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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06Q
審判 全部申し立て 特17条の2、3項新規事項追加の補正  G06Q
管理番号 1371724
異議申立番号 異議2020-700445  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-06-24 
確定日 2021-02-08 
異議申立件数
事件の表示 特許第6627068号発明「学習管理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6627068号の請求項1?5に係る特許を取り消す。 
理由 1 手続の経緯
特許第6627068号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成31年4月12日に出願され、令和1年12月13日にその特許権の設定登録がされ、令和2年1月8日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和2年 6月24日 : 特許異議申立人渡辺陽子による請求項1?5に係る特許に対する特許異議の申立て
令和2年 9月16日付け: 取消理由通知書(期間の指定して意見書を提出機会を与えたが、特許権者からは何らの応答もない。)


2 取消理由の概要
(1)取消理由1(新規事項)
令和元年8月1日付けでした手続補正は当初明細書等の記載の範囲内においてしたものではないから、本件の請求項1?5に係る発明の特許は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきである。
(2)取消理由2(サポート要件)
本件の請求項1?5に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものではないため、本件の請求項1?5に係る発明の特許は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消すべきものと認める。
(3)取消理由3(明確性要件)
請求項1?5の記載は不明確であるため、本件の請求項1?5に係る発明の特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消すべきものと認める。


3 本件発明等
(1)本件発明
本件請求項1?5に係る発明は、以下のとおりである(以下、「本件発明1」、「本件発明2」・・・「本件発明5」といい、総じて「本件発明」という。下線部は、令和元年8月1日付け手続補正書によって補正された箇所を示す。また、各構成要件をそれぞれ「構成要件A」、「構成要件B1」、「構成要件B2」・・・という。)。

【請求項1】
A 指導者側情報端末(1)、生徒側情報端末(2)、これら情報端末と通信手段(4)を介して通信可能な情報管理サーバー(3)を有する学習管理システムであって、
B-1 生徒側情報端末(2)において学習情報(5)の入力が可能であり、入力された学習情報(5)が情報管理サーバー(3)に送信される学習管理システムにおいて、
B-2 入力される学習情報(5)が、生徒が日々行う学習の量・質に関する情報であり、
C 情報管理サーバー(3)は、受信した学習情報(5)の集計を行い、集計された学習情報(5’)を指導者情報端末(1)に送信するとともに、学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件に合致するとき、条件に合致した生徒側情報端末情報、条件に合致した学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)、及び/又は合致した条件を指導推奨情報(6)として指導者側情報端末(1)のみに送信し、
D 指導者側情報端末(1)は、受信した指導推奨情報(6)を表示するE ことを特徴とする学習管理システム。
【請求項2】
F 学習情報(5)が、学習計画情報(51)、成績情報(52)、学習時間情報(53)、入退室情報(54)の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の学習管理システム。
【請求項3】
G 指導者側情報端末(1)において学習情報(5)の入力が可能であり、当該学習情報(5)が、成績情報(52)、面談回数情報(55)の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の学習管理システム。
【請求項4】
H 指導者側情報端末(1)と生徒側情報端末(2)が、情報管理サーバー(3)を介してメッセージ送受信可能であり、指導者側情報端末(1)と生徒側情報端末(2)と間でメッセージ送受信が行われている際に、指導者側情報端末(1)のみのメッセージ送受信画面に、指導推奨情報(6)が表示されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の学習管理システム。
【請求項5】
I 指導者側情報端末(1)及び生徒側情報端末(2)間での、メッセージ送受信回数が情報管理サーバー(3)によってカウントされ、カウント値が情報サーバーに記憶され、当該カウント値が、指導者側情報端末(1)によって閲覧可能であることを特徴とする請求項4に記載の学習管理システム。


