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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01R
管理番号 1375747
審判番号 不服2020-15787  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-16 
確定日 2021-07-27 
事件の表示 特願2018-120331「電気コネクタ」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月 9日出願公開、特開2020- 4512、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願は、平成30年6月26日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 5月25日付け:拒絶理由通知書
令和2年 7月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 8月21日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和2年11月16日 :審判請求書、手続補正書の提出


第2 原査定の概要
原査定の概要は以下のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1?9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2014-238929号公報
引用文献2:特開2017-50162号公報


第3 審判請求時の補正
1.令和2年11月16日に審判請求と同時にした手続補正(以下、「本件補正」という。)について
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。

「【請求項1】
電気部品を収容する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングと互いに嵌合され、前記第1ハウジングとともに前記電気部品を収容する第2ハウジングと、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを連結するレバーと、
前記第1ハウジングに移動可能に保持される第1インターロック部材と、
前記第2ハウジングに配置され、前記第1インターロック部材と嵌合することで前記電気部品が接続される電気回路を通電させる第2インターロック部材と、
第1方向の前記レバーの動きにより前記第1ハウジングと前記第2ハウジングを嵌合させる第1動作を実行し、前記第1動作を経て前記レバーの移動方向を前記第1方向とは異なる第2方向に規制する第1のカム機構と、
前記第2方向の前記レバーの動きを、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合方向の動きに変換して、前記第1インターロック部材を前記第2インターロック部材に嵌合させる第2動作を実行する第2のカム機構と、を備え、
前記第2のカム機構は、
前記レバーに設けられた第2カムと、
前記第1インターロック部材に設けられ、前記第1ハウジングに前記嵌合方向に沿って形成された切り欠きに係合する第2カムフォロアと、から構成され、
前記第1ハウジングの内側には、前記第1インターロック部材を前記嵌合方向に移動可能に保持する受容部が形成され、
前記第1ハウジングは、少なくとも前記受容部において、前記嵌合方向の両側に開口を有し、
前記受容部の内部には、前記第1インターロック部材を係止し、前記嵌合方向に延びる片持ちの位置決め片が形成され、
前記第1インターロック部材は、ハウジング部を有し、
前記ハウジング部は、第1の側面に前記第2カムフォロアを有し、第2の側面には、前記位置決め片と当接しつつ前記第1インターロック部材を前記第2インターロック部材と嵌合しない位置に保持する位置決め突起を有し、
前記第1の側面は、前記第1ハウジングの前記切り欠きの周囲の壁により覆われ、
前記第2カムフォロアは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが嵌合したときに、前記切り欠きを介して前記第2カムに挿入され、
前記第2方向の前記レバーの動きによって、前記第2カムフォロアが前記切り欠きに沿って前記嵌合方向にガイドされることに伴い、前記位置決め突起が前記位置決め片を撓ませつつ乗り越え、前記位置決め片による前記位置決め突起の保持が解除されることで、前記第1インターロック部材が前記第2インターロック部材と嵌合する、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記レバーは、前記第1ハウジングに移動可能に支持され、
前記第1のカム機構は、
前記レバーに設けられた第1カムと、
前記第2ハウジングに設けられ、前記第1カムを摺動する第1カムフォロアと、を有する、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第1方向の動きは、前記レバーの第1位置から第2位置の回転であり、
前記第2方向の動きは、前記レバーの前記第2位置から第3位置の水平移動である、
請求項1または請求項2に記載の電気コネクタ。」

2.本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の記載は、令和2年7月30日に手続補正した特許請求の範囲の記載によって特定される次のとおりである。

「【請求項1】
電気部品を収容する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングと互いに嵌合され、前記第1ハウジングとともに前記電気部品を収容する第2ハウジングと、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを連結するレバーと、
前記第1ハウジングに移動可能に保持される第1インターロック部材と、
前記第2ハウジングに配置され、前記第1インターロック部材と嵌合することで前記電気部品が接続される電気回路を通電させる第2インターロック部材と、
第1方向の前記レバーの動きにより前記第1ハウジングと前記第2ハウジングを嵌合させる第1動作を実行し、前記第1動作を経て前記レバーの移動方向を前記第1方向とは異なる第2方向に規制する第1のカム機構と、
前記第2方向の前記レバーの動きを、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合方向の動きに変換して、前記第1インターロック部材を前記第2インターロック部材に嵌合させる第2動作を実行する第2のカム機構と、を備え、
前記第1のカム機構は、
前記レバーに設けられた第1カムフォロアと、
前記第2ハウジングに設けられ、前記第1カムフォロアが摺動する第1カムと、を有する、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記レバーは、前記第1ハウジングに移動可能に支持される、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第2のカム機構は、
前記レバーに設けられた第2カムと、
前記第1インターロック部材に設けられた第2カムフォロアと、を有する、
請求項1または請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記第2カムフォロアは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが嵌合したときに、前記第2カムに挿入される、
請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記第1ハウジングは、前記第1インターロック部材を係止する位置決め部材を有し、
前記第1インターロック部材は、前記第1動作のときに、前記位置決め部材により前記第2インターロック部材と嵌合しない位置に保持される、
請求項3または請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
電気部品を収容する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングと互いに嵌合され、前記第1ハウジングとともに前記電気部品を収容する第2ハウジングと、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを連結するレバーと、
前記第1ハウジングに移動可能に保持される第1インターロック部材と、
前記第2ハウジングに配置され、前記第1インターロック部材と嵌合することで前記電気部品が接続される電気回路を通電させる第2インターロック部材と、
第1方向の前記レバーの動きにより前記第1ハウジングと前記第2ハウジングを嵌合させる第1動作を実行し、前記第1動作を経て前記レバーの移動方向を前記第1方向とは異なる第2方向に規制する第1のカム機構と、
前記第2方向の前記レバーの動きを、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合方向の動きに変換して、前記第1インターロック部材を前記第2インターロック部材に嵌合させる第2動作を実行する第2のカム機構と、を備え、
前記第2のカム機構は、
前記レバーに設けられた第2カムと、
前記第1インターロック部材に設けられ、前記第1ハウジングに前記嵌合方向に沿って形成された切り欠きに係合する第2カムフォロアと、を有し、
前記第2カムフォロアは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが嵌合したときに、前記切り欠きを介して前記第2カムに挿入される、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項7】
前記レバーは、前記第1ハウジングに移動可能に支持され、
前記第1のカム機構は、
前記レバーに設けられた第1カムと、
前記第2ハウジングに設けられ、前記第1カムを摺動する第1カムフォロアと、を有する、
請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記第1ハウジングは、前記第1インターロック部材を係止する位置決め部材を有し、
前記第1インターロック部材は、前記第1動作のときに、前記位置決め部材により前記第2インターロック部材と嵌合しない位置に保持される、
請求項6または請求項7に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記第1方向の動きは、前記レバーの第1位置から第2位置の回転であり、
前記第2方向の動きは、前記レバーの前記第2位置から第3位置の水平移動である、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電気コネクタ。」

