ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 B25J 審判 全部申し立て 2項進歩性 B25J |
---|---|
管理番号 | 1369987 |
異議申立番号 | 異議2020-700081 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-02-14 |
確定日 | 2020-11-11 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6558849号発明「パラレルロボット」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6558849号の明細書及び特許請求の範囲を,訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。 特許第6558849号の請求項1,3ないし8に係る特許を維持する。 特許第6558849号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6558849号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし8に係る特許についての出願は,平成27年9月14日に出願され,令和1年7月26日にその特許権の設定登録がされ,令和1年8月14日に特許掲載公報が発行された。 そして,本件特許異議の申立ての経緯は,次のとおりである。 令和 2年 2月14日 :特許異議申立人 藤江 桂子(以下 「異議申立人」という。)による請求項1 ないし8に係る特許に対する特許異議 の申立て 令和 2年 5月11日付け:取消理由通知書 令和 2年 7月 1日 :特許権者 株式会社ミツバ(以下 「特許権者」という。)による意見書及び 訂正請求書の提出 なお,当審は,異議申立人に対して期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが,異議申立人は応答しなかった。 第2 訂正の適否 1.訂正の内容 令和2年7月1日付け訂正請求書によってされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正事項は,以下のとおりである。(なお,下線部は,訂正事項について,特許権者が付したものである。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に, 「ベース部と, 該ベース部の一面側に周方向に等間隔で配置された3つのリンク機構と, 前記ベース部に配置され,前記3つのリンク機構の基端側に別々に連結されている3つの駆動部と, 該3つのリンク機構の先端側に設けられ,3つの前記先端側と回動自在に連結されている可動部と, を備え, 前記3つの駆動部は,該駆動部の駆動軸が前記ベース部の面方向に沿うように配置されていると共に, 前記3つの駆動部のうちの第1駆動部および第2駆動部は,前記リンク機構の前記基端側の同一の一側面に配置されている一方,前記3つの駆動部のうちの第3駆動部は,前記リンク機構の前記基端側の前記一側面とは反対側の他側面に配置されていることを特徴とするパラレルロボット。」とあるのを, 「ベース部と, 該ベース部の一面側に周方向に等間隔で配置された3つのリンク機構と, 前記ベース部に配置され,前記3つのリンク機構の基端側に別々に連結されている3つの駆動部と, 該3つのリンク機構の先端側に設けられ,3つの前記先端側と回動自在に連結されている可動部と, を備え, 前記3つの駆動部は,該駆動部の駆動軸が前記ベース部の面方向に沿うように配置されていると共に, 前記3つの駆動部のうちの第1駆動部および第2駆動部は,前記リンク機構の前記基端側の同一の一側面に配置されている一方,前記3つの駆動部のうちの第3駆動部は,前記リンク機構の前記基端側の前記一側面とは反対側の他側面に配置されており, 前記3つのリンク機構は,前記ベース部の法線方向からみて放射状に設けられており, 隣り合う2つの前記リンク機構の間のうち,前記駆動部が存在しない領域に対応する前記ベース部の一辺は,前記領域を形成する2つの前記リンク機構の前記領域側の側面と,対応する前記駆動軸の中心とが交差する点同士を結んだ直線よりも前記領域とは反対の内側に形成されていることを特徴とするパラレルロボット。」 に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2?8も同様に訂正する。なお,請求項2は,下記のとおり,削除される。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に,「・・・を特徴とする請求項2に記載のパラレルロボット。」とあるのを「・・・を特徴とする請求項1に記載のパラレルロボット。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に,「・・・を特徴とする請求項1?請求項4の何れか1項に記載のパラレルロボット。」とあるのを 「・・・を特徴とする請求項1,請求項3,請求項4の何れか1項に記載のパラレルロボット。」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項7に,「・・・を特徴とする請求項1?請求項6の何れか1項に記載のパラレルロボット。」とあるのを 「・・・を特徴とする請求項1または請求項3?請求項6の何れか1項に記載のパラレルロボット。」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項8に,「・・・を特徴とする請求項1?請求項7の何れか1項に記載のパラレルロボット。」とあるのを 「・・・を特徴とする請求項1または請求項3?請求項7の何れか1項に記載のパラレルロボット。」に訂正する。 (7)訂正事項7 明細書の段落【0007】を, 「【0007】 上記の課題を解決するために,本発明に係るパラレルロボットは,ベース部と,該ベース部の一面側に周方向に等間隔で配置された3つのリンク機構と,前記ベース部に配置され,前記3つのリンク機構の基端側に別々に連結されている3つの駆動部と,該3つのリンク機構の先端側に設けられ,3つの前記先端側と回動自在に連結されている可動部と,を備え,前記3つの駆動部は,該駆動部の駆動軸が前記ベース部の面方向に沿うように配置されていると共に,前記3つの駆動部のうちの第1駆動部および第2駆動部は,前記リンク機構の前記基端側の同一の一側面に配置されている一方,前記3つの駆動部のうちの第3駆動部は,前記リンク機構の前記基端側の前記一側面とは反対側の他側面に配置されており,前記3つのリンク機構は,前記ベース部の法線方向からみて放射状に設けられており,隣り合う2つの前記リンク機構の間のうち,前記駆動部が存在しない領域に対応する前記ベース部の一辺は,前記領域を形成する2つの前記リンク機構の前記領域側の側面と,対応する前記駆動軸の中心とが交差する点同士を結んだ直線よりも前記領域とは反対の内側に形成されていることを特徴とする。」に訂正する。 (8)訂正事項8 明細書の段落【0009】の記載を削除する。 2.訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 訂正事項1は,一群の請求項〔1-8〕について請求されたものであるところ,訂正前の請求項2の発明特定事項を訂正前の請求項1に付加するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2 訂正事項2は,請求項を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。 (3)訂正事項3 訂正事項3は,訂正前の請求項3が請求項2を引用していたところ,上記訂正事項1及び2の,訂正前の請求項2の発明特定事項が請求項1に付加され,該請求項2が削除される訂正により生じた不合理を正すことを目的として,訂正後の請求項3が請求項1を引用するものとする訂正であるから,明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。 (4)訂正事項4-6 訂正事項4-6は,訂正前の請求項5,7-8について,請求項2を引用しないものとする訂正であり,多数項を引用している請求項の引用請求項数の削減を目的とするものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。 (5)訂正事項7-8 訂正事項7-8は,上記訂正事項1及び2の,訂正前の請求項2の発明特定事項が請求項1に付加され,該請求項2が削除される訂正に伴い,特許請求の範囲と整合させるために行う明細書の訂正であるから,明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。 3.小括 上記のとおり,訂正事項1ないし8に係る訂正は,特許法120条の5第2項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。 したがって,本件特許明細書及び特許請求の範囲を,訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件特許発明 <本件特許発明1ないし8> 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし8に係る発明(以下,各請求項に係る発明を「本件特許発明1」などといい,特許発明1ないし8をまとめて「本件特許発明」という。)は,訂正特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 【請求項1】 ベース部と, 該ベース部の一面側に周方向に等間隔で配置された3つのリンク機構と, 前記ベース部に配置され,前記3つのリンク機構の基端側に別々に連結されている3つの駆動部と, 該3つのリンク機構の先端側に設けられ,3つの前記先端側と回動自在に連結されている可動部と, を備え, 前記3つの駆動部は,該駆動部の駆動軸が前記ベース部の面方向に沿うように配置されていると共に, 前記3つの駆動部のうちの第1駆動部および第2駆動部は,前記リンク機構の前記基端側の同一の一側面に配置されている一方,前記3つの駆動部のうちの第3駆動部は,前記リンク機構の前記基端側の前記一側面とは反対側の他側面に配置されており, 前記3つのリンク機構は,前記ベース部の法線方向からみて放射状に設けられており, 隣り合う2つの前記リンク機構の間のうち,前記駆動部が存在しない領域に対応する前記ベース部の一辺は,前記領域を形成する2つの前記リンク機構の前記領域側の側面と,対応する前記駆動軸の中心とが交差する点同士を結んだ直線よりも前記領域とは反対の内側に形成されていることを特徴とするパラレルロボット。