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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
審判 一部申し立て 2項進歩性  C08L
管理番号 1371699
異議申立番号 異議2020-700084  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-02-14 
確定日 2021-01-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6561062号発明「硬化性組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6561062号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔9-14〕について訂正することを認める。 特許第6561062号の請求項9ないし14に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
(1)特許異議申立の経緯
特許第6561062号(請求項の数14。以下、「本件特許」という。)は、平成27年8月28日(優先権主張:平成26年9月1日)を国際出願日とする出願であって、令和1年7月26日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は、令和1年8月14日である。)。
その後、令和2年2月14日に、本件特許の請求項9?14に係る特許に対して、特許異議申立人である岡林茂(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。

手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 2月14日 特許異議申立書
同年 6月22日付け 取消理由通知書
同年 8月13日 意見書・訂正請求書(特許権者)
同年 9月 9日 通知書(申立人あて)
同年10月19日 意見書(申立人)

(2)証拠方法
ア 申立人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。
(ア)特許異議申立書に添付した証拠
・甲第1号証 国際公開第2008/059873号
・甲第2号証 AGC株式会社ホームページ、https://www.agc-chemicals.com/jp/ja/products/detail/index.html?pCode=JP-JA-U009
・甲第3号証 特開2008-239859号公報
・甲第4号証 特開2011-46906号公報

(イ)令和2年10月19日に提出した意見書に添付した証拠
・甲第5号証 特開2011-153192号公報
・甲第6号証 特開2011-225695号公報
・甲第7号証 国際公開第2010/110107号
以下、「甲第1号証」等を「甲1」等という。

第2 訂正の適否についての判断
特許権者は、特許法第120条の5第1項の規定により審判長が指定した期間内である令和2年8月13日に訂正請求書を提出し、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項9?14について訂正することを求めた(以下「本件訂正」という。)。

1 訂正の内容
(1)訂正事項1
訂正前の請求項1に「(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が一般式(1)および/または一般式(2)で表されるケイ素含有官能基を1分子中に平均して0.5?2.3個有する硬化性組成物。」と記載されているのを、「(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が一般式(1)および/または一般式(2)で表されるケイ素含有官能基を1分子中に平均して0.5?2.3個有する硬化性組成物(ただし前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸メチルを10.0質量部、アクリル酸ブチルを66.0質量部、アクリル酸2-エチルヘキシルを21.0質量部、及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部を原料単量体組成とするものを除く)。」に訂正する。

(2)一群の請求項
訂正事項1に係る訂正前の請求項9について、請求項10?14はそれぞれ請求項9を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項9に連動して訂正されるものである。
よって、本件訂正は、一群の請求項に対してなされたものである。

2 判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1における硬化性組成物のうちの(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)について、メタクリル酸メチルを10.0質量部、アクリル酸ブチルを66.0質量部、アクリル酸2-エチルヘキシルを21.0質量部、及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部を原料単量体組成とするものを除く訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1における硬化性組成物のうちの(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)について、特定の原料単量体組成を除く訂正であるから、実質上特許請求の範囲の拡張・変更に該当せず、さらに、新規事項の追加に当たらないことは明らかである。

(2)申立人の主張
申立人は、令和2年10月19日に提出した意見書において、本件訂正はいわゆる除くクレームであって、除くクレームが認められるのは、訂正後の請求項9に係る発明が甲1発明と技術的思想として顕著に異なり本来進歩性を有するが、たまたま甲1発明と重なるような発明である場合である。しかしながら、訂正後の請求項9に係る発明は甲1発明と技術的思想として顕著に異なるものではなく本来進歩性を有するものではないから、本件訂正は、特許法第126条第5項の要件に違反する旨を主張し、また、訂正後の請求項9に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないため、特許法第126条第7項の要件に違反する旨を主張する。

この申立人の主張について検討すると、申立人は、甲1発明は、耐候性に優れる硬化性組成物を得ることが課題になっていること、甲1に記載された発明を用いれば訂正後の請求項9に係る発明が容易に得られることを述べるだけであり、訂正後の請求項9に係る発明と甲1発明との相違点を動機づける理由について具体的に述べるものではないから、申立人の主張から訂正後の請求項9に係る発明が進歩性を有さないとはいえない。また、請求項9は、特許異議申立の対象となる請求項であるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定の検討を必要としない。
したがって、申立人の主張は採用できない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる目的に適合し、また、同法同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するから、本件訂正を認める。

第3 特許請求の範囲の記載
上記のとおり、本件訂正は認められたので、特許第6561062号の特許請求の範囲の記載は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1?14に記載される以下のとおりのものである。(以下、請求項1?14に記載された事項により特定される発明を「本件発明1」?「本件発明14」といい、まとめて「本件発明」ともいう。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)

