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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1376117
審判番号 不服2020-8252  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-15 
確定日 2021-07-16 
事件の表示 特願2018-125421「プログラム、方法、および情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月 9日出願公開、特開2020- 735〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年6月29日の出願であって、意見書提出のための相当の期間として通知書の発送の日から60日以内と指定して令和1年9月18日付けで拒絶理由が通知され、同年12月2日に2月の期間延長請求がなされたが、出願人からは何ら応答もなく期間が満了し、令和2年3月19日付けで拒絶査定されたところ、同年6月15日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和2年6月15日付け手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和2年6月15日付け手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし12を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし10へと補正するものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
プロセッサを備えたコンピュータによって実行されるゲームプログラムであって、
前記ゲームプログラムは、前記プロセッサに、
第1ゲームを進行させる第1ゲーム処理を実行するステップと、
前記第1ゲームの進行中に第2ゲームを実行させる第2ゲーム処理を実行するステップと、
前記第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測するステップと、
前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定するステップと、
前記合計に基づいて、前記第1ゲームにおいて第3ゲーム処理を実行するステップとを実行させる、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記第3ゲーム処理は、前記合計が第1基準時間を超える前に、前記第1ゲームにおいて報酬の付与条件が成立した場合に、ユーザに第1報酬を付与する処理である、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記第1報酬は、前記合計と前記第1基準時間との差が大きくなるほど、前記第1ゲーム及び前記第2ゲームの少なくともいずれかを進める上で前記ユーザを有利にする報酬である、請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記第1ゲームは、前記ユーザに対応するキャラクタをマップ上で進めるゲームであり、
前記報酬の付与条件は、前記合計が第1基準時間を超える前に、前記マップ上の所定位置に前記キャラクタを移動させることである、請求項2または3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記第1ゲーム処理を実行するステップにおいて、前記第1ゲーム中に、前記第2ゲームを開始させる開始条件が成立した場合、前記第1ゲーム処理を中断し、
前記第2ゲーム処理を実行するステップにおいて、前記開始条件が成立した場合、前記第2ゲームを開始させるとともに、前記第2ゲームをクリアさせるクリア条件が成立した場合、前記第2ゲーム処理を終了し、
前記第1ゲーム処理を実行するステップにおいて、前記クリア条件が成立した場合、前記第1ゲーム処理を再開し、
前記実行時間は、前記第2ゲームが開始されてから前記クリア条件が成立するまでの経過時間である、請求項4に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記第2ゲーム処理を実行するステップにおいて、前記実行時間が第2基準時間を超える前に前記クリア条件が成立した場合、前記第2ゲーム処理を終了し、
前記第1ゲーム処理を実行するステップにおいて、前記実行時間が前記第2基準時間を超える前に前記クリア条件が成立した場合、前記第1ゲーム処理を再開する、請求項5に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記第2ゲーム処理を実行するステップにおいて、前記第1ゲーム中に、前記第2ゲームを開始させる開始条件が成立した際の前記キャラクタの前記マップ上の位置が前記所定位置に近くなるほど、前記第2ゲームの難易度を高くする、請求項5または6に記載のゲームプログラム。
【請求項8】
前記第2ゲームは、ユーザに関連付けられる第1キャラクタと、第2キャラクタとが戦闘するゲームであり、
前記クリア条件は、前記第1キャラクタが前記第2キャラクタに勝利することである、請求項5?7のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記ゲームプログラムは、前記プロセッサに、前記ユーザによって第1アイテムが用いられた場合、前記第1基準時間を増加させるステップをさらに実行する、請求項2?7のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項10】
前記第2ゲーム処理を実行するステップにおいて、
デッキを構成する少なくとも1つの前記第1キャラクタを、前記第2ゲームの実行中における前記ユーザの第1操作に基づいて、前記第2キャラクタと戦闘させ、
前記デッキを構成する少なくとも1つの前記第1キャラクタ以外のキャラクタであって、前記ユーザのフレンドに関連付けられるキャラクタ、前記ユーザとは異なる他のユーザに関連付けられるキャラクタ、および前記ユーザに関連付けられかつ前記デッキを構成しないキャラクタのうちいずれかのキャラクタを、前記第2ゲームの実行中における前記ユーザの第2操作に基づいて、前記第2キャラクタと自動的に戦闘させる、請求項8に記載のゲームプログラム。
【請求項11】
コンピュータがゲームプログラムを実行する方法であって、
前記コンピュータは、プロセッサおよびメモリを備えており、
前記方法は、前記プロセッサが、
第1ゲームを進行させる第1ゲーム処理を実行するステップと、
前記第1ゲームの進行中に第2ゲームを実行させる第2ゲーム処理を実行するステップと、
前記第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測するステップと、
前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定するステップと、
前記合計に基づいて、前記第1ゲームにおいて第3ゲーム処理を実行するステップとを実行する、方法。
【請求項12】
情報処理装置であって、
前記情報処理装置は、
ゲームプログラムを記憶する記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行することにより、情報処理装置の動作を制御する制御部とを備えており、
前記制御部は、
第1ゲームを進行させる第1ゲーム処理を実行し、
前記第1ゲームの進行中に、第2ゲームを実行させる第2ゲーム処理を実行するステップと、
前記第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測し、
前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定し、
前記合計に基づいて、前記第1ゲームにおいて第3ゲーム処理を実行する、情報処理装置。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
「 【請求項1】
プロセッサを備えたコンピュータによって実行されるゲームプログラムであって、
前記ゲームプログラムは、前記プロセッサに、
マップ上の所定位置にキャラクタを到達させるゲームであって、前記ゲームが開始されてから前記キャラクタが前記所定位置に到達するまでにかかる第1基準時間が設定される第1ゲームを進行させる第1ゲーム処理を実行するステップと、
前記マップ上におけるキャラクタの位置に応じて割り当てられる第2ゲームを実行させる第2ゲーム処理を実行するステップと、
前記第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測するステップと、
前記第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間と前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定するステップと、
前記合計が前記第1基準時間よりも小さい場合、報酬を付与するステップとを実行させる、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記報酬は、前記合計と前記第1基準時間との差が大きくなるほど、前記第1ゲーム及び前記第2ゲームの少なくともいずれかを進める上で前記ユーザを有利にする報酬である、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記第1ゲーム処理を実行するステップにおいて、前記第1ゲーム中に、前記第2ゲームを開始させる開始条件が成立した場合、前記第1ゲーム処理を中断し、
前記第2ゲーム処理を実行するステップにおいて、前記開始条件が成立した場合、前記第2ゲームを開始させるとともに、前記第2ゲームをクリアさせるクリア条件が成立した場合、前記第2ゲーム処理を終了し、
前記第1ゲーム処理を実行するステップにおいて、前記クリア条件が成立した場合、前記第1ゲーム処理を再開し、
前記実行時間は、前記第2ゲームが開始されてから前記クリア条件が成立するまでの経過時間である、請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記第2ゲーム処理を実行するステップにおいて、前記実行時間が第2基準時間を超える前に前記クリア条件が成立した場合、前記第2ゲーム処理を終了し、
前記第1ゲーム処理を実行するステップにおいて、前記実行時間が前記第2基準時間を超える前に前記クリア条件が成立した場合、前記第1ゲーム処理を再開する、請求項3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記第2ゲーム処理を実行するステップにおいて、前記第1ゲーム中に、前記第2ゲームを開始させる開始条件が成立した際の前記キャラクタの前記マップ上の位置が前記所定位置に近くなるほど、前記第2ゲームの難易度を高くする、請求項3または4に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記第2ゲームは、ユーザに関連付けられる第1キャラクタと、第2キャラクタとが戦闘するゲームであり、
前記クリア条件は、前記第1キャラクタが前記第2キャラクタに勝利することである、請求項1から5のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記ゲームプログラムは、前記プロセッサに、前記ユーザによって第1アイテムが用いられた場合、前記第1基準時間を増加させるステップをさらに実行する、請求項1から6のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項8】
前記第2ゲーム処理を実行するステップにおいて、
デッキを構成する少なくとも1つの前記第1キャラクタを、前記第2ゲームの実行中における前記ユーザの第1操作に基づいて、前記第2キャラクタと戦闘させ、
前記デッキを構成する少なくとも1つの前記第1キャラクタ以外のキャラクタであって、前記ユーザのフレンドに関連付けられるキャラクタ、前記ユーザとは異なる他のユーザに関連付けられるキャラクタ、および前記ユーザに関連付けられかつ前記デッキを構成しないキャラクタのうちいずれかのキャラクタを、前記第2ゲームの実行中における前記ユーザの第2操作に基づいて、前記第2キャラクタと自動的に戦闘させる、請求項7に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
コンピュータがゲームプログラムを実行する方法であって、
前記コンピュータは、プロセッサおよびメモリを備えており、
前記方法は、前記プロセッサが、
マップ上の所定位置にキャラクタを到達させるゲームであって、前記ゲームが開始されてから前記キャラクタが前記所定位置に到達するまでにかかる第1基準時間が設定される第1ゲームを進行させる第1ゲーム処理を実行するステップと、
前記マップ上におけるキャラクタの位置に応じて割り当てられる第2ゲームを実行させる第2ゲーム処理を実行するステップと、
前記第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測するステップと、
前記第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間と前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定するステップと、
前記合計が前記第1基準時間よりも小さい場合、報酬を付与するステップとを実行する、方法。
【請求項10】
情報処理装置であって、
前記情報処理装置は、
ゲームプログラムを記憶する記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行することにより、情報処理装置の動作を制御する制御部とを備えており、
前記制御部は、
マップ上の所定位置にキャラクタを到達させるゲームであって、前記ゲームが開始されてから前記キャラクタが前記所定位置に到達するまでにかかる第1基準時間が設定される第1ゲームを進行させる第1ゲーム処理を実行し、
前記マップ上におけるキャラクタの位置に応じて割り当てられる第2ゲームを実行させる第2ゲーム処理を実行するステップと、
前記第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測し、
前記第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間と前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定し、
前記合計が前記第1基準時間よりも小さい場合、報酬を付与する、情報処理装置。」(下線は審決で付した。以下同じ。)

