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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1372626
審判番号 不服2019-11699  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-05 
確定日 2021-03-31 
事件の表示 特願2017-145115「太陽電池及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月29日出願公開、特開2018- 50032〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年7月27日(パリ条約による優先権主張 2016年9月19日、大韓民国(2件)、2017年1月13日、大韓民国、2017年1月25日、大韓民国)の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。

平成30年 7月24日付け:拒絶理由通知書
平成30年11月14日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 5月16日付け:拒絶査定(原査定)
令和 元年 9月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 2年 1月23日 :上申書の提出

第2 令和元年9月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和元年9月5日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。

「【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の一面上に形成され、誘電物質で構成される制御パッシベーション膜と、
前記制御パッシベーション膜上に形成され、第1導電型を有する第1導電型領域及び前記第1導電型と反対の第2導電型を有する第2導電型領域を有する半導体層と、を有し、
前記半導体基板は、前記第1導電型領域に対応する部分で部分的に前記制御パッシベーション膜に隣接して形成され、前記第1導電型領域より低いドーピング濃度を有する第1拡散領域と、前記第2導電型領域に対応する部分で部分的に前記制御パッシベーション膜に隣接して形成される第2拡散領域と、前記第1拡散領域と前記第2拡散領域との間に位置するアンドープバリア領域と、を有し、
前記半導体基板は、前記第2導電型を有するベース領域を有し、
前記第2拡散領域の厚さは、前記第1拡散領域の厚さより大きく、
前記制御パッシベーション膜は、前記第1導電型領域と前記第1拡散領域との間に部分的に位置する第1ドーピング部分と、前記第2導電型領域と前記第2拡散領域との間に部分的に位置する第2ドーピング部分と、前記第1ドーピング部分と前記第2ドーピング部分との間に位置して前記アンドープバリア領域に対応するアンドープ部分と、を有する、太陽電池。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成30年11月14日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の一面上に形成され、誘電物質で構成される制御パッシベーション膜と、
前記制御パッシベーション膜上に形成され、第1導電型を有する第1導電型領域及び前記第1導電型と反対の第2導電型を有する第2導電型領域を有する半導体層と、を有し、
前記半導体基板は、前記第1導電型領域に対応する部分で部分的に前記制御パッシベーション膜に隣接して形成され、前記第1導電型領域より低いドーピング濃度を有する第1拡散領域及び前記第2導電型領域に対応する部分で部分的に前記制御パッシベーション膜に隣接して形成される第2拡散領域を有し、
前記半導体基板は、前記第2導電型を有するベース領域を有し、
前記第2拡散領域の厚さは、前記第1拡散領域の厚さより大きい、太陽電池。」

2 新規事項の追加について
本件補正は、請求項1、10に係る発明を特定する事項である「半導体基板」について、「前記第1拡散領域と前記第2拡散領域との間に位置するアンドープバリア領域と、」を有しとの限定を付加し、請求項1、10に係る発明を特定する事項である「制御パッシベーション膜」について、「前記制御パッシベーション膜は、前記第1導電型領域と前記第1拡散領域との間に部分的に位置する第1ドーピング部分と、前記第2導電型領域と前記第2拡散領域との間に部分的に位置する第2ドーピング部分と、前記第1ドーピング部分と前記第2ドーピング部分との間に位置して前記アンドープバリア領域に対応するアンドープ部分と、を有する」との限定を付加するものを含むものである。

ここで、アンドープバリア領域とは、字句からして、ドーパントが全くドーピングされていない領域と解される。
そして、「半導体基板」が、「前記第1拡散領域と前記第2拡散領域との間に位置するアンドープバリア領域と、」を有することに関し、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「出願当初の明細書等」という。)の明細書、特許請求の範囲に、
「【請求項10】
前記半導体基板が前記第2導電型を有するベース領域を有し、
前記第2拡散領域の厚さが前記第1拡散領域の厚さより大きい、請求項8に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記半導体基板が前記第2導電型を有するベース領域を有し、
前記第1拡散領域及び前記第2拡散領域をこれらの厚さ方向に見るとき、前記第1拡散領域のドーピング濃度勾配の絶対値より前記第2拡散領域のドーピング濃度勾配の絶対値が小さい、請求項8に記載の太陽電池。」
「【0018】
半導体基板10は、第1又は第2導電型ドーパントを相対的に低いドーピング濃度で含みから第1又は第2導電型を有するベース領域110を含むことができる。一例として、ベース領域110は、第2導電型を有することができる。ベース領域110は、第1又は第2導電型ドーパントを含む結晶質半導体(例えば、単結晶又は多結晶半導体、一例として、単結晶又は多結晶シリコン、特に単結晶シリコン)で構成されることができる。このように結晶性が高くて、欠陥の少ないベース領域110又は半導体基板10をベースにした太陽電池100は、電気的特性が優れる。」
と記載されている(下線は、当審で付した。以下同様。)。

