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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1373132
審判番号 不服2020-9402  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-06 
確定日 2021-04-09 
事件の表示 特願2016-523232「画像視覚化」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月30日国際公開、WO2015/059613、平成28年11月10日国内公表、特表2016-534774〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)10月17日(パリ条約による優先権主張 2013年10月22日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年10月11日 :手続補正書の提出
平成30年 6月 8日付け:拒絶理由通知書
平成30年12月14日 :意見書、手続補正書の提出
平成31年 4月18日付け:拒絶理由通知書
令和 元年10月25日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 2月28日付け:拒絶査定
令和 2年 7月 6日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和2年7月6日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年7月6日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「ディスプレイモニタの主ビューポートにおいて主画像を視覚的にもたらし、前記主画像は第一の処理アルゴリズムで処理される、ステップと、
前記主画像のサブ部分上に主関心領域を視覚的にもたらし、前記主関心領域は、前記第一の処理アルゴリズムで処理される前記主画像において関心エリアを特定する、ステップと、
前記主関心領域を視覚的にもたらすのと同時に、前記主画像のサブ部分と異なるサブ部分上において少なくとも一つの副関心領域を視覚的にもたらし、前記少なくとも一つの副関心領域は、前記主画像が前記第一の処理アルゴリズムと異なる第二の処理アルゴリズムで処理される領域であり、前記主関心領域と同じ関心エリアを示す、ステップと
を有する、方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和元年10月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「ディスプレイモニタの主ビューポートにおいて主画像を視覚的にもたらし、前記主画像は第一の処理アルゴリズムで処理される、ステップと、
前記主画像のサブ部分上に主関心領域を視覚的にもたらし、前記主関心領域は前記主画像において関心エリアを特定する、ステップと、
前記主関心領域を視覚的にもたらすのと同時に、前記主画像のサブ部分と異なるサブ部分上において少なくとも一つの副関心領域を視覚的にもたらし、前記少なくとも一つの副関心領域は、前記第一の処理アルゴリズムと異なる第二の処理アルゴリズムで処理される前記主関心領域と同じ関心エリアを示す、ステップと
を有する、方法。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「副関心領域」の内容について、「第一の処理アルゴリズムと異なる第二の処理アルゴリズムで処理される」という記載を「前記主画像が前記第一の処理アルゴリズムと異なる第二の処理アルゴリズムで処理される」と、「主画像」が処理されるものであるとする限定を付加する補正を含むものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である、特開2006-014928号公報(平成18年1月19日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は当審にて付した。)。

(引1a)
「【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示方法および装置並びにそのためのプログラムに関し、詳しくは、複数の医用画像における互いに対応する局所領域の比較観察に適した画像表示方法および装置並びにそのためのプログラムに関するものである。
【0002】
従来、医療分野において、患者の所定の部位を表すX線画像やCT断層画像等の医用画像を読影して診断する際に、当該医用画像における局所領域と、同一患者の同部位を過去に撮影して得られた時系列画像や、他の患者の同種の部位を表す同じモダリティーの画像等における上記局所領域の対応領域とを比較観察し、病変の蓋然性を確認したり治癒の経過を観察したりすることが行われている。」

(引1b)
「【0013】
「医用画像」としては、例えば、放射線画像、CT断層画像、MRI画像等を考えることができる。
・・・
【0017】
また、「関心領域の近傍に表示する」ことは、関心領域上に重畳して表示することを含まない。
・・・
【0020】
本発明において、「1つ以上の比較画像」は、前記被写体と同一の被写体の、時系列画像、サブトラクション画像、エネルギーサブトラクション画像、および、前記被写体に対応する人工画像のうち少なくとも1つを含むものであってもよい。
【0021】
「時系列画像」とは、被写体の撮影時期が異なる画像のことをいう。
【0022】
「サブトラクション画像」とは、2つの画像における互いに対応する各画素間で画素値の減算を行う処理、いわゆるサブトラクション処理により得られた上記2つの画像の差分を表す画像のことをいう。」

