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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1371301
審判番号 不服2020-2582  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-26 
確定日 2021-03-09 
事件の表示 特願2016-517039「多次元トラックパッド」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月 4日国際公開、WO2014/194192、平成28年 9月 8日国内公表、特表2016-527600、請求項の数(27)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)5月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年(平成25年)5月30日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 6月19日付け 拒絶理由(以下、「最初の拒絶理由」
という。)通知書
平成30年10月17日 意見書、手続補正書の提出
平成31年 2月25日付け 拒絶理由(最後)通知書
令和 元年 7月11日 意見書、手続補正書の提出
令和 元年 10月21日付け 令和元年7月11日の手続補正につい
ての補正の却下の決定(以下、「補正
却下」という。)、拒絶査定
令和 2年 2月26日 審判請求書、手続補正書の提出
令和 2年 3月27日 手続補正書の提出
令和 2年 5月15日付け 拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」と
いう。)通知書
令和 2年 9月 9日 意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和元年10月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

平成30年10月17日付け手続補正書でした補正は、外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

1 この出願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
2 この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
3 この出願の請求項1-13、16、17、20-30に係る発明は、以下の引用文献1-6に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特表2007-535019号公報
2.特開2011-8775号公報
3.特開2013-98826号公報
4.特開2013-105192号公報
5.特開2011-54196号公報
6.特開2000-71809号公報

第4 本願発明
本願請求項1-27に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明27」という。)は、令和2年9月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-27に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-27は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
運転者が周囲に視覚的に集中している間に触覚又は可聴フィードバックの少なくとも1つを提供するトラックパッドのフィードバック生成器によってトラックパッドを使用する、気を散らされる環境における自動車の運転者によって自動車システムを制御する方法であって、
ある幅及びある長さを有するように配列された力センサのアレイの上に位置付けられたタッチインターフェースによって、タッチ力を受信することと、
前記タッチ力の少なくとも一部を、前記タッチインターフェースを通して前記力センサのアレイの1つ以上の力センサに伝えることと、
前記力センサのアレイの前記1つ以上の力センサによって、前記力センサのアレイと通信しているプロセッサに力情報を伝送することと、
前記プロセッサによって、前記力情報から、前記ある幅及びある長さに沿う力の位置ならびに対応する力の大きさを決定することと、
前記プロセッサによって、複数のシステムから前記プロセッサによって選択されたシステムに制御メッセージを送信することと、ここにおいて、前記システムは、各閾値毎に異なるシステムに相関する複数の閾値のうちの1つを超える前記対応する力の大きさに応じて前記プロセッサによって前記複数のシステムから選択され、前記制御メッセージは、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置、前記対応する力の大きさが前記力の位置で前記トラックパッドに加えられる時間、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化率、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化の方向、前記トラックパッド上の第1のタッチ点から第2のタッチ点までの長さ、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される長さまたは距離、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される方向、前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化、又は前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化率のうちの1つ以上に応じて前記プロセッサによって選択され、
前記トラックパッドのフィードバック生成器によって、触覚フィードバックまたは可聴フィードバックのうちの少なくとも1つを提供することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記フィードバック生成器によって、触覚フィードバックまたは可聴フィードバックのうちの少なくとも1つを提供することが、前記フィードバック生成器が、前記力の位置及び前記力の大きさのうちの少なくとも1つに比例する触覚フィードバックまたは可聴フィードバックを提供することを含む、請求項1に記載の前記方法。
【請求項3】
前記フィードバック生成器によって触覚フィードバックまたは可聴フィードバックのうちの前記少なくとも1つを提供することが、触覚フィードバックまたは可聴フィードバックのうちの前記少なくとも1つを生成するハプティック生成器によって前記触覚フィードバックまたは可聴フィードバックを提供することを含む、請求項1又は2に記載の前記方法。
【請求項4】
前記ハプティック生成器が、コンレスコイル及び磁石アセンブリである、請求項3に記載の前記方法。
【請求項5】
前記制御メッセージを前記複数のシステムから選択された前記システムに送信することは、前記プロセッサが複数の制御メッセージから前記制御メッセージを選択することを更に含む、請求項1?4のいずれかに記載の前記方法。
【請求項6】
前記制御メッセージが、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置に少なくとも部分的に応じて前記複数の制御メッセージから選択される、請求項5に記載の前記方法。
【請求項7】
前記複数の閾値が2つの閾値を有し、前記システムが、前記閾値のうちの1つ以上を超える前記力の大きさに応じて前記複数のシステムから選択される、請求項5又は6に記載の前記方法。
【請求項8】
前記フィードバック生成器が、前記制御メッセージが前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置に少なくとも部分的に応じて前記複数の制御メッセージから選択されるときに可聴のカチカチ音を提供するように、ならびに前記力の大きさに応じてなされた各選択について前記触覚フィードバックを提供するように、構成される、請求項5?7のいずれかに記載の前記方法。
【請求項9】
前記プロセッサによって前記制御メッセージを前記システムに送信することにおいて、複数の閾値のうちの1つを超える前記力の大きさに応じて前記制御メッセージが選択される、請求項1?8のいずれかに記載の前記方法。
【請求項10】
異なる制御メッセージが、各閾値について選択される、請求項9に記載の前記方法。
【請求項11】
ある幅及びある長さを有するように配列された前記力センサのアレイの上に位置付けられた前記タッチインターフェースによって、前記タッチ力を受信することが、MEMSセンサのアレイの上に位置付けられた前記タッチインターフェースによって、前記タッチ力を受信することを含む、請求項1?10のいずれかに記載の前記方法。
【請求項12】
前記MEMSセンサが、ピエゾ抵抗センサを含む、請求項11に記載の前記方法。
【請求項13】
前記フィードバック生成器は、前記トラックパッドの基部と統合されている、請求項12に記載の前記方法。
【請求項14】
運転者が周囲に視覚的に集中している間に触覚又は可聴フィードバックの少なくとも1つを提供するトラックパッドのフィードバック生成器によってトラックパッドを使用する、気を散らされる環境における自動車の運転者によって自動車システムを選択し、制御するためのトラックパッドシステムであって、
ある幅及びある長さを有するように配列された力センサの2次元アレイと、
前記アレイの上に位置付けられたタッチインターフェースであって、タッチ力を前記力センサのアレイの1つ以上の力センサに通して伝える、前記タッチインターフェースと、
メモリと通信しているプロセッサであって、前記プロセッサが、前記メモリ上に記憶されたコンピュータ可読命令を実行し、前記命令が、前記プロセッサに、
前記力センサのアレイから力情報を受信させ、
前記ある幅及びある長さに沿う力の位置ならびに対応する力の大きさを決定させ、
複数のシステムから前記プロセッサによって選択されたシステムに制御メッセージを送信させ、ここにおいて、前記システムは、各閾値毎に異なるシステムに相関する複数の閾値のうちの1つを超える前記対応する力の大きさに応じて前記プロセッサによって前記複数のシステムから選択され、前記制御メッセージは、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置、前記対応する力の大きさが前記力の位置で前記トラックパッドに加えられる時間、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化率、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化の方向、前記トラックパッド上の第1のタッチ点から第2のタッチ点までの長さ、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される長さまたは距離、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される方向、前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化、又は前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化率のうちの1つ以上に応じて前記プロセッサによって選択される、前記プロセッサと、
触覚フィードバックまたは可聴フィードバックのうちの少なくとも1つを生成するフィードバック生成器と、
を備える、トラックパッド。
【請求項15】
前記触覚フィードバックまたは可聴フィードバックが、前記力の位置及び前記力の大きさのうちの少なくとも1つに比例する、請求項14に記載の前記トラックパッドシステム。
【請求項16】
前記力センサがMEMSセンサである、請求項14又は15のトラックパッドシステム。
【請求項17】
前記MEMSセンサが、ピエゾ抵抗センサを含む、請求項16に記載の前記トラックパッドシステム。
【請求項18】
前記フィードバック生成器が、前記トラックパッドの基部と統合されている、請求項17に記載の前記トラックパッドシステム。
【請求項19】
前記フィードバック生成器が、前記触覚フィードバック及び可聴フィードバックを生成するために使用されるハプティック生成器である、請求項14?18のいずれかに記載の前記トラックパッドシステム。
【請求項20】
前記ハプティック生成器が、コンレスコイル及び磁石アセンブリである、請求項19に記載の前記トラックパッドシステム。
【請求項21】
前記制御メッセージが、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置に少なくとも部分的に応じて、前記複数の制御メッセージから選択される、請求項14に記載の前記トラックパッドシステム。
【請求項22】
前記複数の閾値が3つの閾値を有し、前記システムが、前記3つの閾値のうちの1つ以上を超える前記力の大きさに応じて、前記複数のシステムから選択される、請求項21に記載の前記トラックパッドシステム。
【請求項23】
前記力の閾値が、1Nまたは1オンス刻みである、請求項22に記載の前記トラックパッドシステム。
【請求項24】
前記フィードバック生成器が、前記制御メッセージが前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置に少なくとも部分的に応じて前記複数の制御メッセージから選択されるときに可聴のカチカチ音を提供するように、ならびに前記力の大きさに応じてなされた各選択について前記触覚フィードバックを提供するように、構成される、請求項14に記載の前記トラックパッドシステム。
【請求項25】
前記ある幅またはある長さが、8mm以上である、請求項14?24のいずれかに記載の前記トラックパッドシステム。
【請求項26】
0.5mm以下の厚さを有する、請求項14?25のいずれかに記載の前記トラックパッドシステム。
【請求項27】
運転者が周囲に視覚的に集中している間に触覚又は可聴フィードバックの少なくとも1つを提供するトラックパッドのフィードバック生成器によってトラックパッドを使用する、気を散らされる環境における車両の運転者による車両システムを選択し、制御するためのトラックパッドシステムであって、
車両のステアリング機構に統合されるトラックパッドシステムであって、
ある幅及びある長さを有するように配列された力センサの2次元アレイであって、車両のステアリング機構に埋め込まれた、前記力センサの2次元アレイと、
前記アレイの上に位置付けられたタッチインターフェースであって、タッチ力を前記力センサのアレイの1つ以上の力センサに通して伝える、前記タッチインターフェースと、
フィードバック生成器と、
メモリと通信しているプロセッサであって、前記プロセッサが、前記メモリ上に記憶されたコンピュータ可読命令を実行し、前記命令が、前記プロセッサに、
前記力センサのアレイから力情報を受信させ、
前記ある幅及びある長さに沿う力の位置ならびに対応する力の大きさを決定させ、
複数の制御メッセージから選択される制御メッセージを、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置ならびに前記対応する力の大きさのうちの1つ以上に応じて複数のシステムから選択されるシステムに送信させ、
複数のシステムから前記プロセッサによって選択されたシステムに制御メッセージを送信させ、ここにおいて、前記システムは、各閾値毎に異なるシステムに相関する複数の閾値のうちの1つを超える前記対応する力の大きさに応じて前記プロセッサによって前記複数のシステムから選択され、前記制御メッセージは、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置、前記対応する力の大きさが前記力の位置で前記トラックパッドに加えられる時間、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化率、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化の方向、前記トラックパッド上の第1のタッチ点から第2のタッチ点までの長さ、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される長さまたは距離、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される方向、前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化、又は前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化率のうちの1つ以上に応じて前記プロセッサによって複数の制御メッセージから選択され、
前記フィードバック生成器を用いて、触覚フィードバックまたは可聴フィードバックのうちの少なくとも1つを生成させる、前記プロセッサと、
を備える、前記トラックパッドシステム。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
フランクフルトで開催された国際モーターショー(Internationale Automobilausstellung)2003で、シーメンス社は、車両のセンタコンソールに装備された次のようなタッチパッドを披露した。すなわち、運転者の手書きを識別し、車両のマルチメディアシステムに対する命令に変換するタッチパッドを披露した。このシステムは、丸形のタッチパッドを、触覚によるフィードバックボタンの表面に統合している。」

