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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G08C
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  G08C
管理番号 1372685
異議申立番号 異議2019-700982  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-12-04 
確定日 2021-02-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6526271号発明「分離式センサ装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6526271号の特許請求の範囲を令和2年10月22日付け手続補正書により補正された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第6526271号の請求項1、5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6526271号(以下「本件特許」という。)について、その手続の経緯は、以下のとおりである。
平成30年 2月13日 :特許出願
令和 元年 5月17日 :特許権の設定登録
令和 元年 6月 5日 :特許掲載公報の発行
令和 元年12月 4日 :特許異議申立書の提出(請求項1、5に対して)(特許異議申立人:池田 有希)
令和 2年 2月27日付け:取消理由通知書
令和 2年 6月 1日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)
令和 2年 8月27日付け:訂正拒絶理由通知書
令和 2年10月22日 :手続補正書及び意見書の提出(特許権者)
令和 2年12月18日 :意見書の提出(特許異議申立人)

第2 訂正の適否
1 訂正請求書の補正の適否
令和2年6月1日に提出された訂正請求書及びこれに添付した訂正特許請求の範囲は、令和2年10月22日に提出された手続補正書により補正されたので、当該補正の適否について検討する。

(1)補正の内容
訂正請求書の「6 請求の理由」「(2)訂正事項」において「B 訂正事項2」に示された訂正事項を削除し、それに合わせて「6 請求の理由」「(3)訂正の理由」において「訂正事項2」に関する箇所を削除するものである。

(2)補正の適否
前記(1)の補正は、訂正事項を削除するものであり、訂正請求書の要旨を変更するものではないから、特許法120条の5第9項において準用する同法131条の2第1項の規定に適合するものであり、当該補正は認められる。

2 訂正の内容
令和2年10月22日に付け手続補正書により補正された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を以下のとおり訂正することを求めるものである。
なお、本件訂正請求は、一群の請求項〔1-5〕に対して請求されたものである。

訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記直線伝動素子の移動部材に設置されるセンサユニット」と記載されているのを、「前記直線伝動素子の移動部材に設置されるセンサユニットであって、前記センサは、温度又は振動センサである、センサユニット」に訂正する。
また、請求項1の記載を引用する請求項2?5も同様に訂正する。

3 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「センサユニット」が有する「センサ」について、「温度又は振動センサ」であることを限定するものであるから、この訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、この訂正は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に記載した事項及び次に示す明細書の段落【0011】及び【0018】に記載した事項に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

「【0011】
図1及び図2に示すように、センサユニット10は、センサ筐体11と、センサ12とを有する。・・・(中略)・・・センサチップ122は、温度の検出に用いられる。センサチップ122は、外伸部114内に位置する。」
「【0018】
なお、上記実施形態では、センサチップ122は温度を検出するものであるが、センサチップは振動、トルク又は他のパラメータを検出するものであってもよい。」

してみると、訂正事項1の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

4 独立特許要件
この特許異議の申立てにおいては、請求項1、5について特許異議の申立てがされているので、本件訂正後の請求項1、5に記載されている事項により特定される発明について、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。
一方、請求項2?4について特許異議の申立てはされておらず、また、請求項2?4についての訂正は、上記3において検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するところ、本件訂正後の請求項2?4に記載されている事項により特定される発明について、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件を満足するか検討すると、次のとおりである。
本件訂正後の請求項1に係る発明の特許は、後記第4のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由によって取り消すことはできないものであり、また、後記第5のとおり、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由によって取り消すこともできないものであるから、本件訂正後の請求項1に係る発明を直接又は間接的に引用してさらに限定した本件訂正後の請求項2?4に係る発明は、独立特許要件を満足すると認められる。

5 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項並びに同条9項において読み替えて準用する同法126条7項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、令和2年10月22日付け手続補正書により補正された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正後の請求項1、5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明5」という。)は、令和2年10月22日付け手続補正書により補正された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
直線伝動素子に設置される分離式センサ装置であって、
センサ筐体と、前記センサ筐体内に設置されるセンサとを有し、前記直線伝動素子の移動部材に設置されるセンサユニットであって、前記センサは、温度又は振動センサである、センサユニットと、
処理筐体と、前記処理筐体内に設置される処理器とを有し、前記センサユニットと別体に構成される処理ユニットと、
前記センサユニットの前記センサと前記処理ユニットの前記処理器との間に電気的に接続される接続ユニットと、
前記処理ユニットの前記処理器と外部装置との間に電気的に接続される伝送ユニットと、を主に含む
分離式センサ装置。
【請求項5】
請求項1に記載の分離式センサ装置であって、
前記センサは、センサ回路基板と、センサチップと、を有し、
前記センサ回路基板は、前記センサ筐体内に設置され、
前記センサチップは、前記センサ回路基板に設置され、
前記処理器は、処理回路基板と、処理チップと、を有し、
前記処理回路基板は、前記処理筐体内に設置され、
前記処理チップは、前記処理回路基板に設置され、
前記処理チップは、演算に用いられる
分離式センサ装置。」

第4 取消理由通知書に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1、5に係る特許に対して、当審が令和2年2月27日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(1)理由1(新規性)
本件特許の請求項1、5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、上記請求項に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

(2)理由2(進歩性)
本件特許の請求項1、5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。



引用文献1:
シュネーベルガー社の製品カタログ「MINI-X MINIRAIL MINISCALE PLUS MINISLIDE Product catalog 2017」, SCHNEEBERGER LINEAR TECHNOLOGY, 2017, p.16,44-49

引用文献2:
シュネーベルガー社の製品カタログ,“MINI-X MINIRAIL MINISCALE PLUS MINISLIDE Product catalog 2015”, [online], 2015年, [令和2年2月14日検索],インターネット
<URL:https://www.schneeberger.com/fileadmin/documents/downloadcenter/01_product_catalogues_company_brochures/01_Linear-_and_profiled_guideways/02_Miniature_guideways/MINI-X_EN_low.pdf>, p.16,40-45

2 引用文献に記載された事項
(1)引用文献1について
ア 引用文献1には、次の事項が記載されている。(下線および翻訳文は当審が付した。)

(ア)「6.6.2 Short Strokes with MINIRAIL and MINISCALE PLUS

In the starting position (1), only the ball bearings directly under load are lubricated. Once the carriage moves to the right (2), a section of the ball bearings takes up the lubricant via the guideway. Only once position 3 has been reached will all of the ball bearings and all four corners of the ball recirculation be lubricated.」(第16頁第17-21行)

(翻訳文:
6.6.2 MINIRAILとMINISCALE PLUSの短いストローク

開始位置(1)では、直接負荷がかかっているボールベアリングのみが潤滑される。キャリッジが右(2)に移動すると、ボールベアリングの部分がガイドウェイを経由して潤滑剤を取る。位置3に到達すると、ボールベアリング全てとボール再循環の四隅全てに潤滑剤を塗布する。)

(イ)「10.2.4 MINISCALE PLUS Components and Working Method

MINISCALE PLUS is an optical, incremental measuring system that consists of the MINIRAIL guide system and the following additional components:

A Dimensional scale on the guide rail
B Optical sensor on the carriage
C Flexible Sensor Print (must not be exposed to dynamic loads)
D Interface module

The control cable E with D-Sub 9 connector must be supplied by the customer and be a flexible cable where necessary.

