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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1369014
異議申立番号 異議2020-700579  
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-11 
確定日 2020-12-11 
異議申立件数
事件の表示 特許第6646236号発明「パージノズルユニット、ロードポート、ストッカー」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6646236号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6646236号の請求項1?6に係る特許についての出願は、平成24年6月11日に出願された特許出願(特願2012-132210号、以下「原出願」という。)の一部が、平成29年4月4日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2017?74145号、以下「第1世代分割出願」という。)とされ、更にその一部が平成30年9月26日に更に新たな特許出願とされたものであって、令和2年1月15日にその特許権の設定登録がされ、令和2年2月14日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和2年8月11日に特許異議申立人星正美は、特許異議の申立てを行った。

第2 本件発明
特許第6646236号の請求項1?6の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
基板が収容されるパージ対象容器の底面に設けた中空筒状のシール部であるポートを通じてパージ用気体を供給することで、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を前記パージ用気体に置換可能なパージノズルユニットであり、
前記パージノズルユニットは、前記パージ用気体を通過させ得る流路を有するノズルと、
前記ノズルを昇降可能な状態で保持するホルダとを備え、
前記ノズルは、上昇移動したとき前記ポートに接触するノズル頭部と、前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部とを有し、
前記ノズル頭部は前記本体部に対して交換可能に設けられる、
ことを特徴とするパージノズルユニット。
【請求項2】
前記中空筒状のシール部である前記ポートに接触する前記ノズル頭部は、金属製である、
請求項1に記載のパージノズルユニット。
【請求項3】
前記ホルダの側部に、固定用のネジ挿入孔を有する固定部を有する、
請求項1又は2に記載のパージノズルユニット。
【請求項4】
前記ノズルは、下降移動したとき前記ノズル頭部が前記ホルダに収容され、
前記ホルダは、前記本体部の外向き面に添接する側壁を有し、
前記本体部が挿通する貫通孔を有する請求項1から3のいずれかに記載のパージノズルユニット。
【請求項5】
前記パージ対象容器が載置される載置台に、請求項1から4いずれかに記載のパージノズルユニットが、前記パージ対象容器の前記ポートの位置に応じて複数取り付けられるロードポート。
【請求項6】
前記パージ対象容器を保管するストッカーであって、請求項1から4いずれかに記載のパージノズルユニットが取り付けられるストッカー。」

第3 申立理由の概要
特許異議申立人星正美は、証拠として特開2005-167168号公報(以下「文献1」という。)を提出し、請求項1、3、4、6に係る特許は特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり(以下「申立理由1」という。)、主たる証拠として特開2004-345715号公報(以下「文献2」という。)、及び、従たる証拠として文献1、特開2011-187539号公報(以下「文献3」という。)、並びに特開2003-60007号公報(以下「文献4」という。)を提出し、請求項1?6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり(以下「申立理由2」という。)、証拠として、特願2012-87993号(以下「先願5」という。)(特開2013-219159号公報(「先願5公開公報」という。)を提出し、請求項1、2、5に係る特許は特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり(以下「申立理由3」という。)、また、証拠として、特願2012-132210号の出願時の特許請求の範囲、明細書および図面(以下「原出願明細書等」という。)、並びに、特開2013-258206号公報(以下「原出願公開公報」という。)を提出し、本件に係る分割出願(特願2018-179929号)は分割要件を満たさないので、請求項1?6に係る特許は、原出願公開公報に記載された発明であり、特許法第29条第1項及び同法同条同項第2項の規定に違反してされたものである(以下「申立理由4」という。)から、請求項1?6に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。

第4 文献の記載
1 文献1の記載、引用発明1、文献1に記載の技術
(1)文献1の記載(下線は合議体が付加した。以下同じ。))

「【技術分野】
【0001】
本発明は保管ボックス内のクリーン度を維持するため、クリーンガスでパージし、且つクリーンガスの有効利用を高めた保管装置およびこのような保管装置を実現するためのパージバルブに関する。」

「【背景技術】
【0002】
半導体の分野では、特にLSI(Large Scale Integration)において、集積度の向上に伴うパターンの微細化が進み、そのパターンの大きさはサブミクロン例えば0.1μmにもなり、半導体の製造工程において半導体ウエハーの周囲環境のクリーン度がますます要求されるようになった。
【0003】
そこで、半導体ウエハーを収納するウエハーキャリア、またはウエハーの保管ボックスであるFOUP(Front Opening Unified Pod)等自体、特にFOUP内をも常にクリーンに維持し保管する必要がある。そのためこれらFOUP等の収納容器を常にクリーンに維持された保管装置に収納し、クリーン度の維持管理をしている。
・・・
【0005】
FOUPにはガスを導入する開口孔があるためこのクリーンガスを直接、FOUP内に導入し、FOUP内をパージしクリーン度を維持している。・・・
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
・・・
【0008】
また、FOUPはその底部にはクリーンガスをパージするための導入孔および排気孔がそれぞれ1つずつあり、その導入孔および排気孔にはチェック弁が付属されている。・・・
【0009】
そこで、本発明は保管装置の各保管室のクリーン度を維持するために必要な各保管室へ流すクリーンガスのロスを極力低減させることにより半導体ウエハー等の保管コストをも低減し、またクリーンルーム内への窒素ガスの漏れ流入も極力抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するため、本発明は、保管物、例えば、ウエハーキャリアやウエハー収納容器FOUPをパージするために必要なときに、すなわち、これらウエハーキャリアの存在する保管室にのみクリーンガスをパージできるようにした収納容器の保管装置であり、ウエハー収納容器FOUPとパージバルブを接続したときにのみ、すなわち、収納容器の存在を感知したときにのみバルブが開き、クリーンガスをパージできるパージバルブを提供する。
【0011】
また、本発明は、パージバルブが重量物の重量または機械的外力によってバルブを開閉させるバルブ開閉アクチュエータと、ガスを導入するガス通路と、パージバルブの開時にガス供給源からガスの入ってくるガス導入孔と、ガス通路及びガス導入孔を導通孔を介して導通させる中継導通孔と、パージバルブが閉時にガスの流れを遮断するシール材と、バルブ開閉に上下駆動するピストンロッドと、ガス流量を調整するオリフィスと、重量物の有無によりアクチュエータを作動させるばねから構成される。ここでバルブ開閉アクチュエータとは、図1においてフランジ(1)13、ピストンロッド8、ばね(1)11からなる重量または機械的外力によってバルブ開閉作用を行う操作部をいう。
【0012】
前記オリフィスの直径は任意の大きさに交換し、流れるガスの量を任意に選定でき、前記ばねは、任意のばね定数のものに交換し、前記積載物の重量または機械的外力の大きさの感知を任意に選定できることを特徴とする。
保管装置は、複数の各分離独立した保管室を有し、保管室内に請求項1記載のパージバルブをそれぞれ設け、保管室に保管物が存在するときにのみにパージバルブが開放し、クリーンガスが保管室内に流れ込むように前記パージバルブが設置されている。
また、本発明は、ガス導入孔と、そのガス導入孔にチェック弁を取り付けたウエハー収納器FOUPを前記パージバルブと該チェック弁が接続され、前記パージバルブが開となり該ウエハー収納器FOUP内を前記ガスによりパージされることを特徴とする。
前記クリーンガスは、たとえば窒素ガスまたはドライエアーまたは不活性ガスを使用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるパージバルブは、パージバルブ作動部分に重量または機械的外力が加わるかどうかでバルブ開閉するため、対象物の存在の有無を確認してバルブ開閉が可能となる。オリフィス径は、容易に任意の大きさに交換し、流れるガスの量を任意に選定でき、ばねは、任意のばね定数のものに交換し、前記積載物の重量または機械的外力の大きさの感知を任意に選定できるためパージバルブの使用の自由度が大きくなり、どのような仕様にも対応できる。」

「【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図面を参照し、詳細に説明する。図1は本発明のパージバルブの断面図である。本発明のパージバルブ1とは、重量または機械的力によりバルブ開閉を行い、そのバルブ開閉動作によりガスのパージをコントロールするバルブである。 図1(a)は、重量物が存在しないため重量がパージバルブのアクチュエータ2に掛かからないため閉じた状態を示し、図1(b)は、本発明のパージバルブ1が載置された重量物の重量がパージバルブ1のアクチュエータ2に掛かり開いた状態を示す。アクチュエータ2とは、フランジ(1)13、ピストンロッド8、ばね(1)11からなる重量または機械的外力によってバルブ開閉作用を行う操作部をいう。
【0016】
次に、本発明のパージバルブ1の構造について説明する。図1(a)において、パージバルブ1は主として重量物の重量によってバルブ開閉させるアクチュエータ2、ガス通路23、導通孔4、パージバルブ1の開時にクリーンガス供給源からクリーンガスの入ってくるクリーンガス導入孔5、パージバルブ1の開時にガス通路23とクリーンガス導入孔5を導通孔4を介して導通させる中継導通孔6、パージバルブ1が閉時にクリーンガスの流れを遮断するシール材(1)7、バルブ開閉に上下駆動するピストンロッド8、ガス流量を調整するオリフィス3と、バルブ本体ハウジング10、ピストンロッド8とバルブ本体ハウジング10間をシールするシール材(2)9、重量物の有無によりアクチュエータ2を作動させるばね(1)11、クリーンガス供給源とバルブ本体ハウジング10を接続するフランジ(1)12、アクチュエータ2と図示していないクリーンガス導入室を接続するフランジ(2)13からなる。シール材(1)7,シール材(2)9としてはここではOリングを使用する。また、図1(b)において、同じ番号の符号は図1(a)と同一である。
【0017】
次に、本発明のパージバルブ1の動作について説明する。図1(a)において、図示していないクリーンガス供給源18とバルブ本体ハウジング10を接続フランジ(1)12により接続され、アクチュエータ2と図示していない保管室をフランジ(2)13により接続されている。
【0018】
重量物が存在しないため、アクチュエータ2が、ばね(1)11により上方に押し上げられたままの状態にあり開作動しないため、バルブが閉時にクリーンガスの流れを遮断するシール材(1)7によりパージバルブ1が閉状態にあるため保管室にクリーンガスが入り込まない。
【0019】
図1(b)においては、重量物が存在するためアクチュエータ2が、ばね(1)11の反発力に押し勝って下方に移動する。アクチュエータ2の作動とともにピストンロッド8も下方に移動し、バルブが閉時にクリーンガスの流れを遮断するシール材(1)7も下方に移動し、パージバルブ1の開時にガス通路23とガス導入孔5が導通孔を介して導通させる中継導通孔6により開放される。オリフィス3は、パージバルブ内を流れるガスの流量を調整する。ピストンロッド8の摺動部はピストンロッド8とバルブ本体ハウジング10の間にあるシール材(2)9によりガス漏れを防止している。
【0020】
従って、クリーンガス供給源18、クリーンガス供給管19、クリーンガス導入孔5、オリフィス3、中継導通孔6、導通孔4、ガス通路23および保管室まで導通し、クリーンガス供給源18から保管室までのクリーンガスの通路が確保されるためこの順路で保管室にクリーンガス供給源18からのクリーンガスが流れ込む。 以上、上記の動作手順により、本発明のパージバルブ1の重量物の有無によりバルブ開閉の動作を行う。また、本発明によるパージバルブ1は重量物に代えて強制的に重量物の掛かる方向に力を加えてパージバルブ1を開けることができることはもちろんである。
【0021】
また、次に本発明のパージバルブ1を利用した保管装置14について図2、図3を参照して説明する。 図2に本発明の保管装置14の正面図を示す。保管装置14には複数の別個独立した保管室15が組み込まれ内蔵している。それぞれの保管室15内には、その底部にパージバルブ1を配置し、パージバルブ1の直ぐ上に支持台17をアクチュエータ2に直結して接続し、支持台17の上下動がそのままアクチュエータ2の上下動となるようにする。支持台17は、ばね(2)24により支持されている。 また、パージバルブ1の下側にクリーンガス供給管19を接続配管し、クリーンガス供給管19にはクリーンガス供給源18に接続してクリーンガスを常に供給できる状態に設定している。供給するクリーンガスとしては、たとえば図示しないフィルターを通したクリーンな窒素ガスである。
【0022】
保管室15に何も存在せず空き室の場合は支持台17に直結しているパージバルブ1のアクチュエータ2が作動せず、パージバルブ1は閉の状態で保管室15にクリーンガスは流れ込まない。 一方、半導体ウエハーを収納したウエハーキャリア20を保管装置扉16を開け、保管装置14内の支持台17に載せる。アクチュエータ2が作動し、パージバルブ1が開になり、保管室15にクリーンガス供給源18からクリーンガス供給管19を経てクリーンガスが流れ込む。
【0023】
本発明を収納容器としてFOUPに適用した場合について図4を参照して説明する。FOUP本体21の底部には2つのチェック弁22が設けられており、クリーンガスを導入および排気という働きの違いからチェック弁22の向きはそれぞれ逆に取り付けられている。FOUP本体21を保管装置または保管エリアに載置されると、クリーンガスを導入側のチェック弁22に本発明のパージバルブ1に接続され、パージバルブ1が開状態になりクリーンガスがFOUP本体21内に入り込み、FOUP内圧により排気側チェック弁22が開き、クリーンガスが排気されFOUP本体21内がクリーンガスよりパージされる。 」

図1(a)、(b)、図3は、それぞれ以下のとおりである。


(2)引用発明1
そうすると、文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「重量物の重量によってバルブ開閉させるアクチュエータ2、ガス通路23、導通孔4、パージバルブ1の開時にクリーンガス供給源からクリーンガスの入ってくるクリーンガス導入孔5、パージバルブ1の開時にガス通路23とクリーンガス導入孔5を導通孔4を介して導通させる中継導通孔6、パージバルブ1が閉時にクリーンガスの流れを遮断するシール材(1)7、バルブ開閉に上下駆動するピストンロッド8、ガス流量を調整するオリフィス3と、バルブ本体ハウジング10、ピストンロッド8とバルブ本体ハウジング10間をシールするシール材(2)9、重量物の有無によりアクチュエータ2を作動させるばね(1)11、クリーンガス供給源とバルブ本体ハウジング10を接続するフランジ(1)12、アクチュエータ2とクリーンガス導入室を接続するフランジ(2)13からなるパージバルブ1であって、
アクチュエータ2とは、フランジ(1)13、ピストンロッド8、ばね(1)11からなる重量または機械的外力によってバルブ開閉作用を行う操作部をいい、
クリーンガス供給源18とバルブ本体ハウジング10が接続フランジ(1)12により接続され、アクチュエータ2と保管室をフランジ(2)13により接続されており、パージバルブ作動部分に重量物が存在しないときは、アクチュエータ2が、ばね(1)11により上方に押し上げられたままの状態にあり作動せず、パージバルブ1が閉状態となり、
パージバルブ作動部分に重量物が存在するときは、アクチュエータ2が下方に移動し、ピストンロッド8も下方に移動し、シール材(1)7も下方に移動し、パージバルブ1の開時にガス通路23とガス導入孔5が導通孔を介して導通させる中継導通孔6により開放され、
底部に2つチェック弁22が設けられたFOUP本体21が、保管装置または保管エリアに載置されると、アクチュエータ2が作動し、クリーンガス導入側のチェック弁22に当該パージバルブ1が接続され、開状態になり、クリーンガスがFOUP本体21内に入り込み、FOUP内圧により排気側チェック弁22が開き、クリーンガスが排気されFOUP本体21内がクリーンガスよりパージされる、パージバルブ1。」

(3)文献1に記載の技術
上記(1)で摘記の記載を総合的に参酌すると、文献1には、「パージバルブ1において、フランジ(2)13、ピストンロッド8、ばね(1)11、及びシール材(1)7を保持するバルブ本体ハウジング10。」という技術的事項が記載されていると認められる。

2 文献2の記載と引用発明2
(1)文献2の記載
「【請求項1】
製品を収容する容器に形成されたポートと、前記容器が載置される台に形成されたポートとを、シール部材を介して略当接させ、前記台側のポートと前記容器側のポートとの間において、前記容器内部に対してガスの供給あるいは排気の少なくとも一方を行うガスラインを形成するシステムであって、前記シール部材は、前記台側のポート開口端部において当該開口の外周を囲んで固定されるリング形状からなる本体部と、前記本体部のリング形状の内周部より前記本体部が固定された側の開口端部とは異なる他方の開口端部方向に概略向かって伸びる第一のリップ部と、前記本体部のリング形状の外周部より前記本体部が固定された側の開口端部とは異なる他方の開口端部方向に概略向かって伸びる第二のリップ部と、前記本体部において前記第一および第二のリップ部の間に前記第一および第二のリップ部が形成されていない端面に貫通する孔とを有し、
前記台は、前記孔と連通し、排気系に接続されるガス流路を有することを特徴とするシステム。」