「【請求項1】
架橋性シリル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位を有する加水分解性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)と、分子鎖末端もしくは分子鎖末端部位のみに架橋性シリル基を有する有機重合体(B)を含有する硬化性組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)がニトリル系でないアゾ系重合開始剤に由来する基を有する硬化性組成物。
【請求項2】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が60℃?140℃で共重合することで得られる請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の重合法が溶液重合法である請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
有機重合体(B)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、および飽和炭化水素系重合体からなる群から選択される1種以上である請求項1?3のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項5】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の重量平均分子量が7000?14000である請求項1?4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項6】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が一般式(1):
-SiX_(3) (1)
(式中、Xはヒドロキシ基または加水分解性基であり、3個のXは同一であっても良く、異なっていてもよい)および/または一般式(2):
-SiR^(1)X_(2) (2)
(R^(1)は、炭素原子数1から20の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、炭素原子数7から20のアラルキル基、または、-OSiR’_(3)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは前記と同じであり、2個のXは同一であっても良く、異なっていてもよい。)で表されるケイ素含有官能基を1分子中に平均して0.5?2.5個有し、一般式(1)に示すケイ素含有官能基が1分子中に平均して0?2.0個、一般式(2)に示すケイ素含有官能基が1分子中に平均して0?2.0個である請求項1?5のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項7】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のメタクリル酸エステル0?15重量部、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のアクリル酸エステル55?90重量部、エステルを構成するアルコール成分が炭素数8以上の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基の(メタ)アクリル酸エステル5?30重量部に由来する繰り返し単位を有する請求項1?6のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項8】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、メチルメタクリレート0?15重量部、ブチルアクリレート55?90重量部、および2-エチルヘキシルアクリレート5?30重量部に由来する繰り返し単位を有する請求項1?7のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項9】
架橋性シリル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位を有する加水分解性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)と、分子鎖末端もしくは分子鎖末端部位のみに架橋性シリル基を有する有機重合体(B)を含有する硬化性組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が有機過酸化物系重合開始剤に由来する基を有し、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のメタクリル酸エステル0?15重量部、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のアクリル酸エステル55?90重量部、エステルを構成するアルコール成分が炭素数8以上の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基の(メタ)アクリル酸エステル5?30重量部に由来する繰り返し単位を有し、重量平均分子量が7000?14000であり、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が一般式(1)および/または一般式(2)で表されるケイ素含有官能基を1分子中に平均して0.5?2.3個有する硬化性組成物(ただし前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸メチルを10.0質量部、アクリル酸ブチルを66.0質量部、アクリル酸2-エチルヘキシルを21.0質量部、及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部を原料単量体組成とするものを除く)。
-SiX_(3) (1)
(式中、Xはヒドロキシ基または加水分解性基であり、3個のXは同一であっても良く、異なっていてもよい)
-SiR^(1)X_(2) (2)
(R^(1)は、炭素原子数1から20の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、炭素原子数7から20のアラルキル基、または、-OSiR’_(3)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは前記と同じであり、2個のXは同一であっても良く、異なっていてもよい。)
【請求項10】
有機重合体(B)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、および飽和炭化水素系重合体からなる群から選択される1種以上である請求項9に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、一般式(1)に示すケイ素含有官能基を1分子中に平均して0?2.0個、一般式(2)に示すケイ素含有官能基を1分子中に平均して0?2.0個有する請求項9または10に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、メチルメタクリレート0?15重量部、ブチルアクリレート55?90重量部、および2-エチルヘキシルアクリレート5?30重量部に由来する繰り返し単位を有する請求項9?11のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項13】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の23℃、3°×R14の条件で測定されるE型粘度が15?200Pa・sである請求項1?12のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項14】
有機重合体(B)に含有される架橋性シリル基が重合体1分子中に平均して0.5個以上、数平均分子量がGPCにおけるポリスチレン換算において800から50,000、有機重合体(B)の架橋性シリル基は、一般式(3):
-SiR^(2)_(3-a)X_(a) (3)
(R^(2)は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、炭素原子数7から20のアラルキル基、または、-OSiR’_(3)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは、それぞれ独立にヒドロキシ基または加水分解性基である。更に、aは1から3の整数である)で表される請求項1?13のいずれかに記載の硬化性組成物。」

第4 特許異議申立理由及び取消理由の概要
1 取消理由通知の概要
当審が取消理由通知で通知した取消理由の概要は、以下に示すとおりである。
(1)取消理由1
本件訂正前の請求項9?14に係る発明は、本件優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物である甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、本件訂正前の請求項9?14に係る発明の特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

甲1:国際公開第2008/059873号
甲2:AGC株式会社ホームページ、https://www.agc-chemicals.com/jp/ja/products/detail/index.html?pCode=JP-JA-U009(技術常識を示す文献)
甲3:特開2008-239859号公報(技術常識を示す文献)

2 特許異議申立理由の概要
申立人が特許異議申立書でした申立の理由の概要は、以下に示すとおりである。
(1)申立理由1
本件訂正前の請求項9?14に係る発明は、本件優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物である甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、本件訂正前の請求項9?14に係る発明の特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。(取消理由1と同旨。)

(2)申立理由2
本件訂正前の請求項9?14に係る発明は、本件優先日前に頒布された刊行物である甲1に記載された発明及び甲2?甲4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本件訂正前の請求項9?14に係る発明の特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。

甲1:国際公開第2008/059873号
甲2:AGC株式会社ホームページ、https://www.agc-chemicals.com/jp/ja/products/detail/index.html?pCode=JP-JA-U009
甲3:特開2008-239859号公報
甲4:特開2011-46906号公報

第5 当審の判断
当審は、当審が通知した取消理由1及び申立人がした申立理由1及び2によっては、いずれも、本件発明9?14に係る特許を取り消すことはできないと判断する。
その理由は以下のとおりである。
なお、取消理由1と申立理由1は同旨であり、また、申立理由1と2は、甲1を主引用例とする理由であるから、取消理由1、申立理由1及び2を併せて述べる。

