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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08J
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08J
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08J
管理番号 1372699
異議申立番号 異議2020-700158  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-03-05 
確定日 2021-02-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6582142号発明「発泡成形用マスターバッチ及び発泡成形体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6582142号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-9]について訂正することを認める。 特許第6582142号の請求項1、3ないし9に係る特許を維持する。 特許第6582142号の請求項2に係る特許に対する特許異議申立を却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6582142号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)9月28日(優先権主張 平成29年10月13日)を国際出願日とする出願であって、令和1年9月6日にその特許権の設定登録(請求項の数9)がされ、同年同月25日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許に対し、令和2年3月5日に特許異議申立人 加藤浩志(以下、「特許異議申立人A」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:全請求項)がされ、同年同月18日に特許異議申立人 彦野友子(以下、「特許異議申立人B」という。)により特許異議の申し立て(対象請求項:全請求項)がされ、同年6月12日付けで取消理由が通知され、同年8月7日に特許権者 積水化学工業株式会社(以下、「特許権者」という。)より意見書の提出及び訂正の請求がされ、同年9月8日に訂正請求書の補正書が提出され(以下、当該訂正の請求及び訂正請求書の補正をあわせて「本件訂正請求」という。)がされ、同年10月5日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨の通知を特許異議申立人に行ったところ、同年同月27日に特許異議申立人Bより意見書の提出があり、同年11月6日に特許異議申立人Aより意見書の提出があったものである。

第2 訂正の可否についての判断

1 訂正の内容

本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所について合議体が付したものである。)

(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「前記オレフィン系エラストマーは、融点が50?120℃であり」を、「前記オレフィン系エラストマーは、融点が50?120℃、メルトインデックスが2?20g/10分であり」と訂正する。
あわせて、請求項1の記載を直接あるいは間接的に引用する、請求項3ないし9についても同様に訂正する。

(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3ないし9において、引用する請求項から、請求項2を削除する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1) 訂正事項1について
訂正事項1に係る請求項1の訂正は、オレフィン系エラストマーに関し、メルトインデックスが2?20g/10分であることを限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、オレフィン系のエラストマーについて、「メルトインデックスが2?20g/10分」であることは、明細書の段落【0016】に記載されている。
してみると、訂正事項1に係る請求項1に係る訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
請求項1の記載を直接あるいは間接的に引用する、請求項3ないし9についても同様である。

(2) 訂正事項2について
訂正事項2に係る請求項2の訂正は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項2に係る請求項2に係る訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。

(3) 訂正事項3について
訂正事項3に係る請求項3ないし9の訂正は、請求項3ないし9それぞれにおいて、引用する請求項から請求項2を削除するものである。
当該訂正は、訂正事項2の請求項2の削除にともなうものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項3に係る請求項3ないし9に係る訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。

(4) まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-9]について訂正することを認める。

第3 本件発明

上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし9に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいう。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
ベースレジン、熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡成形用マスターバッチであって、
真比重が0.80g/cm^(3)以上であり、
前記ベースレジンは、オレフィン系エラストマーを含有し、
前記オレフィン系エラストマーは、融点が50?120℃、メルトインデックスが2?20g/10分であり、
前記ベースレジン100重量部に対して、前記熱膨張性マイクロカプセルを40?300重量部含有する
ことを特徴とする発泡成形用マスターバッチ。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
熱膨張性マイクロカプセルは、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、
前記シェルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)を含有するモノマー混合物を重合させてなる重合体からなる
ことを特徴とする請求項1記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項4】
前記シェルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40?90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5?50重量%とを含有するモノマー混合物を重合させてなる重合体からなる
ことを特徴とする請求項1又は3記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項5】
モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40?90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5?50重量%とを含有し、かつ、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しないことを特徴とする請求項1、3又は4記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項6】
モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40?90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5?50重量%と、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)0.2重量%以下、もしくは/かつ、金属カチオン水酸化物(IV)0.1?10重量%とを含有することを特徴とする請求項1、3又は4記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項7】
モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40?90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5?50重量%と、金属カチオン水酸化物(IV)0.1?10重量%とを含有し、かつ、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しないことを特徴とする請求項1、3又は4記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項8】
熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度が180℃以上であることを特徴とする請求項1、3、4、5、6又は7記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項9】
請求項1、3、4、5、6、7又は8記載の発泡成形用マスターバッチを用いてなることを特徴とする発泡成形体。」


第4 特許異議申立書に記載された特許異議申立理由について

1 特許異議申立人Aが主張する特許異議申立理由について
特許異議申立人Aが特許異議申立書において、請求項1ないし9に係る特許に対して申し立てた特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。

申立理由A1-1(新規性欠如) 本件特許の請求項1ないし3、8及び9に係る発明は、甲第A-1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

申立理由A1-2(新規性欠如) 本件特許の請求項1ないし3、8及び9に係る発明は、甲第A-12号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

申立理由A2-1(進歩性欠如) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、甲第A-1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

申立理由A2-2(進歩性欠如) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、甲第A-12号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

<証拠方法>
甲第A-1号証:特開平10-212372号公報
甲第A-2号証:特開2002-105247号公報
甲第A-3号証:「Expancel○R(合議体注:「○R」は○の中にRの
記号を表す。以下同じ。)|熱膨張マイクロカプセル
」、[online]、日本フィライト株式会社、インターネ
ット<URL:http://www-fillite.com/product/expance
l.html>、2010年
甲第A-4号証:特開平10-231379号公報
甲第A-5号証:特開平10-158428号公報
甲第A-6号証:"EXPANCEL○R Microspheres, Product Specificati
on, EXPANCEL DU"(カタログ)、AKZO NOBEL、200
7年6月
甲第A-7号証:特開2013-213077号公報
甲第A-8号証:特開2014-70102号公報
甲第A-9号証:特開2014-70198号公報
甲第A-10号証:特開2017-82244号公報
甲第A-11号証:特開2009-203451号公報
甲第A-12号証:特開2000-17103号公報
甲第A-13号証:特表2010-539289号公報
甲第A-14号証:プラスチック加工技術便覧編集委員会編、「プラス
チック加工技術便覧」、新版11刷、日刊工業新聞
社、昭和63年6月20日、p.69-70
甲第A-15号証:大木道則・大沢利昭・田中元治・千原秀昭編、「化
学大辞典」、第1版、株式会社東京化学同人、1989
年10月20日、p.2358
なお、甲号証の記載は、おおむね特許異議申立書の記載にしたがった。

2 特許異議申立人Bが主張する特許異議申立理由について
特許異議申立人Bが特許異議申立書において、請求項1ないし9に係る特許に対して申し立てた特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。

申立理由B1(新規性欠如) 本件特許の請求項1、3ないし6、8及び9に係る発明は、甲第B-3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

申立理由B2-1(進歩性欠如) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、甲第B-1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

申立理由B2-2(進歩性欠如) 本件特許の請求項2及び7に係る発明は、甲第B-3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

申立理由B3(サポート要件違反) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

なお、申立理由B3の具体的理由は次のとおりである。
「本件特許発明1?9について、
本件特許発明の実施例では、モノマー(I)50重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)30重量%と、金属カチオン水酸化物(IV)1.5重量%とを含有し、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含まない熱膨張性マイクロカプセル(表1の○1(合議体注:「○数字」は○の中に数字の記号を表す。以下同じ。)、○2)を含有するマスターバッチが例示されているのみである。表1の熱膨張性マイクロカプセル○3は本件特許発明3に記載されている熱膨張性マイクロカプセルであるが、比較例5に示されているように、課題を解決できていない。また、本件特許発明4?6に記載されている熱膨張性マイクロカプセルによる実施例はなく、本件特許発明7に記載されている構成の熱膨張性マイクロカプセルは表○1、○2に示されているものの、限定された組成比のみである。一般に重合体の性状は、構成されるモノマーの含有割合によっても大きく変動することは当該技術分野の技術常識であるため、本発明の課題を解決する詳細な記載がなく不明確である。
よって、本件特許発明1?9は、発明の課題を解決できない範囲及び拡張された範囲を含んでいる。」

<証拠方法>
甲第B-1号証:特開2000-17103号公報
甲第B-2号証:特開2009-120660号公報
甲第B-3号証:特開2015-21066号公報
甲第B-4号証:特開平10-212372号公報
甲第B-5号証:ダウケミカル社「ENGAGE」カタログ(2015
年版)
甲第B-6号証:Vistamaxx performance po
lymer カタログ(2016年6月)
なお、甲号証の記載は、おおむね特許異議申立書の記載にしたがった。
また、甲第B-1号証は甲第A-12号証と同じものである。

第5 取消理由通知に記載した取消理由について

請求項1ないし9に係る特許に対して、当審が令和2年6月12日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。(なお、特許異議申立理由のうち、申立理由A1-1、A1-2、A2-1、A2-2、B2-1はいずれも、取消理由に包含される。)

取消理由1-1(新規性欠如) 本件特許の請求項1ないし3、8及び9に係る発明は、甲第A-1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

取消理由1-2(新規性欠如) 本件特許の請求項1ないし3、8及び9に係る発明は、甲第A-12号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

取消理由2-1(進歩性欠如) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、甲第A-1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

取消理由2-2(進歩性欠如) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、甲第A-12号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

第6 当審の判断

1 取消理由についての判断

(1) 主な引用文献の記載事項等

ア 甲第A-1号証の記載事項及び甲第A-1号証に記載された発明

(ア) 甲第A-1号証の記載事項

甲第A-1号証には、次の事項が記載されている。(下線については、もとの記載において付されている箇所に加え、当審においても付与した箇所がある。以下同様。)

