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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H05K
管理番号 1371044
審判番号 訂正2020-390077  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2020-08-25 
確定日 2020-12-21 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6444576号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6444576号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1、2、4、5〕について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6444576号は、2018年(平成30年)4月6日を国際出願日とする出願であって、同年12月7日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和2年8月25日に訂正審判(以下、「本件訂正審判」という。)の請求がされたものである。


第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6444576号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、4、5について訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。

1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し、前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」と記載されているのを、「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し、前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」に訂正する。(下線は、訂正箇所を表す。以下同様。)
請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。

2.訂正事項2
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記第2のフックは、回転の支点よりも一端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも他端側に設けられた第2のカム面とを備え、」と記載されているのを、「前記第2のフックは、回転の支点よりも他端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも一端側に設けられた第2のカム面とを備え、」に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2、4、5も同様に訂正する。

3.訂正事項3
訂正前の明細書の【0029】段落に「第1のカム面2aは、支点37よりも一端22側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも他端23側に設けられている。」と記載されているのを、「第1のカム面2aは、支点37よりも他端23側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。」に訂正する。


第3 当審の判断
1.訂正事項1
(1)訂正の目的について
a.請求項1の「前記突出位置に配置された前記第1のフックの前記一端部は、前記取付レールの他方の端部の前記鍔部の前記凸側面を拘束し、前記ロック位置に配置された前記第2のフックの前記突起は、前記取付レールの他方の端部の前記鍔部の端面を拘束し、」との記載によれば、取付レールの他方の端部の鍔部を拘束するため、第1のフックが突出位置に配置されると同時に第2のフックはロック位置に配置されることは明らかである。そして、第1のフックの一端部と第2のフックの突起は、それぞれ鍔部を拘束するために第1のフック及び第2のフックの同じ側に位置することが明らかである。

b.請求項1の「前記フックガイド部にスライド可能に設置され、一端部が前記取付空間に突出する突出位置と前記一端部が前記フックガイド部に埋没する退避位置との間をスライド移動する第1のフックと、突起を備え、前記突起が前記取付空間に突出するロック位置と、前記突起が前記取付空間に突出しないアンロック位置との間で回転可能に設置された第2のフックとを備え、」との記載によれば、第1のフックは突出位置と退避位置との間をスライド移動し、第2のフックはロック位置とアンロック位置との間で回転可能に構成されている。
そして、上記a.を踏まえると第1のフックが突出位置のときに第2のフックはロック位置となり、第1のフックが退避位置のときに第2のフックはアンロック位置となる。

c.請求項1の「前記第2のフックは、回転の支点よりも一端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも他端側に設けられた第2のカム面とを備え、」との記載によれば、第2のフックには回転の支点を挟んで第1のカム面と第2のカム面が形成されており、第1のカム面を押し上げれば第2のカム面側が下がる方向に動くことは明らかである。
請求項1の「前記第1のフックは、前記第2のフック側に設けられた第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面よりも前記一端部寄りで前記第2のフック側に設けられた第2の傾斜面とを備え、」との記載から、第1のフックには、一端部寄りに第2の傾斜面、一端部から離れた側に第1の傾斜面が設けられていることは明らかである。
また、請求項1の「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し、前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」との記載から、第1の傾斜面と第1のカム面が当接し、第2の傾斜面と第2のカム面が当接するように構成されている。
そして、上記a.で検討したように、第1のフックの一端部と第2のフックの突起は同じ側に位置していることを踏まえれば、第1のフックの一端部側の第2の傾斜面に第2のフックの突起側の第2のカム面が当接し、第1のフックの一端部から離れた側の第1の傾斜面に第2のフックの突起とは離れた側の第1のカムが当接するように構成されているといえる。
また、第1のフックの一端部と第2のフックの突起は、ともに取付レールの他方の端部の鍔部を拘束するため、第1のフックが突出位置、第2のフックがロック位置となるとき、第2のフックは突起が第1のフックに近づき取付空間に突出するように回転することは明らかである。

d.上記b.c.で検討した構成によれば、第1のフックを突出位置へ移動させると、第2のフックの突起が第1のフックに近づき取付空間に突出するロック位置となるように、第1のフックの一端部から離れた側の第1の傾斜面が第2のフックの第1のカム面に当接してこれを押し上げ、第2のフックを回転させる必要があるところ、訂正前の請求項1には「・・・前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」と記載されており、第1のフックを突出位置とするときに当接する傾斜面とカム面が異なっており整合しない。
したがって、第1のフックと第2のフックの動作を考慮すると、請求項1の「前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」なる記載は、「前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」の誤記であることは明らかである。(下線は、当審で付加した。)

e.上記c.で検討したとおり、請求項1に係る発明は第1のフックの一端部側の第2の傾斜面に第2のフックの突起側の第2のカム面が当接し、第1のフックの一端部から離れた側の第1の傾斜面に第2のフックの突起とは離れた側の第1のカムが当接するように構成されている。
そして、第1のフックを退避位置へ移動させると、第2のフックがアンロック位置となり、第1のフックの一端部と第2のフックの突起は、取付レールの他方の端部の鍔部を拘束を解くため、第2のフックの突起が第1のフックから離れるように第2のフックが回転することは明らかである。このとき、第1のフックの一端部側の第2の傾斜面が第2のフックの第2のカム面に当接してこれを押し上げる必要があるところ、訂正前の請求項1には「・・・前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し」と記載されており、第1のフックを退避位置とするときに当接する傾斜面とカム面が異なっており整合しない。
したがって、第1のフックと第2のフックの動作を考慮すると、請求項1の「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し」なる記載は、「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し」の誤記であることは明らかである。

f.また、明細書及び図面の以下あ.?お.の記載によれば、第1のフックを突出位置へ移動させると、第1の傾斜面1aが第1のカム面2aに当接して、第2のフックがロック位置へ回転し、第1のフックを退避位置へ移動させると、第2の傾斜面1bが第2のカム面2bに当接して、第2のフックがアンロック位置へ回転することは明らかである。