・・・<略>・・・

Dimensional scale and optical sensor
The high-precision dimensional scale is part of the hardened guideway's surface with a scale increment of 100 μm. Two LEDs in the sensor illuminate the dimensional scale. Light-dark fields form because of the illumination of the various structured areas on the dimensional scale. These optical signals are detected by the sensor and converted into electrical signals. The raw signals supplied by the sensor are processed by the interface module.」(第44頁第1-22行)

(翻訳文:
10.2.4 MINISCALE PLUSの構成および動作方法

MINISCALE PLUSは、MINIRAILガイドシステムと次の追加的な構成からなる光学式のインクリメンタル測定システムである:

A ガイドレール上の寸法目盛り
B キャリッジ上の光学式センサ
C フレキシブルセンサプリント(これは動的荷重にさらされてはならない。)
D インターフェースモジュール

D-Sub 9コネクター付きの制御ケーブルEは、顧客によって用意され、必要に応じてフレキシブルケーブルでなければならない。

・・・<略>・・・

寸法目盛りと光学式センサ
高精度な寸法目盛りは、100μmの目盛りのインクリメントで高硬度なガイドウェイ上の表面の一部に形成されている。センサが含む2つのLEDは、寸法目盛りを照らす。寸法目盛り上の様々な構造領域の照明のため、明暗フィールドが形成される。これらの光信号は、センサによって検出され、電気信号に変換される。センサによって供給される生の信号は、インターフェースモジュールによって処理される。)

(ウ)「Interface module
The raw signals are processed by the interface module and converted to standard output signals. Analog or digital interface modules are available.

・・・<略>・・・

The interface modules are available in the following structural types:
With housing
With D-Sub 9connector
Order designation: MG
(Standard)」(第45頁第1-17行)

(翻訳文:
インターフェースモジュール
生の信号は、インターフェースモジュールで処理され、標準出力信号に変換される。アナログ又はデジタルのインターフェースモジュールが利用可能である。

・・・<略>・・・

次の構造タイプの中でインターフェースモジュールが利用可能である。

ハウジング付き
D-Sub 9コネクター付き
注文コード:MG
(標準))

(エ)「10.2.5 Signal Processing

・・・<略>・・・

Analog output format:
Differential, sin/cos analog signals with reference pulse 1 Vpp (at 120Ω).

The incremental signals sine and cosine are shifted 90° and correlated with the markings on the encoded scale. An electrical signal period (360°) corresponds precisely to the scale increment of the dimensional scale, which is 100 μm.

The reference pulse always marks electronically the same section of the path of the sine and cosine signals. The point of intersection of the two signals within the reference pulse therefore marks a precisely defined position on the dimensional scale.

The sine signal either lags behind the cosine signal or occurs before it, depending on the direction of movement.」(第46頁第1-14行)

(翻訳文:
10.2.5 信号処理

・・・<略>・・・

アナログ出力フォーマット:
基準パルス1Vpp(120Ωで)を有する差分のsin/cosアナログ信号。

インクリメンタル信号であるサインとコサインは90°シフトされ、符号化された目盛り上のマーキングと相関関係を有する。電気信号の周期(360°)は、100μmである寸法目盛りの増加に対して正確に一致する。

基準パルスは、常にサインとコサインの信号の経路の同じセクションを電子的にマークする。したがって、基準パルス内の2つの信号の交点は、寸法目盛り上の正確に規定された位置をマークする。

移動方向に依存して、サイン信号はコサイン信号より遅れるか、または、その前に生じる。)

イ 引用文献1には以下の図および表が示されている。

(ア)「

」(第16頁)

(イ)「

」(第44頁)

(ウ)「

」(第44頁)

(エ)「

」(第45頁)

(オ)「

」(第45頁)

(カ)「

」(第46頁)

(キ)「

」(第48頁)

(ク)「

」(第49頁)

(ケ)「

」(第49頁)

ウ 上記事項から、引用文献1には以下のことが記載されていると認められる。

(ア)MINIRAILガイドシステムと、ガイドレール上の寸法目盛りA、キャリッジ上の光学式センサB、フレキシブルセンサプリントC、および、インターフェースモジュールDの構成からなる光学式のインクリメンタル測定システムとを含むMINISCALE PLUSと、D-Sub 9コネクター付きの制御ケーブルEとを有する装置(上記「ア(イ)」参照)。

(イ)MINISCALE PLUSにおいて、キャリッジが移動すること(上記「ア(ア)」、「イ(ア)」、「イ(イ)」参照)。

(ウ)MINISCALE PLUSの信号処理のアナログ出力フォーマットに関して、インクリメンタル信号であるサインとコサインは90°シフトされ、符号化された目盛り上のマーキングと相関関係を有し、電気信号の周期(360°)は、100μmである寸法目盛りの増加に対して正確に一致しており、基準パルスは、常にサインとコサインの信号の経路の同じセクションを電子的にマークし、基準パルス内の2つの信号の交点は、寸法目盛り上の正確に規定された位置をマークすること(上記「ア(エ)」、「イ(カ)」参照)。

(エ)ガイドレールのガイドウェイ上に形成されている寸法目盛りAは、基準のマークを有する基準トラックと、複数のマークを有するインクリメンタルトラックで構成されていること(上記「ア(イ)」、「イ(ウ)」、「イ(キ)」参照)。

(オ)MINISCALE PLUSは、寸法目盛りAを有するガイドレールと、移動するキャリッジから構成されていること(上記(ア)、(イ)より)、MINISCALE PLUSの出力信号は、符号化された目盛り上のマーキングと相関関係を有するサインとコサインの出力信号であり、電気信号の周期(360°)は、100μmである寸法目盛りの増加に対して正確に一致していること(上記「(ウ)」)、そして、ガイドレールのガイドウェイ上に形成されている寸法目盛りAは、基準のマークを有する基準トラックと、複数のマークを有するインクリメンタルトラックで構成されていること(上記「(エ)」より)を踏まえると、MINISCALE PLUSにおける、ガイドレール、ガイドレール上の寸法目盛りA、および、キャリッジ上の光学式センサBは、リニアスケールを構成するものであると認められる。

(カ)フレキシブルセンサプリントCは、キャリッジとインターフェースモジュールDとを接続していること(上記「イ(イ)」参照)。

(キ)光学式センサBによって供給される生の信号は、インターフェースモジュールDによって処理され、標準出力信号に変換されること(上記「ア(イ)」、「ア(ウ)」参照)。

(ク)上記「(カ)」、「(キ)」より、フレキシブルセンサプリントCは、光学式センサBによって供給される生の信号をインターフェースモジュールDに送信するために、光学式センサBとインターフェースモジュールDとの間に電気的に接続されているものと認められる。

