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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C08J
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08J
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08J
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08J
管理番号 1368987
異議申立番号 異議2019-700793  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-03 
確定日 2020-10-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6496414号発明「ポリオレフィン系樹脂発泡シート及び粘着テープ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6496414号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし7〕について訂正することを認める。 特許第6496414号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6496414号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、2016(平成28)年11月29日(優先権主張 平成27年11月30日)を国際出願日とする出願であって、平成31年3月15日にその特許権の設定登録(請求項の数7)がされ、同年4月3日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、令和1年10月3日に特許異議申立人 御園 貴美代(以下、「特許異議申立人1」という。)及び特許異議申立人 舟橋 すみ枝(以下、「特許異議申立人2」という。)それぞれにより、特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし7)がされ、同年12月4日付けで取消理由が通知され、令和2年2月6日に特許権者 積水化学工業株式会社(以下、「特許権者」という。)から意見書が提出され、同年2月19日付けで特許異議申立人1及び2に対し審尋がされ、同年3月13日に特許異議申立人2から回答書が提出され、同年同月17日に特許異議申立人1から回答書が提出され、同年4月1日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年5月20日に特許権者から指定期間を30日延長することを求める上申書が提出され、同年5月29日付けで指定期間を60日以内から90日以内とする通知がされ、同年7月2日に特許権者から訂正請求がされるとともに意見書が提出され、同年7月13日付けで特許異議申立人1に対し訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされるとともに特許異議申立人2に対し審尋がされ、同年8月19日に特許異議申立人1から意見書が提出され、特許異議申立人2からは応答がなかったものである。

第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
令和2年7月2日にされた訂正の請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。

・訂正事項
特許請求の範囲の請求項1に、「T_(M):90℃におけるMD方向の抗張力
T_(T):90℃におけるTD方向の抗張力」と記載されているのを、「T_(M):90℃におけるMD方向の抗張力(MPa)
T_(T):90℃におけるTD方向の抗張力(MPa)」に訂正する。
併せて、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし7についても、請求項1を訂正したことに伴う訂正をする。

2 訂正の目的の適否、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項は、訂正前の請求項1における「T_(M):90℃におけるMD方向の抗張力」及び「T_(T):90℃におけるTD方向の抗張力」について、それらの単位を「MPa」と明確にしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 むすび
以上のとおり、訂正事項は、特許法120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。

なお、訂正前の請求項2ないし7は訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、訂正前の請求項1ないし7は一群の請求項に該当するものである。そして、本件訂正は、これらの請求項1ないし7についてされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし7〕について訂正することを認める。

第3 本件特許発明
上記第2のとおり、訂正後の請求項〔1ないし7〕について訂正することを認めるから、本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいう。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂を発泡したポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、前記発泡シートの発泡倍率が1.5?20cm^(3)/gであり、前記発泡シートのMD方向及びTD方向の平均気泡径が130μm以下であり、90℃におけるせん断強度が0.3?10MPaであり、下記式(1)及び式(2)を満たす、ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
T_(M)/D≧6 (1)
T_(T)/D≧5 (2)
T_(M):90℃におけるMD方向の抗張力(MPa)
T_(T):90℃におけるTD方向の抗張力(MPa)
D :前記発泡シートの密度(g/cm^(3))
【請求項2】
25%圧縮強度が10?1,000kPaである、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項3】
23℃におけるMD方向の抗張力が0.5?35MPaである、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項4】
23℃におけるTD方向の抗張力が0.5?30MPaである、請求項1?3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項5】
厚みが0.02?0.8mmである、請求項1?4のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項6】
ゲル分率が5?60質量%である、請求項1?5のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項7】
請求項1?6のいずれかに記載されたポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に粘着剤層を設けた粘着テープ。」

第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由及び令和2年4月1日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要
1 特許異議申立人1が提出した特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要
令和1年10月3日に特許異議申立人1が提出した特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。

(1)申立理由1(甲第1号証に基づく新規性)
本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、下記の本件特許の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。

(2)申立理由2(甲第1号証を主引用文献とする進歩性)
本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、下記の本件特許の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。

(3)申立理由3(実施可能要件)
本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。

(4)申立理由4(サポート要件)
本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。

(5)申立理由5(明確性要件)
本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。

(6)証拠方法
甲第1号証:特開2012-214800号公報
甲第2号証:平成30年11月6日(起案日:同年10月29日付け)に通知された本件特許の出願に対する拒絶理由通知書
甲第3号証:平成31年1月22日に提出された意見書

2 特許異議申立人2が提出した特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要
令和1年10月3日に特許異議申立人2が提出した特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。

(1)申立理由1(甲第1号証に基づく新規性)
本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、下記の本件特許の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。

(2)申立理由2(甲第1号証を主引用文献とする進歩性)
本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、下記の本件特許の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。

(3)証拠方法
甲第1ないし3号証(特許異議申立人2が提出した甲第1ないし3号証は、特許異議申立人1が提出した甲第1ないし3号証と同じである。)

3 令和2年4月1日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要
令和2年4月1日付けで通知した取消理由(決定の予告)(以下、「取消理由(決定の予告)」という。)の概要は次のとおりである。なお、取消理由1は特許異議申立人1が提出した特許異議申立書に記載した申立理由3と同旨であり、取消理由2は特許異議申立人1が提出した特許異議申立書に記載した申立理由5の一部と同旨である。

(1)取消理由1(実施可能要件)
本件特許の発明の詳細な説明の記載は下記アないしウの点で明確でなく、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、本件特許発明1ないし6に係る「ポリオレフィン系樹脂発泡シート」という物及び本件特許発明7に係る「粘着テープ」という物を製造し、使用することができる程度の記載があるとはいえない。
したがって、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。