2.補正の適否
(1)新規事項の追加について
本件補正は、
ア 補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定するステップ」に「前記第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間と」を付加して「前記第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間と前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定するステップ」とすること(以下、「補正事項ア」という。)、
イ 補正前の請求項11に記載された発明特定事項である「前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定するステップ」に「前記第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間と」を付加して「前記第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間と前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定するステップ」とし、補正後の請求項9とすること(以下、「補正事項イ」という。)、
ウ 補正前の請求項12に記載された発明特定事項である「前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定し」に「前記第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間と」を付加して「前記第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間と前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定し」とし、補正後の請求項10とすること(以下、「補正事項ウ」という。)
を含むものである。

そして、上記補正事項アないしウに関連して、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、以下の記載がある。

「【請求項1】
プロセッサを備えたコンピュータによって実行されるゲームプログラムであって、
前記ゲームプログラムは、前記プロセッサに、
第1ゲームを進行させる第1ゲーム処理を実行するステップと、
前記第1ゲームの進行中に第2ゲームを実行させる第2ゲーム処理を実行するステップと、
前記第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測するステップと、
前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定するステップと、
前記合計に基づいて、前記第1ゲームにおいて第3ゲーム処理を実行するステップとを実行させる、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記第3ゲーム処理は、前記合計が第1基準時間を超える前に、前記第1ゲームにおいて報酬の付与条件が成立した場合に、ユーザに第1報酬を付与する処理である、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記第1報酬は、前記合計と前記第1基準時間との差が大きくなるほど、前記第1ゲーム及び前記第2ゲームの少なくともいずれかを進める上で前記ユーザを有利にする報酬である、請求項2に記載のゲームプログラム。」

「【0053】
ゲーム管理部112は、ゲームに関する各種のパラメータおよび情報などを管理する。ゲーム管理部112は、さらに、第1ゲームを進行させる第1ゲーム処理を実行する。ゲーム管理部112は、さらに、第1ゲームの進行中にクエスト(第2ゲーム)を実行させる第2ゲーム処理を実行する。計測部113は、クエストが実行されるごとに、クエストの実行時間を計測する。合算部114は、クエストの実行時間の合計を特定する。報酬付与部115は、ゲームの進行状況に基づいて、ユーザに報酬を付与する。報酬付与部115は、例えば、第1ゲームにおいてユーザに報酬を付与する第3ゲーム処理を実行する。」

「【0064】
マップ40には、到達条件、第1基準時間、および第1制限時間が設定される。第1制限時間は、第1基準時間の残余時間のことである。到達条件とは、ゲームのプレイ中に、味方キャラクタ51を区画42Bからいずれかの区画42Cまで第1基準時間内に移動させることである。区画42Bは、到達条件が成立しなかった場合に、味方キャラクタ51が強制的に戻される復活位置である。区画42Bには、区画42Bが復活位置であることを示すマーク43が表示されている。区画42Bの表示状態は、味方キャラクタ51が区画42Bに移動(配置)済みであることを示す表示状態に制御されている。味方キャラクタ51が初めて区画42Bに配置される場合、初期値の第1制限時間がマップ40に設定される。表示制御部116は、マップ40が表示されるゲーム画面301において、現在の第1制限時間を時間領域41に表示する。ユーザがクエストをプレイするたびに、クエストをクリアできたか否かにかかわらず、クエストの実行時間(プレイ時間)だけ第1制限時間が減らされる。」

