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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F21L
管理番号 1375552
審判番号 不服2020-16507  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-01 
確定日 2021-07-16 
事件の表示 特願2019-105873号「伸縮自在の誘導灯」拒絶査定不服審判事件〔令和3年1月21日出願公開、特開2021-7067号、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和1年6月6日の出願であって、令和2年2月7日付けで拒絶理由が通知され、同年4月7日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月12日付けで拒絶理由が通知され、同年7月16日に意見書が提出されたが、同年8月31日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)され、これに対して、同年12月1日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1
・引用文献等 1-3、6-7

・請求項 2-12
・引用文献等 1-4、6-7

・請求項 13
・引用文献等 1-7

[刊行物等]
1.特開昭63-76201号公報
2.特開平11-86601号公報
3.特開2004-253345号公報
4.特開2000-123603号公報
5.特表2011-523192号公報
6.特開2001-101901号公報
7.特開2001-184901号公報

第3 本願発明
本願の請求項1?13に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」?「本願発明13」という。)は、令和2年12月1日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定される次のとおりの発明である。
「 【請求項1】
把持部を兼ねた光源部と、前記光源部からの光が連通するように前記光源部に装着される発光部とを有してなる誘導灯であって、
前記発光部は、長尺かつ中空の錘台形状を有する複数の発光管の組み合わせからなり、前記発光管のテーパー構造によって、複数の前記発光管の上段側発光管と下段側発光管とが相互に入れ子状に収容されて収縮し、かつ、伸張可能に連結されるように構成され、
伸張時においては、前記上段側発光管の底部と前記下段側発光管の頂部との嵌合によって連結されることによって、発光部の伸張構造が保持されるようにしてなり、
前記光源部は、パルス状の光照射を行うことができ、その際のパルス周波数が40?100Hzであり、かつ、デューティ比が15?60%であることを特徴とする、発光部が軸線方向に伸縮自在の誘導灯。
【請求項2】
前記発光管が、円錐台形状または角錐台形状を有する、請求項1に記載の誘導灯。
【請求項3】
前記角錐台形状が三角錐台である、請求項2に記載の誘導灯。
【請求項4】
前記発光管が光透過性材料からなる、請求項1?3のいずれか一項に記載の誘導灯。
【請求項5】
前記光源部がLED光源を含んでなる、請求項1?4のいずれか一項に記載の誘導灯。
【請求項6】
前記発光管が、水抜き孔を有する、請求項1?5のいずれか一項に記載の誘導灯。
【請求項7】
前記発光管の数が、2?5本である、請求項1?6のいずれか一項に記載の誘導灯。
【請求項8】
前記発光管の数が、2?3本である、請求項1?6のいずれか一項に記載の誘導灯。
【請求項9】
前記発光管の錘台形状の底面と側面のなす角度が、89.5°?89°である、請求項1?8のいずれか一項に記載の誘導灯。
【請求項10】
前記発光管の錘台形状の底面と側面のなす角度が、89.8°?88°である、請求項1?8のいずれか一項に記載の誘導灯。
【請求項11】
前記発光管の光透過性材料が、35%?95%の全光透過率を有する、請求項4に記載の誘導灯。
【請求項12】
前記発光管の光透過性材料が、50%?90%の全光透過率を有する、請求項4に記載の誘導灯。
【請求項13】
前記発光管の内壁面が光散乱するように処理されているか、または前記発光管中に光散乱物質を含有する、請求項1?12のいずれか一項に記載の誘導灯。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様である。)。
(1a)
「2.特許請求の範囲
(1) 懐中電灯に取り付けるための折りたたみ可能な棒状投光器において、複数個の重なり合う半透明の円筒形の管部分からなる入れ子管組立体を備え、前記管部分の最も外側の管部分は前記懐中電灯の投光端部に取外すことができるように装着可能であり、さらに、前記入れ子管組立体を引つ込めたときに該入れ子管組立体を保持するために前記の最も外側の管部分に枢着された棒を備えたことを特徴とする折りたたみ可能な棒状投光器。」(1ページ左下欄4?13行)
(1b)
「本発明は、レクリエーシヨンおよび安全確保のために手で保持する投光装置に関し、かつ特にスポーツ競技において陸上、海上または空の交通整理のためにまたは信号の補助用として観客により使用することができまたは七色捧または投光器(LIGHT SWORD )のような子供の玩具として使用できる棒状投光器に関する。」(2ページ左上欄13?19行)
(1c)
「本発明によれば、棒状投光器は、懐中電灯の電球の端部に取り付けるように設計された入れ子管組立体からなり、この入れ子管組立体は高視度を有する細長い棒状投光器として使用するために延長可能でありかつ使用しないときに格納しかつ携帯するために引つ込み可能になっている。投光装置または該投光装置を取り付けた懐中電灯に取り付けられた枢動棒は、入れ子管組立体を一たん引込み位置に配置すると、入れ子管組立体の前方に振り動かして管部分をその位置に固定することができる。さらに好ましい特徴は、コンパクトに縮めた管組立体を受け入れるサイズの格納シリンダを含んでいる。この格納シリンダは、懐中電灯の後端部に装着することができる。また、懐中電灯の後端部または格納シリンダに設けたクリツプにより、投光装置の運搬を容易にするために、投光装置をベルト、ベルトの環または布製のその他の物品に取り付けることができる。」(2ページ左上欄20行?同ページ右上欄17行)
(1d)
「発明の詳細な説明
第1図に示す実施例は、投光端部12および後端部13を有する懐中電灯11を含む。投光端部12には、外側ねじ14が形成されている。これは、レンズを取り外した慣用の懐中電灯であつてもよい。その理由は、最も普通の型式の懐中電灯においては、レンズが電球を装着した懐中電灯の端部にねじ込まれたリングに装着されるからである。また、この図に示した懐中電灯は、スイツチ15、宣伝用商標文字16および後端部のリング17を有している。ベルト、ベルトの環または布製のあるその他の物品に取り付け可能なクリツプ18をリング17に結合することができる。また、別の態様として、ベルトクリツプ19を最も外側の管部分22の外側に固定することができる。いずれの型式にしても、懐中電灯を便利に携帯することができる。」(2ページ右上欄18行?同ページ左下欄14行)
(1e)
「入れ子管組立体20は、懐中電灯11の投光端部12に取り付けられるように示してある。この入れ子管組立体20内には、着色レンズ(図示せず)を挿入するように含めることができる。入れ子管組立体20は、2個またはそれ以上の重なり合う管部分21により構成されている。管部分21は、入れ子管組立体20を伸張したときの分離を阻止するために僅かにテーパがつけられているけれども全体として円筒形の形状を有している。
・・・
最も外側の管部分22の外側には、枢動棒、すなわち、枢動ループ25が装着されている。入れ子宮管組立体20を引つ込めて管部分21を互いに内側に十分に嵌合させたときに、枢動棒25を最も外側の管部分21の端部26上に配置するように回動して再び格納、運搬および取扱いのために所定位置に保持することができる。」(2ページ左下欄15行?3ページ左上欄5行)
(1f)
図1、図2は、以下のとおりである。

