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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G07D
管理番号 1375626
審判番号 不服2021-4509  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-07 
確定日 2021-07-20 
事件の表示 特願2016-223176号「精算機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年5月24日出願公開、特開2018-81480号、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年11月16日の出願であって、令和2年8月13日付けで理由通知がされ、同年9月25日に意見書が提出されるとともに、特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたが、同年12月25日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、それに対して令和3年4月7日に拒絶査定に対する審判請求がされたものである。

第2 原査定の概要
本願の請求項1に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基いて、本願出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願の請求項2、3に係る発明は、以下の引用文献1,2に記載された発明に基いて、本願出願前に当業者が容易に発明することができたものであり、本願の請求項4,5に係る発明は、以下の引用文献1?3に記載された発明に基いて、本願出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の請求項1?5に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・引用文献等一覧
1.特開2009-86801号公報
2.特開昭62-57089号公報
3.特開2016-18412号公報

第3 本願発明
本願の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」?「本願発明5」という。)は、明細書、令和2年9月25日の手続補正書により補正された特許請求の範囲、及び、図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
精算装置であって、
開口と、
前記開口の内側に設けられた案内部材と、
前記案内部材により隔てられた第1空間及び第2空間と、
前記開口を閉じるためのシャッタと、
を備え、
前記案内部材には、前記開口に投入された紙幣を置くことが可能であり、
第1モードにおいて、前記第1空間が前記開口を介して外部領域に通じ、前記第2空間が前記シャッタによって外部領域から遮断され、
第2モードにおいて、前記第1空間及び前記第2空間の双方が前記開口を介して外部領域に通じ、
前記第1モードは、顧客が当該精算機を使用する際のモードであり、前記第2モードは、店員が当該精算機を使用する際のモードである精算機。
【請求項2】
請求項1に記載の精算機において、
前記案内部材は、紙幣の投入方向において前記開口内手前に位置する第1辺に切欠きを有する精算機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の精算機において、
前記第2空間内に位置しており、前記案内部材を移動させる機構を備える精算機。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか一項に記載の精算機において、
前記精算機が前記第1モード及び前記第2モードのいずれにあるかを示す信号を前記精算機の外部に出力する出力部を備える精算機。
【請求項5】
請求項4に記載の精算機において、
前記精算機を前記第1モード及び前記第2モードの一方から他方に切り替えるための信号を前記精算機の外部から入力するための入力部を備える精算機。」

第4 引用文献の記載事項等
1 引用文献1について
引用文献1には、図面とともに以下の記載がある。

(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の取引を自動的に行う自動取引装置、特に、現金の入出金を自動的に行う現金自動預入支払機(以下、ATMという)に関する。」

(2)「【0011】
そこで、本発明の目的は、操作手順に沿った適切な高さとレイアウトを備え、操作性と視認性を良好にした小型化の現金自動預入支払機を提供する。」

(3)「【0016】
図1において、符号1で総括的に示すATMは、内部に操作表示部や各種の取引処理を行う複数の取引処理ユニットを有する本体10と、この本体10の前面に配置されたフロントパネル20とを備え、このフロントパネル20に配置された操作画面30と記録媒体読取部40と金銭取扱部50と、本体10の前面下部に形成された空間60とを含んで構成される。」

(4)「【0051】
図7において、金銭取扱部50は、内部に形成された金銭収納空間55と、この金銭収納空間55の出入口を開閉するシャッターと、金銭収納空間55に配置されたトレー56とを備えており、シャッター部は、第1シャッター部51と第2シャッター部52とから構成されている。
【0052】
第1シャッター部51は、金銭収納空間55の出入口の上方に配置されており、この第1シャッター部51を開閉することにより、図7(b)で示すように、例えば、紙幣を預け入れる際に使用される紙幣投入口57が露出したり、隠蔽されたりする。また、第2シャッター部52は、金銭収納空間55の出入口の下方に配置されており、この第2シャッター部52を開閉することにより、図7(c)で示すように、例えば、紙幣を受け取る(引き出す)際に使用される紙幣受取口58が露出したり、隠蔽されたりする。このような構成とすることで、第1シャッター部51および第2シャッター部52の開閉状態により取引の種類が把握できることから、取引時における金銭取扱部50の視認性を向上させることができる。
【0053】
トレー56は、金銭収納空間55の内部で移動可能に設けられており、利用者が指定した取引操作に対応して紙幣の回収や排出を行うように、制御部200や図示しない動作機構によりその動作が制御されている。このような構成とすることにより、紙幣をスムーズに取り扱うことができる。」

