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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01H
管理番号 1376368
審判番号 不服2020-16874  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-08 
確定日 2021-08-17 
事件の表示 特願2018-73274「スイッチ装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月24日出願公開、特開2019-185951、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年4月5日の出願であって、令和2年4月30日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月16日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年9月24日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年12月8日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正(以下、「審判請求時の補正」という。)がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1?3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である以下の引用文献1及び2に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができた ものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
引用文献1:特開平8-115633号公報
引用文献2:米国特許第6531671号明細書

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
1 請求項1について
補正前の請求項1の「少なくとも1つのスルーホール」との発明特定事項を「少なくとも2つのスルーホール」とする補正は、スルーホールの数について補正後においてさらに限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。
また、当該事項は、願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)の段落【0028】及び【図1B】、【図1C】に記載されているから、当該補正は新規事項を追加するものではなく、同法第17条の2第3項に規定する要件に適合する。
2 請求項2について
補正後の請求項2は、補正前の請求項3に対応するものである。
補正後の請求項2に係る補正は、補正前の請求項2を削除し、補正前の請求項3を補正後において請求項2とすると共に、上記請求項2の削除に伴って選択的に記載された事項の一部を削除補正するものといえ、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものであると共に、同条同項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。また、同法第17条の2第3項に規定する要件を満たすことは明らかである。
3 独立特許要件について
「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1及び2に係る発明は、同法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項(独立特許要件)の規定に適合するものである。

第4 本願発明
本願請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、審判請求時の補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
少なくとも1つの第1接点が設けられ、少なくとも2つのスルーホールを有する基板と、
前記基板を覆う弾性シートと、前記第1接点に対応する第2接点を備える第2接点部を前記第1接点に接離可能に弾性変形可能とするドーム状の空洞と、前記スルーホールに対応して設けられた通気用空洞部と、前記基板と前記弾性シートとの間において前記空洞と前記通気用空洞部に連通する空気溝とを備えたコンタクトラバー、とを有し、
前記通気用空洞部の深さは、前記空気溝の深さよりも大きく構成され、
前記スルーホールは、前記基板の回路と電気的に繋がらない独立したものである、スイッチ装置。
【請求項2】
前記基板の裏面に対向して配置されたカバー体を備えており、
前記カバー体の前記スルーホールに対向する面と前記基板との間の隙間は、規定の大きさの異物より小さく設定されている、請求項1に記載のスイッチ装置。」

第5 引用文献、引用発明等
1 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の記載がある(下線は、当審で付したものである。)。

