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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1376181
審判番号 不服2020-14347  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-13 
確定日 2021-07-15 
事件の表示 特願2019-541581「2次元コード表示媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月21日国際公開、WO2019/053860〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,2017年(平成29年)9月14日を国際出願日とする出願であって,令和1年11月6日付けで上申書が提出されるとともに手続補正がなされ,令和1年11月12日付けで上申書が提出されるとともに手続補正がなされ,令和1年12月2日付けで拒絶理由通知がされ,令和2年2月10日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ,令和2年4月14日付けで拒絶理由通知がされ,令和2年6月19日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが,令和2年7月7日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和2年10月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ,令和3年3月3日付けで上申書が提出されたものである。

第2.令和2年10月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年10月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおり補正された。(下線部は,補正箇所を示すために,請求人が付したものである。)

「 【請求項1】
2次元コードを表示するための表示領域を有する情報表示面を備える2次元コード表示媒体において、
前記表示領域は複数であり、第1表示領域には前記2次元コードが表示され、第2表示領域には1次元コードまたは他の2次元コードが表示され、
(a) 前記第1表示領域の前記2次元コードは方形であり且つ、
(b) 前記第1表示領域の前記2次元コードの4辺が、前記第2表示領域の前記1次元コードの直線および前記他の2次元コードの4辺のうちの1辺に対してなす4つの角は斜角であり且つ、
(c) 方形である前記2次元コードの4辺の長さおよび前記4つの斜角はいずれも等しく且つ、
(d) 前記第2表示領域の前記1次元コードの直線および前記他の2次元コードの4辺のうちの1辺と、前記情報表示面の1辺とがなす角は直角または平行であり且つ、
(e) 前記第2表示領域のコードが他の2次元コードである場合は、前記第1表示領域の前記2次元コードと、前記第2表示領域の前記他の2次元コードとは内容が異なる
ことを特徴とする2次元コード表示媒体。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の,令和2年6月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】
2次元コードを表示するための表示領域を有する情報表示面を備える2次元コード表示媒体において、
前記表示領域は複数であり、第1表示領域には前記2次元コードが表示され、第2表示領域には1次元コードまたは他の2次元コードが表示され、
(a) 前記第1表示領域の前記2次元コードの1辺と、前記第2表示領域の前記1次元コードの直線および前記他の2次元コードの1辺とがなす角は斜角であり且つ、
(b) 前記第2表示領域の前記1次元コードの直線および前記他の2次元コードの1辺と、前記情報表示面の1辺とがなす角は直角または平行であり且つ、
(c) 前記第2表示領域のコードが他の2次元コードである場合は、前記第1表示領域の前記2次元コードと、前記第2表示領域の前記他の2次元コードとは内容が異なる
ことを特徴とする2次元コード表示媒体。」

2.補正の適否
本件補正は,以下の補正事項を含むものである。

補正事項1:補正前の請求項1に記載された「前記第1表示領域の前記2次元コード」について,「前記第1表示領域の前記2次元コードは方形であり」との限定を付加する補正。

補正事項2:補正前の請求項1の「前記第1表示領域の前記2次元コードの1辺と、前記第2表示領域の前記1次元コードの直線および前記他の2次元コードの1辺とがなす角は斜角であり」との記載を,「前記第1表示領域の前記2次元コードの4辺が、前記第2表示領域の前記1次元コードの直線および前記他の2次元コードの4辺のうちの1辺に対してなす4つの角は斜角であり」と補正することで,「前記2次元コード」の「辺」と「前記1次元コードの直線および前記他の2次元コード」の「辺」とが「なす」「1つ」の「角」が「斜角」であることから,「前記2次元コード」の「4辺」と「前記1次元コードの直線および前記他の2次元コードの4辺のうちの1辺」とが「なす」「4つ」の「角」が「斜角」であることに限定する補正。

補正事項3:補正前の請求項1に記載された「前記2次元コード」及び「斜角」について,「方形である前記2次元コードの4辺の長さおよび前記4つの斜角はいずれも等し」いものであると限定する補正。

補正事項4:補正前の請求項1の「前記他の2次元コードの1辺」を,「前記他の2次元コードの4辺のうちの1辺」と限定する補正。

上記補正事項1?4は,補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項について限定を付加するものであって,補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は,上記1.(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献,引用発明
ア.引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された,本願出願前に,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許出願公開第2010/0044446号明細書(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は,当審において付加したものである。以下,同じ。)