ア 発明の詳細な説明の【0052】ないし【0055】に示された実施例以外の場合に、何をどのようにすれば、「T_(M)/D」及び「T_(T)/D」をそれぞれ「6以上」及び「5以上」にし、「90℃におけるせん断強度」が「0.3MPa以上」「10MPa以下」として、本件特許発明1ないし6の発泡シート及び本件特許発明7の粘着テープを得ることができるのか、当業者といえども理解できない。

イ 発明の詳細な説明の【0051】の記載では、「90℃におけるせん断強度が0.3?10MPaであり」をどのように実施するのか、当業者といえども理解できない。

ウ 発明の詳細な説明の【0052】及び【0053】の記載と【0054】の【表1】及び【0055】の【表2】の記載が矛盾するため、実施例及び比較例の値として何が正しいのか不明であり、本件特許発明1ないし7の実施例及び比較例がどのようなものか特定できない。
したがって、本件特許発明1ないし7の実施例ですら、どのように実施するのか不明であり、その結果、本件特許発明1ないし7をどのように実施するのか、当業者といえども理解できない。

(2)取消理由2(明確性要件)
本件特許の特許請求の範囲の記載は下記の点で明確でなく、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。

・請求項1の記載では、「T_(M):90℃におけるMD方向の抗張力」及び「T_(T):90℃におけるTD方向の抗張力」の単位が付されておらず、その結果として、「T_(M)/D」及び「T_(T)/D」がどのような数値であるのか理解できず、本件特許発明1の範囲が明確であるとはいえない。
また、請求項1を直接又は間接的に引用する本件特許発明2ないし7も同様に明確であるとはいえない。

第5 当審の判断
1 取消理由(決定の予告)について
(1)取消理由1(実施可能要件)について
実施可能要件の判断基準
物の発明について実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を製造し、使用することができる程度の記載があることを要する。
そこで、検討する。

イ 発明の詳細な説明の記載
発明の詳細な説明には、おおむね次の記載がある。

・「【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂を発泡してなるポリオレフィン系樹脂発泡シート、及びこれを用いた粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやノート型パソコン等の表示画面を有する電子機器においては、表示画面を保護するパネルと筐体との間に、衝撃を吸収し表示画面を保護するための緩衝材が設けられている(例えば、特許文献1)。そして、前記電子機器は表示画面を鉛直方向に立てた状態で使用することが多いため、前記緩衝材は優れたせん断強度を有することが求められている。更に前記電子機器は、高密度に集積された電子部品が大量の熱を発生するため電子機器の内部が高温になりやすく、また、前記電子機器自体が気温の高い屋外で使用されることがあるため、前記緩衝材は高温下においても優れたせん断強度を有することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2013/099755号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発泡シートのせん断強度を高くしようとする場合、発泡シートを厚くする必要があるため小型の電子機器に用いることが困難であった。
本発明は、上記従来の事情を鑑みてなされたものであって、薄厚でも優れたせん断強度を有するポリオレフィン系樹脂発泡シート、及びこれを用いた粘着テープを提供することを目的とする。」

・「【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、薄厚でも優れたせん断強度を有するポリオレフィン系樹脂発泡シート、及びこれを用いた粘着テープを提供することができる。」