「【0001】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、半導体、フラットパネルディスプレイ用のパネル、光ディスク等、高清浄な環境下にてそのプロセスが行われる物品の製造工程において、当該物品収容のために用いられる製品収容容器、および当該容器の開閉操作を行うためのいわゆるロードポートに関する。より詳細には、前述の物品、主として300mm径の半導体用ウエハの処理工程においてこれを被収容物として用いられるいわゆるFOUP(front-opening unified pod)において、その内部に封入された気体を置換するパージシステムに関するものである。」

「【0004】
具体的には工場全体の清浄度を高めるのではなく、製造工程内における各処理装置内およびその間の移動中における保管用容器(以下、ポッドと呼ぶ)内のみを高清浄度に保つこととしている。このポッドを、上述のごとくFOUPと総称している。・・・」

「【0010】
【発明が解決しようとする課題】
リング状の形状を有するいわゆるパッキンが、シール部材として従来より用いられている。当該パッキンを用いた場合におけるポッド側排気(給気)ポート、台側排気(給気)ポートの概略断面図を、図8Aおよび8Bに示す。図8Aは、シール部材が、上部開口に向かうに従ってその内径が小さくなる湾曲内面形状を有する、いわゆるドーム型の形状を有するシール部材18aを用いた場合を示す。また図8Bは、シール部材が、上部開口に向かうに従ってその内径が大きくなる湾曲内面形状を有する、いわゆる漏斗型の形状を有するシール部材18bを用いた場合を示す。
・・・
【0013】
従って、ドーム型形状のシール部材と漏斗型形状のシール部材とは共用することが困難であり、各々そのシールすべき環境が正圧であるか負圧であるかに応じて使い分ける必要がある。さらに、これらシール部材が記すべき環境は、一般的にその圧力が変化するため、個々のシール特性が環境圧の変化に伴って変化するため、一定のシール特性を確保するためにはこれらシール部材に対してこれを押しつぶす加重を付加して一定以上の変形を与えておく必要がある。この場合、大きな加重に加えることとが必要となるが、このために繰り返して変形されるうちにシール部材が塑性変形してしまい、当該シール部材の交換頻度が高くなるという問題がある、同時に、これらシール部材を均等に変形して良好なシール特性を確保するために、ポッド側、台側、さらにはシール部材のシール面の面精度を常に保つこととが求められ、これら部材の加工コストの上昇を招いていた。
・・・
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、シール内環境の圧力の正圧、負圧等の変化にかかわらず良好なシール特性を示し得るパージシステムの提供を目的とするものである。また、同時に本発明は、シール部材を過大に変形させる大きな変形加重、厳しいシール面精度を達成しなくとも良好なシール特性を示し得るパージシステムの提供をも目的とするものである。」

「【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るパージシステムは、製品を収容する容器に形成されたポートと容器が載置される台に形成されたポートとをシール部材を介して略当接させ、台側のポートと容器側のポートとの間において容器内部に対してガスの供給あるいは排気の少なくとも一方を行うガスラインを形成するシステムであって、シール部材は容器側のポート開口端部において当該開口の外周を囲んで固定されるリング形状からなる本体部と、・・・」

「【0021】
【実施の形態】
本発明の一実施の形態に関して、図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明に係るシステムに好適に用いられるシール部材の斜視図および部分断面図に関するものであり、図2は、図1に示すシール部材の線2-2における断面図を示したものである。本発明に係るシステムに用いられるシール部材20は、二重シール構造を有しており、略リング形状からなる本体部20a、本体部20aの一端面上の内周側に形成された内周リップ20b、本体部20aにおける内周リップ20bが形成された端面上の外周側に更に形成された外周リップ20cとから構成されている。また、本体部20aにおける内周リップ20bと外周リップ20cの間には、本体部20aの一端面から他端面に抜ける吸引孔20dが複数個設けられている。
【0022】
内周リップ20bは、その上方に向かうに従って内径が小さくなる、シール部材20の中心軸に対してのドーム型形状を有している。また、外周リップ20cは、その上方に向かうに従って内径が大きくなる、中心軸に対しての漏斗型形状を有している。これら構成とすることにより、シール内環境が正圧に保たれる場合には、ドーム型形状を有する内周リップ20bが、また、シール内環境が負圧に保たれる場合には漏斗型形状を有する外周リップ20cが、各々好適にシール作用をしめすため、シール内環境の圧力によらず良好なシール特性が得られることとなる。また、2種類のリップが各々異なる動作を示すことからシール面精度が低い場合、あるいはシール部材を押しつぶすための加重がわずかな場合であっても、良好なシール特性を得ることが可能となる。
【0023】
また、上述の如く、本例に示すシール部材20には、吸気孔20dが設けられている。当該吸気孔20を介することによって、シール部材20における内周リップ20bおよび外周リップ20cが各々ポッド側ポート端部と当接した際に、内周リップ20b、外周リップ20cおよびポート端部によって形成される空間内部を排気することが可能である。この排気操作によって、シール部材20はポッド側ポート端部とより強力に密着することとなり、シール特性を更に改善することが可能となる。また、当該操作を行うことにより、シール面の精度が低い場合、あるいはシール部材を押しつぶすための加重がわずかな場合であっても、シール部材自身が能動的にシール作用を呈することで、良好なシール特性を得ることが可能となる。
【0024】
なお、本例においては、シール部材に吸気孔を設けることとしているが、仮にこれら吸引孔を有さない構成とし、複数のリップを有するだけの構成としても良い。なお、本例においては、二重シールにおける個々のリップ形状をそれぞれドーム型形状および漏斗型形状としたが、本発明はこれに限定されない。具体的には、シール内環境における圧力によって、各々のリップが異なる方向に変形するような形状を有することとすれば、同様の効果が得られる。また、個々のリップ形状を同一の形状からなるものとした場合であっても、本実施例における吸気孔と同等の作用を有する構成を複数のリップの間に設けることにより、シール部材とポート端部との密着性を高める効果が得られる。
【0025】
(第一の実施の形態)
次に、本発明の第一の実施の形態に係るシステムを、現在用いられているFOUPに関するシステムに対して適用した場合について、以下に図面を参照して説明する。なお、本発明を適用した半導体ウエハ処理装置およびポッドは、その概略構成が従来技術において述べた構成と略同一であるため、同一の構成に関しての説明は省略する。また、オープナ等、ポッド2の蓋4を開閉する機等に関しても本発明と直接的な関係を有さないことから、従来技術に関しての記述を援用することとし、ここでの詳細な説明は省略する。
【0026】
図3は、台53の概略斜視図を示している。台53の表面には位置決めピン12、給気ポート14および排気ポート16が設けられている。これら給排気ポート14、16の開口部には、本発明に係るシール部材20が配置されている。図4および図5は、台53等、およびこの上に載置されるポッド2の断面構成概略を示しており、図4はポッド2が載治される直前の状態、図5はポッド2が載置された状態をそれぞれ示している。なお、本適用例においては、シール部材20とポッド2の給排気ポート端部との間に形成される空間の減圧を行うための吸気ライン19が、台53の内部に設けられている。吸気ライン19は、吸気孔20dを解して前述の空間と連通しており、吸気ライン19は、外部装置たる不図示の真空排気系に接続されている。
【0027】
以下、図面を参照して本発明を適用したFOUPシステムにおけるパージ操作等について説明する。まず、内部に半導体ウエハ1を収容し、蓋4によってその内部が密閉空間とされたポッド2が台53上方まで運ばれる。ポッド2は、台53上に突出する位置決めピン12がポッド2の下部に設けられた凹部5に略嵌合した状態で、台53上に載置される。この状態において、ポッド側の給気ポート7および排気ポート9は、各々シール部材20を介して台53側の給気ポート14および排気ポート16と当接している。
【0028】
ここで、吸気ライン19を用いて、シール部材20とポッド2側の給排気ポート端部との間に形成される空間20e内部を排気する操作を行う。当該操作によって、空間20eは減圧され、シール部材20は、この減圧空間20eの効果によって、当接するポッド2側の給排気ポート端部と強固に密着することとなる。当該操作終了後、あるいは当該操作を継続しながら、ポッド2内部のパージ操作を行う。パージ操作においては、台53側の給気ポート14、シール部材20、ポッド2側吸気ポート7、フィルタ11、ポッド2内部、フィルタ11、ポッド2側排気ポート9、シール部材20、台53側の排気ポート16の順に置換ガスを循環させることによって、ポッド2内部雰囲気の置換が行われる。
【0029】
本発明に係るシステムを上述の如くロードポートに用いることによって、給気および排気ラインが各々正圧あるいは負圧いずれに保たれているにもかかわらず、これらラインは外部環境に対して十分なシール特性を保ちながら当該状態を維持することが可能となる。従って、ポッド2内部に対して、従来と比べてより大きな流速でもって置換ガスを送ることが可能となる等、より効果的に雰囲気置換を行うことが可能となる。また、上述の減圧空間20eの内部圧力を、吸気ライン19を介してモニタすることにより、シール部材20のシール状態をモニタすることも可能である。」

図1?5は、それぞれ以下のとおりのものである。


(2)引用発明2
そうすると、文献2には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「製品を収容する容器であるポッド(FOUP)に形成されたポートと、前記容器が載置される台に形成されたポートとを、シール部材を介して略当接させ、前記台側のポートと前記容器側のポートとの間において、前記容器内部に対してガスの供給あるいは排気の少なくとも一方を行うガスラインを形成するシステムであって、前記シール部材は、前記台側のポート開口端部において当該開口の外周を囲んで固定されるリング形状からなる本体部と、前記本体部のリング形状の内周部より前記本体部が固定された側の開口端部とは異なる他方の開口端部方向に概略向かって伸びる第一のリップ部と、前記本体部のリング形状の外周部より前記本体部が固定された側の開口端部とは異なる他方の開口端部方向に概略向かって伸びる第二のリップ部と、前記本体部において前記第一および第二のリップ部の間に前記第一および第二のリップ部が形成されていない端面に貫通する孔とを有し、
前記台は、前記孔と連通し、排気系に接続されるガス流路を有するシステムであって、
台53の表面には位置決めピン12、給気ポート14および排気ポート16が設けられ、給排気ポート14、16の開口部には、本発明に係るシール部材20が配置され、
FOUPシステムにおけるパージ操作において、
まず、内部に半導体ウエハ1を収容し、蓋4によってその内部が密閉空間とされたポッド2が台53上方まで運ばれ、台53上に載置され、この状態において、ポッド側の給気ポート7および排気ポート9は、各々シール部材20を介して台53側の給気ポート14および排気ポート16と当接し、
シール部材20とポッド2側の給排気ポート端部との間に形成される空間20e内部を排気する操作を行うことによって、空間20eは減圧され、シール部材20は、この減圧空間20eの効果によって、当接するポッド2側の給排気ポート端部と強固に密着することとなり、
当該操作終了後、あるいは当該操作を継続しながら、ポッド2内部のパージ操作を行い、ポッド2内部雰囲気の置換が行われ、
シール部材を押しつぶすための加重がわずかな場合であっても、良好なシール特性を得ることが可能となる、システム。」

3 文献3の記載
「【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスやガラス基板を用いたデバイス等の製造において、半導体ウェハ基板やガラス基板を収容するキャリアカセット等の容器内にガスを注入するガス注入装置、ガス排出装置、ガス注入方法及びガス排出方法に関する。」

「【0025】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るガス注入装置としてのロードポートを示す斜視図である。図2は、そのロードポート100を示す平面図である。
【0026】
ロードポート100は、半導体デバイスの各種の製造工程で使用される製造装置間のインターフェースの機能を有する。
【0027】
ロードポート100は、半導体ウェハ基板(以下、ウェハという)Wを複数収容する容器としてのキャリア10(キャリアカセット)を載置させる載置台2を有している。キャリア10は、密閉容器としてのFOUP(Front Opening Unified Pod)が用いられる。
【0028】
載置台2は、ベースハウジング22と、このベースハウジング22上に設けられたプレート状のキャリアベース21とを有する。キャリアベース21上にキャリア10が載置されるようになっている。キャリアベース21上に載置されたキャリア10の前面側、すなわち図1中Y軸方向の奥側には、ウェハWが通過する通過口16が設けられている。通過口16に対向するように、キャリア10の蓋105を開閉する開閉装置15が設けられている。
・・・
【0031】
キャリアベース21の周縁部には、キャリアベース21上に載置されたキャリア10内に不活性ガスを注入するための3つの注入ノズル5(5a、5b、5c)が配置され、また、キャリア10内のガスを排出するための1つの排出ノズル5’が配置されている。注入ノズル5及び排出ノズル5’は、それぞれノズルホルダ6により保持されている。ノズルホルダ6には取付部材9が接続され、ノズルホルダ6は取付部材9を介してキャリアベース21の周縁部の所定位置にそれぞれ取り付けられている。これにより、注入ノズル5及び排出ノズル5’は、上記スライダ機構によりキャリアベース21と一体的に移動可能となっている。
・・・
【0036】
ノズルホルダ6は、下部に設けられた円柱状の凹部62aを有する本体62と、凹部62aを塞ぐように本体62上に設けられたカバー61とを有し、注入ノズル5aを昇降可能に保持する。注入ノズル5aは側面にフランジ部51を有し、このフランジ部51がノズルホルダ6の凹部62a内に配置されるように、ノズルホルダ6に保持される。カバー61は、注入ノズル5aのフランジ部51との関係で、エアシリンダ41の駆動による注入ノズル5の上昇移動時において、その上限位置のストッパとしての機能を有する。注入ノズル5aの内部には流路52が設けられ、その流路52の下部において図示しない配管に接続される。」

図4、6は、以下のとおりである。


上記記載を総合的に参酌すると、文献3には、「ロードポートにおける、キャリア10(FOUP)を載置させる載置台2が有するキャリアベース21の周縁部に配置され、キャリア10内に不活性ガスを注入するための注入ノズル5(5a、5b、5c)、排出ノズル5’を保持するノズルホルダ6について、下部に設けられた円柱状の凹部62aを有する本体62と、凹部62aを塞ぐように本体62上に設けられたカバー61とを有し、注入ノズル5aを昇降可能に保持するノズルホルダ6。」という技術的事項が記載されていると認められる。

4 文献4の記載
「【0049】図6は、基板処理装置に備えられたロードポート装置に、ウェーハキャリア100が載置された状態を示す断面模式図である。図6において、300は、基板処理装置21に備えられたロードポート装置を示す。
【0050】30Aは、ロードポート基台を示す。また、31は、ロードポート基台30Aの上に備えられたキネマ面を示し、31Aは、キネマ面に突出するキネマティックピンを示す。このキネマティックピン31Aと、ウェーハキャリア100に備えられたV溝13とが嵌まりあって、ウェーハキャリア100がロードポート装置300に載置される際の位置を決定する。
【0051】また、ロードポート基台30A、キネマ面31、キネマティックピン31Aを含んで、ロードポート装置300の台部30が構成される。
・・・
【0054】図7は、ロードポート装置300に備えられた、ウェーハキャリア100内部を加圧するための気体供給手段の概念を示すための図である。
【0055】15は、ウェーハキャリア100内部を加圧するためのクリーンな乾燥高圧気体の供給源に接続されたバルブ、例えば電磁弁である。このバルブ15が開くことにより、供給源から、ウェーハキャリア100内部に乾燥高圧気体が供給される。また、このバルブ15に並列に、減圧弁15Aが備えられており、これによって気体の供給量を調節することができる。
・・・
【0057】また、18は、ウェーハキャリア100に備えられた導入口14に接続される接続部を示す。この接続部は、ウェーハキャリア100がキネマ面31に載置されると、これに連動して自動的に導入口14に接続されるようになっている。
【0058】バルブ15、圧力センサ16、制御手段17、接続部18を含めて、気体供給手段400が構成される。なお、この気体供給手段400は、ロードポート装置300に備えられているものであるが、図6においては、図示を省略してある。
【0059】次に、基板の移送方法について説明する。半導体工場内では、各種処理を受ける基板はウェーハキャリア100に収納された状態で各基板処理装置21間を移動する。・・・
【0062】次いで、ウェーハキャリア100を、ホイスト機構22を用いて、基板処理装置21に備えられたロードポート基台30A上のキネマ面31上へ降ろして所定位置にセットする。ウェーハキャリア100は、そのベースプレート面12に設けられたV溝13に、キネマ面31の上面に設けられたキネマティックピン31Aが嵌まることにより、ロードポート基台30Aの上の適切な位置に載置される。
【0063】キネマ面31に、ウェーハキャリア100が載置されると、これに連動して、図7(b)に示すように、気体供給手段400の接続部18が、フィルタの備えられた導入口14に接続される。一方、制御手段17は、ウェーハキャリアが載置されたことを感知し、バルブ15を開き、気体の導入を開始する。
【0064】また、ホイスト機構22を、ウェーハキャリア100から外し、ウェーハキャリア100をロードポート基台30A上に残す。その後、ウェーハキャリア100を前進させて、キャリアドア2と、ロードポートドア32をドッキングさせる。ウェーハキャリア100は前進し、ロードポートドア32のFIMSシール面に押し当てられる。
【0065】この間、ウェーハキャリア100内部への気体の導入は、少なくとも引き抜かれるキャリアドア2の体積分を補うまでは続けられる。」