「【0091】
ゲーム管理部112は、クエストに第2基準時間および第2制限時間を設定する。第2基準時間は、ユーザがクエストをクリアできたか否かの基準となる閾値時間である。第2制限時間は、第2基準時間の残余時間である。表示制御部は、時間領域71に現時点での第2制限時間を表示する。ステップS2において、計測部113は、クエストの実行中に 、クエストの開始時点からの経過時間を計測することによって、クエストの実行時間を計測する。表示制御部116は、計測される実行時間が増加するたびに、その分だけ、時間領域71に表示される第2制限時間を減少させる。」

「【0102】
ゲーム管理部112は、クエストの経過時間が第2基準時間を超える前にクリア条件が成立した場合、第2ゲーム処理を終了する。この場合、計測部113は、クエストが開始されてからクリア条件が成立するまでの経過時間を、クエストの実行時間として特定する。したがって、ゲーム管理部112は、クエストの実行時間が第2基準時間を超える前にクリア条件が成立した場合、第2ゲーム処理を終了するとも言える。ゲーム管理部112は、クリア条件が成立することなく経過時間が第2基準時間に達した場合も、第2ゲーム処理を終了する。この場合、計測部113は、クエストに設定される第2基準時間を、クエストの実行時間として特定する。ユーザは、クエストを途中で諦めることもできる。計測部113は、ユーザがクエストを諦めた場合、クエストの開始時点から、クエストを諦めるための操作をユーザから受け付けた時点までの経過時間を、クエストの実行時間として特定する。」

「【0109】
合算部114は、クエストが終了した後、クエストの各実行時間の合計を特定する。合算部114は、現時点での実行時間の合計に、新たにプレイされたクエストの実行時間を加算することによって、実行時間の合計を特定する。図19では、区画42Aのクエストが開始される前の実行時間の合計は0分である。さらに、クエストの実行時間は1分である。したがって、合算部114は、現在の合計(0分)に実行時間(1分)を加算することによって、実行時間の合計として1分を特定する。合算部114は、ユーザがクエストをクリアした場合も、クリアしなかった場合も、現在の合計に、新たにプレイされたクエストの合計を加算する。したがって、ユーザがクエストをクリアできない場合、マップ40において味方キャラクタ51が先の区画42Aに進めず、かつ実行時間の合計が増加する。」

「【0114】
ユーザは、味方キャラクタ51を区画42Cに移動させるために、6つの矢印161?166の中から区画42Cに対応する矢印161を選択する。ゲーム管理部112は、選択された矢印161に対応する区画42Cを特定する。ステップS4において、ゲーム管理部112は、区画42Cに設定されるクエストを実行する。ステップS5において、計測部113は、区画42Cに設定されるクエストの実行時間を計測する。ステップS5において、合算部114は、区画42Cに対応するクエストが終了した後、クエストの各実行時間の合計を特定する。合算部114は、例えば、現時点での実行時間の合計に、新たにプレイされたクエストの実行時間を加算することによって、実行時間の合計を特定する。このように、合算部114は、クエストが複数回数実行された場合、各クエストの実行時間の合計を特定する。
【0115】
ステップS7において、ゲーム管理部112は、実行時間の合計に基づいて、マップ40に設定される到達条件が成立したか否かを判定する。この判定処理は、移動ゲームにおける第3ゲーム処理の一例である。詳細には、ゲーム管理部112は、区画42Cに設定されるクエストをユーザがクリアし、かつ実行時間の合計が第1基準時間を下回るか否かを判定する。ゲーム管理部112は、到達条件が成立したと判定された場合、実行時間の合計および第1制限時間をそれぞれリセットする。詳細には、ゲーム管理部112は、実行時間の合計を0分に戻す。ゲーム管理部112は、さらに、第1制限時間を第1基準時間に戻す。図18の例では、ゲーム管理部112は、第1制限時間を10分に戻す。」

ここで、上記補正事項アないしウの「時間の合計を特定」することに関し、上記のとおり、当初明細書等には、第2ゲーム(クエスト)が実行されるごとに、第2ゲームの実行時間を計測し、当該第2ゲームの実行時間の合計を特定することが記載されているのみであって、第1ゲームが開始されてからキャラクタが所定位置に到達するまでにかかる時間を特定することや、当該時間と第2ゲームの実行時間の合計を特定することについては、何ら記載がされていない。
したがって、上記補正事項アないしウの「前記第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間と前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定」する点は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
なお、仮に、上記補正事項アないしウにおける「前記第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間と前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定」することが、「第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間」と「第2ゲームの前記実行時間の合計」とを特定することを意味するものと解したとしても、「第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間」を特定する点は、当初明細書等に記載はないから、「前記第1ゲームが開始されてから前記所定位置に到達するまでにかかる時間と前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定」する点は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
以上のとおりであるから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

審判請求人は、審判請求書の【請求の理由】の「3.本願発明が特許されるべき理由」の「3-2.補正の根拠の明示」において、上記補正事項アないしウの補正の根拠として、「出願当初の請求項3の記載「前記第1報酬は、前記合計と前記第1基準時間との差が大きくなるほど、前記第1ゲーム及び前記第2ゲームの少なくともいずれかを進める上で前記ユーザを有利にする報酬である」等に基づきます」と主張しているが、出願当初の請求項3には、第1ゲームが開始されてから所定位置に到達するまでにかかる時間を特定することについて何ら記載されていないから、審判請求人の上記主張は採用できない。

3.まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項に違反するものであるから、本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし12に係る発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項12に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項12に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(1)の【請求項12】に記載のとおりのものである。

2.原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項12に係る発明は本願の出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

引用文献1:特開2017-80296号公報

3.引用文献等
(1)引用文献1(特開2017-80296号公報)の記載
原査定の拒絶の理由で引用され、本願出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1(特開2017-80296号公報)(平成29年5月18日出願公開)には、以下の事項が記載されている。

ア 「【請求項1】
所定のゲームに係るプログラムであって、該プログラムを実行するコンピュータに、
ユーザ情報に基づいて外部サーバとの情報の送受信を行う処理と、
前記外部サーバから前記ユーザ情報について付与された特典を示す特典情報を取得する処理と、
取得された前記特典情報に基づいて、前記付与された特典を示す通知を表示装置に表示させる処理と、を実行させ、
前記ゲームは、作成者情報が関連付けられて登録された前記ゲームに係るクエストデータを用いてゲームプレイが可能であり、
前記ユーザ情報と対応する作成者情報が関連付けられ、前記ゲームのサービス提供の開始前に登録されたクエストデータが存在する場合に、前記特典情報には該クエストデータの作成に係る特典の情報が含まれるプログラム。」

