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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B09B
管理番号 1375243
審判番号 訂正2021-390001  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2020-12-28 
確定日 2021-04-28 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6783908号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6783908号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 主な手続の経緯
特許第6783908号(請求項の数3。以下、「本件特許」という。)に係る出願は、令和1年7月26日に出願され(特願2019-137390号)、令和2年10月12日付けで特許査定がされ、同年10月26日に特許権の設定登録がされたものである。
そして、令和2年12月28日に本件訂正審判が請求された。

第2 請求の趣旨及び理由
1 請求の趣旨
結論同旨

2 請求の理由(訂正の内容)
請求人の求めた訂正(以下「本件訂正」という場合がある。)について、訂正事項ごとに掲記すると、概略、以下のとおりである。
(1) 訂正事項1
明細書、特許請求の範囲における「混錬」を「混練」と訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正の目的、新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否についての検討
(1) 訂正事項1(上記第2 2(1))についての検討
ア 訂正の目的
本件特許に係る出願の願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「本件特許の明細書、特許請求の範囲及び図面」という。)には、次の記載がある(下線は当審により付与した。)。
・「【特許請求の範囲】
【請求項1】
重金属安定化剤の供給槽から飛灰混錬機への重金属安定化剤の注入配管に沈殿分離器を付加するものであり、沈殿分離器は上フランジと下フランジで閉塞される密閉体であるケーシングで、ポンプからの注入管である流入部は前記上フランジを貫通して下向きに設けられ、この流入部を取り囲むように穴を上下に複数設けた管体を前記上フランジと下フランジ間で前記ケーシングの内部を仕切るように上下方向に設置し、この管体を設けない場合に比較して流速を弱めることで沈殿分離器で凝固物を沈殿させることを特徴とする飛灰混錬機への重金属固定剤注入装置。
【請求項2】
上下に複数設ける穴は、上のものから下のものへと縮径する請求項1記載の飛灰混錬機への重金属固定剤注入装置。
【請求項3】
飛灰混錬機への重金属安定化剤の注入配管で、沈殿分離器からの注入配管は水平に左右に並んで左右のものを同じ高さになるようにした請求項1または請求項2記載の飛灰混錬機への重金属固定剤注入装置。」
・「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛灰混錬機の重金属固定剤注入配管の閉塞防止を行う飛灰混錬機への重金属固定剤注入装置に関するものである。
・・・略・・・
【0003】
同法は、特別管理(一般)廃棄物である飛灰を安全に処分するためにいくつかの方法を指定しているが、その中の一つにキレート剤(重金属安定化剤)による混錬処理がある。
【0004】
この混錬処理とは、乾燥した飛灰に液体であるキレート剤を添加し混錬機で十分に練り込むことで、含有する重金属類を水に溶けだしにくいキレート化合物に変化させる方法である。
【0005】
図7にかかる混錬処理を行う装置の概要を示すと、飛灰に、重金属安定化剤を加え、重金属安定化反応に必要な混合混錬を混錬機により行い、瓦礫状に排出し、ピットまで搬出するもので、次の設備により構成される。
(1)飛灰受入れ、貯留、供給殺備
(2)重金属安定化剤貯留、添加設備
(3)混錬、搬出設備
(4)集じん、給水、エアレーション設備
(5)電気設備 本設備は、3炉共用2系列(1系列予備)とする。
【0006】
図中1は飛灰混錬機で、これには飛灰貯槽2から飛灰定量供給機3を介して飛灰が供給され、飛灰混錬機1で混錬された飛灰は灰バンカ4に排出される。
