• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1371129
審判番号 不服2020-4299  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-01 
確定日 2021-02-08 
事件の表示 特願2017-178689号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月 4日出願公開、特開2019- 51211号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成29年9月19日の出願であって、令和1年5月21日に手続補正書が提出され、令和1年9月26日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月6日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月4日に最後の拒絶の理由が通知され、令和2年1月30日に意見書及び手続補正書が提出され、同年3月9日付け(謄本送達日:同年同月12日)で、同年1月30日提出の手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年4月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。
なお、請求人は、令和2年6月15日に上申書(以下単に「上申書」という。)を提出し、審査官が同年5月27日に作成した、特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)の内容に対して反論している。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年4月1日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和1年11月6日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「始動条件の成立に基づいて複数列の図柄の変動表示を行い、前記変動表示の結果が予め定められた特別表示結果になると遊技者に有利な特別遊技を実行することが可能な遊技機において、
前記図柄を視認し難い態様で変動表示させた後に、図柄を視認し易い態様で仮停止表示させてから、前記変動表示の結果を示す図柄を確定停止表示させる変動演出を実行可能な表示制御手段を備え、
前記表示制御手段は、
1の変動演出において、前記特別表示結果となる特別表示態様で図柄を表示する場合でも、前記特別表示結果とならない非特別表示態様で図柄を表示する場合でも、前記仮停止表示のときに前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する所定演出を実行可能であり、
前記1の変動演出において、
前記特別遊技の期待度が高い特別演出が実行されない場合よりも、前記特別演出が実行される場合の方が、前記所定演出を実行し易く、
前記非特別表示態様で図柄を表示する場合に、第1図柄組み合わせにて表示される場合よりも、前記第1図柄組み合わせとは異なる第2図柄組み合わせにて表示される場合の方が、前記所定演出を実行し易いことを特徴とする遊技機。」とあったものを、

「始動条件の成立に基づいて複数列の図柄の変動表示を行い、前記変動表示の結果が予め定められた特別表示結果になると遊技者に有利な特別遊技を実行することが可能な遊技機において、
前記図柄を視認し難い態様で変動表示させた後に、図柄を視認し易い態様で仮停止表示させてから、前記変動表示の結果を示す図柄を確定停止表示させる変動演出を実行可能な表示制御手段を備え、
前記表示制御手段は、
1の変動演出において、前記特別表示結果となることを示す図柄の組み合わせが何れであっても、前記図柄を仮停止表示した後に、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であり、
1の変動演出において、非特別表示態様の図柄を仮停止表示したときに、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であり、
前記1の変動演出において、
前記特別遊技の期待度が高い特別演出が実行されない場合よりも、前記特別演出が実行される場合の方が、前記停止示唆演出を実行し易く、
前記非特別表示態様で図柄を表示する場合に、第1図柄組み合わせにて表示される場合よりも、前記第1図柄組み合わせとは異なる第2図柄組み合わせにて表示される場合の方が、前記停止示唆演出を実行し易いことを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次の補正事項からなる。
ア 本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「所定演出」を「停止示唆演出」とする補正。

イ 本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記表示制御手段は、1の変動演出において、前記特別表示結果となる特別表示態様で図柄を表示する場合でも、前記特別表示結果とならない非特別表示態様で図柄を表示する場合でも、前記仮停止表示のときに前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する所定演出を実行可能であり、」を「前記表示制御手段は、1の変動演出において、前記特別表示結果となることを示す図柄の組み合わせが何れであっても、前記図柄を仮停止表示した後に、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であり、1の変動演出において、非特別表示態様の図柄を仮停止表示したときに、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であり、」とする補正。

2 補正の適否について
(1) 補正の目的
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「所定演出」を「停止示唆演出」とするともに、「停止示唆演出」が、「前記特別表示結果となることを示す図柄の組み合わせが何れであっても、前記図柄を仮停止表示した後に」に実行される場合と、「非特別表示態様の図柄を仮停止表示したとき」に実行される場合とがあることを場合分けして限定するものである。
したがって、本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0659】、【0692】、【0695】、【0696】ないし【0703】、図47ないし図49、図53ないし図56、図58、図59、図61ないし図63等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下、検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである。

「A 始動条件の成立に基づいて複数列の図柄の変動表示を行い、前記変動表示の結果が予め定められた特別表示結果になると遊技者に有利な特別遊技を実行することが可能な遊技機において、
B 前記図柄を視認し難い態様で変動表示させた後に、図柄を視認し易い態様で仮停止表示させてから、前記変動表示の結果を示す図柄を確定停止表示させる変動演出を実行可能な表示制御手段を備え、
C 前記表示制御手段は、
1の変動演出において、前記特別表示結果となることを示す図柄の組み合わせが何れであっても、前記図柄を仮停止表示した後に、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であり、
D 1の変動演出において、非特別表示態様の図柄を仮停止表示したときに、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であり、
E 前記1の変動演出において、
前記特別遊技の期待度が高い特別演出が実行されない場合よりも、前記特別演出が実行される場合の方が、前記停止示唆演出を実行し易く、
F 前記非特別表示態様で図柄を表示する場合に、第1図柄組み合わせにて表示される場合よりも、前記第1図柄組み合わせとは異なる第2図柄組み合わせにて表示される場合の方が、前記停止示唆演出を実行し易い
G ことを特徴とする遊技機。」
なお、記号AないしGについては、分説するため合議体が付した。記号A等を付した事項を以下「特定事項A」等と称する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-209268号公報(平成28年12月15日出願公開、以下「引用例」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(なお、下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。)。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機(パチンコ遊技機)の一種では、始動条件の成立に基づいて大当たり抽選(当たり判定)を行い、大当たりに当選した場合、特別遊技の一種として、大入賞口の開放を伴う大当たり遊技を行う。大入賞口に遊技球を入賞させることで多数の賞球を得ることができる。大当たり抽選の結果は、図柄表示手段上において、図柄の変動表示を経たのちの図柄の停止態様によって遊技者に示される。
【0003】
また、遊技機では、演出ボタン等の操作手段を用いた演出が行われることもある。例えば、演出ボタンに対する操作有効期間を設けて遊技者にボタン操作の入力を促し、ボタン操作の入力に応じて所定の演出(例えば、カットインの表示)を行うことがある(例えば下記特許文献1参照)。また、図柄の変動表示中に、大当たり遊技の実行の期待度が高いことを示唆するリーチ演出が行なわれることがある。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特別遊技の実行有無に関する演出について新たな演出を導入できれば、遊技の興趣向上が見込まれる。遊技機において、遊技への飽きを抑制して楽しんで遊技を行ってもらうために、新たな演出及び方法の導入が重要であることは言うまでもない。
【0006】
そこで本発明は、特別遊技の示唆に関連する演出を通じて遊技の興趣向上に寄与する遊技機を提供することを目的とする。」

