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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1368449
審判番号 不服2020-12658  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-09 
確定日 2020-11-11 
事件の表示 特願2020- 81481「チャットシステム」拒絶査定不服審判事件〔請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年5月1日の出願であって、同年7月16日付けで拒絶理由通知がされ、これに対し、同年8月4日に手続補正書が提出され、同年8月18日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年9月9日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年8月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1に係る発明は、米国特許出願公開第2015/0256666号明細書(以下、「引用文献1」という。)に記載された発明であるか、又は、当該引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は同条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願請求項2に係る発明は、上記引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第3 本願発明
本願請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、令和2年8月4日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1及び本願発明2はそれぞれ、以下のとおりの発明である。

1 本願発明1
「 文字入力の操作に応じて画面上の入力枠内に表示される第1テキストを特定する第1テキストデータを一時的に保持する入力手段と、
第1操作ボタンの操作に応じてチャットデータに時系列で前記第1テキストデータを登録しメッセージサーバーに前記第1テキストデータを送信する第1登録手段と、
前記メッセージサーバーから第2テキストを特定する第2テキストデータを受信し時系列で前記チャットデータに受信した前記第2テキストデータを登録する第2登録手段と、
第2操作ボタンの操作に応じて、前記メッセージサーバーに送信せずに、前記チャットデータに、前記入力手段に保持される前記第1テキストデータを登録する第3登録手段と、
前記チャットデータに基づき前記画面に前記第1テキスト及び前記第2テキストを表示する表示処理手段と
を備えることを特徴とするチャットシステム。」

2 本願発明2
「文字入力の操作に応じて画面上の入力枠内に表示される第1テキストを特定する第1テキストデータを一時的に保持する入力手段と、
第1操作ボタンの操作に応じてチャットデータに時系列で前記第1テキストデータを登録する第1登録手段と、
メッセージサーバーから第2テキストを特定する第2テキストデータを受信し時系列で前記チャットデータに受信した前記第2テキストデータを登録する第2登録手段と、
前記チャットデータに基づき前記画面に前記第1テキスト及び前記第2テキストを表示する表示処理手段と、
第2操作ボタンの操作に応じて、前記入力手段に保持され前記チャットデータに登録される前記第1テキストデータに標識を付加する判別手段と、
相手の端末に到達する送信の対象から前記標識付きの前記第1テキストデータを排除する送信手段と
を備えることを特徴とするチャットシステム。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「[0002] The embodiments of the present invention generally relate to a method of a wireless messaging application such as SMS and MMS used on mobile devices, and more particularly, to a method that allows the user to initiate a delete or recall command of an unwanted message before it is finally delivered to the intended recipient.」
[当審訳]
「[0002] 本発明の実施形態は、一般に、モバイル装置上で使用されるSMS及びMMSなどの無線メッセージングアプリケーションの方法、より具体的には、最終的に目的の受信者に配信される前に、ユーザが不要なメッセージの削除又は取消コマンドを開始できるようにする方法に関する。」

(2)「[0006] Thus in view of the above, given the lack of existence and implementation of mobile software applications that allow seamless deletion or recalling of regrettable and unwanted messages reaching the intended recipient, there is still an unmet need in the prior art for such software mobile applications. As such, the presently disclosed embodiments of the invention now provide such solutions, and provide other advantages that are understood from the present disclosure.」
[当審訳]
「[0006] したがって、上記を考慮して、意図された受信者に到達する残念な(regrettable)、かつ、不要なメッセージのシームレスな削除又は取消を可能にするモバイルソフトウェアアプリケーションの存在及び実装の欠如を考えると、そのようなソフトウェアモバイルアプリケーションに対する従来技術の満たされていないニーズが依然としてある。したがって、本発明がここで開示する実施形態は、そのような解決策を提供し、本開示から理解される他の利点を提供する。」

(3)「[0022] In accordance with another embodiment of the present invention, a system for message communication management of personal mobile wireless devices is described. The system comprises a mobile software application installed on a mobile wireless device, the application comprising an interactive user interface on the mobile wireless device for entering and sending message; and a buffer, in response to a user entering a message and sending the entered message, holding the entered message back from being sent from the mobile wireless device and over a communication network for a predetermined period of time that permits the user to recall or delete the message before it is transmitted over the communication network.」
[当審訳]
「[0022] 本発明の別の実施形態によれば、パーソナルモバイル無線装置のメッセージ通信管理のためのシステムが説明される。このシステムは、モバイル無線装置にインストールされたモバイルソフトウェアアプリケーションを含み、アプリケーションは、メッセージを入力及び送信するためのモバイル無線装置上の対話型ユーザインターフェースを含む。バッファは、ユーザがメッセージを入力し、入力されたメッセージを送信することに応答して、入力されたメッセージがモバイル無線装置から通信ネットワークを介して送信されるのを所定の期間保留し、このメッセージが通信ネットワークを介して送信される前に、ユーザが取消又は削除できるようにする。」

(4)「[0045] As demonstrated in FIGS.1, 2A, 2B, and 3, one preferred embodiment of the OST application(overlay application) for deleting and recalling an unwanted Multimedia Messaging Services(MMS) or Short Messaging Services(SMS) message on a mobile device102 before the message is delivered to the intended recipient is contemplated. The OST application operates by running on top of a resident messaging application on the mobile device102 and delaying the delivery of a message composed on the resident messaging application to the recipient for a predetermined amount of time set by the user of the mobile device. The resident message application may be an onboard or default SMS/MMS application that is pre-installed on the mobile device during manufacture and assembly, a SMS/MMS application that is subsequently installed on the mobile device by the user to override or replace the default SMS/MMS application(such as Handcent, chomp, Textra etc.), or any other application on the mobile device that can transmit text and media messages (such as WeChat, "What's App", Line, Facebook Messenger, G-Chat, Facebook Messenger, Snapchat etc.).」
[当審訳]
「[0045] 図1、2A、2B、及び3に示されるように、モバイル装置102上の不要なマルチメディアメッセージングサービス(MMS)又はショートメッセージングサービス(SMS)メッセージを、意図された受信者に配信される前に削除及び取り消すためのOSTアプリケーション(オーバーレイアプリケーション)の1つの好ましい実施形態が企図されている。OSTアプリケーションは、モバイル装置102上の常駐メッセージングアプリケーション上で実行され、常駐メッセージングアプリケーションで作成されたメッセージの受信者への配信を、モバイル装置のユーザが設定した所定の時間、遅らせるように動作する。常駐メッセージアプリケーションは、製造及び組み立て中にモバイル装置にプレインストールされるオンボード又はデフォルトのSMS/MMSアプリケーションであっても、後でユーザによってデフォルトのSMS/MMSアプリケーション(Handcent、chomp、Textraなど)を上書き又は置換することによりインストールされるSMS/MMSアプリケーションであっても、テキストメッセージやメディアメッセージを送信できるモバイル装置上のその他のアプリケーション(WeChat、What's App、Line、Facebook Messenger、G-Chat、Facebook Messenger、Snapchatなど)であってもよい。」

