• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
管理番号 1374859
異議申立番号 異議2019-700897  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-11-13 
確定日 2021-03-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6513396号発明「整髪料組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6513396号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-7]について訂正することを認める。 特許第6513396号の請求項1?7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6513396号の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成26年12月26日に出願され、平成31年4月19日にその特許権の設定登録がされ、令和1年5月15日に特許掲載公報が発行された。
その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 1年11月13日 :特許異議申立人 山田 宏基(以下、「申立
人 」という。)による特許異議の申立て
令和 2年 2月20日付け:取消理由通知書
同 年 4月27日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
(受付日:同年4月28日)
同 年 7月14日 :申立人による意見書の提出
(受付日:同年7月15日)
同 年 8月12日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同 年10月16日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
(受付日:同年10月19日)
同 年12月28日 :申立人による意見書の提出
(受付日:令和3年1月4日)


第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
令和2年10月16日にされた訂正の請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりに、一群の請求項である請求項1?7に対する訂正と明細書に対する訂正に係るものである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。

(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「(B)コラーゲン、その加水分解物、及びこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する」
と記載されているのを、
「(B)コラーゲン、その加水分解物、及びこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を、0.000001?0.1重量%の割合で含有し、」に訂正する(訂正事項1-1)。
また、同項において
「ことを特徴とする特徴とする整髪料組成物」
と記載されているのを、
「シリコーンオイルを含有しないことを特徴とする整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」に訂正する(訂正事項1-2)。

(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、下記の但し書きの記載を追加する訂正をする。
「(但し、下記の整髪化粧料を除く:
(1)(a)キク科の植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(b)リンドウ科、サトイモ科又はミカン科に属する植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(c)トクサ科、アオイ科、ユキノシタ科、シナノキ科又はナデシコ科に属する植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(d)皮膜形成性ポリマーの1種又は2種以上とを含有することを特徴とする整髪化粧料。;
(2)変性アルコール、ブタン、ビニルアセテート/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、ハイドロフルオロカーボン 152a、アロエ葉搾液、パンテノール、酢酸トコフェロール、アミノメチルプロパノール、アスコルビン酸、ベンゾフェノン4,コラーゲン、グリセリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベンジルアルコール、サリチル酸ベンジル、クマリン、ゲラニオール、リモネン、リナロール、香料を配合したヘアスプレー;
(3)水、ラウロイル加水分解コラーゲンのナトリウム/トリエタノールアミン塩、ラウリルピリジニウムクロリド、ポリクオタニウム37、加水分解全粒小麦タンパク質、アロエベラ葉搾液、ベンゾフェノン-4、パンテノール(プロビタミンB5)、トコフェノール(ビタミンE)、乳酸、乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス-11、グリコールステアレート、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、香料、その他成分を配合したヘアスタイリング製品;
(4)水、ブタン、プロパン、イソブタン、ポリクウォタニウム-4、ポリソルベート 20、香料、DMDMヒダントイン、PEG-12 ジメチコン、ラウレス-4、PEG-40ヒマシ硬化油、コカミドプロピルベタイン、アロエベラ抽出物、加水分解コラーゲンを配合したカール ディファイナー ムース;
(5)脱イオン水、カーボマー、シリコーン、クウォタニウム-22、サクラ抽出物、マリンコラーゲン、アロエベラ抽出物、ジプロピレングリコール、水を配合したヘアクリーム;
(6)水、プロピレングリコール、ポリクウォタニウム-72、PEG-20 ソルビタンココレート、加水分解コラーゲン、アロエ抽出物、ヒドロキシエチルセルロース、ブチレングリコール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、香料、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール、エタノールを配合した、スタイリングジェル;
(7)水、変性アルコール、エタノール、ベタイン、ジメチコンポリオール、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、BG、ポリクオタニウム-10、セトリモニウムクロリド、ケープアロエエキス、加水分解コラーゲン、アルニカ花エキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、ゴボウエキス、シラカバ樹皮エキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキス、マツエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、赤401、黄4、香料を配合したスタイリング剤。)」

(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2に
「(A)成分として少なくともアロエ葉(一部を含む)の抽出物を、その乾燥固形分の重量に換算して0.0001?5重量%の割合で含有する請求項1記載の整髪料組成物」
と記載されているのを
「(A)成分がアロエ葉(一部を含む)の抽出物であって、当該(A)成分を、その乾燥固形分の重量に換算して0.001?0.05重量%の割合で含有する請求項1記載の整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」
に訂正する。

(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3に
「(A)成分として少なくともアロエ葉(一部を含む)の搾汁であって、湿重量換算で、0.001?50重量%の割合で含有する請求項1又は2に記載する整髪料組成物」
と記載されているのを
「(A)成分がアロエベラ葉肉(一部を含む)の搾汁を、湿重量換算で、0.001?5重量%の割合で含有する請求項1に記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」
に訂正する。

(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に
「0.000001?3重量%の割合で含有する請求項1?3のいずれかに記載する整髪料組成物」
と記載されているのを
「0.000001?0.05重量%の割合で含有する請求項1?3のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」
に訂正する。

(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5に
「(A)成分として少なくともアロエ葉(一部を含む)の抽出物を含む整髪料組成物であって、当該抽出物100重量部(乾燥固形分の重量)に対して(B)成分を0.1?10000重量部の割合で含有する、請求項1?4のいずれかに記載する整髪料組成物」
と記載されているのを
「前記(A)成分がアロエ葉(一部を含む)の抽出物である整髪用ヘアスプレー又はヘアミストであって、当該抽出物100重量部(乾燥固形分の重量)に対して(B)成分を1?1000重量部の割合で含有する、請求項1、2及び4のいずれか記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」
に訂正する。

(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項6に
「(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマーを含有する、請求項1?5のいずれかに記載する整髪料組成物」
と記載されているのを
「(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマーを0.000001?0.00005重量%の割合で含有する、請求項1?5のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」
に訂正する。

(8) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項7に
「(B)成分が水溶性である、請求項1?6のいずれかに記載する整髪料組成物」
と記載されているのを
「(B)成分が水溶性であり、水を65?99.9重量%の範囲で含有する、請求項1?6のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」
に訂正する。

(5) 訂正事項9
明細書の段落【0009】の(I-1)に、
「(B)コラーゲン、その加水分解物、及びこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する」
と記載されているのを、
「(B)コラーゲン、その加水分解物、及びこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を、0.000001?0.1重量%の割合で含有する」に訂正するとともに(訂正事項9-1)、
「含有することを特徴とする整髪料組成物。」
と記載されているのを。
「含有し、シリコーンオイルを含有しないことを特徴とする整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト(但し、下記の整髪化粧料を除く:
「(但し、下記の整髪化粧料を除く:
(1)(a)キク科の植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(b)リンドウ科、サトイモ科又はミカン科に属する植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(c)トクサ科、アオイ科、ユキノシタ科、シナノキ科又はナデシコ科に属する植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(d)皮膜形成性ポリマーの1種又は2種以上とを含有することを特徴とする整髪化粧料。;
(2)変性アルコール、ブタン、ビニルアセテート/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、ハイドロフルオロカーボン 152a、アロエ葉搾液、パンテノール、酢酸トコフェロール、アミノメチルプロパノール、アスコルビン酸、ベンゾフェノン4,コラーゲン、グリセリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベンジルアルコール、サリチル酸ベンジル、クマリン、ゲラニオール、リモネン、リナロール、香料を配合したヘアスプレー;
(3)水、ラウロイル加水分解コラーゲンのナトリウム/トリエタノールアミン塩、ラウリルピリジニウムクロリド、ポリクオタニウム37、加水分解全粒小麦タンパク質、アロエベラ葉搾液、ベンゾフェノン-4、パンテノール(プロビタミンB5)、トコフェノール(ビタミンE)、乳酸、乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス-11、グリコールステアレート、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、香料、その他成分を配合したヘアスタイリング製品;
(4)水、ブタン、プロパン、イソブタン、ポリクウォタニウム-4、ポリソルベート 20、香料、DMDMヒダントイン、PEG-12 ジメチコン、ラウレス-4、PEG-40ヒマシ硬化油、コカミドプロピルベタイン、アロエベラ抽出物、加水分解コラーゲンを配合したカール ディファイナー ムース;
(5)脱イオン水、カーボマー、シリコーン、クウォタニウム-22、サクラ抽出物、マリンコラーゲン、アロエベラ抽出物、ジプロピレングリコール、水を配合したヘアクリーム;
(6)水、プロピレングリコール、ポリクウォタニウム-72、PEG-20 ソルビタンココレート、加水分解コラーゲン、アロエ抽出物、ヒドロキシエチルセルロース、ブチレングリコール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、香料、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール、エタノールを配合した、スタイリングジェル;
(7)水、変性アルコール、エタノール、ベタイン、ジメチコンポリオール、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、BG、ポリクオタニウム-10、セトリモニウムクロリド、ケープアロエエキス、加水分解コラーゲン、アルニカ花エキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、ゴボウエキス、シラカバ樹皮エキス
、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキス、マツエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、赤401、黄4、香料を配合したスタイリング剤。)」(訂正事項9-2)
に訂正する。

(10) 訂正事項10
明細書の段落【0010】の(I-2)に、
「(A)成分として少なくともアロエ葉(一部を含む)の抽出物を、その乾燥固形分の重量に換算して、0.0001?5重量%、好ましくは0.0001?3重量%、より好ましくは0.001?0.1重量%、更に好ましくは0.001?0.05重量%、特に好ましくは0.001?0.006重量%の割合で含有する(I-1)記載の整髪料組成物。」
と記載されているのを
「前記(A)成分がアロエ葉(一部を含む)の抽出物であって、当該(A)成分を、その乾燥固形分の重量に換算して0.001?0.05重量%、特に好ましくは0.001?0.006重量%の割合で含有する(I-1)記載の整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。」

(11) 訂正事項11
明細書の段落【0011】の(I-3)に、
「(A)成分として少なくともアロエ葉(一部を含む)の搾汁を、湿重量換算で、0.001?50重量%、好ましくは0.001?10重量%、より好ましくは0.001?5重量%の割合で含有する(I-1)又は(I-2)に記載する整髪料組成物。」
と記載されているのを
「(A)成分がアロエベラ葉肉(一部を含む)の搾汁を、湿重量換算で、0.001?5重量%の割合で含有する(I-1)に記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。」

(12) 訂正事項12
明細書の段落【0012】の(I-4)に、
「(B)成分を0.000001?3重量%、好ましくは0.000001?1重量%、より好ましくは0.0001?0.1重量%、更に好ましくは0.0001?0.05重量%の割合で含有する(I-1)?(I-3)のいずれかに記載する整髪料組成物。」
と記載されているのを
「(B)成分を0.000001?0.05重量%の割合で含有する(I-1)?(I-3)のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。」
に訂正する。

(13) 訂正事項13
明細書の段落【0013】の(I-5)に、
「(A)成分として少なくともアロエ葉(一部を含む)の抽出物を含む整髪料組成物であって、当該抽出物1重量部(乾燥固形分の重量)に対して(B)成分を0.1?10000重量部、好ましくは1?1000重量部の割合で含有する、(I-1)?(I-4)のいずれかに記載する整髪料組成物。」
と記載されているのを
「前記(A)成分がアロエ葉(一部を含む)の抽出物である整髪用ヘアスプレー又はヘアミストであって、当該抽出物100重量部(乾燥固形分の重量)に対して(B)成分を1?1000重量部の割合で含有する、(I-1)、(I-2)及び(I-4)のいずれか記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。」
に訂正する。

(14) 訂正事項14
明細書の段落【0014】の(I-6)に、
「(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマーを含有する、(I-1)?(I-5)のいずれかに記載する整髪料組成物。」
と記載されているのを、
「(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマーを0.000001?0.00005重量%の割合で含有する、(I-1)?(I-5)のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。」
に訂正する。

(15) 訂正事項15
明細書の段落【0015】の(I-7)に、
「(B)成分が水溶性である、(I-1)?(I-6)のいずれかに記載する整髪料組成物。」
と記載されているのを、
「(B)成分が水溶性であり、水を65?99.9重量%の範囲で含有する、(I-1)?(I-6)のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。」
に訂正する。

(16) 訂正事項16
明細書の段落【0016】の(I-8)に、
「整髪料組成物。」
と記載されているのを、
「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。」
に訂正する。