「【請求項10】 熱可塑性樹脂からなる殻とこの殻の内部に閉じ込められる熱膨張性物質とで構成された熱膨張性マイクロスフェアと、シングルサイト触媒を用いて合成されたポリエチレン系熱可塑性ポリマーを主材とするベース材とで構成される発泡マスターバッチ。」

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱膨張性マイクロスフェアを主成分とする発泡マスターバッチ、及びそのような発泡マスターバッチの製造方法に関する。」

「【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑みなされたものであり、低融点でベタツキ成分が少なく、かつ成形母材に対する混合性・親和性がよいベース材を選択し、このベース材を用いて発泡成形性に優れた使い勝手のよい発泡マスターバッチを提供することを目的とする。」

「【0049】本発明にかかるベース材としては、上記したシングルサイト触媒を用いて合成されたポリエチレン系熱可塑性ポリマーを使用し、具体的には例えばダウ・ケミカル日本 (株) 社製の商品名AFFINITYやENGAGE(エチレン・オクテン・コポリマー)を使用する。」

「【0052】他方、発泡マスターバッチのもう一方の主材であるマイクロスフェアとしては、各種のマイクロスフェアが使用可能であるが、一般には殻がアクリロニトリルを含むコポリマーで形成され、その内部にイソペンタン又はイソブタンを閉じ込めたマイクロカプセル(マイクロスフェア)を使用する。アクリロニトリルを含むコポリマーは、熱可塑性および強度・伸度の面で優れ、またイソペンタンやイソブタンは膨張率及び膨張圧力の面で優れ、この種の発泡マスターバッチの主材として好適だからである。」

「【0069】
【実施例】以下実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0070】〔実施例1〕熱膨張性マイクロスフェアとしては、エクスパンセル社製のエクスパンセル092DU-120(粒度3-50μm、相対密度1.2g/cc、膨張開始温度118-126℃、破壊温度188-195℃)を用意した。また、シングルサイト触媒を用い合成したポリエチレン系ポリマーとしては、ダウ・ケミカル日本(株) 社製のENGAGE SM8400(密度0.870g/cc、コモノマー重度24%、DSCピーク融点63.3℃)を用意した。
【0071】上記ENGAGE SM8400を70Kg、流動パラフィンを0.2Kg、エクスパンセル092DU-120を30Kgの順に容量500Lのスーパーミキサー( (株) カタワ製)に投入し、60℃以上に温度上昇しない攪拌速度(約360rpm)で約1分間の混合を行った。
【0072】次いで、上記で混合したものを2軸スクリュー押し出し機(池貝 (株) 社製;GT-110)に入れ、スクリュー回転数30rpm、ダイス部の温度90℃の条件で混練し直径3?3.5mmに押し出した。そして、ダイスから押し出したものは、ダイス出口に取り付けた回転ハンマーで直ちにホットカットした。更に、ホットカット直後のペレットは、6角形の回転体を備えたペレットクーラーに入れ、回転させながら50℃以下の温度になるまで冷却した。ホットカット直後のペレットの温度は溶融温度に近く、そのままでは相互にくっついてしまうからである。
【0073】以上のようにして、直径3?3.5mm、長さ2mm?4mmの本発明にかかる発泡マスターバッチペレットを作製した。なお、発泡マスターバッチペレットのサイズは、発泡成形を行う相手樹脂(母材)のペレットサイズに合わせるのがよい。ペレットサイズが同様であると、ドライブレンドが容易になるからである。
【0074】上記で作製した発泡マスターバッチペレット1Kgを、マルチサイト触媒を用い合成された従来型のポリプロピレン樹脂( (株) トクヤマ MS670)10Kgとをドライブレンドした後、射出成形(ノズル温度約165℃、金型温度40?80℃)し発泡成形品を作製し、その性状を観察した。その結果、外観状態は良好であり、また破断面のルーペ観察により均一かつ良好な発泡状態が観察された。
【0075】〔実施例2〕熱膨張性のマイクロスフェアとしては、前記エクスパンセル092DU-120を用い、他方、シングルサイト触媒を用い合成したポリエチレン系ポリマーとしては、前記ENGAGE SM8400に代えて、ダウ・ケミカル日本 (株)社製のAFFINITY SM1250(密度0.885g/cc、コモノマー重度19%、DSCピーク融点85.3℃)を用い、更にパラフィンオイルおよび水を添加した表1に示す組成の発泡マスターバッチを作製した。
【0076】
【表1】

【0077】この実施例2の発泡マスタバッチでは、前記ENGAGE SM8400(DSCピーク融点63.8℃)よりも融点の高いAFFINITY SM1250(DSCピーク融点85.3℃)を用いた。このため、ダイス部の温度を100℃(実施例1では90℃)として混練した。そして、混練時の温度によりマイクロスフェアが事前膨張してその性能が劣化するのを防止するために、混合物に2重量%の水を添加した。この水は、混合物がダイスより押し出された時に蒸発して気化熱を奪う。よって、発泡マスターバッチペレットの温度が急速に低下するので、エクスパンセル092DU-120の熱劣化(事前膨張)が防止できる。なお、この水は気化してしまうので、ぺレット中に残留することはない。
【0078】このようにして作製した実施例2にかかる発泡マスターバッチペレットを用い、実施例1と同様にして発泡成形品を作製し、その性状を調べた。その結果、良好な発泡成形品が得られることが確認された。」

(イ) 甲第A-1号証に記載された発明

(ア)の記載、特に、請求項1及び実施例1の記載を中心に整理すると、甲第A-1号証には以下の発明が記載されていると認める。

「熱可塑性樹脂からなる殻とこの殻の内部に閉じ込められる熱膨張性物質とで構成された熱膨張性マイクロスフェアと、シングルサイト触媒を用いて合成されたポリエチレン系熱可塑性ポリマーを主材とするベース材とで構成される発泡マスターバッチであって、
前記ベース材は、ダウ・ケミカル日本(株) 社製のENGAGE SM8400(密度0.870g/cc、コモノマー重度24%、DSCピーク融点63.3℃)であり、
前記熱膨張性マイクロスフィアは、スパンセル092DU-120(粒度3-50μm、相対密度1.2g/cc、膨張開始温度118-126℃、破壊温度188-195℃)であり、
ENGAGE SM8400を70Kg、流動パラフィンを0.2Kg、エクスパンセル092DU-120を30Kgを含有する
発泡マスターバッチ。」(以下、「甲A-1発明」という。)

イ 甲第A-4号証の記載事項

甲第A-4号証には、次の事項が記載されている。

「【0063】上記製造方法においては、ポリエチレン系熱可塑性ポリマーとして、例えばダウ・ケミカル日本 (株) 社製の商品名AFFINITYやENGAGE(エチレン・オクテン・コポリマー)を使用できる。より詳細には、例えばAFFINITY SM1250やENGAGE SM8400が好適に使用できる。これらは、熱膨張性マイクロスフェアの膨張開始温度に対し十分に低い融点を有しているからである。
【0064】なお、AFFINITY SM1250は、密度0.885gm/cc、コモノマー重合度19%、メルトインデックス30g/10分、DSC融点温度85.3℃という諸物性値を有するものであり、ENGAGE SM8400は、密度0.870gm/cc、コモノマー重合度24%、メルトインデックス30g/10分、DSC融点温度63.3℃という諸物性値を有する。」

ウ 甲第A-11号証の記載事項

甲第A-11号証には、次の事項が記載されている。

「【請求項2】
熱膨張性マイクロカプセルは、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、前記シェルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40?90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3??8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5?50重量%とを含有するモノマー混合物を重合させてなる重合体からなることを特徴とする請求項1記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項3】
モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40?90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5?50重量%とを含有し、かつ、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しないことを特徴とする請求項2記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項4】
モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40?90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5?50重量%と、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)0.2重量%以下と、金属カチオン塩(IV)0.1?10重量%とを含有することを特徴とする請求項2記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項5】
モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40?90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5?50重量%と、金属カチオン塩(IV)0.1?10重量%とを含有し、かつ、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しないことを特徴とする請求項2記載の発泡成形用マスターバッチ。」

「【0001】
本発明は、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等にも好適に使用可能であり、発泡倍率が高く、発泡倍率のバラツキも少ない発泡成形体を得ることが可能な発泡成形用マスターバッチに関する。また、該発泡成形用マスターバッチを用いた発泡成形体に関する。」

「【0014】
上記モノマー混合物中の重合性モノマー(I)の含有量の好ましい下限は40重量%、好ましい上限は90重量%である。上記モノマー混合物中の重合性モノマー(I)の含有量が40重量%未満であると、シェルのガスバリア性が低くなるため発泡倍率が低下することがある。上記モノマー混合物中の重合性モノマー(I)の含有量が90重量%を超えると、耐熱性が上がってこないことがある。上記モノマー混合物中の重合性モノマー(I)の含有量のより好ましい下限は50重量%、より好ましい上限は80重量%である。」

「【0016】
上記モノマー混合物中における、上記カルボキシル基を有し、炭素数3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)に由来するセグメントの含有量の好ましい下限は5重量%、好ましい上限は50重量%である。上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)に由来するセグメントの含有量が5重量%未満であると、最大発泡温度が190℃以下となることがあり、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)に由来するセグメントの含有量が50重量%を超えると、最大発泡温度は向上するものの、発泡倍率が低下する。上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)に由来するセグメントの含有量のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は40重量%である。」