「【0003】
本発明の課題は、タッチパッドのよりフレキシブルな配置を実現することである。
【0004】
前記課題は、独立請求項に記載された発明によって解決される。有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0005】
それによれば、装置は回動可能に支承されたタッチパッドと、基準系に対してタッチパッドの回転角度を測定するための手段と、測定された回転角度を考慮してタッチパッドへの入力を識別するための手段とを有する。
【0006】
このような構成により、ステアリングの切り込み時に誤った信号が供給されず、ひいては入力の識別が失敗することなく、タッチパッドを車両のステアリングホイール上に配置することができる。ステアリングホイール上の書き位置は運転者によって、どのような場合でも容易に到達することができる。
【0007】
タッチパッドとステアリングホイール位置とを機械的に分離し、かつステアリングホイールの中央部で中心の位置決定を行うのと比較して、ここで提案される解決手段は低コストであり、かつ衝突保護およびエアバッグに関して安全技術上良好である。
【0008】
タッチパッドはステアリングホイール上に配置され、回動可能に支承される。
【0009】
とりわけタッチパッドは、エアバッグ上方に配置されたステアリングホイールの衝撃吸収ポットに配置される。
【0010】
有利にはタッチパッドは、操舵軸の仮想的な延長軸によって貫通されるように、ステアリングホイール上に配置される。
【0011】
タッチパッド、すなわち特にタッチパッドの接触感知面は、有利には円形である。ここではタッチパッドの中心点、すなわち特に円の中心点は、少なくともおおよそ、タッチパッドが回転する際の中心となる軸上にあり、タッチパッド面の面法線は少なくとも、この軸に対してほぼ平行である。」

