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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1375632
審判番号 不服2020-17032  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-11 
確定日 2021-07-26 
事件の表示 特願2017- 54338「エピタキシャルウェーハの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月 4日出願公開、特開2018-157138、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)3月21日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年 12月 5日付け :拒絶理由通知書
令和元年 12月25日 :意見書の提出
令和2年 5月18日付け :拒絶理由通知書
令和2年 6月 8日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 10月30日付け :拒絶査定(原査定)
令和2年 12月11日 :審判請求書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年10月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1?4に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて当業者が容易に発明できたものである。また、本願請求項1?4に係る発明は、以下の引用文献1?2に基づいて当業者が容易に発明できたものである。また、本願請求項1?4に係る発明は、以下の引用文献1?4に基づいて当業者が容易に発明できたものである。また、本願請求項1?4に係る発明は、以下の引用文献1、2及び5に基づいて当業者が容易に発明できたものである。したがって、本願請求項1?4に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2002-050579号公報
2.特開2017-005049号公報
3.特表2015-503247号公報
4.特開2008-160123号公報
5.特開2008-085198号公報

第3 本願発明
本願請求項1?4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明4」という。)は、令和2年6月8日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1?本願発明4は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
シリコン単結晶基板の主表面上にシリコンエピタキシャル層を気相成長させるエピタキシャルウェーハの製造方法において、その気相成長に先立って、反応炉内に前記シリコン単結晶基板を保持した状態で、塩素系ガスとシリコン源とを同時に供給し、且つ、基板温度を1000℃?1200℃の範囲とし、且つ、前記同時に供給する塩素系ガスを単体で供給した際のエッチング量と、前記同時に供給するシリコン源を単体で供給した際のデポジション量とがそれぞれ0.5μm以上となる条件で前処理を行うことを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造方法。
【請求項2】
前記シリコン源はモノシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。
【請求項3】
前記前処理における前記エッチング量と前記デポジション量とがそれぞれ1.5μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。
【請求項4】
前記前処理における前記エッチング量と前記デポジション量とがそれぞれ2.0μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前面及び背面並びに前面に析出された半導体材料からなるエピタキシャル層を有する半導体基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】先行技術により、適当な処理前製品から一次研磨(Abtragspolieren)-仕上研磨(Endpolieren)-清浄化-エピタキシャル成長のプロセス順序でエピタキシャル成長させた半導体基板が製造され、その際、一次研磨後の表面粗さは原子間力顕微鏡法(AFM)を用いて測定して1μm×1μmの範囲内で、プロセス実施に応じて約0.5?3nmRMS(root-mean-square)であり、最終ポリシング後では約0.05?0.2nmRMSである。
【0003】欧州特許出願公開(EP-A1)第711854号明細書には、エピタキシャル成長させた基板の製造方法が記載されており、この方法においてスライシング-ラッピング-エッチングされたシリコン基板を一次研磨し、その際、表面粗さは0.3?1.2nmRMS(AFM、1μm×1μm)であり、コストの低減のために平坦化する仕上研磨工程を実施せずにエピタキシャルシリコン層を析出させている。こうして製造されたエピタキシャル層は仕上研磨工程を予め適用して通常のように製造したエピタキシャル層とその電気的特性において同等であるが、比較的高い出発粗さにより引き起こされる光散乱中心(localized light scatters, LLS)の増加がこの基板上に製造された構成素子の欠陥を増加させる。
【0004】酸素析出物として検出される基板中の欠陥はエピタキシャル層の析出の後で光散乱中心の数を増加させる原因となる。欧州特許出願公開(EP-A1)第959154号明細書では、エピタキシャル析出の前に行う基板の熱処理が提案され、この熱処理は表面付近の欠陥の数を低下させる。しかしながら、それにより達成されるべき減少は特にこの種の欠陥が多数検出された基板を使用する場合には不十分であるか又はコスト高になることが明らかとなった。欠陥を減少させる効率は熱処理の時間に依存する。熱処理のために生じるコストを許容できる範囲内に留める程度で熱処理を実施した場合、不所望に高い数の光散乱中心(localized light scatteres, LLS)がエピタキシャル表面上に見られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題は、エピタキシャル成長させた表面の粗さ及び光散乱中心の数に関する前記の欠点を示さず、かつ酸素析出物として検出可能な欠陥を有する基板を使用するためにも適している、エピタキシャル成長させた半導体基板を製造する方法を提供することであった。さらに、エピタキシャル成長させた半導体基板の他の特性は少なくとも先行技術により製造されたエピタキシャル成長させた半導体基板の特性と少なくとも同等に良好であるのが好ましい。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、本発明の場合に、前面及び背面並びに前記の前面上に析出した半導体材料からなるエピタキシャル層を備えた半導体基板の製造方法において、前記の方法が次のプロセス工程:
(a) ポリシングされた前面を有し、かつ一定の厚さを有する基板を準備する工程、(b) 基板の前面をガス状HCl及びシランソースの存在で950?1250℃の温度でエピタキシャル反応器中で前処理する工程、その際、基板の厚さはほとんど変化しない、及び(c) 前処理された基板の前面にエピタキシャル層を析出させる工程、を特徴とする、半導体基板の製造方法により解決される。
【0007】この方法により、エピタキシャル層の表面が、0.12μm以上の散乱断面(Streuquerschnitt)を有する1cm2あたり0.14個の光散乱中心の最大密度を有する半導体基板が得られる。基板の前面がエピタキシャル層の析出の前に、1μm×1μmのサイズの基準面積についてAFMにより測定して0.05?0.2nmRMSの表面粗さを有する。この半導体基板は、特に0.18μm以下の線幅を有する電子的構成素子の製造のための半導体工業において使用するために適している。」