イ 「【0029】
<<遊技機の基本動作>>
次に、遊技機100の基本動作について説明する。遊技機100は、第1又は第2始動条件が成立すると、その成立タイミングに応じた特図判定用情報を取得し、特図判定用情報に基づく特別図柄抽選(大当たり抽選)を行う。特図判定用情報の取得は、特別図柄抽選の権利の取得に相当する。特別図柄抽選では、大当たりに当選したか否か(大当たりに当選したか、或いはハズレであるか)が判定される。尚、大当たりの当選を大当たりの発生と表現することがある(後述の小当たりについても同様)。また、或る特図判定用情報が大当たりに当選していることを、当該特図判定用情報が大当たりであるなどと表現することもある(後述の小当たりについても同様)。第1特別図柄抽選をおこなった場合、遊技機100は、第1特別図柄表示部201aの第1特別図柄を変動表示させる。そして、この変動表示の開始から所定時間経過後に、第1特別図柄抽選の抽選結果を示す図柄で(即ち第1特別図柄抽選の抽選結果を示す態様で)第1特別図柄を停止表示させる。一方、第2特別図柄抽選をおこなった場合、遊技機100は、第2特別図柄表示部201bの第2特別図柄を変動表示させる。そして、この変動表示の開始から所定時間経過後に、第2特別図柄抽選の抽選結果を示す図柄で(即ち第2特別図柄抽選の抽選結果を示す態様で)第2特別図柄を停止表示させる。
【0030】
遊技機100は、特別図柄(第1又は第2特別図柄)を変動表示させると、それに合わせて画像表示部104上で装飾図柄を変動表示させ、特別図柄の停止表示に合わせて装飾図柄を停止表示させる。画像表示部104に表示される装飾図柄は、第1?第3装飾図柄を含み、各装飾図柄には数値又は記号等が対応付けられている。例えば、大当たりを示す所定の図柄で特別図柄を停止表示させた場合(即ち、特別図柄抽選で大当たりに当選した場合)には、大当たりを示す組み合わせ(例えば「7・7・7」といった所謂ゾロ目)で第1?第3装飾図柄を停止表示させる。
・・・略・・・
【0033】
大当たりを示す態様で特別図柄を停止表示させると、遊技機100は、大当たり遊技状態となる。大当たり遊技状態では、大入賞口111を開放させるラウンド遊技を、当選した大当たりの種類(図7参照)に応じたラウンド分(例えば16ラウンド分)実行する大当たり遊技が行われる。大入賞口111の開放中に遊技球が大入賞口111へ入賞すると、遊技機100は所定個数の賞球を払い出す。大当たり遊技状態は、大当たり遊技が終了することによって終了する。大当たり遊技では、大入賞口111への遊技球の入賞によって賞球を得られる機会が与えられるため、大当たり遊技は大入賞口111が開放されない遊技(例えば通常遊技状態における遊技)よりも遊技者にとって有利である、と言える。ここにおける有利とは、大入賞口111の開放に伴い、遊技者がより多くの賞球を得やすい(得られる賞球の期待値が大きい)ことを意味する。」

ウ 「【0134】
図15に、第1実施形態に係る変動演出パターンテーブルHEtを示す。変動演出パターンテーブルHEtは、サブROM432に格納され、各々に変動演出の内容を定義した複数の変動演出パターン(特図変動演出パターン)を含む。変動演出パターンテーブルHEtにおける複数の変動演出パターンは、変動演出パターンHEp_a11?HEp_a16及びHEp_a24?HEp_a26を含む。ここでは、特図変動パターンTHp_a11?THp_a16及びTHp_a24?THp_a26に対して、夫々、変動演出パターンHEp_a11?HEp_a16及びHEp_a24?HEp_a26が1対1に対応付けられているものとする。即ち、判定対象TTとしての特図判定用情報1100に対し特図変動パターンTHp_a11?THp_a16、THp_a24?THp_a26が選択及び判定されたことを示す変動開始コマンドを受信すると、演出制御部403は、夫々、変動演出パターンHEp_a11?HEp_a16、HEp_a24?HEp_a26を選択し、選択した変動演出パターンによる変動演出を特図判定用情報1100に対する変動演出1200として実行する。
【0135】
図15には、各変動演出パターンによる変動演出の概要も示されている。特図判定用情報1100に対して変動演出パターンHEp_a11、HEp_a12、HEp_a13が選択されたとき、演出制御部403は、変動演出1200として、夫々、特図判定用情報1100がハズレであることを示唆及び告知する第1、第2、第3ハズレ演出を実行する。変動演出パターンHEp_a11、HEp_a12又はHEp_a13による変動演出はリーチ演出を含まない。変動演出パターンHEp_a11?HEp_a16及びHEp_a24?HEp_a26の内、変動演出パターンHEp_a16及びHEp_a26の変動演出のみに、後述の復活煽り演出が含まれる。
【0136】
[変動演出パターンHEp_a14]
図16を参照し、変動演出パターンHEp_a14による変動演出1200を説明する。変動演出パターンHEp_a14による変動演出1200では、所定の前段演出、弱リーチ演出、リーチハズレ示唆演出、ハズレ告知演出が、この順番で実行される。変動演出パターンHEp_a14による変動演出1200において復活煽り演出は行われない。
【0137】
前段演出では、第1?第3装飾図柄(図16のSZ1?SZ3に相当)の変動表示の開始後、所定の演出を経て、第1及び第2装飾図柄を共通の図柄(図16では数字「2」の図柄)にて揃えた状態で仮停止させる。その後、弱リーチ演出では、遊技上の課題として、主人公キャラクタZRが敵キャラクタAを倒すという課題が発生し、その課題が達成されるか否かを示す演出が実行される。
【0138】
弱リーチ演出が行われる前において、第1及び第2装飾図柄を共通の図柄にて仮停止させる際、遊技者が第1及び第2装飾図柄を視認しやすいように第1及び第2装飾図柄が所定の大サイズで仮停止される。弱リーチ演出の実行を定義する他の変動演出パターン(従ってHEp_a24を含む)による変動演出1200でも同様である。弱リーチ演出の実行中には、弱リーチ演出を見やするするために共通の図柄にて揃えられた小サイズの第1及び第2装飾図柄が、例えば画像表示部104の左上隅及び右上隅で仮停止せしめられ、この際、画像表示部104内の任意の表示領域で第3装飾図柄を小サイズで変動表示(第1及び第2装飾図柄よりも高速な変動表示)させるようにしても良い。弱リーチ演出の実行を定義する他の変動演出パターン(従ってHEp_a24を含む)による変動演出1200でも同様である。
【0139】
変動演出パターンHEp_a14による変動演出1200では、弱リーチ演出を経て、遊技上の課題が達成されない様子を表す演出(主人公キャラクタZRが敵キャラクタAに敗北する(即ち倒される)様子を表す動画像の表示を含む)が行われると共に大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示される。遊技上の課題が達成されない様子を表す演出と、その後の、非ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示とが、変動演出パターンHEp_a14のリーチハズレ示唆演出に含まれる。尚、リーチハズレ示唆演出の全部又は一部も変動演出パターンHEp_a14の弱リーチ演出に含まれる、と考えるようにしても良い。リーチハズレ示唆演出は、特図判定用情報1100がハズレであること(即ち特図判定用情報1100に対する特図判定の結果として大当たり遊技が実行されないこと)を遊技者に示唆する演出として機能する(後述の他の変動演出パターンによるリーチハズレ示唆演出についても同様)。
【0140】
変動演出パターンHEp_a14による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて停止表示される。第1?第3装飾図柄を非ゾロ目の態様にて停止表示させる演出はハズレ告知演出に相当する。ハズレ告知演出は、特図判定用情報1100がハズレであること(即ち特図判定用情報1100に対する特図判定の結果として大当たり遊技が実行されないこと)を遊技者に最終的に告知及び明示する演出として機能する(後述の他の変動演出パターンによるハズレ告知演出についても同様)。
【0141】
[変動演出パターンHEp_a24]
図17を参照し、変動演出パターンHEp_a24による変動演出1200を説明する。変動演出パターンHEp_a24による変動演出1200では、所定の前段演出、弱リーチ演出、リーチ当たり示唆演出、当たり告知演出が、この順番で実行される。変動演出パターンHEp_a24による変動演出1200において復活煽り演出は行われない。
【0142】
前段演出では、第1?第3装飾図柄(図17のSZ1?SZ3に相当)の変動表示の開始後、所定の演出を経て、第1及び第2装飾図柄を共通の図柄(図17では数字「2」の図柄)にて揃えた状態で仮停止させる。その後、弱リーチ演出では、遊技上の課題として、主人公キャラクタZRが敵キャラクタAを倒すという課題が発生し、その課題が達成されるか否かを示す演出が実行される。
【0143】
変動演出パターンHEp_a24による変動演出1200では、弱リーチ演出を経て、遊技上の課題が達成される様子を表す演出(主人公キャラクタZRが敵キャラクタAに勝利する(即ち敵キャラクタAを倒す)様子を表す動画像の表示を含む)が行われると共に大サイズの第1?第3装飾図柄がゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示される。遊技上の課題が達成される様子を表す演出と、その後の、ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示とが、変動演出パターンHEp_a24のリーチ当たり示唆演出に含まれる。尚、リーチ当たり示唆演出の全部又は一部も変動演出パターンHEp_a24の弱リーチ演出に含まれる、と考えるようにしても良い。リーチ当たり示唆演出は、特図判定用情報1100が大当たりであること(即ち特図判定用情報1100に対する特図判定の結果として大当たり遊技が実行されること)を遊技者に示唆する演出として機能する(後述の他の変動演出パターンによるリーチ当たり示唆演出についても同様)。
【0144】
変動演出パターンHEp_a24による変動演出1200では、リーチ当たり示唆演出の後、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1?第3装飾図柄がゾロ目の態様にて停止表示される。第1?第3装飾図柄をゾロ目の態様にて停止表示させる演出は当たり告知演出に相当する。当たり告知演出は、特図判定用情報1100が大当たりであること(即ち特図判定用情報1100に対する特図判定の結果として大当たり遊技が実行されること)を遊技者に最終的に告知及び明示する演出として機能する(後述の他の変動演出パターンによる当たり告知演出についても同様)。」