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 前記ベース部に,ワークを検出する検出手段が前記領域を臨むように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパラレルロボット。 【請求項4】 前記検出手段は,前記ワークを認識可能なカメラであることを特徴とする請求項3に記載のパラレルロボット。 【請求項5】 前記駆動部は,ブラケットを介して前記ベース部に固定されており, 前記ブラケット,および前記リンク機構の前記基端側には,それぞれ前記駆動軸に対する前記リンク機構の原点位置を決めるための調整部が設けられていることを特徴とする請求項1,請求項3,請求項4の何れか1項に記載のパラレルロボット。 【請求項6】 前記調整部は, 前記ブラケットと前記リンク機構の前記基端側とにそれぞれ形成された孔と, 該孔に挿通可能なピンと, を有していることを特徴とする請求項5に記載のパラレルロボット。 【請求項7】 前記リンク機構は, 前記駆動部に連結される第1アームと, 前記可動部に連結される第2アームと, 前記第1アームの先端と前記第2アームの基端とを連結する連結部と, を備え, 前記連結部は, 前記第1アームの前記先端に,厚さ方向に貫通形成された貫通孔と, 前記貫通孔に挿通される連結軸と, 前記第2アームの基端に設けられ,前記連結軸に連結される第2連結部と, を備え, 前記第2連結部は, 前記連結軸が挿入されるホルダと, 前記第2アームの前記基端に設けられ前記ホルダを回動自在に保持するジョイント部と, を備え, 前記ジョイント部と前記ホルダとの回動軸と,前記連結軸は,交差していることを特徴とする請求項1または請求項3?請求項6の何れか1項に記載のパラレルロボット。 【請求項8】 前記駆動部は,前記ベース部の前記一面に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項3?請求項7の何れか1項に記載のパラレルロボット。 第4 取消理由についての当審の判断 1.取消理由の概要 当審が令和2年5月11日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は,次のとおりである。 (1)新規性について 訂正前の請求項1に係る特許発明は,甲第2号証(「FANUC Robot M-1iA 機構部 保守説明書」,3版,日本,2014年7月,23,24,28,31,33及び37ページ)に記載された発明であって,特許法29条1項3号に該当するから,その特許は特許法29条1項の規定に違反してされたものである。 (2)進歩性について 訂正前の請求項1に係る特許発明は前記甲第2号証及び甲第3号証(「FANUC Robot M-1iA 機構部 取扱説明書」,6版,日本,平成25年7月,39及び52ページ)に記載された発明に基づいて, 訂正前の請求項5及び6に係る特許発明は前記甲第2号証,前記甲第3号証及び甲第5号証(特開昭63-278787号公報)に基づいて, 訂正前の請求項7に係る特許発明は前記甲第2号証,前記甲第3号証,前記甲第5号証,甲第7号証(特開2000-46140号公報)及び甲第8号証(特開平10-180674号公報)に基づいて, 訂正前の請求項8に係る特許発明は前記甲第2号証,前記甲第3号証,前記甲第5号証,前記甲第7号証,前記甲第8号証及び甲第9号証(特開2010-247324号公報)に基づいて, 本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,それらの特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 2.取消理由についての判断 (1)新規性についての判断 本件訂正請求により,本件特許発明1は,訂正前の請求項1に係る特許発明に訂正前の請求項2に係る特許発明の発明特定事項の全てを付加して訂正されたものであり,すなわち,実質的に訂正前の請求項2に係る特許発明と同じ発明特定事項を具備するものとなったものであり,該訂正前の請求項2に係る特許発明に対して,新規性違反の取消理由を通知していないから,本件特許発明1に係る特許を,新規性違反の取消理由によって取り消すことはできない。 なお,本件特許発明2は,本件訂正請求により削除されている。 (2)進歩性についての判断 上記(1)に示すとおり,本件訂正請求により,本件特許発明1は,実質的に訂正前の請求項2に係る特許発明と同じ発明特定事項を具備するものとなったものであり,該訂正前の請求項2に係る特許発明に対して,進歩性の取消理由を通知していないから,本件特許発明1及び本件特許発明1の構成要素の全てを包含する本件特許発明5ないし8に係る特許を,進歩性違反の取消理由によって取り消すことはできない。 なお,本件特許発明2は,本件訂正請求により削除されている。 (3)小活 したがって,当審が令和2年5月11日付けで特許権者に通知した取消理由によって,請求項1,5ないし8に係る特許を取り消すことはできない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についての当審の判断 1.特許異議申立理由の概要及び異議申立人が提出した証拠 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要及び異議申立人が提出した証拠(甲第1号証ないし甲第9号証。以下,「甲1」などという。)は,以下のとおりである。 (1)甲3に基づく特許法29条1項3号(新規性違反)の理由 訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項5に係る特許発明は,甲1及び甲2を参酌すれば,甲3に記載された発明であるから,新規性がない。(特許異議申立書14-27ページ) (2)甲4に基づく特許法29条2項(進歩性違反)の理由 訂正前の請求項1ないし8に係る特許発明は,甲4に記載された発明に甲1-3及び甲5-9に記載された技術事項を適用して当業者が容易に発明できたものであるから,進歩性がない。(特許異議申立書27-44ページ) (3)異議申立人が提出した証拠 甲1:FANUC Robot M-1iA カタログ 甲2:FANUC Robot M-1iA 機構部 保守説明書 甲3:FANUC Robot M-1iA 機構部 取扱説明書 甲4:特開2014-39977号公報 甲5:特開昭63-278787号公報 甲6:特開昭62-63303号公報 甲7:特開2000-46140号公報 甲8:特開平10-180674号公報 甲9:特開2010-247324号公報 2.甲3に基づく新規性違反の理由の検討 上記第4の2.(1)で示したとおり,本件訂正請求により,本件特許発明1は,実質的に訂正前の請求項2に係る特許発明と同じ発明特定事項を具備するものとなったものである。そして,該訂正前の請求項2及び請求項2を引用する請求項5に係る特許発明については,異議申立人は甲3に基づく新規性違反を主張していない。 したがって,本件特許発明1及び5に係る特許を甲3に基づく新規性違反の理由によって取り消すことはできない。 3.甲4に基づく進歩性の理由の検討 (1)本件特許発明1について 上記第4の2.(1)で示したとおり,本件訂正請求により,本件特許発明1は,実質的に訂正前の請求項2に係る特許発明と同じ発明特定事項を具備するものとなったものであり,異議申立人は,該訂正前の請求項2に係る特許発明について,甲4に記載された発明に,甲3及び甲1の技術事項を適用して当業者が容易に発明をできたものである旨を主張(特許異議申立書の39-40ページ)しているから,この点について検討する。 (2)甲4に記載された事項及び甲4に記載された発明 ア 甲4に記載された事項 (ア)「【0001】 この発明は,パラレルロボットに関する。」 (イ)「【0028】 図1および図2に示すように,本実施形態のパラレルロボット1は,所定の間隔を隔てて配置された2つの脚部材(2,2)と,脚部材(2,2)に取り付けられた略円盤状の基部材3と,移動部材5と,移動部可動機構10と,回動部駆動機構20と,を主に備える。なお,基部材3の外周部には,3つの切欠き溝が等ピッチにて中心に向けて形成されている。また,2つの脚部材(2,2)間には補強部材3が取り付けられている。 【0029】 移動部可動機構10は,基部材3の略外周部に等ピッチ間隔に配置された3つのリンク機構(11,11,11)と,これらのリンク機構(11,11,11)をそれぞれ駆動する3つのリンク用モータ装置(12,12,12)と,を備える。 【0030】 この移動部可動機構10はパラレルメカニズム方式にて構成されており,基部材4と移動部材5とを機械的に接続するとともに,移動部材5を基部材4に対し所定の3次元空間内を自由に,移動部材5の姿勢を変えることなく(平行状態にて)空間移動させることができる。このようにして,移動部材5は基部材4に対して空間移動可能に配置される。なお,リンク機構11と移動部材5との機械的な接合は,回転自在な接続部材13を介して行われる。」 (なお,段落【0028】及び【0029】の「基部材3」との記載は,「基部材4」の誤記と認める。) イ 甲4に記載された事項及び図面から看取できる事項 (ア)上記ア(イ)の記載事項及び図2から,3つのリンク用モータ装置12は,その駆動軸が基部材4の面方向に沿うように配置されていることが看取される。 (イ)上記ア(イ)の記載事項及び図2から,3つのリンク機構11の基端側には3つのリンク用モータ装置12が別々に連結され,3つのリンク機構11の先端側には移動部材5が回転自在に連結されていることが看取できる。また,図2から,3つのリンク用モータ装置12は,いずれも3つのリンク機構11の基端側の同一の一側面(反時計回り側の一側面)に配置されていることが看取される。 【図2】 ウ 甲4に記載された発明 上記ア及びイの事項から,甲4には,以下の発明(以下,「甲4発明」という。)が記載されているといえる。なお,括弧内には,甲4の記載に対応する本件特許発明の用語や表現等を挿入した。 <甲4発明> 「基部材4(ベース部)と, 該基部材4の一面側に周方向に等間隔で配置された3つのリンク機構11(リンク機構)と, 前記前記基部材4に配置され,前記3つのリンク機構11の基端側に別々に連結されている3つのリンク用モータ装置12(駆動部)と, 該3つのリンク機構11の先端側に設けられ,3つの前記先端側と回転自在(回動自在)に連結されている移動部材5(可動部)と, を備え, 前記3つのリンク用モータ装置12は,該リンク用モータ装置12の駆動軸が前記基部材4の面方向に沿うように配置されていると共に, 前記3つのリンク用モータ装置12は,いずれも前記3つのリンク機構11の基端側の同一の一側面に配置されており, 前記3つのリンク機構11は,前記基部材4の略外周部に等ピッチ間隔に配置されており(前記ベース部の法線方向からみて放射状に設けられており), 前記基部材4は略円盤状で,その外周部に3つの切欠き溝が等ピッチにて中心に向けて形成されているパラレルロボット1(パラレルロボット)。」 エ 甲3に記載された技術事項 甲3(52ページ)の図7.3(a)及び図7.3(b)を総合すると,甲3から,3つのリンク機構を有するロボットにおいて,3つのモータのうちの2つのモータ(A及びC)は,リンク機構の反時計回り側の側面に配置し,3つのモータのうちの1つのモータ(B)は,リンク機構の時計回り側の側面に配置するとの技術事項が看取できる。 [図7.3(a)] [図7.3(b)] オ 甲1に記載された技術事項 甲1の3ページの[知能化]欄に,「iRVision(内蔵ビジョン)のカメラを本体に内蔵できます。」と記載されているとともに,図面に,3つのリンク機構を備えるロボット本体の内部にカメラが内蔵されている様が図示されているから,甲1から,3つのリンク機構を有するロボットにおいて,カメラを本体内に内蔵するとの技術事項が看取できる。 [甲1の図面] (3)対比 本件特許発明1と甲4発明を対比すると,以下の点で一致し,以下の点で相違する。 [一致点] 「ベース部と, 該ベース部の一面側に周方向に等間隔で配置された3つのリンク機構と, 前記ベース部に配置され,前記3つのリンク機構の基端側に別々に連結されている3つの駆動部と, 該3つのリンク機構の先端側に設けられ,3つの前記先端側と回動自在に連結されている可動部と, を備え, 前記3つの駆動部は,該駆動部の駆動軸が前記ベース部の面方向に沿うように配置されていると共に, 前記3つのリンク機構は,前記ベース部の法線方向からみて放射状に設けられているパラレルロボット。」 [相違点1] 本件特許発明1は,「前記3つの駆動部のうちの第1駆動部および第2駆動部は,前記リンク機構の前記基端側の同一の一側面に配置されている一方,前記3つの駆動部のうちの第3駆動部は,前記リンク機構の前記基端側の前記一側面とは反対側の他側面に配置されて」いるのに対し,甲4発明は,3つのリンク用モータ装置12がいずれも3つのリンク機構11の基端側の同一の一側面に配置されている点。 [相違点2] 本件特許発明1は,「隣り合う2つの前記リンク機構の間のうち,前記駆動部が存在しない領域に対応する前記ベース部の一辺は,前記領域を形成する2つの前記リンク機構の前記領域側の側面と,対応する前記駆動軸の中心とが交差する点同士を結んだ直線よりも前記領域とは反対の内側に形成されている」のに対し,甲4発明では,基部材4は略円盤状で,その外周部に3つの切欠き溝が等ピッチにて中心に向けて形成されている点。 (4)判断 ア 上記相違点1について検討する。 (ア)甲4発明は,3つのリンク用モータ装置12がいずれも3つのリンク機構11の基端側の同一の一側面に配置されており,甲4の図2等を参酌すれば,3つのリンク用モータ装置12は,基部材4上で回転対称に均等に配置(以下「モータの均等配置」という。)されていることを理解できる。 (イ)これに対して,上記(2)エに示したとおり,甲3から,3つのリンク機構を有するロボットにおいて,3つのモータのうちの2つのモータは,リンク機構の反時計回り側の側面に配置し,3つのモータのうちの1つのモータは,リンク機構の時計回り側の側面に配置するとの技術事項が看取できるが,甲3には,2つのモータをリンク機構の反時計回り側に配置し,1つのモータを時計回り側に配置するという不均等な配置(以下「モータの不均等配置」という。)を採用することの利点などは明らかではない。 (ウ)そして,モータを時計回り側の側面に配置することと,反時計回り側に配置することは,勝手反対(左右反転)の関係であることが明らかであるから,当業者であれば,ロボットを製造する際にモータを取り付けるにあたり,モータの均等配置であれば,全てのモータを同様の作業動作で取り付けることができ,効率的であるのに対して,モータの不均等配置であれば,時計回り側に配置する動作と,それとは勝手反対に,反時計回り側に配置する動作が必要になり,作業手順がより複雑で非効率であることを当然に理解できるといえる。 (エ)そうすると,モータの不均等配置を採用することの利点も不明なまま,当業者が,製造の際の効率化を期待できる甲4発明に係るモータの均等配置に替えて,非効率が予測される甲3に係るモータの不均等配置を採用する動機があるとはいえない。 また,甲1-2及び甲5-9を参照しても,甲4発明に係るモータの均等配置に替えて,甲3に係るモータの不均等配置を採用する動機があるとはいえない。 したがって,甲4発明に上記甲3の技術事項を適用して,3つのリンク用モータ装置12のうちの2つは,リンク機構11の反時計回り側の側面に配置し,3つのリンク用モータ装置12のうちの残り1つは,リンク機構11の時計回り側の側面に配置するように設計変更することが,当業者にとって容易になし得るものとまではいうことができない。 イ 上記相違点2について検討する。 (ア)本件特許発明1は,「隣り合う2つの前記リンク機構の間のうち,前記駆動部が存在しない領域に対応する前記ベース部の一辺は,前記領域を形成する2つの前記リンク機構の前記領域側の側面と,対応する前記駆動軸の中心とが交差する点同士を結んだ直線よりも前記領域とは反対の内側に形成されている」との構成を有することにより,「隣り合う2つのリンク機構の間の空きスペースを大きく確保することができる。このため,この空きスペースを,例えば作業者の作業スペースとして活用することも可能になる。よって,使い勝手のよいパラレルロボットを提供できる。」(本件特許の明細書の段落【0010】を参照。)との作用効果を奏するものである。 そして,当該作用効果は,相違点1に係るモータの不均等配置を採用することにより,相違点2に係る「隣り合う2つの前記リンク機構の間のうち,前記駆動部が存在しない領域」が生じることを前提とすることは明らかである。 (イ)他方,甲4発明は,モータの均等配置を採用しているから,相違点2に係る「隣り合う2つの前記リンク機構の間のうち,前記駆動部が存在しない領域」が生じない。 そして,甲4発明が「前記駆動部が存在しない領域」を有していないのであるから,甲4発明において,相違点2に係る「前記領域を形成する2つの前記リンク機構の前記領域側の側面と,対応する前記駆動軸の中心とが交差する点同士を結んだ直線よりも前記領域とは反対の内側に形成」しようと試みる動機があるとはいえない。 また,甲1-3及び甲5-9を参照しても,甲4発明に相違点2に係る構成を適用する動機があるとはいえない。 (ウ)したがって,甲4発明に基づいて,相違点2に係る本件特許発明1の構成とすることが当業者にとって容易になし得るものとはいえない。 ウ 小括 したがって,本件特許発明1は,甲4発明に甲1-3及び甲5-9に記載された技術事項を適用して当業者が容易に発明できたものとはいえないから,本件特許発明1に係る特許を甲4に基づく進歩性違反の理由により取り消すことはできない。 同様に,本件特許発明1を引用する本件特許発明3-8は,上記相違点1,2を有するものであり,甲4発明に甲1-3及び甲5-9に記載された技術事項を適用して当業者が容易に発明できたものとはいえないから,本件特許発明3-8に係る特許を甲4に基づく進歩性違反の理由により取り消すことはできない。 (5)異議申立人の主張について ア 異議申立人の主張の概要 異議申立人は,上記相違点1及び2に対して,おおむね以下のように主張している。 (ア)相違点1について 甲4発明においても,装置の小型化のため空きスペースを効率的に利用することは自明の技術課題として課されているといえるところ,当該課題解決のために,甲4発明に甲3に記載のモータ(駆動部)の配置を適用することに動機付けがある。(異議申立書の38ページ) (イ)相違点2について 甲1のパラレルロボットは,本体部の底板部上にカメラを内蔵し,底板部の下のリンク機構の先端を撮影していることから,本体の底板部には,カメラの視界となる穴が設けられているといえ,その穴の少なくとも一辺は,「(駆動部が存在しない)前記領域を形成する2つの前記リンク機構の前記領域側の側面と,対応する前記駆動軸の中心とが交差する点同士を結んだ直線よりも前記領域とは反対の内側に形成されている」ように構成されているといえる,又は,カメラの視線がリンク機構の先端(手首)にできるだけ真上から届くように構成することは当業者が容易に想到し得る。(異議申立書の39ページ) イ 異議申立人の主張の検討 (ア)相違点1に係る主張の検討 仮に,リンク機構間の空きスペースを効率的に利用するとの技術課題が自明であるとしても,甲3には,モータの不均等配置により当該技術課題が解決されることが記載も示唆もされていないから,甲4発明と甲3に接した当業者が両者を組み合わせる動機付けは見出せず,異議申立人の主張は採用できない。 (イ)相違点2に係る主張の検討 上記(2)オで示したとおり,甲1からは,3つのリンク機構を有するロボットにおいて,カメラを本体内に内蔵するとの技術事項が看取できるにとどまり,本体の底板部にカメラの視界となる穴が設けられているとか,その穴の一辺が「(駆動部が存在しない)前記領域を形成する2つの前記リンク機構の前記領域側の側面と,対応する前記駆動軸の中心とが交差する点同士を結んだ直線よりも前記領域とは反対の内側に形成されている」ように構成されていると解釈することはできない。 また,仮に,甲4発明に該甲1の技術事項を適用して,本体内にカメラを内蔵することが容易になし得るものであるとしても,甲4発明の略円盤状の基部材4の形状を設計変更して,「隣り合う2つの前記リンク機構の間のうち,前記駆動部が存在しない領域に対応する前記ベース部の一辺は,前記領域を形成する2つの前記リンク機構の前記領域側の側面と,対応する前記駆動軸の中心とが交差する点同士を結んだ直線よりも前記領域とは反対の内側に形成されている」構成とすることが,当業者にとって容易になし得るものということはできない。 