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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1370816
審判番号 不服2019-7752  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-11 
確定日 2021-02-04 
事件の表示 特願2016-42575号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年7月11日出願公開、特開2016-123877号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯の概要
本願は、平成26年12月25日に出願した特願2014-263162号の一部を平成28年3月4日に新たな特許出願(特願2016-42575号)としたものであって、平成30年9月19日付けで特許法第50条の2の通知を伴う拒絶の理由が通知され、同年11月22日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年3月1日付け(送達日:同年同月12日)で、平成30年11月22日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和1年6月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、同年12月27日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年3月4日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、これに対し、当審において、同年5月12日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年7月17日に意見書が提出されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年3月4日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(記号A?Fは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「A 始動条件の成立により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を実行する判定手段と、
B 所定の演出抽選結果に基づいて、演出を制御する演出制御手段とを備え、
C 前記演出は、
C1 前記特別遊技が行われる可能性があることを示唆するリーチ演出と、
C2 前記リーチ演出と異なり、前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆する特定演出と、
C3 前記特定演出が実行されることを期待させる演出であって、前記特定演出を構成する演出内容の一部を用いた部分特定演出と、を有し、
C4 同一の前記部分特定演出が複数回実行された後に前記特定演出が実行される第1演出態様と、
C5 前記部分特定演出が実行されずに前記特定演出が実行される第2演出態様と、
C6 前記部分特定演出を実行した後に前記特定演出が実行されない第3演出態様と、を有し、
D1 前記第1演出態様における前記部分特定演出は、前記リーチ演出中に実行可能であり、
D2 前記第1演出態様において実行される前記特定演出と、前記第2演出態様において実行される前記特定演出と、は同一態様の演出であり、
E 前記第1演出態様および前記第2演出態様により演出が実行された場合は、前記第3演出態様により演出が実行された場合よりも前記特別遊技が実行されやすい、
F 遊技機。」

3 拒絶の理由
当審による令和2年5月12日付けの拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
1(進歩性)
本願発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


1:特開2009-254524号公報

4 引用発明、引用文献1に記載された技術事項
当審による令和2年5月12日付けの拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2009-254524号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付与した。以下同じ。)。
(1)記載事項
ア「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機、コイン遊技機、および、スロットマシン等の遊技機に関し、特に、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示する変動表示部を備え、該変動表示部に導出表示された識別情報の表示結果が予め定められた特定表示結果となったときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機に関する。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0007】本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、再変動表示に関する演出の面白みを向上させ、遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することである。」

イ「【0059】
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2は、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムにしたがって制御動作を行なうCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路503が内蔵されている。」

ウ「【0068】
この実施の形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(後述する演出制御用マイクロコンピュータ100)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、飾り図柄を変動表示する第1飾り図柄表示器9aおよび第2飾り図柄表示器9bの表面制御と、演出図柄を変動表示する演出表示装置9の表示制御とを行なう。また、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段は、操作ボタン30からの操作検出信号が入力され、その信号に応じて、後述する予告演出等の各種演出を行なう。」

エ「【0165】
図23、図24(A)および(B)は、ROM54に記憶されている当り変動パターン判定テーブル137A?137Cを示す説明図である。当り変動パターン判定テーブル137A?137Cは、変動表示結果を「大当り」または「小当り」にする旨の判定がなされたときに、大当り種別や変動パターン種別の決定結果等に応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム4)に基づいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。各当り変動パターン判定テーブル137A?137Cは、変動パターン種別の決定結果に応じて、使用テーブルとして選択される。すなわち、変動パターン種別をノーマルCA3-1、スーパーCA3-2?スーパーCA3-6のいずれかにする旨の決定結果に応じて当り変動パターン判定テーブル137Aが使用テーブルとして選択され、変動パターン種別をスーパーCB3-1?スーパーCB3-2のいずれかにする旨の決定結果に応じて当り変動パターン判定テーブル137Bが使用テーブルとして選択され、変動パターン種別を特殊CA4-1、特殊CA4-2、特殊CB4-1、特殊CB4-2、特殊CC4-1、特殊CC4-2のいずれかにする旨の決定結果に応じて当り変動パターン判定テーブル137Cが使用テーブルとして選択される。各当り変動パターン判定テーブル137A?137Cは、変動パターン種別に応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム4)の値と比較される数値(判定値)であって、演出図柄の変動表示結果が「大当り」または「小当り」である場合に対応した複数種類の変動パターンのいずれかに対応するデータ(判定値)を含む。
・・・
【0195】
また、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、図23?図26に示された当り変動パターン判定テーブル137A,137B,137C、または、はずれ変動パターン判定テーブル138A,138Bとランダム4とを用いて変動パターンを決定した後、擬似連演出パターン判定テーブル139Aまたは擬似連演出パターン判定テーブル139Bを用いて擬似連の具体的な変動パターンを決定するが、当り変動パターン判定テーブル137A,137B,137C、および、はずれ変動パターン判定テーブル138A,138Bに、擬似連の具体的な変動パターンとそれに対応する判定値を設定し、ランダム4に一致する変動パターンを決定することによって、擬似連の具体的な変動パターンまで決定されるようにしてもよい。」

