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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B |
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管理番号 | 1375275 |
審判番号 | 不服2020-14366 |
総通号数 | 260 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-10-14 |
確定日 | 2021-07-06 |
事件の表示 | 特願2016-112663「X線CT装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月14日出願公開、特開2017-217137、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願(以下「本願」と記す。)は、平成28年(2016年)6月6日の出願であって、令和2年7月3日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、同年10月14日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出され、当審より令和3年3月3日付けで拒絶理由が通知され、これに対し同年5月7日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和2年7月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願の下記の請求項に係る発明は、下記の引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項1ないし6 ・引用文献1ないし3 引用文献等一覧 1.特開2015-213748号公報 2.特開2009-297284号公報 3.特開2003-275199号公報 第3 当審拒絶理由(令和3年3月3日付け拒絶理由)の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 理由1:(明確性)本件出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 理由2:(進歩性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、下記の引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項1ないし6 ・引用文献1ないし4 引用文献等一覧 1.特開2015-213748号公報(拒絶査定の引用文献1) 2.特開2015-213749号公報(新たに引用された文献) 3.特開2009-297284号公報(拒絶査定の引用文献2:周知技術を示す文献) 4.特開2003-275199号公報(拒絶査定の引用文献3:周知技術を示す文献) 第4 本願発明 本願請求項1ないし6に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、令和3年5月7日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし6は以下のとおりである。(下線は、請求人が付与したものであり、補正箇所を表している。) 「 【請求項1】 被検体を透過したX線を検出して投影データを収集する収集部と、 前記投影データから画像データを再構成する画像再構成部と、 前記画像データにおける前記被検体の複数の部位に係る位置情報を取得する取得部と、 仮想患者の複数の部位の各位置情報を有する仮想患者体型情報を記憶する記憶部と、 前記仮想患者の複数の部位のうち、前記画像データに含まれる複数の部位に対応する部位とは異なる部位であって操作者により指定された部位を選択する選択部と、 選択された部位が含まれるように、前記画像データの延長領域に相当する推定画像データを生成する生成部と、 前記推定画像データを用いて、前記画像データの撮影範囲が含まれない撮影範囲の設定を行う設定部と、 を備え、 前記生成部は、前記被検体の前記複数の部位の各位置情報が示す各位置に、前記仮想患者の複数の部位のうち前記被検体の前記複数の部位に対応する各部位が位置するように、前記仮想患者体型情報を変形させ、変形後の当該仮想患者体型情報のうち、前記異なる部位を含む部分を前記推定画像データとして生成する、 X線CT装置。 【請求項2】 前記設定部は、前記変形後の仮想患者体型情報を用いて、前記画像データの撮影範囲が含まれない撮影範囲の設定を行う、請求項1に記載のX線CT装置。 【請求項3】 前記画像データと前記推定画像データとを合成した合成画像データを表示部に表示させる表示制御部を更に備える、請求項1又は2に記載のX線CT装置。 