a.「[0008] The invention provides a mechanism by which all of the information required to interact with existing merchant loyalty programs may be unified into one easy to carry accessory. This accessory may replace several memberships cards along with a personal photograph, and may be designed to operate with barcode readers from several different organizations that do not have a partnership or pre-existing relationship. [0009] The invention also represents a vehicle for companies that do not have a presence in consumers' wallets, and allows them to occupy the much-coveted wallet space. By prominently featuring their brand on the invention, companies can effectively displace existing brands contained on the loyalty cards which are already carried by the consumers. [0010] Card users may avoid having to carry multiple membership cards and key tags by consolidating the relevant information on a single code carrying device. The barcodes corresponding to each organization's membership card are printed on the substrate of the code carrier.
[0011] The code carrier may take the shape of a rectangular card, but is not limited to any specific form. The carrier may also take the shape of a key tag (for use with a key chain), or may even be a cover for another device (such as for an MP3 player or wireless telephone). The code carrier may also be an electronic device that displays individual barcodes. [0012] A user of multiple membership cards forwards all relevant information to a code carrier provider. The information includes barcode identifiers in the form of barcodes or data to be converted to barcodes. The provider then arranges the barcodes on the code carrier and forwards it back to the user. The provider may arrange the barcodes in a manner that facilitates each barcode to be individually read by a barcode reader. This may be achieved by arranging the adjacent barcodes at angles, for example, such that no barcode is within ten degrees of rotation from, or directly in line with another barcode. Preferably, the barcodes are surrounded by distinctive colors in order to distinguish the barcodes during scanning of individual codes. The layout of the barcodes may be is performed manually or by an automated system.」

(当審訳:[0008] 本発明は,既存のマーチャントロイヤルティプログラムと対話するのに必要な情報のすべてを,1つの持ち運びが容易なアクセサリに統合することができる機構を提供する。このアクセサリは,個人の写真と共にいくつかの会員カードを置き換えることができ,提携関係または既存の関係を有しないいくつかの異なる組織からのバーコードリーダと共に動作するように設計することができる。

[0009] また,本発明は,消費者の財布の中に存在していない企業のための手段であり,消費者が切望している財布のスペースを占有することができる。本発明においてブランドを顕著に特徴付けることによって,企業は,消費者によって既に携行されているポイントカードに含まれる既存のブランドを効果的に置き換えることができる。

[0010] カードユーザは,単一のコード担持デバイス上に関連情報を統合することによって,複数の会員カードおよびキータグを携帯する必要性を回避することができる。各組織の会員カードに対応するバーコードは,コードキャリアの基板上に印刷される。

[0011] コードキャリアは,長方形のカードの形状を取り得るが,特定の形状に限定されるものではない。キャリアはまた,(キーチェーンと共に使用するための)キータグの形状をとってもよく,または(MP3プレーヤまたは無線電話などの)別のデバイスのためのカバーであってもよい。コードキャリアは,個々のバーコードを表示する電子デバイスであってもよい。

[0012] 複数の会員カードのユーザは,すべての関連情報をコードキャリアプロバイダに転送する。この情報には,バーコードまたはバーコードに変換されるデータの形式のバーコード識別子が含まれる。次に,プロバイダは,コードキャリア上にバーコードを配置し,それをユーザに送り返す。プロバイダは,各バーコードがバーコードリーダによって個別に読み取られやすくなるようにバーコードを配置することができる。これは,例えば,どのバーコードも別のバーコードから10度の回転以内にないように,又は別のバーコードと直接並んだりしないように,隣接するバーコードを角度を付けて配置することによって達成され得る。好ましくは,個々のコードをスキャンする際にバーコードを区別するために,バーコードは特有の色で囲まれている。バーコードのレイアウトは,手動または自動システムによって実行され得る。)

b.「[0029] FIG. 1 shows a first and a second side 110, 120 of a code carrier in the form of a rectangular plastic card. On the first side 110 of the card, a standard advertising image may be placed to mark the brand of the code carrier provider. This image would be pre-determined in this embodiment, while the reverse of the card would be customized on a consumer-by-consumer basis. The second side 120 of the card contains the information forwarded by the card user that is relevant to his needs. For example, if the user wanted to include five barcodes on the code carrier, then the layout of the card may resemble Option 1 130. If the user wanted to include eight barcodes and an additional set of data 150, representing the user's useful information, then the layout of the card may resemble Option 2 140. The layout of the barcodes and of the other information may be determined by the algorithm 900 outlined in FIG. 9.」

(当審訳:[0029] 図1は,長方形のプラスチックカードの形態のコードキャリアの第1及び第2の面110,120を示す。カードの第1の面110には,コードキャリアプロバイダのブランドをマークするために標準的な広告画像を配置することができる。この画像は,この実施形態では予め決定され,一方,カードの裏面は,消費者ごとにカスタマイズされる。カードの第2の面120は,カードユーザによって転送された,カードユーザのニーズに関連する情報を含む。例えば,ユーザがコードキャリア上に5つのバーコードを含めたい場合,カードのレイアウトはオプション1(130)に似ていてもよい。ユーザが,8つのバーコードと,ユーザの有用な情報を表す追加のデータセット150とを含めたい場合,カードのレイアウトはオプション2(140)に似ていてもよい。バーコードおよび他の情報のレイアウトは,図9に概説されるアルゴリズム900によって決定され得る。)

c.「[0032] FIG. 5 shows how the orientation angle of a barcode may be determined. The orientation angle is a relative angle measurement and refers to the rotational angle between two barcodes. The bottom edge of a first barcode determines a baseline from which the angle is measured. The baseline reference is then compared to the bottom edge of a second barcode. The angle between the two bottom edges determines the orientation angle. For example, a first barcode 510 in FIG. 5, marked zero degrees, sets a baseline for comparison. A second barcode 520, pivoting on its bottom left corner, creates a ten degree angle of orientation relative to the first barcode 510. A third barcode 530 is rotated further and creates a forty-five degree angle of orientation relative to the first barcode 510. This concept is utilized in the algorithm 900 outlined in FIG. 9.