オ「【0231】
始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファにおける保存領域に格納する処理を実行する(S215)。なお、S215の処理では、ランダムR(大当り判定用乱数)およびソフトウェア乱数であるランダム2-1(図15参照)が、保存領域に格納される。
・・・
【0247】
次いで、CPU56は、乱数バッファ領域からランダムR(大当り判定用乱数)を読出し(S61)、大当り判定モジュールを実行する(S62)。大当り判定モジュールは、予め決められている大当り判定値(図16参照)と大当り判定用乱数とを比較し、それらが一致したら大当りまたは小当りとすることに決定する処理を実行するプログラムである。すなわち、大当り判定の処理を実行するプログラムである。」

カ「【0325】
このように、パチンコ遊技機1においては、ステップアップ予告に関し、第1ステップアップ予告および第2ステップアップ予告というような複数系統のステップアップ予告演出が設けられており、その複数系統のステップアップ予告演出のうちから実行するステップアップ予告演出が選択されることとなる。
・・・
【0377】
図62は、図柄変動制御パターンテーブルを示す説明図である。演出制御用マイクロコンピュータ100におけるROMに記憶されている制御パターンテーブルには、たとえば、図62に示す図柄変動制御パターンテーブル180が含まれている。図62に示す図柄変動制御パターンテーブル180には、演出図柄の変動が開始されてから最終停止図柄となる確定演出図柄が停止表示されるまでの期間における、演出表示装置9の表示領域における演出図柄の変動表示動作、リーチ演出における演出表示動作、特定演出における演出表示動作、および、予告演出における演出表示動作といった各種の演出動作の制御内容を示すデータが、図柄変動制御パターンとして複数種類格納されている。また、各図柄変動制御パターンは、たとえば、演出制御プロセスタイマ設定値、演出制御プロセスタイマ判定値、演出表示制御データ、音声制御データ、ランプ制御データ、および、終了コードといった、演出図柄の変動表示に応じた各種の演出動作を制御するための制御データを含み、時系列的に、各種の演出制御の内容、および、演出制御の切替タイミング等が設定されている。なお、図柄変動制御パターンテーブルとしては、特定演出を含む演出図柄の演出動作を制御するための制御データよりなる図柄制御パターンテーブルと、演出図柄の演出動作とは別の予告演出の演出動作を制御するための制御データよりなる予告制御パターンテーブルとを設け、これら演出図柄の演出動作を制御するための制御データと、予告演出の演出動作を制御するための制御データとを組合せて用いることにより、1つの図柄変動制御パターンテーブルにより図柄の演出動作と予告の演出動作とを実行する場合と同様の演出動作を実行するように構成してもよい。」

キ「【0393】
図65は、予告演出の一例としての第1ステップアップ予告および第2ステップアップ予告が実行されたときの演出表示装置9における表示動作例を示す説明図である。図65では、(A)?(E)に、擬似連の変動表示中に第1ステップアップ予告および第2ステップアップ予告が実行されたときの表示状態が時間経過にしたがって示されている。