エ 「【0154】
[変動演出パターンHEp_a16]
図20を参照し、変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200を説明する。変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200では、所定の前段演出、強リーチ演出、リーチハズレ示唆演出、復活煽り演出、復活失敗演出、ハズレ告知演出が、この順番で実行される。
【0155】
前段演出では、第1?第3装飾図柄(図20のSZ1?SZ3に相当)の変動表示の開始後、所定の演出を経て、第1及び第2装飾図柄を共通の図柄(図20では数字「2」の図柄)にて揃えた状態で仮停止させる。その後、強リーチ演出では、遊技上の課題として、主人公キャラクタZRが敵キャラクタBを倒すという課題が発生し、その課題が達成されるか否かを示す演出が実行される。
【0156】
変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200では、強リーチ演出を経て、遊技上の課題が達成されない様子を表す演出(主人公キャラクタZRが敵キャラクタBに敗北する(即ち倒される)様子を表す動画像の表示を含む)が行われると共に大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示される。遊技上の課題が達成されない様子を表す演出と、その後の、非ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示とが、変動演出パターンHEp_a16のリーチハズレ示唆演出に含まれる。尚、リーチハズレ示唆演出の全部又は一部も変動演出パターンHEp_a16の強リーチ演出に含まれる、と考えるようにしても良い。
【0157】
変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出が行なわれ、続いて復活失敗演出が行なわれる。復活煽り演出及び復活失敗演出については後述する。その後、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて停止表示される。第1?第3装飾図柄を非ゾロ目の態様にて停止表示させる演出はハズレ告知演出に相当する。
【0158】
[変動演出パターンHEp_a26]
図21を参照し、変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200を説明する。変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、所定の前段演出、強リーチ演出、リーチハズレ示唆演出、復活煽り演出、復活成功演出、当たり告知演出が、この順番で実行される。
【0159】
前段演出では、第1?第3装飾図柄(図21のSZ1?SZ3に相当)の変動表示の開始後、所定の演出を経て、第1及び第2装飾図柄を共通の図柄(図21では数字「2」の図柄)にて揃えた状態で仮停止させる。その後、強リーチ演出では、遊技上の課題として、主人公キャラクタZRが敵キャラクタBを倒すという課題が発生し、その課題が達成されるか否かを示す演出が実行される。
【0160】
変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、強リーチ演出を経て、遊技上の課題が達成されない様子を表す演出(主人公キャラクタZRが敵キャラクタBに敗北する(即ち倒される)様子を表す動画像の表示を含む)が行われると共に大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示される。遊技上の課題が達成されない様子を表す演出と、その後の、非ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示とが、変動演出パターンHEp_a26のリーチハズレ示唆演出に含まれる。尚、リーチハズレ示唆演出の全部又は一部も変動演出パターンHEp_a26の強リーチ演出に含まれる、と考えるようにしても良い。
【0161】
変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出が行なわれ、続いて復活成功演出が行なわれる。復活煽り演出及び復活成功演出については後述する。その後、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1?第3装飾図柄がゾロ目の態様にて停止表示される。第1?第3装飾図柄をゾロ目の態様にて停止表示させる演出は当たり告知演出に相当する。」

オ 「【図20】



【図21】




カ 引用例における、上記ウの
「【0134】・・・複数の変動演出パターン(特図変動演出パターン)を含む。・・・」との記載、
「【0136】・・・変動演出パターンHEp_a14による変動演出1200では、所定の前段演出、弱リーチ演出、リーチハズレ示唆演出、ハズレ告知演出が、この順番で実行される。・・・【0137】・・・第1?第3装飾図柄(図16のSZ1?SZ3に相当)の変動表示の開始後、所定の演出を経て、第1及び第2装飾図柄を共通の図柄(図16では数字「2」の図柄)にて揃えた状態で仮停止させる。・・・【0139】 変動演出パターンHEp_a14による変動演出1200では、弱リーチ演出を経て、遊技上の課題が達成されない様子を表す演出(主人公キャラクタZRが敵キャラクタAに敗北する(即ち倒される)様子を表す動画像の表示を含む)が行われると共に大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示される。・・・【0140】 変動演出パターンHEp_a14による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて停止表示される。・・・」との記載、
「【0141】・・・変動演出パターンHEp_a24による変動演出1200では、・・・【0142】・・・第1?第3装飾図柄(図17のSZ1?SZ3に相当)の変動表示の開始後、所定の演出を経て、第1及び第2装飾図柄を共通の図柄(図17では数字「2」の図柄)にて揃えた状態で仮停止させる。・・・【0144】 変動演出パターンHEp_a24による変動演出1200では、リーチ当たり示唆演出の後、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1?第3装飾図柄がゾロ目の態様にて停止表示される。・・・」との記載より、
引用例には、「第1?第3装飾図柄の変動表示の開始後、大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目又はゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示され、その後、大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目又はゾロ目の態様にて停止表示される、という変動表示パターンを含」むことが記載されていると認められる。

