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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B29C
管理番号 1371696
異議申立番号 異議2020-700035  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-01-21 
確定日 2021-01-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6549191号発明「マルチマテリアル・アディティブ・マニュファクチャリングを使用して身体部位モデルを作製するシステムおよび方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6549191号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-18]について訂正することを認める。 特許第6549191号の請求項1、3ないし6、8ないし17に係る特許を維持する。 特許第6549191号の請求項2、7及び18に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6549191号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし18に係る特許についての出願は、2012年(平成24年)11月15日(パリ優先権主張外国庁受理、2011年11月17日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2014-541799号の一部を平成29年8月1日に新たな特許出願としたものであって、令和1年7月5日にその特許権(請求項の数18)が設定登録され、同年同月24日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許に対し、令和2年1月21日に特許異議申立人 上杉 則亮(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項は、全請求項)がされ、令和2年4月17日付けで取消理由が通知され、同年7月17日に特許権者 ストラタシス リミテッド(以下、「特許権者」という。)より意見書の提出及び訂正の請求がされ、同年8月17日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正があった旨の通知を特許異議申立人に行ったところ、特許異議申立人より何ら応答がなく、同年10月23日付けで訂正拒絶理由通知が通知され、同年11月27日に手続補正書(以下、手続補正書により補正された訂正の請求を「本件訂正請求」という。)が提出されたものである。


第2 訂正の適否についての判断

1 訂正の内容

本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所について合議体が付したものである。)

(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「異なる機械的特性を有する少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせで形成されているデジタル材料を有する身体部位の物理的再構築物であって、モデリング材料の前記組み合わせは、ボクセル単位で前記身体部位の機械的特性を模倣するように構成され、前記ボクセルは、前記身体部位の画像データに基づいて定義され、前記ボクセル単位で模倣される機械的特性は、弾性である、物理的再構築物。」と記載されているのを、「身体部位の物理的再構築物であって、前記身体部位は、医療用撮像デバイスから得られた3次元画像データによって記述されており、前記物理的再構築物は、複数のマクロボクセルを形成する複数のデジタル材料を含み、それぞれのデジタル材料は、異なる機械的特性を有する少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせであり、それぞれのマクロボクセルの単位サイズは、画像データの1つのボクセルによって表される単位サイズに相当し、それぞれのマクロボクセルについて、前記少なくとも2つのモデリング材料の前記組み合わせは、画像データのそれぞれのボクセルのボクセル値の変換であり、前記少なくとも2つのモデリング材料の前記組み合わせは、前記ボクセル値と相関する前記身体部位の機械的特性を模倣するように構成され、前記模倣される身体部位の機械的特性は、弾性であり、前記画像データは、CTスキャナ、MRI、および超音波デバイスのうちの1つ以上から得られる、物理的再構築物。」に訂正する。
あわせて、請求項1の記載を直接あるいは間接的に引用する、請求項3ないし6及び8ないし17についても同様に訂正する。

(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「前記デジタル材料を定義する前記少なくとも2つのモデリング材料の堆積のパターンは、ランダムまたは疑似ランダムである、請求項1に記載の物理的再構築物。」と記載されているのを、「少なくとも1つのマクロボクセルについて、前記マクロボクセルを定義する前記少なくとも2つのモデリング材料の堆積に基づいて形成された空間パターンは、少なくとも2つのモデリング材料のランダム空間パターンであるか、または少なくとも2つのモデリング材料の疑似ランダム空間パターンである、請求項1に記載の物理的再構築物。」に訂正する。
あわせて、請求項4の記載を直接あるいは間接的に引用する、請求項9ないし17についても同様に訂正する。

(4) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「前記デジタル材料を定義する前記少なくとも2つのモデリング材料の堆積のパターンは、構造化されたパターンである、請求項1に記載の物理的再構築物。」と記載されているのを、「少なくとも1つのマクロボクセルについて、前記マクロボクセルを定義する前記少なくとも2つのモデリング材料の堆積に基づいて形成された空間パターンは、少なくとも2つのモデリング材料の構造化されたパターンである、請求項1に記載の物理的再構築物。」に訂正する。
あわせて、請求項5の記載を直接あるいは間接的に引用する、請求項9ないし17についても同様に訂正する。

(5) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

(6) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8に「前記デジタル材料は、複数の層の上に定義される、請求項1に記載の物理的再構築物。」と記載されているのを、「前記複数のデジタル材料のうち少なくとも1つは、複数の層の上に定義される、請求項1に記載の物理的再構築物。」に訂正する。
あわせて、請求項8の記載を直接あるいは間接的に引用する、請求項9ないし17についても同様に訂正する。

(7) 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項13に「前記少なくとも2つのモデリング材料のうちの1つは、液体材料である、請求項1?8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。」と記載されているのを、「前記少なくとも2つのモデリング材料のうちの1つは、アディティブ・マニュファクチャリングプロセスの全体期間中に液体状態のままであるように構成された液体材料である、請求項1、3?6、8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。」に訂正する。
あわせて、請求項13の記載を引用する、請求項14についても同様に訂正する。

(8) 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項18を削除する。

(9) 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項9、10、11、12、15に「請求項1?8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。」と記載されているのを、「請求項1、3?6、8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。」に訂正する。
あわせて、請求項12の記載を引用する請求項17、請求項15の記載を引用する請求項16についても同様に訂正する。

なお、本件訂正請求における請求項1ないし18に係る訂正は、一群の請求項[1-18]に対して請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1) 訂正事項1について
訂正事項1に係る特許請求の範囲の請求項1の訂正は、訂正前の請求項1において訂正前の請求項18の特定事項を組み込むとともに、さらに、身体部位の画像データが、「医療用撮像デバイスから得られた3次元画像データ」であること、物理的再構築物が、「複数のマクロボクセルを形成する複数のデジタル材料」からなるものであって、「それぞれのマクロボクセルの単位サイズは、画像データの1つのボクセルによって表される単位サイズに相当し、それぞれのマクロボクセルについて、前記少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせは、画像データのそれぞれのボクセルのボクセル値の変換」であることに減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、身体部位の画像データが、「医療用撮像デバイスから得られた3次元画像データ」であることは、願書に添付した明細書の段落【0051】に「身体部位モデルの物理的な外観が、ボクセル単位で決定され、それを変更することができる。通常、例えばCTスキャナ、核磁気共鳴イメージャ(MRI)、超音波、および光学スキャニングなど医療用撮像デバイスから得られる3次元画像データ、例えば断層撮影データは、ボクセルのマトリクスまたは複数のスライスから構築され」と記載されている。また、物理的再構築物が、「複数のマクロボクセルを形成する複数のデジタル材料」からなるものであって、「それぞれのマクロボクセルの単位サイズは、画像データの1つのボクセルによって表される単位サイズに相当し、それぞれのマクロボクセルについて、前記少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせは、画像データのそれぞれのボクセルのボクセル値の変換」であることは、願書に添付した明細書の段落【0052】及び【0070】にそれぞれ、「画像データの各ボクセルは、複数の印刷ボクセル、例えば10?1000個のボクセル、または構築材料の300個のボクセルからなるマクロボクセルに変換される」、「マクロボクセルの単位サイズは、画像データの1つのボクセルによって表される単位サイズに相当する」と記載されている。
したがって、請求項1の訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
請求項1の記載を引用する請求項3ないし6及び8ないし17についても同様である。

