘッド4を当初から180°回転させ、テストヘッド4をメンテナンスに即して姿勢にすることができる。これら一連の動作はプログラムの設定に基づいて自動的に実行することができる。即ち、マイクロコンピュータに上述の各駆動機構の動作モードをプログラミングすることにより上述の一連の動作を実行することができる。
【0024】以上説明したように本実施形態によれば、テストヘッド4を装置本体1の一側において片持ち支持し且つこの支持部を中心にテストヘッド4を正逆回転させる回転駆動機構7と、この回転駆動機構7を支持する第1支持体8を介してテストヘッド6を上下方向に移動させる昇降駆動機構と、この昇降駆動機構9を支持する第2支持体10を介してテストヘッド4を装置本体1の一側に沿って正面側から背面後方へ水平方向で往復移動させる水平移動機構11とを備えているため、本実施形態のような半導体ウエハの大型化、高集積化に伴った超重量級のテストヘッド4であってもテストヘッド4を安全且つ円滑に反転させ、前後、上下に移動させることができ、テストヘッド4をメンテナンス等の作業性に優れた位置へ移動させることができる。」

【図1】

【図2】

【図6】

【図10】


6 文献6
文献6には、図面とともに以下の記載がある。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ検査用インターフェース及びウエハ検査装置に関し、更に詳しくは、省スペース化してコストを削減できるウエハ検査用インターフェース及びウエハ検査装置に関する。」

「【0031】
図1に示すように、第2の搬送領域S4に隣接する検査領域S5には、その領域S5に沿って複数(本実施形態では5箇所)の検査室17が所定間隔を空けて配列されており、これらの検査室17では第2のウエハ搬送機構16によってウエハ保持体15を介して搬送されるアライメント済みのウエハWについて電気的特性検査を行うように構成されている。また、検査室17は、図2の(a)、(b)に示すように検査領域S5の各配列位置において上下方向に複数積層された積層構造として形成されている。各層の検査室17は、いずれも同一構造を備えている。そこで、以下では一つの検査室17を例に挙げて、例えば図4を参照しながら説明する。
【0032】
検査室17は、図4に示すように、テスタとウエハWとを電気的に接続するためのウエハ検査用インターフェース(以下、単に「検査用インターフェース」と称す。)IFと、ウエハWを昇降させてウエハWをインターフェースに対して離接させる昇降体18と、を備え、後述のように検査時には昇降体18を介してウエハWとインターフェースIFと電気的に接続するように構成されている。
【0033】
インターフェースIFは、図4に示すように、ヘッドプレートに固定され且つウエハWの複数の電極に対応する複数のプローブ19Aを有するプローブカード19と、ウエハWをプローブカード19側へ吸着させる吸着手段20と、吸着手段20によりプローブカード19へ吸着されるウエハWの外周縁部が接触してプローブカード本体19Bとの間に密閉空間を形成するリング状のウエハ吸着用シール部材21と、プローブカード19を保持するカードホルダ22(図5、図6参照)に対してウエハ吸着用シール部材21を固定する固定リング23と、プローブカード19の上面に形成された複数の端子電極に接続される円板状のポゴリング24と、を備えている。」

「【0044】
このように、本実施形態の検査室17のスペースは、インターフェースIFを設けたため、ウエハ保持体15が搬出入される最小限のスペースと、ウエハ保持体15で保持されたウエハWプローブカード19に接触させるために昇降体18が昇降する最小限のスペースがあればウエハWを検査するためのスペースを十分に確保することができる。そのため、検査室17は、従来と比較して格段に高さを低くすることができ、上述のように積層構造を採用して検査室の設置スペースを格段に削減することができる。更に、昇降体18は、XY方向に移動する必要がないため、検査室17の占有面積も格段に削減することができる。また、アライメント機構14は、各検査室17で共有することができるため、従来のように高価なアライメント機構14を検査室17毎に設ける必要がなく、大幅なコスト削減を実現することができる。」