(5)「【0054】
次に、図8を参照して、紙幣の投入動作および受取動作について説明する。図8において、ATM1の利用者が操作画面30に表示された取引項目から、例えば、紙幣の預入動作に関する取引項目を選択する場合、タッチパネルを介して操作画面30に表示された取引項目を示す操作ボタンを選択して操作すると、制御部200は、利用者が操作画面30に表示された案内に従って紙幣の預入動作がなされたことを確認すると共に、第1シャッター部51を開くように制御する(図8(a)参照)。
【0055】
第1シャッター部51が開くことにより、紙幣投入口57が露出するので、図8(b)で示すように、ATM1の利用者は、紙幣投入口57から紙幣Mを投入する。投入された紙幣Mは、図8(c)および図8(d)で示すように、トレー56を介して金銭収納空間55に収納される。金銭収納空間55に収納された紙幣Mは、図示しない搬送路を介して紙幣ユニット226に搬送される。そして、紙幣ユニット226に搬送された紙幣Mを、昇降機構を介して紙幣ユニット226へ収納することで、例えば、紙幣Mの預け入れや振込みなど、紙幣Mの投入操作に関する一連の動作が終了する。なお、この実施形態では、紙幣の搬送路および紙幣ユニット226の昇降機構は公知のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0056】
一方、ATM1の利用者が操作画面30に表示された取引項目から、例えば、紙幣の引出動作に関する取引項目を選択する場合、タッチパネルを介して操作画面30に表示された取引項目を示す操作ボタンを選択して操作すると、制御部200は、利用者が操作画面30に表示された案内に従って紙幣の引出動作がなされたことを確認すると、紙幣ユニット226から紙幣を排出するように制御すると共に、第2シャッター部52を開くように制御する(図8(e)参照)。
【0057】
第2シャッター部52が開くことにより、紙幣受取口58が露出すると共に、図8(f)から図8(h)で示すように、取引金額に対応する紙幣Mが昇降機構および搬送路を介して紙幣ユニット226からトレー56に搬出され、搬出された紙幣Mを有するトレー56が制御部200や図示しない動作機構により、紙幣Mの一部が紙幣受取口58から露出するようにその動作が制御される。そして、ATM1の利用者が紙幣受取口58に排出された紙幣Mを受け取ることで、紙幣Mの受取操作に関する一連の動作が終了する。」


(6)上記(3)及び(4)によれば、ATM1は、構成の一部として金銭取扱部50を有するから、内部に形成された金銭収納空間55と、金銭収納空間55の出入口と、前記出入口を開閉する、第1シャッター部51と第2シャッター部52とから構成されるシャッターと、金銭収納空間55に配置されたトレー56とを備えると認められる。

(7)上記(5)及び図8(c)によれば、トレー56には、紙幣投入口57から投入された紙幣Mを置くことができると認められ、上記(4)及び(5)によれば、紙幣を預け入れる際に、第1シャッター部51が開くことにより、紙幣投入口57が露出し、紙幣を引き出す際に、第2シャッター部52が開くことにより、紙幣受取口58が露出すると認められる。

上記(3)?(7)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「ATM1であって、
内部に形成された金銭収納空間55と、
金銭収容空間55の出入口と、
金銭収容空間55の内部に設けられたトレー56と、
前記出入口を開閉する、第1シャッター部51と第2シャッター部52とから構成されるシャッターと、
を備え、
トレー56には、紙幣投入口57から投入された紙幣Mを置くことができ、
紙幣を預け入れる際に、第1シャッター部51が開くことにより、紙幣投入口57が露出し、
紙幣を引き出す際に、第2シャッター部52が開くことにより、紙幣受取口58が露出するATM1。」

2 引用文献2について
引用文献2には、図面とともに以下の記載がある。

(1)「〔発明の利用分野〕
本発明は紙葉類取扱装置に係り、特に機能変更・拡張およびコスト低減が容易な装置に関する。」(1頁右下欄1?3行)

(2)「検査部2のスタツク10・11は紙幣の載置面が第3図に示すように一部分切欠いた切欠12を有しており、上記指部6a・6bがこの切欠12に矢印方向から入り込んで開閉することにより載置面から紙幣5.5′の中央を確実に把んで移動させたり、あるいは金庫から移動させた紙幣を載置面に載せることができる。」(2頁左下欄最終行?右下欄7行)


3 引用文献3について
引用文献3には、図面とともに以下の記載がある。

(1)「【0001】
本発明は、自動取引装置および制御方法に関する。」

(2)「【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、紙幣投入口への硬貨の誤投入を防止しつつ、紙幣投入口への円滑な紙幣投入を実現するための、新規かつ改良された自動取引装置および制御方法を提供することにある。」

