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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1369809
審判番号 不服2020-4171  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-30 
確定日 2021-01-06 
事件の表示 特願2017-516277「音響撮像方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月31日国際公開、WO2016/046506、平成29年 9月28日国内公表、特表2017-528271〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」と記す。)は、2015年9月25日(パリ条約による優先権主張 2014年9月26日 フランス)を国際出願日とする出願であって、平成31年4月24日付けで拒絶理由が通知され、令和元年10月4日付けで意見書が提出され、同年11月26日付けで拒絶査定されたところ、令和2年3月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同時に手続補正がなされ、令和2年7月17日に上申書が提出されたものである。

2 令和2年3月30日付けの手続補正についての補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
令和2年3月30日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
〔理由〕
(1)補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであって、その補正内容は、特許請求の範囲について、【請求項1】を
「【請求項1】
音響撮像方法であって、前記方法は、
(a)送信/受信ステップであって、そのステップの間に、音響トランスデューサの配列(2)が、撮像されるべき媒体(1)の一部である観察領域内に一連のn個の入射音波Ei(t)を連続して送信し、および音響トランスデューサの前記配列は、前記n個の入射音波Ei(t)の前記送信に続いて撮像されるべき前記媒体によってそれぞれ反射されるn個の反射波Ri(t)を検出する、送信/受信ステップであって、ここでnは少なくとも2に等しい自然数であり、
前記n個の入射音波の各々は、n個の基本的な入射波E0i(t)を次の式に対応する方法で線形結合することによって得られ、
【数1】

式(1)

ここで、Hcは、次数nの正方行列であり、
【数2】


は、成分として前記n個の入射音波を有するベクトルであり、
【数3】


は、成分として前記n個の基本入射波E0i(t)を有するベクトルであり、
前記n個の基本入射波は、平面波または発散波またはn個の異なる波面をそれぞれ有する空間において異なる点に集束された波であり、
前記n個の基本入射波の各基本入射波E0i(t)は、音響トランスデューサの前記配列(2)の複数の音響トランスデューサによって送信され、および観察領域全体を走査し、
前記n個の基本入射波の各基本入射波E0i(t)は、複数の時間信号によって表され、各時間信号は、前記複数の音響トランスデューサの1つの音響トランスデューサで前記基本入射波E0i(t)を表す、
送信/受信ステップと、
(b)復号化ステップであって、そのステップの間に、n個の基本反射波R0i(t)は、検出された前記n個の反射波Ri(t)を線形結合することによって決定され、式(2)に対応し、
【数4】

式(2)

ここで、Hdは次数nの正方行列であって、行列HcおよびHdは、Hc.Hd=Dとなるようなものであり、Dは、全ての対角要素diiが非ゼロである次数nの対角行列であり、
【数5】


は、成分として前記n個の反射波を有するベクトルであり、
【数6】


は、成分として前記n個の基本反射波を有するベクトルである、復号化ステップと、
(c)画像構築ステップであって、そのステップの間に、合成画像は、前記n個の基本反射波R0i(t)から生成される、画像構築ステップと、
を含む、方法。」(下線部は補正箇所を示す。)
と補正するものを含むものである。

(2)本件補正の目的
本件補正のうち、請求項1についての補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、「n個の入射波」を「n個の入射音波Ei(t)」とし、「前記入射音波は」を「前記n個の入射音波の各々は」とし、「前記n個の入射波」を「前記n個の入射音波」とし、「基本入射波」を「基本入射波E0i(t)」とし、「前記基本入射波は」を「前記n個の基本入射波は」とし、「各基本入射波は」を「前記n個の基本入射波の各基本入射波E0i(t)は」とし、「および前記観察領域全体を走査する、送信/受信ステップと、」を「および前記観察領域全体を走査し、前記n個の基本入射波の各基本入射波E0i(t)は、複数の時間信号によって表され、各時間信号は、前記複数の音響トランスデューサの1つの音響トランスデューサで前記基本入射波E0i(t)を表す、送信/受信ステップと、」に限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)独立特許要件について
本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明1」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

ア 本願補正発明
本願補正発明1は、前記「2(1)」に記載したとおりのものである。

イ 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前である平成11年6月15日に頒布された刊行物である「特開平11-155867号公報」(以下「引用例」という。)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般にディジタル超音波イメージング・システムに関するものであり、更に詳しくは超音波像の見かけの音響フレーム速度を増大するための方法および装置に関するものである。」