(17) 訂正事項17
ア 明細書の段落【0082】の表1の「(A)成分」に記載する「アロエ葉製品5」の2つの行のうち2番目の行を削除する。
イ 明細書の段落【0083】の表2の「(A)成分」に記載する「アロエ葉製品6」の行を削除する。
ウ 明細書の段落【0068】に「整髪料組成物(実例1?20、参考例、比較例1?16)の調製」と記載されているのを、「整髪料組成物の調製」に訂正する。
エ 段落【0068】、【0073】、及び【0078】に「実施例1?18、対照例、比較例1?16」と記載されているのを、 それぞれ「実施例1?17、対照例、比較例1?8及び10?16」に訂正する。
オ 段落【0084】に「表1(実施例1?11及び13?18)と表2(対照例、比較例1?14)」と記載されているのを、「表1(実施例1?11及び13?17)と表2(対照例、比較例1?8及び10?14)」に訂正する。
カ 段落【0087】に「実施例1?18」と記載されているのを、「実施例1?17」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1) 訂正事項1について
訂正事項1のうち訂正事項1-1は、訂正前の請求項1では(B)成分の含有量の特定がなかったところ、その含有量を特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲を限定することを目的とするものである。
また、明細書の段落【0012】及び【0042】の(B)成分の含有量に関する「0.000001?3重量%、・・・より好ましくは0.0001?0.1重量%」との記載からみて、訂正事項1に係る「0.000001?0.1重量%」との数値範囲は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

訂正事項1のうち訂正事項1-2は、「シリコーンオイルを含有しないこと」を新たに特定し、かつ、「整髪用組成物」を「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」と特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲を限定することを目的とするものである。
また「シリコーンオイルを含有しないこと」については、明細書の段落【0056】に油剤は極力配合しないことが望ましい旨の記載があり、当該油剤として、【0055】にシリコーンオイルが挙げられていること、「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」については、【0051】、【0061】に整髪用組成物の好ましい形態として記載されているから、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(2) 訂正事項2について
訂正事項2は、取消理由を通知された引用文献1(甲第1号証)、引用情報5?9、14に記載された発明を除くものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲を限定することを目的とするものである。
また、訂正事項2に係る訂正は、引用文献1、引用情報5?9、14に記載された発明を除くことのより新たな技術的事項を付加するものでもなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(3) 訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項2では、(A)成分の含有量を「0.0001?5重量%」と記載していたところ、訂正後の請求項2において、当該含有量を「0.001?0.05重量%」と訂正し、また、「整髪用組成物」を「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」に訂正して、それらの範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲を限定することを目的とするものである。
そして、「アロエベラ葉肉(A)成分の含有量については、明細書の段落【0030】にさらに好ましい態様として記載があり、「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」については上記(1)の訂正事項1-2で述べたとおり記載があるから、訂正事項3に係る訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(4) 訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項3では、「アロエの葉」、(A)成分の含有量を「0.001?50重量%」と記載していたところ、訂正後の請求項3において、「アロエベラ葉肉」、当該含有量を「0.001?5重量%」と訂正し、また、「整髪用組成物」を「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」に訂正して、それらの範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲を限定することを目的とするものである。
そして、「アロエベラ葉肉」については、明細書の段落【0027】に記載があり、(A)成分の含有量については、明細書の段落【0029】にさらに好ましい態様として記載があり、「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」については上記(1)の訂正事項1-2で述べたとおり記載があるから、訂正事項4に係る訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(5) 訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項4では、(B)成分の含有量を「0.000001?3重量%」と記載していたところ、訂正後の請求項4において、当該含有量を「0.000001?0.05重量%」と訂正し、また、「整髪用組成物」を「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」に訂正して、それらの範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲を限定することを目的とするものである。
また、訂正事項5のうち含有量について、明細書の段落【0012】及び【0042】の(B)成分の含有量に関する「0.000001?3重量%、・・・より好ましくは0.0001?0.1重量%、更に好ましくは、0.0001?0.005重量%」との記載からみて、訂正事項3に係る「0.000001?0.05重量%」との数値範囲は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」については、上記訂正事項1-2に記載したとおりであるから、訂正事項5に係る訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(6) 訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項5では、「(A)成分として少なくともアロエ葉(一部を含む)の抽出物を含む」と記載され、当該抽出物100重量部(乾燥固形分の重量)に対して(B)成分を「0.1?10000重量部」の割合で含有すると記載されていたところ、訂正後の請求項5では、前者を「前記(A)成分がアロエ葉(一部を含む)の抽出物である」、後者を「1?1000重量部」の割合で含有することに訂正し、また、訂正前の「整髪用組成物」を「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」に訂正して、それらの範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲を限定することを目的とするものである。
そして、訂正事項6のうち「(A)成分をアロエ葉(一部を含む)の抽出物」及び含有割合の訂正については、明細書の段落【0043】に記載があり、また、「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」との訂正については、上記訂正事項1-2に記載したとおりであるから、訂正事項6に係る訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(7) 訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項6では、 整髪料組成物中の(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマーの含有量を特定していないところ、訂正後の請求項6では、当該成分の含有量を「0.000001?0.00005重量%の割合で」と含有量の範囲を特定し、また、訂正前の「整髪用組成物」を「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」に訂正して、それらの範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲を限定することを目的とするものである。
そして、訂正事項7のうち、(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマーの含有量について、本件明細書の段落【0049】に、「0.000001?3重量%・・・更に好ましくは0.00003?0.015重量%」と記載され、また、本件明細書の段落【0089】の表3には、 当該コポリマーを0.005重量%の割合で含有する整髪料組成物が複数記載され(処方例2?4、11及び13)、さらに、0.00001重量%の割合で含有する例や0.00015重量%の割合で含有する例も記載されている(処方例5、9、12)。含有量の上限値の「0.00005重量%」との数値の具体的な処方例の記載はないが、この含有量の上限値とすることにより新たな技術的事項が導入されるものでもない。また、「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」との訂正については、上記訂正事項1-2に記載したとおりである。
そうすると、訂正事項7に係る訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(8) 訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項7では、水の含有量を特定していないところ、訂正後の請求項7では、水の含有量を「水を65?99.9重量%の範囲で含有する」と特定し、また、訂正前の「整髪用組成物」を「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」に訂正して、それらの範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲を限定することを目的とするものである。
そして、訂正事項8のうち、水の含有量については、明細書の段落【0051】に記載があり、また、「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」との訂正については、上記訂正事項1-2に記載したとおりであるから、訂正事項8に係る訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(9) 訂正事項9について
訂正事項9は、上記訂正事項1及び2に係る訂正に伴って、請求項1の記載と明細書の記載との整合を図るために、訂正事項1及び2と同様の訂正をしたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、上記(1)、(2)の訂正事項1及び2で述べたのと同様に、訂正事項9は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(10) 訂正事項10について
訂正事項10は、上記訂正事項3に係る訂正に伴って、請求項2の記載と明細書の記載との整合を図るために、明細書において訂正事項3と同様の訂正をしたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、上記(3)の訂正事項3で述べたのと同様に、訂正事項10は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(11) 訂正事項11について
訂正事項11は、上記訂正事項4に係る訂正に伴って、請求項3の記載と明細書の記載との整合を図るために、明細書において訂正事項4と同様の訂正をしたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、上記(4)の上記訂正事項4で述べたのと同様に、訂正事項11は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(12) 訂正事項12について
訂正事項12は、上記訂正事項5に係る訂正に伴って、請求項4の記載と明細書の記載との整合を図るために、明細書において訂正事項5と同様の訂正をしたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、上記(5)の上記訂正事項5で述べたのと同様に、訂正事項12は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(13) 訂正事項13について
訂正事項13は、上記訂正事項6に係る訂正に伴って、請求項5の記載と明細書の記載との整合を図るために、明細書において訂正事項6と同様の訂正をしたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、上記(6)の上記訂正事項6で述べたのと同様に、訂正事項13は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(14) 訂正事項14について
訂正事項14は、上記訂正事項7に係る訂正に伴って、請求項6の記載と明細書の記載との整合を図るために、明細書において訂正事項7と同様の訂正をしたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、上記(7)の上記訂正事項7で述べたのと同様に、訂正事項14は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(15) 訂正事項15について
訂正事項15は、上記訂正事項8係る訂正に伴って、請求項7の記載と明細書の記載との整合を図るために、明細書において訂正事項8と同様の訂正をしたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、上記(8)の上記訂正事項8で述べたのと同様に、訂正事項15は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(16) 訂正事項16について
訂正事項16は、上記訂正事項1、3?8に係る訂正に伴って、末尾の記載を「整髪用ヘアスプレーまたはヘアミスト」として特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るために訂正したものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、上記(1)、(3)?(8)の上記訂正事項1、3?8で述べたのと同様に、訂正事項16は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものと認識できるものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

(17) 訂正事項17について
訂正事項17は、アロエは製品6に係る明細書の誤記を削除し、それに伴って発明の詳細な説明の記載の整合を図るためのものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記又は誤記の訂正を目的としたものである。
また、当該誤記の訂正により、新たな技術的事項が導入されるものでもなく、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

3 むすび
以上のとおり、訂正事項1?17は、いずれも、特許法120条の5第2項ただし書第1号、第2号又は第3号に掲げる事項を目的とするものである。
また、訂正事項1?17は、いずれも、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。
さらに、特許異議の申立ては、訂正前の請求項1?7に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。


第3 本件特許発明
上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1?7に係る発明は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
(A)アロエ葉(一部を含む)の搾汁及び抽出物よりなる群から選択される少なくとも1種、並びに
(B)コラーゲン、その加水分解物、及びこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を、0.000001?0.1重量%の割合で
含有し、シリコーンオイルを含有しないことを特徴とする整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト
(但し、下記の整髪化粧料を除く:
(1)(a)キク科の植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(b)リンドウ科、サトイモ科又はミカン科に属する植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(c)トクサ科、アオイ科、ユキノシタ科、シナノキ科又はナデシコ科に属する植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(d)皮膜形成性ポリマーの1種又は2種以上とを含有することを特徴とする整髪化粧料。;
(2)変性アルコール、ブタン、ビニルアセテート/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、ハイドロフルオロカーボン 152a、アロエ葉搾液、パンテノール、酢酸トコフェロール、アミノメチルプロパノール、アスコルビン酸、ベンゾフェノン4,コラーゲン、グリセリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベンジルアルコール、サリチル酸ベンジル、クマリン、ゲラニオール、リモネン、リナロール、香料を配合したヘアスプレー;
(3)水、ラウロイル加水分解コラーゲンのナトリウム/トリエタノールアミン塩、ラウリルピリジニウムクロリド、ポリクオタニウム37、加水分解全粒小麦タンパク質、アロエベラ葉搾液、ベンゾフェノン-4、パンテノール(プロビタミンB5)、トコフェノール(ビタミンE)、乳酸、乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス-11、グリコールステアレート、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、香料、その他成分を配合したヘアスタイリング製品;
(4)水、ブタン、プロパン、イソブタン、ポリクウォタニウム-4、ポリソルベート 20、香料、DMDMヒダントイン、PEG-12 ジメチコン、ラウレス-4、PEG-40ヒマシ硬化油、コカミドプロピルベタイン、アロエベラ抽出物、加水分解コラーゲンを配合したカール ディファイナー ムース;
(5)脱イオン水、カーボマー、シリコーン、クウォタニウム-22、サクラ抽出物、マリンコラーゲン、アロエベラ抽出物、ジプロピレングリコール、水を配合したヘアクリーム;
(6)水、プロピレングリコール、ポリクウォタニウム-72、PEG-20 ソルビタンココレート、加水分解コラーゲン、アロエ抽出物、ヒドロキシエチルセルロース、ブチレングリコール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、香料、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール、エタノールを配合した、スタイリングジェル;
(7)水、変性アルコール、エタノール、ベタイン、ジメチコンポリオール、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、BG、ポリクオタニウム-10、セトリモニウムクロリド、ケープアロエエキス、加水分解コラーゲン、アルニカ花エキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、ゴボウエキス、シラカバ樹皮エキス
、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキス、マツエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、赤401、黄4、香料を配合したスタイリング剤。)。
【請求項2】
前記(A)成分がアロエ葉(一部を含む)の抽出物であって、当該(A)成分を、その乾燥固形分の重量に換算して0.001?0.05重量%の割合で含有する請求項1記載の整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【請求項3】
前記(A)成分がアロエベラ葉肉(一部を含む)の搾汁であって、湿重量換算で、0.001?5重量%の割合で含有する請求項1に記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【請求項4】
(B)成分を0.000001?0.05重量%の割合で含有する請求項1?3のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【請求項5】
前記(A)成分がアロエ葉(一部を含む)の抽出物である整髪用ヘアスプレー又はヘアミストであって、当該抽出物100重量部(乾燥固形分の重量)に対して(B)成分を1?1000重量部の割合で含有する、請求項1、2及び4のいずれか記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【請求項6】
さらに(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマーを0.000001?0.00005重量%の割合で含有する、請求項1?5のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【請求項7】
(B)成分が水溶性であり、水を65?99.9重量%の範囲で含有する、請求項1?6のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。」
(以下、請求項順に「本件発明1?7」という。)