「【0011】欠陥を有する基板は同様に除去ポリシングされた状態で準備することができるが、除去ポリシングの他になお最終ポリシングを行われる。
【0012】本発明によるプロセス順序の工程(b):基板の前面のポリシングされた表面をこの方法の工程(b)の間に、次ぎにエピタキシャル成長する層の品質が層の表面での光散乱中心の最大数に関して冒頭に記載した課題を解決するようにを調整する。この調整は意外にもこの方法の工程(b)において基板を、有利にシリコン基板をガス状のHCl及びシランソースの存在で950?1250℃、有利に1050?1150℃の温度で、エピタキシャル反応器中で処理することにより達成される。ガス状のHCl及びシランソースの濃度は、本質的にケイ素の析出のためにも並びに半導体材料のエッチング除去のためにもならずかつ基板の厚さは本質的に変化しない程度に調節される。平衡状態の一定の逸脱は許容することができ、その際この許容範囲は高くても0.5μm/minの析出速度と高くても0.2μm/minのエッチング除去速度の間にあり、基板の厚さに関して0.5μmまでの厚さの減少、有利に0.2μmまでの厚さの減少又は0.5μmまでの厚さの増加、有利に0.2μmまでの厚さの増加が見積もられる。
【0013】エッチングと析出とは十分に高い反応速度で進行するため、表面上のシリコンは擬似的に可動であり、表面の平滑化及び表面上の欠陥の除去が行われる。ガス状のHCl及びシランソースの他にこの雰囲気は付加的にドーピングガスを含有することができる。材料を許容可能な範囲内で析出させる条件下で前処理を実施する場合が特に有利である。前処理の終了時に、欠陥を有していない平坦な単結晶シリコン表面が生じる。文献中には水素雰囲気中でHClがシリコンからなる表面にエッチングする作用及び平坦化する作用を及ぼすことが記載されている(H.M. Liaw and J.W.Rose, Epitaxial Silicon Technology, Academic Press Inc., Orlando Florida 1986, p. 71 - 73及びM. L. Hammond, Handbook of Thin-Film Deposition Processes and Techniques, Noyes Publications 1988, p. 32and 33)。シランソースの付加的存在により表面の平坦化及び結晶欠陥の除去が明らかに改善されかつ促進されることが意外にも見出された。」

「【0016】本発明によるプロセス順序の工程(c):このプロセス順序の最後の工程において、工程(b)による処理によって得られた基板を標準方法により少なくとも前面にエピタキシャル層を設置する。これはCVD法(chemical vapor deposition)により行い、前記の方法において有利にシラン(SiH_(4))、ジクロロシラン(SiH_(2)Cl_(2))、トリクロロシラン(SiHCl_(3))、テトラクロロシラン(SiCl_(4))又は前記の物質の混合物を基板表面に供給し、その基板表面で600℃?1250℃の温度で分解して元素状ケイ素及び揮発性副生成物にし、エピタキシャルの、つまり単結晶の、半導体基板の結晶の配向に成長するシリコン層が形成される。0.3μm?10μmの厚さを有するシリコン層が有利である。このエピタキシャル層はドーピングされていないか又は、導電形式及び所望の導電性を調節するために、ホウ素、リン、ヒ素又はアンチモンにより意図的にドーピングされている。」