【図2】


7 文献7
文献7には、図面とともに以下の記載がある。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験電子デバイスの電気的な機能を試験する複数の試験装置を並置してなる電子デバイス試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハなどの電子デバイスの製造工程においては、電子デバイスの不良を発見するための試験が行われている。特許文献1,2には、被試験電子デバイスに試験信号を出力してその応答信号を検査する電子デバイス試験システムが開示されている。電子デバイス試験システムは、複数並んだテストユニットを備える。各テストユニットにはテスト部が設けられている。テスト部は、被試験電子デバイスの入出力端子と接続するコンタクト部が設けられたヘッド部を有し、試験信号を出力するテスタが接続されている。テスト部の前段には、被試験電子デバイスを加熱する恒温部が配され、テスト部の後段には被試験電子デバイスに加えられた熱を除去する除熱部が配されている。恒温部で被試験電子デバイスを加熱し、電気的な機能を試験することによって、短時間で不良を発見することができる。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子デバイス試験システムの省スペース化を図る方法として、縦横に区画されたラックにユニット化されたセルと呼ばれる試験装置を並置する方法が考えられる。試験装置は、被試験電子デバイスを収容する収容体を備える。収容体の内部は、被試験電子デバイスの試験が行われる試験室と、試験信号及び応答信号の入出力を行う試験回路基板を収容する回路基板室とに隔てられる。」