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種電子機器の遠隔操作などに用いられるものであって、回路基板に可撓性の操作シートが積層され、この操作シートを撓ませることにより接点が閉成される操作装置に関する。」
「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による操作装置は、回路基板に操作シートが積層されて、回路基板と操作シートとの間に閉鎖空間が形成されており、回路基板と操作シートには、操作シートが撓んだときに前記閉鎖空間内で互いに接触する電極が設けられている操作装置において、前記回路基板に、前記閉鎖空間と連通する通気孔が形成されていることを特徴とするものである。」
「【0016】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。図1は本発明の操作装置の一実施例として、赤外線送信を使用する薄型の遠隔操作装置を示す分解斜視図、図2は図1でのII?II線の拡大断面図である。図1に示す操作装置10は、合成樹脂製のケース11、回路基板12、操作シート13、および補助シート14から構成されている。回路基板12の上面12aには補助シート14が密着し、両面接着テープまたは接着剤により互いに固着されている。補助シート14は薄い合成樹脂シートである。操作シート13は可撓性の樹脂シートであり、この操作シート13は、補助シート14の上面に密着し、両面接着テープまたは接着剤により互いに固着されている。
【0017】上記ケース11は枠体形状である。図2に示すように、回路基板12の縁部は、ケース11の周囲部分の段差11aに密着して嵌合し、補助シート14と操作シート13の縁部は、ケース11の前記段差11aよりも外周側の段差11bに密着して嵌合している。補助シート14の縁部の裏面と段差11bの部分が両面接着テープや接着剤などで接着されることにより、ケース11と回路基板12と補助シート14ならびに操作シート13とが一体となって組立てられる。この組立状態においてケース11と回路基板12との空間Bはほぼ密閉され、外部から水滴や細かなほこりなどが浸入しずらい構造となっている。この操作装置では、(a)から(j)で示す10箇所の部分にスイッチ部が構成されている。図1において、回路基板12と補助シート14と操作シート13とのそれぞれに(a)から(j)の符号を付しているが、回路基板12と補助シート14と操作シート13とが重ねられて接着されたときに、各部材での(a)で示す部分が互いに重なってひとつのスイッチ部が形成される。これは(b)の部分、(c)の部分などにおいても同じである。
【0018】回路基板12の上面12aには、複数の導電パターンPが形成されている。各スイッチ部(a)?(j)では、導電パターンPにより対向電極LaとLbが形成されている。対向電極LaとLbは共に櫛歯形状であり、それぞれのスイッチ部(a)?(j)において、対向電極LaとLbは、櫛歯部分が互い違いとなるように組み合わされて回路基板12の上面12aにて平面的に対向している。回路基板12の下面12bにはICチップなどの回路構成部品が実装されている。また、回路基板12の裏面12bの先端には赤外線発光ダイオード15が取り付けられており、この発光ダイオード15は、ケース11の前端に穿設された穴11cからケース11の外部に露出している。
【0019】補助シート14では、各スイッチ部(a)?(j)に対応する部分にて貫通する円形の切欠部14a,14a,…が形成されている。また隣接する切欠部14aの間は、連結溝14b?14gのそれぞれにより互いに連結されている。この連結溝14b?14gは補助シート14を貫通して長穴状に形成されている。操作シート13では、それぞれのスイッチ部(a)?(j)において、表面方向へドーム状に湾曲形成された操作突部13a,13a,…が形成されている。図2に示すように、ドーム形状のそれぞれの操作突部13aの内面には、前記対向電極La,Lbに対向する円形の接触電極16が形成されている。この接触電極16および対向電極La,Lbは例えばカーボンブラックを含有する樹脂材料などによりパターン成形されている。
【0020】図2はスイッチ部(a)と(b)の部分の断面を示したものである。この断面図に示すように、各スイッチ部においては、回路基板12の上面12aと、補助シート14の円形の切欠部14aとドーム形状の操作突部13aとで囲まれた部分に閉鎖空間Aが形成されている。この閉鎖空間A内にて、回路基板12上の対向電極LaとLbに対して接触電極16が対向していることになる。またスイッチ部(a)と(b)および(b)と(c)では、補助シート14に形成された連結溝14bと14cとにより、閉鎖空間Aが互いに連通している。図2に示すように、スイッチ部(a)の閉鎖空間Aとスイッチ部(b)の閉鎖空間Aを連結する連結溝14bが形成されている部分において、回路基板12には通気孔12cが貫通して形成されている。図2に示すように、スイッチ部(a)とスイッチ部(b)の閉鎖空間A,Aは、連結溝14bおよび通気孔12cを介してケース11の内部空間Bと連通していることになる。なおスイッチ部(c)の閉鎖空間Aは、連結溝14cを介してスイッチ部(b)の閉鎖空間Aに連通しているので、スイッチ部(c)の閉鎖空間も、図2に示す通気孔12cを経て空間Bに通じていることになる。」
【図1】

【図2】


2 これらの記載から、引用文献1には次の事項が記載されているといえる。
・回路基板12は、上面12aに導電パターンPにより対向電極LaとLbが形成されている(段落【0018】)。
・回路基板12には、通気孔12cが貫通して形成されている(段落【0020】)。
・補助シート14は薄い合成樹脂シートであり、操作シート13は、可撓性の樹脂シートであり、互いに固着されている(段落【0016】)。
・回路基板12と補助シート14ならびに操作シート13とが一体となって組立てられている(段落【0017】)。
・補助シート14と操作シート13は回路基板12を覆っている(段落【0001】、【0016】、【0017】及び【図1】、【図2】)。
・操作シート13には、表面方向へドーム状に湾曲形成された複数の操作突部13a,13a・・・が形成されており、各操作突部13a,13a・・・の内面には、対向電極La,Lbに対向する接触電極16が形成されている(段落【0019】)。
・回路基板12の上面12aと、補助シート14の円形の切欠部14aと操作突部13aとで囲まれた閉鎖空間Aが形成されている(段落【0020】)。
・接触電極16と対向電極La,Lbは、操作シート12が撓んだときに互いに接触する(段落【0001】及び【0008】)。
・補助シート14に形成された連結溝14bにより、閉鎖空間Aを互いに連通している(段落【0020】及び【図2】)。
・補助シート14の連結溝14bが形成されている部分において、回路基板12には通気孔12cが貫通して形成されている(段落【0020】)。
・【図1】より、回路基板12の上面12aの通気孔12cが形成されている部分には導電パターンPが存在しないことが看て取れ、これより、通気孔12cは、導電パターンPと電気的に繋がらない独立したものであるといえる。

