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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1372537
審判番号 不服2020-10186  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-20 
確定日 2021-04-20 
事件の表示 特願2019-502638「近隣UEの支援によるロバストなマルチキャスト、SC-PTM及びブロードキャスト配信」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 2月 1日国際公開、WO2018/022854、令和 1年10月10日国内公表、特表2019-528593、請求項の数(19)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)7月27日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2016年7月28日 米国(US))を国際出願日とするものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 2年 1月 9日付け 拒絶理由通知書
令和 2年 3月13日 意見書、手続補正書の提出
令和 2年 4月14日付け 拒絶査定
令和 2年 7月20日 拒絶査定不服審判の請求、
手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年4月14日付けの拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1-3、11-13、20-21
・引用文献等1-2

・請求項4、9、14
・引用文献等1-3

・請求項5、15
・引用文献等1-2、4

・請求項6、16
・引用文献等1-2、5

・請求項8、18
・引用文献等1-2
・請求項10、19
・引用文献等1-2

<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2012/0327760号明細書
2.米国特許出願公開第2013/0089020号明細書
3.国際公開第2015/020379号
4.特表2010-514291号公報
5.特開2001-119332号公報

第3 審判請求時の補正の適否
審判請求時の補正は、補正前の請求項1に「前記第2のUE装置が前記パケットを再送信するか否かを自律的に決定することは、前記第2のUE装置が、他の装置が関与せずに、前記受信した再送信要求が所定の条件を満たすかどうかを判断し、当該判断に基づいて前記パケットを再送信するか否かを決定することを含む」という事項を追加するものであって、当該発明特定事項は、補正前の請求項1に記載の「前記第2のUE装置が、前記再送信要求の受信に応じて、前記パケットを再送信するか否かを自律的に決定すること」について限定するものである。
また、審判請求時の補正は、補正前の請求項11、20及び21に対しても、請求項1と同様の限定を行うものである。
さらに、審判請求時の補正は、補正前の請求項8及び18を削除し、それに伴って、補正前の請求項9ないし17及び19ないし21の項番及び請求項12ないし17及び19が引用する請求項の項番を整理するものである。
したがって、請求項1ないし7及び9ないし17及び19ないし21についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであり、請求項8及び18についての補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものであるから、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第5項の規定に適合する。
また、補正前の請求項1、11、20及び21に追加される各発明特定事項は、願書に最初に添付した明細書の段落【0035】-【0036】、【0042】に記載されているから、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。さらに、特許法第17条の2第4項の規定に違反するところはない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし19に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、特許法第17条の2第6項で準用する特許法第126条第7項の規定にも適合する。

