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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01H
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01H
審判 全部申し立て 特17条の2、3項新規事項追加の補正  H01H
管理番号 1369991
異議申立番号 異議2020-700185  
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-03-18 
確定日 2020-11-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6602431号発明「スイッチ装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6602431号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4、5〕〔2、3〕について訂正することを認める。 特許第6602431号の請求項2及び3に係る特許を維持する。 特許第6602431号の請求項1,4-5に係る特許についての特許異議申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6602431号(以下「本件特許」という。)は、平成30年7月30日を出願日とする特許出願に係るものであって、令和1年10月18日にその特許権の設定登録(請求項の数5)がされ、令和1年11月6日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許について、令和2年3月18日に、請求項1?5に係る特許に対し、特許異議申立人渡邉誠(以下「申立人A」という。)により特許異議の申立てがされ、また、令和2年4月30日に、請求項1?5に係る特許に対し、特許異議申立人新井誠一(以下「申立人B」という。)により特許異議の申立てがされた。
上記申立人Aによる特許異議申立及び申立人Bによる特許異議申立は、特許法第120条の3第1項の規定により、異議2020-700185号事件として併合して審理されることになった。当審は、令和2年8月5日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和2年10月2日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。
なお、申立人A及び申立人Bは、ともに特許異議申立書の意見書提出希望の有無の欄において、「希望する。」としているものの、上記令和2年10月2日に行われた訂正請求における訂正は、実質的に一部の請求項の削除であるため、特許法第120条の5第5項ただし書に規定される「特別の事情があるとき」にあたることから、申立人A及び申立人Bに意見書を提出する機会を与えなかった。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和2年10月2日になされた訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2に「請求項1に記載のスイッチ装置において、前記ノブ当接部は、前記本体部から前記一側面側へ向って屈曲しており、前記ケースと、前記スライド部材との間に、該スライド部材の前記軸線方向への移動を案内するガイド部が設けられると共に、該ガイド部は、前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイドと、前記本体部の側面を案内する第二ガイドと、を有していることを特徴とするスイッチ装置。」と記載されているのを、「内奥部に光源およびスイッチ接点部を有する角筒状のケースと、該ケースの手前側の開口部を覆うように設置されて、前記ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブと、前記ケースの内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材と、を有するスイッチ装置であって、前記スライド部材は、前記ケースの一側面に沿って延びる板状の本体部と、該本体部の奥部から前記ケースの内方に向かって屈曲して、前記スイッチ接点部を押すスイッチ押圧部と、前記本体部の手前側で前記スイッチ押圧部に対して前記一側面寄りにオフセットした位置で前記スイッチノブによって押込まれるノブ当接部と、を有し、前記光源および前記スイッチ接点部は同一基板面上に設けられ、前記スイッチ接点部は、前記光源に対し前記一側面寄りに位置し、前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置され、前記ノブ当接部は、前記本体部から前記一側面側へ向って屈曲しており、前記ケースと、前記スライド部材との間に、該スライド部材の前記軸線方向への移動を案内するガイド部が設けられると共に、該ガイド部は、前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイドと、前記本体部の側面を案内する第二ガイドと、を有していることを特徴とするスイッチ装置。」に訂正する(請求項2を引用する請求項3も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(5)訂正事項5
明細書の段落【0007】に「上記課題を解決するために、本発明は、内奥部に光源およびスイッチ接点部を有する角筒状のケースと、該ケースの手前側の開口部を覆うように設置されて、前記ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブと、前記ケースの内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材と、を有するスイッチ装置であって、前記スライド部材は、前記ケースの一側面に沿って延びる板状の本体部と、該本体部の奥部から前記ケースの内方に向かって屈曲して、前記スイッチ接点部を押すスイッチ押圧部と、前記本体部の手前側で前記スイッチ押圧部に対して前記一側面寄りにオフセットした位置で前記スイッチノブによって押込まれるノブ当接部と、を有し、前記光源および前記スイッチ接点部は同一基板面上に設けられ、前記スイッチ接点部は、前記光源に対し前記一側面寄りに位置し、前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置されることを特徴とする。」と記載されているのを、「上記課題を解決するために、本発明は、内奥部に光源およびスイッチ接点部を有する角筒状のケースと、該ケースの手前側の開口部を覆うように設置されて、前記ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブと、前記ケースの内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材と、を有するスイッチ装置であって、前記スライド部材は、前記ケースの一側面に沿って延びる板状の本体部と、該本体部の奥部から前記ケースの内方に向かって屈曲して、前記スイッチ接点部を押すスイッチ押圧部と、前記本体部の手前側で前記スイッチ押圧部に対して前記一側面寄りにオフセットした位置で前記スイッチノブによって押込まれるノブ当接部と、を有し、前記光源および前記スイッチ接点部は同一基板面上に設けられ、前記スイッチ接点部は、前記光源に対し前記一側面寄りに位置し、前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置され、前記ノブ当接部は、前記本体部から前記一側面側へ向って屈曲しており、前記ケースと、前記スライド部材との間に、該スライド部材の前記軸線方向への移動を案内するガイド部が設けられると共に、該ガイド部は、前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイドと、前記本体部の側面を案内する第二ガイドと、を有していることを特徴とする。」に訂正する。
(6)一群の請求項
訂正前の請求項1?5について、請求項2?5が、訂正の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正後の請求項2?3は、特許法第120条の5第4項に規定する関係を有する一群の請求項である。
(7)別の訂正単位とする求め