3.本件補正の適否
(1)請求項1について
ア 補正事項1
本件補正前の請求項6に「記第1ハウジングの内側には、前記第1インターロック部材を前記嵌合方向に移動可能に保持する受容部が形成され、
前記第1ハウジングは、少なくとも前記受容部において、前記嵌合方向の両側に開口を有し、
前記受容部の内部には、前記第1インターロック部材を係止し、前記嵌合方向に延びる片持ちの位置決め片が形成され」を付加する補正は、本件補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1ハウジング」について、上記のとおり限定を付加するものであって、本件補正前の請求項6に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項は、願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)の段落【0015】、【0018】、【0019】に記載されているから、上記補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。

イ 補正事項2
本件補正前の請求項6に「前記第1インターロック部材は、ハウジング部を有し、
前記ハウジング部は、第1の側面に前記第2カムフォロアを有し、第2の側面には、前記位置決め片と当接しつつ前記第1インターロック部材を前記第2インターロック部材と嵌合しない位置に保持する位置決め突起を有し、
前記第1の側面は、前記第1ハウジングの前記切り欠きの周囲の壁により覆われ」を付加する補正は、本件補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1インターロック部材」について、上記のとおり限定を付加するものであって、本件補正前の請求項6に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項は、当初明細書の段落【0019】、【0021】、【0023】、【0024】、【0040】に記載されているから、上記補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。

ウ 補正事項3
本件補正前の請求項6に「前記第2方向の前記レバーの動きによって、前記第2カムフォロアが前記切り欠きに沿って前記嵌合方向にガイドされることに伴い、前記位置決め突起が前記位置決め片を撓ませつつ乗り越え、前記位置決め片による前記位置決め突起の保持が解除されることで、前記第1インターロック部材が前記第2インターロック部材と嵌合する」を付加する補正は、本件補正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記第1インターロック部材を前記第2インターロック部材に嵌合させる第2動作」について、上記のとおり限定を付加するものであって、本件補正前の請求項6に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項は、当初明細書の段落【0047】、【0048】に記載されているから、上記補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。

(2)補正前の請求項1?5の削除について
本件補正前の請求項1?5を削除する補正は、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
また、上記補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。

そして、本件補正前の請求項6?9は、請求項7?9が、補正の対象である請求項6の記載を引用する関係にあるから、本件補正後の請求項1?3に係る発明は、特許法第17条の2第4項に規定する一群の発明に該当する。

上記のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項?第5項に規定する要件を満たすものである。

そして、補正後の請求項1?3に係る発明は、同法同条第6項で準用する同法第126条第7項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないので、以下、検討する。

4.独立特許要件について
(1)本願発明1?3について
本願の請求項1?3に係る発明(以下、「本願発明1」?「本願発明3」という。)は、令和2年11月16日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される、上記第3の1.のとおりである。

(2)引用文献に記載された事項及び引用発明
ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下同様。)。

(ア)「【0001】
本発明は、例えば電気自動車やハイブリッドカーにおいて、電源システムから供給される電力の伝達経路に組み込まれるコネクタ装置に関する。」

(イ)「【0020】
本発明の実施の形態によるコネクタ装置は、図1に示される第1コネクタ100と、図14に示される第2コネクタ500とを備えている。図17乃至図29に示されるように、第1コネクタ100は、第2コネクタ500に対してZ方向(第1所定方向:上下方向)に沿って嵌合可能なものである。
【0021】
図1乃至図5に示されるように、第1コネクタ100は、絶縁体からなる第1ハウジング110と、導電体からなる第1電源端子170とを備えている。第1コネクタ100には、第1検知コネクタ200が相対移動可能な状態で組み込まれており、且つ、絶縁体からなる操作部材300が相対移動可能となるように取り付けられている。詳しくは、操作部材300は、第1操作と第2操作とが可能となるように、第1コネクタ100に取り付けられている。ここで、第1操作とは、操作部材300を第1コネクタ100に向けて倒す操作であり、第2操作とは、操作部材300を第1コネクタ100に対してY方向(第2所定方向:前後方向)に沿って移動させる操作である。
【0022】
図5に示されるように、第1ハウジング110は、主部120と、主部120の+Z側(上側)を覆うカバー125とを備えている。主部120には、被ガイド突起130と、収容部140と、仮保持部142と、規制溝144と、外れ防止突起146と、仮防止部148と、防止部150とが形成されている。被ガイド突起130は、X方向(第3所定方向:左右方向)において主部120の両側(両側面)に形成されており、X方向の外側に向かって突出している。収容部140は、第1ハウジング110の-Y側(後側)に設けられている。収容部140は、Z方向に沿って移動可能な状態で第1検知コネクタ200を収容するためのものである。仮保持部142は、+Y側(前方)に突出した突起からなるものであり、収容部140の+Z側端部(上端)に位置している。規制溝144は、X方向内側に凹むと共にY方向(第2所定方向:前後方向)に延びる溝であり、仮保持部142の+Z側(上側)に位置している。規制溝144は、収容部140と部分的に繋がっている。外れ防止突起146は、収容部140の-Z側端部(下端)近傍において+Y側(前方)に突出している。仮防止部148は、主部120の両側面に形成された段差からなるものである。防止部150は、主部120の両側面に形成されており、X方向の外側に向かって突出している。仮防止部148は、Y方向において、被ガイド突起130と防止部150との間に位置している。防止部150は、Y方向において、仮防止部148と収容部140との間に位置している。」