(イ)「【0007】
【発明の概要】本発明は、1つの像フレーム当りの送信事象の数を低減することによって医用超音波イメージングにおけるフレーム速度を著しく増大するための方法および装置に関するものである。具体的に述べると、空間的に符号化された送信事象を使用してSNRを改善しながら高いフレーム速度の医用イメージングが実行される。完全な1組の散乱データは、例えば全てのM個の送信素子およびN個の受信素子に対して、m番目の送信素子のようなフェーズド・アレイの1つのトランスジューサ素子から送信されて、媒体によって散乱され、その後にn番目の受信素子で受信される超音波パルスの時間的経歴を捕捉する。全ての送信素子から同時に送信しながら、このm→n素子散乱データが抽出される。個別のm→n素子散乱データは、送信信号が可逆(invertible)符号、好ましくはアダマール(Hadamard)符号のような直交位相符号で空間的に符号化される場合、回復させることが出来る。
【0008】本発明の好ましい実施態様では、トランスジューサ・アレイのM個の送信素子からM組の符号化された信号が1組ずつ順次送信される。各送信において、M個の送信素子の全てが特定の組の符号化に従って同時に作動される。その結果得られた散乱データがM個の送信事象の各々に対して記憶される。記憶された散乱データはその後、個々の素子情報を得るために符号化マトリクスの逆マトリクスにより復号される。」

(ウ)「【0011】本発明の好ましい実施態様では、トランスジューサ・アレイのM個の送信素子からM組の符号化された信号が1組ずつ順次送信される。各送信において、M個の送信素子の全てが可逆符号化マトリクスのそれぞれの列内の符号化に従って同時に作動される。その結果得られた散乱データがその後、符号化マトリクスの逆マトリクスにより復号されて、全てのM個の送信素子およびN個の受信素子に対して、m番目の送信素子から送信されて、媒体によって散乱され、その後にn番目の受信素子で受信された超音波パルスの時間的経歴を表す完全な1組の散乱データを得る。
【0012】各々の送信事象において、符号化された送信素子の数はMに等しく且つ受信素子の数はNに等しく、ここで送信事象の数K=Mである。復号した後の受信信号振幅はMS_(O) であり、ノイズ標準偏差はM^(1/2) σに等しい。復号後、M×Nの完全なデータ組について和をとることによりビーム形成が行われる。この結果得られる信号対ノイズ比は次のようにSNR=MN^(1/2) (S_(O) /σ)である。
【0013】従って、本発明の空間的符号化プロセスは、完全な散乱データの収集のためのSNRを、同じ数の送信事象のために一度に1つの素子からの送信を使用してデータを測定することによって得られる場合のSNRに比べて10 log(M)デシベル増大させる。」

(エ)「【0014】図2は、本発明を取り入れた超音波イメージング・システムを示す。このシステムは、複数の別々に駆動されるトランスジューサ素子12a-12nで構成されたトランスジューサ・アレイ10を有する。各々のトランスジューサ素子は、それぞれのパルサ/受信器14によって発生されたパルス波形によって付勢されたときに超音波エネルギのバーストを生じる。検査中の物体からトランスジューサ・アレイ10に反射されて戻った超音波エネルギは各々の受信トランスジューサ素子によって電気信号に変換されて、それぞれのパルサ/受信器14に別々に印加される。パルサ/受信器14は、操作員の命令に応答するディジタル制御器16の制御の下に動作する。
【0015】L≧Mとして、L個のトランスジューサ素子より成るトランスジューサ・アレイの中にM個の送信素子があると仮定すると、K=M個の送信事象の各々の際にM個の送信素子が同時に作動されて、集束されていない超音波を送出する。各々の送信事象のために、異なるM素子符号ベクトルが制御器16によってパルサ/受信器に供給されて、送信素子を駆動する。M個のM素子符号ベクトルが、可逆であるM×MマトリクスQの列を形成する。マトリクスQ^(-1)は列q_(1) ,q_(2) ,....,q_(M) を持つ。
【0016】m=1,2,....,Mとし、n=1,2,....,Nとして、各々の送信事象nにおいて、後方散乱信号R_(mn)(t)が1組N個の受信素子で電気信号に変換される。これらの電気信号はそれぞれのパルサ/受信器14によって増幅されて、それぞれのアナログ-ディジタル(A/D)変換器18に送られる(図2参照)。各々の送信事象において、ディジタル化された信号は制御器16の制御の下にランダム・アクセス・メモリ(RAM)20に記憶される。1つの像フレームに対応するK個の送信事象が完了したとき、RAM20に記憶されているデータが検索されて、ディジタル信号プロセッサ22によって別のデータ組D_(mn)(t)に変換すなわち復号される。ディジタル信号プロセッサ22はまた、復号された像データについてビーム形成を行う。この復号されビーム形成された像データは次いでビデオまたは表示モニタ24上で1つの像フレームとして表示される。このプロセスは、トランスジューサ・アレイで関心のある領域または体積を走査するとき相次ぐ像フレームを作成するように繰り返される。
【0017】データ組D_(mn)(t)は以下の式に従って変換される。
【0018】
【数1】