第4 本願発明
本願請求項1ないし19に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明19」という。)は、令和2年7月20日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
第1のユーザ機器(UE)装置が、基地局がブロードキャスト又はマルチキャストにより送信するパケットを受信することと、
前記第1のUE装置が、前記パケットを復号することを試行することと、
前記第1のUE装置が、前記パケットを復号することを試行することが失敗したことに応じて前記パケットの再送信要求を送信することと、
第2のUE装置が、前記第1のUE装置から前記再送信要求を受信することと、
前記第2のUE装置が、前記再送信要求の受信に応じて、前記パケットを再送信するか否かを自律的に決定すること、
前記第2のUE装置が、前記パケットを再送信することを自律的に決定した場合、第1の端末間(D2D)通信リンクを介して前記第1のUE装置に前記パケットを再送信することと、
前記第1のUE装置が、前記第1のD2D通信リンクを介して第2のUE装置から前記パケットの再送信を受信することと、を含み、
前記第2のUE装置が前記パケットを再送信するか否かを自律的に決定することは、前記第2のUE装置が、他の装置が関与せずに、前記受信した再送信要求が所定の条件を満たすかどうかを判断し、当該判断に基づいて前記パケットを再送信するか否かを決定することを含む方法。
【請求項2】
前記再送信要求が、D2D送信を介して送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記D2D送信が、D2D発見送信とD2D通信リンクを介したD2D送信とのうちの少なくとも一方を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のUE装置がIDLE状態にある間に前記D2D送信が行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記再送信要求が、再送信される前記パケットのパケット識別子、UE識別子(UE ID)、近傍サービス識別子(ProSe ID)、再送信のためのD2Dリソース位置、及びグループ識別子のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のUE装置が前記パケットを再送信するか否かを自律的に決定することは、前記第2のUE装置が、受信された前記再送信要求の信号強度を閾値と比較し、前記信号強度が前記閾値を超える場合に、前記パケットを再送信することを決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のUE装置が前記パケットを再送信するか否かを自律的に決定することは、前記第2のUE装置が、前記再送信要求が再送信時間ウィンドウ内で受信されたかどうかを判定し、前記再送信要求が前記再送信時間ウィンドウ内で受信された場合に、前記パケットを再送信することを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のUE装置がIDLE状態にある間に前記再送信が行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のUE装置が、第2のD2D通信リンクを介して第3のUE装置から前記パケットの再送信を受信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
システムであって、
第1のユーザ機器(UE)装置と、第2のUE装置とを備え、
前記第1のUE装置は、
基地局がブロードキャスト又はマルチキャストにより送信するパケットを受信する受信部と、
前記パケットを復号する制御部と、
前記パケットを復号することを試行することが失敗したことに応じて再送信要求を送信する送信部と、を含み、
第2のUE装置は、
前記第1のUE装置から前記再送信要求を受信する受信部と、
前記再送信要求の受信に応じて、前記パケットを再送信するか否かを自律的に決定する制御部と、
前記パケットを再送信することを自律的に決定した場合、第1の端末間(D2D)通信リンクを介して前記第1のUE装置に前記パケットを再送信する送信部と、を含み、
前記第1のUE装置の前記受信部が、第1のD2D通信リンクを介して第2のUE装置から前記パケットの再送信を受信し、
前記第2のUE装置の前記制御部は、他の装置が関与せずに、前記受信部が受信した再送信要求が所定の条件を満たすかどうかを判断し、当該判断に基づいて前記パケットを再送信するか否かを決定する、システム。
【請求項11】
前記再送信要求が、D2D送信を介して送信される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記D2D送信が、D2D通信リンクを介したD2D送信とD2D発見送信とのうちの少なくとも一方を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のUE装置がIDLE状態にある間に前記D2D送信が行われる、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記再送信要求が、再送信される前記パケットのパケット識別子、UE識別子(UE ID)、近傍サービス識別子(ProSe ID)、再送信のためのD2Dリソース位置、及びグループ識別子のうちの1つ又は複数を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2のUE装置の前記制御部は、受信された前記再送信要求の信号強度を閾値と比較し、前記信号強度が前記閾値を超える場合に、前記第1のD2D通信リンクを介して前記第1のUE装置に前記パケットを再送信することを決定する、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2のUE装置の前記制御部は、前記再送信要求が再送信時間ウィンドウ内で受信されたかどうかを判定し、前記再送信要求が前記再送信時間ウィンドウ内で受信された場合に、前記パケットを再送信することを決定する、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1のUE装置の前記受信部が、第2のD2D通信リンクを介して第3のUE装置から前記パケットの再送信を受信するように更に構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
ユーザ機器(UE)装置であって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
基地局がブロードキャスト又はマルチキャストにより送信するパケットを受信する処理と、
前記パケットの再送信要求を他のUE装置から受信する処理と、
前記パケットの再送信要求の受信に応じて、前記パケットを前記他のUE装置に再送信するか否かを自律的に決定する処理と、
前記パケットを再送信することを自律的に決定した場合、端末間(D2D)通信リンクを介して前記他のUE装置に前記パケットを再送信する処理と、を実行し、
前記パケットを前記他のUE装置に再送信するか否かを自律的に決定する処理は、他の装置が関与せずに、前記受信した再送信要求が所定の条件を満たすかどうかを判断し、当該判断に基づいて前記パケットを再送信するか否かを決定する処理を含む、UE装置。
【請求項19】
ユーザ機器(UE)装置を制御するプロセッサであって、
基地局がブロードキャスト又はマルチキャストにより送信するパケットを受信する処理と、
前記パケットの再送信要求を他のUE装置から受信する処理と、
前記パケットの再送信要求の受信に応じて、前記パケットを前記他のUE装置に再送信するか否かを自律的に決定する処理と、
前記パケットを再送信することを自律的に決定した場合、端末間(D2D)通信リンクを介して前記他のUE装置に前記パケットを再送信する処理と、を実行し、
前記パケットを前記他のUE装置に再送信するか否かを自律的に決定する処理は、他の装置が関与せずに、前記受信した再送信要求が所定の条件を満たすかどうかを判断し、当該判断に基づいて前記パケットを再送信するか否かを決定する処理を含む、プロセッサ。」

第5 引用例の記載事項及び引用発明
1.引用例1について
原査定の拒絶理由で引用された米国特許出願公開第2012/0327760号明細書(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