(2) 訂正事項2について
訂正事項2に係る特許請求の範囲の請求項2の訂正は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。

(3) 訂正事項4、5及び8について
訂正事項4に係る特許請求の範囲の請求項4の訂正、訂正事項5に係る特許請求の範囲の請求項5の訂正、及び、訂正事項8に係る特許請求の範囲の請求項8の訂正はいずれも、請求項1の訂正において、「デジタル材料」が「マクロボクセル」を構成するものであると訂正されることにともなって、その表現が変更されたものであるから、請求項1の訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。

(4) 訂正事項7について
訂正事項7に係る特許請求の範囲の請求項7の訂正は、訂正前の請求項7を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。

(5) 訂正事項9について
訂正事項9に係る特許請求の範囲の請求項13の訂正は、少なくとも2つのモデリング材料のうちの一つが、「アディティブ・マニュファクチャリングプロセスの全体期間中に液体状態のままであるように構成された」液体材料であることを特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、「アディティブ・マニュファクチャリングプロセスの全体期間中に液体状態のままであるように構成された」との点については、願書に添付した明細書の段落【0057】に「AMプロセス全体期間中に液体状態のままである材料を含めて、追加材料を使用することができ」と記載されていることから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
請求項13の記載を引用する請求項14についても同様である。

(6) 訂正事項10について
訂正事項10に係る特許請求の範囲の請求項18の訂正は、訂正前の請求項18を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。

(7) 訂正事項11について
訂正事項11に係る特許請求の範囲の請求項9、10、11、12、15の訂正は、引用先の請求項から請求項2及び7を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
請求項12に記載を引用する請求項17及び請求項15の記載を引用する請求項16についても同様である。

(8) まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-18]について訂正することを認める。


第3 本件発明

上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし18に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明18」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
身体部位の物理的再構築物であって、前記身体部位は、医療用撮像デバイスから得られた3次元画像データによって記述されており、前記物理的再構築物は、複数のマクロボクセルを形成する複数のデジタル材料を含み、それぞれのデジタル材料は、異なる機械的特性を有する少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせであり、それぞれのマクロボクセルの単位サイズは、画像データの1つのボクセルによって表される単位サイズに相当し、それぞれのマクロボクセルについて、前記少なくとも2つのモデリング材料の前記組み合わせは、画像データのそれぞれのボクセルのボクセル値の変換であり、前記少なくとも2つのモデリング材料の前記組み合わせは、前記ボクセル値と相関する前記身体部位の機械的特性を模倣するように構成され、前記模倣される身体部位の機械的特性は、弾性であり、前記画像データは、CTスキャナ、MRI、および超音波デバイスのうちの1つ以上から得られる、物理的再構築物。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記デジタル材料は、前記少なくとも2つのモデリング材料の比率によって定義される、請求項1に記載の物理的再構築物。
【請求項4】
少なくとも1つのマクロボクセルについて、前記マクロボクセルを定義する前記少なくとも2つのモデリング材料の堆積に基づいて形成された空間パターンは、少なくとも2つのモデリング材料のランダム空間パターンであるか、または少なくとも2つのモデリング材料の疑似ランダム空間パターンである、請求項1に記載の物理的再構築物。
【請求項5】
少なくとも1つのマクロボクセルについて、前記マクロボクセルを定義する前記少なくとも2つのモデリング材料の堆積に基づいて形成された空間パターンは、少なくとも2つのモデリング材料の構造化されたパターンである、請求項1に記載の物理的再構築物。
【請求項6】
前記デジタル材料は、前記少なくとも2つのモデリング材料で形成される定義されたパターンによって定義される、請求項1に記載の物理的再構築物。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
前記複数のデジタル材料のうち少なくとも1つは、複数の層の上に定義される、請求項1に記載の物理的再構築物。
【請求項9】
前記少なくとも2つのモデリング材料のうちの1つは、0.01MPaの弾性係数を持つように構成される、請求項1?8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。
【請求項10】
前記少なくとも2つのモデリング材料の1つは、3GPaの弾性係数を持つように構成される、請求項1?8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。
【請求項11】
前記少なくとも2つのモデリング材料は、弾性係数が0.01MPaと3GPaの範囲で異なる1つの硬直または剛性材料および1つ柔軟材料を含む、請求項1?8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。
【請求項12】
前記少なくとも2つのモデリング材料のうちの1つは、液体材料、ゲル材料、またはゲル状材料である、請求項1?8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。
【請求項13】
前記少なくとも2つのモデリング材料のうちの1つは、アディティブ・マニュファクチャリングプロセスの全体期間中に液体状態のままであるように構成された液体材料である、請求項1、3?6、8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。
【請求項14】
前記液体材料は、ポリエチレングリコール400(PEG400)である、請求項13に記載の物理的再構築物。
【請求項15】
少なくとも1つのデジタル材料は、より固い材料に囲まれた液体材料、ゲル材料、またはゲル状材料で形成される、請求項1?8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。
【請求項16】
前記より固い材料は、前記液体材料をカプセル化するように構成される、請求項15に記載の物理的再構築物。
【請求項17】
前記液体材料、ゲル材料、またはゲル状材料は、非常に軟性の組織および/または体液を模倣するように構成される、請求項12に記載の物理的再構築物。
【請求項18】
(削除)」


第4 特許異議申立人が主張する特許異議申立理由について

特許異議申立人が特許異議申立書において、訂正前の請求項1ないし18に係る特許に対して申し立てた特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。

申立理由1(進歩性欠如) 本件特許の訂正前の請求項1ないし18に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有するもの(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

申立理由2(進歩性欠如) 本件特許の訂正前の請求項1ないし18に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