(3)「【0053】
(1-6.第1の実施形態の応用例)
続いて、第1の実施形態の応用例を説明する。応用例による自動取引装置20は、紙幣投入口28の開口量を動的に変化させることが可能である。例えば、紙幣投入口28の開口量が制限されていると、紙幣を大量に紙幣投入口28に投入することが困難であるので、応用例による自動取引装置20は、顧客が紙幣の大量入金を希望する場合には紙幣投入口28の開口量を広げることが可能である。以下、このような応用例による自動取引装置20についてより詳細に説明する。
【0054】
制御部280は、注意喚起画面50において確認ボタン54が選択された後、第1の実施形態として説明したように、制限された開口量で紙幣投入口28を開口させる。さらに、制御部280は、図7に示すように、顧客が紙幣の大量投入を希望するか否かを確認する大量取引確認画面を生成する。
【0055】
図7は、大量取引確認画面60の具体例を示す説明図である。図7に示したように、大量取引確認画面60は、「紙幣を大量入金される場合、大量取引ボタンを押して下さい。」という誘導メッセージ61と、大量取引ボタン62を含む。この大量取引確認画面60において顧客が第1の操作として大量取引ボタン62を選択すると、制御部280は、図8に示すように、紙幣口シャッタ32を制御して、紙幣投入口28の開口量を広げる。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「ATM1」は、本願発明1における「精算装置」又は「精算機」に相当し、以下同様に、「金銭収容空間55の出入口」は「開口」に、「金銭収容空間55の内側」は「前記開口の内側」に、「トレー56」は「案内部材」に、「第1シャッター部51と第2シャッター部52とから構成されるシャッター」は「シャッタ」に、「紙幣M」は「紙幣」に、それぞれ相当する。
引用発明1における「金銭収容空間55の内部に設けられたトレー56」、「前記出入口を開閉する、第1シャッター部51と第2シャッター部52とから構成されるシャッター」は、それぞれ、本願発明1における「前記開口の内側に設けられた案内部材」、「前記開口を閉じるためのシャッタ」に相当し、引用発明1における「紙幣投入口57」は、「金銭収容空間55の出入口」の一部であるから、引用発明1における「紙幣投入口57から投入された紙幣Mを置くことができ」ることは、本願発明1における「前記開口に投入された紙幣を置くことが可能であ」ることに相当する。
そうすると、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

<一致点>
「精算装置であって、
開口と、
前記開口の内側に設けられた案内部材と、
前記開口を閉じるためのシャッタと、
を備え、
前記案内部材には、前記開口に投入された紙幣を置くことが可能である精算機。」

<相違点1>
本願発明1は、「前記案内部材により隔てられた第1空間及び第2空間」を備え、「第1モードにおいて、前記第1空間が前記開口を介して外部領域に通じ、前記第2空間が前記シャッタによって外部領域から遮断され、第2モードにおいて、前記第1空間及び前記第2空間の双方が前記開口を介して外部領域に通じ」るように構成されているのに対し、引用発明1は、「トレー56」は「金銭収容空間55の内部に設けられ」、「紙幣を預け入れる際に、第1シャッター部51が開くことにより、紙幣投入口57が露出し、紙幣を引き出す際に、第2シャッター部52が開くことにより、紙幣受取口58が露出する」点。

<相違点2>
本願発明1は、「前記第1モードは、顧客が当該精算機を使用する際のモードであり、前記第2モードは、店員が当該精算機を使用する際のモードである」のに対し、引用発明1は、そのような構成を有しない点。

(2)判断
ア 相違点1について
まず、相違点1について検討する。
引用発明1は、紙幣を預け入れる際に、第1シャッター部51が開くことにより、紙幣投入口57が露出し、紙幣を引き出す際に、第2シャッター部52が開くことにより、紙幣受取口58が露出するものであり、紙幣を預け入れる際に、第1シャッター部51が開くことにより、紙幣投入口57が露出する場合に、第2シャッター部52は閉じられているが、引用文献1の図7(b)及び図8(a)をみる限り、トレー56の下の空間は紙幣投入口57と繋がっており、トレー56の下の空間はシャッターによって外部領域から遮断されていないから、引用発明1における、紙幣を預け入れる際のトレー56の下の空間は、本願発明1における「第2空間」に相当せず、引用文献1のその他の記載をみても、紙幣を預け入れる際に、本願発明1における「第2空間」に相当する空間があるとは認められない。
そして、図7(b)及び図8(a)を含めて引用文献1をみる限り、引用発明1において、紙幣の投入について何らかの問題があるとは認められないから、引用発明1において、紙幣を預け入れる際に、トレー56を第2シャッター部52に接するようにして、トレー56の下の空間を外側領域から遮断するようにすることの動機付けがあるとはいえない。
よって、引用発明1において、相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

イ 相違点2について
次に、相違点2について検討する。
引用発明1は、用途(紙幣の預け入れや引き出し)に応じてシャッター等の動作を変更するものであるところ、使用者に応じて、シャッター等の動作を変更することは、引用文献1には何ら記載も示唆もないことから、引用発明1において、使用者に応じてシャッター等の動作を変更するようにすることの動機付けがあるとは認められない。
よって、引用発明1において、相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

ウ 小括
以上によれば、本願発明1は、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?5について
本願発明2?5は、本願発明1の構成を全て有するものであるから、上記1(2)に説示したのと同様に、引用発明1及び引用文献2、3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定について
第5に説示したとおり、当業者であっても、本願発明1は、原査定で引用された引用文献1に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本願発明2,3は、原査定に引用された引用文献1,2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本願発明4,5は、原査定に引用された引用文献1?3に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の拒絶理由を維持できない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-06-29 
出願番号 特願2016-223176(P2016-223176)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G07D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小原 正信  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 八木 誠
一ノ瀬 覚
発明の名称 精算機  
代理人 速水 進治  
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