【0019】この変換は、各々の送信事象が1群のM=K個の素子で送信される1組のK個の送信事象を復号して、1つのデータ組を得る。この場合、送信素子は分離される、すなわちデータ組D_(mn)(t)が送信素子mから送信されて受信素子nで受信された信号に対応する。
【0020】復号されたデータ組D_(mn)(t)は共焦点像を形成するようにビーム形成されることが出来る。図3に示されている各々の位置pに対する復号されたデータは次の式に従ってビーム形成される。
【0021】
【数2】

【0022】上式で、τ_(mp)は送信パルスがm番目の送信素子から位置pまで伝搬する時間であり、τ_(pn)は散乱されるパルスが位置pからn番目の受信素子まで伝搬する時間であり、a_(mn)はm番目の送信素子およびn番目の受信素子に対するアポダイゼーション(apodization)関数である。
【0023】復号されたデータ組は、M個の送信素子の各々で送信し且つ各送信事象に対してN個の受信素子の全部で受信することによって得られるものと同じ情報(完全なデータ)を含んでおり、但しSNRが10 log(M)デシベル増大している。
【0024】符号化マトリクスとして任意の可逆マトリクスを使用することが出来るが、符号化マトリクスとしてアダマール・マトリクスを選ぶのが有益である。アダマール・マトリクスの要素は+1または-1のいずれかであり、これらは送信電子回路において位相の反転として容易に実施し得る。対称アダマール・マトリクスの逆マトリクスは、単にそれ自身をスケーリングしたもの、すなわちQ_(N)^(-1 )=(1/N)Qである。一般的に、復号プロセスは受信データ組についてM(M-1)の演算(加算および乗算)を含む。しかしながら、アダマール符号の場合、復号はM log_(2) Mの演算(加算のみ)で実行される。アダマール・マトリクスは下記のような繰返しで作成することが出来る。
【0025】
【数3】

【0026】アダマール・マトリクスを使用したM=4の場合の簡単な例を図4乃至図7に示す。図4乃至図7は、4個の相次ぐ送信事象の各々に対するアレイ内の4個の送信素子の符号化されたパルス駆動を表す。アダマール・マトリクスの+1および-1の要素はパルサ/受信器(図4乃至図7には図示していない)によって反対の位相のパルスに変換される。これらのパルスはP(t)または-p(t)のいずれかで表されている。具体的に述べると、送信素子12a-12dが次のアダマール符号ベクトルを使用して駆動される。すなわち、第1の送信事象ではアダマール符号ベクトル[+1 +1 +1 +1] を使用し(図4参照)、第2の送信事象でアダマール符号ベクトル[+1 -1 +1 -1] を使用し(図5参照)、第3の送信事象でアダマール符号ベクトル[+1 +1 -1 -1] を使用し(図6参照)、第4の送信事象ではアダマール符号ベクトル[+1 -1 -1 +1] を使用する(図7参照)。第1の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、4つの受信データ組の全てを加算し、その結果を4で割ることより成る。第2の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、第1および第3の受信データ組を加算して得た和から残りの受信データ組を減算し、次いでその結果を4で割ることより成る。第3の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、第1および第2の受信データ組を加算して得た和から残りの受信データ組を減算し、次いでその結果を4で割ることより成る。最後に、第4の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、第1および第4の受信データ組を加算して得た和から残りの受信データ組を減算し、次いでその結果を4で割ることより成る。」

(オ)「【図2】



(カ)「【図4】



(キ)「【図5】



(ク)「【図6】



(ケ)「【図7】



(コ)[0026]の記載からして図4ないし図7には、「送信素子12a-12dのそれぞれの素子から、P(t)または-P(t)のパルスが送信されること」が図示されていると認められる。