「【0013】
タッチパッドを介して、マルチメディアセンタおよび/またはナビゲーションシステムの命令、場所の名前、道路の名前および/またはステレオ設備を制御するための名前を入力することができるように構成される。
【0014】
タッチパッドは、触覚的な出力および/またはフィードバックを出力するための手段を有することができる。
【0015】
択一的または補足的に、タッチパッドはタッチスクリーンとして構成され、光学的な表示を出力するための表示手段を有する。光学的な表示は、とりわけ光学的なフィードバックであるかまたは光学的なフィードバックを含み、たとえばユーザの指がタッチパッド上を移動した入力経路である。特に有利には光学的な表示は、測定された回転角度を考慮して出力されることにより、たとえばタッチパッド上の表示はタッチパッドの回転時にも静止するように行われる。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「運転者によって、どのような場合でも容易に到達できるように、車両のステアリングホイール上に配置され、
タッチパッドを介して、マルチメディアセンタおよび/またはナビゲーションシステムの命令、場所の名前、道路の名前および/またはステレオ設備を制御するための名前を入力することができるように構成され、
触覚的な出力およびフィードバックを出力するための手段を有し、接触感知面を有した丸形のタッチパットであって、
タッチパッドはタッチスクリーンとして構成され、光学的な表示を出力するための表示手段を有し、
ユーザの指がタッチパッド上を移動した入力経路を光学的なフィードバックとして表示する、
タッチパッドを使用した運転者によって自動車システムを制御する方法。」


2 引用文献2について
当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明はタッチセンサと表示部とを有するタッチパネルに関する。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一態様は、表示部と一体形成できるタッチセンサを提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、表示部に表示される画像の画質の劣化を起こさないタッチセンサを提供することを課題とする。」