・「【発明を実施するための形態】
【0007】
[ポリオレフィン系樹脂発泡シート]
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡シート(以下、「発泡シート」ともいう)は、ポリオレフィン系樹脂を発泡してなるシートであり、多数の気泡を有するものである。
以下、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡シートについて更に詳細に説明する。
【0008】
<発泡倍率>
本発明の発泡シートの発泡倍率は、衝撃吸収性を向上させる観点から、1.5cm^(3)/g以上、より好ましくは1.7cm^(3)/g以上、更に好ましくは1.9cm^(3)/g以上であり、発泡シートのせん断強度を向上させる観点から、20cm^(3)/g以下、好ましくは18cm^(3)/g以下、より好ましくは17cm^(3)/g以下、更に好ましくは15cm^(3)/g以下、より更に好ましくは14cm^(3)/g以下、より更に好ましくは12cm^(3)/g以下、より更に好ましくは10cm^(3)/g以下、より更に好ましくは8cm^(3)/g以下、より更に好ましくは6cm^(3)/g以下である。
なお、本発明における発泡倍率は、JIS K7222に準拠して測定した発泡シートの密度の逆数を指す。
【0009】
<平均気泡径>
本発明の発泡シートにおけるMD方向の平均気泡径は、発泡シートの柔軟性、及び段差追従性を向上させる観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、より更に好ましくは35μm以上、より更に好ましくは40μm以上、より更に好ましくは45μm以上、より更に好ましくは50μm以上であり、発泡シートのせん断強度を向上させる観点から、130μm以下であり、好ましくは120μm以下、より好ましくは110μm以下、更に好ましくは100μm以下、より更に好ましくは90μm以下、より更に好ましくは80μm以下、より更に好ましくは70μm以下である。
【0010】
本発明の発泡シートにおけるTD方向の平均気泡径は、発泡シートの柔軟性、及び段差追従性を向上させる観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、より更に好ましくは40μm以上、より更に好ましくは50μm以上であり、発泡シートのせん断強度を向上させる観点から、130μm以下であり、好ましくは125μm以下、より好ましくは120μm以下、更に好ましくは110μm以下、より更に好ましくは100μm以下、より更に好ましくは90μm以下、より更に好ましくは80μm以下、より更に好ましくは70μm以下である。
なお、本発明において「MD」は、Machine Directionを意味し、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの押出方向等と一致する方向を意味する。また、「TD」は、Transverse Directionを意味し、MDに直交しかつ発泡シートに平行な方向を意味する。
なお、前記平均気泡径は、後述する実施例の方法にしたがって測定することができる。
【0011】
<発泡シートの密度(D)と90℃における抗張力との関係>
本発明の発泡シートは下記式(1)及び式(2)を満たすものである。
T_(M)/D≧6 (1)
T_(T)/D≧5 (2)
T_(M):90℃におけるMD方向の抗張力
T_(T):90℃におけるTD方向の抗張力
D :前記発泡シートの密度(g/cm^(3))
なお、本発明において「抗張力」とは、発泡シートをJIS K6251 4.1に規定されるダンベル状1号形にカットした試料を、90℃の条件下、JIS K6767に準拠して測定した、MD方向及びTD方向の強度を指す。
【0012】
式(1)におけるT_(M)/Dは、発泡シートのせん断強度を向上させる観点から、6以上であり、好ましくは6.1以上、より好ましくは6.5以上、更に好ましくは7.0以上、より更に好ましくは7.5以上であり、そして、好ましくは48以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは16以下、より更に好ましく14以下、より更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下である。
【0013】
式(2)におけるT_(T)/Dは、発泡シートのせん断強度を向上させる観点から、5以上であり、好ましくは5.2以上、より好ましくは5.4以上、更に好ましくは5.6以上、より更に好ましくは5.8以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは16以下、より更に好ましくは14以下、より更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下である。
【0014】
<密度>
本発明の発泡シートの密度は、発泡シートのせん断強度を向上させる観点、及び材料強度を向上させる観点から、好ましくは0.01g/cm^(3)以上、より好ましくは0.03g/cm^(3)以上、更に好ましく0.05g/cm^(3)以上であり、発泡シートの柔軟性を向上させる観点から、好ましくは1g/cm^(3)以下、より好ましくは0.8g/cm^(3)以下、更に好ましくは0.6g/cm^(3)以下である。なお、密度は、JIS K7222に準拠して測定した値である。
【0015】
<90℃におけるMD方向の抗張力>
本発明の発泡シートの90℃におけるMD方向の抗張力は、発泡シートのせん断強度を向上させる観点、及び材料強度を向上させる観点から、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、更に好ましくは0.5MPa以上、より更に好ましくは0.7MPa以上、より更に好ましくは0.9MPa以上であり、発泡シートの加工性を向上させる観点から、好ましくは10MPa以下、より好ましくは8MPa以下、更に好ましくは6MPa以下、より更に好ましくは5MPa以下、より更に好ましくは4MPa以下である。
なお、90℃における抗張力は、後述する実施例に記載の方法にしたがって測定することができる。
【0016】
<90℃におけるTD方向の抗張力>
本発明の発泡シートの90℃におけるTD方向の抗張力は、発泡シートのせん断強度を向上させる観点、及び材料強度を向上させる観点から、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、更に好ましくは0.5MPa以上、より更に好ましくは0.7MPa以上、より更に好ましくは0.9MPa以上であり、発泡シートの加工性を向上させる観点から、好ましくは10MPa以下、より好ましくは8MPa以下、更に好ましくは6MPa以下、より更に好ましくは5MPa以下、より更に好ましくは4MPa以下である。
【0017】
<23℃におけるMD方向の抗張力>
本発明の発泡シートの23℃におけるMD方向の抗張力は、発泡シートのせん断強度を向上させる観点、及び材料強度を向上させる観点から、好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは1MPa以上、更に好ましくは1.5MPa以上、より更に好ましくは2.0MPa以上、より更に好ましくは2.5MPa以上であり、発泡シートの加工性を向上させる観点から、好ましくは35MPa以下、より好ましくは32MPa以下、更に好ましくは30MPa以下、より更に好ましくは28MPa以下、より更に好ましくは26MPa以下、より更に好ましくは24MPa以下である。
なお、23℃における抗張力は、後述する実施例に記載の方法にしたがって測定することができる。
【0018】
<23℃におけるTD方向の抗張力>
本発明の発泡シートの23℃におけるTD方向の抗張力は、発泡シートのせん断強度を向上させる観点、及び材料強度を向上させる観点から、好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは1MPa以上、更に好ましくは1.3MPa以上、より更に好ましくは1.7MPa以上、より更に好ましくは2.0MPa以上であり、発泡シートの加工性を向上させる観点から、好ましくは30MPa以下、より好ましくは28MPa以下、更に好ましくは26MPa以下、より更に好ましくは24MPa以下、より更に好ましくは22MPa以下、より更に好ましくは20MPa以下である。
【0019】
<90℃におけるせん断強度>
本発明の発泡シートの90℃におけるせん断強度は、電子機器の表示画面の緩衝材として好適に用いる観点から、好ましくは0.3MPa以上、より好ましくは0.6MPa以上、更に好ましくは0.8MPa以上、より更に好ましくは0.9MPa以上であり、そして、好ましくは10MPa以下、より好ましくは5MPa以下である。
なお、90℃におけるせん断強度は、後述する実施例に記載の方法にしたがって測定することができる。
【0020】
<厚み>
本発明の発泡シートの厚みは、発泡シートのせん断強度を向上させる観点、及び材料強度を向上させる観点から、好ましくは0.02mm以上、より好ましくは0.05mm以上、更に好ましくは0.08mm以上、より更に好ましくは0.1mm以上であり、柔軟性、及び段差追従性を向上させる観点、及び薄型の電子機器の内部に用いる観点から、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.75mm以下、より更に好ましくは0.7mm以下、より更に好ましくは0.65mm以下である。
【0021】
<25%圧縮強度>
本発明の発泡シートの25%圧縮強度は、発泡シートのせん断強度、及び衝撃吸収性を向上させる観点から、好ましくは10kPa以上、より好ましくは15kPa以上、更に好ましくは20kPa以上、より更に好ましくは25kPa以上、より更に好ましくは30kPa以上、より更に好ましくは35kPa以上であり、発泡シートの柔軟性を向上させる観点、及び段差追従性を向上させる観点から、好ましくは1,000kPa以下、より好ましくは900kPa以下、更に好ましくは850kPa以下、より更に好ましくは800kPa以下、より更に好ましくは750kPa以下、より更に好ましくは700kPa以下である。本発明においては、圧縮強度を低くして柔軟性を良好にしつつも、せん断強度に優れた発泡シートを提供できる。
なお、25%圧縮強度は後述する実施例に記載の方法にしたがって測定することができる。
【0022】
<ゲル分率(架橋度)>
本発明の発泡シートは、発泡シートのせん断強度を向上させる観点から、架橋したものが好ましく、その場合のゲル分率(架橋度)は、好ましくは5?60質量%である。また、ゲル分率は、より好ましくは55質量%以下である。また、ゲル分率は、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは35質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上である。ゲル分率(架橋度)が前記下限値以上であると、十分な架橋が形成され、これを発泡させることによりせん断強度に優れる発泡シートを得ることができる。なお、ゲル分率は、高いほうがせん断強度を向上させやすい。また、ゲル分率(架橋度)が前記上限値以下であると、発泡シートの柔軟性を確保しやすくなる。
なお、ゲル分率(架橋度)は後述する実施例に記載の方法にしたがって測定することができる。
【0023】
<独立気泡率>
発泡シートは、気泡が独立気泡であることが好ましい。気泡が独立気泡であるとは、全気泡に対する独立気泡の割合(独立気泡率という)が70%以上であることを意味する。気泡が独立気泡であると、衝撃を受けた際に気泡の変形量を抑えられることで、衝撃に対する発泡シートの変形量も抑えられるため、衝撃吸収性をより高めやすくなる。
前記独立気泡率は、衝撃吸収性をより向上させるために、70?100%が好ましく、80?100%がより好ましく、90?100%が更に好ましい。
また、独立気泡が前記範囲であると発泡シート内部の空気の移動が制限され、空気の対流による熱伝導を抑えることができ、断熱性が向上する。
なお、独立気泡率とは、ASTM D2856(1998)に準拠して測定したものをいう。
【0024】
[ポリオレフィン系樹脂]
発泡シートを形成するために使用されるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はこれらの混合物が挙げられる。」