図6、7は、以下のとおりである。


上記記載を総合的に参酌すると、文献4には、以下の技術的事項が記載されていると認められる。

「基板処理装置21に備えられたロードポート装置300であって、
ロードポート基台30A、キネマ面31、キネマティックピン31Aを含んで、ロードポート装置300の台部30が構成され、
キネマティックピン31Aと、ウェーハキャリア100に備えられたV溝13とが嵌まりあって、ウェーハキャリア100がロードポート装置300に載置される際の位置が決定され、
ロードポート装置300に備えられた、ウェーハキャリア100内部を加圧するための気体供給手段400において、
ウェーハキャリア100に備えられた導入口14に接続される接続部18は、ウェーハキャリア100がキネマ面31に載置されると、これに連動して自動的に導入口14に接続されるようになっており、
バルブ15、圧力センサ16、制御手段17、接続部18を含めて、気体供給手段400が構成される、気体供給手段400に関し、
基板の移送方法については、
ウェーハキャリア100を、基板処理装置21に備えられたロードポート基台30A上のキネマ面31上へ降ろして所定位置にセットすることで、ウェーハキャリア100は、そのベースプレート面12に設けられたV溝13に、キネマ面31の上面に設けられたキネマティックピン31Aが嵌まることにより、ロードポート基台30Aの上の適切な位置に載置され、
キネマ面31に、ウェーハキャリア100が載置されると、これに連動して、気体供給手段400の接続部18が、前記導入口14に接続される、ロードポート装置300。」

5 先願5明細書等の記載、先願5発明
(1)先願5明細書等の記載
先願5の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下先願5の願書に最初に添付した明細書を「先願5明細書」といい、先願5の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面をまとめて「先願5明細書等」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードポートなどで用いられる基板収納用の容器の搬入出装置及び容器の搬入出方法に関する。」

「【0009】
1…FOUP(容器)の搬入出装置、1a…搬入出装置本体(装置基礎部)、 5…FOUP(フープ、容器)、 10…載置台、10a…載置台の前端、11,11a,11b…位置決めピン、11g…前側ゲート部、 12…クランプ部材、12a…爪部、13…検知ピン、20…スライド機構、 21…スライド機構本体、21a…ガイドレール、22…スライダ、23…アクチュエータ、 23a…エアシリンダ、23b…ロッド、23c…コイルバネ、23d…連結部材、 30…回転機構、31…回転基部、32…回転体、 40…ガイド機構、41…第1直動ガイド部、42…回転ガイド部、 43…第2直動ガイド部、44…ガイドピン(フォロア)、 50…ノズルユニット、51…給気ノズル(給排気ノズルの一つ)、51a…ノズルポート、 52…排気ノズル(給排気ノズルの一つ)、52a…ノズルポート、53…ノズル支持体、 54…昇降機構、55…ノズル支持体 D1…FOUP搬入出の向き(フープ搬入出の向き)、 D2…ロードポートドアの向き、D3…進退移動方向、 DB…後退移動、P1?P4、P9…ガイドピンの位置、S1…作業空間、T…フォーク部。」

「【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る基板収納用のFOUP(容器)の搬入出装置について、図面を参照しつつ説明する。 図1に示すように、搬入出装置1は、FOUP5(図2参照)が載置される載置台10と、載置台10を進退移動可能に支持するスライド機構20と、スライド機構20を回転可能に支持する回転機構30(図2)と、載置台10の動きをガイドするガイド機構41?43(図4参照)と、載置台10上に載置されたFOUP5内のパージを行うためのノズルユニット50と、を備えている。
【0011】
載置台10は、載置台10の上面から上方に突出する状態で設置された位置決めピン11(11a,11b)と、FOUP5をクランプするためのクランプ部材12とを備えている。
【0012】
本実施形態で用いられている載置台10は、3本の位置決めピン11を備えている。載置台10に移載されたFOUP5は、3本の位置決めピン11の上に載置された状態で支持される。FOUP5は、その底面に、位置決めピンの先端が差し込まれるV溝(不図示)を備えている。従って、FOUP5は、3本の位置決めピン11によって載置台10上の所定のFOUP載置位置(図2のフープFの位置参照)に確実に位置決めされる。
3本の位置決めピン11の先端位置は同一高さであり、FOUP5は載置台10上の所定のFOUP載置位置に水平状態で支持される。なお、FOUP載置位置の高さは、基板搬入出位置の載置台10に載置されたFOUP5の高さ位置と同じである。 3本の位置決めピン11の配置は、載置台10の前側(基板の搬入出側)に2本、後側(FOUPの搬入出側)に1本である。前側に配置された2本の前側位置決めピン11a,11aは、載置台10の前部の左右両側に離間して配置されており、両位置決めピン11a,11aの間には、幅広のゲート幅の前側ゲート部11gが形成されている。
また、載置台10の上面から3本の位置決めピン11の先端までの長さ(高さ)は、位置決めピン上に載置されたFOUP5の底面と載置台10の上面との間に作業空間S1(図2)が形成される長さである。そして、作業空間S1の載置台10の前方側には、前述した前側ゲート部11gが位置している。
作業空間S1は、例えば、後述するように、フォーク部T(図5(A)参照)を備えた移載機(移載機、不図示)を用いて位置決めピン11上にFOUP5を移載する際に利用される空間である。この作業空間S1があると、所定のフープ載置位置に対してFOUP5を、フォーク部Tを用いて容易に搬入出することができると共に、FOUP5の移載後に、FOUP5を昇降させなくて済む。
【0013】
クランプ部材12は、載置されたFOUP5を載置台10に対して固定するためのものであり、FOUP5を載置台10にクランプするロック位置(図3の二点鎖線の位置参照)と、クランプが解除されるアンロック位置(図3の位置参照)とに回動可能になっている。そして、クランプ部材12は、その先端にクランプ用の爪部12aを備えている。従って、クランプ部材12をロック位置に回動させるとFOUP5が載置台10に固定され、アンロック位置に回動させるとFOUP5が載置台10から搬出可能な状態になる。
なお、符号「13」で示されているものは、載置台10へのFOUP5の搬入を検知する手段である検知ピンである。
【0014】
図3に示すように、スライド機構20は、回転機構30に回転可能に設置されたスライド機構本体21と、スライド機構本体21に対してスライド可能に設置されたスライダ22と、スライド機構本体21に設置されたアクチュエータ23とを備えている。
・・・
【0016】
アクチュエータ23はエアシリンダ23aを備えている。・・・
より具体的には、載置台10は、ロッド23bが最も縮んだとき(没したとき、図3参照)、回転位置に位置する(図5(B)及び(C)参照)。このとき、スライダ22は回転時位置である。
そして、ロッド23bがFOUP搬入出の向きD1に向いた状態(図5(A),(B)参照)で伸びると(突出すると)、載置台10が所定のフープ搬入出位置に位置する(図5(A)参照)。また、ロッド23bがロードポートドアの向きD2に向いた状態(図5(D)参照)で伸びると、載置台10が所定の基板搬入出位置(図5(D)参照)に位置する。
・・・
【0017】
回転機構30は、搬入出装置本体1a(以下、装置本体と称する)に設置された回転基部31と、回転基部31に対して回転可能に支持された回転体32と、回転体32を回転させる駆動源(不図示)とを備えている。つまり、回転基部31は、装置本体1aに固定されている。別言すれば、回転基部31は、載置台10のFOUP搬入出位置や基板搬入出位置に対する相対位置が一定である。・・・
【0018】
図4に示すように、ガイド機構40は、装置本体1aに設置されたガイド部41,42,43と、載置台10に設置されたフォロア(被ガイド部)44とを備えている。
フォロア44は、載置台の下面から下方に延びる状態に設置されたガイドピンであり、載置台10と一体的にスライドすると共に回転する。
そして、ガイド部41?43は、ガイドピン44の動きをガイドすることによって載置台10の動きをガイドするものであり、第1直動ガイド部41と、回転ガイド部42と、第2直動ガイド部43と、を備えている。
第1直動ガイド部41は、載置台10の進退移動方向D3(図4)に延在する第1ガイド段差部で構成されている。この第1直動ガイド部41は、FOUP搬入出位置(図5(A)参照)と回転位置(図5(B)参照)との間に位置する載置台10が進退移動方向D3にのみ移動し且つ回転しないように、ガイドピン44をガイドする。
回転ガイド部42は、円弧形状の円弧ガイド段差部で構成されている。この回転ガイド部42は、回転位置に位置する載置台10の前端10aがポートドアの向きD2に向く状態(図1、図5(C)参照)になる基板搬入出時回転位置と、載置台10の前端10aがFOUP搬入出の向きD1に向く状態(図5(A)及び(B)参照)になるようにFOUP搬入出時回転位置との間で回転し、且つ進退移動方向D3には移動しないように、ガイドピン44をガイドする。つまり、回転ガイド部42は、180°反転する載置台10の回転動作をガイドするものである。また、載置台10が回転位置に位置するとき、載置台10の中心と回転機構30の回転体32の中心とが合うようになっているので、載置台10の回転動作に必要なスペースが最小となる。
第2直動ガイド部43は、載置台10の進退移動方向D3に延在する第2ガイド段差部で構成されている。この第2直動ガイド部43は、回転位置と基板搬入出位置(図5(D)参照)との間に位置する載置台10が進退移動方向D3にのみ移動し且つ回転しないように、ガイドピン44をガイドする。
このようなガイド部41?43によってガイドされるガイドピン44は次のような位置に位置する。つまり、載置台10がFOUP搬入出位置(図5(A)参照)のとき、ガイドピン44はFOUP搬入出時位置P1(図4参照)である。そして、載置台10が回転位置のとき、ガイドピン44は載置台10の回転状態に連動して、一方の回転終端位置(FOUP搬入出側回転終端位置)P2と他方の回転終端位置(基板搬入出側回転終端位置)P3との間の回動位置(例えば位置P9)である。また、載置台10が基板搬入出位置(図5(D)及び(E)参照)のとき、ガイドピン44は基板搬入出時位置P4である。
なお、各ガイド部41?43は、本実施の形態では段差部であるが、これに限られるものではない。例えば、ガイドピンを案内する溝構造であってもよい。
【0019】
ノズルユニット50は、載置台10に載置されたFOUP5内に不活性ガス(パージ用気体)を充填するため給気ノズル51と、FOUP5内のガスを排出するための排気ノズル52と、これらのノズル51,52を支持するノズル支持体53と、ノズル支持体53を昇降させる昇降機構54とを備えている。なお、ノズルユニット50は、例えば、FOUP5内に対して、窒素ガスやアルゴンガスをはじめとする不活性ガスなどのパージ用の気体を給排気する際に用いられる。また、各ノズル51,52は、周知の構造であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
ノズル支持体53は、載置台10よりも高い位置まで上昇可能とされている。より具体的には、ノズル支持体53は、載置台10と載置台10に載置されたFOUP5の底面との間で昇降可能とされている。このような配置であるので、載置台10をノズル支持体53の下側まで後退移動させることができる(図5(D)の状態)。また、載置台10の基板搬入出位置への移動が完了した状態で、ノズル支持体53を上昇させて(図5(E)の状態)、パージ動作を行うことができる。
昇降機構54は、装置本体1aに設置されており、ノズル支持体53を通気位置(図5(E)参照)と下降位置(図5(D)参照)とに昇降させるものである。ノズル支持体53は、例えば、FOUP5が載置された載置台10が基板搬入出位置(図5(D)参照)に位置するとき、通気位置に上昇される。ノズル支持体53が通気位置に上昇されると、給気ノズル51及び排気ノズル52が、載置台10のFOUP5の底面に形成された対応するノズルポート(不図示)に接続される。そして、ノズル支持体53が下降位置に下降されると、接続が解除され、給気ノズル51及び排気ノズル52がノズルポートから離れる。
尚、容器メーカーによっては、給気用のノズルポートがFOUPの後方側の底面(FOUPドアと反対側の底面)に、排気用のノズルポートがFOUPの前方側の中央寄りの底面(FOUPドア側の底面)に設けられる場合がある。本実施の形態に係る搬入出装置1は、図3に示すように、載置台10における位置決めピン11bの両側にノズル支持体55,55を設けており、そのノズル支持体55,55に給気用ノズル51a,51aを、また、ノズル支持体53のノズル51,52よりも内側の位置に、別のノズル52a,52aを設けている。
これにより、本実施の形態に係る搬入出装置1における昇降機構54内の給気配管は、各容器のノズルポートの位置に合わせ、給排気口を変更できるように切り替え可能となっており、且つ、給気・排気の経路も接続により容易に変更可能としている。また、ノズル支持体55は載置台10のスライド、回転動作時に他方のノズル支持体53と干渉しないようにL字型フレームで形成しているが、これに限らず、前記昇降機構54と同じように上下動させる構造としてもよい。
【0020】
このような搬入出装置の動作を図5を参照しつつ説明する。
ここでは、搬入工程を起点として動作説明を行う。搬入工程は、搬入出装置1の載置台10の位置決めピン11上にFOUP5を移載する工程である。そして、ここでは、FOUP5を移載する手段として、移載対象のFOUP5を載置台10まで搬送して移載するフォーク部Tを備えた移載機(不図示)を用いている。
なお、搬入工程の実行開始時、移載対象のFOUP5は、移載機のフォーク部Tの上に載置されており、搬入出装置1の載置台10は、フープ搬入出位置(図5(A)参照)に位置している。従って、スライド機構20のエアシリンダ23aのロッド23bは、載置台10がフープ搬入出位置に位置する状態になるまで突出した状態である。このとき、スライダ22は、FOUP搬入出時位置であり、ガイドピン44は、フープ搬入出時位置P1(図4参照)である。
【0021】
搬入工程では、まず、移載機のフォーク部Tを動作させて、フォーク部T上のFOUP5を載置台10上に位置させ、その後、フォーク部Tを下降させて、FOUP5を位置決めピン11上に載置する(移載動作、図5(A)参照)。すると、検知ピン13がFOUP5が載置されたことを検知する。そして、これにより、FOUP5が位置決めピン11によって所定のFOUP載置位置に位置決めされた状態で支持される。
なお、搬入工程では、載置台10は、その前端10a(図1参照)がFOUP搬入出の向きD1に向いた状態(図5(A)参照)になっており、幅広のゲート幅の前側ゲート部11gがFOUP搬入出の向きD1に向けられている。従って、フォーク部Tを前側ゲート部11gから移載したFOUP5の底面と載置台10の上面との間に形成された作業空間S1内に挿入することができる。また、FOUP5は、蓋体で閉じられた開口が載置台10の前端10a側に向けられた状態で、載置台10上に移載される。
その後、フォーク部Tをさらに下降させて、移載したFOUP5の底面からフォーク部Tを離間させた後(フォーク部下降動作)、フォーク部Tを作業空間S1から抜き取るように移動させる(退避動作)。これにより、搬入工程が完了する。ここで、作業空間S1は、前述した移載動作、フォーク部下降動作、および退避動作を行うことが可能な空間である。位置決めピン11の高さは、これら3つの動作を十分に行うことができるように設定される。
【0022】
次に、クランプ工程を実行する。クランプ工程は、載置台10に移載されたFOUP5を載置台10に対して固定する工程である。
クランプ工程では、アンロック位置に位置するクランプ部材12をロック位置に向けて立ち上がるように回動させる。すると、クランプ部材20の先端の爪部がFOUP5の底面の係合部に係合し、FOUP5が載置台10に固定される。FOUP5を載置台10に固定すると、載置台10をロードポートドア側に向けて移動させる際、FOUP5の脱落等が確実に防止される。本クランプ工程は、クランプ部材12の動作だけであり、載置台10を昇降させるような動作は不要である。従って、搬入工程が完了すると、迅速にクランプ工程を実行してクランプ状態にすることができる。
【0023】
次に、第1移動工程を実行する。第1移動工程は、クランプ工程でのクランプを維持した状態で、FOUP5が載置された載置台10をFOUP搬入出位置(図5(A)参照)から回転位置(図5(B)参照)に移動させ、停止させる工程である。
第1移動工程開始時、スライド機構20のエアシリンダ23aのロッド23bは、フープ搬入出の向きD1に向けて進出した状態であり、スライダ22も進出した状態である(図5(A)参照)。第1移動工程では、この状態のロッド23bを縮むように没動させる。これにより、載置台10がフープドア側に水平方向に後退移動DBし、回転位置に位置する状態になる(図5(B)参照)。
このとき、載置台10のガイドピン44は、第1直動ガイド部41に沿って移動する。第1直動ガイド部41があるので、載置台10は、回転が防止された状態で後退移動DBする。
【0024】
次に、回転工程を実行する。回転工程は、クランプ工程でのクランプを維持した状態で、回転位置の載置台10を回転させる工程である。
回転工程開始前の載置台10は、その前端10aがフープ搬入出の向きD1に向く状態であり、ガイドピン44がポジションP2(図1参照)に位置する状態である。
この状態で、回転機構を作動させて、載置台10の前端10aがロードポートドアの向き(基板搬入出時の向き)D2に向く状態(図5(C)参照)になるまで載置台10を回転させる。これにより、エアシリンダ23aのロッド23bの向きが逆になり、ロードポートドア側に向いた状態になる。つまり、回転工程によって、載置台10の向きが180°反転する。
このとき、ガイドピン44は、回転ガイド部42に沿って移動して、ポジションP3(図1参照)の位置に達する。回転ガイド部42があるので、載置台10を、進退移動を防止しつつ安定した状態で回転させることができる。
回転位置以外の位置で回転すると、載置台10や載置台上のFOUP5が周辺の部材に衝突するなどの不具合が発生するおそれがあるが、本実施形態の装置は、上述したガイド部41?43を設けることで、このような不具合を確実に防止している。
【0025】
次に、第2移動工程を実行する。第2移動工程は、クランプ工程でのクランプを維持し且つ載置台10の前端10aをロードポートドアの向きD2に向けた状態を維持した状態で、FOUP5が載置された載置台10を回転位置から基板搬入出位置(図5(D)参照)に移動させる工程である。
第2移動工程では、スライド機構20のエアシリンダ23aを作動させて、ロッド23bを突出移動させる。これにより、載置台10が水平方向に後退移動DB(ロードポートドア側に移動)して、基板搬入出位置に位置する状態になる(図5(B)参照)。
このとき、載置台10のガイドピン44は、第2直動ガイド部43に沿って移動する。この第2直動ガイド部43があるので、載置台10を、回転を防止しつつ後退移動DBさせることができる。
【0026】
このようにして、FOUP5を基板搬入出位置に移動させると、基板搬入出工程を実行することができる状態になる。なお、基板搬入出工程は、周知の動作であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
第2移動工程終了後、必要に応じて、給排気工程(合議体注:「吸排気工程」は誤記と認定した。)を実行してもよい。給排気工程(合議体注:「吸排気工程」は誤記と認定した。)は、FOUP5内にパージ用気体を充填したり、FOUP5内の気体を排気したりする工程である。
給排気工程(合議体注:「吸排気工程」は誤記と認定した。)では、まず、ノズルユニットの昇降機構を作動させて、ノズル支持体を給気位置に上昇させる。これにより、給気ノズル(合議体注:「吸気ノズル」は誤記と認定した。)及び排気ノズルがFOUP5の底部の対応するポート(不図示)に接続される。その後、給気ノズル(合議体注:「吸気ノズル」は誤記と認定した。)を介してFOUP5内にパージ用気体を充填すると共にFOUP5内の気体を排気ノズルを介して排気する。
【0027】
そして、基板搬入出工程が完了すると、基板搬入出位置のFOUP5をFOUP搬入出位置に移動させて、搬入出装置1から搬出する。ただし、基板搬入出工程が完了したFOUP5を搬入出装置1から搬出するまでの動作は、上述した工程を逆の順番で行う動作であるので、ここでは、その詳細な説明を書略する。
【0028】
上述したように、本実施形態の搬入出装置1では、載置台10に移載されたFOUP5は、基板搬入出位置に移動され、載置台10から搬出するまで、常に載置台10にクランプされた状態であるので、FOUP5を安定した状態で移動させることができる。
また、載置台10は、進退移動時、上下動させることはないので、載置台10に載置されたFOUP5を安定した状態で迅速に搬送することができる。」