イ 「【請求項6】
クエストデータにより提供される前記ゲームは、クリア条件に制限時間の要素を含むゲームであり、
前記プログラムは、クエストデータにより提供される前記ゲーム中になされた行動に応じて、該ゲームにおける行動可能時間及び前記制限時間に係る残り時間の少なくともいずれかを変化させる処理をさらに前記コンピュータに実行させる請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプログラム。」

ウ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、ゲームシステム及びサーバ装置に関し、特に所謂ソーシャルゲームのジャンルに分類される電子ゲームに関する。」

エ 「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、ユーザ間のコミュニケーションを促進させるという観点では、適切な人数のユーザをサービス利用に導引することが必要となる。しかしながら、特許文献1に記載のシステムではユーザ作成したゲームフィールドは、サービス利用するユーザのみが対応するゲームを体験可能であり、顧客(ユーザ)獲得の効果は薄く、利用ユーザ数を好適に増加させられない可能性があった。
【0006】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、好適にサービス利用に係る顧客獲得を行うプログラム、ゲームシステム、サーバ装置を提供することを目的とする。」

オ 「【0012】
《ゲームシステムの構成》
図1は、本発明の実施形態に係るゲームシステムのシステム構成を示した図である。本実施形態のゲームシステムでは、ユーザは各々が使用するクライアント装置100において事前アプリケーションまたは正式アプリケーションの起動、あるいはアプリケーション上での所定の操作を行うことで、ネットワーク300を介してサーバ装置200と接続し、提供ゲームを種々の態様で利用することができる。本実施形態では簡単のため、事前アプリケーション及び正式アプリケーションの双方において、1つのサーバ装置200に接続するよう処理が行われるものとして説明するが、接続先であるサーバ装置200は共通である必要もなければ、単体である必要もないことは容易に理解されよう。なお、本実施形態ではクライアント装置100とサーバ装置200とで同様の機能構成を有しうるため、サーバ装置200が有する該構成については「サーバ」の接頭文字を付して識別する。
【0013】
〈クライアント装置100の構成〉
まず、本実施形態のクライアント装置100の機能構成について図2のブロック図を用いて説明する。
【0014】
制御部101は、例えばCPU等であり、クライアント装置100が有する各ブロックの動作を制御する。制御部101は、例えば記録媒体102に記録されている各ブロックの動作プログラムや、事前アプリケーションまたは正式アプリケーションに係るプログラムを読み出し、メモリ103に展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。」

カ 「【0021】
〈サーバ装置200の構成〉
次に、本実施形態のサーバ装置200の機能構成について図3を用いて説明する。
【0022】
サーバ制御部201は、例えばCPU等であり、サーバ装置200が有する各ブロックの動作を制御する。サーバ制御部201は、例えばサーバ記録媒体202に記録されている各ブロックの動作プログラムや、提供ゲームに係るサーバ用プログラムを読み出し、サーバメモリ203に展開して実行することにより、各ブロックの動作を制御する。」

キ 「【0032】
《提供ゲーム概要》
以下、本実施形態のゲームシステムにおいてサーバ装置200が提供するゲームの例示として、クエストについて定められたマップ中の所定の拠点を制限時間内に制圧することで該クエストのクリア条件が満たされるゲーム(提供ゲーム)について、その概要を説明する。
【0033】
提供ゲームにおいて、1つのクエストには1つのマップ(ゲームフィールド)が定められる。マップは、図4(a)に示されるように例えば6角形の領域を示し、該領域が有する辺(境界)を介して他の領域と接続されることでマップ全体の面積を拡張可能な多角形状のマップチップ(以下、HEXとして言及する)が1以上配置された集合体として構成される。HEXは、その1つ1つが拠点であるかの如く取り扱われる。クエストをプレイするユーザ(プレイユーザ)は1つのHEXにつき、該HEXに設定されたキャラクタ(敵キャラクタ)と自身の使用するキャラクタ(プレイキャラクタ)との間で行われる対戦ゲームをプレイする。対戦ゲームの結果、プレイキャラクタが勝利した場合には該HEXはプレイユーザにより制圧されたものとして扱われる。HEXを制圧すると、プレイユーザは制圧済みのHEXと隣接するHEXにプレイキャラクタを移動させることが可能となり、これを繰り返すことにより、プレイユーザはクリア条件として制圧が定められたHEX(ボスHEX:図4(a)においてハッチングで示されたHEX)へのプレイキャラクタの移動及び該ボスHEXに係る対戦ゲームの実行が可能となる。また提供ゲームの攻略要素として、HEXに係る対戦ゲームの実行時に、該HEXに隣接するHEXの制圧数に応じたプレイキャラクタの対戦ゲームに係るパラメータ調整が行われる。パラメータ調整は、例えば隣接HEX数に応じて対戦ゲームにおいて対戦キャラクタにダメージを与える攻撃量(対戦キャラクタの体力を減算させる量)に係るパラメータの増加、また後述する行動可能時間の延長等、基本的にゲーム進行を有利にするパラメータ調整がなされる。マップにはクエスト開始時にプレイユーザのキャラクタが初期位置として配置可能なHEX(初期HEX)が定められており、プレイユーザは初期HEXからどのような順番でHEXを制圧し、最終的にマップ中の全てのボスHEXを制圧してクリアするかを、制限時間内で考えながらゲームプレイを行う。
【0034】
なお、クエストについて定められる制限時間は、マップの構成に応じて目標クリア時間として定められるが、詳細は後述のクエストエディット処理において説明する。本実施形態の提供ゲームでは、制限時間に係る残り時間は、マップ上のHEX移動等では減少せず、HEXに係る対戦ゲームの実行中に減少する。一方で、残り時間は、HEXに係る対戦ゲームにおけるプレイキャラクタの行動内容によっては増加することもある。
【0035】
〈HEX内対戦ゲーム〉
次に、上述したようにHEXにプレイキャラクタを移動させた際に行われる、該HEXにおける対戦ゲームについて説明する。
【0036】
対戦ゲームは、プレイユーザにより予めデッキとして登録されたプレイキャラクタとHEXについて定められた対戦相手のキャラクタ(以下、敵キャラクタ)の攻守が、交互に切り替えられて進行する、所謂ターン制を採用する。対戦ゲーム中は、クエストに定められた制限時間を上限とする残り時間のタイマ(ソフトウェアタイマ)が、経過時間に応じて随時減少していくよう制御される。」

