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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1376135
審判番号 不服2020-13270  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-23 
確定日 2021-08-03 
事件の表示 特願2019-119988「人事評価支援装置、人事評価支援方法、及び人事評価支援プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 1月14日出願公開、特開2021- 5310、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,令和元年6月27日の出願であって,令和2年1月29日付けで拒絶理由通知がされ,令和2年4月3日付けで手続補正がされ,令和2年6月17日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,令和2年9月23日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,令和3年5月28日付けで拒絶理由通知がされ,令和3年6月14日付けで手続補正がされたものである。

第2 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は,令和3年6月14日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。なお,符号「A」?「G」は,当審において付与したものであり,それぞれの構成を,「構成A」などという。

「【請求項1】
A 評価項目に対する入力欄を含む人事評価表の様式を表す情報を取得し,データベースのテーブルに予め設けられるカラムと前記入力欄とを対応付け,対応関係を表す情報を記憶装置に記憶させる設定登録部と,
B 被評価者である複数の第1のユーザが入力する自己の評価に関する情報であって前記入力欄に対する記載事項を表す情報を取得し,前記対応関係を表す情報に基づいて,前記入力欄に対応付けられた前記カラムのフィールドに前記記載事項を表す情報を登録するデータ登録部と,
C 前記フィールドに登録された情報を読み出し,読み出した情報,又は当該読み出した情報を集計した情報を,評価者である第2のユーザの装置に出力する出力制御部と,を備える
D 人事評価支援装置であって,
E 前記データ登録部が取得する前記記載事項を表す情報は,前記第1のユーザ又は前記第2のユーザの装置が保持する表計算ソフトへ入力され,入力された情報は,ユーザの操作に応じて当該表計算ソフトが実行するスクリプトによって前記人事評価支援装置へ送信され,
F 前記出力制御部は,複数の前記第1のユーザの評価に関する情報を一覧表示する集計用一覧表を前記第2のユーザの装置に出力し,前記第1のユーザの評価に関する情報を前記表計算ソフトの所定の表示位置にマッピングして表示させ,
G 前記データ登録部は,前記第2のユーザが前記表計算ソフトの前記集計用一覧表に対して直接的に入力する複数の前記第1のユーザの評価を表す情報をまとめて取得し,前記記憶装置に登録する
D 人事評価支援装置。」