3 上記2の引用文献1に記載の事項より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

[引用発明]
「上面12aの導電パターンPにより形成された対向電極La,Lbと、通気孔12cが貫通して形成されている回路基板12と、
薄い合成樹脂シートの補助シート14と、可撓性の樹脂シートの操作シート13と、から組立てられた操作装置であって、
補助シート14と、操作シート13は、互いに固着されて回路基板12を覆うものであり、
操作シート13には、表面方向へドーム状に湾曲形成された複数の操作突部13a,13a・・・が形成されており、回路基板12の上面12aと、補助シート14の円形の切欠部14aと操作突部13aとで囲まれた閉鎖空間Aが形成されており、各操作突部13a,13a・・・の内面には、対向電極La,Lbに対向し、操作シート13が撓んだときに互いに接触する接触電極16が形成されており、
補助シート14に形成された連結溝14bにより、閉鎖空間Aを互いに連通し、補助シート14の連結溝14bが形成されている部分において、回路基板12には通気孔12cが貫通して形成されており、
通気孔12cは、導電パターンPと電気的に繋がらない独立したものである、
操作装置。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「回路基板12」は、本願発明1の「基板」に相当する。
イ 引用発明の「対向電極La,Lb」は、本願発明1の「第1接点」に相当し、引用発明の「導電パターンPにより形成された対向電極La,Lb」が「形成されている」ことは、本願発明1の「少なくとも1つの第1接点が設けられ」ることに相当する。
ウ 引用発明の「通気孔12c」は、「回路基板12」に「貫通して形成されている」から、本願発明1の「スルーホール」に相当し、引用発明の「通気孔12c」が「形成されている」ことは、本願発明1の「スルーホールを有する」ことに相当する。
したがって、引用発明の「上面12aの導電パターンPにより形成された対向電極La,Lbと、通気孔12cが貫通して形成されている回路基板12」は、本願発明1の「少なくとも1つの第1接点が設けられ、少なくとも2つのスルーホールを有する基板」との対比において、「少なくとも1つの第1接点が設けられ、スルーホールを有する基板」との限度で一致する。
エ 引用発明の「補助シート14」と「操作シート13」は、前者が「薄い合成樹脂シート」、後者が「可撓性の樹脂シート」とされ、「互いに固着されて回路基板12を覆うもの」とされているから、両者合わせて、弾性シートであって、回路基板12を覆うものであるといえる。
したがって、引用発明の「互いに固着されて回路基板12を覆う」「薄い合成樹脂シートの補助シート14と、可撓性の樹脂シートの操作シート13と」は、本願発明1の「前記基板を覆う弾性シート」に相当する。
オ 引用発明の「接触電極16」は、「対向電極La,Lbに対向し、操作シート12が撓んだときに互いに接触する」ものであるから、対向電極La,Lbに対応するものといえるので、本願発明1の「第2接点」に相当し、引用発明の「操作突部13a,13a・・・」は、「内面には、対向電極La,Lbに対向し、操作シート12が撓んだときに互いに接触する接触電極16が形成されて」いるから、本願発明1の「第2接点部」に相当する。
カ 引用発明の「回路基板12の上面12aと、補助シート14の円形の切欠部14aと操作突部13aとで囲まれた閉鎖空間A」は、「表面方向へドーム状に湾曲形成され」ているから、本願発明1の「ドーム状の空洞」に相当する。そして、引用発明の「操作シート13が撓んだときに互いに接触する」ことは、本願発明1の「接離可能に弾性変形可能」であることといえる。
したがって、引用発明の「操作シート13には、表面方向へドーム状に湾曲形成された複数の操作突部13a,13a・・・が形成されており、回路基板12の上面12aと、補助シート14の円形の切欠部14aと操作突部13aとで囲まれた閉鎖空間Aが形成されており、各操作突部13a,13a・・・の内面には、対向電極La,Lbに対向し、操作シート13が撓んだときに互いに接触する接触電極16が形成されて」いることは、本願発明1の「前記第1接点に対応する第2接点を備える第2接点部を前記第1接点に接離可能に弾性変形可能とするドーム状の空洞」「とを備える」ことに相当する。
キ 引用発明の「連結溝14b」は、本願発明1の「空気溝」に相当し、引用発明の「補助シート14に形成された連結溝14bにより、閉鎖空間Aを互いに連通」し、「補助シート14の連結溝14bが形成されている部分において、回路基板12には通気孔12cが貫通して形成されて」いることは、上記エを踏まえると、連結溝14bは、回路基板12と、互いに固着された補助シート14と、操作シート13との間において閉鎖空間Aと、通気孔12cに連通しているといえるから、本願発明1の「前記基板と前記弾性シートとの間において前記空洞と前記通気用空洞部に連通する空気溝とを備え」との対比において、「前記基板と前記弾性シートとの間において前記空洞に連通する空気溝とを備え」との限度で一致する。
ク 上記エ?キを踏まえると、引用発明の「補助シート14」と「操作シート13」は、本願発明1の「コンタクトラバー」にも相当する。
ケ 上記イ及びウを踏まえると、引用発明の「通気孔12cは、導電パターンPと電気的に繋がらない独立したものである」ことは、本願発明1の「前記スルーホールは、前記基板の回路と電気的に繋がらない独立したものである」ことに相当する。
コ 引用発明の「操作装置」は、本願発明1の「スイッチ装置」に相当する。
サ 以上のとおりであるから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりとなる。