[0033] The orientation angle between barcodes helps to separate the barcodes from each other, and to create a mechanical block to linear and fixed orientation barcode scanners. Because these types of barcode scanners, or readers, look for contiguous and linear patterns of high energy absorption and low energy absorption indicated by the reflection of light beams against dark and light surfaces (the vertical bars in a barcode), any barcode or pattern that is not substantially parallel to the desired barcode will be discarded or ignored. Furthermore, as the user of the invention will most likely rotate the code carrier such that the barcode to be read is aligned with the scanner, the other barcodes on the code carrier will be out of sync with the scanner, and therefore ignored. For example, a scanner aligned with the first barcode 510 will most likely not be able to read the complete patterns put forth by the second barcode 520 and the third barcode 530.」

(当審訳:[0032] 図5は,バーコードの配向角度がどのように決定され得るかを示す。配向角は,相対的な角度測定値であり,2つのバーコード間の回転角度を意味する。第1のバーコードの下端は,角度が測定される基準線を決定する。次に,基準線は,第2バーコードの下端と比較される。2つの下端の間の角度が配向角を決定する。例えば,図5のゼロ度と記された第1バーコード510は,比較のための基準線を設定する。第2のバーコード520は,その左下隅を軸にして回転し,第1のバーコード510に対して10度の向きの角度を形成する。第3のバーコード530は,さらに回転され,第1のバーコード510に対して45度の配向角度を生成する。この概念は,図9に概説したアルゴリズム900で利用される。

[0033] バーコード間の配向角度は,バーコード同士を互いに分離するのに役立ち,直線的で固定された向きのバーコードスキャナに対する機械的ブロックを生成するのに役立つ。これらのタイプのバーコードスキャナやリーダーは,暗い表面と明るい表面に対する光線の反射によって示される高エネルギー吸収と低エネルギー吸収の連続した直線的なパターン(バーコードの縦棒)を探すため,所望のバーコードと実質的に平行でないバーコードやパターンは,廃棄または無視される。さらに,本発明のユーザは,読み取るべきバーコードがスキャナと位置合わせされるようにコードキャリアを回転させることがほとんどであるため,コードキャリア上の他のバーコードはスキャナと同期せず,したがって無視されることになる。例えば,第1のバーコード510に位置合わせされたスキャナは,第2のバーコード520および第3のバーコード530によって提示された完全なパターンを読み取ることができない可能性が高い。)

d.「図1



e.「図5



(イ)上記a.の段落0010の「The barcodes corresponding to each organization's membership card are printed on the substrate of the code carrier.」(各組織の会員カードに対応するバーコードは,コードキャリアの基板上に印刷される。)との記載から,引用文献1には,「各組織の会員カードに対応するバーコードが基板上に印刷されるコードキャリア」が記載されていると認められる。

(ウ)上記a.の段落0012の「A user of multiple membership cards forwards all relevant information to a code carrier provider. ・・・The provider then arranges the barcodes on the code carrier and forwards it back to the user. The provider may arrange the barcodes in a manner that facilitates each barcode to be individually read by a barcode reader. This may be achieved by arranging the adjacent barcodes at angles, for example, such that no barcode is within ten degrees of rotation from, or directly in line with another barcode. Preferably, the barcodes are surrounded by distinctive colors in order to distinguish the barcodes during scanning of individual codes.」(複数の会員カードのユーザは,すべての関連情報をコードキャリアプロバイダに転送する。・・・次に,プロバイダは,コードキャリア上にバーコードを配置し,それをユーザに送り返す。プロバイダは,各バーコードがバーコードリーダによって個別に読み取られやすくなるようにバーコードを配置することができる。これは,例えば,どのバーコードも別のバーコードから10度の回転以内にないように,又は別のバーコードと直接並んだりしないように,隣接するバーコードを角度を付けて配置することによって達成され得る。好ましくは,個々のコードをスキャンする際にバーコードを区別するために,バーコードは特有の色で囲まれている。)との記載から,引用文献1には,
「複数の会員カードのユーザは,すべての関連情報をコードキャリアプロバイダに転送し,
プロバイダは,コードキャリア上にバーコードを配置し,それをユーザに送り返し,
ここで,プロバイダは,各バーコードがバーコードリーダによって個別に読み取られやすくなるようにバーコードを配置することができ,これは,例えば,どのバーコードも別のバーコードから10度の回転以内にないように,又は別のバーコードと直接並んだりしないように,隣接するバーコードを角度を付けて配置することによって達成され,
好ましくは,個々のコードをスキャンする際にバーコードを区別するために,バーコードは特有の色で囲まれて」いることが記載されていると認められる。