・「【0033】
[発泡シートの製造方法]
本発明の発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂を一般的な方法で発泡することにより製造することができるものであり、その製造方法に制限はなく、ポリオレフィン系樹脂組成物を必要に応じて架橋した後、発泡することにより製造することもできる。
具体的に、本発明の発泡シートは、例えば以下の工程(1)?(3)を有する方法により製造することができる。
工程(1):ポリオレフィン系樹脂、熱分解型発泡剤、及びその他の添加剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによってシート状にされたポリオレフィン系樹脂組成物を得る工程
工程(2):シート状にされたポリオレフィン系樹脂組成物を架橋する工程
工程(3):架橋させたシート状のポリオレフィン系樹脂組成物を加熱し、熱分解型発泡剤を発泡させて、好ましくはMD方向又はTD方向の何れか一方又は双方に延伸する工程
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法としては、この方法のほかに、国際公開第2005/007731号に記載された方法により製造することも可能である。
【0034】
熱分解型発泡剤としては、特に制限はなく、例えば、アゾジカルボンアミド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p-トルエンスルホニルセミカルバジド等が挙げられる。これらの中では、アゾジカルボンアミドが好ましい。なお、熱分解型発泡剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオレフィン系樹脂組成物中における熱分解型発泡剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1?15質量部が好ましく、1?12質量部がより好ましく、1?8質量部がさらに好ましい。熱分解型発泡剤の含有量が上記範囲内であると、ポリオレフィン系樹脂組成物の発泡性が向上し、所望の発泡倍率を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートを得やすくなると共に、抗張力及び圧縮回復性が向上する。
【0035】
前記工程(1)において用いるその他の添加剤としては、例えば、分解温度調整剤、架橋助剤、酸化防止剤等が挙げられる。
分解温度調整剤は、熱分解型発泡剤の分解温度を低くしたり、分解速度を速めたり調節するものとして配合されるものであり、具体的な化合物としては、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素等が挙げられる。分解温度調整剤は、発泡シートの表面状態等を調整するために、例えばポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01?5質量部配合する。
架橋助剤としては、多官能モノマーを使用することができる。架橋助剤をポリオレフィン系樹脂に添加することによって、後述する工程(2)において照射する電離性放射線量を低減して、電離性放射線の照射に伴う樹脂分子の切断、劣化を防止する。
【0036】
架橋助剤としては具体的には、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート等の1分子中に3個の官能基を持つ化合物や、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等の1分子中に2個の官能基を持つ化合物、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
これらの架橋助剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用する。
架橋助剤の添加量は、樹脂成分100質量部に対して0.2?10質量部が好ましく、0.3?5質量部がより好ましく、0.5?5質量部が更に好ましい。該添加量が0.2質量部以上であると発泡シートが所望する架橋度を安定して得ることが可能となり、10質量部以下であると発泡シートの架橋度の制御が容易となる。
また、酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール等のフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。」

