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審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B60R
審判 一部申し立て 2項進歩性  B60R
管理番号 1371707
異議申立番号 異議2020-700228  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-02 
確定日 2021-01-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6585586号発明「ガス発生器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6585586号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?13〕について訂正することを認める。 特許第6585586号の請求項1ないし6、9ないし11に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6585586号の請求項1?14に係る特許についての出願は、2015年(平成27年)4月20日(優先権主張 平成26年4月25日、平成26年10月7日)を国際出願日とする特許出願であって、令和1年9月13日にその特許権の設定登録がされ、同年10月2日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1?6、9?11に係る特許について、特許異議申立人山▲崎▼浩一郎(以下「特許異議申立人」という。)より特許異議の申立てがなされ、令和2年6月11日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年8月13日に意見書の提出及び訂正請求がなされ、同年9月3日付で訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、同年10月9日付けで特許異議申立人より意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
令和2年8月13日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?13について訂正することを求めるものであり、その内容は以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。
ア 訂正事項1
請求項1に「前記重ね貼り領域が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置されている」と記載されているのを、「前記重ね貼り領域が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置され、前記重ね貼り領域によって閉塞されている前記一部のガス通過孔が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置されている」に訂正する。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2?13も同様に訂正する。
本件訂正は、一群の請求項〔1-13〕に対して請求されたものである。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的の適否
訂正前の請求項1?13に係る発明は、「重ね貼り領域」について「隔壁部の周方向に沿って均等に配置されている」ことは特定しているものの、「重ね貼り領域によって閉塞されているガス通過孔」の配置については何ら特定していない。これに対し、訂正後の請求項1?13に係る発明は、「前記重ね貼り領域によって閉塞されている前記一部のガス通過孔が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置されている」との記載により、「重ね貼り領域によって閉塞されている」「ガス通過孔」の配置を具体的に特定することで限定したものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面をも併せて「本件明細書等」という。)の段落【0100】の「ここで、これら帯状の2枚のシールテープ24A,24Bは、12個のガス噴出口23a,23bのうちの一部である、周壁部22を周方向に沿って2等分した位置に配置された2個のガス噴出口23bが上述した重ね貼り領域R1,R2によってそれぞれ閉塞されるとともに、12個のガス噴出口23a,23bのうちの残りである10個のガス噴出口23aが上述した非重ね貼り領域によって閉塞されるように、その貼り付け位置が調節されている。」なる記載(下線は当審で付した。以下同様である。)、段落【0131】の「ここで、これら帯状の3枚のシールテープ24A,24B,24Cは、12個のガス噴出口23a,23bのうちの一部である、周壁部22を周方向に沿って3等分した位置に配置された3個のガス噴出口23bが上述した重ね貼り領域R1,R2,R3によってそれぞれ閉塞されるとともに、12個のガス噴出口23a,23bのうちの残りである9個のガス噴出口23aが上述した非重ね貼り領域によって閉塞されるように、その貼り付け位置が調節されている。」なる記載、段落【0161】の「ここで、これら帯状の2枚のシールテープ24A,24Bは、8個のガス噴出口23a1,23a2,23bのうちの一部である、周壁部22を周方向に沿って2等分した位置に配置された2個のガス噴出口23bが上述した重ね貼り領域R1,R2によってそれぞれ閉塞されるとともに、8個のガス噴出口23a1,23a2,23bのうちの残りである6個のガス噴出口23a1,23a2が上述した非重ね貼り領域によって閉塞されるように、その貼り付け位置が調節されている。」なる記載、段落【0185】の「ここで、これら帯状の2枚のシールテープ24A,24Bは、8個のガス噴出口23a,23bのうちの一部である、周壁部22を周方向に沿って2等分した位置に配置された2個のガス噴出口23bが上述した重ね貼り領域R1,R2によってそれぞれ閉塞されるとともに、8個のガス噴出口23a,23bのうちの残りである6個のガス噴出口23aが上述した非重ね貼り領域によって閉塞されるように、その貼り付け位置が調節されている。」なる記載に基づくものであり、本件明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。
また、訂正事項1は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)独立特許要件
ア 訂正前の請求項1?6、9?11について、特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1?6、9?11に係る訂正に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。

イ 他方、訂正事項1は、特許異議の申立てがされていない訂正前の請求項7?8について、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。したがって、かかる訂正により訂正された請求項7?8に係る発明については、上記独立特許要件について検討する必要があるので、以下検討する。

ウ 検討
「第4 2 2-3」で後述するように、訂正後の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないから、訂正後の請求項1を直接又は間接的に引用する請求項7?8に係る発明も、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
また、訂正後の請求項7に係る発明は、「前記複数のガス通過孔のうちの少なくとも1つが、前記隔壁部の軸方向に沿った開口幅よりも前記隔壁部の周方向に沿った開口幅が大きい長孔形状を有している」との事項(以下「事項A」という。)を備え、訂正後の請求項8に係る発明は、「複数のガス通過孔のうちの少なくとも1つが、前記隔壁部の周方向に沿った開口幅よりも前記隔壁部の軸方向に沿った開口幅が大きい長孔形状を有している」との事項(以下「事項B」という。)を備えるものであるところ、上記事項A、Bが当業者にとって容易想到であるとする理由もない。
したがって、訂正後の請求項7?8に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、本件訂正は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

(4)小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5?7項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?13〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?6、9?11に係る発明(以下「本件発明1?6、9?11」という。)は、次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
ガス発生剤と、
前記ガス発生剤を燃焼させるための点火器と、
前記ガス発生剤が燃焼することによって発生したガスが通過する複数のガス通過孔が設けられてなる筒状の隔壁部とを備えたガス発生器であって、
前記複数のガス通過孔は、少なくとも前記隔壁部の周方向における異なる位置に点在するように設けられ、
前記隔壁部の内周面および外周面のいずれか一方には、帯状の複数枚のシールテープが貼り付けられ、
前記帯状の複数枚のシールテープは、その各々の延在方向が前記隔壁部の周方向に合致するとともにその各々の延在方向に位置する一対の端部が隣り合うシールテープと重なった状態となるように連なって配置されることにより、全体として前記隔壁部の周方向に沿って周回して設けられ、
前記複数のガス通過孔のうちの一部のガス通過孔が、前記隣り合うシールテープが重ね合わされた部分である重ね貼り領域によって閉塞されているとともに、前記複数のガス通過孔のうちの残りのガス通過孔が、前記隣り合うシールテープが重ね合わされていない部分である非重ね貼り領域によって閉塞され、
前記重ね貼り領域が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置され、
前記重ね貼り領域によって閉塞されている前記一部のガス通過孔が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置されている、ガス発生器。
【請求項2】
前記帯状の複数枚のシールテープの各々が、同一の厚み、幅および長さを有している、請求項1に記載のガス発生器。
【請求項3】
前記帯状の複数枚のシールテープの総数が、2枚である、請求項1または2に記載のガス発生器。
【請求項4】
前記複数のガス通過孔のすべてが、前記隔壁部の周方向に沿って一列に並んで設けられている、請求項1から3のいずれかに記載のガス発生器。
【請求項5】
前記複数のガス通過孔が、前記隔壁部の軸方向における異なる位置にも点在するように設けられている、請求項1から3のいずれかに記載のガス発生器。
【請求項6】
前記隔壁部が、径が一様な円筒状の部位を含み、
前記複数のガス通過孔のすべてが、当該円筒状の部位に設けられている、請求項1から5のいずれかに記載のガス発生器。
【請求項9】
前記隔壁部は、当該ガス発生器の外殻を構成するハウジングの一部であり、
前記ハウジングは、前記隔壁部に相当する周壁部と、前記周壁部の軸方向の端部を閉塞する天板部および底板部とを含み、
前記複数のガス通過孔は、当該ガス発生器から外部に向けてガスを噴出する前記周壁部に設けられた複数のガス噴出口である、請求項1から8のいずれかに記載のガス発生器。
【請求項10】
前記重ね貼り領域によって閉塞された前記一部のガス通過孔の1個当たりの開口面積が、前記非重ね貼り領域によって閉塞された前記残りのガス通過孔の1個当たりの開口面積よりも小さい、請求項9に記載のガス発生器。
【請求項11】
前記重ね貼り領域によって閉塞された前記一部のガス通過孔の総開口面積が、前記非重ね貼り領域によって閉塞された前記残りのガス通過孔の総開口面積よりも小さい、請求項9に記載のガス発生器。」