(2)上記(1)から、引用文献1には次の技術的事項が記載されているものと認められる。

ア 引用文献1に記載の技術的事項は、半導体材料からなるエピタキシャル層を有する半導体基板の製造方法において、エピタキシャル層の欠陥を減少させるためのものである。(【0001】?【0005】)

イ エピタキシャル層の欠陥を減少させるために、以下の工程で半導体基板が製造される。
工程(a) ポリシングされた前面を有し、かつ一定の厚さを有する基板を準備する工程(【0006】)
工程(b) シリコン基板を、シリコン基板をガス状のHCl及びシランソースの存在下で、950?1250℃、有利に1050?1150℃の温度で、エピタキシャル反応器中で前処理する工程(【0006】や【0012】には、「ガス状のHCl及びシランソースの存在で」と記載されているところ、「存在で」との記載は「存在下で」という意味であることは明らかである。)
工程(c) 工程(b)により前処理された基板の前面に、エピタキシャル層を析出させる工程(【0006】)

ウ 例えば【0012】には「シリコン基板」と記載されており、また、特に【0013】には「前処理の終了時に、欠陥を有していない平坦な単結晶シリコン表面が生じる。」と記載されているから、引用文献1の【0006】に記載された「基板」は、単結晶シリコン基板であると認められる。

エ 工程(b)においては、HClによるエッチングと、シランソースによるケイ素の析出が平衡状態となり、基板の厚さが本質的に変化しない程度に、HCl及びシランソースの濃度が調節されるものである。(【0012】、【0013】)

オ 工程(c)においては、工程(b)の処理で得られた基板上に、CVD法によりシリコンのエピタキシャル層が形成される。(【0016】)

(3)上記(1)、(2)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「単結晶シリコン基板上にシリコンのエピタキシャル層を形成する半導体基板の製造方法であって、
単結晶シリコン基板を、エピタキシャル反応器中で、ガス状のHCl及びシランソースの存在下で、1050?1150℃の温度で前処理し、前処理された単結晶シリコン基板にCVD法によりシリコンのエピタキシャル層を析出させる、製造方法において、
前記前処理においては、HClによるエッチングと、シランソースによるケイ素の析出が平衡状態となり、基板の厚さが本質的に変化しない程度に、HCl及びシランソースの濃度が調節される、製造方法。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0001】
本発明は、エピタキシャルウェーハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、モバイル端末等に用いる半導体素子にエピタキシャルウェーハが用いられる。このようなウェーハには、半導体素子のオン抵抗を下げるため、高濃度にドーパントをドープした低抵抗率のシリコン単結晶基板にエピタキシャル層を成長させた低抵抗率のエピタキシャルウェーハが必要とされる。このエピタキシャルウェーハの元になるシリコン単結晶基板は、高濃度のドーパントをドープして引き上げたインゴットを元に作製されるが、引き上げの際にドープしたドーパントが蒸発してしまう。そのため、エピタキシャル層を成長させるシリコン単結晶基板がn型ならば、揮発性が比較的低いリン(赤燐)をドーパントとしてドープしたシリコン単結晶基板が用いられる。そして、このようなシリコン単結晶基板の主表面上にエピタキシャル層を気相成長することにより、低抵抗率のエピタキシャルウェーハが製造される。
【0003】
しかし、高濃度にリンがドープされた低抵抗率のシリコン単結晶基板にエピタキシャル層を成長すると、気相成長後のエピタキシャルウェーハの主表面に多くのスタッキングフォルト(積層欠陥)が発生する。この積層欠陥が発生したエピタキシャルウェーハを用いて半導体素子を作製すると、半導体素子(デバイス)の特性が低下してしまう。そのため、積層欠陥の発生数をデバイスの特性に影響のない水準にまで低減する必要がある。
【0004】
エピタキシャルウェーハの主表面で観察される積層欠陥は、低抵抗率のシリコン単結晶基板とエピタキシャル層との界面で発生した結晶欠陥等がエピタキシャルウェーハの主表面に伝搬することで観察される。そのため、積層欠陥の発生には、低抵抗率のシリコン単結晶基板における基板表面の状態が影響すると考えられている。」