(5)「[0046] FIGS.1, 2A, 2B, and 3 also depict a hypothetical scenario where a user104 having the OST application(overlay application) installed on the mobile device102 is communicating with another person 106. The OST application provides a maneuverable OST button 108 which may be used to indicate delay and used by the user104 to delete or recall a message. The maneuverable OST button108 may start by appearing adjacent to a bezel of the mobile device102 when there is no message being delayed by the OST application as shown in FIG.1(initial position of the maneuverable OST button108). When the user104 composes a message on the resident messaging application and sends the composed message by clicking the "send" button on the resident messaging application, the length of the message extends the maneuverable OST button108 toward another bezel of the mobile device102 as shown in FIG.2A (extended position of the maneuverable OST button108). Because the OST application operates on top of the resident messaging application, the OST application delays(or prevents) the delivery of the message for the predetermined amount of time set by the user104, even though the user has already pressed the "send" button of the resident messaging application. During the predetermined amount of time, the message is cached in a buffer for an amount of time set by the user104 on the OST application. The predetermined amount of time is preferably between 0 and 60 seconds. The buffer may be a software buffer built into the OST application or a memory on the mobile device being utilized by the OST application. As such, the delay feature of the OST application does not involve or require storing any data on any servers or devices(such as routers and modems) on the telecommunication network(such as Wi-Fi, 802.11, Bluetooth, radio frequency systems, VOIP, infrared, GSM, GSM plus EDGE, CDMA, quadband protocols) to cache the message. Since the predetermined amount of time is set by the user and it operates independently of the servers and devices on the telecommunication(or solely on the mobile device102), the delay provided by the OST application is beyond the inherent delay associated with the hardware and software on the mobile device102 and the inherent delay associated with the software of the OST application for performing their basic functions such as but not limited to the time needed to turn on or off of a hardware component, the time needed to start or shut down an operating system, the time needed to transmit data between hardware components, etc.」
[当審訳]
「[0046] 図1、2A、2B、及び3はまた、モバイル装置102上にインストールされたOSTアプリケーション(オーバーレイアプリケーション)を有するユーザ104が他の人106と通信する仮想シナリオを示す。OSTアプリケーションは、遅延を示すために使用され、ユーザ104がメッセージを削除又は取り消すために使用される、操縦可能な(maneuverable)OSTボタン108を提供する。操縦可能なOSTボタン108は、図1(操縦可能なOSTボタン108の初期位置)に示されるように、OSTアプリケーションによって遅延されるメッセージがないときに、モバイル装置102の枠に隣接して現れることによって開始することができる。ユーザ104が常駐メッセージングアプリケーション上でメッセージを作成し、常駐メッセージングアプリケーション上の「送信」ボタンをクリックすることによって作成されたメッセージを送信すると、図2A(操縦可能なOSTボタン108の拡張位置)に示すように、メッセージの長さが、操縦可能なOSTボタン108をモバイル装置102の別の枠に向かって拡張させる。ユーザがすでに常駐メッセージングアプリケーションの「送信」ボタンを押していても、OSTアプリケーションが常駐メッセージングアプリケーション上で動作して、ユーザ104が設定した所定の時間、メッセージの配信を遅延(又は防止)する。所定の時間の間、メッセージは、OSTアプリケーション上でユーザ104によって設定された時間の間、バッファにキャッシュされる。所定の時間は、好ましくは0秒から60秒の間である。バッファは、OSTアプリケーションに組み込まれているソフトウェアバッファでも、又はOSTアプリケーションによって使用されているモバイル装置上のメモリでもよい。そのため、OSTアプリケーションの遅延機能は、メッセージをキャッシュするために、通信ネットワーク(Wi-Fi、802.11、Bluetooth、無線周波数システム、VOIP、赤外線、GSM、GSMとEDGE、CDMA、クアッドバンドプロトコルなど)上のサーバー又は装置(ルーターやモデムなど)にデータを保存する必要はない。所定の時間はユーザによって設定され、電気通信上のサーバー及び装置とは独立して(又はモバイル装置102上でのみ)動作するため、OSTアプリケーションによって提供される遅延は、ハードウェア及びソフトウェアに関連する固有の遅延、並びに、モバイル装置102及びハードウェアコンポーネントのオン又はオフに必要な時間、動作の開始又はシャットダウンに必要な時間、システム、ハードウェアコンポーネント間でデータを送信するために必要な時間など(これらに限らない。)、基本的な機能を実行するOSTアプリケーションのソフトウェアに関連する固有の遅延とは無関係(beyond)である。」