第6 むすび 以上のとおり,請求項1,3ないし8に係る特許は,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては,取り消すことができない。 また,他に請求項1,3ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに,請求項2は,上記のとおり,訂正により削除された。これにより,申立人による特許異議の申立てについて,請求項2に係る申立ては,申立ての対象が存在しないものとなったため,特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。 よって,結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 パラレルロボット 【技術分野】 【0001】 本発明は、パラレルロボットに関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来から、製品部品であるワークを3次元的に搬送し、製品を組み立てるために用いるパラレルロボットが知られている。 パラレルロボットは、ベース部(基部材)と、ベース部の下面側に周方向に等間隔で配置された3つのリンク機構と、ベース部上に配置され、3つのリンク機構の基端側に別々に連結されている3つの駆動部(リンク用モータ装置)と、3つのリンク機構の先端側に設けられ、これら先端側と回動自在に連結されている可動部と、を備えている。3つのリンク機構は、周方向に等間隔で配置され、それぞれベース部の法線方向からみて放射状(三つ又状)に設けられている。 【0003】 ここで、3つの駆動部は、駆動軸がベース部の面方向に沿うように配置されていると共に、リンク機構の基端側の同一側面に配置されている。このように構成することで、各駆動部の駆動制御を行い易くしている。また、各駆動部と対応するリンク機構の組付け向きが全て同じなので、これら各駆動部とリンク機構との組み付け性の向上を図っている(例えば、特許文献1参照)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2014-39977号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、リンク機構と駆動部との組付け向きを全て同一にしてしまうと、周方向に隣り合うリンク機構間の全てに駆動部が存在することになる。このため、例えば、製造ライン上にパラレルロボットを配置するために、ベース部に支持部材を取り付けるべく、この支持部材を取り付けるための空きスペースをベース部上に形成しようとしても効率よく空きスペースを形成しにくい。 このため、ベース部上に空きスペースを形成しようとすると、パラレルロボット全体が大型化してしまう可能性があった。また、パラレルロボットを小型化しようとすると、このパラレルロボットを設置しにくくなる可能性があった。 【0006】 そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、小型化を図りつつ設置し易くすることができるパラレルロボットを提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記の課題を解決するために、本発明に係るパラレルロボットは、ベース部と、該ベース部の一面側に周方向に等間隔で配置された3つのリンク機構と、前記ベース部に配置され、前記3つのリンク機構の基端側に別々に連結されている3つの駆動部と、該3つのリンク機構の先端側に設けられ、3つの前記先端側と回動自在に連結されている可動部と、を備え、前記3つの駆動部は、該駆動部の駆動軸が前記ベース部の面方向に沿うように配置されていると共に、前記3つの駆動部のうちの第1駆動部および第2駆動部は、前記リンク機構の前記基端側の同一の一側面に配置されている一方、前記3つの駆動部のうちの第3駆動部は、前記リンク機構の前記基端側の前記一側面とは反対側の他側面に配置されており、前記3つのリンク機構は、前記ベース部の法線方向からみて放射状に設けられており、隣り合う2つの前記リンク機構の間のうち、前記駆動部が存在しない領域に対応する前記ベース部の一辺は、前記領域を形成する2つの前記リンク機構の前記領域側の側面と、対応する前記駆動軸の中心とが交差する点同士を結んだ直線よりも前記領域とは反対の内側に形成されていることを特徴とする。 【0008】 このように、リンク機構に対し、3つの駆動部のうちの1つ(第3駆動部)の組付け向きを、他の2つの駆動部(第1駆動部、第2駆動部)の組付け向きと逆向きにすることにより、ベース部に空きスペースを形成しやすくなる。このため、空きスペースを利用して例えば、ベース部にパラレルロボットを設置するための支持部材を取り付け易くすることができる。よって、小型化を図りつつ設置し易くすることができるパラレルロボットを提供できる。 【0009】 (削除) 【0010】 このように構成することで、隣り合う2つのリンク機構の間の空きスペースを大きく確保することができる。このため、この空きスペースを、例えば作業者の作業スペースとして活用することも可能になる。よって、使い勝手のよいパラレルロボットを提供できる。 【0011】 本発明に係るパラレルロボットは、前記ベース部に、ワークを検出する検出手段が前記領域を臨むように設けられていることを特徴とする。 【0012】 このように、空きスペースを利用して検出手段を配置することができる。このため、検出手段を設けてもパラレルロボットの設置スペースが大型化してしまうことを防止できる。 【0013】 本発明に係るパラレルロボットにおいて、前記検出手段は、前記ワークを認識可能なカメラであることを特徴とする。 【0014】 このように構成することで、精度よくワークを検出することが可能になる。このため、高性能なパラレルロボットを提供できる。 【0015】 本発明に係るパラレルロボットにおいて、前記駆動部は、ブラケットを介して前記ベース部に固定されており、前記ブラケット、および前記リンク機構の前記基端側には、それぞれ前記駆動軸に対する前記リンク機構の原点位置を決めるための調整部が設けられていることを特徴とする。 【0016】 このように構成することで、各リンク機構の動作を高精度に制御できる。このため、さらに高性能なパラレルロボットを提供できる。 【0017】 本発明に係るパラレルロボットは、前記調整部は、前記ブラケットと前記リンク機構の前記基端側とにそれぞれ形成された孔と、該孔に挿通可能なピンと、を有していることを特徴とする。 【0018】 このように構成することで、簡素な構造で駆動軸とリンク機構との位相を調整できる。また、パラレルロボットを使用していないときに、孔にピンを差し込んでおくことでリンク機構を固定しておくことができる。このため、例えばパラレルロボットの搬送時等に、リンク機構が動いてしまうことを防止できる。 【0019】 本発明に係るパラレルロボットにおいて、前記リンク機構は、前記駆動部に連結される第1アームと、前記可動部に連結される第2アームと、前記第1アームの先端と前記第2アームの基端とを連結する連結部と、を備え、前記連結部は、前記第1アームの前記先端に、厚さ方向に貫通形成された貫通孔と、前記貫通孔に挿通される連結軸と、前記第2アームの基端に設けられ、前記連結軸に連結される第2連結部と、を備え、前記第2連結部は、前記連結軸が挿入されるホルダと、前記第2アームの前記基端に設けられ前記ホルダを回動自在に保持するジョイント部と、を備え、前記ジョイント部と前記ホルダとの回動軸と、前記連結軸は、交差していることを特徴とする。 【0020】 このように構成することで、リンク機構の可動域を大きくすることができる。このため、さらに高性能なパラレルロボットを提供できる。 【0021】 本発明に係るパラレルロボットにおいて、前記駆動部は、前記ベース部の前記一面に配置されていることを特徴とする。 【0022】 このように構成することで、ベース部の一面側に駆動部とリンク機構とを集約できる。このため、他面側に空きスペースを大きく形成することができ、パラレルロボットの設置をさらに容易化できる。 ここで、従来のように、ベース部上に駆動部を配置する一方、ベース部の下面側にリンク機構を配置すると、ベース部に、リンク機構との干渉を回避するためのスリットを形成する必要がある。このため、ベース部の剛性が弱くなってしまう可能性があった。しかしながら、ベース部の同一面側に駆動部とリンク機構とを配置することで、ベース部にスリットを形成する必要もなくなり、ベース部の剛性を確実に確保できる。 【発明の効果】 【0023】 本発明によれば、リンク機構に対し、3つの駆動部のうちの1つ(第3駆動部)の組付け向きを、他の2つの駆動部(第1駆動部、第2駆動部)の組付け向きと逆向きにすることにより、ベース部に空きスペースを形成しやすくなる。このため、空きスペースを利用して例えば、ベース部にパラレルロボットを設置するための支持部材を取り付け易くすることができる。よって、小型化を図りつつ設置し易くすることができるパラレルロボットを提供できる。 【図面の簡単な説明】 【0024】 【図1】本発明の実施形態におけるロボット装置の斜視図である。 【図2】本発明の実施形態におけるパラレルロボットを斜め上からみた斜視図である。 【図3】本発明の実施形態におけるパラレルロボットを斜め下からみた斜視図である。 【図4】本発明の実施形態におけるパラレルロボットを真下からみた平面図である。 【図5】図2のA部拡大図である。 【図6】図2のB部拡大図である。 【図7】図3のC部拡大図である。 【図8】本発明の実施形態におけるロボット装置を真下からみた平面図である。 【発明を実施するための形態】 【0025】 次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。 【0026】 (ロボット装置) 図1は、ロボット装置1の斜視図である。 同図に示すように、ロボット装置1は、製品部品であるワークを3次元的に搬送させて製品を組み立てるためのものである。ロボット装置1は、一方向(図1における左右方向)に延びる走行領域R内に配置された2つのスライドレール2と、各スライドレール2に別々に取り付けられ、一方向に沿って並んで配置される2つのパラレルロボット3と、を備えている。 【0027】 なお、走行領域Rは、製造ライン(組み立てライン)に沿って設定されている。