【請求項4】 前記収集部は、位置決め画像の投影データ及び診断に用いる画像の投影データを収集し、 前記画像再構成部は、前記位置決め画像の投影データから複数の前記位置決め画像を再構成するとともに、前記診断に用いる画像の投影データから前記診断に用いる複数の画像を再構成し、 前記複数の位置決め画像のそれぞれに含まれる前記部位に係る位置情報と、前記診断に用いる複数の画像のそれぞれに含まれる前記部位に係る位置情報とに基づいて、前記診断に用いる他の画像と比較して前記被検体の位置又は向きがずれている診断に用いる画像を特定し、特定した画像について再度撮影を行うように報知する制御部を更に備える、請求項1?3の何れか1つに記載のX線CT装置。 【請求項5】 前記制御部は、前記特定した画像について再度の撮影により得られた画像と、前記他の画像とを同一のシリーズとして扱う、請求項4に記載のX線CT装置。 【請求項6】 前記画像データは、位置決め画像データ、診断に用いられるデータ、又は、位置決め画像データ及び診断に用いられるデータである、請求項1?3の何れか1つに記載のX線CT装置。」 第5 引用文献、引用発明等1.引用文献1について 原査定及び当審の拒絶理由に引用された特開2015-213748号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与した。以下同じ。) (1)「【技術分野】 【0001】 本発明の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT)及びスキャン計画設定支援装置に関する。」 (2)「【0005】 本発明が解決しようとする課題は、スキャン計画におけるスキャン範囲等の設定に関して設定精度、設定操作の利便性を向上することができるX線コンピュータ断層撮影装置及びスキャン計画設定支援装置を提供することである。」 (3)「【0015】 本実施形態のX線コンピュータ断層撮影装置は、ガントリ100を有する。ガントリ100は、円環状の回転フレーム102を有する。回転フレーム102は、架台駆動部107とともに回転機構を構成する。回転フレーム102は、架台駆動部107により駆動され回転軸RAを中心に回転する。回転フレーム102には、X線管装置101とX線検出器103とが対向搭載されている。スキャンに際してはX線管装置101とX線検出器103との間に寝台装置111の天板に載置された被検体が挿入される。天板は寝台装置111内に装備された図示しない駆動部によりその長手方向に沿って前後に移動される。 【0016】 X線管装置101は、高電圧発生装置109からスリップリング108を経由して管電圧の印加及びフィラメント電流の供給を受け、X線を発生する。X線検出器103は、被検体を透過したX線を検出し、入射X線の線量を反映した電気信号を出力する複数のX線検出素子を有する。複数のX線検出素子は、例えば320列×912チャンネルで配列されている。 【0017】 データ収集回路104は、X線検出器103から出力される信号を収集し、ディジタル信号(純生データと呼ばれる)に変換する。データ収集回路104には非接触データ伝送装置105を経由して前処理装置106に接続される。前処理装置106は、純生データに対して感度補正、対数変換等の処理をほどこし、投影データを発生する。投影データは記憶装置112に記憶される。」 (4)「【0020】 画像再構成部117は、従来の2次元の位置決め用画像の撮影と同程度の低線量X線によるスキャニングで収集する投影データに基づいて画像データを比較的低ノイズで再構成するために設けられる。画像再構成部117による再構成手法は、ノイズ低減に適用性の比較的高い任意の手法が用いられる。例えば、逐次近似法を応用した画像再構成法(逐次近似法応用画像再構成法)が用いられる。ここでは、画像再構成部117は、逐次近似法応用画像再構成法によりボリュームデータを再構成するものとして以下記載するが、上記の通り逐次近似法応用画像再構成法に限定されるものではない。 【0021】 画像再構成部117は、逐次近似応用再構成法によるアルゴリズムにより、記憶装置112に記憶された投影データに基づいて画像データ、ここではボリュームデータを再構成する。ボリュームデータは記憶装置112に記憶される。逐次近似応用再構成処理は、本スキャン前にそのスキャン計画に用いる位置決め用画像(断層像データ、ボリュームデータ)の再構成では必須に適用されるが、本スキャンにより収集する投影データに基づいて画像データ(断層像データ、ボリュームデータ)の再構成には後述する再構成処理部118が装備する他方式の再構成処理と選択的に適用される。」 (5)「【0065】 ここで、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、図12の(B)に示すように、位置決め用画像の範囲を超えた領域までスキャン範囲補助枠線が拡大されることで、位置決めスキャンによってスキャンされていない領域に対する本スキャンのスキャン範囲の設定が行われる。