図1、3?5は、以下のとおりのものである。
図3、図5から、ノズル支持体53には、ノズル51,52よりも内側の位置であって、昇降機構54に設けられた別のノズル(ノズルポート)52a,52a、またはノズル支持体55に設けられた給気用ノズル(ノズルポート)51a、51aが対向する位置に、2つの孔が設けられていることが見てとれ、図1、図4、図5(A)?(E)から、別のノズル(ノズルポート)52a,52aは、ノズル支持体53の当該孔に挿入され、図5(B)から、別のノズル(ノズルポート)52a、52aは、さらに給気用ノズル(ノズルポート)51a、51に挿入されていることが見てとれる。




(2)先願5発明
そうすると、先願5明細書等には、以下の発明(以下「先願5発明」という。)が記載されていると認められる。

「搬入出装置1が備えている載置台10上に載置されたFOUP5内のパージを行うためのノズルユニット50であって、
ノズルユニット50は、載置台10に載置されたFOUP5内に不活性ガス(パージ用気体)を充填するため給気ノズル51と、FOUP5内のガスを排出するための排気ノズル52と、これらのノズル51,52を支持するノズル支持体53と、ノズル支持体53を昇降させる昇降機構54とを備え、
ノズルユニット50は、FOUP5内に対して、パージ用の気体を給排気する際に用いられ、
ノズル支持体53は、載置台10よりも高い位置まで上昇可能とされ、
載置台10の基板搬入出位置への移動が完了した状態で、ノズル支持体53を上昇させて(図5(E)の状態)、パージ動作を行うことができ、
昇降機構54は、ノズル支持体53を通気位置(図5(E)参照)と下降位置(図5(D)参照)とに昇降させるものであり、
ノズル支持体53は、FOUP5が載置された載置台10が基板搬入出位置(図5(D)参照)に位置するとき、通気位置に上昇され、ノズル支持体53が通気位置に上昇されると、給気ノズル51及び排気ノズル52が、載置台10のFOUP5の底面に形成された対応するノズルポート(不図示)に接続され、
また、ノズル支持体53には、ノズル51,52よりも内側の位置であって、昇降機構54に設けられた別のノズル(ノズルポート)52a,52a、またはノズル支持体55に設けられた給気用ノズル(ノズルポート)51a、51aが対向する位置に、2つの孔が設けられ、
別のノズル(ノズルポート)52a,52aは、ノズル支持体53の当該2つの孔に挿入され、
昇降機構54内の給気配管は、各容器のノズルポートの位置に合わせ、給排気口を変更できるように切り替え可能となっており、且つ、給気・排気の経路も接続により容易に変更可能としており、
搬入出装置の動作において、
FOUP5が載置された載置台10を基板搬入出位置(図5(D)参照)に後退移動DBさせる工程である第2移動工程を実行し、
第2移動工程終了後、FOUP5内にパージ用気体を充填したり、FOUP5内の気体を排気したりする工程である給排気工程を実行するものであり、
給排気工程では、まず、ノズルユニットの昇降機構を作動させて、ノズル支持体を給気位置に上昇させ、これにより、給気ノズル及び排気ノズルがFOUP5の底部の対応するポート(不図示)に接続され、その後、給気ノズルを介してFOUP5内にパージ用気体を充填すると共にFOUP5内の気体を排気ノズルを介して排気する、
ノズルユニット50。」

6 原出願明細書等の記載
(1)原出願(特願2012-132210号)の出願当初の明細書には、以下の記載がある。

「【0016】
そして、本発明に係るパージノズルユニットは、パージ用気体を通過させ得る胴部、及び胴部よりも側方に張り出した鍔部を有するノズル本体と、鍔部の外向き面に添接する側壁、及び胴部の外向き面を添接させて胴部を挿通させた貫通孔を形成した底壁を有するホルダとを備え、ホルダの少なくとも一部に外部に連通する通気孔を形成し、ノズル本体とホルダとの間に形成され且つ通気孔に連通する圧力調整空間の圧力を調整することによって、ノズル本体をホルダに対して昇降移動させるように構成していることを特徴としている。
【0017】
このように、本発明に係るパージノズルユニットであれば、ノズル本体とホルダとの間に形成される圧力調整空間内の圧力を、ホルダに形成した通気孔を通じて調整することによって、ノズル本体をホルダに対して昇降移動させるように構成しているため、これら2つのパーツ以外にノズル本体を昇降移動させるための専用の機構を別途設ける必要がなく、構造の簡素化及びコスト削減を有効に図ることができる。」

「【0031】
本実施形態で適用するFOUP100は、内部に複数枚のウェーハを収容し、前面に形成した搬出入口を介してこれらウェーハを出し入れ可能に構成され、搬出入口を開閉可能な扉を備えた既知のものであるため、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態においてFOUP100の前面とは、ロードポートXに載置した際にロードポートXのドア部Dと対面する側の面を意味する。FOUP100の底面には、後述する図5に示すように、パージ用のポート101が所定箇所に設けられている。ポート101は、例えば、FOUP100の底面に形成した開口部102に嵌め込まれた中空筒状のグロメットシールを主体としてなり、グロメットシール内に、後述する窒素や不活性ガス又は乾燥空気等の気体(本実施形態では窒素ガスを用いており、以下の説明では「パージ用気体」と称する場合がある)の注入圧または排出圧によって閉状態から開状態に切り替わる弁(図示省略)を設けている。
・・・
【0037】
これら複数のパージノズルユニット1は、FOUP100の底面に設けたポート101の位置に応じて載置台B上の適宜位置に取り付けることができる。各パージノズルユニット1(注入用パージノズルユニット、排出用パージノズルユニット)は、気体の逆流を規制する弁機能を有するものであり、FOUP100の底部に設けたポート101に接触可能なものである。なお、FOUP100の底部に設けた複数のポート101のうち、注入用パージノズルユニットに接触するポート101は注入用ポートとして機能し、排出用パージノズルユニットに接触するポート101は排出用ポートとして機能する。
【0038】
各パージノズルユニット1は、図2乃至図6(図2はパージノズルユニット1の平面図、図3及び図4は図2のx方向矢視図、図5及び図6は図2のy-y線断面図である)に示すように、ノズル本体2と、ノズル本体2を昇降可能な状態で保持するホルダ3とを備えたものである。
【0039】
ノズル本体2は、円筒状の胴部41及び胴部41よりも外径が大きい大径筒状部42を主体とする本体部4と、本体部4の上端部に取付可能なノズル頭部5と、本体部4の下端部に取付可能なノズル底部6とを備えたものである。
【0040】
本体部4の上端部(大径筒状部42の上向き面)には、ノズル頭部5を取り付けるための凹部43を形成している。また、大径筒状部42の外側面には後述するホルダ3の側壁31に接触するシール部材7を取り付けるためのリング状凹部44を形成している。本実施形態では、胴部41の下端部に、胴部41よりも外径を小さく設定した小径筒状部45を設け、この小径筒状部45にノズル底部6を嵌合させて取付可能に構成している。本体部4の軸心部分には高さ方向に貫通するパージ用気体流路46を形成している。本実施形態の本体部4は、これら各部を一体に有する金属製のものである。
【0041】
ノズル頭部5は、本体部4の大径筒状部42と同一の外径を有する頭部本体51と、頭部本体51の下端部から下方に突出して本体部4の凹部43に嵌合(圧入)可能な嵌合突部52と、頭部本体51の上向き面に設けられてポート101(注入用ポート、排出用ポート)に接触可能なポート接触部53とを備えたものである。本実施形態では、ポート接触部53を、頭部本体51の上向き面よりも上方に突出したリング状の上方突出部によって構成している。ノズル頭部5の軸心部分には、高さ方向に貫通し且つ本体部4のパージ用気体流路46に連通する頭部側パージ用気体流路54を形成している。本実施形態のノズル頭部5は、これら各部を一体に有する金属製のものである。
【0042】
そして、ノズル頭部5の嵌合突部52を本体部4の凹部43に嵌合して両部材を一体的に組み付けた状態において、本体部4の大径筒状部42と、ノズル頭部5の頭部本体51が高さ方向に滑らかに連続する外側面(外向き面)を形成する。これら本体部4の大径筒状部42及びノズル頭部5の頭部本体51が、本発明の鍔部8に相当する部分である。
【0043】
ノズル底部6は、本体部4の小径筒状部45に嵌合可能な嵌合凹部61を上向き面に形成した有底角筒状をなすものであり、図示しないパージ用気体供給源に接続されたフレキシブルな配管が取付可能な配管取付用凹部62と、この配管取付用凹部62に取り付けた配管の内部空間に連通し且つ本体部4のパージ用気体流路46に連通する底部側パージ用気体流路63を有する。そして、ノズル底部6の嵌合凹部61を本体部4の小径筒状部45に嵌合して両部材を一体的に組み付けた状態において、ノズル底部6の幅寸法が本体部4の胴部41の外径よりも大きくなるように設定している。
【0044】
ホルダ3は、ノズル本体2の鍔部8の外向き面(外周面)が添接する側壁31と、側壁31の下端部から内方(中心側)に突出してノズル本体2のうち胴部41のみが挿通可能な貫通孔32を中央部に形成した底壁33とを有するホルダ本体34を主体としてなり、ホルダ本体34から側方に突出し且つ所定箇所にネジ挿入孔35を形成した固定部36を備えている。本実施形態では、側壁31のうち上方側領域を円筒状に設定し、他の領域を四角筒状に設定している。このようなホルダ3のうち側壁31の一部には、外部に連通する通気孔30を形成している。また、底壁33に形成した貫通孔32の開口径は、ノズル本体2のうち胴部41の外向き面が添接する大きさに設定されている。この貫通孔32の内向き面には、ノズル本体2の胴部41に接触するシール部材7を取り付けるためのリング状凹部37を形成している。」

「【0063】
さらに、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ノズル本体2のうち鍔部8の外向き面がホルダ3のうち側壁31の内向き面に添接し且つノズル本体2のうち胴部41の外向き面がホルダ3のうち底壁33の貫通孔32の内向き面に添接した状態でノズル本体2を昇降移動させるように構成しているため、ノズル本体2の昇降移動をスムーズ且つ適切に行うことができる。」

「【0101】
また、上述した実施形態では、ノズル本体の本体部とノズル頭部とを別々のパーツから構成しているため、ノズル本体のうちポートと接触し得るポート接触部が、経年劣化や使用頻度に応じて摩耗損傷・変形した場合であっても、使用中のノズル頭部に替えて、新品のノズル頭部、あるいは摩耗損傷・変形していていない別のノズル頭部に交換することによって、ポートとの高い気密性を確保した良好な接触状態を確保することができる。一方で、このようなノズル頭部だけの交換や修理ができないというデメリットはあるが、ノズル頭部及び本体部を一体成形したノズル本体を適用することも可能である。」

(2)原出願の(特願2012-132210号)の分割直前の明細書には、特許第6131534号公報の記載からみて、以下の記載がある。

「【0016】
そして、本発明に係るパージノズルユニットは、パージ用気体を通過させ得る胴部、及び胴部よりも側方に張り出した鍔部を有するノズル本体と、鍔部の外向き面に添接する側壁、及び胴部の外向き面を添接させて胴部を挿通させた貫通孔を形成した底壁を有するホルダとを備え、ホルダの少なくとも一部に外部に連通する通気孔を形成し、ノズル本体とホルダとの間に形成され且つ通気孔に連通する圧力調整空間の圧力を調整することによって、ノズル本体をホルダに対して昇降移動させるように構成し、ポートの内部空間に連通し且つパージ用気体が通過可能なパージ用気体流路と、圧力調整空間が相互に隔離された空間であり、ノズル本体は、ホルダの底壁よりも下方に配置され且つ貫通孔の開口径よりも大きい幅寸法を有するノズル底部を備えたものであることを特徴としている。
【0017】
このように、本発明に係るパージノズルユニットであれば、ノズル本体とホルダとの間に形成される圧力調整空間内の圧力を、ホルダに形成した通気孔を通じて調整することによって、ノズル本体をホルダに対して昇降移動させるように構成しているため、これら2つのパーツ以外にノズル本体を昇降移動させるための専用の機構を別途設ける必要がなく、構造の簡素化及びコスト削減を有効に図ることができる。」