(2)引用文献1に記載された発明

摘記(1a)の「複数個の重なり合う半透明の円筒形の管部分からなる入れ子管組立体を備え、前記管部分の最も外側の管部分は前記懐中電灯の投光端部に取外すことができるように装着可能であ」るという記載と、摘記(1e)の「最も外側の管部分22」、「2個またはそれ以上の重なり合う管部分21」という記載から、「複数個の重なり合う半透明の円筒形の管部分」は、「最も外側の管部分22」と「重なり合う管部分21」とを含んでおり、「複数個の重なり合う半透明の円筒形の管部分」は、「複数個の重なり合う半透明の円筒形の管部分21、22」として、「前記管部分の最も外側の管部分」は、「前記管部分21,22の最も外側の管部分22」として、それぞれ特定できる。
このことと、図1、図2を参照すると、「最も外側の管部分22」も、「管部分21」と同様に、「管部分21」が備える「入れ子管組立体20を伸張したときの分離を阻止するために僅かにテーパがつけられている」構成を有していることが、明らかである。

摘記(1a)の「最も外側の管部分に枢着された棒」は、摘記(1e)の「枢動棒25」を意味していることが明らかであるから、「最も外側の管部分に枢着された棒25」として特定できる。

摘記(1a)の「懐中電灯11に取り付けるための折りたたみ可能な棒状投光器」及び「折りたたみ可能な棒状投光器」は、いずれも、棒状投光器を特定しているものであるが、摘記(1e)の「入れ子管宮管組立体20は、懐中電灯11の投光端部12に取り付けられるように示してある。」という記載及び図1、図2の記載等を参照すると、いずれも、懐中電灯11と棒状投光器との一体物、すなわち、「懐中電灯11に取り付けられた折りたたみ可能な棒状投光器」として特定できる。