具体的には、スキャン制御部110は、第1のスキャン(位置決めスキャン)により取得された投影データに基づいて生成された投影画像の領域を超えた未スキャン領域に第2のスキャン(本スキャン)のスキャン範囲が設定された場合に、被検体における未スキャン領域に対応する領域を、当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像から取得し、取得した領域を含めたスキャン範囲のスキャンを実行するように制御する。すなわち、スキャン制御部110は、位置決めスキャンによってスキャンされていない領域に関する情報を、予め準備された仮想患者画像から取得して、スキャン範囲を設定する。」 (6)「【0066】 ここで、予め準備される仮想患者画像について説明する。仮想患者画像は、年齢、成人/子供、男性/女性、体重、身長などの体格などに関わるパラメータに関する複数の組み合わせにそれぞれ対応する複数のデータであり、記憶装置112によって記憶される。仮想患者画像は、対応する上記パラメータの組み合わせに応じた標準的な体格等を有する人体について、実際にX線で撮影した画像として予め用意される。人体には、パターン認識等の画像処理により、形態的特徴等に基づいて画像から比較的容易に抽出できる多数の解剖学的特徴点がある。これら多数の解剖学的特徴点の身体における位置や配置は、年齢、成人/子供、男性/女性、体重、身長などの体格等に従っておおよそ決まっている。各仮想患者画像に対してこれら多数の解剖学的特徴点が予め検出され、位置データがそれぞれの解剖学的特徴の識別コードとともに仮想患者画像のデータに付帯又は関連付けされて記憶される。」 (7)「【0067】 スキャンエキスパートシステム120は、被検体情報から年齢、成人/子供、男性/女性、体重、身長などの項目を抽出し、抽出した項目に従って記憶装置112に記憶されている複数の仮想患者画像から一の仮想患者画像を選択する。スキャン制御部110は、位置決めスキャンによってスキャンされていない領域に関する情報を、スキャンエキスパートシステム120によって選択された仮想患者画像から取得してスキャン範囲を設定する。ここで、スキャン範囲が設定される前に、位置決め用画像における解剖学的特徴点と仮想患者画像における解剖学的特徴点が照合されて、画像間の位置合わせが実行される。 【0068】 具体的には、まず、部位抽出処理部123が、形態的特徴などに基づくパターン認識等の画像処理によって、位置決め用画像から複数の解剖学的特徴点を抽出する。そして、部位抽出処理部123は、抽出した各解剖学的特徴点の位置データと、それぞれの解剖学的特徴の識別コードとを内部の記憶部に保持する。そして、部位抽出処理部123は、識別コードに基づいて、位置決め用画像の解剖学的特徴点と仮想患者画像上の複数の解剖学的特徴点との間で位置照合及び対応付けを実行する。具体的には、部位抽出処理部123は、位置決め用画像から抽出した解剖学的特徴点の識別コートと同じ識別コードが対応づけられた仮想患者画像上の解剖学的特徴点との照合を行う。以下、解剖学的特徴点の照合について説明する。」 (8)「【0075】 部位抽出処理部123は、被検体ごとに上記した座標変換行列を算出して、スキャン制御部110に供給する。スキャン制御部123は、部位抽出処理部123から受け付けた座標変換行列を用いることで、仮想患者画像上に設定されたスキャン範囲の座標を、位置決め用画像における座標(ガントリ100のスキャン空間内の座標)に変換することで、本スキャンのスキャン範囲を設定する。ここで、スキャンエキスパートシステム120は、位置決めスキャンにより取得された投影データに基づいて生成された投影画像の領域を超えた未スキャン領域に本スキャンのスキャン範囲が設定された場合に、本スキャンのスキャン範囲のおける未スキャン領域に対応する領域に、当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像を表示させる。」 (9)「【0077】 このように、位置決めスキャンにおいてスキャンされていない領域に対して仮想患者画像を表示させ、表示させた仮想患者画像に対してスキャン範囲が設定されると、スキャン制御部110は、仮想患者画像に含まれる解剖学的特徴点の座標に対して座標変換行列をかけることで位置決め用画像における座標(ガントリ100のスキャン空間内の座標)に変換し、変換した座標を含むように本スキャンのスキャン範囲を設定する。」 (10)「【図1】 」 (11)「【図12】 」 上記引用文献1の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「スキャン計画におけるスキャン範囲等の設定に関して設定精度、設定操作の利便性を向上することができるX線コンピュータ断層撮影装置及びスキャン計画設定支援装置において、 X線管装置101は、高電圧発生装置109からスリップリング108を経由して管電圧の印加及びフィラメント電流の供給を受け、X線を発生し、X線検出器103は、被検体を透過したX線を検出し、入射X線の線量を反映した電気信号を出力し、データ収集回路104は、X線検出器103から出力される信号を収集し、ディジタル信号(純生データと呼ばれる)に変換し、データ収集回路104は非接触データ伝送装置105を経由して前処理装置106に接続され、前処理装置106は、純生データに対して感度補正、対数変換等の処理をほどこし、投影データを発生し、投影データは記憶装置112に記憶され、画像再構成部117は、逐次近似応用再構成法によるアルゴリズムにより、記憶装置112に記憶された投影データに基づいて画像データ、ここではボリュームデータを再構成し、ボリュームデータは記憶装置112に記憶され、 