「【0019】
上記モノマー混合物(1)は、上記モノマー混合物中に分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しない。上記重合性モノマー(III)は、一般的に架橋剤として用いられているものである。
上記モノマー混合物(1)では、上記重合性モノマー(I)とラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)とを所定量含有するモノマー混合物を用いることで、充分な強度を有するシェルが得られることから、上記モノマー混合物中に分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しない場合でも、優れた耐剪断性、耐熱性、発泡性を有する熱膨張性マイクロカプセルとすることができる。上述のように充分な強度を有する理由は明確でないが、カルボキシル基同士の脱水縮合反応による架橋が関係していると考えられる。
また、上記重合性モノマー(III)を添加した場合、熱膨張性マイクロカプセルの粒子形状が歪なものとなり、結果として嵩比重が低下してしまう。嵩比重が低下してしまうと、次工程において、特に押出成形を用いてマスターバッチペレットを製造する場合に、熱膨張性マイクロカプセルの粒子に剪断がかかりやすくなるため、安定したマスターバッチが作れず、その後に射出成形等を用いて発泡成形を行う場合に、発泡倍率にバラツキが生じやすくなる。」

「【0025】
上記モノマー混合物(2)中における、上記重合性モノマー(III)の含有量の好ましい上限は0.2重量%である。上記重合性モノマー(III)を0.2重量%を超えて添加した場合、熱膨張性マイクロカプセルの粒子形状が歪なものとなり、結果として嵩比重が低下してしまう。嵩比重が低下してしまうと、次工程において、特に押出成形を用いてマスターバッチペレットを製造する場合に、熱膨張性マイクロカプセルの粒子に剪断がかかりやすくなるため、安定したマスターバッチが作れず、その後に射出成形等を用いて発泡成形を行う場合に、発泡倍率にバラツキが生じやすくなる。本発明では、上記重合性モノマー(III)の含有量を0.2重量%以下とすることで、嵩比重の低下を防止することができる。上記重合性モノマー(III)の含有量の好ましい下限は0重量%、より好ましい上限は0.1重量%である。」

「【0029】
上記モノマー混合物(2)中における、上記金属カチオン塩(IV)の含有量の好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限が10重量%である。上記金属カチオン塩(IV)の含有量が0.1重量%未満であると、耐熱性に効果が得られないことがあり、上記金属カチオン塩(IV)の含有量が10重量%を超えると、発泡倍率が著しく悪くなることがある。上記金属カチオン塩(IV)の含有量のより好ましい下限は0.5重量%、より好ましい上限は5重量%である。」

「【0040】
上記熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度(Tmax)の好ましい下限が190℃である。最大発泡温度が190℃未満であると、耐熱性が低くなることから、高温領域や成形加工時において、熱膨張性マイクロカプセルが破裂、収縮する。また、マスターバッチペレット製造時に剪断により発泡していまい、未発泡のマスターバッチペレットを安定して製造することができない。最大発泡温度のより好ましい下限は200℃、より好ましい上限は240℃である。
なお、本明細書において、最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルの径が最大となったとき(最大変位量)における温度を意味する。」

「【0070】
(実施例1?15、比較例1?12)
(熱膨張性マイクロカプセルの作製)
重合反応容器に、水8Lと、分散安定剤としてコロイダルシリカ(旭電化社製)5重量部及びポリビニルピロリドン(BASF社製)0.3重量部を投入し、水性分散媒体を調製した。次いで、表1に示した配合量のモノマーからなる油性混合液を水性分散媒体に添加することにより、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み、加圧(0.2MPa)し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、乾燥して熱膨張性マイクロカプセル(No.1?11)を得た。
なお、表1では、重合性モノマー(I)をモノマー(I)、ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)をモノマー(II)、重合性モノマー(III)をモノマー(III)とした。
【0071】
(マスターバッチペレットの作製)
粉体状及びペレット状の低密度ポリエチレン100重量部と、滑剤としてステアリン酸10重量部とをバンバリーミキサーで混練し、約100℃になったところで、得られた熱膨張性マイクロカプセル及び/又は所定の化学発泡剤(各配合量は重量部として表2及び表3に示す。)を合計100重量部添加し、更に30秒間混練して押し出すと同時にペレット化し、マスターバッチペレットを得た。
【0072】
(成形体の作製)
表2及び表3に示す添加量のマスターバッチペレットと、ポリプロピレン樹脂100重量部とを混合し、得られた混合ペレットをアキュムレーターを備えたスクリュー式の射出成形機のホッパーに供給して溶融混練し、射出成形を行い、板状の成形体を得た。なお、成形条件は、シリンダー温度200℃、射出速度60mm/sec、型開遅延時間0秒、金型温度40℃とした。なお、比較例8は、熱膨張性マイクロカプセルのみを含有するマスターバッチペレットと、化学発泡剤のみを含有するマスターバッチペレットとを合計5重量部添加した。
【0073】
(評価)
熱膨張性マイクロカプセル(No.1?11)、及び、実施例1?15及び比較例1?12で得られた成形体について、下記性能を評価した。結果を表1、2及び3に示した。
【0074】
(1)熱膨張性マイクロカプセルの評価 (1-1)体積平均粒子径 粒度分布径測定器(LA-910、HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径を測定した。
【0075】
(1-2)発泡開始温度、最大発泡温度、最大変位
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度(Ts)、最大変位量(Dmax)及び最大発泡温度(Tmax)を測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から220℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度、その変位の最大値を最大変位量とし、最大変位量における温度を最大発泡温度とした。
【0076】
(1-3)ゲル分率
ASTM D2765に準拠した方法で、溶媒としてN,N-ジメチルフォルムアミドを用い、ゲル分率を測定した。
【0077】
【表1】



エ 甲第A-12号証の記載事項及び甲第A-12号証に記載された発明

(ア) 甲第A-12号証の記載事項

甲第A-12号証には、次の事項が記載されている。

「【請求項1】第1工程として、
成分(a)融点又は軟化点が100℃以下である熱可塑性樹脂10?90重量部と、
成分(b)100?200℃の温度で膨張する熱膨張性マイクロカプセル10?90重量部とを含む樹脂組成物(A)を、100℃以下で混練し、
第2工程として、
得られた樹脂組成物(A)を成分(c)熱可塑性樹脂に添加して混練又は、成形することを特徴とする樹脂組成物(B)の製造方法。」

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡性熱可塑性エラストマー組成物の製造法に関する。」

「【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は安定した発泡体を得る樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。」

「【0015】成分(b):必須成分
本発明に使用される、100?200℃の温度で熱膨張する熱膨張性マイクロカプセルは、本発明の効果を発揮するための特徴となる成分である。ここで、100?200℃の温度で膨張する熱膨張性マイクロカプセルとしては、平均粒径1?50μmが必要であり、1μmより小さいとゴム中への分散が不十分となり、50μmより上では本発明の組成物から得られる成形品の強度が大きく低下する。また、膨張倍率は10?100倍が好ましく、10倍未満であると十分な発泡倍率が得られず、100倍を超えると均一微細なセルが得られ難くなる。このような熱膨張性マイクロカプセルとしては塩化ビニリデン・アクリロニトリルコポリマーを外殻とし、イソブタンを内包したエクスパンセルが、エクスパンセル社から市販されている。成分(b)の配合量は、10重量部以上、好ましくは、30重量部以上、かつ90重量部以下、好ましくは、70重量部以下である。さらに、好ましくは、30?60重量部の範囲で選択される。成分(b)が10重量部未満では、十分な発泡効果が発現せず。ベース樹脂の特性のみとなる。成分(b)が90重量部を超えると混練ができなくなる。セルの均一性が失われる。」