(引1c)
「【0031】
図2は、画像表示装置100における処理フローの概略を示した図である。
【0032】
本画像表示装置100に、CRシステム(Computed Radiography System)等により取得された、ある患者1の胸部1aを表す胸部X線画像である基準画像P0が入力されると、画像表示手段10が、入力された基準画像P0を表示装置11の画面11Dに表示する(ステップS1)。
【0033】
ここで操作者が、画面11Dに表示された基準画像P0上で他の画像と比較したい所望の局所領域、例えば、病変と疑わしい局所領域を、入力手段60を介して枠で囲む等により指定すると、関心領域設定手段30は、上記のように指定された局所領域を関心領域R0として設定し、その位置を表す関心領域位置情報T0を取得する(ステップS2)。・・・
・・・
【0035】
一方、比較画像取得手段20は、画像データベース21から同一患者1の胸部1aを表す1つ以上の胸部医用画像、例えば、過去に撮影された時系列画像、サブトラクション画像、エネルギーサブトラクション画像、あるいは、同一患者1の胸部の正常構造を表す人工画像等を検索して読み出し、これらの画像を比較画像Piとして取得する(ステップS3)。・・・
【0036】
対応領域抽出手段40は、比較画像取得手段20により取得された比較画像Piの各々に対して、上述と同様の解剖学的情報に基づく座標系の正規化を行った後、その座標系における、関心領域位置情報T0が表す位置に対応する位置の領域を対応領域Riとして抽出する(ステップS4)。
【0037】
参照画像表示手段50は、通常、対応領域抽出手段40により抽出された各対応領域Riの画像を参照画像として画面11D上の関心領域R0の近傍に表示するが、このとき、少なくとも対応領域Riの画像のいずれかの画像に基づいて生成される関心領域R0に対応する画像を生成し、上記の対応領域Riの画像に加えて、あるいは、それらの画像に代えて、当該生成された画像を参照画像として同様に表示するようにしてもよい。
【0038】
例えば、基準画像P0がある時期に撮影された通常画像、すなわち、サブトラクション画像やエネルギーサブトラクション画像等でない画像であることをその付帯情報に基づいて確認し、通常画像である場合には、比較画像取得手段20により取得された各比較画像Piの付帯情報等に基づいて、当該比較画像Piの中から同一患者1の胸部1aの過去の画像である時系列画像を検出する処理を行い、時系列画像が検出された場合には、基準画像P0における関心領域R0の画像Pr0と当該検出された時系列画像において対応領域抽出手段40により抽出された対応領域の画像との間でサブトラクション処理(減算処理)を行い、関心領域R0に対応する局所領域の経時サブトラクション画像Prsを生成し、上記各対応領域の画像Prjと同様に、画面11D上の関心領域R0の近傍に表示する(ステップS5)。
【0039】
参照画像の表示の形態は主に2種類が考えられ、図3に示すように、関心領域R0に隣接して並べて表示するか(並列表示モード)、あるいは、図4に示すように、関心領域R0に隣接して切替え表示する(切替表示モード)。これらの表示モードは、例えば、プリセット、あるいは、入力手段60を介して入力される、表示モード選択情報に基づいて選択される。さらに、関心領域R0の画像Pr0および参照画像Prjは、全体的にあるいは選択的に、拡大または縮小して表示することができる。図3、図4では、比較画像P1?P3における各対応領域の画像Pr1,Pr2,Pr3が並列表示または切替え表示される場合の画面を示している。なお、切替表示モードでは、画像の切替えを一定の時間間隔で自動的に切り替えるようにしてもよいし、切替えを指示する何らかの入力信号により個々切り替えるようにしてもよい。
【0040】
このように、本発明の画像表示装置によれば、入力された被写体の医用画像である基準画像を表示装置の画面に表示し、多数の医用画像が記憶されている記憶装置から上記被写体と同種の被写体の医用画像である1つ以上の比較画像を取得し、表示された基準画像上で指定された局所領域を関心領域として設定し、比較画像における、関心領域の対応領域を抽出し、各対応領域の画像や少なくとも前記対応領域の画像に基づいて生成される前記関心領域に対応する画像である参照画像を、前記画面上の前記関心領域の近傍に表示するようにしているので、比較観察するための比較画像が画面に表示されているか否かに関係なく、関心領域の画像と比較観察したい局所的な領域の画像を、画面の関心領域近傍に、当該関心領域上に重畳しない形態で集約して表示することができ、所定の基準画像における局所領域の画像と他の比較対象の画像における上記局所領域の対応領域の画像とを比較観察するにあたり、非表示の比較対象の画像における上記対応領域の画像を観察すること、上記局所領域の画像と上記対応領域の画像とを同時に観察すること、および、比較的大きな視線移動を必要とせずに上記局所領域の画像と上記対応領域の画像とを比較観察すること、を可能とし、複数の医用画像の各々における互いに対応する局所的な領域についての比較観察をより効率よく行うことができる。」