(ウ)「【0024】
図5に示されるように、第1検知コネクタ200は、絶縁体からなる第1検知ハウジング210と、導電体からなる第1検知端子240とを備えている。第1検知ハウジング210は、Z方向に移動可能となるように、収容部140に収容されている。第1検知端子240は、第1検知ハウジング210に保持固定されている。
【0025】
ここで、第1ハウジング110に対する第1検知コネクタ200の+Z側の限界位置(上端位置)を第1位置といい、第1検知コネクタ200の-Z側の限界位置(下端位置)を第2位置という。即ち、第1検知コネクタ200は、第1ハウジング110に対してZ方向に沿って第1位置と第2位置との間で相対移動可能となっている。なお、第1検知コネクタ200が第1位置にあるとき、第1コネクタ100と第2コネクタ500とが嵌合したとしても後述する第2検知コネクタ600とは嵌合することができない。
【0026】
図5に示されるように、第1検知ハウジング210は、第2カム突起212と、弾性支持部214と、仮保持突起216と、弾性支持部218と、第1位置補正突起220とを有している。加えて、図9に示されるように、第1検知ハウジング210は、突当部222と、アーム224とを有している。
【0027】
図5に示されるように、第2カム突起212は、第1検知ハウジング210の+Z側端部(上端)において+X方向に突出している。
【0028】
図5に示されるように、弾性支持部214は、-Y側(後方)に位置しており、一端を自由端として+Z側(上方)に向かって延びている。仮保持突起216は、-Y側(後方)に向かって突出した突起であり、弾性支持部214に支持されている。仮保持突起216は、弾性支持部214の弾性変形を利用してYZ平面内において移動することができる。図17及び図20に示されるように、第1検知コネクタ200が第1位置にあるとき、仮保持突起216は仮保持部142の+Z側(上側)に位置している。このため、仮保持部142が仮保持突起216と干渉し、それによって、第1検知コネクタ200は第1位置に維持される。第1検知コネクタ200に対して-Z方向(下方)に向かう力が加えられた場合には、弾性支持部214が撓んで仮保持部142と仮保持突起216との干渉が解除され、仮保持突起216が仮保持部142を乗り越えることにより、第1検知コネクタ200は第2位置に向かうことが可能となる。逆に、例えば第1検知コネクタ200が第2位置にあるときのように仮保持突起216が仮保持部142よりも-Z側(下側)にあるとき、第1検知コネクタ200に対して+Z方向(上方)に向かう力が加えられると、仮保持部142の-Z側(下側)に仮保持突起216が押し当てられて弾性支持部214が撓み、仮保持突起216が仮保持部142を乗り越えることにより、第1検知コネクタ200は第1位置に位置することができる。
【0029】
図5に示されるように、弾性支持部218は、両端を固定され且つZ方向(上下方向)に沿って延びている。第1位置補正突起220は、弾性支持部218のZ方向の中ほどから+X側に突出している。第1位置補正突起220は、弾性支持部218の弾性変形を利用してXZ平面内において移動することができる。弾性支持部218と第1位置補正突起220の動作及び機能については後述する。」

(エ)「【0031】
図1乃至図5に示されるように、操作部材300には、ガイド溝310と、第1カム溝320と、第2カム溝330と、ロック部340とが形成されている。また、図2及び図6に示されるように、操作部材300には、被規制部350も形成されている。図1及び図2から理解されるように、ガイド溝310及び第1カム溝320はそれぞれ2つ形成されている。また、図6及び図7から理解されるように、ロック部340も2つ形成されている。」

(オ)「【0035】
また、図4に最も良く示されるように、第2カム溝330は、操作部材300が立っている又は起こされている状態においてZ方向及びY方向と斜交する方向に延びる部位を有している。詳しくは、第2カム溝330のうちの斜交する部位は、操作部材300が立っている又は起こされている状態においてZ方向において被ガイド突起130から離れるに連れて-Y側に向かっている。即ち、図24、図30及び図34に示されるように、操作部材300が倒された状態においては、第2カム溝330のうちの斜交する部位は、Y方向において被ガイド突起130から離れるに連れて-Z側(下側)に向かっている。この構造により、第2カム突起212を受容した第2カム溝330は、第2操作の際に操作部材300のY方向(第2所定方向)への移動を第2カム突起212に対してZ方向(第1所定方向)への移動(特に、-Z方向(下方)への移動)として伝達する。」

(カ)「【0039】
図14乃至図16を参照すると、第2コネクタ500は、絶縁体からなる第2ハウジング510と、導電体からなる第2電源端子550とを備えている。また、第2コネクタ500には、第2検知コネクタ600が組み込まれている。本実施の形態による第2検知コネクタ600は、第1検知コネクタ200とは異なり、第2ハウジング510に組み込まれ固定されている。即ち、第2検知コネクタ600は、第2ハウジング510に対して相対移動することができない。更に、図16及び図19から理解されるように、第2コネクタ500の底部500L、即ち、第2ハウジング510の底部510Lにはカラー560が取り付けられている。カラー560は、第2コネクタ500をパネル(図示せず)に固定する際に、ボルト(図示せず)等が挿入され、第2コネクタ500を固定させるために用いられる。」

