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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1373198
審判番号 不服2020-10604  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-30 
確定日 2021-05-10 
事件の表示 特願2017-519662「統一されたエアインターフェースを利用するワイヤレス通信」拒絶査定不服審判事件〔平成28年4月21日 国際公開,WO2016/060895,平成29年12月14日 国内公表,特表2017-537503,請求項の数(22)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2015年(平成27年)10月6日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2014年10月16日 アメリカ合衆国(US),2015年4月29日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 元年 7月 4日付け:拒絶理由通知書
令和 元年10月 8日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 2年 3月19日付け:拒絶査定
令和 2年 7月30日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和 2年10月22日 :上申書の提出
令和 3年 1月 8日 :上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年3月19日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由1.(新規性)この出願の請求項1ないし4,21,23,24,41,43,44,61,63,64,81に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2.(進歩性)この出願の請求項1ないし82に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1ないし3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.米国特許出願公開第2012/0213196号明細書
引用文献2.特表2009-513043号公報
引用文献3.特表2014-513454号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正(令和2年7月30日にされた手続補正)は、本件補正前の請求項23ないし82を削除するものであるから,特許法第17条の2第5項第1号の,同法第36条第5項に規定する請求項の削除を目的とするものに該当する。そして,これらの補正は特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。

第4 本願発明
本願の請求項1ないし22に係る発明(以下,「本願発明1」ないし「本願発明22」という。)は,令和2年7月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ワイヤレス通信のために構成されたスケジューリングエンティティであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されたコンピュータ可読媒体と、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された複数の物理通信エンティティであって、前記物理通信エンティティは、それぞれの波形、チャネルアクセスモード、および/またはリンク適合方式を利用するワイヤレス通信のために構成される、複数の物理通信エンティティとを含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、媒体アクセス制御(MAC)エンティティを制御するように構成され、前記MACエンティティは、エアインターフェースを介して前記複数の物理通信エンティティのそれぞれに対応する信号を多重化するために前記複数の物理通信エンティティのそれぞれを制御するように構成され、前記MACエンティティは、前記物理通信エンティティのそれぞれを利用する1つまたは複数の下位エンティティとの通信のための前記エアインターフェース内での時間周波数リソース割振りを決定するように構成されるリソースマネージャを含み、
前記リソースマネージャは、リソースグループを、第1のチャネルアクセスモードのための第1の領域と、前記第1のチャネルアクセスモードとは異なる第2のチャネルアクセスモードのための第2の領域とにセグメント化するように構成され、前記リソースグループは、前記エアインターフェースを介したワイヤレス通信のために使用可能な時間周波数リソースのセットを含み、
前記MACエンティティは、前記複数の物理通信エンティティの各々に対応する信号を多重化するために前記複数の物理通信エンティティを制御するように構成され、前記複数の物理通信エンティティは、前記第1の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第1の物理通信エンティティと、前記第2の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第2の物理通信エンティティを含む、
スケジューリングエンティティ。
【請求項2】
前記MACエンティティは、前記1つまたは複数の下位エンティティにシグナリングメッセージを送信するようにさらに構成され、前記シグナリングメッセージは、前記エアインターフェース内の前記時間周波数リソース割振りを示すように構成される、請求項1に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項3】
前記第1の領域が、非同期チャネルアクセスのための時間周波数リソースを含み、前記第2の領域が、同期チャネルアクセスのための時間周波数リソースを含み、
前記シグナリングメッセージは、前記リソースグループの前記セグメント化を示すように構成される、
請求項2に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項4】
前記第1の領域は、周波数において前記第2の領域から分離される、請求項3に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項5】
前記リソースマネージャは、前記第1の領域と前記第2の領域との間のガードバンドを用いて前記第1の領域を前記第2の領域から分離するように構成される、請求項4に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項6】
前記シグナリングメッセージは、システム情報シグナリングを含み、前記MACエンティティは、複数のフレームに対応するタイミングインターバルに従って前記1つまたは複数の下位エンティティに前記システム情報シグナリングをブロードキャストするように構成される、請求項3に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項7】