特許権者は、訂正後の請求項2?3は、当該請求項についての訂正が認められる場合には、他の請求項とは別途訂正することを求めている。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1に係る請求項2についての訂正は、訂正前の請求項1を引用する請求項であったものを、請求項間の引用関係を解消して請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項に改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
また、訂正事項1により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることになる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4)訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の請求項5を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)訂正事項5
訂正事項5は、明細書の段落【0007】の記載を上記訂正事項1により訂正された特許請求の範囲の記載と整合させるための訂正である。そうすると、訂正事項5の訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
そして、訂正後の請求項2?3について、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを認める。
したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4、5〕〔2、3〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項2?3に係る発明(以下「本件発明2」及び「本件発明3」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項2?3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
[本件発明2]
「内奥部に光源およびスイッチ接点部を有する角筒状のケースと、
該ケースの手前側の開口部を覆うように設置されて、前記ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブと、
前記ケースの内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材と、を有するスイッチ装置であって、
前記スライド部材は、
前記ケースの一側面に沿って延びる板状の本体部と、
該本体部の奥部から前記ケースの内方に向かって屈曲して、前記スイッチ接点部を押すスイッチ押圧部と、
前記本体部の手前側で前記スイッチ押圧部に対して前記一側面寄りにオフセットした位置で前記スイッチノブによって押込まれるノブ当接部と、を有し、
前記光源および前記スイッチ接点部は同一基板面上に設けられ、前記スイッチ接点部は、前記光源に対し前記一側面寄りに位置し、
前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置され、
前記ノブ当接部は、前記本体部から前記一側面側へ向って屈曲しており、
前記ケースと、前記スライド部材との間に、該スライド部材の前記軸線方向への移動を案内するガイド部が設けられると共に、
該ガイド部は、前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイドと、前記本体部の側面を案内する第二ガイドと、を有していることを特徴とするスイッチ装置。」
[本件発明3]
「請求項2に記載のスイッチ装置において、
前記ガイド部が、前記ケースの前記一側面と前記スライド部材の対向面との間に第三ガイドを有していることを特徴とするスイッチ装置。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1及び5に係る特許に対して、当審が令和2年8月5日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
[取消理由]請求項1及び5に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項1及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

引用文献
1.実用新案登録第2546376号公報(異議申立人Bの提出した甲第1号証、以下同様。)
2.特開2017-152215号公報(甲第4号証)
3.特開2001-14978号公報(甲第2号証の7)

第5 当審の判断
1 引用文献1に記載の事項及び発明
取消理由通知で引用した引用文献1には、次の事項及び発明が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
(1)「【請求項1】押圧スイッチ(12)及び光源(16)をプリント基板(14)上に設置すると共に、これら押圧スイッチ(12)及び光源(16)を下端部内に収容し、かつ前記光源(16)からの光を漏らさない遮光筒(13)を立設し、この遮光筒(13)の上端開口部の上方位置に、前記光源(16)からの光が通り、かつ前記上端開口部に対して離接する透光性ノブ(17)を揺動自在に取付け、さらに前記透光性ノブ(17)と前記押圧スイッチ(12)との間に介在するプッシュロッド(19)を、前記押圧スイッチ(12)に対する最適押圧方向にのみ往復変位可能に前記遮光筒(13)内に設けて前記透光性ノブ(17)を前記上端開口部から常時離間するように付勢し、前記透光性ノブ(17)を押下したとき、前記プッシュロッド(19)を介して前記押圧スイッチ(12)が開閉成するようにしたことを特徴とするスイッチ構造。」
(2)「【0009】11は遮光性材料により形成されたケースであって、このケース11には押圧スイッチ12を収容保持させる遮光筒13が一体形成されている。押圧スイッチ12はケース11の裏側に配置されるプリント基板14に接続保持されると共に、可動部15が設けられている。16は遮光筒13内に位置されると共にプリント基板14に接続保持されている光源、17は遮光筒13の上側開口部を塞ぐように位置されると共に、周縁立上り部17aと、その立上り部下縁より横方向に延びる鍔部17bとからなる透光性ノブであって、この透光性ノブは透過性材料により形成されている。またこの透光性ノブ17における鍔部17bの一部には、ヒンジ部18が一体形成されて、該ヒンジ部18は、ケース11に形成されているヒンジ部18に嵌合保持されている。ケース11にヒンジ部18を介して支持される透光性ノブ17の立上り部17a内周面には、前記遮光筒13の上端開口壁部13aが対向するように構成されている。19は遮光筒13に形成されている筒軸方向のガイド孔20内に摺動可能に嵌合保持されているプッシュロッドであって、このプッシュロッド19の一端は前記鍔部17bに当接されまたその他端はスイッチの可動部15に当接されるように形成されている。21は透光性ノブ17の鍔部17bより延長形成されているフック部であって、このフック部21とケース11に形成されている段部22との係止作用によって透光性ノブ17の押上げ位置が規制されているものである。」
(3)図2として次の図面が記載されている。

上記図2より、プッシュロッド19は、ケース11の内部で透光性ノブ17とは別部材として配設されており、ケース11の一側面に沿って延びる本体部と、本体部の下部からケース11の内方に向かって屈曲して、押圧スイッチ12を押すスイッチ押圧部と、本体部の上側でスイッチ押圧部に対して一側面寄りにオフセットした位置で透光性ノブ17によって押込まれるノブ当接部と、を有していることが看取できる。
(4)上記図2より、光源16および押圧スイッチ12は同一のプリント基板14面上に設けられ、押圧スイッチ12は、光源16に対し一側面寄りに位置し、上端開口部から見たときに、光源16から一側面に向かい、光源16、スイッチ押圧部、ノブ当接部の順に配置されていることが看取できる。
(5)引用文献1に記載された発明
上記(1)?(4)の記載内容及び図示内容を総合して整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「下端部に光源16および押圧スイッチ12を有するケース11と、
ケース11の上端開口部の上方位置に取付けられて、光源16からの光が通り、かつケース11の上下方向への移動が可能な透光性ノブ17と、
ケース11の内部で透光性ノブ17とは別部材として配設されて、透光性ノブ17の上下方向への移動によって押圧スイッチ12を押すプッシュロッド19と、を有するスイッチ構造であって、
プッシュロッド19は、