第4 当審の判断
1 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項1?6、9?11に係る特許に対して令和2年6月11日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消すべきものである、というものである。

(2)当審の判断
ア 上記「第2(2)ア(ア)」のとおり、訂正後の請求項1に係る発明は、「前記重ね貼り領域によって閉塞されている前記一部のガス通過孔が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置されている」との記載により、「重ね貼り領域によって閉塞されている」「ガス通過孔」の配置が具体的に特定された。
これにより、本件発明1の「重ね貼り領域が周壁部の周方向に沿って均等に配置されることになるため、ガス噴出口から噴出されるガスによってガス発生器に加えられることになる推力が互いに相殺し合うこととなり、ガス発生器に外力が加わることが未然に防止され、作動時における安全性が確保できること」(本件明細書段落【0143】)という課題を解決するための、解決手段が特定されたため、この取消理由は解消した。

2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
2-1 特許異議申立理由の概要
特許異議申立人は、証拠として、次の甲第1?6号証を提出し、以下の申立理由1により、特許を取り消すべきものである旨主張している。
甲第1号証:米国特許第5564738号明細書
甲第2号証:特開2004-276835号公報
甲第3号証:特開2008-238841号公報
甲第4号証:特開2008-74147号公報
甲第5号証:米国特許第5269561号明細書
甲第6号証:特開2003-34219号公報
(1)申立理由1(特許法第29条第2項)
ア 本件発明1は、甲第1号証記載の発明に基づいて、甲第1号証記載の発明及び周知技術(甲第2号証記及び甲第3号証)に基づいて、又は、甲第1号証記載の発明及び甲第2?5号証記載事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に想到し得たものである。
イ 本件発明2は、上記アの各理由において、さらに証拠として甲第1号証記載事項と甲第6号証記載事項を加えて、容易に想到し得たものである。
ウ 本件発明3?4は、上記ア、イの各理由において、さらに証拠として甲1号証記載事項を加えて、容易に想到し得たものである。
エ 本件発明5は、上記ア?ウの各理由において、さらに証拠として甲第1号証記載事項と甲第6号証記載事項を加えて、容易に想到し得たものである。
オ 本件発明6は、上記ア?エの各理由において、さらに証拠として甲1号証記載事項を加えて、容易に想到し得たものである。
カ 本件発明9は、上記ア?オの各理由において、さらに証拠として甲第6号証記載事項を加えて、容易に想到し得たものである。
キ 本件発明10?11は、上記ア?カの各理由において、さらに証拠として甲第1号証記載事項を加えて、容易に想到し得たものである。

2-2 各甲号証の記載事項、認定事項、引用発明等
(1)甲第1号証について
(1-1)甲第1号証の記載事項(下線及び和訳は当審で付した。以下同様である。)
(1a)第2欄第31?34行
「The reaction canister assembly 10 of the present invention is
designed for use with an air bag module restraint system mounted in an appropriate manner in the dash board of a vehicle, shown in
phantom as 12.」
(和訳)「本発明の反応容器組立品10は、12で破線によって示された車両のダッシュボードに適切な方法で取付けられたエアバッグモジュール拘束装置と共に使用されるように設計されている。」
(1b)第2欄第64?67行
「The inflator 30 includes an elongated perforated tubular housing
32. As is known in the art, the inflator housing encloses a solid
gas generant composition (not shown) which generates gas for
inflating an air bag (not shown).」
(和訳)「インフレータ30は、長尺で穴があけられた管状のハウジング32を有する。当技術分野で知られているように、インフレータのハウジングは、エアバッグ(図示せず)を膨張させるガスを発生する固体のガス発生剤構成物(図示せず)を包囲する。」
(1c)第3欄第1?15行
「Referring to FIG. 4, the inflator housing 32 includes a plurality of perforations or ports for discharging gas. In this embodiment,
a plurality of different sized ports 34, 36, and 38 are shown. The
ports 34, 36 and 38 range in diameter between, for example, 90/1000 to 130/1000, mm.
The ports are sealed with a thin layer of aluminum foil 42, which
can have a thickness ranging from, for example 0.004 to 0.006 inch. Foil 42 ensures that the gas pressure will reach a certain threshold value before being discharged into the air bag. The different sized ports 34, 36 and 38 each have 10 different burst pressures to
ensure adequate inflation of the air bag for different operating
conditions. For example, the foil coveting the smaller dimensioned
ports 34, disposed in vicinity of the overflow channels, will burst at a higher pressure, for example 2000 psi. The foil over the larger ports 38 will burst at, for example, 750 psi.」
(和訳)「図4に関し、インフレータのハウジング32は、ガスを排出するための複数の穴又はポートを有する。この実施形態では、複数の異なるサイズのポート34、36及び38が示されている。ポート34、36及び38は、例えば直径が90/1000?130/1000mmの範囲である。
ポートは、例えば0.004?0.006インチの範囲の厚さを有することができる、薄いアルミニウムフォイル層42によって封止される。フォイル42は、ガスがエアバッグに排出される前に、ガス圧力が所定の閾値に到達することを確実にする。異なるサイズのポート34、36及び38は、それぞれ異なる破裂圧を有し、異なる作動条件の下でエアバッグが適切に膨張されることが保証される。例えば、より小さな寸法のポート34を覆いかつオーバーフロー溝の付近に配置されたフォイルは、例えば2000psiのより高い圧力で破裂する。より大きいポート38を覆うフォイルは、例えば750psiで破裂する。」
(1d)第3欄第16?24行
「In the embodiments of FIGS. 5 and 6, the ports are of a single
size. However, as shown in FIG. 5, some ports 40 are covered by a
second layer of foil 46 which will break out at a different
operating pressure than the ports covered only by foil layer 42.
In FIG. 6, some of the ports 40 are covered by both foil layer 42
and a second foil layer 44.
Both of the foil layers 42, 44 can be positioned within the
inflator in a variety of ways. For example, the foil layers can be
multiple strips or disks of various thicknesses.」
(和訳)「図5及び図6の実施形態では、ポートは単一のサイズである。しかしながら、図5に示されるように、幾つかのポート40は、第二のフォイル層46によって覆われ、そのフォイル層46は、フォイル層2のみによって覆われるポートとは異なる作動圧力で破裂する。図6では、幾つかのポート40は、フォイル層42とフォイル層44の両方によって覆われる。
フォイル層42及び44の両方は、様々な方法でインフレータ内に配置可能である。例えば、フォイル層は、様々な厚さの複数の細長い切れ又は薄く平らな円形物であり得る。」
(1e)第3欄第25?37行
「In summary, the present invention contemplates at least three
methods for creating ports which open at various different
temperatures: 1) a single layer of foil and a plurality of ports
having different size diameters, as discussed with reference to
FIG. 4; 2) a plurality of ports having the same size diameter with
multiple foil layers, as discussed with 30 reference to FIG. 5; or
3) a plurality of ports having the same size diameter and multiple
foil layers over only some of the ports, as discussed with reference to FIG. 6. In the latter case, the higher pressure burst ports are preferably located in the overflow channel area, and can be covered by an overlapping strip of foil to provide a double foil layer over the ports located in the overflow channels.」
(和訳)「要約すると、本発明は、様々な異なる温度で開放するポートを製造する少なくとも三つの方法を意図している。すなわち、1)図4に関して説明したように、単一のフォイル層と、異なるサイズの直径を有する複数のポートとを有する、2)図5に関して説明したように、複数のフォイル層を有する同じサイズの直径を有する複数のポートと、又は3)図6に関して説明したように、同一のサイズの直径を有する複数のポートと、幾つかのポートのみを覆う複数のフォイル層とを有する。後者の場合には、より高い圧力で破裂するポートは、好適には、オーバーフロー溝領域に配置され、オーバーフロー溝に配置されたポート上に二重のフォイル層を提供するために、重複するフォイル片によって覆われ得る。」
(1f)第3欄第38?64行
「Referring back to FIGS. 3 and 4, when the inflator generates gas, some of the gas will pass forwardly into the air bag, as shown by
arrows 62 to inflate an airbag (not shown). However, the excess gas generated is exhausted into the overflow channels 28, as shown by
arrows 60.
As discussed above, overflow channels 28 provide means for cooling and filtering the excess gas. As the excess gas 60 passes through
the ports into channels 28 the gas impinges on the wall 25 of the
reaction canister housing 20 and changes direction. The solid
particles of the gas separate and stick to the wall of the channels, thus filtering the gas.
Cooling of the gas is accomplished by traditional convective heat transfer as it travels along the length of the channels to pass from gas outlet passages 26. Additional cooling and filtering of the gas may be provided by adding surface roughness 48 to the inside walls
of the channels, as shown in FIG. 7. As shown in FIG. 8, materials, for example, a screen insert 50, can also be added to the inside
walls of the channels to trap the solid particles and add surface
area for convective cooling.
Given the above, the excess gas will not be vented directly out
the back of the module assembly, as disclosed by the prior art, but can be vented from the sides of the module at reduced temperature,
pressure and velocity. The features of the present invention allow a
more economical module design and simultaneously protects contents
of the vehicle's instrument panel from high pressure, high
temperature gas jets.」
(和訳)「再び図3及び図4に関し、インフレータがガスを発生する際に、幾らかのガスは、矢印62によって示されるように、前方にエアバッグ内に送られ、エアバッグ(図示せず)は膨張させる。しかしながら、発生した過剰なガスは、矢印60によって示されるように、オーバーフロー溝28に排出される。
上述のとおり、オーバーフロー溝28は、過剰なガスを冷却しかつ濾過する手段を提供する。過剰なガス60がポートを通じて溝28内に移動する際に、ガスは反応容器のハウジング20の壁25に衝突し、その方向が変化する。ガスの固体粒子は分離しかつ溝の壁に付着し、これにより、ガスを濾過する。
ガスの冷却は、溝の長手方向に沿って移動しかつガスの出口路26を通る際に、従来の対流熱伝達によって達成される。ガスの更なる冷却及び濾過は、図7に示されるように、溝の内側の壁に表面粗さ48を付加することによって行われてもよい。図8に示されるように、固体粒子を補足し対流冷却のための表面積を増やすために、材料、例えば、スクリーンインサート50が溝の内側の壁に付加されることも可能である。
上述のとおり、過剰なガスは、先行技術に示されるように、モジュール組立品の背部から直接排出されず、温度、圧力及び速度を下げられて、モジュールの側部から排出され得る。本発明の特徴によって、より経済的なモジュールの設計が可能にされ、同時に、高温高圧のガスの噴出から車両のインストラメントパネルの構成部品が保護される。」
(1g)甲第1号証には、以下の図が示されている。
FIG.1