(2)本件補正前請求項1の記載
令和元年8月1日付け手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)前の特許請求の範囲の請求項1には、令和元年5月24日付け手続補正書に記載されたとおり、以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
指導者側情報端末(1)、生徒側情報端末(2)、これら情報端末と通信手段(4)を介して通信可能な情報管理サーバー(3)を有する学習管理システムであって、
生徒側情報端末(2)において学習情報(5)の入力が可能であり、入力された学習情報(5)が情報管理サーバー(3)に送信される学習管理システムにおいて、
入力される学習情報(5)が、生徒が日々行う学習の量・質に関する情報であり、
情報管理サーバー(3)は、受信した学習情報(5)の集計を行い、集計された学習情報(5’)を指導者情報端末(1)に送信するとともに、学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)が所定の条件に合致するとき、条件に合致した生徒側情報端末情報、条件に合致した学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)、及び/又は合致した条件を指導推奨情報(6)として指導者側情報端末(1)に送信し、
指導者側情報端末(1)は、受信した指導推奨情報(6)を表示することを特徴とする学習管理システム。」

(3)当初明細書等の記載
願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。

ア 「【請求項1】
指導者側情報端末(1)、生徒側情報端末(2)、これら情報端末と通信手段(4)を介して通信可能な情報管理サーバー(3)を有する学習管理システムであって、
生徒側情報端末(2)において学習情報(5)の入力が可能であり、入力された学習情報(5)が情報管理サーバー(3)に送信される学習管理システムにおいて、
情報管理サーバー(3)は、受信した学習情報(5)の集計を行い、集計された学習情報(5’)を指導者情報端末(1)に送信するとともに、学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)が所定の条件に合致するとき、条件に合致した生徒側情報端末情報、条件に合致した学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)、及び/又は合致した条件を指導推奨情報(6)として指導者側情報端末(1)に送信し、
指導者側情報端末(1)は、受信した指導推奨情報(6)を表示することを特徴とする学習管理システム。」

イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、指導者側情報端末、生徒側情報端末、これら情報端末と通信手段を介して通信可能な情報管理サーバーを有する学習管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
学習塾経営においては、売上を最大化し、退塾を最少化するためには、生徒の学習計画や学習状況(進捗状況)を把握し、生徒に対して的確にフォロー・指導を行うことが学習塾経営を行う指導者にとって極めて重要である。
【0003】
しかし生徒の学習は、必ずしも塾内のみで行われるものでなく、むしろ塾外で行われることも多い。指導者にとって、生徒の学習状況の全体を的確・完全に把握するのは困難である。
【0004】
そこで従来は、対面にて個人面談を行い生徒から学習状況をヒアリングする等して、生徒の学習状況を把握し、フォローを行っていた。
【0005】
しかし、面談による学習状況の把握では、1)生徒の学習状況を定量的に把握するのが困難である、2)学習状況は必ずしも可視化されない、3)日々の学習状況を細かく把握することは不可能である、4)対面にて面談を行うのは場所・時間上の制限が大きいなどの問題があった。
【0006】
また、面談は通常、生徒ごとに個別に行われるので、複数の生徒の学習状況を一括・集約的に把握することは困難であった。
【0007】 また、上述したように各生徒の日々の細かい学習状況を把握することはできないので、結果、生徒に対して細やかなフォローを行うことも困難であった。
【0008】
その結果、生徒が学力向上の機会、ひいては学習に対するモチベーションを失い、学力が低下した生徒、目標達成が困難となった生徒等は、学習塾退塾へと向かうという可能性があった。このような結果は、塾経営を営む指導者にとっても望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、生徒の学習状況を集計・可視化し、指導者が、その定量的な把握を、生徒の日々の学習状況の把握までも行うことを可能とする学習管理システムであって、対面での面談の場所・時間上の制限を克服する学習管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題は、請求項1に記載の発明によって解決される。
【0011】
請求項1に記載の発明に従い、生徒は手元の生徒側情報端末(スマートホン等)で日々の学習情報を入力する。入力された学習情報は、通信手段によって情報管理サーバーへと送られ、送られた学習情報は、情報管理サーバーによって集計される。情報管理サーバーによって受信された学習情報、又は集計された学習情報は、所定の条件に合致する場合には、指導推奨情報として通信手段を介して指導者側情報端末に送信され、指導者側情報端末に表示される。
【0012】
(略)
【0013】
(略)
【0014】
(略)
【0015】
更に指導者は、情報管理サーバーによって生成・送信される指導推奨情報に基づいて、的確なフォローを適時に生徒に与えることが可能となる。
【0016】
適切な学習計画の立案は、生徒の学習効率を著しく向上する。本発明の発展形によれば、生徒が学習計画を立案した際、学習計画を達成した際、又は達成できなかった際にこれが学習情報として情報管理サーバーに送信され、情報管理サーバーは、これら学習情報が予め定めた条件に合致するか判断する。条件に合致する場合には、指導推奨情報として指導者側情報端末に送信され、指導者は、生徒によって学習計画が立案されたこと、学習計画が達成された事、達成されなかったことを把握することができる。これによって、指導者は、より適切なフォローを生徒に与えることが可能となる。フォローによって、生徒は承認欲求が満たされ、学習へのモチベーションが向上する。
【0017】
生徒は、成績情報を入力することも可能となる。塾外で受けた模擬試験、学校での成績、その他成績を登録可能である。生徒によって入力された成績情報は、最終的には指導者側情報端末に、条件に合致する場合には指導推奨情報と共に表示可能である。これによって指導者は、生徒の塾外における学習成績をも適時に把握でき、生徒の成績に応じた指導・フォローが可能となる。」