前記リソースマネージャは、前記第1の領域内の前記時間周波数リソースを、符号分割多元接続(CDMA)チャネルアクセスモードのための時間周波数リソースを含む第1の副領域とランダムアクセスチャネルアクセスモードのための時間周波数リソースを含む第2の副領域とを含む複数の副領域にセグメント化するようにさらに構成される、請求項3に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項8】
前記リソースマネージャは、前記リソースグループ内の時間周波数リソースを利用する1つまたは複数の既存のフローのアクティブ化または非アクティブ化に関する情報と前記リソースグループの前記領域および副領域のリソース利用統計とに従って、前記時間周波数リソースを前記第1の領域および前記第2の領域にセグメント化し、前記第1の領域内の前記時間周波数リソースを前記CDMAチャネルアクセスモードおよび前記ランダムアクセスチャネルアクセスモードにセグメント化するようにさらに構成される、請求項7に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項9】
前記第1の副領域は、周波数において前記第2の副領域から分離される、請求項7に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項10】
前記リソースマネージャは、前記第1の副領域と前記第2の副領域との間のガードバンドを用いて前記第1の副領域を前記第2の副領域から分離するように構成される、請求項9に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項11】
前記第1の領域内の前記複数の副領域は、キャリアセンス多元接続(CSMA)チャネルアクセスモードまたはリッスンビフォアトーク(LBT)チャネルアクセスモードのための時間周波数リソースを含む第3の副領域をさらに含む、請求項7に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項12】
前記シグナリングメッセージは、システム情報シグナリングを含み、前記MACエンティティは、前記1つまたは複数の下位エンティティに前記システム情報シグナリングをブロードキャストするように構成される、請求項7に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項13】
前記リソースマネージャは、前記第2の領域内の前記時間周波数リソースを、スケジューリングされるチャネルアクセスモードのための時間周波数リソースを含む第1の副領域と自律チャネルアクセスモードのための時間周波数リソースを含む第2の副領域とを含む複数の副領域にセグメント化するようにさらに構成される、請求項3に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項14】
前記リソースマネージャは、前記自律チャネルアクセスモードまたは前記スケジューリングされるチャネルアクセスモードを利用する1つまたは複数のアクティブフローのバッファ状況に従って、前記第2の領域内の前記時間周波数リソースを前記スケジューリングされるチャネルアクセスモードおよび前記自律チャネルアクセスモードにセグメント化するようにさらに構成される、請求項13に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項15】
前記シグナリングメッセージは、前記第1の副領域と前記第2の副領域との間の前記セグメント化を示すように構成されたシステム情報シグナリングを含み、前記MACエンティティは、複数のサブフレームに対応するタイミングインターバルに従って前記1つまたは複数の下位エンティティに前記システム情報シグナリングをブロードキャストするように構成される、請求項13に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項16】
前記スケジューリングされるチャネルアクセスモードは、重畳される波形を利用する通信のための第1の副副領域と直交波形を利用する通信のための第2の副副領域とを含む、請求項13に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項17】
前記シグナリングメッセージは、前記重畳される波形のためにスケジューリングされた時間周波数リソースを示すように構成された重畳されたスケジューリング情報を含み、前記リソースマネージャは、1サブフレームに対応するタイミングインターバルに従って前記重畳されたスケジューリング情報をユニキャストメッセージとして送信するようにさらに構成される、請求項16に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項18】
前記リソースマネージャは、ミッションクリティカル送信を提供するために前記第1の副領域内の時間周波数リソースの割当をオーバーライドするようにさらに構成される、請求項13に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項19】
前記シグナリングメッセージは、時間周波数リソースの前記割当の前記オーバーライドを示すように構成されたミッションクリティカルオーバーライドシグナリングを含み、前記MACエンティティは、1サブフレーム未満に対応するタイミングインターバルに従って前記1つまたは複数の下位エンティティに前記ミッションクリティカルオーバーライドシグナリングをブロードキャストするように構成される、請求項18に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項20】
前記シグナリングメッセージは、ミッションクリティカル通信のためのリソースのスケジューリングを示すように構成されたミッションクリティカルリソース割当シグナリングをさらに含み、前記MACエンティティは、前記ミッションクリティカルリソース割当シグナリングをユニキャストメッセージとして送信するように構成される、請求項19に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項21】
前記1つまたは複数の下位エンティティに前記シグナリングメッセージを送信するように構成された前記MACエンティティは、前記シグナリングメッセージの前記送信のために前記複数の物理通信エンティティの第1の物理通信エンティティを利用するようにさらに構成され、
前記シグナリングメッセージは、前記複数の物理通信エンティティの第2の物理通信エンティティによる利用のための時間周波数リソースのスケジューリングに関するスケジューリング情報を含む、
請求項2に記載のスケジューリングエンティティ。
【請求項22】
前記1つまたは複数の下位エンティティに前記シグナリングメッセージを送信するように構成された前記MACエンティティは、前記シグナリングメッセージの前記送信のために前記複数の物理通信エンティティの第1の物理通信エンティティを利用するようにさらに構成され、
前記シグナリングメッセージは、前記複数の物理通信エンティティの第2の物理通信エンティティを利用して受信された送信に対応する肯定応答メッセージおよび/または否定応答メッセージを含む、
請求項2に記載のスケジューリングエンティティ。」

第5 引用文献,引用発明及び技術的事項
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由で引用され,本願優先日前に公開された引用文献1(米国特許出願公開第2012/0213196号明細書)には,図面とともに以下の記載がある。(なお,下線は当審で付与した。)