第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由、令和2年2月20日付けで通知した取消理由及び同年8月12日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要

1 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要
令和1年11月13日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。

(1)申立理由
ア 特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号)について
(ア) 本件特許の請求項1、2、4、5及び7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するので、これらの請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。

(イ) 本件特許の請求項1及び4に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するので、これらの請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。

ウ 特許法第29条第2項(同法第113条第2号)について
(ア) 本件特許の請求項3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、この請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。

(イ) 本件特許の請求項6に係る発明は、甲第1号証及び甲第4号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、この請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。

(ウ) 本件特許の請求項2、3、5及び7に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、この請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。

(エ) 本件特許の請求項6に係る発明は、甲第2号証及び甲第4号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、この請求項に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。

(2)証拠方法
甲第1号証:特開2001-199850号公報
甲第2号証:特開2007-246403号公報
甲第3号証:株式会社成和化成 製品カタログ 16^(th)版 2014.7.1発行
甲第4号証:特開2014-214150号公報

(以下、甲第1?4号証を順に「甲1?4」という。)

2 令和2年2月20日付けで通知した取消理由の概要
令和2年2月20日付けで通知した取消理由の概要は次のとおりである。

「1.(新規性) 本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

2.(進歩性) 本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。」

「3 引用発明1を主引例とした場合
・理由1、2/本件発明1、2、4、5、7/引用文献1、3
・理由2/本件発明6、7/引用文献1、3、4、11
・理由2/本件発明7/引用文献1、3、4、11、12」

「4 引用発明2を主発明とした場合
・理由1、2/本件発明1、2,4、5/引用文献2
・理由2/本件発明6/引用文献2、4、11
・理由2/本件発明7/引用文献2、4、11、12」

「5 引用発明5、6をそれぞれ主発明とした場合
・理由1、2/本件発明1、3、4/引用発明5、6
・理由2/本件発明6/引用発明5、6、引用文献11
・理由1、2/本件発明7/引用発明6、引用文献11
・理由2/本件発明7/引用発明5、引用文献11、12」

「6 引用発明7、8を主引例とした場合
・理由1、2/本件発明1、2、4、5/引用発明7、8、引用文献13
・理由2/本件発明6/引用発明7、8、引用文献11、13
・理由1、2/本件発明7/引用発明7、引用文献11、13
・理由2/本件発明7/引用発明8、引用文献11、12、13」

「7 引用発明9を主発明とした場合
・理由1、2/本件発明1、2、4、5、7/引用発明9、引用情報10、引用文献13」

「<引用文献等一覧>
1 特開2001-199850号公報(特許異議申立人が提出した甲第1号証に相当)
2 特開2007-246403号公報(特許異議申立人が提出した甲第2号証に相当)
3 株式会社成和化成 製品カタログ(第16版) 2014.07.01(特許異議申立人が提出した甲第3号証に相当)
4 特開2014-214150号公報(特許異議申立人が提出した甲第4号証に相当)
5.Mintel GNPD、「Naturelle Volumax Freezing Spray」、Zotos,USA、2007年3月掲載,記録番号(ID)678678
6.Mintel GNPD、「Cream of Nature Hair Fortifying Serum」、Revlon,USA、2001年5月掲載,記録番号(ID)10085170
7.Mintel GNPD、「Curl Definer Mousse」、Colgate-Palmolive,Mexico,2011年9月掲載、記録番号(ID)1612897
8.Mintel GNPD、「Heat Block Hair Cream」、Bio-Woman,Thailand、2011年9月掲載、記録番号(ID)1622100
9.Mintel GNPD、「Angel&Girl Soft Styling Gel」、Pigeon,Japan、2012年8月掲載、記録番号(ID)1935743
10.「Angel&Girl やわらかスタイリングジェル」,ピジョン、[online]2012年8月20日,【検索日:2020年1月15日】、インターネット(URL:https://www.pigeon.co.jp/news/detail/book12_8_2.html
11.Fragrance Journal、2008年12月、Vol.36、p114-115
12.Fragrance Journal、1997年7月、Vol.25、p70-80
13.「新しい化粧品素材の効能・効果・作用(下)」、株式会社シーエムシー、1998年8月31日、p395-397」

3 令和2年8月12日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要
令和2年8月12日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は次のとおりである。

「(進歩性) 本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。」

「(1) 引用発明5、6をそれぞれ主発明とした場合
・本件発明1、3、4/引用発明5、6、技術常識を示す文献(引用文献1、周知文献1?3)
・本件発明6/引用発明5、6、引用文献11、技術常識を示す文献(引用文献1、周知文献1?3)
・本件発明7/引用発明6、引用文献11、技術常識を示す文献(引用文献1、周知文献1?3)
・本件発明7/引用発明5、引用文献11、12、技術常識を示す文献(引用文献1、周知文献1?3)

本件発明1、3、4は、引用発明5、6及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29葉第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
本件発明6は、引用発明5又は6並びに引用文献11に記載された事項及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
本件発明7は、引用発明6並びに引用文献11に記載された事項及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
また、本件発明7は、引用発明5並びに引用文献12に記載された事項又は引用文献11、12に記載された事項及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。」

「(2) 引用発明7、8を主引例とした場合
・本件発明1、2、4、5/引用発明7、8、引用文献13、技術常識を示す文献(引用文献1、周知文献1?3)
・本件発明6/引用発明7、8、引用文献11、13、技術常識を示す文献(引用文献1、周知文献1?5)
・本件発明7/引用発明7、引用文献11、13、技術常識を示す文献(引用文献1、周知文献1?5)
・本件発明7/引用発明8、引用文献11、12、13、技術常識を示す文献(引用文献1、周知文献1?5)

本件発明1、2、4、5は、引用情報7又は8に記載された発明及び引用文献13に記載された周知事項及び技術常識(引用文献1、周知文献1?3に記載された事項)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
本件発明6は、引用情報7又は8に記載された発明並びに引用文献11に記載された事項、引用文献13に記載された周知事項及び技術常識(引用文献1、周知文献1?5に記載された事項)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定 により特許を受けることができないものである。
本件発明7は、引用発明7並びに引用文献13に記載された周知事項、又は、これらに加えて更に引用文献11に記載された事項、及び技術常識(引用文献1、周知文献1?5に記載された事項)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明7は、引用発明8並びに引用文献11、12に記載された事項、引用文献13に記載された周知事項、技術常識(引用文献1、周知文献1?5に記載された事項)に基いて当業者が容易になし得たことである。」

「(3) 引用発明9を主発明とした場合
・本件発明1、2、4、5、7/引用発明9、引用情報10、引用文献13、技術常識(引用文献1、周知文献1?5)

本件発明1、2、4、5、7は、引用発明9並びに引用情報10に記載された事項、引用文献13に記載された周知事項及び技術常識(引用文献1及び周知文献1?3に記載された事項、又は、引用文献1及び周知文献1?5に記載された事項)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。」

引用発明14を主発明とした場合
「本件発明1は、引用発明14並びに引用文献15に記載された事項、引用文献13に記載された周知事項及び技術常識(引用文献1、周知文献1?3に記載された事項)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
本件発明2、4、5は、引用発明14並びに引用例15に記載された事項、引用文献13に記載された周知事項及び技術常識(引用文献1、周知文献1?5に記載された事項)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
本件発明6は、引用発明14並びに引用文献15に記載された事項、引用文献11に記載された事項、引用文献13に記載された周知事項及び技術常識(引用文献1、周知文献1?5に記載された事項)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
本件発明7は、引用発明14並びに引用文献15に記載された事項又は引用文献11、15に記載された事項、引用文献13に記載された周知事項及び技術常識(引用文献1、周知文献1?5に記載された事項)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。」

「以上のとおり、本件発明1?7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。」

「<引用文献等一覧>
1.特開2001-199850号公報(特許異議申立人が提出した甲第1号証に相当)
5.Mintel GNPD、「Naturelle Volumax Freezing Spray」、Zotos,USA、2007年3月掲載,記録番号(ID)678678
6.Mintel GNPD、「Cream of Nature Hair Fortifying Serum」、Revlon,USA、2001年5月掲載,記録番号(ID)10085170
7.Mintel GNPD、「Curl Definer Mousse」、Colgate-Palmolive,Mexico,2011年9月掲載、記録番号(ID)1612897
8.Mintel GNPD、「Heat Block Hair Cream」、Bio-Woman,Thailand、2011年9月掲載、記録番号(ID)1622100
9.Mintel GNPD、「Angel&Girl Soft Styling Gel」、Pigeon,Japan、2012年8月掲載、記録番号(ID)1935743
10.「Angel&Girl やわらかスタイリングジェル」,ピジョン、[online]2012年8月20日,【検索日:2020年1月15日】、インターネット(URL:https://www.pigeon.co.jp/news/detail/book12_8_2.html
11.Fragrance Journal、2008年12月、Vol.36、p114-115
12.Fragrance Journal、1997年7月、Vol.25、p70-80
13.「新しい化粧品素材の効能・効果・作用(下)」、株式会社シーエムシー、1998年8月31日、p395-397
14.「ニュースタイリングウォーター ソフト195ml」、百日草ケミカルズ、URL<https://www.amazon.co.jp/百日草ケミカルズヒャクニチソウ-ニュースタイリングウォーター-ソフト-195ml/dp/B003AZCX5C>、検索日:令和2年(2020年)7月28日、インターネット(新たに引用する情報)
15.「New Styling Water soft&hard」、「百日草のはなよめ」、2004年11月号、2004年10月10日発行、146頁の前の差し込みの広告頁(新たに引用する文献)
周知文献1:特開平8-217645号公報
周知文献2:特開2009-179797号公報
周知文献3:特開平4-368317号公報
周知文献4:特開平8-301737号公報
周知文献5:特開2000-191463号公報」

第5 令和2年8月12日付け取消理由(決定の予告)に対する当審の判断
合議体は、令和2年8月12日付け取消理由(決定の予告)に対する理由については、理由がないと判断する。
以下、詳述する。

1 引用文献又は引用情報に記載された事項及び引用発明
(1) 引用文献1に記載された事項
引用文献1の特許請求の範囲の請求項2には、請求項1を引用しない形式で記載すると、
「(A)キク科の植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、
(B)リンドウ科、サトイモ科又はミカン科に属する植物より得られる抽出物又
は圧搾物の1種又は2種以上と、
(C)トクサ科、アオイ科、ユキノシタ科、シナノキ科又はナデシコ科に属する
植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、
(D)皮膜形成性ポリマーの1種又は2種以上と、
さらに、シロキサン化合物、ペプチド誘導体、ローヤルゼリー又はその抽出物からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする整髪化粧料」
の発明が記載され、段落【0004】には発明の目的が再整髪性に優れる整髪化粧料を提供することであること、【0031】?【0033】には、ペプチド誘導体として、コラーゲン等のタンパク質等の加水分解物又はそのシリル化物等の誘導体が挙げられること、【0036】には、整髪化粧料は、ヘアローション等の整髪を目的としたものに加え、シャンプー等として用いた場合もこの発明の目的とする効果を得られること、【0039】、【0070】?【0071】には実施例20として、
「【0070】
実施例20 スタイリングシャンプー
(%)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 4.0
ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム 2.0
ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン 2.0
パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン 6.0
N-ラウロイル-N-カルボキシメチル-N-
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 5.0
ラウリン酸ジエタノールアミド 2.0
ラウリン酸イソプロパノールアミド 1.0
エチレングリコールジステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(7)ヤシ油脂肪酸グリセリン 1.0
カワラヨモギ抽出物 0.02
ゴボウ抽出物 0.02
ヤグルマギク抽出物 0.02
ゲンチアナ抽出物 0.02
ムラサキセンブリ抽出物 0.02
ショウブ根抽出物 0.02
サンショウ抽出物 0.02
レモン果実抽出物 0.02
スギナ抽出物 0.02
ウスベニアオイ抽出物 0.02
ユキノシタ抽出物 0.02
シナノキ抽出物 0.02
サボンソウ抽出物 0.02
ブドウ抽出物 0.1
オタネニンジン抽出物 0.01
クワ抽出物 0.01
リンゴ果実抽出物 0.2
アロエ抽出物 1.0
チャノキ抽出物 0.5
カンゾウ抽出物 0.05
セイヨウキズタ抽出物 0.001
ヘチマ抽出物 0.1
ホップ抽出物 0.1
セイヨウトチノキ抽出物 0.1
海藻抽出物(商品名:カイソウ抽出液[丸善製薬社製]) 0.5
ポリビニルピロリドン
(商品名:ルビスコールK-90[BASF社製]) 1.0
ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノ
エチルメタクリレート共重合体
(商品名:ガフカット755N[ISP社製]) 3.0
シリコーンエマルション(商品名:BY22-029
[東レ・ダウコーニングシリコーン社製]) 2.0
シリル化ペプチド誘導体
(商品名:プロモイスW-52SIG[成和化成社製]) 0.1
カチオン化セルロース誘導体
(商品名:ポリマーJR-400[UCC社製]) 0.3
1,3-ブチレングリコール 2.0
加水分解コンキオリン液
(商品名:真珠たん白抽出液[丸善製薬社製]) 0.2
加水分解シルク液
(商品名:プロモイスシルク-1000[成和化成社製]) 0.1
L-セリン 0.01
D-パンテノール 0.1
ウンデシレン酸トレハロース 0.1
防腐剤 適 量
香料 適 量
精製水 残 余」
が記載されており、実施例20に配合されたアロエ抽出物は、【0039】によると「アロエベラ抽出物-JC 丸善製薬社製」である。(なお、下線部は合議体で付した。以下同様。)

