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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60R
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B60R
管理番号 1370836
審判番号 不服2020-1669  
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-06 
確定日 2021-02-04 
事件の表示 特願2018-210332号「ベルト取付具」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月 7日出願公開、特開2019- 18854号、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年) 1月27日を国際出願日とする特願2014-561607号(以下、「原出願1」という。)の一部を、平成27年10月22日に新たな特許出願とした特願2015-208273号の一部を、平成29年4月24日に新たな特許出願とした特願2017-085620号の一部を、さらに、平成30年11月 8日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 1年 8月 8日付け :特許法第50条の2の通知を伴う拒絶理由の通知
令和 1年10月16日 :意見書、手続補正書の提出
令和 1年12月26日付け :令和1年10月16日の手続補正についての補正の却下の決定、拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 2年 2月 6日 :審判請求書の提出


第2 令和 1年10月16日付けの手続補正についての補正の却下の決定の適否について
1 審判請求人の主張
審判請求人は、令和 2年 2月 6日付け審判請求書の「(3)本願発明が特許されるべき理由」の項において、「本願請求項1の発明は、引用文献1に記載の発明ではないと共に引用文献1?引用文献3の記載に基づいて容易に成し得るものではないと確信します。さらに、本願請求項1に従属する本願請求項2及び請求項3の発明も、引用文献1に記載の発明ではないと共に引用文献1?引用文献3の記載に基づいて容易に成し得るものではないと確信します。」と主張する。
ここで、審判請求人の主張は、令和 1年12月26日付け補正の却下の決定により却下された令和 1年10月16日付けの手続補正(以下、単に「補正」ということもある。)によるものであることから、かかる補正の却下の決定の適否について、以下検討する。

2 補正の内容
補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「車両のシートベルト装置用のベルトが挿通される挿通孔が形成され、車両に取付けられる本体部材と、
前記本体部材に設けられて前記挿通孔の外周面を構成し、前記挿通孔の径方向外側に突出される突出部と、
を備えたベルト取付具。」から、
「車両のシートベルト装置用のベルトが挿通される挿通孔が形成され、車両に取付けられる本体部材と、
前記本体部材に設けられて前記挿通孔の外周面を構成し、前記挿通孔の全周において先端側部分を基端側部分から離隔される状態に前記挿通孔とは反対側に突出される突出部と、
を備えたベルト取付具。」
と補正された(下線は補正箇所を示す。)。

3 補正の適否
(1)補正の目的
補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「挿通孔」の「突出部」について、本願の願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)段落【0026】の記載、及び図5等を根拠として「前記挿通孔の全周において先端側部分を基端側部分から離隔される状態に前記挿通孔とは反対側に突出される」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の前記請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「補正発明」という。)が、同条6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。

(2) 独立特許要件
(2-1)引用文献の記載事項等
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として示され、原出願1の出願日前に頒布された独国出願公開第102004041665号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(引用文献1は独文である為、当審で翻訳した訳文を併記し、[ ]内に用いる。下線は当審で付与した。以下同様。)。

[[0001]本発明は、支持部材とベルトプロテクターを持つベルトガイドに、また、ベルトリトラクタにも関する。]


[[0002]プラスチック製のベルトプロテクターが金属製の支持部材にはめ込まれているものが従来技術として使用されている。
[0003]従来技術の欠点は、プラスチック製のベルトプロテクターが別体であるためのコストがかかることである。このコストは、プラスチック製部品の製造のコストと、それを金属製の支持部材に取り付けるためのコストである]


[[0004]本発明の目的は、上述したタイプのベルトガイドでコストを削減する一方で、ベルトガイドに更なる機能を統合することにある。
[0005]上記目的は、金属製の支持部材と金属製のベルトプロテクターとを一体的に形成することで達成される。これによって、ベルトプロテクターの機能を引き継ぐ他の部品の製造のための追加コストの必要はない。また、組立コストが回避できる。]


[[0009]さらに、ベルトガイドに支持装置が形成されており、この支持装置によってベルトガイドを車体部材に支持することができるように構成されている。・・・(略)・・・]


[[0017] 図1には、支持部材1とベルトプロテクター2とを有するベルトガイドの第1の実施形態が示されている。・・・(略)・・・さらに、ベルトガイドは、例えば、ベルトガイドの湾曲部分からなる支持装置6を有するように構成されている。この場合、支持装置6は車体部分7上に載置されており、ベルトガイドの固定と共に、例えばベルトガイドの他端において、車両への固定を行う。・・・(略)・・・]


