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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60W 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B60W |
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管理番号 | 1371517 |
審判番号 | 不服2020-4926 |
総通号数 | 256 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-04-10 |
確定日 | 2021-02-25 |
事件の表示 | 特願2018-527438「車両の制御方法および車両の制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年1月18日国際公開、WO2018/012147〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年6月6日(優先権主張平成28年7月12日)を国際出願日とする出願であって、平成30年12月28日に手続補正書が提出され、令和元年8月7日付け(発送日:同年8月13日)で拒絶理由が通知され、令和元年10月9日に意見書が提出され、令和元年10月18日付け(発送日:同年10月29日)で拒絶理由が通知され、令和元年12月6日に意見書が提出されたが、令和2年1月6日付け(発送日:同年1月14日)で拒絶査定がされ、これに対し、令和2年4月10日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 本願発明について 本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成30年12月28日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「【請求項1】 ドライバーのブレーキ操作に依らずに先行車両に追従して自車両を停車させる自動走行制御を実行し、 前記自動走行制御の実行中に自車両と先行車両が停車している場合に、前記先行車両が発進する前に、自車両の発進指示をドライバーに喚起するための発進指示情報を提示し、 前記発進指示情報が提示されたのち、ドライバーが自車両の発進を指示した場合であって、前記停車が検出された前記先行車両の発進を検出したときに、自車両を発進させる車両の制御方法。」 第3 原査定における拒絶の理由の概要 原査定における令和元年10月18日付けの拒絶の理由の概要は、次のとおりである。 1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について ・請求項 1-3、5-6、9-10 ・引用文献等 1 ・備考 (請求項1-2、10について) 引用文献1(特に、段落[0007],[0020]-[0021],[0029],[0048]-[0056],図1-3)には、 ドライバーのブレーキ操作に依らずに先行車両に追従して自車両を停車させる自動走行制御を実行し、 前記自動走行制御の実行中に自車両と先行車両が停車している場合に、前記先行車両が発進する前に、自車両の発進指示をドライバーに喚起するための発進指示情報(「停止保持中」との表示;運転者に発進予約操作が必要であると認識させているともいえるから、「自車両の発進指示をドライバーに喚起するための発進指示情報」であるともいえる)を提示し、 前記発進指示情報が提示されたのち、ドライバーが自車両の発進を指示した場合であって、前記停車が検出された前記先行車両の発進を検出したときに(段落[0054]-[0055]の、先行車両の発進検知により発進許可状態と判定している点を参照)、自車両を発進させる(発進許可状態にて停止保持を解除している点(ステップS8,S10)を参照)車両の制御方法の発明が記載されている。 (請求項3、5-6、9について) 引用文献1には、自車両の車速がゼロ(自動停止)となってから所定の第1時間(完全停止期間;段落[0049])が経過した場合に、自車両が停止したと判断する(停止保持中と判定する)点が記載されている。 ・請求項 1-2、9-10 ・引用文献等 2 ・備考 引用文献2(特に、段落[0016]-[0017],[0048],図8-9)には、 ドライバーのブレーキ操作に依らずに先行車両に追従して自車両を停車させる自動走行制御を実行し、 前記自動走行制御の実行中に自車両と先行車両が停車している場合に、前記先行車両が発進する前に、自車両の発進指示をドライバーに喚起するための発進指示情報(段落[0048],図9。段落[0048]の「セット/コーストスイッチ23を押すことにより、停止保持制御を解除して先行車追従制御による加速(発進)ができることを視覚的に分かるような表示をしている。」ことは、発進指示をドライバーに喚起しているといえる)を提示し、前記発進指示情報が提示されたのち、ドライバーが自車両の発進を指示した場合であって、前記停車が検出された前記先行車両の発進を検出したときに(段落[0017]。アクセルセンサやセット/コーストスイッチ23の操作があった際には、先行車が発進したときに車両を発進させる点が記載乃至示唆されている)、自車両を発進させる車両の制御方法の発明が記載されている。 <引用文献等一覧> 1.特開2013-123993号公報 2.特開2006-290328号公報(新たに引用した文献) 第4 引用文献、引用発明 1 引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1(特開2013-123993号公報)には、「先行車両発進報知装置」の発明に関して、図面(図1ないし3を参照。)とともに以下の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 先行車両の移動に関する情報を取得する先行車両移動情報取得手段を備え、前記先行車両移動情報取得手段が車両停止中に先行車両の発進を検知したときにドライバに先行車両が発進したことを報知する先行車両発進報知装置であって、 車両停止中にドライバの発進予約操作が行われた場合、先行車両の発進を検知してもドライバに先行車両が発進したことの報知を行わないことを特徴する先行車両発進報知装置。 【請求項2】 ドライバによる制動操作に関係なく車両の停止状態を保持する車両停止保持制御中に先行車両の発進を検知したときにドライバに先行車両が発進したことを報知することを特徴する請求項1に記載の先行車両発進報知装置。 【請求項3】 前記車両停止は、先行車両追従制御中に先行車両の停止に応じた車両停止であり、 前記発進予約操作は、先行車両の発進に応じて先行車両追従制御を再開させるための操作であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の先行車両発進報知装置。」 (2)「【技術分野】 【0001】 本発明は、車両停止中に先行車両の発進を検知したときにドライバに先行車両が発進したことを報知する先行車両発進報知装置に関する。 【背景技術】 【0002】 追従制御による自動停止やドライバ操作による停止等で停止している場合に、自車両の前方で停止していた先行車両の発進を検知し、先行車両の発進をドライバに報知する装置がある。特許文献1に記載の追従走行装置では、自車両が停止中に車間距離センサによる先行車両との車間距離及び車速センサによる自車速に基づいて先行車両の発進を認識すると、その先行車両の発進を報知し、ドライバに先行車両が停止状態から発進して自車両の追従走行を開始してもよい状況を知らせる。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】特開2002-2328号公報 【特許文献2】特開2011-207426号公報 【特許文献3】特開2002-67733号公報」 (3)「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 追従制御には、自動停止中にドライバから発進予約操作を受け付けると、先行車両の発進に応じて自車両を発進させて自動的に追従制御を再開する機能を有するものがある。このようにドライバが発進予約操作を行っているにもかかわらず、先行車両発進の報知を行うと、ドライバに煩わしさを与えるおそれがある。 【0005】 そこで、本発明は、ドライバに対する煩わしさを抑制する先行車両発進報知装置を提供することを課題とする。」 (4)「【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明に係る先行車両発進報知装置は、先行車両の移動に関する情報を取得する先行車両移動情報取得手段を備え、先行車両移動情報取得手段が車両停止中に先行車両の発進を検知したときにドライバに先行車両が発進したことを報知する先行車両発進報知装置であって、車両停止中にドライバの発進予約操作が行われた場合、先行車両の発進を検知してもドライバに先行車両が発進したことの報知を行わないことを特徴する。 【0007】 この先行車両発進報知装置では、通常、先行車両移動情報取得手段が先行車両の移動に関する情報(例えば、先行車両との車間距離、先行車両の車速)を取得して車両停止中に先行車両の発進を検知すると、ドライバに先行車両が発進したことを報知する。この報知によって、ドライバに対して車両を発進させるための操作を促す。しかし、先行車両発進報知装置では、車両停止中に、ドライバが発進予約操作を行った場合、先行車両の発進を検知しても先行車両発進の報知を行わない。発進予約操作は、車両停止中に先行車両が発進した場合には先行車両の発進に応じて車両を発進させるための操作であり、ドライバによる発進意志を表す。このように、先行車両発進報知装置では、車両停止中にドライバによる発進予約操作が行われた場合(発進意志を確認できた場合)には先行車両発進の報知を中止することにより、先行車両が発進しても発進操作を再度促すことなく、ドライバに対する煩わしさを抑制できる。 【0008】 本発明の上記先行車両発進報知装置では、ドライバによる制動操作に関係なく車両の停止状態を保持する車両停止保持制御中に先行車両の発進を検知したときにドライバに先行車両が発進したことを報知する。 【0009】 車両では、車両停止後に車両停止保持制御が作動した場合、ドライバが制動操作を行わなくても、停止状態が保持される。先行車両発進報知装置では、通常、車両停止保持制御による車両停止保持中に先行車両の発進を検知すると、ドライバに先行車両が発進したことを報知する。