(キ)「【0042】
図14乃至図16に示されるように、第2ハウジング510には、X方向の内側に向かって突出した第1カム突起520と、+Z方向に向かって延びる棒状のロック解除部540とが形成されている。また、図39、図41及び図43に示されるように、第2ハウジング510には、X方向の内側に突出した第2位置補正突起530も形成されている。第2位置補正突起530は、第2電源端子550よりも第2検知コネクタ600に近い位置に形成されている。
【0043】
図20、図23及び図27に示されるように、第1カム突起520は、操作部材300の第1カム溝320に受容される部位である。第1カム溝320と被ガイド突起130の上述した位置関係に起因して、第1カム突起520と被ガイド突起130との距離は、第1操作の前よりも第1操作の後の方が短くなる。そのため、第1操作を行うと、Z方向において第1コネクタ100を第2コネクタ500に対して近づけることができ、それによって、第1コネクタ100を第2コネクタ500に嵌合させて第1電源端子170を第2電源端子550と接続することができる。」

(ク)「【0047】
そこで、本実施の形態においては、第1コネクタ100と第2コネクタ500との嵌合前の状態において第1検知コネクタ200が第1位置に位置していない場合であっても、第1操作の際に第1位置補正突起220及び第2位置補正突起530がZ方向において互いに干渉し合って第1検知端子240と第2検知端子630とが接続してしまわないように、第1位置補正突起220及び第2位置補正突起530が設けられている。
【0048】
より具体的には、本実施の形態においては、第1コネクタ100と第2コネクタ500との嵌合前の状態において第1検知コネクタ200が第1位置に位置していない場合、第1位置補正突起220の-Z側(下側)に位置する第2位置補正突起530が、第1操作によって第1位置補正突起220と干渉して、第1検知コネクタ200を第1位置に向けて移動させる。」

(ケ)「【0051】
まず、図17乃至図20に示されるように、第2コネクタ500に対して第1コネクタ100を挿入する。この時点では、図19に示されるように、第1電源端子170と第2電源端子550とは接続されていない。また、図20に示されるように、第1カム突起520は第1カム溝320に受容されている。更に、図6及び図7と図14及び図15から理解されるように、ロック部340による操作部材300のロックが解除され、操作部材300を倒すことが可能となっている。
【0052】
次いで、操作部材300を倒す第1操作を行うと、図21乃至図23に示される状態を経由して図24乃至図29に示される状態に至る。図20、図23及び図27に示されるように、第1カム突起520は、第1操作の間、第1カム溝320内を移動し、それによって第1カム溝320から-Z側(下側)に向かう力を受ける。このため、第1コネクタ100は第2コネクタ500に対して-Z方向に向かって相対移動し、第1コネクタ100と第2コネクタ500の嵌合がなされ、図22及び図26から理解されるように、第1電源端子170が第2電源端子550と接続する。
【0053】
その後、操作部材300を水平移動させる第2操作を行うと、図30乃至図33に示される状態を経由して図34乃至図37に示される状態に至る。この第2操作の間は、図33に示されるように、被規制部350が規制溝144内に挿入されていることから、操作部材300を起こす又は立てることができない。
【0054】
図28、図32及び図36に示されるように、第2カム突起212は、第2操作の間、第2カム溝330内を移動し、それによって第2カム溝330から-Z側(下側)に向かう力を受ける。このため、第1検知コネクタ200は第2検知コネクタ600に対して-Z方向に向かって相対移動し、第1検知コネクタ200と第2検知コネクタ600との嵌合がなされ、図31及び図35から理解されるように、第1検知端子240が第2検知端子630に接続される。これにより、第1電源端子170及び第2電源端子550に電流が流される。」

(コ)「【0056】
ここで、図38及び図39に示されるように、第1コネクタ100と第2コネクタ500との嵌合前の状態において第1検知コネクタ200が第1位置に位置していない場合であっても、上述したように本実施の形態においては第1操作中に第1検知端子240が第2検知端子630に接続されてしまうことを避けることができる。具体的には、図38及び図39に示されるように、第1コネクタ100を第2コネクタ500に挿入した時点で、第1位置補正突起220が第2位置補正突起530と干渉して第1検知コネクタ200は第1ハウジング110に対して+Z方向(上方)に相対移動する。これにより、第1検知端子240と第2検知端子630との接触を避けることができる。更に、図40及び図42に示されるように、操作部材300を倒していくと、第1位置補正突起220が第2位置補正突起530と干渉していることから第1ハウジング110(第1コネクタ100)のみが-Z方向(下側)に移動する。その結果、第1検知コネクタ200は第1ハウジング110に対して+Z方向(上方)に相対移動し続け、第1位置に復帰することができる。」