ウ 「【0032】
(情報管理サーバー)
情報管理サーバー3は、いわゆるクラウドサーバーのような、ウェブ上に設けられる一般的なサーバーとしての機能を有するよう構成されている。特に本発明においては、生徒側情報端末、及び指導者側情報端末から送信された情報の受信、及び、生徒側情報端末2、及び指導者側情報端末1への情報の送信を行う情報送受信部31、受信した情報の処理・演算を行う情報処理部32、情報処理部において実行される学習管理プログラム33、受信した情報や学習管理プログラム実行結果等の記憶を行う情報記憶部34を有している。
【0033】
全体として上述のような構成を有する本発明に係る学習管理システムであるが、以下に、当該学習管理システムの個々の構成要素、つまり指導者側情報端末1、生徒側情報端末2、情報管理サーバー3及びこれらの間の情報の送受信に用いられる通信手段4、並びに通信手段を通じて送受信される学習情報5、及び指導推奨情報6の構成、機能について説明する。」

エ 「【0045】
(情報管理サーバー)
情報管理サーバーは上述したとおり情報処理部32を有する。情報処理部32においては、学習管理プログラム33が実行可能である。これによって情報管理サーバー3の主とした機能、つまり(1)生徒側情報端末2、及び/又は指導者側情報端末1からの学習情報5の受信、(2)受信した学習情報5の識別、集計、処理、記憶、(3)生徒側情報端末2への学習情報及び集計された学習情報の送信、(4)指導者側情報端末1への、学習情報5及び集計された学習情報、及び/又は指導推奨情報6の送信、(5)生徒側情報端末2及び指導者側情報端末1間でのメッセージの送受信等が実現される。逆に言うと、(ここでは詳述しないが、)情報管理サーバー3はこれら機能実現の為のサーバーとしての一般的構成を備えている。」