そうすると、半導体基板については、第1又は第2導電型ドーパントを含み、第1又は第2導電型を有するベース領域を含むことは、出願当初の明細書等に記載されているものの、「半導体基板」が、「前記第1拡散領域と前記第2拡散領域との間に位置するアンドープバリア領域と、」を有すること、つまり、ドーパントが全くドーピングされていない領域があることに関して、出願当初の明細書等には明示的な記載はない。
そして、「半導体基板」が、「前記第1拡散領域と前記第2拡散領域との間に位置するアンドープバリア領域と、」を有することは、当業者にとって自明な事項とも認められず、本件補正は、出願当初の明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定する要件を満たしていないものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3 独立特許要件について
上記2で説示したとおり、本件補正は新規事項の追加により却下すべきものであるが、仮に、「半導体基板」が、「前記第1拡散領域と前記第2拡散領域との間に位置するアンドープバリア領域と、」を有することが、半導体層の一部に第1導電型ドーパントをドーピングし、半導体層の他の一部に第2導電型ドーパントをドーピングしたときに、半導体層及び制御パッシベーション膜を通って、半導体基板まで到達した第1導電型ドーパント又は第2導電型ドーパントがない領域を、半導体基板が有することを意味し、結果として、新たな技術的事項を導入するものではないとした場合、本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるとして、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の最先の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、韓国公開特許第10-2015-0029202号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。




(当審訳:
請求項1
半導体基板、
前記半導体基板の上に形成されているトンネリング層、
前記半導体基板の上で、前記トンネリング層を挟んで位置する複数の部分を含む第1導電型領域、及び前記第1導電型領域に連結されている第1電極を含む、太陽電池。
請求項2
第1項において、
前記第1導電型領域は、前記半導体基板の内部または前記半導体基板の上に位置する第1部分と、前記トンネリング層と前記第1電極の間に位置する第2部分を含む、太陽電池。)




(当審訳:
請求項11
第1項において、
前記トンネリング層が、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸化窒化物、真性非晶質シリコン、真性多結晶シリコンのうち、少なくとも一つを含んでいる、太陽電池。)




(当審訳:
請求項17
第2項において、
前記第1導電型領域と反対の導電型を有する第2導電型領域と、前記第2導電型領域に連結される第2電極をさらに含んでおり、
前記第1及び第2導電型領域が、前記半導体基板の片面側にともに位置している、太陽電池。)




(当審訳:
[0034] 半導体基板(10)は、第1導電型不純物を低いドーピング濃度で含むベース領域(110)を含むことができる。そして、半導体基板(10)は、ベース領域(110)にドーピングされて形成される前面電界領域(120)及びドーピング領域(本実施例では図1の参照符号32a参照)を備えることができる。本実施例において、ドーピング領域は、導電型領域(32)の一部を構成する領域なのだが、これについては、後ほどもう少し詳細に説明する。
[0035] この時、ベース領域(110)は、一例として第1導電型不純物を含むシリコンを含むことができる。シリコンには単結晶シリコンが用いられてもよく、第1導電型不純物は、一例としてn型またはp型であってもよい。すなわち、第1導電型不純物として、5族元素であるリン(P)、ヒ素(As)ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)等のn型不純物を用いてもよい。または、第1導電型不純物として、3族元素であるホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In) 等のp型不純物を用いてもよい。)




(当審訳:
[0042] 半導体基板(10)の後面の上には、トンネリング層(20)が形成される。トンネリング層(20)によって半導体基板(10)の後面の界面特性を向上させることができ、生成されたキャリアはトンネル効果によって円滑に伝達されることが可能になる。このようなトンネリング層(20)は、キャリアがトンネリングすることができる多様な物質を含んでもよいが、一例として、酸化物、窒化物、半導体、伝導性高分子等を含んでもよい。例えば、トンネリング層(20)はシリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸化窒化物、真性非晶質シリコン、真性多結晶シリコン等を含んでもよい。この時、トンネリング層(20)は、半導体基板(10)の後面に全体的に形成してよい。これによって半導体基板(10)の後面を全体的にパシベーションすることができ、別途のパターニングなしに簡単に形成することができる。)