(サ)「【図3】



(シ)「【図4】



(ス)「【図9】



(セ)「【図14】



(ソ)「【図16】



(タ)「【図27】



(チ)摘記事項(ス)の【図9】より、第1電源端子170は、第1ハウジング110に収容されていることが看取できる。

(ツ)摘記事項(セ)の【図14】及び摘記事項(ソ)の【図16】より、第2電源端子550は、第2ハウジング510に収容されていることが看取できる。

(テ)摘記事項(タ)の【図27】より、第1カム溝320は、第1操作の後、操作部材300を水平移動させるように規制していることが看取できる。

摘記事項(ア)?(タ)並びに認定事項(チ)?(テ)から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「第1電源端子170を収容する第1コネクタ100の第1ハウジング110と、
第1コネクタ100の第1ハウジング110と嵌合がなされ、第2電源端子550を収容する第2コネクタ500の第2ハウジング510と、
第1コネクタ100の第1ハウジング110を第2コネクタ500の第2ハウジング510に嵌合させる操作部材300と、
第1コネクタ100の第1ハウジング110に相対移動可能な状態で組み込まれている第1検知コネクタ200と、
第2コネクタ500の第2ハウジング510に組み込まれ、第1検知コネクタ200と第2検知コネクタ600との嵌合がなされることにより、第1電源端子170及び第2電源端子550に電流が流される、第2検知コネクタ600と、
操作部材300を倒す第1操作を行うと、第1コネクタ100の第1ハウジング110と第2コネクタ500の第2ハウジング510の嵌合がなされ、第1操作の後、操作部材300を水平移動させるように規制する第1カム溝320及び第1カム突起520と、
操作部材300を水平移動させる第2操作を行うと、第1検知コネクタ200は第2検知コネクタ600に対して-Z方向に向かって相対移動し、第1検知コネクタ200と第2検知コネクタ600との嵌合がなされる第2カム突起212及び第2カム溝330と、を備え、
第2カム溝330は操作部材300に形成され、
第2カム突起212は第1検知コネクタ200が有しており、
第1コネクタ100の第1ハウジング110には、Z方向に沿って移動可能な状態で第1検知コネクタ200を収容する収容部140が設けられ、
収容部140の+Z側端部(上端)に位置し、+Y側(前方)に突出した突起からなる仮保持部142が形成され、
第1検知コネクタ200は第1検知ハウジング210を備え、
第1検知ハウジング210は、+Z側端部(上端)において+X方向に突出している第2カム突起212と、-Y側(後方)に位置しており、一端を自由端として+Z側(上方)に向かって延びている弾性支持部214と、-Y側(後方)に向かって突出した突起であり、弾性支持部214に支持されている仮保持突起216を有し、仮保持部142が仮保持突起216と干渉し、それによって、第1検知コネクタ200は第1位置に維持され、
第2カム突起212は、操作部材300が倒された状態において、第2カム溝330を受容し、
第2カム突起212は、第2操作の間、第2カム溝330内を移動し、それによって第2カム溝330から-Z側(下側)に向かう力を受け、弾性支持部214が撓んで仮保持部142と仮保持突起216との干渉が解除され、仮保持突起216が仮保持部142を乗り越えることにより、第1検知コネクタ200は第2検知コネクタ600に対して-Z方向に向かって相対移動し、第1検知コネクタ200と第2検知コネクタ600との嵌合がなされる、
コネクタ装置。」

イ 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
本発明は、コネクタ装置に関し、特に、電気自動車やハイブリッドカーに取り付けられて、電源システムから供給される電力を中継するコネクタ装置に関する。」

(イ)「【0033】
図3に示されるように、本実施の形態によるコネクタ20は、絶縁性材料からなるハウジング200と、導電性材料からなる2つの主端子(電源端子)280と、絶縁性材料からなる第1操作部材(レバー)300と、絶縁性材料からなる第2操作部材(スライダ)400と、サブコネクタ500とを有している。」

(ウ)「【0038】
図3に示されるように、側壁部210の夫々には、突当部240と、受容部242と、支持軸254と、ガイド溝256とが設けられている。突当部240は、ハウジング200の前部202と後部204との境界付近で、側壁部210の後部前面216に前方(+X方向)へ突き出すように設けられている。受容部242は、ハウジング200の前部202と後部204との境界部分において、ハウジング200のZ方向における上端部から突当部240の周囲まで下方(-Z方向)へ延びている。支持軸254は、側壁部210の上端部の近傍に形成されている。支持軸254は、側壁部210からX方向外側に突出した円柱形状の部位(円柱部)と、円柱部の端部に鍔状に設けられた長円形状の部位(長円部)とを有している。長円部は、Z方向において短くY方向において長い。ガイド溝256は、側壁部210をX方向に貫通しつつZ方向に延びる溝である。ガイド溝256は、側壁部210の下方に開口している。」

(エ)「【0063】
図3に示されるように、サブコネクタ500のサブハウジング501は、2つの被作用部(第2カム突起)540と保持部550とを更に有している。被作用部540は、側壁部502の外面506に夫々形成されている。被作用部540は、外面506からX方向外側に延びる円柱形状を有している。保持部550は、X方向において側壁部502の間に位置している。」

(オ)「【0088】
図24に示されるように、第1嵌合操作後、サブコネクタ500が保持位置(図25における位置)に位置しているとき、第2カム突起540が第2カム溝450に受容されている。これにより、第2作用部450の壁面による被作用部540への押圧(作用)が許容される。第2カム突起540は、第2嵌合操作において第2作用部450の壁面によって押圧され、第2カム溝450内を移動する。同時に、第2カム突起540は、ガイド溝256内を移動する。このときサブコネクタ500は、保持位置から下方に移動する。第2操作部材400が第2位置(図31に示される位置と図36に示される位置の間の位置)に位置するとき、第2カム突起540は、第2カム溝450の2つの端部のうちの途中に位置する。このとき、サブコネクタ500は、接続位置に位置している。即ち、本実施の形態によるサブコネクタ500は、第2カム突起540が第2カム溝450内を移動することに加え、スライド突起440がスライド溝360内を移動することによって、保持位置から接続位置へ移動する。換言すれば、本実施の形態によれば、第2嵌合操作によってサブコネクタ500を保持位置から接続位置に移動させることが可能である。」