あ.「第2のフック2は、取付空間33への突出量が増大する方向に第1のフック1がスライドする際に第1の傾斜面1aに当接して、ロック位置に向けて第2のフック2を回転させる第1のカム面2aと、取付空間33への突出量が減少する方向に第1のフック1がスライドする際に第2の傾斜面1bに当接して、アンロック位置に向けて第2のフック2を回転させる第2のカム面2bとを有する。」(【0029】段落)

い.「第1のフック1が突出位置に配置される際に、第1のカム面2aが第1の傾斜面1aに当接して第2のフック2をロック位置に向けて回転させる。第1のフック1が退避位置に配置される際に、第2のカム面2bが第2の傾斜面1bに当接して第2のフック2をアンロック位置に向けて回転させる。」(【0030】段落)

う.「・・・図6に示すように、第2のカム面2bが第2の傾斜面1bに当接して第1のフック1が退避位置に配置されているとき・・・」(【0031】段落)

え.「・・・操作部13に力を加えて第1のフック1をスライドさせて突出位置に配置すると、第1の傾斜面1aと第1のカム面2aとが当接して第2のフック2が回転してロック位置に配置される。・・・」(【0034】段落)

お.「・・・操作部13に力を加えて第1のフック1をスライドさせて退避位置に配置する。これにより、第2のカム面2bが第2の傾斜面1bに当接して第2のフック2を回転させてアンロック位置に配置する。・・・」(【0035】段落)

g.更に、図7によれば、第1のフックが退避位置に移動しているときに、第2の傾斜面1b(図6を参照。)が第2のカム面2bに当接し、図8によれば、第1のフックが突出位置に移動しているときに、第1の傾斜面1aが第1のカム面2aに当接していることが明らかである。



h.以上によれば、請求項1の「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し、前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」は、「前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し、前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転する」の誤記であることは明らかである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。

(2)新規事項の有無について
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていた事項に基づく訂正であり、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであること、すなわち新規事項を追加するものではないことは明らかである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び独立特許要件について
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、誤記の訂正を目的とし、訂正前の誤記を正すものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものでもないから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、4、5に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項及び同条第7項の規定に適合するものである。

2.訂正事項2
(1)訂正の目的について
a.上記「1.訂正事項1」の(1)c.で指摘したように、請求項1に係る発明は第1のフックの一端部側の第2の傾斜面に第2のフックの突起側の第2のカム面が当接し、第1のフックの一端部から離れた側の第1の傾斜面に第2のフックの突起とは離れた側の第1のカムが当接するように構成されている。
また、請求項1に「前記第2のフックは、回転の支点よりも一端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも他端側に設けられた第2のカム面とを備え、」と記載されている。
そうしてみると、第1のフックの一端部側が第2のフックの他端側に、第1のフックの一端部から離れた側が第2のフックの一端側に対応することになる。しかしながら、対応する側については同様の呼称を用いるのが一般的であることを踏まえれば、第1のフックの一端部側が第2のフック2の一端側に、第1のフックの一端部から離れた側が第2のフックの他端側に対応するのが自然である。
したがって、請求項1の「前記第2のフックは、回転の支点よりも一端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも他端側に設けられた第2のカム面とを備え」との記載は、「前記第2のフックは、回転の支点よりも他端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも一端側に設けられた第2のカム面とを備え」の誤記であることは明らかである。

b.また、請求項1に係る実施例について記載された図6及び「符号の説明」の【0044】段落を見ると、第2のフック2の第1のカム面2aが設けられた側が他端23であり、第2のカム面2bが設けられた側が一端22と記載されていることに鑑みても、請求項1の訂正事項2に係る記載は、「前記第2のフックは、回転の支点よりも他端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも一端側に設けられた第2のカム面とを備え」の誤記であることは明らかである。

c.以上によれば、請求項1の「前記第2のフックは、回転の支点よりも一端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも他端側に設けられた第2のカム面とを備え、」は、「前記第2のフックは、回転の支点よりも他端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも一端側に設けられた第2のカム面とを備え、」の誤記であることは明らかである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。

(2)新規事項の有無について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていた事項に基づく訂正であり、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであること、すなわち新規事項を追加するものではないことは明らかである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び独立特許要件について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、誤記の訂正を目的とし、訂正前の誤記を正すものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものでもないから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、4、5に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項及び同条第7項の規定に適合するものである。