ケース11の一側面に沿って延びる本体部と、
本体部の下部からケース11の内方に向かって屈曲して、押圧スイッチ12を押すスイッチ押圧部と、
本体部の上側でスイッチ押圧部に対して一側面寄りにオフセットした位置で透光性ノブ17によって押込まれるノブ当接部と、を有し、
光源16および押圧スイッチ12は同一のプリント基板14面上に設けられ、押圧スイッチ12は、光源16に対し一側面寄りに位置し、
上端開口部から見たときに、光源16から一側面に向かい、光源16、スイッチ押圧部、ノブ当接部の順に配置されており、
透光性ノブ17のフック部21とケース11に形成されている段部22との係止作用によって透光性ノブ17の押上げ位置が規制されている、スイッチ構造。」

2 引用文献2に記載の技術的事項
取消理由通知で引用した引用文献2には、次の事項が記載されている。
(1)「【0028】
(全体構成)
図1は、本実施形態のスイッチ装置100の斜視図である。スイッチ装置100は、基部200及び操作部材300を含む。
【0029】
図2は、前後方向に直交する図1の2-2線を通る断面おけるスイッチ装置100の断面図である。図3は、上下方向に直交する図2の3-3線を通る断面における断面図である。図4は、図3と同じ平面におけるスイッチ装置100の断面図であるが、操作部材300が省略されている。図5は、左右方向に直交する図3の5-5線を通る断面における断面図であり、操作部材300が解放位置にある。図6は、左右方向に直交する図3の6-6線を通る断面における断面図である。図7は、図5と同じ平面におけるスイッチ装置100の断面図であり、操作部材300が押圧位置にある。
【0030】
図9の分解斜視図に示すように、スイッチ装置100は、さらに、基部200及び操作部材300の内部に配設された、力伝達部材400、及び光源500を含む。
【0031】
(基部)
図1に示すように、基部200は、略直方体の外形をもち、図2に示すように中空であり、上方向に開口している。基部200は、上下方向に直交する平面に沿った略長方形の底板210を含む。さらに、基部200は、底板210の4辺から上方向に延設された前支持板220F(図5)、後支持板220B(図5)、左支持板220L(図2)、及び右支持板220R(図2)(以下、区別せずに支持板220と呼ぶ場合がある)を含む。
【0032】
図5に示すように、前支持板220Fは、前方向及び上方向に開口して、上端から下方向に延設された前操作案内溝221Fをもつ。後支持板220Bは、後方向及び上方向に開口して、上端から下方向に延設された後操作案内溝221Bをもつ。図2に示すように、左支持板220Lは、左方向及び上方向に開口して、上端から下方向に延設された左操作案内溝221Lをもつ。右支持板220Rは、右方向及び上方向に開口して、上端から下方向に延設された右操作案内溝221Rをもつ。」
(2)「【0035】
図2に示すように、基部200は、押圧状態(図7)と解放状態(図5)とに切り替え可能なスイッチ素子250を含む。スイッチ素子250は、後述の操作部材300から力伝達部材400を介して受ける操作力に応じて弾性的に変形可能な弾性部材251と、導電性の端子対256とを含む。」
(3)「【0040】
(操作部材)
図1に示すように、操作部材300は、略直方体の外形をもち、図2に示すように中空であり、下方向に開口している。操作部材300は、上下方向に直交する平面に沿った略長方形の上板310を含む。さらに、操作部材300は、上板310の4辺から下方向に延設された前板320F(図5)、後板320B(図5)、左板320L(図2)、及び右板320R(図2)を含む。
【0041】
図5に示すように、前板320Fは、内面から後方向に突設された、上下方向に長尺な前操作突起321Fをもつ。後板320Bは、内面から前方向に突設された、上下方向に長尺な後操作突起321Bをもつ。図2に示すように、左板320Lは、内面から右方向に突設された、上下方向に長尺な左操作突起321Lをもつ。右板320Rは、内面から左方向に突設された、上下方向に長尺な右操作突起321Rをもつ。
【0042】
図1に示すように、操作部材300は、基部200を上から覆うように配設される。図2に示すように、基部200と操作部材300との間には略直方体の内部空間600が画定される。
【0043】
図3に示すように、前操作突起321Fは、前操作案内溝221F内で上下に摺動するように配設される。後操作突起321Bは、後操作案内溝221B内で上下に摺動するように配設される。左操作突起321Lは、左操作案内溝221L内で上下に摺動するように配設される。右操作突起321Rは、右操作案内溝221R内で上下に摺動するように配設される。」
(4)「【0054】
力伝達部材400は、互いに一体的に移動する左支柱410L及び右支柱410R(以下、区別せずに支柱410と呼ぶ場合がある)を含み、さらに導光部420を含む。力伝達部材400は、左右に対称的な形状をもつ。
【0055】
図2に示すように、支柱410は、いずれも略直方体の柱状部材である。支柱410は、1つであってもよく、複数であってもよい。図6に示すように、右支柱410Rは、右方向及び下方向に開口された、上下方向に長尺に延設された右伝達案内溝411Rをもつ。図8は、下から上に見たときの力伝達部材400の底面図である。左支柱410Lは、左方向及び下方向に開口された、上下方向に長尺に延設された左伝達案内溝411Lをもつ。左伝達案内溝411Lと右伝達案内溝411Rと(以下、区別せずに伝達案内溝411と呼ぶ場合がある)は、互いに左右対称に配設されている。
【0056】
図4に示すように、左伝達案内溝411L内に、基部200の左内突起222Lが配設されている。右伝達案内溝411R内に、基部200の右内突起222Rが配設されている。」
(5)「【0059】
図5に示すように、導光部420の左右方向に直交する平面に沿った断面は、略三角形であり、左右方向のいずれの位置でも略同一である。導光部420は、後方向及び下方向に開口した、上下方向に長尺に延設された後伝達案内溝421を有する。後伝達案内溝421内に、基部200の後内突起222Bが配設されている。」
(6)「【0064】
力伝達部材400は、左伝達案内溝411L、右伝達案内溝411R、及び後伝達案内溝421を含む、という点で、中空構造を有する成形体である。基部200の左内突起222L、右内突起222R、及び後内突起222Bの動きが、それぞれ、力伝達部材400の左伝達案内溝411L、右伝達案内溝411R、及び後伝達案内溝421によって、概ね上下方向に限られている。従って、力伝達部材400は、基部200に対して、概ね上下方向に沿って所定の範囲で相対的に移動する。」
(7)引用文献2に記載の技術的事項
上記(1)?(6)及び図1?9の記載を総合して整理すると、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「押圧状態(図7)と解放状態(図5)とに切り替え可能なスイッチ素子250を含む基部200と、スイッチ素子250の押圧位置と解放位置との間で移動可能に配設された操作部材300と、基部200と操作部材300との間に画定された内部空間600内において、スイッチ素子250と操作部材300との間で押圧方向と解放方向とに移動可能に配設されて、スイッチ素子250と操作部材300との間で力を伝達する力伝達部材400と、内部空間600に光を放射する光源500と、を備えているスイッチ装置100であって、
基部200は、略直方体の外形であり、底板210の4辺から上方向に延設された支持板220を含み、支持板220は、上端から下方向に延設された操作案内溝221をもち、操作部材300は、略直方体の外形であり、上板310の4辺から下方向に延設された板320を含み、板320は、上下方向に長尺な操作突起321をもち、操作突起321は、操作案内溝221内で上下に摺動するように配設され、
さらに、力伝達部材400は、一体的に移動する支柱410及び導光部420を備え、支柱410には左伝達案内溝411Lと右伝達案内溝411Rが配設され、導光部420には後伝達案内溝421が配設され、基部の左内突起222L、右内突起222R及び後内突起222Bの動きが、対応する各案内溝の概ね上下方向に限られているスイッチ装置100。」

3 引用文献3に記載の技術的事項
取消理由通知で引用した引用文献3には、次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】パネルの内側に取付られたタクトスイッチをスライドピンを介して該パネルの外側よりオン、オフ操作するための操作ノブを前記タクトスイッチにプリテンションを与えるようにして該パネルに操作可能に取り付けるための取付構造であって、