(1)「[0049] All the D2D cluster devices can be pre-ordered. Then, an eNodeB can multicast the data packet to the D2D cluster. Each cluster device and cluster head decodes the received packet. If decoding is successful, the decision is ACK; otherwise, the decision is NACK. If the decision is NACK for a particular cluster device, the cluster device with packet error sends NACK via D2D link. The cluster head and cluster devices with decision ACK, i.e. with a correctly received packet, listen. The cluster head can categorize the overall decoding result of all the devices into one of the four cases above, and can send a message indicative of the overall receiving status representing the cluster via cellular link. The eNodeB and all the cluster devices can listen to the cluster head's message.」
(当審仮訳:
[0049] 全てのD2Dクラスタデバイスは、事前に設定され得る。次いで、eNodeBは、D2Dクラスタにデータパケットをマルチキャストすることができる。各クラスタデバイス及びクラスタヘッドは、受信したパケットを復号する。復号が成功した場合には、決定はACKである;そうでなければ、決定はNACKである。決定が特定のクラスタデバイスにとってNACKである場合、パケットエラーのあるクラスタデバイスは、D2Dリンクを介してNACKを送信する。決定がACK、即ち正しくパケットが受信できた場合クラスタヘッドとクラスタデバイスは聴取する。クラスタヘッドは、全てのデバイスの全体的な復号結果を上記4つのケースのうちのいずれかに分類し、セルラーリンクを介してクラスタを表す全体的な受信状態を示すメッセージを送信することができる。eNodeBと全てのクラスタは、クラスタヘッドのメッセージを聴取することができる。)

(2)「[0053] Case 3 Self_ACK. In this case, the D2D cluster head receives the packet successfully, but at least one cluster device receives the packet unsuccessfully, as illustrated in FIG. 5. The cluster devices which have received the packet with a packet error send a NACK via the D2D link. Cluster devices that received the packet successfully, as well as the cluster head listen. Then the cluster head sends a Self_ACK via a cellular link. The eNodeB and all the cluster devices listen. In response, the eNodeB releases the storage buffer and permits the cluster devices to handle the retransmission. The cluster head can retransmit the packet and the NACKed devices can listen via the D2D link.」
(当審仮訳:
[0053] ケース3 Self_ACK。この場合、D2Dクラスタヘッドは、パケットを正常に受信するが、図5に示されるように、少なくとも1つのクラスタデバイスがパケットを正常に受信しない。パケットエラーのあるパケットを受信したクラスタデバイスは、D2Dリンクを介してNACKを送信する。パケットを正常に受信したクラスタデバイスと、クラスタヘッドが聴取する。次に、クラスタヘッドは、セルラーリンクを介してSelf_ACKを送信する。eNodeBと全てのクラスタデバイスが聴取する。それに応答して、eNodeBは、ストレージバッファを解放し、クラスタデバイスが再送信を処理することを許可する。クラスタヘッドはパケットを再送信することができ、NACKされたデバイスは、D2Dリンクを介して聴取することができる。)

(3)「[0065] FIG. 7 illustrates a method according to an embodiment of the present invention. As shown in FIG. 7, the method can include receiving 710 at a cluster head, either successfully or unsuccessfully, a multicast/broadcast packet from a base station. The term “receive” here does not require a successful reception, without packet errors, but also includes a reception in which the packet cannot be decoded. The method can also include monitoring 720, at the cluster head, to detect whether any members of a cluster of the cluster head responds to the multicast/broadcast packet with a negative acknowledgment (for example, a NACK) directed to the cluster head. The method of FIG. 7 further includes, when a result of the monitoring is no detection of any negative acknowledgments, and the cluster head successfully received the multicast/broadcast packet, sending 730, by the cluster head, a general acknowledgment of the multicast/broadcast packet to the base station. The general acknowledgment can be an ACK_ALL message.」
(当審仮訳:
[0065] 図7は、本発明の一実施形態による方法を示す。図7に示すように、この方法は、成功あるいは失敗のいずれかで、基地局からマルチキャスト/ブロードキャストパケットをクラスタヘッドで受信すること710を含むことができる。ここで「受信」という用語は、パケットエラーなしの正常な受信を必要とせず、また、パケットが復号できない受信を含む。この方法は、また、クラスタヘッドで、クラスタヘッドのクラスタのいずれかのメンバが、クラスタヘッドに向けられた否定応答(たとえば、NACK)でマルチキャスト/ブロードキャストパケットに応答するかどうかを検出するための監視720を含むことができる。図7の方法はさらに、監視の結果が否定応答の検出ではなく、クラスタヘッドがマルチキャスト/ブロードキャストパケットを正常に受信した場合、クラスタヘッドによって、基地局へマルチキャスト/ブロードキャストパケットの確認応答を送信すること730を含む。一般的な肯定応答は、ACK_ALLメッセージとすることができる。)