この報知に応じてドライバが車両を発進させるための操作を行うと、車両停止保持制御が解除される。また、先行車両発進報知装置では、車両停止保持制御による車両停止中に、ドライバが発進予約操作を行った場合、先行車両の発進を検知しても先行車両発進の報知を行わない。この場合、車両停止保持中にドライバが発進予約操作を既に行っているので、先行車両が発進すると車両停止保持制御が解除される。 【0010】 本発明の上記先行車両発進報知装置では、車両停止は、先行車両追従制御中に先行車両の停止に応じた車両停止であり、発進予約操作は、先行車両の発進に応じて先行車両追従制御を再開させるための操作である。 【0011】 車両では、ドライバによる作動操作に応じて先行車両追従制御が作動している場合、先行車両を自動で追従して走行し、先行車両が停止すると自動で停止する。このように先行車両追従制御によって自動停止した場合、先行車両の発進に応じて自動で発進し、追従制御を再開させるためには、ドライバは先行車両追従制御を再開させるための操作が必要である。先行車両発進報知装置では、先行車両追従制御による自動での車両停止中に、ドライバが先行車両追従制御を再開させるための操作を行った場合、先行車両の発進を検知しても先行車両発進の報知を行わない。この再開操作によって、先行車両が発進すると自車両も発進し、先行車両に対する追従制御を再開する。 【発明の効果】 【0012】 本発明によれば、車両停止中にドライバによる発進予約操作が行われた場合には先行車両発進の報知を中止することにより、先行車両が発進しても発進操作を再度促すことなく、ドライバに対する煩わしさを抑制できる。」 (5)「【0015】 本実施の形態では、本発明に係る先行車両発進報知装置を、車両に搭載されるACC[AdaptiveCruise Control]システムに適用する。本実施の形態に係るACCシステムは、自車両前方に先行車両が存在する場合には先行車両との車間距離が目標車間距離(又は車間時間が目標車間時間)になるように先行車両追従制御を行い、先行車両が存在しない場合には自車両の車速が目標車速になるように定速制御を行う。特に、本実施の形態に係るACCシステムは、全車速域に対応したACCシステムであり、先行車両が停止した場合には先行車両に追従して自動で停止する。このように自動停止した場合、ACCシステムで停止保持制御を行うとともに、フューエルセーフの観点からブレーキ制御装置によるブレーキホールドによって停止状態を保持する。本実施の形態では、ACCシステムにおける先行車両追従制御や定速制御については簡単に説明し、ACCシステムにおける先行車両追従制御によって自動で車両停止中の処理について詳細に説明する。 【0016】 図1及び図2を参照して、本実施の形態に係るACCシステム1について説明する。図1は、本実施の形態に係るACCシステムの構成図である。図2は、車両停止中処理時のタイミングチャートの一例である。 【0017】 ACCシステム1では、先行車両追従制御で先行車両の停止に応じて自動で自車両を停止させた場合、ブレーキホールドによる停止保持を行うと、メータに”停止保持中”を表示させ、ドライバに停止保持状態であることを知らせる。さらに、ACCシステム1では、ブレーキホールドによる停止保持中に先行車両が発進すると、メータに”先行車発進”を表示させ、ドライバに発進操作を促す。特に、ACCシステム1では、ブレーキホールドによる停止保持中にドライバが発進予約操作を行うと、メータの”停止保持中”を消灯させる。さらに、ACCシステム1では、発進予約中に先行車両が発進すると、メータに”先行車発進”を表示させることなく、自車両を自動で発進させて先行車両追従制御を再開する。」 (6)「【0028】 車両停止中処理について説明する。車両停止中処理では、発進許可フラグ、発進予約中フラグ、発進要求フラグ(レバー)、停止保持要求フラグ、発進要求フラグ、DAMODEの各フラグを利用する。発進許可フラグは、車両停止保持中に発進許可状態になったか否かを示すフラグであり、先行車両が停止中(発進不許可状態)が0であり、先行車両が発進(発進許可状態)すると0から1に切り替わる。この発進許可フラグは、メータECU32に送信される。発進予約中フラグは、車両停止保持中にドライバによる発進予約操作が行われたか否か(ドライバの発進意志を確認できたか否か)を示すフラグであり、発進予約操作が行われていない場合が0であり、発進予約操作が行われると0から1に切り替わる。この発進予約(発進予約中フラグ=1)には有効期間があり、有効期間の間に発進許可状態(発進許可フラグ=1)にならない場合には発進予約中フラグは1から0に切り替わる(発進予約の解除)。発進予約操作は、ACCレバー17のレジューム操作である。この発進予約中フラグは、メータECU32に送信される。発進要求フラグ(レバー)は、通常時は0であり、発進予約中フラグ=1のときに発進許可状態(発進許可フラグ=1)になったとき又は発進予約中フラグ=0かつ発進許可フラグ=1のときにドライバが発進操作を行ったときに瞬間的に1になるフラグである。停止保持要求フラグは、ACCシステム1による停止保持制御を要求するフラグであり、先行車両追従制御で自動停止すると0から1に切り替わり、発進要求フラグ(レバー)が1になったときに1から0に切り替わる。停止保持要求フラグが1のときにACCECU20では停止保持制御を行う。発進要求フラグは、ブレーキ制御ECU30にブレーキホールドを要求するフラグであり、先行車両追従制御で自動停止した後に完全停止期間経過すると1から0に切り替わり、発進要求フラグ(レバー)が1になったときに0から1に切り替わる。この発進要求フラグは、ブレーキ制御ECU30に送信される。発進要求フラグが0のときにブレーキ制御ECU30でブレーキホールドが行われる。DAMODEは、ブレーキホールドの状態を表すフラグであり、DAMODE=1のときはブレーキホールドが作動中(停止保持制御)であり、DAMODE=0のときはブレーキホールドが不作動であることを示す。DAMODEは、ブレーキホールドを行うブレーキ制御ECU30で設定される。 【0029】 先行車両追従制御処理で先行車両に追従して車両を自動停止させた場合、ACCECU20では、停止保持要求フラグを0から1に切り替える。この停止保持要求フラグが1の間、停止保持制御を行うために、ACCECU20では、自車両の停止を保持するために必要な制御制動力をブレーキ制御信号としてブレーキ制御ECU30に送信する。 【0030】 ACCECU20では、停止保持要求フラグを0から1に切り替えてからの経過時間を計測し、その経過時間が完全停止期間になったか否かを判定する。この完全停止期間は、自動停止してから車両が完全に停止したことを確認できる十分な時間であり、数秒程度(例えば、3秒)である。自動停止後にこの完全停止期間経過するまでの間は、ドライバによる発進予約が禁止であり、先行車両が発進した場合にはドライバによる操作に関係なく自車両を発進させて先行車両追従制御に復帰する。したがって、自動停止後に完全停止期間経過するまでの間に先行車両が発進した場合、ACCECU20では、自車両を発進させるための目標加速度を演算し、その目標加速度から制御駆動力を演算し、その制御駆動力をエンジン制御信号としてエンジン制御ECU31に送信し、自車両を発進させると先行車両追従制御処理に移行する。自動停止後に完全停止期間経過した場合、ACCECU20では、発進要求フラグを1から0に切り替える。この発進要求フラグ=0によって、ブレーキ制御ECU30によるブレーキホールドが作動され、ブレーキ制御ECU30でDAMODEを0から1に切り替える。ブレーキホールド中、ドライバによる発進予約操作が行われていない場合、発進予約中フラグ=0なので、DAMODE=1かつ発進予約中フラグ=0により、メータには”停止保持中”が表示される。 【0031】 ACCECU20では、ブレーキホールドによる自車両停止保持中(発進要求フラグ=0)、先行車両が発進したか否かを判定する。先行車両が発進した場合(発進許可状態になった場合)、ACCECU20では、発進許可フラグを0から1に切り替える。この際、ドライバによる発進予約操作が行われていない場合、発進予約中フラグ=0なので、DAMODE=1かつ発進許可フラグ=1かつ発進予約中フラグ=0により、メータには”先行車発進”が”停止保持中”に上書き表示される。したがって、”停止保持中”は消灯される。発進予約が行われていないときに発進許可状態になった場合(発進予約中フラグ=0かつ発進許可フラグ=1)、ACCECU20では、ドライバによる発進操作が行われたか否かを判定する。発進操作は、アクセルペダルのON操作又はACCレバー17のレジューム操作である。発進予約が行われていないときに発進許可状態になった場合にドライバによる発進操作が行われると、ACCECU20では、発進要求フラグ(レバー)が瞬間的に1となり、それに応じて停止保持要求フラグを1から0に切り替えるとともに発進要求フラグを0から1に切り替える。停止保持要求フラグ=0によって、ACCECU20では、停止保持制御を解除する。この際、発進操作がACCレバー17のレジューム操作の場合には、ACCECU20では、自車両を発進させるための目標加速度を演算し、その目標加速度から制御駆動力を演算し、その制御駆動力をエンジン制御信号としてエンジン制御ECU31に送信し、自車両を発進させると先行車両追従制御処理に移行する。また、発進要求フラグ=1によって、ブレーキ制御ECU30によるブレーキホールドが解除され、ブレーキ制御ECU30でDAMODEを1から0に切り替える。また、DAMODE=0により、メータでは”先行車発進”が消灯される。 【0032】 ACCECU20では、ブレーキホールドによる自車両停止保持中かつ発進不許可状態の場合(発進要求フラグ=0かつ発進許可フラグ=0)、ドライバによる発進予約操作が行われたか否かを判定する。発進予約操作は、上記したようにACCレバー17によるレジューム操作である。ドライバによる発進予約操作が行われた場合、ACCECU20では、発進予約中フラグを0から1に切り替える。発進予約中フラグ=1により、メータでは”停止保持中”が消灯される。したがって、この場合、DAMODE=1であるが、メータには”停止保持中”及び”先行車発進”の両方が表示されない。 【0033】 ACCECU20では、発進予約中フラグを0から1に切り替えてからの経過時間を計測し、その経過時間が発進予約の有効期間になったか否かを判定する。この有効期間は、ドライバによる発進予約が有効となる期間であり、数秒程度(例えば、3秒)である。