「【0020】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例、比較例において用いた評価方法は次の方法によった。
【0021】評価方法
(1)コンパウンド製造性
(1-1)混練性
所定量の配合物を20リットルのニーダーに一括投入して6分後の混練状態を観察した。
◎:配合物が、非常に良く分散している。
○:配合物が、良く分散している。
×:配合物が分散せず、部分的に固まりがある。
(1-2)ニーダー排出
20リットルのニーダーから混練物を排出する際の状態を観察した。
◎:容易に排出される。
○:排出される。
△:やや排出が悪い。
×:排出が悪い。
(1-3)ペレッティング性
得られた混練物を80mm単軸押出機に投入してダイスから押し出された混練物を回転式カッターにて切断を行った。
○:ペレットが何らトラブルなく製造された。
×:切断できないものが含まれる。又、切りカスが発生した。
(1-4)コンパウンドの状態
○:同じ形状のしまったペレットが得られた。
×:形状が定まらず、やや発泡ぎみのペレットが得られた。
【0022】(2)製品製造
(2-1)成形品の状態
○:均一な発泡状態の成形品が得られた。
×:不均一な発泡状態の成形品が得られた。
【0023】各成分としては、次の物質を使用した。
成分(a):
(a-1)
製品名:エンゲージ EG8400
製造会社:ダウケミカル日本社製
種類:メタロセン触媒系ポリエチレン
メルトフローレイト:30g/10分
融点:60℃
(a-2)
製品名:エンゲージ EG8100
製造会社:ダウケミカル日本社製
種類:メタロセン触媒系ポリエチレン
メルトフローレイト:1g/10分
融点:60℃
(a-3)
製品名:NUD6570
種類:エチレン-アクリル酸エチル共重合体
製造会社:日本ユニカー社製
メルトフローレイト:20g/10分
軟化点:43℃
(a-4)
製品名:EV40X
種類:エチレン-酢酸ビニル共重合体
製造会社:三井・デュポンケミカル社製
メルトフローレイト:20g/10分
軟化点:40℃以下
(a-5)
製品名:J5019
種類:低密度ポリエチレン
製造会社:宇部興産社製
メルトフローレイト:50g/10分-
融点:104℃
(a-6)
製品名:ウルトラゼックス 20200J
種類:直鎖状低密度ポリエチレン
製造会社:三井化学社製
メルトフローレイト:18g/10分
融点:120℃
(a-7)
製品名:ハイゼックス 1300J
種類:高密度ポリエチレン
製造会社:三井化学社製
メルトフローレイト:13g/10分
融点:131℃
(a-8)
製品名:MS 6700
種類:ポリプロピレン
製造会社:トクヤマ社製
メルトフローレイト:23g/10分
融点:160℃
【0024】成分(b)
(b-1)
製品名:エクスパンセル 092DU120
種類:熱膨張性マイクロカプセル
製造会社:エクスパンセル社製
粒子径:25?35μm
膨張開始温度:118?126℃
膨張終了温度:188?195℃
(b-2)
製品名:エクスパンセル 091DU
種類:熱膨張性マイクロカプセル
製造会社:エクスパンセル社製
粒子径:10?16μm
膨張開始温度:118?126℃
膨張終了温度:161?171℃
(b-3)
製品名:エクスパンセル 091DU-0
種類:熱膨張性マイクロカプセル
製造会社:エクスパンセル社製
粒子径:18?24μm
膨張開始温度:116?124℃
膨張終了温度:171?181℃
(b-4)
製品名:エクスパンセル 091DU-40
種類:熱膨張性マイクロカプセル
製造会社:エクスパンセル社製
粒子径:30?40μm
膨張開始温度:114?124℃
膨張終了温度:181?191℃
【0025】成分(d)
(d-1)
製品名:ダイアナプロセスオイル PW-90
種類:パラフィン系オイル
製造会社:出光興産社製
重量平均分子量:540
芳香族成分の含有量:0.1%以下
【0026】その他の成分
製品名:LUNAC S-40
種類:ステアリン酸系滑剤
製造会社:花王社製
【0027】
【実施例1】成分(a)としてEG8400を90重量部、成分(b)として092DU-120を10重量部配合して、20リットルの加圧ニーダーに配合物を投入して、蒸気圧はゲージ圧で3.0kg/cm^(2)、80℃になるまで、6分間混練を行った。その後、先端部に回転式カッターを有するL/D=20、混練温度50℃、スクリュー回転数 80rpmで単軸押出機にてペレット化した。得たペレットをスチレン系エラストマー(理研ビニル工業株式会社製 アクティマー AJ-1050S 本発明の成分(c)に相当)に20重量%の割合でドライブレンドした物を用い、射出成形装置にて、(縦)130mm×(横)130mm×(厚さ)2mmの板を作成し、下記の条件で成形した。
【0028】
成形温度 220℃
金型温度 30℃
射出速度 15mm/秒
射出圧力 800kg/cm^(2)
保圧圧力 200kg/cm^(2)
射出時間 5秒
冷却時間 20秒
【0029】
【実施例2】成分(a)としてEG8400を80重量部、成分(b)として092DU-120を20重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0030】
【実施例3】成分(a)としてEG8400を70重量部、成分(b)として092DU-120を30重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0031】
【実施例4】成分(a)としてEG8400を40重量部、成分(b)として092DU-120を60重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。」

「【0046】
【表1】



(イ) 甲第A-12号証に記載された発明

(ア)の記載、特に、請求項1及び実施例3、4の記載から、甲第A-12号証には以下の発明が記載されていると認める。

「熱可塑性樹脂としてエンゲージ EG8400を70重量部、熱膨張性マイクロカプセルとしてエクスパンセル 092DU-120を30重量部配合して得られた、熱可塑性樹脂に添加して発泡成形に用いられるペレット。」(以下、「甲A-12実施例3発明」という。)

「熱可塑性樹脂としてエンゲージ EG8400を40重量部、熱膨張性マイクロカプセルとしてエクスパンセル 092DU-120を60重量部配合して得られた、熱可塑性樹脂に添加して発泡成形に用いられるペレット。」(以下、「甲A-12実施例4発明」という。また、「甲A-12実施例3発明」、「甲A-12実施例4発明」を総称し、「甲A-12発明」という。)

(2) 対比・判断

ア 取消理由1-1(甲第A-1号証を根拠とする新規性)及び取消理由2-1(甲第A-1号証を主引用例とする進歩性)について

(ア) 本件特許発明1について

本件特許発明1と甲A-1発明とを対比する。
甲A-1発明のベース材である「ダウ・ケミカル日本(株)社製のENGAGE SM8400」は、甲B-5号証によると、Polyolefin Elastomers であることが明らかである。してみると、甲A-1発明の「ベース材」は、本件特許発明1の「ベースレジン」に相当するとともに、「オレフィン系エラストマーを含有する」ものであるといえる。
また、甲A-1発明の「熱可塑性樹脂からなる殻とこの殻の内部に閉じ込められる熱膨張性物質とで構成された熱膨張性マイクロスフェア」は、本件特許発明1の「熱膨張性マイクロカプセル」に相当する。
さらに、甲A-1発明の「ENGAGE SM8400」は融点が63.3℃である(段落【0070】参照)こと、「ENGAGE SM8400」70Kgに対して、熱可塑性樹脂からなる殻とこの殻の内部に閉じ込められる熱膨張性物質とで構成された熱膨張性マイクロスフェアである、「エクスパンセル092DU-120」を30Kg用いることからみて、本件特許発明1の「オレフィン系エラストマーは、融点が50?120℃」、「前記ベースレジン100重量部に対して、前記熱膨張性マイクロカプセルを40?300重量部含有する」との条件を満たしていることも明らかである。

してみると、本件特許発明1と甲A-1発明とは、
「ベースレジン、熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡成形用マスターバッチであって、
前記ベースレジンは、オレフィン系エラストマーを含有し、
前記オレフィン系エラストマーは、融点が50?120℃であり、
前記ベースレジン100重量部に対して、前記熱膨張性マイクロカプセルを40?300重量部含有する
発泡成形用マスターバッチ。」
で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)
マスターバッチの真比重について、本件特許発明1は「0.80g/cm^(3)以上」であるのに対し、甲A-1発明にはそのような特定がない点。

(相違点2)
オレフィン系エラストマーのメルトインデックスに関して、本件特許発明1は「2?20g/10分」であるのに対して、甲A-1発明にはそのような特定がない点。

事案に鑑み、まず相違点2について検討する。
甲A-1発明のマスターバッチにおいて用いている、「ENGAGE SM8400」のメルトフローレートは、30g/10分であり(甲第A-4号証の段落【0064】参照)、相違点2に係る本件特許発明1の特定事項を満たさない。
また、甲A-1発明において、「ENGAGE SM8400」に代えて他の材料を採用しようとしても、当然、ベースレジンの系や融点もあわせて影響を受けるものであり、かつ、甲A-1号証や他の甲号証の記載を見ても、メルトフローレートのみならず、ベースレジンの系や融点の条件も含めて適合する材料が示されてもいない。さらに、マスターバッチにおいてメルトフローレート(メルトインデックス)を2?20g/10分にする動機付けもあるともいえない。
してみれば、相違点1について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲A-1発明ではなく、また、甲A-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

なお、この点について、特許異議申立人A、Bがそれぞれ提出した意見書の主張を見ても、上記判断に影響しない。

(イ) 本件特許発明3ないし9について

本件特許発明3ないし9はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件特許発明1の特定事項を全て有するものである。
そして、上記(ア)のとおり、本件特許発明1は、甲A-1発明ではないから、本件特許発明3、8及び9も、甲A-1発明ではない。
また、本件特許発明1は、甲A-1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明3なしい9も同様に、甲A-1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 取消理由1-2(甲第A-12号証を根拠とする新規性)及び取消理由2-2(甲第A-12号証を主引用例とする進歩性)について

(ア) 本件特許発明1について

本件特許発明1と甲A-12実施例3発明とを対比する。
甲A-12実施例3発明の「エンゲージ EG8400」は、メタロセン触媒系ポリエチレンであって、融点が60℃であり(【0023】参照)、甲B-5号証によると、Polyolefin Elastomers であることが明らかである。してみると、甲A-12実施例3発明の「エンゲージ EG8400」は、本件特許発明1の「ベースレジン」に相当するとともに、「オレフィン系エラストマーを含有する」ものであるといえ、さらに、その融点についても、本件特許発明1の特定事項を満たしている。
そして、甲A-12実施例3発明の「ペレット」は、「熱可塑性樹脂に添加して発泡成形に用いられる」ものであるから、本件特許発明1の「発泡成形用マスターバッチ」に相当することも明らかである。
さらに、「エンゲージ EG8400」と「エクスパンセル 092DU-120」は各々70重量部、30重量部で添加するから、本件発明1の「前記ベースレジン100重量部に対して、前記熱膨張性マイクロカプセルを40?300重量部含有する」との特定事項を満たすことも明らかである。