・「【0042】
[粘着テープ]
本発明の粘着テープは、本発明に係る発泡シートを基材として用い、発泡シートの一方の面又は両面に粘着剤層を設けたものである。粘着テープの厚みは、通常0.03?2.0mm、好ましくは0.05?1.0mmである。
粘着テープを構成する粘着剤層の厚みは、5?200μmが好ましく、7?150μmがより好ましく、10?100μmが更に好ましい。粘着テープを構成する粘着剤層の厚みが5?200μmであると、粘着テープの厚みを薄くすることができると共に、粘着テープが使用される電子機器自体の小型化、及び薄厚化に寄与することができる。
【0043】
発泡シートの一方の面又は両面に設けられる粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を用いる。
発泡シートに粘着剤を塗布して、粘着剤層を発泡シート上に積層する方法としては、例えば、発泡シートの少なくとも一方の面にコーター等の塗工機を用いて粘着剤を塗布する方法、発泡シートの少なくとも一方の面にスプレーを用いて粘着剤を噴霧、塗布する方法、発泡シートの一方の面に刷毛を用いて粘着剤を塗布する方法等が挙げられる。
【0044】
本発明の発泡シートを用いた粘着テープは、携帯型電話機やビデオカメラ等の電子機器本体内に内装される電子部品に衝撃が加わるのを防止する衝撃吸収材や、電子機器本体内に埃や水分等が浸入するのを防止するシール材として用いることができる。」

・「【実施例】
【0045】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[測定方法]
本明細書における各物性の測定方法は、次の通りである。
<密度及び発泡倍率>
実施例及び比較例で得られた発泡シートの密度を、JIS K7222に準拠して測定し、その逆数を発泡倍率とした。
【0046】
<独立気泡率>
ASTM D2856(1998)に準拠して、株式会社島津製作所製、アキュピック1330を用いて測定した。
【0047】
<ゲル分率(架橋度)>
実施例及び比較例で得られた発泡シートから約50mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤する。次に、この試験片を105℃のキシレン30ml中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤する。得られた値から、下記式によりゲル分率(質量%)を算出する。
ゲル分率(質量%)=(B/A)×100
【0048】
<平均気泡径>
実施例及び比較例で得られた発泡シートを50mm四方にカットして液体窒素に1分間浸した後、カミソリ刃でMD方向及びZD方向に平行な面に沿って切断した。切断面についてデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VHX-900」)を用いて200倍の拡大写真を撮り、MD方向における長さ2mm分の切断面に存在する全ての気泡についてMD方向の気泡径を測定した。その操作を5回繰り返し、すべてのMD方向気泡径の平均値をMD方向の平均気泡径とした。
発泡シートTD方向及びZD方向に平行な面に沿って切断したこと以外は上記と同様にして、200倍の拡大写真を撮り、TD方向における長さ2mm分の切断面に存在する全ての気泡についてTD方向の気泡径を測定した。その操作を5回繰り返し、すべてのTD方向気泡径の平均値をTD方向の平均気泡径とした。
【0049】
<23℃における抗張力、及び90℃における抗張力>
実施例及び比較例で得られた発泡シートの抗張力を、23℃又は90℃の条件下で引張試験機を用いてJIS K6767(A法)に準拠して行った。抗張力は、シートのせん断強度を向上させる観点から、値が大きい方が好ましい。
【0050】
<25%圧縮強度>
25%圧縮強度は、ポリオレフィン系樹脂発泡シートをJIS K6767に準拠して測定したものをいう。25%圧縮強度は、柔軟性及び段差追従性を向上させる観点から、値が小さい方が好ましい。
【0051】
<90℃におけるせん断強度>
発泡シートの30mm角の範囲に接着剤を塗布した。その後直ちに、短辺30mm、長辺100mmの木製の治具Aを前述の接着剤塗布部分に重なるように置き、発泡シートと治具Aとを圧着し、その後、治具Aの大きさに沿って発泡シートをカットした。
次いで、カットした発泡シートの治具Aを接着していない面に接着剤を塗布し、その後直ちに木製の治具Bを重ね、発泡シートと治具Bとを圧着した。
これを室温で24時間放置することで接着剤を養生し、せん断強度測定用サンプルとした。
続いて、1kNのロードセルを設置した試験機(株式会社エー・アンド・デイ製「テンシロン万能材料試験機」)に、発泡シートのシート面が引張方向に対して並行になるようにせん断強度測定用サンプルを取り付けた。治具の一方を速度100mm/分で垂直上向きに引っ張り、発泡シートを層間剥離させた。このときの荷重を測定し、その最大値をせん断強度とすることにより測定した。
【0052】
実施例1
ポリオレフィン系樹脂としての直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(エクソンケミカル社製「Exact3027」、密度:0.900g/cm^(3))100質量部、熱分解型発泡剤としてのアゾジカルボンアミド2.0質量部、分解温度調整剤としての酸化亜鉛1質量部、及び酸化防止剤としての2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.5質量部を押出機に供給して130℃で溶融混練し、厚み約0.3mmの長尺シート状のポリオレフィン系樹脂組成物を押出した。
次に、上記長尺シート状のポリオレフィン系樹脂組成物を、その両面に加速電圧500kVの電子線を4.5Mrad照射して架橋した後、熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱して発泡させると共に、発泡させながらMDの延伸倍率を1.5倍、TDの延伸倍率を1.7倍として延伸させることにより、厚み0.06mmの発泡シートを得た。得られた発泡シートの評価結果を表1に示す。
【0053】
実施例2?9、比較例1?8
ポリオレフィン系樹脂組成物の配合を表1及び2に示すように変更すると共に、架橋時の線量を表1及び2のゲル分率(架橋度)となるように調整した点、TDの延伸倍率を1.2倍?3.5倍に調整した点を除いて実施例1と同様に実施した。
なお、実施例8,9、比較例8では、表1、2に記載されるとおり、ポリオレフィン樹脂として、実施例1で使用した直鎖状低密度ポリエチレンに加えて、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニル量19質量%、東ソー株式会社社製、商品名「ウルトラセン636」)を使用した。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
上記の結果より明らかなように、本発明によれば、薄厚でも優れたせん断強度を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートを提供することができる。より具体的には、例えば同じ樹脂を使用し、かつ同程度の圧縮強度を有する発泡シートにおいて、薄厚でも優れたせん断強度を発揮させることができた。」