【0007】
図中5は重金属安定化剤貯槽で、この重金属安定化剤貯槽5からは重金属安定化剤希釈槽6に、プラント用水(槽)7からの水とともに、ポンプ8を備えた配管で重金属安定化剤が供給され、重金属安定化剤希釈槽6に蓄えられた希釈された重金属安定化剤はポンプ8を備えた注入配管でノズル9より飛灰混錬機1に供給される。
【0008】
なお、このような飛灰混錬機に関する先行技術文献は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
安定的なキレート化合物を得るためには、薬剤の添加率を一定に保たなければならないが、キレート剤には沈殿物を生成しやすい性質があり、この沈殿物が混錬機への薬剤添加ノズルを詰まらせるため、保守に相当の手間がかかっていた。
【0010】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、混錬機への注入配管の詰まりを簡単に防止できる飛灰混錬機への重金属固定剤注入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、重金属安定化剤の供給槽から飛灰混錬機への重金属安定化剤の注入配管に沈殿分離器を付加するものであり、沈殿分離器は上フランジと下フランジで閉塞される密閉体であるケーシングで、ポンプからの注入管である流入部は前記上フランジを貫通して下向きに設けられ、この流入部を取り囲むように穴を上下に複数設けた管体を前記上フランジと下フランジ間で前記ケーシングの内部を仕切るように上下方向に設置し、この管体を設けない場合に比較して流速を弱めることで沈殿分離器で凝固物を沈殿させることを要旨とするものである。
・・・略・・・
【0014】
沈殿分離器は流入部を取り囲むように穴を上下に複数設けた管体を設置して、薬品の流れとしては凝固物が沈降し、きれいな薬品は上側に浮いて混錬機に注入されるようになる。
・・・略・・・
【0018】
請求項3記載の本発明は、飛灰混錬機への重金属安定化剤の注入配管で、沈殿分離器からの注入配管は水平に左右に並んで左右のものを同じ高さになるようにしたことを要旨とするものである。
・・・略・・・
【発明の効果】
【0020】
以上述べたように本発明の飛灰混錬機への重金属固定剤注入装置は、沈殿分離器を設置して凝固物を取り除き、注入配管への凝固物の侵入を防ぐことで、閉塞させないようにしたので、混錬機への注入配管の詰まりを簡単に防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の飛灰混錬機への重金属固定剤注入装置の概要を示す説明図である。
【図2】本発明で設置する沈殿分離器の1実施形態を示す縦断側面図である。
【図3】図2のA-A線矢視図である。
【図4】図2のB-B線矢視図である。
【図5】注入配管の配置を示す平面図である。
【図6】注入配管の配置を示す縦断側面図である。
【図7】従来例を示す説明図である。
【図8】混錬機の側面図である。
【図9】混錬機の平面図である。
【図10】図8のC線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の飛灰混錬機への重金属固定剤注入装置の概要を示す説明図で、飛灰の混錬処理を行う装置としては前記図7に示す従来例と同じである。
【0023】
先に飛灰混錬機1を説明すると、円柱状のロッド数本を入れたドラム本体に強力な円運動を与え、ロッド間、ロッドとドラム間で原料に圧縮、衝撃やせん断などを与え混合・混錬を行なう振動式や、通常2個のタイヤ状のホイールを円柱皿型パン内で円周方向に転がり運動を与え、ホイールとパン底部の間で圧縮やせん断などを与えるものであり、一般にマラーミキサーとして知られる回分式や、縦型円筒状容器の中に複数の特殊形状の回転羽根をある一定聞隔で上下方向に配置させ、それらの回転により原料に流動とせん断を与え混合する縦型撹拝羽根式や、2本の羽根付軸が互いに反対方向に回転する2軸スクリュ回転式などがあり、特に限定はないが、本実施形態では図8?図10に示すような2軸スクリュ回転式のものを使用している。
【0024】
まゆ型の断面を有する容器内に、2本の回転軸を横一列に並べ、それぞれの軸にスクリュとパドルを組込み、同一方向に等速で回転させる。容器の一端上部より供給された原料は、スクリュで混錬ゾーンに送り込まれる。
【0025】
図中23は材料投入口、24は混錬パドルを示す。
【0026】
混錬パドル24のスクリュ及びパドルとも断面形状は、凸レンズ型をしている。スクリュは主に原料を混錬部に送る役目をする。