してみると、本件特許発明1と甲A-12実施例3発明とは、
「ベースレジン、熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡成形用マスターバッチであって、
前記ベースレジンは、オレフィン系エラストマーを含有し、
前記オレフィン系エラストマーは、融点が50?120℃であり、
前記ベースレジン100重量部に対して、前記熱膨張性マイクロカプセルを40?300重量部含有する
発泡成形用マスターバッチ。」
で一致し、次の点で相違する。
(相違点3)
マスターバッチの真比重について、本件特許発明1は、「0.80g/cm^(3)以上」であるのに対し、甲A-12実施例3発明にはそのような特定がない点。

(相違点4)
オレフィン系エラストマーのメルトインデックスに関して、本件特許発明1は「2?20g/10分」であるのに対して、甲A-12実施例3発明にはそのような特定がない点。

事案に鑑み、まず相違点4について検討する。
甲A-12実施例3発明のマスターバッチにおいて用いている、「ENGAGE EG8400」のメルトフローレートは、30g/10分(段落【0023】参照)であり、相違点4に係る本件特許発明1の特定事項を満たさない。
また、甲A-12実施例3発明において、「ENGAGE EG8400」に代えて他の材料を採用しようとしても、当然、ベースレジンの系や融点もあわせて影響を受けるものであり、かつ、甲A-12号証や他の甲号証の記載を見ても、メルトフローレートのみならず、ベースレジンの系や融点の条件も含めて適合する材料が示されてもいない。さらに、マスターバッチにおいてメルトフローレート(メルトインデックス)を2?20g/10分にする動機付けもあるともいえない。
してみれば、相違点3について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲A-12実施例3発明ではなく、また、甲A-12実施例3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

また、甲A-12実施例4発明についても、甲A-12実施例3発明と同様であるから、本件特許発明1は、甲A-12実施例4発明ではなく、また、甲A-12実施例4発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

なお、この点について、特許異議申立人A、Bがそれぞれ提出した意見書の主張を見ても、上記判断に影響しない。

(イ) 本件特許発明3ないし9について

本件特許発明3ないし9はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件特許発明1の特定事項を全て有するものである。
そして、上記(ア)のとおり、本件特許発明1は、甲A-12発明ではないから、本件特許発明3、8及び9も、甲A-12発明ではない。
また、本件特許発明1は、甲A-12発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明3なしい9も同様に、甲A-12発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。


2 取消理由に採用しなかった特許異議申立理由について

(1) 申立理由B1及び申立理由B2-2について

ア 甲第B-3号証の記載事項等

(ア) 甲第B-3号証の記載事項

甲第B-3号証には、次の事項が記載されている。

「【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球と、有機基材成分とを含み、
前記有機基材成分のA硬度が90以下である、
マスターバッチ。
【請求項2】
前記熱膨張性微小球の重量割合が前記熱膨張性微小球および有機基材成分の合計量の20?70重量%である、請求項1に記載のマスターバッチ。
・・・
【請求項8】
請求項1?7のいずれかに記載のマスターバッチおよびマトリックス成分を含む組成物を成形してなる、発泡成形体。」

「【技術分野】
【0001】
本発明は、マスターバッチ及びその用途に関する。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、熱膨張性微小球の分散性に優れ、発泡倍率が安定した発泡成形体を製造することができるマスターバッチと、そのマスターバッチを用いて成形してなる発泡成形体とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、マスターバッチを構成する有機基材成分の硬度が特定の範囲にあると上記課題が達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明にかかるマスターバッチは、熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球と、有機基材成分とを含み、前記有機基材成分のA硬度が90以下である。」

「【0010】
〔熱膨張性微小球〕
熱膨張性微小球は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球である。
熱膨張性微小球の平均粒子径については特に限定されないが、好ましくは1?100μm、より好ましくは2?80μm、さらに好ましくは3?60μm、特に好ましくは5?50μmである。平均粒子径が1μmより小さい場合、膨張性能が低くなることがある。平均粒子径が100μmより大きい場合、発泡成形体中における気泡径が大きくなり強度が低下する可能性がある。」

「【0014】
本発明のマスターバッチでは、これを製造する際、膨張開始温度未満の温度で行わなければ、熱膨張性微小球が膨張してしまう。そのため、用いる熱膨張性微小球は、膨張開始温度が高いものが望ましく、通常、熱膨張性微小球が膨張しないように、膨張開始温度よりも30℃以上低い温度でマスターバッチの製造を行うとよい。一方、マスターバッチを用いて以下で詳しく説明する発泡成形体を成形する際、熱膨張性微小球の最大膨張温度前後の温度で行うことが多いので、マスターバッチ製造時の温度と、発泡成形体の成形温度との差は非常に大きい。そのため、発泡成形体に使用するマトリックス成分は、マスターバッチ製造時に使用する有機基材成分と種類が異なることが多い。通常はマスターバッチ製造時に使用する有機基材成分が発泡成形体の製造に使用するマトリックス成分より軟化温度が低い。十分な軽量化を得るために成形時に多量のマスターバッチを使用する必要がある場合に、発泡成形体の耐熱性および強度の低下が発生することがある。発泡成形体に使用するマトリックス成分は、マスターバッチ製造時に使用する有機基材成分と種類が同じであっても差し支えない。
熱膨張性微小球の最大膨張温度(Tmax)は、特に限定されないが、好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上、特に好ましくは200℃以上、最も好ましくは230℃以上である。一方、最大膨張温度の上限値は、好ましくは350℃である。最大膨張温度が140℃未満であると、耐熱性が低く、十分な膨張性能が得られないことがある。膨張開始温度が350℃超であると、耐熱性が高すぎて、十分な膨張性能が得られないことがある。」

「【0076】
有機基材成分の融点については、熱膨張性微小球の膨張開始温度以下であれば特に限定はないが、好ましくは65℃?200℃、さらに好ましくは80℃?180℃、特に好ましくは100℃?170℃である。有機基材成分の融点が65℃未満の場合、マスターバッチを成形機に仕込む際、成形機の原料供給口付近において、マスターバッチ同士が融着することで、マスターバッチの供給が不安定になることがある。一方、有機基材成分の融点が200℃を超える場合、マスターバッチを用いて発泡成形体を製造する際、混練温度が200℃以上となり、熱膨張性微小球に過剰な熱履歴を与えられることで、マスターバッチの発泡倍率が低下することがある。 有機基材成分の種類については、特に限定はないが、たとえば、ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリビニルアルコール;エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-ブチル(メタ)アクリレート共重合体等のエチレン系共重合体;低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリテルペン等のポリオレフィン系樹脂;スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリアセタール;ポリメチルメタクリレート;酢酸セルロース;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂;熱可塑性ポリウレタン;4フッ化エチレン;エチレン系アイオノマー、ウレタン系アイオノマー、スチレン系アイオノマー、フッ素系アイオノマー等のアイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0077】
有機基材成分の種類については、熱可塑性樹脂以外でもよく、たとえば、ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、アミド系エラストマー、エステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー;天然ゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等のゴム類;蜜ろう、シェラックワックス、鯨ろう、ウールワックス、いぼたろう等の動物系ワックス;カルナバワックス、はぜろう、カンデリラワックス、ライスワックス、うるしろう、パームろう、さとうきびろう等の植物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成ワックス等が挙げられる。 有機基材成分の種類のうちでも、熱可塑性エラストマーは、マスターバッチを利用して発泡成形体を作製する際、発泡成形体内部において熱膨張した微小球の分散性が向上するために好ましい。熱可塑性エラストマーのうちでも、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、アミド系エラストマー、エステル系エラストマー等から選択された少なくとも1種が好ましい。
【0078】
オレフィン系エラストマーとしては、たとえば、ハードセグメントからなる重合体とソフトセグメントからなる重合体との混合物や、ハードセグメントからなる重合体とソフトセグメントからなる重合体との共重合物等を挙げることができる。 オレフィン系エラストマーにおいて、ハードセグメントとしては、たとえば、ポリプロピレンからなるセグメント等を挙げることができる。また、ソフトセグメントとしては、たとえば、ポリエチレンや、エチレンと共に少量のジエン成分を共重合したもの(たとえば、エチレン-プロピレン-共重合体(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、EPDMに有機過酸化物を添加することにより部分架橋したもの等)からなるセグメント等を挙げることができる。
【0079】
また、オレフィン系エラストマーとしての重合体の混合物や共重合物は、不飽和ヒドロキシ単量体およびその誘導体、不飽和カルボン酸単量体およびその誘導体等でグラフト変性されたものでもよい。 オレフィン系エラストマーの市販品としては、たとえば、エクソンモービル株式会社製「サントプレーン」、「ビスタマックス」、JSR株式会社製「エクセリンク」、昭和化成工業株式会社製「マキシロン」、住友化学株式会社製「エスポレックスTPEシリーズ」、ダウケミカル日本株式会社製「エンゲージ」、プライムポリマー株式会社製「プライムTPO」、三井化学株式会社製「ミラストマー」、三菱化学株式会社製「ゼラス」、「サーモラン」、リケンテクノス株式会社製「マルチユースレオストマー」、「オレフレックス」、「トリニティーFR」等を挙げることができる。」

「【0083】
〔マスターバッチおよびその製造方法〕
本発明のマスターバッチは、上記で説明した熱膨張性微小球および有機基材成分を含む。
マスターバッチに含まれる熱膨張性微小球の重量割合については、特に限定はないが、熱膨張性微小球および有機基材成分の合計量に対して、好ましくは20?70重量%、さらに好ましくは30?65重量%、特に好ましくは40?65重量%である。熱膨張性微小球の重量割合が20重量%以下の場合は、マスターバッチの発泡性が低下することがある。一方、熱膨張性微小球の重量割合が70重量%を超える場合は、マスターバッチの作製が困難になることがある。」

