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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25D
管理番号 1373057
審判番号 不服2020-11605  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-20 
確定日 2021-04-08 
事件の表示 特願2019-207913「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 2月13日出願公開、特開2020- 24088〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成31年3月6日に出願した特願2019-40541号(以下「親出願」という。)の一部を令和1年11月18日に新たな特許出願としたものであり、親出願は、平成26年2月28日(優先権主張 平成25年10月30日、優先権主張 平成25年7月16日、優先権主張 平成25年3月12日)に出願した特願2014-38460号の一部を新たな特許出願としたものである。
本願について、その主な手続は以下のとおりである。
令和 1年12月 4日付け:拒絶理由通知書(特許法第50条の2の通知を伴う拒絶理由通知)
令和 2年 3月23日 :意見書の提出
令和 2年 5月21日付け:拒絶査定(令和2年5月26日送達)
令和 2年 8月20日 :審判請求書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体内に形成された貯蔵庫と、
前記貯蔵庫を開閉する扉と、
前記貯蔵庫内を照明する照明手段と、
前記貯蔵庫内を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段を制御する制御手段と、を備え、
前記扉は左扉および右扉とにより両開き式に構成され、
前記左扉および前記右扉のうち、一方の扉は他方の扉との隙間を埋めるための回動式の縦仕切りを有し、他方の扉は前記撮像手段を有している、
冷蔵庫。」

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。
この出願の請求項1に係る発明は、下記の引用文献1?4に記載された発明および周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開2002-243335号公報
引用文献2.特開2013-24506号公報
引用文献3.特開2012-107770号公報
引用文献4.特開2009-250602号公報

第4 引用文献
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2002-243335号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の(1)?(3)に示す事項が記載されており、(4)?(5)に示す事項が記載されているといえる(ただし、下線は当審にて付した。また、「・・・」は記載の省略を意味する。以下同様。)。

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品保存庫、ホームネットワーク装置、携帯情報端末、食品情報提供サーバ、献立情報提供サーバ及び保存庫内収納情報提供サーバに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、冷凍・冷蔵庫などの食品保存庫の庫内画像を撮像し、インターネット等の情報ネットワークを通じて遠隔地のユーザに転送するものは、量産商品としては存在しないが、技術的にはCCDカメラ等の画像記録装置及びMPEG4規格など画像データ転送技術の発展により実現可能であり、またアイディアレベルでは既に新聞・雑誌等様々なマスメディアに於いて報道されるほどポピュラーである。
・・・
【0010】請求項1の発明の食品保存庫では、保存庫内の食品の在庫をカメラによって撮像して遠隔地に伝送する際、ドアの閉動を感知してカメラによって食品棚の情景を撮像するので、魚眼レンズのように焦点距離が極端に短いレンズのカメラでなくても庫内の情景をゆがみの少ない自然な画像にして撮像することができ、ドア開により庫内ランプが点灯している状態で撮像することができて明瞭な庫内画像を得ることができ、しかも、カメラによる撮像のために庫内ランプを強制的に点灯させるための手段を追加的に設置しなくてもよい。
・・・
【0029】ユーザ各々の家庭内には、庫内撮像用のカメラとして図2に示すようなCCDカメラ201,202を備えた食品保存庫としての冷凍冷蔵庫(以下、「冷蔵庫」と称する。)100が設置されている。また、カメラ201,202の撮像した冷蔵庫100の庫内画像を撮像日時情報と共に記録蓄積するローカルデータベース110が本食品・商品検索販売システムの一部としてユーザ宅内にホームネットワーク装置の一部として冷蔵庫100に内蔵する形で、あるいは外付けで設置されており、CATV回線、光ファイバー回線、電話回線のような公衆回線、インターネットあるいはこれらの相互接続によって構成される情報ネットワーク7を通じて宅外サーバ1に接続されている。なお、本発明においては、情報ネットワーク7に対する種々の機器の接続は、常時接続であっても、必要に応じて随時に接続する形態であってもよい。
・・・
【0031】図2に示すように、ユーザの家庭に設置される冷蔵庫100には、庫内103を撮像するためにドア101に庫内撮像用カメラ201が設置され、ドア101のドアポケット1020撮像するためにドアポケット撮像用カメラ202が庫内天井に設置されている。また、図3に示すように、冷蔵庫100には、ドア101が閉動するのを感知するドアセンサ113と、このドアセンサ113がドア101の閉動を感知した信号を受けて庫内撮像用カメラ201とドアポケット撮像用カメラ202を作動させ、ドアポケット102、庫内103それぞれの情景を撮像させるカメラ制御部110を備えている。
・・・
【0035】図2及び図3に示すように、冷蔵庫100においては、カメラ制御部110により、ドアセンサ113がドア101の閉動を感知したときに庫内撮像用カメラ201、ドアポケット撮像用カメラ202を作動させて庫内103の情景及びドアポケット102の情景を撮像させ、記録画像を在庫記録画像データベース110に逐次保存させる。したがって、この在庫記録画像データベース110には、冷蔵庫100に保存されている最新の食品在庫まで、一定期間の庫内画像が撮像日時情報と共に保持されることになる。」