前記操作ノブに設けられた回動支点部と、
該回動支点部を回動自在に受けるため前記パネルに設けられた受け部と、
前記操作ノブに前記回動支点部から後方に向けて延びるように設けられたアーム部と、
該アーム部に設けられた係合部と、
前記回動支点部を前記受け部内に回動自在な状態に保持されるよう前記係合部を滑動自在に係合しておくため前記パネルの内側に設けられた抜け止めガイド部とを備え、前記抜け止めガイド部と前記係合部との係合状態により前記プリテンションを生じさせるようにしたことを特徴とするモーメンタリースイッチの操作ノブの取付構造。」
(2)「【0013】図1は、本発明による操作ノブ取り付け構造を備えたモーメンタリースイッチの実施の形態の一例を示す斜視図、図2はその組立状態を概略的に示す断面図である。モーメンタリースイッチ1は、パネル2の内側のプレート2Aに取り付けられているタクトスイッチ3と、後述の如くしてパネル2に取り付けられる操作ノブ4と、操作ノブ4に取り付けられたスライドピン5とを備えている。パネル2、操作ノブ4及びスライドピン5は、いずれも合成樹脂製の成形部品として作られている。
【0014】スライドピン5は、板状で一端に一対の係止突起5A、5Bが一体に形成された部材であり、係合突起5A、5Bによって操作ノブ4に枢着されている。スライドピン5は操作ノブ4がパネル2に取り付けられたとき、パネル2に形成されている案内孔2Bに挿通され、スライドピン5の先端5Cがタクトスイッチ3に当接するようにセットされ、操作ノブ4が押されることによりスライドピン5の先端5Cでタクトスイッチ3を押すことができるように構成される。」
(3)上記(1)?(2)及び図1?2の記載を総合して整理すると、引用文献3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「パネル2の内側に取り付けられているタクトスイッチ3と、タクトスイッチ3を、板状のスライドピン5を介してパネル2の外側よりオン、オフ操作するための操作ノブ4とを備えているモーメンタリースイッチ1。」

4 対比・判断
(1)本件発明2について
a 対比
本件発明2と引用発明とを対比する。
引用発明における「光源16」は、本件発明2の「光源」に、以下同様に、「押圧スイッチ12」は「スイッチ接点部」に、「ケース11」は「ケース」に、「上下方向」は「軸線方向」に、「透光性ノブ17」は「スイッチノブ」に、「プッシュロッド19」は「スライド部材」に、「プリント基板14」は「基板」に、「スイッチ構造」は「スイッチ装置」にそれぞれ相当する。また、引用発明の「下端部」及び「下部」は本件発明2の「内奥部」及び「奥部」に、同様に「上方位置」は「手前側」に相当する。
そして、本件発明2の「スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材」は、本件特許明細書全体の記載から見て、スライド部材がスイッチノブとは別部材で構成されているという程度の意味であると認められるから、引用発明のプッシュロッド19が、「透光性ノブ17とは別部材として配設されて」いることは、本件発明2のスライド部材が、「スイッチノブから分離されて配設されて」いることに相当する。
以上のとおりであるから、本件発明2と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「内奥部に光源およびスイッチ接点部を有するケースと、
該ケースの手前側の開口部を覆うように設置されて、前記ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブと、
前記ケースの内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材と、を有するスイッチ装置であって、
前記スライド部材は、
前記ケースの一側面に沿って延びる本体部と、
該本体部の奥部から前記ケースの内方に向かって屈曲して、前記スイッチ接点部を押すスイッチ押圧部と、
前記本体部の手前側で前記スイッチ押圧部に対して前記一側面寄りにオフセットした位置で前記スイッチノブによって押込まれるノブ当接部と、を有し、
前記光源および前記スイッチ接点部は同一基板面上に設けられ、前記スイッチ接点部は、前記光源に対し前記一側面寄りに位置し、
前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置されるスイッチ装置。」
[相違点1]
本件発明2は、ケースが「角筒状」であるのに対し、引用発明は、ケース11が角筒状であることが特定されていない点。
[相違点2]
本件発明2は、スライド部材の本体部が「板状」であるのに対し、引用発明は、プッシュロッド19の本体部が板状であることが特定されていない点。
[相違点3]
本件発明2は、「前記ノブ当接部は、前記本体部から前記一側面側へ向って屈曲しており、前記ケースと、前記スライド部材との間に、該スライド部材の前記軸線方向への移動を案内するガイド部が設けられると共に、該ガイド部は、前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイドと、前記本体部の側面を案内する第二ガイドと、を有している」ものであるのに対し、引用発明は、かかる構成を備えていない点。

b 判断
事案に鑑み、相違点3について検討する。
引用発明において、プッシュロッド19が透光性ノブ17の鍔部17bに当接する箇所は、一側面側、すなわち引用文献1の図2において紙面右側に向かって屈曲した形状ではない。また、プッシュロッド19の一側面側には、フック部19が形成されているから、引用発明に接した当業者が、プッシュロッド19を一側面側に屈曲した形状にすることを想到するものとは認められない。
ここで、引用発明に対し、引用文献2に記載の技術的事項(上記2(7)を参照。)を適用することによって、プッシュロッド19に突起と溝とによる案内機構を設けることは当業者が想起し得るものと言えるが、該案内機構は、本件発明のうち「前記本体部の側面を案内する第二ガイド」のみに対応するものであって、「前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイド」に相当する構成までも引用発明のプッシュロッド19に対して設けるものということはできない。
また、引用文献3に記載の技術的事項(上記3(3)を参照。)は、スライドピン5にガイド機構を備えていないものであるから、引用発明に対し引用文献3に記載の技術的事項を適用することによって、当該相違点3に係る構成とすることもできない。
そして、本件発明2は、相違点3に係る構成によって、スライド部材107のためのガイド部141を第一ガイド142と第二ガイド143とに分けて設けることで、ガイド部141全体のガイド長を長くして、スライド部材107の傾きを抑制することができ、偏荷重によるスライド部材107の倒れを防止できる。よって、スイッチノブ106のスタック(引っかかって動き難く成ること)や、スイッチ接点部102に対するスイッチ押圧部132の位置ズレを防止できる。さらに、ガイド部141を第一ガイド142と第二ガイド143に分けたことで、スライド部材107やガイド部141のレイアウトの自由度を向上することができる、という本件発明2特有の作用効果を有するものである(本件特許明細書の段落【0050】?【0052】を参照。)。
したがって、相違点1及び2についてさらに検討するまでもなく、本件発明2は、引用発明及び引用文献2?3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)本件発明3について
本件発明3は、本件発明2の発明特定事項を全て含み、さらに限定するものである。
そして、本件発明2が、上記(1)で説示のとおり、引用発明及び引用文献2?3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないのであるから、本件発明3についても、同様の理由により、引用発明及び引用文献2?3に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許法第29条第2項について
(1)申立人Aは、特許異議申立書において、訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開2012-164593号公報)に記載された発明、並びに、甲第2号証(特開平11-162280号公報)及び甲第3号証(特開2011-150962号公報)に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張している。また、同申立書において、訂正前の請求項2?5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、並びに、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証(実願平4-672号(実開平5-59507号)のCD-ROM)及び甲第5号証(実願昭58-144451号(実開昭60-53125号)のマイクロフィルム)に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張している。