[[0018] 図2に示すベルトガイドの第2の実施形態では、リトラクタ8に取付け組立補助具9が設けられている。この目的のために、図2に示された組立補助具9は、ベルトガイド及びベルトリトラクタが取り付けられる車体部材14内に挿入される。このことは、構成部材を、今やまったく又は全く規定して移動させることができないようにし、その結果、正確な配置が容易に可能となるようにすることである。組立補助具9は、組立て容易さの目的が維持されている限りにおいて、ベルトガイドの任意の箇所に形成されていてよい。・・・(略)・・・]


[[0019]図3から図5には、支持部材1とベルトプロテクター2とがそれぞれ示されており、支持部材1とベルトプロテクター2は、一体的に形成されている。ベルトプロテクター2は、壁4により保護されたスリット内でベルト3を案内するために使用される。壁4の丸み付けにより、ベルト3の方向転換の際に損傷を受けないようにすることができる。図3に示す第1の実施形態では、ベルトの伸長は、支持部材1の両側でベルトの方向に制限される。従って、壁4の曲率半径は、この場合、小さい。
[0020]ベルトプロテクター2の第2の実施形態(図4参照)によれば、壁4は支持部材1の一方側の面に延在する。図3に示すベルトプロテクター2は、支持部材1の裏側でベルト方向に限られている。壁4の曲率半径は、図3に対して増加するので、ベルト3を変位させる際に、ベルト3と壁4の接触面積が大きくなり、ベルト3の湾曲が小さくなる。ベルト3への負荷は、特に、変向の際に減少する。
[0021]・・・(略)・・・ベルトプロテクターは、支持部材を型押し、プレスまたは深絞り加工によって得られる。


[0022]図6には、ベルトプロテクターを備えたベルトリトラクタが示されている。リトラクタ8に形成された組付け補助手段9を介して、ベルトリトラクタは車体部材14に引っ掛けられ、固定エレメントによる固定は付加的に、ベルトプロテクター又はベルトリトラクタの別の箇所で行われる。・・・(略)・・・]

また、引用文献1には、以下の図面が示されている。
[図1]


[図2]


[図4]


[図6]


引用文献1の図2、4より次の技術的事項が看取できる。
・車体部材14に取付けられる支持部材1にベルト3が挿通される挿通孔が形成されている(図2、4)。
・挿通孔の周りにベルトプロテクター2が形成されている(図2、4)。
・ベルトプロテクター2はスリットと一体形成されている(図4)。
・ベルトプロテクター2の壁4はスリットの外周面を構成している(図4)。
・ベルトプロテクター2の先端側部分は、ベルト3が挿通するスリットの径方向外側に突出されている(図2、4)。

上記記載及び上記図面から看取できる技術的事項を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、以下の、引用発明の認定は図4に示された実施形態である。
「ベルト3が挿通されるスリットが形成され、車体部材14に取付けられる支持部材1と、
前記スリットの周りに形成されたベルトプロテクター2と
を有するベルトガイドであって、
前記ベルトプロテクター2はスリットと一体形成され、
前記ベルトプロテクター2の壁4はスリットの外周面を構成しており、また、壁4は支持部材1の一方側の面に延在しており、
前記ベルトプロテクター2の先端側部分は、前記スリットの径方向外側に突出されている、ベルトガイド。」

(2-2)対比・判断
ア 対比
補正発明と引用発明とを対比する。
(ア) 引用発明の「支持部材1」及び「スリット」は、機能的にみて補正発明の「本体部材」及び「挿通孔」に相当する。引用発明の「車体部材14」は、補正発明の「車両」に相当すること、また、引用発明の「ベルト3」は、車両に固定されるベルトガイドの(段落[0017])挿通孔を案内されるものであり(段落[0018])、変位及び変向するものであることから(段落[0019])、補正発明の「車両のシートベルト装置用のベルト」に相当することは明らかである。
したがって、引用発明の「ベルト3が挿通されるスリットが形成され、車体部材14に取付けられる支持部材1」は、補正発明の「車両のシートベルト装置用のベルトが挿通される挿通孔が形成され、車両に取付けられる本体部材」に相当する。

(イ) 引用発明の「ベルトプロテクター2の壁4はスリットの外周面を構成し」ているとともに、「壁4は支持部材1の一方側の面に延在して」いること、および、図4(ベルトプロテクター2が支持部材1の下面を越えてさらに下側である一方側へ延在していることが図示されている)から、引用発明の「ベルトプロテクター2」は支持部材1から支持部材1の一方側へ突出しているといえる。よって、引用発明の「ベルトプロテクター2」は補正発明の「前記本体部分に設けられ」た「突出部」に相当する。
そして、引用発明の「ベルトプロテクター2」は「挿通孔の周りに」「スリットと一体形成され」ているとともに、「ベルトプロテクター2の壁4はスリットの外周面を構成し」ているから、引用発明の「前記ベルトプロテクター2はスリットと一体形成され、前記ベルトプロテクター2の壁4はスリットの外周面を構成して」いることは、補正発明の「前記挿通孔の外周面を構成し」ていることに相当する。