(2)「【図2】



(3)「【図3】



(4)【0010】及び【0029】から、食品保存庫である冷蔵庫100が庫内ランプを備えることは明らかである。さらに【0031】から、前記庫内ランプが、庫内103を照明することが明らかである。
また、【0031】及び【図2】から、以下のことがいえる。
ア 冷蔵庫100が冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体内に形成された貯蔵庫とを備えること。
イ ドア101が前記貯蔵庫を開閉するものであること。
ウ 庫内撮像用カメラ201が撮像する庫内103が前記貯蔵庫の内部であること。

(5)上記(1)?(3)の記載事項及び当該記載事項からいえる(4)の事項を総合すると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明」という。)。
「冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体内に形成された貯蔵庫と、
前記貯蔵庫を開閉するドア101と、
前記貯蔵庫内を照明する庫内ランプと、
前記貯蔵庫内を撮像する庫内撮像用カメラ201と、
前記庫内撮像用カメラ201を作動させるカメラ制御部110と、を備え、
前記ドア101に前記庫内撮像用カメラ201が設置されている、
冷蔵庫100。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2013-24506号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0018】
図1において、1は冷蔵庫本体であり、この冷蔵庫本体1は内部に上から冷蔵室2、冷凍室3、野菜室4等を有している。5は冷蔵室扉で観音開き式の左右の扉(5a、5b)より構成されている。6は冷凍室扉で3つの扉(製氷室扉6a、第二冷凍室扉6b、第一冷凍室扉6c)より構成されている。また7は野菜室扉を示す。
【0019】
冷蔵室左扉5aは、折り曲げた鋼板やガラス板で形成された扉外板20と、扉外板20の後ろ側に取り付けられる扉内板21、扉外板20の上下にそれぞれ設けられた扉上キャップ22と扉下キャップ23により構成される。扉の形状によっては扉外板20の左右にそれぞれキャップを有する場合もある。
・・・
【0021】
扉内板21の右側面には、後方へ突出した土手形状の突出部26が形成されている。突出部26の右側面には、リード線35を引き出すための開口部27が形成されている。また、突出部26の右側面には、冷蔵室扉5a、5bを閉じた時に両扉間から冷気が漏れないようにするための回転式縦仕切16が回動自在に取り付けられる。この回転式縦仕切16には、結露防止ヒータが内蔵され、回転式縦仕切16の表面を結露が発生しない温度に維持している。」

(2)「【図1】



(3)「【図2】




3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された特開2012-107770号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0010】
[第1の実施形態]
図1および図2に示すように、第1の実施形態の観音開き式扉の冷蔵庫1は、上約半分が観音開き式に開閉する2枚の扉11、12にて閉塞される冷蔵室2とし、その下に野菜室3、その下に製氷室4とサブ冷凍室5、更にその下に主冷凍室6を区分して設けてある。野菜室3には野菜ケース3A、製氷室4には氷ケース4A、サブ冷凍室5にはサブ冷凍室ケース5A、主冷凍室6には主冷凍室ケース6Aそれぞれが引き出し式に収容してある。そしてそれぞれには引き出し用扉3B、4B、5B、6Bが取り付けてある。
【0011】
冷蔵室2の前面開口部には、該開口部を幅方向に区分し、冷蔵庫本体の左右両側に設けたヒンジ21、22で回動自在に枢支した観音開き式の(向かって左の)左扉11および(向かって右の)右扉12が設けられており、両扉11、12により冷蔵室2の前面開口部が閉塞されるように構成されている。両扉11、12の裏面周縁部それぞれには、内部にマグネット13(図3参照)を備えたガスケット141、142それぞれが全周にわたって取り付けられている。また一方の扉、図1、図2では左扉11の自由端の裏面にはガスケット141と共に、縦方向のほぼ全長に亘る長さの縦仕切り部15が軸支してある。」

(2)「【図1】



(3)「【図2】



4 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用された特開2009-250602号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0020】
冷蔵室12の前面開口部には、該開口部を幅方向に区分し、冷蔵庫本体の左右両側に設けたヒンジ22,22で回動自在に枢支した観音開き式の左扉24および右扉26が設けられており、両扉24,26により閉塞されるように構成されている。両扉24,26の裏面周縁部には、内部にマグネット(不図示)を備えたガスケット28が全周縁にわたって取り付けられており、冷蔵庫本体の開口縁および縦仕切り体30に当接して冷蔵室12内をシールしている。
【0021】
左扉24の枢支側辺に対向する反枢支側の裏面には、上下方向に沿って延び、右扉24が閉塞する冷蔵室12の上下寸法よりもわずかに小さい長さを持つ縦仕切り体30が、左扉24の扉内側に設けたヒンジ32により軸支され、図3に示す扉表面に略垂直な姿勢と、図4に示す扉表面に略平行な姿勢との間で回動可能に設けられている。」