(引1d)
【図3】

【図4】


イ 記載事項の整理
(ア)引用文献1の【0035】には「比較画像取得手段20は、画像データベース21から同一患者1の胸部1aを表す1つ以上の胸部医用画像、例えば、過去に撮影された時系列画像・・・を検索して読み出し」、【0038】には「比較画像Piの中から同一患者1の胸部1aの過去の画像である時系列画像を検出する処理を行い」と、「時系列画像」が「胸部」の「医用画像」であると記載されている。
しかし、【0013】の「「医用画像」としては、例えば、放射線画像、CT断層画像、MRI画像等を考えることができる。」及び【0021】の「「時系列画像」とは、被写体の撮影時期が異なる画像のことをいう。」という記載と、CT断層画像やMRI画像であっても「被写体の撮影時期が異なる」「時系列画像」との比較は可能であることを考慮すると、引用文献1の【0035】,【0038】における「時系列画像」が「胸部」の「医用画像」であるという記載は例示にすぎず、CT断層画像やMRI画像を含む「医用画像」について「時系列画像」を読み出すことが記載されているといえる。

(イ)引用文献1の【図3】,【図4】から、「基準画像P0」が表示され、「基準画像P0」上の「局所領域」を「関心領域R0として設定」するにあたり、「関心領域R0」は枠で囲まれて表示されていると認められる。

ウ 引用発明
上記ア,イから、上記引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「被写体の医用画像である基準画像P0を表示装置11の画面11Dに表示するステップS1であって、医用画像としては放射線画像、CT断層画像、MRI画像等が考えられる、ステップS1と、
画面11Dに基準画像P0を表示し、基準画像P0上の指定された局所領域を関心領域R0として設定し、その位置を表す関心領域位置情報T0を取得し、関心領域R0を枠で囲んで表示するステップS2と、
画像データベース21から同一患者1の過去に撮影された時系列画像を読み出し、これらの画像を比較画像Piとして取得するステップS3と、
比較画像Piの各々に対して、関心領域位置情報T0が表す位置に対応する位置の領域を対応領域Riとして抽出するステップS4と、
基準画像P0における関心領域R0の画像Pr0と時系列画像において抽出された対応領域の画像との間でサブトラクション処理(減算処理)を行い、関心領域R0に対応する局所領域の経時サブトラクション画像Prsを生成し、画面11D上の関心領域R0の近傍に表示するステップS5であって、関心領域R0の近傍に表示することは、関心領域R0上に重畳して表示することを含まない、ステップS5と、
を有する、画像表示方法。」

(3)対比
ア 本件補正発明の「ディスプレイモニタの主ビューポートにおいて主画像を視覚的にもたら」すという構成について

(ア)本願の発明の詳細な説明には、以下の記載がある(下線は当審にて付した。)。
「【0024】
図2において、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)200は、出力装置118のディスプレイモニタにおいて表示される。GUI 200は、主ビューポート又は画像表示領域204及びメニュー表示領域206を含む。画像表示領域204は、主画像208又は主画像データのスライスを視覚的にもたらす。画像表示領域204は更に、主ビューポートROI 210及び少なくとも一つの副ビューポートROI(図示される例における二つ、すなわち、副ROI 212及び副ROI 214)を視覚的にもたらし、全て主画像208上に重ね合わされる。」