FIG.3

FIG.4

FIG.5

FIG.6

(1-2)甲第1号証の認定事項
ア FIG.6から、複数のポート40は、ハウジング32の周方向における異なる位置に点在するように設けられていることが看取できる。
イ 摘示(1c)の「ポートは、・・・薄いアルミニウムフォイル層42によって封止される。」なる記載、摘示(1d)の「図6では、幾つかのポート40は、フォイル層42とフォイル層46の両方によって覆われる」及び「フォイル層42及び44の両方は、様々な方法でインフレータ内に配置可能」なる記載を踏まえつつ、FIG.6をみると、ハウジング32の内周面には、複数枚のアルミニウムフォイル層42、46が配置され、前記複数枚のアルミニウムフォイル層42、46は、その各々の延在方向がハウジング32の周方向に合致するとともにその各々の延在方向に位置する一対の端部が隣り合うアルミニウムフォイル層42、46と重なった状態となるように連なって配置されることにより、全体として前記ハウジング32の周方向に沿って周回して設けられ、前記複数のポートのうちの一部のポートが、前記隣り合うアルミフォイル層42、46が重ね合わされた部分である重ね領域によって封止されているとともに、前記複数のポートのうちの残りのポートが、前記隣り合うアルミニウムフォイル層42、46が重ね合わされていない部分であるアルミニウムフォイル層42によって封止されていることが看取できる。

(1-3)甲第1号証に記載された発明
上記(1-1)、(1-2)によれば、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているもの認められる。
「ガス発生剤構成物と、
前記ガス発生剤構成物によって発生したガスを排出するための複数のポート40を有する管状のハウジング32とを有するインフレータ30であって、
前記複数のポート40は、ハウジング32の周方向における異なる位置に点在するように設けられ、
ハウジング32の内周面には、複数枚のアルミニウムフォイル層42、46が配置され、
前記複数枚のアルミニウムフォイル層42、46は、その各々の延在方向がハウジング32の周方向に合致するとともにその各々の延在方向に位置する一対の端部が隣り合うアルミニウムフォイル層42、46と重なった状態となるように連なって配置されることにより、全体として前記ハウジング32の周方向に沿って周回して設けられ、
前記複数のポートのうちの一部のポートが、前記隣り合うアルミニウムフォイル層42、46が重ね合わされた部分である重ね領域によって封止されているとともに、前記複数のポートのうちの残りのポートが、前記隣り合うアルミニウムフォイル層42、46が重ね合わされていない部分であるアルミニウムフォイル層42によって封止されている、インフレータ30。」

(2)甲第2号証について
(2-1)甲第2号証の記載事項
(2a)「【0013】
ガス発生器本体2について図2を参照しつつ説明する。図2はガス発生器本体2の内部構造を示す断面図である。ガス発生器本体2は、長尺筒状の外筒28とガス放出筒27とが一体として形成されたハウジング21と、ハウジング21の一端側である外筒28の端部に装着されている点火器25と点火器25を保持するホルダ33とからなる点火装置51と、外筒28内に形成されている燃焼室22と、燃焼室22内に装填されているガス発生剤23と、フィルター材24と、ハウジング21の他端側であるガス放出筒27の端部に形成され、ハウジング21の内外を連通するガス放出孔26とから構成されている。」
(2b)「【0027】
カバ-部材3に備えられた放散孔84は、各孔がカバ-部材3の軸を中心として対向する孔を有するように配置されている。これにより各孔から放出されるガスの推力は対向する孔から放出されるガスの推力と相殺され、放出されるガス全体の推力の指向性が無くなる。」
(2c)「【0031】
また、実施の形態では、ガス発生方向制御手段81はガスを放射状に放出することにより推力を相殺してガス発生器が飛び出さないようにする構成であるが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、ガス発生器1を筐体に固定した状態で、ガスを上方に放出させ、ガス発生器1が筐体の底面に押し付けられて固定されることでガス発生器が飛び出さないようにする構成でもよい。」