(ケ)D-Sub 9コネクター付きの制御ケーブルEは、顧客によって用意され、インターフェースモジュールDに対して接続されること(上記「ア(イ)」「イ(イ)」参照)。

(コ)ハウジング付きでD-Sub 9コネクター付きのインターフェースモジュールDが利用可能であること(上記「ア(ウ)」、「イ(エ)」、「イ(オ)」参照)。

(サ)D-Sub 9コネクターの端子は、アナログインターフェースモジュール出力である4相信号Ua1-、4相信号Ua2-、基準信号Ua0、4相信号Ua1+、4相信号Ua2+、基準信号Ua0+と、供給電圧+5V DCとを含んでいること(上記「イ(カ)」、「イ(ク)」、「イ(ケ)」参照)。

(シ)上記「(ケ)」?「(サ)」より、インターフェースモジュールDのD-Sub 9コネクターと、制御ケーブルEのD-Sub 9コネクターとが接続されており、アナログインターフェースモジュール出力である4相信号Ua1-、4相信号Ua2-、基準 信号Ua0、4相信号Ua1+、4相信号Ua2+、基準信号Ua0+が、制御ケーブルEを介してインターフェースモジュールDから外部に出力され、供給電圧+5V DCが、制御ケーブルEを介して外部からインターフェースモジュールDに入力されているものと認められる。

エ 上記「ウ」より、引用文献1には、次のとおりの発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「MINIRAILガイドシステムと、ガイドレール上の寸法目盛りA、キャリッジ上の光学式センサB、フレキシブルセンサプリントC、および、ハウジング付きでD-Sub 9コネクター付きのインターフェースモジュールDの構成からなる光学式のインクリメンタル測定システムとを含むMINISCALE PLUSと、制御ケーブルEとを有する装置であって(上記「ウ(ア)」、「ウ(コ)」参照)、
ガイドレール、ガイドレール上の寸法目盛りA、および、キャリッジ上の光学式センサBは、リニアスケールを構成するものであり(上記「ウ(オ)」参照)、
フレキシブルセンサプリントCは、光学式センサBによって供給される生の信号をインターフェースモジュールDに送信するために、光学式センサBとインターフェースモジュールDとの間に電気的に接続されており(上記「ウ(ク)」参照)、
光学式センサBによって供給される生の信号は、インターフェースモジュールDによって処理され、標準出力信号に変換され(上記「ウ(キ)」参照)、
インターフェースモジュールDのD-Sub 9コネクターと、制御ケーブルEのD-Sub 9コネクターとが接続されており、アナログインターフェースモジュール出力である4相信号Ua1-、4相信号Ua2-、基準信号Ua0、4相信号Ua1+、4相信号Ua2+、基準信号Ua0+が、制御ケーブルEを介してインターフェースモジュールDから外部に出力され、供給電圧+5V DCが、制御ケーブルEを介して外部からインターフェースモジュールDに入力されている(上記「ウ(シ)」参照)、
装置(上記「ウ(ア)」参照)。」

(2)引用文献2について
ア 引用文献2には、次の事項が記載されている。(下線および翻訳文は当審が付した。)

(ア)「6.6.2 Short Strokes with MINIRAIL and MINISCALE PLUS

In the starting position (1), only the ball bearings directly under load are lubricated. Once the carriage moves to the right (2), a section of the ball bearings takes up the lubricant via the guideway. Only once position 3 has been reached will all of the ball bearings and all four corners of the ball recirculation be lubricated.」(第16頁第17-21行)

(翻訳文:
6.6.2 MINIRAILとMINISCALE PLUSの短いストローク

開始位置(1)では、直接負荷がかかっているボールベアリングのみが潤滑される。キャリッジが右(2)に移動すると、ボールベアリングの部分がガイドウェイを経由して潤滑剤を取る。位置3に到達すると、ボールベアリング全てとボール再循環の四隅全てに潤滑剤を塗布する。)

(イ)「10.2.2 MINISCALE PLUS Components and Working Method

MINISCALE PLUS is an optical, incremental measuring system that consists of the MINIRAIL guide system and the following additional components:

A Dimensional scale on the guide rail
B Optical sensor on the carriage
C Flexible Print (must not be exposed to dynamic loads)
D Interface module with D-Sub 9 connector

The control cable E with D-Sub 9 connector must be supplied by the customer and be a flexible cable where necessary.

・・・<略>・・・

Dimensional scale and optical sensor
The high-precision dimensional scale is part of the hardened guideway's surface with a scale increment of 100 μm.
The sensor illuminates the dimensional scale and records the optical signals. The raw signals supplied by the sensor are processed by the interface module.」(第40頁第1-14行)

(翻訳文:
10.2.2 MINISCALE PLUSの構成および動作方法

MINISCALE PLUSは、MINIRAILガイドシステムと次の追加的な構成からなる光学式のインクリメンタル測定システムである:

A ガイドレール上の寸法目盛り
B キャリッジ上の光学式センサ
C フレキシブルプリント(これは動的荷重にさらされてはならない。)
D D-Sub 9コネクター付きのインターフェースモジュール

D-Sub 9コネクター付きの制御ケーブルEは、顧客によって用意され、必要に応じてフレキシブルケーブルでなければならない。

・・・<略>・・・

寸法目盛りと光学式センサ
高精度な寸法目盛りは、100μmの目盛りのインクリメントで高硬度なガイドウェイ上の表面の一部に形成されている。
センサは寸法目盛りに照明し、光信号を記録する。センサによって供給される生の信号は、インターフェースモジュールによって処理される。)

(ウ)「Interface module
The raw signals are processed by the interface module and supplied to the customer's control system in either analog or digital form.

・・・<略>・・・

C Flexible print
D The electronics are in the red housing with D-Sub 9 connector.
F ZIF connector
G Green LED
H Red LED
l Calibration key (only on digital interface module)」(第41頁第1-1
2行)

(翻訳文:
インターフェースモジュール
生の信号は、インターフェースモジュールで処理され、アナログ又はデジタルの形式で顧客の制御システムに供給される。

・・・<略>・・・

C フレキシブルプリント
D D-Sub 9コネクター付きの赤いハウジングの電子機器。
F ZIFコネクター
G 緑LED
H 赤LED
l キャリブレーションキー(デジタルインターフェース上のみ))

(エ)「10.2.3 Signal Processing

・・・<略>・・・

Analog output format:
Differential, sin/cos analog signals with reference pulse 1 Vpp (at 120 Ω).

The incremental signals sine and cosine are shifted 90° and correlated with the markings on the encoded scale. An electrical signal period (360°) corresponds precisely to the scale increment of the dimensional scale, which is 100 μm.

The reference pulse always marks electronically the same section of the path of the sine and cosine signals. The point of intersection of the two signals within the reference pulse therefore marks a precisely defined position on the dimensional scale.