(カ)「【図1】



(キ)摘記事項(カ)の【図1】より、サブコネクタ500の第2カム突起540が設けられている側面は、ガイド溝256の周囲の壁により覆われていることが看取できる。

(3)対比・判断
ア 本願発明1について
(ア)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「第1電源端子170」、「第1コネクタ100の第1ハウジング110」は、本願発明1の「電気部品」、「第1ハウジング」に相当する。
引用発明の「第2電源端子550」、「第2コネクタ500の第2ハウジング510」は、本願発明1の「電気部品」、「第2ハウジング」に相当する。そして、引用発明の「第2電源端子550」は、「第1コネクタ100の第1ハウジング110」に収容された「第1電源端子170」と接続されるものであり、「第1電源端子170」は、「第1コネクタ100の第1ハウジング110」に収容されるものであるから、引用発明の「第2電源端子550を収容する」ことは、本願発明1の「前記第1ハウジングとともに前記電気部品を収容する」ことに相当する。
引用発明の「第1コネクタ100の第1ハウジング110を第2コネクタ500の第2ハウジング510に嵌合させる操作部材300」は、本願発明1の「前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを連結するレバー」に相当する。
引用発明の「第1コネクタ100に相対移動可能な状態で組み込まれている第1検知コネクタ200」は、本願発明1の「前記第1ハウジングに移動可能に保持される第1インターロック部材」に相当する。
引用発明の「第2検知コネクタ600」は、本願発明1の「第2インターロック部材」に相当し、引用発明の「第2検知コネクタ600」が「第2コネクタ500の第2ハウジング510に組み込まれ」、「第1検知コネクタ200と第2検知コネクタ600との嵌合がなされることにより、第1電源端子170及び第2電源端子550に電流が流される」ことは、本願発明1の「第2インターロック部材」が「前記第2ハウジングに配置され」、「前記第1インターロック部材と嵌合することで前記電気部品が接続される電気回路を通電させる」ことに相当する。
引用発明の「第1カム溝320及び第1カム突起520」は、本願発明1の「第1のカム機構」に相当する。また、引用発明の「操作部材300を倒す第1操作」は、本願発明1の「第1方向の前記レバーの動き」に相当するから、引用発明の「操作部材300を倒す第1操作を行うと、第1コネクタ100の第1ハウジング110と第2コネクタ500の第2ハウジング510の嵌合がなされ」ることは、本願発明1の「第1方向の前記レバーの動きにより前記第1ハウジングと前記第2ハウジングを嵌合させる第1動作を実行」することに相当する。そして、引用発明の「第1操作の後、操作部材300を水平移動させるように規制する」ことは、本願発明1の「前記第1動作を経て前記レバーの移動方向を前記第1方向とは異なる第2方向に規制する」ことに相当する。
引用発明の「第2カム突起212及び第2カム溝330」は、本願発明1の「第2のカム機構」に相当する。また、引用発明の「操作部材300を水平移動させる第2操作」は、本願発明1の「前記第2方向の前記レバーの動き」に相当する。また、引用発明の「-Z方向」は、「第1コネクタ100と第2コネクタ500の嵌合がなされ」る方向であるから(引用文献1の段落【0052】参照)、本願発明1の「前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合方向」に相当する。よって、引用発明の「操作部材300を水平移動させる第2操作を行うと、第1検知コネクタ200は第2検知コネクタ600に対して-Z方向に向かって相対移動し、第1検知コネクタ200と第2検知コネクタ600との嵌合がなされる」ことは、本願発明1の「前記第2方向の前記レバーの動きを、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合方向の動きに変換して、前記第1インターロック部材を前記第2インターロック部材に嵌合させる第2動作を実行する」ことに相当する。
引用発明の「第2カム溝330」は、本願発明1の「第2カム」に相当する。
引用発明の「第2カム突起212は第1検知コネクタ200が有して」いることは、「第2カムフォロア」が「第1インターロック部材に設けられ」ている限りにおいて、本願発明1の「前記第1インターロック部材に設けられ、前記第1ハウジングに前記嵌合方向に沿って形成された切り欠きに係合する第2カムフォロアと、から構成され」ていることに一致する。
引用発明の「Z方向に沿って移動可能な状態で第1検知コネクタ200を収容する収容部140」は、「Z方向」が、第1コネクタ100と第2コネクタ500が嵌合する方向であるから(引用文献1の段落【0020】参照)、本願発明1の「前記第1インターロック部材を前記嵌合方向に移動可能に保持する受容部」に相当する。
引用発明の「収容部140」における「+Y側(前方)」は、「収容部140」の内部に該当するから、引用発明の「収容部140の+Z側端部(上端)に位置し、+Y側(前方)に突出した突起からなる仮保持部142が形成され」ていることは、「受容部の内部には、第1インターロック部材を係止する位置決め部が形成され」ている限りにおいて、本願発明1の「前記受容部の内部には、前記第1インターロック部材を係止し、前記嵌合方向に延びる片持ちの位置決め片が形成され」ていることに一致する。
引用発明の「第1検知ハウジング210」は、本願発明1の「ハウジング部」に相当する。
引用発明の「第1検知ハウジング210」の「+X方向」の面は、本願発明1の「第1の側面」に相当し、引用発明の「第2カム突起212」は、本願発明1の「第2カムフォロア」に相当する。
引用発明の「第1検知ハウジング210」の「-Y側(後方)」の面は、本願発明1の「第2の側面」に相当する。また、引用発明の「第1位置」は、第1コネクタ100と第2コネクタ500とが嵌合したとしても第1検知コネクタ200と第2検知コネクタ600とは嵌合することができない位置であるから(引用文献1の段落【0025】参照)、本願発明1の「前記第2インターロック部材と嵌合しない位置」に相当する。よって、引用発明の「-Y側(後方)に位置しており、一端を自由端として+Z側(上方)に向かって延びている弾性支持部214と、-Y側(後方)に向かって突出した突起であり、弾性支持部214に支持されている仮保持突起216を有し、仮保持部142が仮保持突起216と干渉し、それによって、第1検知コネクタ200は第1位置に維持され」ていることは、「第2の側面には、位置決め片と当接しつつ第1インターロック部材を第2インターロック部材と嵌合しない位置に保持する位置決め部を有し」ている限りにおいて、本願発明1の「第2の側面には、前記位置決め片と当接しつつ前記第1インターロック部材を前記第2インターロック部材と嵌合しない位置に保持する位置決め突起を有し」ていることと一致する。
引用発明において、「操作部材300が倒された状態」は、「第1コネクタ100の第1ハウジング110と第2コネクタ500の第2ハウジング510の嵌合がなされ」た状態であるから、引用発明の「第2カム突起212は、操作部材300が倒された状態において、第2カム溝330を受容し」ていることは、「第2カムフォロアは、第1ハウジングと第2ハウジングが嵌合したときに、第2カムに挿入され」ている限りにおいて、本願発明1の「前記第2カムフォロアは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが嵌合したときに、前記切り欠きを介して前記第2カムに挿入され」ていることと一致する。
引用発明の「第2カム突起212は、第2操作の間、第2カム溝330内を移動し、それによって第2カム溝330から-Z側(下側)に向かう力を受け」ることは、「第2方向のレバーの動きによって、第2カムフォロアが嵌合方向にガイドされること」の限りにおいて、本願発明1の「前記第2方向の前記レバーの動きによって、前記第2カムフォロアが前記切り欠きに沿って前記嵌合方向にガイドされること」と一致する。また、引用発明の「弾性支持部214が撓んで仮保持部142と仮保持突起216との干渉が解除され、仮保持突起216が仮保持部142を乗り越えること」は、「ハウジング部の位置決め部が受容部の位置決め部を乗り越え、受容部の位置決め部によるハウジング部の位置決め部の保持が解除されること」の限りにおいて、本願発明1の「前記位置決め突起が前記位置決め片を撓ませつつ乗り越え、前記位置決め片による前記位置決め突起の保持が解除されること」と一致する。また、引用発明の「第1検知コネクタ200は第2検知コネクタ600に対して-Z方向に向かって相対移動し、第1検知コネクタ200と第2検知コネクタ600との嵌合がなされる」ことは、本願発明1の「前記第1インターロック部材が前記第2インターロック部材と嵌合する」ことに相当する。したがって、引用発明の「第2カム突起212は、第2操作の間、第2カム溝330内を移動し、それによって第2カム溝330から-Z側(下側)に向かう力を受け、弾性支持部214が撓んで仮保持部142と仮保持突起216との干渉が解除され、仮保持突起216が仮保持部142を乗り越えることにより、第1検知コネクタ200は第2検知コネクタ600に対して-Z方向に向かって相対移動し、第1検知コネクタ200と第2検知コネクタ600との嵌合がなされる」ことは、「第2方向のレバーの動きによって、第2カムフォロアが嵌合方向にガイドされることに伴い、ハウジング部の位置決め部が受容部の位置決め部を乗り越え、受容部の位置決め部によるハウジング部の位置決め部の保持が解除されることで、第1インターロック部材が第2インターロック部材と嵌合する」限りにおいて、本願発明1の「前記第2方向の前記レバーの動きによって、前記第2カムフォロアが前記切り欠きに沿って前記嵌合方向にガイドされることに伴い、前記位置決め突起が前記位置決め片を撓ませつつ乗り越え、前記位置決め片による前記位置決め突起の保持が解除されることで、前記第1インターロック部材が前記第2インターロック部材と嵌合する」と一致する。
引用発明の「コネクタ装置」は、本願発明1の「電気コネクタ」に相当する。