(3)甲第3号証について
(3-1)甲第3号証の記載事項
(3a)「【0008】
本発明のガス発生器は、燃焼によってガスを発生させるガス発生剤を利用するガス発生器であり、ハウジング形状が、軸方向の厚みに比べて直径の長さの方が大きいものである。本発明のガス発生器は、ガス排出口の形状や配置以外は、例えば特開平10-181516号公報の図1に示す点火器を1つ使用した(シングルガス発生器の)ものを使用することができ、その他、公知の点火器が2つのガス発生器(デュアルガス発生器)も使用できる。ガス発生器内部には、クーラント部材が配置されていてもよいし、配置されていなくてもよい。」
(3b)「【0032】
〔請求項8〕
本発明は、課題の他の解決手段として、前記複数のガス排出口が、半径方向に対向する2箇所のガス排出口同士が同じ開口面積を有している、請求項1?7のいずれかに記載のエアバッグ装置を提供する。
【0033】
互いに対向する2箇所のガス排出口から排出されるガスの量が同一となり、エアバッグの展開形状が対称となる。また、誤着火した場合でも推力が相殺させるため、運搬途中等のガス発生器が飛翔することがない。」
(3c)「【0043】
ガス排出口群21aは直径3mmのガス排出口が1つ、ガス排出口群21bは直径3mmのガス排出口が2つ、ガス排出口群21cは直径3mmのガス排出口が3つ、ガス排出口群21dは直径3mmのガス排出口が4つ形成されている。そして、ガス排出口群21a?21dのそれぞれとハウジング11の対向する位置において、ガス排出口群21a?21dに対応する同径で同数のガス排出口群21a’?21d’が形成されている。全てのガス排出口群は、内側からアルミニウム製の厚さ約50μmのシールテープ23で閉塞されている。」
(3d)「【0067】
一方、環境温度が低いときは、クーラント46a、46dの位置は、開口面積が最小のガス排出口群21a、21a’と正対するように調節される。」

(4)甲第4号証について
(4-1)甲第4号証の記載事項
(4a)「【0004】
この問題を解消するために、インフレータとして、リテーナ内のスペースに臨む前側ガス噴出口と、該スペースと反対側の後側ガス噴出口とを有するものが用いられる。
【0005】
このインフレータにあっては、前側ガス噴出口からのガスの噴出によって該インフレータに生じる後側への推力が、後側ガス噴出口からのガスの噴出によって該インフレータに生じる前側への推力によって相殺されるため、前側ガス噴出口のみを有するインフレータを用いた場合に比べてインフレータ設置部やリテーナ自体の要求強度を低くすることができる。これにより、製造コストの増大やエアバッグ装置の大型化、重量増等を抑制することができる。」
(4b)「【0032】
インフレータを略円筒形とした場合、請求項4のように、インフレータの前側ガス噴出口と後側ガス噴出口とを、インフレータの軸心を挟んで互いに反対側に配置することにより、前側ガス噴出口からのガスの噴出によりインフレータに生じる後側への推力と、後側ガス噴出口からのガスの噴出によりインフレータに生じる前側への推力とが効果的に相殺されるため、インフレータ設置部あるいはリテーナ自体の要求強度を低くすることができる。」
(4c)「【0062】
このエアバッグ装置1にあっては、インフレータ30の後側ガス噴出口32が該インフレータ30の最後部30rよりも前側に配置されているので、このインフレータ30の最後部30rと、ロワカバー40の略半円筒状部41のインフレータ対峙面との間には、ガス流通用間隙50が存在していない。従って、この分だけ該略半円筒状部41の最後部の後側への張り出し量が小さく、この分だけエアバッグ装置1の全体の容積も小さなものとなっている。」

(5)甲第5号証について
(5-1)甲第5号証の記載事項
(5a)第6欄第17?37行
「The embodiment of the invention illustrated in FIGS. 3 and 4
includes a solid fuel inflator 22 the internal construction of which may be generally similar to that of the aforementioned Davis et al. patent. Provided on opposed wall portions of the housing 24 of the inflator displaced substantially 180° from each other are first and second pluralities or rows of orifices 26 and 28, with each of the first and second pluralities of orifices positioned in a plane
individual thereto, which planes are disposed at an angle to one
another and intersect coincidently with the longitudinal axis 30 of the inflator 22. The orifices 26 of the first plurality of orifices have a larger area than the orifices 28 of the second plurality of
orifices. The orifices of the first and second pluralities of
orifices are spaced generally uniformly along a first portion of the length of the inflator 22 with the orifices 26 and 28 of the first and second pluralities of orifices being offset from one another.
A layer of rupturable foil 32 on the inner wall of the housing for
the inflator normally blocks all of the orifices of the first and
second pluralities of orifices 26 and 28.」
(和訳)「図3及び4に示される本発明の実施形態は固体燃料インフレータ22を含み、その内部構造は前記デービスらの特許のものとほぼ同じであってもよい。インフレータのハウジング24の対向する壁部分には相互に実質的に180度の間隔で第1及び第2の複数の又は列のオリフィス26と28が配設され、この第1及び第2の複数のオリフィスの各々は、相互に対しある角度をなして位置しかつインフレータ22の長手方向軸線30と一致して交差する別々の平面上に位置している。第1の複数のオリフィス26は、第2の複数のオリフィス28よりも大きな面積を有する。第1及び第2の複数のオリフィスは第1及び第2の複数のオリフィス26と28が相互に偏倚するようにして、インフレータ22の長さ方向の第1の部分に沿ってほぼ均一に間隔をおいて配置されている。インフレータのためのハウジングの内壁上の破壊可能なフォイル層32は、通常、第1及び第2の複数のオリフィス26と28の全てのオリフィスを閉鎖している。」
(5b)第6欄第38行?第7欄第5行
「Additionally, in the illustrated invention embodiment, orifices 34 of a third plurality of orifices are provided in two rows in a
second portion of the inflator 22, such second inflator portion
being located adjacent and parallel to an end of the inflator 22.
The orifices 34 of the third plurality of orifices are all of the
same size, having an area that is intermediate in size the orifices 26 and 28 of said first and second pluralities of orifices, and
extend completely around the periphery of the inflator 22 in
uniformly side-by-side spaced relation. A layer of rupturable foil
36 of thickness greater than that of the layer of foil 32 is
provided on the inner wall of housing 24 adjacent the orifices 34.
Prior to activation of the inflator 22, all three pluralities of
first, second and third orifices are blocked. When the inflator 22
is activated by means not shown, as by the onset of a collision, the orifices 26 of the first plurality of orifices are unblocked or
opened, when a sufficient pressure builds up in the inflator to
rupture the rupturable foil 32 to direct a flow of inflating gas
rearwardly into an air bag (not shown) for the proper inflation
thereof, even in extremely cold weather, with the ambient
temperature in the region of -30° C. When the ambient temperature
is in a range intermediate such extreme cold and extremely hot, +85° C., the orifices 28 of the second plurality of orifices open as
the pressure within the inflator 22 increases and ruptures the
rupturable foil 32 to direct gas rearwardly into the air bag (not
shown). If the ambient temperature becomes very high, reaching and
exceeding 85° C., the orifices 34 of the third plurality of
orifices open as the pressure in the inflator 22 increases and
ruptures the rupturable foil 36 to direct gas forwardly away from
the air bag (not shown) and into the surrounding environment, that
is, either into the compartment of the automotive vehicle or into a duct for transmission externally thereof.」
(和訳)「さらに、図示された本発明の実施態様においては、第3の複数のオリフィス34が、インフレータ22の端部に隣接して平行に配置される、インフレータ22の第2の部分に2列に設けられている。この第3の複数のオリフィス34は全て同じ大きさであり、前記第1及び第2の複数のオリフィス26と28の大きさの中間の面積を有し、インフレータ22の全周にわたって均一な間隔で並んで延在している。フォイル32の厚さより厚い破壊可能なフォイル層36がオリフィス34に隣接してハウジング24の内壁上に設けられている。
インフレータ22の作動前は、第1、第2及び第3の全てのオリフィスが閉鎖されている。インフレータ22が衝突の発生によるような、図示しない手段によって発動されると、第1の複数のオリフィス26が解放され又は開かれ、周囲の温度が-30℃の範囲の極めて寒い天候でも、インフレータの内部に十分な圧力が形成されて破壊可能なフォイル32を破り膨張ガスの流れをエアバッグ(図示せず)に流入させるよう後方に案内しエアバッグの正しい膨張が行われる。周囲の温度がそのような極端な低温と、極端な高温+85℃との中間の範囲であるとき、第2の複数のオリフィス28が、インフレータ22内部の圧力が増大し破壊可能なフォイル32を破りガスをエアバッグ(図示せず)に流入させるよう後方に案内するときに開放される。周囲の温度が非常に高くなり85℃に達しこれを超えたならば、第3の複数のオリフィス34が、インフレータ22内の圧力が増大し、破壊可能のフォイル36を破った時に開放され、ガスをエアバッグ(図示せず)から離れるよう前方に案内し、周囲の環境の中に、すなわち自動車の乗客室又は外部へ伝達するダクトに導く。」