オ 「【0048】
(学習情報等が所定の条件に合致するかの判断)
学習管理プログラム33に従い、情報管理サーバー3においては学習情報5、又は集計された学習情報5’の処理が行われる。処理においては、学習情報5、又は集計した学習情報5’が事前に定められた所定の条件に合致するか否かの判断が行われる。
【0049】
(スマートタグの付与)
学習情報5、又は、集計した学習情報5’が所定の条件に合致する場合、所定の条件に合致した生徒(当該生徒が有する生徒側情報端末を示す識別情報59)にはタグ情報、いわゆるスマートタグが付与される。このスマートタグは、後述する所定の条件に合致した生徒の検索・表示等に利用されることが可能である。
【0050】
(条件判断の例:学習計画情報)
例えば、学習計画情報51に対しては所定の条件を、「学習計画情報51が入力された」等と設定することが可能である。この場合、学習計画情報51が生徒側情報端末2で入力されると、当該学習計画情報51は通信手段4を通じて情報管理サーバー3に送信されるが、これを受信した情報管理サーバー3は、学習管理プログラム33に従い当該学習計画情報51を記憶するとともに、学習計画情報51の処理、すなわち学習計画情報51に関する所定の条件が満たされるどうかの判断を行う。ここでは設定されていた条件は、「学習計画情報が入力された」であるので、情報管理サーバー3は、学習計画情報51が所定の条件に合致したと判断する。
【0051】
(条件判断の例:学習計画達成)
生徒が入力する学習計画情報51としては、例えば学習を行う教材(例えば教科書、参考書、問題集等)の名称、学習を行う期間(例えば「2019年4月1日から2019年4月30日まで」等)、学習を行う時間(例えば「20時間」等)、量(例えば「31頁」等)等が考えられるが、このような学習計画情報を入力した、つまり学習計画を立案した生徒は当該学習計画に従い日々の学習を進める。その際、生徒は日々の学習状況、つまりその日に行った学習の学習時間、学習量を生徒側情報端末で逐次入力する。日々入力される学習情報5(学習時間、学習量)は、入力される度ごとに情報管理サーバー3に送られ、そこで記憶されるとともに集計、つまり合算されていく。情報管理サーバー3は、学習情報5と共に受信した識別情報59に基づいて、当該合算値がどの生徒側情報端末2に相当するものであるか管理している。
【0052】
ここで学習計画情報に対する別の条件として、「学習計画達成」を設定することが考えられる。例えば、情報管理サーバー3において集計される日々の学習時間の合計が、学習計画情報51に含まれる目標時間に達したとき、及び/又は、学習量の合計が目標量に達したとき、情報管理サーバー3は、学習計画情報51が所定の条件「学習計画達成」に合致した、つまり学習計画が達成されたと判断する。
【0053】
(条件判断の例:学習計画未達)
また、学習計画情報51に対する更に別の条件として、「学習計画未達」を設定することも考えられる。例えば、学習計画情報に含まれる予定学習期間が経過した後に、情報管理サーバー3において集計された日々の学習時間の合計が、学習計画情報51に含まれる目標時間に達しなかった、及び/又は、学習量の合計が目標量に達しなかったときに、情報管理サーバー3は、学習計画情報51が、条件「学習計画未達」に合致した、つまり学習計画が遂行されなかったと判断する。
【0054】
(条件判断の例:成績情報)
上述した学習計画情報51の入力と類似して、成績情報52に対する条件を、「成績情報が入力された」等と設定することも可能である。この場合、成績情報が生徒側情報端末によって、又は指導者側情報端末によって入力されると、情報管理サーバーは、成績情報が所定の条件に合致したと判断する。
【0055】
(その他の条件判断の例:学習時間、入退室、面談回数)
情報管理サーバーは、学習情報5として学習時間情報53、入退室情報54、面談回数情報55を生徒側情報端末2又は指導者側情報端末1から受信すると、これらを適宜集計し、集計された学習時間情報53’、集計された入退室情報54’、集計された面談回数情報55’等として記憶する。これら集計された集計された学習時間情報53’、集計された入退室情報54’、集計された面談回数情報55’に対して、所定の条件を設定することも考えられる。例えば集計された学習時間情報53’に対して、「直近Y日間での集計された学習時間情報53’がZ時間以上」なる条件を設定することができる。学習時間の合計がZ時間以上になると、集計された学習時間情報53’が所定の条件に合致したと情報管理サーバーは判断する。入退室情報54、面談回数情報55にも同様の条件を設定することが可能である。