上記引用例の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ディジタル超音波イメージング・システムの超音波像の見かけの音響フレーム速度を増大するための方法において、
超音波イメージング・システムは、複数の別々に駆動されるトランスジューサ素子12a-12nで構成されたトランスジューサ・アレイ10を有し、
各々のトランスジューサ素子は、それぞれのパルサ/受信器14によって発生されたパルス波形によって付勢されたときに超音波エネルギのバーストを生じ、検査中の物体からトランスジューサ・アレイ10に反射されて戻った超音波エネルギは各々の受信トランスジューサ素子によって電気信号に変換されて、それぞれのパルサ/受信器14に別々に印加され、パルサ/受信器14は、操作員の命令に応答するディジタル制御器16の制御の下に動作するものであり、
m=1,2,....,Mとし、n=1,2,....,Nとして、各々の送信事象nにおいて、後方散乱信号R_(mn)(t)が1組N個の受信素子で電気信号に変換され、これらの電気信号はそれぞれのパルサ/受信器14によって増幅されて、それぞれのアナログ-ディジタル(A/D)変換器18に送られ、各々の送信事象において、ディジタル化された信号は制御器16の制御の下にランダム・アクセス・メモリ(RAM)20に記憶され、1つの像フレームに対応するK個の送信事象が完了したとき、RAM20に記憶されているデータが検索されて、ディジタル信号プロセッサ22によって別のデータ組D_(mn)(t)に変換すなわち復号され、ディジタル信号プロセッサ22はまた、復号された像データについてビーム形成を行い、この復号されビーム形成された像データは次いでビデオまたは表示モニタ24上で1つの像フレームとして表示されるものであり、
アダマール・マトリクスを使用したM=4の場合、K=M個の送信事象の各々の際にM個の送信素子が同時に作動されて、集束されていない超音波を送出するものであり、4個の相次ぐ送信事象の各々に対するアレイ内の4個の送信素子の符号化されたパルス駆動は、アダマール・マトリクスの+1および-1の要素はパルサ/受信器によって反対の位相のパルスに変換され、これらのパルスはP(t)または-p(t)のいずれかで表されており、送信素子12a-12dのそれぞれの素子から、P(t)または-P(t)のパルスが送信され、送信素子12a-12dが次のアダマール符号ベクトルを使用して駆動され、すなわち、第1の送信事象ではアダマール符号ベクトル[+1 +1 +1 +1] を使用し、第2の送信事象でアダマール符号ベクトル[+1 -1+1 -1] を使用し)、第3の送信事象でアダマール符号ベクトル[+1 +1 -1 -1] を使用し、第4の送信事象ではアダマール符号ベクトル[+1 -1 -1 +1] を使用するものであり、
対称アダマール・マトリクスの逆マトリクスは、単にそれ自身をスケーリングしたもの、すなわちQ_(N)^(-1 )=(1/N)Qであるから、第1の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、4つの受信データ組の全てを加算し、その結果を4で割ることより成り、第2の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、第1および第3の受信データ組を加算して得た和から残りの受信データ組を減算し、次いでその結果を4で割ることより成り、第3の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、第1および第2の受信データ組を加算して得た和から残りの受信データ組を減算し、次いでその結果を4で割ることより成り、最後に、第4の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、第1および第4の受信データ組を加算して得た和から残りの受信データ組を減算し、次いでその結果を4で割ることより成るものであり、復号されたデータ組は、M個の送信素子の各々で送信し且つ各送信事象に対してN個の受信素子の全部で受信することによって得られるものと同じ情報(完全なデータ)を含んでいる、
方法。」

ウ 対比
本願補正発明1を、引用発明と比較する。比較するにあたり、本願補正発明1の「ここでnは少なくとも2に等しい自然数」について、nを4として引用発明と比較する。
引用発明における「ディジタル超音波イメージング・システム」を用い
て「超音波像」を作成する「ディジタル超音波イメージング・システムの超音波像の見かけの音響フレーム速度を増大するための方法」は、本願補正発明1における「音響撮像方法」に相当する。