(6)甲第6号証について
(6-1)甲第6号証の記載事項
(6a)「【0039】このガス発生器は、ガス排出口を有するディフューザシェル1と、該ディフューザシェルと共に内部収容空間を形成するクロージャシェル2とを接合してなるハウジング3内に、略円筒形状の内筒部材4を配置して、その外側を第一の燃焼室としている。また、該内筒部材の内側には段欠き部を設け、該段欠き部に略平板円形の仕切部材7を配置しており、この仕切部材7で該内筒内を更に2室に画成し、ディフューザシェル1側に第二の燃焼室5a、クロージャシェル2側に点火手段収容室8を形成している。その結果、このガス発生器では、第一の燃焼室5aと第二の燃焼室5bとは、ハウジング3内に同心円に設けられて、該ハウジングの半径方向に隣接している。この第一及び第二の燃焼室内には、衝撃をうけて作動した点火手段によって燃焼し、燃焼ガスを発生するガス発生剤(9a,9b)が収容され、点火手段収容室8内には、衝撃によって作動する点火手段が収容されている。」
(6b)「【0045】図1に示すガス発生器のディフューザシェル1の周壁部には径の異なるガス排出口26a,26bが2種類設けられている。本実施例では第1ガス排出口26aの径はφ3.0mmで孔数は10個、第2ガス排出口26bは径φ2mmで孔数10個の構造を示している。径3mmの開口は0.071cm^(2)の面積を有し、径2mmの開口は0.031cm^(2)の面積を有し、それぞれ10個あると総開口面積は1.02cm^(2)である。径が隣り合う開口の開口径比は1.5である。開口面積比は2.29/1である。
【0046】そして、これらのガス排出口26a,26bは、ガス発生剤の防湿を目的とするシールテープ27で閉塞されている。本実施例に於いて、このシールテープ27は、アルミシール層の厚さが50μm、接着層あるいは粘着層の厚みが50μmのものが使用されており、ガス発生器の軸方向に並ぶ2種類のガス排出口を同時に塞いでもさらに余裕のある幅で、各排出口26a,26bの上端、あるいは下端から、シールテープの上端、或は下端まで2?3mmの余裕があることが望ましい。
【0047】従って、第1及び第2ガス排出口は、同じ破裂圧力のシールテープで閉塞されている。そして、第1ガス排出口26aの径はφ3.0mmで、第2ガス排出口26bは径φ2.0mmであることから、第1ガス排出口26aが、低い圧力で開口する種類のガス排出口として形成されている。」
(6c)「【0068】例えば、ガス排出口の開口面積を同じにすると共に、最も低い圧力で開口するガス排出口は、最も破裂圧の低いシールテープで閉塞する事ができる。ガス排出口を閉塞するシールテープの破裂圧力を、その厚さに依って調整する場合、より薄いシールテープを用いれば、その破裂圧を低くすることができる。」

2-3 判断
(1)申立理由1(特許法第29条第2項)について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「ガス発生剤構成物と、」は、本件発明1の「ガス発生剤と、」に相当する。
(イ)上記(ア)を踏まえると、甲1発明の「前記ガス発生剤構成物によって発生したガス」と、本件発明1の「前記ガス発生剤が燃焼することによって発生したガス」とは、「前記ガス発生剤によって発生したガス」という点で共通する。
(ウ)甲1発明の「ガスを排出する」は、本件発明1の「ガスが通過する」に相当し、以下同様に、「ポート40」は、ガスを排出するから、「ガス通過孔」に、「管状」は、「筒状」に、「ハウジング32」は、「隔壁部」に、「インフレータ30」は、「ガス発生器」に、それぞれ相当する。
(エ)上記(ア)?(ウ)の相当関係を踏まえると、甲1発明の「前記ガス発生剤構成物によって発生したガスを排出するための複数のポート40を有する管状のハウジング32とを有するインフレータ30であって、」と、本件発明1の「前記ガス発生剤が燃焼することによって発生したガスが通過する複数のガス通過孔が設けられてなる筒状の隔壁部とを備えたガス発生器であって、」とは、「前記ガス発生剤によって発生したガスが通過する複数のガス通過孔が設けられてなる筒状の隔壁部とを備えたガス発生器であって、」という点で共通する。
(オ)上記(ウ)の相当関係を踏まえると、甲1発明の「前記複数のポート40は、ハウジング32の周方向における異なる位置に点在するように設けられ、」は、本件発明1の「前記複数のガス通過孔は、少なくとも前記隔壁部の周方向における異なる位置に点在するように設けられ、」に相当する。
(カ)甲1発明の「配置され」と本件発明1の「貼り付けられ」とは、「配置され」という点で共通する。
(キ)甲1発明の「アルミニウムフォイル層42、46」は、ポートを封止するから、本件発明1の「シールテープ」に相当する。
(ク)上記(ウ)、(カ)、(キ)の相当関係を踏まえると、甲1発明の「ハウジング32の内周面には、複数枚のアルミニウムフォイル層42、46が配置され、」と、本件発明1の「前記隔壁部の内周面および外周面のいずれか一方には、帯状の複数枚のシールテープが貼り付けられ、」とは、「前記隔壁部の内周面および外周面のいずれか一方には、複数枚のシールテープが配置され、」という点で共通する。
(ケ)上記(ウ)、(キ)の相当関係を踏まえると、甲1発明の「前記複数枚のアルミニウムフォイル層42、46は、その各々の延在方向がハウジング32の周方向に合致するとともにその各々の延在方向に位置する一対の端部が隣り合うアルミニウムフォイル層42、46と重なった状態となるように連なって配置されることにより、全体として前記ハウジング32の周方向に沿って周回して設けられ、」と、本件発明1の「前記帯状の複数枚のシールテープは、その各々の延在方向が前記隔壁部の周方向に合致するとともにその各々の延在方向に位置する一対の端部が隣り合うシールテープと重なった状態となるように連なって配置されることにより、全体として前記隔壁部の周方向に沿って周回して設けられ、」とは、「前記複数枚のシールテープは、その各々の延在方向が前記隔壁部の周方向に合致するとともにその各々の延在方向に位置する一対の端部が隣り合うシールテープと重なった状態となるように連なって配置されることにより、全体として前記隔壁部の周方向に沿って周回して設けられ、」という点で共通する。
(コ)甲1発明の「封止されている」ことは、本件発明1の「閉塞されている」ことに相当する。また、甲1発明の「重ね領域」と、本件発明1の「重ね貼り領域」とは、「重ね領域」という点で共通する。さらに、甲1発明の「前記隣り合うアルミニウムフォイル層42、46が重ね合わされていない部分であるアルミニウムフォイル層42」と、本件発明1の「非重ね貼り領域」とは、「前記隣り合うアルミニウムフォイル層42、46が重ね合わされていない部分」は、「非重ね領域」といえるから、両者は「非重ね領域」という点で共通する。よって、上記(ウ)、(キ)の相当関係も踏まえると、甲1発明の「前記複数のポートのうちの一部のポートが、前記隣り合うアルミフォイル層42、46が重ね合わされた部分である重ね領域によって封止されているとともに、前記複数のポートのうちの残りのポートが、前記隣り合うアルミニウムフォイル層42、46が重ね合わされていない部分であるアルミニウムフォイル層42によって封止されている、」と、本件発明1の「前記複数のガス通過孔のうちの一部のガス通過孔が、前記隣り合うシールテープが重ね合わされた部分である重ね貼り領域によって閉塞されているとともに、前記複数のガス通過孔のうちの残りのガス通過孔が、前記隣り合うシールテープが重ね合わされていない部分である非重ね貼り領域によって閉塞され、前記重ね貼り領域が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置され、前記重ね貼り領域によって閉塞されている前記一部のガス通過孔が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置されている、」とは、「前記複数のガス通過孔のうちの一部のガス通過孔が、前記隣り合うシールテープが重ね合わされた部分である重ね領域によって閉塞されているとともに、前記複数のガス通過孔のうちの残りのガス通過孔が、前記隣り合うシールテープが重ね合わされていない部分である非重ね領域によって閉塞されている、」という点で共通する。