・・・略・・・
【0028】
前記図7にも示すように、飛灰混錬機1には、飛灰貯槽2から飛灰定量供給機3を介して飛灰が供給され、飛灰混錬機1で混錬された飛灰は灰バンカ4に排出される。
【0029】
また、重金属安定化剤貯槽5からは重金属安定化剤希釈槽6に、プラント用水(槽)7からの水とともに、ポンプ8を備えた配管で重金属安定化剤が供給され、重金属安定化剤希釈槽6に蓄えられた希釈された重金属安定化剤はポンプ8を備えた注入配管でノズル9より飛灰混錬機1に供給される。
【0030】
本発明は、重金属安定化剤の供給槽(重金属安定化剤希釈槽6)から飛灰混錬機1への重金属安定化剤の供給ノズル9の手前に沈殿分離器10を付加した。
・・・略・・・
【0037】
次に使用法について説明すると、重金属安定化剤希釈槽6に蓄えられた希釈された重金属安定化剤はポンプ8を備えた注入配管でノズル9より飛灰混錬機1に供給されるが、沈殿分離器10では流入部11で流速が弱まる。
【0038】
流速を弱めることで沈殿分離器10で凝固物22を沈殿させることができるもので、凝固物22が沈降し、きれいな薬品は上側に浮いて飛灰混錬機1に注入される。
・・・略・・・
【符号の説明】
【0042】
1…飛灰混錬機 2…飛灰貯槽
3…飛灰定量供給機 4…灰バンカ
5…重金属安定化剤貯槽 6…重金属安定化剤希釈槽
7…プラント用水(槽) 8…ポンプ
9…ノズル 10…沈殿分離器
11…流入部 12…ケーシング
13…穴 14…管体
15…上フランジ 16…下フランジ
17…注入配管 17a…注入口
18、19…ドレン管 20、21…ドレンバルブ
22…凝固物 23…材料投入口
24…混錬パドル」
・「【図1】


すなわち、本件特許の特許請求の範囲には、「混錬」との記載があり、また、本件特許の明細書の段落【0001】、【0003】ないし【0011】、【0014】、【0018】、【0020】ないし【0026】、【0028】ないし【0030】、【0037】、【0038】及び【0042】にも、「混錬」との記載がある。
他方、本件特許の図面の【図1】には、「混練」との記載がある。
そうすると、本件特許の特許請求の範囲、明細書及び図面には、「コンレン」と呼称される文字について、「混錬」と「混練」の2つの表記があることが認めれる。
ところで、「練」、「錬」の訓読みは「ねる」であり、その意味は、新村出編 広辞苑(昭和49年9月20日 第二版第八刷発行、岩波書店)によると、「こねまぜて、ねばらせる。」とあり、当字として、「練」る、「錬」るの両者が並記されているが、他方で、「ねる」の他の意味として、「鉄などに焼きを入れ硬度を調える。精錬する。」とあること等を勘案すると、「錬」よりも「練」の方が一般的に使用される字句であると解すのが相当である。
そうすると、本件特許の特許請求の範囲及び明細書の「混錬」は、「混練」の誤記であるといえる。また、そのように解することで、本件特許の図面の記載とも整合する。

新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正事項1は、上記のとおり、出願当初の図面に記載した事項においてしたものである。また、請求項1の訂正の前後の記載を比較しても、本件訂正は、特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものと認めることはできない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するといえる。

2 独立特許要件について
上記1で検討したとおり、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものである。そこで、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか(いわゆる独立特許要件の充足性。特許法第126条第7項)について検討したが、独立特許要件を欠くとする事由を見いだすことができない。
したがって、本件訂正は特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
以上の次第であるから、本件訂正の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するので、適法な訂正と認める。

よって、結論のとおり審決する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