「【0017】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様のタッチパネルの構造について図1(A)、図1(B)及び図2を用いて説明する。
【0018】
タッチセンサは、上部電極と下部電極との接触又は距離の変化などによってデータが入力される装置である。本発明の一態様は、タッチセンサとしてMEMS(Micro Electro Mechanical System)を用いる。
【0019】
MEMSは、微小電気機械システムの略称であり、単にマイクロマシンと呼ばれることもある。マイクロマシンとは、一般的には、半導体微細加工技術を用いて作製した「立体構造を有し、可動する微小構造体」と「半導体素子を有する電子回路」とを集積した微細デバイスを指す。上記の微小構造体は半導体素子とは異なり、可動部を有することが一般的である。
【0020】
上記の微小構造体は構造層と中空部とを有し、構造層は可動部を有する。構造層の可動部が動作するため、上記の微小構造体には十分な機械的な強度が必要とされる。従来の微小構造体は、可動部の動作領域を確保するために、中空部を有する。中空部の形成は、まず中空部となる箇所に犠牲層を形成し、構造層等を形成後にこの犠牲層をエッチング等により除去することで行う。例えば、構造層の可動部が基板表面と垂直な方向に動作する微小構造体では、微小構造体の下部を形成し、この微小構造体の下部上に犠牲層を形成し、この犠牲層上に微小構造体の上部を形成し、微小構造体の上部形成後に犠牲層をエッチング等により除去する。このようにして、中空部を有する微小構造体を形成している。
【0021】
しかし、上記のように犠牲層を用いて中空部を形成すると、作製工程中に微小構造体の上部電極と微小構造体の下部電極とが強く接触すること等で破損し、又は破壊されやすくなるといった問題がある。また、上部電極と下部電極との間にスティッキングを生じることで、正常な動作ができなくなるといった問題があった。ここで、スティッキングとは、微小構造体の可動部の動作によって、上部電極と下部電極とが強く接触して離れることができない状態となる現象をいう。
【0022】
更には、犠牲層を用いて中空部を形成する場合には、犠牲層が完全にエッチングされず、エッチング残りが生じることも問題となっていた。または、作製された微小構造体の上部が動作することで、微小構造体が破損し、又は破壊されることがある。これは中空部の高さが高い場合又は構造層の靭性が十分でない場合に特に顕著である。更には、中空部を設けることで、その中空部を有する構造体が反り等により変形してしまい、所望の構造が得られないという問題がある。
【0023】
そこで、本発明の一態様で用いる微小構造体(MEMS)は、相対する一対の電極が空間により隔離され、可動する構造体に少なくとも一方の電極が設けられている微小構造体において、該空間に絶縁材料が充填された構成を有する。該絶縁材料は、可動部が動作する際に該絶縁材料により形成された充填材料層が変形できるよう空孔を有する材料を用いる。好ましくは、形成後に所定の処理(熱、薬液処理等)を行うことにより、軟化又は硬化する材料を用いる。
【0024】
図1(A)及び図1(B)は本発明の一態様のタッチパネルを模式的に示した断面図である。
【0025】
基板100上に下地膜101及び薄膜トランジスタ102が形成されている。薄膜トランジスタ102は、例えばゲート電極103、ゲート絶縁膜104、第1の半導体層105、第2の半導体層(半導体層106及び半導体層107)、導電層108、導電層109で構成される。図1(A)及び図1(B)では、導電層108及び導電層109と同材料でタッチセンサの下部電極110が形成されている。下部電極110は、薄膜トランジスタ102を構成する材料のうちいずれか一つを用いて形成すればよく、上記材料に限定されない。
【0026】
薄膜トランジスタ102を覆うように絶縁層111が形成されている。タッチセンサの下部電極110上には充填層112が形成されている。EL素子の第1の電極113と導電層108とを電気的に接続する配線114が形成されている。第1の電極113と同材料でタッチセンサの上部電極115が形成されている。なお、充填層112は変形可能な多孔質材料や弾性を有する絶縁性材料を用いることができる。また、第1の電極113と配線114とは同材料を用いて同時に形成することも可能である。
【0027】
図1(A)に示すように、充填層112は上部に膨らみを有していてもよい。また、図1(B)に示すように、充填層112の上部が平坦であってもよい。
【0028】
さらに、第1の電極113の端部及び上部電極115を覆い、且つ、上部電極115に達する開口を有する隔壁116が形成されている。前記開口にはスペーサ117が形成されている。スペーサ117は、上部電極115を介して下部電極110及び充填層112と重なる位置に設けられている。第1の電極113に接してEL層118が形成され、EL層118及び隔壁116上に第2の電極119が形成されている。
【0029】
ここで、充填層112、隔壁116、及びスペーサ117に用いる材料のうち、スペーサ117に用いる材料が最も硬い材料であり、充填層112に用いる材料が最も柔らかい材料である。硬さ及び柔らかさを示すものとして、弾性率などがあげられる。弾性率は変形しにくさを表す物性値である。弾性率で硬さ及び柔らかさを表す場合には、スペーサ117に用いる材料の弾性率は隔壁116に用いる材料の弾性率よりも高く、隔壁116に用いる材料の弾性率は充填層112に用いる材料の弾性率よりも高いといえる。
【0030】
続いて封止を行う。例えば、薄膜トランジスタ102等が形成された素子基板120の端部にシール材(図示しない)を設け、シール材によって素子基板120と封止基板121とを貼り合わせることによって封止する。図1(A)及び図1(B)に示すタッチパネルは、素子基板120、封止基板121、及びシール材で囲まれた空間122に面して発光素子が備えられた構造になっている。空間122には、不活性気体(例えば窒素やアルゴン等)が充填される。また、不活性気体の代わりにシール材を充填してもよい。
【0031】
次に、タッチパネルに指が接触した時の様子を図2に示す。
【0032】
図2のように、封止基板121の表面を指123で触れると、封止基板121が撓む。このとき、隔壁116の上部が押されて凹むが、隔壁116に用いる材料よりも硬い(弾性率が高い)スペーサ117が下に押し下げられる。スペーサ117の下層に設けられた充填層112は、スペーサ117よりも柔らかい(弾性率が低い)ため、スペーサ117は変形することなく下に押し下げられる。スペーサ117が下に押し下げられることによって、タッチセンサの上部電極115の位置が下に下がるので、タッチセンサの下部電極110と上部電極115とが接触する、もしくは下部電極110と上部電極115との距離に変化が生じる。これにより、データを入力することができる。
【0033】
本発明の一態様によれば、タッチセンサが発光素子と並置されているため、発光素子の上若しくは下にタッチセンサが設けられた場合と比べて、画質劣化の少ない、薄型のタッチパネルを提供することができる。
【0034】
本発明の一態様によれば、充填層、隔壁、及びスペーサに硬さの異なる材料を用いることによって、効率的にタッチセンサに入力ができ、且つ、発光素子に圧力が加わりにくい構造のタッチパネルを提供することができる。また、スペーサをタッチセンサの上部に設けることで、タッチセンサの耐久度及びセンサ感度を向上することができる。
【0035】
なお、本実施の形態は、本明細書の他の実施の形態で示した構成と適宜組み合わせて実施することができる。
【0036】
(実施の形態2)
本実施の形態では、静電容量方式のタッチパネルの動作について説明する。
【0037】
静電容量方式のタッチセンサは、上部電極と下部電極との距離の変化によってデータが入力される。本発明の一態様は、タッチセンサとして微小構造体(MEMS)を用いる。
【0038】
タッチセンサの構造は、図1(A)、図1(B)、及び図2に示したとおりであるため、ここでは省略する。
【0039】
静電容量方式のタッチパネルは、上部電極と下部電極との間に誘電体となる絶縁性材料が設けられている。充填層112には、変形可能な多孔質材料や弾性を有する絶縁性材料を用いており、これが誘電体となる。
【0040】
図3(A)は、静電容量方式のタッチパネルの一画素の一態様を示したものである。図3(A)の上面図は、図12又は図22に一例として示している。
【0041】
スイッチング用トランジスタ200のゲートは、ゲート線201に電気的に接続している。スイッチング用トランジスタ200のソース及びドレインの一方は、ソース線202に電気的に接続している。第1の容量素子203の第1の端子は、スイッチング用トランジスタ200のソース及びドレインの他方に電気的に接続している。第1の容量素子203の第2の端子は、電源線204に電気的に接続している。駆動用トランジスタ205のゲートは、スイッチング用トランジスタ200のソース及びドレインの他方に電気的に接続している。駆動用トランジスタ205のソース及びドレインの一方は、発光素子206の一方の電極に電気的に接続している。発光素子206の他方の電極は、電源線207に電気的に接続している。駆動用トランジスタ205のソース及びドレインの他方は、電源線204に電気的に接続している。第2の容量素子208の第1の端子は、電源線204に電気的に接続している。第2の容量素子208の第2の端子は、カラム線209に電気的に接続している。第3の容量素子210の第1の端子は、電源線204に電気的に接続している。第3の容量素子210の第2の端子は、ロー線211に電気的に接続している。なお、第2の容量素子208及び第3の容量素子210は、タッチパネルに指等が接触することにより、容量値が変化する容量素子である。ここでは、駆動用トランジスタ205としてp型トランジスタを図示したが、n型トランジスタを用いてもよい。
【0042】
図4は、タッチパネルに指等が接触した位置を検出するためのカラム線(x座標検出線)及びロー線(y座標検出線)を示したものである。カラム線209は、図4に示すx1?xn(nは1以上の整数)のいずれか一であり、ロー線211は、図4に示すy1?ym(mは1以上の整数)のいずれか一である。
【0043】
タッチセンサは上部電極、誘電体(本発明の一態様においては充填層)、及び下部電極からなる。タッチセンサの容量値は、充填層に用いた材料の誘電率と、上部電極あるいは下部電極の面積と、上部電極と下部電極との距離とによって決まる。上部電極と下部電極との距離が縮まると、容量値は大きくなる。上部電極と下部電極との距離が広がると、容量値は小さくなる。
【0044】
また、タッチセンサにたまる電荷量は、容量値と、上部電極と下部電極との間の電圧とを掛け合わせたものである。上部電極と下部電極との間の電圧は変化しないので、上部電極と下部電極との距離が変化したことによって容量値に変化があったとき、タッチセンサにたまる電荷量が変化する。電荷量の変化によってカラム線209及びロー線211に電流が流れるので、電流が流れる先に検出器(検出回路)250を配置しておくことでタッチ位置251を検出することができる。
【0045】
静電容量方式のタッチパネルは、上部電極と下部電極との距離の変化によってデータが入力される方式であるため、軽くタッチするだけでデータ入力を行うことができる。」

3 引用文献3について
当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
発明の実施形態は、タッチパネルディスプレイを備えた電子機器および同電子機器に適用される入力方法に関する。」

「【0032】
触れられたキーがホームキーポジションの識別に使用される2つの特定のキー(“F”キー、“J”キー)のいずれかである時には、特定の音を出力するというフィードバックが行われる。例えば、“F”キーが指などでタッチされると、ある音(音1)が出力される。“J”キーが指などでタッチされると、別の音(音2)が出力される。あるいは、“F”キーが指などでタッチされたならば、左側のスピーカ18Aから音(音1)を出力し、“J”キーが指などでタッチされたならば、右側のスピーカ18Bから音(音2)を出力してもよい。この場合、音1と音2は同じ音であってもよい。また、これら音を出力する代わりに、振動を発生するようにしてもよい。」

4 引用文献4について
当審拒絶理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル装置に関し、特に、操作者が入力操作を行う際、その触覚を操作者にフィードバックする機能を備えるタッチパネル装置に関する。」

「【0012】
本発明のタッチパネル装置において、前記傾倒部材の傾斜角度を測定するセンサを設けることが好ましい。このように構成することによって、タッチパネルが押下された圧力に応じて、傾倒部材の傾倒角度が検知され、操作者には異なる大きさの触覚がフィードバックされる。」

5 引用文献5について
当審拒絶理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ユーザによるコンピュータおよび機械機器とのインターフェースに関し、より詳細には、コンピュータシステムおよび電子機器とのインターフェースに使用されるユーザに触覚フィードバックを与えるデバイスに関する。」