「(a)送信/受信ステップ」について
(イ)引用発明における「トランスジューサ素子12a-12n」は、本願補正発明1における「音響トランスデューサ」に相当する。
(ウ)引用発明における「トランスジューサ素子12a-12nで構成されたトランスジューサ・アレイ10」は、本願補正発明1における「音響トランスデューサの配列(2)」に相当する。
(エ)引用発明における「検査中の物体」は、「超音波イメージング・システム」により「超音波像」を作成するために測定される対象であるから、本願補正発明1における「撮像されるべき媒体(1)」に相当する。
(オ)引用発明の「4個の相次ぐ送信事象」は、「超音波イメージング・システム」により「超音波像」を作成するために「検査中の物体」に「第1の送信事象」、「第2の送信事象」、「第3の送信事象」及び「第4の送信事象」を相次いで送信するものであるから、本願補正発明1における「撮像されるべき媒体(1)の一部である観察領域内に一連の」4「個の入射音波」「を連続して送信」する「送信ステップ」に相当する。
(カ)引用発明の「各々の送信事象nにおいて、後方散乱信号R_(mn)(t)が1組N個の受信」「トランスジューサ」「素子で電気信号に変換され、これらの電気信号はそれぞれのパルサ/受信器14によって増幅されて、それぞれのアナログ-ディジタル(A/D)変換器18に送られ、各々の送信事象において、ディジタル化された信号は制御器16の制御の下にランダム・アクセス・メモリ(RAM)20に記憶され」ることは、本願補正発明1における「音響トランスデューサの前記配列は、前記n個の入射音波」「の前記送信に続いて撮像されるべき前記媒体によってそれぞれ反射されるn個の反射波」「を検出する」「/受信ステップ」に相当する。
(キ)引用発明における「P(t)または-P(t)のパルス」は、「送信素子12a-12dのそれぞれの素子から、」「検査中の物体」に「送信され」るものであるから、本願補正発明1における「音響トランスデューサの前記配列(2)の複数の音響トランスデューサによって送信され、および観察領域全体を走査し」、「複数の時間信号によって表され」「複数の音響トランスデューサの1つの音響トランスデューサで」「表され」る「各基本入射波E0i(t)」に相当する。
(ク)引用発明では「送信素子12a-12dが次のアダマール符号ベクトルを使用して駆動され、すなわち、第1の送信事象ではアダマール符号ベクトル[+1 +1 +1 +1] を使用し、第2の送信事象でアダマール符号ベクトル[+1 -1+1 -1] を使用し)、第3の送信事象でアダマール符号ベクトル[+1 +1 -1 -1] を使用し、第4の送信事象ではアダマール符号ベクトル[+1 -1 -1 +1] を使用するものであ」り、「送信素子12a-12dのそれぞれの素子から、P(t)または-P(t)のパルスが送信され」ることから、

第1の送信事象= P(t)<12a送信> + P(t)<12b送信>
+ P(t)<12c送信> + P(t)<12d送信>
第2の送信事象= P(t)<12a送信> +-P(t)<12b送信>
+ P(t)<12c送信> +-P(t)<12d送信>
第3の送信事象= P(t)<12a送信> + P(t)<12b送信>
+-P(t)<12c送信> +-P(t)<12d送信>
第4の送信事象= P(t)<12a送信> +-P(t)<12b送信>
+-P(t)<12c送信> + P(t)<12d送信>

ということになり、第1?第4の送信事象を1つのベクトル(1-4送信事象)、<12a送信>?<12d送信>を1つのベクトル(12a-d送信)とし、4×4行列を(Hc)とすると、

ベクトル(1-4送信事象)= 行列(Hc)× ベクトル(12a-d送信)

(Hc)= 1 1 1 1
1 -1 1 -1
1 1 -1 -1
1 -1 -1 1
(注:行列を表す 大かっこ は システム上記載できない)
となり、行列(Hc)は4×4アダマール・マトリクスとなる。
以上のことから、引用発明における「送信素子12a-12dが次のアダマール符号ベクトルを使用して駆動され、すなわち、第1の送信事象ではアダマール符号ベクトル[+1 +1 +1 +1] を使用し、第2の送信事象でアダマール符号ベクトル[+1 -1+1 -1] を使用し)、第3の送信事象でアダマール符号ベクトル[+1 +1 -1 -1] を使用し、第4の送信事象ではアダマール符号ベクトル[+1 -1 -1 +1] を使用するものであ」り、「送信素子12a-12dのそれぞれの素子から、P(t)または-P(t)のパルスが送信され」ることは、本願補正発明1における、
4「個の入射音波の各々は、」4「個の基本的な入射波E0i(t)を次の式に対応する方法で線形結合することによって得られ、
【数1】