飛灰混練機への重金属固定剤注入装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛灰混練機の重金属固定剤注入配管の閉塞防止を行う飛灰混練機への重金属固定剤注入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ごみの焼却に伴い飛灰が発生する。この飛灰には有害な重金属類が多く含まれ、そのまま埋立処分を行うと環境汚染が生じる可能性がある。そこで、飛灰は、廃棄物処理法によって特別管理(一般)廃棄物に指定されている。
【0003】
同法は、特別管理(一般)廃棄物である飛灰を安全に処分するためにいくつかの方法を指定しているが、その中の一つにキレート剤(重金属安定化剤)による混練処理がある。
【0004】
この混練処理とは、乾燥した飛灰に液体であるキレート剤を添加し混練機で十分に練り込むことで、含有する重金属類を水に溶けだしにくいキレート化合物に変化させる方法である。
【0005】
図7にかかる混練処理を行う装置の概要を示すと、飛灰に、重金属安定化剤を加え、重金属安定化反応に必要な混合混練を混練機により行い、瓦礫状に排出し、ピットまで搬出するもので、次の設備により構成される。
(1)飛灰受入れ、貯留、供給殺備
(2)重金属安定化剤貯留、添加設備
(3)混練、搬出設備
(4)集じん、給水、エアレーション設備
(5)電気設備
本設備は、3炉共用2系列(1系列予備)とする。
【0006】
図中1は飛灰混練機で、これには飛灰貯槽2から飛灰定量供給機3を介して飛灰が供給され、飛灰混練機1で混練された飛灰は灰バンカ4に排出される。
【0007】
図中5は重金属安定化剤貯槽で、この重金属安定化剤貯槽5からは重金属安定化剤希釈槽6に、プラント用水(槽)7からの水とともに、ポンプ8を備えた配管で重金属安定化剤が供給され、重金属安定化剤希釈槽6に蓄えられた希釈された重金属安定化剤はポンプ8を備えた注入配管でノズル9より飛灰混練機1に供給される。
【0008】
なお、このような飛灰混練機に関する先行技術文献は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
安定的なキレート化合物を得るためには、薬剤の添加率を一定に保たなければならないが、キレート剤には沈殿物を生成しやすい性質があり、この沈殿物が混練機への薬剤添加ノズルを詰まらせるため、保守に相当の手間がかかっていた。
【0010】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、混練機への注入配管の詰まりを簡単に防止できる飛灰混練機への重金属固定剤注入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、重金属安定化剤の供給槽から飛灰混練機への重金属安定化剤の注入配管に沈殿分離器を付加するものであり、沈殿分離器は上フランジと下フランジで閉塞される密閉体であるケーシングで、ポンプからの注入管である流入部は前記上フランジを貫通して下向きに設けられ、この流入部を取り囲むように穴を上下に複数設けた管体を前記上フランジと下フランジ間で前記ケーシングの内部を仕切るように上下方向に設置し、この管体を設けない場合に比較して流速を弱めることで沈殿分離器で凝固物を沈殿させることを要旨とするものである。
【0012】
請求項1記載の本発明によれば、沈殿分離器を設置して凝固物を取り除き、注入配管への凝固物の侵入を防ぐことで、閉塞させないようにすることができる。
【0013】
これまでの「どのように凝集を防ぐか」、「どのように配管の閉塞を検知するか」という視点を180°転換し、「そもそも、重金属固定剤とは固まるもの」という前提の元に、「どのように確実に凝集物を沈殿させ」、「どのように容易に系外に除去するか」に着目した、極めて柔軟な発想の成果物である。
【0014】
沈殿分離器は流入部を取り囲むように穴を上下に複数設けた管体を設置して、薬品の流れとしては凝固物が沈降し、きれいな薬品は上側に浮いて混練機に注入されるようになる。
【0015】
沈殿分離器は目の細かいメッシュのスクリーン等を用いたストレーナとは異なり、重金属固定剤の性質を考慮(高粘度の物質)して、目詰まりが少なく、清掃の必要性が少ないものである。
【0016】
請求項2記載の本発明は、上下に複数設ける穴は、上のものから下のものへと縮径することを要旨とするものである。
【0017】