<証拠方法>
・甲第1号証:WO2005/057436A
・甲第1号証翻訳文
・甲第2号証:CN1926470B
・甲第2号証翻訳文
・甲第3号証:US7991498B2
・甲第3号証翻訳文
・甲第4号証:特表2005-516091号公報
・甲第5号証:特開2011-225878号公報
なお、各甲号証の表記は、おおむね特許異議申立書の記載にしたがった。


第5 取消理由通知で記載した取消理由について

訂正前の請求項1ないし18に係る特許に対して、当審が令和2年4月17日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。(なお、異議申立理由のうち、申立理由1、2はいずれも、取消理由に包含される。)

取消理由1(進歩性欠如) 本件特許の訂正前の請求項1ないし18に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有するもの(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

取消理由2(進歩性欠如) 本件特許の訂正前の請求項1ないし18に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。


第6 当審の判断

1 甲第1号証および甲第2号証の記載事項等

(1) 甲第1号証の記載事項等
ア 甲第1号証の記載事項

甲第1号証には次の事項(甲第1号証翻訳文のみを摘記する。甲第2号証についても同じ。)が記載されている。なお、下線は合議体が付したものである。

(ア)
「発明の分野
本発明は、組織工学、臓器/細胞プリンティング、組織足場、組織培養物、バイオチップ、バイオセンサ、細胞毒性試験サンプル、および従来の製造方法によって現在制限されている他の分野を含むがこれらに限定されない分野で使用するための複雑な装置を製造する方法および装置を提供する。本発明は、コンピュータ支援設計を統合する方法および装置を提供する。;ブーリアン(Boolean)、スケーリング(Scaling)、ミラーリング(Mirroring)、スムージング(Smoothing)、およびその他の修正操作;磁気共鳴画像法(MRI)/コンピュータ断層撮影(CT)および他の患者特有のデータ取り込み機能;不均質材およびマルチパーツアセンブリ機能;バイオミメティックおよび非バイオミメティック設計能力;液滴付着、押出、および噴霧のようなノズル操作の複数のモードと同様に広範囲の材料を取り扱うことができる複数のタイプのノズル;また、細胞を直接堆積させることができる生物学的に優しい設計により、非常に強力で用途の広い製造プロセスを作り出すことができる。」(第1頁第9ないし28行)

(イ)
「Mironov らは、マルチノズルプリンティングシステムを用いた細胞の直接堆積を含む臓器プリンティングの基本原理について論じている(Mironov他TRENDS in Biotechnology 2003 21(4):157-161)。患者特異的MRI/CTデータまたは人工コンピュータ生成バイオミメティック構築物のいずれかを組み込んだ前処理段階におけるCADを含む臓器プリンティングの一般的基本概念が示されている。」(第6頁第1ないし8行)

(ウ)
「米国特許第6,139,574号(Vacanti他、2000年10月31日)は、SFF技術によって形成された血管組織再生マトリックスを開示している。組織足場の作製のためのCADおよびSFF技術の使用に言及。さらに、複数のプリントヘッドと様々な種類のSFF技術を使用する可能性についても言及している。」(第6頁第25ないし30行)

(エ)
「米国特許第6,547,994号(Monkhouse他、2003年4月15日)は、主に3DP技術を含む、複数の勾配を有する主にドラッグデリバリーシステムのラピッドプロトタイピングおよび製造のためのプロセスを記載している。」(第9頁第4ないし7行)

(オ)
「米国特許第6,623,687号(Gervasi他、2003年9月23日)には、SFFを用いてインタレース格子構造を構築して機能勾配材料を生成することにより三次元物体を生成する方法が記載されている。この技術を用いて、静脈や動脈などの組織工学的構築物を作製する可能性について簡単に述べている。」(第9頁第10ないし16行)

(カ)
「図1は、本発明のマルチノズルバイオポリマー堆積装置のシステム構成の流れ図を示す。
図1に示すように、本発明の方法および装置において、データ処理システムは、設計された足場モデルを処理し、それを積層処理ツールパスに変換する。
装置は、この積層製造技術によって駆動されるモーションコントロールシステムをさらに含む。
装置のための材料送達システムは、異なるタイプおよびサイズの複数のノズルを含み、したがって、三次元組織足場を構築するために、異なる粘度を有する特定のヒドロゲルの堆積を可能にする。好ましい実施形態では、4種類のノズルがシステムまたは装置で使用される。例は、限定されるものではないが、ソレノイド作動ノズル、圧電ガラスキャピラリーノズル、空気圧シリンジノズル、およびスプレーノズルを含み、そのサイズは約30μm?約500μmの範囲である。このシステムはヒドロゲルを連続的に押し出すことができ、またはピコリットル容量の単一液滴中にヒドロゲルを形成することができる。マルチノズルは、細胞、成長因子、および足場材料の同時堆積を可能にする;このようにして、生理活性化合物を有する不均一な足場の構築を可能にし、または異なる足場領域において異なる機械的/構造的特性を有する機能的勾配足場を確立する。
図2は、本発明の例示的な多ノズルバイオポリマー堆積装置の写真である。
本発明の方法および装置のステップ1は、統合コンピュータ支援設計能力を含む。本発明の方法およびシステムは、ステップ2のMRI/CTおよび他の患者固有のデータインポート機能をさらに含み、それによって、各人の固有の幾何学的形状に対して各製造部品の適合を可能にする。
CADは、バイオミメティックおよび非バイオミメティック設計および特徴の両方を作成する基本的能力をユーザに提供する。これらは、導電性材料、磁性材料、熱伝導性材料、機械的活性材料、生理活性要素、遺伝材料およびベクターなどの堆積によって作製することができる。」(第13頁第26行ないし第14頁第35行)

(キ)
「本発明の方法および装置は、マルチノズル機能をさらに備えてもよく、したがって、同一層内に複数の材料を堆積させることができる。異なるタイプの特殊化されたノズルは、本発明のプロセスに汎用性を提供し、懸濁液、ゲル、および水から粘性接着剤までの広範囲の粘度などの広範囲の材料を取り扱うことができる。さらに、限定されるものではないが、液滴付着、押出、噴霧操作を含む、ノズル操作の複数のモードを提供することができ、それによって、異なるレベルの分解能および材料特性の制御を可能にする。例えば、微細な微小液滴の付着は、生物学的因子の微細な濃度を加えることができ、押出しを用いて強力な足場構造を作製することができる。」(第17頁第10ないし24行)

