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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
管理番号 1374116
審判番号 訂正2021-390012  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2021-01-14 
確定日 2021-04-02 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5888527号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5888527号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 事案の概要
1 手続の経緯
特願2014-60429号は、平成26年3月24日の出願であって、平成28年1月12日に特許査定され、その後、請求項1に係る発明について、同年2月26日に特許権の設定の登録がされ(特許第5888527号、以下「本件特許」という。)、令和3年1月15日に訂正審判(以下「本件審判」という。)が請求されたものである。

2 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、「特許第5888527号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。また、請求人が求める訂正の内容は、以下のとおりである。

3 訂正の内容
本件審判の請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のものである。
<訂正事項>
本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に
「規定数の遊技媒体が設定されたことを条件に遊技が実行可能となり、複数のリールが停止したときに表示される図柄組合せに対応付けられる制御を実行するスロットマシンであって、
役抽選を行う抽選手段と、
前記各リールに対応して設けられる複数の停止操作手段と、
前記抽選手段による抽選結果及び前記停止操作手段への停止操作に基づいて前記リールを制御して図柄を停止表示する図柄表示制御手段と、
通常遊技状態、特別遊技状態を少なくとも含む複数の遊技状態と、を備え、
前記抽選手段による抽選結果には、
停止表示することで特別遊技状態に移行させる特別図柄組合せに対応する役の当選を含む特別抽選結果と、
再遊技抽選結果と、
所定数の遊技媒体を払い出す第1の図柄組合せに対応する役、及び前記所定数よりも少ない遊技媒体を払い出す第3の図柄組合せに対応する役の当選を含む第1の抽選結果と、
前記所定数の遊技媒体を払い出す第2の図柄組合せに対応する役、及び前記所定数よりも少ない遊技媒体を払い出す第4の図柄組合せに対応する役の当選を含む第2の抽選結果と、
前記第1の図柄組合せに対応する役及び前記第2の図柄組合せに対応する役の当選を含む第3の抽選結果と、を少なくとも有し、
通常遊技状態では、抽選結果として前記第1若しくは第2の抽選結果が決定される場合があり、
特別遊技状態では、抽選結果として前記第3の抽選結果が決定される場合があり、
特別抽選結果が表示されることで通常遊技状態から特別遊技状態へ移行が可能であり、
通常遊技状態で再遊技抽選結果となる確率は、特別遊技状態で再遊技抽選結果となる確率よりも高い
ことを特徴とするスロットマシン。」と記載されているのを、

「規定数の遊技媒体が設定されたことを条件に遊技が実行可能となり、複数のリールが停止したときに表示される図柄組合せに対応付けられる制御を実行するスロットマシンであって、
役抽選を行う抽選手段と、
前記各リールに対応して設けられる複数の停止操作手段と、
前記抽選手段による抽選結果及び前記停止操作手段への停止操作に基づいて前記リールを制御して図柄を停止表示する図柄表示制御手段と、
通常遊技状態、特別遊技状態を少なくとも含む複数の遊技状態と、を備え、
前記抽選手段による抽選結果には、
停止表示することで特別遊技状態に移行させる特別図柄組合せに対応する役の当選を含む特別抽選結果と、
再遊技抽選結果と、
所定数の遊技媒体を払い出す第1の図柄組合せに対応する役、及び前記所定数よりも少ない遊技媒体を払い出す第3の図柄組合せに対応する役の当選を含む第1の抽選結果と、
前記所定数の遊技媒体を払い出す第2の図柄組合せに対応する役、及び前記所定数よりも少ない遊技媒体を払い出す第4の図柄組合せに対応する役の当選を含む第2の抽選結果と、
前記第1の図柄組合せに対応する役及び前記第2の図柄組合せに対応する役の当選を含む第3の抽選結果と、を少なくとも有し、
通常遊技状態では、抽選結果として前記第1若しくは第2の抽選結果が決定される場合があり、
特別遊技状態では、抽選結果として前記第3の抽選結果が決定される場合があり、
特別抽選結果が決定され、特別図柄組合せが停止表示されることで通常遊技状態から特別遊技状態へ移行が可能であり、
通常遊技状態で再遊技抽選結果となる確率は、特別遊技状態で再遊技抽選結果となる確率よりも高い
ことを特徴とするスロットマシン。」に訂正する。