(1)「[0088] With reference to FIG. 13, the structure of a physical layer (first layer, L1) and a MAC layer (second layer, L2) of a multi-carrier support system is described. In a BS of a legacy wireless communication system supporting a single carrier, one physical layer (PHY) entity supporting one carrier may be included and one Medium Access Control (MAC) entity for controlling one PHY entity may be provided. A baseband processing operation, for example, may be performed in the PHY. In the MAC layer, for example, an L1/L2 scheduler operation including a MAC protocol Data Unit (PDU) generator and a MAC/RLC sublayer of a transmitter may be performed. A MAC PDU packet block of the MAC layer is converted into a transport block through a logical transport layer and is mapped to a PHY input information block.
[0089] Meanwhile, in a multi-carrier support system, a plurality of MAC-PHY entities may be provided. Namely, as shown in FIG. 13(a), a transmitter and a receiver of the multi-carrier support system may be configured such that each of n CCs corresponds to one MAC-PHY entity. Since an independent PHY and MAC layer per CC are configured, a PDSCH per CC is generated in the PHY from the MAC PDU.
[0090] In the multi-carrier support system, one common MAC entity and a plurality of PHY entities may be provided. Namely, as shown in FIG. 13(b), the transmitter and receiver of the multi-carrier support system may be configured such that n PHY entities corresponding respectively to n CCs are provided and one common MAC entity for controlling the n PHY entities is provided. In this case, a MAC PDU derived from one MAC layer may be divided into a plurality of transport blocks corresponding respectively to a plurality of CCs on a transport layer. Alternatively, the MAC PDU may be divided into CCs during MAC PDU generation in the MAC layer or RLC PDU generation in the RLC layer. Thus, a PDSCH per CC is generated in the PHY.
[0091] A PDCCH which transmits control information of L1/L2 control signaling generated from a packet scheduler of the MAC layer may be mapped to a physical resource per individual CC and then transmitted. Here, the PDCCH including control information (DL allocation or UL grant) for PDSCH or PUSCH transmission for a specific UE may be separately encoded with respect to each CC through which corresponding PDSCH/PUSCH is transmitted. Such a PDCCH may be called a separate coded PDCCH. Meanwhile, control information for PDSCH/PUSCH transmission of plural CCs may be configured by one PDCCH and then transmitted, and such a PDCCH may be called joint coded PDCCH.」
(当審仮訳:
[0088]図13を参照すると,マルチキャリアサポートシステムの物理層(第1の層,L1)およびMAC層(第2の層,L2)の構造が説明されている。単一のキャリアをサポートするレガシー無線通信システムのBSにおいて,1つのキャリアをサポートする1つの物理層(PHY)エンティティが含まれ得,そして1つのPHYエンティティを制御するための1つの媒体アクセス制御(MAC)エンティティが提供され得る。例えば,ベースバンド処理操作は,PHYで実行できる。MAC層では,例えば,MACプロトコルデータユニット(PDU)ジェネレータ及び送信機のMAC/RLCサブ層を含むL1/L2スケジューラ動作を行うことができる。MAC層のMAC PDUパケットブロックは,論理トランスポート層を介してトランスポートブロックに変換され,PHY入力情報ブロックにマッピングされる。
[0089]一方,マルチキャリアサポートシステムでは,複数のMAC?PHYエンティティを提供することができる。すなわち,図13(a)に示されるように,マルチキャリアサポートシステムの送信機および受信機は,n個のCCのそれぞれが1つのMAC-PHYエンティティに対応するように構成され得る。CCごとに独立したPHY及びMAC層が構成されているため,CCごとのPDSCHは,MAC PDUからPHYを生成する。
[0090]マルチキャリアサポートシステムでは,1つの共通のMACエンティティおよび複数のPHYエンティティが提供され得る。すなわち,図13(b)に示されるように,マルチキャリアサポートシステムの送信機及び受信機は,それぞれn個のCCに対応するn個のPHYエンティティが提供され,n個のPHYエンティティを制御するための1つの共通のMACエンティティが提供されるように構成され得る。この場合,1つのMAC層から導出されたMAC PDUは,トランスポート層上の複数のCCにそれぞれ対応する複数のトランスポートブロックに分割することができる。あるいは,MAC PDUは,MAC層でのMAC PDU生成又はRLC層でのRLC PDU生成中にCCに分割することができる。したがって,CC毎のPDSCHがPHYで生成される。
[0091]MAC層のパケットスケジューラから生成されたL1/L2制御シグナリングの制御情報を送信するPDCCHは,個々のCCごとの物理リソースにマッピングされ,次に送信され得る。ここで,特定のUEのPDSCHまたはPUSCH送信のための制御情報(DL割り当てまたはUL許可)を含むPDCCHは,対応するPDSCH/PUSCHが送信される各CCに関して別々に符号化され得る。このようなPDCCHは,個別のコード化PDCCHと呼ばれてもよい。一方,複数のCCのPDSCH/PUSCH送信のための制御情報は,1つのPDCCHによって構成されてから送信され得,そのようなPDCCHは,ジョイントコード化PDCCHと呼ばれ得る。)