仮想患者画像は、年齢、成人/子供、男性/女性、体重、身長などの体格などに関わるパラメータに関する複数の組み合わせにそれぞれ対応する複数のデータであり、記憶装置112によって記憶され、仮想患者画像は、対応する上記パラメータの組み合わせに応じた標準的な体格等を有する人体について、実際にX線で撮影した画像として予め用意され、各仮想患者画像に対してこれら多数の解剖学的特徴点が予め検出され、位置データがそれぞれの解剖学的特徴の識別コードとともに仮想患者画像のデータに付帯又は関連付けされて記憶され、 部位抽出処理部123が、形態的特徴などに基づくパターン認識等の画像処理によって、位置決め用画像から複数の解剖学的特徴点を抽出し、 スキャンエキスパートシステム120は、被検体情報から年齢、成人/子供、男性/女性、体重、身長などの項目を抽出し、抽出した項目に従って記憶装置112に記憶されている複数の仮想患者画像から一の仮想患者画像を選択し、スキャン制御部110は、位置決めスキャンによってスキャンされていない領域に関する情報を、スキャンエキスパートシステム120によって選択された仮想患者画像から取得してスキャン範囲を設定し、ここで、スキャン範囲が設定される前に、位置決め用画像における解剖学的特徴点と仮想患者画像における解剖学的特徴点が照合されて、画像間の位置合わせが実行され、 スキャン制御部110は、第1のスキャン(位置決めスキャン)により取得された投影データに基づいて生成された投影画像の領域を超えた未スキャン領域に第2のスキャン(本スキャン)のスキャン範囲が設定された場合に、被検体における未スキャン領域に対応する領域を、当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像から取得し、取得した領域を含めたスキャン範囲のスキャンを実行するように制御する、すなわち、スキャン制御部110は、位置決めスキャンによってスキャンされていない領域に関する情報を、予め準備された仮想患者画像から取得して、スキャン範囲を設定するものであり、 スキャン制御部110は、部位抽出処理部123から受け付けた座標変換行列を用いることで、仮想患者画像上に設定されたスキャン範囲の座標を、位置決め用画像における座標(ガントリ100のスキャン空間内の座標)に変換することで、本スキャンのスキャン範囲を設定し、ここで、スキャンエキスパートシステム120は、位置決めスキャンにより取得された投影データに基づいて生成された投影画像の領域を超えた未スキャン領域に本スキャンのスキャン範囲が設定された場合に、本スキャンのスキャン範囲における未スキャン領域に対応する領域に、当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像を表示させ、 このように、位置決めスキャンにおいてスキャンされていない領域に対して仮想患者画像を表示させ、表示させた仮想患者画像に対してスキャン範囲が設定されると、スキャン制御部110は、仮想患者画像に含まれる解剖学的特徴点の座標に対して座標変換行列をかけることで位置決め用画像における座標(ガントリ100のスキャン空間内の座標)に変換し、変換した座標を含むように本スキャンのスキャン範囲を設定する、 X線コンピュータ断層撮影装置及びスキャン計画設定支援装置。」 2.引用文献2について 当審の拒絶理由に引用された特開2015-213749号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の技術事項が記載されている。 (1)「【0036】 また、例えば、操作者が入力装置115を操作して、対象部位を指定するためのボタンを押下したり、仮想患者画像内の部位が指定(選択)されたりすると、ホストコントローラ110は、押下されたボタンの部位に対応する範囲、或いは、指定された部位に対応する範囲の情報をスキャン位置・範囲変換処理部124に送出する。ここで、部位に対応する範囲は、X線コンピュータ断層撮影装置が用いられる施設ごとに任意に決定することができる。一例を挙げると、心臓をスキャン対象部位とした場合に、施設Aでは体軸方向で心臓の上端及び下端がそれぞれスキャン開始線及びスキャン終了線となる範囲を心臓に対応する範囲として設定する。一方、施設Bでは体軸方向で心臓の上端から「5cm」上の位置をスキャン開始線とし、心臓の下端から「5cm」下の位置をスキャン終了線とした範囲を心臓に対応する範囲として設定する。このような部位と範囲との対応情報は、予め記憶装置112によって記憶され、部位が指定されると、ホストコントローラ110が、仮想患者画像に含まれる指定部位の座標を抽出して、対応情報をもとに座標情報を生成してスキャン位置・範囲変換処理部124に送出する。