(2) 引用情報5に記載され、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(以下、便宜上「引用情報5に記載された発明」という。他の引用情報6?9、14についても同じ。)
引用情報5には、製品として
「変性アルコール、ブタン、ビニルアセテート/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、ハイドロフルオロカーボン 152a、アロエ葉搾液、パンテノール、酢酸トコフェロール、アミノメチルプロパノール、アスコルビン酸、ベンゾフェノン4,コラーゲン、グリセリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベンジルアルコール、サリチル酸ベンジル、クマリン、ゲラニオール、リモネン、リナロール、香料を配合したヘアスプレー」の発明(引用発明5)
が記載されている。

(3) 引用情報6に記載された発明
引用情報6には、
「水、ラウロイル加水分解コラーゲンのナトリウム/トリエタノールアミン塩、ラウリルピリジニウムクロリド、ポリクオタニウム37,加水分解全粒小麦タンパク質、アロエベラ葉搾液、ベンゾフェノン-4、パンテノール(プロビタミンB5)、トコフェノール(ビタミンE)、乳酸、乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス-11、グリコールステアレート、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、香料、
その他成分を配合したヘアスタイリング製品」の発明(引用発明6)
が記載されており、商品説明の欄に、仕上げスタイリングスプレー(Finishing & Styling Spray)、スタイリング液(Styling Spritz)、ヘア強化乳液(Hair Fortifying Serum)などの多様なスタイリング製品があることも記載されている。

(4) 引用情報7に記載された発明
引用情報7には、
「水、ブタン、プロパン、イソブタン、ポリクウォタニウム-4、ポリソルベート 20、香料、DMDMヒダントイン、PEG-12 ジメチコン、ラウレス-4、PEG-40ヒマシ硬化油、コカミドプロピルベタイン、アロエベラ抽出物、加水分解コラーゲンを配合したカール ディファイナー ムース」の発明(引用発明7)
が記載され、商品説明として、アロエとコラーゲンの処方により、カールがきまり、スタイルが保たれることも示されている。

(5) 引用情報8に記載された発明
引用情報8には、
「脱イオン水、カーボマー、シリコーン、クウォタニウム-22、サクラ抽出物、マリンコラーゲン、アロエベラ抽出物、ジプロピレングリコール、水を配合したヘアクリーム。」の発明(引用発明8)
が記載されている。

(6) 引用情報9に記載された発明
引用情報9には、
「水、プロピレングリコール、ポリクウォタニウム-72、PEG-20 ソルビタンココレート、加水分解コラーゲン、アロエ抽出物、ヒドロキシエチルセルロース、ブチレングリコール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、香料、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール、エタノールを配合した、やわらかスタイリングジェル」の発明(引用発明9)
が記載されており、商品説明として、油性感なしにヘアスタイルが長持ちすることも記載されている。

(7) 引用情報10に記載され、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった事項(引用情報10に記載された事項)
引用情報10には、「エンジェル&ガール やわらかスタイリングジェル」との製品が記載され、アロエエキス、コラーゲンが配合されていることや、製品の特長として、髪の毛をカチカチに固めず、ふわっとしたまとまりにし、再アレンジもできることが記載されている。
なお、引用情報10の製品は引用情報9と同じ製品である。

(8) 引用情報14に記載された事項及発明
ア14 「



イ14 「商品の説明
「ソフト」はふんわりとした自然なカールが作れて、しっとりとしたツヤでエレガントな雰囲気に。ゆっくりと乾くウォーターと、柔軟なセット力を持つグロスの組み合わせが、髪の毛を扱いやすくし、アップスタイルに艶やかさとまとまりを与えてくれます。<ご使用方法>1.ドライの状態の髪に湿り気を感じるくらいたっぷりと塗布します。2.コームでなじませた後、乾ききる前にスタイリングします。3.ほぼ形が出来上がったときに再塗布し、コームでなじませ艶を出します。【スタイリング剤・スタイリングローション・(株)百日草ケミカルズ】【成分】水、変性アルコール、エタノール、ベタイン、ジメチコンポリオール、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、BG、ポリクオタニウム-10、セトリモニウムクロリド、ケープアロエエキス、加水分解コラーゲン、アルニカ花エキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、ゴボウエキス、シラカバ樹皮エキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキス、マツエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、赤401、黄4、香料」

ウ14 「登録情報
製造元リファレンス : SY07HS002
ASIN: B003AZCX5C
Amazon.co.jp での取り扱い開始日: 2010/3/4 」

上記摘記事項ア14?ウ14の記載からみて、引用情報14には、商品「ニュースタイリングウォーターソフト」として、
「水、変性アルコール、エタノール、ベタイン、ジメチコンポリオール、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、BG、ポリクオタニウム-10、セトリモニウムクロリド、ケープアロエエキス、加水分解コラーゲン、アルニカ花エキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、ゴボウエキス、シラカバ樹皮エキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキス、マツエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、赤401、黄4、香料を配合したスタイリング剤」(以下、「引用発明14」という。)
の発明が記載されており、また、摘記事項ウ14の記載から、当該商品は、アマゾンにおいて、2010年3月4日から取り扱われているものと認める。

2 取消理由通知の理由(進歩性)についての当審の判断
(1) 引用発明5、6をそれぞれ主発明とした場合
訂正により、引用発明5、6は、本件発明1から但し書きの(2)のヘアスプレー、(3)のヘアスタイリング製品として除外されている。
そうすると、本件発明1は、引用発明5、6を主発明とした場合に当業者が容易に発明をすることができたものではないから、引用発明5、6を主発明とした理由は、その理由がない。
請求項1を直接又は間接的に引用する本件発明3、4、6、7についても、同様である。
よって、本件発明1、3、4、6、7に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。

(2) 引用発明7、8をそれぞれ主発明とした場合
訂正により、引用発明7、8は、本件発明1から但し書きの(4)のカール ディファイナー ムース、(5)のヘアクリームとして除外されている。
そうすると、本件発明1は、引用発明7、8を主発明とした場合に当業者が容易に発明をすることができたものではないから、引用発明7、8を主発明とした理由は、その理由がない。
請求項1を直接又は間接的に引用する本件発明2、4、5、6、7についても、同様である。
よって、本件発明1、2、4、5、6、7に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。

(3) 引用発明9を主発明とした場合
訂正により、引用発明9は、本件発明1から但し書きの(6)のスタイリングジェルとして除外されている。
そうすると、本件発明1は、引用発明9を主発明とした場合に当業者が容易に発明をすることができたものではないから、引用発明9を主発明とした理由は、その理由がない。
請求項1を直接又は間接的に引用する本件発明2、4、5、7についても、同様である。
よって、本件発明1、2、4、5、7に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。

(4) 引用発明14を主発明とした場合
訂正により、引用発明9は、本件発明1から但し書きの(7)のスタイリング剤として除外されている。
そうすると、本件発明1は、引用発明14を主発明とした場合に当業者が容易に発明をすることができたものではないから、引用発明14を主発明とした理由は、その理由がない。
請求項1を直接又は間接的に引用する本件発明2、4、5、6,7についても、同様である。
よって、本件発明1、2、4、5、6、7に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。

(5) 申立人の主張について
ア 主張の概略
申立人は、令和2年12月28日提出の意見書において、以下の主張をしている。
・特許権者が本件発明1と引用発明5?9、14との相違点であると主張する構成は、いわゆる「除くクレーム」として除外された構成である。「除くクレーム」することにより特許を受けることができる発明は、引用発明と技術的思想として顕著に異なる発明で有り、そうでない場合には、進歩性欠如の拒絶理由が解消されることはほとんどないと考えられる(審査基準第IV部第2章3.3.1(4))。
本件発明1と引用発明5?9、14とは整髪力に優れた発明は整髪力に優れた整髪料を提供するとの課題が共通しており、技術思想として顕著に異なる発明ではないから、本件発明1は、引用発明5?9、14に対する進歩性を有さない。本件発明2?7についても同様である(主張1)。
・本件発明1のコラーゲンの割合についても格別顕著な効果を奏するものではない。特許権者は、特定量のコラーゲンを含有することで「整髪効果」及び「ボリュームアップ効果」が得られると主張しているが、本件発明の実施例及び比較例に基づけばこれらの効果は格別顕著な効果ではない。
本件特許の実施例(14、16、17、18)及び比較例(5、7、8、9)によれば、コラーゲンの含有量がふんわり感に寄与しているとはいえず、また、本件特許の比較例(5、6、8)は、コラーゲンを含有していなくても本件特許の実施例(1、11、15)よりも高い整髪効果が得られており、コラーゲンが整髪効果に寄与しているとはいえない。また、本件特許の明細書には、コラーゲン含有量の数値範囲の内と外とで効果に差異があることも示されておらず、数値限定に臨界的意義はない。よって、本件発明1は、引用発明5?9、14に対する進歩性を有さない。本件発明2?7についても同様である(主張2)。

イ 主張について
(ア) 主張1について
申立人の主張はもっともであり、特に、引用発明5、14は、整髪用ヘアスプレーの発明であって技術的思想として関連するものであり、しかもこれらはシリコーオイルも含まれていないものでもある(なお、引用発明14のジメチコンコポリオールは、乳化剤であって、「シリコーンオイル」ではないので、特許権者の令和2年10月16日提出の意見書のジメチコンコポリオールが「シリコーンオイル」に相当する旨(第13頁下から2?7行)の認識は誤りである。)。
しかしながら、本件発明1から除外された発明であり、特に商品として市販されているものから、根拠なく恣意的に配合成分の一部を変更して、本件発明1から除外されていないものとすることはできないから(例えば、引用発明5から噴射剤(ブタン、ハイドロフルオロカーボン 152aを他の噴射剤に変更することや、引用発明14から赤401や黄4の着色料を他の着色料に変更すること)、本件発明1?7が、引用発明5?9、14に対して進歩性がないとすることはできない。
したがって、主張1は採用できない。

(イ) 主張2について
効果についての申立人の主張はもっともであり、(B)成分を特定量で配合することのみで、どのような(A)成分の含有量であっても特許権者の主張する整髪効果が奏されるのかについての疑問はあるものの、上記(ア)で述べたように、本件発明1?7が、引用発明5?9、14に対して進歩性がないとすることはできないから、主張2についても採用できない。
なお、効果について、明細書の実施例2に対して、(A)成分のみの比較例1と(B)成分のみの比較例12の結果や、(A)又は(B)成分のみを実施例2のこれらの合計量よりも多く配合した比較例3、13の結果を比較してみれば、(A)成分と(B)成分を組合せることで、単独で用いるよりも整髪効果が向上することは理解できることを付記する。

よって、申立人の主張は採用できない。

3 小括
令和2年8月12日付けで通知した取消理由(決定の予告)の理由では、本件発明1?7に係る特許を取り消すことはできない。


第6 令和2年2月20日付けで通知した取消理由に対する当審の判断
令和2年2月20日付けで通知した取消理由では、引用発明1、2、5?9を主発明として、新規性及び進歩性がないとの理由が通知されている。

1 引用発明1、5?9を主発明とした場合
訂正により、本件発明1から但し書きの(1)?(6)として、引用発明1、5?9は除外されているから、これらを主発明とした新規性及び進歩性に係る理由は、その理由がない。
請求項1を直接又は間接的に引用する本件発明2?7についても、同様である。
よって、本件発明1?7は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。