ウ 判断
(ア)取消理由1で指摘したアの点について
発明の詳細な説明の【0052】ないし【0055】には、特定のポリオレフィン樹脂、熱分解型発泡剤、分解温度調整剤及び酸化防止剤の配合を表1及び2に示すようにすると共に、架橋時の線量を表1及び2のゲル分率(架橋度)となるように調整し、MD及びTDの延伸倍率を表1及び2に示すようにした実施例において、「T_(M)/D」及び「T_(T)/D」をそれぞれ「6以上」及び「5以上」にし、「90℃におけるせん断強度」を「0.3MPa以上」「10MPa以下」となっていることが示されている。
ところで、「T_(M):90℃におけるMD方向の抗張力(MPa)」、「T_(T):90℃におけるTD方向の抗張力(MPa)」及び「90℃におけるせん断強度」は、発泡シートのせん断強度と関連することは技術常識といえる。
そして、発明の詳細な説明には、上記せん断強度と関連する事項として、発泡倍率(【0008】)、平均気泡径(【0009】)、密度(【0014】)、厚み(【0020】)、ゲル分率(架橋度)(【0022】)、独立気泡率(【0023】)、樹脂の種類(ポリオレフィン系樹脂)(【0024】)及び架橋助剤(【0036】が具体的に記載されており、これらの記載によると、次のことがいえる。
a 発泡倍率は、密度の逆数になるものであり、発泡倍率を低くする、すなわち密度を高くすることで、せん断強度を向上させることができる。
b 平均気泡径は、小さくすることで、せん断強度を向上させることができる。
c 厚みは、大きくすることで、せん断強度を向上させることができる。
d ゲル分率(架橋度)は、大きくすることで、せん断強度を向上させることができる。そして、架橋の程度を調整することは、当業者であれば、架橋助剤の使用、電離性放射線の照射量等で調整できることは明らかである。
e 独立気泡率は、樹脂が同じで発泡率が同じであれば独立気泡が多い方が、物理的な強度が高いと考えられることから、当然に、当業者であれば独立気泡率が発泡シートのせん断強度と関連すると認識でき、独立気泡率の調整は、当業者が、発泡剤の種類、量等で調整することは技術常識である。
f 樹脂の種類は、ポリオレフィン系樹脂に特定され、ポリオレフィン系樹脂においては、その樹脂のゲル分率(架橋度)を調整できることは技術常識であって、さらに樹脂を構成するポリマー分子の構造として、直鎖状、分鎖状等の構造を考慮することで、密度等を制御できることも技術常識である。
したがって、当業者であれば、発泡倍率、平均気泡径、密度、厚み、ゲル分率(架橋度)、独立気泡率、樹脂の種類(ポリオレフィン系樹脂)及び架橋助剤等を調整して、「T_(M):90℃におけるMD方向の抗張力(MPa)」、「T_(T):90℃におけるTD方向の抗張力(MPa)」及び「90℃におけるせん断強度」を調整し、「T_(M)/D」及び「T_(T)/D」をそれぞれ「6以上」及び「5以上」にし、「90℃におけるせん断強度」を「0.3MPa以上」「10MPa以下」にすることができるといえる。
よって、取消理由1で指摘したアの点で発明の詳細な説明の記載が明確でないとしたことは解消した。

(イ)取消理由1で指摘したイの点について
「90℃におけるせん断強度」の測定方法は、発明の詳細な説明の【0051】に記載のとおり、発泡シート自体のせん断強度を測定するものであり、発泡シートが層間剥離、すなわち、発泡シート自体が破壊され層間剥離する条件で行うものである。
そして、そのためには、木製の治具と発泡シートは接着剤により堅固に固着し、発泡シートが破壊され層間剥離するせん断強度においても上記固着が維持されることが必要であり、そのような強度を有する接着剤を採用することとなるが、各種の接着強度を有する接着剤が知られており、これら接着剤から、必要とされる接着強度を有する接着剤を採用することに、当業者が過度な試行錯誤や複雑高度な実験を要するものではない。
したがって、当業者であれば、「90℃におけるせん断強度が0.3?10MPaであり」をどのように実施するのか理解できる。
よって、取消理由1で指摘したイの点で発明の詳細な説明の記載が明確でないとしたことは解消した。

(ウ)取消理由1で指摘したウの点について
発明の詳細な説明の【0052】の記載と【0054】の【表1】の記載には矛盾する点があり、【0053】の記載と【0054】の【表1】及び【0055】の【表2】の記載にも矛盾する点があるものの、【0054】の【表1】には、【0052】及び【0053】の記載と矛盾しない実施例(実施例2ないし4及び8)も記載されている。
そして、上記(ア)のとおり、当業者であれば、発泡倍率、平均気泡径、密度、厚み、ゲル分率(架橋度)、独立気泡率、樹脂の種類(ポリオレフィン系樹脂)及び架橋助剤等を調整して、「T_(M):90℃におけるMD方向の抗張力(MPa)」、「T_(T):90℃におけるTD方向の抗張力(MPa)」及び「90℃におけるせん断強度」を調整し、「T_(M)/D」及び「T_(T)/D」をそれぞれ「6以上」及び「5以上」にし、「90℃におけるせん断強度」が「0.3MPa以上」「10MPa以下」にすることができ、また、上記(イ)のとおり、当業者であれば、「90℃におけるせん断強度が0.3?10MPaであり」をどのように実施するのか理解できることから、上記矛盾しない実施例を参考にすることによって、過度の試行錯誤を要することなく、本件特許発明1ないし7を実施することができるといえる。
よって、取消理由1で指摘したウの点で発明の詳細な説明の記載が明確でないとしたことは解消した。