キ 引用例における、上記ウの
「【0134】・・・複数の変動演出パターン(特図変動演出パターン)を含む。・・・」との記載、
同じく上記エの
「【0154】・・・変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200では、所定の前段演出、強リーチ演出、リーチハズレ示唆演出、復活煽り演出、復活失敗演出、ハズレ告知演出が、この順番で実行される。・・・【0156】変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200では、・・・第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示される。遊技上の課題が達成されない様子を表す演出と、その後の、非ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示とが、変動演出パターンHEp_a16のリーチハズレ示唆演出に含まれる。・・・【0157】変動演出パターンHEp_a16による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出が行なわれ、続いて復活失敗演出が行なわれる。・・・その後、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて停止表示される。」との記載、
「【0158】・・・変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、所定の前段演出、強リーチ演出、リーチハズレ示唆演出、復活煽り演出、復活成功演出、当たり告知演出が、この順番で実行される。・・・【0160】変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、・・・第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示される。遊技上の課題が達成されない様子を表す演出と、その後の、非ゾロ目の態様による第1?第3装飾図柄の仮停止表示とが、変動演出パターンHEp_a26のリーチハズレ示唆演出に含まれる。・・・【0161】変動演出パターンHEp_a26による変動演出1200では、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出が行なわれ、続いて復活成功演出が行なわれる。復活煽り演出及び復活成功演出については後述する。その後、変動停止コマンドを受信すると大サイズの第1?第3装飾図柄がゾロ目の態様にて停止表示される。・・・」との記載より、
引用例には、「複数の変動表示パターンのうち、変動演出パターンHEp_a16又はHEp_a26では、第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示され、該仮停止表示がリーチハズレ示唆演出に含まれ、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出が行なわれ、続いて復活失敗演出又は復活成功演出が行なわれ、その後、大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目又はゾロ目の態様にて停止表示される」ことが記載されていると認められる。

ク 上記アないしキから、引用例には、次の発明が記載されている(なお、aないしgについては本願補正発明の特定事項AないしGに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。)。
「a 第1又は第2始動条件が成立すると、特別図柄を変動表示させることに合わせて画像表示部104上で第1?第3装飾図柄を変動表示させ、大当たりを示す組み合わせ(例えば「7・7・7」といった所謂ゾロ目)で第1?第3装飾図柄を停止表示すると(【0029】、【0030】)、大当たり遊技状態となる遊技機100(【0033】)であって、
b 第1?第3装飾図柄の変動表示の開始後、大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目又はゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示され、その後、大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目又はゾロ目の態様にて停止表示される、という変動表示パターンを含み(上記カ)、
d-f 複数の変動表示パターンのうち、変動演出パターンHEp_a16又はHEp_a26では、第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様にて画像表示部104の中央付近に仮停止表示され、該仮停止表示がリーチハズレ示唆演出に含まれ、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出が行なわれ、続いて復活失敗演出又は復活成功演出が行なわれ、その後、大サイズの第1?第3装飾図柄が非ゾロ目又はゾロ目の態様にて停止表示される(上記キ)、
g 遊技機100(【0029】)。」(以下「引用発明1」という。)

(3)周知の事項
ア 本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-108881号公報(以下「周知例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている(なお、下線は周知技術の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機などの遊技機に関する。」

(イ)「【0092】
リーチ付当たり演出(図9(d)参照)による変動演出では、変動開始コマンドの受信に応答して第1?第3装飾図柄の変動表示を開始した後、第1装飾図柄(左図柄)を所定態様で仮停止表示し、その後、リーチ付ハズレ演出と同様、上述のテンパイ煽り演出を経てテンパイ成功演出を行う。リーチ付当たり演出では、テンパイ成功演出の後、所定のリーチ演出を行い、リーチ演出を経て、第3装飾図柄(中図柄)を第1及び第2装飾図柄と共通の態様で仮停止表示した後(従って、第1?第3装飾図柄をゾロ目の態様で仮停止表示した後)、変動停止コマンドの受信に応答して第1?第3装飾図柄をゾロ目の態様で本停止表示させる。尚、第1?第3装飾図柄をゾロ目の態様で仮停止表示した後、第1?第3装飾図柄を本停止表示させる前に、再抽選演出を行うことができる(再抽選演出の詳細は後述)。
・・・略・・・
【0095】
図10(a)?(c)を参照し、ゾロ目の態様には、互いに異なる青ゾロ目、緑ゾロ目及び赤ゾロ目がある。
・・・略・・・
【0098】
赤ゾロ目、緑ゾロ目、青ゾロ目による第1?第3装飾図柄を表示態様は、何れも、大当たり遊技が行われることを示唆している。
【0099】
但し、赤ゾロ目は、判定対象TTが特B又は特Dの大当たりに当選している場合にのみ停止表示されるので、第1?第3装飾図柄を赤ゾロ目の態様で停止表示(仮停止表示、本停止表示)させる演出は、判定対象TTが特B又は特Dの大当たりに当選していること、従って、特B又は特Dによる16R分の大当たり遊技が行われて当該大当たり遊技後に遊技機100の遊技状態が高確率電サポ遊技状態とされることを示唆している。
【0100】
同様に考えて、第1?第3装飾図柄を緑ゾロ目の態様で停止表示(仮停止表示、本停止表示)させる演出は、判定対象TTが特A?特Dの何れかの大当たりに当選していること、従って、特A?特Dの何れかによる大当たり遊技が行われて当該大当たり遊技後に遊技機100の遊技状態が高確率電サポ遊技状態とされることを示唆していると共に、特B又は特Dによる16R分の大当たり遊技が行われて当該大当たり遊技後に遊技機100の遊技状態が高確率電サポ遊技状態とされる可能性が第1?第3装飾図柄の赤ゾロ目の態様による停止表示よりも低いことを示唆している。
【0101】
同様に考えて、第1?第3装飾図柄を青ゾロ目の態様で停止表示(仮停止表示、本停止表示)させる演出は、判定対象TTが特A?特D並びに通A及び通Bの何れかの大当たりに当選していること、従って、特A?特Dの何れかによる大当たり遊技が行われて当該大当たり遊技後に遊技機100の遊技状態が高確率電サポ遊技状態とされるか及び通A又は通Bによる大当たり遊技が行われて当該大当たり遊技後に遊技機100の遊技状態が低確確率電サポ遊技状態とされるかの何れかであることを示唆していると共に、特B又は特Dによる16R分の大当たり遊技が行われて当該大当たり遊技後に遊技機100の遊技状態が高確率電サポ遊技状態とされる可能性が第1?第3装飾図柄の赤ゾロ目の態様による停止表示よりも低いことを示唆し、且つ、特A?特Dに何れかによる大当たり遊技が行われて当該大当たり遊技後に遊技機100の遊技状態が高確率電サポ遊技状態とされる可能性が第1?第3装飾図柄の赤又は緑ゾロ目の態様による停止表示よりも低いことを示唆している。」

(ウ)「【0130】
図16を参照し、再抽選演出について説明する。再抽選演出の実行前における第1?第3装飾図柄の停止態様を、第1ゾロ目態様と称し、再抽選演出の実行後における第1?第3装飾図柄の停止態様を、第2ゾロ目態様と称する。再抽選演出の実行前には、第1ゾロ目態様にて第1?第3装飾図柄が十分に大きなサイズで仮停止表示されている。再抽選演出では、例えば、第1?第3装飾図柄の内容を遊技者が視認不能な程度に第1?第3装飾図柄の表示サイズを徐々に小さくした後、第2ゾロ目態様にて第1?第3装飾図柄を十分に大きなサイズで仮停止表示させる。
【0131】
第1ゾロ目態様と第2ゾロ目態様は互いに異なることもあるし、互いに同じであることもある。第1ゾロ目態様と第2ゾロ目態様が互いに異なる場合、再抽選演出は、ゾロ目による第1?第3装飾図柄の停止態様(仮停止表示態様)を第1ゾロ目態様から第2ゾロ目態様へと変化させる演出として機能する。第1ゾロ目態様と第2ゾロ目態様が互いに同じでありうることをも考慮すると、再抽選演出は、第1?第3装飾図柄の停止態様(仮停止表示態様)が或るゾロ目態様から他のゾロ目態様に変化するか否かを示唆する演出として機能する。」