(6)「[0048] During the delay or the predetermined amount of time, the user104 may either delete or recall the message he or she sent. To delete the sent message, the user104 may scroll or swipe the maneuverable OST button108 from left to right or from its extended position to its initial position as shown in FIGS.2A and 2B. In other words, the user104 swipes the maneuverable OST button108 on the sent message to the right to delete the sent message. To recall the sent message, the user104 may further scroll or swipe the maneuverable OST button108 to the left from its extended position as shown in FIG.3 (further extended position of the maneuverable OST button108). In other words, the user104 swipes the maneuverable OST button108 on the sent message to the left to recall the sent message. Delete erases the entire sent message and the user104 retypes another message from scratch if he or she wishes to send another message. Recall retrieves the entire sent message for correcting typographical errors and/or further editing the message without erasing any content in the message. If the user104 does not swipe the maneuverable OST button108 during the predetermined amount of time, the sent message will be delivered to the recipient after the predetermined amount of time expires.」
[当審訳]
「[0048] 遅延又は所定の時間の間に、ユーザ104は、彼又は彼女が送信したメッセージを削除又は取り消すことができる。送信されたメッセージを削除するために、ユーザ104は、図2A及び2Bに示されるように、操縦可能なOSTボタン108を左から右に、又はその拡張位置からその初期位置までスクロール又はスワイプすることができる。言い換えれば、ユーザ104は、送信されたメッセージの操縦可能なOSTボタン108を右にスワイプして、送信されたメッセージを削除する。送信されたメッセージを取り消すために、ユーザ104は、図3に示されるように、操縦可能なOSTボタン108をその拡張位置(操縦可能なOSTボタン108のさらに拡張された位置)から左にさらにスクロール又はスワイプすることができる。言い換えれば、ユーザ104は、送信されたメッセージの操縦可能なOSTボタン108を左にスワイプして、送信されたメッセージを取り消す。「削除」は、送信されたメッセージ全体を消去し、ユーザ104は別のメッセージを送信したい場合、別のメッセージを最初から再入力する。「取消」は、誤植を修正したり、メッセージのコンテンツを消去せずにメッセージをさらに編集したりするために、送信されたメッセージ全体を取り戻す(retrieve)。ユーザ104が所定の時間の間に操縦可能なOSTボタン108をスワイプしない場合、送信されたメッセージは、所定の時間が経過した後に受信者に配信される。」

(7)「[0050] Referring to FIGS.4 and 5, the OST application(overlay application) may further have a "curfew" feature. The "curfew" feature allows the user to set another predetermined amount of time during which the sent message is embargoed and after which the embargoed sent message is delivered only if the user confirms delivering the embargoed sent message to the recipient. Unlike the delay/delete/recall features described above, the "curfew" feature does not automatically deliver the message to the recipient after the another predetermined amount of time expires. Instead it always asks the user to confirm if he or she really wants to deliver the message after the another predetermined amount of time expires. The another predetermined amount of time is preferably longer than the predetermined amount of time. For example, the user turns on the "curfew" feature and sets the another predetermined amount of time to be 24 hours. The user composes a message and sends it by hitting the "send" button. The sent message is subsequently embargoed or cached in a curfew queue for 24 hours(FIG.4) and the OST application will automatically ask the user if he or she wants to deliver the message that he or she composed 24 hours ago after the another predetermined amount of time expires(FIG.5). If the user responds with yes, the message will then be delivered to the recipient. If the users responds with no, the message will not be delivered to the recipient. The "curfew" feature may apply to one message, some messages, or all the messages composed by the user. When the "curfew" feature is set to apply to some or all of the messages, the user can review some or all of the embargoed messages and decide which embargoed messages should be delivered and which one should not be delivered after the another predetermined amount of time of some or all of the messages have expired. For example, the user sets the another predetermined amount of time to be 24 hours and the user sends a message at 9:00 a.m. on Monday, a second message at 10:00 a.m. on the same Monday, and a third message at 11:00 a.m. on the same Monday, the user will be able to go through all three messages and decide which of the message that he or she actually wants to be delivered to the recipient when he or she checks the OST application at 11:00 a.m. or later on Tuesday. If the user checks the OST application between 10:00 a.m. and 10:59 a.m. on the same Tuesday, the user will be able to go through the first and second message and decide which of those message that he or she actually wants to be delivered to the recipient. The OST application may also have the option to deliver the sent message before the another predetermined amount of time expires. The user may allow delivery of the sent message before the predetermined amount of time expires by swiping or tapping the sent message(FIG.4). Swiping or tapping the sent message prompts a confirmation window 120 asking the user if he or she really wants to send(or deliver) the embargoed message(FIG.5). The user may respond with yes to send or deliver the embargoed message before the another predetermined amount of time is up. The user may also respond with no to continue embargoing the message. The curfewed or embargoed message may be designated with a color different from the delayed message described above such as orange to distinguish those two types of messages.」
[当審訳]
「[0050] 図4及び図5を参照すると、OSTアプリケーション(オーバーレイアプリケーション)は、さらに「門限」(curfew)機能を有し得る。「門限」機能により、ユーザは、送信されたメッセージが禁止(embargoed)され、その後、ユーザが禁止された送信メッセージの受信者への配信を確認した場合にのみ、禁止された送信メッセージが配信される別の所定の時間を設定できる。上記の遅延/削除/取り消し機能とは異なり、「門限」機能は、他の所定の時間が経過した後、メッセージを受信者に自動的に配信しない。代わりに、他の所定の時間が経過した後、ユーザが本当にメッセージを配信したいかどうかを確認するように常にユーザに求める。他の所定の時間は、好ましくは、所定の時間よりも長い。たとえば、ユーザは「門限」機能をオンにして、他の所定の時間を24時間に設定する。ユーザはメッセージを作成し、「送信」ボタンを押して送信する。送信されたメッセージはその後、門限キューに24時間禁止又はキャッシュされ(図4)、OSTアプリケーションは、ユーザが24時間前に作成したメッセージを他の所定の時間が経過した後に配信したいかどうかを自動的にユーザに尋ねる(図5)。ユーザが「はい」と応答すると、メッセージは受信者に配信される。ユーザが「いいえ」と応答した場合、メッセージは受信者に配信されない。「門限」機能は、一つのメッセージ、一部のメッセージ、又はユーザが作成したすべてのメッセージに適用することができる。「門限」機能が一部又はすべてのメッセージに適用されるように設定されている場合、ユーザは、一部又はすべての禁止メッセージを見直し、一部又はすべてのメッセージについての他の所定の時間が経過した後で配信する禁止メッセージと配信しないメッセージを決定する。たとえば、ユーザは他の所定の時間を24時間に設定し、ユーザは月曜日の午前9時にメッセージを送信し、同じ月曜日の午前10時に2番目のメッセージを送信し、同じ月曜日の午前11時に3番目のメッセージを送信する場合、ユーザは、火曜日の午前11:00又はそれ以降にOSTアプリケーションをチェックするときに、3つのメッセージすべてを確認し、実際に受信者に配信するメッセージを決定する。ユーザが同じ火曜日の午前10時から午前10時59分までの間にOSTアプリケーションをチェックすると、ユーザは最初と2番目のメッセージを確認し、実際に受信者に配信するメッセージを決定できる。OSTアプリケーションには、他の所定の時間が経過する前に送信されたメッセージを配信するオプションもある。ユーザは、送信されたメッセージをスワイプ又はタップすることによって、所定の時間が経過する前に送信されたメッセージの配信を許可することができる(図4)。送信されたメッセージをスワイプ又はタップすると、ユーザが禁止されたメッセージを本当に送信(又は配信)したいかどうかを尋ねる確認ウィンドウ120が促される(図5)。ユーザは、他の所定の時間が経過する前に、禁止されたメッセージを送信又は配信するために「はい」と応答することができる。ユーザは、メッセージの禁止を続行するために「いいえ」で応答することもできる。門限が付された(curfewed)又は禁止された(embargoed)メッセージは、上述した遅延メッセージと異なる色(オレンジ色など)で指定されることにより、これら2つのタイプのメッセージが区別できるようになる。」