The sine signal either lags behind the cosine signal or occurs before it, depending on the direction of movement.」(第42頁第1-14行)

(翻訳文:
10.2.3 信号処理

・・・<略>・・・

アナログ出力フォーマット:
基準パルス1Vpp(120Ωで)を有する差分のsin/cosアナログ信号。

インクリメンタル信号であるサインとコサインは90°シフトされ、符号化された目盛り上のマーキングと相関関係を有する。電気信号の周期(360°)は、100μmである寸法目盛りの増加に対して正確に一致する。

基準パルスは、常にサインとコサインの信号の経路の同じセクションを電子的にマークする。したがって、基準パルス内の2つの信号の交点は、寸法目盛り上の正確に規定された位置をマークする。

移動方向に依存して、サイン信号はコサイン信号より遅れるか、または、その前に生じる。)

イ 引用文献2には以下の図および表が示されている。

(ア)「

」(第16頁)

(イ)「

」(第40頁)

(ウ)「

」(第40頁)

(エ)「

」(第41頁)

(オ)「

」(第41頁)

(カ)「

」(第42頁)

(キ)「

」(第44頁)

(ク)「

」(第45頁)

ウ 上記事項から、引用文献2には以下のことが記載されていると認められる。

(ア)MINIRAILガイドシステムと、ガイドレール上の寸法目盛りA、キャリッジ上の光学式センサB、フレキシブルプリントC、および、D-Sub 9コネクター付きのインターフェースモジュールDの構成からなる光学式のインクリメンタル測定システムとを含むMINISCALE PLUSと、D-Sub 9コネクター付きの制御ケーブルEとを有する装置(上記「ア(イ)」参照)。

(イ)MINISCALE PLUSにおいて、キャリッジが移動すること(上記「ア(ア)」、「イ(ア)」、「イ(イ)」参照)。

(ウ)MINISCALE PLUSの信号処理のアナログ出力フォーマットに関して、インクリメンタル信号であるサインとコサインは90°シフトされ、符号化された目盛り上のマーキングと相関関係を有し、電気信号の周期(360°)は、100μmである寸法目盛りの増加に対して正確に一致しており、基準パルスは、常にサインとコサインの信号の経路の同じセクションを電子的にマークし、基準パルス内の2つの信号の交点は、寸法目盛り上の正確に規定された位置をマークすること(上記「ア(エ)」、「イ(カ)」参照)。

(エ)ガイドレールのガイドウェイ上に形成されている寸法目盛りAは、基準のマークを有する基準トラックと、複数のマークを有するインクリメンタルトラックで構成されていること(上記「ア(イ)」、「イ(ウ)」、「イ(キ)」参照)。

(オ)MINISCALE PLUSは、寸法目盛りAを有するガイドレールと、移動するキャリッジから構成されていること(上記(ア)、(イ)より)、MINISCALE PLUSの出力信号は、符号化された目盛り上のマーキングと相関関係を有するサインとコサインの出力信号であり、電気信号の周期(360°)は、100μmである寸法目盛りの増加に対して正確に一致していること(上記「(ウ)」)、そして、ガイドレールのガイドウェイ上に形成されている寸法目盛りAは、基準のマークを有する基準トラックと、複数のマークを有するインクリメンタルトラックで構成されていること(上記「(エ)」より)を踏まえると、MINISCALE PLUSにおける、ガイドレール、ガイドレール上の寸法目盛りA、および、キャリッジ上の光学式センサBは、リニアスケールを構成するものであると認められる。

(カ)フレキシブルプリントCは、キャリッジとインターフェースモジュールDとを接続していること(上記「イ(イ)」参照)。

(キ)光学式センサBによって供給される生の信号は、インターフェースモジュールDで処理され、アナログ又はデジタルの形式で顧客の制御システムに供給されること(上記「ア(イ)」、「ア(ウ)」参照)。

(ク)上記「(カ)」、「(キ)」より、フレキシブルプリントCは、光学式センサBによって供給される生の信号をインターフェースモジュールDに送信するために、光学式センサBとインターフェースモジュールDとの間に電気的に接続されているものと認められる。

(ケ)D-Sub 9コネクター付きの制御ケーブルEは、顧客によって用意され、インターフェースモジュールDに対して接続されること(上記「ア(イ)」「イ(イ)」参照)。

(コ)D-Sub 9コネクター付きのインターフェースモジュールDは、ハウジングを有していること(上記「ア(ウ)」、「イ(エ)」、「イ(オ)」参照)。

(サ)D-Sub 9コネクターの端子は、アナログインターフェースモジュール出力である4相信号Ua1-、4相信号Ua2-、基準信号Ua0、4相信号Ua1+、4相信号Ua2+、基準信号Ua0+と、供給電圧+5V DCとを含んでいること(上記「イ(カ)」、「イ(ク)」参照)。

(シ)上記「(キ)」、「(ケ)」?「(サ)」より、インターフェースモジュールDのD-Sub 9コネクターと、制御ケーブルEのD-Sub 9コネクターとが接続されており、アナログインターフェースモジュール出力である4相信号Ua1-、4相信号Ua2-、基準信号Ua0、4相信号Ua1+、4相信号Ua2+、基準信号Ua0+が、制御ケーブルEを介してインターフェースモジュールDから顧客の制御システムに出力され、供給電圧+5V DCが、制御ケーブルEを介して顧客の制御システムからインターフェースモジュールDに入力されているものと認められる。

エ 上記「ウ」より、引用文献2には、次のとおりの発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「MINIRAILガイドシステムと、ガイドレール上の寸法目盛りA、キャリッジ上の光学式センサB、フレキシブルプリントC、および、ハウジングを有しているD-Sub 9コネクター付きのインターフェースモジュールDの構成からなる光学式のインクリメンタル測定システムとを含むMINISCALE PLUSと、制御ケーブルEとを有する装置であって(上記「ウ(ア)」、「ウ(コ)」参照)、
ガイドレール、ガイドレール上の寸法目盛りA、および、キャリッジ上の光学式センサBは、リニアスケールを構成するものであり(上記「ウ(オ)」参照)、
フレキシブルプリントCは、光学式センサBによって供給される生の信号をインターフェースモジュールDに送信するために、光学式センサBとインターフェースモジュールDとの間に電気的に接続されており(上記「ウ(ク)」参照)、
光学式センサBによって供給される生の信号は、インターフェースモジュールDで処理され、アナログ又はデジタルの形式で顧客の制御システムに供給され(上記「ウ(キ)」参照)、
インターフェースモジュールDのD-Sub 9コネクターと、制御ケーブルEのD-Sub 9コネクターとが接続されており、アナログインターフェースモジュール出力である4相信号Ua1-、4相信号Ua2-、基準信号Ua0、4相信号Ua1+、4相信号Ua2+、基準信号Ua0+が、制御ケーブルEを介してインターフェースモジュールDから顧客の制御システムに出力され、供給電圧+5V DCが、制御ケーブルEを介して顧客の制御システムからインターフェースモジュールDに入力されている(上記「ウ(シ)」参照)、
装置(上記「ウ(ア)」参照)。」

3 当審の判断
(1)理由1(新規性)、理由2(進歩性)について(引用文献1を主引例とした場合)