「【0011】
本発明のエピタキシャルウェーハの製造方法は、
低抵抗率のシリコン単結晶基板の主表面を塩化水素ガスにより気相エッチングするエッチング工程と、
エッチング工程後のシリコン単結晶基板に対して熱処理を、30秒を超え、かつ、5分以内の時間施す熱処理工程と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、エッチング工程によりシリコン単結晶基板の主表面が清浄化される。よって、エピタキシャルウェーハに積層欠陥を発生させる原因となるもの(以下、「積層欠陥核」とする)をシリコン単結晶基板の主表面から除去することができる。このエッチング工程の効果を確認するために本発明者らは、抵抗率が、例えば、0.82mΩ・cmのシリコン単結晶基板(直径200mm)を用意し、用意した基板にエッチング工程を施した。そして、そのエッチング工程を施した基板にエピタキシャル層を成長させてエピタキシャルウェーハを作製したところ、作製されたエピタキシャルウェーハ1枚中における積層欠陥の数が数十個程度にまで低減することを本発明者らは確認した。」

「【0031】
(実施例)
実施例では、抵抗率が0.73mΩ・cm?0.75mΩ・cmとなる直径200mmの基板Wを4枚用意した。次に、用意した4枚の基板Wのそれぞれに周知の気相成長装置を用いて図1に示す工程S1?S8を施し、4枚のシリコンエピタキシャルウェーハを作製した。作製条件としては、S4のエッチング工程では、塩化水素ガスの流量を1.0slm、基板Wのエッチング量を500nmに設定した。S5の熱処理工程では、熱処理の温度を1130℃に設定し、用意した2枚の基板Wに60秒の熱処理を施し、残る2枚の基板Wに300秒の熱処理を施した。S7の気相成長工程では、抵抗率が0.28Ω・cm、かつ、層厚が4μmのシリコンエピタキシャル層を成長した。そして、以上の条件で作製した各エピタキシャルウェーハを欠陥測定装置(レーザーテック社製のMAGICS)で測定し、各エピタキシャルウェーハに発生した積層欠陥を測定した。」

したがって、引用文献2には、エピタキシャルウェーハにスタッキングフォルト(積層欠陥)を発生させる原因となるものをシリコン単結晶基板の主表面から除去するために、シリコン単結晶基板の主表面に対して塩化水素ガスにより気相エッチングを施し、エッチングした当該シリコン単結晶基板に対して熱処理を施し、その後、当該シリコン単結晶基板にシリコンエピタキシャル層を成長させること、また、気相エッチングの際の塩化水素の流量は、基板のエッチング量が500nmになるものに設定する、という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0002】
通常の選択的エピタキシープロセス(selective epitaxy process)は,蒸着反応及びエッチング反応を伴う。蒸着及びエッチング反応は多結晶層及びエピタキシャル層に対して僅かに相違する反応速度で同時に発生する。蒸着プロセス中に,少なくとも一つの第2層の上に従来の多結晶層及び/又は非結晶層が蒸着される間,エピタキシャル層は単結晶の表面上に形成される。しかし,蒸着された多結晶層は一般にエピタキシャル層より速い速度でエッチングされる。よって,腐食ガスの濃度を変化させることでネット選択的プロセス(net selective process)がエピタキシー材料の蒸着,及び制限された又は制限されていない多結晶材料の蒸着をもたらす。例えば,選択的エピタキシープロセスは,蒸着物をスペーサー上に残すことなく,単結晶シリコンの表面上にシリコン含有材料のエピ層(epilayer)の形成をもたらす。」