なお、下線は当合議体が付したものであり、訂正箇所を表す。以下同様。

第2 当合議体の判断
以下、本件訂正前の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1を、「訂正前請求項1」という。
本件訂正後についても、「訂正前」を「訂正後」に変えて同様に、「訂正後請求項1」という。
また、訂正後請求項1に係る発明を、「訂正後発明 」 という。

1 特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的)について
(1)訂正事項
訂正前請求項1では「特別抽選結果が表示されることで通常遊技状態から特別遊技状態へ移行が可能であり」と記載されており、当該記載中において、「特別抽選結果が表示される」と記載されている。
一方、訂正前請求項1では「役抽選を行う抽選手段」、「前記抽選手段による抽選結果」、「役の当選を含む特別抽選結果」、「役の当選を含む第1の抽選結果」、「役の当選を含む第2の抽選結果」、「役の当選を含む第3の抽選結果」、「抽選結果として前記第1若しくは第2の抽選結果が決定される」、「抽選結果として前記第3の抽選結果が決定される」と記載されており、「抽選結果」は「役の当選」を含むものであり、「抽選手段」による「役抽選」による「抽選結果」として「決定される」ものである。
また、訂正前請求項1では「複数のリールが停止したときに表示される図柄組合せ」と記載されており、「図柄組合せ」は「複数のリールが停止したときに表示される」ものであり、同じく訂正前請求項1では「停止表示することで特別遊技状態に移行させる特別図柄組合せ」と記載されており、「特別図柄組合せ」は、「停止表示することで特別遊技状態に移行させる」ものである。
そうすると、訂正前請求項1の「特別抽選結果が表示される」との記載は、同じく訂正前請求項1の上記した他の記載と不合理を生じているために不明瞭となっているといえる。
よって、訂正前請求項1の「特別抽選結果が表示されること」という記載を、「特別抽選結果が決定され、特別図柄組合せが停止表示されること」と訂正する上記訂正事項は、上記不合理を正し、その不明瞭な記載を訂正により明瞭とするものであるから、特許請求の範囲の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている特許請求の範囲に生じている記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにするものであり、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)小括
訂正事項は、特許法第126条第1項項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

2 特許法第126条第5項(新規事項の有無)について
(1)訂正事項について
訂正後請求項1の「特別抽選結果が決定され、特別図柄組合せが停止表示されることで通常遊技状態から特別遊技状態へ移行が可能であり」に関して、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「本件明細書等」という。)には、以下の記載がある(検討に関連する記載に当合議体で下線を付した。)。