ア 本件発明1の新規性について
本件発明1の「分離式センサ装置」については、「前記センサユニットと別体に構成される処理ユニット」を有するセンサ装置を意味しているものとして、本件発明1を認定した。
本件発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明1において、「リニアスケールを構成する」「ガイドレール」および「キャリッジ」は、本件発明1の「直線伝動素子」に相当し、引用発明1の「キャリッジ」は、本件発明1の「前記直線伝動素子の移動部材」に相当する。

(イ)引用発明1において、「装置」が「有する」「光学式センサB」が、「リニアスケールを構成する」「キャリッジ」上にあることは、「リニアスケールを構成する」「キャリッジ」上に「装置」が設置されていることを意味する。

(ウ)一般的に、光学式センサはセンサ筐体内にセンサが設置されているユニットである。それゆえ、引用発明1における「光学式センサB」は、センサ筐体と、前記センサ筐体内に設置されるセンサとを有するセンサユニットであると認められる。

(エ)上記「(ア)」?「(ウ)」より、引用発明1の「リニアスケールを構成する」「キャリッジ上の光学式センサB」は、本件発明1の「センサ筐体と、前記センサ筐体内に設置されるセンサとを有し、前記直線伝動素子の移動部材に設置されるセンサユニット」に相当する。

(オ)引用発明1において、「光学式センサBによって供給される生の信号は、インターフェースモジュールDによって処理され」ることは、「インターフェースモジュールD」が「光学式センサBによって供給される生の信号」を「処理」する処理器を有しており、「光学式センサB」と「インターフェースモジュールD」が別体で構成されていることを意味する。それゆえ、「光学式センサBによって供給される生の信号」を「処理」する「インターフェースモジュールD」は、本件発明1の「前記センサユニットと別体に構成される処理ユニット」に相当する。

(カ)引用発明1において、「インターフェースモジュールD」に付いている「ハウジング」は、本件発明1の「処理筐体」に相当する。

(キ)一般的に、処理筐体を有する処理ユニットにおいては、処理器は処理筐体内に設置されるものである。

(ク)上記「(オ)」?「(キ)」より、引用発明1において、「光学式センサBによって供給される生の信号」を「処理」する、「ハウジング付き」「のインターフェースモジュールD」は、本件発明1の「処理筐体と、前記処理筐体内に設置される処理器とを有し、前記センサユニットと別体に構成される処理ユニット」に相当する。

(ケ)引用発明1において、「キャリッジ上の光学式センサB、フレキシブルセンサプリントC、および、ハウジング付きでD-Sub 9コネクター付きのインターフェースモジュールDの構成からなる光学式のインクリメンタル測定システム」「を含むMINISCALE PLUSと、制御ケーブルEとを有する装置」は、上記「(オ)」より、「光学式センサB」と「インターフェースモジュールD」が別体で構成されている装置であるから、本件発明1の「分離式センサ装置」に相当する。

(コ)上記「(ア)」、「(イ)」、「(ケ)」より、引用発明1において、「リニアスケールを構成する」「キャリッジ上の光学式センサB」「を有する装置」は、本件発明1の「直線伝動素子に設置される分離式センサ装置」に相当する。

(サ)引用発明1において、「光学式センサBによって供給される生の信号をインターフェースモジュールDに送信するために、光学式センサBとインターフェースモジュールDとの間に電気的に接続されて」いる「フレキシブルセンサプリントC」は、「前記センサユニットの前記センサと前記処理ユニットの前記処理器との間に電気的に接続される接続ユニット」に相当する。

(シ)引用発明1において、「インターフェースモジュールDのD-Sub 9コネクターと、制御ケーブルEのD-Sub 9コネクターとが接続されており、アナログインターフェースモジュール出力である4相信号Ua1-、4相信号Ua2-、基準信号Ua0、4相信号Ua1+、4相信号Ua2+、基準信号Ua0+が、制御ケーブルEを介してインターフェースモジュールDから外部に出力され、供給電圧+5V DCが、制御ケーブルEを介して外部からインターフェースモジュールDに入力されている」ことは、「インターフェースモジュールD」の処理器と、外部装置との間で、「4相信号Ua1-、4相信号Ua2-、基準信号Ua0、4相信号Ua1+、4相信号Ua2+、基準信号Ua0+」、および、「供給電圧+5V DC」の入出力を行っており、該入出力を行うために、「制御ケーブルE」を介して「インターフェースモジュールD」の処理器と外部装置とを電気的に接続していることを意味する。
してみると、引用発明1において、「インターフェースモジュールD」の処理器と外部装置とを電気的に接続する「制御ケーブルE」は、本件発明1の「前記処理ユニットの前記処理器と外部装置との間に電気的に接続される伝送ユニット」に相当する。

以上の対比の結果をまとめると、本件発明1と引用発明1の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「直線伝動素子に設置される分離式センサ装置であって、
センサ筐体と、前記センサ筐体内に設置されるセンサとを有し、前記直線伝動素子の移動部材に設置されるセンサユニットと、
処理筐体と、前記処理筐体内に設置される処理器とを有し、前記センサユニットと別体に構成される処理ユニットと、
前記センサユニットの前記センサと前記処理ユニットの前記処理器との間に電気的に接続される接続ユニットと、
前記処理ユニットの前記処理器と外部装置との間に電気的に接続される伝送ユニットと、を主に含む
分離式センサ装置。」

<相違点>
本件発明1は、「前記センサは、温度又は振動センサである」のに対して、引用発明1は、センサが「光学式センサB」である点。

本件発明1と引用発明1は上記相違点において相違するので、本件発明1は、引用発明1に記載された発明ではない。

イ 本件発明1の進歩性について
上記相違点について検討する。
引用発明1の「光学式センサB」は、ガイドレール上の「寸法目盛りA」とともに「リニアスケール」を構成するものであって、前記「寸法目盛りA」を光学的に読み取るためのものであるから、目盛りを読み取る機能を持たない温度センサや振動センサでこれを代替することはできない。
したがって、本件発明1は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 本件発明5の新規性進歩性について
本件発明5は、本件発明1が備える構成を全て備えるものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)理由1(新規性)、理由2(進歩性)について(引用文献2を主引例とした場合)

ア 本件発明1の新規性について
本件発明1の「分離式センサ装置」については、「前記センサユニットと別体に構成される処理ユニット」を有するセンサ装置を意味しているものとして、本件発明1を認定した。
本件発明1と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明2において、「リニアスケールを構成する」「ガイドレール」および「キャリッジ」は、本件発明1の「直線伝動素子」に相当し、引用発明2の「キャリッジ」は、本件発明1の「前記直線伝動素子の移動部材」に相当する。

(イ)引用発明2において、「装置」が「有する」「光学式センサB」が、「リニアスケールを構成する」「キャリッジ」上にあることは、「リニアスケールを構成する」「キャリッジ」上に「装置」が設置されていることを意味する。