(8)「[0054] Referring to FIG.6, one embodiment of the mobile device 202 ( or 102 in FIGS.1-5) is illustrated. In a preferred embodiment, the mobile device202 comprises a display 210, a buffer220, an input/out (I/O) circuitry240, a control circuitry260, and a communications circuitry280. As appreciated by those skilled in the art, the mobile device202 can include other components not combined or included in those shown in this figure, e.g., a power supply, an input mechanism, etc.」
[当審訳]
「[0054] 図6を参照すると、モバイル装置202(又は図1?5の102)の一実施形態が示されている。好ましい実施形態では、モバイル装置202は、ディスプレイ210、バッファ220、入力/出力(I/O)回路240、制御回路260、及び通信回路280を備える。当業者によって理解されるように、モバイル装置202は、この図に示されるものに組み合わされていない、又は含まれていない他の構成要素、例えば、電源、入力機構などを含むことができる。」

(9)「[0056] Buffer220 can include, for example, one or more tangible computer storage devices including a hard-drive, solid state drive, flash memory, permanent memory such as ROM, magnetic, optical, semiconductor, or any other suitable type of storage component, or any combination thereof. Buffer can store or cache, for example, the delayed and embargoed messages, applications and application data for implementing functions on the mobile device220, wireless connection data that can enable the mobile device202 to establish a wireless connection, and any other suitable data orany combination thereof. The instructions for implementing the functions of the present invention may, as non-limiting examples, comprise non transient software and/or scripts stored in the computer-readable media220. Buffer220 may also be a semi-permanent memory such as RAM, and/or one or more types of memory used for temporarily storing data. In some embodiments, buffer220 can also be used for storing data to operate mobile device applications or any other data from other components in the mobile device220 such as display210, input/out circuitry240, control circuitry260, and communications circuitry280.」
[当審訳]
「[0056] バッファ220は、例えば、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ、ROM、適切なタイプ(磁気、光学、半導体、その他)のストレージコンポーネントなどの永続メモリを含む1つ又は複数の有形のコンピュータストレージ装置、もしくはそれらの組み合わせを含む。バッファは、例えば、モバイル装置220に機能を実装するための遅延及び禁止メッセージ、アプリケーション及びアプリケーションデータ、モバイル装置202がワイヤレス接続を確立することを可能にすることができるワイヤレス接続データ、及び他の任意の適切なデータ又はそれらの任意の組み合わせを格納又はキャッシュすることができる。本発明の機能を実施するための命令は、非限定的な例として、コンピュータ可読媒体220に格納された非一時的なソフトウェア及び/又はスクリプトを含み得る。バッファ220は、RAMなどの半永久的なメモリ、及び/又はデータを一時的に格納するために使用される1つ又は複数のタイプのメモリであってもよい。いくつかの実施形態では、バッファ220はまた、モバイル装置アプリケーションを操作するためのデータ、又はディスプレイ210、入力/出力回路240、制御回路260、及び通信回路280などのモバイル装置220内の他のコンポーネントからの任意の他のデータを格納するために使用することができる。」

(10)
「FIG.1


上記(3)を参照すると、モバイル装置102の対話型ユーザインターフェース上に、ユーザ104が入力し送信したメッセージと他の人106から受信したメッセージとが表示される様子が見て取れる。

(11)「FIG.2A



(12)「FIG.2B


操縦可能なボタン108が右にスワイプされることにより、入力されたメッセージが表示画面から削除された様子が見て取れる。

(13)「FIG.3


操縦可能なボタン108が左にスワイプされることにより、入力されたメッセージの色が変化し、編集可能な状態とされていることが見て取れる。

(14)「FIG.5


下部に「Message」と記載されている枠があるが、技術常識からすれば、この枠は、メッセージを入力する入力枠であり、その右側に表示されている三角形状のマークは、「送信」ボタンと理解することができる。
そうすると、上記(3)を参照すれば、モバイル装置102の対話型ユーザインターフェースは、ユーザ104がメッセージを入力する入力枠を備えているといえる。
また、上記(7)において、ユーザは、確認ウィンドウ120に表示される「YES,I’M SURE」ボタンを操作して「はい」と回答し、確認ウィンドウ120に表示される「NOPE」ボタンを操作して「いいえ」と回答するものと理解することができる。