1 取消理由1、申立理由1及び2について
(1)各甲号証の記載事項について
ア 甲1
甲1には、以下の事項が記載されている。
(1a)「請求の範囲
[1] (A)加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体、(B)架橋性官能基を有するビニル重合体および(C)可塑剤を含むシーリング材組成物であって、(A)、(B)および(C)の混合物が相溶しないことを特徴とするシーリング材組成物。
[2] 架橋性官能基を有するビニル重合体が(メタ)アクリル重合体である請求項1に記載のシーリング材組成物。
[3] 架橋性官能基を有するビニル重合体は、構成単量体単位として(メタ)アクリル酸2-エチルへキシル単位および/または(メタ)アクリル酸シクロへキシル単位を含むものである請求項1または請求項2に記載のシーリング材組成物。
[4] ビニル重合体の有する架橋性官能基がアルコキシシリル基である請求項1?請求項3のいずれかに記載のシーリング材組成物。
・・・
[8] 架橋性官能基を有するビニル重合体は、ビニル重合体を構成する全単量体単位100質量部を基準として、(メタ)アクリル酸2-エチルへキシル単位および(メタ)アクリル酸シクロへキシル単位の合計割合が70?99質量部である請求項3に記載のシーリング材組成物。」

(1b)「[0001] 本発明は、常温硬化可能なシーリング材組成物に関し、さらに詳しくは、破断伸びが高く、耐候性に優れたシーリング材組成物に関するものである。
・・・
[0003] ・・・
発明が解決しようとする課題
[0004] 本発明の目的は、破断伸びが高く、耐候性に優れたシーリング材組成物を提供することである。
・・・」

(1c)「[0012] 本発明における(A)加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体は、末端に加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン化合物である。アルコキシシリル基としてトリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、メチルジメトキシエトキシシリル基が挙げられ、これらの中でも、硬化速度と柔軟性のバランスからトリメトキシシリル基およびメチルジメトキシシリル基が好ましい。
・・・
[0015] 加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で2,000-50,000であることが好ましい。重量平均分子量が2,000未満では、シーリング材組成物を硬化させて得られる硬化物の柔軟性が不足する場合があり、重量平均分子量が50,000を超えると組成物の粘度が高くなるため、シーリング材組成物の塗工時に作業性が低下する場合がある。
[0016] 加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体の具体例として、株式会社カネカ製「MSポリマーS203」(商品名)、「MSポリマーS303」(商品名)、「サイリルSAT200J (商品名)および「サイリルSAT30」(商品名)、旭硝子株式会社製「エクセスターESS2410」(商品名)、「エクセスターESS2420」(商品名)および「エクセスターESS3430] (商品名)等が例示され、本発明ではこれらを使用することが出来る。」

(1d)「[0017] 本発明における(B)架橋性官能基を有するビニル重合体は、1分子あたりの架橋性官能基の平均個数が0.1?1個であるものが好ましい。破断伸びを高くするためには0.1?0.6個がさらに好ましく、0.1?0.3個がもっとも好ましい。1分子あたりの架橋性官能基の平均個数が0.1個未満であると、シーリング材組成物が硬化性の不十分なものとなる恐れがあり、また硬化物が耐侯性の不十分なものとなる場合がある。架橋性官能基の平均個数が1個を超えると、シーリング材組成物の硬化性が強すぎるため硬化物が柔軟性(伸び)の不足するものとなる恐れがある。
・・・
[0036] ラジカル重合開始剤としては、所定の反応温度でラジカルを発生する開始剤であれば何でもよい。例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシビバレート、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ジターシャリーへキシルパーオキサイド、ジターシャリアミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドおよびラウロイルパーオキサイド等の過酸化物、または2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)および2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウム等の無機過酸化物、リビング重合に用いられる金属錯体等があげられる。またスチレン等から発生する熱開始ラジカルでもよい。
特に好ましくは、ジターシャリブチルパーオキサイド、ジターシャリへキシルパーオキサイド、ジターシャリアミルパーオキサイドおよびアゾ系開始剤であり、これらは安価で開始剤ラジカルが水素引抜きを起こしにくいのでよい。・・・」

(1e)「[0056] 以下、合成例および実施例を挙げて具体的に説明する。なお、ことわりのない限り、部は質量部を意味する。表における原料の仕込み割合も質量部で表示されている。
実施例
[0057](合成例1)
オイルジャケットを備えた容量 1000mlの加圧式攪拌槽型反応器を、温度を200℃に保った。反応器の圧力を一定に保ちながら、メタクリル酸メチル(以下、MMAという。)を10部、アクリル酸ブチル(以下、BAという)を10部、アクリル酸2-エチルへキシル(以下、HAという)を78.6部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下、MSiという)を1.4部、イソプロピルアルコール(以下、IPAという)12部、オルト酢酸メチル(以下、MOAという)8部、メチルエチルケトン10部、重合開始剤としてジターシャリーへキシルパーオキサイドを0.2部からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を反応器から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケット温度を制御することにより、反応温度163?165℃を保持した。単量体混合物の供給開始から温度が安定した時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。
その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して濃縮液(重合体1という)を得た。溶剤としてテトラヒドロフランを使用し、GPCで測定したポリスチレン換算の重合体1の数平均分子量(以下、Mnという。)は4,100、重量平均分子量(以下、Mwという。)は10,700であった。また、重合体1の1分子あたりの加水分解性シリル基の数は0.23個であった。25℃の温度において回転数5rpmの条件でE型粘度計により測定した重合体1の粘度は25700mpa・sであった。
・・・
[0060] <合成例5、6>
条件を表1のように変更する以外は合成例1と同様に重合および処理を行い、共重合体を合成した。得られた重合体をそれぞれ重合体5、6という。これらの分析結果を表1に示す。
[0061] [表1]