2 引用文献2に記載された発明(引用発明2)を主発明とした場合
(1) 取消理由の概要
引用発明2を主発明とする取消理由は、
・本件発明1、2、4、5は、引用文献2に記載された発明であるから、新規性を有しない、
・本件発明6は、引用文献2に記載された発明及び引用文献4、11に記載された事項により進歩性を有さない、
・本件発明7は、引用文献2に記載された発明及び引用文献4、11、12に記載された事項により進歩性を有さない、
というものであった。

(2) 引用発明2
引用文献2には、特許請求の範囲の請求項2に、請求項1を引用しない形式で記載して、
「アロエ抽出液と柑橘果皮抽出液とを1/9?2/8(質量比)で含有し、かつ、前記アロエ抽出液と前記柑橘果皮抽出液とを60質量%以上含み、 さらに、コラーゲンを0.5?2.0質量%含有する頭皮頭髪栄養液」
の発明が記載され、段落【0006】にこの発明の課題の一つとして、育毛と整髪を同時に行うことができることが記載され、【0008】に整髪作用、整髪効果の意味が説明され、【0015】にアロエ抽出物と柑橘果皮抽出物の量比が記載され、【0017】、【0018】、表4(混合例13)、表5、【0033】、【0034】には、実施例(混合例13)として、キダチアロエの葉抽出物、柑橘果皮抽出物、コラーゲンを配合した頭皮頭髪栄養液が記載されている。なお、【0017】の抽出溶媒の量が「アルコール系溶媒500リットル」との記載について、当該段落には、最終的に得られたアロエ抽出液が「約410ml」と記載されていることから、前記記載は「アルコール系溶媒500ml」の誤記と認められる。
上記の記載からみて、引用文献2には、以下の発明(引用発明2)が記載されている。
「キダチアロエの葉抽出物と柑橘果皮抽出物を1/9?2/8(質量比)で含有し、前記アロエの葉抽出物と前記柑橘果皮抽出物とを60質量%以上含み、コラーゲンを0.5?2.0質量%含有する頭皮頭髪栄養液。」

(3) 対比・判断
ア 本件発明1について
(ア) 対比
本件発明1と引用発明2を対比する。
引用発明2の「キダチアロエの葉抽出物」、「コラーゲン」は、本件発明1の「(A)アロエ葉(一部を含む)の搾汁及び抽出物よりなる群から選択される少なくとも1種」、「(B)コラーゲン、その加水分解物、及びこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種」に相当する。
引用発明2の「頭皮頭髪栄養液」は、育毛と同時に整髪を行うものであって、整髪効果を有するものであるから、本件発明1の「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」とは、「整髪料組成物」との点に限りにおいて一致する。
また、引用発明2は、シリコーンオイルは含んでおらず、但し書きにより除外されている(1)?(7)の発明でもない。
さらに、本件発明1は、(A)、(B)成分を含有するものであるが、それ以外の他の成分を配合してもよいものであるから、引用発明2において「柑橘果皮抽出物」を配合する点は相違点とはならない。
そうすると、本件発明1と引用発明2は、
「(A)アロエ葉(一部を含む)の搾汁及び抽出物よりなる群から選択される少なくとも1種、並びに
(B)コラーゲン、その加水分解物、及びこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有し、シリコーンオイルを含有しないことを特徴とする整髪用組成物」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点a>
本件発明1は、(B)成分が0.000001?0.1重量%の割合で含有されるのに対し、引用発明2はコラーゲンを0.5?2.0質量%の割合で含有しており、含有量が異なる点。
<相違点b>
整髪用組成物において、本件発明1は「整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト」であるのに対し、引用発明2は「頭皮頭髪用栄養液」であって、整髪用ヘアスプレー又はヘアミストではない点。

(イ) 判断
まず、本件発明1と引用発明2とは、相違点があるから、本件発明1は、引用発明2、すなわち引用文献2に記載された発明ではない。
次に、相違点aについて検討するに、引用発明2のコラーゲンの含有量を、本件発明1の含有量とすることは、両発明のコラーゲンの含有量が大きく異なるから、当業者が容易になし得たものではない。
そうすると、相違点bを検討するまでもなく、本件発明1は、引用文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、本件発明1に対する引用発明2を主発明とした新規性及び進歩性に係る理由は、その理由がない。

イ 本件発明2、4?7について
請求項1を直接又は間接的に引用する本件発明2、4?7についても、上記ア(イ)同様であって、本件発明2、4、5に対する引用発明2を主発明とした新規性及び進歩性に係る理由並びに本件発明6、7に対するは引用発明2を主発明とした進歩性に係る理由は、その理由がない。

ウ まとめ
本件発明1、2、4?7は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。

3 小括
令和2年2月20日付けで通知した取消理由の理由では、本件発明1?7に係る特許を取り消すことはできない。


第7 取消理由通知において採用しなかった異議申立理由について
異議申立理由は、甲第1号証(引用文献1)又は甲第2号証(引用文献2)を主引例とした新規性に係る理由、甲第1号証又は甲第2号証を主引例とした進歩性に係る理由、甲第1号証又は甲第2号証を主引例として甲第4号証(引用文献4)を組み合わせた進歩性に理由であった。
これらの理由は、令和2年2月20日付けの取消理由において全て通知されており、取消理由通知で採用しなかった異議申立理由はない。