(ク)
「特許請求の範囲:
1.複雑な部品及び装置を製造するための方法を含む:
(a)CAD環境を利用して、作成する部品または装置を設計する;
(b)CADで設計された部品または装置を、マルチノズルプリンティングに使用できる不均質材およびマルチパーツアセンブリモデルに変換する;および
(c)異なる特殊なノズルを使用して、設計された部品または装置をプリントする。
・・・
3.ステップ(a)において、MRI、CTまたは他の患者固有データから取得したデータが、CAD環境にインポートされて、作成されるべき部品または装置を設計する、請求項1に記載の方法。」(第26頁第1ないし20行)

イ 甲第1号証に記載された発明

甲第1号証の記載、特に、上記アの(カ)、(キ)の摘示内容を中心にまとめると、甲第1号証には次の発明が記載されていると認める。

「異なる粘度を有する特定のヒドロゲルからなる複数の材料をマルチノズルにより堆積し構築された、異なる足場領域において異なる機械的/構造的特性を有する部品であって、
MRI/CT及び他の患者固有のデータに基づき、各人の固有の幾何学的形状に対して適合させたものである部品。」(以下、「甲1発明」という。)

(2) 甲第2号証の記載事項等

ア 甲第2号証の記載事項

甲第2号証には次の事項が記載されている。

(ア)
「1.事前設計された構造と事前設計された性能を有する仮複合材料の予期用途によって前記仮複合材料を製造する方法であって、
前記仮複合材料が、両種又は多種の異なる性能を有する異なる界面材料を含む;
前記構造が少なくとも第一相の部分と第二相の部分を含む;
前記仮複合材料が、少なくとも両種の異なる相の組み合わせを含み、前記各相が前記異なる界面材料の異なる組み合わせを含み、
前記方法は、
両種又は多種の異なる性能を有する異なる界面材料を、少なくとも二つの異なる相に結び付くデータを生じるプロセス、
生じるデータによって両種又は多種の異なる界面材料を、液体状態で二つの又は複数の相応な分配器から、選択的に分配して層を形成し、且つ、各界面材料を、異なる分配器から分配して少なくとも二つの異なる界面材料相を形成するプロセス、及び
制御される温度の下で、分配された相を固体化・硬化することによって、事前設計された構造と事前設計された性能を有する単一の仮複合材料を獲得するプロセスを含むことを特徴とする方法。
2.前記事前設計された性能が、機械的性能、熱機械的性能、光学性能、音響性能、電気学的性能又は前記性能の任意の組み合わせから選ばれ、且つ、
前記事前設計された性能が、同方性と異方性の性能であるか、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
3.前記仮複合材料の一つの軸線における事前設計された任意の前記性能が前記仮複合材料のそのほかの軸線上における事前設計された性能と異なり、前記事前設計された性能が、機械的強度、弾性又は屈折率であることを特徴とする請求項1に記載の方法。」(請求の範囲翻訳文第1頁第1ないし22行)

(イ)
「[0001] 本発明は、一般に一種の3D物体の構造方法に関わり、且つ、具体的に複雑な構造の3D印刷の方法及び組成物に関わる。」

(ウ)
「[0036] その上、本発明の実施形態は、3D印刷による3D物体の製作方法を提供した。実施形態によって、前記方法は、下記手順を含む。
[0037] 印刷ヘッドから、第一界面材料を分配するプロセス(その中で、第一界面材料が特に少なくとも一種の反応成分、少なくとも一種の光開始剤、少なくとも一種の界面活性剤及び少なくとも一種の安定剤を含むことができる);印刷ヘッドから、第二界面材料を分配するプロセス(その中で、第二界面材料が特に少なくとも一種の非反応性且つ低毒の成分、少なくとも一種の界面活性剤及び少なくとも一種の安定剤を含むことができる);予定比率で第一界面材料と第二界面材料を混合させることによって、3D物体形成用構造層を製作するプロセス。」

(エ)
「[0058] その上、本発明の実施形態は、コア(core)から構成される3D物体を提供した。前記コアが多層の構造層(construction layer)から構成される。前記構造層は、予定比率で第一界面材料と第二界面材料を混合させることによって製作されたものである。」

(オ)
「[0080] 一種の実施形態において、本発明は、特に仮複合材料を含む一種の3D物体を提供した。その中で前記仮複合物は、特に第一相と第二相を含むことができ、その中で、各相が特に有機化合物を含むことができ、その中で、各相が多層構造層を含み、その中で、前記層がインクジェット印刷法で堆積し、且つ、その中で、前記仮複合材料が不均一な3D構造を呈する。」

(カ)
「[0093] 本発明の一種の実施形態において、第一相と第二相は、異なる構造を有する。その他の一種の実施形態において、第一相と第二相は、異なる化学成分を有する。その他の一種の実施形態において、第一相は、第二相と著しく異なる性能を有する。」

(キ)
「[0096] 本発明の一種の実施形態において、第一相の組成物、第二相の組成物又は二者は、特に予定比率で第一界面材料と第二界面材料を混合させたものを含むことができる。その中で、前記第一相の組成物と第二相の組成物は異なる。その他の一種の実施形態において、前記第一及び/又は第二界面材料は、本発明に基づく任意の第一及び/又は第二界面材料である。」

(ク)
「[0098] 本発明の一種の実施形態において、前記仮複合材料は、少なくとも一つの相が連続相である。その他の一種の実施形態において、少なくとも一つの相が非連続相である。」

(ケ)
「[0124] 本発明の実施形態は、3D物体の製作に用いられる組成物に関わり、且つ、3D物体の製作における支持及び/又は隔離材料として用いる組成物に関わる。本発明の実施形態は、前記組成物を使用し、且つ、3D印刷を通じて3D物体を製作する方法に更に関わる;その上、前記方法で取得された3D物体に関わる。
・・・
[0127] 次に、前記組成物をさらに且つ詳細に説明する。
・・・
[0131] 製作される3D物体(28)は、複数の層から構成され、各層の厚さは、一般に、各インクジェットノズル18の出力を選択的に調整することによって制御される。
[0132] 各分配器を源とする材料との結合又は混合を通じて(その中で、各分配器が異なる硬度の界面材料を含有する)、製作対象3D物体を形成する材料の硬度を調節・制御することができる。従って、それぞれ各分配器から出力された第一と第二界面材料を混合することによって、異なる弾性モジュラス及び異なる強度を有する3D物体の異なる部品を製作することができる。
・・・
[0134] 本発明の一種の実施形態によって、第一分配器14aが、第一界面材料16a(次の文で「第一界面材料」又は「第一組成物」と称する)を含有し、且つ、第二分配器14bが第二界面材料16b(次の文で「第二界面材料」又は「第二組成物」と称する)を含有する。第一界面材料は、第二界面材料と比べて、弾性モジュラス及び強度が異なる(一層硬い可能性がある)。第一界面材料と第二界面材料を混合させることによって、異なる弾性モジュラス及び異なる強度を有する3D物体の異なる層を製作することができる。例えば、当文書で定義されている造形又は「構造」層(別途に造形構造とも称される)、支持層(別途に支持構造層とも称される)と隔離層(別途に隔離構造とも称される)。本発明の実施形態によって、印刷される3D物体の要求によって、印刷プロセス期間中において、前記装置が堆積させる各層の材料を通じて、造形構造(model construction)、支持構造及び/又は隔離構造の組み合わせを含むことができる。従って、当文書で構造層、支持層及び/又は隔離層を言及する場合、これらの層の中のいずれかの又は全部は、印刷プロセス期間中に前記印刷装置を通じて印刷される部品又は単一全体「層」を含む複数の部品を指すことができる。」

