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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16F
管理番号 1376168
審判番号 不服2020-7357  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-29 
確定日 2021-07-15 
事件の表示 特願2016- 83925「免震装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月26日出願公開、特開2017-194098〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年4月19日に出願された特願2016-83925号であり、その手続の概要は、以下のとおりである。
令和1年 9月27日付け:拒絶理由通知書
令和1年12月 6日 :意見書、手続補正書
令和2年 2月28日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和2年 5月29日 :審判請求書、手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)

第2 本件補正について
1 本件補正の内容
(1)令和1年12月6日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7(以下、「補正前発明1」ないし「補正前発明7」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】
交互に積層された弾性層及び剛性層を有する積層体と、この積層体内に当該積層体の積層方向に伸びて形成された中空部に充填された振動減衰体とを具備しており、振動減衰体は、積層体に対しての積層方向の無荷重下で、15MPa以上であって、55MPa以下の応力をもって中空部に充填されている免震装置。
【請求項2】
交互に積層された弾性層及び剛性層を有する積層体と、この積層体内に当該積層体の積層方向に伸びて形成された中空部に充填された振動減衰体とを具備しており、振動減衰体は、積層体に対しての積層方向の荷重下で、15MPa以上であって、55MPa以下の応力をもって中空部に充填されている免震装置。
【請求項3】
振動減衰体は、積層体に対して面圧0.5MPaに相当する積層方向の荷重下で、15MPa以上であって、55MPa以下の応力をもって中空部に充填されている請求項2に記載の免震装置。
【請求項4】
振動減衰体は、塑性変形で振動エネルギを吸収する減衰材料からなる請求項1から3のいずれか一項に記載の免震装置。
【請求項5】
減衰材料は、鉛、錫又は非鉛系低融点合金からなる請求項4に記載の免震装置。
【請求項6】
中空部を規定する積層体の内周面は、振動減衰体が弾性層に食い込んで、当該弾性層の位置で凹面になっている請求項1から5のいずれか一項に記載の免震装置。
【請求項7】
中空部を規定する積層体の内周面は、振動減衰体が弾性層に食い込んで、剛性層の位置で凸面になっている請求項1から6のいずれか一項に記載の免震装置。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし6(以下、「本件発明1」ないし「本件発明6」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
交互に積層された弾性層及び剛性層を有する積層体と、この積層体内に当該積層体の積層方向に伸びて形成された中空部に充填された振動減衰体とを具備しており、振動減衰体は、積層体に対しての積層方向の荷重下で、15MPa以上であって、55MPa以下の応力をもって中空部に充填されている免震装置。
【請求項2】
振動減衰体は、積層体に対して面圧0.5MPaに相当する積層方向の荷重下で、15MPa以上であって、55MPa以下の応力をもって中空部に充填されている請求項1に記載の免震装置。
【請求項3】
振動減衰体は、塑性変形で振動エネルギを吸収する減衰材料からなる請求項1又は2に記載の免震装置。
【請求項4】
減衰材料は、鉛、錫又は非鉛系低融点合金からなる請求項3に記載の免震装置。
【請求項5】
中空部を規定する積層体の内周面は、振動減衰体が弾性層に食い込んで、当該弾性層の位置で凹面になっている請求項1から4のいずれか一項に記載の免震装置。
【請求項6】
中空部を規定する積層体の内周面は、振動減衰体が弾性層に食い込んで、剛性層の位置で凸面になっている請求項1から5のいずれか一項に記載の免震装置。」

2 補正の適否について
本件補正は、補正前発明1を削除し、補正前発明2ないし7を本件発明1ないし6としたものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる、同法第36条第5項に規定する請求項の削除を目的とする補正である。
したがって、請求項1ないし6に係る本件補正は適法になされたものである。

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、補正前発明1ないし5は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。また、補正前発明6及び7は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された周知技術に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特許第3360828号公報
引用文献2:特開2001-74096号公報(周知技術を示す文献)