(エ)上記a.の段落0010の「Card users may avoid having to carry multiple membership cards and key tags by consolidating the relevant information on a single code carrying device.」(カードユーザは,単一のコード担持デバイス上に関連情報を統合することによって,複数の会員カードおよびキータグを携帯する必要性を回避することができる。)との記載から,引用文献1には,
「カードユーザは,単一のコード担持デバイス上に関連情報を統合することによって,複数の会員カードを携帯する必要性を回避することができ」ることが記載されていると認められる。

(オ)上記b.の段落0029の「FIG. 1 shows a first and a second side 110, 120 of a code carrier in the form of a rectangular plastic card. ・・・The second side 120 of the card contains the information forwarded by the card user that is relevant to his needs. For example, if the user wanted to include five barcodes on the code carrier, then the layout of the card may resemble Option 1 130. If the user wanted to include eight barcodes and an additional set of data 150, representing the user's useful information, then the layout of the card may resemble Option 2 140.」(図1は,長方形のプラスチックカードの形態のコードキャリアの第1及び第2の面110,120を示す。・・・カードの第2の面120は,カードユーザによって転送された,カードユーザのニーズに関連する情報を含む。例えば,ユーザがコードキャリア上に5つのバーコードを含めたい場合,カードのレイアウトはオプション1(130)に似ていてもよい。ユーザが,8つのバーコードと,ユーザの有用な情報を表す追加のデータセット150とを含めたい場合,カードのレイアウトはオプション2(140)に似ていてもよい。)との記載,及び上記dで引用した図1の記載から,引用文献1には,
「長方形のプラスチックカードの形態のコードキャリアは第1及び第2の面110,120を有し,第2の面120は,カードユーザによって転送された,カードユーザのニーズに関連する情報を含み,
ユーザがコードキャリア上に5つのバーコードを含めたい場合,カードの第2の面120のレイアウトはオプション1(130)に似ていてもよく,
ユーザが,8つのバーコードと,ユーザの有用な情報を表す追加のデータセット150とを含めたい場合,カードの第2の面120のレイアウトはオプション2(140)に似ていてもよい」ものであることが記載されていると認められる。

(カ)上記d.で引用した図1のオプション2(140)の記載から,「8つのバーコードが印刷されるレイアウトでは」,「長方形のコードキャリアの第2の面120の右下隅部に,コードキャリアの下端に対してバーコードの下端がおおよそ45度の傾きを持って印刷される」ことが読み取れ,また,「コードキャリアの第2の面120の下辺部に,バーコードの下端がコードキャリアの下端に対して平行になるように印刷される」ことが読み取れる。
したがって,引用文献1には,
「8つのバーコードが印刷されるレイアウトでは,長方形のコードキャリアの第2の面120の右下隅部に,コードキャリアの下端に対してバーコードの下端がおおよそ45度の傾きを持った第1のバーコードが印刷され,コードキャリアの第2の面120の下辺部に,バーコードの下端がコードキャリアの下端に対して平行になるように第2のバーコードが印刷されて」いることが記載されていると認められる。

(キ)上記c.の段落0032?0033の「The bottom edge of a first barcode determines a baseline from which the angle is measured. The baseline reference is then compared to the bottom edge of a second barcode. The angle between the two bottom edges determines the orientation angle. ・・・The orientation angle between barcodes helps to separate the barcodes from each other, and to create a mechanical block to linear and fixed orientation barcode scanners.」(第1のバーコードの下端は,角度が測定される基準線を決定する。次に,基準線は,第2バーコードの下端と比較される。2つの下端の間の角度が配向角を決定する。・・・バーコード間の配向角度は,バーコード同士を互いに分離するのに役立ち,直線的で固定された向きのバーコードスキャナに対する機械的ブロックを生成するのに役立つ。)との記載,及び上記e.で引用した図5の記載から,引用文献1には,
「第1のバーコードの下端と第2バーコードの下端の間の角度が配向角を決定し,
バーコード間の配向角度は,バーコード同士を互いに分離するのに役立ち,直線的で固定された向きのバーコードスキャナに対する機械的ブロックを生成するのに役立つものである」ことが記載されていると認められる。

(ク)したがって,引用文献1の上記各記載及び図面の記載を総合すると,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 各組織の会員カードに対応するバーコードが基板上に印刷されるコードキャリアであって,
複数の会員カードのユーザは,すべての関連情報をコードキャリアプロバイダに転送し,
プロバイダは,コードキャリア上にバーコードを配置し,それをユーザに送り返し,
ここで,プロバイダは,各バーコードがバーコードリーダによって個別に読み取られやすくなるようにバーコードを配置することができ,これは,例えば,どのバーコードも別のバーコードから10度の回転以内にないように,又は別のバーコードと直接並んだりしないように,隣接するバーコードを角度を付けて配置することによって達成され,
好ましくは,個々のコードをスキャンする際にバーコードを区別するために,バーコードは特有の色で囲まれており,
カードユーザは,単一のコード担持デバイス上に関連情報を統合することによって,複数の会員カードを携帯する必要性を回避することができ,
長方形のプラスチックカードの形態のコードキャリアは第1及び第2の面110,120を有し,第2の面120は,カードユーザによって転送された,カードユーザのニーズに関連する情報を含み,
ユーザがコードキャリア上に5つのバーコードを含めたい場合,カードの第2の面120のレイアウトはオプション1(130)に似ていてもよく,
ユーザが,8つのバーコードと,ユーザの有用な情報を表す追加のデータセット150とを含めたい場合,カードの第2の面120のレイアウトはオプション2(140)に似ていてもよいものであり,
8つのバーコードが印刷されるレイアウトでは,長方形のコードキャリアの第2の面120の右下隅部に,コードキャリアの下端に対してバーコードの下端がおおよそ45度の傾きを持った第1のバーコードが印刷され,コードキャリアの第2の面120の下辺部に,バーコードの下端がコードキャリアの下端に対して平行になるように第2のバーコードが印刷されており,
第1のバーコードの下端と第2バーコードの下端の間の角度が配向角を決定し,
バーコード間の配向角度は,バーコード同士を互いに分離するのに役立ち,直線的で固定された向きのバーコードスキャナに対する機械的ブロックを生成するのに役立つものである,
コードキャリア。」