【0056】
(情報管理サーバーからの学習情報の送信)
情報管理サーバー3は、生徒側情報端末2、又は指導者側情報端末1からの要求に従い、情報記憶部34に記憶されている学習情報5又は集計された学習情報5’をこれら情報端末に送信するよう構成されている。例えば生徒が生徒側情報端末2の情報入力部21を通じて学習時間の総計の閲覧を要求すると、当該要求は、生徒側プログラム23によって集計された学習時間情報53’の閲覧要求信号として、生徒側情報端末2から、情報管理サーバー3へと送られる。閲覧要求信号を受信した情報管理サーバー3は、学習管理プログラム33に従い、集計された学習時間情報53’(つまり学習時間の総計)を情報記憶部34から読み出し生徒側情報端末2へと送信する。これを受信した生徒側情報端末2は、情報出力部25に集計された学習時間情報53’を表示する。指導者側情報端末1、及び指導者側プログラム13も同様に構成されている。
【0057】
(情報管理サーバーからの指導推奨情報の送信)
情報管理サーバー3の学習管理プログラム33は、学習情報5が所定の条件に合致するとき、指導推奨情報6を生成するよう構成されている。指導推奨情報6は、条件に合致した学習情報5(識別情報59を含む)と、どの条件に合致したかを表す合致条件情報が含まれている。例えば、所定の条件として「学習計画情報が入力された」が設定され、この条件に学習系学情報51が合致した場合、指導推奨情報6には、入力された学習計画情報51、当該学習計画情報51が入力された生徒側情報端末2の識別情報59、及び合致条件情報60が含まれることとなる。生成された指導推奨情報6は、情報管理サーバー3から指導者側情報端末1に送信される。
【0058】
(指導者側情報端末での指導推奨情報の表示)
指導者側情報端末1は、指導者側プログラム13に従い、情報管理サーバー3から送信された指導推奨情報6を受信し、これを情報出力部15に表示するよう構成されている。指導推奨情報6には、条件に合致した学習情報5(識別情報59を含む)と、どの条件に合致したかを表す合致条件情報60が含まれているので、指導者には、どの生徒側情報端末2でどのような条件が合致したかが表示される。例えば、条件「学習計画情報が入力された」に合致すると判断され生成された指導推薦情報6を受信した場合には、指導者は、どの生徒がどのような学習計画を立案したかを把握することが可能となる。
【0059】
(指導者側情報端末による指導推奨情報の要求)
指導者側情報端末1からは、情報管理サーバー3に対して指導推奨情報6を要求することができる。当該要求は、情報管理サーバー3に対してスマートタグ情報を送信することにより行われる。スマートタグ情報を受信した情報管理サーバー3は、当該スマートタグが付与された生徒側情報端末を示す識別情報59を収集し、これを指導者側情報端末1に送信する。これにより、指導者は、種々の条件に合致する生徒を、迅速かつ簡単に管理・把握することが可能となる。
【0060】
(略)
【0061】
(指導者側情報端末のメッセージ送受信画面への指導推奨情報の表示)
上記メッセージのやり取りは、指導者側情報端末1、生徒側情報端末2の情報出力部11,21に表示されるメッセージ送受信画面を介して行われる。指導者側情報端末1、及び指導者側プログラム11は、受信した指導推奨情報6をメッセージ送受信画面に表示するよう構成されていることが可能である。」
【0062】
(略)
【0063】
(略)
【0064】
(指導推奨情報としてのメッセージ送受信回数)
また、メッセージ送受信回数に対して所定の条件を設定し、メッセージ送受信回数が当該条件に合致するとき、指導推奨情報6が生成されるよう学習管理プログラム33が構成されていることも可能である。この場合、生成された指導推奨情報6は、指導者側情報端末からの要求によらずとも指導者側情報端末1に送信され、これを受信した指導者側情報端末1は、当該指導推奨情報6としてのメッセージ送受信回数等を情報出力部15に出力・表示する。」