また,本願発明2-4は,本願発明1を減縮した発明であり,本願発明5,6は,それぞれ,本願発明1に対応する方法,プログラムの発明である。

第3 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2001-243338号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。なお,下線は,強調のため,当審において付与したものである(以下同じ。)。
ア「【0015】本発明は,以上のような従来技術の有する種々の問題に鑑みてなされたもので,人事考課に関わる作業全体をより迅速に且つ省力化して行なうことができる人事考課のシステム及び方法を提供することを,第1の目的とする。」
イ「【0039】図1に,この実施形態に係る人事考課システム10の全体概略図を示す。
【0040】この人事考課システム10は,人事部の管理下に置かれ且つ人事考課用のデータベースを提供するサーバ(以下,「考課サーバ」と呼ぶ)11と,この考課サーバ11とのデータ書込み・読取りを制御するとともに,インターネット12を経由して後述するクライアントとの間で協働してデータ通信を行なうIIS(InternetInformationServer)サーバ13A,13Bと,このIISサーバ13A,13Bが接続されるインターネット12と,人事部以外の他の部署及び支店等の複数のクライアント15A,15B,…(以下,符号15で代表させ,「部署クライアント」と呼ぶ)と,人事部クライアント16(16A,16S)とを備える。IISサーバ13A,13Bは,負荷を分散させるため,及び,相互のバックアップのために2台併設されている。」
ウ「【0066】(3.人事考課データベースのデータ更新)また,IISサーバ13A,13Bは,メインの作業フローに基づく処理と並行して,図5に示すデータ更新処理を微小な一定時間毎に定期的に繰返し実行している。
【0067】すなわち,IISサーバ13A,13Bはインターネット12を介してクライアント15,16から新たな書込みデータが送信されてきているか否かを判断する(ステップS41)。この判断がYESとなるときには,その新規データを考課サーバ11内のデータベースDBに書込み保存する(ステップS42)。反対に,かかる判断がNOとなるときには,ステップS42の処理がスキップされて,次の処理が行なわれる。
【0068】この後,IISサーバ13A,13Bはインターネット12を介してクライアント15,16からデータ読出しの指令が送信されてきているか否かを判断する(ステップS43)。この判断がYESとなるときには,考課サーバ11内のデータベースDBから指令に相当するデータを読み出し,それをクライアント15,16に適宜なタイミング及びプロトコルに基づき送り返す(ステップS44)。反対に,データ読出し不要で,かかる判断がNOとなるときには,ステップS44の処理がスキップされる。
【0069】これにより,クライアント15,16からデータを入力すると,そのデータは考課サーバ11内の人事考課のデータベースDBに書き込まれる。また,クライアント15,16から参照などを操作を指令すると,その指令に必要なデータがデータベースDBから読み出され,クライアント15,16に伝送されてくる。」
エ「【0070】(4.メインの作業フローにおける詳細な処理)図2,3を再度用いると共に必要に応じて新規の図面を参照しながら,先に概要のみを説明したメイン作業フローの個々の処理を詳細に説明する。
【0071】会計年度の初めになると,人事部では,人事部特定クライアント16Sから考課サーバ11に直接アクセスして期初の準備作業を行なう(図2,ステップS1)。
【0072】この期初準備作業では,まず,被考課者毎に人事考課のカルテの雛型が決定される。これを決定する要素は,一例としては,職群,職務,コース,等級などである。被考課者が,営業業務であるか総務業務であるか,どの職務に居るか,同じ事務職にあっても等級が何であるか等の要素に応じて,求められる職能が異なるため,これらの要素,すなわち被評価者それぞれに合わせた評価項目から成るカルテ雛型が決められる。
【0073】この評価項目は,一例として,予め決まっている内容の規定項目と,自由な内容を設定できる自由項目とがある。なお,評価項目は規定項目又は自由項目の一方だけであってもよい。例えば,図20,21に示す人事カルテの考課欄において,ひらがな及び×印部分は規定項目を,アルファベット部分は自由項目を示す。自由項目には,後述する作業により,1次考課者がその被考課者に設定する目標を記入する。自由項目は,例えば被考課者が営業を業としている場合,具体的な売上目標額のこともある。
【0074】人事部特定クライアント16Sには,カルテ基本項目テーブル案作成画面が表示され,この画面上で雛型毎に評価項目が決められる。
・・・(中略)・・・
【0080】このように決定したカルテ基本項目及び考課体系は,Excelなどの適宜なアプリケーションを使って修正可能である。修正したカルテ基本項目及び考課体系は,カルテ基本項目テーブル案取込画面及び考課体系テーブル案取込画面を通して,考課サーバ11に格納される。なお,人事部特定クライアント16Sから直接に,カルテ基本項目修正画面及び考課体系修正画面を通して,考課サーバ11に格納したテーブル修正することも可能になっている。」
オ「【0109】この期末のカルテ採点に入ると(図2,ステップS8),被考課者及び考課者は部署クライアント15から考課サーバ11にアクセスして順次,採点作業を行なう。
【0110】具体的には,被考課者が期初又は期中に設定された目標に対して自己採点する(図9,ステップS8ー1)。このときの画面例を図23に示す。
【0111】次いで,1次考課者がこれを更に点数で採点する(ステップS8ー2)。このときの画面例を図24に示す。この画面例に係る評価の場合,本人評価よりも1次考課者の評価点が優先している。」
カ「【0142】例えば,第1の変形例によれば,進捗状況リストに,単なる考課作業の進捗状況のみならず,考課に関わる様々な情報を盛り込んで一覧表示される。図31の例は,最終考課者による画面例を示す。同図に示す如く,ログオンした考課者よりも職務的に下位の被考課者に対する期末評価欄において,進捗状況を表す表示体と一緒に前期の評価ランク又は今期の自分よりも下位の考課者が採点した点数が表されている(図中では今期の採点点数を三角印で表す)。この評価ランクや点数は例えば表示色を変えて表示してもよい。これにより,考課者は,この補助的に表示されたランクや点数を参照しながら,評価・採点作業を行なうことができる。」
キ「【図1】