スキャン位置・範囲変換処理部124は、座標変換行列を用いて、受け付けた座標情報を位置決め画像における座標情報に変換することで、例えば、図8に示すように、心臓をスキャンするためのスキャン範囲R12を設定する。」 (2)「【0041】 図9Aは本実施形態に係るスキャン範囲分割の一例を説明するための図である。例えば、図9Aに示すように、スキャン対象部位として、「胸部」と「骨盤」が指定されると、スキャン位置・範囲変換処理部124は、仮想患者画像において「胸部」に対応するスキャン範囲R2の座標情報を、画像データにおけるスキャン範囲R21の座標情報に変換する。さらに、スキャン位置・範囲変換処理部124は、仮想患者画像において「骨盤」に対応するスキャン範囲R3の座標情報を、画像データにおけるスキャン範囲R31の座標情報に変換する。」 上記記載事項から、引用文献2には次の技術(以下「引用文献2開示技術」という。)が記載されていると認められる。 「部位を選択してスキャン範囲を設定する技術。」 3.引用文献3について 原査定及び当審の拒絶理由に引用された特開2009-297284号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の技術事項が記載されている。(1)「【0043】 なお、本撮影が行われると、コンソール部14では、プレ画像保存部36に保存されている、ステップS20で撮影したプレ画像を読み出して、これを本画像とを比較することが好ましい。そして、比較の結果、プレ画像と本画像とで位置ずれがあった場合は、位置ずれ量を算出し、表示部38に表示するなどして、オペレータにその旨を報知する。これにより、プレ撮影時に位置決めを行った後、本撮影までの間に被写体が動くことで、被写体の位置がプレ撮影時と異なってしまう場合にも、オペレータにその旨を通知することができ、正しい位置で再度本撮影を行うなどの対応をすることができる。 位置ずれ量の算出方法については特に限定はないが、例えば、プレ画像および本画像に対してエッジ検出を行い、さらに2つの画像の相違を自動的に検出することにより行えばよい。 これにより、プレ撮影時および本撮影時の被写体の撮影位置(ポジション)の一致性が保たれ、撮影工程のスループットが向上する。」 上記記載事項から、引用文献3には次の技術(以下「引用文献3開示技術」という。)が記載されていると認められる。 「被検体の位置ずれを報知して再撮影を促す技術。」 4.引用文献4について 原査定及び当審の拒絶理由に引用された特開2003-275199号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の技術事項が記載されている。 (1)「【0051】 (2) CT検査において、再スキャンのスライス位置を設定する方法CT検査において、撮影中に被検者が動いてしまった場合など何らかの原因により、特定のスライス位置のCT像だけにアーチファクトが表れることがある。そのような場合に、アーチファクトが表れたCT像と同じ位置のみを再度撮影する。このような撮影を再スキャンと呼ぶ。」 上記記載事項から、引用文献4には次の技術(以下「引用文献4開示技術」という。)が記載されていると認められる。 「X線CT装置において、一連のスライス撮影中に被検者が動いてしまった場合にアーチファクトが表れたCT像と同じ位置のみ再撮影を行い再撮影画像とその前に測定された画像を一連のスライス撮影として扱う技術。」 第6 当審拒絶理由(令和3年3月3日付け拒絶理由)についての判断 1.理由1について 当審拒絶理由の理由1は、 (理由1-ア)補正前の請求項1に係る発明における「前記仮想患者の複数の部位のうち、前記画像データに含まれる複数の部位に対応する部位とは異なる部位を選択する選択部」という発明特定事項の「仮想患者の」「部位を選択する」とは、どのような行為が含まれるのか、その外延が不明であることにより、補正前の請求項1に係る発明が不明であり、補正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項2ないし6が明確でない。 (理由1-イ)補正前の請求項1に係る発明における「選択された部位が含まれるように、前記画像データの延長領域に相当する推定画像データを生成する生成部」という発明特定事項の「推定画像データを生成する」とは、何から推定画像データができるのか、そのもととなるものが不明であり、どのように推定画像データが生成できるのか、不明であることにより、補正前の請求項1に係る発明が不明であり、補正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項2ないし6が明確でない。 (理由1-ウ)補正前の請求項1に係る発明における「前記推定画像データを用いて、前記画像データの撮影範囲が含まれない撮影範囲の設定を行う設定部」という発明特定事項の「撮影範囲の設定」とは、どのような設定であるのか、不明であることにより、補正前の請求項1に係る発明が不明であり、補正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項2ないし6が明確でない。