(4)「[0069] FIG. 9 illustrates a method according to an embodiment of the present invention. The method includes receiving 910, at a cluster member, either successfully or unsuccessfully, a multicast/broadcast packet from a base station. Again, the term “receive” is not limited to successful reception. The method also includes monitoring 920, at the cluster member, to determine whether another cluster member responds to a cluster head with a negative acknowledgment. If the packet was not received correctly, the method can include sending 925 a negative acknowledgment to the cluster head, using a D2D communication link. The method further includes monitoring 930, at the cluster member, to determine what kind of acknowledgment the cluster head uses to respond to the base station, wherein the kind is one kind selected from a general affirmative acknowledgment, a general negative acknowledgment, a specific affirmative acknowledgment, or a specific negative acknowledgment.」
(当審仮訳:
[0069] 図9は、本発明の一実施形態による方法を示す図である。この方法は、基地局910、クラスタメンバ、成功あるいは失敗のいずれかで、マルチキャスト/ブロードキャストパケットを受信することを含む。繰り返すが、「受信」という用語は、正常な受信に限定されるものではない。この方法はまた、クラスタメンバで、他のクラスタメンバが否定応答でクラスタヘッドに応答するかどうかを決定するための監視920を含む。パケットが正しく受信されなかった場合、この方法は、D2D通信リンクを使用して、クラスタヘッドに否定応答を送信すること925を含むことができる。この方法はさらに、クラスタメンバで、クラスタヘッドが基地局に応答するために使用する確認応答の種類を決定するための監視930を含み、その種類は、一般的な肯定応答、一般的な否定応答、特定の肯定応答、または特定の否定応答から選択される1つの種類である。)

(5)「



引用例1の上記記載、及びこの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記(1)の「eNodeBは、D2Dクラスタにデータパケットをマルチキャストすることができる。各クラスタデバイス及びクラスタヘッドは、受信したパケットを復号する。」との記載によれば、引用例1では、クラスタデバイスが、eNodeBがマルチキャストするパケットを受信し、クラスタデバイスが、受信したパケットを復号する。

イ 上記(3)の「ここで「受信」という用語は、パケットエラーなしの正常な受信を必要とせず、また、パケットが復号できない受信を含む。」との記載によれば、受信したパケットを復号できない場合があり、上記(1)の「各クラスタデバイス及びクラスタヘッドは、受信したパケットを復号する。復号が成功した場合には、決定はACKである;そうでなければ、決定はNACKである。」との記載も合わせると、クラスタデバイスが、受信したパケットを復号できない場合、決定はNACKである。さらに、上記(1)の「決定が特定のクラスタデバイスのNACKである場合、パケットエラーのあるクラスタデバイスは、D2Dリンクを介してNACKを送信する。」との記載も合わせると、引用例1では、クラスタデバイスが、受信したパケットを復号できない場合、NACKを送信する。

ウ 上記(1)の「パケットエラーのあるクラスタデバイスは、D2Dリンクを介してNACKを送信する。決定がACK、即ち正しく受信されたパケットを持つクラスタヘッドとクラスタデバイスが聴取する。」との記載によれば、引用例1では、クラスタヘッドは、クラスタデバイスからNACKを受信することは明らかである。

エ 上記(2)の「eNodeBは、・・・クラスタデバイスが再送信を処理することを許可する。クラスタヘッドはパケットを再送信することができ、NACKされたデバイスは、D2Dリンクを介して聴取することができる。」との記載によれば、クラスタヘッドがパケットを再送信するのであるから、eNodeBが許可するクラスタデバイスとはクラスタヘッドを指すことは明らかであって、引用例1では、クラスタヘッドが、eNodeBからパケットを再送信する処理を許可される。

オ 上記(2)の「クラスタヘッドはパケットを再送信することができ、NACKされたデバイスは、D2Dリンクを介して聴取することができる。」との記載によれば、クラスタヘッドが、D2Dリンクを介して、NACKされたデバイスにパケットを送信すること、また、NACKされたデバイスが、D2Dリンクを介してクラスタヘッドからパケットの再送信を受信することは明らかである。そして、NACKされたデバイスとは、上記「イ」で説示した内容と合わせれば、NACKを送信したクラスタデバイスであることも明らかである。そうすると、引用例1では、クラスタヘッドが、D2Dリンクを介してクラスタデバイスにパケットを再送信し、クラスタデバイスがD2Dリンクを介してクラスタヘッドからパケットの再送信を受信する。