(エ)そして、本件特許の発明の詳細な説明には、取消理由1で指摘した点以外の本件特許発明1ないし7の各発明特定事項についても具体的に記載されている。

(オ)したがって、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を製造し、使用することができる程度の記載があるといえる。

エ 取消理由1についてのまとめ
したがって、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえず、取消理由1によっては取り消すことはできない。

(2)取消理由2(明確性要件)について
明確性要件の判断基準
特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
そこで、検討する。

イ 判断
本件訂正により、「T_(M):90℃におけるMD方向の抗張力」及び「T_(T):90℃におけるTD方向の抗張力」の単位が「MPa」であることが明確になった。
また、請求項1には、他に不明確な記載はない。
そして、明細書の記載も請求項1の記載と矛盾するものではない。
したがって、本件特許発明1に関して、特許請求の範囲の記載は、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
よって、本件特許発明1は明確である。
また、請求項2ないし7にも、不明確な記載はなく、明細書の記載とも矛盾しないので、本件特許発明2ないし7も明確である。

ウ 取消理由2についてのまとめ
したがって、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえず、取消理由2によっては取り消すことはできない。

2 取消理由(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立ての理由について
取消理由(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立ての理由は、特許異議申立人1が提出した特許異議申立書に記載した申立理由1(甲1に基づく新規性)、申立理由2(甲1を主引用文献とする進歩性)、申立理由4(サポート要件)及び申立理由5(明確性要件)の一部である。なお、特許異議申立人2が提出した特許異議申立書に記載した申立理由1及び2は、特許異議申立人1が提出した特許異議申立書に記載した申立理由1及び2に包含されている。
そこで、特許異議申立人1が提出した特許異議申立書に記載した申立理由1(甲1に基づく新規性)、申立理由2(甲1を主引用文献とする進歩性)、申立理由4(サポート要件)及び申立理由5(明確性要件)(以下、順に「申立理由1」のようにいう。)について検討する。

(1)申立理由1及び2について
ア 甲1発明
甲1の【請求項1】ないし【請求項5】、【0020】ないし【0034】及び【0064】ないし【0071】に記載された事項を、実施例1及び3に関して整理すると、甲1には次の発明が記載されていると認める。

<甲1実施例1発明>
「ポリオレフィン系樹脂を発泡したポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、前記発泡シートの発泡倍率が9.8cm^(3)/gであり、前記発泡シートのMD方向及びTD方向の平均気泡径がそれぞれ55μm及び105μmである、ポリオレフィン系樹脂発泡シート。」

<甲1実施例3発明>
「ポリオレフィン系樹脂を発泡したポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、前記発泡シートの発泡倍率が9.6cm^(3)/gであり、前記発泡シートのMD方向及びTD方向の平均気泡径がそれぞれ100μm及び75μmである、ポリオレフィン系樹脂発泡シート。」

イ 本件特許発明1について
(ア)甲1実施例1発明との対比・判断
本件特許発明1と甲1実施例1発明を対比するに、両者は次の点で一致する。
<一致点>
「ポリオレフィン系樹脂を発泡したポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、前記発泡シートの発泡倍率が1.5?20cm^(3)/gであり、前記発泡シートのMD方向及びTD方向の平均気泡径が130μm以下である、ポリオレフィン系樹脂発泡シート。」

そして、両者は次の点で相違する。
<相違点1>
本件特許発明1においては、「90℃におけるせん断強度が0.3?10MPaであり」と特定されているのに対し、甲1実施例1発明においては、そのようには特定されていない点。

<相違点2>
本件特許発明1においては、「下記式(1)及び式(2)を満たす」(式(1)及び式(2)は省略。)と特定されているのに対し、甲1実施例1発明においては、そのようには特定されていない点。

そこで、相違点1及び2について検討する。
相違点1及び2はいずれも実質的な相違点である。
したがって、本件特許発明1は甲1実施例1発明であるとはいえない。
また、甲1には、甲1実施例1発明において、相違点1及び2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はない。
したがって、甲1実施例1発明において、相違点1及び2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
そして、本件特許発明1は「薄厚でも優れた(90°における)せん断強度を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートを提供することができる」という甲1実施例1発明からみて格別顕著な効果を奏するものである。
よって、本件特許発明1は甲1実施例1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(イ)甲1実施例3発明との対比・判断
本件特許発明1と甲1実施例3発明を対比するに、両者の一致点、相違点及び相違点についての検討は上記(ア)と同じである。
したがって、本件特許発明1は甲1実施例3発明であるとはいえないし、甲1実施例3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(ウ)本件特許発明1についてのまとめ
したがって、本件特許発明1は甲1実施例1及び発明甲1実施例3発明、すなわち甲1に記載された発明であるとはいえないし、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

ウ 本件特許発明2ないし7について
本件特許発明2ないし7は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1に記載された発明であるとはいえないし、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

エ 申立理由1及び2についてのまとめ
したがって、申立理由1及び2によっては、本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。

(2)申立理由4について
ア 申立理由4の概要
申立理由4の概要は次のとおりである。

・本件特許明細書において、比較例1ないし5は実施例7よりも、薄厚で優れたせん断強度を有しており、比較例1は実施例4よりも薄厚でありながら、せん断強度が同じ値となっていることから、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を画定することができない。
また、本件特許明細書の【0052】及び【0053】に記載された数値と【表1】及び【表2】に示された実施例の数値が矛盾し、本件特許明細書の実施例を参照した場合、実施例に開示された事項が特定されておらず、本件特許発明が本件特許明細書に記載された発明だと理解することができない。
よって、特許請求の範囲の記載はサポート要件を満たしていない。