第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立によっては、本件の請求項1?7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
整髪料組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は整髪料組成物に関する。詳細には、本発明は頭髪がふんわりと嵩高で豊かに見えるボリュームアップ効果に優れる整髪料組成物に関する。より好ましくは、本発明は、髪の根元を立ち上げるだけの高い整髪力を有し、また湿気が多い場合でも、ボリューム感の低下を有意に抑制し、ふんわりとした嵩高な髪型を維持することができる整髪料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、男性の薄毛だけでなく、女性の薄毛も問題となっている。このため、男性及び女性の別に関わらず、薄毛を改善する育毛剤の需要は高く、種々多様な育毛剤が市販されている。しかし、女性の脱毛症の中でも男性型脱毛症又は加齢による脱毛症は、育毛剤による効果が得られるまでにかなりの時間を要し、また進行を抑制するのも困難であるのが実情である。また、男女を問わず、一般に、脱毛症ではなくても、加齢に伴い、髪の毛の根元のハリやコシ等がなくなり、それが原因で髪の毛のボリューム感が低下してくる。
【0003】
このような薄毛や頭髪のボリューム感の低下に対する育毛剤以外の対処法として、手軽に即効性が得られる整髪料(スタイリング剤ともいう)の利用があるが、従来の整髪料は、ボリューム感及びふんわり感を共に満足できるものではなかった。また、雨降りの日など、湿気が多い状況では、整髪料を使用して頭髪をふんわりと嵩高にセットしても、経時的に髪が湿気を吸収し、徐々に頭髪のボリューム感が低下してしまうという問題がある。また、最近は、シニア層だけでなく、若年層でも頭髪を嵩高にセットする整髪法が人気であり、頭髪のボリュームアップ及びふんわり感を訴求するニーズが高まっているのが現状である。
【0004】
なお、頭髪をボリュームアップする効果を有する整髪料に関する先行技術としては、下記の特許文献1?4を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2006-70030号公報
【特許文献2】 特開2009-235045号公報
【特許文献3】 特開2014-58492号公報
【特許文献4】 特開2014-108946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、頭髪がふんわりと嵩高で豊かに見えるボリュームアップ効果に優れる整髪料組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、髪の根元を立ち上げるだけの高い整髪力を有し、また湿気が多い場合でも、ボリューム感の低下を有意に抑制し、ふんわりとした嵩高な髪型を維持することができる整髪維持能にも優れた整髪料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、アロエ葉(一部を含む)の搾汁及び抽出物よりなる群から選択される少なくとも1種(本発明及び本明細書では、これらを総称して「(A)成分」という場合がある。)、並びに(B)コラーゲン、その加水分解物、及びこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種(本発明及び本明細書では、これらを総称して「(B)成分」という場合がある。)を組み合わせて配合することにより、髪の根元を立ち上げるほどの高い整髪力を発揮し、その結果、頭髪がふんわりと嵩高で豊かに見えるボリュームアップ効果に優れる整髪料組成物が調製できることを見出した。また当該整髪料組成物は、湿気が多い状況でも整髪維持能にも優れており、ボリューム感の低下を有意に抑制し、ふんわりとした嵩高な髪型を維持することができることを確認した。本発明はこれらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様を有することを特徴とする。
【0009】
(I)整髪料組成物
(I-1)(A)アロエ葉(一部を含む)の搾汁及び抽出物よりなる群から選択される少なくとも1種((A)成分)、並びに
(B)コラーゲン、その加水分解物、及びこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種((B)成分)、を0.000001?0.1重量%の割合で含有し、シリコーンオイルを含有しないことを特徴とする整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト
(但し、下記の整髪化粧料を除く:
(1)(a)キク科の植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(b)リンドウ科、サトイモ科又はミカン科に属する植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(c)トクサ科、アオイ科、ユキノシタ科、シナノキ科又はナデシコ科に属する植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(d)皮膜形成性ポリマーの1種又は2種以上とを、含有することを特徴とする整髪化粧料;
(2)変性アルコール、ブタン、ビニルアセテート/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、ハイドロフルオロカーボン152a、アロエ葉搾液、パンテノール、酢酸トコフェノール、アミノメチルプロパノ-ル、アスコルビン酸、ベンゾフェノン4、コラーゲン、グリセリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベンジルアルコール、サリチル酸ベンジル、クマリン、ゲラニオール、リモネン、リナロール、香料を配合したヘアスプレー;
(3)水、ラウロイル加水分解コラーゲンのナトリウム/トリエタノールアミン塩、ラウリルピリジニウムクロリド、ポリクオタニウム37、加水分解全粒小麦タンパク質、アロエベラ葉搾液、ベンゾフェノン-4、パンテノール(プロビタミンB5)、トコフェノール(ビタミンE)、乳酸、乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス-11、グリコールステアレート、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、香料、その他成分を配合したヘアスタイリング製剤;
(4)水、ブタン、プロパン、イソブタン、ポリクウォタニウム-4、ポリソルベート 20、香料、DMDMヒダントイン、PEG-12、ジメチコン、ラウレス-4、PEG-40ヒマシ硬化油、コカミドプロピルベタイン、アロエベラ抽出物、加水分解コラーゲンを配合したカール ディファイナー ムース;
(5)脱イオン水、カーボマー、シリコーン、クウォタニウム-22、サクラ抽出物、マリンコラーゲン、アロエベラ抽出物、ジプロピレングリコール、水を配合したヘアクリーム;
(6)水、プロピレングリコール、ポリクウォタニウム-72、PEG-20 ソルビタンココレート、加水分解コラーゲン、アロエ抽出物、ヒドロキシエチルセルロース、ブチレングリコール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、香料、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール、エタノールを配合したスタイリングジェル;
(7)水、変性アルコール、エタノール、ベタイン、ジメチコンポリオール、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクルル酸アルキル)コポリマー、BG、ポリクオタニウム-10、セトリモニウムクロリド、ケープアロエエキス、加水分解コラーゲン、アルニカ花エキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、ゴボウエキス、シラカバ樹皮エキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキス、マツエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、赤401、黄4、香料を配合したスタイリング剤。)。
【0010】
(I-2)前記(A)成分がアロエ葉(一部を含む)の抽出物であって、当該(A)成分を、その乾燥固形分の重量に換算して0.001?0.05重量%、特に好ましくは0.001?0.006重量%の割合で含有する(I-1)記載の整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【0011】
(I-3)前記(A)成分がアロエベラ葉肉(一部を含む)の搾汁であって、湿重量換算で、0.001?5重量%の割合で含有する(I-1)に記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【0012】
(I-4)(B)成分を0.000001?0.05重量%の割合で含有する(I-1)?(I-3)のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【0013】
(I-5)前記(A)成分がアロエ葉(一部を含む)の抽出物である整髪用ヘアスプレー又はヘアミストであって、当該抽出物100重量部(乾燥固形分の重量)に対して(B)成分を1?1000重量部の割合で含有する、(I-1)、(I-2)及び(I-4)のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【0014】
(I-6)さらに(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマーを0.000001?0.00005重量%の割合で含有する、(I-1)?(I-5)のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【0015】
(I-7)(B)成分が水溶性であり、水を65?99.9重量%の範囲で含有する、(I-1)?(I-6)のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【0016】
(I-8)(B)成分がコラーゲンの加水分解物、及びアシル化アテロコラーゲンよりなる群から選択される少なくとも1種である、(I-1)?(I-7)のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、頭髪がふんわりと嵩高で豊かに見えるボリュームアップ効果に優れる整髪料組成物を提供することができる。より詳細には、本発明の整髪料組成物は、髪の根元を立ち上げるだけの高い整髪力を有し、また湿気が多い場合でも、ボリューム感の低下を有意に抑制し、ふんわりとした嵩高な髪型を維持することができる。つまり、本発明の整髪料組成物によれば、手軽に毛髪にハリやコシを与え、見た目にボリューム感/増毛感のある髪型にセットすることができ、雨降りなど湿度の高いときでも、その髪型のセット効果を維持することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の整髪料組成物は、(A)アロエ葉(一部を含む)の搾汁及び抽出物よりなる群から選択される少なくとも1種((A)成分)、並びに(B)コラーゲン、その加水分解物、及びこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種((B)成分)を含有することを特徴とする。以下、本発明の整髪料組成物について詳述する。
【0019】
(A)アロエ葉(一部を含む)の搾汁及び/又はこれらの抽出物
本発明の整髪料組成物は、(A)成分として、アロエ葉(一部を含む)の搾汁及び抽出物よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
【0020】
(A)成分の原料となるアロエの種類については、ユリ科アロエ属(Liliaceae Aloe)に属する植物であることを限度として特に制限されないが、例えば、アロエベラ(Aloe barbadesis Mill.)、キダチアロエ(Aloe arborescens Mill.)、アロエアンドンゲンシス(Aloe andongensis Mill.)、ソコトラアロエ(Aloeperryi Baker)、ナタールアロエ(Aloe bainesii Th.Dyer)、アロエディコトマ(Aloe dichotohoma L.)、アロエマルロティイ(Aloe marlothii Berger)、アロエルペストリス(Aloe rupestris Baker)、アロエスピノシシマ(Aloe spinosissima Hort.)、アロエプリカティリス(Aloe plicatilis Mill.)、アロエアスペリフォリア(Aloe asperifolia A.Berger)、アロエカピタータキポリニコーラ(Aloe captata Bak.var.cipolinicola H.Perr.)、アロエスプレンデンス(Aloe splendens lavranos)、アロエフミリス(Aloe humilis Mill.)、アロエミトリファルミス(Aloe mitriformis Mill.)、アロエウェリエガータ(Aloe variegata L.)、ケープアロエ(Aloe ferox Mill.)、アロエアフリカーナ(Aloe afiricana Mill.)アロエスピカータ(Aloe spicata Baker)、アロエエルー(Aloe eru)、アロエカメロニー(Aloe cameronii)、アロエケドンゲンシス(Aloe kedongensis)、アロエフェロックス(Aloe ferox)、及びこれらのアロエの変種又は交配種等が挙げられる。これらの中でも優れたボリュームアップ効果が得られるという観点から、好ましくはアロエベラ、キダチアロエ、ケープアロエ、並びにこれらのアロエの変種又は交配種が挙げられる。より好ましくはアロエベラ、キダチアロエ及びケープアロエが挙げられる。(A)成分の原料として、前述するアロエを1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
【0021】
本発明においてアロエ葉とは、上記ユリ科アロエ属(Liliaceae Aloe)に属する植物の葉の部分を意味し、外皮(表皮)及び葉肉(ゲル部分)を含む葉全体であっても、またその一部(例えば葉肉又は外皮(表皮)の一方)であってもよい。好ましくは葉全体、葉肉、及び少なくとも葉肉を含む葉の一部である。
【0022】
(A)成分のうち、アロエ葉の搾汁は、生のアロエ葉を搾汁機等を用いて絞り、液体画分を回収することにより得ることができる。ここでアロエ葉として、外皮(表皮)及び葉肉(ゲル部分)を含む葉全体を用いてもよいし、また葉全体から外皮(表皮)を剥がした葉肉を用いてもよい。好ましい使用部位はアロエの葉肉である。なお、調製したアロエ葉の搾汁は、液体状態でそのまま使用してもよいし、必要に応じて濃縮して濃縮物として使用したり、また乾燥処理に供して乾燥物として使用したりしてもよい。好ましくは、液体状態での使用である。この場合、搾汁をそのまま使用してもよいし、また液体状態であれば少々濃縮した状態で使用することもできる。なお、アロエ葉の搾汁は、簡便には商業的に入手可能な市販品を使用することもできる。
【0023】
また(A)成分のうち、アロエ葉の抽出物は、アロエ葉を抽出原料として溶媒抽出処理又は超臨界抽出処理に供することにより得ることができる。ここでアロエ葉として、外皮(表皮)及び葉肉(ゲル部分)を含む葉全体を用いてもよいし、また葉全体から外皮(表皮)を剥がした葉肉を用いてもよい。好ましい使用部位はアロエ葉全体である。また抽出はアロエ葉を生のままで使用してもよいが、抽出に際して、必要に応じて、アロエ葉を予め乾燥、細切、粉砕、圧搾、煮沸、発酵等の前処理に供しておいてもよい。更に、当該抽出原料には、アロエ葉を含むことを限度として、葉以外の部位(根、茎など)が含まれていてもよい。
【0024】
溶媒抽出によってアロエ葉の抽出物を得る場合、その抽出溶媒については、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール(n-プロパノール、イソプロパノール)などの低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の液状多価アルコール;これらの混合溶媒等を使用することができる。これらの抽出溶媒の中でも、好ましくはエタノール、1,3-ブチレングリコール、水とエタノールとの混合溶媒、及び水と1,3-ブチレングリコールとの混合溶媒を挙げることができる。より好ましくは水とエタノールとの混合溶媒、及び水と1,3-ブチレングリコールとの混合溶媒である。
【0025】
溶媒抽出によってアロエ葉の抽出物を得る場合、抽出処理の条件については特に制限されず、温浸、冷浸等のいずれの条件で行ってもよい。また超臨界抽出処理についても特にその条件を制限するものではない。なお、アロエ葉の抽出物は、簡便には商業的に入手可能な市販品を使用することもできる。
【0026】
本発明の整髪料組成物において、(A)成分として、アロエ葉(一部を含む)の搾汁及びこれらの抽出物よりなる群から選択される少なくとも1種を単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0027】
(A)成分の中でも、優れたボリュームアップ効果が得られるという観点から、好ましくはアロエベラの葉肉の搾汁を挙げることができる。また、優れたボリュームアップ効果が得られるという観点から、好ましくはキダチアロエ又はケープアロエの全葉の抽出物を挙げることができる。
【0028】
本発明の整髪料組成物における(A)成分の含有量については、(A)成分の種類及び調製方法、並びに整髪料組成物の形態等に応じて適宜設定することができる。
【0029】
例えば、(A)成分がアロエ葉の搾汁である場合は、本発明の整髪料組成物における(A)成分の含有量として、0.001?50重量%、好ましくは0.001?10重量%、より好ましくは0.001?5重量%(以上、いずれも湿重量換算)を挙げることができる。当該割合は、整髪料組成物が液状及び半固形状(ゲル状、フォーム状(ムース状)、クリーム状(ペースト状)など)のいずれの形態であっても該当する割合であるが、特に液状である場合に好適な(A)成分の配合割合である。
【0030】
また、(A)成分がアロエ葉の抽出物である場合、本発明の整髪料組成物が液状及び半固形状(ゲル状、フォーム状(ムース状)、クリーム状(ペースト状)など)のいずれの形態であっても、(A)成分の含有量として、0.0001?5重量%、好ましくは0.0001?3重量%、より好ましくは0.001?0.1重量%、さらに好ましくは0.001?0.05重量%、特に好ましくは0.001?0.006重量%を挙げることができる。なお、当該配合割合は、本発明の整髪料組成物の最終形態の別に拘わらず、その最終製品の重量を100重量%とした場合に、当該最終製品中に含まれるアロエ葉の抽出物の重量を、その乾燥固形物の重量に換算して求めたものである(つまり、アロエ葉抽出物に含まれる水分を除いた乾燥物(重量)の整髪料組成物(重量)に対する割合)。
【0031】
(B)コラーゲン、その加水分解物、及び/又はこれらの誘導体
本発明の整髪料組成物は、(B)成分として、コラーゲン、コラーゲンの加水分解物(加水分解コラーゲン)、及びこれらの誘導体(コラーゲンの誘導体、及び加水分解コラーゲンの誘導体)よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
【0032】
(B)成分のうち、コラーゲンとしては、その由来は特に制限されず、例えば、牛、豚、馬、鳥、魚、クラゲ、貝などから得られるコラーゲン、及び人工的に合成されたコラーゲン等が挙げられる。これらのコラーゲンの中でも、魚、クラゲ、貝などから得られる海洋性コラーゲンは、安全性や経済性等の観点から好ましい。また、(B)成分として使用されるコラーゲンとして優れたボリュームアップ効果が得られ、また、液状の整髪料組成物での使用が容易であるという観点から、好ましくは、水溶性のもの(水溶性コラーゲン類)が挙げられる。水溶性コラーゲン類は、コラーゲン、加水分解コラーゲン、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含む原料から水性溶媒(例えば、水、含水エタノール、塩化ナトリウム水溶液など)を用いて抽出処理することにより得ることができる。
【0033】
また、(B)成分のうち、加水分解コラーゲンとしては、前述するコラーゲンを、アルカリ、酸、又は酵素によって加水分解することにより得ることができる。加水分解コラーゲンの分子量については特に制限されないが、例えば、GPC法により測定される分子量が100?10000程度、好ましくは100?7000程度、より好ましくは200?5000程度、さらに好ましくは250?1000程度の画分を多く含むものが挙げられる。
【0034】
また(B)成分のち、コラーゲンの誘導体としては、前述するコラーゲンをアテロ化又はアシル化などによって改変したものが挙げられる。具体的には、アテロコラーゲン、アシル化コラーゲン、アシル化アテロコラーゲンなどが例示される。
【0035】
アテロコラーゲンは、コラーゲンの両端のテロペプチドを酵素処理等により除去することで得ることができる。
【0036】
また、アシル化コラーゲンとは、コラーゲンのεアミノ基をカルボン酸でアシル化した誘導体である。アシル化コラーゲンのアシル化に使用されるカルボン酸としては、例えば、酢酸等のモノカルボン酸;コハク酸、フタル酸、マレイン酸等のジカルボン酸が挙げられる。これらのカルボン酸の中でもジカルボン酸、さらに好ましくはコハク酸が挙げられる。アシル化コラーゲンは、コラーゲン及びアテロコラーゲンを含む水溶液をアルカリ性に調整し、前記カルボン酸の無水物を添加することにより得ることができる。
【0037】
またアシル化アテロコラーゲンは、アテロコラーゲンのεアミノ基をカルボン酸でアシル化した誘導体である。アシル化アテロコラーゲンにおいて、アシル化に使用されるカルボン酸の種類はその好適なものも含めて、前記アシル化コラーゲンの場合と同様である。また、アシル化アテロコラーゲンの製造方法についても、原料としてコラーゲンの代わりにアテロコラーゲンを使用する以外は、前記アシル化コラーゲンの場合と同様である。
【0038】
これらのコラーゲンの誘導体の中でも、優れたボリュームアップ効果が得られるという観点から、好ましくはアシル化アテロコラーゲン、さらに好ましくはサクシニルアテロコラーゲンが挙げられる。
【0039】
また(B)成分のうち、加水分解コラーゲンの誘導体としては、前述する加水分解コラーゲンをアシル化等によって改変したものが挙げられる。具体的には、加水分解コラーゲンのアシル化等によって改変したものが挙げられ、加水分解コラーゲンのアシル化物が挙げられる。加水分解コラーゲンのアシル化物において、アシル化に使用されるカルボン酸の種類は、その好適なものも含めて、前記アシル化コラーゲンの場合と同様である。また、加水分解コラーゲンのアシル化物の製造方法についても、原料としてコラーゲンの代わりに加水分解コラーゲンを使用すること以外は、前記アシル化コラーゲンの場合と同様である。