(1f)「[0062]<実施例1>
相溶性評価の方法
加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体としてES-S2420(商品名、旭硝子 (株)製)を70部、加水分解性シリル基を有するビニル重合体として重合体1を30部、可塑剤としてARUFON UP1000(商品名、東亞合成(株)製)を50部混合して、充分攪拌して得られた(A)、(B)および(C)成分からなる組成物をガラス瓶に入れて密封した。室温(23℃)にて24時間静置したのち外観を目視で評価し、組成物に境界面が確認できるか否か、もしくは白濁しているか否かで相溶性の評価を行った。相溶性の評価結果を表2に示す。
[0063]引張り試験
表2に示す配合で(A)、(B)、(C)成分、硬化促進剤、密着性付与剤および脱水剤からなる組成物を調製した。該組成物を23℃、50%RHの条件下で1週間養生して、厚さ2mmの硬化物シートを作成した。得られた硬化物シートより引張り試験用ダンベル(JIS K 6251 3号型)を作成し、引張り試験機(東洋精機(株)製、テンシロン200)により破断伸びを測定した(引張り速度は50mm/分)。破断伸びの測定結果を表2に示す。
[0064] <実施例2?4、比較例1、2>
実施例1と同様に、(A)、(B)および(C)成分からなる組成物について相溶性を評価した。
また、実施例1と同様に、(A)、(B)、(C)成分、硬化促進剤、密着性付与剤および脱水剤からなる組成物を硬化させて得られた硬化物シートについて破断伸びの評価を行った。
これらの結果を表2に示す。
実施例1?4は、(A)、(B)および(C)成分からなる組成物の外観が白濁しており相溶していなかったが、比較例1、2は組成物の外観が透明であり相溶していた。相溶性評価で非相溶であった実施例1?4は、相溶した比較例1、2と比較して、硬化促進剤、密着性付与剤および脱水剤が添加されたシーリング材組成物(硬化性組成物)を硬化させて得られる硬化物が高い破断伸びを示した。
・・・
[0067] [表2]



イ 甲2
(2a)「エクセスター
<一般名>変成シリコーン」(第1頁の上段表題)

(2b)「特長
エクセスターはAGCの有する超高分子量ポリエーテルポリオール(プレミノール)の技術をベースとして開発した末端に加水分解性シリル基を有する画期的な湿気硬化性液状変成ポリエーテルポリマーです。・・・」(第1頁下から第6?3行)

(2c)「基本性状
以下に代表的品番を示します。
性状 外観 粘度(mPa・s at25℃) 特長
・・・
ES-S2420 淡黄色液体 12,000?23,000 中モジュラス
・・・
ES-Sシリーズは、末端に加水分解性のシリル基を有しているため、湿気によって柔軟性・弾性に優れた硬化物が得られます。
以下に標準的な硬化物性を示します。
性状 50%引張応力 最大引張応力 破断伸度
(N/mm^(2)) (N/mm^(2)) (%)
・・・
ES-S2420 0.15?0.25 0.40?0.90 200?400
・・・
」(第3頁上段)

ウ 甲3
(3a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体(A)及び1分子当たりの加水分解性シリル基の個数が0.1?1.0個であると共に、質量平均分子量が5000?15000であり、かつメタクリル酸エステル単位を50質量%を超え95質量%以下有するビニル重合体(B)を含有することを特徴とする湿気硬化性組成物。」

(3b)「【0023】
加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体(A)は、湿気硬化(架橋)して湿気硬化性組成物の硬化物の基本的な物性を発揮するための材料であって、末端に加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系化合物の重合体を意味する・・・
【0028】
オキシアルキレン系重合体(A)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の分子量で2000?50000であることが好ましい。この質量平均分子量が2000未満では得られる硬化物の柔軟性が不足する場合があり、質量平均分子量が50000を超えると湿気硬化性組成物の粘度が高くなるため、湿気硬化性組成物の塗工時に作業性が低下する場合がある。
【0029】
オキシアルキレン系重合体(A)の具体例としては、(株)カネカ製、商品名「MSポリマーS203」、「MSポリマーS303」、「サイリルSAT200」及び「サイリルSAT30」、旭硝子(株)製、商品名「エクセスターESS2410」、「エクセスターESS2420」及び「エクセスターESS3430]等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。」

(3c)「【実施例】
【0070】
・・・
【0077】
それらの結果を表3にまとめて示す。
なお、表2中における数値はgを意味する。使用した材料は以下のとおりである。
変成シリコーン:質量平均分子量(Mw)25000、数平均分子量(Mn)18000、重合体1分子あたりの加水分解性シリル基の数は1.9個、旭硝子(株)製、エクセスターESS2420
・・・」

(2)甲1に記載された発明
甲1の請求の範囲の第1項には、「(A)加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体、(B)架橋性官能基を有するビニル重合体および(C)可塑剤を含むシーリング材組成物であって、(A)、(B)および(C)の混合物が相溶しないことを特徴とするシーリング材組成物。」が記載され(摘記(1a))、明細書の段落[0001]には、本発明は、常温硬化可能なシーリング材組成物に関し、さらに詳しくは、破断伸びが高ぐ耐候性に優れた常温硬化可能なシーリング材組成物に関するものである旨の記載がされ(摘記(1b))、その具体例として、実施例1が記載された上で、実施例1を引用しながら本発明の具体例ではない比較例2が記載されている(摘記(1f))。