以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、
「ガス発生剤と、
前記ガス発生剤によって発生したガスが通過する複数のガス通過孔が設けられてなる筒状の隔壁部とを備えたガス発生器であって、
前記複数のガス通過孔は、少なくとも前記隔壁部の周方向における異なる位置に点在するように設けられ、
前記隔壁部の内周面および外周面のいずれか一方には、複数枚のシールテープが配置され、
前記複数枚のシールテープは、その各々の延在方向が前記隔壁部の周方向に合致するとともにその各々の延在方向に位置する一対の端部が隣り合うシールテープと重なった状態となるように連なって配置されることにより、全体として前記隔壁部の周方向に沿って周回して設けられ、
前記複数のガス通過孔のうちの一部のガス通過孔が、前記隣り合うシールテープが重ね合わされた部分である重ね領域によって閉塞されているとともに、前記複数のガス通過孔のうちの残りのガス通過孔が、前記隣り合うシールテープが重ね合わされていない部分である非重ね領域によって閉塞されている、ガス発生器。」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
本件発明1は、「ガス発生剤を燃焼させるための点火器」を備えるとともに、前記ガス発生剤が「燃焼すること」によってガスが発生するのに対し、甲1発明は、「ガス発生剤構成物」(ガス発生剤)によってガスが発生するものの、上記点火器や燃焼に係る特定事項を有するか明らかでない点。
<相違点2>
「シールテープ」、「重ね領域」及び「非重ね領域」の構成について、本件発明1は、「シールテープ」が、「帯状」であって、隔壁部の内周面および外周面のいずれか一方に「貼り付けられ」ており、「重ね領域」及び「非重ね領域」に関し、それぞれ「重ね貼り領域」及び「非重ね貼り領域」であるのに対し、甲1発明は、「アルミニウムフォイル層42、46」(シールテープ)が、「帯状」であるか明らかでなく、隔壁部の内周面および外周面のいずれか一方に「配置され」ているものの、「貼り付けられ」ているか明らかでなく、「重ね領域」及び「非重ね領域」に関しても、それぞれ「重ね貼り領域」及び「非重ね貼り領域」であるか明らかでない点。
<相違点3>
「重ね領域」及び「重ね領域によって閉塞されている前記一部のガス通過孔」の配置について、本件発明1は、「重ね領域」に関し、「前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置され」ており、「重ね領域によって閉塞されている前記一部のガス通過孔」に関し、「前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置されている」のに対し、甲1発明は、「重ね領域」及び「重ね領域によって閉塞されている前記一部のガス通過孔」は有するものの、それらの配置に係る上記特定事項を有していない点。

イ 判断
事案に鑑み、相違点2及び相違点3について検討する。
a 相違点2及び3について
(ア)甲1発明の「複数枚のアルミニウムフォイル層42、46」(シールテープ)は、「その各々の延在方向がハウジング32の周方向に合致する」ものであって、「複数のポート」を「封止」するものであるから、複数のポートを封止するのに十分な幅をもち、ハウジング32の周方向に延在するもの、すなわち「帯状」であるといえる。また、そうとまではいえないとしても、適示(1d)に「例えば、フォイル層は、様々な厚さの複数の細長い切れ・・・であり得る。」と記載されているから、「細長い切れ」、すなわち「帯状」とすることは、当業者にとって容易である。
また、甲1発明の「複数枚のアルミニウムフォイル層42、46」(シールテープ)は、「複数のポート」を「封止」するものであるから、ハウジング32内に配置するに際し、これを「貼り付ける」ようにするとともに、「重ね領域」及び「重ね合わされていない部分であるアルミニウムフォイル層42」(非重ね領域)を、それぞれ「重ね貼り領域」及び「非重ね貼り領域」とすることは、当業者が甲1発明を具現化するにあたり、適宜選択し得た設計的事項である。

(イ)しかしながら、本件発明1は、「前記重ね貼り領域が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置され、前記重ね貼り領域によって閉塞されている前記一部のガス通過孔が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置されている」ものであり、これにより、本件明細書段落【0143】記載のとおり、「重ね貼り領域が周壁部の周方向に沿って均等に配置されることになるため、ガス噴出口から噴出されるガスによってガス発生器に加えられることになる推力が互いに相殺し合うこととなり、ガス発生器に外力が加わることが未然に防止され、作動時における安全性が確保できる」という効果を奏するものである。

(ウ)他方、甲1発明は、摘示(1f)に、「再び図3及び図4に関し、インフレータがガスを発生する際に、幾らかのガスは、矢印62によって示されるように、エアバッグ内に送られ、エアバッグ(図示せず)は膨張される。しかしながら、発生した過剰なガスは、矢印60によって示されるように、オーバーフロー溝28内に排出される。」と記載されているとおり、ハウジング32(隔壁部)のエアバッグ側のポート(ガス通過孔)から、エアバッグ内にガスを送り、オーバーフロー溝28側のポート(ガス通過孔)から、過剰なガスを排出することを前提としており、FIG.3?6を見てもポート(ガス通過孔)は、エアバッグ側に偏在しており、ハウジング32(隔壁部)の周方向に沿って均等に配置されるものではない。