【図65】:予告演出の一例としての第1ステップアップ予告および第2ステップアップ予告が実行されたときの演出表示装置における表示動作例を示す説明図である。



【0394】
まず、第1ステップアップ予告について説明する。図65を参照して、(A),(B)に示すように、特別図柄の変動表示における特別図柄の変動開始等に対応して、「左」、「中」、「右」の図柄表示エリア9L、9C、9Rの全部で演出図柄の変動が開始される。第1ステップアップ予告を実行することが決定されたときには、その後、図65(B)?(D)に示すように、いずれの図柄表示エリアでも演出図柄が停止されていない変動中の状態において、複数段階のステップにより構成される第1ステップアップ予告が実行される。
【0395】
具体的に、第1ステップアップ予告においては、大当りとなることを示す予告が複数段階のステップ(たとえば、ステップ1?ステップ3の3段階)に分けて示される。擬似連においては、最大3回の変動表示(再変動を含む)が連続的に行なわれる。第1ステップアップ予告については、擬似連の各変動表示において、最大限、ステップ1?ステップ3の3つの予告ステップが実行される。ステップ1?ステップ3のそれぞれの予告ステップについては、色が異なる3つの人型のキャラクタを示す画像(以下、キャラクタ画像と呼ぶ)91T,92T,93Tが用意されている。擬似連のように連続的に行なわれる一連の変動表示のそれぞれの変動表示の回には、ステップ1?ステップ3のうち、1つまたは複数(最大限3つ)の予告ステップが選択されて表示されることにより、選択されたステップに対応するキャラクタ画像が表示される。
【0396】
第1ステップアップ予告は、原則的に、第1の色(たとえば、黒色)が付された第1のキャラクタ画像91Tが表示されるステップ1、第2の色(たとえば緑色)が付された第2のキャラクタ画像92Tが表示されるステップ2、および、第3の色(たとえば、赤色)が付された第3のキャラクタ画像93Tが表示されるステップ3の順序にしたがって複数段階でステップアップする態様で表示される。したがって、たとえば、擬似連の変動パターンで変動表示が行なわれるときに、予告ステップがステップアップするごとにキャラクタ画像が切替えられて表示される。
【0397】
第1ステップアップ予告を構成するステップ1?ステップ3については、ステップ1<ステップ2<ステップ3の順序で、表示されたときにその後に大当りとなる割合が高くなるように大当りとなる信頼度が設定されている。これにより、遊技者からの見た目では、第1のキャラクタ画像91T<第2のキャラクタ画像92T<第3のキャラクタ画像93Tの順序で、表示されたときにその後に大当りとなる割合が高くなるように大当りとなる信頼度が設定されている。
【0398】
これらステップ1?ステップ3は、同じステップが複数回続いて選択される場合もあり、順序を飛ばして選択される場合もある。ただし、大当りとなる信頼度が順序が逆になる態様で選択されないように(たとえば、ステップ2が選択された次にステップ1が選択されることがないように)禁則処理が行なわれる。具体的に、たとえば、擬似連の変動中において最初にステップ1の予告ステップが選択されたときには、次の予告ステップとして、ステップ1以上のステップが選択される。また、たとえば、擬似連の変動中において最初にステップ2の予告ステップが選択されたときには、次の予告ステップとして、ステップ2以上のステップが選択される。これにより、擬似連により期待感を煽っているにもかかわらず、その中で実行される予告演出の態様が信頼度の低いものとなってしまうのを防ぐことができる。
【0399】
図65においては、前述したような原則的な順序で3つのキャラクタ画像が表示されていく典型的な第1ステップアップ予告の表示例が示されている。(B)に示すように、第1ステップアップ予告における第1のステップであるステップ1では、第1のキャラクタ画像91Tが表示される(たとえば、画面端部から登場する)。そして、第1ステップアップ予告における第2のステップであるステップ2では、(C)に示すように、第2のキャラクタ画像92Tが表示される(たとえば、画面端部から登場する)。さらに、第1ステップアップ予告における第3のステップであるステップ3では、(D)に示すように、第3のキャラクタ画像93Tが表示される(たとえば、画面端部から登場する)。
・・・
【0403】
そして、予告演出後に大当りとなるときには、(E)に示すように、最後の変動表示が行なわれるときに、その一連の変動表示において表示されたすべてのキャラクタ画像が表示される(たとえば、画面端部から登場する)。なお、第1ステップアップ予告については、予告ステップとして、(E)のような表示を行なう第4のステップ(ステップ4)を設けてもよい。
・・・
【0452】
なお、この実施の形態では、リーチ状態となった後に行なう第5予告演出として、操作ボタン30が操作されたことに応じて実行する予告演出を説明した。しかし、これに限らず、リーチ状態となった後に行なう第5予告演出としては、操作ボタン30の操作に関わらず実行される予告演出を用いてもよい。また、リーチ状態となった後に行なう第5予告演出としては、群予告を行なう例を示した。しかし、これに限らず、第5予告演出としては、群予告以外の演出を行なう予告演出を用いるようにしてもよい。たとえば、第5予告演出としては、ステップアップ予告、ミニキャラ予告等の群予告以外の演出を行なうようにしてもよい。」

ク「【0818】
次に、S534に進んだ場合は、S533の決定において、第1予告演出なしと決定されたか否かを判別する(S534)。S533で第1予告演出なしと決定された場合には(S534でY)、後述するS543に進む。一方、S533で、予告パターン種別がボタン予告と第1ステップアップ予告とのいずれかの種別に決定された場合には(S534でN)、図71を用いて説明したように、決定された予告パターン種別の情報と、変動パターンに基づいて特定される表示結果の情報(大当り、リーチはずれ、非リーチはずれ)とに応じて、予告選択テーブルとして、図71の(A)?(F)に示す予告選択テーブルのいずれかを選択決定してセットする(S535)。」

(2)認定事項
ケ 引用文献1には、
【0393】に「図65では、(A)?(E)に、擬似連の変動表示中に第1ステップアップ予告・・・が実行されたときの表示状態が時間経過にしたがって示されている。」と記載され、
【0399】に「図65においては、・・・原則的な順序で3つのキャラクタ画像が表示されていく・・・第1ステップアップ予告の表示例が示されている。」と記載され、
【0403】に「予告演出後に大当りとなるときには、(E)に示すように、最後の変動表示が行なわれるときに、その一連の変動表示において表示されたすべてのキャラクタ画像が表示される・・・。なお、第1ステップアップ予告については、予告ステップとして、(E)のような表示を行なう第4のステップ(ステップ4)を設けてもよい。」と記載されている。
そして、【図65】に第1ステップアップ予告として、(B)?(D)の各ステップ1?3の変動表示において表示されたすべてのキャラクタ画像を(E)のステップ4として表示されることが、図示されている。
したがって、引用文献1には、「第1ステップアップ予告が、ステップ1?4から構成されること」(認定事項ケ-1)が記載されているものと認める。