また、以下の説明において、一方向をX方向と称し、鉛直方向をZ方向と称し、X方向、およびZ方向に直交する方向をY方向と称して説明する場合がある。さらに、以下の説明では、ロボット装置1を設置した状態で鉛直方向上側を単に上側、鉛直方向下側を単に下側と称して説明する。 【0028】 2つのスライドレール2は、X方向に沿って延出し、互いに平行に配置されている。スライドレール2は、レール本体4と、レール本体4に沿ってスライド移動自在に設けられたスライダ5と、スライダ5を駆動するスライダ用減速機付モータ6と、を備えている。 2つのスライドレール2のスライダ5には、互いに対向する側に突出するように、取付ベース7が設けられている。この取付ベース7に、パラレルロボット3の後述するベースプレート8が取り付けられる。 【0029】 (パラレルロボット) 図2は、パラレルロボット3を斜め上からみた斜視図、図3は、パラレルロボット3を斜め下からみた斜視図である。 図1?図3に示すように、パラレルロボット3は、取付ベース7に取り付けられている板状のベースプレート8と、ベースプレート8の上面8aに固定されている上部減速機付モータ50と、上部減速機付モータに連結されている回転駆動機構51と、ベースプレート8の下面8bにブラケット9を介して固定されている3つの下部減速機付モータ10(10A?10C)と、各下部減速機付モータ10にそれぞれ別々に連結されている3つのリンク機構11と、これら3つのリンク機構11の下部、および回転駆動機構51の下部に連結されている可動プレート12と、を主構成としている。 【0030】 ベースプレート8は、面方向がX-Y平面に沿うように、かつX方向に若干長くなるように、略長方形状に形成されている。より具体的には、ベースプレート8の短手方向の一側8cは、長手方向中央に向かうに従って徐々にY方向外側に向かって突出するように形成されている。一方、ベースプレート8の短手方向の他側8dは、Y方向内側に向かって僅かに凹むように形成されている。なお、このベースプレート8の他側8dの形成位置についての詳細は、後述する。 【0031】 そして、ベースプレート8の上面8aで、かつ一側8c側に、ロボット装置1の取付ベース7が取り付けられている。スライドレール2に設けられた取付ベース7は、ベースプレート8の上面8aに固定されている上部減速機付モータ50を避けるようにZ方向からみて略C字状に形成されている。 【0032】 また、図1に詳示するように、各スライドレール2に取り付けられた2つのベースプレート8には、それぞれX方向で対向する短辺8eに、パラレルロボット3同士の干渉を防止するためのストッパ80が設けられている。 ストッパ80は、ベースプレート8の短辺8eからX方向に沿って突出する棒状の安全バー本体81と、安全バー本体81の先端に一体的に設けられ、安全バー本体81よりも拡径形成された円柱状の当接部82と、により構成されている。安全バー本体81の長さは、2つのパラレルロボット同士3が干渉するよりも先にそれぞれ当接部82同士が当接する長さに設定されている。 【0033】 上部減速機付モータ50は、回転駆動機構51を駆動するためのものであって、モータ部52とモータ部52の回転力を減速して出力する減速部53と、により構成されている。この減速部53に、回転駆動機構51が連結されている。 回転駆動機構51は、上部減速機付モータ50から動力が伝達される回転体54と、回転体54にユニバーサルジョイント55を介して連結されている直動ガイド56と、直動ガイド56にスライド移動可能、かつ相対回転不能に連結された回転アーム57と、を備えている。回転体54は、減速部53に噛合可能な平歯車部58と、平歯車部58の回転中心からZ方向に沿って下方に延出する円柱部59と、が一体的に設けられたものである。 【0034】 平歯車部58は、ベースプレート8の上面8aに配置されている。また、平歯車部58は、回転中心がベースプレート8の長手方向(X方向)中央で、かつ短手方向(Y方向)中央よりもやや他側8d側に位置するように配置されている。 なお、以下の説明では、平歯車部58(回転体54)の回転中心をC1とし、この回転中心C1回りを周方向と称して説明する。 【0035】 また、平歯車部58は、カバー61によって覆われている。このカバー61内には、平歯車部58の回転位置を検出するための回転位置検出部(不図示)が設けられている。 回転体54の円柱部59は、ベースプレート8の下面8bに設けられたハウジング62に回転自在に支持されている。そして、このハウジング62を介して円柱部59の下端が下方に僅かに突出されている。この突出した円柱部59の下端に、ユニバーサルジョイント55を介して直動ガイド56が連結されている。 【0036】 直動ガイド56は、円筒状に形成されたものであって、内周面に不図示のスプラインが形成されている。そして、直動ガイド56内に下方から回転アーム57が挿入されている。 回転アーム57の外周面には、直動ガイド56のスプラインに対応するように不図示のスプラインが形成されている。すなわち、直動ガイド56と回転アーム57は、スプライン嵌合されている。これにより、直動ガイド56に対して回転アーム57の回転が規制されると共に、直動ガイド56に対する回転アーム57の伸縮移動が可能になる。そして、この回転アーム57の下端57aに、ユニバーサルジョイント63を介して可動プレート12が連結されている。 【0037】 図4は、パラレルロボット3を真下からみた平面図である。 一方、図2?図4に示すように、ベースプレート8の下面8bに設けられている3つの下部減速機付モータ10は、3つのリンク機構11をそれぞれ別々に駆動するためのものであって、第1下部減速機付モータ10A、第2下部減速機付モータ10B、および第3下部減速機付モータ10Cの3つの下部減速機付モータ10A?10Cからなる。 なお、3つの下部減速機付モータ10A?10Cは、構成が全て同一であるので、以下の説明では、特に必要のない場合を除いて、第1下部減速機付モータ10A、第2下部減速機付モータ10B、および第3下部減速機付モータ10Cを総称して下部減速機付モータ10という。 【0038】 下部減速機付モータ10は、モータ部13とモータ部13の回転力を減速して出力する減速部14と、により構成されている。減速部14としては、例えば遊星歯車減速機構が用いられる。このため、減速部14の出力軸14aと、モータ部13の不図示の回転軸は、同一直線上に配置される。なお、特に図示は省略するが、出力軸14aは、段付き状に形成されており、先端側が縮径部、先端よりもモータ部13側が段差により拡径された拡径部になっている。 【0039】 このように構成された下部減速機付モータ10を支持するブラケット9は、略正方形の板状に形成されたもので、ベースプレート8の下面8bからZ方向下方に向かって立設されている。ブラケット9も、下部減速機付モータ10の個数に対応するように3つ設けられている。また、ブラケット9は、Z方向からみて、ベースプレート8の回転中心C1に対して放射状となるように、かつ周方向に等間隔となるように配置されている。 【0040】 そして、3つのブラケット9のうち、2つのブラケット9の一面9aに、それぞれ第1下部減速機付モータ10A、および第2下部減速機付モータ10Bの各減速部14側の端面が取り付けられる。また、3つのブラケット9のうち、他の1つのブラケット9の他面9bに、第3下部減速機付モータ10Cの減速部14側の端面が取り付けられる。このため、下部減速機付モータ10は、駆動軸(出力軸14aおよびモータ部13の不図示の回転軸)が、X-Y平面(水平方向)、つまり、ベースプレート8の面方向に沿うように配置される。 【0041】 ここで、図4に基づいて、ブラケット9の一面9aと他面9bについて詳述する。 3つのブラケット9の一面9aと他面9bは、全て同一方向を向いている。すなわち、3つのブラケット9は、図4において、時計回り方向に向かう面が全て一面9aとされ、反時計回り方向に向かう面が全て他面9bとされている。 このため、ブラケット9の一面9aに取付けられた第1下部減速機付モータ10A、および第2下部減速機付モータ10Bは、対応するブラケット9から時計回り方向に向かって突出している。一方、ブラケット9の他面9bに取付けられた第3下部減速機付モータ10Cは、対応するブラケット9から反時計回り方向に向かって突出している。 【0042】 このように配置された各下部減速機付モータ10の出力軸14aは、ブラケット9に形成されている不図示の貫通孔を介し、取り付けられている面とは反対側の面に突出している。すなわち、第1下部減速機付モータ10A、および第2下部減速機付モータ10Bの出力軸14aは、対応するブラケット9を介して他面9b側に突出している。一方、第3下部減速機付モータ10Cの出力軸14aは、対応するブラケット9を介して一面9a側に突出している。 【0043】 また、第1下部減速機付モータ10Aが取り付けられているブラケット9、および第3下部減速機付モータ10Cが取り付けられているブラケット9は、それぞれベースプレート8の他側8dに隣接配置された形になっている。そして、第1下部減速機付モータ10Aが取り付けられているブラケット9は、他面9b側がベースプレート8の他側8d側に向くように配置され、第3下部減速機付モータ10Cが取り付けられているブラケット9は、一面9a側がベースプレート8の他側8d側に向くように配置されている。 【0044】 (リンク機構) また、各ブラケット9から突出している各下部減速機付モータ10の出力軸14aに、それぞれリンク機構11が取り付けられている。なお、リンク機構11は、構成が全て同一であるので、以下の説明では、1つのリンク機構11のみ説明し、他の2つのリンク機構11については同一符号を付して説明を省略する。 リンク機構11は、基端15aが出力軸14aに連結された第1アーム15と、第1アーム15の先端15b側に配置された第2アーム16と、第1アーム15の先端15bと第2アーム16の基端16aとを連結する第1連結部17と、を備えている。 【0045】 図5は、図2のA部拡大図である。 図2、図3、図5に詳示するように、第1アーム15は、板状の部材により、基端15aから先端15bに向かうに従って徐々に先細りとなるように形成されている。そして、基端15a側には、下部減速機付モータ10の出力軸14aの先端(縮径部)を挿通可能な貫通孔19が形成されている。さらに、第1アーム15の基端15a側には、貫通孔19の周囲に複数のボルト挿通孔20が形成されている。 