発進予約操作後にこの有効期間経過するまでの間は発進予約が有効であり、有効期間の間に先行車両が発進すると自車両も発進して先行車両追従制御に復帰し、先行車両が発進することなく有効期間が経過すると発進予約は無効となる。このような有効期間を設けないと、発進予約が何時までも有効となり(例えば、ドライバが発進予約を行ったことを忘れている場合がある)、フューエルセーフの観点で望ましくない。 【0034】 したがって、先行車両が発進することなく、発進予約操作後に有効期間経過した場合、発進予約を無効とするために、ACCECU20では、発進予約中フラグを1から0に切り替える。この発進予約中フラグ=0によって、DAMODE=1かつ発進予約中フラグ=0となるので、メータには”停止保持中”が再表示される。 【0035】 一方、発進予約操作後に有効期間経過する前に先行車両が発進した場合、発進予約に応じた自動発進を行うために、ACCECU20では、発進許可フラグを0から1に切り替える。さらに、発進予約中に発進許可状態になったので(発進予約中フラグ=1かつ発進許可フラグ=1)、ACCECU20では、発進要求フラグ(レバー)が瞬間的に1となり、それに応じて停止保持要求フラグを1から0に切り替えるとともに発進要求フラグを0から1に切り替える。停止保持要求フラグ=0によって、ACCECU20では、停止保持制御を解除する。さらに、ACCECU20では、自車両を発進させるための目標加速度を演算し、その目標加速度から制御駆動力を演算し、その制御駆動力をエンジン制御信号としてエンジン制御ECU31に送信し、自車両を発進させると先行車両追従制御処理に移行する。また、発進要求フラグ=1によって、ブレーキ制御ECU30によるブレーキホールドが解除され、ブレーキ制御ECU30でDAMODEを1から0に切り替える。この際、先行車両が発進するが、DAMODE=0となるので、メータには”先行車発進”は表示されない。」 (7)「【0036】 図2のタイミングチャートを参照して、先行車両追従制御処理で先行車両の停止に応じて自車両が自動停止し、ブレーキホールドによる停止保持中にドライバによる発進予約が行われ、発進予約中に先行車両の発進に応じて自車両が発進した場合の各フラグとメータでの表示等について説明する。 【0037】 自車両が自動停止すると、停止保持要求フラグが0から1に切り替わり、ACCECU20による停止保持制御を開始する。停止保持要求フラグが1になってから完全停止期間経過するまでは、発進予約が禁止され、先行車両が発進すると自車両も自動で発進して先行車両追従制御に復帰可能である。 【0038】 停止保持要求フラグが1になってから完全停止期間経過すると、発進要求フラグが1から0に切り替わり、ブレーキ制御ECU30によるブレーキホールドを開始する。このとき、DAMODEも0から1に切り替わり、DAMODE=1かつ発進予約中フラグ=0となり、メータに”停止保持中”が表示される。発進要求フラグが0になってからは、発進予約を受け付ける。 【0039】 発進要求フラグ=0のときにドライバが発進予約操作を行うと、発進予約中フラグが0から1に切り替わる。この発進予約中フラグ=1によって、メータの”停止保持中”が消灯される。ちなみに、ドライバは発進予約操作しても、ブレーキホールドは継続される。また、発進予約中フラグ=1は、有効期間の間だけ保持される。 【0040】 発進予約中フラグ=1(発進予約有効期間内)にときに先行車両が発進すると、発進許可フラグが0から1に切り替わるとともに、発進要求フラグ(レバー)が瞬間的に1となる。発進要求フラグ(レバー)=1に応じて、停止保持要求フラグが1から0に切り替わり、ACCECU20による停止保持制御が解除する。また、発進要求フラグ(レバー)=1に応じて、発進要求フラグが0から1に切り替わり、ブレーキ制御ECU30によるブレーキホールドが解除する。そして、ACCECU20で自車両が自動発進させ、先行車両追従制御に復帰する。この際、DAMODEも1から0に切り替わるので、先行車両が発進したが、メータには”先行車発進は表示されない。 【0041】 ちなみに、発進要求フラグ=0かつ発進予約中フラグ=0のときに先行車両が発進すると、発進許可フラグが0から1に切り替わる。この際、DAMODE=1かつ発進許可フラグ=1かつ発進予約中フラグ=0となり、メータに”先行車発進”が表示される(”停止保持中”が消灯される)。さらに、発進要求フラグ=0かつ発進予約中フラグ=0かつ発進許可フラグ=1のときにドライバが発進操作を行うと、発進要求フラグ(レバー)が瞬間的に1となる。発進要求フラグ(レバー)=1に応じて、停止保持要求フラグが1から0に切り替わり、ACCECU20による停止保持制御が解除する。また、発進要求フラグ(レバー)=1に応じて、発進要求フラグが0から1に切り替わり、ブレーキ制御ECU30によるブレーキホールドが解除する。そして、自車両が発進し、発進操作がACCレバー17のレジューム操作の場合にはACCECU20による先行車両追従制御に復帰する。この際、DAMODEも1から0に切り替わるので、メータの”先行車発進が消灯される。」 (8)「【0045】 図1及び図2を参照し、ACCシステム1における先行車両追従制御で先行車両の停止に応じて自車両が自動停止した場合の停止中の動作について説明する。特に、ACCECU20における車両停止中処理について図3のフローチャートに沿って説明する。図3は、図1のACCECUにおける車両停止中処理の流れを示すフローチャートである。 【0046】 ミリ波レーダ10では、一定時間毎に、ミリ波を左右方向にスキャンしながら自車両から前方に向けて送信し、反射してきたミリ波を受信し、各反射点(検出点)についてのレーダ情報をACCECU20に送信している。 【0047】 ドライバはACCレバー17によってON操作を行っており、ACCシステム1(ACCECU20)は作動中である。ACCECU20では、先行車両認識処理によってミリ波レーダ10からの各検出点のレーダ情報に基づいて先行車両を認識しており、先行車両追従制御処理によって先行車両を追従して走行していた。そして、先行車両が停止したので、ACCECU20では、先行車両追従制御処理によって先行車両の停止に応じて自車両を自動停止させ、停止保持制御を行う。 【0048】 自車両を自動停止させると、ACCECU20では、ブレーキホールドによる停止保持中になったか否かを判定し(S1)、ブレーキホールドによる停止保持が行われるまでS1の判定を繰り返す。 【0049】 自動停止後に完全停止期間が経過すると、ACCECU20では、発進要求フラグを1から0に切り替える。この発進要求フラグ=0を受信すると、ブレーキ制御ECU30では、ブレーキホールドを作動し、DAMODEを0から1に切り替える。これによって、ACCECU20では、S1にてブレーキホールドによる停止保持中と判定する。このDAMODE=1と発進予約中フラグ=0を受信すると、メータECU32では、メータのディスプレイに”停止保持中”を表示させる(S2)。 【0050】 ブレーキホールドによる停止保持中、ACCECU20では、先行車両認識処理による先行車両の発進検知により、発進許可状態になったか否かを判定する(S3)。S3にて発進許可状態になったと判定した場合、ACCECU20では、発進許可フラグを0から1に切り替える(S4)。この発進許可フラグ=1を受信すると、メータECU32では、メータのディスプレイに”先行車発進”を表示させる(S4)。この表示に応じて”停止保持中”は消灯される。発進許可状態(発進許可フラグ=1)のときに、ACCECU20では、ドライバによる発進操作が行われた否かを判定する(S5)。S5にて発進操作が行われていないと判定した場合、ACCECU20では、S3の判定に戻る。 【0051】 S5にて発進操作が行われたと判定した場合、ACCECU20では、発進要求フラグ(レバー)が1となり、発進要求フラグ(レバー)=1に応じて停止保持要求フラグを1から0に切り替えるとともに発進要求フラグを0から1に切り替える(S10)。この停止保持要求フラグ=0に応じて、ACCECU20では、停止保持を解除する(S10)。この発進要求フラグ=1を受信すると、ブレーキ制御ECU30では、ブレーキホールドを解除し、DAMODEを1から0に切り替える(S10)。このDAMODE=0を受信すると、メータECU32では、メータのディスプレイの”先行車発進”を消灯させる。この際、発進操作がACCレバー17のレジューム操作の場合、ACCECU20では、自車両を自動発進させ、先行車両追従制御に復帰する。 【0052】 S3にて発進不許可状態(発進許可フラグ=0)と判定した場合、ACCECU20では、ドライバによる発進予約操作が行われた否かを判定する(S6)。S6にて発進予約操作が行われていないと判定した場合、ACCECU20では、S3の判定に戻る。 【0053】 S6にて発進予約操作が行われたと判定した場合、ACCECU20では、発進予約中フラグを0から1に切り替える(S7)。この発進予約中フラグ=1を受信すると、メータECU32では、メータのディスプレイの”停止保持中”を消灯させる(S7)。 【0054】 発進予約中(発進予約中フラグ=1)、ACCECU20では、先行車両認識処理による先行車両の発進検知により、発進許可状態になったか否かを判定する(S8)。S8にて発進許可状態になったと判定した場合、ACCECU20では、発進許可フラグを0から1に切り替え、発進予約操作後に有効期間経過したか否かを判定する(S9)。S9にて発進予約操作後に有効期間経過していると判定した場合、ACCECU20では、発進予約中フラグを1から0に切り替え、S6の判定に戻る。 【0055】 S9にて発進予約操作後に有効期間経過していないと判定した場合、ACCECU20では、発進許可フラグ=1に応じて発進要求フラグ(レバー)が1となり、発進要求フラグ(レバー)=1に応じて停止保持要求フラグを1から0に切り替えるとともに発進要求フラグを0から1に切り替える、(S10)。この停止保持要求フラグ=0に応じて、ACCECU20では、停止保持を解除する(S10)。この発進要求フラグ=1を受信すると、ブレーキ制御ECU30では、ブレーキホールドを解除し、DAMODEを1から0に切り替える(S10)。そして、ACCECU20では、自車両を自動発進させ、先行車両追従制御に復帰する。この際、発進予約中フラグ=1が継続されているので、メータのディスプレイには”先行車発進”が表示されない。 