上記ア?ウ、摘記(1a)?(1e)及び図1、図2(摘記(1f)参照)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]
「懐中電灯11に取り付けられた折りたたみ可能な棒状投光器において、複数個の重なり合う、入れ子管組立体20を伸張したときの分離を阻止するために僅かにテーパがつけられている、半透明の円筒形の管部分21,22からなる、入れ子管組立体20を備え、前記管部分21,22の最も外側の管部分22は前記懐中電灯11の投光端部12に取外すことができるように装着可能であり、さらに、前記入れ子管組立体20を引っ込めたときに該入れ子管組立体20を保持するために前記の最も外側の管部分22に枢着された棒19を備えた、交通整理のために使用することができる、懐中電灯11に取り付けられた折りたたみ可能な棒状投光器。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(2a)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、夜間の交通取り締まりや道路工事現場、駐車場等の指示、案内等に使用する合図灯に関するものであり、詳細には、単三電池を使用した小型且つ軽量のLED合図灯に関するもので、一つの光源を利用し、点滅回路をパルス点灯とすることによって小型且つ軽量で長寿命の合図灯を提供するものである。
・・・
【0015】詳細には、小型でスリムにするために、導光手段を用い一つの導光手段に一つのLEDだけで透光筒部を点灯させており、特に点灯時に、パルス点灯させた残像効果を利用しているので、低消費電力化を実現している。」
(2b)
「【0017】
【発明の実施の形態】図1に示す本発明の第一実施例の合図灯は、円筒状の本体1で形成されており、透光筒部18と握持部19とにわかれている。握持部19には、握持カバ-14が取り付けられている。
【0018】本体1の先端には、トップキャップ11が取り付けられている。トップキャップ11は、内側中央に円形の凹部20が形成されており、透光筒部18に内在されている透明な導光棒12の端部が固定されている。また、該透光筒部18の内周面には、プリズムシ-ト13が設けられている
【0019】該透明な導光棒12のもう片方の端部は、LED16と共にLEDホルダ-10によって固定されている。LED16は、導光棒12の同軸上に透光筒部先端方向に向かって配置されている。
【0020】前記導光棒12は、複数の溝が部分的に全周にカットされているV字溝群23が形成されている。LED16の光は、導光棒12の端面から入射し、図1に示すような光路で、棒の表面からは、臨界角を超えて全反射しながら進み、環状のV字溝群23内で屈折、反射及び透過され棒円周上に発光視認させながら先端まで届いている。
【0021】LEDホルダ-10は、小径円筒部からなるLED固定部21と大径円筒部からなる導光棒固定部22で形成されている。
【0022】6は、スライドスイッチである。3は、スイッチ接触ケ-スでありスイッチ端子7と電池端子を接合するものである。4は、電池ケ-ス押さえ板であり電池ケ-ス5がぬけないように、しかっり固定するためのものである。2は、蓋であり、電池ケ-ス5に単三電池を収納後にスイッチ接触ケ-ス3と電池押さえ板4をしっかり圧接固定している。該蓋2には、釣りひも15が取付けられている。
【0023】9は、点滅回路部でありプリント基板端部にLEDホルダ10が、LED16と共に配置されている。点滅回路部9の電池用スプリング8が電池ケ-ス5と共に設けられ、単三電池2個が収納されている。
【0024】点滅回路9は、図3に示すようにパルス点灯の時間T1がON状態、T2がOFF状態であり、且つON状態のT1は更にパルスにより点滅を行なっており、残像現象を利用してT1は点灯を継続しているように見せている。この構成により単三電池を使用した場合の電池の電力消費を小さくしている。
【0025】次に図2に示す本発明の第二実施例の合図灯について説明する。円筒状の透光筒部18と握持部19とそれらを連接する連接部24とから形成されている合図灯である。
【0026】合図灯の内部構成は、実施例一と略同様である。異なる点は、連接部24を設けて、連接部24のなかに点滅回路部9を収納固定し、更に、連接部24にプッシュスイッチ部25を設けた点である。」
(2c)
「【0035】本発明の合図灯では、高輝度LEDと導光棒の採用により視認性も良好で、単三電池を使用しても電池寿命を十分満足できる合図灯を提供できるものである。更に、重量も従来約350gであったのが150gと軽量になった。」
(2d)
図2、図3は、以下のとおりである。