カ 上記(2)の「D2Dクラスタヘッドは、パケットを正常に受信するが、図5に示されるように、少なくとも1つのクラスタデバイスがパケットを正常に受信しない。」との記載及び上記(5)のFigure 5によれば、クラスタデバイスがUE2であり、クラスタヘッドがUE3であることは明らかである。

以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「UE2であるクラスタデバイスが、eNodeBがマルチキャストするパケットを受信し、
クラスタデバイスが、受信したパケットを復号し、
クラスタデバイスが、受信したパケットを復号できない場合、NACKを送信し、
UE3であるクラスタヘッドは、クラスタデバイスからNACKを受信し、
クラスタヘッドが、eNodeBからパケットを再送信する処理を許可され、
クラスタヘッドが、D2Dリンクを介してクラスタデバイスにパケットを再送信し、
クラスタデバイスが、D2Dリンクを介してクラスタヘッドからパケットを受信する、方法。」

2.引用例2について
原査定の拒絶理由で引用された米国特許出願公開第2013/0089020号明細書(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

(1)「[0041]?An exemplary system is presented in FIG. 1 where the cellular downlink multicast/broadcast is enhanced by additional D2D direct communications among UEs/mobile devices. As shown in FIG. 1, several cellular mobile devices (for example, UE A, UE B and UE C denoted in FIG. 1) in the proximity of each other form a D2D cluster. Members of the D2D cluster are capable of communicating directly with each other. All the devices of this D2D cluster are interested in downloading the same data file from the cellular network. For this reason, the BS sends the same transport block to all the devices of the D2D cluster simultaneously by multicasting. Due to the independent fading of the downlink channels, some UEs/devices of D2D cluster (such as UE A, which are defined as ACK UEs/devices herein), can decode the transport block successfully whereas others (such as UE B and UE C, which are defined as NACK UEs/devices herein) may not. To allow ACK devices to retransmit the current transport block to NACK devices over D2D direct links can increase the efficiency of cellular radio resource usage and also reduce the system delay. Here it is assumed that the radio resource for intra-cluster D2D communications, for example retransmissions, is guaranteed by the BS from the resource for the main cellular system operation, and the orthogonal resource usage of D2D and cellular communications may be provided.
[0042]?One approach of enabling the intra-cluster D2D retransmission is that all of the ACK devices in a cluster participate in the D2D local retransmission by sending the same data on the same resource. However, so many devices participate in the D2D local retransmission is a waste of resource and battery life. In addition, it is very hard to design a good link adaptation for the D2D retransmission in this scheme because Channel Quality Information (CQI) of links connecting all ACK devices and all NACK devices should be feedback to the BS, which is a heavy burden of the system.」
(当審仮訳:
[0041] 例示的なシステムは、図1に示されているセルラーダウンリンクマルチキャスト/ブロードキャストは、UE/モバイル・デバイスの間の追加のD2D直接通信させることによって強化される。図1に示すように、互いに近接したいくつかのセルラーモバイルデバイス(例えば、図1に示されるUE A、UE B及びUE C)は、D2Dクラスタを形成する。D2Dクラスタのメンバは、互いと直接通信することができる。このD2Dクラスタの全てのデバイスは、セルラーネットワークから同じデータファイルをダウンロードすることに興味を持っている。このため、BSは、マルチキャストにより同時に同じトランスポートブロックをD2Dクラスタの全てのデバイスに送信する。ダウンリンクチャネルの独立したフェージングに起因して、D2DクラスタのいくつかのUE/デバイス(ここでは、ACK UE/デバイスとして定義されているUE Aなど)は、トランスポートブロックを正常に復号できるが、他のUE/デバイス(ここでは、NACK UE/デバイスとして定義されているUE B及びUE Cなど)は、復号できない場合がある。ACKデバイスがD2D直接リンクを介して現在のトランスポートブロックをNACKデバイスに再送信できるようにすると、セルラー無線リソースの使用効率が向上し、システム遅延が減少する。ここでは、例えば、再送信などのクラスタ内D2D通信用の無線リソースは、セルラーシステムオペレーションのリソースからBSによって保証されていることを想定しており、D2D通信及びセルラー通信の直交リソースが提供されてもよい。
[0042]?クラスタ内D2D再送信を可能にする1つのアプローチは、クラスタ内の全てのACKデバイスが、同じリソース上で同じデータを送信することにより、D2Dローカル再送に関与することである。しかし、このような多くのデバイスがD2Dローカル再送に関与することは、リソース及びバッテリ寿命の浪費である。さらに、全てのACKデバイスと全てのNACKデバイスを接続するリンクのチャネル品質情報(CQI)は、BSにフィードバックする必要があるため、これはシステムの大きな負担であり、このスキームでD2D再送のための良好なリンクアダプテーションを設計することは非常に困難である。)