(イ)この記載によれば、本件補正発明の「主ビューポート」は「主画像208又は主画像データのスライスを視覚的にもたらす」「画像表示領域204」を指すものと理解できる。

(ウ)そうすると、引用発明の「表示装置11」の「画面11D」には「被写体の医用画像である基準画像P0」が「表示」されるところ、引用発明の「表示装置11」及び「基準画像P0」がそれぞれ本件補正発明の「ディスプレイモニタ」及び「主画像」に相当し、引用発明の「表示装置11」の「画面11D」のうち「基準画像P0」が「表示」される部分が本件補正発明の「主ビューポート」に相当する。

イ 本件補正発明の「前記主画像は第一の処理アルゴリズムで処理される」という構成について
引用発明の「医用画像」は「CT断層画像」又は「MRI画像」を含むところ、これらの画像は断層像である一方、検出器が取得したデータそのものは断層像ではないから、該データから断層像を再構成する必要があるところ、再構成のためのアルゴリズムが本件補正発明の「第一の処理アルゴリズム」に相当する。

ウ 上記ア,イから、引用発明の「被写体の医用画像である基準画像P0を表示装置11の画面11Dに表示するステップS1」は、本件補正発明の「ディスプレイモニタの主ビューポートにおいて主画像を視覚的にもたらし、前記主画像は第一の処理アルゴリズムで処理される、ステップ」に相当する。

エ 本件補正発明の「前記主画像のサブ部分上に主関心領域を視覚的にもたらし、前記主関心領域は、前記第一の処理アルゴリズムで処理される前記主画像において関心エリアを特定する、ステップ」について

(ア)引用発明の「画面11Dに基準画像P0を表示し、基準画像P0上の指定された局所領域を関心領域R0として設定し、その位置を表す関心領域位置情報T0を取得し、関心領域R0を枠で囲んで表示するステップS2」に関して、「関心領域R0」は「基準画像P0上」にあるから、本件補正発明の「主画像のサブ部分上」の「主関心領域」であって、「主関心領域は、前記第一の処理アルゴリズムで処理される前記主画像において関心エリアを特定する」ものに相当する。

(イ)「関心領域R0」は「枠で囲んで表示」されているから、「視覚的にもたら」されているといえる。なお、仮に、引用文献1の【図3】,【図4】における「関心領域R0」の枠は図面上視認しやすくするために便宜的に描かれたものであって実際の画面上では表示されないものであったとしても、「関心領域R0」自体が表示されており、その意味において「視覚的にもたら」されていることには変わりはない。

(ウ)上記(ア),(イ)から、引用発明の「画面11Dに基準画像P0を表示し、基準画像P0上の指定された局所領域を関心領域R0として設定し、その位置を表す関心領域位置情報T0を取得し、関心領域R0を枠で囲んで表示するステップS2」は、本件補正発明の「前記主画像のサブ部分上に主関心領域を視覚的にもたらし、前記主関心領域は、前記第一の処理アルゴリズムで処理される前記主画像において関心エリアを特定する、ステップ」に相当する。

オ 本件補正発明の「前記主関心領域を視覚的にもたらすのと同時に、・・・、前記主関心領域と同じ関心エリアを示す、ステップ」について

(ア)引用発明の「関心領域R0に対応する局所領域の経時サブトラクション画像Prsを生成し、画面11D上の関心領域R0の近傍に表示するステップS5」に関して、「サブトラクション画像Prs」は「基準画像P0における関心領域R0の画像Pr0」と「時系列画像において抽出された対応領域の画像」との間で「サブトラクション処理(減算処理)」を行って得られるものであり、「関心領域R0」は本件補正発明の「主関心領域」に相当する領域であるから、引用発明の「サブトラクション画像Prs」は本件補正発明の「主関心領域と同じ関心エリアを示す」「副関心領域」に相当する。