「【0085】
マスターバッチの長さ方向に垂直な面での断面の長軸長さについても、その用途によって適宜決められるが、好ましくは0.03?5mm、さらに好ましくは0.05?4mm、特に好ましくは0.1?3mmである。断面の長軸長さが0.03?5mmの範囲外の場合は、熱膨張性微小球の分散不良が原因で、マスターバッチを用いて製造される発泡成形体の発泡倍率が不安定で比重にばらつきが生じ、外観不良が生じることがある。
マスターバッチの密度については、特に限定はないが、好ましくは0.60?1.5g/cm^(3)、さらに好ましくは0.65?1.3g/cm^(3)、特に好ましくは0.7?1.2g/cm^(3)である。マスターバッチの密度が0.60?1.5g/cm^(3)の範囲外の場合は、マスターバッチ中の熱膨張性微小球の一部が既に膨張している状態または熱膨張性微小球の一部が破壊されているため、マスターバッチの発泡倍率が低下することがある。」

「【0103】
〔製造例1〕
(重合工程)
イオン交換水600gに、塩化ナトリウム150g、シリカ有効成分20重量%であるコロイダルシリカ50g、ポリビニルピロリドン1.0gおよびエチレンジアミン四酢酸・4Na塩の0.5gを加えた後、得られた混合物のpHを3に調整し、水性分散媒を調製した。
これとは別に、アクリロニトリル5g、メタクリロニトリル115g、メタクリル酸180g、1,9-ノナンジオールジアクリレート1.0g、イソオクタン50g、イソヘキサデカン30g、および有効成分70%のジ-(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート含有液8gを混合して油性混合物を調製した。
【0104】
水性分散媒と油性混合物を混合し、得られた混合液をホモミキサー(特殊機化工業社製、TKホモミキサー)により分散して、縣濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.5MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度60℃で20時間重合した。
(表面処理工程)
重合後に得られた重合液に、室温で攪拌しながら、金属含有有機化合物としての有効成分80%のジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)含有液を20g添加した。得られた分散混合物を加圧反応器(容量1.5リットル)に移して窒素置換を行い、処理初期圧0.5MPaにし、80rpmで攪拌しつつ、80℃で5時間処理した。得られた処理生成物を濾過、乾燥して、熱膨張性微小球を得た。その物性を表1に示す。
【0105】
〔製造例2?7〕
製造例1の重合工程で用いた各種成分および量を、表1に示すものに変更し、製造例1の表面処理工程を実施しなかった以外は製造例1と同様にして熱膨張性微小球をそれぞれ得た。得られたそれぞれの微小球の物性を表1に示す。
上記製造例1?7で得られた熱膨張性微小球をそれぞれ微小球(1)?(7)とする。
【0106】
【表1】



「【0108】
〔実施例1〕
(マスターバッチ)
容量10L加圧ニーダーを用いて、有機基材成分としてのエステル系エラストマー(東レ・デュポン社製のハイトレル、ソフトセグメント含有量80重量%、A硬度77、曲げ弾性率23.5MPa、融点160℃、比重1.07g/cm^(3))3.0kgを溶融混練し、その温度が165℃に到達したときに製造例1で得られた熱膨張性微小球2.0kgを配合して均一に混合し予備混合物とした。得られた予備混合物をシリンダー口径40mmの二軸押出機に供給して混練温度165℃で押出して、熱膨張性微小球の重量割合が40%、比重1.02g/cm^(3)のマスターバッチを得た。
上記で用いたエステル系エラストマーは、ブロック共重合体であり、ポリエーテルエステルエラストマーであった。また、このエステル系エラストマーは、ポリブチレンテレフタレートからなるハードセグメントと、ポリ(ポリオキシエチレン)テレフタレートからなるソフトセグメントとから構成されていた。
【0109】
(発泡成形体)
次に、ラボプラストミル(東洋精機社製の2軸押出成形機ME-25)およびTダイ(リップ幅150mm、厚み2mm)を用いて、押出し成形機およびTダイの設定温度を290℃に設定し、スクリュー回転数を40rpmに設定した。発泡成形体のマトリックス成分として、上記で有機基材成分として用いたエステル系エラストマーを準備した。上記で得られたマスターバッチをポリエステル系エラストマーに対して5%添加し、ドライブレンドした混合物をラボプラストミルの原料ホッパーから投入し、発泡成形体(発泡倍率1.81倍、比重0.59g/cm^(3))を得た。
得られた発泡成形体に対して、以下に示すように発泡倍率の安定性を評価したところ、比重にムラがなく、発泡倍率が全体に均一で安定しており、外観が良好であった。これらの結果を表3に示す。
【0110】
〔発泡成形体の発泡倍率の安定性評価〕
発泡成形体(幅150mm×長さ900mm)の比重測定は、長さ300mm間隔で切断し、3枚の試験片の比重を測定し、発泡倍率の安定性を以下の評価基準に基づいて評価した。発泡成形体の発泡倍率は、(発泡成形体に含まれるマトリックス成分の比重)/(発泡成形体の比重)を計算して算出した。
○:各試験片の比重差が0.05g/cm^(3)以内であった。
×:各試験片の比重差が0.05g/cm^(3)超であった。
【0111】
〔実施例2?9、比較例1?3〕
実施例1で用いた有機基材成分、熱膨張性微小球の配合量、加工条件、マトリックス成分、マスターバッチ添加量、成形温度等について、それぞれ表3および4に示すものに変更する以外は実施例1と同様にして、マスターバッチおよび発泡成形体をそれぞれ得た。それぞれの物性を表3および4に示す。
実施例2、8および9で用いたエステル系エラストマーは、ブロック共重合体であり、ポリエーテルエステルエラストマーであった。また、これらのエステル系エラストマーは、ポリブチレンテレフタレートからなるハードセグメントと、ポリ(ポリオキシエチレン)テレフタレートからなるソフトセグメントとから構成されていた。
【0112】
実施例3で使用したスチレン系エラストマーは、熱可塑性エラストマーの1種のスチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン(SBBS)共重合体であった。
実施例4で使用したスチレン系エラストマーは、熱可塑性エラストマーの1種のスチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)共重合体であった。
【0113】
実施例5で使用したオレフィン系エラストマーは、熱可塑性エラストマーの1種であり、ポリプロピレンからなるハードセグメントと、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)からなるソフトセグメントとから構成されていた。
実施例6で使用したオレフィン系エラストマーは、熱可塑性エラストマーの1種であり、ポリプロピレンからなるハードセグメントと、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)が部分架橋されたソフトセグメントとから構成されていた。
【0114】
実施例7で使用したスチレン系エラストマーは、熱可塑性エラストマーの1種のスチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)共重合体であった。
比較例1?3では、有機基材成分のA硬度はいずれも90を超えていた。
【0115】
【表3】」



(イ) 甲第B-3号証に記載された発明

(ア)の記載、特に、実施例6の記載を中心に整理すると、甲第B-3号証には、以下の発明が記載されていると認める。

「有機基材成分としてのオレフィン系エラストマー3.0kgを溶融混練し、製造例6で得られた熱膨張性微小球2.0kgを配合して均一に混合し予備混合物とし、得られた予備混合物をシリンダー口径40mmの二軸押出機に供給して混練温度130℃で押出して得られた、熱膨張性微小球の重量割合が40%、比重0.91g/cm^(3)の発泡成形体を製造するためのマスターバッチ。」(以下、「甲B-3発明」という。)

イ 対比・判断

(ア) 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲B-3発明とを対比する。
甲B-3発明の「オレフィン系エラストマー」は、本件特許発明1の「ベースレジン」に相当し、甲B-3発明の「熱膨張性微小球」は、本件特許発明1の「熱膨張性マイクロカプセル」に相当する。
また、甲B-3発明のマスターバッチの比重は比重0.91g/cm^(3)であるから、本件特許発明1のマスターバッチの真比重が「0.80g/cm^(3)以上」との特定事項を満たす。
さらに、甲B-3発明は、オレフィン系エラストマーを3.0Kg、熱膨張性微小球を2.0Kg混合するものであるから、オレフィン系エラストマーを100重量部とすると、熱膨張性微小球は2.0Kg/3.0Kg×100≒66.7重量部となり、本件特許発明1の「前記ベースレジン100重量部に対して、前記熱膨張性マイクロカプセルを40?300重量部含有する」との特定事項を満たすことも明らかである。

してみると、本件特許発明1と甲B-3発明とは、
「ベースレジン、熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡成形用マスターバッチであって、
真比重が0.80g/cm^(3)以上であり、
前記ベースレジンは、オレフィン系エラストマーを含有し、
前記ベースレジン100重量部に対して、前記熱膨張性マイクロカプセルを40?300重量部含有する
発泡成形用マスターバッチ。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点5)
オレフィン系エラストマーについて、本件特許発明1は「融点が50?120℃、メルトインデックスが2?20g/10分」であるのに対して、甲B-3発明にはそのような特定がない点。