「【0041】
アクチュエータ54も、タッチパッド16に接続されており、タッチパッド上に力を与えてタッチパッド16がZ軸に沿って運動するようにする。本実施形態では、アクチュエータ54はリニアボイスコイルアクチュエータであり、アクチュエータの可動部分(ボビン)はタッチパッド16に直接接続されている。アクチュエータ54は、コンピュータ10のハウジングに接地されており、タッチパッド16に線形的な力を出力してタッチパッドをZ軸に沿って駆動する。短パルスまたは衝撃が出力されるか、またはアクチュエータの可動部分が振動して、特定の所望の周波数を有する振動を与えることができる。バネ52は、アクチュエータからの力によりタッチパッドが上下に運動した後でタッチパッド16が静止位置に戻るようにする。また、バネは、タッチパッド16に弾性のあるサスペンションを与えることができ、上述のようにアクチュエータ54が出力する力を増幅することができる。他の実施形態では、タッチパッド16を硬質なハウジングに接続するために、板バネ、発泡体、湾曲部、またはその他の弾性材料など、異なるタイプのバネ要素を用いることができる。」

6 引用文献6について
最初の拒絶理由、補正却下、および当審拒絶理由に引用された引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車に搭載される種々の電装品の動作を制御するために使用される車載用入力装置に関し、特に、安全性の向上を図った車載用入力装置に関する。」

「【0014】更に、前記タッチパネル又はメンブレンスイッチは、自動車のステアリングハンドルに取り付けられることができる。タッチパネル又はメンブレンスイッチをステアリングハンドルに取り付けることにより、その操作性が極めて高くなる。
【0015】更にまた、複数個の前記スイッチは前記タッチパネル又はメンブレンスイッチが第1の所定値以上の接触圧力で触れられたときに導通と非導通とが切替わり、前記タッチパネルが前記第1の所定値よりも高い第2の所定値以上の接触圧力で触れられたときに導通と非導通とが切替わる他のスイッチを有することできる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例に係る車載用入力装置について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る車載用入力装置を示すブロック図である。
【0017】本実施例においては、スイッチ入力ユニット1にスイッチ入力部としてのタッチパネル1a及びこのタッチパネル1aに入力されたタッチ位置及びタッチ圧力等のスイッチ入力情報を検出し、このスイッチ入力情報の送信を行う制御回路1bが設けられている。
【0018】また、負荷制御/動作表示ユニット2に表示部としてのヘッドアップディスプレイ(HUD:heads-up display)2a及びこのHUD2aに表示すべき情報を出力する制御回路2bが設けられている。
【0019】そして、制御回路1bと制御回路2bとは多重通信線3により相互に接続されており、制御回路1bから出力されたスイッチ入力情報は制御回路2bに入力される。また、制御回路2bには、複数個の負荷4-1、4-2、・・・・・・、4-n(nは負荷の数)が接続されており、制御回路2bはこれら負荷4-1乃至4-nの動作の制御も行う。
【0020】次に、HUD2aに表示される画面について説明する。図2は本発明の第1の実施例に係る車載用入力装置により制御される全ての電装品がOFF状態のときの画面を示す模式的正面図である。
【0021】HUD2aの画面には、リヤデフォッガのON/OFFの表示及び切替のための「R.DEF」アイコン21a、ATスノーホールドのON/OFFの表示及び切替のための「HOLD」アイコン21b、クルーズメインSWのON/OFFの表示及び切替のための「CRUISE」アイコン21c、ワイパーデアイサのON/OFFの表示及び切替のための「W.DEICE」アイコン21d、フォグランプのON/OFFの表示及び切替のための「F.FOG」アイコン21e、トラクションコントロールのON/OFFの表示及び切替のための「TCS」アイコン21f、パワーウィンドウのON/OFFの表示及び切替のための「WINDOW」アイコン21g、リモコンドアミラーのON/OFFの表示及び切替のための「MIRROR」アイコン21h及びサンルーフのON/OFFの表示及び切替のための「ROOF」アイコン21iが中央部に表示される。更に、画面の最上部には、電装品のアイコンの詳細な動作状況を表示する操作表示部21jが表示され、最下部には、全スイッチの状態を示すための「INFORMATION SELECT」アイコン21kが表示される。これらのアイコンはその形状及び色等によりタッチパネル1aに設けられた複数個のスイッチの位置及び動作状態を示している。
【0022】なお、図2に示した画面は、この車載用入力装置により制御される全ての電装品がOFF状態のときの通常表示であるが、リヤデフォッガ、ATスノーホールド、クルーズメインSW、ワイパーデアイサ、フォグランプ、トラクションコントロール、パワーウィンドウ、リモコンドアミラー又はサンルーフをON状態とすることにより、そのアイコン表示が反転表示に切替わる。また、タッチパネル1aが所定の圧力で触れられると、その触れられた位置に応じて画面上に矢印形状のカーソルが表示される。
【0023】次に、タッチパネル1aについて説明する。図3はタッチパネルを示す模式図である。タッチパネル1aには、複数個のスイッチが設けられ接触圧力を複数段階に検出可能なタッチパネル、例えば、超音波方式、ピエゾ圧電方式等のタッチパネルが使用される。そして、その接触圧力等に応じた信号を制御回路1bに出力する。なお、タッチパネルに設けられた複数個のスイッチが接触圧力を1段階に検出可能であっても、この検出可能な接触圧力よりも高い所定の接触圧力で触れられたときに導通と非道通とが切替わる他のスイッチが設けられていればこのようなタッチパネルも使用可能である。このようなタッチパネルとしては、例えば抵抗膜方式、赤外線方式及び静電容量方式等のタッチパネルが挙げられる。また、このような他のスイッチとしては、例えば、タッチパネルの裏面に設けられたストローク機能を有するスイッチが挙げられる。
【0024】また、例えば、タッチパネル1aが接触圧力を2段階に検出可能である場合、制御回路1bはタッチパネル1aが第1の所定値以上の接触圧力で触れられると、その位置に設けられたスイッチが選択されていることを検出し、その旨をスイッチ入力情報として出力する。更に、タッチパネル1aが前記第1の所定値よりも高い第2の所定値以上の接触圧力で触れられると、その位置に設けられたスイッチの入力が確定されたことを検出し、その旨をスイッチ入力情報として出力する。
【0025】制御回路2bは、タッチパネル1aに設けられたスイッチが選択された旨のスイッチ入力情報が多重通信線3を介して入力されると、HUD2aにそのスイッチを示すアイコン上に矢印形状のカーソルを表示し、操作表示部21jの表示を変更する。このとき、負荷制御/動作表示ユニット2は、そのスイッチが割り当てられた負荷を駆動させる準備を行う。また、タッチパネル1aに設けられたスイッチの入力が確定された旨のスイッチ入力情報が多重通信線3を介して入力されると、HUD2aにそのスイッチを示すアイコンを反転表示し、操作表示部21jの表示を変更する。このとき、負荷制御/動作表示ユニット2は、そのスイッチが割り当てられた負荷を駆動させる。
【0026】このように構成された本発明の第1の実施例に係る車載用入力装置においては、タッチパネル1aが第1の所定値以上第2の所定値未満の接触圧力で触れられると、その位置に設けられているスイッチが選択されていることが制御回路1aにより検出され、そのスイッチに応じてHUD2aにカーソルが表示されると共に、操作表示部21jの表示が変更される。そして、そのスイッチが割り当てられた負荷を駆動させる準備が負荷制御/動作表示ユニット2により行われる。
【0027】なお、タッチパネル1aの触れられた位置が上方に移動すると、それに伴ってカーソルの表示位置が上方に移動する。また、その触れられた位置が下方、左方又は右方に移動すると、それに伴ってカーソルの表示位置が夫々下方、左方又は右方に移動する。
【0028】更に、タッチパネル1aが第2の所定値以上の接触圧力で触れられると、その位置に設けられているスイッチの入力が確定されたことが制御回路1aにより検出され、HUD2aの画面上でそのスイッチを示すアイコンが反転表示されると共に、操作表示部21jの表示が変更される。そして、そのスイッチが割り当てられた負荷の動作状態が負荷制御/動作表示ユニット2により切替えられる。
【0029】次に、このように構成された本実施例の車載用入力装置の装備例について説明する。図4は本実施例の車載用入力装置が装備された車内を示す模式図である。」