【0040】
本発明の整髪料組成物において、(B)成分として、コラーゲン、加水分解コラーゲン、及びこれらの誘導体(コラーゲンの誘導体、及び加水分解コラーゲンの誘導体)の中から1種を単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0041】
(B)成分の中でも、優れたボリュームアップ効果が得られるという観点から、好ましくはコラーゲン、加水分解コラーゲン、コラーゲンの誘導体;更に好ましくはコラーゲン、加水分解コラーゲン、アシル化アテロコラーゲン;特に好ましくは、水溶性のコラーゲン、加水分解コラーゲン、サクシニルアテロコラーゲンが挙げられる。
【0042】
本発明の整髪料組成物における(B)成分の含有量については、整髪料組成物の形態などに応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.000001?3重量%、好ましくは0.000001?1重量%、より好ましくは0.0001?0.1重量%、更に好ましくは0.0001?0.05重量%が挙げられる。
【0043】
また、本発明の整髪料組成物において、(A)成分と(B)成分の比率については、特に制限されないが、(A)成分がアロエ葉の抽出物である場合、優れたボリュームアップ効果が得られるという観点から、(A)成分100重量部(乾燥固形物としての重量)あたりの(B)成分の割合として、0.1?10000重量部、好ましくは1?1000重量部を挙げることができる。また、(A)成分がアロエ葉の搾汁である場合、同様に優れたボリュームアップ効果が得られるという観点から、(A)成分100重量部(湿重量)あたりの(B)成分の割合として、0.002?10000重量部、好ましくは0.002?5000重量部を挙げることができる。
【0044】
(C)(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマー
本発明の整髪料組成物には、前述する(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに(C)成分として、(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマーを配合することができる。
【0045】
ここで「メタクリル酸グリセリルアミドアルキル」における「アルキル基」としては、炭素数1?4の低級アルキル基を挙げることができる。好ましくは炭素数2又は3のアルキル基であり、より好ましくは炭素数2のエチル基である。また、「メタクリル酸アルキル」における「アルキル基」としては、炭素数10?22のアルキル基を挙げることができる。当該アルキル基は直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、具体的には、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、イコサニル基、イコセニル基、エイコサニル基、ヘンイコサニル基、ヘンエイコサニル基、ドコサニル基などを挙げることができる。当該アルキル基は直鎖状が好ましく、その炭素数としては、好ましくは炭素数12?22のアルキル基であり、より好ましくは炭素数16?22のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数18のステアリル基である。
【0046】
以上のことから(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマーとして、特に好ましくは(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマーを挙げることができる。当該(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマーは、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第12版,第1巻,CTFA,2008年,p.1064)で、GLYSERYLAMIDOETHYL METHACRYLATE/STEARYL METHACRYLATE COPOLYMERと標記される、グリセリル-N-(2-メタクリロイルオキシエチル)カルバメートとステアリルメタクリレートとからなる共重合体である。
【0047】
当該コポリマーは、水、並びにグリセリン、ペンチレングリコール、1,3-ブチレングリコールなどの多価アルコールなどの溶剤に溶解した形態のものを用いることができる。
【0048】
当該コポリマーは、簡便には商業的に入手できる市販品を使用することができ、かかる市販品としては、例えばセラキュート-F、セラキュート-L(いずれも商品名、日油株式会社製)などを例示することができる。
【0049】
本発明の整髪料組成物における(C)成分の含有量については、整髪料組成物の形態などに応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.000001?3重量%、好ましくは0.000001?1重量%、より好ましくは0.00001?0.1重量%、更に好ましくは0.00003?0.015重量%、特に好ましくは0.00015?0.015重量%が挙げられる。
【0050】
(D)溶媒
本発明の整髪料組成物には、上記(A)及び(B)成分、又は(A)?(C)成分に加えて、さらにそれらを分散又は溶解するための溶媒が含まれていることが好ましい。かかる溶媒としては、当該技術分野(整髪料を含む毛髪化粧料の分野)で通常使用される溶媒を広く挙げることができ、例えば水、エタノールやプロパノール(n-プロパノール、イソプロパノール)等の低級一価アルコール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコールやグリセリン、ジプロピレングリコール等の多価アルコール及びこれらの混合物を挙げることができる。好ましくは水、又は水並びにエタノール及び/又は多価アルコールの混合物である。
【0051】
整髪料組成物に含まれる溶媒の量は、ヘアスプレー又はヘアミストとして使用しやすく、頭髪のべたつきを軽減し、また、整髪料組成物に含まれる上記(A)及び(B)成分、又は(A)?(C)成分を良好に分散若しくは溶解させる観点から、80?99.999重量%の範囲を挙げることができる。好ましくは85?99.9重量%である。また、溶媒として水を含有する場合、ヘアスプレー又はヘアミストとして使用しやすく、頭髪のべたつきを軽減し、また、整髪料組成物に含まれる上記(A)及び(B)成分、又は(A)?(C)成分を良好に分散若しくは溶解させる観点から、好ましい水の含有量は、65?99.9重量%の範囲を挙げることができ、より好ましくは70?99重量%、更に好ましくは75?99重量%である。
【0052】
(E)その他の成分
本発明の整髪料組成物には、上記(A)及び(B)成分、(A)?(C)成分、さらに上記溶媒の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、整髪料組成物の形態に応じて、当該技術分野(整髪料を含む毛髪化粧料の分野)で通常使用される添加成分を配合することもできる。このような添加成分としては、例えば、被膜形成性ポリマー(例えば、カラギーナン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体など)、カチオン性ポリマー、保湿剤、シリコーン類、油剤、増粘剤、抗フケ剤、ビタミン剤、紫外線吸収剤、清涼化剤、無機粉体、香料、着色剤、消臭剤、界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、基剤、酸化防止剤、パール剤、キレート剤などを挙げることができる。
【0053】
これらの中で保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、及びマルチトールなどの多価アルコール;dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、トリメチルグリシン、パンテノール及びNMFなどを挙げることができる。好ましくはグリセリンや1,3-ブチレングリコールなどの多価アルコール、及びパンテノールである。
【0054】
本発明の整髪料組成物におけるこれらの保湿剤の配合割合は、保湿効果を発揮する割合であれば特に制限されないが、通常0.001?20重量%の範囲から適宜選択して使用することができ、好ましくは5?15重量%である。
【0055】
これらの中で油剤としては、例えば、油類(オリーブ油、サフラワー油、大豆油、つばき油、とうもろこし油、なたね油、ひまわり種子油、綿実油、落花生油、ラード、スクワラン、魚油、アンズ核油等)、鉱物油(流動パラフィン、パラフィン、ゲル化炭化水素、ワセリン、イソドデカン等)、ワックス類・ロウ類(ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス等)、エステル油(ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、リノール酸エチル、エチルヘキサン酸セチル等)、高級アルコール(ステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラノリンアルコール等)、コレステロール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、シリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、ポリシリコーン-9等)などを挙げることができる。
【0056】
本発明の整髪料組成物におけるこれらの油剤の配合割合は、特に制限されないが、ベタつきを低減し、また、ポンプミストに充填し使用し易いという観点から、好ましくは0?0.5重量%であり、より好ましくは0?0.2重量%など、極力少量であることが好ましい。
【0057】
これらの中で増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
【0058】
本発明の整髪料組成物におけるこれらの増粘剤の配合割合は、特に制限されないが、ベタつきを低減するという観点から、好ましくは0?0.6重量%であり、より好ましくは0?0.5重量%である。特に、べたつきを低減し且つポンプミストとして使用し易いという観点から、0?0.1重量%が好ましく、0?0.01重量%がより好ましく、配合しないことが更に好ましい。
【0059】
製造方法
本発明の整髪料組成物は、前述する(A)及び(B)成分、又は(A)?(C)成分、及び必要に応じてこれらにさらに他の成分に、前述する溶媒又は薬学的又は香粧学的に許容される基剤を混合して、所定の形状に調製することによって製造される。具体的な製造方法は特に制限されず、整髪料組成物の形態に応じて、当業界の定法に従って調製することができる。
【0060】
形態・粘度
本発明の整髪料組成物の形態は特に制限されず、液状、半固形状(ムース状[フォーム状]、クリーム状[ペースト状]、ゲル状)、及び固体状等のいずれであってもよい。本発明の整髪料組成物の形態として、好ましくは液状及び半固形状であり、より好ましくは液状である。
【0061】
当業界において、液状の整髪料組成物には、性状や目的に応じて、ヘアウォーター、ヘアオイル、ヘアミスト、ヘアローション、ヘアスプレー、及びヘアリキッド等と呼称される製品があるが、本発明の整髪料組成物も、本発明が意図する用途(詳細は後述)で使用されるものであれば、その種類(呼称)の別に関わらず、これらの製品のいずれもが含まれる。髪に自然なふんわり感が得られるという観点から、好ましくはヘアミスト、ヘアローション、及びヘアスプレーであり、より好ましくはヘアミスト及びヘアスプレーであり、更に好ましくはヘアミストである。また当業界において、半固形状の整髪料組成物には、性状や目的に応じて、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアフォーム(ムース)、ヘアジェル、ヘアグリース等と呼称される製品があるが、本発明の整髪料組成物も、本発明が意図する用途(詳細は後述)で使用されるものであれば、その種類(呼称)の別に関わらず、これらの製品のいずれもが含まれる。
【0062】
粘度は、形態に応じて、充填する容器に従って適宜選択設定することができる。例えば、本発明の整髪料組成物が液状であり、ポンプ容器(ポンプディスペンサー、ポンプミスト)に充填して使用する場合は、比較的低粘度に調製することが好ましい。かかる粘度としては5.0?6.0mPa・sを挙げることができる。ここで粘度は、B型粘度計VISCOMETER TVB-10型(東機産業株式会社製)で30℃で100rpm、60秒間回転の条件で測定することができる。なお、測定に使用するB型粘度計のローターは、No.M1を使用する。
【0063】
容器
本発明の整髪料組成物を収容する容器については、特に制限されず、形態・粘度や用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、ポンプ容器(ポンプディスペンサー、ポンプミスト、ポンプフォーマー)、チューブ容器、袋状容器、エアゾール缶などを挙げることができる。特に本発明の整髪料組成物が液状である場合、容器は内部の液体を噴霧して使用するポンプ容器(ポンプディスペンサー、ポンプミスト、ポンプフォーマー)であることが好ましく、ポンプミストがより好ましい。なお、ポンプ容器への詰め替え用として袋状容器に収容することもできる。
【0064】
用途・使用方法
本発明の整髪料組成物は、頭髪をふんわりと嵩高で豊かにみえるようにセットするために用いられる(ボリュームアップ整髪)。また本発明の整髪料組成物は、当該セットにより見た目をボリュームアップさせた髪型を長時間維持するために使用される(ボリュームアップ整髪の維持)。この目的のため、本発明の整髪料組成物は、ボリュームアップさせたい頭髪部分に部分的に適用することもできるし、また頭髪全体に適用することもできる。好ましくは、ボリュームアップさせたい頭髪部分に部分的に適用する方法である。
【0065】
具体的には、ふんわりと嵩高にボリュームアップさせたい頭髪部の毛髪の根元を中心に、髪が軽く濡れる程度に本発明の整髪料組成物を適用した後、クシなどのコーム類で髪を梳いて髪全体になじませ、次いで、整髪料組成物を適用した頭髪の根元部分を立ち上げるようにしてドライヤーなどで温風又は冷風を当てて乾燥させる方法を挙げることができる。この場合、乾燥させる前に、当該頭髪の根元部分の毛を逆立たせてもよく、こうすることで、より一層頭髪を嵩高にセットすることができる。
【0066】
本発明の整髪料組成物は、濡れた頭髪、半乾きの頭髪(例えば、タオルドライ後の頭髪)、又は乾燥した頭髪に対して、男女を問わず、上記整髪目的で使用される。好ましくは半乾きの頭髪及び乾燥した頭髪、より好ましくは乾燥した頭髪に対して好適に使用することができる。
【実施例】
【0067】
以下に、本発明を実験例(実施例及び比較例)等に基づいて説明する。但し、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0068】
実験例1
1.液状の整髪料組成物の調製
表1に示す組成の液状の整髪料組成物(実施例1?17、対照例、比較例1?8及び10?16、参考例1?2)を調製した。具体的には、表1に記載する(A)成分、(B)成分及び(C)成分を所定の割合で溶媒(水)に添加し、均一になるように混合することによって、液状の各整髪料組成物を調製した。
【0069】
なお、(A)成分?(C)成分として使用したものは下記の通りである。
【0070】
(A)成分
(1)アロエ葉製品1:
成分:キダチアロエ(BG抽出物)、製品名:ファルコレックスアロエKB、入手先:一丸ファルコス株式会社
(2)アロエ葉製品2:
成分:アロエベラ(エタノール抽出物)、製品名:ビオセルアクト アロエベラ E、入手先:一丸ファルコス株式会社
(3)アロエ葉製品3:
成分:アロエベラ(搾汁)、製品名:アロエベラ水、入手先:片倉チッカリン株式会社
(4)アロエ葉製品4:
成分:アロエベラ(BG抽出物)、製品名:アロエベラ抽出液-JC、入手先:丸善製薬株式会社
(5)アロエ葉製品5:
成分:ケープアロエ(BG抽出物)、製品名:アロエ抽出リキッドBG-J、入手先:丸善製薬株式会社。
【0071】
(B)成分
(1)コラーゲン類製品1
成分:加水分解コラーゲン、製品名:マリンジェンペプチドMP(PF)、入手先:新田ゼラチン株式会社
(2)コラーゲン類製品2
成分:サクシニルアテロコラーゲン、製品名:シージェムコラーゲンAS、入手先:片倉チッカリン株式会社。
【0072】
(C)成分
(1)(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマー製品
成分:(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー、製品名:Ceracute-V、入手先:日油株式会社
【0073】
2.整髪効果の評価
上記で調製した各整髪料組成物(実施例1?17、対照例、比較例1?8及び10?16、参考例1及び2)について、それぞれ以下の試験方法及び判断基準に従って整髪効果(セット力)を評価した。なお、当該試験方法は、水を毛束に直接塗布するという過酷な条件下において整髪効果を評価する方法であり、当該方法において優れた整髪効果が得られた場合、高湿度環境下においても整髪維持能に優れるということができる。
【0074】
[試験方法]
(1)試験用毛束(毛束白髪30%MIX、商品名「BM-MIX-A」、ビューラックス製)を、各液状整髪料組成物(25℃)の中に、毛束全体に当該液状整髪料組成物がなじむように10回出し入れした。
(2)(1)の処理をした試験用毛束を液状整髪料組成物の中から取り出し、アルミ製の板に乗せて、50℃(相対湿度14%)の環境下で6時間放置して自然乾燥させた。
(3)乾燥してリボン状になった毛束をアルミ製の板から外し、当該乾燥した毛束に精製水を5回スプレー(毛束への水の付着量は0.34g?0.38g重)して塗布し、その10秒後に、毛束のたわみ具合(下がり具合)を確認した。
(4)具体的には、毛束の根元をもって水平になるように持ち上げ、毛束の先端のたわみ具合(毛束の根元の高さ位置から先端の高さ位置までの距離)を観測した。具体的には、測定する毛束の背後に方眼紙を配置し、毛束の根元の高さ位置(T_(0))から、たわんで垂れ下がった毛束の最下端の高さ位置(T_(1))までの距離(T_(0)-T_(1)=X)を、方眼紙のマス目を利用して測定した。具体的には、方眼紙のマス目間隔を1cmとし、そのマス目間隔に従って、毛束の先端の高さ位置(T_(1))が毛束の根元の高さ位置(T_(0))と同じ場合(T_(0)-T_(1)=0cm)をスコア「0」、T_(0)-T_(1)=1cmである場合をスコア「1」、T_(0)-T_(1)=2cmである場合をスコア「2」、以下同様に、スコア3、4、5、6、及び7とした。
【0075】
[評価基準]
毛束の先端のたわみ具合(毛束の根元の高さ位置から先端の高さ位置までの距離)が1cmあたりスコア1として計算する(詳細は、上記(3)を参照)。つまり、スコアが小さいほど、たわみが少なく、整髪料組成物のセット力が強い、つまり整髪効果が高いということになる。
【0076】
また、[対照例-(A)成分単独]スコア差、[対照例-(B)成分単独]スコア差及び[対照例-(C)成分単独]スコア差の和を相加理論値とし、以下の計算式に基づいて、(A)成分と(B)成分(又は(A)?(C)成分)を併用することの相乗効果(相乗度)(%)を算出できる。
【0077】
[式]
相乗度(%)=100×[対照例-実施例]スコア差/相加理論値
【0078】
3.ふんわり感の評価
上記で調製した各整髪料組成物(実施例1?17、対照例、比較例1?8及び10?16、参考例1及び2)について、それぞれ以下の試験方法及び判断基準に従ってふんわり感を評価した。
【0079】
[試験方法]
(1)試験用毛束(毛束白髪30%MIX、商品名「BM-MIX-A」、ビューラックス製)に、ポンプミスト(1回の噴霧あたりの噴霧量は、0.2g)に充填した各液状整髪料組成物を、試験用毛束全体に10cmの距離から2回噴霧した。
(2)(1)の処理をした試験用毛束を、ドライヤーを用いて乾燥させた。
【0080】
[評価基準]
下記に示すように、毛束が広がりを指標としてふんわり感を評価した。
○:対照例に比べて、十分に毛束が広がっている。
△:対照例に比べて、多少毛束が広がっている。
×:毛束の広がりが対照例と同等だった。
【0081】
[評価結果]
結果を表1及び2に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
表1(実施例1?11及び13?17)と表2(対照例、比較例1?8及び10?14)との比較からわかるように、(A)成分と(B)成分とを組み合わせることで、水のみ(対照例)、(A)成分単独(比較例1?9)、及び(B)成分単独(比較例10?14)で使用した場合に比べてセット力が顕著に高まり、所望する嵩高なボリューム感のある髪型に整髪することができることが確認された。また、表1(実施例12)と表2(対照例、比較例1
5及び16)との比較からわかるように、(C)成分はそれ単独又は(B)成分と組み合わせて使用した場合に比べて、(C)成分と(B)成分にさらに(A)成分を組み合わせることで、セット力が有意に向上し、所望する嵩高なボリューム感のある髪型に整髪することができることが確認された。更にこれらの実施例に関して、上述の式1に基づいて相乗効果を評価したところ、いずれの実施例においても、セット力が相乗的に向上していることが分かった。例えば、実施例5においては、相乗度は325%であった。
【0085】
また、参考例1(表1)と比較例5(表2)との比較からわかるように、(A)成分は1,3-ブチレングリコールと併用することで、有意にセット力が向上することが確認された。このことから、本発明の整髪料組成物には、他の成分として1,3-ブチレングリコールを配合するか、又は(A)成分として、抽出溶媒として1,3-ブチレングリコールを用いて抽出したアロエ葉の抽出物を使用することが好ましいと考えられる。
【0086】
さらに、参考例2(表1)と比較例16(表2)との比較からわかるように、(C)成分は、(A)成分と併用することで、(B)成分を配合しなくてもセット力が顕著に向上することが確認された。
【0087】
また、表1及び表2には示していないが、実施例1?17の整髪料組成物について、被験者5人が、ポンプミスト(1回の噴霧あたりの噴霧量は、0.2g)に充填した各整髪料組成物を頭髪の根元に10回噴霧し、クシでなじませた後に、ドライヤーを用いて根元を立ち上げるように乾燥し整髪効果(ふんわりと嵩高に見えるボリュームアップ効果)を評価したところ、いずれの被験者も対照例の整髪料組成物に比べて、ふんわりと嵩高に見えるボリュームアップ効果を実感した。
【0088】
処方例
表3に記載する各成分を配合して、ヘアミストを調製した。いずれの組成物においても、(A)成分単独、(B)成分単独及び(C)成分単独で使用した場合に比べてセット力が顕著に高まり、所望する嵩高なボリューム感のある髪型に整髪することができることが確認された。
【0089】
【表3】