(エ)「【図16】




(オ)「【0146】
図21は、第1又は第2リーチ付当たり演出において、第1?第3装飾図柄が第1ゾロ目態様にて仮停止表示されるまでの流れを示している。
【0147】
第1又は第2リーチ付当たり演出において、第1ゾロ目態様が青ゾロ目であることが決まっている場合、第1装飾図柄(左図柄)が青図柄にて仮停止された後、第1装飾図柄(左図柄)及び第2装飾図柄(右図柄)が共通の青図柄にて揃えられるか否かを示唆するテンパイ煽り演出(これを特に青図柄テンパイ煽り演出と称する)が行われ、その後、第1装飾図柄(左図柄)及び第2装飾図柄(右図柄)を共通の青図柄にて揃えて表示するテンパイ成功演出(これを特に青図柄テンパイ成功演出と称する)が行われ、更にその後、所定のリーチ演出を経て、第1?第3装飾図柄が共通の青図柄にて揃えて表示され(即ち青ゾロ目としての第1ゾロ目態様にて仮停止表示され)、その後に再抽選演出が行われる。
【0148】
第1又は第2リーチ付当たり演出において、第1ゾロ目態様が緑ゾロ目であることが決まっている場合、第1装飾図柄(左図柄)が緑図柄にて仮停止された後、第1装飾図柄(左図柄)及び第2装飾図柄(右図柄)が共通の緑図柄にて揃えられるか否かを示唆するテンパイ煽り演出(これを特に緑図柄テンパイ煽り演出と称する)が行われ、その後、第1装飾図柄(左図柄)及び第2装飾図柄(右図柄)を共通の緑図柄にて揃えて表示するテンパイ成功演出(これを特に緑図柄テンパイ成功演出と称する)が行われ、更にその後、所定のリーチ演出を経て、第1?第3装飾図柄が共通の緑図柄にて揃えて表示され(即ち緑ゾロ目としての第1ゾロ目態様にて仮停止表示され)、その後に再抽選演出が行われる。
【0149】
第1又は第2リーチ付当たり演出において、第1ゾロ目態様が赤ゾロ目であることが決まっている場合、第1装飾図柄(左図柄)が赤図柄にて仮停止された後、第1装飾図柄(左図柄)及び第2装飾図柄(右図柄)が共通の赤図柄にて揃えられるか否かを示唆するテンパイ煽り演出(これを特に赤図柄テンパイ煽り演出と称する)が行われ、その後、第1装飾図柄(左図柄)及び第2装飾図柄(右図柄)を共通の赤図柄にて揃えて表示するテンパイ成功演出(これを特に赤図柄テンパイ成功演出と称する)が行われ、更にその後、所定のリーチ演出を経て、第1?第3装飾図柄が共通の赤図柄にて揃えて表示され(即ち赤ゾロ目としての第1ゾロ目態様にて仮停止表示され)、その後に再抽選演出が行われる。」

(カ)「【図21】




イ 本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-6174号公報(以下「周知例2」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る遊技機10について、図面に基づいて説明する。遊技機10はパチンコ遊技機である。本明細書中、上下とは、遊技を行うために遊技機10を立設した状態における上下をいい、左右は、遊技盤15の遊技領域16に向かって左右をいうものとする。また、遊技盤15の表面側(遊技領域16側)を前方とし、その反対側を後方とする。」

(イ)「【0053】
遊技機10では、長当たりになる場合、図23に示すように、変動演出において、特別演出を行うことがある。上述した図22の例は、特別演出を行わない例である。特別演出とは、図柄Fを変動表示してから大当たり図柄で仮停止(仮停止表示)し、その後、仮停止した大当たり図柄、又は、仮停止した大当たり図柄とは異なる大当たり図柄で、本停止(確定表示)する演出であり、仮停止から本停止までの間に、仮停止した大当たり図柄が変更されるかも知れないと遊技者に思わせるような演出(例えば、再変動)が行われる。なお、仮停止とは、停止しているように見えるが、ごく僅かに動いている状態である。再変動のように、仮停止した大当たり図柄が変更されるかも知れないと遊技者に思わせるような演出を、以下、「再抽選演出」ということとする。実施形態では、図23の(e)に示すように、本停止直前に、本停止する図柄での再仮停止を行う。特別演出において、仮停止した大当たり図柄とは異なる大当たり図柄で本停止する場合、本停止される大当たり図柄は、仮停止した大当たり図柄よりも、遊技者にとって有利な大当たりを示すものとされる。」

(ウ)「【0101】
(5)実施形態のパチンコ遊技機の演出例
次に、図23?図30に基づいて、実施形態の特別演出の例について説明する。図23、図24は保留連示唆演出が行われない例、図25?図30は行われる例である。
【0102】
〈図23の例〉
・・・略・・・
【0104】
変動演出開始コマンドを受信した画像音響制御部95は、図23の(a)に示すように、表示画面20aにおいて特別演出を含む変動演出を開始する。すなわち、図柄Fの変動表示を開始し、所定時間経過後、(b)に示すように、左図柄LF及び右図柄RFを「6」として、リーチ態様を成立させる。なお、保留アイコンI4は、変動演出の開始後に記憶された保留に係るものである。次に、画像音響制御部95は、(c)に示すように、中図柄CFも左図柄LF及び右図柄RFと揃えた通常図柄「666」で図柄Fを仮停止し、次に、(d)に示すように図柄Fを再変動させる。そして、所定時間経過後、本停止図柄と同じ確変図柄「777」で図柄Fを再仮停止する。
【0105】
そして、演出制御部90は、図18に示すコマンド受信処理において変動停止コマンドを受信し、図21に示す変動演出終了中処理のステップS2401で変動停止コマンドを解析し、変動演出終了コマンドをセットする(S2402)。変動演出終了コマンドを受信した画像音響制御部95は、(f)に示すように図柄Fを確変図柄「777」で本停止させて、特別演出を含む変動演出を終了する。
・・・略・・・
【0107】
〈図24の例〉
・・・略・・・
【0109】
変動演出開始コマンドを受信した画像音響制御部95は、図24の(a)に示すように、表示画面20aにおいて、図柄Fの変動表示を開始し、所定時間経過後、(b)に示すように、左図柄LF及び右図柄RFを「7」としてリーチ態様を成立させる。次に、画像音響制御部95は、(c)に示すように確変図柄「777」で図柄Fを仮停止し、(d)に示すように、遊技者による演出ボタン46等の操作に応じて図柄Fを壊すような演出を行った後、色も含めて仮停止図柄と同じ確変図柄「777」で図柄Fを再仮停止する。そして、画像音響制御部95は、変動演出終了コマンド受信を契機に、再仮停止していた図柄Fを、そのまま(f)に示すように本停止させて、特別演出を終了するとともに変動演出を終了する。このように、特別演出には、仮停止図柄と本停止図柄とが色も含めて同じになる場合がある。また、仮停止後、(d)に示すように必ずしも再変動とはいえない再抽選演出を行って、本停止する場合がある。」

(エ)「【図23】


【図24】




ウ 本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2009-77857号公報(以下「周知例3」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、図柄表示手段での図柄変動表示において、図柄変動途中の仮停止時の停止図柄が特定態様の場合に、仮停止後の再変動演出を行わない弾球遊技機に関するものである。」