「【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るスロットマシンは、規定数の遊技媒体が設定されたことを条件に1回の単位遊技(単に「遊技」ともいう。)が実行可能となり、複数のリールが停止したときに表示される図柄組合せに対応付けられる遊技役が存在するとき、当該遊技役が成立する等の遊技を提供する遊技機である。以下説明する実施形態のスロットマシンは遊技媒体としてメダルを用いる。ここで「投入」とは、遊技者がメダルをスロットマシン内部に入れること、及び、スロットマシンに設けたベットボタンを操作することにより、遊技にメダルを賭ける一連の動作をいう。以下、図面を参照しながら、本実施形態によるスロットマシン10の詳細を説明する。
【0017】
[スロットマシンの外観構造]
図1は、スロットマシン10の前面外観を示す正面図である。スロットマシン10は、略矩形状の筐体を備えており、前扉20が筐体の前面開口部を開閉可能とするように設けられている。通常、前扉20は、図1に示されるように筐体の前面を閉じる位置でロックされている。
・・・(中略)・・・
【0070】
[スロットマシンの遊技に供される遊技役]
次に、スロットマシンの遊技に供される遊技役(単に「役」ともいう。)を説明する。一般的なスロットマシンの遊技において予め定められている遊技役としては、主なものに小役(ベル等の入賞役)、再遊技役(リプレイ役)、BB役(ビックボーナス役)、RB役(レギュラーボーナス役)、MB役(ミドルボーナス役)などがある。なお、後述するように、各役には、リール40L、40C、40Rにより停止表示可能な少なくとも1つの図柄組合せが対応付けられている。スロットマシン10においては、遊技者によるストップボタン56L、56C、56Rへの操作に基づいてリール40L、40C、40Rが停止し、これにより有効ライン(ラインL1)に沿って表示された図柄の組合せに対応付けられる役が存在するとき、当該役が成立又は入賞することとなる。
・・・(中略)・・・
【0072】
BB役、RB役及びMB役は、後述する役抽選手段により決定された当選状態を次遊技以降に持ち越すことができる特別役である。このような当選状態を次遊技以降に持ち越すことができる遊技役を「持越役」ともいう。これに対し、上述した小役や再遊技役は、当選状態を次遊技以降に持ち越すことができないので「非持越役」ということがある。
【0073】
また、これら特別役が成立すると、次遊技以降、所定の終了条件に至るまで、当該特別役が作動した特別遊技に移行する。したがって、BB役、RB役及びMB役などの特別役を「持越可能な作動役」ということがある。なお、スロットマシンに供される特別役(持越役)として、BB役、RB役及びMB役全てを備える必要はなく、例えばBB役、RB役若しくはMB役の何れか1つのみ、RB役とMB役の双方、又は、BB役とRB役の双方を備えるものでもよい。
【0074】
RB役は、成立することにより次の遊技からRB遊技(レギュラーボーナス)に移行させる役である。このRB遊技においては、通常遊技(特別遊技中ではない遊技であって、後述するRT又は非RTにある遊技)に当選する小役よりも少なくともいずれか1つの小役の当選確率が高くなるように設計されている。そして、このような高確率遊技が継続し、所定回数(例えば12回)の遊技を消化するか、又は、所定回数(例えば8回)の小役の入賞によりRB遊技が終了する。
・・・(中略)・・・
【0079】
[スロットマシンにおいて遷移する遊技状態](メイン制御手段が管理する遊技状態) 図4は、メイン制御手段が管理する遊技状態の遷移を概念的に示す図である。メイン制御手段で管理される遊技の状態は、大まかには「通常遊技」か、RB役やMB役などの特別役が成立した「特別遊技」かに分けられる。そして、通常遊技においては、後述する役抽選手段により特別役が当選していない状態(図4の例では非RT)か、特別役が当選しその当選状態が持ち越された状態(図4の例ではRT)に分けられる。後述するように、非RTとRTとでは再遊技役(リプレイ)の当選確率が異なっており、通常は非RTよりもRTのほうが再遊技役の当選確率が高く設定されている。
・・・(中略)・・・
【0087】
(役抽選手段)
役抽選手段は、遊技者によるスタートレバー55の操作に応じて、メイン制御基板100が有する乱数発生器によって発生された乱数をサンプリングし、そのサンプリングした当該乱数に基づいて、予め定められている複数種類の遊技役のうち何れか1つ又は複数の役を当選役として決定するか否かを定める手段である。
【0088】
小役と再遊技役とは、1つの役だけが当選役に決定される役抽選結果(単独当選)の場合と、小役等の複数の役が同時に当選役に決定される役抽選結果(同時当選)の場合とが存在する。更に、1つ又は複数の小役と1つ又は複数の再遊技役とが同時に当選役に決定される役抽選結果があってもよい(同時複合当選)。更に実施例として後述するが、MB遊技中には全ての小役が同時に当選状態となる全入賞役当選があり、またRB遊技中には一部又は全部の小役が同時に複合的に当選状態となる入賞役複合当選がある。
・・・中略・・・
【0095】
(リール制御手段)
リール制御手段は、リールの40L、40C、40Rの回転加速制御及び定速制御をする回転制御手段と、リールを制御して図柄を停止表示する図柄表示制御手段とを含む。図柄表示制御手段は、より詳細には、役抽選手段による役抽選結果、並びに、ストップボタンへの停止操作のタイミング及び/又は停止操作の順番に基づいて、有効ライン(ラインL1)に停止表示させるべき図柄を決定する停止図柄決定手段と、操作されたストップボタンに対応するリールを停止制御する停止制御手段とを備える。
・・・(中略)・・・
【0124】
(遊技状態制御手段)
遊技状態制御手段は、入賞判定結果に基づいて、遊技状態の移行を制御する。上述したように、通常遊技では、「非内部中」(「非RT」中)と「内部中」(「RT」中)の遊技状態が存在する。入賞判定後又は入賞処理後に起動される遊技状態制御手段は、遊技状態が「非内部中」(「非RT」中)のときにMB役などの特別役が当選すると、遊技状態を「内部中」(「RT」中)に移行させる。また、遊技状態制御手段は、「内部中」にMB役などの特別役が成立すると、遊技状態をMBなどの特別遊技に移行させる。さらに、遊技状態制御手段は、特別遊技の終了条件が成立したか否かを判断し、成立したと判断したときは、遊技状態を通常遊技の「非内部中」の状態に移行させる。
・・・(中略)・・・
【0188】
(ペナルティ手段)
また、サブ制御回路にはペナルティ手段が備えられる。ペナルティ手段は、メイン制御基板100から受信したコマンドに基づいて遊技者にペナルティを与える手段である。例えばAT中に報知された操作態様に従って停止操作がされないとき、意図しないタイミングで遊技者に払い出しの結果を与える図柄組合せが表示されるとき、又は、これらの組合せによる結果が得られないとき等には、AT(操作態様)の報知を一時的に停止したり、AT抽選を取り止めたり、AT抽選確率を低く設定したりすることができる。また非AT中の通常遊技においても、望ましくない停止操作順(例えば変則押しや逆押しなど)が繰り返されたときには、ATへの移行を取り止めたり、AT抽選確率を低く設定したりすることができる。また、ペナルティ手段は、AT期間中などの遊技者に有利な状態であるときは設定しないようにしてもよい。
【0189】
[実施例1]
次に、本発明に係るスロットマシンの具体的な実施例を説明する。ここで、図16には、第1の実施例による図柄の配列が示される。左リール40L、中リール40C及び右リール40Rの各外周面には、図16に示される図柄が等間隔で印刷されたリールテープが巻かれている。各図柄にはリールが回転する方向に沿って1ずつ増加する‘0’?‘19’の図柄番号が割り当てられており、リールテープをリールに巻いて貼着したときには、図柄番号0と図柄番号19の図柄が隣接し、全ての図柄が環状に連続することとなる。
・・・(中略)・・・
【0277】
[実施例2] 次に、本発明に係るスロットマシンの第2の実施例を説明する。ここで、図30には、第2の実施例による図柄の配列が示される。また、図31(a)には、特別役であるRB役(RB-01)に対応付けられた図柄の組合せが示される。本実施例では、RB-01に第1の図柄組合せ「ブランク」「ブランク」「ブランク」が対応付けられている。」