「【0058】
エピタキシャル装置はガス供給ユニットを更に含み,ガス供給ユニットは供給ノズルユニット332及び排気ノズルユニット334を具備する。供給ノズルユニット332は複数の供給管332a及び複数の供給ノズル332bを具備し,供給ノズル332bは供給管332aにそれぞれ連結される。それぞれの供給ノズル332bは円形の管状であり,供給口332cは供給ノズル332bの先端に位置して反応ガスは供給口332cを介して吐出される。供給口332cは円形の断面を有し,図9に示したように供給ノズル332bは供給口332cの高さがそれぞれ異なるように配置される。
【0059】
供給管332a及び供給ノズル332bは外部反応チューブ312aの内部に位置する。供給管332aは上下に延長され,供給ノズル332bは前記供給管332aに対してそれぞれほぼ垂直に配置される。供給口332cは内部反応チューブ314の内側に位置し,それによって供給口332cを介して吐出された反応ガスは内部反応チューブ314内部の反応領域に集中される。内部反応チューブ314は複数の貫通孔374を有し,供給ノズル332bの供給口332cは貫通孔374を介してそれぞれ内部反応チューブ314の内側に配置される。
【0060】
図11は,図1に示した供給ノズルの配置と熱電対の配置を示す断面図である。図11に示したように,供給ノズル332bは円形の断面である供給口332cをそれぞれ有する。供給ノズル332bの供給口332cは内部反応チューブ314の内壁に沿って円周方向に配置され,それぞれ互いに異なる高さに位置する。基板ホルダ328が処理位置に移動すると,供給ノズル332bは基板ホルダ328の上に置かれた基板Sに向かってそれぞれ反応ガスを噴射する。この際,供給口332cの高さはそれぞれの基板Sの高さとほぼ一致する。図9に示したように,供給ノズル332bは支持フランジ442に形成された供給ライン342を介してそれぞれ反応ガスソース(図示せず)と連結される。
【0061】
反応ガスソースは蒸着用ガス(及びキャリアガス)又はエッチング用ガス(及びキャリアガス)を供給する。蒸着用ガスはシラン,ハロゲン化シランを含む。シランはシラン(SiH_(4)),ジシラン(Si_(2)H_(6)),トリシラン(Si_(3)H_(8))及びテトラシラン(Si_(4)H_(10))のように,実験式Si_(x)H_((2X+2))を有する高級(Higher)シランなどを含む。ハロゲン化シランはヘキサクロロシラン(Si_(2)Cl_(6)),テトラクロロジシラン(SiCl_(4)),ジクロロシラン(Cl_(2)SiH_(2))及びトリクロロシラン(Cl_(3)SiH)のように,実験式X’_(y)Si_(x)H_((2X+2?y))を有する化合物を有し,ここでX’=F,Cl,Br又はIである。エッチング用ガスは塩素(Cl_(2)),塩化水素(HCl),三塩化ホウ素(BCl_(3)),四塩化炭素(CCl_(4)),三フッ化塩素(ClF_(3))及びそれらの組み合わせを含む。キャリアガスは窒素(N_(2)),水素(H_(2)),アルゴン,ヘリウム及びそれらの組み合わせを含む。選択的エピタキシープロセス(selective epitaxy process)は蒸着反応及びエッチング反応を伴う。本実施例では図示していないが,エピタキシー層がドーパントを含むことが要求される場合,ドーパント含有ガス(例えば,アルシン(AsH_(3)),ホスフィン(PH_(3))及び/又はジボラン(B_(2)H_(6)))が供給される。」

「【0072】
上述したように,エピタキシー層は化学気相蒸着によって行われる。基板は処理温度下で反応ガス(蒸着用ガス)に露出され,反応ガスは処理温度下で活性化されて基板の上にエピタキシー層を形成する。蒸着ステップは基板Sの非晶質及び/又は多結晶性表面の上に多結晶性層を形成しながら基板の単結晶性表面の上にエピタキシャル層を形成する。また,基板Sが反応ガス(エッチング用ガス)に露出されることで基板Sの表面がエッチングされる。エッチングステップはエピタキシャル層の縁部分のみを残しながら多結晶性層を最小化するか又は完全に除去する。」

「【0093】
一方,上述した実施例とは異なりエピタキシー層はプラズマを利用した化学気相蒸着によって行われてもよく,処理空間に対する加熱処理を省略してもよい。基板Sが反応ガス(蒸着用ガス)に露出された状態で側部アンテナ325及び上部アンテナ329を介して電界を生成して反応ガスを活性化させ,それにより基板上にエピタキシー層を形成する。また,基板Sが反応ガス(エッチング用ガス)に露出された状態で側部アンテナ325及び上部アンテナ329を介して電界を生成して反応ガスを活性化させ,それにより基板Sの表面をエッチングする。」

したがって、引用文献3には、選択的エピタキシープロセスにおける、エッチングステップにおいて利用するエッチング用ガスとして、塩素、塩化水素、三塩化ホウ素、四塩化炭素、三フッ化塩素及びそれらの組み合わせを用いる、という技術的事項が記載されていると認められる。

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0001】
本発明は、半導体装置およびエピタキシャル半導体層を選択的に形成する方法を用いたその製造の分野に関する。
【0002】
更に、本発明は、選択エピタキシャル成長(SEG)を用いた半導体装置の改良された製造方法に関する。」

「【0008】
低い温度における、SEGプロセスの選択性(SEG中に、材料はベア基板の上には成長/堆積するが、絶縁体/誘電体材料の上には成長/堆積しないことを意味する)は、例えばSiH_(4)とHCl、またはHClを含むまたは含まないSiH_(2)Cl_(2)(DCS)、を含む塩素混合物について示されている。かかる塩素成分は、絶縁体表面から、核の大きさが臨界に達する前に核を除去することができる。絶縁体表面でSi核形成が無い場合、選択性が増加する。」