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3a)
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光装置に関し、特に、揺動などユーザの操作によって発光色が変化する機能を備えた発光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コンサートやパレード等のイベントにおいて、ペン形状のライト等の発光機能を持つアイテムをそれぞれ所持し、そのペン形状のライトを発光させて揺動させることにより、ステージ上やパレードのフロート上の人物やキャラクターとの一体感を醸成することがよくある。ところが、一般的なペン形状のライトでは、単色の発光であって変化に乏しいという問題があった。
・・・
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な構成でありながら、静止状態と揺動状態での発光色が変化する発光装置を提供することである。」
(3b)
「【0011】
図2は、第1の実施の形態で、前述のパルス制御部5からのパルスをドライバ制御部4で変調した一例を示すタイミングチャートである。図2において、赤色LED1R、緑色LED1G、青色LED1Bは、それぞれ同一の周波数(周期)、同一のパルス幅、デューティ比で、位相が異なるパルスにより発光駆動されている。このように駆動されることにより、ある瞬間にはいずれかのLEDのうちのいずれかが点灯状態で他の2つが消灯状態になっている。このパルスを高周波で駆動すると、発光装置を静止させた状態では、残像現象によりみかけ上は白色点灯されて観察することができる。一方、発光装置を揺動させると、空間での位置が刻々変化するため、残像としては赤緑青(RGB)の原色が順次連続的に観測されることになる。したがって、みかけ上は赤緑青(RGB)が連続的に変化していくようにみえ、非常に楽しい発光を得ることができる。
・・・
【0013】
図4は、第3の実施の形態で、前述のパルス制御部5からのパルスをドライバ制御部4で変調した他の例を示すタイミングチャートである。図4において、緑色LED1G、青色LED1Bは、図2の場合と同様にそれぞれ同一の周波数(周期)、同一のパルス幅、デューティ比で、位相が異なるパルスにより発光駆動されている。一方、赤色LED1Rは、緑色LED1G及び青色LED1Bと、同一の周波数であるが、パルス幅を大きくデューティ比を変調したパルスで駆動される。このように駆動することにより、図2の場合とは異なり、赤色LED1R、赤色LED1Rと緑色LED1G、青色LED1Bという順に点灯され、揺動状態ではみかけ上の残像の色を変化させることができ、より楽しい発光を得ることができる。
【0014】
もちろん、パルスのパターンはこれらの例に限られるものではなく、周波数(周期)、パルス幅、デューティ比、位相等を適宜組合せて所望の発光状態となるように、設定することが可能である。
【0015】
図5は、第4の実施の形態で、前述のパルス制御部5からのパルスをドライバ制御部4で変調した他の例を示すタイミングチャートである。図5において、緑色LED1G、青色LED1Bは、赤色LED1Rは、周期は同一で4値の階調を有する多値信号により発光駆動されている。それぞれの多値信号の位相はずらせてあり、例えばタイミングチャート初期の状態においては、赤色LED1Rに対して0%から100%まで出力信号を増加させていく一方、緑色LED1Gはオフ状態とされ、青色LEDに対して100%から0%まで出力信号を減少させていく制御を行っている。
【0016】
この期間においては時間とともに赤色LED1Rと青色LEDに印加される駆動信号が変化するので全体としての発光の色相が順次青色から赤色へ変化し、細かい色相の変化を達成することができる。併せて、緑色LED1Gの発光タイミングと印加信号のレベルも変化させていくことで、中間色を含めたさまざまな色相の変化を実現することが可能となる。例えば、1色の周期が0.656ms、全体で23.616msの周期とする、言い換えれば42Hzで駆動することにより、色の周期を赤_黄_緑_空_青_紫_(始)で、1色辺り6段階とすることができる。この実施形態では42Hzで駆動しているがこれに限られず、40Hzから60Hz程度の周波数で駆動すると、色相の変化がほぼ揺動に対応するので望ましい。なお、この第4の実施の形態では、周期、デューティ比は同一で、位相を変化させた場合を示したが、上述の第1乃至第3の実施の形態で示した技術を組合せて周期やデューティ比等の変調と組合せてもよい。
【0017】
なお、各実施形態の発光装置は、ペン形状のライトや、スティック状の玩具や携帯電話の着信通知ライト等、あらゆる手持ち可能な物品に適用可能である。そして、これらの物品に適用することにより、物品を保持している者が物品を揺動させることにより、揺動に応じて虹のごとく色相が変化する楽しい物品を提供することが可能となる。」
(3c)
図4は、以下のとおりである(なお、図5は記載されていない。)。

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている。
(4a)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば工事現場などにおいて車両を誘導するために用いられる合図灯に関する。
・・・
【0008】したがって本発明の目的は、使用状態に対応して使い分けが可能であり、かつ携帯性が良好であり、利便性が向上される合図灯を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、軸線方向に伸縮自在な棒状体と、棒状体の軸線方向に間隔をあけて設けられる複数の発光体とを含むことを特徴とする合図灯である。」

5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
(5a)
「【0001】
本発明は、照明源に関し、より詳しくは、フラッシュライト機能及びグロースティック機能を有する照明源に関するものである。
・・・
【0003】
照明装置は、単一の装置で多くの用途を果たすことができるように多機能性を有していることが望ましい。従って、2つの用途を果たす照明を実現するために、フラッシュライトとグロースティックのようなランタンとを組み合わせた多用途照明装置が必要となる。
・・・
【0016】
ボタンを押す(1回目のボタン操作)→フラッシュライトLED34がオン
次に、ボタンを押す(2回目のボタン操作)→フラッシュライトLED34がオフ及びグロースティックLED36がオン
次に、ボタンを押す(3回目のボタン操作)→グロースティックLED36が非常灯のように点滅
次に、ボタンを押す(4回目のボタン操作)→グロースティックLED36がオフ
次に、ボタンを押す(5回目のボタン操作)→フラッシュライトLED34がオン
以下繰り返し」