3.訂正事項3
(1)訂正の目的について
a.第2のフック2に関し、明細書の【0029】段落に「第1のカム面2aは、支点37よりも一端22側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも他端23側に設けられている。」と記載されていることから、第2のフック2において第1のカム面2aが一端22側に、第2のカム面2bが他端23側に設けられているといえる。
明細書の【0029】段落の「第2のフック2は、取付空間33への突出量が増大する方向に第1のフック1がスライドする際に第1の傾斜面1aに当接して、ロック位置に向けて第2のフック2を回転させる第1のカム面2aと、取付空間33への突出量が減少する方向に第1のフック1がスライドする際に第2の傾斜面1bに当接して、アンロック位置に向けて第2のフック2を回転させる第2のカム面2bとを有する。」との記載によれば、第1のフック1の第1の傾斜面1aと第2のフック2の第1のカム面2aが当接し、第1のフック1の第2の傾斜面1bと第2のフック2の第2のカム面2bが当接するといえる。
また、明細書の【0028】段落には第1のフック1に関し「・・・第2の傾斜面1bは、第1の傾斜面1aよりも一端部11寄りに設けられている。」と記載されている。
そうしてみると、第1のフック1の一端部側が第2のフック2の他端23側に、第1のフックの一端部11から離れた側が第2のフックの一端22側に対応する。しかしながら、対応する側に対しては同一の呼称を用いるのが一般的であることを踏まえれば、第1のフックの一端部11側に対応する第2のフック2の端部を「一端22側」、第1のフックの一端部11から離れた側に対応する第2のフックの端部を「他端23側」とするのが自然である。
したがって、訂正事項3に係る明細書の【0029】段落の「第1のカム面2aは、支点37よりも一端22側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも他端23側に設けられている。」との記載は、「第1のカム面2aは、支点37よりも他端23側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。」の誤記であることは明らかである。

b.また、明細書の【0029】段落に対応する図6、及び【符号の説明】欄である【0044】段落を見ると、第1のフック1の一端部11の側が第2のフックの一端22の側に対応し、第1のフックの一端部11から離れている側に第2のフックの他端23の側が対応しているから、訂正事項3に係る明細書の【0029】段落の「第1のカム面2aは、支点37よりも一端22側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも他端23側に設けられている。」との記載は、「第1のカム面2aは、支点37よりも他端23側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。」の誤記であることは明らかである。

c.更に、訂正事項3は実施形態2に係る訂正であるところ、実施の形態1に係る記載ではあるが、明細書の【0015】【0016】【0044】段落及び図2によれば、第2のフック2の一端22側が第1のフック1の一端部11側と同一の側に構成されることが記載されている。したがって、訂正事項3に係る明細書の【0029】段落の「第1のカム面2aは、支点37よりも一端22側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも他端23側に設けられている。」との記載は、「第1のカム面2aは、支点37よりも他端23側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。」の誤記であることは明らかである。

d.以上によれば、明細書の【0029】段落の「第1のカム面2aは、支点37よりも一端22側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。」との記載は、「第1のカム面2aは、支点37よりも他端23側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。」の誤記であることは明らかである。

(2)新規事項の有無について
訂正事項3に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されていた事項に基づく訂正であり、新たな技術的事項を導入するものではないことは明らかであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであること、すなわち新規事項を追加するものではない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び独立特許要件について
訂正事項3に係る訂正は、上記(1)で指摘したとおり、明細書における誤記の訂正を目的とするものであり、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に変更されるものではないことは明らかであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、かかる訂正によって特許請求の範囲の内容が実質的に変更されるものではなく、新たな拒絶理由が生じるものでもないから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、4、5に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第6項及び同条第7項の規定に適合するものである。

4.一群の請求項について
訂正事項1、2に係る訂正前の請求項1、2、4、5について、請求項2、4、5は請求項1を直接または間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
よって、訂正前の請求項1、2、4、5に対応する本件訂正後の請求項1、2、4、5についての訂正事項1、2は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項についての訂正である。
訂正事項3は、本件特許明細書の段落【0029】の請求項1に対応する部分について訂正するものであるから、一群の請求項である請求項1、2、4、5の全てについて行うものである。
よって、本件特許明細書に係る訂正事項3は、特許法第126条第4項の規定に適合する。