請求項2記載の本発明によれば、上下に複数設ける穴は、上のものから下のものへと縮径するように穴のサイズと位置と数を工夫することで、凝固物が沈降してきれいな薬品が流れるものとなる。凝固物がうまく沈降しつつ、薬品の流量が確保できるようにするため、沈殿分離器の穴の数とサイズの選定を工夫したものである。
【0018】
請求項3記載の本発明は、飛灰混練機への重金属安定化剤の注入配管で、沈殿分離器からの注入配管は水平に左右に並んで左右のものを同じ高さになるようにしたことを要旨とするものである。
【0019】
請求項3記載の本発明によれば、従来は上下2股に注入配管が分かれており、下側の配管が特に閉塞しやすかったため、上下でなく左右に分けるようにしたもので、注入部も左右の並びとし、安定した流量を得ることが出来るようになる。
【発明の効果】
【0020】
以上述べたように本発明の飛灰混練機への重金属固定剤注入装置は、沈殿分離器を設置して凝固物を取り除き、注入配管への凝固物の侵入を防ぐことで、閉塞させないようにしたので、混練機への注入配管の詰まりを簡単に防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の飛灰混練機への重金属固定剤注入装置の概要を示す説明図である。
【図2】本発明で設置する沈殿分離器の1実施形態を示す縦断側面図である。
【図3】図2のA-A線矢視図である。
【図4】図2のB-B線矢視図である。
【図5】注入配管の配置を示す平面図である。
【図6】注入配管の配置を示す縦断側面図である。
【図7】従来例を示す説明図である。
【図8】混練機の側面図である。
【図9】混練機の平面図である。
【図10】図8のC線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の飛灰混練機への重金属固定剤注入装置の概要を示す説明図で、飛灰の混練処理を行う装置としては前記図7に示す従来例と同じである。
【0023】
先に飛灰混練機1を説明すると、円柱状のロッド数本を入れたドラム本体に強力な円運動を与え、ロッド間、ロッドとドラム間で原料に圧縮、衝撃やせん断などを与え混合・混練を行なう振動式や、通常2個のタイヤ状のホイールを円柱皿型パン内で円周方向に転がり運動を与え、ホイールとパン底部の間で圧縮やせん断などを与えるものであり、一般にマラーミキサーとして知られる回分式や、縦型円筒状容器の中に複数の特殊形状の回転羽根をある一定聞隔で上下方向に配置させ、それらの回転により原料に流動とせん断を与え混合する縦型撹拝羽根式や、2本の羽根付軸が互いに反対方向に回転する2軸スクリュ回転式などがあり、特に限定はないが、本実施形態では図8?図10に示すような2軸スクリュ回転式のものを使用している。
【0024】
まゆ型の断面を有する容器内に、2本の回転軸を横一列に並べ、それぞれの軸にスクリュとパドルを組込み、同一方向に等速で回転させる。容器の一端上部より供給された原料は、スクリュで混練ゾーンに送り込まれる。
【0025】
図中23は材料投入口、24は混練パドルを示す。
【0026】
混練パドル24のスクリュ及びパドルとも断面形状は、凸レンズ型をしている。スクリュは主に原料を混練部に送る役目をする。
【0027】
2本のシャフトに組込まれた左右一対のパドルは90度位相ずれており、一方のパドルの先端が他方のパドル側面をクリーニングするように、一定の微少な間隙を保ちながら、同一方向に回転する。したがって、投入された原料は、パドルと容器間、パドルやスクリュ相互間の非常にシビヤなセルフクリーニング作用により、遅滞しにくくピストンフローに近い状態で排出されていく。
【0028】
前記図7にも示すように、飛灰混練機1には、飛灰貯槽2から飛灰定量供給機3を介して飛灰が供給され、飛灰混練機1で混練された飛灰は灰バンカ4に排出される。
【0029】
また、重金属安定化剤貯槽5からは重金属安定化剤希釈槽6に、プラント用水(槽)7からの水とともに、ポンプ8を備えた配管で重金属安定化剤が供給され、重金属安定化剤希釈槽6に蓄えられた希釈された重金属安定化剤はポンプ8を備えた注入配管でノズル9より飛灰混練機1に供給される。
【0030】
本発明は、重金属安定化剤の供給槽(重金属安定化剤希釈槽6)から飛灰混練機1への重金属安定化剤の供給ノズル9の手前に沈殿分離器10を付加した。
【0031】
図2?図4に示すように、沈殿分離器10は縦型の円筒ケーシング12の内部で、流入部11となる注入管を取り囲むように、穴13を上下に複数設けた管体14を上下方向に設置した。
【0032】