甲1の比較例2に着目すると、甲1の請求の範囲の第1項に記載された(B)成分の具体例は合成例6によるものであるといえ、合成例6は合成例1を引用しながら記載されている(摘記(1e)の[0060])ことからすれば、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体としてES-S2420(商品名、旭硝子 (株)製)を70質量部、加水分解性シリル基を有するビニル重合体として、オイルジャケットを備えた容量 1000mlの加圧式攪拌槽型反応器を、温度を200℃に保ち、反応器の圧力を一定に保ちながら、メタクリル酸メチルを10質量部、アクリル酸ブチルを66質量部、アクリル酸2-エチルへキシルを21.0質量部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部、イソプロピルアルコール(以下、IPAという)12質量部、オルト酢酸メチル(以下、MOAという)8質量部、メチルエチルケトン10質量部、重合開始剤としてジターシャリーへキシルパーオキサイドを0.2質量部からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を反応器から連続的に抜き出し、反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、オイルジャケット温度を制御することにより、反応温度163?165℃を保持し、単量体混合物の供給開始から温度が安定した時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収し、その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離した濃縮液に含まれる重合体(以下「合成例6の重合体」という。)を30質量部、可塑剤としてARUFON UP1000(商品名、東亞合成(株)製)を50質量部混合して、充分攪拌して得られた(A)、(B)および(C)成分からなるシーリング材組成物であって、合成例6の重合体は、重量平均分子量が12500であり、25℃の温度において回転数5rpmの条件でE型粘度計により測定した粘度が54000mPa・sであり、重合体1分子あたりのSiの個数が0.56個である、シーリング材組成物」(以下「甲1発明」という。)

(3)対比・判断
ア 本件発明9について
(ア)対比
a 甲1発明の「加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体としてES-S2420(商品名、旭硝子 (株)製)」を、本件発明9の「分子鎖末端もしくは分子鎖末端部位のみに架橋性シリル基を有する有機重合体(B)」(以下「成分(B)」という。)に対応させ、同じく甲1発明の「合成例6の重合体」を、本件発明9の「架橋性シリル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位を有する加水分解性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)」(以下「成分(A)」という。)に対応させた上で、甲1発明と本件発明9とを対比する。

b まず、甲1発明のシーリング組成物について検討する。
甲1には、本発明は常温硬化可能なシーリング材組成物と記載されている(摘記(1b))から、甲1発明のシーリング組成物は、本件発明9の硬化性組成物に相当する。

c 次に、甲1発明の「合成例6の重合体」と「成分(A)」とを対比する。
(a)合成例6の重合体は、重合開始剤としてジターシャリーへキシルパーオキサイドを用いており、ジターシャリーへキシルパーオキサイドは有機過酸化物系の重合開始剤であることは明らかで、これにより、合成例6の重合体はジターシャリーへキシルパーオキサイド由来の基を有することは明らかであるから、甲1発明の「重合開始剤としてジターシャリーへキシルパーオキサイド」を用いた「合成例6の重合体」は、本件発明9の「成分(A)が有機過酸化物系の重合開始剤に由来する基を有し」に相当する。
(b)合成例6の重合体は、単量体として、メタクリル酸メチルを10質量部、アクリル酸ブチルを66質量部、アクリル酸2-エチルへキシルを21.0質量部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部重合して得られた重合体であり、合成例6の重合体の「メタクリル酸メチルを10質量部」は、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1の直鎖状のアルキル基であるから、(A)成分のうち、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のメタクリル酸エステル0?15重量部に由来する繰り返し単位に相当する。
(c)合成例6の重合体の「アクリル酸ブチル」について、甲1の段落[0023]に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例として、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸 s-ブチル、(メタ)アクリル酸 t-ブチルが記載されているところをみると、エステルを構成するアルコール成分が炭素数4の直鎖状アルキル基であると解することが自然であるから、合成例6の重合体の「アクリル酸ブチルを66質量部」は、(A)成分のエステルを構成するアルコール成分が炭素数4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のアクリル酸エステル55?90重量部に由来する繰り返し単位に相当する。
(d)合成例6の重合体の「アクリル酸2-エチルへキシルを21.0質量部」は、エステルを構成するアルコール成分が炭素数8の分岐状アルキル基であるから、(A)成分のエステルを構成するアルコール成分が炭素数8以上の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基の(メタ)アクリル酸エステル5?30重量部に由来する繰り返し単位に相当する。
(e)合成例6の重合体は重量平均分子量が12500であるから、これは、(A)成分の重量平均分子量が7000?14000に相当する。
(f)合成例6の重合体は、単量体として、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部重合しており、重合体1分子あたり0.56個のSiを有しているから、合成例6の重合体の1分子は-Si-(OCH3)3で表される基を0.56個有しているといえ、この基は加水分解性ケイ素基であることは明らかであるところ、これは、成分(A)が一般式(1)で表されるケイ素含有官能基を1分子中に平均して0.5?2.3個有するに相当する。
(g)以上のとおりであるから、甲1発明の「合成例6の重合体」は、本件発明9の成分(A)に相当する。

d 最後に、甲1発明の「加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体としてES-S2420(商品名、旭硝子 (株)製)」と「成分(B)」とを対比する。
成分(B)の加水分解性シリル基は架橋性シリル基であることは明らかであるから、甲1発明の「加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン重合体としてES-S2420(商品名、旭硝子 (株)製)」と「成分(B)」とは、架橋性シリル基を有する有機重合体である限りにおいて一致する。

そうすると、本件発明9と甲1発明とは、
「架橋性シリル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位を有する加水分解性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)と、架橋性シリル基を有する有機重合体(B)を含有する硬化性組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が有機過酸化物系重合開始剤に由来する基を有し、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のメタクリル酸エステル0?15重量部、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のアクリル酸エステル55?90重量部、エステルを構成するアルコール成分が炭素数8以上の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基の(メタ)アクリル酸エステル5?30重量部に由来する繰り返し単位を有し、重量平均分子量が7000?14000であり、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が一般式(1)および/または一般式(2)で表されるケイ素含有官能基を1分子中に平均して0.5?2.3個有する硬化性組成物。
-SiX_(3) (1)
(式中、Xはヒドロキシ基または加水分解性基であり、3個のXは同一であっても良く、異なっていてもよい)
-SiR^(1)X_(2)(2)
(R^(1)は、炭素原子数1から20の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、炭素原子数7から20のアラルキル基、または、-OSiR’_(3)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは前記と同じであり、2個のXは同一であっても良く、異なっていてもよい。)」で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)有機重合体(B)にある架橋性シリル基が、本件発明9では、分子鎖末端もしくは分子鎖末端部位のみあるのに対して、甲1発明では、存在位置が明らかでない点