(コ)
「[0210] 本発明の一種の実施形態において、第二界面材料は、二種の異なる原理タイプ中の一種であってもよい。1)如何なる硬化性ラジカルがない液体材料(照射されても相変わらず液態を保持する);一種の実施形態において、前記液体は、水混和性液体であり、且つ、水又はその他の材料で容易に洗浄できる;その他の一種の実施形態において、前記液体は、非水混和性液体であり、且つ、水又は洗浄剤の水溶液で容易に洗浄できる;及び2)固体又は半固体材料(これが弱い硬化材料に調製される);固体又は半固体材料は、硬化の時に水、アルカリ性又は酸性水又は洗浄剤の水溶液(water detergent solution)による膨潤が発生することができる。従って、硬化の時に、水、アルカリ性又は酸性水又は洗浄剤の水溶液と接触する時に、その中で第二界面材料の膨潤が発生することができる。その上、殆ど全部溶解(break upon)でき、一番少ない手動操作で済む。二種の状況の下で、第二界面材料を調製することによって、第二界面材料を速くて、容易に且つ有効的に外し、且つ、3D物体を、その支持物上に容易に洗浄できるようにする。
・・・
[0213] 本発明の一種の実施形態において、3D物体の構築における支持に適合される前記組成物は、輻射後半固体材料になる。その他の一種の実施形態において、前記半固体材料は、ゲル類材料であっても良い。その他の実施方式において、前記組成物が液体材料を形成する。その他の一種の実施形態において、前記組成物が、弱い硬化材料に調製される固体材料を形成する。その他の一種の実施形態において、照射される時、前記組成物は、水又はアルカリ性又は酸性水の中で膨潤することができる材料を形成する。従って、照射される時、第二界面材料は、水に暴露する時に膨潤し、且つ、殆ど全部溶解することができ、且つ、一番少ない手動操作で済む。」

(サ)
「[0226] 本発明の一種の実施形態において、第二界面材料で溶液を調製する。前記液体製剤は、放射線に暴露されても相変わらず液態を保持する非硬化組成物である。従って、前記液体製剤は、非反応性組成物を含み、且つ、固化時に硬化できる反応性成分を含まない。本発明の一種の実施形態において、前記材料が水溶性物であり、且つ、水で容易に洗浄して除去するものである。
[0227] 本発明の一種の実施形態において、前記非硬化成分がポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、グリセリン、多価アルコールエトキシレート、プロピレングリコール又はこれらの任意の組み合わせである。その他の一種の実施形態において、前記硬化性成分は、非水混和性液体である。その他の一種の実施形態において、前記非水混和性合物は、パラフィン油である。又はその他の非硬化性組成物を使用することができる。」

(シ)
「[0246] 表5:第一界面材料の特性製剤成分の実例
[0247]
# 商品名 化学的分類 製剤中の作用 サプライヤー
・・・
C PEG400 ポリエチレングリコール 重合物(親水性 Aldrich
#400 可塑剤)