また、上記【0403】のなお書きによると、引用文献1には、予告演出後に大当りとなる場合に、「最後の変動表示が行なわれるときに」「表示される」「その一連の変動表示において表示されたすべてのキャラクタ画像」を、「ステップ4」として表示することが記載されている。
したがって、引用文献1には、「第1ステップアップ予告において、予告演出後に大当りとなる場合には、最後の変動表示が行なわれるときに、ステップ4として、各ステップ1?3の変動表示において表示されたすべてのキャラクタ画像が表示され、告演出後に大当りとならない場合には、ステップ4は表示されない」こと(認定事項ケ-2)が記載されているものと認められる。

(3)引用発明
引用文献1の上記(1)の記載事項、上記(2)の認定事項、及び、図面の図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?fは、本願発明のA?Fに対応させて当審判合議体にて付与した。)。
「a 始動口スイッチ通過処理において保存領域に格納されたランダムR(大当り判定用乱数)を読出して、大当り判定の処理を実行するCPU56を含む、主基板(遊技制御基板)31に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータ560(【0059】、【0231】、【0247】)と、
b 遊技制御用マイクロコンピュータ560から、当り変動パターン判定テーブル137A,137B,137C、または、はずれ変動パターン判定テーブル138A,138Bとランダム4(変動パターン判定用の乱数)とを用いて決定された変動パターンを指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を変動表示する演出表示装置9の表示制御を行なうとともに、操作ボタン30からの操作検出信号に応じて、予告演出等の各種演出を行なう演出制御用マイクロコンピュータ100(【0068】、【0195】)と、を有し、
c 上記各種演出には、
c1 リーチ演出(【0377】)が含まれるとともに、
c2、c3、c4、c6、d2、e 第1予告演出として、いずれの図柄表示エリアでも演出図柄が停止されていない擬似連の変動中の状態において、複数段階のステップにより構成され、大当りとなることを示す第1ステップアップ予告が含まれ(【0325】、【0393】?【0395】)、
第1ステップアップ予告は、ステップ1?4から構成され、
第1ステップアップ予告は、原則的な順序で3つのキャラクタ画像が表示されていく場合、第1の色(黒色)が付された人型の第1のキャラクタ画像91Tが表示されるステップ1、第2の色(緑色)が付された人型の第2のキャラクタ画像92Tが表示されるステップ2、および、第3の色(赤色)が付された人型の第3のキャラクタ画像93Tが表示されるステップ3の順序にしたがって複数段階でステップアップする態様で表示され(【0396】、【0399】)、
第1ステップアップ予告において、予告演出後に大当りとなる場合には、最後の変動表示が行なわれるときに、ステップ4として、各ステップ1?3の変動表示において表示されたすべてのキャラクタ画像が表示され、予告演出後に大当りとならない場合には、ステップ4は表示されず(認定事項ケ-2)、
d1 リーチ状態になった後に行なう第5予告演出として、ステップアップ予告演出を行うようにしてもよく(【0452】)、
ステップアップ予告には、第1ステップアップ予告および第2ステップアップ予告というような複数系統のステップアップ予告演出が設けられている(【0325】)、
f パチンコ遊技機(【0001】)。」

(4)引用文献1に記載された技術事項
引用文献1の【0398】、【0402】には、次の技術事項(以下「引用文献1に記載された技術事項」という。)が記載されている。
「第1ステップアップ予告を構成するステップ1?ステップ3について、同じステップが複数回続いて選択される場合もあり、順序を飛ばして選択される場合もあるが、大当りとなる信頼度が、順序が逆になる態様で選択されないように禁則処理が行なわれること。」(以下「引用文献1に記載された技術事項」という。)。

5 対比
本願発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a)
引用発明における構成aの「始動口スイッチ通過処理において保存領域に格納されたランダムR(大当り判定用乱数)を読出して、大当り判定の処理を実行する」ことは、本願発明の「始動条件の成立により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を実行する」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成aの「始動口スイッチ通過処理において保存領域に格納されたランダムR(大当り判定用乱数)を読出して、大当り判定の処理を実行するCPU56を含む、主基板(遊技制御基板)31に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータ560」は、本願発明における構成Aの「始動条件の成立により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を実行する判定手段」としての機能を有する。

(b)
引用発明の「当り変動パターン判定テーブル137A,137B,137C、または、はずれ変動パターン判定テーブル138A,138Bとランダム4(変動パターン判定用の乱数)とを用いて決定された変動パターン」は、本願発明の「所定の演出抽選結果」に相当する。
そうすると、引用発明の「遊技制御用マイクロコンピュータ560から、当り変動パターン判定テーブル137A,137B,137C、または、はずれ変動パターン判定テーブル138A,138Bとランダム4(変動パターン判定用の乱数)とを用いて決定された変動パターンを指示する演出制御コマンドを受信」することは、本願発明の「所定の演出抽選結果に基づ」くことに相当する。
また、引用発明の「演出図柄を変動表示する演出表示装置9の表示制御を行なうとともに、操作ボタン30からの操作検出信号に応じて、予告演出等の各種演出を行なう」ことは、本願発明の「演出を制御する」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成bの「遊技制御用マイクロコンピュータ560から、当り変動パターン判定テーブル137A,137B,137C、または、はずれ変動パターン判定テーブル138A,138Bとランダム4(変動パターン判定用の乱数)とを用いて決定された変動パターンを指示する演出制御コマンドを受信し、」「操作ボタン30からの操作検出信号に応じて、予告演出等の各種演出を行なう演出制御用マイクロコンピュータ100」は、本願発明における構成Bの「所定の演出抽選結果に基づいて、演出を制御する演出制御手段」としての機能を有する。