6 引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。
(6a)
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、明るさを調整できる携帯用のライトに関する。
・・・
【0010】本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、発光ダイオードを点滅するデューティー比と周期のいずれかまたは両方を調整することにより、光源の発光輝度を用途に最適な明るさとして、電池を長く使用でき、さらにまた、必要ならば光源の点滅周期を長くすることによって、警告用または識別用としてよく目だつ信号器としても使用できるように設計できる携帯用のライトを提供することにある。」
(6b)
「【0029】輝度周期切換スイッチ5がを0.022μFのコンデンサー11をオペアンプ10に接続するとき、図5の(b)に示すように、パルス幅が10m秒で周期が30m秒の矩形波を出力する。このため、この矩形波がベースに入力される点滅スイッチ3であるトランジスターは、10m秒間のオン、20m秒間のオフを繰り返して、発光ダイオード1を点滅させる。この周期で点滅する発光ダイオード1も、肉眼ではほぼ連続する状態に見える。発光ダイオード1が点滅するデューティー比は約33%となるので、1000pFのコンデンサー11を接続する状態に比較すると多少発光する。ただし、発光ダイオード1に連続して通電する状態に比較すると暗くなる。
【0030】輝度周期切換スイッチ5がを2.2μFのコンデンサー11をオペアンプ10に接続するとき、図5の(c)に示すように、パルス幅が500m秒で周期が1秒の矩形波を出力する。このため、この矩形波がベースに入力される点滅スイッチ3であるトランジスターは、500m秒間のオン、500m秒間のオフを繰り返して、発光ダイオード1を点滅させる。この周期で点滅する発光ダイオード1は、周期が長いので肉眼では点滅する状態に見える。
【0031】人間の目は、発光ダイオード1が点滅する周期が約30m秒よりも早いと、連続して点灯している状態に見え、これよりも周期が長くなると、点滅する状態として観察される。したがって、発振回路4は、出力する矩形の周期を、この周期よりも短くして、連続して点灯して見えるようにでき、また、この周期よりも長くして発光ダイオード1が点滅するように観測される。
【0032】
【発明の効果】本発明の携帯用のライトは、発光ダイオードを点滅するデューティー比と周期のいずれかまたは両方を調整して、光源の発光輝度を用途に最適な明るさとし、また、電池を長く使用できる特長がある。それは、本発明の携帯用のライトが、光源として発光色が異なる複数の発光ダイオードを備えると共に、この発光ダイオードをオンオフに切り換える点滅スイッチで点滅し、さらに、発振回路が点滅スイッチをオンオフに切り換えるデューティー比と周期のいずれかまたは両方を輝度周期切換スイッチで切り換えて、発光輝度を最適値に調整するからである。光源に使用している発光ダイオードは応答速度が極めて速いので、目でちらつきが判らない短い周期で点滅して、明るさを自由に調整できる。また、周期を長くすることによって、目にわかるように点滅して、注意をひく表示に使用することもできる。さらに、発光ダイオードは点滅周期にかかわらず、寿命が短くなることがなく、高い発光効率で大幅に明るさを調整できる特長がある。さらにまた、発光ダイオードは、ダイオードのpn接合部分を発光させるものであって、電球のように切れやすいフィラメントがない。このため、電球とは比較にならない程寿命が長く、発光ダイオードを交換することなく、長期間にわたって極めて安定して使用できる特長がある。
【0033】さらに、本発明の携帯用のライトは、発光ダイオードの点滅周期を長くして目で点滅を確認できる周期、たとえば、1秒程度の点滅周期と長くすることにより、警告用または識別用の信号器として非常によく目だつようにできる特長もある。」
(6c)
図1?3、図5は、以下のとおりである。

7 引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7には、図面とともに次の事項が記載されている。
(7a)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光源に発光ダイオードを使用した携帯用のライトに関する。
・・・
【0010】本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、大きさが異なる発光ダイオードを整列して間違いなくプリント基板に装着して、簡単かつ容易に、しかも能率よく多量生産できる携帯用のライトを提供することにある。」
(7b)
「【0036】輝度周期切換スイッチ5がを0.022μFのコンデンサー11をオペアンプ10に接続するとき、図11の(b)に示すように、パルス幅が10m秒で周期が30m秒の矩形波を出力する。このため、この矩形波がベースに入力される点滅スイッチ3であるトランジスターは、10m秒間のオン、20m秒間のオフを繰り返して、発光ダイオード1を点滅させる。この周期で点滅する発光ダイオード1も、肉眼ではほぼ連続する状態に見える。発光ダイオード1が点滅するデューティー比は約33%となるので、1000pFのコンデンサー11を接続する状態に比較すると多少発光する。ただし、発光ダイオード1に連続して通電する状態に比較すると暗くなる。
【0037】輝度周期切換スイッチ5がを2.2μFのコンデンサー11をオペアンプ10に接続するとき、図11の(c)に示すように、パルス幅が500m秒で周期が1秒の矩形波を出力する。このため、この矩形波がベースに入力される点滅スイッチ3であるトランジスターは、500m秒間のオン、500m秒間のオフを繰り返して、発光ダイオード1を点滅させる。この周期で点滅する発光ダイオード1は、周期が長いので肉眼では点滅する状態に見える。
【0038】人間の目は、発光ダイオード1が点滅する周期が約30m秒よりも早いと、連続して点灯している状態に見え、これよりも周期が長くなると、点滅する状態として観察される。したがって、発振回路4は、出力する矩形の周期を、この周期よりも短くして、連続して点灯して見えるようにでき、また、この周期よりも長くして発光ダイオード1が点滅するように観測される。」
(7c)
図1?3、図8、図11は、以下のとおりである。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