「【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る電子デバイス試験システムの一構成例を示した斜視図、図2は、電子デバイス試験システムの要部を示した模式的正面図、図3は、電子デバイス試験システムを構成する試験装置の一構成例を示した側断面図である。本発明の実施の形態に係る電子デバイス試験システムは、被試験電子デバイスWの電気的な機能を試験する複数の試験装置1と、収容ケース3から試験装置1へ被試験電子デバイスWを搬送する搬送装置2とを備える。複数の試験装置1は、セルと呼ばれるユニットを構成しており、縦横に並置されている。具体的には、電子デバイス試験システムは、各試験装置1を縦方向及び横方向に載置する正面視が略格子状のラックを備えており、複数、例えば100個の試験装置1がラックに載置されている。なお、作図の便宜上、図1には3×3=9個の試験装置1が縦横に並置されている状態を示している。被試験電子デバイスWは、例えば集積回路が形成された半導体ウェハ、モールドパッキングされたLSIチップ、複数の素子を基板上に搭載した装置である。以下では、被試験電子デバイスWの一例として、集積回路が形成された半導体ウェハを挙げて説明する。収容ケース3は、例えば、300mmウェハの保管及び搬送用のFOUP(front opening unified pod)である。
【0046】
搬送装置2は、例えば、収容ケース3と、試験装置1との間に敷設されたレール21と、該レール21に沿って移動する搬送ロボット22とを備える。搬送ロボット22は、レール21に対して回動が可能な胴体部分を有し、胴体部分から伸縮可能なロボットアーム22aが該胴体部分に設けられている。搬送ロボット22は、収容ケース3及び試験装置1の間をレール21に沿って移動し、ロボットアーム22aを伸縮させることによって、被試験電子デバイスWを収容ケース3から取り出し、試験装置1へ搬送する。また、搬送ロボット22は、試験装置1から試験を終了した被試験電子デバイスWを搬出し、収容ケース3に戻す動作を行う。搬送ロボット22の動作は、図3に示した制御部5によって制御される。制御部5は、被試験電子デバイスWの試験を行う試験装置1を、複数の試験装置1の中から無作為に決定し、決定した試験装置1へ被試験電子デバイスWが搬送されるように、搬送ロボット22に制御信号を与える。また、複数の試験装置1に被試験電子デバイスWを搬送する場合、各試験装置1の間で試験が開始されるタイミングが異なるよう、試験開始時間を無作為に決定し、試験開始の制御信号を試験装置1に与える。
【0047】
試験装置1は、図3に示すように、被試験電子デバイスWの電気的な機能を試験するための信号を入出力する試験回路基板13と、該試験回路基板13を収容する中空略直方体の収容体11とを備える。収容体11は、金属製、例えばSUS、アルミニウム等で形成されており、該収容体11は、隔壁部12によって上下に隔てられている。隔壁部12によって隔てられた上側の空間は、試験回路基板13を収容する回路基板室11a、下側の空間は、被試験電子デバイスWの試験が行われる試験室11bを構成している。
【0048】
試験室11bの底部には、被試験電子デバイスWが載置される円柱状の載置台14が設けられている。載置台14は、例えばアルミニウム製であり、被試験電子デバイスWを加熱する加熱部16aを内部に有する。加熱部16aは、例えば載置台14に埋設された抵抗加熱ヒータであり、抵抗加熱ヒータにはヒータ電源16bが接続されている。また、載置台14は、冷却水、液体窒素などの冷媒が通流する冷媒路16cを内部に有する。冷媒路16cには、冷媒供給部16dから冷媒が供給され、循環するように構成されている。冷媒供給部16d及びヒータ電源16bの動作は温度制御部16fによって制御される。載置台14の上面側には、被試験電子デバイスWの温度を検出するデバイス温度検出部16e、例えばサーモカプラ、熱電対温度計、抵抗温度計、放射温度計などが設けられ、検出した温度を示す信号が温度制御部16fに入力するように構成されている。
加熱部16aは、温度制御部16fの指示によってヒータ電源16bから供給された電流により発熱し、被試験電子デバイスWが加熱される。デバイス温度検出部16eにより計測された温度は温度制御部16fにフィードバックされる。温度制御部16fは、デバイス温度検出部16eで検出し、フィードバックされた温度に基づいて、加熱部16aに対する給電、冷媒供給分による冷媒の供給を制御することによって、被試験電子デバイスWの試験を行う際、被試験電子デバイスWの温度を目的温度の80℃乃至150℃に保持する。
【0049】
隔壁部12の略中央部には、孔部が形成されており、該孔部には、試験室11bに搬入された被試験電子デバイスWと、隔壁部12で被試験電子デバイスWから隔離している試験回路基板13とを接続する接続部15が密着状態で貫通している。接続部15は、例えば金属円筒状である。接続部15は、載置台14の上方に対向配置したプローブカードを有する。プローブカードは、被試験電子デバイスWと、試験回路基板13の回路とを接続するために、被試験電子デバイスW、例えば半導体ウェハ上に形成されたIC、LSI等の電子回路ダイの各電極の配置に合わせて導電性の触針を配列したカードである。プローブカードの上側には、パフォーマンスボードが設けられており、プローブカードはパフォーマンスボードによって、触針が下向きになるように保持されている。パフォーマンスボードは、その上側に配されたポゴピンブロックにより接続され、プローブカードと、ポゴピンブロックとを電気的に接続して、被試験電子デバイスWからの応答信号をポゴピンブロックへ送る配線回路を有する。ポゴピンブロックは、回路基板室11aに通じており、試験回路基板13の回路に接続されている。ポゴピンブロックは、パフォーマンスボードと、試験回路基板13との間のインタフェースとなる複数のポゴピンを有している。ポゴピンとは、接触ピンをコイルスプリングの弾性力で電極に押し当てることにより、その電極への電気的接続を行うようにした接触針である。
【0050】
試験回路基板13は、接続部15の上面に保持されており、ポゴピンブロックと電気的に接続されている。試験回路基板13上には,複数の回路部品13a,13b,13c,13d,13eが設けられている。」

「【0074】
また、複数の試験装置1を縦方向及び横方向に複数積み重ねることによって、システムの省スペース化を図り、比較的狭い占有面積の中に高密度な試験環境を実現することができる。」

【図1】


第5 当審の判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「EFEM110」、「試験ユニット170」が収容された「収容室172」は、それぞれ本件発明1の「ローダ」、「検査室」に相当する。

イ 引用発明の「収容室172」の「一方の面」に隣接する空間は、「前記プローブカードを外部に引き出した場合の該プローブカード300」の「メンテナンス」を行う空間であるから、この「収容室172」の「一方の面」に隣接する空間と、本件発明1の「整備空間」は、整備をするための空間ある点で共通する。