以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「電気部品を収容する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングと互いに嵌合され、前記第1ハウジングとともに前記電気部品を収容する第2ハウジングと、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを連結するレバーと、
前記第1ハウジングに移動可能に保持される第1インターロック部材と、
前記第2ハウジングに配置され、前記第1インターロック部材と嵌合することで前記電気部品が接続される電気回路を通電させる第2インターロック部材と、
第1方向の前記レバーの動きにより前記第1ハウジングと前記第2ハウジングを嵌合させる第1動作を実行し、前記第1動作を経て前記レバーの移動方向を前記第1方向とは異なる第2方向に規制する第1のカム機構と、
前記第2方向の前記レバーの動きを、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合方向の動きに変換して、前記第1インターロック部材を前記第2インターロック部材に嵌合させる第2動作を実行する第2のカム機構と、を備え、
前記第2のカム機構は、
前記レバーに設けられた第2カムと、
前記第1インターロック部材に設けられた第2カムフォロアと、から構成され、
前記第1ハウジングの内側には、前記第1インターロック部材を前記嵌合方向に移動可能に保持する受容部が形成され、
前記受容部の内部には、前記第1インターロック部材を係止する位置決め部が形成され、
前記第1インターロック部材は、ハウジング部を有し、
前記ハウジング部は、第1の側面に前記第2カムフォロアを有し、第2の側面には、前記位置決め部と当接しつつ前記第1インターロック部材を前記第2インターロック部材と嵌合しない位置に保持する位置決め部を有し、
前記第2カムフォロアは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが嵌合したときに、前記第2カムに挿入され、
前記第2方向の前記レバーの動きによって、前記第2カムフォロアが前記嵌合方向にガイドされることに伴い、前記ハウジング部の前記位置決め部が前記受容部の前記位置決め部を乗り越え、前記受容部の前記位置決め部による前記ハウジング部の前記位置決め部の保持が解除されることで、前記第1インターロック部材が前記第2インターロック部材と嵌合する、
電気コネクタ。」

【相違点1】
本願発明1では、「第2カムフォロア」が、「前記第1インターロック部材に設けられ、前記第1ハウジングに前記嵌合方向に沿って形成された切り欠きに係合する」ものであり、「ハウジング部」の「前記第1の側面は、前記第1ハウジングの前記切り欠きの周囲の壁により覆われ」ており、「前記第2カムフォロアは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが嵌合したときに、前記切り欠きを介して前記第2カムに挿入され」、「前記第2方向の前記レバーの動きによって、前記第2カムフォロアが前記切り欠きに沿って前記嵌合方向にガイドされる」のに対し、引用発明では、係る構成を備えていない点。