(c、c1)
引用発明の「リーチ演出」が、「大当り」(特別遊技)となる可能性を示唆する演出であることは、当業者における技術常識であるから、引用発明における構成c、c1の「上記各種演出には、」「リーチ演出が含まれる」ことは、本願発明における構成C、C1の「前記演出は、前記特別遊技が行われる可能性があることを示唆するリーチ演出」「を有」することに相当する。

(c、c2)
引用発明の構成c2、c3、c4、c6、d2、eの「複数段階のステップにより構成され、大当りとなることを示す第1ステップアップ予告」は、本願発明の「リーチ演出と異な」る「演出」に相当する。
そして、引用発明の構成c2、c3、c4、c6、d2、eの「ステップ4」は、「予告演出後に大当りとなる場合」に表示される演出であるから、本願発明の「特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆する特定演出」に相当する。
したがって、引用発明における構成c、c2、c3、c4、c6、d2、eの「第1ステップアップ予告において、予告演出後に大当りとなる場合には、最後の変動表示が行なわれるときに、ステップ4として、各ステップ1?3の変動表示において表示されたすべてのキャラクタ画像が表示され」ることは、本願発明における構成C、C2の「演出は、」「リーチ演出と異なり、特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆する特定演出」「を有」することに相当する。

(c、c3)
引用発明のc2、c3、c4、c6、d2、eの「第1の色(黒色)が付された人型の第1のキャラクタ画像91Tが表示されるステップ1」、「第2の色(緑色)が付された人型の第2のキャラクタ画像92Tが表示されるステップ2」、「第3の色(赤色)が付された人型の第3のキャラクタ画像93Tが表示されるステップ3」の各々は、「ステップ4」において、「ステップ1?3の各変動表示において表示されたすべてのキャラクタ画像が表示され」ることからみて、ステップ4の演出の一部を用いた演出であり、かつ、ステップ1?3において、それぞれ、人型のキャラクタ画像91T?93Tが表示されることで、「第1ステップアップ予告」が、予告演出後に大当りとなる場合に表示される、ステップ4までステップアップすることを期待させる演出であるといえる。
そうすると、引用発明の構成c2、c3、c4、c6、d2、eの「第1の色(黒色)が付された人型の第1のキャラクタ画像91Tが表示されるステップ1」、「第2の色(緑色)が付された人型の第2のキャラクタ画像92Tが表示されるステップ2」、「第3の色(赤色)が付された人型の第3のキャラクタ画像93Tが表示されるステップ3」の各々は、本願発明の「特定演出が実行されることを期待させる演出であって、特定演出を構成する演出内容の一部を用いた部分特定演出」に相当する。
したがって、引用発明における構成c、c2、c3、c4、c6、d2、eの「各種演出には、」「第1の色(黒色)が付された人型の第1のキャラクタ画像91Tが表示されるステップ1」、「第2の色(緑色)が付された人型の第2のキャラクタ画像92Tが表示されるステップ2」、「第3の色(赤色)が付された人型の第3のキャラクタ画像93Tが表示されるステップ3」の各々を「表示」することは、本願発明における構成C、C3の「演出は、」「特定演出が実行されることを期待させる演出であって、特定演出を構成する演出内容の一部を用いた部分特定演出」「を有」することに相当する。

(c、c4)
上記(c、c3)より、引用発明の「ステップ1」、「ステップ2」、「ステップ3」のそれぞれは、本願発明の「部分特定演出」に相当する。
そして、引用発明において、「ステップ1」、「ステップ2」、「ステップ3」でそれぞれ表示される「第1の色(黒色)が付された人型の第1のキャラクタ画像91T」、「第2の色(緑色)が付された人型の第2のキャラクタ画像92T」、「第3の色(赤色)が付された人型の第3のキャラクタ画像93T」は、「人型」という「同一形状のキャラクタ画像」を用いたものである。
そうすると、引用発明における「ステップ1」、「ステップ2」、「ステップ3の順序にしたがって複数段階でステップアップ」した後、「ステップ4が表示される」「第1ステップアップ予告」と、本願発明の「同一の部分特定演出が複数回実行された後に特定演出が実行される第1演出態様」を有する「演出」とは、「共通する部分を有する部分特定演出が複数回実行された後に特定演出が実行される第1演出態様」を有する「演出」である点で共通する。

(c、c6)
引用発明の構成c2、c3、c4、c6、d2、eの「原則的な順序で3つのキャラクタ画像が表示されていく場合、第1の色(黒色)が付された人型の第1のキャラクタ画像91Tが表示されるステップ1、第2の色(緑色)が付された人型の第2のキャラクタ画像92Tが表示されるステップ2、および、第3の色(赤色)が付された人型の第3のキャラクタ画像93Tが表示されるステップ3の順序にしたがって複数段階でステップアップする態様で表示され」る「第1ステップアップ予告」は、「予告演出後に大当りとならない場合」、ステップ1、ステップ2、ステップ3を順番に表示した後、「ステップ4は表示され」ない予告演出であるから、本願発明の構成C6の「部分特定演出を実行した後に特定演出が実行されない第3演出態様」に相当する。