「【0012】
このように、SEGプロセスの選択性は、絶縁体材料の選択、堆積される方法、およびSEG前の工程により影響されるため、SEGに先立つ工程の変化や汚染に対して、より強いSEGプロセスを提供することが望まれる。」

「【0019】
本発明によれば、かかるプロセスは、選択エピタキシャル成長を開始する工程に先立って、反応チャンバ中で、可能であれば第2キャリアガスと共にハロゲン含有エッチングガスを導入して、基板の表面にその場前処理が行われることを特徴とする。」

「【0025】
好適には、ハロゲン含有エッチングガスは、FまたはClを含有するガスであり、更に好適には、HClガス、Cl_(2)ガス、希釈されたHClガス、および希釈されたCl_(2)ガスのようなCl含有ガス、または他のフッ素含有ガス、またはそれらの混合ガスである。」

したがって、引用文献4には、選択エピタキシャル成長を開始する工程に先立って、反応チャンバ中で、HClガス、Cl_(2)ガス、希釈されたHClガス、および希釈されたCl_(2)ガスのようなCl含有ガス、または他のフッ素含有ガス、またはそれらの混合ガスを導入して、基板の表面を前処理する、という技術的事項が記載されていると認められる。

5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0001】
本発明は、半導体シリコンウエハなどの基板を処理する基板処理装置、基板処理方法、および基板上に集積回路等の半導体装置を形成する半導体装置(半導体デバイス)の製造方法に関し、特に、基板表面の自然酸化膜や有機汚等の汚染物質を除去し、基板表面に良好なエピタキシャル膜を成長することに関するものである。さらに詳しくは、半導体基板とエピタキシャル膜との間に、高品質な界面を形成する技術に関するものである。」

「【0036】
〈ガス供給及び排気〉 第1のガス供給源180、第2のガス供給源181、および第3のガス供給源182からは、それぞれ処理ガスとしてシラン系ガス(SiH_(4)又はSi_(2)H_(6))、塩素ガス(Cl_(2))、および水素ガス(H_(2))が供給される。所望の流量となるようにMFC183、184、185の開度が調節された後、バルブ176、177、178が開かれ、それぞれの処理ガスがガス供給管232を流通して、処理室201の上部から処理室201内に導入される。導入されたガスは、処理室201内を通り、ガス排気管231から排気される。
【0037】
〈前処理〉 ここで、ウエハ200の表面の前処理と炉内温度調整は並行して行われる。炉内温度調整とは、ウエハ200が処理室201内に挿入される時の温度から成膜時の温度までの昇温段階と、処理室201内およびウエハ200が該成膜温度で安定する段階を含んでいる。前処理にはシラン系ガスと塩素ガスと水素ガスを混合して用いる。前処理を行なうことにより、ウエハ200の表面の界面酸素・炭素密度を低減することができ、ウエハ200と堆積膜との間に高品質な界面を形成することが可能となる。
【0038】
〈エピ成膜〉 前処理が完了し、成膜温度で温度が安定になれば、直ちにエピタキシャル成膜工程に移行する。なお、前処理終了後、必要に応じ処理炉内の残留ガスを水素等のキャリアガスにより除去後に成膜処理に移行する。処理炉内には常に水素ガスを流し排気系からの逆拡散による汚染を防止する。」

「【0044】
〈清浄なシリコン表面を作りだすメカニズム〉 ここで、前処理であるウエハ200の表面上の残留酸化膜除去、清浄なシリコン表面を作りだすメカニズムについて説明する。
(SiH_(4)、Cl_(2)の役割)
ウエハ200に希釈フッ酸洗浄、純水リンス、乾燥等の処理を施した後に、ウエハ200のシリコン表面に水素終端が形成され、表面シリコンの酸化が遅くなる。ただし、この状態でも表面に吸着水分および一部自然酸化膜が残っている。
ここで、前処理工程を実行しない場合、ウエハ200を処理室201内に挿入すると、ウエハの温度上昇により450?500℃付近で表面の水素終端が脱離され、剥き出し無保護な表面シリコンが露出してしまう。そして、処理室201内に残留する酸素、水分分子が吸着してしまい、一層もしくは一層以下の自然酸化膜が表面に形成されてしまう。
一方、前処理工程を実行した場合は、処理室201内の温度が200℃の低温の状態でウエハ200を処理室201内に挿入し、ウエハ200表面の水素終端が脱離(450?500℃以下)する前に、SiH_(4)とCl_(2)とH_(2)の混合ガスを速やかに流し、SiH_(4)分子と水分、酸素との極めて高い反応性を利用して、炉内の残留酸素、水分量を除去、もしくは大幅に低減する。これにより、ウエハ200表面のシリコン原子への吸着、酸化が防げる。同時にCl_(2)ガスによるシリコンのエッチング効果を利用して、エッチングされた最表面のシリコンと共に最表面の残留自然酸化膜が除去される。 即ち、本実施の形態で適用される前処理では、炉内の残留酸素と水分除去、もしくはこれらの大幅な低減と、最表面のシリコン原子のエッチングの二つの要素による複合的な除去が行なわれており、より効率の良い除去が行なわれるものである。」