ク「【図2】


ケ「【図3】


コ「【図5】


サ「【図9】


シ「【図20】


ス「【図23】


セ「【図24】


ソ「【図31】



(2)引用発明の認定
上記ア,イ,キによれば,引用文献1には,「人事考課用のデータベースを提供する考課サーバ」と,「人事部クライアント」及び「人事部以外の他の部署等の複数の部署クライアント」から構成される「人事考課システム」が記載されている。
また,上記エ,ク,ケ,シによれば,引用文献1には,「人事部の特定クライアントから考課サーバにアクセスして,被考課者の職群,職務,コース,等級等に合わせた評価項目から成るカルテ雛型を決め,カルテ基本項目テーブル案作成画面を用いて,カルテ雛型ごとに評価項目を決めて,考課サーバに格納すること」が記載されている。
また,上記ウ,オ,ク,コ,サ,ス,セによれば,引用文献1には,「被考課者が,部署クライアントから考課サーバにアクセスして,設定された目標に対して自己採点を行い,カルテに記入して,データベースに書き込むこと」,及び,「考課者が部署クライアントから考課サーバにアクセスして,更に採点を行い,被考課者のカルテに記入して,データベースに書き込むこと」が記載されている。
そして,上記カによれば,引用文献1には,「考課者が,部署クライアントで,考課に関わる様々な情報を盛り込んだ一覧表示画面を参照すること」が記載され,上記ソにおいては,「一覧表示画面」において,「複数の被考課者」の情報が表示されることが看取される。
したがって,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明>
「人事考課用のデータベースを提供する考課サーバと,人事部クライアントと,複数の部署クライアントから構成される人事考課システムであって,
人事部の特定クライアントから考課サーバにアクセスして,被考課者の職群,職務,コース,等級等に合わせた評価項目から成るカルテ雛型を決め,カルテ基本項目テーブル案作成画面を用いて,カルテ雛型ごとに評価項目を決めて,考課サーバに格納するための手段と,
被考課者が,部署クライアントから考課サーバにアクセスして,設定された目標に対して自己採点を行い,カルテに記入して,データベースに書き込むための手段と,
考課者が,部署クライアントから考課サーバにアクセスして,更に採点を行い,被考課者のカルテに記入して,データベースに書き込むための手段と,
考課者が,部署クライアントで,複数の被考課者についての考課に関わる様々な情報を盛り込んだ一覧表示画面を参照するための手段と,を備えた,
人事考課システム。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2006-24021号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
ア「【0001】 本発明は帳票自動作成システムに関し,特に従来の帳票からWeb上で利用できるデータ入力画面と帳票レイアウトを生成する帳票自動作成サーバに関する。」
イ「【0019】 次に,本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は,本発明の第1の実施の形態の帳票自動作成システムの模式的ブロック構成図であり,本発明の帳票自動作成システム1は,中核となる帳票自動作成サーバ10と,管理者端末20と,利用者端末30と,これらと接続して情報を伝達する通信ネットワーク50とから構成される。管理者端末20と利用者端末30とは,それぞれ1個のみ表示されているが目的やシステムの構成に対応して複数設けられてもよい。これらの帳票自動作成サーバ10,管理者端末20,および利用者端末30はプログラム制御により動作する。
【0020】 本発明では,ワープロソフトや表計算ソフトで作成されたレイアウトを使用した従来の帳票からWeb上で利用できるデータ入力画面と帳票レイアウトを生成する方法を提供し,帳票入力データは,随時取り出し可能に帳票入力データ格納部の所定の領域に格納されている。
【0021】 管理者端末20は,管理者が操作するパーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり,帳票自動作成サーバ10が提供している帳票フォーマット登録画面にアクセスして,通信ネットワーク50を介して帳票フォーマット情報を帳票自動作成サーバ10に送信する機能を備えている。帳票フォーマット情報には,ワープロソフトや表計算ソフトで作成された帳票のレイアウトと,該帳票レイアウトに配置された識別子に対応してそのレイアウト位置に入力される内容が記述されるデータ配置識別情報とが含まれている。データ配置識別情報は,項目名,データ形式などの情報を含み,データ識別タグを付したテキスト,画像,ハイパーリンクなどで構成される。また,管理者端末20は,帳票自動作成サーバ10が提供している帳票出力画面にアクセスし,帳票情報を画面に表示させる機能を備えている。帳票情報としては,例えば,人事考課帳票,顧客名簿帳票,商品帳票等に関する情報があり,氏名,所属,考課結果,年齢,性別,商品名,価格等の情報が含まれる。」
ウ「【0033】 次に,本発明の第1の実施の形態の帳票自動作成システムの帳票自動作成方法について図面を参照して説明する。図3は第1の実施の形態の帳票自動作成システムの帳票自動作成方法を説明するフローチャートであり,図4は帳票フォーマット登録画面の1例を示す模式図,図5は帳票フォーマット情報入力の1例を示す模式図で,(a)は帳票レイアウトを示し,(b)はデータ配置識別情報を示す。図6はデータ入力画面レイアウトの模式図であり,図7はデータ入力画面入力例を示す模式図である。
【0034】 まず,管理者は,管理者端末20より,帳票自動作成サーバ10にアクセスする(図2のステップS11)。これに応答して,帳票自動作成サーバ10は,帳票フォーマット登録画面を管理者端末20に送信する(ステップS12)。
【0035】 管理者端末20では,例えば図4に示す帳票フォーマット登録画面が表示され,管理者は,あらかじめ作成しておいた帳票レイアウトとデータ配置識別情報とから構成される帳票フォーマット情報を帳票フォーマット登録画面に載せて送信する。(ステップS13)。例えば,図5に示すような帳票レイアウトおよびデータ配置識別情報を帳票フォーマット情報として送信する。
【0036】 帳票自動作成サーバ10は,管理者端末20から送信された帳票フォーマット情報を受信すると,帳票フォーマット情報に含まれる帳票のレイアウトから,データ入力画面レイアウト作成部114により,データ入力画面17のレイアウトを生成する。さらに,帳票自動作成サーバ10は,受信した帳票フォーマット情報に含まれるデータ配置識別情報からデータ入力画面17の入力欄を生成する(ステップS14)。さらに,帳票自動作成サーバ10は,帳票フォーマット情報に含まれる帳票のレイアウトから,帳票レイアウト作成部115により,帳票レイアウト16を生成する。(ステップS15)。さらに,帳票自動作成サーバ10は,受信した帳票フォーマット情報に含まれるデータ配置識別情報から帳票入力データ情報を格納する領域を,帳票入力データ格納部205に作成する(ステップS16)。ここまでが帳票フォーマット作成プロセスである。」
エ「【0037】 次に,利用者は,利用者端末30より,帳票自動作成サーバ10にアクセスする(ステップS21)。これに応答して,帳票自動作成サーバ10は,データ入力画面17を利用者端末30に送信する(ステップS22)。
【0038】 利用者端末30には,図6に示すデータ入力画面17が表示され,利用者は,帳票入力データ情報を送信する(ステップS23)。例えば,図7に示すように,データ入力画面17上にある「実施日」,「氏名」,「所属」,「評価」の入力欄に入力データを入力し,「登録」ボタンをマウスでクリックすると入力データとして帳票自動作成サーバ10に送信される。
【0039】 帳票自動作成サーバ10は,利用者端末30から送信された帳票入力データを受信すると,帳票入力データを解析して,帳票入力データを帳票入力データ格納部205の所定の領域に保存する(ステップS24)。ここまでが帳票データ入力プロセスである。」
オ「【図1】