(当審訳:
[0044] そして、半導体基板(10)の上には、互いに反対の導電型を有する後面電界領域(34)及びエミッタ領域(32)が位置する。後面電界領域(34)は、ベース領域(110)と同一の第1導電型を有し、エミッタ領域(32)は、ベース領域(110)及び後面電界領域(34)と反対の第2導電型を有してもよい。)




(当審訳:
[0051] 半導体基板(10)の内部に位置する第1部分(32a)を低濃度に形成して、第1部分(32a)で発生しうる再結合(特に、オージェ再結合(Auger recombination))を最小化することができる。さらに、第1電極(42)と接触して第1電極(42)に連結されている第2部分(32b)を高濃度にして、第1電極(42)との接触抵抗を最小化することができる。)




(当審訳:
[0061] 上述したエミッタ領域(32)の第2部分(32b)と、後面電界領域(34)の第2部分(34b)は、トンネリング層(20)の上に位置した一つの半導体層に互いに異なる導電型不純物をドーピングすることによって形成してよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、エミッタ領域(32)の第2部分(32b)を構成する半導体層と、後面電界領域(34)の第2部分(34b)を構成する半導体層を、互いに別個に形成する等、多様な変形が可能である。
[0062] ここで、エミッタ領域(32)及び後面電界領域(34)の第2部分(32b、34b)の間に位置した半導体層は、バリア領域(36)によって互いに離隔されてもよい。これによって、エミッタ領域(32)及び後面電界領域(34)が互いに接触して発生しうる問題(例えば、シャント(shunt))等を防止することが可能である。
[0063] バリア領域(36)は、第2部分(32b、34b)の間で、これらを実質的に絶縁することができる多様な物質を含むことができる。すなわち、バリア領域(36)に、ドーピングされなかった(すなわち、アンドープ)絶縁物質(一例として、酸化物、窒化物)等を用いてもよい。さらに、バリア領域(36)が真性(intrinsic)半導体を含んでもよい。この時、導電型領域(32、34)とバリア領域(36)が同一平面上に形成されて、同一の半導体(一例として、非晶質シリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン)を含んでもよい。このような場合は、半導体物質を含む半導体層(図4cの参照符号30、以下同じ)を形成したのち、半導体層(30)の一部領域に第1導電型不純物をドーピングしてエミッタ領域(32)の第2部分(32b)を形成し、他の領域のうち一部に第2導電型不純物をドーピングして後面電界領域(34)の第2部分(34b)を形成し、これら第2部分(32b、34b)が形成されていない領域がバリア領域(36)を構成するようにすることによって製造される。すなわち、これによって、第2部分(32b、34b)及びバリア領域(36)の製造方法を単純化することが可能なのだが、これについては後ほど、製造方法において、もう少し詳細に説明する。)




(当審訳:
[0092] 続いて、図4cに図示したように、トンネリング層(20)の上に半導体層(30)を形成する。半導体層(30)は、微結晶質、非晶質、または多結晶半導体から構成されてもよい。半導体層(30)は、一例として、熱的成長法、蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(PECVD))等によって形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、多様な方法によって半導体層(30)が形成されてもよい。
[0093] 続いて、図4dないし図4gに図示したように、半導体層(30)にエミッタ領域(32)、後面電界領域(34)、及びバリア領域(36)を形成する。これをもう少し詳細に説明する。)




(当審訳:
[0103] 一例として、第1導電型不純物として5族元素であるリン(P)を用い、第2導電型不純物として3族元素であるホウ素(B)を用いる。ホウ素は半導体層(30)に拡散され、エミッタ領域(32)の第2部分(32b)を形成する。第2部分(32b)内のホウ素は、酸化物等で構成されたトンネリング層(20)の内部に拡散しようとする傾向が大きいため、トンネリング層(20)内のホウ素含量が大きくなる。そうすれば、半導体基板(10)とトンネリング層(20)の間の濃度差によって、ホウ素が半導体基板(10)内部へ拡散してエミッタ領域(32)の第1部分(32a)を形成する。これによって、第1部分(32a)内の第2導電型不純物と第2部分(32b)内の第2導電型不純物が互いに同一なホウ素として構成されることが可能である。反面、リンは酸化物等へ拡散しようとする傾向が小さいので、半導体層(30)内部に拡散されて半導体層(30)に後面電界領域(34)の第2部分(34b)を形成する。すなわち、本実施例では、導電型不純物として用いられるホウ素とリンの特性を用いて第1部分(32a)と第2部分(32b)を備えるエミッタ領域(32)を簡単に形成することができる。したがって、本実施例では、第1部分(32a)と第2部分(32b)を含むエミッタ領域(32)を形成するための別途の工程を追加しなくともよいので、製造工程を単純化することができる。
[0104] バリア部材(362)と隣接して、後面電界領域(34)とエミッタ領域(32)の間に位置する部分にはドーピングがなされていないので、半導体層(30)がそのまま残ってバリア領域(36)を構成するようになる。これによって、バリア領域(36)が後面電界領域(34)とエミッタ領域(32)の間に位置して、後面電界領域(34)とエミッタ領域(32)が離隔されて位置するようになる。)