ここで、Hcは、次数」4「の正方行列であり、
【数2】


は、成分として前記」4「個の入射音波を有するベクトルであり、
【数3】


は、成分として前記」4「個の基本入射波E0i(t)を有するベクトルであ」ること、
に相当する。

「(b)復号化ステップ」について
(ケ)引用発明では、「第1の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、4つの受信データ組の全てを加算し、その結果を4で割ることより成り、第2の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、第1および第3の受信データ組を加算して得た和から残りの受信データ組を減算し、次いでその結果を4で割ることより成り、第3の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、第1および第2の受信データ組を加算して得た和から残りの受信データ組を減算し、次いでその結果を4で割ることより成り、最後に、第4の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、第1および第4の受信データ組を加算して得た和から残りの受信データ組を減算し、次いでその結果を4で割ることより成るものである」ことから、

第1の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組
= 1/4*( 第1の受信データ組 + 第2の受信データ組
+ 第3の受信データ組 + 第4の受信データ組)
第2の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組
= 1/4*( 第1の受信データ組 - 第2の受信データ組
+ 第3の受信データ組 - 第4の受信データ組)
第3の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組
= 1/4*( 第1の受信データ組 + 第2の受信データ組
- 第3の受信データ組 - 第4の受信データ組)
第4の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組
= 1/4*( 第1の受信データ組 - 第2の受信データ組
- 第3の受信データ組 + 第4の受信データ組)

ということになり、第1?第4の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を1つのベクトル(1-4のみの等価データ組)、第1?4の受信データ組を1つのベクトル(1-4受信データ組)とし、4×4行列を(Hd)とすると、

ベクトル(1-4のみの等価データ組)= 行列(Hd)
× ベクトル(1-4受信データ組)

(Hd)=(1/4)* 1 1 1 1
1 -1 1 -1
1 1 -1 -1
1 -1 -1 1
(注:行列を表す 大かっこ は システム上記載できない)
となり、行列(Hd)は4×4アダマール・マトリクスの逆マトリクスとなる。前記(ク)の行列(Hc)と前記行列(Hd)とは、行列と逆行列の関係になっていることから、HcとHdをかけると、対角要素が全て1でそれ以外の要素は0の4×4の対角行列となる。
以上のことから、引用発明における「第1の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、4つの受信データ組の全てを加算し、その結果を4で割ることより成り、第2の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、第1および第3の受信データ組を加算して得た和から残りの受信データ組を減算し、次いでその結果を4で割ることより成り、第3の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、第1および第2の受信データ組を加算して得た和から残りの受信データ組を減算し、次いでその結果を4で割ることより成り、最後に、第4の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組を作成するための復号は、第1および第4の受信データ組を加算して得た和から残りの受信データ組を減算し、次いでその結果を4で割ることより成るものである」ことは、本願補正発明1における
「復号化ステップであって、そのステップの間に、」4「個の基本反射波R0i(t)は、検出された前記」4「個の反射波Ri(t)を線形結合することによって決定され、式(2)に対応し、
【数4】

式(2)

ここで、Hdは次数」4「の正方行列であって、行列HcおよびHdは、Hc.Hd=Dとなるようなものであり、Dは、全ての対角要素diiが非ゼロである次数」4「の対角行列であり、
【数5】


は、成分として前記」4「個の反射波を有するベクトルであり、
【数6】


は、成分として前記」4「個の基本反射波を有するベクトルである、復号化ステップ」に相当する。

「(c)画像構築ステップ」について
(コ)引用発明における「この復号されビーム形成された像データは次いでビデオまたは表示モニタ24上で1つの像フレームとして表示される」ことは、前記(ケ)で、復号により作成される第1?第4の送信素子だけがファイヤリングされる場合における等価なデータ組のベクトルが、本願補正発明1における4個の基本反射波を有するベクトルに相当することから、本願補正発明1における「そのステップの間に、合成画像は、前記4個の基本反射波R0i(t)から生成される、画像構築ステップ」に相当する。