(2)「



上記記載によれば、引用例2には、「BSは、マルチキャストにより同時に同じトランスポートブロックをD2Dクラスタの全てのデバイスに送信し、D2DクラスタのいくつかのUE/デバイスは、トランスポートブロックを正常に復号でき、他のUE/デバイスは、復号できない場合があり、ACKデバイスがD2D直接リンクを介して現在のトランスポートブロックをNACKデバイスに再送信できる」という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用例3について
原査定の拒絶理由で引用された国際公開第2015/020379号(以下、「引用例3」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)
「[0124] FIG. 10 shows an example of a method for starting a D2D operation according to an embodiment of the present invention. It is assumed that the UE supports ProSe, and the UE is configured for one or more ProSe group by the network or the server.
[0125] Referring to FIG. 10, in step S100, the UE starts a D2D operation if at least one of conditions is satisfied. The UE may start the D2D operation immediately or after a specific time. The specific time may be configured by the network. The conditions may be at least one of followings.
[0126] - When the UE detects radio link failure or handover failure
[0127] - When RRC connection re-establishment procedure fails
[0128] - When any cell is not detected (e.g., for a certain time period configured by the network)
[0129] - When no suitable cell is found (e.g., for a certain time period configured by the network)
[0130] - When neither acceptable cell nor suitable cell is found (e.g., for a certain time period configured by the network)
[0131] - When RRC connection release is received (e.g., the RRC connection release may indicate starting D2D operation)
[0132] - When the UE enters RRC_IDLE.」
(当審仮訳:
[0124] 図10は、本発明の一実施形態によるD2D動作を開始するための方法の一例を示している。UEはProSeをサポートし、UEはネットワークまたはサーバによって1つ以上のProSeグループ用に構成されていると想定される。
[0125] 図10を参照すると、ステップS100において、UEは、条件のうちの少なくとも1つが満たされる場合、D2D動作を開始する。UEは、D2D動作を直ちにまたは特定の時間の後に開始することができる。特定の時間は、ネットワークによって構成される。条件は、以下の少なくとも1つであってよい。
[0126] -UEが無線リンク障害またはハンドオーバー障害を検出したとき
[0127] -RRC接続再確立手順が失敗した場合
[0128] -セルが検出されない場合(例えば、ネットワークによって構成された特定の期間)
[0129] -適切なセルが見つからない場合(例えば、ネットワークによって構成された特定の期間)
[0130] -許容可能なセルも適切なセルも見つからない場合(例えば、ネットワークによって構成された特定の期間)
[0131] -RRC接続解放が受信されたとき(例えば、RRC接続解放は、D2D動作の開始を示し得る)
[0132] -UEがRRC_IDLEに入るとき。)

「[0134] The D2D operation may contain one or more of followings.
[0135] - Monitoring D2D discovery message
[0136] - Transmitting D2D discovery message
[0137] - Monitoring D2D communication message
[0138] - Transmitting D2D communication message」
(当審仮訳:
[0134] D2D動作には、次の1つ以上が含まれる場合がある。
[0135] -D2D発見メッセージの監視
[0136] -D2D発見メッセージの送信
[0137] -D2D通信メッセージの監視
[0138] -D2D通信メッセージの送信」

上記記載によれば、引用例3には、「UEは、条件のうちの少なくとも1つが満たされる場合、D2D動作を開始し、条件はUEがRRC_IDLEに入るときであってよく、D2D動作には、D2D通信メッセージの送信が含まれる」という技術的事項が記載されていると認められる。

4.引用例4について
原査定の拒絶理由で引用された特表2010-514291号公報(以下、「引用例4」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「【0059】
ACK/NACKシグナリングを受信するエンティティの識別
どのACK/NACK信号がどのデータ・パケットに対応するかを確実に識別するためには、一つの可能性はACK/NACKに識別子を付加することである。この識別子は、好ましくは、ユーザ装置識別子(UE-ID)またはグループ識別子(G-ID)である。データ・パケットは、通常、単一のUEまたはUEのグループに向けて送信されるので、UE-IDまたはG-IDは、目標のUEを、ひいては該当するデータ・パケットを明確に指定するために使用可能である。」

上記記載によれば、引用例4には、「ACK/NACKに識別子を付加すること、識別子は、ユーザ装置識別子(UE-ID)またはグループ識別子(G-ID)である」という技術的事項が記載されていると認められる。

5.引用例5について
原査定の拒絶理由で引用された特開2001-119332号公報(以下、「引用例5」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