【0056】 このACCシステム1によれば、停止保持中に、ドライバによる発進予約がされている場合(ドライバの発進意志を確認できている場合)、先行車両が発進しても先行車発進の表示を行わないので、先行車両が発進しても発進操作を再度促すことなく、ドライバに対する煩わしさを抑制できる。さらに、ACCシステム1によれば、停止保持中に、ドライバによる発進予約がされている場合、停止保持中を消灯するので、ドライバに対する煩わしさを更に抑制できる。」 上記(1)ないし(8)の記載事項及び図示内容を総合し、引用文献1に記載された発明を、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。 〔引用発明1〕 「先行車両の停止に応じて自動で自車両を停止させる先行車追従制御を実行し、 先行車追従制御の実行中に先行車両の停止に応じて自動で自車両を停止した場合に停止保持制御を行うとともにメータに『停止保持中』という表示を提示し、 前記『停止保持中』という表示が提示されたのち、ドライバが自車両の発進予約操作をした場合であって、前記停車が検出された前記先行車両の発進を検出したときに、自車両を発進させる車両の制御方法。」 2 引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2(特開2006-290328号公報)には、「先行車追従制御装置」の発明に関して、図面(特に図8及び9を参照。)とともに以下の事項が記載されている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 先行車に追従して自動走行するための制御(以下、先行車追従制御と呼ぶ)を行うとともに、先行車追従制御中に車両が停止すると、車両の停止を保持する停止保持手段を作動させて停止保持制御を行う制御手段と、 前記停止保持制御中に、前記先行車追従制御を終了する操作が行われたことを判定する先行車追従制御終了判定手段とを備え、 前記制御手段は、前記先行車追従制御終了判定手段によって、前記停止保持制御中に前記先行車追従制御を終了する操作が行われたと判定されると、前記停止保持制御を継続した状態で、前記先行車追従制御を終了することを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項2】 請求項1に記載の先行車追従制御装置において、 前記先行車追従制御を終了する操作には、エンジンの停止操作も含まれることを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項3】 請求項1または2に記載の先行車追従制御装置において、 前記制御手段は、前記先行車追従制御が行われておらず、かつ、前記停止保持制御が行われている状態において、所定の操作が行われると、前記停止保持制御を継続した状態で、前記先行車追従制御を開始することを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項4】 請求項3に記載の先行車追従制御装置において、 前記所定の操作は、前記停止保持制御が行われていない状態において、前記先行車追従制御を開始するための操作と同一であることを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項5】 請求項1?4のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、 前記制御手段は、前記停止保持制御が行われている間に先行車両が発進した場合でも、前記先行車追従制御による制御よりも、前記停止保持制御を優先して行うことを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項6】 請求項1?5のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、 前記停止保持手段は、少なくとも車両の減速時に用いられる第1のブレーキとは、ブレーキの作動方法が異なる第2のブレーキを用いて、前記停止保持制御を行い、 前記先行車追従制御中に、前記停止保持制御を解除する操作が行われたことを判定する解除操作判定手段と、 前記解除操作判定手段によって、前記先行車追従制御中に、前記停止保持制御を解除する操作が行われたと判定されると、前記第2のブレーキによる車両の停止保持制御を解除するとともに、前記第1のブレーキを作動させるブレーキ切り換え手段とをさらに備えることを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項7】 請求項6に記載の先行車追従制御装置において、 前記ブレーキ切り換え手段は、前記第2のブレーキから前記第1のブレーキに切り換える際、前記第2のブレーキの制動力の減少速度を、通常時の減少速度より遅くすることを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項8】 請求項6または7に記載の先行車追従制御装置において、 前記第1のブレーキは、油圧ブレーキであり、前記第2のブレーキは、電動機のトルクを利用して、制動力を得る電動パーキングブレーキであることを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項9】 請求項6または7に記載の先行車追従制御装置において、 前記第1のブレーキは、油圧ブレーキであり、前記第2のブレーキは、前記油圧ブレーキのブレーキ圧液を閉じこめることにより、車両の停止を保持することを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項10】 請求項1?9のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、 前記先行車追従制御が行われている状態で前記停止保持制御が開始されると、前記先行車追従制御中でかつ前記停止保持制御が作動中であることを示す表示を行う表示手段をさらに備えることを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項11】 請求項10に記載の先行車追従制御装置において、 前記表示手段は、前記先行車追従制御終了判定手段によって、前記停止保持制御中に前記先行車追従制御を終了する操作が行われたと判定されると、前記先行車追従制御が作動していないことを示す表示を行うことを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項12】 請求項10または11に記載の先行車追従制御装置において、 前記表示手段は、前記先行車追従制御が行われている状態で前記停止保持制御が開始されると、車両を発進させるために必要な操作方法を表示することを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項13】 請求項12に記載の先行車追従制御装置において、 前記表示手段は、前記車両を発進させるために必要な操作方法を、文字、記号および絵のうちの少なくとも1つを用いて表示することを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項14】 請求項12または13に記載の先行車追従制御装置において、 前記表示手段は、前記先行車追従制御終了判定手段によって、前記停止保持制御中に前記先行車追従制御を終了する操作が行われたと判定されると、前記車両を発進させるために必要な操作方法の表示を消去することを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項15】 請求項11?14のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、 前記先行車追従制御が行われている状態で前記停止保持制御が開始されたことを音で知らせる報知手段をさらに備えることを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項16】 請求項1および請求項3?15のいずれか一項に記載の先行車追従制御装置において、 前記先行車追従制御を終了する操作は、前記先行車追従制御を作動待機状態にするための操作、または、制御システムをオフ状態にする操作を含むことを特徴とする先行車追従制御装置。 【請求項17】 先行車に追従して自動走行する先行車追従制御を行うとともに、車両の停止時には車両の停止を保持する停止保持制御を行う先行車追従制御装置であって、前記停止保持制御が行われている状態で前記先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われたとき、前記停止保持制御を継続した状態で前記先行車追従制御を終了することを特徴とする先行車追従制御装置。」 (2)「【0001】 本発明は、先行車に追従して走行する先行車追従制御装置に関する。」 (3)「【0005】 本発明による先行車追従制御装置は、先行車に追従して自動走行するための制御を行うとともに、車両の停止時には、車両の停止を保持する制御を行うものであって、停止保持制御が行われている状態で、先行車追従制御を終了する操作がドライバによって行われると、停止保持制御を継続した状態で、先行車追従制御を終了することを特徴とする。」 (4)「【0007】 -第1の実施の形態- 図1は、第1の実施の形態における先行車追従制御装置を搭載した車両の主要構成図である。この車両は、車間距離センサ1と、制御装置2と、エンジン3と、自動変速機4と、スロットルアクチュエータ5と、ブレーキアクチュエータ6と、車速センサ7と、油圧ブレーキ8と、ディファレンシャル9と、操作スイッチ10と、電動パーキングブレーキ11(以下、EPKB11)と、電動パーキングブレーキスイッチ12(以下、EPKBスイッチ12)と、電動パーキングブレーキコントローラ13(以下、EPKBコントローラ13)と、電動パーキングブレーキアクチュエータ14(以下、EPKBアクチュエータ14)と、ブレーキセンサ15と、アクセルセンサ16とを備える。 【0008】 車間距離センサ1は、レーダ装置を備えており、車両前方にレーザ光を送出することによって、先行車を検出するとともに、検出した先行車までの車間距離を検出する。車速センサ7は、車両の速度を検出する。制御装置2は、車間距離センサ1により検出される車間距離、および、車速センサ7によって検出される自車両の速度に基づいて、自車両が先行車両に追従して自動走行するための先行車追従制御を行う。すなわち、予め設定されている車速を上限として、自車両と先行車両との車間距離が一定距離に保たれるように、スロットルアクチュエータ5およびブレーキアクチュエータ6を制御する。」 (5)「【0012】 図2は、先行車追従制御の各種操作を行うための操作スイッチ10の詳細な構成を示す図である。この操作スイッチ10は、ステアリング上のドライバが操作しやすい位置に設けられている。メインスイッチ21は、先行車追従制御システムのオン/オフを行うためのスイッチである。リジューム/アクセラレートスイッチ22は、先行車追従制御が行われている時に、速度を上昇させるためのスイッチであり、セット/コーストスイッチ23は、先行車追従制御が行われている時に、速度を減少させるためのスイッチである。セット/コーストスイッチ23は、また、メインスイッチ21が押されて、先行車追従制御システムがオンの状態の時に、先行車追従制御を開始するためのスイッチでもある。」 (6)「【0014】 図3は、先行車追従制御に関する各制御状態の遷移図である。状態31は、操作スイッチ10のメインスイッチ21がオフの状態、すなわち、先行車追従制御システムがオフの状態である。この状態から、メインスイッチ21が押されると、状態32に移行する。状態32は、先行車追従制御システムがオンの状態であるが、先行車追従制御(ACC)が開始されていない作動待機状態である。この状態でメインスイッチ21が押されると、先行車追従制御システムがオフとなり、状態31に移行する。また、先行車追従制御システムに異常が発生したことが検知された場合も、状態32から状態31に移行する。 【0015】 状態33は、先行車追従制御が行われている状態である。状態32から状態33に移行するためには、車速が10km/h?100km/hであって、ドライバが図示しないブレーキペダルの操作を行っておらず、かつ、セット/コーストスイッチ23が操作されるという3つの条件が成立することが必要である。逆に、先行車追従制御が行われている状態33から状態32に移行するためには、以下の(a)?(d)の4つの条件のうち、いずれか1つの条件が成立することが必要である。 (a)ドライバがブレーキペダルの操作を行う (b)キャンセルスイッチ24が操作される (c)自動変速機4のシフト位置がドライブ(D)以外の位置に動かされる (d)ワイパが所定回数以上、連続して作動する すなわち、(a)?(d)は、先行車追従制御を終了(解除)するための操作であり、ドライバが(a)?(d)のいずれかの操作を行うと、先行車追従制御の待機状態である状態32に移行する。なお、ドライバによるブレーキペダルの操作の有無は、ブレーキセンサ15によって検知されて、制御装置2に入力される。 【0016】 状態34は、先行車追従制御が行われており、かつ、車両の停止を保持する停止保持制御が行われている状態である。先行車追従制御が行われている状態33において、先行車に追従して、自車両が減速をして停止すると、状態34に移行する。先行車追従制御が行われている状態33では、制御装置2は、車両の減速が必要と判断すると、ブレーキアクチュエータ6によって、油圧ブレーキ8を作動させる。その後、先行車が停止したことに伴って、自車両を停止させると、制御装置2は、車両の停止状態を保持するためのブレーキを、油圧ブレーキ8から、EPKB11に切り換える。すなわち、車両が停止すると、制御装置2は、ブレーキアクチュエータ6による油圧ブレーキの作動を解除させるとともに、EPKBコントローラ13に対して、EPKB11の作動命令を出す。この命令を受けたEPKBコントローラ13は、EPKBアクチュエータ14を作動させて、EPKB11を作動させる。EPKB11によって車両を停止保持させる制御を、ここでは、停止保持制御と呼ぶ。 【0017】 EPKB11が作動している状態34において、ドライバが図示しないアクセルペダルを操作すると、車両が発進し、先行車追従制御が行われる状態33に移行する。すなわち、この先行車追従制御システムでは、先行車が発進しても、先行車追従制御による車両の発進を行わずに、ドライバによる所定の発進操作が行われた場合、すなわち、アクセルセンサ16によって、アクセルペダルが操作されたことが検知されると、車両を発進させる。なお、所定の発進操作は、アクセルペダルの操作以外にも、例えば、図2のセット/コーストスイッチ23の操作であってもよく、ドライバの発進意図が明確となれば、他の任意のスイッチでもよい。 【0018】 先行車追従制御が作動しており、かつ、車両の停止保持制御が行われている状態34において、上述した(a)?(d)の4つの条件のうち、いずれか1つの条件が成立すると、状態35に移行する。状態35は、先行車追従制御システムがオンの状態であるが、先行車追従制御が開始されていない待機状態であり、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態である。 【0019】 すなわち、第1の実施の形態における先行車追従制御装置では、先行車追従制御が行われており、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態で、ドライバが先行車追従制御を終了(解除)するための操作を行うと、停止保持制御は継続した状態で、先行車追従制御を終了する。これにより、ドライバが意図せずに、ブレーキペダルを踏んでしまったり、キャンセルスイッチ24を押してしまった場合でも、EPKB11が作動したままとなっているので、車両の不用意な発進を防止することができる。 【0020】 状態35から状態34に移行するためには、次の(e)?(h)の4つの条件が全て成立することが必要である。 (e)車両が停止している(車速が0である) (f)EPKB11が作動している (g)ドライバがブレーキ操作を行っていない (h)セット/コーストスイッチ23が操作される 【0021】 すなわち、先行車追従制御が行われておらず、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、ドライバがセット/コーストスイッチ23を操作すると、状態34に移行する。この操作は、先行車追従制御が行われていない状態32から、先行車追従制御が行われる状態33に移行するための操作(先行車追従制御を開始するための操作)と同じ操作である。」 (7)「【0027】 図4は、先行車追従制御が行われている状態33において、第1の実施の形態における先行車追従制御装置により行われる処理内容を示すフローチャートである。先行車追従制御が開始されると、制御装置2は、ステップS10の処理を開始する。ステップS10では、車速センサ7によって検出される自車両の速度を取得して、ステップS20に進む。 【0028】 ステップS20では、車間距離センサ1によって検出される先行車までの車間距離を取得して、ステップS30に進む。ステップS30では、ステップS10で取得した車速、および、ステップS20で取得した車間距離に基づいて、先行車に追従して走行するための自車両の目標車速を算出する。目標車速は、既知の方法を用いて算出することができる。目標車速を算出すると、ステップS40に進む。 【0029】 ステップS40では、車速センサ7により検出された車速に基づいて、自車両の速度が0になったか否か、すなわち、自車両が停止したか否かを判定する。自車速が0であると判定するとステップS50に進む。ステップS50では、ステップS30で算出した目標 車速が0であるか否かを判定する。目標車速が0であると判定するとステップS70に進み、0ではないと判定すると、ステップS60に進む。 【0030】 ステップS60では、図示しないアクセルペダルが踏まれたか否かを判定する。先行車追従制御が行われている時に車両が停止し、その後、先行車が発進して、車間距離が広がると、目標車速が0ではなくなる。この状態で、ドライバがアクセルペダルを踏むことにより、車両の発進意図が明確になると、ステップS100に進む。一方、アクセルペダルが踏まれていないと判定すると、ステップS70に進む。」 (8)「【0036】 一方、ステップS40において、自車両の速度が0ではないと判定すると、ステップS100に進む。ステップS100では、ステップS30で算出した目標車速および現在の自車両の速度に基づいて、車両の加減速を行うためのスロットルアクチュエータ指令値を算出する。ここでは、車速が目標車速より低い場合に、車両を加速させるための指令値を正の値として算出し、車速が目標車速より高い場合に、車両を減速させるための指令値を負の値として算出する。スロットルアクチュエータ5への指令値を算出すると、ステップS110に進む。 【0037】 ステップS110では、ステップS100で算出したスロットルアクチュエータ指令値が正の値であるか否かを判定する。指令値が正の値であると判定するとステップS140に進む。ステップS140では、ステップS100で算出した指令値をスロットルアクチュエータ5に出力する。この指令値に基づいて、スロットルアクチュエータ5がスロットルバルブ(不図示)の開度を制御することにより、車両が加速して、車両の速度を目標車速に到達させることができる。」 (9)「【0042】 第1の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が行われており、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態で、ドライバがアクセルペダルや、セット/コーストスイッチ23等を操作した場合に、EPKB11を解除した。すなわち、先行車追従制御よりも停止保持制御を優先して行うようにして、先行車が発進した場合でも、ドライバによる発進意図が明確にならない限り、停止保持制御を行うようにしたので、ドライバの意図に応じた制御を行うことができる。」 (10)「【0043】 -第2の実施の形態- 図6は、第2の実施の形態における先行車追従制御装置を搭載した車両の主要構成図であり、図1に示す第1の実施の形態における先行車追従制御装置の構成図に対して、ディスプレイ20およびスピーカ30が追加されている。ディスプレイ20は、車内に設置されており、制御装置2からの指示に基づいた表示を行う。スピーカ30も車内に設置されており、制御装置2からの指示に基づいた音を出力する。 【0044】 第2の実施の形態における先行車追従制御装置では、先行車追従制御に関する各制御状態(図3参照)のうち、車両が現在どの状態にあるのかをドライバが認識できるような表示を行う。具体的には、先行車追従制御に関する各制御状態のうち、先行車追従制御が行われている状態33(図3参照)、先行車追従制御が作動しており、かつ、車両の停止保持制御が行われている状態34、先行車追従制御が作動待機中である状態32、および、先行車追従制御が作動待機状態であり、かつ、車両の停止保持制御が行われている状態35の各状態が識別できるような表示を行う。 