第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項ないし第7項の規定に適合するので、この訂正を認める。
よって、結論のとおり審決する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電気機器筐体及び電気機器
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付レールに固定する電気機器筐体及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器には、外郭をなす電気機器筐体を取付レールに固定して設置されるものがある。特許文献1には、電気機器筐体の一対の凸部が各々係止爪を備えており、一方の凸部の係止爪はスライド可能になっていて、係止爪同士の間隔が可変である構造が開示されている。特許文献1に開示される構造は、一対の凸部同士の間に取付レールを配置し、係止爪同士の間隔を狭める方向に一方の係止爪をスライドさせることによって電気機器筐体がレールに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-100436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示される構造は、何らかの原因で一方の係止爪が後退して係止爪同士の間隔が広がってしまうと、電気機器筐体が取付レールから脱落してしまう。係止爪をスライドさせるのに必要な力を大きくすれば係止爪を後退しにくくできるが、取付レールへ電気機器筐体を着脱する際に係止爪に強い力を加える必要があり、操作性が損なわれる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、取付レールからの脱落を防止した電気機器筐体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、背面から突出する凸部と、凸側面と凹側面とを有し両端に鍔部が設けられたハット型の断面形状の取付レールが配置される取付空間を凸部との間になすフックガイド部とが設けられた本体と、フックガイド部にスライド可能に設置され、一端部が取付空間に突出する突出位置と一端部がフックガイド部に埋没する退避位置との間をスライド移動する第1のフックと、突起を備え、突起が取付空間に突出するロック位置と、突起が取付空間に突出しないアンロック位置との間で回転可能に設置された第2のフックとを備える。凸部は、取付空間に張り出す返し部を有する。返し部は、取付レールの一方の端部の鍔部の端面及び凸側面を拘束する。本体の背面は、取付レールの一方の端部の鍔部の凹側面及び取付レールの他方の端部の鍔部の凹側面を拘束する。突出位置に配置された第1のフックの一端部は、取付レールの他方の端部の鍔部の凸側面を拘束する。ロック位置に配置された第2のフックの突起は、取付レールの他方の端部の鍔部の端面を拘束する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電気機器筐体は、取付レールからの脱落を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電気機器筐体を備えた電気機器の斜視図
【図2】実施の形態1に係る電気機器筐体の取付レールへの固定部分の断面図
【図3】実施の形態1に係る電気機器筐体が固定される取付レールの構造を示す図
【図4】実施の形態1に係る電気機器筐体を取付レール上に配置する前の状態を示す図
【図5】実施の形態1に係る電気機器筐体を取付レール上に配置した状態を示す図
【図6】本発明の実施の形態2に係る電気機器筐体の取付レールへの固定部分の断面図
【図7】実施の形態2に係る電気機器筐体を取付レール上に配置した状態を示す図
【図8】実施の形態2に係る電気機器筐体を取付レールに固定した状態を示す図
【図9】本発明の実施の形態3に係る電気機器筐体の取付レールへの固定部分の断面図
【図10】実施の形態3に係る電気機器筐体を取付レール上に配置した状態を示す図
【図11】実施の形態3に係る電気機器筐体を取付レールに固定した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態に係る電気機器筐体及び電気機器を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電気機器筐体を備えた電気機器の斜視図である。図2は、実施の形態1に係る電気機器筐体の取付レールへの固定部分の断面図である。なお、図1は、電気機器筐体100と取付レール4とを別々に図示している。実施の形態1に係る電気機器筐体100を備えた電気機器101は、プログラマブルロジックコントローラ、サーボシステムコントローラ、テンションコントローラ、開閉器及び遮断器を例示できるが、これらに限定はされない。電気機器筐体100は、本体3の背面にフックガイド部31と凸部32とを備えている。以下、フックガイド部31と凸部32との間の空間を取付空間33という。電気機器筐体100は、取付空間33に配置された取付レール4に固定される。
【0011】
図3は、実施の形態1に係る電気機器筐体が固定される取付レールの構造を示す図である。取付レール4は、凸側面と凹側面とを有し両端部に鍔部43が設けられたハット型の断面形状である。取付レール4の一方の端部の鍔部43は、凹側面である拘束面4aと、端面である拘束面4bと、凸側面である拘束面4cとを備えている。取付レール4の他方の端部の鍔部43は、凹側面である拘束面4dと、端面である拘束面4eと、凸側面である拘束面4fとを備えている。取付レール4は、DINレールと称されるドイツ工業規格(Deutsche Industrie Normenausschuss)に準拠したレールを例示できるが、DINレールに限定されることはない。取付レール4は、クラウン部40に長穴41が形成されている、取付レール4は、長穴41に通されたレール取付ねじ42によって設置箇所に設置される。取付レール4の設置箇所は強電盤50を例示できるが、これに限定はされない。取付レール4の両端部の鍔部43が各々3方向から拘束されることにより、本体3は取付レール4に固定される。取付レール4への電気機器筐体100の取り付けについては後述する。取付レール4の幅とは、一方の端部の鍔部43の端面である拘束面4bと他方の端部の鍔部43の端面である拘束面4eとの間の幅である。
【0012】