「【0031】
本実施形態で適用するFOUP100は、内部に複数枚のウェーハを収容し、前面に形成した搬出入口を介してこれらウェーハを出し入れ可能に構成され、搬出入口を開閉可能な扉を備えた既知のものであるため、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態においてFOUP100の前面とは、ロードポートXに載置した際にロードポートXのドア部Dと対面する側の面を意味する。FOUP100の底面には、後述する図5に示すように、パージ用のポート101が所定箇所に設けられている。ポート101は、例えば、FOUP100の底面に形成した開口部102に嵌め込まれた中空筒状のグロメットシールを主体としてなり、グロメットシール内に、後述する窒素や不活性ガス又は乾燥空気等の気体(本実施形態では窒素ガスを用いており、以下の説明では「パージ用気体」と称する場合がある)の注入圧または排出圧によって閉状態から開状態に切り替わる弁(図示省略)を設けている。
・・・
【0037】
これら複数のパージノズルユニット1は、FOUP100の底面に設けたポート101の位置に応じて載置台B上の適宜位置に取り付けることができる。各パージノズルユニット1(注入用パージノズルユニット、排出用パージノズルユニット)は、気体の逆流を規制する弁機能を有するものであり、FOUP100の底部に設けたポート101に接触可能なものである。なお、FOUP100の底部に設けた複数のポート101のうち、注入用パージノズルユニットに接触するポート101は注入用ポートとして機能し、排出用パージノズルユニットに接触するポート101は排出用ポートとして機能する。
【0038】
各パージノズルユニット1は、図2乃至図6(図2はパージノズルユニット1の平面図、図3及び図4は図2のx方向矢視図、図5及び図6は図2のy-y線断面図である)に示すように、ノズル本体2と、ノズル本体2を昇降可能な状態で保持するホルダ3とを備えたものである。
【0039】
ノズル本体2は、円筒状の胴部41及び胴部41よりも外径が大きい大径筒状部42を主体とする本体部4と、本体部4の上端部に取付可能なノズル頭部5と、本体部4の下端部に取付可能なノズル底部6とを備えたものである。
【0040】
本体部4の上端部(大径筒状部42の上向き面)には、ノズル頭部5を取り付けるための凹部43を形成している。また、大径筒状部42の外側面には後述するホルダ3の側壁31に接触するシール部材7を取り付けるためのリング状凹部44を形成している。本実施形態では、胴部41の下端部に、胴部41よりも外径を小さく設定した小径筒状部45を設け、この小径筒状部45にノズル底部6を嵌合させて取付可能に構成している。本体部4の軸心部分には高さ方向に貫通するパージ用気体流路46を形成している。本実施形態の本体部4は、これら各部を一体に有する金属製のものである。
【0041】
ノズル頭部5は、本体部4の大径筒状部42と同一の外径を有する頭部本体51と、頭部本体51の下端部から下方に突出して本体部4の凹部43に嵌合(圧入)可能な嵌合突部52と、頭部本体51の上向き面に設けられてポート101(注入用ポート、排出用ポート)に接触可能なポート接触部53とを備えたものである。本実施形態では、ポート接触部53を、頭部本体51の上向き面よりも上方に突出したリング状の上方突出部によって構成している。ノズル頭部5の軸心部分には、高さ方向に貫通し且つ本体部4のパージ用気体流路46に連通する頭部側パージ用気体流路54を形成している。本実施形態のノズル頭部5は、これら各部を一体に有する金属製のものである。
【0042】
そして、ノズル頭部5の嵌合突部52を本体部4の凹部43に嵌合して両部材を一体的に組み付けた状態において、本体部4の大径筒状部42と、ノズル頭部5の頭部本体51が高さ方向に滑らかに連続する外側面(外向き面)を形成する。これら本体部4の大径筒状部42及びノズル頭部5の頭部本体51が、本発明の鍔部8に相当する部分である。
【0043】
ノズル底部6は、本体部4の小径筒状部45に嵌合可能な嵌合凹部61を上向き面に形成した有底角筒状をなすものであり、図示しないパージ用気体供給源に接続されたフレキシブルな配管が取付可能な配管取付用凹部62と、この配管取付用凹部62に取り付けた配管の内部空間に連通し且つ本体部4のパージ用気体流路46に連通する底部側パージ用気体流路63を有する。そして、ノズル底部6の嵌合凹部61を本体部4の小径筒状部45に嵌合して両部材を一体的に組み付けた状態において、ノズル底部6の幅寸法が本体部4の胴部41の外径よりも大きくなるように設定している。
【0044】
ホルダ3は、ノズル本体2の鍔部8の外向き面(外周面)が添接する側壁31と、側壁31の下端部から内方(中心側)に突出してノズル本体2のうち胴部41のみが挿通可能な貫通孔32を中央部に形成した底壁33とを有するホルダ本体34を主体としてなり、ホルダ本体34から側方に突出し且つ所定箇所にネジ挿入孔35を形成した固定部36を備えている。本実施形態では、側壁31のうち上方側領域を円筒状に設定し、他の領域を四角筒状に設定している。このようなホルダ3のうち側壁31の一部には、外部に連通する通気孔30を形成している。また、底壁33に形成した貫通孔32の開口径は、ノズル本体2のうち胴部41の外向き面が添接する大きさに設定されている。この貫通孔32の内向き面には、ノズル本体2の胴部41に接触するシール部材7を取り付けるためのリング状凹部37を形成している。」

「【0063】
さらに、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ノズル本体2のうち鍔部8の外向き面がホルダ3のうち側壁31の内向き面に添接し且つノズル本体2のうち胴部41の外向き面がホルダ3のうち底壁33の貫通孔32の内向き面に添接した状態でノズル本体2を昇降移動させるように構成しているため、ノズル本体2の昇降移動をスムーズ且つ適切に行うことができる。」

「【0101】
また、上述した実施形態では、ノズル本体の本体部とノズル頭部とを別々のパーツから構成しているため、ノズル本体のうちポートと接触し得るポート接触部が、経年劣化や使用頻度に応じて摩耗損傷・変形した場合であっても、使用中のノズル頭部に替えて、新品のノズル頭部、あるいは摩耗損傷・変形していていない別のノズル頭部に交換することによって、ポートとの高い気密性を確保した良好な接触状態を確保することができる。一方で、このようなノズル頭部だけの交換や修理ができないというデメリットはあるが、ノズル頭部及び本体部を一体成形したノズル本体を適用することも可能である。」

7 第1世代分割出願の明細書等の記載
(1)第1世代分割出願(特願2017-74145号)の出願当初の明細書には、以下の記載がある。

「【0016】
そして、本発明に係るパージノズルユニットは、パージ用気体を通過させ得る第一流路を有する胴部と胴部よりも側方に張り出した鍔部とを有する第一流路形成部材、第一流路形成部材の第一流路と連通する第二流路を有する第二流路形成部材、及び鍔部の外向き面に添接する側壁と胴部の外向き面を添接させて胴部を挿通させた貫通孔を形成した底壁とを有するホルダ、を備え、第二流路形成部材は、第一流路形成部材及びホルダの下方に、第一流路と第二流路とを連通するように設けられることで、第二流路形成部材に設けられるパージ用気体供給部から供給されるパージ用気体が、第二流路、第一流路、ポートを介してパージ対象容器に注入可能に設けられ、さらにホルダの少なくとも一部に外部に連通する通気孔が形成され、第一流路形成部材とホルダとの間に形成され且つ通気孔に連通する圧力調整空間の圧力を調整することによって、第一流路形成部材をホルダに対して昇降移動させることを特徴としている。」

「【0031】
本実施形態で適用するFOUP100は、内部に複数枚のウェーハを収容し、前面に形成した搬出入口を介してこれらウェーハを出し入れ可能に構成され、搬出入口を開閉可能な扉を備えた既知のものであるため、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態においてFOUP100の前面とは、ロードポートXに載置した際にロードポートXのドア部Dと対面する側の面を意味する。FOUP100の底面には、後述する図5に示すように、パージ用のポート101が所定箇所に設けられている。ポート101は、例えば、FOUP100の底面に形成した開口部102に嵌め込まれた中空筒状のグロメットシールを主体としてなり、グロメットシール内に、後述する窒素や不活性ガス又は乾燥空気等の気体(本実施形態では窒素ガスを用いており、以下の説明では「パージ用気体」と称する場合がある)の注入圧または排出圧によって閉状態から開状態に切り替わる弁(図示省略)を設けている。
・・・
【0037】
これら複数のパージノズルユニット1は、FOUP100の底面に設けたポート101の位置に応じて載置台B上の適宜位置に取り付けることができる。各パージノズルユニット1(注入用パージノズルユニット、排出用パージノズルユニット)は、気体の逆流を規制する弁機能を有するものであり、FOUP100の底部に設けたポート101に接触可能なものである。なお、FOUP100の底部に設けた複数のポート101のうち、注入用パージノズルユニットに接触するポート101は注入用ポートとして機能し、排出用パージノズルユニットに接触するポート101は排出用ポートとして機能する。
【0038】
各パージノズルユニット1は、図2乃至図6(図2はパージノズルユニット1の平面図、図3及び図4は図2のx方向矢視図、図5及び図6は図2のy-y線断面図である)に示すように、ノズル本体2と、ノズル本体2を昇降可能な状態で保持(より具体的には、ノズル本体2を構成する本体部(第一流路形成部材)4を保持)するホルダ3とを備えたものである。
【0039】
ノズル本体2は、円筒状の胴部41及び胴部41よりも外径が大きい大径筒状部42を主体とする本体部(第一流路形成部材)4と、本体部4の上端部に取付可能なノズル頭部5と、本体部4の下端部に取付可能なノズル底部(第二流路形成部材)6とを備えたものである。
【0040】
本体部4の上端部(大径筒状部42の上向き面)には、ノズル頭部5を取り付けるための凹部43を形成している。また、大径筒状部42の外側面には後述するホルダ3の側壁31に接触するシール部材7を取り付けるためのリング状凹部44を形成している。本実施形態では、胴部41の下端部に、胴部41よりも外径を小さく設定した小径筒状部45を設け、この小径筒状部45にノズル底部6を嵌合させて取付可能に構成している。本体部4の軸心部分には高さ方向に貫通するパージ用気体流路(第一流路)46を形成している。本実施形態の本体部4は、これら各部を一体に有する金属製のものである。
【0041】
ノズル頭部5は、本体部4の大径筒状部42と同一の外径を有する頭部本体51と、頭部本体51の下端部から下方に突出して本体部4の凹部43に嵌合(圧入)可能な嵌合突部52と、頭部本体51の上向き面に設けられてポート101(注入用ポート、排出用ポート)に接触可能なポート接触部53とを備えたものである。本実施形態では、ポート接触部53を、頭部本体51の上向き面よりも上方に突出したリング状の上方突出部によって構成している。ノズル頭部5の軸心部分には、高さ方向に貫通し且つ本体部4のパージ用気体流路46に連通する頭部側パージ用気体流路54を形成している。本実施形態のノズル頭部5は、これら各部を一体に有する金属製のものである。
【0042】
そして、ノズル頭部5の嵌合突部52を本体部4の凹部43に嵌合して両部材を一体的に組み付けた状態において、本体部4の大径筒状部42と、ノズル頭部5の頭部本体51が高さ方向に滑らかに連続する外側面(外向き面)を形成する。これら本体部4の大径筒状部42及びノズル頭部5の頭部本体51が、本発明の鍔部8に相当する部分である。
【0043】
ノズル底部6は、本体部4の小径筒状部45に嵌合可能な嵌合凹部61を上向き面に形成した有底角筒状をなすものであり、図示しないパージ用気体供給源に接続されたフレキシブルな配管が取付可能な配管取付用凹部62と、この配管取付用凹部62に取り付けた配管の内部空間に連通し且つ本体部4のパージ用気体流路46に連通する底部側パージ用気体流路(第二流路)63を有する。そして、ノズル底部6の嵌合凹部61を本体部4の小径筒状部45に嵌合して両部材を一体的に組み付けた状態において、ノズル底部6の幅寸法が本体部4の胴部41の外径よりも大きくなるように設定している。
【0044】
ホルダ3は、ノズル本体2の鍔部8の外向き面(外周面)が添接する側壁31と、側壁31の下端部から内方(中心側)に突出してノズル本体2のうち胴部41のみが挿通可能な貫通孔32を中央部に形成した底壁33とを有するホルダ本体34を主体としてなり、ホルダ本体34から側方に突出し且つ所定箇所にネジ挿入孔35を形成した固定部36を備えている。本実施形態では、側壁31のうち上方側領域を円筒状に設定し、他の領域を四角筒状に設定している。このようなホルダ3のうち側壁31の一部には、外部に連通する通気孔30を形成している。また、底壁33に形成した貫通孔32の開口径は、ノズル本体2のうち胴部41の外向き面が添接する大きさに設定されている。この貫通孔32の内向き面には、ノズル本体2の胴部41に接触するシール部材7を取り付けるためのリング状凹部37を形成している。」

「【0063】
さらに、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ノズル本体2のうち鍔部8の外向き面がホルダ3のうち側壁31の内向き面に添接し且つノズル本体2のうち胴部41の外向き面がホルダ3のうち底壁33の貫通孔32の内向き面に添接した状態でノズル本体2を昇降移動させるように構成しているため、ノズル本体2の昇降移動をスムーズ且つ適切に行うことができる。」

「【0101】
また、上述した実施形態では、ノズル本体の本体部とノズル頭部とを別々のパーツから構成しているため、ノズル本体のうちポートと接触し得るポート接触部が、経年劣化や使用頻度に応じて摩耗損傷・変形した場合であっても、使用中のノズル頭部に替えて、新品のノズル頭部、あるいは摩耗損傷・変形していていない別のノズル頭部に交換することによって、ポートとの高い気密性を確保した良好な接触状態を確保することができる。一方で、このようなノズル頭部だけの交換や修理ができないというデメリットはあるが、ノズル頭部及び本体部を一体成形したノズル本体を適用することも可能である。」

(2)第1世代分割出願(特願2017-74145号)の分割直前の明細書には、特許第6409898号公報の記載からみて、以下の記載がある。

「【請求項1】
ウェーハが収容されるパージ対象容器の底面に設けたポートを通じて窒素又は乾燥空気の何れかからなるパージ用気体を供給することで、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を前記パージ用気体に置換可能なパージノズルユニットであり、
前記パージノズルユニットは、
前記パージ用気体を通過させ得る第一流路を有する胴部と前記胴部よりも側方に張り出した鍔部とを有する第一流路形成部材、前記第一流路と連通する第二流路を有する第二流路形成部材、及び前記第一流路形成部材の前記鍔部の外向き面に添接する側壁と前記胴部の外向き面を添接させ且つ挿通させた貫通孔を形成した底壁とを有するホルダ、を備え、
前記第二流路形成部材は、前記第一流路形成部材及び前記ホルダの下方に、前記第一流路と前記第二流路とを連通するよう設けられることで前記第二流路形成部材に設けられるパージ用気体供給部から供給される前記パージ用気体が、前記第二流路、前記第一流路及び前記ポートを介して前記パージ対象容器に注入可能に設けられ、
前記ホルダの少なくとも一部に外部に連通する通気孔が形成され、前記第一流路形成部材と前記ホルダとの間に形成され且つ前記通気孔に連通する圧力調整空間の圧力を調整することによって、前記第一流路形成部材を前記ホルダに対して昇降移動させる、
ことを特徴とするパージノズルユニット。」