イ.引用文献2
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された,本願出願前に,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-208586号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は,当審において付加したものである。以下,同じ。)

f.「【0012】
<コードパターン記録媒体>
図1は、本発明のコードパターン記録媒体をカードの形態で表わしたものである。
コードパターン記録媒体1の基材11には、プリンタにより印字記録可能な記録面12が設けられている。図1の構成では、記録面12は書換え可能な可視情報を表示する情報表示領域2を備えており、情報表示領域2には、プリンタによる可視情報の書換え(書込みおよび消去)を可能とする感熱記録材が塗布されている。
【0013】
ここに用いる感熱記録材は、特定の温度領域で発色し、別の特定の温度領域で消色する特性を持っており、よって情報表示領域2は可視情報の書込みおよび消去が可能となっている。
画像の書込み/消去は、通常、ラインサーマルヘッドにより行われ、同ヘッドの各ドットの制御により、任意の形状の画像が記録可能となる。
情報表示領域2には、複数のコードパターン3が記録されており、図1ではバーコードが並列に配置された態様で表わしている。なお、目視用表示5は利用者のための可読性のある情報である。
【0014】
コードパターン3としては、バーコードに限らず、二次元コードなども利用可能である。また、コードパターン3は、欠損部が分散するよう、離散的に、また角度を持って配置されてもよい。
図2はコードパターンの配置例であり、図2(a)はバーコード、図2(b)は二次元コードを用いた態様を表わしている。」

g.「図1



h.「図2



(イ)上記f.の段落0012の「コードパターン記録媒体1の基材11には、プリンタにより印字記録可能な記録面12が設けられている。」,「記録面12は書換え可能な可視情報を表示する情報表示領域2を備えており」との記載,上記f.の段落0013の「情報表示領域2には、複数のコードパターン3が記録されており、図1ではバーコードが並列に配置された態様で表わしている。」との記載,上記f.の段落0014の「コードパターン3としては、バーコードに限らず、二次元コードなども利用可能である。」,「図2はコードパターンの配置例であり、図2(a)はバーコード、図2(b)は二次元コードを用いた態様を表わしている。」との記載,及び図1,図2の記載から,引用文献2には,「コードパターン記録媒体1の記録面12に複数の二次元コードを配置すること」が記載されていると認められる。

(ウ)上記g.で引用した図1の記載から,「コードパターン記録媒体1」は,“おおよそ長方形”であるといえるから,当該「コードパターン記録媒体1」の「記録面12」も同様に“おおよそ長方形である”といえる。
また,上記h.で引用した図2(b)の記載から,記録面12に配置される4つの二次元コードは,その形状が“正方形”であることが読み取れ,また,そのうち,下端側の中央に配置される二次元コードは,他の二次元コードに対して45度の傾きを持って配置されていることが読み取れる。

(エ)したがって,引用文献2には,次の技術(以下,「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認められる。

(引用文献2記載技術)
「おおよそ長方形であるコードパターン記録媒体1の記録面12に正方形の二次元コードを複数配置し,そのうちの1つを,他の二次元コードに対して45度の傾きを持って配置する技術。」

(3)引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。

ア.引用発明の「バーコード」と本件補正発明の「2次元コード」とは,ともに情報を符号化して表示する「情報コード」である点で共通する。
引用発明の「コードキャリア」は,「長方形のプラスチックカードの形態」で,「第1及び第2の面110,120を有し」ており,「第2の面120」は,例えば,「カードユーザによって転送された,カードユーザのニーズに関連する情報」である「8つのバーコード」を含むものであるから,本件補正発明の「2次元コード表示媒体」とは,“情報コード”を表示する“情報コード表示媒体”である点で共通する。
引用発明の「第2の面120」において,「8つのバーコード」のそれぞれが印刷される各“領域”は,“情報コード”を表示するための“表示領域”であるといえる。
したがって,引用発明の「第2の面120」と本件補正発明の「情報表示面」とは,“情報コードを表示するための表示領域を有する情報表示面”である点で共通し,また,引用発明の「第2の面120」を有する「コードキャリア」と本件補正発明の「情報表示面を備える2次元コード表示媒体」とは,“情報表示面を備える情報コード表示媒体”である点で共通する。
以上を総合すると,引用発明の「コードキャリア」と本件補正発明の「2次元コード表示媒体」とは,“情報コードを表示するための表示領域を有する情報表示面を備える情報コード表示媒体”である点で共通する。