(15)「FIG.6



2 引用発明
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 ユーザが、モバイル装置上で使用されるSMS及びMMSなどの無線メッセージングアプリケーションにおける不要なメッセージの削除又は取消コマンドを開始できるようにする、モバイル無線装置のメッセージ通信管理のためのシステムであって、
モバイル装置202は、ディスプレイ210、バッファ220、入力/出力(I/O)回路240、制御回路260、及び通信回路280を備え、
バッファ220は、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ、ROM、適切なタイプ(磁気、光学、半導体、その他)のストレージコンポーネントなどの永続メモリを含む1つ又は複数の有形のコンピュータストレージ装置であるが、RAMなどの半永久的なメモリであってもよく、
バッファ220は、遅延及び禁止メッセージを格納又はキャッシュすることができ、通信回路280などからの任意の他のデータを格納するために使用することができ、
システムは、モバイル無線装置にインストールされたモバイルソフトウェアアプリケーションを含み、アプリケーションは、メッセージを入力及び送信するためのモバイル無線装置上の対話型ユーザインターフェースを含み、モバイル装置102の対話型ユーザインターフェースは、ユーザ104がメッセージを入力する入力枠を備え、対話型ユーザインターフェース上には、ユーザ104が入力し送信したメッセージと他の人106から受信したメッセージとが表示され、
ユーザ104が常駐メッセージングアプリケーション上でメッセージを作成し、常駐メッセージングアプリケーション上の「送信」ボタンをクリックすることによって作成されたメッセージを送信すると、メッセージの長さが、操縦可能なOSTボタン108をモバイル装置102の別の枠に向かって拡張させ、
ユーザがすでに常駐メッセージングアプリケーションの「送信」ボタンを押していても、OSTアプリケーションが常駐メッセージングアプリケーション上で動作して、ユーザ104が設定した所定の時間、メッセージの配信を遅延(又は防止)し、所定の時間の間、メッセージは、バッファにキャッシュされ、
ユーザ104は、操縦可能なOSTボタン108を左から右にスワイプして、送信されたメッセージを削除し、このとき、入力されたメッセージが表示画面から削除され、
ユーザ104は、操縦可能なOSTボタン108を左にスワイプして、送信されたメッセージを取り消し、このとき、入力されたメッセージの色が変化し、編集可能な状態とされ、
ユーザ104が所定の時間の間に操縦可能なOSTボタン108をスワイプしない場合、送信されたメッセージは、所定の時間が経過した後に受信者に配信され、
OSTアプリケーションは、さらに、好ましくは、所定の時間より長い他の所定の時間が経過した後、ユーザが本当にメッセージを配信したいかどうかを確認するように常にユーザに求める「門限」機能を有し得、
例えば、ユーザが「門限」機能をオンにして、他の所定の時間を24時間に設定した場合、ユーザはメッセージを作成し、「送信」ボタンを押して送信すると、送信されたメッセージはその後、門限キューに24時間保留又はキャッシュされ、OSTアプリケーションは、ユーザが24時間前に作成したメッセージを他の所定の時間が経過した後に配信したいかどうかを自動的にユーザに尋ねる確認ウィンドウ120の「YES,I’M SURE」ボタンを操作してユーザが「はい」と応答するとメッセージは受信者に配信され、「NOPE」ボタンを操作してユーザが「いいえ」と応答した場合、メッセージは受信者に配信されず、
門限が付された(curfewed)又は禁止された(embargoed)メッセージは、上述した遅延メッセージと異なる色(オレンジ色など)で指定されることにより、これら2つのタイプのメッセージが区別できるようになる、
システム。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 本願発明1の「入力手段」について
引用発明は、「モバイル装置102の対話型ユーザインターフェースは、ユーザ104がメッセージを入力する入力枠を備え」との構成を備えているが、当該構成の「対話型インターフェース」は、本願発明1の「画面」に相当する。また、当該構成において、「メッセージ」がテキストで構成されること、「入力枠」には、「メッセージ」(テキスト)を構成する文字が入力操作に応じて表示されること(文字入力の操作に応じて入力枠内にテキストが表示されること)、当該入力された「メッセージ」(テキスト)は、これを特定するデータ(テキストデータ)としてモバイル装置内のバッファ220に一時的に保持されることは自明なことである。
また、入力枠に表示される「メッセージ」(テキスト)を「第1テキスト」、これを特定するデータを「第1テキストデータ」と称することは任意である。
そうすると、引用発明は、本願発明1の「文字入力の操作に応じて画面上の入力枠内に表示される第1テキストを特定する第1テキストデータを一時的に保持する入力手段」との構成を備える。

イ 本願発明1の「第1操作ボタン」、「第1登録手段」及び「第2操作ボタン」、「第3登録手段」について

(ア)「第1操作ボタン」及び「第2操作ボタン」について
本願発明1の構成「第1操作ボタンの操作に応じてチャットデータに時系列で前記第1テキストデータを登録しメッセージサーバーに前記第1テキストデータを送信する第1登録手段」及び「第2操作ボタンの操作に応じて、前記メッセージサーバーに送信せずに、前記チャットデータに、前記入力手段に保持される前記第1テキストデータを登録する第3登録手段」からして、本願発明1の「第1操作ボタン」は、「第1テキストデータ」を「登録」して「送信」することの契機となる操作がなされるものであり、「第2操作ボタン」は、「第1テキストデータ」を「メッセージサーバーに送信せずに」「登録」することの契機となる操作がなされるものである。よって、「送信」の有無に関していえば、「第1操作ボタン」と「第2操作ボタン」は、排他的な事象(送信する/送信しない)を生じさせるための契機となる操作がなされるものと理解することができる。
一方、引用発明において、ユーザが操作することができる「操作ボタン」といい得るものは、常駐メッセージングアプリケーション上の「『送信』ボタン」と、ユーザが「門限」機能をオンにした場合に、他の所定の時間が経過した後に表示される確認ウィンドウ120の「『YES,I’M SURE』ボタン」及び「『NOPE』ボタン」である。
よって、引用発明の上記各「ボタン」が、本願発明1の「第1操作ボタン」及び「第2操作ボタン」に相当するか否かについて、以下、検討する。