(4)本件明細書等の記載
本件では、令和元年5月24日及び令和元年8月1日付けで手続補正書が提出されているものの、これらの手続補正書は願書に最初に添付した明細書及び図面に対する補正を含んでいないことから、本件の明細書又は図面(以下、「本件明細書等」という。)には、当初明細書等に記載された上記(3)イないしオの事項が記載されている。

4 当審の判断
(1)取消理由1(新規事項)について
ア 特許法17条の2第3項は、明細書、特許請求の範囲又は図面について補正するときは、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしなければならない旨規定している。上記にいう「当初明細書等に記載した事項」とは、当業者によって、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるときは、当該補正は、「当初明細書等に記載した事項」の範囲内においてするものということができると解するのが相当である(知的財産高等裁判所、平成18年(行ケ)第10563号、平成20年5月30日特別部判決参照)。
このため、令和元年8月1日付け補正書により、請求項1における構成要件Cに係る補正、特に、「所定の条件」の記載を「生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」の記載にする補正が、当業者によって、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、当該補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるかを検討する。

イ 上記3(3)からみて、上記補正に関係する事項として、当初明細書等には、以下の事項が記載されている。
(ア)本件発明には、以下のような背景技術があったこと(上記3(3)ア)。
学習塾経営においては、売上を最大化し、退塾を最少化するためには、生徒の学習計画や学習状況(進捗状況)を把握し、生徒に対して的確にフォロー・指導を行うことが学習塾経営を行う指導者にとって極めて重要であること。
生徒の学習は、必ずしも塾内のみで行われるものでなく、むしろ塾外で行われることも多い。指導者にとって、生徒の学習状況の全体を的確・完全に把握するのは困難であること。
従来は、対面にて個人面談を行い生徒から学習状況をヒアリングする等して、生徒の学習状況を把握し、フォローを行っていたこと。
面談による学習状況の把握では、1)生徒の学習状況を定量的に把握するのが困難である、2)学習状況は必ずしも可視化されない、3)日々の学習状況を細かく把握することは不可能である、4)対面にて面談を行うのは場所・時間上の制限が大きいなどの問題があったこと。
面談は通常、生徒ごとに個別に行われるので、複数の生徒の学習状況を一括・集約的に把握することは困難であったこと。
各生徒の日々の細かい学習状況を把握することはできないので、結果、生徒に対して細やかなフォローを行うことも困難であったこと。
その結果、生徒が学力向上の機会、ひいては学習に対するモチベーションを失い、学力が低下した生徒、目標達成が困難となった生徒等は、学習塾退塾へと向かうという可能性があった。このような結果は、塾経営を営む指導者にとっても望ましくないこと。

(イ)本件発明の課題は、生徒の学習状況を集計・可視化し、指導者が、その定量的な把握を、生徒の日々の学習状況の把握までも行うことを可能とする学習管理システムであって、対面での面談の場所・時間上の制限を克服する学習管理システムを提供することであること(上記3(3)イ)。

(ウ)本件発明における情報管理サーバーが指導者側情報端末へ指導推奨情報を送信する場合について、以下の場合があること。
情報管理サーバーによって受信された学習情報、又は集計された学習情報が所定の条件に合致する場合(上記3(3)ア)。
情報管理サーバーに送信された、生徒が立案した学習計画、生徒が達成した学習計画、又は、生徒が達成できなかった学習計画が予め定めた条件に合致する場合(上記3(3)イ)。
生徒が成績情報として入力した、塾外で受けた模擬試験、学校での成績、その他成績が条件に合致する場合(上記3(3)イ)。
例えば、所定の条件として「学習計画情報が入力された」が設定され、この条件に学習系学情報51が合致した場合(なお、「学習系学情報51」は「学習計画情報51」の誤記であると認められる)。
指導者側情報端末1から情報管理サーバー3に対して指導推奨情報6を要求した場合(上記3(3)オ)。
メッセージ送受信回数に対して所定の条件を設定し、メッセージ送受信回数が当該条件に合致する場合(上記3(3)オ)。

(エ) 本件発明において設定可能な所定の条件としては、以下のようなものがあること。
「学習計画情報51が入力された」という条件(上記3(3)オ)。
集計された日々の学習時間の合計が学習計画情報に含まれる目標時間に達する、及び/又は、集計された日々の学習量の合計が学習計画情報に含まれる目標量に達するという「学習計画達成」の条件(上記3(3)オ)。
集計された日々の学習時間の合計が目標時間に達しない、及び/又は、集計された日々の学習量の合計が目標量に達しないという「学習計画未達」の条件(上記3(3)オ)。
「成績情報が入力された」という条件(上記3(3)オ)。
「直近Y日間での集計された学習時間情報53’がZ時間以上」という条件(上記3(3)オ)。

ウ 以下の理由により、当初明細書等には、「学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件に合致する」との事項が記載されておらず、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであると認められる。

(ア)上記イからみて、当初明細書等には、情報管理サーバーが指導推奨情報を指導者側情報端末に送信する条件となる「生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」は明記されていない。

(イ)上記イ(ア)には、従来の技術に「生徒に対して細やかなフォローを行うことも困難であった」という問題点を開示されているが、その原因は「各生徒の日々の細かい学習状況を把握することはできない」というものである。
仮に、学習情報又は集計された学習情報が「生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」に合致するときに指導推奨情報を送信したとしても、「各生徒の日々の細かい学習状況を把握することはできない」という原因の解決にはならないことは明らかである。
してみると、上記イ(ア)の他の記載を総合しても、「生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」が記載されているとは認められず、また、自明であるとも認められない。