(ア)
懐中電灯が、把持部を備えていることは、技術常識であることを踏まえると、引用発明の「懐中電灯11」は、本願発明1の「把持部を兼ねた光源部」に相当する。
(イ)
引用発明の「半透明の円筒形の管部分21,22からなる、入れ子管組立体20を備え」る「交通整理のために使用することができる、懐中電灯11に取り付けられた折りたたみ可能な棒状投光器」における「折りたたみ可能な棒状投光器」は、「半透明の円筒形の管部分21,22からなる、入れ子管組立体20」における「前記管部分21,22の最も外側の管部分22」が、「前記懐中電灯11の投光端部12に取外すことができるように装着可能」に構成されている。
このことから、引用発明の「半透明の円筒形の管部分21,22からなる、入れ子管組立体20を備え」る「交通整理のために使用することができる、懐中電灯11に取り付けられた折りたたみ可能な棒状投光器」における「折りたたみ可能な棒状投光器」は、「懐中電灯11」に「装着」されたとき、「懐中電灯11」からの光が連通するように構成されているといえるから、上記(ア)を踏まえると、本願発明1の「前記光源部からの光が連通するように前記光源部に装着される発光部」に相当する。
(ウ)
引用発明の「半透明の円筒形の管部分21,22からなる、入れ子管組立体20を備え」る「交通整理のために使用することができる、懐中電灯11に取り付けられた折りたたみ可能な棒状投光器」は、「棒状投光器」に「懐中電灯11」からの光が連通し(上記(イ))、その光が「棒状投光器」の「半透明の円筒形の管部分21,22」から出射することで、「交通整理」における誘導に「使用することができる」といえるから、上記(ア)、(イ)を踏まえると、本願発明1の「把持部を兼ねた光源部と、前記光源部からの光が連通するように前記光源部に装着される発光部とを有してなる誘導灯」に相当する。

(ア)
引用発明の「懐中電灯11に取り付けられた折りたたみ可能な棒状投光器」が備えている構成、すなわち、「入れ子管組立体20」を構成している「複数個の重なり合う、入れ子管組立体20を伸張したときの分離を阻止するために僅かにテーパがつけられている、半透明の円筒形の管部分21,22」、「前記管部分21,22の最も外側の管部分22」、及び、「最も外側の管部分22」以外の「管部分21」に関して以下のことがいえる。
a
「前記管部分21,22の最も外側の管部分22」と、「最も外側の管部分22」以外の「管部分21」とは、いずれも、「テーパがつけられている」「円筒形」であるから、長尺かつ中空の錘台形状を有するといえる。
このことと、上記ア(ウ)を踏まえると、引用発明の「複数個の重なり合う、入れ子管組立体20を伸張したときの分離を阻止するために僅かにテーパがつけられている、半透明の円筒形の管部分21,22」は、本願発明1の「長尺かつ中空の錘台形状を有する複数の発光管」に相当する。
b
「テーパがつけられている」ことは、「入れ子管組立体20を伸張したときの分離を阻止するため」であるから、引用発明の「テーパがつけられている」「円筒形の管部分21,22」の「伸張」に係る構成は、その機能・構造に照らして、本願発明1の「前記発光管のテーパー構造によって、複数の前記発光管の上段側発光管と下段側発光管とが相互に入れ子状に」「伸張可能に連結されるように構成され」、「伸張時においては、前記上段側発光管の底部と前記下段側発光管の頂部との嵌合によって連結されることによって、発光部の伸張構造が保持されるようにしてな」る構成に相当する。
c
一方、「前記入れ子管組立体20を引っ込めたときに該入れ子管組立体20を保持するために前記の最も外側の管部分22に枢着された棒25を備え」ているから、「入れ子管組立体20を引っ込めたときに」には、「テーパがつけられている」「円筒形」である、「前記管部分21,22の最も外側の管部分22」の内部に、「テーパがつけられている」「円筒形」である、「最も外側の管部分22」以外の「管部分21」が、入れ子状に収容されて、上記「棒25」により、収縮した状態を維持できるといえる(以下「事項A」ともいう。図2も参照。)。
上記bの相当関係を踏まえると、引用発明の事項Aは、本願発明1の「発光管のテーパー構造によって、複数の前記発光管の上段側発光管と下段側発光管とが相互に入れ子状に収容されて収縮」する構成に相当する。
d
また、引用発明において、「複数個の重なり合う、入れ子管組立体20」の「伸張」が、軸線方向に伸縮自在であることは技術的に明らかであるから(図1、2にもそのように示されている。)、引用発明の上記「伸張」に係る構成は、本願発明1の「発光部が軸線方向に伸縮自在」である構成に相当する。
(イ)
上記(ア)及びアを踏まえると、引用発明の「懐中電灯11に取り付けられた折りたたみ可能な棒状投光器」が、「複数個の重なり合う、入れ子管組立体20を伸張したときの分離を阻止するために僅かにテーパがつけられている、半透明の円筒形の管部分21,22からなる、入れ子管組立体20を備え」、「前記入れ子管組立体20を引っ込めたときに該入れ子管組立体20を保持するために前記の最も外側の管部分22に枢着された棒46を備えた」構成は、本願発明1の「前記発光部は、長尺かつ中空の錘台形状を有する複数の発光管(上記(ア)a)の組み合わせからなり、前記発光管のテーパー構造によって、複数の前記発光管の上段側発光管と下段側発光管とが相互に入れ子状に収容されて収縮し(上記(ア)c)、かつ、伸張可能に連結されるように構成され、伸張時においては、前記上段側発光管の底部と前記下段側発光管の頂部との嵌合によって連結されることによって、発光部の伸張構造が保持される(上記(ア)b)ようにしてなる、発光部が軸線方向に伸縮自在(上記(ア)d)」の構成に相当する。