カ「【図3】


キ「【図5】


ク「【図6】


ケ「【図7】



(2)引用文献2に記載された技術事項
上記ア,イ,オによれば,引用文献2には,「帳票自動作成システムにおいて,表計算ソフト等で作成された人事考課帳票について,帳票のレイアウトと,該帳票レイアウトに配置された識別子に対応してそのレイアウト位置に入力される内容が記述されるデータ配置識別情報と,を含む帳票フォーマット情報を,管理者端末が,帳票自動作成サーバに送信すること」が記載されている。
また,上記ウ,カ,キによれば,引用文献2には,「帳票自動作成サーバは,帳票フォーマット情報を受信すると,データ配置識別情報から,データ入力画面の入力欄と,帳票入力データ情報を格納する領域を,帳票入力データ格納部に作成すること」が記載されている
そして,上記エ,ク,ケによれば,引用文献2には,「利用者端末によりデータ入力画面の入力欄に入力された帳票入力データを帳票自動作成サーバが受信すると,帳票入力データを解析して,帳票入力データ格納部の所定の領域に保存すること」が記載されている。
以上より,引用文献2には,「帳票自動作成システムにおいて,表計算ソフト等で作成された人事考課帳票について,帳票のレイアウトと,該帳票レイアウトに配置された識別子に対応してそのレイアウト位置に入力される内容が記述されるデータ配置識別情報と,を含む帳票フォーマット情報を帳票自動作成サーバが受信すると,帳票自動作成サーバは,データ配置識別情報から,データ入力画面の入力欄と,帳票入力データ情報を格納する領域を,帳票入力データ格納部に作成し,次に,データ入力画面の入力欄に入力された帳票入力データを受信すると,帳票入力データを解析して,帳票入力データ格納部の所定の領域に保存すること」という技術事項が記載されていると認められる。

3 引用文献3,4について
原査定に引用された,引用文献3(国際公開第97/11434号),同4(特開2006-309697号公報)には,それぞれ以下の技術事項が記載されている。
(1)引用文献3
「本発明は,エンドユーザが表計算ソフトを用いて作成した伝票から,テーブル設計なしにデータベースを構築する手段,および,エンドユーザが表計算ソフトを用いて作成した伝票をユーザインタフェースとして,テーブルを意識しないで,データベースにデータをエントリしたり,伝票単位で検索する手段を提供することを目的としている。
発明の開示
上記目的を達成するために,ユーザが表計算ソフトで作成した伝票の画面表示情報データを獲得し,その情報から罫線,文字等を抽出して伝票の構造を認識して伝票フォーマッ卜の構造データを構築し,この構造データを元にユーザの作成した伝票に対応するデータベースのテーブルを作成するSQL文を生成し,データベース・マネージメントシステムでこのSQL文を実行させてデータベースを構築するフォーマット定義処理,および,定義済みの伝票フォーマットを表計算ソフトの画面上に表示し,ユーザが伝票の各項目にデータ入力を行なった後に伝票の画面表示情報データを獲得し,先に作成したフォーマット構造データと対応させながら,データを格納するテーブルと項目を判定してデータベースにデータを格納するSQL文を生成し,データベース・マネージメントシステムでこのSQL文を実行させてデータベースにデータを格納する伝票格納処理,および,定義済みの伝票フォーマットを表計算ソフトの画面上に表示し,ユーザが伝票の項目に検索コマンドの入力を行なった後に伝票の画面表示情報データを獲得し,先に作成したフォーマット構造データと対応させながら,検索コマンドの入力されたテーブルと項目を判定してデータベースを検索するための条件文を作成し,これを元にデータべースを検索するSQL文を生成し,データべース・マネージメントシステムでこのSQL文を実行させてデータベースを検索し,結果を伝票フォーマッ卜の形式で表計算ソフ卜の画面上に表示する伝票検索処理,の機能を持つ表計算ソフ卜の組み込みツールを提供する。
本発明によれば,エンドユーザが表計算ソフ卜で作成した伝票から自動的にデータベースを構築することができ,さらに,この伝票画面を使用してデータベースにデータをエントリすることができ,さらに,この伝票画面を使用して検索コマンドを入力することで,データベースから伝票を検索することが可能となるため,データベースを意識して新たな帳票を作成したり,テーブルや項目を意識してデータを入力したり,検索コマンドを入力する必要がなくなり,エンドユーザにとっての使い勝手が大幅に改善される。」(第3頁第22行?第5頁第5行)