【0045】 図7は、第2の実施の形態における先行車追従制御装置によって行われる処理内容を示すフローチャートである。先行車追従制御が開始されると、制御装置2は、ステップS200の処理を開始する。ステップS200では、ディスプレイ20に、先行車追従制御が作動中である(状態33)ことを示す表示を行う。図8は、停止保持制御が行われていない状態で、先行車追従制御が作動中であることを示す表示の一例である。 【0046】 ステップS200に続くステップS210では、停止保持制御が開始されたか否かを判定する。上述したように、先行車追従制御中に、先行車に追従して自車両が停止すると、EPKB11が作動して、停止保持制御が行われる。停止保持制御が開始されていないと判定すると、ステップS200で待機して、先行車追従制御が作動中であることを示す表示(図8参照)を継続して行う。一方、停止保持制御が開始されたと判定すると、ステップS220に進む。 【0047】 ステップS220では、図3に示す状態33から状態34に移行したこと、すなわち、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が開始されたことをドライバに報知するための音をスピーカ30から出力する。例えば、「ピッ!」という音を出力することによって、停止保持制御が開始されたことをドライバに知らせる。 【0048】 ステップS220に続くステップS230では、ディスプレイ20に、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中である(状態34)ことを示す表示を行う。図9は、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示 す表示の一例である。図9に示す表示例では、「SET」という文字とともに、ボタンを押し下げる様子を示す絵を表示している。この表示例では、セット/コーストスイッチ23を押すことにより、停止保持制御を解除して先行車追従制御による加速(発進)ができることを視覚的に分かるような表示をしている。すなわち、ドライバは、ディスプレイ20の表示が図8に示す表示から図9に示す表示に切り替わったことを確認することにより、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動したことを認識することができ、また、図9に示す表示を確認することにより、セット/コーストスイッチ23を押せば、停止保持制御を解除することができることを認識することができる。 【0049】 ステップS230に続くステップS240では、先行車追従制御を作動待機状態とするための操作が行なわれたか否か、すなわち、上述した(a)?(d)の条件のうち、少なくとも1つの条件が成立したか否かを判定する。(a)?(d)の条件のうち、少なくとも1つの条件が成立したと判定すると、ステップS250に進む。ステップS250では、停止保持制御を継続したまま、先行車追従制御を待機状態とする。これにより、図3に示す状態34から状態35に移行する。この時、ディスプレイ20の表示を、先行車追従制御が待機状態であることを示す表示に切り換える。図10は、先行車追従制御が待機状態であることを示す表示の一例である。なお、図3に示す状態32であることを示す表示も図10に示す表示と同様である。」 (11)「【0052】 第2の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、先行車追従制御が行われている状態で停止保持制御が開始されると、停止保持制御が作動中であることを示す表示を行うので、ドライバは、先行車追従制御による自動走行が行われている状態から、車両の停止を保持する状態に移行したことを視認することができる。逆に、停止保持制御が作動中であることを示す表示が無ければ、先行車追従制御が継続して行われていると判断することができる。 【0053】 また、第2の実施の形態における先行車追従制御装置によれば、停止保持制御が行われている状態で先行車追従制御が終了すると、先行車追従制御が作動していない旨の表示を行うので、ドライバは、先行車追従制御が作動していないことを視認することができる。 【0054】 さらに、先行車追従制御が行われている状態で停止保持制御が開始されると、車両を発進させるために必要な操作方法を表示するので、ドライバは、車両を発進させるために必要な操作方法を容易に認識することができる。特に、車両を発進させるために必要な操作方法を文字、記号や絵のうちの少なくとも1つで表示することにより、ドライバは、迅速かつ容易に操作方法を認識することができる。」 (12)「【0061】 第2の実施の形態では、停止保持制御が行われていない状態で、先行車追従制御が作動中であることを示す表示の一例を図8に、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す表示の一例を図9に、先行車追従制御が待機状態であることを示す表示の一例を図10にそれぞれ示したが、表示方法は、図示したものに限定されることはなく、現在の制御状態が認識できるものであればよい。」 (13)段落【0012】の「セット/コーストスイッチ23は、先行車追従制御が行われている時に、速度を減少させるためのスイッチである。セット/コーストスイッチ23は、また、メインスイッチ21が押されて、先行車追従制御システムがオンの状態の時に、先行車追従制御を開始するためのスイッチでもある。」という記載から、セット/コーストスイッチ23は、メインスイッチ21が押されて、先行車追従制御システムがオンの状態の時に、先行車追従制御を開始するためのスイッチでもあることが分かる。 (14)段落【0017】の「EPKB11が作動している状態34において、ドライバが図示しないアクセルペダルを操作すると、車両が発進し、先行車追従制御が行われる状態33に移行する。すなわち、この先行車追従制御システムでは、先行車が発進しても、先行車追従制御による車両の発進を行わずに、ドライバによる所定の発進操作が行われた場合、すなわち、アクセルセンサ16によって、アクセルペダルが操作されたことが検知されると、車両を発進させる。なお、所定の発進操作は、アクセルペダルの操作以外にも、例えば、図2のセット/コーストスイッチ23の操作であってもよく、ドライバの発進意図が明確となれば、他の任意のスイッチでもよい。」という記載から、EPKB11が作動している状態34において、ドライバがセット/コーストスイッチ23を操作すると、車両が発進し、先行車追従制御が行われる状態33に移行することが分かる。また、セット/コーストスイッチ23は、ドライバの発進意図が明確になるものであることが分かる。 (15)段落【0021】の「すなわち、先行車追従制御が行われておらず、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、ドライバがセット/コーストスイッチ23を操作すると、状態34に移行する。この操作は、先行車追従制御が行われていない状態32から、先行車追従制御が行われる状態33に移行するための操作(先行車追従制御を開始するための操作)と同じ操作である。」という記載から、先行車追従制御が行われておらず、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、ドライバがセット/コーストスイッチ23を操作すると、状態34に移行することが分かる。 上記(1)ないし(15)の記載事項及び図示内容を総合し、引用文献2に記載された「第1の実施の形態」及び「第2の実施の形態」に関する発明を、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。 〔引用発明2〕 「先行車に追従して、自車両が減速して停止する先行車追従制御を実行し、 前記先行車追従制御の実行中に自車両と先行車両が停止している場合に、前記先行車両が発進する前に、ディスプレイ20に、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す表示を行い、 前記先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す表示が表示されたのち、ドライバがセット/コーストスイッチ23を押すと、車両が発進し、先行車追従制御が行われる状態33に移行する車両の制御方法。」 第5 対比・判断 第5-1 本願発明と引用発明1との対比・判断 本願発明と引用発明1とを対比すると、その機能、構成又は技術的意義からみて、引用発明1の「停止させる」ことは、本願発明の「停車させる」ことに相当し、同様に、引用発明1の「先行車追従制御」は、本願発明の「自動走行制御」に相当する。 また、引用発明1における「先行車両の停止に応じて自動で」は、ドライバーのブレーキ操作によらないものであるから、本願発明における「ドライバーのブレーキ操作に依らずに先行車両に追従して」に相当する。 また、引用発明1における「先行車追従制御中に先行車両の停止に応じて自動で自車両を停止した場合」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明における「自動走行制御の実行中に自車両と先行車両が停車している場合」に相当する。 また、引用発明1における「『停止保持中』という表示」と、本願発明における「自車両の発進指示をドライバーに喚起するための発進指示情報」及び「発進指示情報」とは、「所定の情報」という限りにおいて一致する。 また、引用発明1における「ドライバが自車両の発進予約操作をした場合」は、先行車が発進すれば自車両も発進する状態になった場合であるから、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明における「ドライバーが自車両の発進を指示した場合」に相当する。 そうすると、引用発明1と本願発明とは、次の一致点、相違点がある。 〔一致点〕 「ドライバーのブレーキ操作に依らずに先行車両に追従して自車両を停車させる自動走行制御を実行し、 前記自動走行制御の実行中に自車両と先行車両が停車している場合に、前記先行車両が発進する前に、自車両の発進指示をドライバーに喚起するための所定の情報を提示し、 前記所定の情報が提示されたのち、ドライバーが自車両の発進を指示した場合であって、前記停車が検出された前記先行車両の発進を検出したときに、自車両を発進させる車両の制御方法。」 