フックガイド部31は、本体3の背面側に突出しており、取付空間33に通じる溝を備えている。フックガイド部31の取付空間33に通じる溝には、第1のフック1が設置されている。第1のフック1は、スライド可能にフックガイド部31に設置されており、取付空間33への突出量を変更可能である。フックガイド部31は、第1のフック1のスライド移動を案内する。図2には、第1のフック1のスライド方向を矢印Aで示している。第1のフック1は、一端部11に拘束面1cを備えている。第1のフック1は、一端部11に凹部12が形成されている。第1のフック1は、ユーザがスライド操作を行う際に力が加えられる操作部13が他端部14に形成されている。第1のフック1は、片持ち棒状のラッチバー15を備えている。
【0013】
本体3は、取付空間33に面した部分に穴34が形成されている。穴34の縁には、ストッパ35が形成されている。本体3は、第1のフック1の設置部分にラッチ突起36を備えている。本体3の凸部32は、取付空間33に張り出す返し部321が形成されている。返し部321は、本体3の背面である拘束面3aから立ち上がる拘束面3bと、拘束面3bから拘束面3aと平行に延びる拘束面3cとを備えている。
【0014】
ラッチ突起36は、第1のフック1のスライド方向に沿って一端部361と他端部362との間で最大高さとなる形状である。ラッチバー15の先端部151がラッチ突起36に当接しているとき、ラッチバー15の先端部151は、ラッチ突起36の斜面に沿って、第1のフック1の一端部11側又は他端部14側に付勢される。したがって、ラッチバー15の先端部151がラッチ突起36に当接している状態で第1のフック1を解放すると、第1のフック1は、ラッチ突起36がラッチバー15の先端部151よりも第1のフック1の他端部14側に位置する突出位置、及びラッチ突起36がラッチバー15の先端部151よりも第1のフック1の一端部11側に位置する退避位置のいずれかに配置される。すなわち、ラッチ突起36及びラッチバー15は、突出位置と退避位置との間にある第1のフック1を突出位置又は退避位置に配置させる機構を構成する。第1のフック1が突出位置に配置されているとき、一端部11は、取付空間33に突出する。第1のフック1に退避位置に配置されているとき、一端部11はフックガイド部31に埋没する。すなわち、第1のフック1は、突出位置と退避位置との間をスライド移動する。ラッチバー15の先端部151がラッチ突起36を乗り越えるとき、クリック感が発生するため、ユーザはスライド操作によって第1のフック1が突出位置又は退避位置に配置されたことを触覚に基づいて認識できる。
【0015】
第1のフック1が退避位置に配置された状態において、返し部321とフックガイド部31との間隔は、取付レール4の幅以上である。第1のフック1が突出位置に配置された状態において、返し部321と、第1のフック1の一端部11との間隔は、取付レール4の幅よりも狭くなる。
【0016】
第2のフック2は、本体3の内部に設けられた支点37を中心に回転可能に設置されている。第2のフック2は、支点37よりも一端22側に突起21が形成されている。突起21は、拘束面2dを備えている。突起21には、ストッパ211が形成されている。第2のフック2は、支点37よりも他端23側に操作部24を備えている。操作部24は、本体3の外部に突出している。操作部24に力を加えることにより、支点37を中心に第2のフック2が回転する。第2のフック2を回転させることにより、第2のフック2の突起21を本体3の穴34を通じて取付空間33へ出没させることができる。すなわち、第2のフック2は、突起21が取付空間33に突出したロック位置と、突起21が取付空間33に突出しないアンロック位置との間を移動する。なお、第2のフック2をロック位置側に付勢する弾性部材を設けてもよい。
【0017】
電気機器筐体100を取付レール4へ固定する手順について説明する。図4は、実施の形態1に係る電気機器筐体を取付レール上に配置する前の状態を示す図である。第1のフック1が退避位置に配置されており、返し部321とフックガイド部31との間隔は、取付レール4の幅以上となっている。
【0018】
図5は、実施の形態1に係る電気機器筐体を取付レール上に配置した状態を示す図である。返し部321とフックガイド部31との間隔は、取付レール4の幅以上であるため、電気機器筐体100を傾けることなく、取付レール4上に電気機器筐体100を配置できる。取付レール4上に電気機器筐体100を配置することにより、返し部321の拘束面3b,3cは、一方の端部の鍔部43の端面である拘束面4b及び一方の端部の鍔部43の凸側面である拘束面4cを拘束し、本体3の背面である拘束面3aは、一方の端部の鍔部43の凹側面である拘束面4aを拘束する。
【0019】
操作部13に力を加えて取付空間33への突出量が増大する方向に第1のフック1をスライドさせると、ラッチバー15の先端部151がラッチ突起36のピークを越え、ラッチ突起36がラッチバー15の先端部151よりも第1のフック1の他端部14側に位置する状態となる。すると、ラッチバー15の先端部151は第1のフック1の一端部11側に付勢され第1のフック1は突出位置に配置される。したがって、第1のフック1の一端部11が備える拘束面1cは、取付レール4の他方の端部の鍔部43の凸側面である拘束面4fを拘束し、本体3の背面である拘束面3aは、取付レール4の他方の端部の鍔部43の凹側面である拘束面4dを拘束する。
【0020】
さらに、操作部24に力を加えることにより第2のフック2を回転させてロック位置に配置する。ストッパ35とストッパ211とが係合することにより、第2のフック2は、突起21が穴34から取付空間33に突出した姿勢で固定される。これにより、第2のフック2の突起21が備える拘束面2dは、取付レール4の他方の端部の鍔部43の端面である拘束面4eを拘束する。
【0021】
取付レール4の拘束面4a,4b,4c,4d,4e,4fが本体3の拘束面3a,3b,3cと第1のフック1の拘束面1cと、第2のフック2の拘束面2dとに拘束されることにより、本体3は取付レール4の長手方向に垂直な方向の移動が規制される。したがって、電気機器筐体100が取付レール4から脱落することは防止される。なお、本体3の拘束面3a,3b,3c、第1のフック1の拘束面1c、及び第2のフック2の拘束面2dと、取付レール4の拘束面4a,4b,4c,4d,4e,4fとの間にクリアランスが設けられていてもよい。
【0022】