(2)引用文献4
「【0074】 図4は,本発明の好適な実施例の一例に係る複数の業務機能から構成される業務プロセスのコンピュータシステムのソフトウェア構成を示すブロック図である。端末20a,20bにおいては,オペレーティングシステム(例えば,Windows(登録商標)OS),表計算手段(例えば,MICROSOFT EXCEL(登録商標))が常駐しており,その上に共通管理機能構成手段としてのBaseModule及び業務機能別管理機能構成手段としてのApplicationModuleが稼動している。前述のように,本発明においてはApplicationModuleは着脱自在であり,必要に応じて組み込まれて実行される。
【0075】 ここで着脱自在とは,当該ApplicationModaleは,それ自体でひとつのまとまった機能を有しており,他のApplicationModale,BaseModaleとは独立して組込/取り外しが可能であることを意味する。
【0076】 端末20a,20bにおいては,当該共通管理機能構成手段としてのBaseModuleを構成する記憶手段によって,業務機能別管理機能構成手段としてのApplicationModuleに共通に利用するデータを記憶している。このように,当該コンピュータシステムが稼動する際に,通信ネットワーク30を介して接続されたサーバ10の標準データベースからODBC接続で必要なデータを取得し,一旦取得した当該データは,排他処理を行ったうえで一連の作業が終了するまで当該記憶手段によって保持される。そして,作業終了後,通信ネットワーク30を介して再びODBC接続でサーバ10にある標準データベースを更新する。
【0077】 本発明に係るコンピュータシステムは上述のようなファイル管理機能を備えており,サーバ10の標準データベースの整合性を保ちつつ,端末20a,20bの表計算手段上のアプリケーションにおいてローカル環境でデータ処理を行うという特徴を持つ。このことにより,当該コンピュータシステムは,アプリケーションのレスポンスをはじめとする処理効率を向上し,システム作成の手間をできるだけ省きつつ,本格的なデータベースシステムとの間のデータの整合性を保つことができる。」

(3)本願出願前の周知技術
上記した引用文献3,4に記載された技術事項によれば,「端末側の表計算ソフト上で実行されるプログラムで実現される伝票帳票等のユーザインタフェースを用いて,データベースサーバに対してデータの読み書きを行うこと」は,本願出願前において周知技術であるといえる。