図示省略するが、円筒ケーシング12は上フランジ15と下フランジ16で閉塞される密閉体であり、前記管体14はこの上フランジ15と下フランジ16間で円筒ケーシング12の内部を仕切るように設けた。
【0033】
また、上下に複数設ける穴13はこの管体14の上部に位置するものであり、かつ、上のものから下のものへと縮径させる。
【0034】
前記流入部11となる注入管は上フランジ15の中央を貫通し、その先端は管体14で穴13の配列よりも下に開口させる。
【0035】
さらに、沈殿分離器10からノズル9への注入配管17は円筒ケーシング12と管体14との間に注入口17aで開口し、この注入配管17は水平に左右に並んで円筒ケーシング12外にでてノズル9へ繋がるが、左右のものを同じ高さになるようにした。
【0036】
下フランジ16にはドレン管18、19を設け、ここに排出用バルブとしてのドレンバルブ20、21を配設した。このドレン管18、19は排水溝へと導かれる。
【0037】
次に使用法について説明すると、重金属安定化剤希釈槽6に蓄えられた希釈された重金属安定化剤はポンプ8を備えた注入配管でノズル9より飛灰混練機1に供給されるが、沈殿分離器10では流入部11で流速が弱まる。
【0038】
流速を弱めることで沈殿分離器10で凝固物22を沈殿させることができるもので、凝固物22が沈降し、きれいな薬品は上側に浮いて飛灰混練機1に注入される。
【0039】
凝固物22がうまく沈降しつつ、薬品の流量が確保できるようにするため、沈殿分離器の穴13の数とサイズを選定したものである。特に、穴13は上のものから下のものへと縮径させることで、安定性が向上した。
【0040】
また、凝固物22の重さにより、上下に並んだ注入配管17の下側の方が閉塞しやすいため、注入配管17も左右の並びとし、安定した流量を得ることが出来るようになった。
【0041】
さらに、沈殿物である凝固物22は下部のドレンバルブ20、21からホースで排水溝に簡単に排出できるようにし、清掃で直接薬品に触れることがなくなり、安全性の向上にもつながる。
【符号の説明】
【0042】
1…飛灰混練機 2…飛灰貯槽
3…飛灰定量供給機 4…灰バンカ
5…重金属安定化剤貯槽 6…重金属安定化剤希釈槽
7…プラント用水(槽) 8…ポンプ
9…ノズル 10…沈殿分離器
11…流入部 12…ケーシング
13…穴 14…管体
15…上フランジ 16…下フランジ
17…注入配管 17a…注入口
18、19…ドレン管 20、21…ドレンバルブ
22…凝固物 23…材料投入口
24…混練パドル
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重金属安定化剤の供給槽から飛灰混練機への重金属安定化剤の注入配管に沈殿分離器を付加するものであり、沈殿分離器は上フランジと下フランジで閉塞される密閉体であるケーシングで、ポンプからの注入管である流入部は前記上フランジを貫通して下向きに設けられ、この流入部を取り囲むように穴を上下に複数設けた管体を前記上フランジと下フランジ間で前記ケーシングの内部を仕切るように上下方向に設置し、この管体を設けない場合に比較して流速を弱めることで沈殿分離器で凝固物を沈殿させることを特徴とする飛灰混練機への重金属固定剤注入装置。
【請求項2】
上下に複数設ける穴は、上のものから下のものへと縮径する請求項1記載の飛灰混練機への重金属固定剤注入装置。
【請求項3】
飛灰混練機への重金属安定化剤の注入配管で、沈殿分離器からの注入配管は水平に左右に並んで左右のものを同じ高さになるようにした請求項1または請求項2記載の飛灰混練機への重金属固定剤注入装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2021-03-29 
結審通知日 2021-03-31 
審決日 2021-04-16 
出願番号 特願2019-137390(P2019-137390)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (B09B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中野 孝一  
特許庁審判長 須藤 康洋
特許庁審判官 細井 龍史
岩田 健一
登録日 2020-10-26 
登録番号 特許第6783908号(P6783908)
発明の名称 飛灰混練機への重金属固定剤注入装置  
代理人 久保 司  
代理人 久保 司  

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