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
(1)第5欄第7行ないし第16行
「本発明のエネルギー吸収装置は、地震や強風により引き起こされる運動の効果を減少するために建築物、橋梁などの大きい構造物に使用することができる。また貨物列車などの運動体を停止させるための衝撃吸収装置またはエネルギー吸収ストップとして使用することができる。また産業用機械や原動機などから発生する振動、または洗濯機などの家庭用器械から発生する振動を減衰するために用いられたり、運動、振動などからの遮断若しくは減衰することが要求されるいかなる応用分野にも用いることができる。」
(2)第6欄第25行ないし第30行
「前記コアに印加される静水圧(hydrostatic pressure)は、前記エネルギー吸収材料の剪断降伏応力を超えるのが好ましい。前記静水圧は、好ましくは10MPa以上であり、もっとも好ましくは、20?100MPaの範囲である。」
(3)第9欄第30行ないし第47行
「図1は、たとえば米国特許第4,117,637号明細書に記載されているような鉛とゴムから構成される支柱(bearivg)からなる典型的な公知のエネルギー吸収装置を示している。当該支柱は、複数の鋼板の層2にサンドイッチ状に交互に差し込まれたゴムの層1からなる弾力性を有する支持パッド10から構成される。当該支柱は鉛のエネルギー吸収コア3から構成される。また当該支柱を、連結プレート4を通して、ビルディング、橋梁などの構造物とボルト締めによって所定の位置に耐震性を考慮して固定しうるように、前記支柱は、その頂部と底部とにそれぞれ選択的に連結プレート4を配設している。連結プレート4の代わりに、支柱がそのあいだに介装される、構造物の各部材には、水平方向の運動を防止するために、その中に当該支柱が係合する凹所を設けてもよい。使用の際、地震または風の負荷のもとで、支柱が変形すると当該支柱は剪断力を含む力を受ける。剪断力はコア3に加えられる。支柱が運動を受けると、当該コアは前後に繰り返し変形する。」
(4)第10欄第21行ないし第11欄第1行
「図2および3に示された本発明の吸収装置において、コア3は取り囲んでいる支持構造よりいくぶん長く厚い。弾性材料からなる当該支持構造が静止状態にあるとき、コアはエンドプレート4の孔5の中にまで延びている。製造中に支持構造は、コア3の長さが調節されるまで矢印Aにより示されたプレートに対してほぼ直角の方向に延ばされる。エンドキャップ6は、コア3の各端部において、孔5の所定の位置に固定されると延伸力は解放される。図2は取り除かれたエンドキャップ6を示しており、図3は所定の位置におけるエンドキャップを示している。パッドが解放されると、弾性体層1における弾性的な収縮力によってコア3に静水圧が印加される。パッドの垂直方向および水平方向の変形によるコア表面の単位面積あたりの力はほぼ等しい。
コアの材料は、少なくともコアのエネルギー吸収材料の剪断降伏応力に達するまで、好ましくは、超えるまでほぼ静水圧のもとであらかじめ応力が加えられ、その結果コアの材料は常に圧縮される。鉛のばあい、周囲温度における剪断降伏応力は、約10.5MPaであり、10MPa以上の圧力が有効であることがわかっている。静水圧の効果について、図26および27に示されたモールの応力円を用いて簡単に説明できる。すなわち、2つの次元によって、特性を応力のテンソルで表わすことができる。本体に印加された静水圧は、該本体に作用する3つの主応力の和の1/3として定義される。図26において、静水圧は零であり、主引張応力はσ_(x)であり、主圧縮応力はσ_(y)であり、最大剪断応力はσ′_(xy)であり、いずれもその値は等しい。図27のばあい、剪断応力σ′_(xy)に等しい静水圧Pが印加される。最大引張応力は零になり、その結果本体は常に圧縮を受ける。したがって引張を受けることはない。」
(5)第3図




2 引用文献1に記載の技術的事項
上記引用文献1の記載から、次の技術的事項が認定できる。
(1)上記1(3)及び(5)から、交互に積層された弾性体層1及び鋼板層2を有する支持パッド10の積層方向に伸びて中空部が形成されている構成と、該中空部にエネルギー吸収コア3が充填されている構成。
(2)上記1(2)ないし(4)から、支持パッド10に対しての積層方向の無荷重下で、エネルギー吸収コア3は静水圧のもとであらかじめ20?100MPaの応力が加えられていること。

3 引用文献1に記載された発明
上記の引用文献1に記載の技術的事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認めることができる。
<引用発明>
「交互に積層された弾性体層1及び鋼板層2を有する支持パッド10と、この支持パッド10内に当該支持パッド10の積層方向に伸びて形成された中空部に充填されたエネルギー吸収コア3とを具備しており、前記エネルギー吸収コア3は、支持パッド10に対しての積層方向の無荷重下で、静水圧のもとであらかじめ20?100MPaの応力が加えられて、前記中空部に充填されているエネルギー吸収装置。」