(エ)そして、甲1発明は、摘示(1e)に、「後者の場合には、より高い圧力で破裂するポートは、好適には、オーバーフロー溝領域に配置され、オーバーフロー溝に配置されたポート上に二重のフォイル層を提供するために、重複するフォイル片によって覆われ得る。」と記載され、FIG.6をみても、重ね領域及び重ね領域によって封止されているポート(ガス通過孔)は、ハウジング32のオーバーフロー溝側(FIG.6の上下と右斜め上下のポート部分)に偏在しており、いずれも、ハウジング32(隔壁部)の周方向に沿って均等に配置されるものではない。

(オ)ここで、摘示(2b)の甲第2号証の段落【0027】には、「カバ-部材3に備えられた放散孔84は、各孔がカバ-部材3の軸を中心として対向する孔を有するように配置されている。これにより各孔から放出されるガスの推力は対向する孔から放出されるガスの推力と相殺され、放出されるガス全体の推力の指向性が無くなる。」と記載され、摘示(3b)の甲第3号証の段落【0032】?【0033】には、「前記複数のガス排出口が、半径方向に対向する2箇所のガス排出口同士が同じ開口面積を有している」、「互いに対向する2箇所のガス排出口から排出されるガスの量が同一となり、エアバッグの展開形状が対称となる。また、誤着火した場合でも推力が相殺させるため、運搬途中等のガス発生器が飛翔することがない。」と記載され、摘示(4b)の甲第4号証の段落【0032】には、「インフレータを略円筒形とした場合、・・・インフレータの前側ガス噴出口と後側ガス噴出口とを、インフレータの軸心を挟んで互いに反対側に配置することにより、前側ガス噴出口からのガスの噴出によりインフレータに生じる後側への推力と、後側ガス噴出口からのガスの噴出によりインフレータに生じる前側への推力とが効果的に相殺される」と記載され、甲第5号証の摘示(5b)には、「この第3の複数のオリフィス34は・・・インフレータ22の全周にわたって均一な間隔で並んで延在している。フォイル32の厚さより厚い破壊可能なフォイル層36がオリフィス34に隣接してハウジング24の内壁上に設けられている。」、「周囲の温度が非常に高くなり85℃に達しこれを超えたならば、第3の複数のオリフィス34が、インフレータ22内の圧力が増大し、破壊可能のフォイル36を破った時に開放され、」と記載され、また、摘示(6c)の甲第6号証の段落【0068】には、「ガス排出口の開口面積を同じにすると共に、最も低い圧力で開口するガス排出口は、最も破裂圧の低いシールテープで閉塞する事ができる。ガス排出口を閉塞するシールテープの破裂圧力を、その厚さに依って調整する場合、より薄いシールテープを用いれば、その破裂圧を低くすることができる。」と記載されている。

(カ)上記甲第2?4号証の記載によれば、ガス通過孔を、隔壁部の周方向に沿って均等に配置することで、ガス噴出口から噴出されるガスによってガス発生器に加えられることになる推力を互いに相殺し合うことは、従来周知の技術といえる。
また、甲第5?6号証には、相対的に高い圧力で開放されるガス通過孔に、厚さが厚いシールテープを設けることが記載されており、さらに、甲第5号証には、その相対的に高い圧力で開放されるガス通過孔を隔壁部の周方向に沿って均等に配置することが記載されているといえる。

(キ)しかしながら、上記(ウ)(エ)のとおり、甲1発明は、オーバーフロー溝28に面したポート(ガス通過孔)から、過剰なガスを排出することを前提としており、FIG.3?6を見てもポート(ガス通過孔)は、エアバッグ側に偏在しており、ハウジング32(隔壁部)の周方向に沿って均等に配置されるものではないから、上記のガス通過孔が隔壁部の周方向に沿って均等に配置されることを前提とした甲第2?5号証に記載された技術的事項を適用する動機付けはないといえる。
また、甲第2?6号証のいずれにも、「重ね貼り領域」を設けることは何ら記載がないから、甲1発明に、甲第2?6号証に記載された技術的事項を適用したとしても、相違点2、3に係る本件発明1の「重ね貼り領域」が、「前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置され」、「重ね貼り領域によって閉塞されている前記一部のガス通過孔」が、「前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置されている」構成には至らない。

ウ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和2年10月9日付けの意見書において、
(1)甲1発明の「重ね貼り領域」は、FIG.6の記載からみて、少なくとも上下のポートは、180度間隔で均等に配置されている、
(2)甲第1号証のFIG.6の右斜め上下のポート付近(特許異議申立人主張の領域Y(Y´))が重ね貼りされていたとしても、フォイル層42の厚さの割合が小さくなっており、上下のポート(特許異議申立人主張の領域X(X´))が破断するタイミングと、右斜め上下のポート(特許異議申立人主張の領域Y(Y´))が破断するタイミングは異なる。したがって、少なくとも上下のポートでは、破断時において、推力が互いに相殺し合うことになる、
(3)甲第1号証のFIG.3では、上下付近のそれぞれ3つのポートがオーバーフロー溝28に繋がっており、オーバーフロー溝28は、過剰な圧力が生じた場合にガスを排出するためのものであるから、上記上下付近のそれぞれ3つのポートを、FIG.6記載の重ね張り領域のフォイル層で塞ごうとする動機づけが認められる、旨主張している。
上記主張(1)について検討すると、摘示(1d)には、「図5及び図6の実施形態では、ポートは単一のサイズである。しかしながら、図5に示されるように、幾つかのポート40は、第二のフォイル層46によって覆われ、そのフォイル層46は、フォイル層42によってのみ覆われるポートとは異なる作動圧力で破裂する。図6では、幾つかのポート40は、フォイル層42とフォイル層44の両方によって覆われる。」と記載され、図5又は図6の実施形態が同様に適用可能である旨記載されており、FIG.5では上下と右斜め上下のポートが、第二のフォイル層で覆われていることを踏まえると、FIG.6においても、上下と右斜め上下のポートが、フォイル層42とフォイル層44の両方によって覆われていると解するのが自然である。 そうすると、甲1発明の重ね領域のポートは、FIG.6の右側に偏在しており、周方向に沿って均等に配置されるものではないから、上記(1)の上下のポートのみに基づく主張は理由がない。
次に、上記主張(2)について検討すると、本件発明1は「前記重ね貼り領域が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置され、前記重ね貼り領域によって閉塞されている前記一部のガス通過孔が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置されている」という事項を特定するものであって、シールテープが破断するタイミングを特定するものではない。そして、甲1発明の重ね領域及び重ね領域によって閉塞されるポートは、FIG.6の上下と右斜め上下のポート部分に偏在するから、両者は周方向に沿って均等に配置されるものとはいえない。
また、甲第1号証の摘示(1d)には、「図6では、幾つかのポート40は、フォイル層42とフォイル44層の両方によって覆われる。」とのみ記載されており、フォイル層42の厚さの割合を小さくすることの記載はない。また、特許出願における図面は、その発明を理解するための図であればよく、詳細な寸法等を示す設計図であることは要していないから、FIG.6の記載のみをもって、甲第1号証に、右斜め上下のポート付近において、フォイル層42の厚さの割合が小さくなっているという技術的事項が開示されているとは認められない。よって、上記(2)の主張は理由がない。
上記主張(3)について検討すると、FIG.3からは、上下付近のそれぞれ3つのポートがオーバーフロー溝28に繋がっているようにもみえるし、摘示(1f)に「しかしながら、発生した過剰なガスは、矢印60によって示されるように、オーバーフロー溝28に排出される。」と記載され、FIG.3?4では、矢印60は上と右斜め上のポートの2つのみに図示されており、下と右斜め下にも図番なしの矢印が図示されているから、上下と右斜め上下のそれぞれ2つのポートがオーバーフロー溝28に繋がっているようにもみえる。
結局のところ、FIG.3?4の記載では、オーバーフロー溝28に繋がるポートがどれであるかを特定するには至らないから、上記主張(3)は理由がない。