[一致点]
「少なくとも1つの第1接点が設けられ、スルーホールを有する基板と、
前記基板を覆う弾性シートと、前記第1接点に対応する第2接点を備える第2接点部を前記第1接点に接離可能に弾性変形可能とするドーム状の空洞と、前記基板と前記弾性シートとの間において前記空洞に連通する空気溝とを備えたコンタクトラバー、とを有し、
前記スルーホールは、前記基板の回路と電気的に繋がらない独立したものである、スイッチ装置。」
[相違点1]
本願発明1の「スルーホール」は、「少なくとも2つ」とされているのに対し、引用発明の「通気孔12c」の個数については限定がされていない点。
[相違点2]
本願発明1は、「コンタクトラバー」が「前記スルーホールに対応して設けられた通気用空洞部」を備え、「空気溝」は「通気用空洞部に連通する」ものであり、「前記通気用空洞部の深さは、前記空気溝の深さよりも大きく構成され」ているのに対し、引用発明は、「互いに固着されて回路基板12を覆う」「薄い合成樹脂シートの補助シート14と、可撓性の樹脂シートの操作シート13と」が、本願発明1の通気用空洞部に相当する構成を備えておらず、そのため、本願発明1が、空気溝が通気用空洞部を介してスルーホールに連通するのに対し、引用発明は、連結溝14bが直接通気孔12cに連通するものとなっており、また、本願発明1の「前記通気用空洞部の深さは、前記空気溝の深さよりも大きく構成され」ることに対応する構成を備えるものではない点。

(2)判断
事案に鑑み相違点2について検討する。
引用文献2の第2欄第1行?第22行、第3欄第40行?第4欄第21行及びFig.8?Fig.10の記載内容からすれば、引用文献2に記載のものの「調圧リザーバ66」は、上部薄膜回路層58と下部薄膜回路層62とから構成された空間内の圧力を調整して、大気圧が変化したときにも上部薄膜回路層の接点と下部薄膜回路層の接点60,64間の所定の距離dを維持するように導管76と連通したものであるから、本願発明1の「スルーホールに対応して設けられた通気用空洞部」に相当する構成とはいえない。
そうだとすれば、引用発明に、引用文献2に記載された調圧リザーバ66を適用しても、相違点2に係る本願発明1の構成を充足することはできないから、引用発明において、引用文献2に記載の技術的事項に基いて、相違点2に係る本願発明1の構成となすことは当業者が容易になし得たこととはいえない。
したがって、相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1をさらに減縮したものであり、本願発明1の「コンタクトラバー」が「前記スルーホールに対応して設けられた通気用空洞部」を備え、「空気溝」は「通気用空洞部に連通する」ものであり、「前記通気用空洞部の深さは、前記空気溝の深さよりも大きく構成され」ているとの構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 小括
以上のとおりであるから、本願発明1及び2は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とはいえないから、同法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項(独立特許要件)の規定に適合するものである。

第7 原査定について
本件補正後の、本願発明1及び2は、「コンタクトラバー」が「前記スルーホールに対応して設けられた通気用空洞部」を備え、「空気溝」は「通気用空洞部に連通する」ものであり、「前記通気用空洞部の深さは、前記空気溝の深さよりも大きく構成され」ているとの構成を備えるものであるから、上記「第6 対比・判断 1 本願発明1について (2)判断」と同様の理由により、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1及び2に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-07-21 
出願番号 特願2018-73274(P2018-73274)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 片岡 弘之  
特許庁審判長 間中 耕治
特許庁審判官 杉山 健一
尾崎 和寛
発明の名称 スイッチ装置  
代理人 特許業務法人平田国際特許事務所  
代理人 特許業務法人平田国際特許事務所  
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