4 引用文献5について
(1)引用文献5の記載
原査定において引用された引用文献5(特開2012-256255号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
ア「【0001】 本発明は,評価対象を評価する評価装置等に関するものである。」
イ「【0005】 本発明の評価装置は,1以上の評価対象に対して複数の評価者がそれぞれ行った1以上の評価項目についての評価の結果を示す値である項目評価値と,評価を行った各評価者の属性を示す情報である評価者属性情報と,をそれぞれ有する複数の評価情報が格納される評価情報格納部と,評価者属性情報と,重み付けに用いられる値である重み付け値とを有する属性別重み付け情報が格納される属性別重み付け格納部と,1以上の評価情報に含まれる項目評価値に,評価情報に含まれる評価者属性情報と対応づけられて属性別重み付け格納部に格納されている重み付け値を用いた重み付けを行って,評価対象ごとに,評価対象全体の評価値である全体評価値を取得する全体評価値取得部と,全体評価値を出力する出力部とを備えた評価装置である。
【0006】 かかる構成により,複数の評価者が評価対象に対して行った評価を,各評価者の属性等を考慮して最適化して出力することができる。
【0007】 また,本発明の評価装置は,前記評価装置において,各評価項目に対応する項目評価値の重み付けに用いられる1以上の重み付け値である項目重み付け値が格納される項目別重み付け格納部を更に備え,全体評価値取得部は,1以上の評価情報に含まれる項目評価値を,項目評価値に対応する評価項目に対応する項目重み付け値で更に重み付けして,全体評価値を取得する評価装置である。
【0008】 かかる構成により,各評価項目についての項目評価値を,評価項目について重み付けして出力することができる。
【0009】 また,本発明の評価装置は,前記評価装置において,評価情報は,評価の対象となる期間の情報である評価期間情報を更に有し,全体評価値取得部は,評価対象ごとに,評価期間情報が示す各期間についてそれぞれ全体評価値を算出し,算出された期間ごとの全体評価値を,各期間の比率に応じて合算して全体評価値を取得する評価装置である。
【0010】 かかる構成により,評価対象となる期間の異なる全体評価値を適切に合算して,全期間を通しての全体評価値を取得することができる。
【0011】 また,本発明の評価装置は,前記評価装置において,評価情報は,評価対象の属性を示す情報である評価対象属性情報を更に有し,評価対象属性情報と,項目重み付け値とを有する項目重み付け管理情報が格納される項目別重み付け格納部をさらに備え,全体評価値取得部は,1以上の評価情報に含まれる項目評価値を,この評価情報に含まれる評価対象属性情報に対応付けられた項目重み付け値で更に重み付けして,全体評価値を取得する評価装置である。
【0012】 かかる構成により,評価対象に対応した項目重み付け値で,項目評価値を重み付けてして,評価対象に対して適切な全体評価値を取得することができる。」
ウ「【0118】 図7は,評価情報格納部11に格納されている評価情報を構成する評価者属性情報等を管理する評価者管理情報の一例を示す図である。評価者管理情報は,「評価値グループID」と,「評価者ID」と,「評価者属性」と,「評価対象ID」と,「評価対象属性」と,「評価期間」と,「属性期間」と,「評価対象期間」という項目を有している。「評価値グループID」は,評価値グループの識別情報であり,図5の「評価値グループID」と対応する。評価者管理情報は,ここでは,評価者管理情報の各レコード(行)を管理する識別情報と考えても良い。「評価者ID」は,対応する「評価値グループID」が示す項目評価値を得るための評価を行った評価者の評価者識別情報である。ここでは,評価者識別情報は,例えば,評価者である社員の社員番号等の社員識別情報(社員ID)であるとする。「評価者属性」は,評価者属性情報である。「評価者属性」は,ここでは更に,「役職ID」と「階層関連」という項目を有している。「役職ID」は,役職識別情報であり,ここでは,「課長」,「係長」等の役職名を示している。「階層関連」は,評価者と評価対象との階層関係を示す情報である。例えば,「直系階層差1」は,対応する評価対象が,対応する評価者に対して直系の下位の階層であり,その階層差が「1」であることを示している。つまり,評価対象が,評価者に対して直接従属している関係にあることを示している。「評価対象ID」は,評価対象識別情報である。ここでは,評価対象識別情報は,例えば,評価対象である社員の社員番号等の社員識別情報(社員ID)であるとする。「評価対象属性」は,評価対象属性情報であり,ここでは,社員の分類を示している。「評価期間」は,評価期間情報であり,例えば,評価開始の年月と,評価終了の年月との範囲で示されている。「属性期間」は,属性期間情報であり,ここでは,「評価期間」が示す期間内において,評価対象の評価対象属性情報が,「評価対象属性」が示す値であった期間を,その開始の年月と,終了の年月との範囲で示している。「評価対象期間」は,評価対象期間情報である。ここでは,評価対象が,評価対象となってからの期間(経過した月)を示す情報であるとする。例えば,評価対象が入社してからの経過期間を示す情報であるとする。ただし,「評価対象期間」は,必須の項目ではない。なお,ここでは,図5の項目評価管理情報と,図7の評価者管理情報とにより,評価情報が構成されているものとする。」
エ「【0122】 図10は,項目別重み付け格納部14に格納されている項目重み付け管理情報を示す図である。この項目重み付け管理情報は,上述した第二項目重み付け管理情報と,第三項目重み付け管理情報とを組み合わせたものである。項目重み付け管理情報は,「評価対象属性」と,「ノードID」と,「項目重み付け値」という項目を有している。「評価対象属性」は,評価対象属性情報であり,図7の「評価対象属性」と対応している。「ノードID」は,評価項目の階層構造におけるノード識別情報であり,図9の「階層指定情報」のノードIDに対応している。「項目重み付け値」は,項目重み付け値である。この項目重み付け管理情報により,項目重み付け値は,階層構造を有する評価項目の各ノードと,評価対象の評価対象属性情報とに対応付けられて管理されている。」
オ「【0131】 次に,全体評価値取得部16は,項目評価値管理情報から読み出した「評価者グループID」が「G1」であるレコードのうちの1番目のレコードの「項目ID」である「E1」を取得する。そして,階層情報格納部12に格納されている図9に示した階層情報から,「項目ID」が「E1」であるレコードを検出し,このレコードの「階層指定情報」である「/N1/N11/N111」を取得する。そして,この階層指定情報に含まれる全てのノードID,即ち「N1」,「N11」,および「N111」を取得する。そして,図9に示した項目重み付け管理情報から,「評価対象属性」が上記で取得した「一般社員」であり,「ノードID」が,それぞれ「N1」,「N11」,および「N111」であるレコードに含まれる「項目重み付け値」を,順次取得する。ここでは,項目重み付け値として「1」,「1.5」,および「1.2」が取得できる。」
カ「【0134】 ここでは,項目重み付け値に変更が行われないため,全体評価値取得部16は,上記で取得した全ての項目重み付け値「1」,「1.5」,および「1.2」を,項目評価値管理情報から読み出した「評価者グループID」が「G1」であるレコードのうちの1番目のレコードの「項目評価値」である「8」に順次乗算して,この項目評価値を重み付けする。例えば,重み付けされた項目評価値は,「8×1×1.5×1.2=14.4」となる。そして,重み付けされた項目評価値を,図示しない記憶媒体等に一時記憶する。」
キ「【図7】