第5 対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「弾性体層1」は、本件発明1の「弾性層」に相当する。引用発明の「鋼板層2」は、本件発明1の「剛性層」に相当する。よって、引用発明の「支持パッド10」は、本件発明1の「積層体」に相当する。
引用発明の「中空部」は、本件発明1の「中空部」に相当する。引用発明の「エネルギー吸収コア3」は、本件発明1の「振動減衰体」に相当する。よって、引用発明の「この支持パッド10内に当該支持パッド10の積層方向に伸びて形成された中空部に充填されたエネルギー吸収コア3とを具備して」いることは、本件発明1の「この積層体内に当該積層体の積層方向に伸びて形成された中空部に充填された振動減衰体とを具備して」いることに相当する。
引用発明の「前記エネルギー吸収コア3は、支持パッド10に対しての積層方向の無荷重下で、静水圧のもとであらかじめ20?100MPaの応力が加えられて、前記中空部に充填されている」ことは、本件発明1の「振動減衰体は、積層体に対しての積層方向の荷重下で、15MPa以上であって、55MPa以下の応力をもって中空部に充填されている」こととの関係において、「振動減衰体は、所定の応力をもって中空部に充填されている」限りにおいて共通する。
引用発明の「エネルギー吸収装置」は、本件発明1の「免震装置」に相当する。

以上のとおりであるので、本件発明1と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「交互に積層された弾性層及び剛性層を有する積層体と、この積層体内に当該積層体の積層方向に伸びて形成された中空部に充填された振動減衰体とを具備しており、振動減衰体は、所定の応力をもって中空部に充填されている免震装置。」
[相違点]
振動減衰体が所定の応力をもって中空部に充填されている点に関し、本件発明1は、「振動減衰体は、積層体に対しての積層方向の荷重下で、15MPa以上であって、55MPa以下の応力をもって中空部に充填されている」のに対して、引用発明は、「前記エネルギー吸収コア3は、支持パッド10に対しての積層方向の無荷重下で、静水圧のもとであらかじめ20?100MPaの応力が加えられて、前記中空部に充填されている」ものであって、エネルギー吸収コア3に対しての積層方向の荷重下で応力が加えられたものではない点。

第6 判断
1 相違点について
上記相違点について検討する。
引用発明のエネルギー吸収装置は、「建築物、橋梁などの大きい構造物に使用する」(上記第4 1(1)を参照。)ものであるから、エンドプレート4に建築物、橋梁などの大きい構造物の荷重が加えられている状況(荷重下)で使用されることは当然に予期されているものといえる。
そして、引用発明におけるエネルギー吸収コア3が、中空部に充填される際に加えられる応力は、「静水圧のもとであらかじめ20?100MPa」であるから、エネルギー吸収装置に荷重が加えられた状況では、この20?100MPaに対し、当該荷重の分が上乗せされた応力がエネルギー吸収コア3に加えられているといえる。
ここで、引用発明であるエネルギー吸収装置をして、大きな応力に耐える構造とすることの困難性等を考慮すれば、引用発明のエネルギー吸収コア3にあらかじめ加えられる応力として、比較的容易な耐圧構造とすることができる20MPaを選択できるところ、荷重下で使用される状況では、これに所定の応力が上乗せされることになるものであって、当該上乗せされた結果としても、比較的容易な耐圧構造とすることができることを考慮した20MPa近傍の応力とすることで、これを55MPa以下の状況とすることに当業者にとって格別な困難性は認められない。
なお、本願明細書の段落【0034】には、「塑性変形で振動エネルギを吸収する減衰材料である鉛からなる鉛プラグ17は、下面44、内周面15及び16並びに上面64によって規定された中空部14に圧入、充填されており、斯かる圧入、充填で鉛プラグ17は、支持する上部の構造物からの積層方向Vの荷重Wが上板10に加えられていない状態(無荷重下)でも、当該下面44、外周面4及び5並びに上面64に対して隙間なしに配されていると共に弾性層2の弾性力に抗して弾性層2に向って水平方向(剪断方向)Hに張り出して弾性層2に若干食い込み、弾性層2の内周面15を凹面81にする結果、内周面15及び16からなる積層体7の内周面82は、当該弾性層2の内周面15の位置で凹面81になっている一方、剛性層3の位置で凸面83になっており、支持する上部の構造物からの積層方向Vの荷重Wが上板10に加えられた状態(荷重下)では、弾性層2が積層方向Vにおいて圧縮されて弾性層2の厚みtが2.5mmよりも小さくなって免震装置1の高さhが低くなる結果、中空部14に圧入、充填された鉛プラグ17は、弾性層2の弾性力に抗して当該弾性層2により水平方向Hに張り出して弾性層2に食い込み、弾性層2の内周面15をより大きく水平方向(剪断方向)Hに凹んだ凹面81にする。」と記載されていることから、本件発明1における「積層体に対しての積層方向の荷重下」とは、積層体7が支持する上部の構造物からの積層方向Vの荷重Wが上板10に加えられた状態を意味するものと理解できる。
ここで、上記段落【0034】の記載から、「積層体に対しての積層方向の荷重下」では、「弾性層2が積層方向に圧縮されて」、「中空部14に圧入、充填された鉛プラグ17」は、「弾性層2の内周面15」を、無荷重下の場合よりも「より大きく水平方向(剪断方向)Hに凹んだ凹面81にする」ものであること、さらに、積層体に対しての積層方向の荷重下では、無荷重下における応力よりも高い応力をもって鉛プラグ17を中空部14に充填されていることが理解できる。
また、本願明細書の段落【0013】には、「(中略)、従って、本発明の免震装置は、無荷重下で使用される場合もあり、荷重下で使用される場合もあり、いずれに使用される場合の免震装置でも、振動減衰体は、積層体に対しての積層方向の無荷重下で又は荷重下、好ましい例では、積層体に対しての当該積層体に対して面圧0.5MPaに相当する積層方向の荷重下で、8MPa以上の応力をもって中空部に充填されているとよい。」と記載されていることから、本件発明1に係る免震装置は、同じ免震装置を無荷重下で又は荷重下で用いるものであることが理解できる。