(1)「【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の無線通信装置は、再送要求信号の受信電力を測定する受信電力測定手段と、測定された受信電力に基づいてユーザデータを再送するか否かを判断する再送制御手段と、送信したユーザデータを一時的に保存し、前記再送制御手段の制御に基づいて再送要求があったユーザデータを再送する送信手段とを具備する構成を採る。
【0014】本発明の無線通信装置は、再送制御手段が、再送要求信号の受信電力が閾値より大きい場合にユーザデータを再送する必要があると判断する構成を採る。」

(2)「【0027】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態は、親局から複数の子局に同一データを同時に送信する無線マルチキャストデータ転送方法に関するものであるが、図1では説明を簡単にするために子局を1つのみ記載する。
【0028】図1の親局100において、受信部102は、アンテナ101に受信された信号に対して周波数変換、増幅、復調等の処理を行う。受信バッファ103は、受信部102から出力されたユーザデータを一時的に保存した後に出力する。
【0029】受信電力検出部104は、アンテナ101に受信された信号の受信電力を測定し、測定結果を再送制御部105に出力する。
【0030】再送制御部105は、受信電力検出部104にて測定された受信電力から再送要求の有無を判断し、送信バッファ106に対して、再送要求があったユーザデータの再送を指示する。具体的には、受信電力が0でない場合に再送要求が有ったと判断する。
【0031】送信バッファ106は、ユーザデータを一時的に保存し、再送制御部105の指示に基づいて送信すべきユーザデータを出力する。送信部107は、送信バッファ106から出力されたユーザデータに対して、変調、増幅、周波数変換等の処理を行ってアンテナ101から無線送信する。」

(3)「【図1】



上記記載によれば、引用例5には、「親局100において、再送制御部105は、受信電力検出部104にて測定された受信電力から再送要求の有無を判断し、送信バッファ106に対して、再送要求があったユーザデータの再送を指示し、具体的には、受信電力が0でない場合に再送要求が有ったと判断し、送信バッファ106は、ユーザデータを一時的に保存し、再送制御部105の指示に基づいて送信すべきユーザデータを出力し、送信部107は、送信バッファ106から出力されたユーザデータを無線送信する」という技術的事項が記載されていると認められる。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
本願発明1と引用発明1とを対比する。

(1)引用発明1の「クラスタデバイス」はUE2であるから、本願発明1の「第1のユーザ機器(UE)装置」に相当し、引用発明1の「eNodeB」は、本願発明1の「基地局」に相当する。そうすると、引用発明1の「UE2であるクラスタデバイスが、eNodeBがマルチキャストするパケットを受信し」は、本願発明1の「第1のユーザ機器(UE)装置が、基地局がブロードキャスト又はマルチキャストにより送信するパケットを受信すること」に含まれる。

(2)引用発明1では、受信したパケットが復号できない場合があるから、「クラスタデバイスが、受信したパケットを復号し」とは、受信したパケットの復号を試みることであって、本願発明1の「前記第1のUE装置が、前記パケットを復号することを試行すること」に相当する。

(3)引用発明1の「NACK」は、本願発明1の「再送信要求」に相当する。また、受信したパケットが復号できないとは、受信したパケットの復号を試みたが失敗したことであるは明らかであって、引用発明1の「クラスタデバイスが、受信したパケットを復号できない場合、NACKを送信し」は、本願発明1の「前記第1のUE装置が、前記パケットを復号することを試行することが失敗したことに応じて前記パケットの再送信要求を送信すること」に相当する。

(4)引用発明1の「クラスタヘッド」は、UE3であるから、本願発明1の「第2のUE装置」に相当する。そうすると、引用発明1の「UE3であるクラスタヘッドは、クラスタデバイスからNACKを受信し」は、本願発明1の「第2のUE装置が、前記第1のUE装置から前記再送信要求を受信すること」に相当する。

(5)引用発明1では、クラスタヘッドは、クラスタデバイスからNACKを受信し、eNodeBによりパケットを再送信する処理を許可されるから、パケットを再送信する処理の許可は、NACKの受信に応じたものであるといえる。また、クラスタヘッドが、パケットを再送信するか否かをeNodeBの許可により決定することは明らかである。そうすると、引用発明1の「UE3であるクラスタヘッドは、クラスタデバイスからNACKを受信し」及び「クラスタヘッドが、eNodeBからパケットを再送信する処理を許可され」と、本願発明1の「前記第2のUE装置が、前記再送信要求の受信に応じて、前記パケットを再送信するか否かを自律的に決定すること」とは、「前記第2のUE装置が、前記再送信要求の受信に応じて、前記パケットを再送信するか否かを決定すること」という点で共通する。