イ.引用発明の「第1のバーコードが印刷され」る「長方形のコードキャリアの第2の面120の右下隅部」は,“情報コード”が表示される“表示領域”であるから,本件補正発明の「2次元コードが表示され」る「第1表示領域」とは,“情報コードが表示される第1表示領域”である点で共通する。
引用発明の「第2のバーコードが印刷され」る「コードキャリアの第2の面120の下辺部」は,“情報コード”が表示される“表示領域”であるから,本件補正発明の「1次元コードまたは他の2次元コードが表示され」る「第2表示領域」とは,“情報コードが表示される第2表示領域”である点で共通する。
ここで,引用発明の「第1のバーコード」と「第2のバーコード」は,「各組織の会員カードに対応するバーコード」であって,その内容が“異なる”ものであるから,「第2のバーコード」は,「第1のバーコード」に対して,“他の情報コード”であるといえる。
そして,引用発明の「コードキャリアの第2の面120」は,「第1のバーコード」が印刷される“第1表示領域”と「第2のバーコード」が印刷される“第2表示領域”を備えているから,“複数”の“表示領域”を備えているといえる。
したがって,引用発明と本件補正発明とは,“前記表示領域は複数であり,第1表示領域には前記情報コードが表示され,第2表示領域には他の情報コードが表示され”る点で共通する。

ウ.引用発明の「第1のバーコード」の「下端」と本件補正発明の「前記第1表示領域の前記2次元コードの4辺」とは,上記イ.の検討も踏まえると,“第1表示領域の情報コードの1辺”である点で共通し,また,上記イ.の検討から,引用発明の「第2のバーコード」と本件補正発明の「他の2次元コード」とは,「他の情報コード」である点で共通するから,前記「第2のバーコード」の「下端」と本件補正発明の「前記第2表示領域の前記1次元コードの直線および前記他の2次元コードの4辺のうちの1辺」とは,“第2表示領域の他の情報コードの1辺”である点で共通する。
引用発明の「第2の面120の右下隅部」に「印刷され」る「第1のバーコード」は,「下端」が,長方形のコードキャリアの「下端」に対して,「おおよそ45度の傾き」を持っている一方,「第2の面120の下辺部」に「印刷され」る「第2のバーコード」の「下端」は,長方形のコードキャリアの「下端」と「平行に」なっているから,「第1のバーコード」の「下端」と「第2のバーコード」の「下端」とは,「おおよそ45度の傾き」を持っており,結局,「第1のバーコード」の「下端」が「第2のバーコード」の「下端」に対してなす角は“斜角”であるといえる。
してみれば,引用発明と本件補正発明とは,“前記第1表示領域の前記情報コードの1辺が,前記第2表示領域の前記他の情報コードの1辺に対してなす角は斜角であ”る点で共通している。

エ.上記ア.より,引用発明の「第2の面120」は本件補正発明の「情報表示面」に対応するものであるから,引用発明の「第2の面120」の「下辺」は,本件補正発明の「情報表示面の1辺」に対応する。
そして,引用発明の「第2のバーコード」の「下端」と,長方形のコードキャリアの「第2の面120」の「下辺」とがなす角は,“平行”である。
したがって,引用発明と本件補正発明とは,“前記第2表示領域の前記他の情報コードの1辺と,前記情報表示面の1辺とがなす角は平行であ”る点で共通する。

オ.上記イ.の検討から,引用発明の「第1のバーコード」と「第2のバーコード」とは,その内容が“異なる”ものである。
したがって,引用発明と本件補正発明とは,“前記第1表示領域の前記情報コードと,前記第2表示領域の前記他の情報コードとは内容が異なる”点で共通している。

カ.上記ア.の検討から,引用発明の「コードキャリア」と本件補正発明の「2次元コード表示媒体」とは,“情報コード表示媒体”である点で共通する。

したがって,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。

(一致点)
「情報コードを表示するための表示領域を有する情報表示面を備える情報コード表示媒体において,
前記表示領域は複数であり,第1表示領域には前記情報コードが表示され,第2表示領域には他の情報コードが表示され,
前記第1表示領域の前記情報コードの1辺が,前記第2表示領域の前記他の情報コードの1辺に対してなす角は斜角であり,
前記第2表示領域の前記他の情報コードの1辺と,前記情報表示面の1辺とがなす角は平行であり,
前記第1表示領域の前記情報コードと,前記第2表示領域の前記他の情報コードとは内容が異なる
ことを特徴とする情報コード表示媒体。」

(相違点1)
本件補正発明は,第1表示領域に「方形」の「2次元コード」が表示され,第2領域には「1次元コードまたは他の2次元コード」が表示される「2次元コード表示媒体」であるのに対して,引用発明は,第1表示領域,第2表示領域ともに1次元のバーコードが表示されるコードキャリアである点。