(相違点2)(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、本件発明9では、メタクリル酸メチルを10.0質量部、アクリル酸ブチルを66.0質量部、アクリル酸2-エチルヘキシルを21.0質量部、及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部を原料単量体組成とするものを除くのに対して、甲1発明では、メタクリル酸メチルを10質量部、アクリル酸ブチルを66質量部、アクリル酸2-エチルへキシルを21.0質量部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部重合して得られた重合体である点

(イ)判断
事案に鑑み、相違点2から検討する。
a 新規性について
甲1発明は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の原料単量体組成が、メタクリル酸メチルを10質量部、アクリル酸ブチルを66質量部、アクリル酸2-エチルへキシルを21.0質量部及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部であり、本件発明9は、この原料単量体組成を除くものであるから、相違点2は実質的な相違点である。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明でない。

b 進歩性について
次に、この相違点2の容易想到性について検討する。
甲1には、破断伸びが高く、耐候性優れたシーリング材組成物を提供することを課題とすることが記載され(摘記(1b))、その請求の範囲の第1項には、「(A)加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体、(B)架橋性官能基を有するビニル重合体および(C)可塑剤を含むシーリング材組成物であって、(A)、(B)および(C)の混合物が相溶しないことを特徴とするシーリング材組成物。」が記載され(摘記(1a))、その具体例として比較例2が記載され、比較例2として用いられた成分のシーリング材組成物は、完全に相溶したこと、破断伸びが実施例に比べて劣ることが記載されており(摘記(1f))、比較例2は、甲1に記載された課題を解決できていないものである。そして、比較例2が甲1発明である。
このように、甲1発明は、甲1の特許請求の範囲に記載された具体例である実施例の作用効果を示すための対照例としての比較例であるといえ、甲1に記載された課題を解決できていないものであるから、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の原料単量体組成を変更する動機づけがあるとはいえず、当業者であっても、相違点2を本件発明9で特定する内容とすることは容易であるとはいえない。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

c 小括
よって、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

イ 本件発明10?14について
本件発明10?14は、本件発明9を直接的又は間接的に引用して限定した発明であるから、本件発明10?14は、上記「ア」で示した理由と同じ理由により、甲1に記載された発明であるといえず、また、甲1に記載された発明及び甲1に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、取消理由1、申立理由1及び2によっては、本件発明9?14に係る特許を取り消すことはできない。

2 新たな理由について
申立人は、令和2年10月19日に提出した意見書において、新たに甲5?甲7を提出し、令和2年8月13日に提出した訂正請求により本件の請求項9?14に係る発明が訂正されたとしても、新規性及び進歩性がない旨を主張するので、念のため検討しておく。

(1)甲5?甲7の記載事項及び記載された発明について
ア 甲5
甲5の記載(特許請求の範囲、段落【0007】、【0009】、【0099】?【0114】)によれば、特に比較例4に着目すると、甲5には、以下の発明が記載されていると認められる。
「55.0質量部のアクリル酸エチル、30.0質量部のアクリル酸2-エチルヘキシルと、15.0質量部の3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと、2.5部のジ-tert-ヘキシルパーオキサイド(重合開始剤)を含む単量体混合物の重合を行い、重量平均分子量は8,300、この重合体の高分子鎖1本あたりのアルコキシシリル基の数f(Si)は2.2であるメタクリル系共重合体(A-11)を40質量部、ジメトキシシリル基を有するポリプロピレンオキサイド(商品名「SAT-200」、カネカ社製)を60質量部含む硬化性組成物」(以下「甲5発明」という。)

イ 甲6
甲6には、以下の事項が記載されている。
(6a)「【0046】
・・・
*カネカサイリルSAT115:(株)カネカ製、加水分解性シリル基を片末端にのみ有するポリエーテル、23℃の粘度0.5Pa・s
*カネカサイリルSAT200:(株)カネカ製、加水分解性シリル基2個含有ポリエーテル、23℃の粘度25Pa・s」

ウ 甲7
甲7には、以下の事項が記載されている。
(7a)「[0176](比較例1)
表10に示した如く、サイリルSAT-200(架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体、架橋性シリル基:メチルジメトキシシリル基、(株)カネカ製)・・・」

(2)対比・判断
ア 本件発明9について
(ア)対比
a 甲5発明の「ジメトキシシリル基を有するポリプロピレンオキサイド(商品名「SAT-200」、カネカ社製)」を、本件発明9の「分子鎖末端もしくは分子鎖末端部位のみに架橋性シリル基を有する有機重合体(B)」(以下「成分(B)」という。)に対応させ、同じく甲5発明の「メタクリル共重合体(A-11)」を、本件発明9の「架橋性シリル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位を有する加水分解性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)」(以下「成分(A)」という。)に対応させた上で、甲5発明と本件発明9とを対比する。