(2)「[0096] The present invention proposes detailed methods for supporting efficient multiplexing between the scheduling-based transmission scheme and the contention-based transmission scheme when the two schemes co-exist, as a UL transmission scheme in a random OFDM or OFDMA based cellular mobile communication system. The present invention also proposes detailed methods for supporting efficient transmission of the contention-based UL transmission scheme.」
(当審仮訳:
[0096]本発明は,ランダムOFDM又はOFDMAベースのセルラー移動通信システムにおけるUL送信方式のような,2つの方式が共存する場合に,スケジューリングベースの送信方式と競合ベースの送信方式との間の効率的な多重化をサポートするための詳細な方法を提案する。本発明はまた,競合ベースのUL送信方式の効率的な送信をサポートするための詳細な方法を提案する。)

(3)「[0117] If the contention-based transmission resource region is configured in the unit of a UE or in the unit of UE groups, the contention-based transmission resource region may be initiated or released at an arbitrary time through specific signaling of a UE or UE group unit, i.e. UE-specific (or UE group-specific) RRC higher layer signaling, or L1/L2 control signaling (e.g. PDCCH). Additionally, location or size in the time domain of the contention-based transmission resource region may vary through UE-specific (or UE group-specific) signaling.」
(当審仮訳:
[0117]競合ベースの送信リソース領域がUEのユニット又はUEグループ単位で設定されている場合,競合ベースの送信リソース領域は,UEのユニット又はUEグループ単位の特定のシグナリング,すなわちUE固有(またはUEグループ固有)のRRC上位層シグナリング,又はL1/L2制御シグナリング(例えば,PDCCH)を介して,任意の時間で開始又は解放され得る。さらに,競合ベースの送信リソース領域の時間領域における位置やサイズは,UE固有(またはUEグループ固有)のシグナリングを介して変化し得る。)

(4)「[0119] If the contention-based transmission resource region is configured in the unit of a UE or in the unit of a UE group including a predetermined number of UEs, the contention-based transmission resource region may be initiated or released at an arbitrary time through specific signaling of a UE or UE group unit, i.e. UE-specific or UE group-specific RRC higher layer signaling, or L1/L2 control signaling (e.g. PDCCH). Additionally, location or size in a frequency resource region of the contention-based transmission resource region may vary through UE-specific (or UE group-specific) signaling.」
(当審仮訳:
[0119]競合ベースの送信リソース領域が,UEのユニット内に,又は所定数のUEを含むUEグループ単位内に構成されている場合,競合ベースの送信リソース領域は,UEのユニット又はUEグループ単位の特定のシグナリング,すなわちUE固有(またはUEグループ固有)のRRC上位層シグナリング,又はL1/L2制御シグナリング(例えば,PDCCH)を介して,任意の時間で開始又は解放され得る。さらに,競合ベースの送信リソース領域の周波数領域における位置やサイズは,UE固有(またはUEグループ固有)のシグナリングを介して変化し得る。)

(5)「[0128] The present mode relates to a method for defining resource allocation of a contention-based transmission resource region in terms of mutual relationship with resource allocation of a UL resource region for a scheduling-based UL transmission scheme (hereinafter, referred to as a scheduling-based transmission resource region).」
(当審仮訳:
[0128]本モードは,スケジューリングベースのUL送信方式用のULリソース領域(以下,スケジューリングベースの送信リソース領域という。)のリソース割り当てとの相互関係の観点から,競合ベースの送信リソース領域のリソース割り当てを定義する方法に関する。)

(6)「[0131] FIG. 17 is a diagram showing an example for separately allocating a contention-based transmission resource region from a scheduling-based transmission resource region through an FDM scheme. Referring to FIG. 17, the contention-based transmission resource region and the scheduling-based transmission resource region may be distinguishably allocated to frequency regions which do not overlap.」
(当審仮訳:
[0131]図17は,FDM方式を介して,スケジューリングベースの送信リソース領域からコンテンションベースの送信リソース領域を個別に割り当てる例を示す図である。図17を参照すると,競合ベースの送信リソース領域およびスケジューリングベースの送信リソース領域は,重複しない周波数領域に区別して割り当てられ得る。)

(7)図13として以下の図が記載されている。




(8)図17として以下の図が記載されている。




引用文献1の上記記載,及びこの分野における技術常識を考慮すると,次のことがいえる。

ア.上記「(1)」の「単一のキャリアをサポートするレガシー無線通信システムのBSにおいて,1つのキャリアをサポートする1つの物理層(PHY)エンティティが含まれ得,そして1つのPHYエンティティを制御するための1つの媒体アクセス制御(MAC)エンティティが提供され得る。」及び「MAC層のパケットスケジューラから生成されたL1/L2制御シグナリングの制御情報を送信するPDCCHは,個々のCCごとに物理リソースにマッピングされ,次に送信され得る。」との記載によれば,無線通信システムのBSはMACエンティティを含み,MACエンティティはパケットスケジューラを有するものといえるから,引用文献1には「MAC層のパケットスケジューラを有するMACエンティティを含む,無線通信システムのBS」が記載されているといえる。