(d1)
引用発明は、「リーチ状態になった後に行なう第5予告演出として、ステップアップ予告演出を行うようにしてもよ」いものであるが、ここでいう「ステップアップ予告演出」には、「ステップアップ予告には、第1ステップアップ予告および第2ステップアップ予告というような複数系統のステップアップ予告演出が設けられて」いることからみて、「第1ステップアップ予告」が、その1つの系統として含まれるものである。

そして、上記(c、c3)によれば、引用発明の「第1ステップアップ予告」で「表示」される「ステップ1」、「ステップ2」、「ステップ3」の各々は、本願発明の「部分特定演出」に相当する。
したがって、引用発明の構成d1の「リーチ状態になった後に行なう第5予告演出として、ステップアップ予告演出を行うようにしてもよ」いことは、複数系統ある「ステップアップ予告演出」の1系統である「第1ステップアップ予告」について、「ステップ1」、「ステップ2」、「ステップ3」の各々を、「リーチ状態になった後」、すなわち、リーチ状態中に行うことであるから、本願発明の構成D1の「第1演出態様における部分特定演出は、リーチ演出中に実行可能であ」ることに相当する。

(f)
引用発明の構成fの「パチンコ遊技機」は、本願発明の構成Fの「遊技機」に相当する。


上記本願発明と引用発明との対比から、本願発明と引用発明とは、
「A 始動条件の成立により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を実行する判定手段と、
B 所定の演出抽選結果に基づいて、演出を制御する演出制御手段とを備え、
C 前記演出は、
C1 前記特別遊技が行われる可能性があることを示唆するリーチ演出と、
C2 前記リーチ演出と異なり、前記特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆する特定演出と、
C3 前記特定演出が実行されることを期待させる演出であって、前記特定演出を構成する演出内容の一部を用いた部分特定演出と、を有し、
C4′共通する部分を有する部分特定演出が複数回実行された後に特定演出が実行される第1演出態様と、
C6 前記部分特定演出を実行した後に前記特定演出が実行されない第3演出態様と、を有し、
D1 前記第1演出態様における前記部分特定演出は、前記リーチ演出中に実行可能である、
F 遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1](構成C、C4)
第1演出態様において複数回実行される部分特定演出に関して、本願発明は、複数回の部分特定演出が「同一」であるのに対して、引用発明は、ステップ1?3のキャラクタ画像の形状は同一であるが、キャラクタ画像の色は異なる点。

[相違点2](構成C、C5)
演出に関して、本願発明は、部分特定演出が実行されずに特定演出が実行される第2演出態様を有するのに対して、引用発明は、ステップ1?4を順次実行する点。

[相違点3](構成D2)
本願発明は、「第1演出態様において実行される特定演出と、第2演出態様において実行される特定演出と、は同一態様の演出であ」るが、引用発明は、ステップ4として、ステップ1?3の各変動表示において表示されたすべてのキャラクタ画像が表示されるが、本願発明の第2演出態様を有しない点。

[相違点4](構成E)
本願発明は、「第1演出態様および第2演出態様により演出が実行された場合は、第3演出態様により演出が実行された場合よりも特別遊技が実行されやすい」が、引用発明は、「予告演出後に大当りとなる場合には、最後の変動表示が行なわれるときに、ステップ4」「が表示される」が、本願発明の第2演出態様を有しない点。

6 当審の判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点1(構成C、C4)
引用文献1に記載された技術事項は、「第1ステップアップ予告のステップ1?3は、同じステップが複数回続いて選択される場合もあ」ることから、引用文献1に記載された技術事項の「第1ステップアップ予告」には、ステップ1が3回選択表示される場合、ステップ2が3回選択表示される場合、ステップ3が3回選択表示される場合を含むものである。
そして、引用発明の「第1ステップアップ予告」は、構成c2、c3、c4、c6、d2、eによれば、「予告演出後に大当りとなる場合」に、ステップ1?3を順に表示させた後、「ステップ4」の「表示」を行うものである。
そうすると、引用発明の「ステップ4」を表示する「第1ステップアップ予告」に、引用文献1に記載された技術事項を適用して、ステップ1?3のうちのいずれか1つのステップを3回表示した後に、ステップ4を表示することが可能である。
したがって、引用発明に上記引用文献1に記載された技術事項を適用して、ステップ1?3のうち、いずれか1つのステップを複数回表示した後に、ステップ4を表示することで、形状も色も同一のキャラクタ画像を表示させ、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