(イ)「【0065】
次に、図柄変動パターンテーブルの「非確率変動型大当り」に関する複数の変動パターンデータの中から、例えば第1非確率変動型大当たりパターンデータが抽選により決定される。このとき、決定された第1非確変型大当たりパターンデータが読み込まれ、3つの図柄が変動時間以内に仮停止するように、例えば、指示された変動時間(約30秒) に基づいて、仮停止までの時間(例えば、20秒)が設定される。また、図柄態様テーブルから確定停止図柄態様と仮停止図柄態様とが抽選により決定される。例えば、仮停止図柄態様が「666」、確定停止図柄態様が「666」に決定される。
【0066】
その後、液晶ディスプレイ15の表示画面において各演出図柄が変動を開始する。この場合、時点T1から3つの図柄(左図柄、中図柄、右図柄)が同時に変動開始される(図17(a))。そして、変動開始から約16秒経過した時点T2のときに左図柄が「6」で仮停止され(図17(b))、約18秒経過した時点T3のときに右図柄が「6」で仮停止され(図17(c))、約20秒経過した時点T4のときに中図柄が「6」で仮停止され、3つの図柄が上下にユラユラと揺動状態で表示される(図17(d))。
【0067】
これら3つの図柄「6、6、6」により非確率変動型の大当りではあるが、この揺れ状態により、再変動演出が行われる。この再変動演出により、この非確率変動型大当りが確率変動型の大当りになるのではないかという期待感を遊技者に持たせる演出が可能になる。そして、変動開始時点T1から約24秒経過した時点T5のときに、遊技者の期待通りに3つの図柄が同期して同時に再変動され(図17(e))、再変動開始から変動時間(約30秒)が経過した時点T6のときに、3つの図柄が「6」で同時に確定停止表示され(図17(f))、非確率変動型大当たりの文字が表示され(図17(g))、遊技者に有利な利益状態の発生が約束されたことを意味する。
・・・略・・・
【0070】
次に、図柄変動パターンテーブルの「確率変動型大当り」に関する複数の変動パターンデータの中から、例えば第1確率変動型大当たりパターンデータが抽選により決定される。このとき、決定されたこの第1確変型大当たりパターンデータが読み込まれ、3つの図柄が変動時間以内に仮停止するように、例えば、指示された変動時間(約30秒) に基づいて、仮停止までの時間(例えば、20秒)が設定される。また、図柄態様テーブルから確定停止図柄態様と仮停止図柄態様とが抽選により決定される。例えば、仮停止図柄態様が「666」、確定停止図柄態様が「777」に決定される。
【0071】
その後、液晶ディスプレイ15の表示画面において各演出図柄が変動を開始する。この場合、時点T1から3つの図柄(左図柄、中図柄、右図柄)が同時に変動開始される(図17(a))。そして、変動開始から約16秒経過した時点T2のときに左図柄が「6」で仮停止され(図17(b))、約18秒経過した時点T3のときに右図柄が「6」で仮停止され(図17(c))、約20秒経過した時点T4のときに中図柄が「6」で仮停止され、3つの図柄が上下にユラユラと揺動状態で表示される(図17(d))。
【0072】
そして、変動開始時点T1から約24秒経過した時点T5のときに、3つの図柄が同期して同時に再変動され(図17(e))、変動開始から変動時間(約30秒)が経過した時点T6のときに、3つの図柄が「7」で同時に確定停止表示され(図17(h))、確率変動型の大当たりの文字が表示され(図17(i)、遊技者に有利な利益状態の発生が約束されたことを意味する。
【0073】
次に、第2の演出制御手段34aにより設定された第3モードによる演出図柄の変動表示の具体例について、図16、図17を参照しながら説明する。尚、第1,2モードによる演出図柄の変動表示で説明した内容と同一の内容については説明を省略する。
・・・略・・・
【0075】
次に、図柄変動パターンテーブルの「確率変動型大当り」に関する複数の変動パターンデータの中から、例えば第1確率変動型大当たりパターンが抽選により決定される。このとき、決定されたこの第1確変型大当たりパターンデータが読み込まれ、3つの図柄が変動時間以内に仮停止するように、例えば、指示された変動時間(約30秒) に基づいて、仮停止までの時間(例えば、20秒)が設定される。また、図柄態様テーブルから確定停止図柄態様と仮停止図柄態様とが抽選により決定される。例えば、仮停止図柄態様が「777」、確定停止図柄態様が「777」に決定される。
【0076】
その後、各演出図柄が変動を開始する。この場合、時点T1から3つの図柄(左図柄、中図柄、右図柄)が同時に変動開始される(図17(a))。そして、変動開始から約16秒経過した時点T2のときに左図柄が「7」で仮停止され(図17(j))、約18秒経過した時点T3のときに右図柄が「7」で仮停止され(図17(k))、約20秒経過した時点T4のときに中図柄が「7」で仮停止され、3つの図柄が上下にユラユラと揺動状態で表示される(図17(l))。
【0077】
そして、変動開始時点T1から約24秒経過した時点T5のときに、大当り遊技用演出パターン選択画面が表示される(図17(m))。この選択画面には、例えば、複数の大当り遊技用演出パターン1?3が表示され、遊技者は演出選択ボタン11と演出決定ボタン12を押下して、複数の大当り遊技用演出パターン1?3の中から所望の演出パターンを選択し決定する。変動開始から変動時間(約30秒)が経過した時点T6のときに、3つの図柄が「7」で同時に確定停止表示され(図17(n))、確率変動型の大当たりの文字が表示され(図17(o))、遊技者に有利な利益状態の発生が約束されたことを意味する。」

(ウ)「【図17】




エ 周知例1ないし3から把握される周知技術
上記アないしウからみて、
「装飾図柄が仮停止表示を経て本停止表示する変動演出を実行可能なパチンコ遊技機において、
ゾロ目態様で仮停止表示され、その後、再抽選演出等の演出が行われた後、前記ゾロ目態様又は別のゾロ目態様で本停止表示するものであり、前記ゾロ目態様は有利度が互いに異なるいずれのゾロ目態様も含む、パチンコ遊技機。」(以下「周知技術」という。)は周知であったと認められる。

(4)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出し(a)ないし(g)は、本願補正発明の特定事項AないしGに概ね対応する。

(a)(g)引用発明の「第1又は第2始動条件」、「第1?第3装飾図柄」、「大当たりを示す組み合わせ(例えば「7・7・7」といった所謂ゾロ目)」、「大当たり遊技状態」、「遊技機100」は、それぞれ本願補正発明の「始動条件」、「複数列の図柄」、「特別表示結果」、「遊技者に有利な特別遊技」、「遊技機」に相当する。
引用発明のaは、遊技機100(遊技機)が、第1又は第2始動条件(始動条件)が成立すると、画像表示部104上で第1?第3装飾図柄(複数列の図柄)を変動表示させ、大当たりを示す組み合わせ(例えば「7・7・7」といった所謂ゾロ目)(特別表示結果)で第1?第3装飾図柄を停止表示すると、大当たり遊技状態(遊技者に有利な特別遊技)となるものである。そうすると、引用発明のaは、本願補正発明の「始動条件の成立に基づいて複数列の図柄の変動表示を行い、前記変動表示の結果が予め定められた特別表示結果になると遊技者に有利な特別遊技を実行することが可能な遊技機」に相当する。
してみると、引用発明のa、gは、それぞれ本願補正発明の特定事項A、Gに相当する。