(ウ) 上記のごとく、引用発明の「ベルトプロテクター2」は「前記スリットの周りに」「スリットと一体形成され」ており、そしてその「先端側部分は、前記スリットの径方向外側に突出されて」いるから、引用発明の「ベルトプロテクター2の先端側分」は、ベルトプロテクター2の先端側部分とは反対側のスリットと一体形成された部分、すなわち、基端側部分からは、離隔される状態に、「前記スリットとは反対側に突出され」ているといえる。
したがって、引用発明の「前記スリットの周りにベルトプロテクター2が形成され、」「前記ベルトプロテクター2の先端側部分は、前記スリットの径方向外側に突出されている」ことは、補正発明の「前記挿通孔の全周において先端側部分を基端側部分から離隔される状態に前記挿通孔とは反対側に突出される突出部と、を備えた」こととの対比において、「前記挿通孔の周囲において先端側部分を基端側部分から離隔される状態に前記挿通孔とは反対側に突出される突出部と、を備えた」限度で共通する。

(エ) 引用発明の「ベルトガイド」は、上記(ア)から、ベルト3(補正発明の「シートベルト装置用のベルト」に相当する)が挿通されるとともに車体部材14(補正発明の「車両」に相当する)に取付けられるものであるから、機能的に、補正発明の「ベルト取付具」に相当する。

(オ) 以上によれば、補正発明と引用発明とは 、
「車両のシートベルト装置用のベルトが挿通される挿通孔が形成され、車両に取付けられる本体部材と、
前記本体部材に設けられて前記挿通孔の外周面を構成し、前記挿通孔の周囲において先端側部分を基端側部分から離隔される状態に前記挿通孔とは反対側に突出される突出部と、
を備えたベルト取付具。」
の点で一致し、以下の点で一応相違している。
[相違点]
突出部に関し、補正発明の「突出部」は「挿通孔の全周において」突出されるものであるのに対し、引用発明の「ベルトプロテクター2」は「挿通孔の周囲に」突出されているものである点。

イ 判断
上記相違点について検討する。
(ア) 引用文献1の図1、2、6においてベルトプロテクター2はスリット(挿通孔)の全周において存在するように図示されている。また、図2においては、ベルトプロテクター2の引き出し線がスリット(挿通孔)長手方向外側部分から画かれており、スリット(挿通孔)長手方向両外側部分においてもベルトプロテクター2が存在することが伺える。さらに、図6においては、スリット(挿通孔)の全周にベルトプロテクター2が膨出しているように図示されている。したがって、引用発明の「ベルトプロテクター2」もスリット(挿通孔)の全周において突出されているものといえるから、上記相違点は実質的な相違点とはいえない。
以上のとおりであるから、補正発明は、引用発明、すなわち、引用文献1に記載された発明であるといえ、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。

(イ) また、引用文献1には、ベルトプロテクター2がスリット(挿通孔)の全周において突出されているものである点の明示の記載はなく、図4が、その記載内容から見て、スリット(挿通孔)短手方向における断面図であると推認されることから、ベルトプロテクター2のスリット(挿通孔)長手方向両外側部分についての構成が必ずしも明らかでなく、スリット(挿通孔)長手方向両外側部分においては、突出部の先端側部分が基端側部分から離隔される状態にスリット(挿通孔)の径方向外側に突出していない、すなわち、引用発明の「ベルトプロテクター2」はスリット(挿通孔)の全周において突出されているものではないと解する余地もあるので、念のため、そのように解して以下検討する。
上記(ア)のとおり、引用文献1の図1、2、6において、ベルトプロテクター2はスリット(挿通孔)の全周に形成されていることが示唆されていること、また、引用発明のベルトプロテクター2は支持部材を型押し、プレスまたは深絞り加工によって支持部材と一体形成するものとも解し得るところ(引用文献1の段落[0021]参照。)、支持部材にベルトプロテクターとなる突出部、すなわち、その先端側部分が基端側部分から離隔される状態にスリット(挿通孔)の径方向外側に突出されてなる形状の突出部を一体形成する際、スリット(挿通孔)の全周において突出部を形成することが通常であり、わざわざ周囲の一部に突出部を形成しない成形手段を採用すると加工が複雑化するということが当業者における技術常識であることを考えると、引用発明の「ベルトプロテクター2」が「スリット(挿通孔)の周囲に」突出されているものを、スリット(挿通孔)の全周に延出されるようにし、スリット(挿通孔)長手方向両外側部分においても、突出部の先端側部分が基端側部分から離隔される状態にスリット(挿通孔)の径方向外側に突出されてなる形状とすることは、当業者であれば容易に想到し得たものである。