7 引用文献7について
最初の拒絶理由および補正却下に引用された特開2012-73785号公報(以下、「引用文献7」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサを備える入力装置及び当該入力装置の制御方法に関するものである。」

「【0027】
図3は、ホームポジションキーを基点とした仮想的なユーザインタフェースの生成の一例を示す図である。図3(a)では入力装置10はスリープモードの状態であり、表示部102の表示はOFFになっている。ここで、図3(b)のように、ユーザが指Fによる入力を行うと、制御部104は、表示部102の表示をONにすることなく、入力位置にホームポジションキーが配置されるように仮想的なユーザインタフェースを生成する。このとき、制御部104は、触感呈示部106を制御し、仮想的なユーザインタフェースを生成した旨を触感(例えば「カチ、カチ」という2回の振動)によりユーザに通知することができる。図3(c)は、説明の便宜上、入力装置10において生成された仮想的なユーザインタフェースを図示するものである。図3(c)に示すとおり、入力装置10では、携帯電話操作キーのホームポジションキーである5キーが入力位置に配置されるように仮想的なユーザインタフェースが生成されている。ユーザは、ホームポジションキーである5キーを基点とした各キーの位置を把握しておけば、画面を視認することなく、5キーを基点として各キーの操作を行うことができる。」

8 引用文献8について
最初の拒絶理由および補正却下に引用された特表2013-513865号公報(以下、「引用文献8」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
本発明は、一般にタッチセンシティブ入力デバイスに関し、特にポータブルコンピュータなどの電子デバイスのタッチパッドに関する。」

「【0036】
ボタン操作動作又は他の動作(例えば、ある特定のタッチイベント)の結果、力フィードバックが得られる。例えば、ユーザが方向28にタッチパッド部材24を押下した場合、力センサ34はわずかに圧縮し、部材24に力が加わったことを検出する。十分な下向きの力が検出された場合、アクチュエータ36は、タッチパッド部材24に動き(触覚フィードバック)を与えるために使用される。図2に示される例示的な構成の場合、アクチュエータ36は、側方へ延出するアーム40により平坦なタッチパッド部材24に結合される。アーム40は、例えばアクチュエータ36の出力部とタッチパッド部材24との間に堅固に接続された金属片(strip of matal)又は他の構造である。」

9 引用文献9について
最初の拒絶理由および補正却下に引用された特開2011-3188号公報(以下、「引用文献9」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ入力装置(user’sinput apparatus)に係り、より具体的には、ユーザ入力装置に使われるタッチパネル(touch panel)とそれを備えた電子機器に関する。」

「【0028】
駆動電極140に駆動電圧が加えられれば、第2領域IIに位置した電気粘性流体130の粘性は急増するが、第1領域Iに位置した電気粘性流体130は、粘性の変化がなしに元の粘性を維持する。その結果、第1領域Iと第2領域IIとの間には、相当な粘性の差が表われる。これにより、タッチパネル100の第2領域IIは、ユーザが押す場合に押圧力に比例する反発力を提供する。また、図1Bに示されたような状態で駆動電圧が維持し続ければ、第2領域IIによって第1領域Iに位置する電気粘性流体130の流動は制限される。」

10 引用文献10について
最初の拒絶理由および補正却下に引用された国際公開第2012/052635号(以下、「引用文献10」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(第7頁24行乃至第8頁2行)
(訳:シャーシ11は、2つの部分、すなわち、コイル15と固定支持体23とから成る。固定支持体23は、フレームを形成して、コイル15を取り囲む。また、固定支持体は、アクチュエータ9の他の構成要素を受ける。固定支持体は、カバー21を形成するその上部に、2つの事前穿孔部25を有し、これらの事前穿孔部内には、固定支持体を接触感知面3に固定する保持ネジが受け入れられる。固定支持体は、その内側に、図4に見られるように、コイル15を所定位置に固定するために、コイル15の両側の2つの相補的な舌部29と係合するように構成された2つのスナップ嵌合部位27を有する。
可動コア13は、コイル15の両側で向かい合って保持される2つの磁石17と、クリップ留めあるいは接着結合により磁石17が固定される磁石支持体31とを備える。磁石支持体31はE形状断面を有し、該E形状断面の中央分岐部は、コイル15に嵌め込まれて、コイル15の各端部で僅かに突出する。2つの側方分岐部35は磁石17を担持する。)

11 引用文献11について
最初の拒絶理由に引用された特開2012-150833号公報(以下、「引用文献11」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は携帯型デバイスに関し、より詳細にはタッチスクリーンを利用する携帯型デバイスに関する。」

「【0019】
図1Aを参照すると、触覚ピクセル104のそれぞれは、アクチュエータ107に接続された可動部105とセンサ109とを備える。アクチュエータ107およびセンサ109はプロセッサ106に接続される。アクチュエータ107はプロセッサ106からの命令に応答して作動するように構成され、センサ109は、可動部105に対して圧力が加えられたときに、プロセッサ106により実行される一つ以上のプログラムに対する入力としての信号を生成するように構成される。アクチュエータ107は、任意の適切な電気機械アクチュエータであってよい。適切なアクチュエータの例は、圧電アクチュエータ、MEMSアクチュエータおよび磁石コイルアクチュエータを含む。センサ109は、容量性ゲージセンサ、圧電センサ、抵抗センサ、歪みゲージ等の任意の適切なセンサであってよい。圧電デバイスの特別な場合などのように、同じデバイスをアクチュエータ107とセンサ109の両方として使用できることもある。」