イ.上記「(1)」の「図13を参照すると,マルチキャリアサポートシステムの物理層(第1の層,L1)およびMAC層(第2の層,L2)の構造が説明されている。単一のキャリアをサポートするレガシー無線通信システムのBSにおいて,1つのキャリアをサポートする1つの物理層(PHY)エンティティが含まれ得,そして1つのPHYエンティティを制御するための1つの媒体アクセス制御(MAC)エンティティが提供され得る。」及び「図13(b)に示されるように,マルチキャリアサポートシステムの送信機及び受信機は,それぞれn個のCCに対応するn個のPHYエンティティが提供され,n個のPHYエンティティを制御するための1つの共通のMACエンティティが提供されるように構成され得る。」との記載,及び上記「(7)」の図13(b)によれば,マルチキャリアサポートシステムの物理層及びMAC層の構造が記載されており,マルチキャリアサポートシステムでは,n個のCCに対応するn個の物理層(PHY)エンティティを含み,n個の物理層(PHY)エンティティを制御するための1つの共通のMACエンティティを含むものといえる。また,マルチキャリアサポートシステムにおいて含まれる物理層(PHY)エンティティ,物理層(PHY)エンティティが,システムを構成するどの装置に含まれるか明記されていないが,単一のキャリアをサポートするレガシー無線通信システムと同様,BSが含んでいることは明らかである。そして,上記「ア」で説示した「無線通信システムのBS」と上記「マルチキャリアサポートシステム」の「BS」とが同じものを表していることは明らかであるから,引用文献1には,「マルチキャリアサポート無線通信システムのBS」であって「n個のCCに対応するn個の物理層(PHY)エンティティを含み,n個の物理層(PHY)エンティティを制御するための1つの共通のMACエンティティを含」むことが記載されている。

ウ.上記「(1)」の「MAC層のパケットスケジューラから生成されたL1/L2制御シグナリングの制御情報を送信するPDCCHは,個々のCC毎の物理リソースにマッピングされ,次に送信され得る。ここで,特定のUEのPDSCHまたはPUSCH送信のための制御情報(DL割り当てまたはUL許可)を含むPDCCHは,対応するPDSCH/PUSCHが送信される各CCに関して別々に符号化され得る。」との記載によれば,引用文献1の「MAC層のパケットスケジューラ」が「特定のUEのPDSCH又はPUSCH送信のため制御情報を含むPDCCHを,個々のCCごとの物理リソースにマッピングする」ことが記載されているといえる。

エ.上記「(6)」の「図17を参照すると,競合ベースの送信リソース領域およびスケジューリングベースの送信リソース領域は,重複しない周波数領域に区別して割り当てられ得る。」との記載,及び上記「(8)」の図17の記載によれば,送信リソースは時間軸及び周波数軸の空間で表される時間周波数リソースであることが記載されている。そして,上記「(1)」の「MAC層のパケットスケジューラから生成されたL1/L2制御シグナリングの制御情報を送信するPDCCHは,個々のCCごとに物理リソースにマッピングされ,次に送信され得る。」との記載によれば,物理リソースとは送信する際に利用されるリソースといえるから,物理リソースは上記「(6)」に記載された送信リソースを表し,さらに上記したように送信リソースは時間周波数リソースであるから,物理リソースは時間周波数リソースを表すものといえる。してみれば,上記「ウ」で説示したことは,引用文献1の「MAC層のパケットスケジューラ」が「特定のUEのPDSCH又はPUSCH送信のため制御情報を含むPDCCHを,個々のCCごとの時間周波数リソースにマッピングする」ことといえる。

したがって,上記「ア」ないし「エ」を総合すると,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「MAC層のパケットスケジューラを有するMACエンティティを含む,マルチキャリアサポート無線通信システムのBSであって,
n個のCCに対応するn個の物理層(PHY)エンティティを含み,前記n個の物理層(PHY)エンティティを制御するための1つの共通のMACエンティティを含み,
前記MAC層のパケットスケジューラが特定のUEのPDSCH又はPUSCH送信のため制御情報を含むPDCCHを,個々のCCごとに時間周波数リソースにマッピングする
BS。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由で引用され,本願優先日前に公開された引用文献2(特表2009-513043号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。(なお,下線は当審で付与した。)