まず、引用発明は、「ユーザがすでに常駐メッセージングアプリケーションの「送信」ボタンを押していても、OSTアプリケーションが常駐メッセージングアプリケーション上で動作して、ユーザ104が設定した所定の時間、メッセージの配信を遅延(又は防止)し、所定の時間の間、メッセージは、バッファにキャッシュされ」、「ユーザ104は、操縦可能なOSTボタン108を左から右にスワイプして、送信されたメッセージを削除し、このとき、入力されたメッセージが表示画面から削除され」及び「ユーザ104は、操縦可能なOSTボタン108を左にスワイプして、送信されたメッセージを取り消し、このとき、入力されたメッセージの色が変化し、編集可能な状態とされ」、「ユーザ104が所定の時間の間に操縦可能なOSTボタン108をスワイプしない場合、送信されたメッセージは、所定の時間が経過した後に受信者に配信され」との構成を備え、さらに、ユーザが「門限」機能をオンにした場合には、さらに、他の所定の時間が経過した後で、ユーザがメッセージを送信するか否かを決定できるように構成されているから、ユーザが「『送信』ボタン」を操作することは、入力したメッセージが送信されるか、又は、送信されないかのいずれかの事象が選択的になされる契機とはなっていない。
よって、引用発明の「『送信』ボタン」は、本願発明1の「第1操作ボタン」及び「第2操作ボタン」のいずれにも相当しない。

一方、引用発明は、「OSTアプリケーションは、さらに、好ましくは、所定の時間より長い他の所定の時間が経過した後、ユーザが本当にメッセージを配信したいかどうかを確認するように常にユーザに求める『門限』機能を有し得」、「確認ウィンドウ120の『YES,I’M SURE』ボタンを操作してユーザが『はい』と応答するとメッセージは受信者に配信され、『NOPE』ボタンを操作してユーザが『いいえ』と応答した場合、メッセージは受信者に配信されず」との構成を備えるとともに、引用発明は、「ユーザが、モバイル装置上で使用されるSMS及びMMSなどの無線メッセージングアプリケーションにおける不要なメッセージの削除又は取消コマンドを開始できるようにする」ものであって、かつ、「ユーザがすでに常駐メッセージングアプリケーションの『送信』ボタンを押していても、OSTアプリケーションが常駐メッセージングアプリケーション上で動作して、ユーザ104が設定した所定の時間、メッセージの配信を遅延(又は防止)し、所定の時間の間、メッセージは、バッファにキャッシュされ」との構成を備えている。
また、「SMS及びMMSなどの無線メッセージングアプリケーション」においては、「メッセージサーバー」を介してユーザ間でメッセージの送受信が行われることは技術常識である。
以上からすれば、引用発明は、「常駐アプリケーション」である「SMS及びMMSなどの無線メッセージングアプリケーション」の上で動作する「OSTアプリケーション」が、「常駐アプリケーション」において通常は「送信」ボタンを押すことによって直ちになされる「メッセージの配信」を、所定の時間の間、遅延(又は防止)し、さらに「門限」機能が設定されている場合は、さらに他の所定の時間の経過後、「メッセージの配信」の是非をユーザに確認するものであって、「メッセージの配信」の遅延(又は防止)は、当該メッセージを、「メッセージサーバー」に送信しないことによって実現されていると理解することができる。
よって、引用発明の「『YES,I’M SURE』ボタン」は、メッセージ(第1テキストデータ)を、メッセージサーバーに送信することの契機となる操作がなされるものである点において、本願発明1の「第1操作ボタン」と共通し、また、引用発明の「『NOPE』ボタン」は、メッセージ(第1テキストデータ)を、メッセージサーバーに送信しないことの契機となる操作がなされるものである点において、本願発明1の「第2操作ボタン」と共通する。
以上からすれば、引用発明と本願発明1の「第1操作ボタンの操作に応じてチャットデータに時系列で前記第1テキストデータを登録しメッセージサーバーに前記第1テキストデータを送信する第1登録手段」とは、「第1操作ボタンの操作に応じてメッセージサーバーに前記第1テキストデータを送信する手段」である点で共通し、引用発明と本願発明1の「第2操作ボタンの操作に応じて、前記メッセージサーバーに送信せずに、前記チャットデータに、前記入力手段に保持される前記第1テキストデータを登録する第3登録手段」とは、「第2操作ボタンの操作に応じて、前記第1テキストデータを前記メッセージサーバーに送信しないようにする手段」である点で共通する。

(イ)「第1登録手段」及び「第3登録手段」について
引用発明は、「バッファ220は、遅延及び禁止メッセージを格納又はキャッシュすることができ」との構成を備えているから、「バッファ220」には、「OSTアプリケーション」によって、遅延、又は、「門限」機能により禁止されたメッセージのデータ(第1テキストデータ)が格納(登録)されているといえ、そのような格納(登録)のための手段を「登録手段」と称することは任意である。
また、本願発明1の「第1登録手段」と「第3登録手段」は、いずれも「第1テキストデータ」を「チャットデータ」に「登録」するものであるから、本願発明1は、「第1テキストデータをチャットデータに登録する手段」を備えているといえる。ここで、「チャットデータ」は、本願発明1の「チャットデータに…第1テキストデータを登録する」及び「チャットデータに基づき前記画面に前記第1テキストおよび前記第2テキストを表示する」からすれば、「画面」に表示される「第1テキスト」が「登録」される場所又はデータ構造を意味するものと理解できる。また、「チャットデータ」の「チャット」とは「会話」の意味であるから、「チャットデータ」とは、「会話」のデータである。
そして、引用発明における上記の遅延又は「門限」機能により禁止されたメッセージは、それが配信される場合における「ユーザ104」と「他の人106」との「会話」のためのものといえるから、その元となるデータ(第1テキストデータ)の格納(登録)されたデータ構造は、「チャットデータ」といい得るものである。
よって、引用発明と本願発明1(「第1登録手段」及び「第3登録手段」)とは、「チャットデータに前記第1テキストデータを登録する登録手段」を備える点において共通する。