(相違点2)
本件補正発明は,第1表示領域の「前記2次元コードの4辺」が,前記第2表示領域の「前記1次元コードの直線および前記他の2次元コードの4辺のうちの1辺に対してなす4つの角は斜角であ」るのに対して,引用発明は,そのような特定はない点。

(相違点3)
本件補正発明は,「方形である前記2次元コードの4辺の長さおよび前記4つの斜角はいずれも等しく」なっているのに対して,引用発明は,そのような特定はない点。

(相違点4)
本件補正発明は,「前記第2表示領域の前記1次元コードの直線および前記他の2次元コードの4辺のうちの1辺と,前記情報表示面の1辺とがなす角は直角または平行であ」るのに対して,引用発明は,そのようになっていない点。

(相違点5)
本件補正発明は,「第2表示領域のコードが他の2次元コードである場合は」,前記第1表示領域の2次元コードと,第2表示領域の前記他の2次元コードとは内容が異なるのに対して,引用発明は,第1表示領域のバーコードと第2表示領域のバーコードの内容は異なるものの,第1表示領域及び第2表示領域の情報コードは,いずれも,2次元コードではない点。

(4)判断

上記相違点について検討する。

(相違点1,5)について
情報コードとして方形の2次元コードを用いることは,例えば引用文献2に「おおよそ長方形であるコードパターン記録媒体1の記録面12に正方形の二次元コードを複数配置し,そのうちの1つを,他の二次元コードに対して45度の傾きを持って配置する技術。」(引用文献2記載技術)と記載されているように,本願出願前に当該技術分野における周知技術であったと認められる。
そして,情報コードとして,バーコードを用いるか,方形の2次元コードを用いるかは,コード化する情報の内容や情報量等に応じて当業者が適宜選択しうるものと認められるところ,複数の情報コードを1つのコードキャリアに集約する引用発明において,集約する情報コードとして1次元のバーコードに加えて方形の2次元コードも集約するように構成すること,すなわち,情報コード表示媒体を,第1表示領域に「方形」の「2次元コード」を表示し,第2表示領域に「1次元コードまたは他の2次元コード」を表示する「2次元コード表示媒体」とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
なお,引用発明における第1表示領域の情報コードと第2表示領域の情報コードとはもともと内容が異なるのであるから,引用発明を上記のような2次元コード表示媒体とし,第2表示領域において2次元コードを採用したとしても,第1表示領域の2次元コードとは内容が異なるものとなることは当業者に明らかである。

(相違点2,3)について
例えば引用文献2に「おおよそ長方形であるコードパターン記録媒体1の記録面12に正方形の二次元コードを複数配置し,そのうちの1つを,他の二次元コードに対して45度の傾きを持って配置する技術。」(引用文献2記載技術)が記載されているように,「正方形の2次元コード」は周知であり,また,「正方形の2次元コード」を複数配置する際に,「特定の正方形の2次元コード」を,「他の正方形の2次元コード」に対して「45度の傾きを持って配置する」ことも周知技術である。
ここで,引用発明は,「長方形のコードキャリアの第2の面120の右下隅部に,コードキャリアの下端に対してバーコードの下端がおおよそ45度の傾きを持った第1のバーコードが印刷され,コードキャリアの第2の面120の下辺部に,バーコードの下端がコードキャリアの下端に対して平行になるように第2のバーコードが印刷されて」いるものであるところ,このような引用発明において,1次元のバーコードに加えて,周知の「正方形の2次元コード」も集約するように構成することは,当業者が適宜なし得る事項であり,その際,コードキャリアの下端に対して,その下端がおおよそ45度の傾きを持って配置されている「第1のバーコード」の位置(第1表示領域)に,「第1のバーコード」に代えて「正方形の2次元コード」を,同様に45度の傾きを持って配置するように構成することは,当業者が適宜なし得る設計的事項である。
そして,第1表示領域の「正方形の2次元コード」を,第2表示領域に表示される「他の2次元コードや1次元のバーコード」に対して45度の傾きを持って配置すれば,第1表示領域の「前記2次元コードの4辺」が,前記第2表示領域の「前記1次元コードの直線および前記他の2次元コードの4辺のうちの1辺に対してなす4つの角」は「斜角」となり(相違点2),「方形である前記2次元コードの4辺の長さおよび前記4つの斜角はいずれも等しく」なる(相違点3)ことは明らかである。
してみれば,引用発明において,1次元のバーコードに加えて「正方形の2次元コード」を集約し,当該「正方形の2次元コード」を他の2次元コードや1次元のバーコードに対して45度の傾きを持って配置することで,相違点2及び相違点3に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

(相違点4)について
(a)第2表示領域に1次元コードを表示した場合
引用発明の「コードキャリアの第2の面120の下辺部」(第2表示領域)には,「バーコードの下端がコードキャリアの下端に対して平行になるように第2のバーコードが印刷されて」おり,「第2のバーコード」の「下端」は,「情報表示面の1辺」である「コードキャリアの下端」と「平行」に表示されているといえるから,「第2のバーコード」の“バーの直線”と,「情報表示面の1辺」とが「なす角」は「直角」である。
したがって,この場合,「前記第2表示領域の前記1次元コードの直線と,前記情報表示面の1辺とがなす角は直角であ」るから,本件補正発明と引用発明との間に,相違点4に関する差異はない。