ク 「【0066】
《特典付与処理(対人プレイ)》
次に、作成したクエストが他のユーザにプレイされる対人プレイ要素に係る特典を付与する特典付与処理について、図7のシーケンス図を用いてクライアント装置100及びサーバ装置200の処理を説明する。該シーケンス図に対応する処理も同様に、クライアント装置100及びサーバ装置200において各制御部が対応するプログラムを読み出して、展開及び実行することにより実現することができる。なお、対人プレイ要素に係る本特典付与処理は、クライアント装置100において正式アプリケーションが実行され、該アプリケーション中で他のユーザが作成したクエストに対するプレイ要求がなされた際に開始されるものとして説明する。
【0067】
S701で、制御部101は、プレイ要求を行うクエスト(対象クエスト)について、該クエストに係るゲームをプレイするための情報(クエストプレイ用情報)の取得要求を通信部107を介してサーバ装置200に送信する。本実施形態では、クエストプレイ用情報の取得要求には、対象クエストのクエストIDに加え、クライアント装置100の使用ユーザ(対象ユーザ)に係るユーザIDが含まれるものとして説明する。しかしながら、サービス利用にあたり対象ユーザに係るユーザIDは既にサーバ装置200に送信されているため、サーバ装置200において情報送受信に係るクライアント装置100とサーバ装置200との接続の同一性が担保されるのであれば、クエストプレイ用情報に限らず種々の要求にユーザIDの情報は含まれないものとしてもよい。
【0068】
S702で、サーバ制御部201は、クエストプレイ用情報の取得要求を受けて、該要求に含まれるクエストIDに関連付けられたクエスト情報をクエストDB206から読み出す。そしてサーバ制御部201は、読み出したクエスト情報のクエストデータ944及び制限時間945を、クエストプレイ用情報としてサーバ通信部208を介して対象ユーザのクライアント装置100に返送する。
【0069】
S703で、制御部101は、受信したクエストプレイ用情報に基づいて対象クエストに係るゲームの処理を実行する。より詳しくは、制御部101はクエストプレイ用情報に含まれる制限時間をクリア条件に含む対象クエストに係るゲームを、クエストデータを用いて対応処理を実行することで実現する。そして制御部101は、対象クエストに係るゲームが完了すると、ゲームの実行結果の情報を通信部107を介してサーバ装置200に送信する。ゲームの実行結果は、上述したように対象クエストについて設定された制限時間内にボスHEXの制圧が完了したかに基づいてクリア条件の達成有無の判断が行われ、内容確定されるものであってよい。
【0070】
S704で、特典付与部207は、対象クエストに係るゲームの実行結果の情報がクリア条件達成を示すか否かを判断する。特典付与部207は、ゲームの実行結果の情報がクリア条件達成を示すと判断した場合、対象ユーザのユーザIDに関連付けられてユーザDB204に管理されているユーザ情報の特典情報906に、対人プレイ要素に係る特典の情報を追加する。また特典付与部207は、対象クエストのクエストIDに関連付けられてクエストDB206に管理されているクエスト情報のプレイ数946及びクリア数947を1増加させて更新する。一方、ゲームの実行結果の情報がクリア条件未達成を示すと判断した場合、特典付与部207は、対象クエストの作成ユーザに対する特典の付与を行う。即ち、特典付与部207は、対象クエストに係るクエスト情報の作成ユーザID942を参照し、該ユーザIDに関連付けられてユーザDB204に管理されているユーザ情報の特典情報906に、対人プレイ要素に係る特典の情報を追加する。また特典付与部207は、対象クエストのクエストIDに関連付けられてクエストDB206に管理されているクエスト情報のプレイ数946を1増加させて更新する。
【0071】
なお、本実施形態ではゲームの実行結果の情報を受信した場合にユーザ情報を更新し、所定のタイミングでユーザ情報の要求が対象ユーザのクライアント装置100からなされた場合に該更新後のユーザ情報が提供されるものとする。しかしながら、更新が行われた時点で、更新後のユーザ情報が対象ユーザのクライアント装置100に送信され、クライアント装置100における画面表示に反映されるものであってもよい。
【0072】
このようにすることで、ユーザ(作成ユーザ)により作成されたクエストが他のユーザ(プレイユーザ)によりプレイされることで、該クエストのクリア条件達成の有無に応じて作成ユーザまたはプレイユーザのいずれかに特典を付与することができ、提供ゲームに係る対人プレイ要素を提供することができる。また本実施形態の対人プレイ要素に係る特典付与処理では特典の内容について言及しなかったが、付与される特典はクエスト難易度やクエストに係るゲームのプレイ結果(制限時間の残り時間やプレイキャラクタの残り体力等)を考慮して、特典の内容が変化するよう構成されていてもよい。また事前アプリケーションにおけるクエスト作成は、ユーザがまだゲームプレイを行っていない(正式サービスを利用していない)状態であり、かつ作成に用いることが可能な要素が制限されている。故に、正式サービスの提供開始前に登録されたクエストに係るゲームがクリアされなかった場合には作成ユーザに対しては、正式サービスの提供開始後に登録されたクエストに係るゲームがクリアされなかった場合に比べて、ゲーム進行を有利にし得る特典が付与されるよう差別化する構成であってもよい。」

ケ 上記クの【0069】より、制御部101は、受信したクエストプレイ用情報に基づいて対象クエストに係るゲームの処理を実行しているところ、上記キの【0033】?【0035】より、当該クエストに係るゲームは、クエストのマップにおけるマップチップ(HEX)にプレイヤキャラクタが移動した際に、HEX内対戦ゲームが行われるものであるから、当該制御部101は、対象クエストに係るゲームの進行中に、HEX内対戦ゲームを実行させるゲーム処理を行っているものといえる。

コ 上記キの【0034】より、本実施形態の提供ゲームは、制限時間に係る残り時間がマップ上のHEX移動等では減少せず、HEXに係る対戦ゲームの実行中に減少するものである。また、上記キの【0036】より、HEX内対戦ゲーム中は、クエストに定められた制限時間を上限とする残り時間のタイマ(ソフトウェアタイマ)が、経過時間に応じて随時減少していくように制御されているものである。ここで、上記アの請求項1、及び上記イの請求項6より、制限時間に係る残り時間を変化させる処理は、外部サーバとの情報の送受信を行う処理が実行されるコンピュータにて実行されるものであり、また、上記オ及びクの【0014】、【0066】及び【0069】より、制御部101は、記録媒体102に記録されているプログラムを読み出し、メモリ103に展開して、受信したクエストプレイ用情報に基づいて対象クエストに係るゲームの処理を実行するものであるところ、上記制限時間に係る残り時間を減少させる制御は、クライアント装置の制御部101で行われているといえる。したがって、制御部101は、制限時間に係る残り時間を、マップ上のHEX移動等では減少させず、HEX内対戦ゲームの実行中に、経過時間に応じて減少させる制御を行っているものといえる。