「【0031】
本実施形態で適用するFOUP100は、内部に複数枚のウェーハを収容し、前面に形成した搬出入口を介してこれらウェーハを出し入れ可能に構成され、搬出入口を開閉可能な扉を備えた既知のものであるため、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態においてFOUP100の前面とは、ロードポートXに載置した際にロードポートXのドア部Dと対面する側の面を意味する。FOUP100の底面には、後述する図5に示すように、パージ用のポート101が所定箇所に設けられている。ポート101は、例えば、FOUP100の底面に形成した開口部102に嵌め込まれた中空筒状のグロメットシールを主体としてなり、グロメットシール内に、後述する窒素や不活性ガス又は乾燥空気等の気体(本実施形態では窒素ガスを用いており、以下の説明では「パージ用気体」と称する場合がある)の注入圧または排出圧によって閉状態から開状態に切り替わる弁(図示省略)を設けている。
・・・
【0037】
これら複数のパージノズルユニット1は、FOUP100の底面に設けたポート101の位置に応じて載置台B上の適宜位置に取り付けることができる。各パージノズルユニット1(注入用パージノズルユニット、排出用パージノズルユニット)は、気体の逆流を規制する弁機能を有するものであり、FOUP100の底部に設けたポート101に接触可能なものである。なお、FOUP100の底部に設けた複数のポート101のうち、注入用パージノズルユニットに接触するポート101は注入用ポートとして機能し、排出用パージノズルユニットに接触するポート101は排出用ポートとして機能する。
【0038】
各パージノズルユニット1は、図2乃至図6(図2はパージノズルユニット1の平面図、図3及び図4は図2のx方向矢視図、図5及び図6は図2のy-y線断面図である)に示すように、ノズル本体2と、ノズル本体2を昇降可能な状態で保持(より具体的には、ノズル本体2を構成する本体部(第一流路形成部材)4を保持)するホルダ3とを備えたものである。
【0039】
ノズル本体2は、円筒状の胴部41及び胴部41よりも外径が大きい大径筒状部42を主体とする本体部(第一流路形成部材)4と、本体部4の上端部に取付可能なノズル頭部5と、本体部4の下端部に取付可能なノズル底部(第二流路形成部材)6とを備えたものである。
【0040】
本体部4の上端部(大径筒状部42の上向き面)には、ノズル頭部5を取り付けるための凹部43を形成している。また、大径筒状部42の外側面には後述するホルダ3の側壁31に接触するシール部材7を取り付けるためのリング状凹部44を形成している。本実施形態では、胴部41の下端部に、胴部41よりも外径を小さく設定した小径筒状部45を設け、この小径筒状部45にノズル底部6を嵌合させて取付可能に構成している。本体部4の軸心部分には高さ方向に貫通するパージ用気体流路(第一流路)46を形成している。本実施形態の本体部4は、これら各部を一体に有する金属製のものである。
【0041】
ノズル頭部5は、本体部4の大径筒状部42と同一の外径を有する頭部本体51と、頭部本体51の下端部から下方に突出して本体部4の凹部43に嵌合(圧入)可能な嵌合突部52と、頭部本体51の上向き面に設けられてポート101(注入用ポート、排出用ポート)に接触可能なポート接触部53とを備えたものである。本実施形態では、ポート接触部53を、頭部本体51の上向き面よりも上方に突出したリング状の上方突出部によって構成している。ノズル頭部5の軸心部分には、高さ方向に貫通し且つ本体部4のパージ用気体流路46に連通する頭部側パージ用気体流路54を形成している。本実施形態のノズル頭部5は、これら各部を一体に有する金属製のものである。
【0042】
そして、ノズル頭部5の嵌合突部52を本体部4の凹部43に嵌合して両部材を一体的に組み付けた状態において、本体部4の大径筒状部42と、ノズル頭部5の頭部本体51が高さ方向に滑らかに連続する外側面(外向き面)を形成する。これら本体部4の大径筒状部42及びノズル頭部5の頭部本体51が、本発明の鍔部8に相当する部分である。
【0043】
ノズル底部6は、本体部4の小径筒状部45に嵌合可能な嵌合凹部61を上向き面に形成した有底角筒状をなすものであり、図示しないパージ用気体供給源に接続されたフレキシブルな配管が取付可能な配管取付用凹部62と、この配管取付用凹部62に取り付けた配管の内部空間に連通し且つ本体部4のパージ用気体流路46に連通する底部側パージ用気体流路(第二流路)63を有する。そして、ノズル底部6の嵌合凹部61を本体部4の小径筒状部45に嵌合して両部材を一体的に組み付けた状態において、ノズル底部6の幅寸法が本体部4の胴部41の外径よりも大きくなるように設定している。
【0044】
ホルダ3は、ノズル本体2の鍔部8の外向き面(外周面)が添接する側壁31と、側壁31の下端部から内方(中心側)に突出してノズル本体2のうち胴部41のみが挿通可能な貫通孔32を中央部に形成した底壁33とを有するホルダ本体34を主体としてなり、ホルダ本体34から側方に突出し且つ所定箇所にネジ挿入孔35を形成した固定部36を備えている。本実施形態では、側壁31のうち上方側領域を円筒状に設定し、他の領域を四角筒状に設定している。このようなホルダ3のうち側壁31の一部には、外部に連通する通気孔30を形成している。また、底壁33に形成した貫通孔32の開口径は、ノズル本体2のうち胴部41の外向き面が添接する大きさに設定されている。この貫通孔32の内向き面には、ノズル本体2の胴部41に接触するシール部材7を取り付けるためのリング状凹部37を形成している。」

「【0063】
さらに、本実施形態に係るパージノズルユニット1は、ノズル本体2のうち鍔部8の外向き面がホルダ3のうち側壁31の内向き面に添接し且つノズル本体2のうち胴部41の外向き面がホルダ3のうち底壁33の貫通孔32の内向き面に添接した状態でノズル本体2を昇降移動させるように構成しているため、ノズル本体2の昇降移動をスムーズ且つ適切に行うことができる。」

「【0101】
また、上述した実施形態では、ノズル本体の本体部とノズル頭部とを別々のパーツから構成しているため、ノズル本体のうちポートと接触し得るポート接触部が、経年劣化や使用頻度に応じて摩耗損傷・変形した場合であっても、使用中のノズル頭部に替えて、新品のノズル頭部、あるいは摩耗損傷・変形していていない別のノズル頭部に交換することによって、ポートとの高い気密性を確保した良好な接触状態を確保することができる。一方で、このようなノズル頭部だけの交換や修理ができないというデメリットはあるが、ノズル頭部及び本体部を一体成形したノズル本体を適用することも可能である。」


第5 当審の判断
1 申立理由1(特許法第29条第1項の規定違反)
(1)請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。また、請求項2?6に係る発明をそれぞれ順に「本件発明2」?「本件発明6」という。)と引用発明1とを対比する。

ア 引用発明1の「FOUP本体21」、「クリーンガス」は、それぞれ本件発明1の「基板が収容されるパージ対象容器」、「パージ用気体」に相当する。
また、引用発明1のFOUP本体21の「クリーンガス導入側のチェック弁22」は、「クリーンガスがFOUP本体21内に入り込」む部分であるから、本件発明1の「ポート」に対応する。

イ 引用発明1において、「ガス通路23」は、クリーンガスを通過させ得る流路であるといえるから、「フランジ(2)13、ピストンロッド8、ばね(1)11、シール材(1)7」は、併せて本件発明1の「パージ用気体を通過させ得るノズル」に対応する。

ウ 引用発明1において、「重量物が存在しないときは、アクチュエータ2が、ばね(1)11により上方に押し上げられたままの状態にあり」、「重量物が存在するときは、アクチュエータ2が下方に移動し、ピストンロッド8も下方に移動し、シール材(1)7も下方に移動し」、「アクチュエータ2とは、フランジ(1)13、ピストンロッド8、ばね(1)11からなる重量または機械的外力によってバルブ開閉作用を行う操作部」をいうところ、「バルブ本体ハウジング10」は、「フランジ(2)13、ピストンロッド8、ばね(1)11、シール材(1)7」を、昇降可能な状態で保持するものであるいえるから、本件発明1の「前記ノズルを昇降可能な状態で保持するホルダ」に対応する。

エ 引用発明1では、「クリーンガス供給源18とバルブ本体ハウジング10が接続フランジ(1)12により接続され、アクチュエータ2と保管室をフランジ(2)13により接続されており、パージバルブ作動部分に重量物が存在しないときは、アクチュエータ2が、ばね(1)11により上方に押し上げられたままの状態にあり作動せず、パージバルブ1が閉状態となり、パージバルブ作動部分に重量物が存在するときは、アクチュエータ2が下方に移動し、ピストンロッド8も下方に移動し、シール材(1)7も下方に移動し、パージバルブ1の開時にガス通路23とガス導入孔5が導通孔を介して導通させる中継導通孔6により開放され、底部に2つチェック弁22が設けられたFOUP本体21が、保管装置または保管エリアに載置されると、アクチュエータ2が作動し、クリーンガス導入側のチェック弁22に当該パージバルブ1が接続され、開状態になり、クリーンガスがFOUP本体21内に入り込み、FOUP内圧により排気側チェック弁22が開き、クリーンガスが排気されFOUP本体21内がクリーンガスよりパージされる」ところ、アクチュエータ2の「フランジ(2)13」は、チェック弁22(ポート)に接続することは明らかであり、本件発明1の「ノズル頭部」に対応するといえるから、「フランジ(2)13、ピストンロッド8、ばね(1)11、シール材(1)7」(ノズル)のうち、「ピストンロッド8」は「フランジ(2)13のチェック弁22とは反対側に設けられる」部分であるから、本件発明1の「前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部」に対応するといえる。
したがって、本件発明1と引用発明1とは、「前記ノズルは、前記ポートに接続するノズル頭部と、前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部とを有」する点で共通する。

オ 引用発明1において、「フランジ(2)13」は、ピストンロッド8に対して交換可能であるから、本件発明1と引用発明1とは、「前記ノズル頭部は前記本体部に対して交換可能に設けられる」ものである点で、一致する。

カ 上記イ、ウより、引用発明1の「パージバルブ1」はユニットであるといえるから、本件発明1と引用発明1とは、「基板が収容されるパージ対象容器の底面に設けたポートを通じてパージ用気体を供給することで、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を前記パージ用気体に置換可能なパージノズルユニット」である点で共通する。

キ 以上をまとめると、本件発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「基板が収容されるパージ対象容器の底面に設けたポートを通じてパージ用気体を供給することで、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を前記パージ用気体に置換可能なパージノズルユニットであり、
前記パージノズルユニットは、前記パージ用気体を通過させ得る流路を有するノズルと、
前記ノズルを昇降可能な状態で保持するホルダとを備え、
前記ノズルは、前記ポートに接続するノズル頭部と、前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部とを有し、
前記ノズル頭部は前記本体部に対して交換可能に設けられる、
パージノズルユニット。」

<相違点>
<相違点1>
パージ対象容器の底面に設けたポートが、本件発明1では、「中空筒状のシール部であるポート」であるのに対し、引用発明1では、チェック弁22であり、本件発明1のような特定はなされていない点。

<相違点2>
ノズル頭部について、本件発明1では、「上昇移動したとき前記ポートに接触するノズル頭部」であるのに対し、引用発明1では、「アクチュエータ2と保管室をフランジ(2)13により接続されており、パージバルブ作動部分に重量物が存在しないときは、アクチュエータ2が、ばね(1)11により上方に押し上げられたままの状態にあり作動せず、パージバルブ1が閉状態とな」るものであり、フランジ(2)13は、「上昇移動したとき前記ポートに接触する」ものではない点。

よって、上記相違点1、2は実質的なものであり、本件発明1が、引用発明1であるとはいえないから、本件発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。

ク 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人星正美は、特許異議申立書22ページ「ウ(ア)」において、「また、甲1発明において昇降運動する部材である「フランジ(1)13」、「ピストンロッド8」、「ばね(1)1」および「シール材(1)7」で構成される一連の部材のうち、「フランジ(1)13」が、『上昇したとき前記ポートに接触する』ため、本件発明の『ノズル頭部』に相当する」と主張するが、上記エ、キで検討したとおり、フランジ(2)13は、「上昇移動したとき前記ポートに接触する」ものではないから、特許異議申立人の当該主張を採用することはできない。

ケ 申立理由1?4には含まれていないが、念のため、請求項1に係る特許は、文献1を主たる証拠として、特許法第29条第2項の規定に違反しているかについて、以下において検討する。
上記相違点について検討する。

(ア)相違点2について
事案に鑑み、まず、上記相違点2について検討する。
引用発明1において、「アクチュエータ2と保管室をフランジ(2)13により接続されており、パージバルブ作動部分に重量物が存在しないときは、アクチュエータ2が、ばね(1)11により上方に押し上げられたままの状態にあり作動せず、パージバルブ1が閉状態となり、パージバルブ作動部分に重量物が存在するときは、アクチュエータ2が下方に移動し、ピストンロッド8も下方に移動し、シール材(1)7も下方に移動し、パージバルブ1の開時にガス通路23とガス導入孔5が導通孔を介して導通させる中継導通孔6により開放され」、「底部に2つチェック弁22が設けられたFOUP本体21が、保管装置または保管エリアに載置されると、アクチュエータ2が作動し、クリーンガス導入側のチェック弁22に当該パージバルブ1が接続され、開状態にな」るから、パージバルブ作動部分に重量物が存在しないとき(図1(a)参照)、すなわち、「FOUP本体21が、保管装置または保管エリアに載置」されないときは、フランジ(2)13は上昇移動するものの、チェック弁22に接続されるものにも、接触するものにもなり得ず、上昇物が重量物が存在するとき(図1(b)参照)は、すなわち、「FOUP本体21が、保管装置または保管エリアに載置される」ときは、フランジ(2)13は上昇移動しないから、「上昇移動したとき前記ポートに接触する」ものにはなり得ない。
したがって、引用発明1において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることには阻害要因がある。

(イ)したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1に基いて、当業者が容易に想到し得るものではない。
よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(2)請求項3、4、6に係る発明について
本件発明3、4、6も、本件発明1の「上昇移動したとき前記ポートに接触するノズル頭部」と同一の構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、文献1に記載された発明とはいえない。

(3)申立理由1についてのまとめ
以上のとおりであり、本件発明1、3、4、6は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるとはいえず、請求項1、3、4、6に係る特許を、申立理由1によって取り消すことはできない。

2 申立理由2(特許法第29条第2項の規定違反)
(1)請求項1に係る発明について
ア 対比
本件発明1と引用発明2とを対比する。

(ア)引用発明2の「製品を収容する容器であるポッド(FOUP)」、「ガス」は、それぞれ本件発明1の「基板が収容されるパージ対象容器」、「パージ用気体」に相当する。

(イ)また、引用発明2では、「FOUPシステムにおけるパージ操作において」、「ポッド側の給気ポート7および排気ポート9は、各々シール部材20を介して台53側の給気ポート14および排気ポート16と当接し」、「当該操作終了後、あるいは当該操作を継続しながら、ポッド2内部のパージ操作を行い、ポッド2内部雰囲気の置換が行われ」るから、引用発明2の「ポッド側の給気ポート7」は、本件発明1の、「『パージ用気体を供給する』『中空筒状のシール部であるポート』」に相当するといえるから、本件発明1と引用発明2とは、「基板が収容されるパージ対象容器の底面に設けた中空筒状のシール部であるポートを通じてパージ用気体を供給することで、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を前記パージ用気体に置換可能なパージノズル部材」である点で共通する。

(ウ)引用発明2において、「『シール部材20』と『台53側の給気ポート14および排気ポート16』」は、パージ操作の際にガスを通過させ得る流路であるといえるから、本件発明1の「パージ用気体を通過させ得るノズル」に対応する。

(エ)引用発明2において、「ポッド側の給気ポート7および排気ポート9は、各々シール部材20を介して台53側の給気ポート14および排気ポート16と当接」するところ、「シール部材20」は、「ポッド側の給気ポート7」に接触するといえるから、本件発明1の「ノズル頭部」に対応するといえる。そうすると、引用発明2において、「『シール部材20』と『台53側の給気ポート14および排気ポート16』」(ノズル)のうち、「給気ポート14および排気ポート16」の、「シール部材20」の下方に接続される部材は「シール部材20のポッド側の給気ポート7とは反対側に設けられる」部分であるから、本件発明1の「前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部」に対応するといえる。
したがって、本件発明1と引用発明2とは、「前記ノズルは、前記ポートに接触するノズル頭部と、前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部とを有」する点で共通する。

(オ)引用発明2において、「シール部材20」と、「給気ポート14および排気ポート16」の、「シール部材20」の下方に接続される部材とは、別個の部材であるから、交換可能であるといえる。
したがって、本件発明1と引用発明2とは、「前記ノズル頭部は前記本体部に対して交換可能に設けられる」ものである点で一致する。

(カ)以上をまとめると、本件発明1と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「基板が収容されるパージ対象容器の底面に設けた中空筒状のシール部であるポートを通じてパージ用気体を供給することで、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を前記パージ用気体に置換可能なパージノズル部材であり、
前記パージノズル部材は、前記パージ用気体を通過させ得る流路を有するノズルを備え、
前記ノズルは、前記ポートに接続するノズル頭部と、前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部とを有し、
前記ノズル頭部は前記本体部に対して交換可能に設けられる、
パージノズル部材。」