すると、本願補正発明1と、引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「音響撮像方法であって、前記方法は、
(a)送信/受信ステップであって、そのステップの間に、音響トランスデューサの配列(2)が、撮像されるべき媒体(1)の一部である観察領域内に一連の4個の入射音波Ei(t)を連続して送信し、および音響トランスデューサの前記配列は、前記4個の入射音波Ei(t)の前記送信に続いて撮像されるべき前記媒体によってそれぞれ反射される4個の反射波Ri(t)を検出する、送信/受信ステップであって、
前記4個の入射音波の各々は、4個の基本的な入射波E0i(t)を次の式に対応する方法で線形結合することによって得られ、
【数1】

式(1)

ここで、Hcは、次数4の正方行列であり、
【数2】


は、成分として前記4個の入射音波を有するベクトルであり、
【数3】


は、成分として前記4個の基本入射波E0i(t)を有するベクトルであり、
前記4個の基本入射波の各基本入射波E0i(t)は、音響トランスデューサの前記配列(2)の複数の音響トランスデューサによって送信され、および観察領域全体を走査し、
前記4個の基本入射波の各基本入射波E0i(t)は、複数の時間信号によって表され、各時間信号は、前記複数の音響トランスデューサの1つの音響トランスデューサで前記基本入射波E0i(t)を表す、
送信/受信ステップと、
(b)復号化ステップであって、そのステップの間に、4個の基本反射波R0i(t)は、検出された前記4個の反射波Ri(t)を線形結合することによって決定され、式(2)に対応し、
【数4】

式(2)

ここで、Hdは次数4の正方行列であって、行列HcおよびHdは、Hc.Hd=Dとなるようなものであり、Dは、全ての対角要素diiが非ゼロである次数4の対角行列であり、
【数5】


は、成分として前記4個の反射波を有するベクトルであり、
【数6】


は、成分として前記4個の基本反射波を有するベクトルである、復号化ステップと、
(c)画像構築ステップであって、そのステップの間に、合成画像は、前記4個の基本反射波R0i(t)から生成される、画像構築ステップと、
を含む、方法。」

一方で、両者は、次の点で相違する。
<相違点>
本願補正発明1では「前記4個の基本入射波は、平面波または発散波または4個の異なる波面をそれぞれ有する空間において異なる点に集束された波であ」るのに対し、引用発明における送信素子12a-12dのそれぞれの素子から送信されるP(t)または-P(t)のパルスがそのような構成を備えているのか明示がない点。

エ 判断
前記「ウ」で記載した相違点について判断する。
(ア)引用発明は、ディジタル超音波イメージング・システムであり、複数の別々に駆動されるトランスジューサ素子12a-12nで構成されたトランスジューサ・アレイ10を有している。そのトランスジューサ素子1つがP(t)または-P(t)のパルスで駆動した場合は、トランスジューサ素子の外部に向けて振動波が発せられており、発信源が1つの場合の振動波は、発信源を中心とした発散波となるのものである。
(イ)したがって、引用発明においても、送信素子12a-12dのそれぞれの素子から送信されるP(t)または-P(t)のパルスは、検査中の物体に対し発散波を生じさせているといえる。
(ウ)以上のことから、前記相違点は、実質的な相違点でない。
(エ)ゆえに、本願補正発明1は引用発明である。
(オ)また、引用発明は、「送信素子12a-12d」と4つであるが、引用発明の方法は、送信素子が4以外の少なくとも2に等しい自然数の個数でも成り立つものであるから、本願補正発明1の「ここでnは少なくとも2に等しい自然数」が4以外の数としても、引用発明と実質的に相違点がないか、あるいは、送信素子を4以外の少なくとも2に等しい自然数の個数とすることは当業者が容易になし得たことである。

オ 小括
したがって、本願補正発明1は、引用発明である、又は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

3 本願発明について
(1)本願発明1
令和2年3月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、本願出願時の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
音響撮像方法であって、前記方法は、
(a)送信/受信ステップであって、そのステップの間に、音響トランスデューサの配列(2)が、撮像されるべき媒体(1)の一部である観察領域内に一連のn個の入射音波Ei(t)を連続して送信し、および音響トランスデューサの前記配列は、前記n個の入射波の前記送信に続いて撮像されるべき前記媒体によってそれぞれ反射されるn個の反射波Ri(t)を検出する、送信/受信ステップであって、ここでnは少なくとも2に等しい自然数であり、
前記入射音波は、n個の基本的な入射波E0i(t)を次の式に対応する方法で線形結合することによって得られ、
【数1】

式(1)