(ウ) そして、補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(エ) 請求人の主張について
審判請求人は、令和 2年 2月 6日付け審判請求書における「(3)本願発明が特許されるべき理由 (B)本願発明と引用文献との対比(a)」で、「引用文献1の図4及び図5では、図1、図2及び図6を参照しても、ベルトプロテクタ2が、挿通孔の長手方向両外側において、先端側部分を基端側部分から離隔される状態に挿通孔とは反対側に突出されることは、記載されておらず、ベルトプロテクタ2の挿通孔長手方向両外側の部分は、先端側部分を基端側部分から離隔される状態に挿通孔とは反対側に突出されずに、挿通孔軸方向全体の位置において挿通孔の軸方向に延伸されるのみである。このため、引用文献1には、ベルトプロテクタ2が、挿通孔の全周において、先端側部分を基端側部分から離隔される状態に挿通孔とは反対側に突出されることは、記載されていない。これにより、引用文献1には、本願請求項1における「突出部が挿通孔の全周において先端側部分を基端側部分から離隔される状態に挿通孔とは反対側に突出される」という技術的思想が記載も示唆もされていない。」と主張する。
しかしながら、当初明細書の段落【0026】には、突出部の突出先端側部分について、「突出部44の突出基端側部分は、アンカ本体36の板厚方向に突出されると共に、突出部44の突出先端側部分は、挿通孔42の径方向外側に突出(カーリング)されており、・・・(略)・・・」と記載されており、上記「(2)(2-1)ア」の[図4]から、引用発明の「ベルトプロテクター2」となる突出部は、その先端側部分が基端側部分から離隔される状態にスリット(挿通孔)の径方向外側に突出(カーリング)されてなる形状に形成されるものであり、上記ア、イに示すように、引用発明の「ベルトプロテクター2」は、スリット(挿通孔)の全周において、先端側部分を基端側部分から離隔される状態にスリット(挿通孔)とは反対側に突出されるものである、あるいは、「ベルトプロテクター2」が「スリット(挿通孔)の周囲に」突出されているものを、スリット(挿通孔)の全周に延出されるようにし、スリット(挿通孔)長手方向両外側部分においても、突出部の先端側部分が基端側部分から離隔される状態にスリット(挿通孔)の径方向外側に突出されてなる形状とすることは、当業者であれば容易に想到し得たものである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。

(オ) まとめ
以上のとおり、補正発明は、引用発明、すなわち、引用文献1に記載された発明であるから、あるいは、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
したがって、補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるとする、令和 1年10月16日の手続補正についての補正の却下の決定に誤りはない。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記「第2」のとおり、原審における補正の却下の決定は適法なものであり、令和 1年10月16日付けの手続補正は却下されていることから、本願の請求項1に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。
「車両のシートベルト装置用のベルトが挿通される挿通孔が形成され、車両に取付けられる本体部材と、
前記本体部材に設けられて前記挿通孔の外周面を構成し、前記挿通孔の径方向外側に突出される突出部と、
を備えたベルト取付具。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。
理由1:本願の請求項1に係る発明は、引用発明、すなわち引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2:本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができない。
なお、上記引用文献1は、上記「第2 3(2)(2-1)ア」に示す引用文献1である。

3 引用文献とその記載事項等
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1、その記載事項及び記載された発明は、上記「2 3(2)(2-1)ア」に記載したとおりである。

4 当審の判断
本願発明は、上記1 に記載されたとおりのものであり、上記「第2 2、3」で検討した補正発明から「挿通孔」の「突出部」について、「前記挿通孔の全周において先端側部分を基端側部分から離隔される状態に前記挿通孔とは反対側に突出される」という限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を含み、さらに他の限定を付加したものに相当する補正発明が、上記「第2 3 (2)」で述べたとおり、引用発明、すなわち、引用文献1に記載された発明であるから、あるいは、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該限定事項を有さない本願発明も、上記「第2 3 (2)」で説示したとおりの理由により、引用発明、すなわち、引用文献1に記載された発明であるから、あるいは、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえる。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明、すなわち、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、あるいは、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。


 
審理終結日 2020-11-24 
結審通知日 2020-12-01 
審決日 2020-12-15 
出願番号 特願2018-210332(P2018-210332)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60R)
P 1 8・ 113- Z (B60R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小野田 達志  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 須賀 仁美
佐々木 一浩
発明の名称 ベルト取付具  
代理人 中島 淳  
代理人 福田 浩志  
代理人 加藤 和詳  
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