<相違点>
<相違点3>
本件発明1は、「パージノズルユニット」に係る発明であるのに対し、引用発明2は、その点が不明である点。

<相違点4>
本件発明1は、「前記ノズルを昇降可能な状態で保持するホルダ」を備えるのに対し、引用発明2は、そのようなものを備えていない点。

<相違点5>
「前記ポートに接触するノズル頭部」について、本件発明1は、「上昇移動したとき」接触するのに対し、引用発明2では、「ポッド2が台53上方まで運ばれ、台53上に載置され、この状態において、ポッド側の給気ポート7および排気ポート9は、各々シール部材20を介して台53側の給気ポート14および排気ポート16と当接」するものであり、「シール部材20」は、ポッド2が台53上に載置された状態において、給気ポート7に当接するものであり、「シール部材20」は上昇移動するものではなく、本件発明1のようなものではない点。

イ 判断
以下、上記相違点について検討する。

(ア)相違点4、5について
事案に鑑み、まず、相違点4、5について検討する。

a 引用発明2において、「ポッド2が台53上方まで運ばれ、台53上に載置され、この状態において、ポッド側の給気ポート7および排気ポート9は、各々シール部材20を介して台53側の給気ポート14および排気ポート16と当接」するものであり、「シール部材20」は、ポッド2が台53上に載置された状態において、給気ポート7に当接するものであり、「『シール部材20』と『台53側の吸気ポート14および排気ポート16』」(ノズル)は、昇降可能なものではない。

b 一方、上記「第4」「1(3)」のとおり、文献1には、「パージバルブ1において、フランジ(2)13、ピストンロッド8、ばね(1)11、及びシール材(1)7を保持するバルブ本体ハウジング10」という技術的事項が記載されていると認められる。

c 上記「第4」「3」のとおり、文献3には、「ロードポートにおける、キャリア10(FOUP)を載置させる載置台2が有するキャリアベース21の周縁部に配置され、キャリア10内に不活性ガスを注入するための注入ノズル5、排出ノズル5’を保持するノズルホルダ6について、下部に設けられた円柱状の凹部62aを有する本体62と、凹部62aを塞ぐように本体62上に設けられたカバー61とを有し、注入ノズル5aを昇降可能に保持するノズルホルダ6」という技術的事項が記載されていると認められる。

d 上記「第4」「4」のとおり、文献4には、
「基板処理装置21に備えられたロードポート装置300であって、
ロードポート基台30A、キネマ面31、キネマティックピン31Aを含んで、ロードポート装置300の台部30が構成され、
キネマティックピン31Aと、ウェーハキャリア100に備えられたV溝13とが嵌まりあって、ウェーハキャリア100がロードポート装置300に載置される際の位置が決定され、
ロードポート装置300に備えられた、ウェーハキャリア100内部を加圧するための気体供給手段400において、
ウェーハキャリア100に備えられた導入口14に接続される接続部18は、ウェーハキャリア100がキネマ面31に載置されると、これに連動して自動的に導入口14に接続されるようになっており、
バルブ15、圧力センサ16、制御手段17、接続部18を含めて、気体供給手段400が構成される、気体供給手段400に関し、
基板の移送方法については、
ウェーハキャリア100を、基板処理装置21に備えられたロードポート基台30A上のキネマ面31上へ降ろして所定位置にセットすることで、ウェーハキャリア100は、そのベースプレート面12に設けられたV溝13に、キネマ面31の上面に設けられたキネマティックピン31Aが嵌まることにより、ロードポート基台30Aの上の適切な位置に載置され、
キネマ面31に、ウェーハキャリア100が載置されると、これに連動して、気体供給手段400の接続部18が、前記導入口14に接続される、ロードポート装置300。」という技術的事項が記載されていると認められる。

e 上記「第4」「1(1)」で摘記の文献1の段落【0017】?【0019】には、「重量物が存在しないときは、アクチュエータ2が、ばね(1)11により上方に押し上げられたままの状態にあり」、「重量物が存在するときは、アクチュエータ2が下方に移動し、ピストンロッド8も下方に移動し、シール材(1)7も下方に移動し」、「アクチュエータ2とは、フランジ(1)13、ピストンロッド8、ばね(1)11からなる重量または機械的外力によってバルブ開閉作用を行う操作部」が開示されているので、上記bの文献1に記載の技術的事項における、「バルブ本体ハウジング10」は、「フランジ(2)13、ピストンロッド8、ばね(1)11、シール材(1)7」を昇降可能な状態で保持するものであるということができる。
また、上記cのとおり、文献3には、「注入ノズル5aを昇降可能に保持するノズルホルダ6」という技術的事項が記載されている。
加えて、上記dのとおり、文献4に記載の技術的事項は、「キネマ面31に、ウェーハキャリア100が載置されると、これに連動して、気体供給手段400の接続部18が、前記導入口14に接続される」から、接続部18は「昇降可能」であり、かつ、台部30のロードポート基台30A上のキネマ面31が、接続部18を「保持する」部材であるということができる。
したがって、引用発明2において、ノズル頭部20、給気ポート14、排気ポート16は、いずれも「昇降可能」ではなく、一方、文献1、3、4には、昇降可能な部材及びそれを保持する部材が開示されているものの、引用発明2は、「FOUPシステムにおけるパージ操作において、まず、内部に半導体ウエハ1を収容し、蓋4によってその内部が密閉空間とされたポッド2が台53上方まで運ばれ、台53上に載置され、この状態において、ポッド側の給気ポート7および排気ポート9は、各々シール部材20を介して台53側の給気ポート14および排気ポート16と当接し、シール部材20とポッド2側の給排気ポート端部との間に形成される空間20e内部を排気する操作を行うことによって、空間20eは減圧され、シール部材20は、この減圧空間20eの効果によって、当接するポッド2側の給排気ポート端部と強固に密着することとなり、当該操作終了後、あるいは当該操作を継続しながら、ポッド2内部のパージ操作を行い、ポッド2内部雰囲気の置換が行われ」、「シール部材を押しつぶすための加重がわずかな場合であっても、良好なシール特性を得ることが可能となる」、システムであるから、文献1、3、4を参照した当業者であっても、引用発明2において、給気ポート14(ノズル)を「昇降可能」とし、シール部材20(ノズル頭部)を「上昇移動」させるものとする動機付けはなく、そのようにする必要性を認めることもできない。
よって、引用発明2において、文献1、3、4に記載された技術的事項に基づき、相違点4、5に係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易になし得たこととはいえない。

(イ)以上のとおりであるから、相違点3について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明2及び文献1、3、4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(ウ)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人星正美は、特許異議申立書25ページ「ウ(オ)」において、「しかしながら、甲第1号証に記載の甲1発明、甲第3号証に記載の甲3発明、甲第4号証に記載の甲4発明などから理解されるように、「給排気ポート14、16」を、ホルダを用いて昇降可能な状態に保持する技術は、本件特許発明1に係る原出願日の時点における周知技術である(・・・)。そうすると、・・・、甲2発明のパージシステムに対して周知技術を適用し、「シール部材20」を含む「給排気ポート14、16」を昇降可能とすることは、当業者が容易に想到できるものであると認められる。」と主張するが、上記(ア)eで検討したとおり、引用発明2において、ノズル頭部20、給気ポート14、排気ポート16は、いずれも「昇降可能」ではなく、一方、文献1、3、4には、昇降可能な部材及びそれを保持する部材が開示されているものの、文献1、3、4を参照した当業者であっても、引用発明2において、給気ポート14(ノズル)を「昇降可能」とし、シール部材20(ノズル頭部)を「上昇移動」させるものとする動機付けはなく、そのようにする必要性を認めることもできないから、特許異議申立人の当該主張を採用することはできない。

(2)請求項2?6に係る発明について
本件発明2?6も、本件発明1の「前記ノズルを昇降可能な状態で保持するホルダ」、及び、「『前記ノズルは、上昇移動したとき前記ポートに接触するノズル頭部』を『有し』」と同一の構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、引用発明2及び文献1、3、4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)申立理由2についてのまとめ
以上のとおりであり、本件発明1?6は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえず、請求項1?6に係る特許を、申立理由2によって取り消すことはできない。

3 申立理由3(特許法第29条の2の規定違反)
(1)請求項1に係る発明について
ア 本件発明1と先願5発明とを対比する。

(ア)先願5発明の「FOUP5」、「不活性ガス(パージ用気体)」、「FOUP5の底面に形成された対応するノズルポート」は、それぞれ本件発明1の「基板が収容されるパージ対象容器」、「パージ用気体」、「ポート」に相当する。

(イ)先願5発明は、「FOUP5内に不活性ガス(パージ用気体)を充填するため給気ノズル51」と、「FOUP5内のガスを排出するための排気ノズル52」と、「これらのノズル51,52を支持するノズル支持体53」とを備え、「ノズル支持体53が通気位置に上昇されると、給気ノズル51及び排気ノズル52が、載置台10のFOUP5の底面に形成された対応するノズルポート(不図示)に接続され、また、ノズル支持体53には、ノズル51,52よりも内側の位置であって、昇降機構54に設けられた別のノズル(ノズルポート)52a,52a、またはノズル支持体55に設けられた給気用ノズル(ノズルポート)51a、51aが対向する位置に、2つの孔が設けられ、別のノズル(ノズルポート)52a,52aは、ノズル支持体53の当該2つの孔に挿入され」ているものであるところ、「給気ノズル51及び排気ノズル52」は、パージガスを通過させ得る流路であるといえるから、「給気ノズル51及び排気ノズル52とノズル支持体53」は、併せて本件発明1の「パージ用気体を通過させ得るノズル」に対応する。

(ウ)先願5発明は、「ノズル支持体53を昇降させる昇降機構54」を備えるから、先願5発明の「昇降機構54」は、本件発明1の「前記ノズルを昇降可能な状態で保持するホルダ」に相当する。

(エ)上記(イ)、(ウ)より、先願5発明において、「『給気ノズル51及び排気ノズル52とノズル支持体53』と『昇降機構54』」を備える構成は、本件発明1の「パージノズルユニット」に対応するといえ、また、先願5発明において、「ノズルユニット50」は、「FOUP5内のパージを行うためのノズルユニット50」であって、「FOUP5内にパージ用気体を充填したり、FOUP5内の気体を排気したりする工程である給排気工程を実行するものであ」る。
したがって、本件発明1と先願5発明とは、「基板が収容されるパージ対象容器の底面に設けたポートを通じてパージ用気体を供給することで、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を前記パージ用気体に置換可能なパージノズルユニットであり」、「前記パージノズルユニットは、前記パージ用気体を通過させ得る流路を有するノズルと、前記ノズルを昇降可能な状態で保持するホルダとを備え」る点で共通する。

(オ)先願5発明において、「給気ノズル51及び排気ノズル52」、「ノズル支持体53」は、それぞれ本件発明1の「ノズル頭部」、「本体部」に対応し、先願5発明において、「ノズル支持体53は、FOUP5が載置された載置台10が基板搬入出位置(図5(D)参照)に位置するとき、通気位置に上昇され、ノズル支持体53が通気位置に上昇されると、給気ノズル51及び排気ノズル52が、載置台10のFOUP5の底面に形成された対応するノズルポート(不図示)に接続され」るから、本件発明1と先願5発明とは、「前記ノズルは、上昇移動したとき前記ポートに接続するノズル頭部と、前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部とを有」する点で共通する。

(カ)以上をまとめると、本件発明1と先願5発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「基板が収容されるパージ対象容器の底面に設けたポートを通じてパージ用気体を供給することで、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を前記パージ用気体に置換可能なパージノズルユニットであり、
前記パージノズルユニットは、前記パージ用気体を通過させ得る流路を有するノズルと、
前記ノズルを昇降可能な状態で保持するホルダとを備え、
前記ノズルは、前記ポートに接続するノズル頭部と、前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部とを有する、
パージノズルユニット。」

<相違点1>
パージ対象容器の底面に設けたポートが、本件発明1では、「中空筒状のシール部であるポート」であるのに対して、先願5発明では、「FOUP5の底面に形成された対応するノズルポート」について、そのような特定はなされていない点。

<相違点2>
ノズル頭部について、本件発明1では、「上昇移動したとき前記ポートに接触するノズル頭部」であるのに対し、先願5発明では、「給気ノズル51及び排気ノズル52」は、「FOUP5の底面に形成された対応するノズルポート」に接触するか不明である点。

<相違点3>
ノズル頭部について、本件発明1では、「前記ノズル頭部は前記本体部に対して交換可能に設けられる」のに対し、先願5発明では、「給気ノズル51及び排気ノズル52」は「ノズル支持体53」に対して交換可能であるとの特定はなされていない点。

イ 事案に鑑み、まず、相違点3について検討する。
先願5明細書等には、「給気ノズル51及び排気ノズル52」と「ノズル支持体53」の具体的な構成について、段落【0019】に、「ノズルユニット50は、載置台10に載置されたFOUP5内に不活性ガス(パージ用気体)を充填するため給気ノズル51と、FOUP5内のガスを排出するための排気ノズル52と、これらのノズル51,52を支持するノズル支持体53と、ノズル支持体53を昇降させる昇降機構54とを備えている。」と記載されている他には、記載も示唆もなく、また、「給気ノズル51及び排気ノズル52」が「ノズル支持体53」に対して交換可能であることが、周知・慣用手段であるとの証拠も示されておらず、相違点3は実質的であるというべきである。

そして、本件発明1と先願5発明との間の上記相違点3が課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)であると解することもできない。
よって、相違点1、2について検討するまでもなく、本件発明1は、先願5発明と同一又は実質同一であるとはいえない。

ウ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人星正美は、特許異議申立書26?27ページ「ウ(キ)」において、「これらの給気ノズル51、排気ノズル52および別のノズル52a,52aとノズル支持体53は、昇降機構54で昇降させられるため、『ノズル』に相当する(発明特定事項B)。
・・・
給気ノズル51、排気ノズル52および別のノズル52a,52aが、・・・、これらのノズルが本件発明の『ノズル頭部』に相当し、・・・
また、・・・、少なくとも別のノズル52a,52aは、ノズル支持体53に対して交換可能に設けられていると認められる。・・・したがって、給気ノズル51、排気ノズル52および別のノズル52a,52aは、ノズル支持体53に対して交換可能に設けられている(発明特定事項E)。」と主張する。

しかしながら、上記「第4」「5(1)」の段落【0019】の「尚、容器メーカーによっては、給気用のノズルポートがFOUPの後方側の底面(FOUPドアと反対側の底面)に、排気用のノズルポートがFOUPの前方側の中央寄りの底面(FOUPドア側の底面)に設けられる場合がある。本実施の形態に係る搬入出装置1は、図3に示すように、載置台10における位置決めピン11bの両側にノズル支持体55,55を設けており、そのノズル支持体55,55に給気用ノズル51a,51aを、また、ノズル支持体53のノズル51,52よりも内側の位置に、別のノズル52a,52aを設けている。
これにより、本実施の形態に係る搬入出装置1における昇降機構54内の給気配管は、各容器のノズルポートの位置に合わせ、給排気口を変更できるように切り替え可能となっており、且つ、給気・排気の経路も接続により容易に変更可能としている。・・・」との記載と、段落【0009】の「51…給気ノズル(給排気ノズルの一つ)、51a…ノズルポート、 52…排気ノズル(給排気ノズルの一つ)、52a…ノズルポート」との記載からみて、先願5明細書等には、FOUPの給気用のノズルポートがFOUPの後方側の底面(FOUPドアと反対側の底面)に、排気用のノズルポートがFOUPの前方側の中央寄りの底面(FOUPドア側の底面)に設けられるものである場合に、昇降機構54内の給気配管を、各容器のノズルポートの位置に合わせて、給排気口を変更できるように切り替えて、給気用ノズル(ノズルポート)51a,51aとし、「別のノズル(ノズルポート)52a,52a」を排気用ノズルとすることが開示ないし示唆されていると解される。

したがって、先願5明細書等の記載において、「別のノズル52a,52a」は、給気用ノズル(ノズルポート)51a,51aとで、給排気を行うものであり、「給気ノズル51、排気ノズル52」と併せて、本件発明1の『ノズル頭部』に相当するとはいえず、さらに、「給気ノズル51、排気ノズル52および別のノズル52a,52aとノズル支持体53」は、『ノズル』に相当するとはいえず、「給気ノズル51、排気ノズル52および別のノズル52a,52aは、ノズル支持体53に対して交換可能に設けられている(発明特定事項E)」ということもできず、上記の特許異議申立人の主張を採用することはできない。