ウ 本願発明1の「第2登録手段」について
前記イで述べたように、「SMS及びMMSなどの無線メッセージングアプリケーション」においては、「メッセージサーバー」を介してユーザ間でメッセージの送受信が行われることは技術常識である。
また、引用発明は「モバイル装置202は、ディスプレイ210、バッファ220、入力/出力(I/O)回路240、制御回路260、及び通信回路280を備え」及び「対話型ユーザインターフェース上には、ユーザ104が入力し送信したメッセージと他の人106から受信したメッセージとが表示され」との構成を備えており、「通信回路280」は、他の人106から受信したメッセージを「メッセージサーバー」から受信して表示するものと理解することができる。ここで、「対話型ユーザインターフェース」(画面)上に表示される「ユーザ104が入力し送信したメッセージ」は、前記アを参酌すれば「第1テキスト」といい得るものであり、また、「対話型ユーザインターフェース」(画面)上に表示される「他の人106から受信したメッセージ」は、「第2テキスト」といい得るものであり、そうすると、「通信回路280」が「メッセージサーバー」から受信するメッセージのデータは、「第2テキストデータ」といい得るものである。
さらに、引用発明は、「バッファ220は、遅延及び禁止メッセージを格納又はキャッシュすることができ、通信回路280などからの任意の他のデータを格納するために使用することができ」との構成を備えていることからすれば、「バッファ220」には、通信回路280が「メッセージサーバー」から受信したメッセージのデータ(第2テキストデータ)が時系列で格納されるものである。
さらに、「他の人106から受信したメッセージ」のデータ(第2テキストデータ)を、コンピュータストレージ装置(ROMを含む。)である「永続メモリ」ないしRAMなどの「半永久的なメモリ」である「バッファ220」(チャットデータ)に格納することは、「登録」といい得るものであり、当該「登録」のための機能手段を「第2登録手段」と称することは任意である。(なお、請求人は、審判請求書の12ページにおいて、「ここでのメモリー32aは明らかにROMメモリー(ストレージ)を意味する」と主張している。)
以上から、前記イを参酌すれば、引用発明は、本願発明1の「前記メッセージサーバーから第2テキストを特定する第2テキストデータを受信し時系列で前記チャットデータに受信した前記第2テキストデータを登録する第2登録手段」を備える。

エ 本願発明1の「表示処理手段」について
引用発明は、「対話型ユーザインターフェース上には、ユーザ104が入力し送信したメッセージと他の人106から受信したメッセージとが表示され」、「ユーザ104が常駐メッセージングアプリケーション上でメッセージを作成し、常駐メッセージングアプリケーション上の『送信』ボタンをクリックすることによって作成されたメッセージを送信すると、メッセージの長さが、操縦可能なOSTボタン108をモバイル装置102の別の枠に向かって拡張させ」、「ユーザ104は、操縦可能なOSTボタン108を左にスワイプして、送信されたメッセージを取り消し、このとき、入力されたメッセージの色が変化し、編集可能な状態とされ」及び「門限が付された(curfewed)又は禁止された(embargoed)メッセージは、上述した遅延メッセージと異なる色(オレンジ色など)で指定される」との構成を備えている。
よって、引用発明の「モバイル装置」は、入力され、「送信」ボタンがクリックされた「メッセージ」は、「OSTアプリケーション」によって、「遅延」、又は、「門限」機能により禁止されたメッセージであっても、「対話型ユーザインターフェース」に表示されるものと理解することができる。
よって、前記イ(イ)を参酌すれば、引用発明は、メッセージのデータ(第1テキストデータ、第2テキストデータ)を格納(登録)した「バッファ220」(チャットデータ)に基づいて、ユーザ104が入力し、「送信」ボタンが操作されたメッセージ(第1テキスト)と、他の人106から受信したメッセージ(第2テキスト)を表示する表示処理手段を備えているといえる。
したがって、引用発明は、本願発明1の「前記チャットデータに基づき前記画面に前記第1テキストおよび前記第2テキストを表示する表示処理手段」を備える。

オ 本願発明1の「チャットシステム」について
引用発明の「システム」は、「常駐アプリケーション」としての「SMS及びMMSなどの無線メッセージングアプリケーション」の上で動作する「OSTアプリケーション」により実現されるものであり、かつ、「対話型ユーザインターフェース上には、ユーザ104が入力し送信したメッセージと他の人106から受信したメッセージとが表示され」との構成を備えていることから、後述する相違点を除くと、本願発明1の「チャットシステム」に相当する。

(2)一致点・相違点
したがって、本願発明1と引用発明は、以下の点において一致ないし相違する。

[一致点]
「 文字入力の操作に応じて画面上の入力枠内に表示される第1テキストを特定する第1テキストデータを一時的に保持する入力手段と、
チャットデータに前記第1テキストデータを登録する登録手段と、
第1操作ボタンの操作に応じてメッセージサーバーに前記第1テキストデータを送信する手段と、
前記メッセージサーバーから第2テキストを特定する第2テキストデータを受信し時系列で前記チャットデータに受信した前記第2テキストデータを登録する第2登録手段と、
第2操作ボタンの操作に応じて、前記第1テキストデータを前記メッセージサーバーに送信しないようにする手段と、
前記チャットデータに基づき前記画面に前記第1テキストおよび前記第2テキストを表示する表示処理手段と
を備えることを特徴とするチャットシステム。」

[相違点]
「登録手段」、「送信する手段」及び「送信しないようにする手段」に関し、本願発明1は、「第1操作ボタンの操作に応じてチャットデータに時系列で前記第1テキストデータを登録しメッセージサーバーに前記第1テキストデータを送信する第1登録手段」及び「第2操作ボタンの操作に応じて、前記メッセージサーバーに送信せずに、前記チャットデータに、前記入力手段に保持される前記第1テキストデータを登録する第3登録手段」を備えることにより、「第1操作ボタン」又は「第2操作ボタン」の操作に応じて、「チャットデータ」に「第1テキストデータ」を「登録」するとともに、「第1テキストデータ」を送信するか又は送信しないように制御するのに対し、引用発明は、送信するための「『YES,I’M SURE』ボタン」及び送信しないようにするための「『NOPE』ボタン」を操作する前に、「『送信』ボタン」を操作した段階で、入力したメッセージのデータを格納(登録)する点。

(3)新規性欠如についての判断
上記相違点は、「登録」及び「送信」の制御に関するものであるから、実質的なものである。
したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明ではない。