上記アないしコから、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ネットワーク300を介してサーバ装置200と接続されたクライアント装置100であって、
事前アプリケーションまたは正式アプリケーションに係るプログラムが記録された記録媒体102と、事前アプリケーションまたは正式アプリケーションに係るプログラムを実行することにより、クライアント装置100の各ブロックの動作を制御する制御部101とを備えており、
前記制御部101は、
受信したクエストプレイ用情報に基づいて対象クエストに係るゲームの処理を実行し、
対象クエストに係るゲームの進行中に、HEX内対戦ゲームを実行させるゲーム処理を行い、
制限時間に係る残り時間を、マップ上のHEX移動等では減少させず、HEX内対戦ゲームの実行中に、経過時間に応じて減少させる制御を行っており、
対象クエストについて設定された制限時間内にボスHEXの制圧が完了したかに基づいてクリア条件の達成有無の判断を行い、ゲームの実行結果の情報をサーバ装置200に送信し、ゲームの実行結果の情報がクリア条件達成を示す場合、前記サーバ装置200において、対人プレイ要素に係る特典がプレイユーザに付与される、
クライアント装置100。」

(2)本願の出願前に周知の技術事項
ア 特開2001-276430号公報の記載
本願出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2001-276430号公報(平成13年10月9日出願公開)(以下、「周知例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

(ア) 「【請求項1】 プレーヤの操作指示を受け付ける操作手段と、前記プレーヤの操作指示に応じた所定のゲーム演算を行うゲーム演算手段と、前記ゲーム演算手段による演算結果に基づいて画像データを生成する画像生成手段とを備えるゲーム装置において、
前記ゲーム演算手段は、
戦闘シーンにおいて、前記プレーヤによる操作指示の対象となるプレーヤキャラクタの動作と敵キャラクタの動作の演算を、所定の戦闘終了条件を満たすまで行うキャラクタ動作演算手段と、
前記戦闘シーンにおける戦闘時間を取得する戦闘時間取得手段と、
前記戦闘時間の長さに応じた戦闘結果処理を行う戦闘結果処理手段と、
を備えることを特徴とするゲーム装置。」

(イ) 「【請求項4】 請求項1において、
前記戦闘時間は、戦闘開始から前記戦闘終了条件を満たすまでの経過時間を複数回の戦闘シーンについて合計した総戦闘時間であることを特徴とするゲーム装置。」

(ウ) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレーヤキャラクタと敵キャラクタとが戦う戦闘シーンを有するゲーム演算を行うゲーム装置、戦闘結果処理方法および情報記憶媒体に関する。」

(エ) 「【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来のロールプレイングゲームでは、通常は敵キャラクタを倒すことによって戦闘シーンが終了するが、その際に行われる戦闘結果処理は、敵キャラクタを倒したことによって何らかの特典をプレーヤキャラクタに対して与えるものがほとんどである。特に、これらの特典は、あらかじめ敵キャラクタの種類等に応じた内容が設定されているだけであり、変化に乏しく、ゲームの内容が単調になるという問題点があった。
【0004】例えば、プレーヤキャラクタに与えられる特典としては、経験値やお金あるいはアイテムなどが考えられるが、これらの特典の内容は、敵キャラクタの種類等に応じてあらかじめ決まっている。本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、操作内容に適度な緊迫感を持たせることができるゲーム装置、戦闘結果処理方法および情報記憶媒体を提供することにある。」

(オ) 「【0023】戦闘時間計測部126は、プレーヤキャラクタと敵キャラクタの間で戦闘が開始されてから、戦闘が終了するまでの間に経過した時間、すなわち戦闘時間を計測する。具体的には、戦闘時間計測部126は、戦闘処理部122によって戦闘シーンにおけるゲーム演算が開始されたタイミングで戦闘時間の計測を開始し、戦闘終了判定部124から戦闘が終了した旨の通知がなされたタイミングで戦闘時間の計測を停止する。」

(カ) 「【0051】また、上述した実施形態では、ゲーム演算部110内の平均値処理部128によって複数回の戦闘時間の平均値を計算したが、これを合計値処理部に置き換えて、複数回の戦闘時間を合計した総戦闘時間を計算するようにしてもよい。総戦闘時間を戦闘回数で割ることにより戦闘時間の平均値が計算されるため、総戦闘時間と平均値は等価であるといえる。このため、上述した実施形態において、称号を付与する処理や分岐ストーリを選択する処理を総戦闘時間に基づいて行うようにしてもよい。また、この場合には、図8に示した画面に、平均戦闘時間の代わりに、あるいは平均戦闘時間とともに総戦闘時間を含ませることが望ましい。」

イ 特開2000-24305号公報の記載
本願出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2000-24305号公報(平成12年1月25日出願公開)(以下、「周知例2」という。)には、以下の事項が記載されている。

(ア) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレイヤに緊迫感を与えることのできるゲームの分野に関する。」

(イ) 「【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなRPGなどにおいては、プレイヤに設定された複数の課題毎にはあまり関連性がなく、一連のストーリとしてはつながっているが、単なる課題の寄せ集めでしかなく、プレイヤは個々の課題を単独に解決していくだけであった。そのため、「時間」が、単なるゲームの世界での時間経過や個々の課題を解決するための一定期間に過ぎず、特にゲームの操作に慣れたプレイヤにとっては容易に課題を達成してしまい、ゲーム全体に対して物足りなさを感じてしまうという問題があった。」

(ウ) 「【0029】まず本実施例では、制限時間を有する一つの課題(以下、全体課題)が課された状態において、さらに複数の制限時間を有する課題(以下、個々の課題)が課されるゲームについて説明する。全体課題の制限時間内に個々の課題を全てクリア(解決)すれば、全体課題をクリアしたものとみなされるようになっている。」

(エ) 「【0031】まず、図3に示す変数テーブル領域に記憶される変数テーブルについて説明する。変数テーブルは、図4(a)に示す個々の課題の制限時間および経過時間を含む個別時間テーブル、図4(b)に示す全体課題の制限時間および経過時間を含む全体時間テーブル、および、図4(c)に示す課題の解決の状態フラグおよび課題番号を含む状態テーブルを有する。
【0032】図4(a)および図4(b)に示すテーブルの制限時間は、CD-ROM3から読み出された課題の解決のために割り当てられた時間である。図4(a)に示す制限時間は課題1から課題6の順番に制限時間が短くなっている。なお、図4(b)に示す全体課題の制限時間は、図4(a)に示す個別の制限時間の合計の値よりも小さい値が割り当てられている。すなわち、図4(a)に示す個別の制限時間以内であっても、最初の個々の課題の実行を始めた開始時点からの合計の経過時間が、図4(b)に示す全体課題の制限時間を超えるとタイムオーバーとなる。
【0033】図4(a)に示す個別時間テーブルの経過時間は、それぞれの課題の実行を始めた開始時点からの経過時間である。図4(b)に示す全体時間テーブルの経過時間は、最初の個々の課題の実行を始めた開始時点からの合計の経過時間である。なお、これらの経過時間は、CPU101が有する内部タイマにより取得した時刻を基準として求められる値である。」