エ 小括
以上のとおり、本件発明1は甲1発明と相違点1?3において相違するものであるところ、相違点2及び3に係る本件発明1の構成は容易想到とはいえないものであるから、その余の相違点1を検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明、甲第2?6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件発明2?6、9?11は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであるから、本件発明1と同様に、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1?6、9?11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?6、9?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生剤と、
前記ガス発生剤を燃焼させるための点火器と、
前記ガス発生剤が燃焼することによって発生したガスが通過する複数のガス通過孔が設けられてなる筒状の隔壁部とを備えたガス発生器であって、
前記複数のガス通過孔は、少なくとも前記隔壁部の周方向における異なる位置に点在するように設けられ、
前記隔壁部の内周面および外周面のいずれか一方には、帯状の複数枚のシールテープが貼り付けられ、
前記帯状の複数枚のシールテープは、その各々の延在方向が前記隔壁部の周方向に合致するとともにその各々の延在方向に位置する一対の端部が隣り合うシールテープと重なった状態となるように連なって配置されることにより、全体として前記隔壁部の周方向に沿って周回して設けられ、
前記複数のガス通過孔のうちの一部のガス通過孔が、前記隣り合うシールテープが重ね合わされた部分である重ね貼り領域によって閉塞されているとともに、前記複数のガス通過孔のうちの残りのガス通過孔が、前記隣り合うシールテープが重ね合わされていない部分である非重ね貼り領域によって閉塞され、
前記重ね貼り領域が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置され、
前記重ね貼り領域によって閉塞されている前記一部のガス通過孔が、前記隔壁部の周方向に沿って均等に配置されている、ガス発生器。
【請求項2】
前記帯状の複数枚のシールテープの各々が、同一の厚み、幅および長さを有している、請求項1に記載のガス発生器。
【請求項3】
前記帯状の複数枚のシールテープの総数が、2枚である、請求項1または2に記載のガス発生器。
【請求項4】
前記複数のガス通過孔のすべてが、前記隔壁部の周方向に沿って一列に並んで設けられている、請求項1から3のいずれかに記載のガス発生器。
【請求項5】
前記複数のガス通過孔が、前記隔壁部の軸方向における異なる位置にも点在するように設けられている、請求項1から3のいずれかに記載のガス発生器。
【請求項6】
前記隔壁部が、径が一様な円筒状の部位を含み、
前記複数のガス通過孔のすべてが、当該円筒状の部位に設けられている、請求項1から5のいずれかに記載のガス発生器。
【請求項7】
前記複数のガス通過孔のうちの少なくとも1つが、前記隔壁部の軸方向に沿った開口幅よりも前記隔壁部の周方向に沿った開口幅が大きい長孔形状を有している、請求項1から6のいずれかに記載のガス発生器。
【請求項8】
前記複数のガス通過孔のうちの少なくとも1つが、前記隔壁部の周方向に沿った開口幅よりも前記隔壁部の軸方向に沿った開口幅が大きい長孔形状を有している、請求項1から7のいずれかに記載のガス発生器。
【請求項9】
前記隔壁部は、当該ガス発生器の外殻を構成するハウジングの一部であり、
前記ハウジングは、前記隔壁部に相当する周壁部と、前記周壁部の軸方向の端部を閉塞する天板部および底板部とを含み、
前記複数のガス通過孔は、当該ガス発生器から外部に向けてガスを噴出する前記周壁部に設けられた複数のガス噴出口である、請求項1から8のいずれかに記載のガス発生器。
【請求項10】
前記重ね貼り領域によって閉塞された前記一部のガス通過孔の1個当たりの開口面積が、前記非重ね貼り領域によって閉塞された前記残りのガス通過孔の1個当たりの開口面積よりも小さい、請求項9に記載のガス発生器。
【請求項11】
前記重ね貼り領域によって閉塞された前記一部のガス通過孔の総開口面積が、前記非重ね貼り領域によって閉塞された前記残りのガス通過孔の総開口面積よりも小さい、請求項9に記載のガス発生器。
【請求項12】
前記重ね貼り領域によって閉塞された前記一部のガス通過孔および/または前記非重ね貼り領域によって閉塞された前記残りのガス通過孔が、異なる開口面積のものを含んでいる、請求項9に記載のガス発生器。
【請求項13】
前記複数のガス通過孔が、開口面積が相対的に小さい複数の小孔と開口面積が相対的に大きい複数の大孔との大小2種類の孔によってのみ構成され、
前記複数の大孔の一部が、前記重ね貼り領域によって閉塞され、
前記複数の大孔の残りが、前記非重ね貼り領域によって閉塞され、
前記複数の小孔のすべてが、前記非重ね貼り領域によって閉塞されている、請求項9に記載のガス発生器。
【請求項14】
ガス発生剤と、
前記ガス発生剤を燃焼させるための点火器と、
前記ガス発生剤が燃焼することによって発生したガスが通過する複数のガス通過孔が設けられてなる筒状の隔壁部とを備えたガス発生器であって、
前記複数のガス通過孔は、少なくとも前記隔壁部の周方向における異なる位置に点在するように設けられ、
前記隔壁部の内周面および外周面のいずれか一方には、帯状の1枚のシールテープが貼り付けられ、
前記帯状の1枚のシールテープは、その延在方向が前記隔壁部の周方向に合致するとともにその延在方向に位置する一対の端部同士が重なった状態となるように、前記隔壁部の周方向に沿って周回して設けられ、
前記複数のガス通過孔のうちの一部のガス通過孔が、前記帯状の1枚のシールテープが重ね合わされた部分である重ね貼り領域によって閉塞されているとともに、前記複数のガス通過孔のうちの残りのガス通過孔が、前記帯状の1枚のシールテープが重ね合わされていない部分である非重ね貼り領域によって閉塞され、
前記隔壁部は、当該ガス発生器の外殻を構成するハウジングの一部であり、
前記ハウジングは、前記隔壁部に相当する周壁部と、前記周壁部の軸方向の端部を閉塞する天板部および底板部とを含み、
前記複数のガス通過孔は、当該ガス発生器から外部に向けてガスを噴出する前記周壁部に設けられた複数のガス噴出口であり、
前記複数のガス通過孔が、開口面積が相対的に小さい複数の小孔と開口面積が相対的に大きい複数の大孔との大小2種類の孔によってのみ構成され、
前記複数の大孔の一部が、前記重ね貼り領域によって閉塞され、
前記複数の大孔の残りが、前記非重ね貼り領域によって閉塞され、
前記複数の小孔のすべてが、前記非重ね貼り領域によって閉塞されている、ガス発生器。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-12-22 
出願番号 特願2016-514926(P2016-514926)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (B60R)
P 1 652・ 537- YAA (B60R)
最終処分 維持  
前審関与審査官 飯島 尚郎  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
佐々木 一浩
登録日 2019-09-13 
登録番号 特許第6585586号(P6585586)
権利者 日本化薬株式会社
発明の名称 ガス発生器  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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