「【0065】
このことを、図7に類似のデータ伝送方式260、270および280のさらなる実施形態を示す図8A乃至図8Cに示す。単一のアクセス・タイム・スロット262、272、および282のみをそれぞれさらに詳細に示す。
【0066】
データ伝送方式260,270および280のそれぞれでは、ランダム・アクセス・チャネルRACHのアクセス帯域幅は、無線インタフェースと関連する利用可能な伝送帯域幅より小さく設定される。データ伝送方式260では、残存帯域幅をさらなるランダム・アクセス・チャネルRACHのために使用する。個々のチャネルは、周波数保護帯域により互に分離され、基地局で隣接チャネルにおいて受信する不正確に位置するアクセスバーストの重複を回避する。このようにして、幾つかの周波数多重、直交アクセスチャネルを利用可能な伝送帯域幅内に提供することができる。チャネルは、1つ以上の移動体端末のために使用することができ、例えば単一の端末は異なる周波数帯域において2つのアクセスバーストを送信することができる。
【0067】
データ伝送方式270では、RACHに使用しない利用可能な帯域幅は、代わって他のデータ、例えばユーザデータおよび/または制御データの伝送に使用する。データ伝送方式280は、データ伝送方式270と260の組み合わせである。2つのアクセスチャネルをアクセス・タイム・スロット282内において提供し、残りの利用可能な帯域幅を他のデータの伝送に使用する。その他の実施形態では、RACHバーストに使用する周波数帯域および他のデータ伝送に割り当てる周波数帯域は差し込みまたは交互パターンにおいて配置することができる。」

上記記載によれば,引用文献2には,次の技術的事項が記載されていると認められる。

「RACHに使用しない利用可能な帯域幅は,他のデータの伝送に使用し,個々のチャネルは,周波数保護帯域により互に分離される。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由で引用され,本願優先日前に公開された引用文献3(特表2014-513454号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。(なお,下線は当審で付与した。)

「【0104】
図5でクロスキャリアスケジューリングのためのPDCCHまたPHICHが送信される第1コンポーネント・キャリアはCC1(510)であり、上記PDCCHによってクロスキャリアスケジューリングされたPUSCHが送信される第2コンポーネント・キャリアはCC2(520)であることができる。アップリンクHARQでデータ送信時点が固定された同期式HARQ方式を適用する場合、端末のPUSCH初期送信時点をサブフレーム0番(t1、530)と仮定すれば、上記PUSCHを再送信する場合の再送信時点は次のラジオフレームのサブフレーム0番(t2、560)であることができる。同期式HARQ方式の場合、一般的に互いに異なるラジオフレームの同一サブフレーム番号でPUSCH初期送信/再送信が行われることができる。
【0105】
端末が基地局スケジューリングによってCC2(520)のサブフレームt1(530)でPUSCHの初期送信を行なうと、基地局は上記PUSCHに対応されるACK、或いはNACKをPHICHを通じてCC1のダウンリンクサブフレームi540で送信することができる。この時、iはi≧t1+jを満足する最も小さい値であることができる。基地局が上記PUSCHに対してNACKと判断して適応型再送信を決定する場合、CC2(520)のサブフレームt2(560)の再送信PUSCHをスケジューリングするためのPDCCHをCC1(510)のダウンリンクサブフレームk(550)で送信することができる。この時、kは図4で説明したようにk≦ t2-jである関係を満足する最大の値であることができる。例えば、サブフレームi540及びサブフレームk550のようにi≠kであり、PHICH及びPDCCHの送信時点がそれぞれ異なるように設定される場合、端末はPHICHを受信したサブフレームi540で上記PUSCHを再送信するか否かを確定することができずに、適応型再送信を対比してサブフレームk550時点までPDCCHを受信するか否かを待つことができる。」

上記記載によれば,引用文献3には,次の技術的事項が記載されていると認められる。

「端末が基地局スケジューリングによってCC2のサブフレームt1でPUSCHの初期送信を行なうと,基地局は上記PUSCHに対応されるACK,或いはNACKをPHICHを通じてCC1のダウンリンクサブフレームi(iはi≧t1+jを満足する最も小さい値である)で送信する。」

第6 対比及び判断
1 本願発明1について
(1)特許法第29条第1項第3号について
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア.引用発明における「MAC層のパケットスケジューラを有するMACエンティティを含む,マルチキャリアサポート無線通信システムのBS」は,無線通信,すなわちワイヤレス通信のために構成されたものであることは明らかであり,またパケットスケジューラを有するMACエンティティを含むものであるから,本願発明1における「ワイヤレス通信のために構成されたスケジューリングエンティティ」に含まれる。

イ.引用発明における「無線通信システム」の「物理層(PHY)エンティティ」が,ワイヤレス通信のために構成されるものであることは自明であるから,引用発明における「n個の物理層(PHY)エンティティ」は,本願発明1における「複数の物理通信エンティティであって」「ワイヤレス通信のために構成される,複数の物理通信エンティティ」に含まれる。そして,引用発明における「BS」が「n個の物理層(PHY)エンティティ」を含むことは,本願発明1における「スケジューリングエンティティ」が「複数の物理通信エンティティであって」「ワイヤレス通信のために構成される,複数の物理通信エンティティ」を含むことに相当する。