電気機器筐体100を取付レール4から取り外す際には、操作部24に力を加えることにより第2のフック2を回転させてアンロック位置に配置する。ロック位置に配置された第2のフック2は、ストッパ35,211によって固定されているが、ストッパ35,211の制動力を超える力を加えることで、回転させることが可能である。突起21が穴34から本体3に埋没することで、取付レール4の拘束面4eの拘束は解除される。
【0023】
第1のフック1に退避位置に移動させる方向の力を操作部13に加える。第1のフック1がスライドしてラッチバー15の先端部151がラッチ突起36のピークを乗り越えると、ラッチバー15の先端部151は第1のフック1の他端部14側に付勢される。したがって、第1のフック1は退避位置に配置される。第1のフック1が退避位置に配置されることにより、取付レール4の拘束面4d,4fの拘束は解除される。続いて、電気機器筐体100を取付レール4から離すことにより、取付レール4の拘束面4a,4b,4cの拘束は解除される。
【0024】
実施の形態1に係る電気機器筐体100は、第1のフック1を突出位置に配置し、かつ第2のフック2をロック位置に配置した状態では、取付レール4の長手方向に垂直な方向の移動が規制されるため、取付レール4に固定した後に脱落する恐れが無い。
【0025】
実施の形態1に係る電気機器筐体100を取付レール4に固定した状態では、支点37を中心に回転可能な第2のフック2の突起21が備える拘束面2dが、取付レール4の拘束面4eを拘束している。したがって、取付レール4に固定されている電気機器筐体100に取付レール4の幅方向の力を加えたとしても、第2のフック2の拘束面2dには、第2のフック2を回転させる方向の力は加わらない。よって、取付レール4に固定されている電気機器筐体100に取付レール4の幅方向の力が加わったとしても、第2のフック2はロック位置に配置されたままである。第2のフック2がロック位置に配置されている状態では、取付レール4の幅方向の力が取付レール4から第1のフック1に加わることがない。すなわち、実施の形態1に係る電気機器筐体100は、取付レール4に固定されている時に取付レール4の幅方向の力が加わっても、第1のフック1が突出位置に配置されかつ第2のフック2がロック位置に配置された状態が維持される。
【0026】
なお、返し部とフックガイド部との間隔が取付レールの幅よりも狭い電気機器筐体は、取付レールから脱落することは防止されるが、取付空間に取付レールを配置する際に取付レールに対して傾けなければならない。取付空間に取付レールを配置する際に電気機器筐体を傾けると、電気機器筐体と取付面とが干渉する可能性があるため、取付レールに対する電気機器筐体の傾きには上限がある。電気機器筐体が大きくなると、取付レールに対する傾きが小さくても取付面に干渉してしまう。したがって、取付空間に取付レールを配置する際に電気機器筐体を傾ける必要がある電気機器筐体は、大きさについて制約が生じる。実施の形態1に係る電気機器筐体100は、第1のフック1が退避位置に配置されている状態では、返し部321とフックガイド部31との間隔は、取付レール4の幅以上であるため、取付レール4上に配置する際に斜めにする必要がない。したがって、実施の形態1に係る電気機器筐体100は、大きさについての制約を受けない。
【0027】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る電気機器筐体の取付レールへの固定部分の断面図である。実施の形態1に係る電気機器筐体と共通する部分には同じ符号を付して説明は省略する。
【0028】
第1のフック1は、第2のフック2側に第1の傾斜面1aと第2の傾斜面1bとを備えており、第1の傾斜面1aと第2の傾斜面1bとは向き合っている。第2の傾斜面1bは、第1の傾斜面1aよりも一端部11寄りに設けられている。
【0029】
第2のフック2は、取付空間33への突出量が増大する方向に第1のフック1がスライドする際に第1の傾斜面1aに当接して、ロック位置に向けて第2のフック2を回転させる第1のカム面2aと、取付空間33への突出量が減少する方向に第1のフック1がスライドする際に第2の傾斜面1bに当接して、アンロック位置に向けて第2のフック2を回転させる第2のカム面2bとを有する。第1のカム面2aは、支点37よりも他端23側に設けられている。第2のカム面2bは、支点37よりも一端22側に設けられている。第1のカム面2aは、突起2eに設けられており、第2のカム面2bは、突起2fに設けられている。なお、第1のカム面2aと第2のカム面2bとは同じ突起に形成されてもよい。なお、実施の形態2においては、第2のフック2は、操作部を備えておらず、全体が本体3の内部に配置されている。
【0030】
第1のフック1が突出位置に配置される際に、第1のカム面2aが第1の傾斜面1aに当接して第2のフック2をロック位置に向けて回転させる。第1のフック1が退避位置に配置される際に、第2のカム面2bが第2の傾斜面1bに当接して第2のフック2をアンロック位置に向けて回転させる。
【0031】
電気機器筐体100を取付レール4へ固定する手順について説明する。図6に示すように、第2のカム面2bが第2の傾斜面1bに当接して第1のフック1が退避位置に配置されているときには、返し部321とフックガイド部31との間隔は、取付レール4の幅以上となっている。
【0032】
図7は、実施の形態2に係る電気機器筐体を取付レール上に配置した状態を示す図である。返し部321とフックガイド部31との間隔は、取付レール4の幅以上であるため、電気機器筐体100を傾けることなく、取付レール4上に電気機器筐体100を配置できる。取付レール4上に電気機器筐体100を配置することにより、返し部321の拘束面3b,3cは、一方の端部の鍔部43の端面である拘束面4b及び一方の端部の鍔部43の凸側面である拘束面4cを拘束し、本体3の背面である拘束面3aは、一方の端部の鍔部43の凹側面である拘束面4aを拘束する。
【0033】
第1のフック1が突出位置に配置されかつ第2のフック2がロック位置に配置されて、取付レール4の拘束面4a,4b,4c,4d,4e,4fが本体3の拘束面3a,3b,3cと第1のフック1の拘束面1cと、第2のフック2の拘束面2dとに拘束されることにより、電気機器筐体100は取付レール4の長手方向に垂直な方向の移動が規制される。したがって、電気機器筐体100が取付レール4から脱落することは防止される。なお、本体3の拘束面3a,3b,3c、第1のフック1の拘束面1c、及び第2のフック2の拘束面2dと、取付レール4の拘束面4a,4b,4c,4d,4e,4fとの間にクリアランスが設けられていてもよい。