(6)引用発明1では、パケットはD2Dリンクを介して再送信されるのであるから、引用発明1「D2Dリンク」が通信リンクであることは明らかであって、本願発明1の「第1の端末間(D2D)通信リンク」に相当する。また、上記(5)で説示したように引用発明1のクラスタヘッドがパケットを再送信するか否か決定するのであるから、パケットの再送信は、クラスタヘッドがパケットを再送信する決定した場合に行われることは明らかである。そうすると、引用発明1の「クラスタヘッドが、D2Dリンクを介してクラスタデバイスにパケットを再送信し」と、本願発明1の「前記第2のUE装置が、前記パケットを再送信することを自律的に決定した場合、第1の端末間(D2D)通信リンクを介して前記第1のUE装置に前記パケットを再送信すること」とは、「前記第2のUE装置が、前記パケットを再送信することを決定した場合、第1の端末間(D2D)通信リンクを介して前記第1のUE装置に前記パケットを再送信すること」という点で共通する。

(7)引用発明1の「クラスタデバイスが、D2Dリンクを介してクラスタヘッドからパケットを受信する」ことは、本願発明1の「前記第1のUE装置が、前記第1のD2D通信リンクを介して第2のUE装置から前記パケットの再送信を受信すること」に相当する。

以上のことから、本願発明1と引用発明1との一致点および相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「 第1のユーザ機器(UE)装置が、基地局がブロードキャスト又はマルチキャストにより送信するパケットを受信することと、
前記第1のUE装置が、前記パケットを復号することを試行することと、
前記第1のUE装置が、前記パケットを復号することを試行することが失敗したことに応じて前記パケットの再送信要求を送信することと、
第2のUE装置が、前記第1のUE装置から前記再送信要求を受信することと、
前記第2のUE装置が、前記再送信要求の受信に応じて、前記パケットを再送信するか否かを決定すること、
前記第2のUE装置が、前記パケットを再送信することを決定した場合、第1の端末間(D2D)通信リンクを介して前記第1のUE装置に前記パケットを再送信することと、
前記第1のUE装置が、前記第1のD2D通信リンクを介して第2のUE装置から前記パケットの再送信を受信することと、を含む方法。」

(相違点)
パケットを再送信するか否かの決定について、本願発明1では、「第2のUE装置」が、「自律的に決定する」ものであり、「前記第2のUE装置が前記パケットを再送信するか否かを自律的に決定することは、前記第2のUE装置が、他の装置が関与せずに、前記受信した再送信要求が所定の条件を満たすかどうかを判断し、当該判断に基づいて前記パケットを再送信するか否かを決定することを含む」のに対し、引用発明1では、当該発明特定事項が特定されていない点。

上記相違点について検討すると、本願発明1の相違点の発明特定事項のうち「前記受信した再送信要求が所定の条件を満たすかどうかを判断し、当該判断に基づいて前記パケットを再送信するか否かを決定する」点が、引用例2ないし5に記載も示唆もされておらず、当該技術分野において周知技術であるともいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用例2ないし5のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

2.本願発明2ないし9について
本願発明2ないし9は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用例2ないし5のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明10ないし17について
本願発明10ないし17は、本願発明1の上記相違点の発明特定事項と対応する「前記第2のUE装置の前記制御部は、他の装置が関与せずに、前記受信部が受信した再送信要求が所定の条件を満たすかどうかを判断し、当該判断に基づいて前記パケットを再送信するか否かを決定する」という発明特定事項を備えるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用例2ないし5のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.本願発明18及び19について
本願発明18及び19は、本願発明1の上記相違点の発明特定事項と対応する「前記パケットを前記他のUE装置に再送信するか否かを自律的に決定する処理は、他の装置が関与せずに、前記受信した再送信要求が所定の条件を満たすかどうかを判断し、当該判断に基づいて前記パケットを再送信するか否かを決定する処理を含む」という発明特定事項を備えるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用例2ないし5のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定について
本願発明1ないし19は、上記「第6」の「1.」ないし上記「第6」の「4.」のとおり、当業者であっても、原査定において引用された引用例1に記載された発明及び引用例2ないし5のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし19は、当業者が引用例1に記載された発明及び引用例2ないし5のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-03-30 
出願番号 特願2019-502638(P2019-502638)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 ▲高▼木 裕子  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 永田 義仁
望月 章俊
発明の名称 近隣UEの支援によるロバストなマルチキャスト、SC-PTM及びブロードキャスト配信  
代理人 キュリーズ特許業務法人  
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