(オ) 「【0037】以下、この家庭用ゲーム機1において動作するゲームについて、キャラクタが6つの水門バルブを閉じて村を水害から守るゲームを一例として説明する。前述した全体課題としては「村を水害から守ること」、個々の課題としては「一つの水門バルブを閉じること」が該当する。」

(カ) 「【0042】一方、ステップS102にてスタートボタンからの入力があったと判別された場合(ステップS102;Yes)、CPU101は、図6に示すようなゲームの開始画面となる6つの部屋201?206を備えた水門を管理する塔の全景画像をテレビジョン受像器2に表示させる(ステップS103)。なお、部屋201?206には、それぞれ1つずつ、すなわち6つの水門バルブが開放された状態で配置されている。主人公のキャラクタ21は、梯子207を登るなどして部屋201?206に入り、それぞれの水門のバルブを閉じる。各水門のバルブ毎に図7に示すような個別のゲームが設定してある。この個別のゲームをクリアするとバルブを閉じたものとみなされるようになっている。」

(キ) 「【0047】次に、プレイヤは、コントローラ116の方向キーを操作することにより、主人公のキャラクタを部屋201?206へ順番に移動させる。すなわち、CPU101は、ステップS108にて方向キーからの入力があったと判別した場合(ステップS108;Yes)、主人公のキャラクタの位置を方向キーからの入力にしたがって移動させる(ステップS109)。なお、CPU101は、画面表示に必要となる視点位置等を、移動した主人公のキャラクタの位置にしたがって、あらかじめ定められた関係を満たす位置に設定する。一方、方向キーからの入力がなかったと判別した場合(ステップS108;No)、CPU101は、主人公のキャラクタの位置を変化させない。
【0048】プレイヤは、主人公のキャラクタを部屋201?206へ順番に移動させ、個々の課題となる各部屋の水門バルブを閉じなくてはならない。すなわち、CPU101は、ステップS110にてコントローラ116の操作ボタンからの入力があったと判別した場合(ステップS110;Yes)、水門バルブを閉じるために必要となるスロットマシンを動作させる(ステップS111)。」

(ク) 「【0055】次に、ステップS112における制限時間処理について図8を参照して説明する。図8は、CPU101が行う制限時間処理について説明するフローチャートである。
【0056】まず、CPU101は、2つの経過時間を測定する(ステップS201)。すなわち、CPU101は、現在実行中の課題の開始時点から経過した個別の経過時間および、最初の個々の課題の開始時点から経過した全体の経過時間を測定する。なお、それぞれの経過時間は、CPU101の内部タイマにより取得した時刻を基準として測定する。
【0057】CPU101は、測定した個別の経過時間を図4(a)に示す現在実行中の課題の経過時間に、また、測定した全体の経過時間を図4(b)に示す全体課題の経過時間に更新して記憶する。CPU101は、制限時間から経過時間を差し引いたそれぞれの残り時間を図9に示すようにテレビジョン受像器2に表示させる。すなわち、CPU101は、個別残り時間24に、図4(a)に示す現在実行中の課題の制限時間から経過時間を差し引いた時間を表示し、全体残り時間25に、図4(b)に示す全体課題の制限時間から全体の経過時間を差し引いた時間を表示する。このため、表示された2つの残り時間が徐々に少なくなっていくことをリアルタイムにプレイヤに伝えることができ、プレイヤに危機感を募らせ、操作ミスを誘う等、緊迫感を与えることができる。
【0058】CPU101は、経過時間が制限時間を超え、タイムオーバーとなっているか否かを判別する(ステップS202)。すなわち、CPU101は、図4(a)に示す現在実行中の課題の経過時間および、図4(b)に示す全体課題の経過時間のいずれかが制限時間を超えているか否かを判別する。なお、上述したように、図4(b)に示す全体課題の制限時間は、図4(a)に示す個別の制限時間の合計の値よりも小さい値が割り当てられているため、個別の経過時間が制限時間以内であっても、全体の経過時間が制限時間を超えるとタイムオーバーとなる。」

(ケ) 図4(a)には、課題1の経過時間が52であり、課題2の経過時間が47である旨が示されており、図4(b)には、全体課題の経過時間が99である旨が示されている。

(コ) 上記(ケ)より、全体課題の経過時間が、個々の課題の経過時間の合計となっているところ、上記(キ)より、本ゲームは、「主人公のキャラクタを部屋201?206へ順番に移動させ、個々の課題」を解決するものであることを考慮すれば、全体課題の経過時間は、個々の課題の経過時間を計測し、これらを合計して算出しているものといえる。

ウ 特開2001-286677号公報の記載
本願出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2001-286677号公報(平成13年10月16日出願公開)(以下、「周知例3」という。)には、以下の事項が記載されている。

(ア) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撮影あるいは動作検出される被写体の手話の内容に基づく所与のゲームを実行するための手話ゲーム装置等に関する。」

(イ) 「【0010】本発明の課題は、指文字または単語を表す手話を学習するための手話ゲーム装置等を提供することである。」

(ウ) 「【0039】図7?10は、ディスプレイに表示された50音早撃ちゲームの一画面例を示す図である。50音早撃ちゲームは、ディスプレイに表示される文字を表す指文字を何秒で行うことができたかを争うゲームである。
【0040】図7は、50音早撃ちゲームの問題を表示した画面の一例を示す図である。図7において、ディスプレイに「さ」の文字が表示されると、プレーヤは、カメラに向かって「さ」を表す指文字を行う。そして、当該指文字が正しいか否かが判定され、正しいと判定された場合には、当該指文字が入力されるまでに要した時間が表示される。図8は、入力された指文字が正しいと判定された場合に表示される画面の一例を示す図である。図8において、プレーヤが正解の指文字を行うまでに要した時間が「3.51秒」として表示されている。また、入力された指文字が誤っていると判定された場合には、図9に示すように、正しい指文字を表す画像が表示される。
【0041】そして、問題の表示、指文字の入力を所与の回数繰り返し行った後、最終問題に対する指文字の入力が終わった場合には、図10に示すように、合計時間が表示される。」