【相違点2】
本願発明1では、「前記第1ハウジングは、少なくとも前記受容部において、前記嵌合方向の両側に開口を有し」ているのに対し、引用発明では、係る構成を備えていない点。

【相違点3】
「ハウジング部の位置決め部」と「受容部の位置決め部」とに係る事項に関し、本願発明1では、「前記受容部の内部には、前記第1インターロック部材を係止し、前記嵌合方向に延びる片持ちの位置決め片が形成され」、「ハウジング部」は、「第2の側面には、前記位置決め片と当接しつつ前記第1インターロック部材を前記第2インターロック部材と嵌合しない位置に保持する位置決め突起を有し」、「前記位置決め突起が前記位置決め片を撓ませつつ乗り越え、前記位置決め片による前記位置決め突起の保持が解除される」のに対し、引用発明では、「収容部140の+Z側端部(上端)に位置し、+Y側(前方)に突出した突起からなる仮保持部142が形成され」、「第1検知ハウジング210は、+Z側端部(上端)において+X方向に突出している第2カム突起212と、-Y側(後方)に位置しており、一端を自由端として+Z側(上方)に向かって延びている弾性支持部214と、-Y側(後方)に向かって突出した突起であり、弾性支持部214に支持されている仮保持突起216を有し」、「弾性支持部214が撓んで仮保持部142と仮保持突起216との干渉が解除され、仮保持突起216が仮保持部142を乗り越える」点。

(イ)判断
上記相違点1について検討する。
4.(2)イで示したとおり、引用文献2には、絶縁性材料からなるハウジング200と、導電性材料からなる2つの主端子(電源端子)280と、絶縁性材料からなる第1操作部材(レバー)300と、絶縁性材料からなる第2操作部材(スライダ)400と、サブコネクタ500とを有しているコネクタ20において、ハウジング200の側壁部210には、ガイド溝256が設けられ、サブコネクタ500のサブハウジング501は、2つの被作用部(第2カム突起)540を有し、サブコネクタ500の第2カム突起540が設けられている側面は、ガイド溝256の周囲の壁により覆われており、第2カム突起540は、ガイド溝256内を移動することが記載されている。

ここで、当業者が引用発明に対し引用文献2に記載された事項を採用することができるか否かについて検討する。

引用文献1には、第1検知ハウジング210の+X方向に第2カム突起212を突出させるとともに、両端を固定され且つZ方向(上下方向)に沿って延びている弾性支持部218と、弾性支持部218のZ方向の中ほどから+X側に突出している第1位置補正突起220とを備え、第1コネクタ100と第2コネクタ500との嵌合前の状態において第1検知コネクタ200が第1位置に位置していない場合、第1位置補正突起220の-Z側(下側)に位置する第2位置補正突起530が、第1操作によって第1位置補正突起220と干渉して、第1検知コネクタ200を第1位置に向けて移動させるようにしていることが記載されている(引用文献1の段落【0029】、【0047】、【0048】、【0056】参照。以下、「引用文献1に記載された事項」という。)。
また、引用文献1の【図3】、【図4】等を参照すると、第1位置補正突起220が第2コネクタ500の第2ハウジング510の第2位置補正突起530と干渉し得るよう、第1ハウジング110のうち、第1検知コネクタ200が収容される箇所の+X方向の面を、第1検知ハウジング210の第2カム突起212、弾性支持部218及び第1位置補正突起220が通過する開口として形成しているものと認められる。
ここで、引用発明に対し、引用文献2に記載された事項を採用しようとすると、第1検知ハウジング210の第2カム突起212が通過するガイド溝のみが設けられることとなり、第1位置補正突起220は、第1ハウジング110を通過しないものとなる。
そうすると、第1位置補正突起220が第2コネクタ500の第2ハウジング510の第2位置補正突起530と干渉することが不可能となるから、第1コネクタ100と第2コネクタ500との嵌合前の状態において第1検知コネクタ200が第1位置に位置していない場合、第1検知コネクタ200を第1位置に向けて移動させる、という引用文献1に記載された事項の機能を発揮することができないものとなる。
そして、引用文献1には、引用文献1に記載された事項を省略しても良い旨の示唆も記載されていない。
してみれば、引用発明に対し、引用文献2に記載された事項を採用すると、引用文献1に記載された事項の機能を損なうこととなるから、引用発明に対し、引用文献2に記載された事項を採用することに、阻害要因が存在するというべきである。

よって、引用発明に対し、引用文献2に記載された事項を採用し、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

してみると、相違点2及び3について論じるまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 本願発明2?3について
本願発明2?3は、本願発明1を限定するものであって、本願発明1の「前記第1インターロック部材に設けられ、前記第1ハウジングに前記嵌合方向に沿って形成された切り欠きに係合する第2カムフォロア」を備え、第1インターロック部材のハウジング部の「前記第1の側面は、前記第1ハウジングの前記切り欠きの周囲の壁により覆われ」る点と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

5.小括
以上のとおりであるから、本願発明1?3は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではなく、その他の拒絶理由も発見できないから、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明であるので、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合する。


第4 原査定について
本件補正により、本願発明1?3は、「前記第1インターロック部材に設けられ、前記第1ハウジングに前記嵌合方向に沿って形成された切り欠きに係合する第2カムフォロア」を備え、第1インターロック部材のハウジング部の「前記第1の側面は、前記第1ハウジングの前記切り欠きの周囲の壁により覆われ」るという発明特定事項を備えるものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-07-07 
出願番号 特願2018-120331(P2018-120331)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 濱田 莉菜子井上 信杉山 健一  
特許庁審判長 間中 耕治
特許庁審判官 中村 大輔
田村 嘉章
発明の名称 電気コネクタ  
代理人 堀川 美夕紀  
代理人 大場 充  
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