というものである。 上記令和3年5月7日提出の手続補正書により、補正後の請求項1において、選択部が「前記仮想患者の複数の部位のうち、前記画像データに含まれる複数の部位に対応する部位とは異なる部位を選択する選択部」から「前記仮想患者の複数の部位のうち、前記画像データに含まれる複数の部位に対応する部位とは異なる部位であって操作者により指定された部位を選択する選択部」に限定され、さらに「前記生成部は、前記被検体の前記複数の部位の各位置情報が示す各位置に、前記仮想患者の複数の部位のうち前記被検体の前記複数の部位に対応する各部位が位置するように、前記仮想患者体型情報を変形させ、変形後の当該仮想患者体型情報のうち、前記異なる部位を含む部分を前記推定画像データとして生成する」という限定がなされた。 これにより、 (理由1-ア)の「仮想患者の」「部位を選択する」ことが「仮想患者の複数の部位のうち、前記画像データに含まれる複数の部位に対応する部位とは異なる部位であって操作者により指定された部位を選択する」ことであることが明確となり、 (理由1-イ)の「推定画像データを生成する」ことが「前記被検体の前記複数の部位の各位置情報が示す各位置に、前記仮想患者の複数の部位のうち前記被検体の前記複数の部位に対応する各部位が位置するように、前記仮想患者体型情報を変形させ、変形後の当該仮想患者体型情報のうち、前記異なる部位を含む部分を前記推定画像データとして生成する」ことであることが明確となり、 (理由1-ウ)の「撮影範囲の設定」が「前記被検体の前記複数の部位の各位置情報が示す各位置に、前記仮想患者の複数の部位のうち前記被検体の前記複数の部位に対応する各部位が位置するように、前記仮想患者体型情報を変形させ、変形後の当該仮想患者体型情報のうち、前記異なる部位を含む部分を前記推定画像データとして生成」された推定画像データを用いて、前記画像データの撮影範囲が含まれない範囲を設定する撮影範囲の設定であることが明確となった。 以上のことから、補正後の請求項1に係る発明である本願発明1は明確となり、本願発明1を引用する本願発明2ないし6も明確となった。 したがって、本願発明1ないし6に対する当審拒絶理由通知の理由1は解消された。 2.理由2について (1)本願発明1ないし6について 本願発明1ないし6は、上記「第4」に記載したとおりである。 (2)引用例 引用文献1ないし4及びその記載事項は、上記「第5」に記載したとおりである。(3)本願発明1について ア 対比 本願発明1を、引用発明1と比較する。 (ア)引用発明1の「X線コンピュータ断層撮影装置及びスキャン計画設定支援装置」は、本願発明1の「X線CT装置」に相当する。 (イ)引用発明1では、「X線検出器103は、被検体を透過したX線を検出し、入射X線の線量を反映した電気信号を出力し、データ収集回路104は、X線検出器103から出力される信号を収集し、ディジタル信号(純生データと呼ばれる)に変換し、データ収集回路104は非接触データ伝送装置105を経由して前処理装置106に接続され、前処理装置106は、純生データに対して感度補正、対数変換等の処理をほどこし、投影データを発生」することから、引用発明1の「X線検出器103」と「データ収集回路104」と「非接触データ伝送装置105」と「前処理装置106」は、本願発明1における「被検体を透過したX線を検出して投影データを収集する収集部」に相当する。 (ウ)引用発明1では「画像再構成部117は、逐次近似応用再構成法によるアルゴリズムにより、記憶装置112に記憶された投影データに基づいて画像データ」「を再構成」することから、引用発明1の「画像再構成部117」は、本願発明1の「投影データから画像データを再構成する画像再構成部」に相当する。 (エ)引用発明1の「位置決め画像」は、「画像データ」から生成される画像であるから、本願発明1の「画像データ」に相当する。 (オ)引用発明1の「形態的特徴などに基づくパターン認識等の画像処理によって、位置決め用画像から複数の解剖学的特徴点を抽出」する「部位抽出処理部123」は、本願発明1の「画像データにおける前記被検体の複数の部位に係る位置情報を取得する取得部」に相当する。 (カ)引用発明1では「仮想患者画像は、対応する上記パラメータの組み合わせに応じた標準的な体格等を有する人体について、実際にX線で撮影した画像として予め用意され、各仮想患者画像に対してこれら多数の解剖学的特徴点が予め検出され、位置データがそれぞれの解剖学的特徴の識別コードとともに仮想患者画像のデータに付帯又は関連付けされて記憶され」ることから、引用発明1の「仮想患者画像」と「それに関連付けされて記憶され」た「これら多数の解剖学的特徴点」の「位置データ」は、本願発明1の「仮想患者の複数の部位の各位置情報を有する仮想患者体型情報」に相当する。 (キ)引用発明1では「各仮想患者画像に対してこれら多数の解剖学的特徴点が予め検出され、位置データがそれぞれの解剖学的特徴の識別コードとともに仮想患者画像のデータに付帯又は関連付けされて」「記憶装置112によって記憶され」ることから、引用発明1の「記憶装置112」は本願発明1の「仮想患者の複数の部位の各位置情報を有する仮想患者体型情報を記憶する記憶部」に相当する。 (ク)引用発明1の「標準的な体格等を有する人体について、実際にX線で撮影した画像」である「仮想患者画像」は、被検体から得られた画像ではないから本願発明1における「推定画像データ」に相当する。 (ケ)引用発明1の「位置決めスキャンにより取得された投影データに基づいて生成された投影画像の領域を超えた未スキャン領域に本スキャンのスキャン範囲が設定された場合に、本スキャンのスキャン範囲における未スキャン領域に対応する領域に、当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像を表示させ」る「スキャンエキスパートシステム120」は、本願発明1における「画像データの延長領域に相当する推定画像データを生成する生成部」に相当する。 (コ)引用発明1では「位置決めスキャンにおいてスキャンされていない領域に対して仮想患者画像を表示させ、表示させた仮想患者画像に対してスキャン範囲が設定されると、スキャン制御部110は、仮想患者画像に含まれる解剖学的特徴点の座標に対して座標変換行列をかけることで位置決め用画像における座標(ガントリ100のスキャン空間内の座標)に変換し、変換した座標を含むように本スキャンのスキャン範囲を設定する」ことから、引用発明1の「スキャン制御部110」は本願発明1の「推定画像データを用いて、」「画像データの撮影範囲が含まれない撮影範囲の設定を行う設定部」に相当する。 すると、本願発明1と、引用発明1とは、次の点で一致する。 <一致点> 「被検体を透過したX線を検出して投影データを収集する収集部と、 前記投影データから画像データを再構成する画像再構成部と、 前記画像データにおける前記被検体の複数の部位に係る位置情報を取得する取得部と、 仮想患者の複数の部位の各位置情報を有する仮想患者体型情報を記憶する記憶部と、 前記画像データの延長領域に相当する推定画像データを生成する生成部と、 前記推定画像データを用いて、前記画像データの撮影範囲が含まれない撮影範囲の設定を行う設定部と、 を備える、X線CT装置。」 一方で、両者は、次の点で相違する。 <相違点> 画像データの延長領域に相当する推定画像データを生成する生成部において、本願発明1では、「前記仮想患者の複数の部位のうち、前記画像データに含まれる複数の部位に対応する部位とは異なる部位であって操作者により指定された部位を選択する選択部」を備え「前記被検体の前記複数の部位の各位置情報が示す各位置に、前記仮想患者の複数の部位のうち前記被検体の前記複数の部位に対応する各部位が位置するように、前記仮想患者体型情報を変形させ、変形後の当該仮想患者体型情報のうち、前記異なる部位を含む部分を前記推定画像データとして生成する」のに対し、引用発明1では、「第1のスキャン(位置決めスキャン)により取得された投影データに基づいて生成された投影画像の領域を超えた未スキャン領域に第2のスキャン(本スキャン)のスキャン範囲が設定された場合に、被検体における未スキャン領域に対応する領域を、当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像から取得し」て「当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像を表示させ」る点。 イ 判断 上記相違点について判断する。 引用発明1では、「第1のスキャン(位置決めスキャン)により取得された投影データに基づいて生成された投影画像の領域を超えた未スキャン領域に第2のスキャン(本スキャン)のスキャン範囲が設定された場合に、被検体における未スキャン領域に対応する領域を、当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像から取得し」て「当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像を表示させ」「表示させた仮想患者画像に対してスキャン範囲が設定されると、スキャン制御部110は、仮想患者画像に含まれる解剖学的特徴点の座標に対して座標変換行列をかけることで位置決め用画像における座標(ガントリ100のスキャン空間内の座標)に変換し、変換した座標を含むように本スキャンのスキャン範囲を設定する」ことを行っている。 ここで、引用発明1では、「第1のスキャン(位置決めスキャン)により取得された投影データに基づいて生成された投影画像の領域を超えた未スキャン領域に第2のスキャン(本スキャン)のスキャン範囲が設定され」るものであり、未スキャン領域に含まれ、第2のスキャン(本スキャン)のスキャン範囲に設定された領域には、何かしらの被検体の部位が含まれることは、当業者にとって自明である。 