12 引用文献12について
補正却下に引用された特開2013-89117号公報(以下、「引用文献12」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、固定されまたは限られた距離しか動かないように規制された操作体を有し、その操作体の表面の操作面に指を摺動させて入力操作を行う入力装置に係るものであり、特に、操作面に沿って指を摺動させたときに、操作面が動いているかのような感触を指に与えることができる入力装置に関する。」

「【0028】
入力装置1の基台7に、弾性部材6が固定されて、その表面に第1の検出部材である圧力センサ5が固定されており、操作体2のフランジ部4の下面4aが圧力センサ5の上に設置されている。弾性部材6は合成ゴムシートや発泡樹脂材料のシートである。圧力センサ5は、MEMSセンサであり、基板の上に微小な空隙を介して対向する作用板が設けられ、フランジ部4で作用板が押されたときの作用板の撓みが圧電素子などで検出されるものである。」

13 引用文献13について
補正却下に引用された特表2011-528826号公報(以下、「引用文献13」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
(分野)
本開示は、ポータブル電子機器に関連するものであり、タッチスクリーンディスプレイおよびそのコントロールを備えるポータブル電子機器を含むがそれに限定されない。」

「【0015】
圧力センサ140は、マイクロプロセッサ338によって処理される接触圧力データの生成を促進する。圧力センサ140は、ひずみ計、圧電抵抗機器、微少電気機械システム(MEMS)機器、可変容量機器、圧力センシティブ抵抗器、誘導性ベースの圧力センサ、ホール効果圧力センサなどであり得る。圧力センサ140は、オーバーレイ114との接触を通して、タッチセンシティブディスプレイ118に印加される圧力もしくは圧力の変化を検出および計測する。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「マルチメディアセンタおよび/またはナビゲーションシステムの命令、場所の名前、道路の名前および/またはステレオ設備」、「タッチパッド」及び「触覚的な出力」「を出力するための手段」は、それぞれ本願発明1の「自動車システム」、「トラックパッド」及び「フィードバック生成器」に相当する。

イ 本願発明1の「運転者が周囲に視覚的に集中している間に触覚又は可聴フィードバックの少なくとも1つを提供するトラックパッドのフィードバック生成器によってトラックパッドを使用する、気を散らされる環境における自動車の運転者によって自動車システムを制御する」ことの「運転者が周囲に視覚的に集中している間」及び「気を散らされる環境」とは、本願明細書の段落【0038】の
「本明細書に開示されたトラックパッドシステム300は、例えば自動車の運転などにおける、気を散らされる環境に特に適用可能であることができ、人間は、機械を適切に操作するための追加のフィードバックを必要とする。例えば、自動車の運転者は、通常、運転作業の間に彼のまたは彼女の周囲に最大に視覚的に集中している。ハプティックフィードバック及び可聴フィードバックを提供するラックパッドシステム300の能力は、様々な自動車システムの動作をより確実にさせて満足させる。」
の記載から、運転者が自動車を運転している間及び運転者が自動車を運転している間の環境であると認められる。
そうすると、引用発明の「運転者によって、どのような場合で容易に到達できるように、車両のステアリングホイール上に配置され、タッチパッドを介して、マルチメディアセンタおよび/またはナビゲーションシステムの命令、場所の名前、道路の名前および/またはステレオ設備を制御する」こと、及び「触覚的な出力およびフィードバックを出力するための手段を有し」これにより「触覚的な出力」を得ることと、本願発明1の「運転者が周囲に視覚的に集中している間に触覚又は可聴フィードバックの少なくとも1つを提供するトラックパッドのフィードバック生成器によってトラックパッドを使用する、気を散らされる環境における自動車の運転者によって自動車システムを制御する」ことは、「運転者が周囲に視覚的に集中している間に触覚を提供するトラックパッドのフィードバック生成器によってトラックパッドを使用する、気を散らされる環境における自動車の運転者によって自動車システムを制御する」点で共通する。

ウ 引用発明の「触覚的な出力およびフィードバックを出力するための手段を有し」、これにより「触覚的な出力」を得ることと、本願発明1の「前記トラックパッドのフィードバック生成器によって、触覚フィードバックまたは可聴フィードバックのうちの少なくとも1つを提供すること」は、「前記トラックパッドのフィードバック生成器によって、触覚フィードバックまたは可聴フィードバックのうちの少なくとも1つを提供する」点で共通する。

エ そうすると、請求項1に係る発明と引用発明は、以下の点で一致しまた相違する。

[一致点]
「運転者が周囲に視覚的に集中している間に触覚を提供するトラックパッドのフィードバック生成器によってトラックパッドを使用する、気を散らされる環境における自動車の運転者によって自動車システムを制御する方法であって、
前記トラックパッドのフィードバック生成器によって、触覚フィードバックを提供すること
を含む、方法。」

[相違点1]
本願発明1が「ある幅及びある長さを有するように配列された力センサのアレイの上に位置付けられたタッチインターフェースによって、タッチ力を受信することと、
前記タッチ力の少なくとも一部を、前記タッチインターフェースを通して前記力センサのアレイの1つ以上の力センサに伝えることと」を備えているのに対して、引用発明は「タッチパッド」の構成が記載されていないために、対応する動作が不明である点。

[相違点2]
本願発明1は、「前記力センサのアレイと通信しているプロセッサ」を備え、その「プロセッサ」によって、「前記力センサのアレイの前記1つ以上の力センサによって、前記力センサのアレイと通信しているプロセッサに力情報を伝送すること」、「複数のシステムから前記プロセッサによって選択されたシステムに制御メッセージを送信することと、ここにおいて、前記システムは、各閾値毎に異なるシステムに相関する複数の閾値のうちの1つを超える前記対応する力の大きさに応じて前記プロセッサによって前記複数のシステムから選択され、前記制御メッセージは、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置、前記対応する力の大きさが前記力の位置で前記トラックパッドに加えられる時間、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化率、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化の方向、前記トラックパッド上の第1のタッチ点から第2のタッチ点までの長さ、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される長さまたは距離、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される方向、前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化、又は前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化率のうちの1つ以上に応じて前記プロセッサによって選択され」ることを行っているのに対して、引用発明は「プロセッサ」の明示がないために、対応する動作が不明である点。

[相違点3]
「トラックパッドのフィードバック生成器」について、本願発明1は「前記トラックパッドのフィードバック生成器によって、触覚フィードバックまたは可聴フィードバックのうちの少なくとも1つを提供」しているのに対して、引用発明は、触覚的な出力を出力するための手段が「触覚的な出力」を提供するものの、「可聴フィードバック」は提供していない点。
また、そのために、本願発明1の「トラックパッドのフィードバック生成器」が、「運転者が周囲に視覚的に集中している間に触覚又は可聴フィードバックの少なくとも1つを提供する」のに対して、引用発明のタッチパッドの触覚的な出力を出力するための手段は、運転者が周囲に視覚的に集中している間に「可聴フィードバック」は提供していない点。