【0046】 そして、貫通孔19に出力軸14aの先端を挿通すると共に、ボルト挿通孔20にボルト21を挿入し、出力軸14aの拡径部に刻設されている雌ネジ部(何れも不図示)にボルト21を螺入することにより、出力軸14aに第1アーム15の基端15aを締結固定する。これにより、出力軸14aと第1アーム15とが一体化される。 そして、第1下部減速機付モータ10A、および第2下部減速機付モータ10Bは、第1アーム15の一側面15c側に配置された状態になる。一方、第3下部減速機付モータ10Cは、第1アーム15の一側面15cとは反対側の他側面15dに配置された状態になる。そして、3つの第1アーム15は、回転中心C1に対して放射状に配置され、かつ周方向に等間隔で配置される。 【0047】 なお、第1アーム15の一側面15c、および他側面15dについても、ブラケット9の一面9aと他面9bと同様である。すなわち、3つの第1アーム15は、図4において、時計回り方向に向かう面が全て一側面15cとされ、反時計回り方向に向かう面が全て他側面15dとされている。 【0048】 ここで、図4に詳示するように、第1下部減速機付モータ10Aが取り付けられている第1アーム15の他側面15dと対応する出力軸14aの中心とが交差する点P1と、第3下部減速機付モータ10Cが取り付けられている第1アーム15の一側面15cと対応する出力軸14aの中心とが交差する点P2とを結んだ直線をL1(以下、単に直線L1という)とすると、ベースプレート8の他側8dは、直線L1よりも内側、つまり、回転中心C1側に形成されている。換言すれば、ベースプレート8の他側8dは、他の側面よりも切り欠かれたように回転中心C1側に凹んでいる。この凹んだ箇所(スペース)は、作業者の作業スペースとして機能する。 【0049】 また、図5に詳示するように、第1アーム15には、ボルト挿通孔20が形成されている箇所よりもやや先端15b側に、アーム側ピン挿通孔22が形成されている。一方、ブラケット9には、所定の位置にブラケット側ピン挿通孔23が形成されている。 これらアーム側ピン挿通孔22、およびブラケット側ピン挿通孔23は、下部減速機付モータ10の出力軸14aに対する第1アーム15の原点位置を決めるために用いられる。すなわち、アーム側ピン挿通孔22、およびブラケット側ピン挿通孔23は、連通するようになっており、出力軸14aに対する第1アーム15の原点位置を決める際にピン24が挿入される。 【0050】 このピン24を挿入した状態でボルト21によって締結固定することで、出力軸14aに対する原点位置に第1アーム15が固定される。第1アーム15が固定された後、ピン24は各ピン挿通孔22,23から抜去される。なお、第1アーム15に形成されているボルト挿通孔20の孔径は、ボルト21のネジ径よりも大きく設定されている。つまり、ボルト挿通孔20は、このボルト挿通孔20内でボルト21がガタつくように形成されている。このガタつきが、第1アーム15の原点位置調整時の調整代として機能する。 また、第1アーム15の長手方向中央の大部分には、開口部25が形成されている。この開口部25は、第1アーム15の軽量化を図るためのものである。 【0051】 図2、図3に示すように、第1アーム15に第1連結部17を介して連結される第2アーム16は、第1アーム15の両側面15c,15dにそれぞれ配置された2つのアームバー26を有している。各アームバー26は、これらアームバー26に跨るステー75によって所定の間隔をあけて一体化されている。各アームバー26の基端26aは、第2アーム16の基端16aとなる。 【0052】 図6は、図2のB部拡大図である。 同図に示すように、第1連結部17は、第1アーム15の先端15b側に、厚さ方向に貫通形成された貫通孔27と、貫通孔27に挿通される連結軸28と、各アームバー26の基端26aにそれぞれ設けられ、連結軸28に連結される2つの小連結部29と、を主構成としている。 連結軸28は、一端に段差を介して拡径形成された頭部28aを有し、他端側の先端に、軸方向に沿う不図示の雌ネジ部が刻設されている。 【0053】 小連結部29は、連結軸28を回転自在に支持するための玉軸受31と、玉軸受31が内嵌される略円環状の軸受ホルダ32と、軸受ホルダ32と各アームバー26の基端26aとを回動自在に連結するジョイント部33と、を備えている。 軸受ホルダ32の外周面には、二方取りを施して形成された2つの平坦面34が、連結軸28を中心にして対向配置されている。 【0054】 一方、ジョイント部33は、略U字状に形成されている。すなわち、ジョイント部33は、アームバー26の基端26aに連結される基部35と、基部35の両側から軸受ホルダ32側に向かって延出する2つの爪部36とが一体成形されている。そして、軸受ホルダ32の2つの平坦面34にそれぞれ爪部36が配置される。つまり、これら2つの爪部36によって、軸受ホルダ32が挟持される。 【0055】 また、軸受ホルダ32の平坦面34には、それぞれ軸部37が突出形成されている。1つの軸受ホルダ32に形成された2つの軸部37は、同軸上に配置されている。また、2つの軸部37は、連結軸28に対して直交するように設けられる。 一方、ジョイント部33の2つの爪部36には、それぞれ軸部37を挿通可能な軸孔38が形成されている。これにより、ジョイント部33は、軸受ホルダ32に対し、連結軸28に直交する軸部37を中心にして回動自在に連結される。 【0056】 このように構成された2つの小連結部29は、それぞれ連結軸28の両端側に配置される。また、連結軸28には、各小連結部29と第1アーム15の先端15bとの間に、それぞれカラー39が設けられる。カラー39によって、各小連結部29と第1アーム15の先端15bとの間隔が決定される。さらに、連結軸28の先端には、スペーサ41を介してボルト45が締結される。 これにより、第1アーム15、連結軸28、および2つの小連結部29の相対位置関係が決定し、これら第1アーム15、連結軸28、および2つの小連結部29の軸方向の移動が規制される。そして、連結軸28を中心にして第1アーム15が回動自在になると共に、連結軸28に直交する軸部37を中心にして第2アーム16が回動自在になる。 【0057】 第2アーム16の先端16b、つまり、各アームバー26の先端26bには、第2連結部18を介して可動プレート12が回動自在に連結されている。可動プレート12は、三つ又状に形成されたものであって、プレート本体42と、このプレート本体42の外周部に周方向に等間隔で一体成形された3つの凸部46と、により構成されている。そして、3つの凸部46に、それぞれ第2連結部18を介して各リンク機構11の下端(第2アーム16の先端16b)が連結されている。 【0058】 図7は、図3のC部拡大図である。 同図に示すように、第2連結部18の基本的構成は、第1連結部17と同様である。このため、第2連結部18において、第1連結部17と同一構成については、同一符号を付して説明を省略する。 【0059】 すなわち、第2連結部18は、可動プレート12の各凸部46に、周方向に貫通形成された貫通孔43と、貫通孔43に挿通される連結軸28と、各アームバー26の先端26bにそれぞれ設けられ、連結軸28に連結される2つの小連結部29と、を主構成としている。そして、小連結部29は、連結軸28を回転自在に支持するための玉軸受31と玉軸受31が内嵌される略円環状の軸受ホルダ32と、軸受ホルダ32と各アームバー26の先端26bとを回動自在に連結するジョイント部33と、を備えている。 【0060】 このように、ベースプレート8に、3つのリンク機構11を介して可動プレート12を連結することにより、パラレルメカニズムを構成する。そして、3つのリンク機構11を駆動させると、可動プレート12は、姿勢を変えることなく(水平方向に沿った状態のまま)、3次元方向(X-Y-Z方向)に可動する。 また、可動プレート12のプレート本体42には、中央の大部分に回転部44がプレート本体42の厚さ方向を軸として回転自在に取り付けられている。この回転部44が、ユニバーサルジョイント63を介して回転駆動機構51における回転アーム57の下端57aに連結されている。さらに、回転部44の下端に、不図示のハンドアームが取り付け可能とされており、ハンドアームによって不図示のワークが把持される。 【0061】 また、図2?図4に示すように、ベースプレート8の下面8bには、他側8d側に、不図示のワークを検出するためのカメラ70が、ブラケット71を介して取り付けられている。ブラケット71は、ベースプレート8の下面8bからY方向に沿って他側8d側に突出する水平ブラケット72と、水平ブラケット72の先端から垂設された縦ブラケット73と、により構成されている。そして、縦ブラケット73の下端にカメラ70が下向きに取り付けられている。 【0062】 図8は、ロボット装置1を真下からみた平面図である。 同図に示すように、各スライドレール2に別々に取り付けられた2つのパラレルロボット3は、各々設けられた3つのリンク機構11の配置向きが互い違いとなるように配置されている。これについて、以下に詳述する。 【0063】 すなわち、スライドレール2の取付ベース7に、パラレルロボット3のベースプレート8の一側8c側が取り付けられている。ベースプレート8には、第1下部減速機付モータ10Aが取り付けられているリンク機構11と、第3下部減速機付モータ10Cが取り付けられているリンク機構11との間にベースプレート8の他側8dが位置するように各リンク機構11が取り付けられている(図4参照)。このため、第2下部減速機付モータ10Bに取り付けられているリンク機構11は、Z方向からみてスライドレール2に直交している。 【0064】 ここで、パラレルロボット3が支持されている2つのスライドレール2は平行に配置されており、かつそれぞれの取付ベース7が、スライドレール2同士の対向する側に突出するように配置されている。このため、隣り合うパラレルロボット3に各々設けられた3つのリンク機構11の配置向きが、互い違いになる。 また、隣り合うパラレルロボット3において、それぞれに設けられた平歯車部58(回転体54)の回転中心C1同士を結ぶ線は、2つのスライドレール2と平行になるように設定されている。このため、製造ライン上にある不図示の1つのワークに対し、隣り合うパラレルリンクロボット3の何れを使用した場合でも作業(不図示のハンドアームが把持)し易くなっている。 【0065】 (ロボット装置の動作) このような構成のもと、ロボット装置1を作動させて製品を組み立てる際、まず、パラレルロボット3のカメラ70によって製品部品であるワークを撮像する。