(b)第2表示領域に他の2次元コードを表示した場合
引用発明において,1次元のバーコードに加えて2次元コードも集約するように構成した際に,「コードキャリアの第2の面120の下辺部」(第2表示領域)に印刷されている「第2のバーコード」の位置に,「他の2次元コード」をその「下端」が「コードキャリアの下端に対して平行」になるように表示することは,当業者が適宜なし得る設計的事項である。
そして,第2表示領域に上記の態様で「他の2次元コード」が表示される場合には,当該「他の2次元コード」の「下端」(4辺のうちの1辺)と,「第2の面120」(情報表示面)の「下辺」(1辺)とが「なす角」は「平行」である。
したがって,引用発明の第2表示領域に「他の2次元コード」を,その「下端」が「コードキャリアの下端に対して平行」になるように表示することにより,「前記第2表示領域の前記他の2次元コードの4辺のうちの1辺と,前記情報表示面の1辺とがなす角は平行であ」るように構成することは,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,引用発明及び引用文献2に記載される周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。

したがって,本件補正発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
以上検討したとおり,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
1.本願発明
令和2年10月13日付けの手続補正(本件補正)は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1ないし4に係る発明は,令和2年6月19日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,上記第2の[理由]1.(2)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1に係る発明は,引用文献1(米国特許出願公開第2010/0044446号明細書)に記載された発明及び引用文献2に記載の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

3.引用文献,引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明並びに引用文献2の記載事項は,上記第2の[理由]2.(2)に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は,上記第2の[理由]2.で検討した本件補正発明から,上記補正事項1?補正事項4に係る限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が,上記第2の[理由]2.(4)に記載したとおり,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.審判請求人の主張について

1.審判請求人は審判請求書の「(4-2)課題および課題を解決する手段の相違点について」において以下の通り主張している。

「本願発明人が,第1表示領域の2次元コードの4辺が,第2表示領域の1次元コードの直線または他の2次元コードの4辺のうちの1辺に対してなす4つの角を斜角とする手法を発明するに至ったのは,第1表示領域の2次元コード側を誤って読み取ることを防止するためであります。即ち,この第1表示領域の2次元コードの4辺の長さを等しくするとともに斜角が等しくなるまで傾けるという解決手段によって,情報コードとしてではなく図形として認識される傾向が強くなり,その結果,第2表示領域の情報コードが優先的に読み取られる効果を意図した構成となっております。
これに対し,引用文献1のバーコードを傾けた構成では,バーコードをどれだけ傾けたとしても依然として情報コードとして認識されるため,本発明が意図する効果は期待できない構成となっております。」

しかしながら,本願明細書の段落0005に,「そこで,本発明は,2次元コード自体が注目されやすく,かつ,2次元コードを見る者にとって目的のコードであるか否かの判別が容易である特徴的な2次元コードを表示する2次元コード表示媒体を提供することを目的とする。」という課題が記載され,段落0006に,【課題を解決するための手段】として,「本発明の2次元コード表示媒体は,前記した目的を達成せんとするもので,請求項1の手段は,2次元コードを表示するための表示領域を有する情報表示面を備える2次元コード表示媒体において,前記情報表示面は方形であり,前記2次元コードの1辺と前記情報表示面の1辺がなす角は斜角であることを特徴とする。」と記載され,さらに,段落0011に,「請求項1の構成によって,本発明の2次元コード表示媒体は,表示されたコードの規格を遵守しながら,コードを見る者に情報表示面との対比によるコードの傾斜を認識させ,コードの判別性および注目度の向上に寄与する。」という効果が記載されていることからすると,本願明細書には,2次元コードを傾斜させることで,当該コードの判別性および注目度を向上させるという技術思想が開示されているのに対して,審判請求書では,2次元コードを傾斜させることで,情報コードとしてではなく図形として認識させ,他の情報コードが優先的に読み取られるようになると主張しており,審判請求書の主張は明細書の記載と整合していない。
また,仮に,請求人の言うように,2次元コードを傾けることで情報コードではなく図形として認識される傾向が強くなるものであったとしても,かかる作用効果は,利用者の主観に強く依存するものであって,普遍的なものであるとは言えないから,互いに傾斜した2つのバーコードを備える引用発明のコードキャリアに,周知の2次元コードを採用した構成から生じる効果として,当業者の予測を超える格別顕著なものであるとは認められない。

したがって,審判請求人の上記主張は採用することができない。

第5.むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-05-07 
結審通知日 2021-05-11 
審決日 2021-05-28 
出願番号 特願2019-541581(P2019-541581)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06K)
P 1 8・ 121- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 境 周一  
特許庁審判長 篠原 功一
特許庁審判官 須田 勝巳
山澤 宏
発明の名称 2次元コード表示媒体  
代理人 特許業務法人アズテックIP  
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