ウ.引用発明における「MACエンティティ」は,本願発明1における「MACエンティティ」に相当する。また,引用発明における「MACエンティティ」は,n個の物理層(PHY)エンティティを制御するためのものであるから,引用発明における「MACエンティティ」が「n個の物理層(PHY)エンティティを制御する」ように構成されているといえる。そうすると,引用発明における「MACエンティティ」が「n個の物理層(PHY)エンティティを制御する」ように構成されていることは,本願発明1における「MACエンティティ」が「複数の物理通信エンティティのそれぞれを制御するように構成され」ることに相当する。
ここで,引用発明における「無線通信システム」において,「物理層(PHY)エンティティ」が,エアインターフェースを介して信号の送受信を行う際に用いられるものであること,及び「PDCCH」が信号の一種であることは技術常識である。そして,引用発明における「MACエンティティ」はパケットスケジューラを有するものであり,パケットスケジューラはPDCCHを個々のCCごとの時間周波数リソースにマッピングするものであること,この際,PDCCHを個々のCCごとの時間周波数リソースにマッピングすることは,個々のCCを用いてPDCCHを多重化しているといえること,また引用発明における「n個の物理層(PHY)エンティティ」がn個のCCに対応するものであることを考慮すれば,引用発明の「MACエンティティ」が「n個の物理層(PHY)エンティティ」に対応する「n個」の「CCごとの時間周波数リソース」に「PDCCH」を「マッピングする」ことは,本願発明1における「MACエンティティ」が「エアインターフェースを介して前記複数の物理通信エンティティのそれぞれに対応する信号を多重化する」ことに相当する。
以上のことから,引用発明における「MACエンティティ」が「n個の物理層(PHY)エンティティ」に対応する「n個」の「CCごとの時間周波数リソース」に「PDCCH」を「マッピングする」ために「n個の物理層(PHY)エンティティを制御する」ように構成されることは,本願発明1における「前記MACエンティティは、エアインターフェースを介して前記複数の物理通信エンティティのそれぞれに対応する信号を多重化するために前記複数の物理通信エンティティのそれぞれを制御するように構成され」ることに相当する。

エ.引用発明における「特定のUE」は,BSという無線通信システム内の上位エンティティに対する下位エンティティといえるから,本願発明1の「1つまたは複数の下位エンティティ」に含まれる。そして,引用発明における「無線通信システム」において,BSが特定のUEと通信する場合,物理層(PHY)エンティティが用いられることは明らかであるから,引用発明における「BS」の「物理層(PHY)エンティティ」を利用する「特定のUE」は,本願発明1における「物理通信エンティティのそれぞれを利用する1つまたは複数の下位エンティティ」に含まれる。
また,引用発明における「MACエンティティ」は,パケットスケジューラを有するものであり,パケットスケジューラは,PDCCHを個々のCCごとの時間周波数リソースにマッピングするものである。そして,マッピングされた時間周波数リソースは,エアインターフェースで送信される際に用いられるものであることが技術常識であることを考慮すれば,引用発明における「MACエンティティ」が,エアインターフェース内で「時間周波数リソースをマッピングする」ものといえる。してみれば,本願発明1と引用発明とは,「MACエンティティ」において,「エアインターフェース内での時間周波数リソース割振りを決定する」点で共通する。
以上のことから,引用発明の「MACエンティティ」において,「BS」の「物理層(PHY)エンティティ」を利用する「特定のUE」との通信のために「時間周波数リソースをマッピングする」ことと,本願発明1の「MACエンティティは、前記物理通信エンティティのそれぞれを利用する1つまたは複数の下位エンティティとの通信のための前記エアインターフェース内での時間周波数リソース割振りを決定するように構成されるリソースマネージャを含」むことと,「MACエンティティは、前記物理通信エンティティのそれぞれを利用する1つまたは複数の下位エンティティとの通信のための前記エアインターフェース内での時間周波数リソース割振りを決定する」点で共通する。

オ.上記「ウ」で説示したことと同様,引用発明における「MACエンティティ」が「n個の物理層(PHY)エンティティ」に対応する「n個」の「CCごとの時間周波数リソース」に「PDCCH」を「マッピングする」ために「n個の物理層(PHY)エンティティを制御する」ように構成されることは,本願発明1における「MACエンティティは、前記複数の物理通信エンティティの各々に対応する信号を多重化するために前記複数の物理通信エンティティを制御するように構成され」ることに含まれる。

したがって,上記「ア」ないし「オ」を総合すれば,本願発明1と引用発明は,以下の点で一致し,また相違する。

<一致点>
「 ワイヤレス通信のために構成されたスケジューリングエンティティであって、
複数の物理通信エンティティであって、ワイヤレス通信のために構成される、複数の物理通信エンティティとを含み、
MACエンティティは、エアインターフェースを介して前記複数の物理通信エンティティのそれぞれに対応する信号を多重化するために前記複数の物理通信エンティティのそれぞれを制御するように構成され、前記MACエンティティは、前記物理通信エンティティのそれぞれを利用する1つまたは複数の下位エンティティとの通信のための前記エアインターフェース内での時間周波数リソース割振りを決定し,
前記MACエンティティは、前記複数の物理通信エンティティの各々に対応する信号を多重化するために前記複数の物理通信エンティティを制御するように構成される
スケジューリングエンティティ。」