以上から、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「把持部を兼ねた光源部と、前記光源部からの光が連通するように前記光源部に装着される発光部とを有してなる誘導灯であって、
前記発光部は、長尺かつ中空の錘台形状を有する複数の発光管の組み合わせからなり、前記発光管のテーパー構造によって、複数の前記発光管の上段側発光管と下段側発光管とが相互に入れ子状に収容されて収縮し、かつ、伸張可能に連結されるように構成され、
伸張時においては、前記上段側発光管の底部と前記下段側発光管の頂部との嵌合によって連結されることによって、発光部の伸張構造が保持されるようにしてなる、
発光部が軸線方向に伸縮自在の誘導灯。」
<相違点>
本願発明1では、「前記光源部は、パルス状の光照射を行うことができ、その際のパルス周波数が40?100Hzであり、かつ、デューティ比が15?60%である」のに対して、引用発明では、そのように特定されていない点。

(2)判断
以下、相違点について検討する。

引用発明は、「交通整理のために使用することができる、懐中電灯11に取り付けられた折りたたみ可能な棒状投光器」であって、誘導灯ないし合図灯であるといえるから、本願発明1の「誘導灯」と技術分野が共通している。
ここで、上記相違点に係る本願発明1の構成の技術的意義と本願発明1の課題との関連について検討する。
上記相違点に係る本願発明1の「前記光源部は、パルス状の光照射を行うことができ、その際のパルス周波数が40?100Hzであり、かつ、デューティ比が15?60%である」という構成の技術的意義は、光源部の発光を当該構成のように制御することにより、「残像効果を生じさせることによって、面的な発光特性を得る」(本願明細書の段落【0044】)という効果が得られ、「十分な視認性を具備」(同【0010】)すること、すなわち、「視認性のより良好な残像効果を得る」(同【0043】、【0045】)ことを提供するという課題が解決できることにあるといえる。
一方、引用文献1には、「本発明によれば、棒状投光器は、懐中電灯の電球の端部に取り付けるように設計された入れ子管組立体からなり、」(摘記(1c))及び「電球を装着した懐中電灯」(摘記(1d))という記載等はあるが、「視認性のより良好な残像効果を得る」ということは記載も示唆もされておらず、この「残像効果を得る」ための前提となる、パルス状の光照射を行うことも記載も示唆もされていない。
そうすると、引用発明と本願発明1は技術分野が共通しているものの、上記のような課題ついて記載も示唆もされていない引用発明において、パルス状の光照射を行うことができる光源部(LED光源など)を採用し、パルス状の光照射における周波数とデューティ比を調整することで、残像現象を得るという技術を適用しようとする動機付けはないといえる。