(ウ)一般的に、光学式センサはセンサ筐体内にセンサが設置されているユニットである。それゆえ、引用発明2における「光学式センサB」は、センサ筐体と、前記センサ筐体内に設置されるセンサとを有するセンサユニットであると認められる。

(エ)上記「(ア)」?「(ウ)」より、引用発明2の「リニアスケールを構成する」「キャリッジ上の光学式センサB」は、本件発明1の「センサ筐体と、前記センサ筐体内に設置されるセンサとを有し、前記直線伝動素子の移動部材に設置されるセンサユニット」に相当する。

(オ)引用発明2において、「光学式センサBによって供給される生の信号は、インターフェースモジュールDで処理され、アナログ又はデジタルの形式で顧客の制御システムに供給され」ることは、「インターフェースモジュールD」が「光学式センサBによって供給される生の信号」を「顧客の制御システム」に対応する「形式」の信号に「処理」する処理器を有しており、「光学式センサB」と「インターフェースモジュールD」が別体で構成されていることを意味する。それゆえ、「光学式センサBによって供給される生の信号」を「処理」する「インターフェースモジュールD」は、本件発明1の「前記センサユニットと別体に構成される処理ユニット」に相当する。

(カ)引用発明2において、「インターフェースモジュールD」が「有している」「ハウジング」は、本件発明1の「処理筐体」に相当する。

(キ)一般的に、処理筐体を有する処理ユニットにおいては、処理器は処理筐体内に設置されるものである。

(ク)上記「(オ)」?「(キ)」より、引用発明2において、「光学式センサBによって供給される生の信号」を「処理」し、「ハウジングを有している」「インターフェースモジュールD」は、本件発明1の「処理筐体と、前記処理筐体内に設置される処理器とを有し、前記センサユニットと別体に構成される処理ユニット」に相当する。

(ケ)引用発明2において、「キャリッジ上の光学式センサB、フレキシブルプリントC、および、ハウジングを有しているD-Sub 9コネクター付きのインターフェースモジュールDの構成からなる光学式のインクリメンタル測定システム」「を含むMINISCALE PLUSと、制御ケーブルEとを有する装置」は、上記「(オ)」より、「光学式センサB」と「インターフェースモジュールD」が別体で構成されている装置であるから、本件発明1の「分離式センサ装置」に相当する。

(コ)上記「(ア)」、「(イ)」、「(ケ)」より、引用発明2において、「リニアスケールを構成する」「キャリッジ上の光学式センサB」「を有する装置」は、本件発明1の「直線伝動素子に設置される分離式センサ装置」に相当する。

(サ)引用発明2において、「光学式センサBによって供給される生の信号をインターフェースモジュールDに送信するために、光学式センサBとインターフェースモジュールDとの間に電気的に接続されて」いる「フレキシブルプリントC」は、「前記センサユニットの前記センサと前記処理ユニットの前記処理器との間に電気的に接続される接続ユニット」に相当する。

(シ)引用発明2において、「インターフェースモジュールDのD-Sub 9コネクターと、制御ケーブルEのD-Sub 9コネクターとが接続されており、アナログインターフェースモジュール出力である4相信号Ua1-、4相信号Ua2-、基準信号Ua0、4相信号Ua1+、4相信号Ua2+、基準信号Ua0+が、制御ケーブルEを介してインターフェースモジュールDから顧客の制御システムに出力され、供給電圧+5V DCが、制御ケーブルEを介して顧客の制御システムからインターフェースモジュールDに入力されている」ことは、「インターフェースモジュールD」の処理器と、「顧客の制御システム」との間で、「4相信号Ua1-、4相信号Ua2-、基準信号Ua0、4相信号Ua1+、4相信号Ua2+、基準信号Ua0+」、および、「供給電圧+5V DC」の入出力を行っており、該入出力を行うために、「制御ケーブルE」を介して「インターフェースモジュールD」の処理器と「顧客の制御システム」とを電気的に接続していることを意味する。
してみると、引用発明2において、「インターフェースモジュールD」の処理器と「顧客の制御システム」とを電気的に接続する「制御ケーブルE」は、本件発明1の「前記処理ユニットの前記処理器と外部装置との間に電気的に接続される伝送ユニット」に相当する。

以上の対比の結果をまとめると、本件発明1と引用発明2の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「直線伝動素子に設置される分離式センサ装置であって、
センサ筐体と、前記センサ筐体内に設置されるセンサとを有し、前記直線伝動素子の移動部材に設置されるセンサユニットと、
処理筐体と、前記処理筐体内に設置される処理器とを有し、前記センサユニットと別体に構成される処理ユニットと、
前記センサユニットの前記センサと前記処理ユニットの前記処理器との間に電気的に接続される接続ユニットと、
前記処理ユニットの前記処理器と外部装置との間に電気的に接続される伝送ユニットと、を主に含む
分離式センサ装置。」

<相違点>
本件発明1は、「前記センサは、温度又は振動センサである」のに対して、引用発明2は、センサが「光学式センサB」である点。

本件発明1と引用発明2は上記相違点において相違するので、本件発明1は、引用発明2に記載された発明ではない。

イ 本件発明1の進歩性について
上記相違点について検討する。
引用発明2の「光学式センサB」は、ガイドレール上の「寸法目盛りA」とともに「リニアスケール」を構成するものであって、前記「寸法目盛りA」を光学的に読み取るためのものであるから、目盛りを読み取る機能を持たない温度センサや振動センサでこれを代替することはできない。
したがって、本件発明1は、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 本件発明5の新規性進歩性について
本件発明5は、本件発明1が備える構成を全て備えるものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和2年12月18日付け意見書において、「そもそも、特許権者は、引用文献1の細かい記載を指摘して反論していますが、引用文献1に開示された装置に用いられるセンサについて、引用文献1は「光学式センサ」を例示しているだけであり、「温度又は振動センサ」の適用を排除してはいません。また、上記のように、本件特許に係る分離式センサ装置と同一又は近接した技術分野に属する装置に対して適用されるセンサについて、「温度又は振動センサ」を用いることは、異議申立書に添付した甲第3号証ないし甲第6号証に記載された周知慣用技術です。これらの周知慣用技術を引用文献1や2に適用して訂正後の請求項1および5を創案することは当業者にとって容易なことであると思料します。」(5ページ4-13行)と主張している。
しかしながら、引用発明1及び2における「光学式センサB」は、「寸法目盛りA」を光学的に読み取るためのものであるから、単なる例示ではなく、目盛りを読み取る機能を持たない温度センサや振動センサでこれを代替することはできない。そして、甲第3号証?甲第6号証を参酌しても、目盛りを光学的に読み取るための光学式センサを温度センサや振動センサで代替することが周知技術であったとは認められない。
よって、特許異議申立人の主張は採用できない。