イ サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
そこで、検討する。

ウ 判断
発明の詳細な説明の記載は、上記1(1)イのとおりである。
発明の詳細な説明の【0001】ないし【0004】の記載によると、本件特許発明1ないし6及び本件特許発明7の解決しようとする課題は、それぞれ「薄厚でも優れたせん断強度を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートを提供すること」(以下、「発明の課題1」という。)及び「薄厚でも優れたせん断強度を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートを用いた粘着テープを提供すること」(以下、「発明の課題2」という。)である。
他方、発明の詳細な説明の【0007】ないし【0024】、【0033】ないし【0036】及び【0042】ないし【0056】によると、少なくとも「前記発泡シートの発泡倍率が1.5?20cm^(3)/gであり、前記発泡シートのMD方向及びTD方向の平均気泡径が130μm以下であり、90℃におけるせん断強度が0.3?10MPaであり、下記式(1)及び式(2)を満たす
T_(M)/D≧6 (1)
T_(T)/D≧5 (2)
T_(M):90℃におけるMD方向の抗張力(MPa)
T_(T):90℃におけるTD方向の抗張力(MPa)
D :前記発泡シートの密度(g/cm^(3))」という条件を満足する「ポリオレフィン系樹脂を発泡したポリオレフィン系樹脂発泡シート」及び該「ポリオレフィン系樹脂発泡シート」の「少なくとも一方の面に粘着剤層を設けた粘着テープ」は、それぞれ発明の課題1及び2を解決できると当業者は認識する。
そして、本件特許発明1及び7は、上記範囲のものである。
したがって、本件特許発明1及び7は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。
よって、本件特許発明1及び7に関して、特許請求の範囲の記載は、サポート要件に適合する。
なお、本件特許発明1及び7が発明の課題を解決する範囲のものであればいいので、上記「」内の条件を満足しない「ポリオレフィン系樹脂を発泡したポリオレフィン系樹脂発泡シート」及び該「ポリオレフィン系樹脂発泡シート」の「少なくとも一方の面に粘着剤層を設けた粘着テープ」が発明の課題1及び2を解決するとしても、また、実施例の値が発明の詳細な説明の記載と矛盾するものであるとしても、サポート要件違反とはいえない。
また、請求項1を直接又は間接的に引用する本件特許発明2ないし6についても同様であり、本件特許発明2ないし6に関して、特許請求の範囲の記載は、サポート要件に適合する。

エ 申立理由4についてのまとめ
したがって、申立理由4によっては、本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。

(3)申立理由5について
ア 申立理由5の概要
申立理由5の概要は次のとおりである。

・本件特許明細書において、比較例1ないし5は実施例7よりも、薄厚で優れたせん断強度を有しており、比較例1は実施例4よりも薄厚でありながら、せん断強度が同じ値となっている。このように、本件特許発明はその発明特定事項と奏される効果とに矛盾が生じており、本件特許明細書を確認しても、発明特定事項の意味を当業者が理解できず、さらに発明特定事項が不足していることは明らかである。
また、「90℃におけるせん断強度」、「TM/D」及び「TT/D」は特殊パラメータであることから、どのような方法で得られた数値であるのか理解できない。
よって、本件特許発明1ないし7は明確でない。

明確性要件の判断基準
明確性要件の判断基準は、上記1(2)アのとおりである。

ウ 判断
上記1(2)イのとおり、本件特許の請求項1ないし7に不明確な記載はなく、明細書の記載も請求項1ないし7の記載と矛盾するものではない。
したがって、本件特許発明1ないし7に関して、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。
なお、実施例が比較例と比べて優れた効果を奏しない、発明特定事項が不足している並びに「90℃におけるせん断強度」、「TM/D」及び「TT/D」をどのような方法で得られた数値であるのか理解できないといったことは、発明の明確性とは関係がない。

エ 申立理由5についてのまとめ
したがって、申立理由5によっては、本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
上記第5のとおり、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、取消理由(決定の予告)並びに特許異議申立人1及び2が提出した特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂を発泡したポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、前記発泡シートの発泡倍率が1.5?20cm^(3)/gであり、前記発泡シートのMD方向及びTD方向の平均気泡径が130μm以下であり、90℃におけるせん断強度が0.3?10MPaであり、下記式(1)及び式(2)を満たす、ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
T_(M)/D≧6 (1)
T_(T)/D≧5 (2)
T_(M):90℃におけるMD方向の抗張力(MPa)
T_(T):90℃におけるTD方向の抗張力(MPa)
D :前記発泡シートの密度(g/cm^(3))
【請求項2】
25%圧縮強度が10?1,000kPaである、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項3】
23℃におけるMD方向の抗張力が0.5?35MPaである、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項4】
23℃におけるTD方向の抗張力が0.5?30MPaである、請求項1?3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項5】
厚みが0.02?0.8mmである、請求項1?4のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項6】
ゲル分率が5?60質量%である、請求項1?5のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項7】
請求項1?6のいずれかに記載されたポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に粘着剤層を設けた粘着テープ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-10-09 
出願番号 特願2017-534627(P2017-534627)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (C08J)
P 1 651・ 113- YAA (C08J)
P 1 651・ 536- YAA (C08J)
P 1 651・ 121- YAA (C08J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大村 博一  
特許庁審判長 大島 祥吾
特許庁審判官 加藤 友也
大畑 通隆
登録日 2019-03-15 
登録番号 特許第6496414号(P6496414)
権利者 積水化学工業株式会社
発明の名称 ポリオレフィン系樹脂発泡シート及び粘着テープ  
代理人 虎山 滋郎  
代理人 虎山 滋郎  
代理人 田口 昌浩  
代理人 石井 豪  
代理人 田口 昌浩  

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