引用文献2ないし7に記載された技術事項の適用について、以下に検討する。
(ア)
摘記(2b)及び図2、図3(摘記(2d)参照)を参照すると、引用文献2には、光源部に関して、「パルス点灯の時間T1がON状態、T2がOFF状態であり、且つON状態のT1は更にパルスにより点滅を行なっており、残像現象を利用してT1は点灯を継続しているように見せ」、「電池の電力消費を小さくしている」技術事項が記載されているといえる。
しかしながら、当該技術事項の「残像現象」とは、点滅を、点灯を継続しているように見せるためのものであって、本願のように「視認性のより良好な残像効果を得る」すなわち「残像効果を生じさせることによって、面的な発光特性を得る」ものではない。
また、引用文献2には、周波数は記載されていない。
したがって、「合図灯」すなわち誘導灯で技術分野が共通していることなどを根拠として、仮に引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用できたとしても、上記相違点に係る本願発明1の構成にはならないし、本願の「視認性のより良好な残像効果を得る」という課題を解決できるものでもない。
(イ)
摘記(3b)の段落【0011】、【0016】及び図4(摘記(3c))等を参照すると、引用文献3には、光源部に関して、「1色の周期が0.656ms、全体で23.616msの周期とする、言い換えれば42Hzで駆動することにより、色の周期を赤_黄_緑_空_青_紫_(始)で、1色辺り6段階とすることができ」、「42Hzで駆動しているがこれに限られず、40Hzから60Hz程度の周波数で駆動する」ことができ、デューティ比が50%程度(図4から明らかである。)であり、「みかけ上は赤緑青(RGB)が連続的に変化していくようにみえ、非常に楽しい発光を得ることができる」技術事項が記載されているといえる。
この技術事項における「42Hz」は、「赤_黄_緑_空_青_紫_」の「色の周期」の周波数であって、「1色の周期」すなわち1つのLED(本願発明1の「光源部」に相当するといえる。)の周期ではないから、当該技術事項における光源部はパルス周波数が40?100Hzである構成を備えていない。
引用発明(誘導灯であり、揺動して使用することが想定されているといえる。また、摘記(1b)を参照すると、「レクリエーション」に使用することも想定されているといえる。)と、引用文献3に記載された技術事項(摘記(3a)の段落【0002】の「コンサートやパレード等のイベントにおいて・・・そのペン形状のライトを発光させて揺動させること」や摘記(3b)の段落【0017】を参照。)が、揺動して使用するという機能が共通することなどを根拠として、仮に引用発明に引用文献3に記載された技術事項を適用できたとしても、上記のとおり、光源部はパルス周波数が40?100Hzである構成を備えていないから、上記相違点に係る本願発明1の構成にはならない。
(ウ)
引用文献4ないし引用文献5に記載された技術事項は、摘記(4a)及び(5a)のとおりであって、引用文献4ないし引用文献5には、上記相違点に係る本願発明1の構成は記載も示唆もされていない。
したがって、引用発明に引用文献4ないし引用文献5に記載された技術事項を適用してみても、上記相違点に係る本願発明1の構成にはならない。
(エ)
摘記(6b)の段落【0029】及び図5(b)(摘記(6c)参照)等、及び、摘記(7b)の段落【0036】及び図11(b)(摘記(7c)参照)等を参照すると、引用文献6及び引用文献7には、いずれも、光源部に関して、「パルス幅が10m秒で周期が30m秒の矩形波を出力」し、「10m秒間のオン、20m秒間のオフを繰り返して、発光ダイオード1を点滅させ」、「この周期で点滅する発光ダイオード1も、肉眼ではほぼ連続する状態に見え」、「発光ダイオード1が点滅するデューティー比は約33%となる」技術事項が記載されているといえる。
しかしながら、引用文献6ないし引用文献7に記載された技術事項は、「携帯用のライト」(摘記(6a)及び(7a)参照)に関するものであって、引用発明(誘導灯)とは技術分野や用途が共通するとはいえず、光源部が把持部を兼ねるものでもなく、引用文献6及び引用文献7には、「視認性のより良好な残像効果を得る」という本願の課題は記載も示唆もされていないから、引用発明の懐中電灯(光源部)に、当該技術事項を適用する動機付けは存在しない。

上記ア、イで述べたことを総合すると、引用発明に引用文献2ないし7に記載された技術事項を適用して、上記相違点に係る本願発明1の構成を想到することは、当業者が容易になし得たとはいえない。

そして、本願発明1は、「残像効果を生じさせることによって、面的な発光特性を得る」(本願明細書の段落【0044】)という格別に顕著な効果を奏するものである。

(3)本願発明1についてのまとめ
よって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2ないし7に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?13について
本願発明2?13は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであるから、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2ないし7に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定について
令和2年12月1日付けの手続補正により、本願発明1?13は、上記相違点に係る本願発明1の構成を有するものとなっており、上記第5で述べたとおり、拒絶査定において引用された引用発明及び引用文献2ないし7に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-06-29 
出願番号 特願2019-105873(P2019-105873)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F21L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 下原 浩嗣飯塚 向日子  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 島田 信一
出口 昌哉
発明の名称 伸縮自在の誘導灯  
代理人 反町 洋  
代理人 中村 行孝  
代理人 朝倉 悟  
代理人 浅野 真理  

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