そこで、この点について以下検討する。
甲第1号証は、段落【0026】に「3は略円筒状でABS等の絶縁樹脂製の押圧体」との記載があり、また、図2においても押圧体3(本件発明2の「スライド部材」に想到。)が円筒状であることが把握される。該押圧体3は本件特許の明細書段落【0002】?【0005】において記載している従来技術に相当するものであって板状ではない。また、甲第1号証の記載から該押圧体3を板状に置き換える動機付けを見いだすことができない。
したがって、申立人Aの提出した甲第2号証?第5号証について検討するまでもなく、本件発明2?3は、申立人Aの提出した甲第1号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)申立人Bは、特許異議申立書において、訂正前の請求項1?5に係る発明は、甲第3号証(実願平5-56348号(実開平7-27030号)のCD-ROM)に記載された発明、並びに、甲第2号証の1(実願昭59-155226号(実開昭61-70336号)のマイクロフィルム)、甲第2号証の2(実願昭62-18647号(実開昭63-127032号)のマイクロフィルム)、甲第2号証の3(実公平7-29535号公報)、甲第2号証の4(実用新案登録第2586754号公報)、甲第2号証の5(特開2006-216265号公報)、甲第2号証の6(特公昭62-1854号公報)及び甲第2号証の7(特開2001-14978号公報)に記載された周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることできたものである旨を主張している。
そこで、この点について以下検討する。
甲第3号証には、段落【0013】に「斜めに延在する遮光性部材13がスライダ8と一体に形成されており、この遮光性部材13と一体の作動子15が、キートップ2の押圧によりスライダ8が図において右側へ移動したときに、基板16上に取り付けられたスイッチ18を押圧してこのスイッチ18をオンにする。」との記載がある。上記記載と図2を参照すると、甲第3号証に記載のスライダ8(本件発明2の「スライド部材の本体部」に相当。)と作動子15(本件発明2の「スライド部材のスイッチ押圧部」に相当。)と、隔壁11とが一体のスライド部材を構成しているものと認められる。すなわち、スライダ8は隔壁11を含む部分まで一体の筒状となっていて、板状ではない。そして、甲第3号証の記載から、スライダ8を板状に置き換える動機付けを見いだすことができない。
さらに、甲第3号証の図2を参照すると、光源21(本件発明2の「光源」に相当。)が、ユニット本体ケース9のキートップ2が設けられている開口部の奥からは外れた位置に配置されていることから、本件発明2の「前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置される」との点を充足するものではない。ここで、甲第3号証の図2からは、光源21とは別に作動灯20が設けられていることが把握されるが、該作動灯20は、遮光性の支持部分31及び透光性の支持部分32により支持されるものであるから、スイッチ18(本件発明2の「スイッチ接点部」に相当。)と「同一基板面上に設けられ」たものではない。そして、甲第3号証の記載から、光源21を開口部に対応した位置に設けること、あるいは、作動灯20をスイッチ18と同一基板面上に設けることとする動機付けを見いだすことができない。
したがって、申立人Bの提出した甲第2号証の1?第2号証の7について考慮するまでもなく、本件発明2?3は、申立人Bの提出した甲第3号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 特許法第36条第6項第1号について
申立人Bは、特許異議申立書において、訂正前の請求項1には、「前記ケース内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材」と記載されているが、本件特許の図1?2では、スイッチノブ106とスライド部材107は当接しており、分離されて配設されていないものであり、すなわち、分かれて離れた位置で配置されてはいないから、請求項1?5に係る発明は本件特許の発明の詳細な説明に記載されたものではない旨を主張している(異議申立書第39ページ第4行?第43ページ第6行)。
そこで、この点について以下検討する。
訂正後の請求項2の「前記ケース内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材」との記載に接した当業者であれば、スイッチノブとスライド部材が分けて離されて別部材となっているという意味で「分離」という表現を用いていると理解するのが自然である。
また、本件特許の発明の詳細な説明の【0048】の「スライド部材107を、スイッチノブ106から分離した。」との記載及び【0049】の「スイッチノブ106からスライド部材107を分離したことで、スイッチノブ106とケース103とが一対一の関係になり、スライド部材107を考慮する必要がなくなるため、スイッチノブ106とケース103との間のガタつき精度の設定や調整が容易になる。」との記載と図面とを合わせ見ても、「分離」とは別部材とする意味で用いられていると理解できる。
そして、本件特許の発明の詳細な説明のそのほかの記載を参照しても、「分離」と表現されているからといって、必ずしも分かれて離れた位置で配置されていると解釈する理由もない。
したがって、本件発明2?3は、発明の詳細な説明に記載したものである。

3 特許法第17条の2第3項について
申立人Bは、特許異議申立書において、訂正前の請求項1には、「前記スイッチノブから分離されて」との文言が、令和1年8月8日付け手続補正書によって追加されたものであり、上記2と同様に、本件特許の明細書等にいはスイッチノブ106とスライド部材107とが、分かれて離れた位置で配置されることとは記載されていないから、当該補正は新たな技術的事項を導入するものである旨を主張している。
そこで、この点について以下検討する。
本件特許の出願当初の請求項1には、「前記スライド部材は、前記スイッチノブから分離されると共に、」と記載されている。よって、スライド部材がスイッチノブから分離されることは、本件特許の当初明細書等に記載された事項である。
したがって、上記補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内でしたものである。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、本件請求項2及び3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項2及び3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1、4及び5に係る特許は、訂正により削除された。これにより、本件特許の請求項1、4及び5に対して特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、上記結論のとおり、決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スイッチ装置
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車などの車両には、車室内に各種のスイッチ(スイッチ装置)が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなスイッチ装置には、内奥部に光源およびスイッチ接点部を有する角筒状のケースと、ケースの手前側の開口部に設置されて、ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブとを有するものが存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開平09-320387