(ウ)上記イ(イ)には、発明の課題が「生徒の学習状況を集計・可視化し、指導者が、その定量的な把握を、生徒の日々の学習状況の把握までも行うことを可能とする学習管理システムであって、対面での面談の場所・時間上の制限を克服する学習管理システムを提供することであること」は記載されている。
しかしながら、この発明の課題から、学習情報又は集計された学習情報を「生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」に合致するときに送信するということを導き出すことはできない。
してみると、上記イ(イ)を参酌しても、「生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」が記載されているとは認められないとともに、自明であるとも認められない。

(エ)上記イ(ウ)及び同(エ)には、「「学習計画情報51が入力された」という条件」、「集計された日々の学習時間の合計が学習計画情報に含まれる目標時間に達する、及び/又は、集計された日々の学習量の合計が学習計画情報に含まれる目標量に達するという「学習計画達成」の条件」、「「成績情報が入力された」という条件」、及び、「「直近Y日間での集計された学習時間情報53’がZ時間以上」という条件」が開示されている。
しかしながら、これらの条件が「学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」に該当しないことは明らかである。

(オ)上記イ(ウ)及び同(エ)には、上記(エ)の条件の他に、「集計された日々の学習時間の合計が目標時間に達しない、及び/又は、集計された日々の学習量の合計が目標量に達しないという「学習計画未達」の条件」が開示されている。
ここで、「学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」との事項が記載されているというためには、「学習情報(5)」「が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」と「集計された学習情報(5’)が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」がそれぞれ記載されていることを要する。
しかしながら、当該開示によれば、「集計された学習情報(5’)が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」は記載されていると認められるものの、「学習情報(5)」「が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」は記載されていない。
このように、上記イ(ウ)及び同(エ)の記載を総合しても、少なくとも、「学習情報(5)」「が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」の開示がないことから、「学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件に合致する」という条件が記載されているとは認められず、また、自明であるとも認められない。

(カ)以上のとおりであるから、「学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」との事項は、当初明細書等の全ての記載を総合しても、記載されているとは認められず、また、自明であるとも認められない。
そして、記載もなく自明でもない上記事項は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項ではない。
よって、請求項1の構成要件Cに係る「所定の条件」を「生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」にする補正は、当業者によって、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項ではなく、当該補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

オ また、請求項2?5は請求項1に従属していることから、本件発明2?5は、請求項1に係る補正によって導かれる技術的事項との関係において、結果として、新たな技術的事項を導入されるものである。

カ よって、令和元年8月1日付けでした手続補正は当初明細書等の記載の範囲内においてしたものではないから、本件の請求項1?5に係る発明の特許は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。

(2)取消理由2(サポート要件)について
ア 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを比較し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できる範囲ものであるか否かを検討して判断するのが相当である。
そのため、特許請求の範囲に記載された発明、特に、「学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件に合致するとき、条件に合致した生徒側情報端末情報、条件に合致した学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)、及び/又は合致した条件を指導推奨情報(6)として指導者側情報端末(1)のみに送信」することが発明の詳細な説明に記載された発明であるか否か、また、特許請求の範囲に記載された発明が発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否か検討する。

イ 本件明細書等には、上記3(4)のごとく、当初明細書等と同じく上記3(3)イないしオの事項が記載されている。
そして、「所定の条件」或いは「生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」に関する記載として、本件明細書には当初明細書等の記載を超えた記載はないことから、取消事由1での検討と同じ理由により、請求項1の構成要件Cに係る「生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」なる事項は、当業者によって、本件明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項ではなく、当該事項は当初明細書等の発明の詳細な説明に記載されたものではない。
このため、構成要件Cを有する本件発明1は、本件明細書等の発明の詳細な説明に記載されているとは認められない。