【0090】
表4に記載する各成分を配合して、ヘアミストを調製した。いずれの組成物においても、(A)成分単独、(C)成分単独、1,3ブチレングリコール単独で使用した場合に比べてセット力が顕著に高まり、所望する嵩高なボリューム感のある髪型に整髪することができることが確認された。
【0091】
【表4】

【0092】
表5に記載する原液処方の各成分を混合してヘアフォーム原液(100重量部)を調製した。このうち90重量部を、液化石油ガス10重量部とともにヘアフォーム容器に充填して、ヘアフォーム形態の整髪料を調製した。当該ヘアフォームにおいても、(A)成分単独、(B)成分単独及び(C)成分単独で使用した場合に比べてセット力が顕著に高まり、所望する嵩高なボリューム感のある髪型に整髪することができることが確認された。
【0093】
【表5】

【0094】
表6に記載する原液処方の各成分を混合してヘアスプレー原液(100重量部)を調製した。このうち90重量部を、液化石油ガス10重量部とともにヘアスプレー容器に充填して、ヘアスプレー形態の整髪料を調製した。当該ヘアスプレーにおいても、(A)成分単独、(B)成分単独及び(C)成分単独で使用した場合に比べてセット力が顕著に高まり、所望する嵩高なボリューム感のある髪型に整髪することができることが確認された。
【0095】
【表6】

(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アロエ葉(一部を含む)の搾汁及び抽出物よりなる群から選択される少なくとも1種、並びに
(B)コラーゲン、その加水分解物、及びこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を、0.000001?0.1重量%の割合で
含有し、シリコーンオイルを含有しないことを特徴とする整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト
(但し、下記の整髪化粧料を除く:
(1)(a)キク科の植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(b)リンドウ科、サトイモ科又はミカン科に属する植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(c)トクサ科、アオイ科、ユキノシタ科、シナノキ科又はナデシコ科に属する植物より得られる抽出物又は圧搾物の1種又は2種以上と、(d)皮膜形成性ポリマーの1種又は2種以上とを、含有することを特徴とする整髪化粧料;
(2)変性アルコール、ブタン、ビニルアセテート/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、ハイドロフルオロカーボン152a、アロエ葉搾液、パンテノール、酢酸トコフェノール、アミノメチルプロパノ-ル、アスコルビン酸、ベンゾフェノン4、コラーゲン、グリセリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベンジルアルコール、サリチル酸ベンジル、クマリン、ゲラニオール、リモネン、リナロール、香料を配合したヘアスプレー;
(3)水、ラウロイル加水分解コラーゲンのナトリウム/トリエタノールアミン塩、ラウリルピリジニウムクロリド、ポリクオタニウム37、加水分解全粒小麦タンパク質、アロエベラ葉搾液、ベンゾフェノン-4、パンテノール(プロビタミンB5)、トコフェノール(ビタミンE)、乳酸、乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス-11、グリコールステアレート、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、香料、その他成分を配合したヘアスタイリング製剤;
(4)水、ブタン、プロパン、イソブタン、ポリクウォタニウム-4、ポリソルベート 20、香料、DMDMヒダントイン、PEG-12、ジメチコン、ラウレス-4、PEG-40ヒマシ硬化油、コカミドプロピルベタイン、アロエベラ抽出物、加水分解コラーゲンを配合したカール ディファイナー ムース;
(5)脱イオン水、カーボマー、シリコーン、クウォタニウム-22、サクラ抽出物、マリンコラーゲン、アロエベラ抽出物、ジプロピレングリコール、水を配合したヘアクリーム;
(6)水、プロピレングリコール、ポリクウォタニウム-72、PEG-20 ソルビタンココレート、加水分解コラーゲン、アロエ抽出物、ヒドロキシエチルセルロース、ブチレングリコール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、香料、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール、エタノールを配合したスタイリングジェル;
(7)水、変性アルコール、エタノール、ベタイン、ジメチコンポリオール、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクルル酸アルキル)コポリマー、BG、ポリクオタニウム-10、セトリモニウムクロリド、ケープアロエエキス、加水分解コラーゲン、アルニカ花エキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、ゴボウエキス、シラカバ樹皮エキス、セイヨウキズタエキス、ニンニクエキス、マツエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、赤401、黄4、香料を配合したスタイリング剤。)。
【請求項2】
前記(A)成分がアロエ葉(一部を含む)の抽出物であって、当該(A)成分を、その乾燥固形分の重量に換算して0.001?0.05重量%の割合で含有する請求項1記載の整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【請求項3】
前記(A)成分がアロエベラ葉肉(一部を含む)の搾汁であって、湿重量換算で、0.001?5重量%の割合で含有する請求項1に記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【請求項4】
(B)成分を0.000001?0.05重量%の割合で含有する請求項1?3のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【請求項5】
前記(A)成分がアロエ葉(一部を含む)の抽出物である整髪用ヘアスプレー又はヘアミストであって、当該抽出物100重量部(乾燥固形分の重量)に対して(B)成分を1?1000重量部の割合で含有する、請求項1、2及び4のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【請求項6】
さらに(メタクリル酸グリセリルアミドアルキル/メタクリル酸アルキル)コポリマーを0.000001?0.00005重量%の割合で含有する、請求項1?5のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
【請求項7】
(B)成分が水溶性であり、水を65?99.9重量%の範囲で含有する、請求項1?6のいずれかに記載する整髪用ヘアスプレー又はヘアミスト。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-03-01 
出願番号 特願2014-266564(P2014-266564)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松井 一泰  
特許庁審判長 佐々木 秀次
特許庁審判官 岡崎 美穂
西村 亜希子
登録日 2019-04-19 
登録番号 特許第6513396号(P6513396)
権利者 小林製薬株式会社
発明の名称 整髪料組成物  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