(2)相違点2(構成C、C5)について
遊技機の技術分野において、最終ステップが表示されることで大当り確定報知を行うステップアップ予告において、最終ステップのみを単独で表示させることは、本願のもとの出願の出願前において、遡及日前に周知の技術事項である(例えば、特開2014-23851号公報の【0086】、【0168】、【図6】には、ステップアップ演出の演出パターン21では、SU1?SU4が飛ばされて、突然、SU5のSU演出が実行されること、および、SU5が実行されることによって大当りを確定するように構成してもよいことが記載され、特開2010-119706号公報の【0061】、【0064】?【0065】、【0179】、【図5】、【図18】、【図20】(c)には、ステップアップ予告の特殊段階予告では、1段階目から4段階目のステップを省略し、いきなり5段階目のステップの予告画像GSU5を画像表示すること、および、ステップSU5の演出内容として、SSU5by、SSU5cyを選択した場合は、大当り確定となるように乱数値が割り振られていることが記載されている。)。

そして、引用発明と上記周知の技術事項とは、最終ステップが大当り確定であるステップアップ予告演出に関し、ステップアップ予告演出に関し、ステップアップ予告の途中のステップを省略して、最終ステップのみの表示を可能とする点で共通する。
したがって、引用発明の大当り確定報知としてのステップ4を最終ステップとして表示する「第1ステップアップ予告」に上記周知の技術事項を適用して、ステップ4を、ステップ1?3のステップを部分的に飛ばした後に表示するのでなく、ステップ1?3のステップを全部飛ばして、ステップ4のみを単独で表示可能とし、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

(3)相違点3?4(構成D2?E)について
上記(1)?(2)において検討したように、引用発明の「第1ステップアップ予告」において、引用文献1に記載された技術事項に基づいて、ステップ1?3のうち、いずれか1つのステップを複数回表示した後に、ステップ4を表示する「第1演出態様」の演出を実行することは、当業者が容易になし得たものである。また、引用発明の「第1ステップアップ予告」において、引用文献1に記載された技術事項、および、上記周知の技術事項に基づいて、ステップ1?3のステップを全部飛ばして、ステップ4のみを単独で表示可能とする「第2演出態様」の演出を実行することは、当業者が容易になし得たものである。
そして、この場合、「第1演出態様」において実行されるステップ4と、「第2演出態様」において実行されるステップ4とは、同じ態様の演出であり、また、引用発明において実行される「第1演出態様」の演出、および、「第2演出態様」の演出では、「予告演出後に大当りとなる場合に」「ステップ4の表示が行われ」ることから、ステップ4の表示が行われる「第1ステップアップ予告」は、「ステップ4の表示が行われ」ず、ステップ1で終了する演出態様や、ステップ2で終了する演出態様や、ステップ3で終了する演出態様(本願発明の「第3演出態様」に相当する。)よりも「大当りとなる信頼度」の高い演出であると認められる。
したがって、上記相違点1?2と同様、引用発明、引用文献1に記載された技術事項、および、上記周知の技術事項に基づいて、上記相違点3?4に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

(4)請求人の主張について
令和2年7月17日付け意見書において、請求人は次の主張をする。
ア 「しかしながら、「ア 相違点1(構成C、C4)」において第1ステップアップ予告がステップ4を含む構成で考えるのであれば、引用例1の段落[0398]の記載「これらステップ1?ステップ3は、同じステップが複数回続いて選択される場合もあり・・・」についても、「ステップ1?ステップ4」に拡張して解釈する必要があります。なぜなら、ステップアップ予告演出は全体として一纏まりの予告演出なので、ステップ1?ステップ4を実行可能な第1ステップアップ予告を前提としているにも拘らず上記の記載について「ステップ1?ステップ3」のままで考えるのは不自然だからです。
そして、「ア 相違点1(構成C、C4)」において「ステップ1?ステップ4」に拡張して解釈した場合、引用例1の段落[0398]の記載は「これらステップ1?ステップ4は、同じステップが複数回続いて選択される場合もあり・・・」に拡張解釈されることになります。
ここで、第1ステップアップ予告においてステップ4の表示が行われた場合は予告演出後に大当たりとなる(段落[0403])ので、上記のように拡張解釈すると、上記の「ア 相違点1(構成C、C4)」において、大当たりを確定的に報知する同一の予告ステップであるステップ4が第1ステップアップ予告において複数回実行される場合がある構成となってしまいます。
しかしながら、ステップアップ予告において、大当たりを確定的に報知する全く同一の予告ステップ(ステップ4)を複数回実行することは、通常は有り得ません。」(3.本願発明と引用例との対比 <本拒絶理由通知書の(4)判断」の「ア 相違点1(構成C、C4)」について>)

イ 「ここで、「(4)判断」の「ア 相違点1(構成C、C4)」で認定されているように、『ステップアップ予告演出は、ステップ1?ステップ4の順に順番に演出を進展させる演出であり』(下線を付しました)ます。
つまり、第1ステップアップ予告は「ステップ(つまり「演出」)を進展させる」予告演出です。
このことは、引用例1において、例えば段落[0394]に「第1ステップアップ予告を実行することが決定されたときには、・・・複数段階のステップにより構成される第1ステップアップ予告が実行される。」(下線を付しました)と記載されている一方で、第1ステップアップ予告において(複数のステップ(演出)を実行することなく演出を進展させない)ステップ3のみの実施構成やステップ4のみの実施構成が存在することが記載されていないことからも明らかです。このように、引用例1は、第1ステップアップ予告において、(複数のステップ(演出)を実行して演出を進展させるのではなく)ステップ4のみを実行する構成までも想定したものではありません。
以上のことから、「イ 相違点2(構成C、C5)」における、第1ステップアップ予告においてステップ4のみを実行する構成は、当業者が決して容易になし得たものではありません。
更に言えば、第1ステップアップ予告において、大当たりを確定的に報知する最終の予告ステップ(ステップ4)のみを実行する構成は、通常は有り得ません。」(3.本願発明と引用例との対比 <本拒絶理由通知書の「(4)判断」の「イ 相違点2(構成C、C5)」について>)