「【0283】
次に、第2の実施例の役抽選手段により生じ得る役抽選結果について説明する。図34(a)には、特別役であるRBに関する役抽選結果(条件装置)とその当選役が示される。同図に示されるように、RBに関する役抽選結果としては、上述したRB-01が単独で当選するRB-Aがある。なお、例示はしないが、RB遊技が連続して作動するBB遊技への移行役であるBB役が当選する役抽選結果があってもよい。」

















以上の記載から、本件明細書等の【0016】?【0188】及び図1?図15では、スロットマシン10の詳細が説明されており、【0189】?【0276】及び図16?図29では、スロットマシンの実施例1が具体的に説明されており、【0277】?【0304】及び図30?図36では、スロットマシンの実施例2が具体的に説明されていることがわかる。
そうすると、「特別役であるRBに関する役抽選結果(条件装置)」(【0283】)が訂正後請求項1の「特別抽選結果」に対応し、同じく「特別役であるRB役(RB-01)に対応付けられた図柄の組合せ」である「第1の図柄組合せ「ブランク」「ブランク」「ブランク」」(【0277】)が訂正後請求項1の「特別図柄組合せ」に対応し、同じく「通常遊技」(【0079】)が訂正後請求項1の「通常遊技状態」に対応し、同じく「特別遊技」が訂正後発明の「特別遊技状態」に対応するといえる。
また、役抽選手段は、・・・予め定められている複数種類の遊技役のうち何れか1つ又は複数の役を当選役として決定するか否かを定める手段であり(【0087】)、小役と再遊技役とは、1つの役だけが当選役に決定される役抽選結果(単独当選)の場合と、小役等の複数の役が同時に当選役に決定される役抽選結果(同時当選)の場合とが存在し、MB遊技中には全ての小役が同時に当選状態となる全入賞役当選があり、またRB遊技中には一部又は全部の小役が同時に複合的に当選状態となる入賞役複合当選がある(【0088】)ことから、訂正後請求項1の「抽選手段」に対応する「役抽選手段」が「小役」、「再遊技役」及び「RB」等の当選役を訂正後請求項1の「特別抽選結果」を含む「抽選結果」に対応する「役抽選結果」として決定することが本件明細書等に記載されているといえる。
また、役抽選手段による役抽選結果、並びに、ストップボタンへの停止操作のタイミング及び/又は停止操作の順番に基づいて、有効ライン(ラインL1)に停止表示させるべき図柄を決定する(【0095】)ことから、訂正後請求項1の「特別抽選結果」を含む「抽選結果」に対応する「役抽選結果」に基づいて、停止表示させるべき図柄を決定することが本件明細書等に記載されているといえる。
また、遊技者によるストップボタン56L、56C、56Rへの操作に基づいてリール40L、40C、40Rが停止し、これにより有効ライン(ラインL1)に沿って表示された図柄の組合せに対応付けられる役が存在するとき、当該役が成立又は入賞することとなり(【0070】)、遊技状態制御手段は、「内部中」にMB役などの特別役が成立すると、遊技状態をMBなどの特別遊技に移行させる(【0124】)ことから、有効ライン(ラインL1)に沿って表示された図柄の組合せに対応付けられる役が存在するとき、当該役が成立又は入賞し、MB役などの特別役が成立すると、遊技状態をMBなどの特別遊技に移行させており、訂正後請求項1の「特別図柄組合わせ」に対応する「特別役」に対応付けられる「図柄の組合せ」が、リールが停止、有効ラインに沿って表示され、「当該役が成立又は入賞する」と、遊技状態を「特別遊技」に移行させることが本件明細書等に記載されているといえる。
そうすると 、訂正後請求項1の「特別抽選結果が決定され、特別図柄組合せが停止表示されることで通常遊技状態から特別遊技状態へ移行が可能であ」ることが本件明細書等に記載されていることは明らかである。
したがって、訂正事項は、本件明細書等の記載に基づくものであって、本件明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。