(当審訳:
[0119] 図5を参照すれば、本実施例の太陽電池(100)では、後面電界領域(34)がトンネリング層(20)を挟んで位置する複数の部分を含むことができる。後面電界領域(34)は、トンネリング層(20)を挟んで位置する第1部分(34a)及び第2部分(34b)を含む。これによれば、後面電界領域(34)は、半導体基板(10)に相対的に低いドーピング濃度を有する第1部分(34a)と、トンネリング層(20)の上に第1部分(34a)に対応する位置で第1部分(34a)より高いドーピング濃度を有する第2部分(34b)を含む。そうすれば、第1部分(34a)の低いドーピング濃度によって再結合を効果的に防止しながらも、第2部分(34b)によって第2電極(44)との接触抵抗を効果的に低減することが可能である。
[0120] 後面電界領域(34)の第1及び第2部分(34a、34b)のドーピング濃度、厚さ等は、図1を参照して説明した実施例のエミッタ領域(32)の第1及び第2部分(32a、32b)のドーピング濃度、厚さ等とそれぞれ同一または類似しているので、これについての具体的な説明は省略する。
[0121] このような構造の太陽電池(100)は、第1部分(34a)に該当する部分を低いドーピング濃度でドーピングして、ドーピング領域を形成する工程を追加することによって製造することができる。または、第2不純物層(図4fの参照符号322、以下同じ)を形成したのち、熱処理する工程の温度等を調節して、第2不純物層(322)内のリンを、トンネリング層(20)を通じて半導体基板(10)に拡散させて第1部分(34a)を追加として形成することも可能である。その他の多様な方法によって、上述した構造の太陽電池(100)を製造することが可能である。
[0122] 本実施例においてエミッタ領域(32)は、トンネリング層(20)を挟んで位置する第1部分(32a)と第2部分(32b)を含んでもよい。これについては、すでに説明したので詳しい説明は省略する。)




(当審訳:
[0124] 図6を参照すれば、本実施例では、後面電界領域(34)がトンネリング層(20)を挟んで位置する第1部分(34a)及び第2部分(34b)を含み、エミッタ領域(32)がトンネリング層(20)の上に位置する第2部分(32b)だけを含む。一例として、後面電界領域(34)がp型を有し、エミッタ領域(32)がn型を有してもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、後面電界領域(34)がn型を有し、エミッタ領域(32)がp型を有してもよい。このように、本発明によれば、エミッタ領域(32)または後面電界領域(34)の少なくともいずれかがトンネリング層(20)を挟んで位置する複数の部分を含んでいれば十分である。)

ここで、以下の図5の記載から、半導体基板(10)は、エミッタ領域(32)の第1部分(32a)と後面電界領域(34)の第1部分(34a)との間にもベース領域(110)を有することが、見て取れる。