これにより、ワークの位置、向きを検出し、これら検出結果を信号として不図示の制御部に出力する。 不図示の制御部は、カメラ70による検出結果の信号に基づいて、パラレルロボット3の駆動制御を行う。具体的には、下部減速機付モータ10の駆動制御を行い、可動プレート12を所望の位置に移動させる。この後、上部減速機付モータ50の駆動制御を行い、可動プレート12に取付けられる不図示のハンドアームを所望の向きに変更し、このハンドアームによってワークを把持する。 【0066】 不図示のハンドアームによってワークを把持した後、スライドレール2に沿ってパラレルロボット3が移動し、次工程にワークが搬送される。つまり、製造ラインの下流側に位置するパラレルロボット3に対応する位置に、ワークが搬送される。下流側に位置するパラレルロボット3は、上流側から搬送されたワークをカメラ70によって検出する。そして、上述したパラレルロボット3と同様の動作を行う。これを繰り返し行うことにより、製品が組み立てられる。 【0067】 (効果) ここで、不図示の制御部は、隣接するパラレルロボット3の位置を認識しながらスライドレール2のスライダ用減速機付モータ6の駆動制御を行う。このため、ロボット装置1の通常動作では、各パラレルロボット3に設けられたストッパ80同士が当接することがない。 【0068】 仮に、各パラレルロボット3の移動に誤動作が生じた場合であっても、ベースプレート8にストッパ80が設けられているので、2つのパラレルロボット同士3が干渉するよりも先にそれぞれ当接部82同士が当接する。すなわち、ストッパ80は、ロボット装置1が誤動作した場合であっても、2つのパラレルロボット3のリンク機構11同士が接触してしまうのを防止するためのフェールセーフ機能としての役割を有している。 【0069】 また、パラレルロボット3は、3つのリンク機構11が周方向に等間隔で、かつ回転中心C1に対して放射状に配置されているが、隣り合うパラレルロボット3の向きが互い違いになっているので、各パラレルロボット3の間のデッドスペースを極力小さくすることができる。このため、パラレルロボット3の間隔を極力狭くしつつ、各パラレルロボット3のリンク機構11の干渉を防止できる。 しかも、3つのリンク機構11のうち、第2下部減速機付モータ10Bに取り付けられているリンク機構11は、Z方向からみてスライドレール2に直交している。このため、パラレルロボット3の間隔を、より効果的に狭く設定することができる。また、各パラレルロボット3のリンク機構の干渉を、より効果的に防止できる。 【0070】 さらに、ロボット装置1は、一方向に延びる走行領域R内に配置され、かつ平行に配置された2つのスライドレール2に、それぞれ1つずつパラレルロボット3を設けている。このため、製造ライン上にパラレルロボット3を並べて配置する場合であっても、2つのパラレルロボット3の駆動制御を簡素化できる。 【0071】 さらに、リンク機構11を作動させる3つの下部減速機付モータ10は、以下のように配置されている。すなわち、第1下部減速機付モータ10A、および第2下部減速機付モータ10Bは、それぞれリンク機構11を構成する第1アーム15の一側面15c側に配置されている。また、第3下部減速機付モータ10Cは、第1アーム15の一側面15cとは反対側の他側面15dに配置されている。このため、第1下部減速機付モータ10Aが取り付けられている第1アーム15の他側面15dと第3下部減速機付モータ10Cが取り付けられている第1アーム15の一側面15cとの間に、下部減速機付モータ10が存在しない空きスペースS(図4参照)を形成することができる。 【0072】 この空きスペースSを有効活用することで、パラレルロボット3の設置スペースを省スペース化できる。すなわち、本実施形態では、空きスペースSが形成される箇所に対応するベースプレート8の他側8dを他の側面よりも切り欠いたように凹ませ、不図示のワークを検出するためのカメラ70を設けている。このため、カメラ70の設置スペースを別途設ける必要がなく、パラレルロボット3の設置スペースを省スペース化できる。 また、空きスペースSを、作業者が立ち入りすることのできる作業スペースとして機能させれば、この分作業者がパラレルロボット3に近づけるので、メンテナンス作業を容易化できる。 【0073】 また、空きスペースSが形成されるベースプレート8の他側8dは、直線L1(図4参照)よりも内側、つまり、回転中心C1側に形成されている。このため、空きスペースSを最大限大きく形成することができ、パラレルロボット3の設置スペースを最大限省スペース化できる。また、作業者による作業性を最大限向上でき、使い勝手のよいパラレルロボット3を提供できる。 さらに、ワークを検出するための検出手段としてカメラ70を採用している。このため、精度よく不図示のワークを検出することができ、高性能なパラレルロボット3を提供できる。 【0074】 また、リンク機構11の第1アーム15に、アーム側ピン挿通孔22が形成されている一方、ブラケット9に、ブラケット側ピン挿通孔23が形成されている。そして、これらアーム側ピン挿通孔22、およびブラケット側ピン挿通孔23は、ピン24が挿抜可能とされている。このため、ピン24を差し込んだ状態で、ブラケット9に第1アーム15を締結固定することにより、下部減速機付モータ10の出力軸14aに対する第1アーム15の原点位置を容易、かつ高精度に決めることができる。 さらに、パラレルロボット3の不使用時や、パラレルロボット3の製造ラインへの搬送時にピン24を差し込んでおくことにより、不用意にリンク機構11が動いてしまったりすることを防止できる。 【0075】 また、リンク機構11の第1アーム15と第2アーム16とを連結する第1連結部17を、第1アーム15の先端15b側に、貫通形成された貫通孔27と、貫通孔27に挿通される連結軸28と、連結軸28に連結される2つの小連結部29と、により構成している。さらに、小連結部29を、連結軸28を回転自在に支持するための玉軸受31と、玉軸受31が内嵌される略円環状の軸受ホルダ32と、軸受ホルダ32と各アームバー26の基端26aとを回動自在に連結するジョイント部33と、により構成している。そして、ジョイント部33を、軸受ホルダ32に対し、連結軸28に直交する軸部37を中心にして回動自在に連結している。このため、第1連結部17の回動方向が2方向(連結軸28回りと軸部37回り)になり、リンク機構11の可動域を大きくすることができる。よって、高性能なパラレルロボット3を提供できる。 【0076】 また、パラレルロボット3は、ベースプレート8の下面8bに、リンク機構11を駆動させるための下部減速機付モータ10が取り付けられている。このため、ベースプレート8の上面8aには、回転駆動機構51を駆動させるための上部減速機付モータ50のみが配置される。このため、ベースプレート8の上面8aに空きスペースを大きく形成することができる。よって、ベースプレート8に、スライドレール2に設けられた取付ベース7を直接取り付けることができ、パラレルロボット3の設置を容易化できる。 【0077】 ここで、仮に従来のように、ベースプレート8の上面8aに下部減速機付モータ10を配置したとする。この場合、ベースプレート8にリンク機構11との干渉を回避するためのスリットを形成する必要がある。このため、ベースプレート8の剛性が弱くなってしまう可能性がある。しかしながら、ベースプレート8の下面8b側に、下部減速機付モータ10、およびリンク機構11を配置することにより、ベースプレート8にスリットを形成する必要もなくなる。よって、ベースプレート8の剛性を確実に確保できる。 【0078】 なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。 例えば、上述の実施形態では、走行領域Rに2つのスライドレール2を平行に配置し、各々スライドレール2に1つずつパラレルロボット3を設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、走行領域Rにスライドレール2を1つ設け、このスライドレール2に2つのパラレルロボット3を設けてもよい。また、パラレルロボット3の個数は2つに限られるものではなく、2つ以上の複数設けてもよい。但し、隣り合うパラレルロボット3の配置向き(3つのリンク機構11)の配置向きが互い違いとなるようにする。 【0079】 また、2つのスライドレール2のそれぞれに複数のパラレルロボット3を設けてもよい。この場合、1つのスライドレール2に設けられるパラレルロボット3の配置向きは全て同一向きとし、かつ他のスライドレール2に設けられるパラレルロボット3の配置向きと異なるようにする。そして、隣り合うパラレルロボット3の配置向きが互い違いになるようにする。 ここで、同一のスライドレール2には、同一向きに配置されたパラレルロボット3のみが設けられているので、複数のパラレルロボット3の向きが互い違いになるように配置すると、同一のスライドレール2に設けられたパラレルロボットの間隔を広く設定することができる。このため、ロボット装置1全体としては、組立作業性を向上できる。 【0080】 さらに、上述の実施形態では、パラレルロボット3は、3つのリンク機構11のうち、第2下部減速機付モータ10Bに取り付けられているリンク機構11が、Z方向からみてスライドレール2に直交するように配置されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、パラレルロボット3の配置向きは任意に設定することができる。但し、隣り合うパラレルロボット3の配置向きが互い違いになるようにする。 パラレルロボット3の配置向きが互い違いになっていることで、全てのパラレルロボット3の配置向きが同一方向を向いている場合と比較して、少なからずパラレルロボット3同士の間隔を狭くすることができる。 【0081】 また、上述の実施形態では、パラレルロボット3同士の干渉を防止するフェールセーフ機能として、ベースプレート8にストッパ80を設けた場合について説明した。そして、このストッパ80は、棒状の安全バー本体81と、安全バー本体81の先端に一体的に設けられた当接部82と、により構成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ストッパ80は、パラレルロボット3同士の干渉を防止できるように構成されていればよい。 