(4)進歩性欠如についての判断
上記相違点について検討すると、チャットシステムにおいて、入力枠内に表示される「第1テキスト」を特定する「第1テキストデータ」を、「第1操作ボタン」の操作に応じて「チャットデータ」に「登録」するとともに、「メッセージサーバー」に「送信」し、一方、「第2操作ボタン」の操作に応じて「メッセージサーバー」に送信せずに「チャットデータ」に「登録」するように制御することは、本願出願日前に公知又は周知技術であったとはいえず、また、そのような構成が本願の出願日における技術常識であったともいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2について
(1)対比
ア 本願発明2の「入力手段」について
前記1(1)アより、引用発明は、本願発明2の「文字入力の操作に応じて画面上の入力枠内に表示される第1テキストを特定する第1テキストデータを一時的に保持する入力手段」との構成を備える。

イ 本願発明2の「第1操作ボタン」及び「第1登録手段」について
前記1(1)イ及びエより、引用発明は、「送信」ボタンが操作されることにより、入力枠に入力されたメッセージのデータ(第1テキストデータ)が、バッファ220(チャットデータ)に時系列に格納(登録)されているといえる。
よって、引用発明の「『送信』ボタン」は、本願発明2の「第1操作ボタン」に相当し、引用発明は、本願発明2の「第1操作ボタンの操作に応じてチャットデータに時系列で前記第1テキストデータを登録する第1登録手段」との構成を備える。

ウ 本願発明2の「第2登録手段」について
前記1(1)ウより、引用発明は、本願発明2の「メッセージサーバーから第2テキストを特定する第2テキストデータを受信し時系列で前記チャットデータに受信した前記第2テキストデータを登録する第2登録手段」との構成を備える。

エ 本願発明2の「表示処理手段」について
前記1(1)エより、引用発明は、本願発明2の「前記チャットデータに基づき前記画面に前記第1テキスト及び前記第2テキストを表示する表示処理手段」との構成を備える。

オ 本願発明2の「第2操作ボタン」、「判別手段」及び「送信手段」について
本願発明2は、その構成からすると、「第2操作ボタン」が操作されると、そのような操作がなされた「第1テキストデータ」は、「相手の端末に到達する送信の対象」から「排除」するものである。
また、前記1(1)イより、引用発明は、確認ウィンドウ120の「NOPE」ボタンの操作に応じて、入力したメッセージのデータ(第1テキストデータ)を他の人106(相手の端末)に到達する送信の対象から排除する手段を備えているといえる。
よって、引用発明と、本願発明2の「第2操作ボタンの操作に応じて、前記入力手段に保持され前記チャットデータに登録される前記第1テキストデータに標識を付加する判別手段」及び「相手の端末に到達する送信の対象から前記標識付きの前記第1テキストデータを排除する送信手段」とは、「第2操作ボタンの操作に応じて、相手の端末に到達する送信の対象から前記第1テキストデータを排除する手段」を備える点において共通する。

カ 本願発明2の「チャットシステム」について
前記1(1)オより、引用発明の「システム」は、後述する相違点を除くと、本願発明2の「チャットシステム」に相当する。

(2)一致点・相違点
したがって、本願発明2と引用発明は、以下の点において一致ないし相違する。

[一致点]
「 文字入力の操作に応じて画面上の入力枠内に表示される第1テキストを特定する第1テキストデータを一時的に保持する入力手段と、
第1操作ボタンの操作に応じてチャットデータに時系列で前記第1テキストデータを登録する第1登録手段と、
メッセージサーバーから第2テキストを特定する第2テキストデータを受信し時系列で前記チャットデータに受信した前記第2テキストデータを登録する第2登録手段と、
前記チャットデータに基づき前記画面に前記第1テキスト及び前記第2テキストを表示する表示処理手段と、
第2操作ボタンの操作に応じて、相手の端末に到達する送信の対象から前記第1テキストデータを排除する手段と
を備えることを特徴とするチャットシステム。」

[相違点]
本願発明2は、「第2操作ボタンの操作に応じて、前記入力手段に保持され前記チャットデータに登録される前記第1テキストデータに標識を付加する判別手段」及び「相手の端末に到達する送信の対象から前記標識付きの前記第1テキストデータを排除する送信手段」を備えることにより、「入力手段に保持され」かつ「チャットデータに登録される」「第1テキストデータ」に「標識」を「付加」して、当該「標識」に基づいて「標識付き」の「第1テキストデータ」を、「送信の対象」から「排除」するように制御するのに対し、引用発明は、「標識」について特定するものではなく、また、確認ウィンドウ120の「NOPE」ボタンが操作されるときには、対象のメッセージ(第1テキスト)のデータは、すでにバッファ220(チャットデータ)に格納(登録)されている点。

(3)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
上記相違点に係る、「入力手段に保持され」かつ「チャットデータに登録される」「第1テキストデータ」に「標識」を「付加」して、当該「標識」に基づいて「標識付き」の「第1テキストデータ」を、「送信の対象」から「排除」することは、本願出願日前に公知又は周知技術であったとはいえず、また、そのような構成が本願の出願日における技術常識であったともいえない。
また、引用発明における「門限が付された(curfewed)又は禁止された(embargoed)メッセージは、上述した遅延メッセージと異なる色(オレンジ色など)で指定されることにより、これら2つのタイプのメッセージが区別できるようになる」との構成における「門限が付された(curfewed)又は禁止された(embargoed)メッセージ」とは、ユーザが「門限」機能をオンにした場合において、ユーザが「送信」ボタンを操作した後、所定の時間が経過しても、メッセージの配信が禁止されたメッセージのことであるから、確認ウィンドウ120の「NOPE」ボタンが操作された後であってもメッセージが依然として表示されることを意味ないし示唆するものではない。
よって、上記相違点に係る本願発明2の構成は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者が引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではなく、また、本願発明2は、当業者が引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-10-27 
出願番号 特願2020-81481(P2020-81481)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 113- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 雅也  
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 林 毅
富澤 哲生
登録日 2020-12-22 
登録番号 特許第6813920号(P6813920)
発明の名称 チャットシステム  
代理人 特許業務法人落合特許事務所  
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