また、図6は、以下のとおりである。

(イ)上記(ア)から、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。

「半導体基板(10)は、第1導電型不純物を低いドーピング濃度で含むベース領域(110)を含み、
半導体基板(10)の後面の上には、トンネリング層(20)が形成され、
トンネリング層(20)はシリコン酸化物を含み、
トンネリング層(20)は、半導体基板(10)の後面を全体的にパシベーションすることができ、
トンネリング層(20)の上に半導体層(30)を形成し、エミッタ領域(32)の第2部分(32b)と、後面電界領域(34)の第2部分(34b)は、トンネリング層(20)の上に位置した一つの半導体層に互いに異なる導電型不純物をドーピングすることによって形成し、エミッタ領域(32)及び後面電界領域(34)の第2部分(32b、34b)の間に位置した半導体層は、バリア領域(36)によって互いに離隔され、
後面電界領域(34)は、第1導電型を有し、エミッタ領域(32)は、第2導電型を有し、
エミッタ領域(32)は、トンネリング層(20)を挟んで位置する第1部分(32a)と第2部分(32b)を含み
第2部分(32b)内の第2導電型不純物は、トンネリング層(20)の内部に拡散し、半導体基板(10)とトンネリング層(20)の間の濃度差によって、第2導電型不純物が半導体基板(10)内部へ拡散してエミッタ領域(32)の第1部分(32a)を形成し、エミッタ領域(32)は、第1部分(32a)を低濃度に形成して、第2部分(32b)を高濃度にし、
後面電界領域(34)は、トンネリング層(20)を挟んで位置する第1部分(34a)及び第2部分(34b)を含み、
後面電界領域(34)は、半導体基板(10)に相対的に低いドーピング濃度を有する第1部分(34a)と、トンネリング層(20)の上に第1部分(34a)に対応する位置で第1部分(34a)より高いドーピング濃度を有する第2部分(34b)を含み、第1部分(34a)はトンネリング層(20)を通じて半導体基板(10)に拡散させて形成し、
半導体基板(10)は、エミッタ領域(32)の第1部分(32a)と後面電界領域(34)の第1部分(34a)との間にもベース領域(110)を有する太陽電池。」(以下「引用発明」という。)

イ 引用文献2
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の最先の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2011-181606号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0036】
<太陽電池素子の製造方法>
以下に、この発明の太陽電池素子の製造方法の一実施例について説明する。
<第1工程:活性化領域の形成>
図6に、この発明の活性化領域形成後の基板の断面図を示す。
ここで、図6の符号601,602,603は、それぞれ、図1のシリコン基板101,n^(+)活性化領域102,p^(+)活性化領域103に相当する。
シリコン基板101の一方の表面近傍に、n^(+)活性化領域102と、p^(+)活性化領域103とを形成する。この表面が、受光面と反対側の面(裏面)となる。
シリコン基板101としては、n型、9cm×9cmの正方形状,厚さ300μm,抵抗率2Ω・mのものを用いる。
【0037】
n^(+)活性化領域102は、形成すべき領域部分を開口するようにしたノンドープの二酸化珪素膜(SiO_(2))をマスクとして基板表面上に形成し、その後、この開口内に、オキシ塩化リン(POCl_(3))を気相拡散させて形成する。
このときの主な形成条件は、以下のとおりである。
温度:900℃,時間:14.5分
これにより、たとえば、幅(Wn)=120μm,深さ=1μm程度の長方形形状のパターンを持つn+活性化領域が、上記開口部分に形成される。
【0038】
p^(+)活性化領域103は、形成すべき領域部分を開口するようにしたノンドープの二酸化珪素(SiO_(2))をマスクとして基板表面上に形成し、その後、ボロンドープ酸化膜(BSG)を、厚さ0.4μm程度、表面上に堆積する。
その後、熱処理し、上記BSGを固相拡散させて形成する。
このときの主な形成条件は、以下のとおりである。
温度:900℃,時間:50分
【0039】
これにより、たとえば、幅(W_(P))=1379μm,深さ=0.9μm程度の長方形形状のパターンを持つp^(+)活性化領域が、上記開口部分に形成される。
また、この工程の実施直後には、p^(+)活性化領域とn^(+)活性化領域との間の距離は、1μm程度となる。ただし、次の工程で両活性化領域を分離する溝を形成するので、この距離を厳密に制御する必要はない。」

図6は、以下のとおりである。

(イ)上記(ア)から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「n型のシリコン基板の一方の表面近傍に、深さ=1μm程度の長方形形状のパターンを持つn^(+)活性化領域と、深さ=0.9μm程度の長方形形状のパターンを持つp^(+)活性化領域とを形成する太陽電池素子。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「半導体基板(10)」は、本件補正発明の「半導体基板」に、
引用発明の「『半導体基板(10)の後面の上に』『形成され、』『シリコン酸化物を含み、』『半導体基板(10)の後面を全体的にパシベーションすることができ』る『トンネリング層(20)』」は、本件補正発明の「前記半導体基板の一面上に形成され、誘電物質で構成される制御パッシベーション膜」に、
引用発明の「『トンネリング層(20)の上に』『形成』され、『後面電界領域(34)は、第1導電型を有し、エミッタ領域(32)は、第2導電型を有し、』『エミッタ領域(32)の第2部分(32b)と、後面電界領域(34)の第2部分(34b)』に『互いに異なる導電型不純物をドーピングすることによって形成し』た『トンネリング層(20)の上に位置した一つの半導体層』」は、本件補正発明の「前記制御パッシベーション膜上に形成され、第1導電型を有する第1導電型領域及び前記第1導電型と反対の第2導電型を有する第2導電型領域を有する半導体層」に、
引用発明の「半導体基板(10)は、第1導電型不純物を低いドーピング濃度で含むベース領域(110)を含み」は、本件補正発明の「前記半導体基板は、前記第2導電型を有するベース領域を有し」に、
引用発明の「太陽電池」は、本件補正発明の「太陽電池」に、
それぞれ相当する。