b まず、甲5発明の「メタクリル共重合体(A-11)」と本件発明9の「成分(A)」とを対比する。
(a)メタクリル共重合体(A-11)は、重合開始剤としてジ-tert-ヘキシルパーオキサイドを用いており、ジ-tert-ヘキシルパーオキサイドは有機過酸化物系の重合開始剤であることは明らかであって、これにより、メタクリル共重合体(A-11)はジ-tert-ヘキシルパーオキサイド由来の基を有することは明らかであるから、甲5発明の「ジ-tert-ヘキシルパーオキサイド(重合開始剤)を含む単量体混合物の重合」により得られた「メタクリル共重合体(A-11)」は、本件発明9の「成分(A)が有機過酸化物系の重合開始剤に由来する基を有し」に相当する。
(b)メタクリル共重合体(A-11)は、単量体として、アクリル酸エチルを55.0質量部、アクリル酸2-エチルヘキシルを30.0質量部、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを15.0質量部重合して得られた重合体である。このうち、メタクリル共重合体(A-11)の「アクリル酸エチル」は、エステルを構成するアルコール成分が炭素数2の直鎖状のアルキル基であるから、甲5発明の「55.0質量部のアクリル酸エチル」は(A)成分のエステルを構成するアルコール成分が炭素数4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のアクリル酸エステル55?90重量部に由来する繰り返し単位に相当する。
(c)メタクリル共重合体(A-11)の「アクリル酸2-エチルへキシル」は、エステルを構成するアルコール成分が炭素数8の分岐状アルキル基であるから、、甲5発明の「30.0質量部のアクリル酸2-エチルヘキシル」は(A)成分のエステルを構成するアルコール成分が炭素数8以上の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基の(メタ)アクリル酸エステル5?30重量部に由来する繰り返し単位に相当する。
(d)メタクリル共重合体(A-11)は重量平均分子量が8,300であるから、これは、(A)成分の重量平均分子量が7000?14000に相当する。
(e)メタクリル共重合体(A-11)は、単量体として、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを15.0質量部重合しており、重合体1分子あたり2.2個のSiを有しているから、メタクリル共重合体(A-11)の1分子は-Si-(OCH_(3))_(3)で表される基を2.2個有しているといえ、この基は加水分解性ケイ素基であることは明らかである。そうすると、これは、成分(A)が一般式(1)で表されるケイ素含有官能基を1分子中に平均して0.5?2.3個有するに相当する。
(f)以上のとおりであるから、甲5発明の「メタクリル共重合体(A-11)」は、本件発明9の成分(A)に相当する。

c 次に、甲5発明の「ジメトキシシリル基を有するポリプロピレンオキサイド(商品名「SAT-200」、カネカ社製)」と本件発明9の「成分(B)」とを対比する。
成分(B)のジメトキシシリル基は架橋性シリル基であることは明らかであるから、甲5発明の「ジメトキシシリル基を有するポリプロピレンオキサイド(商品名「SAT-200」、カネカ社製)」と「成分(B)」とは、架橋性シリル基を有する有機重合体である限りにおいて一致する。

d 最後に、甲5発明の「メタクリル共重合体(A-11)」は、原料単量体組成として、メタクリル酸メチルを10.0質量部、アクリル酸ブチルを66.0質量部、アクリル酸2-エチルヘキシルを21.0質量部、及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部とするものではないから、甲5発明は、本件発明9の「(ただし前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸メチルを10.0質量部、アクリル酸ブチルを66.0質量部、アクリル酸2-エチルヘキシルを21.0質量部、及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部を原料単量体組成とするものを除く)」の点で相違しない。

そうすると、本件発明9と甲5発明とは、
「架橋性シリル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位を有する加水分解性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)と、架橋性シリル基を有する有機重合体(B)を含有する硬化性組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が有機過酸化物系重合開始剤に由来する基を有し、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のメタクリル酸エステル0?15重量部、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のアクリル酸エステル55?90重量部、エステルを構成するアルコール成分が炭素数8以上の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基の(メタ)アクリル酸エステル5?30重量部に由来する繰り返し単位を有し、重量平均分子量が7000?14000であり、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が一般式(1)および/または一般式(2)で表されるケイ素含有官能基を1分子中に平均して0.5?2.3個有する硬化性組成物(ただし前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸メチルを10.0質量部、アクリル酸ブチルを66.0質量部、アクリル酸2-エチルヘキシルを21.0質量部、及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部を原料単量体組成とするものを除く)。
-SiX_(3) (1)
(式中、Xはヒドロキシ基または加水分解性基であり、3個のXは同一であっても良く、異なっていてもよい)
-SiR^(1)X_(2)(2)
(R^(1)は、炭素原子数1から20の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、炭素原子数7から20のアラルキル基、または、-OSiR’_(3)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは前記と同じであり、2個のXは同一であっても良く、異なっていてもよい。)」で一致し、以下の点で一応相違する。

(相違点3)有機重合体(B)にある架橋性シリル基が、本件発明9では、分子鎖末端もしくは分子鎖末端部位のみにあるのに対して、甲5発明では、存在位置が明らかでない点

(イ)判断
甲6には、カネカ製の「カネカサイリルSAT200」が、加水分解性シリル基2個含有ポリエーテルであることは記載されているが、シリル基の存在位置は明らかでない。また、甲6には、同じくカネカ製の「カネカサイリルSAT115」が、加水分解性シリル基を片末端にのみ有するポリエーテルであることは記載されているが、このカネカサイリルSAT115が末端にシリル基を有するからといって、カネカサイリルSAT200が、末端にシリル基を有するとはいえない。
甲7には、カネカ製の「サイリルSAT-200」が、架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体であり、架橋性シリル基がメチルジメトキシシリル基であることは記載されているが、シリル基の存在位置は明らかでない。