(ス)
「[0292] 現在、図5Aを参照してください。これは、本発明の幾つかの実施形態に基づいて、3D物体の支持構造に用いられる方法のフロー図を印刷することである。図5Aを参考にすることによって分かることができるものとしては、前記方法が、例えば、ユニット31において、印刷装置15の少なくとも一つの分配ユニット16から予定量及び組み合わせる界面材料を分配することによって、支持構造を形成することである。支持材料構造層は、第一界面材料(例えば、造形材料)、第二界面材料(例えば、支持材料)及び/又はその他の材料又は材料の組み合わせを含むことができる。例えば、支持材料から支持構造を構築することができ、又は支持構造は、支持構造に、余分な強度及び/又は弾性を提供できる造形材料を含むことができる。
[0293] ユニット32において、幾つかの実施形態によって、剛性性構造で前記支持構造を包むか、又は部分的に包むことができる。例えば、支持構造を、合成外殻に含むか、又は部分的に含むことができる。例えば、造形材料、又は強度及びモジュラスの面で前記物体に十分に類似するその他の適切な材料を使用して剛性構造を構築することができる。剛性構造を、支持構造含有構造に構築することができる。前記支持構造自身は、例えば支持材料により包まれる造形材料の成分を含有することができる。この方式によって、剛性支持構造を形成することができる。例えば、これが、3D物体の強力な支持を提供することができる。
[0294] ユニット33において、支持構造の剛性構造周辺に、隔離構造層を構築することができる。これで、剛性構造により支持される物体から剛性構造を容易に外すことができる。支持構造の形状は、これにより支持される物体の形状によって確定されることができ、且つ、この剛性構造の形状は、支持構造の外表面の形状であってもよい。
[0295] ユニット34において、剛性物体及び剛性支持構造の間に、相対的に柔らかい隔離層が存在しているので、例えば、軽微な機械力を通じて支持構造を、物体から外すことができる。例えば、手動操作を通じて、水、空気又はその他の流体等を使用して外すことができる。
[0296] 例えば、複雑な物体の幾何形状により、所要の支持物の幾何形状が複雑になる場合、支持構造を複数のより小さい支持構造に分けることによって、これらの取り外しを促進することができる。各支持構造は、自分の剛性支持構造内に含まれることができる。
[0297] その他の一種の実施形態において、支持構造は、例えば、固化後ゲル状の化合物の稠度(その他の稠度を使用することができ、例えば、相対的な固態のもの)により、異なる組み合わせの支持材料と造形材料を使用することによって、前記支持構造を充填することができる。例えば、柔らかいふっくらとした軟らかい材料(bulk material)を生成する。この方式によって、例えば、支持構造に、例えば、より硬い造形材料から構成される骨組み又は構造を混ぜることによって、前記柔らかく、且つ、脆い可能性がある支持構造を強化する。この方式によって、支持と造形材料等を含むことができる前記全体的な「支持構造」は、相対的に硬いであってもよいが、現在依然として柔らかいである。これは、「ふっくらとして軟らかい材料」と称しても良い。例えば、「ふっくらとして軟らかい」物質を有する柔らかい材料であってもよい。本発明の一種の実施形態において、造形材料を、「ラスター」又は「骨組」の形式で支持材料内に埋め込むことによって、支持構造に余分な強度を提供することができる。
[0298] 幾つかの実施形態において、この支持構造の印刷物体からの取り外しを促進する為に、支持構造を、印刷完成の後に設計し、且つ、単一のユニット又は複数のユニットの形式でこれを取り外す。一種の実施形態において、最小な「間隔」を確定したり、又は分配したりすることができ、且つ、これを、印刷される3D物体と前記物体の支持構造の間における堆積材料のない箇所に残すことができる。このような間隔は、例えば一つ又は複数の隔離構造を含むことができる。前記隔離構造は、例えば、主に支持材料(オプションとして相対に小さい成分の造形材料を有する)から構成される。一種の実施形態において、隔離構造は、硬化しないか、又は部分的に硬化することができる。これで、印刷される物体から容易に隔離できる材料の相対的に柔らかい層又は複数の層を提供する。本発明の一種の実施形態において、前記隔離構造は、放射される時に硬化しないことができ、且つ、例えば粘性液態を保持することができ、即ち、未重合状態を保持することができる。本発明のその他の一種の実施形態において、前記隔離構造は、放射される時に硬化するか、又は少なくとも部分的に硬化することができる(例えば、柔らかい又は半固体を有するゲル状稠度)。この「柔らかい」隔離構造層は、印刷プロセス完成後の支持構造の外しに役立つ。これで、相対的に硬い層の支持構造を外すことが相対的に易くなり、且つ、極めて小さい又は最小な力で実施することができる。
[0299] 現在図5Bを参照してください。これは、本発明の幾つかの実施形態による剛性外形構造305を有する3D物体支持構造300の模式図である。図5Bを参考することによって分かることができるものとしては、剛性外型305で支持材料320を包むか、又は部分的に包むことができる。固化及び/又は冷却時に硬くなることができる材料で前記剛性外型305を構築することによって、例えば、殻状外型を形成することができる。支持材料320と剛性外型305は一緒に3D物体性支持構造300を形成することができる。相対に柔らかい層320を通じて、例えば、隔離層を通じて支持材料構造320を包むか又は部分的に包むことによって、物体315から容易に外すことができる支持構造300を支持することができるようにする。
[0300] 幾つかの実施形態において、例えば、隔離構造が非平面である。例えば、「層」の方式を使用せずに隔離構造材料を堆積させることができ、且つ、これを、X-Y方向の選定位置に堆積させることができる。例えば、界面材料の前層の上(例えばZ方向上)に堆積する。3D物体(例えば造形構造)と隣の支持構造との間の隔離構造材料に堆積することができ、例えば、印刷ヘッドのX-Y軸の各運動期間において、構造の間の間隔を充填することができる。参考図5C(物体35の側面図を表示する)から見ると、支持構造により囲まれる錐物体実例(その他の形状の物体を構築できる)であり、前記支持構造は、当文書で記載されている隔離構造材料で印刷的される。「隔離層」30は、物体構造35と支持構造40を分ける細線であると説明されている。図5Dは、構築される物体の「切片」のビューを説明する。隔離構造30は、円錐状物体35を回る細線で表示され、且つ、物体と周辺の支持材料構造40を分ける。その他の隔離層寸法及び組成物を使用することができる。隔離層を、界面材料のその他の部分の間に使用しても良く、必ず「物体」と「支持物」との間と指定することではない。
[0301] 一種の実施形態において、例えば、物体、支持構造と隔離構造等を形成する断面材料にあっても良い。例えば、完成される物体の処理、構造、又は取り外しに用いられる指令又は指示の堆積、構築又は印刷を行う。例えば、外す方向又は順序を指示する指示物、又は支持構造の外し又は取り外しに使用される指令を、印刷し、又は、別途に支持構造に堆積されることができる。」

(セ)
「[0309] 現在図6Aを参照してください。これは、本発明に基づく幾つかの実施形態と3D原型モールド印刷の方法のフロー図に関する説明である。図6Aを参考することによって分かることができるものとしては、前記方法は、下記のステップ、即ち、例えば、ユニット40において、印刷装置15(例えば、米国特許出願6,259,962で述べられている印刷装置が、前記出願の譲受人に譲渡されものであるが、ここで参考の為に前記特許申請を引用した)の的一つの又は複数の印刷ヘッド12から予定量の界面材料層を分配するプロセスを含む。界面材料の各種の組み合わせを使用することによって、このような三次元モールドを形成する内部と外部部品を製作する。その上、これらの相対的な使用量、順序及び分配位置について、システムコントローラ20等を利用して、CADシステム22等で、この目的のSTLファイル又は任意の適切な図示又は3D構造設計ファイルを転換することによって確定することができる。
[0310] 例えば、外殻の壁厚さ範囲が0.5mm?0.9mmであるか、又は鋳造される物体の寸法及び形状によって任意のその他の適切な測定寸法である。ユニット41において、外殻は、固定化時に硬化することができる。例えば、非固体の支持材料で周囲を充填して固体「殻」を形成する。ユニット42において、鋳物を、熱源(例えば焜炉)に置いて鋳物を加熱することができる。例えば、適切なセラミックス又は任意その他の適切な耐熱物質において前記モールドを鋳造することができる。ユニット43において、印刷システム10で構築される原型3Dモールドを燃えてから、これが焜炉等の中で消えてなくなるようにすることによって、その後でインベストメント鋳造法に使用される鋳物だけが残るようにする。高温の下で前記原型材料を燃えることができる。前記温度が、例えば、1000?1800℃、又は任意のその他の適切な温度範囲であっても良い。その中で、モールドが、充填された半固体支持材料性相対的な薄い外壁の状況の下で、前記モールドは、容易に燃焼せず、且つ、膨張しない為、鋳物割れのリスクが最低まで削減され、且つ、殆ど鋳物内に微量な原型材料が残らない。前記ステップの任意の組み合わせを実施することができる。更に、その他のステップ又は連続的なステップを使用することができる。
[0311] 図6Bを参考にすることによって分かることができるものとしては、本発明の幾つかの実施形態によって、このモールドの固体外殻400は、例えば、主に第一界面材料(例えば、造形材料層)から構成されることができる。このような3D物体外殻の内部は、主に第二界面材料410(例えば支持構造層)から構成されることができる。例えば、支持構造層内に第一界面材料のラスター420を構築することによって、このような支持層を強化することができる。このラスターの実施形態は、基本的に米国特許出願10/101,089(本出願の譲受人に譲渡し、ここで参考の為にこれを引用した)の中で述べられているもの及び当文書に説明されているものに基づいて実施される。
[0312] 当文書で記載されている印刷モールドの外殻と内部部品は、各種の適切な材料(例えば、当文書中で説明されている材料、例えば、予定比率のある、本発明に基づく第一界面材料と第二界面材料との任意の組み合わせ)を使用することができる。勿論、その他の材料と組成物を使用することができる。」