【0082】 さらに、上述の実施形態では、ベースプレート8の他側8dを、直線L1よりも内側(回転中心C1側)に形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ベースプレート8の他側8dを、直線L1よりも外側に形成してもよい。この場合であっても、3つの下部減速機付モータ10の配置向きを、上述の実施形態のように設定することにより、ベースプレート8上に空きスペースSを形成できるので、この空きスペースSを有効活用することができる。例えば、空きスペースSに脚部を設け、パラレルロボット3を床面に直接設置することも可能になる。 【0083】 また、上述の実施形態では、ベースプレート8の下面8b側に3つの下部減速機付モータ10を配置した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ベースプレート8の上面8aに下部減速機付モータ10を配置してもよい。但し、第1アーム15の一側面15c側に、第1下部減速機付モータ10A、および第2下部減速機付モータ10Bを配置し、第1アーム15の他側面15dに、第3下部減速機付モータ10Cを配置する。このように構成することで、ベースプレート8上に空きスペースSを形成できる。 【0084】 さらに、上述の実施形態では、下部減速機付モータ10は、ブラケット9を介してベースプレート8の下面8bに固定されている場合について説明した。しかしながら、ブラケット9の形状は、上述の実施形態の形状に限られるものではなく、ベースプレート8の下面8bに下部減速機付モータ10を固定できるように構成されていればよい。そして、この場合であっても、リンク機構11の第1アーム15を回転中心C1に対して放射状に配置すると共に、第1アーム15の一側面15c側に、第1下部減速機付モータ10A、および第2下部減速機付モータ10Bを配置し、第1アーム15の他側面15dに、第3下部減速機付モータ10Cを配置すればよい。 【0085】 また、上述の実施形態では、リンク機構11の第1アーム15に、アーム側ピン挿通孔22を形成する一方、ブラケット9に、ブラケット側ピン挿通孔23を形成する場合について説明した。そして、これらピン挿通孔22,23に挿抜可能なピン24を利用し、下部減速機付モータ10の出力軸14aに対する第1アーム15の原点位置を決める場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、下部減速機付モータ10の出力軸14aに対する第1アーム15の原点位置(位相)を調整できる構成であればよい。 【0086】 また、上述の実施形態では、リンク機構11の第1アーム15と第2アームとを連結する第1連結部17は、小連結部29を有している場合について説明した。そして、小連結部29は、連結軸28を回転自在に支持するための玉軸受31と、玉軸受31が内嵌される略円環状の軸受ホルダ32と、を備えている場合について説明した。しかしながら、玉軸受31と軸受ホルダ32とを分けず、連結軸28を回転自在に支持するホルダを設け、このホルダと第2アーム16とを回動自在に連結するように構成してもよい。 【0087】 さらに、上述の実施形態では、第2アーム16は、第1アーム15の両側面15c,15dにそれぞれ配置された2つのアームバー26を有しており、これら2つのアームバー26がステー75によって所定の間隔をあけて一体化されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、第2アーム16を、第1アーム15と同様に1枚の板状の部材で構成してもよい。また、これとは逆に、第1アーム15を、第2アーム16のように、2つのアームバー26等で構成してもよい。 【0088】 さらに、上述の実施形態では、ワークを検出する検出手段として、カメラ70を設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ワークを検出可能なものであればよい。 【0089】 また、上述の実施形態では、下部減速機付モータ10は、モータ部13と減速部14と、により構成されている場合について説明した。そして、減速部14としては、例えば遊星歯車減速機構が用いられる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、モータ部13のみで構成してもよい。この場合、モータ部13の不図示の回転軸のみで駆動軸を構成することになる。 【0090】 さらに、モータ部13と減速部14とを用いる場合、減速部14の出力軸14aと、モータ部13の不図示の回転軸とが同一方向に沿って配置されるような構成であればよい。このように構成されていれば、各下部減速機付モータ10の配置向きを、上述の実施形態のように規定することができ、ベースプレート8上に空きスペースSを形成することが可能になる。 【符号の説明】 【0091】 1…ロボット装置、8…ベースプレート(ベース部)、8a…下面(一面)、9…ブラケット、10…下部減速機付モータ(駆動部)、10A…第1下部減速機付モータ(第1駆動部)、10B…第2下部減速機付モータ(第2駆動部)、10C…第3下部減速機付モータ(第3駆動部)、11…リンク機構、12…可動プレート(可動部)、13…モータ部、14…減速部、14a…出力軸(駆動軸)、15…第1アーム、15a,16a…基端、15b,16b…先端、15c…一側面、15d…他側面、16…第2アーム、17…第1連結部(連結部)、22…アーム側ピン挿入孔(孔)、23…ブラケット側ピン挿入孔(孔)、24…ピン、27…貫通孔、28…連結軸、29…小連結部(第2連結部)、31…玉軸受(ホルダ)、32…軸受ホルダ(ホルダ)、33…ジョイント部、37…軸部(回動軸)、70…カメラ、L1…直線、S…空きスペース(領域) (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ベース部と、 該ベース部の一面側に周方向に等間隔で配置された3つのリンク機構と、 前記ベース部に配置され、前記3つのリンク機構の基端側に別々に連結されている3つの駆動部と、 該3つのリンク機構の先端側に設けられ、3つの前記先端側と回動自在に連結されている可動部と、 を備え、 前記3つの駆動部は、該駆動部の駆動軸が前記ベース部の面方向に沿うように配置されていると共に、 前記3つの駆動部のうちの第1駆動部および第2駆動部は、前記リンク機構の前記基端側の同一の一側面に配置されている一方、前記3つの駆動部のうちの第3駆動部は、前記リンク機構の前記基端側の前記一側面とは反対側の他側面に配置されており、 前記3つのリンク機構は、前記ベース部の法線方向からみて放射状に設けられており、 隣り合う2つの前記リンク機構の間のうち、前記駆動部が存在しない領域に対応する前記ベース部の一辺は、前記領域を形成する2つの前記リンク機構の前記領域側の側面と、対応する前記駆動軸の中心とが交差する点同士を結んだ直線よりも前記領域とは反対の内側に形成されていることを特徴とするパラレルロボット。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 前記ベース部に、ワークを検出する検出手段が前記領域を臨むように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパラレルロボット。 【請求項4】 前記検出手段は、前記ワークを認識可能なカメラであることを特徴とする請求項3に記載のパラレルロボット。 【請求項5】 前記駆動部は、ブラケットを介して前記ベース部に固定されており、 前記ブラケット、および前記リンク機構の前記基端側には、それぞれ前記駆動軸に対する前記リンク機構の原点位置を決めるための調整部が設けられていることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4の何れか1項に記載のパラレルロボット。 【請求項6】 前記調整部は、 前記ブラケットと前記リンク機構の前記基端側とにそれぞれ形成された孔と、 該孔に挿通可能なピンと、 を有していることを特徴とする請求項5に記載のパラレルロボット。 【請求項7】 前記リンク機構は、 前記駆動部に連結される第1アームと、 前記可動部に連結される第2アームと、 前記第1アームの先端と前記第2アームの基端とを連結する連結部と、 を備え、 前記連結部は、 前記第1アームの前記先端に、厚さ方向に貫通形成された貫通孔と、 前記貫通孔に挿通される連結軸と、 前記第2アームの基端に設けられ、前記連結軸に連結される第2連結部と、 を備え、 前記第2連結部は、 前記連結軸が挿入されるホルダと、 前記第2アームの前記基端に設けられ前記ホルダを回動自在に保持するジョイント部と、 を備え、 前記ジョイント部と前記ホルダとの回動軸と、前記連結軸は、交差していることを特徴とする請求項1または請求項3?請求項6の何れか1項に記載のパラレルロボット。 【請求項8】 前記駆動部は、前記ベース部の前記一面に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項3?請求項7の何れか1項に記載のパラレルロボット。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2020-10-29 |
出願番号 | 特願2015-181060(P2015-181060) |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YAA
(B25J)
P 1 651・ 121- YAA (B25J) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 岩▲崎▼ 優、松田 長親、松井 裕典 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
田々井 正吾 大山 健 |
登録日 | 2019-07-26 |
登録番号 | 特許第6558849号(P6558849) |
権利者 | 株式会社ミツバ |
発明の名称 | パラレルロボット |
代理人 | 西澤 和純 |
代理人 | 鈴木 慎吾 |
代理人 | 鈴木 三義 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 鈴木 三義 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 鈴木 慎吾 |
代理人 | 西澤 和純 |
代理人 | 鎌田 康一郎 |
代理人 | 鎌田 康一郎 |