したがって、引用文献5には、エピタキシャル成膜工程の前に、シラン系ガス、塩素ガス、水素ガスを炉内に導入し、シラン系ガスにより炉内の残留酸素、水分量を除去、もしくは、大幅に低減し、また、塩素ガスによるエッチング効果を利用して、ウエハの最表面のシリコンと残留自然酸化膜を除去する、という技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「単結晶シリコン基板」、「シリコンのエピタキシャル層」、「半導体基板」は、それぞれ、本願発明1における「シリコン単結晶基板」、「シリコンエピタキシャル層」、「エピタキシャルウェーハ」に相当する。
したがって、引用発明における「単結晶シリコン基板上にシリコンのエピタキシャル層を形成する半導体基板の製造方法」は、「CVD法によりシリコンのエピタキシャル層を析出させる」ものであるから、本願発明1における「シリコン単結晶基板の主表面上にシリコンエピタキシャル層を気相成長させるエピタキシャルウェーハの製造方法」に対応する。

イ 本願発明1における「その気相成長に先立って、反応炉内に前記シリコン単結晶基板を保持した状態で、塩素系ガスとシリコン源とを同時に供給し、且つ、基板温度を1000℃?1200℃の範囲とし、且つ、前記同時に供給する塩素系ガスを単体で供給した際のエッチング量と、前記同時に供給するシリコン源を単体で供給した際のデポジション量とがそれぞれ0.5μm以上となる条件で前処理を行う」ことと、引用発明における「単結晶シリコン基板を、エピタキシャル反応器中で、ガス状のHCl及びシランソースの存在下で、1050?1150℃の温度で前処理し、前処理された単結晶シリコン基板にエピタキシャル層を析出する」ことを対比する。
引用発明における「エピタキシャル反応器」は、本願発明1における「反応炉」に相当する。また、引用発明における「前処理」は、「エピタキシャル反応器中で」行うものであるから、引用発明の「前処理」において、「単結晶シリコン基板」は「エピタキシャル反応器中」に保持されていると認められる。
引用発明における「ガス状」の「HCl」及び「シランソース」は、それぞれ、本願発明1における「塩素系ガス」、「シリコン源」に相当する。
引用発明は、「基板」を「1050?1150℃の温度」で「前処理」するものである。本願発明1においては「基板温度を1000℃?1200℃の範囲」とするものであるから、引用発明における「基板」の温度範囲は、本願発明1の記載の温度範囲に含まれるものである。
よって、本願発明1と引用発明とは、「その気相成長に先立って、反応炉内に前記シリコン単結晶基板を保持した状態で、塩素系ガスとシリコン源とを同時に供給し、且つ、基板温度を1000℃?1200℃の範囲とし」て、「前処理を行う」点で一致する。

ウ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「シリコン単結晶基板の主表面上にシリコンエピタキシャル層を気相成長させるエピタキシャルウェーハの製造方法において、その気相成長に先立って、反応炉内に前記シリコン単結晶基板を保持した状態で、塩素系ガスとシリコン源とを同時に供給し、且つ、基板温度を1000℃?1200℃の範囲として、前処理を行うエピタキシャルウェーハの製造方法。」

(相違点)
本願発明1においては、「前処理」を「前記同時に供給する塩素系ガスを単体で供給した際のエッチング量と、前記同時に供給するシリコン源を単体で供給した際のデポジション量とがそれぞれ0.5μm以上となる条件」で行うものであるのに対し、引用発明はそのような特定はなされていない点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
ア 引用発明は、「HClによるエッチングと、シランソースによるケイ素の析出が平衡状態となり、基板の厚さが本質的に変化しない」ものである。引用発明における技術思想は、エッチングと析出とを平衡状態にするということであり、「エッチング量」と「析出量」(本願発明1の「デポジション量」に相当する。)の大きさを定めるという技術思想は引用文献1には記載されていない。
したがって、当業者といえども、引用発明に基づいて、上記相違点にかかる本願発明1の、「前処理」を「前記同時に供給する塩素系ガスを単体で供給した際のエッチング量と、前記同時に供給するシリコン源を単体で供給した際のデポジション量とがそれぞれ0.5μm以上となる条件」で行う、という構成を容易に想到することはできない。

よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

イ 上記第4の2に記載のとおり、引用文献2には、「シリコン単結晶基板の主表面に対して塩化水素ガスにより気相エッチングを施し」、「その後、当該シリコン単結晶基板にシリコンエピタキシャル層を成長させる」、という技術的事項が記載されてものの、「シリコン単結晶基板の主表面に対して塩化水素ガスにより気相エッチングを施」すことは、本願発明1のように「塩素系ガス」と「シリコン源」を同時に供給するものではない。よって、引用文献2には、前処理において塩素系ガスとシリコン源を同時に供給した場合において、それぞれのガスの供給を、ガスを単体で供給した場合のエッチング量またはデポジション量が所定の数値範囲となるようにする、という技術的事項は記載されていない。
したがって、当業者といえども、引用発明と引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、上記相違点に係る本願発明1の、「前処理」を「前記同時に供給する塩素系ガスを単体で供給した際のエッチング量と、前記同時に供給するシリコン源を単体で供給した際のデポジション量とがそれぞれ0.5μm以上となる条件」で行う、という構成を容易に想到することはできない。

よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明と引用文献2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

ウ 上記第4の3に記載のとおり、引用文献3に記載のエッチングステップは、エピタキシープロセスに先立って行うものではない。
上記第4の4に記載のとおり、引用文献4には、選択エピタキシャル成長を開始する工程に先立って、基板の表面を前処理することが記載されているものの、当該前処理は「HClガス、Cl_(2)ガス、希釈されたHClガス、および希釈されたCl_(2)ガスのようなCl含有ガス、または他のフッ素含有ガス、またはそれらの混合ガス」によって行うものであり、「シリコン源」を供給するものではないから、本願発明1のように「塩素系ガス」と「シリコン源」を同時に供給するものではない。よって、引用文献4には、前処理において塩素系ガスとシリコン源を同時に供給した場合において、それぞれのガスの供給量を、ガスを単体で供給した場合のエッチング量またはデポジション量が所定の数値範囲となるようにする、という技術的事項は記載されていない。
したがって、当業者といえども、引用発明と引用文献3?4に記載された技術的事項に基づいて、上記相違点に係る本願発明1の、「前処理」を「前記同時に供給する塩素系ガスを単体で供給した際のエッチング量と、前記同時に供給するシリコン源を単体で供給した際のデポジション量とがそれぞれ0.5μm以上となる条件」で行う、という構成を容易に想到することはできない。

よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明と引用文献3?4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

エ 上記第4の5に記載のとおり、引用文献5には、エピタキシャル成膜工程の前に、シラン系ガス、塩素ガス、水素ガスを炉内に導入することが記載されている。しかしながら、引用文献5には、シラン系ガスと塩素ガスの供給について、それぞれのガスを単体で供給した場合のエッチング量またはデポジション量が所定の数値範囲となるようにする、という技術的事項は記載されていない。また、そもそも、引用文献5においては、シラン系ガスは炉内の残留酸素、水分量を除去、もしくは、大幅に低減するためのものであるから、シラン系ガスのデポジション量を規定するという技術思想が存在しない。
したがって、当業者といえども、引用発明、引用文献2、引用文献5に記載された技術的事項に基づいて、上記相違点に係る本願発明1の、「前処理」を「前記同時に供給する塩素系ガスを単体で供給した際のエッチング量と、前記同時に供給するシリコン源を単体で供給した際のデポジション量とがそれぞれ0.5μm以上となる条件」で行う、という構成を容易に想到することはできない。

よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2、引用文献5に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

オ 以上のとおりであるから、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2?5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2?本願発明4について
本願発明2?本願発明4も、本願発明1の、「前処理」を「前記同時に供給する塩素系ガスを単体で供給した際のエッチング量と、前記同時に供給するシリコン源を単体で供給した際のデポジション量とがそれぞれ0.5μm以上となる条件」で行う、という同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2?5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1?本願発明4は、当業者が引用発明及び引用文献2?5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。



 
審決日 2021-07-07 
出願番号 特願2017-54338(P2017-54338)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 長谷川 直也  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 小川 将之
渡部 博樹
発明の名称 エピタキシャルウェーハの製造方法  
代理人 張川 隆司  
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