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたスイッチ装置は、スイッチノブに一体に取付けた断面略矩形状の可動枠部材をケースへ内嵌して、スイッチノブの押込操作による可動枠部材の移動をケースで案内すると共に、可動枠部材の先端部でスイッチ接点部を押すようにしていたため、ケースに内嵌した可動枠部材が断面略矩形状をしている分だけ、ケースの内部空間が小さくなり、スイッチノブに対する照明範囲が狭くなっていた。
【0006】
そこで、本発明は、主に、上記した問題点を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、
内奥部に光源およびスイッチ接点部を有する角筒状のケースと、
該ケースの手前側の開口部を覆うように設置されて、前記ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブと、
前記ケースの内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材と、を有するスイッチ装置であって、
前記スライド部材は、
前記ケースの一側面に沿って延びる板状の本体部と、
該本体部の奥部から前記ケースの内方に向かって屈曲して、前記スイッチ接点部を押すスイッチ押圧部と、
前記本体部の手前側で前記スイッチ押圧部に対して前記一側面寄りにオフセットした位置で前記スイッチノブによって押込まれるノブ当接部と、を有し、
前記光源および前記スイッチ接点部は同一基板面上に設けられ、前記スイッチ接点部は、前記光源に対し前記一側面寄りに位置し、
前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置され、
前記ノブ当接部は、前記本体部から前記一側面側へ向って屈曲しており、
前記ケースと、前記スライド部材との間に、該スライド部材の前記軸線方向への移動を案内するガイド部が設けられると共に、
該ガイド部は、前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイドと、前記本体部の側面を案内する第二ガイドと、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記構成によって、スイッチノブに対する照明範囲を拡大することなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態にかかるスイッチ装置を縦半分に切断した斜視図である。
【図2】図1のスイッチ装置の縦断面図である。
【図3】図1のスイッチ装置を側方から見た斜視図である。
【図4】図1のケースを(スイッチノブを取り外して)ケース手前部の側から見た斜視図である。
【図5】図1のスイッチ装置の横断面図である。
【図6】スライド部材を左右反対勝手に設けて奥側から手前側へ向かって見た図5の変形例である。
【図7】図1のスライド部材の斜視図である。
【図8】図3のスライド部材を背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1?図8は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例1】
【0011】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0012】
例えば、自動車などの車両には、車室内に各種のスイッチ(スイッチ装置)が設けられている。図1(?図6)に示すように、このようなスイッチ装置100を、
内奥部に光源101およびスイッチ接点部102を有する角筒状のケース103と、
ケース103の手前側の開口部104(図4)を覆うように設置されて、ケース103の軸線方向105への移動および透過照明が可能なスイッチノブ106と、
ケース103の内部に配設されて、スイッチノブ106の軸線方向105への移動によってスイッチ接点部102を押すスライド部材107と、を有するものとする。
【0013】
ここで、車室内に設けられるスイッチ装置100には、例えば、ハザードランプの点灯・消灯を操作するためのハザードスイッチや、エアコンやオーデイオなどのスイッチや、車両の機能をコントロールするためのスイッチなど各種のものが存在している。
【0014】
光源101には、LEDやその他のものを使用することができる。スイッチ接点部102は、タクトスイッチなどの小型の押し釦スイッチやその他のものを使用することができる。タクトスイッチなどのスイッチ接点部102は、内部に押込み前の状態に復帰させるための復帰バネを有している。光源101およびスイッチ接点部102は、基板108に取付けた状態で、ケース103の奥側の開口部109内などに配置することができる。
【0015】
光源101は、基板108の幅方向の中央部などに設けられて、ケース103の中央部寄りの位置などに配設される。スイッチ接点部102は、基板108の幅方向の側部などに設けられて、ケース103の側面111?114(図5または図6)寄りの位置、例えば、一側面111寄りの位置などに設けられる。基板108の奥側の面には、基板108へ電源や信号を送る配線などを接続するためのターミナルとなる部材(ターミナルブロック115)が設置されている。
【0016】
角筒状のケース103は、上記したように4つの側面111?114を有すると共に、両端部に開口部104,109を有するものとされている。ケース103の軸線方向105の中間部には、外方へ張出すフランジ部116が設けられる。ケース103は、軸線方向105の全域に渡って均一な大きさや断面形状などとしても良いが、例えば、フランジ部116を境として手前側の部分(ケース手前部117)と奥側の部分(ケース奥部118)との大きさや断面形状などを変えることもできる。この実施例では、フランジ部116の位置に段差部を設けて、ケース手前部117をケース奥部118よりも大きく形成している。
【0017】
スイッチノブ106は、透明な樹脂でできたキャップ状の部材とすることができる。スイッチノブ106は、手前側に押圧面121を有し、押圧面121の周縁部に奥側へ延びる外周壁部122を有している。押圧面121には、スイッチ装置100の操作内容を示す記号や図形や文字などの表示部123を形成することができる。そして、塗装などにより、表示部123を透光性とし(透過照明部)、その他の部分を遮光性とする(遮光部)ことで、光源101を点灯することによって表示部123を透過照明する(表示部123を光らせる)ことができる。
【0018】
スイッチノブ106の外周壁部122よりも内側には、外周壁部122と間隔を有して内周壁部124が設けられている。内周壁部124は、押圧面121の裏面側から軸線方向105へ向けて一体に延設される。内周壁部124は、ケース103の手前側の部分(ケース手前部117)に外嵌される。なお、内周壁部124と外周壁部122とは完全に分離させても良いが、一部を連結したり、一部を共通化したりしても良い。内周壁部124はフランジ部116と、ほぼ同じ外形に形成される。外周壁部122はフランジ部116よりも大きなものとされる。スイッチノブ106の押圧面121の裏面側からはスライド部材107を押すための押込用突起部125が一体に突設される。
【0019】
スイッチノブ106は、ケース103に対し、スライド部材107がスイッチ接点部102を押して止まるまで(またはスイッチ接点部102の押込みストロークの分だけ)軸線方向105へ移動し得るようになっている。スイッチノブ106は、スイッチ接点部102内部に設けた復帰バネの弾性復帰力によって初期位置へ復帰させることができる。
【0020】
スライド部材107は、スイッチノブ106の押圧操作によってスイッチ接点部102を押圧できるのであれば、どのようなものとしても良いが、好ましくは以下のようにする。
【0021】
(1)スライド部材107(図7、図8)は、スイッチノブ106から分離されるようにする。スライド部材107は、ケース103の一側面111に沿って延びる本体部131と、本体部131の奥部に位置してスイッチ接点部102を押すスイッチ押圧部132と、本体部131の手前側に位置してスイッチノブ106によって押込まれるノブ当接部133とを有するものとされる。
ノブ当接部133は、スイッチ押圧部132に対して、ケース103の一側面111寄りにオフセットされる(オフセット量134、図2)。
【0022】
ここで、スライド部材107は、ケース103とは別部品として形成されて、ケース103とは別個に軸線方向105へ移動可能にケース103内に収容される。
【0023】
本体部131は、ケース103の一側面111と平行な板状に形成される。
本体部131は、ケース手前部117とケース奥部118との間に跨って設置されている。
【0024】