〔相違点1〕 「所定の情報」に関して、本願発明においては「自車両の発進指示をドライバーに喚起するための発進指示情報」であるのに対し、引用発明1においては「停止保持中」という表示である点。 2 判断 (1)相違点1について 本願発明における「発進指示情報」という用語の意味を知るために、本願の明細書を参照する。 本願明細書の段落【0027】及び【0028】には、以下のように記載されている。(下線は当審で付した。) 「【0027】 また、制御装置150は、自車両が追従走行制御を行っている場合において、先行車両が停車したことにより自車両も付随して停車した場合、且つ、自車両が発進可能な状態である場合には、図3(B)に示すように、ドライバーに自車両の発進指示を喚起する発進指示情報MSGを、ディスプレイ130に表示させることができる。たとえば、制御装置150は、走行制御機能により、図3(B)に示すように、「RES+(発進指示スイッチ124)を押すと再開します。」などの発進指示情報を、ディスプレイ130に表示させることができる。そして、ドライバーが、発進指示情報に応答して、図2に示す発進指示スイッチ124をオンに設定することで、発進指示スイッチ124から制御装置150に発進指示スイッチ124がオンになったことを示す信号が出力される。そして、制御装置150が発進指示スイッチ124のオン信号を受信すると、制御装置150は、走行制御機能により、追従待機制御から追従走行制御に切り替えて、エンジンやブレーキなどの駆動機構140の動作を制御して、自車両を発進させる。これにより、本実施形態に係る制御装置150は、追従走行制御において先行車両に付随して自車両を停車させた場合において、自車両の発進準備ができている場合には、ドライバーが所望するタイミングで自車両を発進させることができる。 【0028】 なお、ドライバーが発進指示スイッチ124をオンに設定して自車両の発進を指示した場合には、制御装置150は、走行制御機能により、追従待機制御から追従走行制御へと切り替えを行うが、先行車両が停車した状態のままであり、自車両を発進できない場合には、ドライバーが発進を指示してから所定の第2時間が経過し、かつ、自車両が発進可能な状態である場合に、再度、追従走行制御から追従待機制御に切り替えて、発進指示情報をディスプレイ130の画面に表示させる。このように、ドライバーが発進指示スイッチ124をオンに設定して自車両の発進を指示しても、先行車両が停車しており自車両が発進できない場合には、第2時間が経過した後に、再度、発進指示情報がドライバーに提示されることとなる。」 上記記載から、「発進指示情報」とは、「ドライバーに自車両の発進指示を喚起する発進指示情報MSG」であり、例えば、図3(B)に示される「RES+を押すと再開します。」という表示であることが分かる。そして、ドライバーが、発進指示情報に応答して、図2に示す発進指示スイッチ124をオンに設定することで、制御装置150は、走行制御機能により、追従待機制御から追従走行制御に切り替えるものであることが分かる。 一方、引用文献1の段落【0030】の「ブレーキホールド中、ドライバによる発進予約操作が行われていない場合、発進予約中フラグ=0なので、DAMODE=1かつ発進予約中フラグ=0により、メータには”停止保持中”が表示される。」及び段落【0032】の「ドライバによる発進予約操作が行われた場合、ACCECU20では、発進予約中フラグを0から1に切り替える。発進予約中フラグ=1により、メータでは”停止保持中”が消灯される。」及び段落【0017】の「ACCシステム1では、ブレーキホールドによる停止保持中にドライバが発進予約操作を行うと、メータの”停止保持中”を消灯させる。さらに、ACCシステム1では、発進予約中に先行車両が発進すると、メータに”先行車発進”を表示させることなく、自車両を自動で発進させて先行車両追従制御を再開する。」という記載からみて、引用発明1における「停止保持中」という表示は、ブレーキホールド中にドライバによる発進予約操作が行われていないことを示す表示であり、ドライバによる発進予約操作が行われた場合に消灯される表示である。 また、引用文献1の段落【0007】の「しかし、先行車両発進報知装置では、車両停止中に、ドライバが発進予約操作を行った場合、先行車両の発進を検知しても先行車両発進の報知を行わない。発進予約操作は、車両停止中に先行車両が発進した場合には先行車両の発進に応じて車両を発進させるための操作であり、ドライバによる発進意志を表す。このように、先行車両発進報知装置では、車両停止中にドライバによる発進予約操作が行われた場合(発進意志を確認できた場合)には先行車両発進の報知を中止することにより、先行車両が発進しても発進操作を再度促すことなく、ドライバに対する煩わしさを抑制できる。」という記載から分かるように、引用発明1においてドライバに発進予約操作をさせるための「停止保持中」という表示は、ドライバに発進操作を一度促す表示である。 そうすると、本願発明における「発進指示情報」は、追従待機制御から追従走行制御(先行車が発進すれば自車両も発進する状態)に切り替えを促す情報であり、引用発明1における「停止保持中」の表示は、発進予約操作が行われていない状態から発進予約操作が行われた状態(先行車が発進すれば自車両も発進する状態)への切り替えを促す表示であるから、引用発明における「停止保持中」の表示は、本願発明における「発進指示情報」と同じ役割を果たすものである。 そして、本願発明において、図3(B)に示される「RES+を押すと再開します。」という表示を見たときに、その車両の運転に習熟した運転者であれば、その表示が追従待機制御から追従走行制御(先行車が発進すれば自車両も発進する状態)に切り替えを促す表示であることが理解できるように、引用発明1においても、「停止保持中」という表示を見たときに、その車両の運転に習熟した運転者であれば、その表示が発進予約操作が行われていない状態から発進予約操作が行われた状態(先行車が発進すれば自車両も発進する状態)への切り替えを促す表示であることが理解できるはずである。 したがって、引用発明1における「『停止保持中』という表示」は、実質的に、本願発明における「自車両の発進指示をドライバーに喚起するための発進指示情報」及び「発進指示情報」に相当する。 そうすると、上記相違点1は実質的な相違点ではなく、仮に相違点であるとしても、当業者が適宜なし得た設計的な事項というべきである。 (2)効果について 本願発明は、全体としてみても、引用発明1から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1であり、また、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)請求人の審判請求書における主張について ア 請求人の主張 請求人は、審判請求書の第1 3.(2)及び(3)において、以下のように主張する。 「(2)しかしながら、出願人は、引用文献1に記載の「停止保持中」との表示が、「自車両の発進指示をドライバーに喚起するための発進指示情報」に相当するとした認定に承服できません。 引用文献1に記載の「停止保持中」の表示は、[0015]及び[0017]に記載のとおり、フェールセーフの観点から実施されるブレーキホールドの状態をドライバーに知らせ、これによりドライバーに安心感を与えるものであることは明らかです。 しかも、[0017]の「ACCシステム1では、先行車両追従制御で先行車両の停止に応じて自動で自車両を停止させた場合、ブレーキホールドによる停止保持を行うと、メータに“停止保持中”を表示させ、ドライバーに停止保持状態であることを知らせる。さらに、ACCシステム1では、ブレーキホールドによる停止保持中に先行車両が発進すると、メータに“先行車発進”を表示させ、ドライバーに発進操作を促す。」という連続する2つの文章の記載から解釈しても、「先行車発進」という表示がドライバーに発進操作を促すものであって、「停止保持中」の表示は、ドライバーに発進操作を促すものではないとの反対解釈ができます。ドライバーに発進操作を促す表示が複数存在すること自体、常識的に考えてあり得ないからです。 (3)この出願人の反論に対し、拒絶査定の理由において、「ドライバーが発進予約操作を行うと“停止保持中”が消灯されるものであるから、“停止保持中”の表示は、発進予約操作を行う必要があるとドライバーに喚起するものにもなっている。」と認定しています。しかしながら、その解釈は、後知恵にほかならないと思料します。 つまり、「ドライバーが発進予約操作を行うと“停止保持中”が消灯する」表示は、ドライバーが発進予約操作を行うまでは消灯しないので、その消灯しない状態の表示は、発進予約操作を喚起するものとは言えません。すなわち、発進予約操作を行ってから消灯する表示は、その発進予約操作を行わない限りその操作に関連する表示であることは知り得ないからです。 これに対して、本願発明に係る発進指示情報は、請求項1に記載のとおり「自車両の発進指示をドライバーに喚起するため」の情報であるから、発進指示をしないと知り得ない引用文献1に記載の「停止保持中」の表示は、発進予約操作を行う必要があるとドライバーに喚起するものではありません。 ちなみに、引用文献1に記載の一連の動作説明において、メータに「停止保持中」の表示を行ってからドライバーが発進予約操作を行うことは、[0038]?[0039]に記載されていますが、「停止保持中」の表示が、ドライバーの発進予約操作を促すものであることの記載は、何らありません。」 イ 検討 しかしながら、上記(1)に示したように、引用発明1における「停止保持中」という表示は、ブレーキホールド中にドライバによる発進予約操作が行われていないことを示す表示であり、ドライバによる発進予約操作が行われた場合に消灯される表示であるから、ドライバによる発進予約操作を促すものであるといえる。 また、引用文献1の段落【0007】の「しかし、先行車両発進報知装置では、車両停止中に、ドライバが発進予約操作を行った場合、先行車両の発進を検知しても先行車両発進の報知を行わない。発進予約操作は、車両停止中に先行車両が発進した場合には先行車両の発進に応じて車両を発進させるための操作であり、ドライバによる発進意志を表す。このように、先行車両発進報知装置では、車両停止中にドライバによる発進予約操作が行われた場合(発進意志を確認できた場合)には先行車両発進の報知を中止することにより、先行車両が発進しても発進操作を再度促すことなく、ドライバに対する煩わしさを抑制できる。」という記載からも、ドライバによる発進予約操作を最初に促すものであることが示唆されているといえる。 したがって、審判請求人の主張は、当を得たものではない。 