(2)請求項2、5に係る発明について
本件発明2、5も、本件発明1の「前記ノズル頭部は前記本体部に対して交換可能に設けられる」と同一の構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、本件発明1は、先願5発明と同一又は実質同一であるとはいえない。

(3)申立理由3についてのまとめ
以上のとおりであり、本件発明1、2、5は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるとはいえず、請求項1、2、5に係る特許を、申立理由3によって取り消すことはできない。

4 申立理由4(分割要件違反による特許法第29条第1項、第2項の規定違反)
(1)本件特許の出願日について
本件特許に係る出願は、上記第1のとおり、第1世代分割出願の一部を更に分割出願とした分割出願(分割出願を原出願とする分割出願)であるところ、本件特許出願が原出願の出願の時にしたものとみなされるには、下記イ(イ)の(i)から(iii)までの全ての条件を満たすことが必要である。そこで、下記ウ?オで各分割出願の分割要件について検討し、下記カで本件特許の出願日について判断する。

ア 原出願の出願から本件特許出願までの手続の経緯は、上記第1のとおりであるが、詳細な経緯は次のとおりである。
平成24年 6月 1日:原出願(特願2012-132210号)の出願
平成29年 3月21日:原出願の特許査定の謄本送達
平成29年 4月 4日:第1世代分割出願(特願2017-74145号)の出願
平成30年 8月28日:第1世代分割出願の特許査定の謄本送達
平成30年 9月26日:本件特許出願

イ 分割要件(特許法第44条第1項)の判断
(ア)「特許出願の分割は、二以上の発明を包含する特許出願の一部を新たな特許出願とするものである(特許法第44条第1項柱書き)から、適法に分割されたものというためには、以下の(要件1)及び(要件3)が満たされる必要がある。
また、分割出願が原出願の時にしたものとみなされる(特許法第44条第2項本文)という特許出願の分割の効果を考慮すると、更に以下の(要件2)も満たされる必要がある。」
(参考:特許・実用新案審査基準 第VI部第1章第1節「2.2 特許出願の分割の実体的要件」)

「(要件1) 原出願の分割直前の明細書等に記載された発明の全部が分割出願の請求項に係る発明とされたものでないこと。
(要件2) 分割出願の明細書等に記載された事項が、原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であること。
(要件3) 分割出願の明細書等に記載された事項が、原出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であること。

ただし、原出願の明細書等について補正をすることができる時期に特許出願の分割がなされた場合は、(要件2)が満たされれば、(要件3)も満たされることとする。」

(イ)「5.1 分割出願を原出願とする分割出願
出願人は、特許出願(親出願)を原出願として分割出願(子出願)をし、更に子出願を原出願として分割出願(孫出願)をすることができる。
この場合は、審査官は、以下の(i)から(iii)までの全ての条件を満たすときに、孫出願を親出願の時にしたものとみなして審査をする。

(i) 子出願が親出願に対し分割要件の全てを満たすこと。
(ii) 孫出願が子出願に対し分割要件の全てを満たすこと。
(iii) 孫出願が親出願に対し分割要件のうちの実体的要件の全てを満たすこと(注)。

(注) 2.2 の(要件3)における「原出願の分割直前の明細書等」とは、「親出願から子出願を分割する直前の親出願の明細書等」のことである。」
(参考:特許・実用新案審査基準 第VI部第1章第1節「5.1 分割出願を原出願とする分割出願特許出願の分割の実体的要件」)

ウ 第1世代分割出願の原出願に対する分割要件について
そこで、まず、(i)について、第1世代分割出願が、原出願に対し分割要件を満たしているかについて、検討する。

(ア)(要件2)が満たされているか否かについて
第1世代分割出願において、(要件1)は満たされているので、(要件2)が満たされているか否かを検討する。

a 第1世代分割出願の請求項1に係る発明
第1世代分割出願の請求項1に係る発明(以下「第1世代発明1」という。)は、上記「第4」「7(2)」のとおりのものである。

b 原出願の出願当初の明細書等が包含する発明について
(a)上記「第4」「6(1)」の原出願の出願当初の明細書の段落【0016】、【0038】?【0044】、【0063】の記載によると、原出願の出願当初の明細書等は、「パージ用気体を通過させ得るパージ用気体流路46(第一流路)を有する胴部41と前記胴部41よりも側方に張り出した鍔部8(頭部本体51)とを有する本体部4(第一流路形成部材)、前記第一流路と連通する底部側パージ用気体流路63(第二流路)を有するノズル底部6(第二流路形成部材)、及び前記第一流路形成部材4の前記鍔部8の外向き面に添接する側壁31と前記胴部41の外向き面を添接させ且つ挿通させた貫通孔32を形成した底壁33とを有するホルダ3」を備えるパージノズルユニット1の発明を包含する。

(b)したがって、第1世代発明1と原出願の出願当初の明細書等が包含する発明とを対比すると、第1世代発明1は、原出願の出願当初の明細書等が包含する発明であるといえる。
よって、第1世代分割出願は原出願に対し、(要件2)を満たしている。

(イ)(要件3)が満たされているか否かについて
第1世代分割出願は、原出願の「特許査定の謄本送達日から30日以内(特許法第44条第1項第2号)」に分割出願されたものであり、原出願の明細書等について補正をすることができる時期(第44条第1項第1号)に分割出願されたものではないので、上記ただし書き、「ただし、原出願の明細書等について補正をすることができる時期に特許出願の分割がなされた場合は、(要件2)が満たされれば、(要件3)も満たされることとする。」は適用されない。
そこで、(要件3)が満たされているか否かについて、検討する。

a 第1世代分割出願の請求項1に係る発明
第1世代分割出願の請求項1に係る発明(以下「第1世代発明1」という。)は、上記「第4」「7(2)」のとおりのものである。

b 原出願の分割直前の明細書等が包含する発明について
(a)上記「第4」「6(2)」の原出願の分割直前の明細書(特許第6131534号公報)の段落【0016】、【0038】?【0044】、【0063】の記載によると、原出願の分割直前の明細書等は、「パージ用気体を通過させ得るパージ用気体流路46(第一流路)を有する胴部41と前記胴部41よりも側方に張り出した鍔部8(頭部本体51)とを有する本体部4(第一流路形成部材)、前記第一流路と連通する底部側パージ用気体流路63(第二流路)を有するノズル底部6(第二流路形成部材)、及び前記第一流路形成部材4の前記鍔部8の外向き面に添接する側壁31と前記胴部41の外向き面を添接させ且つ挿通させた貫通孔32を形成した底壁33とを有するホルダ3」を備えるパージノズルユニット1の発明を包含する。

(b)したがって、第1世代発明1と原出願の分割直前の明細書等が包含する発明とを対比すると、第1世代発明1は、原出願の分割直前の明細書等が包含する発明であるといえる。
よって、第1世代分割出願は原出願に対し、(要件3)を満たしている。

c 以上のとおりであるから、第1世代分割出願は、「(i)子出願が親出願に対し分割要件の全てを満たすこと。」となっている。
よって、第1世代分割出願は、特許法第44条第1項第2号に規定する新たな特許出願である(分割出願の要件を満たす)といえる。

エ 本件特許出願の第1世代分割出願に対する分割要件について
次に、(ii)について、本件特許出願が、第1世代分割出願に対し分割要件を満たしているかについて、検討する。

(ア)(要件2)が満たされているか否かについて
本件特許出願において、(要件1)は満たされているので、(要件2)が満たされているか否かを検討する。

a 本件発明1
本件発明1は、上記「第2」のとおりのものである。

b 第1世代分割出願の出願当初の明細書等が包含する発明について
(a)上記「第4」「7(1)」の第1世代分割出願の出願当初の明細書の段落【0016】、【0031】、【0037】?【0038】、【0101】の記載によると、第1世代分割出願の出願当初の明細書等は、「基板が収容されるFOUP100(パージ対象容器)の底面に設けた中空筒状のシール部であるポート101を通じてパージ用気体を供給することで、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を前記パージ用気体に置換可能なパージノズルユニット1であり、前記パージノズルユニットは、前記パージ用気体を通過させ得る流路を有するノズル本体1(ノズル)と、前記ノズル本体を昇降可能な状態で保持するホルダ3とを備え、前記ノズル本体は、上昇移動したとき前記ポートに接触するノズル頭部5と、前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部4とを有し、前記ノズル頭部は前記本体部に対して交換可能に設けられる」パージノズルユニット1の発明を包含する。

(b)したがって、本件発明1と第1世代分割出願の出願当初の明細書等が包含する発明とを対比すると、本件発明1は、第1世代分割出願の出願当初の明細書等が包含する発明であるといえる。
よって、本件特許出願は第1世代分割出願に対し、(要件2)を満たしている。

(イ)(要件3)が満たされているか否かについて
本件特許出願は、第1世代分割出願の「特許査定の謄本送達日から30日以内(特許法第44条第1項第2号)」に分割出願されたものであり、第1世代分割出願の明細書等について補正をすることができる時期(第44条第1項第1号)に分割出願されたものではないので、上記ただし書き、「ただし、原出願の明細書等について補正をすることができる時期に特許出願の分割がなされた場合は、(要件2)が満たされれば、(要件3)も満たされることとする。」は適用されない。
そこで、(要件3)が満たされているか否かについて、検討する。

a 本件発明1
本件発明1は、上記「第2」のとおりのものである。

b 第1世代分割出願の分割直前の明細書等が包含する発明について
(a)上記「第4」「7(2)」の第1世代分割出願の分割直前の明細書(特許第6409898号公報)の段落【0016】、【0031】、【0037】?【0038】、【0101】の記載によると、第1世代分割出願の出願当初の明細書等は、「基板が収容されるFOUP100(パージ対象容器)の底面に設けた中空筒状のシール部であるポート101を通じてパージ用気体を供給することで、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を前記パージ用気体に置換可能なパージノズルユニット1であり、前記パージノズルユニットは、前記パージ用気体を通過させ得る流路を有するノズル本体1(ノズル)と、前記ノズル本体を昇降可能な状態で保持するホルダ3とを備え、前記ノズル本体は、上昇移動したとき前記ポートに接触するノズル頭部5と、前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部4とを有し、前記ノズル頭部は前記本体部に対して交換可能に設けられる」パージノズルユニット1の発明を包含する。

(b)したがって、本件発明1と第1世代分割出願の分割直前の明細書等が包含する発明とを対比すると、本件発明1は、第1世代分割出願の分割直前の明細書等が包含する発明であるといえる。
よって、本件出願は第1世代分割出願に対し、(要件3)を満たしている。

c 以上のとおりであるから、本件特許出願は、「(ii)孫出願が子出願に対し分割要件の全てを満たすこと。」となっている。
よって、本件特許出願は、特許法第44条第1項第2号に規定する新たな特許出願である(分割出願の要件を満たす)といえる。

オ 本件特許出願の原出願に対する分割要件について
最後に、(iii)について、本件特許出願が、原出願に対し分割要件のうちの実体的要件を満たしているかについて、検討する。

(ア)(要件2)が満たされているか否かについて
本件特許出願において、(要件1)は満たされているので、(要件2)が満たされているか否かを検討する。

a 本件発明1
本件発明1は、上記「第2」のとおりのものである。

b 原出願の出願当初の明細書等が包含する発明について
(a)上記「第4」「6(1)」の原出願の出願当初の明細書の段落【0016】、【0031】、【0037】?【0038】、【0101】の記載によると、第1世代分割出願の出願当初の明細書等は、「基板が収容されるFOUP100(パージ対象容器)の底面に設けた中空筒状のシール部であるポート101を通じてパージ用気体を供給することで、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を前記パージ用気体に置換可能なパージノズルユニット1であり、前記パージノズルユニットは、前記パージ用気体を通過させ得る流路を有するノズル本体1(ノズル)と、前記ノズル本体を昇降可能な状態で保持するホルダ3とを備え、前記ノズル本体は、上昇移動したとき前記ポートに接触するノズル頭部5と、前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部4とを有し、前記ノズル頭部は前記本体部に対して交換可能に設けられる」パージノズルユニット1の発明を包含する。

(b)したがって、本件発明1と原出願の出願当初の明細書等が包含する発明とを対比すると、本件発明1は、原出願の出願当初の明細書等が包含する発明であるといえる。
よって、本件特許出願は原出願に対し、(要件2)を満たしている。

(イ)(要件3)が満たされているか否かについて
(要件3)が満たされているか否かについて、本件特許出願の明細書等に記載された事項が、「原出願から第1世代分割出願を分割する直前の原出願の明細書等」に記載された事項の範囲内であるかについて、検討する。

a 本件発明1
本件発明1は、上記「第2」のとおりのものである。

b原出願の分割直前の明細書等が包含する発明について
(a)上記「第4」「6(2)」の原出願の分割直前の明細書(特許第6131534号公報)の段落【0016】、【0031】、【0037】?【0038】、【0101】の記載によると、第1世代分割出願の出願当初の明細書等は、「基板が収容されるFOUP100(パージ対象容器)の底面に設けた中空筒状のシール部であるポート101を通じてパージ用気体を供給することで、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を前記パージ用気体に置換可能なパージノズルユニット1であり、前記パージノズルユニットは、前記パージ用気体を通過させ得る流路を有するノズル本体1(ノズル)と、前記ノズル本体を昇降可能な状態で保持するホルダ3とを備え、前記ノズル本体は、上昇移動したとき前記ポートに接触するノズル頭部5と、前記ノズル頭部の前記ポート側とは反対側に設けられる本体部4とを有し、前記ノズル頭部は前記本体部に対して交換可能に設けられる」パージノズルユニット1の発明を包含する。

(b)したがって、本件発明1と原出願の分割直前の明細書等が包含する発明とを対比すると、本件発明1は、原出願の分割直前の明細書等が包含する発明であるといえる。
よって、本件特許出願は原出願に対し、(要件3)を満たしている。

c 以上のとおりであるから、本件特許出願は、「(iii)孫出願が親出願に対し分割要件のうち実体的要件の全てを満たすこと。」となっている。

カ 本件特許の出願日についての判断
上記ウ?オのとおり、本件特許出願は、上記イ(イ)の(i)から(iii)のすべての条件を満たすから、本件特許出願は、原出願の出願日である平成24年6月1日に出願したものとみなすことができる。

キ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人星正美は、特許異議申立書27?30ページ「エ」において、「本件特許発明1?6に係る特許査定時の明細書の段落「0104」の記載は、原出願(特願2012-132210)の明細書等の記載に対して、実施形態等における具体例の追加に該当し、新たな技術的事項を導入するものであり、また、特許発明1?6に記載の「ホルダ」は、「胴部を挿通させた貫通孔を形成した底壁を有する」という特徴を特定しないものであるのに対して、原出願(特願2012-13210)の特許請求の範囲、明細書および図面には、「胴部を挿通させた貫通孔を形成した底壁を有するホルダ」のみが記載されている。したがって、特許発明1?6は、原出願の明細書等の記載の発明に対して、発明特定事項の一部が削除されたものであり、新たな技術的事項が導入されたものであるから、本件に係る特許出願は、上述した分割要件を満たさない。」旨を主張している。

しかしながら、上記カで判断したとおり、「上記ウ?オのとおり、本件特許出願は、上記イ(イ)の(i)から(iii)のすべての条件を満たす」から、分割出願を原出願とする分割出願である、本件に係る特許出願は、原出願の出願日に出願したものとみなすことができる。

(2)本件特許の出願日と証拠(原出願公開公報)の出願公開日について
上記(1)での検討より、本件特許の出願日は、原出願の出願日の平成24年6月1日であると認められる。
一方、原出願公開公報(特開2013-258206号公報)の出願公開日は平成25年12月8日である。

(3)以上のとおりであるから、原出願公開公報は、本件の特許出願の日前の他の特許出願であつて当該特許出願後に出願公開がされたものには該当しないので、請求項1?6に係る特許は、特許法第29条第1項または同法同条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。

(4)申立理由4についてのまとめ
以上のとおり、本件発明1?6は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものであるとはいえず、請求項1?6に係る特許を、申立理由4によって取り消すことはできない。

第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2020-11-30 
出願番号 特願2018-179929(P2018-179929)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H01L)
P 1 651・ 113- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 杢 哲次  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 ▲吉▼澤 雅博
恩田 春香
登録日 2020-01-15 
登録番号 特許第6646236号(P6646236)
権利者 シンフォニアテクノロジー株式会社
発明の名称 パージノズルユニット、ロードポート、ストッカー  
代理人 大西 雅直  
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