スイッチ押圧部132は、本体部131の奥側の端部に形成された、基板108と平行な屈曲部135を有する。屈曲部135の奥側には、必要に応じて、スイッチ接点部102を押すための突起部136を設けることができる。屈曲部135は、ケース103の内方へ向かって屈曲されると共に、スイッチ接点部102をほぼ覆い得る大きさや形状に設けられる。この実施例では、屈曲部135は面状のものとされている(屈曲面部)。屈曲部135や突起部136は、スイッチ接点部102を直接押すことができる位置に形成される。
【0025】
ノブ当接部133は、本体部131の手前側の端部に形成された、一側面111側へ向かって屈曲された別の屈曲部137を有する。別の屈曲部137の手前側には、必要に応じて、別の突起部138を設けることができる。別の屈曲部137は、本体部131に対して部分的に設けることができる。この実施例では、別の屈曲部137は、本体部131の片側に設けられたブロック状のものとされている(ブロック状部)。このブロック状の別の屈曲部137は、ケース手前部117とケース奥部118との段差形状を利用して、ケース手前部117の位置に設けられている。
【0026】
スライド部材107は、奥側の突起部136がスイッチ接点部102に接触され、手前側の別の突起部138が押込用突起部125に接触された状態で、スイッチ接点部102とスイッチノブ106との間に介在されている。
【0027】
オフセットは、ノブ当接部133とスイッチ押圧部132との位置が、押圧面121の面方向(軸線方向105と垂直な方向)にズレていることである。スライド部材107のノブ当接部133およびスイッチ押圧部132は、スライド部材107の本体部131に関して、面直方向の反対側に配置されることで、本体部131と面直な方向にオフセットされている。
【0028】
(2)ケース103と、スライド部材107との間には、スライド部材107の軸線方向105への移動を案内するガイド部141を設けるのが好ましい。
ガイド部141は、本体部131の手前側の部分を案内する第一ガイド142と、本体部131を案内する第二ガイド143(図5)と、を有するのが好ましい。
【0029】
ここで、ガイド部141は、スライド部材用ガイドとしてケース103の内部などに設けられる。
【0030】
図4に示すように、第一ガイド142は、別の屈曲部137の側面やその反対側に位置する本体部131の手前側の側面と、ケース103の対向する側面112,113との間に形成される。第一ガイド142は、ケース103の対向する側面112,113に形成された軸線方向105へ延びる切込部144と、別の屈曲部137の側面やその反対側に位置する本体部131の手前側の側面から延びて切込部144内へ摺動可能に嵌合されるガイドリブ145などとすることができる。
【0031】
図5に示すように、第二ガイド143は、本体部131の(第一ガイド142以外の部分などの)両側面146と、ケース103の対向する側面112,113との間に形成される。第二ガイド143は、ケース103の対向する側面112,113に形成された軸線方向105へ延びるガイドリブ147やガイド用の凹溝部などとすることができる。ガイドリブ147は、本体部131の両側面146を挟むように一対設けられ、本体部131の両側面146を摺動可能に支持する。
【0032】
第一ガイド142のガイドリブ145は、ケース103の外壁面に達する長さに形成され、第二ガイド143となる本体部131の両側面146は、ケース103の内壁面に達しない長さに形成される。第一ガイド142と第二ガイド143は、両方設けるのが好ましいが、一方のみ(特に、第二ガイド143)設けることも構造的には可能である。
【0033】
(3)ガイド部141は、ケース103の一側面111とスライド部材107の対向面との間に第三ガイド151を有しても良い。
【0034】
ここで、スライド部材107の対向面は、本体部131の一側面111側の面のことである。
【0035】
第三ガイド151は、本体部131の一側面111側の面から突設された軸線方向105へ延びるガイドリブ152と、ケース103の一側面111の内面側に形成された軸線方向105へ延びるガイド凹部153とを有するものなどとしても良い。ガイドリブ152は、本体部131の一側面111側の面の別の屈曲部137を避けた幅方向の反対側の位置に、1本または数本設けることができる。ガイド凹部153は、ガイドリブ152の両側面を挟むように設けられ、ガイドリブ152を摺動可能に支持する。なお、上記とは反対に、ガイドリブ152をケース103に、ガイド凹部153を本体部131に設けることも可能である。
【0036】
(4)図7に示すように、スライド部材107は、本体部131とスイッチ押圧部132との間に補強リブ161を有するのが好ましい。補強リブ161は、手前側へ進むに従い一側面111の側へ向かう傾斜部162を有するのが好ましい。
【0037】
ここで、補強リブ161は、本体部131(のガイドリブ152とは反対側の面)とスイッチ押圧部132の屈曲部135(の手前側の面)との間に跨るように、ケース103の中央へ向けて設けられる。補強リブ161は、スライド部材107の両側部近傍(のガイド凹部153の先端部よりも本体部131の内側となる位置)に一対設けられる。
【0038】
傾斜部162は、補強リブ161の縁部の全域に亘って設けても良い。これによって、補強リブ161は三角リブとなる。また、傾斜部162は、補強リブ161の手前側の縁部に設けて、補強リブ161の奥側の縁部を軸線方向105と平行に形成しても良い。これによって、補強リブ161は台形状のリブとなり、所要の補強効果を保持しつつリブ幅を小さくすることができる。三角リブと台形状のリブは、どちらか一方のみとすることもできるし、適宜組み合わせて設けることもできる。
【0039】
(5)図1に示すように、ケース103と、スイッチノブ106との間に、スイッチノブ106を軸線方向105へ移動可能に係止する係止部171が設けられても良い。
図5に示すように、ケース103の外側面と、スイッチノブ106の内側面との間に、スイッチノブ106の軸線方向105への移動を案内する別のガイド部172が設けられても良い。
【0040】
ここで、係止部171は、ケース手前部117とスイッチノブ106の内周壁部124との間に設けられる。係止部171は、ケース手前部117に設けられた係止爪173と、スイッチノブ106の内周壁部124に形成された係止穴174とを有しても良い。係止穴174は、スイッチノブ106が軸線方向105へ移動できるように、スイッチノブ106の移動量と略同じかそれよりも長く軸線方向105へ延びる長穴などとされる。スイッチノブ106の外周壁部122には、係止穴174と対向する位置に、係止穴を外部に露出させるための切欠部175などを設けても良い。係止部171は、ケース103の一側面111と他側面114とに対してそれぞれ設けることができる。
【0041】
そして、別のガイド部172は、スイッチノブ用ガイドとして設けられる。別のガイド部172は、スイッチノブ106の内周壁部124の内面側に設けられた軸線方向105へ延びるガイドリブ176と、ケース手前部117の各側面111?114の外側に設けられた軸線方向105へ延びるガイド凹部177とを有するものなどとしても良い。ガイドリブ176は、ガイド凹部177に摺動可能に嵌合される。別のガイド部172は、矩形状をしたケース103の各面に対してそれぞれ設けるのが、押込み時のスイッチノブ106の傾きを抑制する上で好ましい。ケース103の各面に設けられる別のガイド部172は、対向面に設けられる別のガイド部172と同じ位置に設けても良いが、互いに位置をズラして設けるのが、スイッチノブ106の傾きをより少なくする上で好ましい。なお、上記とは反対に、ガイドリブ176をケース103に、ガイド凹部177を内周壁部124に設けることも可能である。
【0042】
なお、その他の構成として、ケース奥部118には、車体側パネルに対して取付けるための係止爪部181を設けても良い(図1)。係止爪部181は、ケース103の一側面111と他側面114とに対してそれぞれ設けることができる。少なくとも、ケース奥部118には、一側面111のコーナー部分に一方の係止爪部181を取り囲むようにU字状のリブ182(図3)を形成することができる。U字状のリブ182は、フランジ部116を含むように形成するのが好ましい。また、ケース奥部118には、他側面114のコーナー部分に、C面状の切欠部183(図4)を設けることができる。これらのU字状のリブ182やC面状の切欠部183は、ケース103の剛性を高めると共に、車体側パネルに対する逆組み(正しい部品の向き違いでの組付け)を防止するために有効である。
【0043】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0044】