ク「【図9】


ケ「【図10】



(2)引用文献5に記載された技術事項
上記ア,イ,ウ,キによれば,引用文献5には,「評価装置において,評価者管理情報として,評価対象ID(評価対象者の社員識別番号)と,評価期間と,評価者ID(評価者の社員識別番号)とを関係付けて管理すること」という技術事項が記載されている。
また,上記ア,イ,エ,オ,カ,ク,ケによれば,引用文献5には,「評価対象の属性(一般社員,係長等)に応じた重みを用いて評価項目の評価値を重み付けすること」という技術事項が記載されている。

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。
引用発明の「人事考課」は,本願発明1の「人事評価」に相当し,引用発明の「被考課者」及び「考課者」は,本願発明1の「被評価者である第1のユーザ」及び「評価者である第2のユーザ」にそれぞれ相当し,引用発明の「人事考課システム」と,本願発明1の「人事評価支援装置」とは,「人事評価のための装置」である点で共通するといえる。
また,引用発明の「評価項目から成るカルテ雛型」は,本願発明1の「設定登録部」に係る構成Aの「評価項目に対する入力欄を含む人事評価表の様式」に対応するから,引用発明の「人事部の特定クライアントから考課サーバにアクセスして,被考課者の職群,職務,コース,等級等に合わせた評価項目から成るカルテ雛型を決め,カルテ基本項目テーブル案作成画面を用いて,カルテ雛型ごとに評価項目を決めて,考課サーバに格納するための手段」と,本願発明1の「設定登録部」に係る構成Aとは,「評価項目に対する入力欄を含む人事評価表の様式を登録するための手段」である点で共通する。
また,引用発明において,複数の「被考課者」がカルテに記入する「自己採点」は,本願発明1の「データ登録部」に係る構成Bにおいて,「被評価者である第1のユーザ」が入力する「自己の評価に関する情報」に相当するから,引用発明の「被考課者が,部署クライアントから考課サーバにアクセスして,設定された目標に対して自己採点を行い,カルテに記入して,データベースに書き込むための手段」と,本願発明1の「データ登録部」に係る構成Bとは,「被評価者である複数の第1のユーザが入力する自己の評価に関する情報を取得し,データベースに登録するための手段」である点で共通する。
そして,引用発明の「考課者が部署クライアントで複数の被考課者についての考課に関わる様々な情報を盛り込んだ一覧表示画面を参照する手段」と,本願発明1の「出力制御部」に係る構成C及びFとは,「データベースから読み出した情報,又は当該読み出した情報を集計した情報を,評価者である第2のユーザの装置に,複数の前記第1のユーザの評価に関する情報の一覧表示として出力する手段」である点で共通し,引用発明において,「考課者」が,被考課者のカルテに記入する「採点」は,本願発明1の「データ登録部」に係る構成Gにおいて,「第2のユーザ」が入力する「第1のユーザの評価を表す情報」に相当するから,引用発明の「考課者が,部署クライアントから考課サーバにアクセスして,更に採点を行い,被考課者のカルテに記入して,データベースに書き込むための手段」と,本願発明1の「データ登録部」に係る構成Gとは,「第2のユーザが入力する第1のユーザの評価に関する情報を取得し,登録するための手段」である点で共通する。
以上より,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「評価項目に対する入力欄を含む人事評価表の様式を登録するための手段と,
被評価者である複数の第1のユーザが入力する自己の評価に関する情報を取得し,データベースに登録するための手段と,
前記データベースから読み出した情報,又は当該読み出した情報を集計した情報を,評価者である第2のユーザの装置に,複数の前記第1のユーザの評価に関する情報の一覧表示として出力するための手段と,
前記第2のユーザが入力する複数の前記第1のユーザの評価に関する情報を取得し,登録するための手段と,を備える
人事評価のための装置。」

(相違点1)
本願発明1は,構成Aの「設定登録部」にて,「データベースのテーブルに予め設けられるカラムと前人事評価表の様式を表す情報に含まれる入力欄とを対応付け,対応関係を表す情報を記憶装置に記憶させる」のに対し,引用発明は,そうであるか不明な点。