(イ)引用発明の「サブトラクション画像Prs」は「画面11D上の関心領域R0の近傍に表示」され、「関心領域R0の近傍に表示することは、関心領域R0上に重畳して表示することを含まない」ものである。また、「サブトラクション画像Prs」を「関心領域R0の近傍に表示」するということは、「サブトラクション画像Prs」と「関心領域R0」は同時に視覚的にもたらされるといえる。
そうすると、引用発明の「サブトラクション画像Prs」を「画面11D上の関心領域R0の近傍に表示」することは、本件補正発明の「前記主関心領域を視覚的にもたらすのと同時に、前記主画像のサブ部分と異なるサブ部分上において少なくとも一つの副関心領域を視覚的にもたら」すことに相当する。

(ウ)引用発明の「サブトラクション画像Prs」は「基準画像P0における関心領域R0の画像Pr0」と「時系列画像において抽出された対応領域の画像」との間で「サブトラクション処理(減算処理)」を行って得られるものである。そして、「基準画像P0」は本件補正発明の「主画像」に相当する画像であるから、引用発明の「サブトラクション画像Prs」は「主画像」が「処理される領域」であるといえ、また、該「サブトラクション画像Prs」を得るための、「基準画像P0」を用いた「サブトラクション処理」は、本件補正発明の「前記第一の処理アルゴリズムと異なる第二の処理アルゴリズム」による「処理」に相当する。

(エ)上記(ア)?(ウ)より、引用発明の「関心領域R0に対応する局所領域の経時サブトラクション画像Prsを生成し、画面11D上の関心領域R0の近傍に表示するステップS5」は、本件補正発明の「前記主関心領域を視覚的にもたらすのと同時に、前記主画像のサブ部分と異なるサブ部分上において少なくとも一つの副関心領域を視覚的にもたらし、前記少なくとも一つの副関心領域は、前記主画像が前記第一の処理アルゴリズムと異なる第二の処理アルゴリズムで処理される領域であり、前記主関心領域と同じ関心エリアを示す、ステップ」に相当する。

(4)判断
上記(3)にて対比したように、本件補正発明と引用発明の間に差異は認められない。よって、本件補正発明は引用発明である。

(5)請求人の主張について
請求人は審判請求書の「(3-2)拒絶理由に対する対処」において、「引用文献1乃至5には、本願の補正後の請求項1の構成要件である「前記少なくとも一つの副関心領域は、前記主画像が前記第一の処理アルゴリズムと異なる第二の処理アルゴリズムで処理される領域であり、前記主関心領域と同じ関心エリアを示す」構成については開示も示唆もされていない。・・・本願の補正後の請求項1に記載の発明によれば、同じエリアであるが、異なる処理アルゴリズムを使用して処理されるデータを伴うエリアを示すことが可能になる。本願発明の課題及び前記効果は引用文献1乃至5において認識されているわけでもないので、本願発明を成す動機づけとなり得るものが存在しない。よって、当業者は引用文献1乃至5から、画像処理された通常画像に更なる画像処理を施した画像を前記通常画像と並べて表示することには想到しえても、前記通常画像に画像処理を施すことを否定する本願の補正後の請求項1に記載の発明には容易に想到できるものではない。」(下線は当審にて付した。)と主張している。
しかし、本件補正発明の「主画像」(引用発明の「通常画像」である「基準画像P0」が相当)の処理に関する発明特定事項は「主画像は第一の処理アルゴリズムで処理される」(下線は当審にて付した。)というものであり、本件補正発明は「主画像」に画像処理を施すことを否定する発明特定事項を有するものではない。
そうすると、請求人の上記主張は、請求項の記載に基づくものではないため採用できない。

(6)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年7月6日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和元年10月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、また、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

引用文献1:特開2006-014928号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から「副関心領域」は「主画像」が処理されるものであるとする限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(4)に記載したとおり、引用発明であるから、本願発明も、引用発明である。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当するから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2020-11-11 
結審通知日 2020-11-12 
審決日 2020-11-25 
出願番号 特願2016-523232(P2016-523232)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A61B)
P 1 8・ 575- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 昭治  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 磯野 光司
伊藤 幸仙
発明の名称 画像視覚化  
代理人 笛田 秀仙  
代理人 五十嵐 貴裕  
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