スイッチ装置100は、スイッチノブ106を押すことで、スライド部材107を介してスイッチ接点部102が押されるようになっている。そして、光源101を点灯することにより、スイッチノブ106の表示部123を透過照明できるようになっている。
【0045】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0046】
(効果1)スライド部材107をケース103の一側面111に沿って延びる形状にした。これにより、スライド部材107の本体部131をケース103の一側面111と平行な板状にできるため、ケース103の残りの三面がスライド部材107で覆われなくなるので、スイッチノブ106に対する照明範囲を拡大することができる。よって、照明範囲を所要の大きさに確保しつつスイッチ装置100(のスイッチノブ106を除いたユニット部分)の小型化を図ることが可能になる。この際、スライド部材107の本体部131が板状となるので、四角い照明範囲を確保することができる。
【0047】
スライド部材107のノブ当接部133を、スイッチ押圧部132に対してオフセットさせた。これにより、ノブ当接部133が光源101からの光の妨げになり難くなるので、照明範囲を更に拡大することができる。
【0048】
スライド部材107を、スイッチノブ106から分離した。これにより、スライド部材107の機能をスイッチ接点部102の操作のみに特化できる。よって、スライド部材107を簡略化できる。
【0049】
スイッチノブ106からスライド部材107を分離したことで、スイッチノブ106とケース103とが一対一の関係になり、スライド部材107を考慮する必要がなくなるため、スイッチノブ106とケース103との間のガタつき精度の設定や調整が容易になる。また、スイッチノブ106からスライド部材107を分離したことで、スイッチ装置100は、スイッチノブ106を最後に組み立てられるようになる。また、スイッチノブ106が付いていないスイッチ装置100(スイッチ装置100のユニット部分)を予め製造しておき、このユニット部分に仕様違いのスイッチノブ106を組み付けることで、様々なスイッチ装置100を作り分けることなどが可能になる。
【0050】
(効果2)スライド部材107のためのガイド部141を第一ガイド142と第二ガイド143に分けて設けても良い。これにより、ガイド部141全体のガイド長を長くして、スライド部材107の傾きを抑制することができる。
【0051】
ノブ当接部133とスイッチ押圧部132とがオフセットされているスライド部材107は、スイッチノブ106を押す力の偏り(偏荷重)によって面外方向などへの倒れが生じるおそれがあるが、ガイド部141を第一ガイド142と第二ガイド143に分けてスライド部材107の傾きを抑制することで、偏荷重によるスライド部材107の倒れを防止できる。よって、スイッチノブ106のスタック(引っかかって動き難く成ること)や、スイッチ接点部102に対するスイッチ押圧部132の位置ズレを防止できる。
【0052】
ガイド部141を第一ガイド142と第二ガイド143に分けたことで、スライド部材107やガイド部141のレイアウトの自由度を向上することができる。
【0053】
(効果3)ガイド部141は、ケース103の一側面111とスライド部材107の対向面との間に第三ガイド151を有しても良い。これにより、スライド部材107の横倒れを防止することができる。
【0054】
(効果4)スライド部材107は、本体部131とスイッチ押圧部132との間に補強リブ161を有しても良い。これにより、スライド部材107の本体部131に対してスイッチ押圧部132を補強することができる。そのため、スイッチ押圧部132をオフセットさせて設けても、スイッチ押圧部132で支障なくスイッチ接点部102を押すことができる。
【0055】
補強リブ161は、手前側へ進むに従いケース103の一側面111の側へ向かう傾斜部162を有しても良い。これにより、補強リブ161が光源101からの光の妨げになるのを傾斜部162で回避し、照明範囲が狭まるのを防止できる。
【0056】
(効果5)ケース103とスイッチノブ106との間に係止部171を設けても良い。これにより、係止部171によって簡単にケース103にスイッチノブ106を係止させることができると共に、スイッチノブ106の着脱が容易になる。よって、スイッチノブ106のリペアや差し替えなどをやり易くできる。
【0057】
ケース103の外側面とスイッチノブ106の内側面との間に別のガイド部172を設けても良い。これにより、スイッチノブ106の押し込みを案内するための別のガイド部172を、ケース103の内側からなくせるので、その分、照明範囲を拡大することができる。よって、スイッチ装置100(のユニット部分)の小型化を図ることができる。
【0058】
ケース103の外側面にスイッチノブ106を案内するための別のガイド部172を設けたことで、別のガイド部172への潤滑油の塗布が容易になると共に、別のガイド部172への潤滑油の塗布を最後の段階(スイッチノブ106を取付ける時)で行うことができる。
【0059】
別のガイド部172がスイッチノブ106の内側面に存在することで、スイッチノブ106に塗装によって表示部123などを形成する際に、スイッチノブ106にマスキングを行う必要をなくすことができる。
【符号の説明】
【0060】
100 スイッチ装置
101 光源
102 スイッチ接点部
103 ケース
104 開口部
105 軸線方向
106 スイッチノブ
107 スライド部材
111 一側面
131 本体部
132 スイッチ押圧部
133 ノブ当接部
141 ガイド部
142 第一ガイド
143 第二ガイド
151 第三ガイド
161 補強リブ
162 傾斜部
171 係止部
172 別のガイド部
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
内奥部に光源およびスイッチ接点部を有する角筒状のケースと、
該ケースの手前側の開口部を覆うように設置されて、前記ケースの軸線方向への移動および透過照明が可能なスイッチノブと、
前記ケースの内部で前記スイッチノブから分離されて配設されて、前記スイッチノブの前記軸線方向への移動によって前記スイッチ接点部を押すスライド部材と、を有するスイッチ装置であって、
前記スライド部材は、
前記ケースの一側面に沿って延びる板状の本体部と、
該本体部の奥部から前記ケースの内方に向かって屈曲して、前記スイッチ接点部を押すスイッチ押圧部と、
前記本体部の手前側で前記スイッチ押圧部に対して前記一側面寄りにオフセットした位置で前記スイッチノブによって押込まれるノブ当接部と、を有し、
前記光源および前記スイッチ接点部は同一基板面上に設けられ、前記スイッチ接点部は、前記光源に対し前記一側面寄りに位置し、
前記開口部から見たときに、前記光源から前記一側面に向かい、前記光源、前記スイッチ押圧部、前記ノブ当接部の順に配置され、
前記ノブ当接部は、前記本体部から前記一側面側へ向って屈曲しており、
前記ケースと、前記スライド部材との間に、該スライド部材の前記軸線方向への移動を案内するガイド部が設けられると共に、
該ガイド部は、前記ノブ当接部の側面を案内する第一ガイドと、前記本体部の側面を案内する第二ガイドと、を有していることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチ装置において、
前記ガイド部が、前記ケースの前記一側面と前記スライド部材の対向面との間に第三ガイドを有していることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-10-30 
出願番号 特願2018-142013(P2018-142013)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (H01H)
P 1 651・ 561- YAA (H01H)
P 1 651・ 121- YAA (H01H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 内田 勝久  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 杉山 健一
内田 博之
登録日 2019-10-18 
登録番号 特許第6602431号(P6602431)
権利者 マレリ株式会社
発明の名称 スイッチ装置  
代理人 弁護士法人クレオ国際法律特許事務所  
代理人 弁護士法人クレオ国際法律特許事務所  
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