<相違点1>
本願発明1における「スケジューリングエンティティ」が「少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されたコンピュータ可読媒体」を含み,「前記少なくとも1つのプロセッサは、媒体アクセス制御(MAC)エンティティを制御するように構成され」るのに対して,引用発明における「BS」は当該発明特定事項について特定されていない点。

<相違点2>
本願発明1における「複数の物理通信エンティティ」が「少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された」ものであるのに対し,引用発明における「n個の物理層(PHY)エンティティ」は当該発明特定事項が特定されていない点。

<相違点3>
本願発明1における「複数の物理通信エンティティ」が「それぞれの波形、チャネルアクセスモード、および/またはリンク適合方式を利用する」ものであるのに対し,引用発明における「n個の物理層(PHY)エンティティ」は当該発明特定事項が特定されていない点。

<相違点4>
本願発明1における「MACエンティティ」が「リソースマネージャ」を含み,「リソースマネージャ」が「前記物理通信エンティティのそれぞれを利用する1つまたは複数の下位エンティティとの通信のための前記エアインターフェース内での時間周波数リソース割振りを決定するように構成される」ものであり,また「前記リソースマネージャは、リソースグループを、第1のチャネルアクセスモードのための第1の領域と、前記第1のチャネルアクセスモードとは異なる第2のチャネルアクセスモードのための第2の領域とにセグメント化するように構成され、前記リソースグループは、前記エアインターフェースを介したワイヤレス通信のために使用可能な時間周波数リソースのセットを含」むものであるのに対し,引用発明における「MACエンティティ」は当該発明特定事項が特定されていない点。

<相違点5>
本願発明1における「複数の物理通信エンティティ」は「前記第1の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第1の物理通信エンティティと、前記第2の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第2の物理通信エンティティを含む」ものであるのに対し,引用発明における「n個の物理層(PHY)エンティティ」は当該発明特定事項が特定されていない点。

したがって,本願発明1と引用発明は,上記相違点1ないし5で相違するから,本願発明1は引用発明であるとはいえない。

(2)特許法第29条第2項について
本願発明1と引用発明との一致点,及び相違点は,上記(1)で説示したとおりである。

上記相違点について検討するにあたり,事案に鑑みて,上記相違点5について先に検討する。
本願発明1において,「第1の領域」とは「第1のチャネルアクセスモードのため」のものであり,「第2の領域」とは「前記第1のチャネルアクセスモードとは異なる第2のチャネルアクセスモードのため」のものであるから,「第1の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第1の物理通信エンティティ」と,「第2の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第2の物理通信エンティティ」とは,それぞれ異なるチャネルアクセスモードを利用する物理通信エンティティである。これに対し,引用発明の「n個の物理層(PHY)エンティティ」は「n個のCCに対応する」ものであって,それぞれが,異なるチャネルアクセスモードを利用するようなワイヤレス通信のために構成されたものではない。してみれば,上記相違点5に係る「複数の物理通信エンティティ」が「前記第1の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第1の物理通信エンティティと、前記第2の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第2の物理通信エンティティを含む」という発明特定事項は,引用文献1には,記載も示唆もされていない。また,上記「第5」の「2」及び「3」で説示した引用文献2,3にも,上記相違点5に係る「複数の物理通信エンティティ」が「前記第1の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第1の物理通信エンティティと、前記第2の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第2の物理通信エンティティを含む」という発明特定事項は,記載も示唆もされておらず,また当該技術分野における周知技術であるともいえない。
よって,引用発明において,上記相違点5に係る「複数の物理通信エンティティ」が「前記第1の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第1の物理通信エンティティと、前記第2の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第2の物理通信エンティティを含む」ものとすることは,当業者といえども,容易に想到し得たとはいえない。
したがって,上記相違点1ないし4について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2ないし22について
本願発明2ないし22は,本願発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから,り,本願発明1と同じ理由により,引用発明であるとはいえず,また当業者であっても引用発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定について
令和2年7月30日にされた手続補正により,本願発明1ないし22は,いずれも「複数の物理通信エンティティ」が「前記第1の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第1の物理通信エンティティと、前記第2の領域におけるワイヤレス通信のために構成された第2の物理通信エンティティを含む」という発明特定事項を備えるものとなっている。してみれば,上記「第6」の「1」及び「2」で説示したとおり,原査定で引用された上記引用文献1に記載された発明であるとはいえず,また当業者であっても,引用文献1に記載された発明,並びに拒絶査定で引用された引用文献2及び3に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。したがって,原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-04-15 
出願番号 特願2017-519662(P2017-519662)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
P 1 8・ 113- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齋藤 浩兵  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 永田 義仁
廣川 浩
発明の名称 統一されたエアインターフェースを利用するワイヤレス通信  
代理人 黒田 晋平  
代理人 村山 靖彦  
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