イ 引用発明の「『エミッタ領域(32)は、第1部分(32a)を低濃度に形成して、第2部分(32b)を高濃度にし、』『第2導電型不純物が半導体基板(10)内部へ拡散してエミッタ領域(32)の第1部分(32a)を形成し』」は、本件補正発明の「『前記半導体基板は、前記第1導電型領域に対応する部分で部分的に前記制御パッシベーション膜に隣接して形成され、前記第1導電型領域より低いドーピング濃度を有する第1拡散領域と、』『を有し』」に、
引用発明の「『後面電界領域(34)』の『半導体基板(10)に相対的に低いドーピング濃度を有する第1部分(34a)』であって、『第1部分(34a)はトンネリング層(20)を通じて半導体基板(10)に拡散させて形成し』」は、本件補正発明の「『前記半導体基板は、』『前記第2導電型領域に対応する部分で部分的に前記制御パッシベーション膜に隣接して形成される第2拡散領域と、』『を有し』」に、
それぞれ相当する。

ウ 引用発明の「『トンネリング層(20)』は、『エミッタ領域(32)』の『第1部分(32a)と第2部分(32b)』『を挟んで位置する』部分『を含み、』、『第2導電型不純物は、トンネリング層(20)の内部に拡散し』」は、本件補正発明の「『前記制御パッシベーション膜は、前記第1導電型領域と前記第1拡散領域との間に部分的に位置する第1ドーピング部分と、』『を有する』」に、
引用発明の「『トンネリング層(20)』は、『後面電界領域(34)』の『第1部分(34a)及び第2部分(34b)』『を挟んで位置する』部分『を含み、』『第1部分(34a)』を『トンネリング層(20)を通じて半導体基板(10)に拡散させて形成し』」は、本件補正発明の「『前記制御パッシベーション膜は、』『前記第2導電型領域と前記第2拡散領域との間に部分的に位置する第2ドーピング部分と、を有する』」に、
それぞれ相当する。

エ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「半導体基板と、
前記半導体基板の一面上に形成され、誘電物質で構成される制御パッシベーション膜と、
前記制御パッシベーション膜上に形成され、第1導電型を有する第1導電型領域及び前記第1導電型と反対の第2導電型を有する第2導電型領域を有する半導体層と、を有し、
前記半導体基板は、前記第1導電型領域に対応する部分で部分的に前記制御パッシベーション膜に隣接して形成され、前記第1導電型領域より低いドーピング濃度を有する第1拡散領域と、前記第2導電型領域に対応する部分で部分的に前記制御パッシベーション膜に隣接して形成される第2拡散領域と、を有し、
前記半導体基板は、前記第2導電型を有するベース領域を有し、
前記制御パッシベーション膜は、前記第1導電型領域と前記第1拡散領域との間に部分的に位置する第1ドーピング部分と、前記第2導電型領域と前記第2拡散領域との間に部分的に位置する第2ドーピング部分と、を有する、太陽電池。」

【相違点1】
半導体基板が、本件補正発明では「前記第1拡散領域と前記第2拡散領域との間に位置するアンドープバリア領域」を有するのに対し、引用発明ではそのようなものを有するのか明らかでない点。

【相違点2】
制御パッシベーション膜が、本件補正発明では「前記第1ドーピング部分と前記第2ドーピング部分との間に位置して前記アンドープバリア領域に対応するアンドープ部分」を有するのに対し、引用発明ではそのようなものを有するのか明らかでない点。