第5-2 引用発明2との対比・判断 1 対比 本願発明と引用発明2とを対比すると、その機能、構成又は技術的意義からみて、引用発明2の「先行車に追従して、自車両が減速して停止する先行車追従制御」は、本願発明の「ドライバーのブレーキ操作に依らずに先行車両に追従して自車両を停車させる自動走行制御」に相当し、以下同様に、「先行車追従制御」は「自動走行制御」に、「停止」は「停車」に、「ドライバ」は「ドライバー」に、それぞれ相当する。 また、引用発明2の「ディスプレイ20に、先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中である(状態34)ことを示す表示(図9)を行い」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明の「自車両の発進指示をドライバーに喚起するための発進指示情報を提示し」に相当する。 そうすると、引用発明2と本願発明とは、次の一致点、相違点がある。 〔一致点〕 「ドライバーのブレーキ操作に依らずに先行車両に追従して自車両を停車させる自動走行制御を実行し、 前記自動走行制御の実行中に自車両と先行車両が停車している場合に、前記先行車両が発進する前に、自車両の発進指示をドライバーに喚起するための発進指示情報を提示する車両の制御方法。」 〔相違点2〕 本願発明においては、「前記発進指示情報が提示されたのち、ドライバーが自車両の発進を指示した場合であって、前記停車が検出された前記先行車両の発進を検出したときに、自車両を発進させる」のに対し、引用発明2においては、前記先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中であることを示す表示が提示されたのち、ドライバがセット/コーストスイッチ23を押すと、車両が発進し、先行車追従制御が行われる状態33に移行する点。 2 判断 (1)相違点2について 引用発明2の「前記先行車追従制御が作動している状態で、停止保持制御が作動中である(状態34)ことを示す表示(図9)が提示された」状態は、その技術的意義からみて、本願発明の「発進指示情報が提示された」状態に対応する。 また、引用発明2の「ドライバがセット/コーストスイッチ23を押す」ことは、その技術的意義からみて、本願発明の「ドライバーが自車両の発進を指示した」ことに対応する。 そして、引用発明2の「車両が発進し、先行車追従制御が行われる状態33」において先行車が発進すれば、自車両が発進するのは自明である。 したがって、引用発明2において「ドライバがセット/コーストスイッチ23を押すと、車両が発進し、先行車追従制御が行われる状態33に移行する」ことは、その技術的意義からみて、本願発明において「前記停車が検出された前記先行車両の発進を検出したときに、自車両を発進させる」ことに実質的に相当する。 そうすると、相違点2は、実質的な相違点ではなく、仮に相違点であるとしても、当業者が適宜なし得た設計的事項というべきである。 (2)効果について 本願発明は、全体としてみても、引用発明2から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明2であり、また、引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)請求人の審判請求書における主張について ア 請求人の主張 請求人は、審判請求書第1 4.(3)ないし(5)において、以下のように主張する。 「(3)すなわち、引用文献2の[0030]には、「ステップS60では、図示しないアクセルペダルが踏まれたか否かを判定する。先行車追従制御が行われている時に車両が停止し、その後、先行車が発進して、車間距離が広がると、目標車速が0ではなくなる。この状態で、ドライバーがアクセルペダルを踏むことにより、車両の発進意図が明確になると、ステップS100に進む。一方、アクセルペダルが踏まれていないと判定すると、ステップS70に進む。」と記載されています。 ここで、上記[0030]の「図示しないアクセルペダルが踏まれたか否かを判定する」と、「この状態で、ドライバーがアクセルペダルを踏むことにより、」の「アクセルペダルを踏む」操作は、拒絶査定の認定どおり、セット/コーストスイッチ23を押す操作と同じ意味です。すなわち、図4のステップS60では、ドライバーの発進意図が入力されたか否かを判定します。 したがって、上記[0030]は、「先行車追従制御が行われている時に車両が停止し、その後、先行車が発進して、車間距離が広がると、目標車速が0ではなくなる。この状態で、ドライバーがセット/コーストスイッチ23を押すことにより、車両の発進意図が明確になると、ステップS100に進む。」と読み替えることができます。 すなわち、図4のフローチャートのS40?S60の順序で示すとおり、ステップS40にて自車両の速度=0(自車両が停車中)である場合は、ステップS50へ進み、ステップS50にて目標車速=0か否かを判断します。このステップS50のタイミングにおいて、先行車両が発進して自車両との車間距離が広がると、自動追従システムにより目標車速が0でなくなります。そのため、ステップS60へ進み、ここでアクセルペダルが踏まれたか、すなわちセット/コーストスイッチ23が押されることにより車両の発進意図が明確になったか否かを判定し、セット/コーストスイッチ23が押された場合に、ステップS100へ進んで自車両を発進させます。 つまり、引用文献2には、先行車が発進して車間距離が広がり、自車両の目標車速が0ではなくなった状態で、セット/コーストスイッチ23を押したときに限り、自車両が自動発進することが記載され、それ以外の事項は何ら記載されていません。 (4)この点について、拒絶査定の理由においては、「自車両と先行車両が停止している場合に、セット/コーストスイッチ23を解除し得るものであり、その解除状況を確認するのが図4のステップ60にすぎない。」と認定しています。 しかしながら、セット/コーストスイッチ23の解除状況を確認するのが図4のステップ60に過ぎないというのなら、[0030]に記載の「先行車追従制御が行われている時に車両が停止し、その後、先行車が発進して、車間距離が広がると、目標車速が0ではなくなる。この状態で、ドライバーがアクセルペダルを踏むことにより、車両の発進意図が明確になると、ステップS100に進む。」の下線部の「この状態で」が示唆する日本語の意味が説明できません。 ちなみに、引用文献2に記載の発明は、先行車が発進したのちにドライバーの発進意図を確認する技術思想を備える走行制御です。 (5)以上のとおり、引用文献2には、ドライバーが自車両の発進を指示した場合であって、前記停車が検出された前記先行車両の発進を検出したときに、自車両を発進させる」という構成は記載されていません。よって、引用文献2には、本願発明の構成[C],[C´]は、何ら記載されていないので、引用文献2に基づいて本願発明の新規性又は進歩性を否定する拒絶理由は、妥当ではありません。」 イ 検討 請求人が主張する引用文献2の段落【0030】の記載は、「先行車が発進して、車間距離が広がると、目標車速が0ではなくなる。この状態で、ドライバーがアクセルペダルを踏む」という状態であり、先行車が発進する前の操作について記載されているものではない。 そして、段落【0030】の「この状態で」は、「先行車が発進して、車間距離が広がった状態で」と解釈するのが自然である。 引用文献2の段落【0021】の「すなわち、先行車追従制御が行われておらず、かつ、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、ドライバがセット/コーストスイッチ23を操作すると、状態34に移行する。この操作は、先行車追従制御が行われていない状態32から、先行車追従制御が行われる状態33に移行するための操作(先行車追従制御を開始するための操作)と同じ操作である。」という記載から、EPKB11による停止保持制御が行われている状態35において、ドライバがセット/コーストスイッチ23を操作すると、状態34に移行することが分かる。 また、引用文献2の段落【0017】の「EPKB11が作動している状態34において、ドライバが図示しないアクセルペダルを操作すると、車両が発進し、先行車追従制御が行われる状態33に移行する。すなわち、この先行車追従制御システムでは、先行車が発進しても、先行車追従制御による車両の発進を行わずに、ドライバによる所定の発進操作が行われた場合、すなわち、アクセルセンサ16によって、アクセルペダルが操作されたことが検知されると、車両を発進させる。なお、所定の発進操作は、アクセルペダルの操作以外にも、例えば、図2のセット/コーストスイッチ23の操作であってもよく、ドライバの発進意図が明確となれば、他の任意のスイッチでもよい。」という記載から、EPKB11が作動している状態34において、ドライバがセット/コーストスイッチ23を操作すると、車両が発進し、先行車追従制御が行われる状態33に移行することが分かる。 すなわち、引用文献2には、ドライバがセット/コーストスイッチ23を操作(ドライバーが自車両の発進を指示)した場合であって、前記停車が検出された前記先行車両の発進を検出したときに、自車両を発進させることが記載されているといえる。 したがって、審判請求人の「引用文献2には、先行車が発進して車間距離が広がり、自車両の目標車速が0ではなくなった状態で、セット/コーストスイッチ23を押したときに限り、自車両が自動発進することが記載され」、「引用文献2には、ドライバーが自車両の発進を指示した場合であって、前記停車が検出された前記先行車両の発進を検出したときに、自車両を発進させる」という構成は記載されて」いない旨の上記主張は、当を得たものではない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2020-12-21 |
結審通知日 | 2020-12-22 |
審決日 | 2021-01-05 |
出願番号 | 特願2018-527438(P2018-527438) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B60W)
P 1 8・ 113- Z (B60W) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鶴江 陽介 |
特許庁審判長 |
渡邊 豊英 |
特許庁審判官 |
金澤 俊郎 西中村 健一 |
発明の名称 | 車両の制御方法および車両の制御装置 |
代理人 | とこしえ特許業務法人 |