(2)「【図2】



(3)「【図3】



(4)「【図4】



第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「冷蔵庫本体」、「貯蔵庫」、「ドア101」、「庫内ランプ」、「庫内撮像用カメラ201」及び「冷蔵庫100」は、本願発明の「冷蔵庫本体」、「貯蔵庫」、「扉」、「照明手段」、「撮像手段」及び「冷蔵庫」にそれぞれ相当する。

2 引用発明の「前記庫内撮像用カメラ201を作動させるカメラ制御部110」は、カメラ制御部110が庫内撮像用カメラを制御しているといえるから、本願発明の「前記撮像手段を制御する制御手段」に相当する。

3 引用発明の「前記ドア101に前記庫内撮像用カメラ201が設置されている」という事項は、扉は撮像手段を有している点に限り、本願発明の「他方の扉は前記撮像手段を有している」と一致する。

4 上記1?3より、本願発明と引用発明とは、
「冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体内に形成された貯蔵庫と、
前記貯蔵庫を開閉する扉と、
前記貯蔵庫内を照明する照明手段と、
前記貯蔵庫内を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段を制御する制御手段と、を備え、
前記扉は前記撮像手段を有している、
冷蔵庫。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
扉について、本願発明は「前記扉は左扉および右扉とにより両開き式に構成され、前記左扉および前記右扉のうち、一方の扉は他方の扉との隙間を埋めるための回動式の縦仕切りを有し、他方の扉は前記撮像手段を有している」のに対し、引用発明は、「前記ドア101に前記庫内撮像用カメラ201が設置されている」点。

第6 判断
1 相違点に係る本願発明の構成について
冷蔵庫において、「扉は左扉および右扉とにより両開き式に構成され、前記左扉および前記右扉のうち、一方の扉は他方の扉との隙間を埋めるための回動式の縦仕切りを有し」ているようにすることは、引用文献2ないし4に見られるように、本願の優先日より前の周知技術である(以下「周知技術」という。)。
引用発明と周知技術とは、冷蔵庫という同一の技術分野に関するものであるから、引用発明の扉の形式として周知技術を適用することは当業者が適宜なし得る程度のことである。その際に、庫内撮像用カメラ201を両扉のうちのどちらに設けるのかは、各扉の構造、スペースなどを考慮して当業者が任意に決定し得る事項であって、縦仕切りを有していない方の扉を選択することに困難性はない。
なお、引用文献2【図1】、引用文献3【図1】、引用文献4【図2】から看取し得るように、一般的には、観音開き式扉の幅が狭い方の扉に縦仕切りが設けられることを踏まえると、貯蔵庫内を偏りなく撮像可能にするためには、カメラを貯蔵庫の幅方向中央付近に設置する必要があるので、幅が広い方(縦仕切りが設けられていない方)の扉にカメラを設けることになることは明らかである。

2 本願発明の効果について
本願発明が奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。

3 請求人の主張について
請求人は、令和2年8月20日に提出した審判請求書の「3.本願が特許されるべき理由」において、引用文献1?4に対する有利な効果として以下の事項を主張している。
「両開き式の左右の扉のうち、例えば一方の扉に回動式の縦仕切りと撮像手段とを設けた構成の場合、その一方の扉を開閉するたびに縦仕切りが回動して衝撃が生じ、その衝撃がその一方の扉を介して撮像手段に伝わる。このため、撮像手段には頻繁に衝撃が作用することになり、その結果、撮像手段の長期に亘る信頼性に影響が出るおそれがある。一方、本願請求項1のように、左扉および右扉のうち、一方の扉には回動式の縦仕切りを設け、他方の扉には撮像手段を設けることで、一方の扉に設けられた縦仕切りの回動による衝撃が、他方の扉に設けられた撮像手段に伝わることを抑制できる。これにより、縦仕切りの回動による衝撃が撮像手段に作用することを抑制でき、その結果、撮像手段の長期に亘る高い信頼性を維持することができる。」
しかしながら、上記効果は、引用発明(特に、扉にカメラを設置するという構成)及び周知技術(観音式扉の一方の扉に回動式の縦仕切りを有するという構成)から当業者が予測し得る程度のものである。
仮に、請求人が主張する上記効果が引用発明及び周知技術から当業者が予測し得ないものであるとすれば、上記効果は本願発明が奏するものとして参酌することができない。なぜならば、「縦仕切りの回動による衝撃」等の上記効果に関する事項が本願の明細書等に何ら記載されていないから、本願発明が上記効果を奏するとは、当業者であっても本願の明細書等から認識することができないためである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-01-29 
結審通知日 2021-02-02 
審決日 2021-02-19 
出願番号 特願2019-207913(P2019-207913)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F25D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯星 潤耶  
特許庁審判長 林 茂樹
特許庁審判官 山崎 勝司
山田 裕介
発明の名称 冷蔵庫  
代理人 特許業務法人 サトー国際特許事務所  
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