(ソ)
「[0359] 当文書は、モデル構造層構造とする三種の組成物(A、B、C)から構成されるPCMの非限定性実例を提供した。
[0360] 1.一種の交互XY-平面層のPCM:その中の一層が、光重合体の組成物(例えば、AとCの組み合わせ)により製造されるものであり、且つ、その他の一層が、その他の光重合体の組み合わせにより製造される(例えば、BとCの組み合わせ)ものである(図7)。
[0361] 2.一種の交互XY-平面層のPCM:各モデル構造層は、光重合体の連続的な組み合わせにより製造される(例えば、AとBの組み合わせ)(図8)。」

イ 甲第2号証に記載された発明

甲第2号証の記載、特に、上記アの(ア)の請求項3を引用する請求項1の製造方法によって得られた仮複合材料として、甲第2号証には次の発明が記載されていると認める。

「事前設計された構造と事前設計された性能を有する仮複合材料の予期用途によって製造された前記仮複合材料であって、
前記仮複合材料が、両種又は多種の異なる性能を有する異なる界面材料を含む;
前記構造が少なくとも第一相の部分と第二相の部分を含む;
前記仮複合材料が、少なくとも両種の異なる相の組み合わせを含み、前記各相が前記異なる界面材料の異なる組み合わせを含み、
前記仮複合材料の製造方法は、
両種又は多種の異なる性能を有する異なる界面材料を、少なくとも二つの異なる相に結び付くデータを生じるプロセス、
生じるデータによって両種又は多種の異なる界面材料を、液体状態で二つの又は複数の相応な分配器から、選択的に分配して層を形成し、且つ、各界面材料を、異なる分配器から分配して少なくとも二つの異なる界面材料相を形成するプロセス、及び
制御される温度の下で、分配された相を固体化・硬化することによって、事前設計された構造と事前設計された性能を有する単一の仮複合材料を獲得するプロセスを含み、
前記事前設計された性能が、弾性である
前記仮複合材料。」(以下、「甲2発明」という。)

2 対比・判断

(1) 取消理由1:甲1発明を主引用発明とする進歩性欠如について

ア 本件発明1について

本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の部品を構築するための「異なる粘度を有する特定のヒドロゲルからなる複数の材料」は、「粘度」が異なる複数の材料であるから、本件発明1の「異なる機械的特性を有する少なくとも2つのモデリング材料」に相当し、甲1発明の構築された「部品」は、本件発明1の「物理的再構築物」に相当する。
また、甲1発明の「部品」は、その構築の際に、「MRI/CT及び他の患者固有のデータ」に基づき、「各人の固有の幾何学的形状に対して適合させたもの」であるから、本件発明1の「前記身体部位は、医療用撮像デバイスから得られた3次元画像データによって記述」されているものであって、その画像データは、「CTスキャナ、MRI、および超音波デバイスのうちの1つ以上から得られる」ものに相当する。
さらに、甲1発明の「部品」は、異なる領域において異なる機械的/構造的特性を有するものであり、かつ、甲1発明の部品を構築するための材料が異なる粘度を有する複数の材料から構築することを鑑みれば、本件発明1の「身体部位の機械的特性を模倣するように構成」された「物理的再構築物」に相当するものといえる。
してみると、両者は、
「身体部位の物理的再構築物であって、前記身体部位は、医療用撮像デバイスから得られた3次元画像データによって記述されており、少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせは、前記身体部位の機械的特性を模倣するように構成され、前記画像データは、CTスキャナ、MRI、および超音波デバイスのうちの1つ以上から得られる、物理的再構築物。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
物理的再構築物を構成する材料が、本件発明1は「複数のマクロボクセルを形成する複数のデジタル材料を含み、それぞれのデジタル材料は、異なる機械的特性を有する少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせであり、それぞれのマクロボクセルの単位サイズは、画像データの1つのボクセルによって表される単位サイズに相当し、それぞれのマクロボクセルについて、前記少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせは、画像データのそれぞれのボクセルのボクセル値の変換」であるのに対して、甲1発明ではそのような特定がない点。

(相違点2)
物理的再構築物において模倣される機械的特性が、本件発明1では「弾性」であるのに対して、甲1発明ではそのような特定がない点。

上記相違点について順次検討する。

(相違点1について)
上記1(1)カにおいて摘示したとおり、甲1発明の材料は、マルチノズルから、液滴として押し出され身体部位の物理的再構築物を構築するものであり、この「液滴」が本件発明1の「マクロボクセル」を構成するものに相当するものと考えられるところ、甲1発明の材料を構成する「液滴」を、「2つのモデリング材料の組み合わせ」つまり、複数の材料からなる「液滴」とする点については何ら記載されておらず、また、他の甲号証の記載からも、導くことができない。

してみれば、相違点2については検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

したがって、本件発明1に対する取消理由1には、理由がない。

イ 本件発明3ないし6及び8ないし17について

本件発明3ないし6及び8ないし17はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。
そして、上記アのとおり、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の特定事項を全て含む発明である本件発明3ないし6及び8ないし17もまた、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

したがって、本件発明3ないし6及び8ないし17に対する取消理由1についても、理由がない。

(2) 取消理由2:甲2発明を主引用発明とする進歩性欠如について

ア 本件発明1について

本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「仮複合材料」は、「両種又は多種の異なる性能を有する異なる界面材料を、少なくとも二つの異なる相に結び付くデータを生じるプロセス、生じるデータによって両種又は多種の異なる界面材料を、液体状態で二つの又は複数の相応な分配器から、選択的に分配して層を形成し、且つ、各界面材料を、異なる分配器から分配して少なくとも二つの異なる界面材料相を形成するプロセス、及び制御される温度の下で、分配された相を固体化・硬化すること」によって得られるものであるから、本件発明1の「物理的再構築物」に相当する。
また、甲2発明の「仮複合材料」は、「両種又は多種の異なる性能を有する異なる界面材料を含む」ものであり、かつ、「弾性」に着目して設計されたものであるから、本件発明1の「異なる機械的特性を有する少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせ」で形成されている「物理的再構築物」にも相当する。