ここで、H_(c)は、次数nの正方行列であり、
【数2】


は、成分として前記n個の入射音波を有するベクトルであり、
【数3】


は、成分として前記n個の基本入射波を有するベクトルであり、前記基本入射波は、平面波または発散波またはn個の異なる波面をそれぞれ有する空間において異なる点に集束された波であり、
各基本入射波は、音響トランスデューサの前記配列(2)の複数の音響トランスデューサによって送信され、および前記観察領域全体を走査する、
送信/受信ステップと、
(b)復号化ステップであって、そのステップの間に、n個の基本反射波R0_(i)(t)は、検出された前記n個の反射波R_(i)(t)を線形結合することによって決定され、式(2)に対応し、
【数4】

式(2)

ここで、H_(d)は次数nの正方行列であって、行列H_(c)およびH_(d)は、Hc.Hd = Dとなるようなものであり、Dは、全ての対角要素d_(ii)が非ゼロである次数nの対角行列であり、
【数5】


は、成分として前記n個の反射波を有するベクトルであり、
【数6】


は、成分として前記n個の基本反射波を有するベクトルである、復号化ステップと、
(c)画像構築ステップであって、そのステップの間に、合成画像は、前記n個の基本反射波RO_(i)(t)から生成される、画像構築ステップと、
を含む、方法。」

(2)原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1ないし3,5ないし7に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、この出願の請求項1ないし7に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開平11-155867号公報

(3)引用された電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明
原査定の拒絶の理由で引用された刊行物に記載された発明並びにその記載事項は、前記「2(3)イ」に記載したとおりである。

(4)対比・判断
本願発明は、前記「2(3)」で検討した本願補正発明1から、「n個の入射音波Ei(t)」を「n個の入射波」にもどし、「前記n個の入射音波の各々は」を「前記入射音波は」にもどし、「前記n個の入射音波」を「前記n個の入射波」にもどし、「基本入射波E0i(t)」を「基本入射波」にもどし、「前記n個の基本入射波は」を「前記基本入射波は」にもどし、「前記n個の基本入射波の各基本入射波E0i(t)は」を「各基本入射波は」にもどし、「および前記観察領域全体を走査し、前記n個の基本入射波の各基本入射波E0i(t)は、複数の時間信号によって表され、各時間信号は、前記複数の音響トランスデューサの1つの音響トランスデューサで前記基本入射波E0i(t)を表す、送信/受信ステップと、」を「および前記観察領域全体を走査する、送信/受信ステップと、」にもどし、拡張した構成としたものである。
そうすると、本願発明1の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明1が、前記「2(3)」に記載したとおり、引用発明であるか、又は引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も、同様の理由により、引用発明であるか、又は引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 令和2年7月17日付け上申書に記載された補正案について
請求人は、令和2年7月17日付け上申書において、さらなる補正を行う用意があることを述べている。
その用意されたさらなる補正の補正案において、令和2年3月30日付け手続補正書による補正後の請求項1及び請求項6の
「前記n個の基本入射波の各基本入射波E0i(t)は、複数の時間信号によって表され、各時間信号は、前記複数の音響トランスデューサの1つの音響トランスデューサで前記基本入射波E0i(t)を表す、」
という記載を
「前記入射音波の各々は、複数の時間信号によって表され、各時間信号は、前記トランスデューサ配列の一部であるトランスデューサにおける前記音波を表す、」
という記載に変更することを提示している。
上記補正案は、令和2年4月27日作成日の前置報告書の指摘である特許法第36条第6項第1,2号及び第36条第4項1号に規定する要件を満たしていない点を解消するために作成されたものであると認められる。
しかしながら、令和2年3月30日付け手続補正書による補正後の請求項1に係る発明である本願補正発明1は、前記「2(3)」での引用発明との対比で検討したとおりすでに明確であるので、前記上申書に記載された補正案は、前記「2(3)」で検討した特許法第29条第1項3号又は特許法第29条第2項に該当するか否かの判断においては考慮されないし、たとえ前記補正案通りに補正したとしても、前記「2(3)」での検討結果が変わるものでもない。

5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明である、又は、引用例に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は同条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-08-03 
結審通知日 2020-08-04 
審決日 2020-08-21 
出願番号 特願2017-516277(P2017-516277)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
P 1 8・ 575- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森口 正治  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
伊藤 幸仙
発明の名称 音響撮像方法および装置  
代理人 森下 賢樹  
代理人 森下 賢樹  
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