(相違点2)
本願発明1は,構成Bの「データ登録部」にて,「被評価者である複数の第1のユーザが入力する自己の評価に関する情報であって前記入力欄に対する記載事項を表す情報を取得し,前記対応関係を表す情報に基づいて,前記入力欄に対応付けられた前記カラムのフィールドに前記記載事項を表す情報を登録する」のに対し,引用発明は,そうであるか不明な点。

(相違点3)
本願発明1では,構成Eにより,「前記データ登録部が取得する前記記載事項を表す情報は,前記第1のユーザ又は前記第2のユーザの装置が保持する表計算ソフトへ入力され,入力された情報は,ユーザの操作に応じて当該表計算ソフトが実行するスクリプトによって前記人事評価支援装置へ送信され」るのに対し,引用発明は,そのようになっていない点。

(相違点4)
本願発明1では,構成F及びGにより,「前記出力制御部は,複数の前記第1のユーザの評価に関する情報を一覧表示する集計用一覧表を前記第2のユーザの装置に出力し,前記第1のユーザの評価に関する情報を前記表計算ソフトの所定の表示位置にマッピングして表示させ」,「前記データ登録部は,前記第2のユーザが前記表計算ソフトの前記集計用一覧表に対して直接的に入力する複数の前記第1のユーザの評価を表す情報をまとめて取得し,前記記憶装置に登録する」のに対し,引用発明は,そのようになっていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み,上記相違点4について検討する。
上記第3の3(3)のとおり,「端末側の表計算ソフト上で実行されるプログラムで実現される伝票帳票等のユーザインタフェースを用いて,データベースサーバに対してデータの読み書きを行うこと」は,本願出願前において周知技術であるといえるから,引用発明の「一覧表示画面」を,表計算ソフトを使用して,被考課者の評価に関する情報を「表計算ソフトの所定の表示位置にマッピングして表示させ」る構成とし,相違点4のうち,構成Fのみを得ることは,当業者にとって困難を要するものとはいえない。
しかしながら,引用文献1の図31には,「一覧表示画面」に,それぞれの被考課者に対する「参照ボタン」を設けることが記載され,発明の詳細な説明の【0063】には,「参照ボタンがクリックされたときは,クリックされた被考課者の人事カルテが表示される」と記載されていることからみて,引用発明における,考課者による被考課者についての採点の入力は,それぞれの被考課者のカルテを個別に表示させて行うものであると認められ,複数の被考課者に対する評価を表す情報を,一覧表示画面に対して直接的に入力し,それらの情報を部署クライアントがまとめて取得して,考課サーバのデータベースに登録することは,引用文献1には記載も示唆もなされていない。また,かかる事項は,拒絶査定で引用された引用文献2-5のいずれにも記載も示唆もなされておらず,周知技術であるということもできない。
そうすると,たとえ,上記の周知技術に基づいて,引用発明の一覧表示画面を,表計算ソフトにより実装する構成を採用したとしても,本願発明1の構成Gに係る「前記第2のユーザが前記表計算ソフトの前記集計用一覧表に対して直接的に入力する複数の前記第1のユーザの評価を表す情報をまとめて取得し,前記記憶装置に登録する」との構成を得ることは,当業者であっても容易に想到し得ることとはいえない。
したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明,引用文献2-5に記載された技術事項,ならびに,周知技術に基づいて,容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-4について
請求項1を引用する本願発明2-4も,本願発明1の構成Gを備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2-5に記載された技術事項,ならびに,周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明5,6について
本願発明5は,本願発明1に対応する方法の発明であり,その「情報を登録する処理」において,本願発明1の構成Gに相当する構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2に記載された技術事項,ならびに,周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
また,本願発明6は,本願発明1の「人事評価支援装置」をコンピュータソフトウエアにより実現する場合の「プログラム」の発明であり,本願発明5と同様に,本願発明1の構成Gに相当する構成を備えるものであるから,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2-5に記載された技術事項,ならびに,周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は,請求項1-6について,引用文献1-5に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら,令和3年6月14日付け手続補正により補正された請求項1-4は,上記構成Gを,また,請求項5,6は,上記構成Gに相当する構成を有するものとなっており,上記のとおり,本願発明1-6は,引用文献1に記載された発明及び引用文献2-5に記載された技術事項,ならびに,周知技術に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
当審では,請求項1の「データ登録部」及び請求項5,6の「情報を登録する処理」について,「前記第2のユーザが前記表計算ソフトの前記集計用一覧表を介して入力する」との記載は,第2のユーザによる入力に関する処理が明確でないとの拒絶の理由を通知しているが,令和3年6月14日付けの補正において,「前記第2のユーザが前記表計算ソフトの前記集計用一覧表に対して直接的に入力する」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり,本願発明1-6は,当業者が引用発明及び引用文献2-5に記載された技術事項ならびに周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-07-16 
出願番号 特願2019-119988(P2019-119988)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 537- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松尾 真人  
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 篠原 功一
須田 勝巳
発明の名称 人事評価支援装置、人事評価支援方法、及び人事評価支援プログラム  
代理人 特許業務法人秀和特許事務所  
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