【相違点3】
本件補正発明では「前記第2拡散領域の厚さは、前記第1拡散領域の厚さより大き」いのに対し、引用発明ではそのようなものか明らかでない点。

(4)判断
以下、上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
(ア)引用発明は「半導体基板(10)は、エミッタ領域(32)の第1部分(32a)と後面電界領域(34)の第1部分(34a)との間にもベース領域(110)を有する」、「第2部分(32b)内の第2導電型不純物は、トンネリング層(20)の内部に拡散し、半導体基板(10)とトンネリング層(20)の間の濃度差によって、第2導電型不純物が半導体基板(10)内部へ拡散してエミッタ領域(32)の第1部分(32a)を形成し」、「後面電界領域(34)は、半導体基板(10)に相対的に低いドーピング濃度を有する第1部分(34a)と、トンネリング層(20)の上に第1部分(34a)に対応する位置で第1部分(34a)より高いドーピング濃度を有する第2部分(34b)を含み、第1部分(34a)はトンネリング層(20)を通じて半導体基板(10)に拡散させて形成し」と特定されている。
また、引用発明の「ベース領域(110)」は、「第1導電型不純物を低いドーピング濃度で含む」と特定されている。

(イ)そうすると、引用発明の「半導体基板(10)は、エミッタ領域(32)の第1部分(32a)と後面電界領域(34)の第1部分(34a)との間」の「ベース領域(110)」は、「第1導電型不純物を低いドーピング濃度で含」むものの、エミッタ領域(32)の第2部分(32b)の第2導電型不純物がトンネリング層を通ってドーパントされていない領域であって、後面電界領域(34)の第2部分(34b)の第1導電型不純物がトンネリング層を通ってドーパントされていない領域といえる。
したがって、引用発明の「半導体基板(10)は、エミッタ領域(32)の第1部分(32a)と後面電界領域(34)の第1部分(34a)との間」の「ベース領域(110)」は、本件補正発明の「前記第1拡散領域と前記第2拡散領域との間に位置するアンドープバリア領域」に相当する。
よって、相違点1は、実質的な相違点ではない。

イ 相違点2について
(ア)引用発明は「エミッタ領域(32)及び後面電界領域(34)の第2部分(32b、34b)の間に位置した半導体層は、バリア領域(36)によって互いに離隔され」、「半導体基板(10)は、エミッタ領域(32)の第1部分(32a)と後面電界領域(34)の第1部分(34a)との間にもベース領域(110)を有する」と特定されている。

(イ)そして、引用発明は「エミッタ領域(32)は、トンネリング層(20)を挟んで位置する第1部分(32a)と第2部分(32b)を含み」、「後面電界領域(34)は、トンネリング層(20)を挟んで位置する第1部分(34a)及び第2部分(34b)を含み」と特定されている。

(ウ)上記(ア)及び(イ)の位置関係を考慮すれば、引用発明のトンネリング層(20)は、第2導電型不純物が、トンネリング層(20)の内部に拡散した部分と、第1導電型不純物が、トンネリング層(20)の内部に拡散した部分との間に位置してドープされていないバリア領域に対応する部分を有すると解される。
したがって、相違点2は、実質的な相違点ではない。

ウ 相違点3について
(ア)引用文献2には「n型のシリコン基板の一方の表面近傍に、深さ=1μm程度の長方形形状のパターンを持つn^(+)活性化領域と、深さ=0.9μm程度の長方形形状のパターンを持つp^(+)活性化領域とを形成する太陽電池素子。」の技術的事項が記載されている。

(イ)ここで、引用文献1の[0124]、図6には、ベース領域(110)と同じ導電型である第1導電型を有する第1部分(34a)を含み、第2導電型を有する第1部分(32a)を含まない、つまり、第2導電型を有する第1部分(32a)の厚さのない技術について記載され、これは、ベース領域(110)と同じ導電型である第1導電型を有する第1部分(34a)の厚さを、第2導電型を有する第1部分(32a)の厚さ(が0である)より大きくしている技術が示唆されている。
また、引用文献1の[0120]には、後面電界領域(34)の第1及び第2部分(34a、34b)の厚さは、エミッタ領域(32)の第1及び第2部分(32a、32b)の厚さとそれぞれ同一または類似している旨記載されており、つまり、後面電界領域(34)の第1部分(34a)の厚さは、エミッタ領域(32)の第1部分(32a)の厚さと厳密な意味で同一としないといけないわけではなく類似する程度の範囲であれば良いことも示唆されている。