【0034】
図8は、実施の形態2に係る電気機器筐体を取付レールに固定した状態を示す図である。操作部13に力を加えて第1のフック1をスライドさせて突出位置に配置すると、第1の傾斜面1aと第1のカム面2aとが当接して第2のフック2が回転してロック位置に配置される。第1のフック1が突出位置に配置された状態においては、返し部321と第1のフック1の一端部11との間隔は、取付レール4の幅よりも狭くなるため、取付レール4は、第1のフック1の一端部11と本体3とに挟まれる。したがって、取付レール4の拘束面4d,4e,4fは、本体3の拘束面3a、第1のフック1の拘束面1c及び第2のフック2の拘束面2dによって拘束される。実施の形態2に係る電気機器筐体100は、実施の形態1に係る電気機器筐体100と同様に、取付レール4に固定されている時に取付レール4の幅方向の力が加わっても、第1のフック1が突出位置に配置されかつ第2のフック2がロック位置に配置された状態が維持される。
【0035】
電気機器筐体100を取付レール4から取り外す際には、操作部13に力を加えて第1のフック1をスライドさせて退避位置に配置する。これにより、第2のカム面2bが第2の傾斜面1bに当接して第2のフック2を回転させてアンロック位置に配置する。第1のフック1が退避位置に配置されるとともに、第2のフック2が穴34から本体3に埋没することにより、取付レール4の拘束面4d,4e,4fは開放される。続いて、電気機器筐体100を取付レール4から離すことにより、取付レール4の拘束面4a,4b,4cは開放される。
【0036】
実施の形態2に係る電気機器筐体100は、第1のフック1をスライドさせる操作に連動して第2のフック2が回転するため、第2のフック2を回転させる操作をユーザが行う必要がない。
【0037】
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3に係る電気機器筐体の取付レールへの固定部分の断面図である。実施の形態1に係る電気機器筐体100と共通する部分には同じ符号を付して説明は省略する。本体3には、フック部9が設けられている。フック部9は、実施の形態1に係る電気機器筐体100の第2のフック2に相当する部分である。すなわち、実施の形態3に係る電気機器筐体100では、第2のフックは本体3と一体となっている。フック部9は、一端部に突起99を備えた板ばね状であり、第1のフック1が退避位置に配置されているときには、第1のフック1の突起16によって押し上げられる。第1のフック1が突出位置に配置されているときには、フック部9は、突起99が取付空間33に突出するロック位置に配置される。フック部9は、第1のフック1が退避位置に配置されているときには、突起99が取付空間33に突出しないアンロック位置に配置される。フック部9は、第1のフック1から力が加わっていないときはロック位置に配置されるため、ロック位置側に付勢されていると見なすことができる。突起99が備える拘束面9aには、面取り面9bが設けられている。
【0038】
実施の形態3に係る電気機器筐体100を取付レールへ固定する手順について説明する。図10は、実施の形態3に係る電気機器筐体を取付レール上に配置した状態を示す図である。フック部9は、退避位置に配置された第1のフック1の突起16によって押し上げられてアンロック位置に配置されており、返し部321とフックガイド部31との間隔は、取付レール4の幅以上となっている。返し部321とフックガイド部31との間隔は、取付レール4の幅以上であるため、電気機器筐体100を傾けることなく、取付レール4上に電気機器筐体100を配置できる。取付レール4上に電気機器筐体100を配置することにより、返し部321の拘束面3b,3cは、一方の端部の鍔部43の端面である拘束面4b及び一方の端部の鍔部43の凸側面である拘束面4cを拘束し、本体3の背面である拘束面3aは、一方の端部の鍔部43の凹側面である拘束面4aを拘束する。
【0039】
図11は、実施の形態3に係る電気機器筐体を取付レールに固定した状態を示す図である。操作部13に力を加えて第1のフック1をスライドさせて突出位置に配置すると、第1のフック1の突起16は、フック部9の退避部91に入り、第1のフック1はフック部9を押し上げなくなり、フック部9はロック位置に配置される。なお、退避部91と突起16との間に隙間があっても良い。第1のフック1が突出位置に配置された状態においては、返し部321と第1のフック1の一端部11との間隔は、取付レール4の幅よりも狭くなるため、取付レール4は、第1のフック1の一端部11と本体3とに挟まれる。したがって、第1のフック1の一端部11が備える拘束面1cは、取付レール4の他方の端部の鍔部43の凸側面である拘束面4fを拘束し、本体3の背面である拘束面3aは、取付レール4の他方の端部の鍔部43の凹側面である拘束面4dを拘束し、フック部9の突起99が備える拘束面9aは、取付レール4の他方の端部の鍔部43の端面である拘束面4eを拘束する。
【0040】
取付レール4の拘束面4a,4b,4c,4d,4e,4fが本体3の拘束面3a,3b,3cと第1のフック1の拘束面1cと、フック部9の拘束面9aとに拘束されることにより、電気機器筐体100は取付レール4の長手方向に垂直な方向の移動が規制される。したがって、電気機器筐体100が取付レール4から脱落することは防止される。なお、本体3の拘束面3a,3b,3c、第1のフック1の拘束面1c、及びフック部9の拘束面9aと、取付レール4の拘束面4a,4b,4c,4d,4e,4fとの間にクリアランスが設けられていてもよい。実施の形態3に係る電気機器筐体100は、実施の形態1に係る電気機器筐体100と同様に、取付レール4に固定されているときに取付レール4の幅方向の力が加わっても、第1のフック1が突出位置に配置されかつフック部9がロック位置に配置された状態が維持される。
【0041】
電気機器筐体100を取付レール4から取り外す際には、操作部13に力を加えて第1のフック1をスライドさせて退避位置に配置する。これにより、第1のフック1の突起16がフック部9を押し上げ、フック部9はアンロック位置に配置され、フック部9と凹部12との係合が解除される。なお、拘束面9aに面取り面9bが設けられているため、フック部9は、第1のフック1をスライドさせる操作を妨げることはない。第1のフック1が退避位置に配置されるとともに、フック部9がアンロック位置に配置されることにより、取付レール4の拘束面4d,4e,4fは解放される。続いて、電気機器筐体100を取付レール4から離すことにより、取付レール4の拘束面4a,4b,4cは開放される。