そこで、請求人の上記主張について検討する。
ウ 請求人の上記主張アについて
引用発明の「第1ステップアップ予告」は、構成c2、c3、c4、c6、d2、eによれば、「予告演出後に大当りとなる場合」に、ステップ1?3の各ステップを順に表示させた後、「ステップ4」の「表示」を行うものである。
一方、引用文献1に記載された技術事項は、「第1ステップアップ予告を構成するステップ1?ステップ3について、同じステップが複数回続いて選択される場合もあ」るというものであって、ステップ1?3については、同じステップが複数回繰り返されることを許容するものの、ステップ4については、ステップ4が繰り返されることを特定するものではない。
したがって、引用発明に引用文献1に記載された技術事項を適用してみても、ステップ1?3のいずれか1つのステップを複数回繰り返すものとなっても、請求人の主張するようにステップ4の表示を複数回繰り返すものとはならない。

エ 請求人の上記主張イについて
上記「(2)相違点2(構成C、C5)について」で検討したように、遊技機の技術分野において、最終ステップが表示されることで大当り確定報知を行うステップアップ予告において、最終ステップのみを単独で表示させることは、本願のもとの出願の出願前において周知の技術事項であるから、引用発明の「予告演出後に大当りとなる場合」に、表示される最終ステップがステップ4である「第1ステップアップ予告」に上記周知の技術事項を適用して、大当り確定報知としてのステップ4を、ステップ1?3のステップを全部飛ばして単独で表示可能とすることは、当業者が容易になし得たものである。

オ 小括
上記ウ?エの検討内容からみて、請求人の上記主張を採用することはできない。

(5)本願発明が奏する効果について
本願発明により奏される効果について、請求人は、令和2年3月4日付け意見書において、次の主張をする。
ア 「構成C2、C3により、部分特定演出を実行することによって、特別遊技が行われる可能性が高いことを示唆する特定演出が行われることを期待させることができるので、遊技の興趣性を高めることができます。(「効果1」という。)」
イ 「構成C4およびG(審決における構成D1)により、リーチ演出開始前に部分特定演出が1回も実行されていない場合においても、リーチ演出開始後に特定演出の実行を期待させる部分特定演出が実行される可能性があるので、リーチ演出開始後において特定演出が行われることの期待感を否定することがなく、遊技の興趣性の低下を効果的に防止することができます(「効果2」という。)。

そこで、上記効果1、2を引用発明が奏するか否かについて検討する。
引用発明は、前記「5 対比」(c2)、(c3)において検討したように、本願発明の構成C2、C3に相当する構成として、構成c2、c3、c4、c6、d2、eの「ステップ4として、ステップ1?3の各変動表示において表示されたすべてのキャラクタ画像が表示され」る構成を備えるものである。
そして、引用発明が、「ステップ4として、各ステップ1?3の各変動表示において表示されたすべてのキャラクタ画像が表示」される構成を備えることにより、遊技者は、ステップ1?3のいずれかのステップが表示された際に、ステップ4が表示されることを期待して遊技を行うことができ、遊技の興趣を向上させるという、本願発明が奏する効果1と同様の効果を奏するものである。

また、引用発明は、前記「5 対比」(d1)において検討したように、本願発明の構成D1に相当する構成d1として、「リーチ状態になった後に」、「第1ステップアップ予告演出」「を行うようにしてもよい」構成を備えるものである。
そして、引用発明は、「第1ステップアップ予告」について、ステップ1?3の各々を、「リーチ状態になった後」、すなわち、リーチ状態中に行うものであるから、ステップ1?3を表示した後に行われるステップ4の表示も、リーチ状態中に行われるものである。
したがって、遊技者は、リーチ状態前にステップ1?3のいずれのステップが表示されなくても、リーチ状態後に、ステップ1?3のいずれのステップが表示され、さらに、その後、ステップ4が表示されることを期待して遊技を行うことができ、遊技の興趣を向上させるという、本願発明が奏する効果2と同様の効果を奏するものである。
よって、本願発明が奏すると請求人が主張する効果1、2は、引用文献1に記載された技術事項から当業者が予測し得る効果の範囲内のものであって、格別なものではない。

(6)まとめ
上記(1)?(5)より、本願発明は、引用発明、および、引用文献1に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-11-25 
結審通知日 2020-12-01 
審決日 2020-12-15 
出願番号 特願2016-42575(P2016-42575)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 手塚 毅  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
長崎 洋一
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 小笠原特許事務所  
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