ウ 本件発明の課題は、当初明細書等に記載されたものから補正されていないため、上記3(3)イのとおり、「生徒の学習状況を集計・可視化し、指導者が、その定量的な把握を、生徒の日々の学習状況の把握までも行うことを可能とする学習管理システムであって、対面での面談の場所・時間上の制限を克服する学習管理システムを提供すること」であると認められる。
これに対して、本件発明における「指導推奨情報」して「条件に合致した学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)」等が送信されるのは、「学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件に合致するとき」となっている。
そうすると、「学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)」が「生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件」に至らなければ、「条件に合致した学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)」等は「指導推奨情報」して送信されないことになり、「生徒の日々の学習状況の把握までも行う」という作用を奏することはできない
してみると、「学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)が生徒に対する指導者からのフォローが必要と判断される条件に合致するとき、条件に合致した生徒側情報端末情報、条件に合致した学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)、及び/又は合致した条件を指導推奨情報(6)として指導者側情報端末(1)のみに送信」する本件発明1は、本件発明の課題解決手段を反映しておらず、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるとはいえない。

エ 上記イ及びウからみて、本件発明1は、本件明細書等の発明の詳細な説明に記載されておらず、また、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものでもない。
このため、本件発明1はサポート要件に適合しておらず、発明の詳細な説明に記載したものではない。

オ また、請求項2?5は請求項1に従属していることから、請求項1と同様な不備を内在する。

カ よって、本件の請求項1?5に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものではないため、本件の請求項1?5に係る発明の特許は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(3)取消理由3(明確性要件)について
ア 特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。
そのため、本件発明に係る特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否か検討する。

イ 請求項1に係る発明には、「条件に合致した生徒側情報端末情報、条件に合致した学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)、及び/又は合致した条件を指導推奨情報(6)として指導者側情報端末(1)に送信し」との事項が記載されているところ、該記載では、「指導推奨情報(6)として指導者側情報端末(1)に送信」する情報が如何なる情報であるのか不明である。
すなわち、該記載では、「指導推奨情報(6)として指導者側情報端末(1)に送信」される情報が、「条件に合致した生徒側情報端末情報」、「条件に合致した学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)」及び「合致した条件」の3つの情報である、「条件に合致した生徒側情報端末情報」又は「条件に合致した学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)」と「合致した条件」の2つの情報である、「条件に合致した生徒側情報端末情報」と「条件に合致した学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)」の2つの情報である、或いは、「条件に合致した生徒側情報端末情報」、「条件に合致した学習情報(5)又は集計された学習情報(5’)」又は「合致した条件」の何れか1つの情報であるとの複数の解釈が可能であることから、「指導推奨情報(6)として指導者側情報端末(1)に送信」する情報が如何なる情報であるのか不明である。
そして、本件発明1において、「指導推奨情報(6)として指導者側情報端末(1)に送信」する情報が不明であるならば、発明の技術的範囲が特定できないことから、第三者の利益が不当に害されることは明らかである。

ウ 以上のとおり、請求項1の記載は第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であると認められる。
また、請求項2?5に係る発明は請求項1を引用していることから、請求項1に係る発明と同様な不備を内在する。

エ よって、本件の請求項1?5の記載は不明確であるため、本件の請求項1?5に係る発明の特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。



6 むすび
以上のとおりであるから、令和元年8月1日付けでした手続補正は当初明細書等の記載の範囲内においてしたものではないから、本件の請求項1?5に係る発明の特許は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。
また、本件の請求項1?5に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものではないため、本件の請求項1?5に係る発明の特許は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
さらに、本件の請求項1?5の記載は不明確であるため、本件の請求項1?5に係る発明の特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

したがって、本件の請求項1?5に係る発明の特許は、特許法第113条第1項及び同条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

よって、結論のとおり決定する。


 
異議決定日 2020-12-23 
出願番号 特願2019-76200(P2019-76200)
審決分類 P 1 651・ 537- Z (G06Q)
P 1 651・ 561- Z (G06Q)
最終処分 取消  
前審関与審査官 山本 雅士  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 佐藤 聡史
岡 裕之
登録日 2019-12-13 
登録番号 特許第6627068号(P6627068)
権利者 スタディプラス株式会社
発明の名称 学習管理システム  
代理人 鍛冶澤 實  
代理人 江崎 光史  
代理人 中村 真介  
代理人 篠原 淳司  

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