(4)小括
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由により、本件発明1、5に係る特許を取り消すことはできない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立人が提出した証拠とその理由の概要
(1)証拠
甲第1号証:シュネーベルガー社の製品カタログ,“MINI-X”, [online], 2017年, [令和1年7月15日検索],インターネット
<URL:https://www.schneeberger.com/fileadmin/documents/downloadcenter/01_product_catalogues_company_brochures/01_Linear-_and_profiled_guideways/02_Miniature_guideways/MINI-X_Product_catalogue_EN.pdf>
甲第2号証:特開2017-133919号公報
甲第3号証:特開2004-108401号公報
甲第4号証:加藤将人,“高速静音ボールねじの開発”,NSK TECHNICAL JOURNAL,日本精工株式会社,2003年12月15日発行,No.676,p.26-32
甲第5号証:特許第5911761号公報
甲第6号証:特許第4710455号公報

(2)理由の概要
ア 申立ての理由(その1)
本件訂正前の請求項1、5に係る発明は、甲第1号証に基づいて、若しくは、甲第1号証と甲第2号証及び甲第5号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

イ 申立ての理由(その2)
本件訂正前の請求項1、5に係る発明は、甲第2号証と、甲第3号証?甲第6号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

2 当審の判断
(1)申立ての理由(その1)について
甲第1号証は、シュネーベルガー社のホームページ上に掲載されていたPDF形式の製品カタログとして示されたものであるが、この決定をした時点では、特許異議申立人が示した上記URLにおいて甲第1号証を閲覧することはできない。
仮に、甲第1号証が本件特許の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能であったとしても、甲第1号証は引用文献1と同じ内容を含むものであるから、本件発明1と甲第1号証に記載された発明(以下「甲1発明」という。)の一致点及び相違点は、前記第4の3(1)アで検討したのと同様である。そして、前記第4の3(1)イ及びウで検討したのと同様に、本件発明1及び5は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、目盛りを光学的に読み取るための光学式センサを温度センサや振動センサで代替することは、甲第2号証及び甲第5号証において記載や示唆がされたものではないので、本件発明1及び5が、甲1発明と甲第2号証及び甲第5号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(2)申立ての理由(その2)について
ア 甲第2号証について
(ア)甲第2号証には、以下の記載がある。(下線は当審が付した。)

「【0013】
図1から図6を参照する。本実施形態に係るセンサーAは、台座10と、電気接続ポート20と、センシングユニット30と、感触ポート40と、封止蓋50と、を含む。」

「【0016】
センシングユニット30は、台座10に設けられており、電気接続ポート20と電気的に接続し、少なくとも二種類の物理量センサーと、整合回路基板33と、を含む。前記物理量センサーは、温度センサー、振動センサー、フラックスセンサー、又は距離センサーである。
本実施形態に係るセンシングユニット30は、二種類の物理量センサーを同時に有する。これらは、温度センサー31及び振動センサー32である。温度センサー31及び振動センサー32は、整合回路基板33と電気的に接続し信号を整合する。」

「【0022】
センサーAを直線伝動装置Bに組付ける際の組付け方式は、図7から図12に示すように、センサーAが感触ポート40を直線伝動装置Bに押し付ける。図7及び図8に示すように、直線伝動装置BがボールねじB1である場合には、センサーAが感触ポート40をボールねじB1のナットB11に押し付ける。図9及び図10に示すように、直線伝動装置BがリニアガイドウェーB2である場合には、センサーAが感触ポート40をリニアガイドウェーB2のブロックB21に押し付ける。図11及び図12に示すように、直線伝動装置Bが軸受B3である場合には、センサーAが感触ポート40を軸受B3に押し付ける。
【0023】
センサーが組み付けられている直線伝動装置は、直線伝動装置BにセンサーAを直接に組付けるため、直線伝動装置B自体の稼動による物理量の変化を直接かつ精確に測定可能である。
本実施形態では、更に、計算ユニットCが組み付けられている。計算ユニットCが電気接続ポート20と電気的に接続するため、センシングユニット30でセンシングするデータが電気接続ポート20にキャプチャされて、計算ユニットCがそれを計算すると、モニター値を得ることができる。計算した後、数値が異常である場合には、警告を即時に発する。
【0024】
本実施形態に係るセンサーAのセンシングユニット30は、温度センサー31及び振動センサー32の整合回路を含むため、直線伝動装置Bに関連する複数の稼動数値をセンシングして算出可能である。これらの稼動数値は下記に説明する。
【0025】
計算ユニットCにより、センシングユニット30の振動センサー32の振動信号を持続にキャプチャして、特徴オーダートラッキング法により、直線伝動装置Bの即時のバックラッシュ量の変化を求めることが可能である。これにより、稼動中に、直線伝動装置Bのバックラッシュ量を即時に測定可能であり、バックラッシュ量が異常になると、警告を即時に発し、バックラッシュ量を即時に調整可能である。このため、精確にモニターすることが可能となる。
【0026】
計算ユニットCにより、センシングユニット30の振動信号を持続にキャプチャして、極限値分析により振動量を即時に測定する。これにより、稼動中に、直線伝動装置Bの振動量を即時に測定可能であり、振動量が異常になると、警告を即時に発し、異常を即時に排除可能である。このため、精確にモニターすることが可能となる。
【0027】
計算ユニットCにより、固定の時間区間において、センシングユニット30の温度センサー31の温度信号をキャプチャして、計算法により熱変位を算出する。これにより、稼動中に、直線伝動装置Bの温度上昇量を即時に測定可能であり、温度上昇量が異常になると、警告を即時に発し、異常を即時に排除可能である。このため、精確にモニターすることが可能となる。
【0028】
計算ユニットCにより、センシングユニット30の振動センサー32の振動信号を持続的にキャプチャして、計算法により振動エネルギーによって油量が充分であるかどうかを計算して判断する。これにより、稼動中に、直線伝動装置Bの油量が充分であるかどうかを即時にモニターすることが可能であり、油量が不足になると、即時に注油する。このため、潤滑を確保することが可能であり、直線伝動装置Bを正常に稼動可能である。」

「【図1】



「【図8】



「【図10】



(イ)前記(ア)の記載をまとめると、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

「直線伝動装置Bに組み付けられるセンサーAであって(【0022】)、
前記センサーAは、台座10と、電気接続ポート20と、センシングユニット30と、感触ポート40と、封止蓋50と、を含み(【0013】)、
前記センシングユニット30は、前記台座10に設けられており、前記電気接続ポート20と電気的に接続し、温度センサー31及び振動センサー32を有し、かつ、前記温度センサー31及び振動センサー32は整合回路基板33と電気的に接続され(【0016】)、
直線伝動装置BがボールねじB1である場合には、前記センサーAの前記感触ポート40がボールねじB1のナットB11に押し付けられ、直線伝動装置BがリニアガイドウェーB2である場合には、前記センサーAの前記感触ポート40がリニアガイドウェーB2のブロックB21に押し付けられ(【0022】)、
前記センサーAの前記電気接続ポート20は、計算ユニットCと電気的に接続され、前記センシングユニット30でセンシングしたデータが前記電気接続ポート20にキャプチャされて、前記計算ユニットCがそれを計算すると、モニター値を得ることができ(【0023】)、
前記計算ユニットCにより、前記振動センサー32の振動信号をキャプチャしてバックラッシュ量の変化を求め、振動量を測定し、油量が充分であるか判断し、かつ、前記温度センサー31の温度信号をキャプチャして熱変位を算出する(【0025】?【0028】)、
センサーA。」