上記相違点5について検討する。
甲第B-3号証には、オレフィン系エラストマーの融点やメルトインデックスを制御する点についての記載も示唆もない。
この点について、特許異議申立人Bは、甲第B-3号証の段落【0079】に、オレフィン系エラストマーの例として、「エンゲージ」、「ビスタマックス」が記載されている点をあげるとともに、甲第B-5号証、甲第B-6号証によると、「エンゲージ」、「ビスタマックス」は、メルトフローレートが全て「1?30g/10分」であるから、実施にあたり、「エンゲージ」や「ビスタマックス」を選択し、相違点5に係る本件特許発明1の特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得ることである旨主張する(特許異議申立人Bの特許異議申立書第33頁(イ-2))。
しかしながら、甲B-3発明は、そもそも、オレフィン系エラストマーが「エンゲージ」や「ビスタマックス」ではないし、さらに、オレフィン系エラストマーとして「エンゲージ」や「ビスタマックス」を採用することができるとしても、特に、メルトインデックスが「2?20g/10分」のものを選択の上で採用する動機付けがない。

してみれば、本件特許発明1は、甲B-3発明ではなく、また、甲B-3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(イ) 本件特許発明3ないし9について

本件特許発明3ないし9はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件特許発明1の特定事項を全て有するものである。
そして、上記(ア)のとおり、本件特許発明1は、甲B-3発明ではないから、本件特許発明3ないし6、8及び9も、甲B-3発明ではない。
また、本件特許発明1は、甲B-3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明3なしい9も同様に、甲B-3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2) 申立理由B3について

ア サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

イ 特許請求の範囲の記載
特許請求の範囲の記載は、上記「第3 本件発明」に記載のとおりである。

ウ 明細書の発明の詳細な説明の記載
本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、次の記載がある。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、強い剪断力が加えられる成形や、低い成形温度が求められる成形にも好適に使用可能であり、発泡倍率が高く、かつ、外観品質が良好な発泡成形体を製造することが可能な発泡成形用マスターバッチに関する。また、該発泡成形用マスターバッチを用いた発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック発泡体は、発泡体の素材と形成された気泡の状態に応じて遮熱性、断熱性、遮音性、吸音性、防振性、軽量化等を発現させることができることから、様々な用途で用いられている。このようなプラスチック発泡体を製造する方法としては、化学発泡剤を含有するマスターバッチを加熱することで発泡させ、成形する方法が挙げられる。しかし、化学発泡剤を含有するマスターバッチは、加熱しても発泡しないことがあり、射出発泡成形機内で発泡剤が急激に分解するおそれがある等の問題があり、取り扱いが難しかった。また、樹脂の種類によっては充分な発泡倍率を得ることができず、成形体として所望の硬度を得ることが困難な場合があった。
【0003】
一方、特許文献1には、化学発泡剤を含有するエチレン-α-オレフィン共重合体のマスターバッチペレットを用いることにより、樹脂の種類を問わず、硬度や発泡倍率が高く、均一な気泡が形成された射出発泡成形体が得られることが記載されている。
しかしながら、化学発泡剤は、加熱分解すると分解ガスと同時に発泡残さを生じ、成形体に残った残さが成形体の接着性能に影響を与えることがあった。また、化学発泡剤を使用すると、全てが独立気泡とはならず、どうしても連続気泡となる部分が生じてしまい、気密性が高い発泡成形体を得ることが難しいといった問題点があった。
【0004】
特許文献2には、ポリオレフィン樹脂又はスチレン樹脂をベースレジンとし、発泡剤として、化学発泡剤に代えて熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡樹脂マスターバッチが記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載された熱膨張性マイクロカプセルを用いた場合、得られる発泡体の発泡倍率は低く、得られる発泡体の独立気泡を一定の大きさをすることが困難であった。
【0005】
これに対して、特許文献3には、熱膨張性マイクロカプセルを含有するマスターバッチと、化学発泡剤を含有するマスターバッチとをブレンドした樹脂組成物を用いて発泡、成形することで、発泡複合板を製造する方法が記載されている。
しかしながら、このような方法を用いた場合でも、多少の発泡倍率向上は認められるが、依然として成形品の発泡倍率は低いものとなっており、所望の軽量性、断熱性等の性能を得ることができなかった。また、外観品質の良いものを得ることは困難であった。
【0006】
更に、特許文献4には、熱膨張性マイクロカプセル及びベースレジンを含有する合成樹脂組成物、及び、その製造方法が開示されている。このような合成樹脂組成物では、メルトフローレートが所定の範囲内のベースレジンを用いることにより、熱膨張性マイクロカプセルの殻を破壊することなく、熱膨張性マイクロカプセルとベースレジンとの混和性、親和性に優れるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-178372号公報
【特許文献2】特開平11-343362号公報
【特許文献3】特開2005-212377号公報
【特許文献4】特開2002-264173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、強い剪断力が加えられる成形や、低い成形温度が求められる成形にも好適に使用可能であり、発泡倍率が高く、かつ、外観品質が良好な発泡成形体を製造することが可能な発泡成形用マスターバッチを提供することを目的とする。また、該発泡成形用マスターバッチを用いた発泡成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ベースレジン、熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡成形用マスターバッチであって、真比重が0.80g/cm^(3)以上であり、前記ベースレジンは、オレフィン系エラストマーを含有し、前記オレフィン系エラストマーは、融点が50?120℃であり、前記ベースレジン100重量部に対して、前記熱膨張性マイクロカプセルを40?300重量部含有する発泡成形用マスターバッチである。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明者は鋭意検討した結果、ベースレジンとしてオレフィン系エラストマー、発泡成分として熱膨張性マイクロカプセルを用い、熱膨張性マイクロカプセル及びベースレジンの含有量を所定の範囲内とした場合、強い剪断力が加えられる成形や、低い成形温度が求められる成形にも好適に使用可能となることを見出した。また、発泡倍率が高く、かつ、外観品質が良好な発泡成形体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。」

「【0011】
本発明の発泡成形用マスターバッチは、ベースレジンを含有する。
本発明では、上記ベースレジンとして、オレフィン系エラストマーを用いる。これにより、外観品質が良好な発泡成形体を製造することができる。」

「【0016】
上記オレフィン系エラストマーのメルトインデックスは、好ましい下限が2g/10分、好ましい上限が30g/10分である。
上記メルトインデックスを2g/10分以上とすることで、マスターバッチの変形を防止することができ、30g/10分以下とすることで、得られる成形体の外観を良好なものとすることができる。
上記メルトインデックスのより好ましい下限は2g/10分、より好ましい上限は20g/10分である。
なお、メルトインデックスとは、樹脂の流動性を示す指数を意味し、ヒーターで加熱された円筒容器内で一定量の合成樹脂を、定められた温度(例えば、190℃)で加熱、定められた荷重(例えば2.16kg)で加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量で示す。単位はg/10分が使用され、JIS K7210-1で規定されている測定方法で測定する。
【0017】
上記オレフィン系エラストマーの融点は、好ましい下限が50℃、好ましい上限が120℃である。
上記融点を50℃以上とすることで、マスターバッチのブロッキングを防止することができ、120℃以下とすることで、マスターバッチ作製時の発泡を抑制することができる。
上記融点のより好ましい下限は60℃、より好ましい上限は110℃である。
なお、融点とは、DSC測定によって得られた融解ピークのピーク温度を意味する。」

「【0022】
本発明の発泡成形用マスターバッチは、熱膨張性マイクロカプセルを含有する。
本発明の発泡成形用マスターバッチにおける上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量の下限は、ベースレジン100重量部に対して40重量部、上限は300重量部である。上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量を40重量部以上とすることで、所望の発泡倍率を得ることができる。上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量を300重量部以下とすることで、マスターバッチ作製時の発泡を防止して、結果として発泡成形品の発泡倍率を向上させることができる。上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量の好ましい下限は65重量部、好ましい上限は150重量部である。」

「【0073】
本発明の発泡成形用マスターバッチの真比重の下限は0.80g/cm^(3)である。上記真比重が0.80g/cm^(3)未満であると、マスターバッチ中にある熱膨張性マイクロカプセルが膨れていることを意味するので、成形後に得られる成形品の発泡倍率が低下する。
上記真比重の好ましい下限は0.90g/cm^(3)、好ましい上限は1.0g/cm^(3)である。
上記真比重とは、空孔を除いた素材のみの比重をいい、20℃におけるマスターバッチの単位体積の質量と、それと等体積の4℃における水の質量との比を表す。上記真比重は、JIS K 7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定することができる。」