上記のとおり、甲6及び甲7の記載をみても、甲5発明に含まれるジメトキシシリル基を有するポリプロピレンオキサイド(商品名「SAT-200」、カネカ社製)の架橋性シリル基であるジメトキシシリル基の存在位置は明らかでない。

よって、相違点3は、実質的な相違点であるといえ、また、当業者が容易に想到することができるものともいえない。

イ 本件発明10?14について
本件発明10?14は、本件発明9を直接的又は間接的に引用して限定した発明であるから、本件発明10?14は、上記「ア」で示した理由と同じ理由により、甲1に記載された発明であるといえず、また、甲1に記載された発明及び甲1に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、申立人がする新たな理由によっては、本件発明9?14に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
特許第6561062号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[9?14]について訂正することを認める。
当審が通知した取消理由及び特許異議申立人がした申立理由によっては、本件発明9?14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明9?14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。


 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性シリル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位を有する加水分解性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)と、分子鎖末端もしくは分子鎖末端部位のみに架橋性シリル基を有する有機重合体(B)を含有する硬化性組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)がニトリル系でないアゾ系重合開始剤に由来する基を有する硬化性組成物。
【請求項2】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が60℃?140℃で共重合することで得られる請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の重合法が溶液重合法である請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
有機重合体(B)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、および飽和炭化水素系重合体からなる群から選択される1種以上である請求項1?3のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項5】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の重量平均分子量が7000?14000である請求項1?4のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項6】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が一般式(1):
-SiX_(3) (1)
(式中、Xはヒドロキシ基または加水分解性基であり、3個のXは同一であっても良く、異なっていてもよい)および/または一般式(2):
-SiR^(1)X_(2) (2)
(R^(1)は、炭素原子数1から20の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、炭素原子数7から20のアラルキル基、または、-OSiR’_(3)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは前記と同じであり、2個のXは同一であっても良く、異なっていてもよい。)で表されるケイ素含有官能基を1分子中に平均して0.5?2.5個有し、一般式(1)に示すケイ素含有官能基が1分子中に平均して0?2.0個、一般式(2)に示すケイ素含有官能基が1分子中に平均して0?2.0個である請求項1?5のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項7】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のメタクリル酸エステル0?15重量部、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のアクリル酸エステル55?90重量部、エステルを構成するアルコール成分が炭素数8以上の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基の(メタ)アクリル酸エステル5?30重量部に由来する繰り返し単位を有する請求項1?6のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項8】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、メチルメタクリレート0?15重量部、ブチルアクリレート55?90重量部、および2-エチルヘキシルアクリレート5?30重量部に由来する繰り返し単位を有する請求項1?7のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項9】
架橋性シリル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位を有する加水分解性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)と、分子鎖末端もしくは分子鎖末端部位のみに架橋性シリル基を有する有機重合体(B)を含有する硬化性組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が有機過酸化物系重合開始剤に由来する基を有し、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のメタクリル酸エステル0?15重量部、エステルを構成するアルコール成分が炭素数1?4の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基のアクリル酸エステル55?90重量部、エステルを構成するアルコール成分が炭素数8以上の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基の(メタ)アクリル酸エステル5?30重量部に由来する繰り返し単位を有し、重量平均分子量が7000?14000であり、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が一般式(1)および/または一般式(2)で表されるケイ素含有官能基を1分子中に平均して0.5?2.3個有する硬化性組成物(ただし前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸メチルを10.0質量部、アクリル酸ブチルを66.0質量部、アクリル酸2-エチルヘキシルを21.0質量部、及びγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0質量部を原料単量体組成とするものを除く)。
-SiX_(3) (1)
(式中、Xはヒドロキシ基または加水分解性基であり、3個のXは同一であっても良く、異なっていてもよい)
-SiR^(1)X_(2) (2)
(R^(1)は、炭素原子数1から20の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、炭素原子数7から20のアラルキル基、または、-OSiR’_(3)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは前記と同じであり、2個のXは同一であっても良く、異なっていてもよい。)
【請求項10】
有機重合体(B)の主鎖がポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、および飽和炭化水素系重合体からなる群から選択される1種以上である請求項9に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、一般式(1)に示すケイ素含有官能基を1分子中に平均して0?2.0個、一般式(2)に示すケイ素含有官能基を1分子中に平均して0?2.0個有する請求項9または10に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)が、メチルメタクリレート0?15重量部、ブチルアクリレート55?90重量部、および2-エチルヘキシルアクリレート5?30重量部に由来する繰り返し単位を有する請求項9?11のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項13】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)の23℃、3°×R14の条件で測定されるE型粘度が15?200Pa・sである請求項1?12のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項14】
有機重合体(B)に含有される架橋性シリル基が重合体1分子中に平均して0.5個以上、数平均分子量がGPCにおけるポリスチレン換算において800から50,000、有機重合体(B)の架橋性シリル基は、一般式(3):
-SiR^(2)_(3-a)X_(a) (3)
(R^(2)は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、炭素原子数7から20のアラルキル基、または、-OSiR’_(3)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは、それぞれ独立にヒドロキシ基または加水分解性基である。更に、aは1から3の整数である)で表される請求項1?13のいずれかに記載の硬化性組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-12-25 
出願番号 特願2016-546622(P2016-546622)
審決分類 P 1 652・ 113- YAA (C08L)
P 1 652・ 121- YAA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤井 勲  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 橋本 栄和
佐藤 健史
登録日 2019-07-26 
登録番号 特許第6561062号(P6561062)
権利者 株式会社カネカ
発明の名称 硬化性組成物  
代理人 特許業務法人アスフィ国際特許事務所  
代理人 特許業務法人アスフィ国際特許事務所  
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