(ウ)上記(ア)、(イ)の記載から見て、第1導電型を有する第1部分(34a)の厚さと、第2導電型を有する第1部分(32a)の厚さのいずれを厚くするかは当業者が適宜採用し得る事項にすぎず、また、本件補正発明のように「「前記第2拡散領域の厚さは、前記第1拡散領域の厚さより大き」くすることに格別の技術的意義も認められない。
そうすると、引用文献1、2はともに太陽電池に関する技術であって、引用発明において、引用文献2に記載された技術的事項も考慮して、第1導電型を有する第1部分(34a)を含み、第2導電型を有する第1部分(32a)を含まない態様と、第1導電型を有する第1部分(34a)の厚さと第2導電型を有する第1部分(32a)の厚さが同じ態様との中間の態様のようにすること、つまり、引用発明のベース領域(110)と同じ導電型である第1導電型を有する第1部分(34a)の厚さを、第2導電型を有する第1部分(32a)の厚さより大きくすることを選択することは、当業者が適宜なし得た設計的事項にすぎない。
なお、引用発明は「半導体基板(10)は、第1導電型不純物を低いドーピング濃度で含むベース領域(110)を含み」と特定され、ベース領域(110)は第1導電型不純物を含んでいることから、第1導電型不純物を含む第1部分(34a)の厚さが第2導電型不純物を含む第1部分(32a)の厚さより大きくなる傾向があり、そのことからも、相違点3の構成は格別のことではない。

(エ)したがって、引用発明において、引用文献2に記載された技術的事項を考慮し、相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項にすぎない。

エ そして、相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 審判請求人の主張について
(1)本件審判請求人は、令和元年9月5日付けで提出された審判請求書において、
「本願の補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、少なくとも
(a)『前記半導体基板は、前記第1導電型領域に対応する部分で部分的に前記制御パッシベーション膜に隣接して形成され、前記第1導電型領域より低いドーピング濃度を有する第1拡散領域と、前記第2導電型領域に対応する部分で部分的に前記制御パッシベーション膜に隣接して形成される第2拡散領域と、前記第1拡散領域と前記第2拡散領域との間に位置するアンドープバリア領域と、を有し』及び
(b)『前記制御パッシベーション膜は、前記第1導電型領域と前記第1拡散領域との間に部分的に位置する第1ドーピング部分と、前記第2導電型領域と前記第2拡散領域との間に部分的に位置する第2ドーピング部分と、前記第1ドーピング部分と前記第2ドーピング部分との間に位置して前記アンドープバリア領域に対応するアンドープ部分と、を有する』という構成を有します。」、
「すなわち、引用文献1?3には、本願発明の少なくとも構成(a)及び(b)に関して何ら記載も示唆もありません。」
旨主張している。

(2)上記主張について以下検討する。
上記構成(a)の「半導体基板」が、「前記第1拡散領域と前記第2拡散領域との間に位置するアンドープバリア領域と、」を有することについては、上記2で検討したように、当業者にとって自明な事項とも認められず、本件補正は、出願当初の明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
仮にそうでないとしても、上記3で検討したように、上記構成(a)、(b)については、引用発明との実質的な相違点にならない。

以上から、審判請求人の上記主張は、採用することができない。

5 本件補正についてのむすび
本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
仮に、本件補正が、新たな技術的事項を導入するものではなく、本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるとしても、本件補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合しないものである。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和元年9月5日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年11月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の下記の請求項に係る発明は、その最先の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の刊行物に記載された発明に基いて、その最先の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1-11
・引用文献等1-3

・請求項12-13
・引用文献等1-3

<引用文献等一覧>
1.韓国公開特許第10-2015-0029202号公報
2.特開2016-046525号公報
3.特開2011-181606号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(当審引用文献1)及びその記載事項、引用文献3(当審引用文献2)及びその記載事項は、前記第2の[理由]3(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]3で検討した本件補正発明から、「半導体基板」について、「前記第1拡散領域と前記第2拡散領域との間に位置するアンドープバリア領域と、」を有しとの限定事項を省き、「制御パッシベーション膜」について、「前記制御パッシベーション膜は、前記第1導電型領域と前記第1拡散領域との間に部分的に位置する第1ドーピング部分と、前記第2導電型領域と前記第2拡散領域との間に部分的に位置する第2ドーピング部分と、前記第1ドーピング部分と前記第2ドーピング部分との間に位置して前記アンドープバリア領域に対応するアンドープ部分と、を有する」との限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]3(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-10-26 
結審通知日 2020-10-27 
審決日 2020-11-11 
出願番号 特願2017-145115(P2017-145115)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 561- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 橿本 英吾本田 博幸佐藤 久則  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 野村 伸雄
近藤 幸浩
発明の名称 太陽電池及びその製造方法  
代理人 三橋 真二  
代理人 南山 知広  
代理人 渡辺 陽一  
代理人 青木 篤  
代理人 胡田 尚則  
代理人 鶴田 準一  
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