「【発明を実施するための形態】
【0084】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0085】
(熱膨張性マイクロカプセルの作製)
重合反応容器に、水300重量部と、調整剤として塩化ナトリウム89重量部、水溶性重合禁止剤として亜硝酸ナトリウム0.07重量部、分散安定剤としてコロイダルシリカ(旭電化社製)8重量部及びポリビニルピロリドン(BASF社製)0.3重量部を投入し、水性分散媒体を調製した。次いで、表1に示した配合量の金属塩、モノマー、揮発性膨張剤、重合開始剤からなる油性混合液を水性分散媒体に添加、混合することにより、分散液を調製した。全分散液は15kgである。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み、加圧(0.2MPa)し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、遠心分離機にて脱水と水洗を繰り返した後、乾燥して熱膨張性マイクロカプセル(No.1?3)を得た。なお、表1では、重合性モノマー(I)をモノマー(I)、ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)をモノマー(II)、重合性モノマー(III)をモノマー(III)とした。
【0086】
(実施例1?8、比較例1?5)
(マスターバッチペレットの作製)
表2に示すベースレジン100重量部と、滑剤として脂肪酸エステル10重量部とをバンバリーミキサーで混練し、約100℃になったところで、得られた熱膨張性マイクロカプセルを表2に示す配合量で添加し、更に30秒間混練して押し出すと同時にペレット化し、マスターバッチペレットを得た。なお、表2中のEMMAはエチレン-メチルメタクリレート共重合体を表し、LDPEは低密度ポリエチレンを表す。また、オレフィン系エラストマー(TPO、プロピレン系エラストマー)としては以下のものを用いた。プロピレン系エラストマー[TPO(1)]:メルトインデックス3.7g/10分、融点75℃、プロピレン含有量91重量%、エチレン含有量9重量%プロピレン系エラストマー[TPO(2)]:メルトインデックス3.6g/10分、融点65℃、プロピレン含有量89重量%、エチレン含有量11重量% プロピレン系エラストマー[TPO(3)]:メルトインデックス20g/10分、融点65℃、プロピレン含有量87重量%、エチレン含有量13重量% エチレン系エラストマー[TPO(4)]:メルトインデックス5g/10分、融点59℃、エチレン含有量24重量%、1-オクテン含有量76重量%
【0087】
(発泡成形体の製造)
得られたマスターバッチペレット3重量部と、オレフィン系エラストマー(三井化学社製 ミラストマー7030BS)100重量部とを混合し、得られた混合ペレットを押出成形機のホッパーに供給して溶融混練し、押出成形を行い、板状の発泡成形体を得た。なお、押出条件は、金型温度:190℃とした。
【0088】
(評価)
熱膨張性マイクロカプセル(No.1?3)、及び、実施例1?8及び比較例1?5で得られた成形体について、下記性能を評価した。結果を表1及び表2に示した。
【0089】
(1)熱膨張性マイクロカプセルの評価
(1-1)体積平均粒子径粒度分布径測定器(LA-910、HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径を測定した。
【0090】
(1-2)発泡開始温度、最大発泡温度、最大変位量
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度(Ts)、最大変位量(Dmax)及び最大発泡温度(Tmax)を測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から220℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度、その変位の最大値を最大変位量とし、最大変位量における温度を最大発泡温度とした。
【0091】
【表1】

【0092】
(2)マスターバッチペレットの評価
(2-1)真比重の測定比重計MD-200S(ミラージュ社製)を用いてマスターバッチペレットの真比重をJIS K 7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により計測した。
【0093】
(2-2)嵩比重の測定
JIS K 6721に準拠した方法で測定した。
【0094】
(2-3)粒度の測定
得られたマスターバッチペレットからランダムに30個を採取し、合計重量を測定した。
【0095】
(3)成形体の評価
(3-1)密度、発泡倍率
発泡前の密度、及び、得られた成形体(発泡後)の密度をJIS K 7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定した。また、発泡前後の成形体の密度から発泡倍率を算出した。
【0096】
(3-2)表面性
3D形状測定機(キーエンス社製)により、成形体表面の表面粗さ(Rz)を計測した。判断基準として、その計測値であるRz値が50μm未満を○、50μm≦Rz値≦100μmを△、100μm超を×とした。
【0097】
(3-3)分散性
得られた成形体の断面を電子顕微鏡で目視観察し、下記の判断基準で熱膨張性マイクロカプセルの分散性を評価した。○:均一に気泡が分散している。×:気泡の分布が均一でない。
【0098】
【表2】



エ 発明の課題
本件特許の明細書の発明の詳細な説明の段落【0008】によると、本件特許発明が解決しようとする課題「以下、単に「発明の課題」という。」は、「強い剪断力が加えられる成形や、低い成形温度が求められる成形にも好適に使用可能であり、発泡倍率が高く、かつ、外観品質が良好な発泡成形体を製造することが可能な発泡成形用マスターバッチを提供する」ことである。

オ サポート要件についての判断
本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「ベースレジンとしてオレフィン系エラストマー、発泡成分として熱膨張性マイクロカプセルを用い、熱膨張性マイクロカプセル及びベースレジンの含有量を所定の範囲内とした場合、強い剪断力が加えられる成形や、低い成形温度が求められる成形にも好適に使用可能となることを見出した。また、発泡倍率が高く、かつ、外観品質が良好な発泡成形体が得られることを見出し」(段落【0010】)たこと、「オレフィン系エラストマーのメルトインデックスは、好ましい下限が2g/10分、好ましい上限が30g/10分である。上記メルトインデックスを2g/10分以上とすることで、マスターバッチの変形を防止することができ、30g/10分以下とすることで、得られる成形体の外観を良好なものとすることができる。上記メルトインデックスのより好ましい下限は2g/10分、より好ましい上限は20g/10分である」(段落【0016】)こと、「オレフィン系エラストマーの融点は、好ましい下限が50℃、好ましい上限が120℃である。上記融点を50℃以上とすることで、マスターバッチのブロッキングを防止することができ、120℃以下とすることで、マスターバッチ作製時の発泡を抑制することができる」(段落【0017】)こと、「本発明の発泡成形用マスターバッチにおける上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量の下限は、ベースレジン100重量部に対して40重量部、上限は300重量部である。上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量を40重量部以上とすることで、所望の発泡倍率を得ることができる。上記熱膨張性マイクロカプセルの含有量を300重量部以下とすることで、マスターバッチ作製時の発泡を防止して、結果として発泡成形品の発泡倍率を向上させることができる」(段落【0022】)こと、「本発明の発泡成形用マスターバッチの真比重の下限は0.80g/cm^(3)である。上記真比重が0.80g/cm^(3)未満であると、マスターバッチ中にある熱膨張性マイクロカプセルが膨れていることを意味するので、成形後に得られる成形品の発泡倍率が低下する」(段落【0073】)こと、及びこれらの条件を満たす実施例が記載されており、これらの記載から、ベースレジンとしてオレフィン系エラストマー、発泡成分として熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡成形用マスターバッチであって、発泡成形用マスターバッチの真比重の下限は0.80g/cm^(3)であり、オレフィン系エラストマーの融点及びメルトインデックスが所定の条件を満たし、かつ、ベースレジン100重量部に対して、熱膨張性マイクロカプセルを40重量部以上300重量部以下含有させることにより、「強い剪断力が加えられる成形や、低い成形温度が求められる成形にも好適に使用可能であり、発泡倍率が高く、かつ、外観品質が良好な発泡成形体を製造することが可能な発泡成形用マスターバッチを提供する」ことが可能となることが理解できる。

そうすると、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載から、当業者は、「ベースレジン、熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡成形用マスターバッチであって、真比重が0.80g/cm^(3)以上であり、前記ベースレジンは、オレフィン系エラストマーを含有し、前記オレフィン系エラストマーは、融点が50?120℃、メルトインデックスが2?20g/10分であり、前記ベースレジン100重量部に対して、前記熱膨張性マイクロカプセルを40?300重量部含有する」との特定事項を有する「発泡成形用マスターバッチ」であれば、発明の課題を解決できると認識する。

そして、本件特許発明1、3ないし9は、上記特定事項を有するものであるから、発明の詳細な説明に記載された発明であって、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できるものである。

よって、本件特許の発明の詳細な説明の記載に特許異議申立人Bの主張するような不備はない。

したがって、本件特許発明1、3ないし9は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であって、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるからというべきであり、本件特許発明1、3ないし9は、サポート要件を満足する。

第7 結語

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、及び、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1、3ないし9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1、3ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件特許の請求項2に係る特許は、訂正により削除されたため、特許異議申立人AないしBによる請求項2に係る特許異議の申立ては、いずれも、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースレジン、熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡成形用マスターバッチであって、真比重が0.80g/cm^(3)以上であり、
前記ベースレジンは、オレフィン系エラストマーを含有し、
前記オレフィン系エラストマーは、融点が50?120℃、メルトインデックスが2?20g/10分であり、
前記ベースレジン100重量部に対して、前記熱膨張性マイクロカプセルを40?300重量部含有する
ことを特徴とする発泡成形用マスターバッチ。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
熱膨張性マイクロカプセルは、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、
前記シェルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)を含有するモノマー混合物を重合させてなる重合体からなる
ことを特徴とする請求項1記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項4】
前記シェルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40?90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5?50重量%とを含有するモノマー混合物を重合させてなる重合体からなる
ことを特徴とする請求項1又は3記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項5】
モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40?90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5?50重量%とを含有し、かつ、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しないことを特徴とする請求項1、3又は4記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項6】
モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40?90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5?50重量%と、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)0.2重量%以下、もしくは/かつ、金属カチオン水酸化物(IV)0.1?10重量%とを含有することを特徴とする請求項1、3又は4記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項7】
モノマー混合物は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40?90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3?8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5?50重量%と、金属カチオン水酸化物(IV)0.1?10重量%とを含有し、かつ、分子内に二重結合を2つ以上有する重合性モノマー(III)を含有しないことを特徴とする請求項1、3又は4記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項8】
熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度が180℃以上であることを特徴とする請求項1、3、4、5、6又は7記載の発泡成形用マスターバッチ。
【請求項9】
請求項1、3、4、5、6、7又は8記載の発泡成形用マスターバッチを用いてなることを特徴とする発泡成形体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-02-05 
出願番号 特願2018-553501(P2018-553501)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C08J)
P 1 651・ 537- YAA (C08J)
P 1 651・ 113- YAA (C08J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤田 雅也  
特許庁審判長 大島 祥吾
特許庁審判官 加藤 友也
植前 充司
登録日 2019-09-06 
登録番号 特許第6582142号(P6582142)
権利者 積水化学工業株式会社
発明の名称 発泡成形用マスターバッチ及び発泡成形体  
代理人 特許業務法人安富国際特許事務所  
代理人 特許業務法人 安富国際特許事務所  
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