(b)引用発明の「停止表示」は、本願補正発明の「確定停止表示」に相当する。
また、引用発明において、第1?第3装飾図柄の変動表示中は、仮停止表示に比べて、視認し難い態様であることは自明である。
そうすると、引用発明の「遊技機100」は、そのbより、本願補正発明の「B 前記図柄を視認し難い態様で変動表示させた後に、図柄を視認し易い態様で仮停止表示させてから、前記変動表示の結果を示す図柄を確定停止表示させる変動演出を実行可能な表示制御手段」を備えることは明らかである。

(c)(d)引用発明の「非ゾロ目の態様」は、本願補正発明の「非特別表示態様」に相当する。また、引用発明の「復活煽り演出」 は、第1?第3装飾図柄の仮停止表示と停止表示(確定停止表示)との間に行われることから、復活が成功するか否かはともかく、停止表示(確定停止表示)に移行することを示唆するものとなっていることが明らかであるから、本願補正発明の「前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出」に相当する。
また、引用発明のd-fは、複数の変動表示パターンのうち、変動演出パターンHEp_a16又はHEp_a26で、第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様(非特別表示態様)にて仮停止表示され、その後、復活煽り演出(停止示唆演出)が行なわれた後、すなわち実行された後、第1?第3装飾図柄が非ゾロ目又はゾロ目の態様にて停止表示(確定停止表示)されるものであるのに対し、変動演出パターンHEp_a16又はHEp_a26以外の変動演出パターンで、復活煽り演出(停止示唆演出)が実行されない場合もあり得るものである。そうすると、引用発明のd-fは、本願補正発明の「非特別表示態様の図柄を仮停止表示したときに、」「停止示唆演出を実行可能であり、」に相当する構成を備える。
そして、上記(b)で述べたように、引用発明が備える「表示制御手段」は、仮停止表示させてから停止表示(確定表示)させるのであるから、復活煽り演出(停止示唆演出)も同様に「表示制御手段」が実行可能であることは明らかである。
そうすると、引用発明のd-fと、本願補正発明の特定事項C及びDの「前記表示制御手段は、1の変動演出において、前記特別表示結果となることを示す図柄の組み合わせが何れであっても、前記図柄を仮停止表示した後に、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であり、1の変動演出において、非特別表示態様の図柄を仮停止表示したときに、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であり、」とは、「前記表示制御手段は、1の変動演出において、非特別表示態様の図柄を仮停止表示したときに、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であり、」で一致する。

(e)引用発明のd-fは、第1?第3装飾図柄が非ゾロ目の態様(非特別表示態様)にて仮停止表示され、該仮停止表示がリーチハズレ示唆演出に含まれ、リーチハズレ示唆演出の後、復活煽り演出(停止示唆演出)が行なわれるものである。
前記リーチハズレ示唆演出が実行されているということは、リーチ演出の実行を経ていることは自明であり、該リーチ演出は、本願補正発明の「特別演出」に相当する。そして、引用発明の復活煽り演出(停止示唆演出)は、リーチハズレ示唆演出が実行されているとき、すなわち、リーチ演出(特別演出)が実行されたときに実行され、リーチハズレ示唆演出が実行されないとき、すなわち、リーチ演出(特別演出)が実行されないときには実行されないものである。言い換えれば、リーチ演出(特別演出)が実行されない場合よりも、前記リーチ演出(特別演出)が実行される場合の方が、復活煽り演出(停止示唆演出)を実行し易いものである。
そうすると、引用発明のd-fは、本願補正発明の特定事項Eを備える。

(f)引用発明の復活煽り演出(停止示唆演出)は、リーチハズレ示唆演出が実行されているとき、すなわち、リーチハズレ図柄(第2図柄組み合わせ)で仮停止表示されたときに実行され、リーチハズレ示唆演出が実行されないとき、すなわち、非リーチハズレ図柄(第1図柄組み合わせ)で仮停止表示されたときには実行されないものである。言い換えれば、非リーチハズレ図柄(第1図柄組み合わせ)にて表示される場合よりも、リーチハズレ図柄(第2図柄組み合わせ)にて表示される場合の方が、復活煽り演出(停止示唆演出)を実行し易いものである。
そうすると、引用発明のd-fは、本願補正発明の特定事項Fを備える。

以上のとおりであるから、本願補正発明と引用発明とは、
「A 始動条件の成立に基づいて複数列の図柄の変動表示を行い、前記変動表示の結果が予め定められた特別表示結果になると遊技者に有利な特別遊技を実行することが可能な遊技機において、
B 前記図柄を視認し難い態様で変動表示させた後に、図柄を視認し易い態様で仮停止表示させてから、前記変動表示の結果を示す図柄を確定停止表示させる変動演出を実行可能な表示制御手段を備え、
C’、D 前記表示制御手段は、
1の変動演出において、非特別表示態様の図柄を仮停止表示したときに、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であり、
E 前記1の変動演出において、
前記特別遊技の期待度が高い特別演出が実行されない場合よりも、前記特別演出が実行される場合の方が、前記停止示唆演出を実行し易く、
F 前記非特別表示態様で図柄を表示する場合に、第1図柄組み合わせにて表示される場合よりも、前記第1図柄組み合わせとは異なる第2図柄組み合わせにて表示される場合の方が、前記停止示唆演出を実行し易い
G 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点(特定事項C)
「1の変動演出において、」「停止示唆演出を実行可能」とする「仮停止表示」が、
本願補正発明では、「前記特別表示結果となることを示す図柄の組み合わせが何れであっても」よいことを含むのに対し、
引用発明では、非ゾロ目の態様(非特別表示態様)のみであり、ゾロ目の態様(特別表示結果)を含まない点。

(5)上記相違点について検討する。
ア 上記(3)エで示した周知技術は、装飾図柄が仮停止表示を経て本停止表示する変動演出を実行可能なパチンコ遊技機において、ゾロ目態様で仮停止表示され、その後、再抽選演出等の演出が行われた後、前記ゾロ目態様又は別のゾロ目態様で本停止表示するものであり、前記ゾロ目態様はいずれのゾロ目態様も含む、というものである。
そして、周知技術の「ゾロ目態様」、「再抽選演出等の演出」は、それぞれ本願補正発明の「特別表示結果」、「停止示唆演出」に相当するものであり、周知技術は、いずれのゾロ目態様(特別表示結果)でも仮停止表示され、その後、ゾロ目態様(特別表示結果)で本停止表示するものであるから、本願補正発明の特定事項Cに相当するものである。

イ 引用発明と周知技術とは、装飾図柄が仮停止表示を経て本停止表示する変動演出を実行可能なパチンコ遊技機で技術分野が共通し、引用発明の復活煽り演出と周知技術の再抽選演出とは、特別遊技の示唆に関連する演出を通じて遊技の興趣向上に寄与する遊技機を提供するという課題でも共通することが明らかであるから、引用発明と周知技術に接した当業者であれば、引用発明において、周知技術を適用し、ゾロ目の態様で仮停止表示した後に、再抽選演出等の演出(停止示唆演出)を実行可能とし、その後本停止表示するようになすことは、容易に想到し得たものである。

ウ 以上のとおりであるから、引用発明において、上記相違点に係る本願補正発明の特定事項となすことは当業者が周知技術に基づいて適宜なし得たことである。

(6)本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術の奏する効果から予測することができた程度のものである。