【0042】
実施の形態3に係る電気機器筐体100は、フック部9が本体3と一体であるため、部品点数の増加を抑えることができる。また、本体3の内部の空間に第2のフックを配置する必要が無いため、電気機器筐体100の大きさが増大してしまうことを防止できる。
【0043】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 第1のフック、1a 第1の傾斜面、1b 第2の傾斜面、1c,2d,3a,3b,3c,4a,4b,4c,4d,4e,4f,9a 拘束面、2 第2のフック、2a 第1のカム面、2b 第2のカム面、2e,2f,16,21,99 突起、3 本体、4 取付レール、9 フック部、9b 面取り面、11,361 一端部、12 凹部、13,24 操作部、14,362 他端部、15 ラッチバー、22 一端、23 他端、31 フックガイド部、32 凸部、33 取付空間、34 穴、35,211 ストッパ、36 ラッチ突起、37 支点、40 クラウン部、41 長穴、42 レール取付ねじ、43 鍔部、50 強電盤、91 退避部、100 電気機器筐体、101 電気機器、151 先端部、321 返し部。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面から突出する凸部と、凸側面と凹側面とを有し両端に鍔部が設けられたハット型の断面形状の取付レールが配置される取付空間を前記凸部との間になすフックガイド部とが設けられた本体と、
前記フックガイド部にスライド可能に設置され、一端部が前記取付空間に突出する突出位置と前記一端部が前記フックガイド部に埋没する退避位置との間をスライド移動する第1のフックと、
突起を備え、前記突起が前記取付空間に突出するロック位置と、前記突起が前記取付空間に突出しないアンロック位置との間で回転可能に設置された第2のフックとを備え、
前記凸部は、前記取付空間に張り出す返し部を有し、
前記返し部は、前記取付レールの一方の端部の前記鍔部の端面及び前記凸側面を拘束し、
前記本体の前記背面は、前記取付レールの一方の端部の前記鍔部の前記凹側面及び前記取付レールの他方の端部の前記鍔部の前記凹側面を拘束し、
前記突出位置に配置された前記第1のフックの前記一端部は、前記取付レールの他方の端部の前記鍔部の前記凸側面を拘束し、
前記ロック位置に配置された前記第2のフックの前記突起は、前記取付レールの他方の端部の前記鍔部の端面を拘束し、
前記第2のフックは、回転の支点よりも他端側に設けられた第1のカム面と、前記支点よりも一端側に設けられた第2のカム面とを備え、
前記第1のフックは、前記第2のフック側に設けられた第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面よりも前記一端部寄りで前記第2のフック側に設けられた第2の傾斜面とを備え、
前記突出位置に配置された前記第1のフックを前記退避位置へ移動させると、前記第2の傾斜面が前記第2のカム面に当接して、前記第2のフックが前記アンロック位置へ移動する方向に回転し、
前記退避位置に配置された前記第1のフックを前記突出位置へ移動させると、前記第1の傾斜面が前記第1のカム面に当接して、前記第2のフックが前記ロック位置へ移動する方向に回転することを特徴とする電気機器筐体。
【請求項2】
前記突出位置と前記退避位置との間にある前記第1のフックを前記突出位置又は前記退避位置に配置させる機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の電気機器筐体。
【請求項3】
背面から突出する凸部と、凸側面と凹側面とを有し両端に鍔部が設けられたハット型の断面形状の取付レールが配置される取付空間を前記凸部との間になすフックガイド部とが設けられた本体と、
前記フックガイド部にスライド可能に設置され、一端部が前記取付空間に突出する突出位置と前記一端部が前記フックガイド部に埋没する退避位置との間をスライド移動する第1のフックと、
突起を備え、前記突起が前記取付空間に突出するロック位置と、前記突起が前記取付空間に突出しないアンロック位置との間で回転可能に設置された第2のフックとを備え、
前記凸部は、前記取付空間に張り出す返し部を有し、
前記返し部は、前記取付レールの一方の端部の前記鍔部の端面及び前記凸側面を拘束し、
前記本体の前記背面は、前記取付レールの一方の端部の前記鍔部の前記凹側面及び前記取付レールの他方の端部の前記鍔部の前記凹側面を拘束し、
前記突出位置に配置された前記第1のフックの前記一端部は、前記取付レールの他方の端部の前記鍔部の前記凸側面を拘束し、
前記ロック位置に配置された前記第2のフックの前記突起は、前記取付レールの他方の端部の前記鍔部の端面を拘束し、
前記第2のフックは、前記本体と一体に構成されていることを特徴とする電気機器筐体。
【請求項4】
前記返し部と前記フックガイド部との間隔は、前記取付レールの幅以上であり、かつ前記突出位置に配置された前記第1のフックの前記一端部と前記返し部との間隔は前記取付レールの幅よりも狭いことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電気機器筐体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電気機器筐体を備えたことを特徴とする電気機器。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2020-11-19 
結審通知日 2020-11-25 
審決日 2020-12-11 
出願番号 特願2018-551476(P2018-551476)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (H05K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 大介  
特許庁審判長 山田 正文
特許庁審判官 山本 章裕
畑中 博幸
登録日 2018-12-07 
登録番号 特許第6444576号(P6444576)
発明の名称 電気機器筐体及び電気機器  
代理人 高村 順  
代理人 高村 順  
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