そして、引用発明1では、「被検体における未スキャン領域に対応する領域を、当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像から取得し」て「当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像を表示させ」ていることから、設定される「第2のスキャン(本スキャン)のスキャン範囲」であって「第1のスキャン(位置決めスキャン)により取得された投影データに基づいて生成された投影画像の領域を超えた未スキャン領域」には、「第1のスキャン(位置決めスキャン)により取得された投影データに基づいて生成された投影画像」に含まれる被検体の部位とは異なる部位が存在し、その部位を含むように「当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像から取得し」て「当該未スキャン領域に対応する仮想患者画像を表示させ」ている。 ここで、引用発明1における、第2のスキャン(本スキャン)のスキャン範囲の設定は、その範囲に含まれる被検体の部位をスキャンするために範囲で設定しているものであり、スキャンしたい部位を範囲で指定するか、部位を選択して指定するかは、当業者が適宜選択しうる事項であり、部位を選択してスキャン範囲を設定する技術は、引用文献2開示技術として本願出願前に公知であることから、引用発明1における第2のスキャン(本スキャン)のスキャン範囲の設定を範囲設定ではなく部位設定に変更することは、当業者ならば容易になしえたことである。 しかしながら、上記相違点に係る本願発明1の「前記被検体の前記複数の部位の各位置情報が示す各位置に、前記仮想患者の複数の部位のうち前記被検体の前記複数の部位に対応する各部位が位置するように、前記仮想患者体型情報を変形させ、変形後の当該仮想患者体型情報のうち、前記異なる部位を含む部分を前記推定画像データとして生成する」という構成は、引用文献2ないし4開示技術とも異なるものであり、上記引用文献1-4には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。 そして、本願発明1は上記構成を備えることにより、位置決め画像の範囲外に存在する部位を含む撮影範囲の設定を操作者に容易に行わせることができるという格別の効果を奏するものである。 したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明1及び引用文献2ないし4開示技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (4)本願発明2ないし6について 本願発明2ないし6も、本願発明1の「前記被検体の前記複数の部位の各位置情報が示す各位置に、前記仮想患者の複数の部位のうち前記被検体の前記複数の部位に対応する各部位が位置するように、前記仮想患者体型情報を変形させ、変形後の当該仮想患者体型情報のうち、前記異なる部位を含む部分を前記推定画像データとして生成する」と同一の構成を備えるものであるから、上記「(3)」で検討したとおり、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2ないし4開示技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (5)小括 以上のことから、補正後の請求項1に係る発明である本願発明1は、引用文献1ないし4に記載された発明及び技術から当業者が容易に発明できたものであるとはいえず、本願発明1を引用する本願発明2ないし6も同様に引用文献1ないし4に記載された発明及び技術から当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 したがって、本願発明1ないし6に対する当審拒絶理由通知の理由2は解消された。 第7 原査定についての判断 令和3年5月7日提出の手続補正書による手続補正により、補正後の請求項1ないし6は、「前記被検体の前記複数の部位の各位置情報が示す各位置に、前記仮想患者の複数の部位のうち前記被検体の前記複数の部位に対応する各部位が位置するように、前記仮想患者体型情報を変形させ、変形後の当該仮想患者体型情報のうち、前記異なる部位を含む部分を前記推定画像データとして生成する」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献である引用文献1、3及び4には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1ないし6は、当業者であっても、原査定における引用文献である引用文献1、3及び4に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-06-16 |
出願番号 | 特願2016-112663(P2016-112663) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(A61B)
P 1 8・ 121- WY (A61B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山口 裕之 |
特許庁審判長 |
森 竜介 |
特許庁審判官 |
▲高▼見 重雄 伊藤 幸仙 |
発明の名称 | X線CT装置 |
代理人 | 特許業務法人虎ノ門知的財産事務所 |