イ 対比・判断
本件発明1と甲2発明を対比すると、以下のとおりである。

(ア)甲2発明の「直線伝動装置B」は、本件発明1の「直線伝動素子」に相当し、甲2発明の「センサーA」と本件発明1の「分離式センサ装置」は、「センサ装置」である点で共通する。
そうすると、甲2発明と本件発明1は、「直線伝動素子に設置されるセンサ装置」である点で共通する。

(イ)甲2発明の「台座10」、「温度センサー31及び振動センサー32」及び「センシングユニット30」は、それぞれ、本件発明1の「センサ筐体」、「(温度又は振動センサである)センサ」及び「センサユニット」に相当する。
そして、甲2発明の「センシングユニット30」は、「感触ポート40」が押し付けられることにより、「直線伝動装置B」の移動部材である「ナットB11」又は「ブロックB21」に組み付けられるから、甲2発明と本件発明1は、「センサ筐体と、前記センサ筐体内に設置されるセンサとを有し、前記直線伝動素子の移動部材に設置されるセンサユニットであって、前記センサは、温度又は振動センサである、センサユニット」を含む点で共通する。

(ウ)甲2発明の「電気接続ポート20」でキャプチャされるデータは、「センシングユニット30でセンシングしたデータ」であって、「計算ユニットC」で計算してモニター値を得ることができ、振動量や熱変位等を算出することができるようなデータである。よって、「電気接続ポート20」でキャプチャされるデータは、「計算ユニットC」で演算ができるように、「温度センサー31及び振動センサー32」で検出した生データに何らかの信号処理を施したものであると認められる。
そうすると、甲2発明の「センシングユニット30」が何らかの信号処理回路を有することは自明であり、当該信号処理回路は、本件発明1の「処理器」に相当する。

(エ)甲2発明の「計算ユニットC」は、本件発明1の「外部装置」に相当する。そして、甲2発明の「計算ユニットC」と「センサーA」の「電気接続ポート20」を電気的に接続する配線は、本件発明1の「伝送ユニット」に相当する。

以上の対比の結果をまとめると、本件発明1と甲2発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「直線伝動素子に設置されるセンサ装置であって、
センサ筐体と、前記センサ筐体内に設置されるセンサとを有し、前記直線伝動素子の移動部材に設置されるセンサユニットであって、前記センサは、温度又は振動センサである、センサユニットと、
処理器と、
前記処理器と外部装置との間に電気的に接続される伝送ユニットと、を主に含む
センサ装置。」

<相違点>
本件発明1は、「処理筐体と、前記処理筐体内に設置される処理器とを有し、前記センサユニットと別体に構成される処理ユニット」を有する「分離式センサ装置」であるのに対して、甲2発明は、「処理器」を有するものの、当該「処理器」は、「センシングユニット30」と別体のユニットとして構成されていないため、「分離式センサ装置」とはいえない点。

上記相違点について検討する。
甲第3号証及び甲第4号証には、直線伝動素子であるボールねじに設けられた振動センサと増幅回路を配線で電気的に接続した構成が記載されているが、振動センサにおいて何ら信号処理が施されていないとはいえないので、「センサユニット」と「処理ユニット」を別体で構成するという上記相違点に係る構成は、甲第3号証及び甲第4号証において記載や示唆がされたものではない。
甲第5号証及び甲第6号証には、車両用軸受装置に設けられたセンサユニットと信号処理回路を配線で電気的に接続した構成が記載されているが、センサユニットにおいて何ら信号処理が施されていないとはいえないので、「センサユニット」と「処理ユニット」を別体で構成するという上記相違点に係る構成は、甲第5号証及び甲第6号証において記載や示唆がされたものではない。また、車両用軸受装置は直線伝動素子ではない。
したがって、上記相違点に係る構成は、甲第3号証?甲第6号証のいずれにも記載や示唆がされていないから、本件発明1は、甲2発明と甲第3号証?甲第6号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本件発明5は、本件発明1が備える構成を全て備えるものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、甲2発明と甲第3号証?甲第6号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 小括
前記2で検討したとおり、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由により、本件発明1、5に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由に照らしても、本件発明1、5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1、5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。


 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線伝動素子に設置される分離式センサ装置であって、
センサ筐体と、前記センサ筐体内に設置されるセンサとを有し、前記直線伝動素子の移動部材に設置されるセンサユニットであって、前記センサは、温度又は振動センサである、センサユニットと、
処理筐体と、前記処理筐体内に設置される処理器とを有し、前記センサユニットと別体に構成される処理ユニットと、
前記センサユニットの前記センサと前記処理ユニットの前記処理器との間に電気的に接続される接続ユニットと、
前記処理ユニットの前記処理器と外部装置との間に電気的に接続される伝送ユニットと、を主に含む
分離式センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分離式センサ装置であって、
前記センサ筐体は、収容座と、封止蓋と、を有し、
前記センサは、前記収容座内に設置され、
前記封止蓋は、前記収容座の一端を封止するように設けられ、
前記収容座は、収容部と、前記収容部の一端から外向きに突出する外伸部と、を有し、
前記センサは、前記外伸部内に位置し、
前記収容座は、前記直線伝動素子の前記移動部材に固定接続され、
前記移動部材は、凹陥形成された伸入溝を有し、
前記外伸部は、前記伸入溝内に入り込む
分離式センサ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分離式センサ装置であって、
前記センサユニットの前記センサ筐体は、前記移動部材の軸方向の面に固定接続される
分離式センサ装置。
【請求項4】
請求項2に記載の分離式センサ装置であって、
前記センサユニットの前記センサ筐体は、前記移動部材の径方向の面に固定接続される
分離式センサ装置。
【請求項5】
請求項1に記載の分離式センサ装置であって、
前記センサは、センサ回路基板と、センサチップと、を有し、
前記センサ回路基板は、前記センサ筐体内に設置され、
前記センサチップは、前記センサ回路基板に設置され、
前記処理器は、処理回路基板と、処理チップと、を有し、
前記処理回路基板は、前記処理筐体内に設置され、
前記処理チップは、前記処理回路基板に設置され、
前記処理チップは、演算に用いられる
分離式センサ装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-01-28 
出願番号 特願2018-22817(P2018-22817)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (G08C)
P 1 652・ 113- YAA (G08C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 深田 高義  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 濱野 隆
岸 智史
登録日 2019-05-17 
登録番号 特許第6526271号(P6526271)
権利者 上銀科技股▲分▼有限公司
発明の名称 分離式センサ装置  
代理人 猪俣 宏史  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 宮崎 修  
代理人 特許業務法人湘洋内外特許事務所  
代理人 特許業務法人湘洋内外特許事務所  
代理人 猪俣 宏史  
代理人 大貫 進介  
代理人 宮崎 修  
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