してみると、両者は、
「異なる機械的特性を有する少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせで形成されている物理的再構築物であって、模倣されている機械的特性は、弾性である、物理的再構築物。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点3)
物理的再構築物について、本件発明1は、「身体部位の物理的再構築物であって、前記身体部位は、医療用撮像デバイスから得られた3次元画像データによって記述されており」、「前記画像データは、CTスキャナ、MRI、および超音波デバイスのうちの1つ以上から得られる」ものであるのに対して、甲2発明ではそのような特定がない点。

(相違点4)
物理的再構築物を構成する材料が、本件発明1は「複数のマクロボクセルを形成する複数のデジタル材料を含み」、「それぞれのマクロボクセルの単位サイズは、画像データの1つのボクセルによって表される単位サイズに相当し、それぞれのマクロボクセルについて、前記少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせは、画像データのそれぞれのボクセルのボクセル値の変換」であるのに対して、甲2発明ではそのような特定がない点。

事案にかんがみ、まず、相違点4について検討する。

(相違点4について)
上記1(2)ア(ス)、(セ)において摘示したとおり、甲2発明の仮複合材料は、印刷ヘッドから予定量の界面材料を分配しつつ構築するものであり、印刷ヘッドから分配された予定量(いわゆる、印刷ヘッドから分配(吐出)される単位あたりの量)の界面材料が、本件発明1の「マクロボクセル」を構成するものに相当するものと考えられるところ、甲2発明の材料を構成する「予定量」を、複数の材料からなる「予定量」として分配する点(本件発明1における、「それぞれのマクロボクセル」について、「少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせ」により構成する点)については何ら記載されておらず、また、他の甲号証の記載からも、導くことができない。

してみれば、相違点3については検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

したがって、本件発明1に対する取消理由2には、理由がない。

イ 本件発明3ないし6及び8ないし17について

本件発明3ないし6及び8ないし17はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。
そして、上記アのとおり、本件発明1は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の特定事項を全て含む発明である本件発明3ないし6及び8ないし17もまた、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

したがって、本件発明3ないし6及び8ないし17に対する取消理由2についても、理由がない。


第7 結論

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、3ないし6及び8ないし17に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、3ないし6及び8ないし17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件請求項2、7及び18に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による請求項2、7及び18に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体部位の物理的再構築物であって、前記身体部位は、医療用撮像デバイスから得られた3次元画像データによって記述されており、前記物理的再構築物は、複数のマクロボクセルを形成する複数のデジタル材料を含み、それぞれのデジタル材料は、異なる機械的特性を有する少なくとも2つのモデリング材料の組み合わせであり、それぞれのマクロボクセルの単位サイズは、画像データの1つのボクセルによって表される単位サイズに相当し、それぞれのマクロボクセルについて、前記少なくとも2つのモデリング材料の前記組み合わせは、画像データのそれぞれのボクセルのボクセル値の変換であり、前記少なくとも2つのモデリング材料の前記組み合わせは、前記ボクセル値と相関する前記身体部位の機械的特性を模倣するように構成され、前記模倣される身体部位の機械的特性は、弾性であり、前記画像データは、CTスキャナ、MRI、および超音波デバイスのうちの1つ以上から得られる、物理的再構築物。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記デジタル材料は、前記少なくとも2つのモデリング材料の比率によって定義される、請求項1に記載の物理的再構築物。
【請求項4】
少なくとも1つのマクロボクセルについて、前記マクロボクセルを定義する前記少なくとも2つのモデリング材料の堆積に基づいて形成された空間パターンは、少なくとも2つのモデリング材料のランダム空間パターンであるか、または少なくとも2つのモデリング材料の疑似ランダム空間パターンである、請求項1に記載の物理的再構築物。
【請求項5】
少なくとも1つのマクロボクセルについて、前記マクロボクセルを定義する前記少なくとも2つのモデリング材料の堆積に基づいて形成された空間パターンは、少なくとも2つのモデリング材料の構造化されたパターンである、請求項1に記載の物理的再構築物。
【請求項6】
前記デジタル材料は、前記少なくとも2つのモデリング材料で形成される定義されたパターンによって定義される、請求項1に記載の物理的再構築物。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
前記複数のデジタル材料のうちの少なくとも1つは、複数の層の上に定義される、請求項1に記載の物理的再構築物。
【請求項9】
前記少なくとも2つのモデリング材料のうちの1つは、0.01MPaの弾性係数を持つように構成される、請求項1,3?6,8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。
【請求項10】
前記少なくとも2つのモデリング材料の1つは、3GPaの弾性係数を持つように構成される、請求項1,3?6,8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。
【請求項11】
前記少なくとも2つのモデリング材料は、弾性係数が0.01MPaと3GPaの範囲で異なる1つの硬直または剛性材料および1つ柔軟材料を含む、請求項1,3?6,8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。
【請求項12】
前記少なくとも2つのモデリング材料のうちの1つは、液体材料、ゲル材料、またはゲル状材料である、請求項1,3?6,8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。
【請求項13】
前記少なくとも2つのモデリング材料のうちの1つは、アディティブ・マニュファクチャリングプロセスの全体期間中に液体状態のままであるように構成された液体材料である、請求項1,3?6,8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。
【請求項14】
前記液体材料は、ポリエチレングリコール400(PEG400)である、請求項13に記載の物理的再構築物。
【請求項15】
少なくとも1つのデジタル材料は、より固い材料に囲まれた液体材料、ゲル材料、またはゲル状材料で形成される、請求項1,3?6,8のいずれか一項に記載の物理的再構築物。
【請求項16】
前記より固い材料は、前記液体材料をカプセル化するように構成される、請求項15に記載の物理的再構築物。
【請求項17】
前記液体材料、ゲル材料、またはゲル状材料は、非常に軟性の組織および/または体液を模倣するように構成される、請求項12に記載の物理的再構築物。
【請求項18】
(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-12-25 
出願番号 特願2017-149200(P2017-149200)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B29C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 ▲高▼村 憲司  
特許庁審判長 大島 祥吾
特許庁審判官 植前 充司
大畑 通隆
登録日 2019-07-05 
登録番号 特許第6549191号(P6549191)
権利者 ストラタシス リミテッド
発明の名称 マルチマテリアル・アディティブ・マニュファクチャリングを使用して身体部位モデルを作製するシステムおよび方法  
代理人 浅野 典子  
代理人 風早 信昭  
代理人 浅野 典子  
代理人 風早 信昭  

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