(7)請求人の主張について
ア 審判請求書について
(ア)請求人は、審判請求書の「[3]本発明が特許されるべき理由」の「(3-5)本発明と引用文献との対比について」において、概ね以下のとおり主張している。
「(1)本発明の特徴について
本発明の遊技機は、
構成(C-1)に示す
1の変動演出において、特別表示結果となることを示す図柄の組み合わせが何れであっても、前記図柄を仮停止表示した後、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であることを第1の特徴的技術構成とし、
・・・略・・・
(4)引用文献1について
引用文献1の「復活煽り演出」は、1の変動演出において、非ゾロ目(ハズレ)の態様の装飾図柄が確定停止表示される場合でも、ゾロ目(大当り)の態様の装飾図柄が確定停止表示される場合でも実行されます。
しかし、「復活煽り演出」は、1の変動演出において、非ゾロ目(ハズレ)の態様の装飾図柄が仮停止表示されたときには実行されますが、ゾロ目(大当り)の態様の装飾図柄が仮停止表示されたときにはそれ以降実行されません。
そもそも、復活煽り演出は、大当たりの可能性が残存していることを示唆する演出であるから、ゾロ目(大当り)の態様の装飾図柄を仮停止表示された時点で大当たりであることが報知されるので、実行されることはあり得ません。
このように、引用文献1の復活煽り演出と本発明の停止示唆演出とは全く異なる演出でありますので、引用文献1には、本発明の第1の特徴的技術構成(C-1)について開示示唆されておりません。」

(イ)しかしながら、上記(5)で示したとおり、ゾロ目(大当り)の態様の装飾図柄を仮停止表示し、その後、再抽選演出等の演出(停止示唆演出)を実行した後、本停止表示すること、すなわち、本願補正発明の特定事項C(本発明の第1の特徴的技術構成(C-1))は周知技術といえ、該周知技術を引用発明(引用文献1に記載された発明)に適用して本願補正発明(本発明)のようになすことは当業者が容易に想到し得たものであるから、上記主張は採用できない。

イ 上申書について
(ア)請求人は、上申書の【上申の内容】において、概ね以下のとおり主張している。
「4.・・・その一方で、「所定演出」を「停止示唆演出」に限定することにより、「仮停止表示→復活演出、昇格演出→『仮停止表示→停止示唆演出→確定停止表示』」となり、「復活演出」及び「昇格演出」が排除されて、仮停止表示の内容と確定停止表示の内容とが変化しないことが明確になります。
・・・略・・・
更に、本発明では、「停止示唆演出」を特定するために、「1の変動演出において、前記特別表示結果となることを示す図柄の組み合わせが何れであっても、前記図柄を仮停止表示した後に、」、「1の変動演出において、前記特別表示結果とならない非特別表示態様で図柄を仮停止表示したときに、」の必要な事項を限定しており、発明の内容を限定的に理解することができます。
上記の限定事項により、「偶数揃いの大当たり図柄(或いは奇数揃いの大当たり図柄)が仮停止表示→停止示唆演出→偶数揃いの大当たり図柄(或いは奇数揃いの大当たり図柄)が確定停止表示」、「ハズレ図柄が仮停止表示→停止示唆演出→ハズレ図柄が確定停止表示」、となり、「復活演出」及び「昇格演出」が排除されて、仮停止表示の内容と確定停止表示の内容とが変化しないことがより明確になります。
5.理由2(請求の趣旨)において、「補正の却下の決定に対する不服申し立て」については、今般提出した手続補正書による特許請求の範囲での特許を求める予備的主張であります。誤解を与えるような見出しを記載してしまい申し訳ございません。
6.理由2において、当該意見書において、「本発明の効果」を説明していることに照らせば、復活演出、昇格演出を考慮外と理解することは極めて困難である、と報告されております。
当該意見書での「本発明の効果」は、「所定演出(停止示唆演出)が行われるまで」の効果を記載し、所定演出が行わることによる効果ではありません。
所定演出(停止示唆演出)が行われると仮停止表示された図柄が確定停止表示されるために復活演出や昇格演出が行われないので、所定演出(停止示唆演出)が行われることによって復活大当たりになることや確変大当たりに昇格することを期待させるということを意図した記載ではありません。
また、上記のような誤解を解くために、審判請求書における「本発明の効果」において、「停止示唆演出」が行われることによる効果を記載しております。」

(イ)上記(ア)の主張について検討すると、「所定演出」を「停止示唆演出」に限定して明確とした点(上記4.及び6.)については、特許請求の範囲の記載の文言のとおり、「停止示唆演出」を「前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する」ものと理解して、本願補正発明を認定した。また、「補正の却下の決定に対する不服申し立て」の点(上記5.)については、請求人が上申書で主張するとおり、主位的主張でないと解して判断した。仮に「補正の却下の決定に対する不服申し立て」の内容について検討したとしても結論に影響しない。

(8)まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が、引用発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願に請求項1に係る発明は、令和1年11月6日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2〔理由〕1(1)にも本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、この出願の令和1年11月6日提出の手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、というものを含むものである。

引用文献1.特開2016-209268号公報

3 引用例
引用例(引用文献1)及び引用発明は、上記第2〔理由〕3(2)アないしクに記載したとおりである。

4 対比
本願発明(上記第2〔理由〕1(1))は、本願補正発明(上記第2〔理由〕3(1))において、「停止示唆演出」を「所定演出」に上位概念化するとともに、「C 前記表示制御手段は、1の変動演出において、前記特別表示結果となることを示す図柄の組み合わせが何れであっても、前記図柄を仮停止表示した後に、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であり、D 1の変動演出において、非特別表示態様の図柄を仮停止表示したときに、前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する停止示唆演出を実行可能であり、」の代わりに、「C”前記表示制御手段は、1の変動演出において、前記特別表示結果となる特別表示態様で図柄を表示する場合でも、前記特別表示結果とならない非特別表示態様で図柄を表示する場合でも、前記仮停止表示のときに前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する所定演出を実行可能であり、」との特定事項(以下「特定事項C”」という。)を有するものである。
引用発明と本願発明とを対比すると、上記第2〔理由〕3(4)のとおり、引用発明は、本願発明の特定事項A、B、EないしG(本願補正発明の特定事項A、B、EないしGと「停止示唆演出」を「所定演出」に読み替える点以外は同じ。)を備える。
本願発明の特定事項C”について検討すると、該特定事項C”は、「停止示唆演出」を上位概念化した「所定演出」が、「前記特別表示結果となることを示す図柄の組み合わせが何れであっても、前記図柄を仮停止表示した後に」に実行される場合と、「非特別表示態様の図柄を仮停止表示したとき」に実行される場合とがあることの限定、すなわち、仮停止表示する図柄の限定を省いたものである。要するに、本願発明は、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項を含む事項を削除したものである。
そうすると、引用発明は、本願発明の「C”前記表示制御手段は、1の変動演出において、前記特別表示結果となる特別表示態様で図柄を表示する場合でも、前記特別表示結果とならない非特別表示態様で図柄を表示する場合でも、前記仮停止表示のときに前記仮停止表示から前記確定停止表示に移行することを示唆する所定演出を実行可能であり、」との特定事項を備える。
してみると、本願発明と引用発明とは、相違するところがなく、本願発明は引用発明と同一である。
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明である。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-12-09 
結審通知日 2020-12-10 
審決日 2020-12-22 
出願番号 特願2017-178689(P2017-178689)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮川 数正柴田 和雄  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 蔵野 いづみ
鉄 豊郎
発明の名称 遊技機  
代理人 岡村 俊雄  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