(2)小括
訂正事項は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

3 特許法第126条第6項(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)について
(1)訂正事項について
訂正事項は、「特別抽選結果が表示されること」という明瞭でない記載を、本来の意を表す「特別抽選結果が決定され、特別図柄組合せが停止表示されること」という明瞭な記載に訂正するものであり、訂正前請求項1には、
「役抽選を行う抽選手段」、「前記抽選手段による抽選結果には」「停止表示することで特別遊技状態に移行させる特別図柄組合せに対応する役の当選を含む特別抽選結果」「を少なくとも有」すること、及び「前記抽選手段による抽選結果及び前記停止操作手段への停止操作に基づいて前記リールを制御して図柄を停止表示する」ことがすでに記載されていることから、訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(2)小括
訂正事項は、特許法第126条第6項の規定に適合する。


4 特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とする訂正であるので、訂正後発明には 、同法第126条第7項に規定されるいわゆる独立特許要件は課されない。

第3 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定数の遊技媒体が設定されたことを条件に遊技が実行可能となり、複数のリールが停止したときに表示される図柄組合せに対応付けられる制御を実行するスロットマシンであって、
役抽選を行う抽選手段と、
前記各リールに対応して設けられる複数の停止操作手段と、
前記抽選手段による抽選結果及び前記停止操作手段への停止操作に基づいて前記リールを制御して図柄を停止表示する図柄表示制御手段と、
通常遊技状態、特別遊技状態を少なくとも含む複数の遊技状態と、を備え、
前記抽選手段による抽選結果には、
停止表示することで特別遊技状態に移行させる特別図柄組合せに対応する役の当選を含む特別抽選結果と、
再遊技抽選結果と、
所定数の遊技媒体を払い出す第1の図柄組合せに対応する役、及び前記所定数よりも少ない遊技媒体を払い出す第3の図柄組合せに対応する役の当選を含む第1の抽選結果と、
前記所定数の遊技媒体を払い出す第2の図柄組合せに対応する役、及び前記所定数よりも少ない遊技媒体を払い出す第4の図柄組合せに対応する役の当選を含む第2の抽選結果と、
前記第1の図柄組合せに対応する役及び前記第2の図柄組合せに対応する役の当選を含む第3の抽選結果と、を少なくとも有し、
通常遊技状態では、抽選結果として前記第1若しくは第2の抽選結果が決定される場合があり、
特別遊技状態では、抽選結果として前記第3の抽選結果が決定される場合があり、
特別抽選結果が決定され、特別図柄組合せが停止表示されることで通常遊技状態から特別遊技状態へ移行が可能であり、
通常遊技状態で再遊技抽選結果となる確率は、特別遊技状態で再遊技抽選結果となる確率よりも高い
ことを特徴とするスロットマシン。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2021-02-24 
結審通知日 2021-03-01 
審決日 2021-03-24 
出願番号 特願2014-60429(P2014-60429)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 祐一  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 澤田 真治
蔵野 いづみ
登録日 2016-02-26 
登録番号 特許第5888527号(P5888527)
発明の名称 スロットマシン  
代理人 特許業務法人津国  
代理人 特許業務法人 津国  

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