ウ そして、引用発明は、「前記プローブカードを外部に引き出した場合の該プローブカード300が存在する空間は、前記複数の収容室172からみて、前記EFEM110と反対側であ」り、また、「複数の収容室172は並列に配置され」ているから、このことと、本件発明1の「ローダと整備空間との間に配置され、少なくとも上下に重ねられて配された複数の検査室」であることとは、ローダ及び整備をするための空間の間に配置された複数の検査室である点で共通する。

エ 引用発明の「前記ウエハ101の電気特性を試験するテストヘッド200」は、本件発明1の「半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッド」に相当する。
そして、引用発明の「試験ユニット170」が収容された複数の「収容室172」は「テストヘッド200」を有しているから、このことは、本件発明1の「半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッド」が「少なくとも上下に重ねられて配された複数の検査室のうちの少なくとも1つの検査室の内部に配置される」ことと、「半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッド」が「複数の検査室のうちの少なくとも1つの検査室の内部に配置される」点で共通する。

オ 以上のことから、本件発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「ローダと整備をするための空間との間に配置された複数の検査室のうちの少なくとも1つの検査室の内部に配置される、半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッド。」

[相違点1]
「整備をするための空間」について、本件発明1は、「整備空間」であって、「整備」の対象は「被整備テストヘッド」であるのに対して、引用発明は、整備をするための空間で整備される整備対象は「プローブカード300」である点。

[相違点2]
「複数の検査室のうちの少なくとも1つの検査室の内部に配置される、半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッド」について、本件発明1は、「少なくとも上下に重ねられて配された複数の検査室のうちの少なくとも1つの検査室の内部に配置される、半導体デバイスが形成されたウエハの検査の際に用いられる被整備テストヘッドであ」るのに対して、引用発明の「収容室172」は上下に重ねられて配置されていない点。

[相違点3]
本件発明1の「被整備テストヘッド」は、「直方体状を呈し、長手方向の側面から突出したフランジ部を備え、前記フランジ部が前記検査室内部のスライドレールに支持されることにより、前記整備空間側に引き出され、前記スライドレールから離間可能である」のに対して、引用発明の「テストヘッド200」は、どのような形状であるのか不明であり、また、「長手方向の側面から突出したフランジ部を備え、前記フランジ部が前記検査室内部のスライドレールに支持されることにより、前記整備空間側に引き出され、前記スライドレールから離間可能」となっていない点。