2 効果について
本件発明1による発明の効果は、引用発明から当業者が予測可能なものである。

3 請求人の主張について
請求人は、審判請求書の「4.本願発明が特許されるべき理由」において、「(1)(中略)
本願発明によれば、無荷重下で振動減衰体を中空部に充填しているので、本願の図4?図7から明らかなように、無荷重下の場合に比べて、荷重下の方が水平方向Hの変位と水平荷重との関係を示した履歴曲線がより矩形になっており、安定した減衰性能を示しております。
(2)審査官殿は、請求項2(当審注:本件補正発明1)に関し、『積層体に対して面圧0.5MPaに相当する積層方向の荷重下で『振動減衰体』に加わる応力を、15Mpa以上であって、55Mpa以下とすることは、当業者が適宜なし得たことといえる』と主張されております。
しかしながら、少なくとも引用文献1には、上述のように、水平方向Hの変位と水平荷重との関係を示した履歴曲線を矩形とし、安定した減衰性能を得るために、荷重下で中空部に振動減衰体を充填することについては何ら教示していないとともに示唆もしておりません。
したがって、本願発明は引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できるものではありません。」と主張している。
ここで、上記「本願図4?図7」に示されるものは、それぞれ実施例1ないし実施例3及び比較例に対応するものであるところ、これら実施例における「積層体に対しての積層方向の荷重」は、それぞれ本願明細書の段落【0041】ないし【0044】に記載されているとおり、荷重W=0(実施例1)、荷重W=0.5MPa(実施例2)、荷重W=12MPa(実施例3)、および、荷重W=0(比較例)のものである。そして、各実施例の鉛プラグ17の応力Prが、応力Pr=8MPa(実施例1)、応力Pr=17MPa(実施例2)、応力Pr=39MPa(実施例3)、および、応力Pr=2MPa(比較例)となるように応力Prが設定されているものである。
そうすると、上記請求人の主張のうち(1)に係る部分は、「積層体に対しての積層方向の荷重」の有無によって減衰性能に差があるのではなく、該荷重の有無にかかわらず、検出された鉛プラグ17の応力Prが「15MPa以上であって、55MPa以下」の範囲内において、該数値範囲の外である応力Prの実施例よりも減衰性能に優れていることを意味しているものである。そして、上記数値範囲のものとすることは、上記1において説示のとおり、引用発明から当業者が容易に想到し得たものであるから、上記主張のうち(1)に係る部分は採用できないものである。
また、上記主張のうち(2)に係る部分については、引用発明において、「水平方向Hの変位と水平荷重との関係を示した履歴曲線」が明らかではないものの、引用発明のエネルギー吸収装置を荷重下において使用することは上記1において説示のとおり当業者が適宜に行い得たことであるから、同様に採用できないものである。

第7 むすび
以上のとおり、本件発明1は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-05-10 
結審通知日 2021-05-11 
審決日 2021-05-28 
出願番号 特願2016-83925(P2016-83925)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F16F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鵜飼 博人  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 杉山 健一
内田 博之
発明の名称 免震装置  
代理人 特許業務法人創成国際特許事務所  
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