エ 周知例1ないし3の記載から把握される周知の技術事項
上記アないしウの記載事項によれば、電子ゲームの分野において、所定のゲームの実行時間を計測し、当該ゲームの実行時間の合計を特定し、当該合計に基づいてゲーム処理を行うことは、本願出願前の周知の技術事項であるといえる。

4.対比・判断
(1)本願発明と引用発明との対比

ア 引用発明の「クライアント装置100」は、本願発明の「情報処理装置」に相当する。

イ 引用発明の「事前アプリケーションまたは正式アプリケーションに係るプログラム」は、これによりゲームが実行されているものであるところ、本願発明における「ゲームプログラム」に相当する。

ウ 引用発明の「事前アプリケーションまたは正式アプリケーションに係るプログラムが記録された記録媒体102」は、本願発明の「ゲームプログラムを記憶する記憶部」に相当する。

エ 引用発明の「制御部101」は、事前アプリケーションまたは正式アプリケーションに係るプログラムを実行することにより、クライアント装置100の各ブロックの動作を制御しているところ、引用発明の「制御部101」は、本願発明の「ゲームプログラムを実行することにより、情報処理装置の動作を制御する制御部」に相当する。

オ 引用発明の「対象クエストに係るゲーム」は、本願発明の「第1ゲーム」に相当する。したがって、引用発明の「受信したクエストプレイ用情報に基づいて対象クエストに係るゲームの処理を実行」することは、本願発明の「第1ゲームを進行させる第1ゲーム処理を実行」することに相当する。

カ 引用発明の「HEX内対戦ゲーム」は、本願発明の「第2ゲーム」に相当する。したがって、引用発明の「対象クエストに係るゲームの進行中に、HEX内対戦ゲームを実行させるゲーム処理を行」うことは、本願発明の「第1ゲームの進行中に、第2ゲームを実行させる第2ゲーム処理を実行するステップ」に相当する。

キ 本願発明は、「前記第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測」するものであるところ、引用発明は、「制限時間に係る残り時間を、マップ上のHEX移動等では減少させず、HEX内対戦ゲームの実行中に、経過時間に応じて減少させる制御を行」うものである。
ここで、本願発明における「前記第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測」するという記載に関して、本願明細書等の【0053】には、「計測部113は、クエストが実行されるごとに、クエストの実行時間を計測する。」と記載されており、また、【0091】には、「計測部113は、クエストの実行中に、クエストの開始時点からの経過時間を計測することによって、クエストの実行時間を計測する。」と記載されていることから、本願発明における上記記載は、複数回の第2ゲームが実行される場合に、各第2ゲームの実行中にその実行時間を計測することを含むものと解される。そうすると、引用発明は、マップ上のHEX移動等では制限時間に係る残り時間は減少させず、HEX内対戦ゲームの実行中に当該残り時間を減少させる制御を行っているものであるから、当該制御は、HEX内対戦ゲームが実行されるごとに行われているといえる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間に関する所定の処理を行う」ものである限りにおいて共通する。

ク 引用発明の「対人プレイ要素に係る特典がプレイユーザに付与される」ことは、本願発明の「第1ゲームにおいて第3ゲーム処理を実行」することに相当する。

(2)一致点・相違点
上記(1)の対比を踏まえれば、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違するものである。

<一致点>
「情報処理装置であって、
前記情報処理装置は、
ゲームプログラムを記憶する記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行することにより、情報処理装置の動作を制御する制御部とを備えており、
前記制御部は、
第1ゲームを進行させる第1ゲーム処理を実行し、
前記第1ゲームの進行中に、第2ゲームを実行させる第2ゲーム処理を実行するステップと、
前記第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間に関する所定の処理を行い、
第1ゲームにおいて第3ゲーム処理が実行される、
情報処理装置。」


<相違点>
本願発明は、制御部が、「第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測し、前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定し、前記合計に基づいて、第1ゲームにおいて第3ゲーム処理を実行」しているのに対し、引用発明は、制御部が、「第2ゲームが実行されるごとに、制限時間に係る残り時間を減少させる処理を行い、対象クエストについて設定された制限時間内にボスHEXの制圧が完了したかに基づいてクリア条件の達成有無の判断を行い、ゲームの実行結果の情報をサーバ装置200に送信し、」サーバ装置200が、「第1ゲームにおいて第3ゲーム処理を実行」している点。

(3)判断
以下、相違点について検討する。

ア 上記3.(2)エのとおり、電子ゲームの分野において、所定のゲームの実行時間を計測し、当該ゲームの実行時間の合計を特定し、当該合計に基づいてゲーム処理を行うことは、本願出願前の周知の技術事項(以下、「周知技術1」という。)であるといえる。

イ そうすると、引用発明において、第2ゲームが実行されるごとに、制限時間に係る残り時間を減少させる処理を行い、制限時間内にボスHEXの制圧を完了したかに基づいてクリア条件の達成有無の判断を行うことに代えて、上記周知技術1を勘案し、第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測し、第2ゲームの実行時間の合計を特定し、当該合計が制限時間内であるか否かに基づいてクリア条件の達成有無の判断を行うものとすること、すなわち、「第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測し、前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定し、前記合計に基づいて」判断を行うものとすることは、所定のゲーム処理を行う情報処理装置を具現化するにあたって、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。

ウ また、サーバ装置とクライアント装置とを有するゲームシステムの分野において、サーバ装置が備える機能の一部をクライアント装置にて実行することや、クライアント装置が備える機能の一部をサーバ装置にて実行することは、広く一般的に行われているものであるから、引用発明における「第1ゲームにおいて第3ゲーム処理を実行」することを、クライアント装置の制御部にて行うものとする点、すなわち、クライアント装置の制御部が、「第1ゲームにおいて第3ゲーム処理を実行する」ものとする点は、所望のゲームシステムを実現するにあたり、当業者が適宜選択し得る設計的事項にすぎない。

エ してみれば、引用発明において、制御部が、「第2ゲームが実行されるごとに、前記第2ゲームの実行時間を計測し、前記第2ゲームの前記実行時間の合計を特定し、前記合計に基づいて、第1ゲームにおける第3ゲーム処理を実行する」ものとすることにより、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

オ そして、本願発明が奏する作用効果は、引用発明及び上記周知技術1の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

カ したがって、本願発明は、引用発明及び上記周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-04-27 
結審通知日 2021-05-06 
審決日 2021-05-25 
出願番号 特願2018-125421(P2018-125421)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上田 泰  
特許庁審判長 藤本 義仁
特許庁審判官 清水 康司
小林 謙仁
発明の名称 プログラム、方法、および情報処理装置  
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