(2)判断
事案に鑑み、相違点3について先に検討する。
引用発明及び文献2ないし7には、「被整備テストヘッド」が整備空間側に引き出すことは記載されておらず、引用発明に文献2ないし7に記載された技術を採用し、「テストヘッド200」を整備空間側に引き出すことが、当業者が容易になし得たことであったとはいえない。
そして、「テストヘッド200」を整備空間側に引き出すことが、当業者が容易になし得たことでないために、「テストヘッド200」が、フランジ部を備えるようにすること、並びに、フランジ部が検査室内部のスライドレールに支持されることにより、整備空間側に引き出され、スライドレールから離間可能であるようにすることも、当業者が容易になし得たことであったとはいえない。
そうすると、引用発明に、相違点3に係る構成を備えるようにすることが、容易であったということはできない。
なお、テストヘッドとプローブカードとは重量や大きさにおいて相違するから、プローブカードに関する、引用発明や文献2の記載から、テストヘッドを含む対象物一般について、メンテナンスの対象物を引き出してメンテナンスをすることが周知技術であったということはできない。
さらに、文献1には、「前記テストヘッド200のメンテナンスが容易な位置に配された背面扉190」を備え、テストヘッドのメンテナンスは背面扉を開けて行うものであるから、引用発明の「テストヘッド200」を整備空間側に引き出す構成とし、相違点3に係る構成とすることの動機付けは見いだせない。
そうすると、本件発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、引用発明及び文献2ないし7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1に対して、さらに「前記フランジ部は、前記テストヘッドの長手方向の側面上部から側方へ突出すること」を追加した発明、及び本件発明1を「備えることを特徴とするウエハ検査装置」とした発明である。
よって、上記1に示した理由と同様の理由により、本件発明2及び3は、引用発明及び文献2ないし7に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は令和2年8月25日に提出された特許異議申立書(以下、「異議申立書」という。)において上記相違点3について、
「甲1発明の「プローブカード300」や「テストヘッド200」は、いずれも収容室172に設けられたメンテナンスカバー192や背面扉190を開けてメンテナンスされるものであり、そのメンテナンスは、例えば、「プローブカード300」を交換したり、「テストヘッド200」中のピンエレクトロニクス210を交換したり、その他のメンテナンスを実施するものである。
甲1発明において、「メンテナンスカバー192」から外部に引き出した「プローブカード300を支持するガイドレール193」を設ける構成を採用するのは、 「プローブカード300」を収容室172内に収容したままメンテナンスカバー192を開けてメンテナンスを行う場合と比較して、メンテナンス作業を容易に行うことができるためであると解される。
また、周知技術1にあるように、「メンテナンスの対象物をレールを使って、メンテナンス性の優れた位置へ引き出すように構成すること」は、本件特許出願前に当該技術分野における周知技術であり、甲1発明において、周知技術にあるように「テストヘッド200」を引き出す構成としてレールを採用することは、当業者が容易に想到することである。その際に、メンテナンスを容易にするために、メンテナンスの対象物である「テストヘッド200」をレールから離間可能に構成することは、当業者が適宜に選択可能な設計事項である。また、「テストヘッド200」が引き出される際に、「テストヘッド200」はレールの上を滑る(「スライド」)と認められるから、「テストヘッド200」を引き出す際の「レール」を「スライドレール」とすることに格別の困難性は認められない。
そうすると、甲1発明において、メンテナンスを行う「テストヘッド200」についても、整備空間側に引き出してからメンテナンスを行う方が作業を容易に行うことができるのは明らかであるから、「テストヘッド200」をスライドレールを介して整備空間側に引き出して、スライドレールから離間可能な構成とし、[相違点1]に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。
また、その際に、「テストヘッド200」がスライドレールと係合する係合部材を、「直方体状を呈し、長手方向の側面から突出したフランジ部」と構成することは、当業者が適宜選択してなし得ることであり、[相違点2]に係る構成を採用することに格別の困難性は認められない。
よって、[相違点1]及び[相違点2]に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。」(特許異議申立書第32頁20行乃至第33頁28行)旨主張する。
しかしながら、上記1(2)で示したように、特許異議申立人が提出した、文献2ないし7には、「被整備テストヘッド」が整備空間側に引き出すことは記載されておらず、さらに、文献1や2のプローブカードが外部に引き出し交換等を可能としたものであったとしても、テストヘッドとプローブカードとは重量や大きさにおいて相違するから、テストヘッドを含む対象物一般について、メンテナンスの対象物を引き出してメンテナンスをすることが周知技術であったということはできない。
そうすると、特許異議申立人の上記周知技術、すなわち、「メンテナンスの対象物をレールを使って、メンテナンス性の優れた位置へ引き出すように構成すること。」(特許異議申立書第25頁4行乃至5行)は周知技術であるということはできないから、特許異議申立人が主張する上記周知技術を前提とした、特許異議申立人の上記主張は採用できない。

4 当審の判断のまとめ
以上のとおり、本件発明1ないし3は、文献1に記載された発明及び文献2ないし7に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第5 むすび
以上のとおり、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、請求項1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2020-11-11 
出願番号 特願2018-242800(P2018-242800)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 古川 哲也  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 小田 浩
加藤 浩一
登録日 2020-02-05 
登録番号 特許第6655703号(P6655703)
権利者 東京エレクトロン株式会社
発明の名称 被整備テストヘッド及びウエハ検査装置  
代理人 村松 聡  
代理人 松村 潔  
代理人 別役 重尚  
代理人 松浦 憲三  

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