(2)判断
事案に鑑み、相違点2について最初に検討する。
相違点2に係る「前記システムは、各閾値毎に異なるシステムに相関する複数の閾値のうちの1つを超える前記対応する力の大きさに応じて前記プロセッサによって前記複数のシステムから選択され」る点、および「前記制御メッセージは、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置、前記対応する力の大きさが前記力の位置で前記トラックパッドに加えられる時間、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化率、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化の方向、前記トラックパッド上の第1のタッチ点から第2のタッチ点までの長さ、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される長さまたは距離、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される方向、前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化、又は前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化率のうちの1つ以上に応じて前記プロセッサによって選択され」る点は、引用文献1-13には記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-13に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-13について
本願発明2-13も、本願発明1の「前記システムは、各閾値毎に異なるシステムに相関する複数の閾値のうちの1つを超える前記対応する力の大きさに応じて前記プロセッサによって前記複数のシステムから選択され」る点、および「前記制御メッセージは、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置、前記対応する力の大きさが前記力の位置で前記トラックパッドに加えられる時間、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化率、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化の方向、前記トラックパッド上の第1のタッチ点から第2のタッチ点までの長さ、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される長さまたは距離、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される方向、前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化、又は前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化率のうちの1つ以上に応じて前記プロセッサによって選択され」る点を備える方法であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-13に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明14-27について
本願発明14-27も、本願発明1の「前記システムは、各閾値毎に異なるシステムに相関する複数の閾値のうちの1つを超える前記対応する力の大きさに応じて前記プロセッサによって前記複数のシステムから選択され」る点、および「前記制御メッセージは、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置、前記対応する力の大きさが前記力の位置で前記トラックパッドに加えられる時間、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化率、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化の方向、前記トラックパッド上の第1のタッチ点から第2のタッチ点までの長さ、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される長さまたは距離、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される方向、前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化、又は前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化率のうちの1つ以上に応じて前記プロセッサによって選択され」る点に対応する、「前記システムは、各閾値毎に異なるシステムに相関する複数の閾値のうちの1つを超える前記対応する力の大きさに応じて前記プロセッサによって前記複数のシステムから選択され」る点、および「前記制御メッセージは、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置、前記対応する力の大きさが前記力の位置で前記トラックパッドに加えられる時間、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化率、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化の方向、前記トラックパッド上の第1のタッチ点から第2のタッチ点までの長さ、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される長さまたは距離、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される方向、前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化、又は前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化率のうちの1つ以上に応じて前記プロセッサによって選択される」点を備えているから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-13に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
原査定の、特許請求の範囲の「トラックパッド」について、「ディスプレイデバイスに接続されていないトラックパッド」とする補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないという点は、令和2年9月9日付けの手続補正により補正された請求項1-27には、「ディスプレイデバイスに接続されていないトラックパッド」との記載はなく、また当該手続補正は「当初明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないもの」であるから、この拒絶の理由は解消した。

第8 当審拒絶理由ついて
1 特許法第36条第4項第1号について
(1)当審では、補正前の請求項14及び18に記載された「構造に基づくピエゾ抵抗センサ」について、発明の詳細な説明には具体的に記載されていないために、その発明の属する技術における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載しているとは認められないとの拒絶の理由を通知しているが、令和2年9月9日付けの補正において、対応する記載について「ピエゾ抵抗センサを含む」と補正された結果、この拒絶理由は解消した。
(2)当審では、補正前の請求項15に記載された「前記構造に基づくピエゾ抵抗センサの構造部分であるフィードバック生成器」及び請求項19に記載された「前記フィードバック生成器が、前記フィードバック生成器が、前記構造に基づくピエゾ抵抗センサの構造部分である」ことは、発明の詳細な説明に、MEMSセンサについて「構造に基づくピエゾ抵抗センサ」が具体的に記載されておらず、また、「前記構造に基づくピエゾ抵抗センサの構造部分であるフィードバック生成器」についても具体的に記載されていないために、その発明の属する技術における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載しているとは認められないとの拒絶の理由を通知しているが、令和2年9月9日付けの補正において、対応する請求項が削除された結果、この拒絶理由は解消した。

2 特許法第36条第6項第2号について
(1)当審では、補正前の請求項14及び18に記載された「構造に基づくピエゾ抵抗センサ」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和2年9月9日付けの補正において、対応する記載について「ピエゾ抵抗センサを含む」と補正された結果、この拒絶理由は解消した。
(2)当審では、補正前の請求項15に記載された「前記構造に基づくピエゾ抵抗センサの構造部分であるフィードバック生成器」及び請求項19に記載された「前記フィードバック生成器が、前記フィードバック生成器が、前記構造に基づくピエゾ抵抗センサの構造部分である」とは、「フィードバック生成器」どのような構成であるのか明確でないとの拒絶の理由を通知しているが、令和2年9月9日付けの補正において、対応する請求項が削除された結果、この拒絶理由は解消した。

3 特許法第29条第2項について
令和2年9月9日付けの補正により本願発明1-27は、「前記システムは、各閾値毎に異なるシステムに相関する複数の閾値のうちの1つを超える前記対応する力の大きさに応じて前記プロセッサによって前記複数のシステムから選択され」る点、および「前記制御メッセージは、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置、前記対応する力の大きさが前記力の位置で前記トラックパッドに加えられる時間、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化率、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化の方向、前記トラックパッド上の第1のタッチ点から第2のタッチ点までの長さ、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される長さまたは距離、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される方向、前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化、又は前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化率のうちの1つ以上に応じて前記プロセッサによって選択され」る点を備える方法、もしくは、「前記システムは、各閾値毎に異なるシステムに相関する複数の閾値のうちの1つを超える前記対応する力の大きさに応じて前記プロセッサによって前記複数のシステムから選択され」る点、および「前記制御メッセージは、前記ある幅及びある長さに沿う前記力の位置、前記対応する力の大きさが前記力の位置で前記トラックパッドに加えられる時間、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化率、前記トラックパッド上の対応する力の大きさの場所の変化の方向、前記トラックパッド上の第1のタッチ点から第2のタッチ点までの長さ、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される長さまたは距離、指が第1のタッチ点後に前記トラックパッドにわたって移動される方向、前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化、又は前記トラックパッドに加えられる対応する力の大きさにおける変化率のうちの1つ以上に応じて前記プロセッサによって選択される」点を備えているものとなっており、上記第4で検討したように、本願発明1-27は、上記引用発明及び上記引用文献引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第9 むすび
以上のとおり、令和2年9月9日付けの補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件に違反するものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-02-16 
出願番号 特願2016-517039(P2016-517039)
審決分類 P 1 8・ 55- WY (G06F)
P 1 8・ 536- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 星野 裕  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 野崎 大進
小田 浩
発明の名称 多次元トラックパッド  
代理人 重野 剛  
代理人 重野 剛  

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