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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1376401
審判番号 不服2020-15626  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-11 
確定日 2021-07-29 
事件の表示 特願2019-191860「装置およびボード」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月14日出願公開、特開2020- 74085〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2003年(平成15年)9月26日(優先権主張 平成14年9月26日,平成14年10月4日,平成14年12月27日)を国際出願日とする
特願2005-501954号の一部を新たな特許出願とした
特願2006-261555号の一部を新たな特許出願とした
特願2007-026471号の一部を新たな特許出願とした
特願2008-177416号の一部を新たな特許出願とした
特願2010-254460号の一部を新たな特許出願とした
特願2010-267198号の一部を新たな特許出願とした
特願2011-041190号の一部を新たな特許出願とした
特願2011-180881号の一部を新たな特許出願とした
特願2012-039515号の一部を新たな特許出願とした
特願2013-162943号の一部を新たな特許出願とした
特願2015-157927号の一部を新たな特許出願とした
特願2016-080268号の一部を新たな特許出願とした
特願2017-165949号の一部を新たな特許出願とした
特願2018-230549号の一部を新たな特許出願として
令和1年10月21日に出願されたものであって,以降の手続の経緯は以下のとおりである。
令和 1年11月19日 手続補正書の提出
令和 2年 6月10日付け 拒絶理由通知
令和 2年 7月16日 意見書,手続補正書の提出
令和 2年 8月 5日付け 拒絶査定
令和 2年11月11日 審判請求書,手続補正書の提出

第2 令和2年11月11日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年11月11日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により,特許請求の範囲の記載は,次のとおり補正された。(下線部は,補正箇所を示すものとして,請求人が付したものである。)

「 【請求項1】
ボード,床面,シートおよび,前記ボードと,前記床面と,前記シートと,のいずれかに貼付されるシール,の少なくともいずれかを含む媒体の所定領域に複数連続して繰り返されて形成され,所定の情報を有するドットコードが定義された,人が通常にそのまま目視にて認識することができる文字または図以外の微細なドットが配列されたドットパターンを画像データとして撮影する,下向きに設置された読み取り手段と,
前記画像データを前記ドットコードに数値化する画像処理部と,
前記ドットコードに対応する処理を行う処理部と,を備える自走装置であって,
前記自走装置が自走するときに,前記読み取り手段が前記ドットパターンを読み取る,自走装置。
【請求項2】
前記ドットパターンは,
基準となるドットと,
前記基準となるドットの配置に基づき特定される点からのずれ方で情報を定義する情報ドットと,
を備え,
少なくとも一つの前記基準となるドットの配置によって前記ドットパターンの向きを認識させるドットパターンである,
請求項1に記載の自走装置。
【請求項3】
前記ドットコードに対応する処理の少なくとも1つは,音声出力である請求項1または請求項2に記載の自走装置。
【請求項4】
前記画像処理部で数値化された前記ドットコードは,無線によって別体の装置に送信され,該別体の装置は,該ドットコードに対応する処理を行う,請求項1?3のいずれかに記載の自走装置。
【請求項5】
自走装置が表面を自走するために,所定の情報を有するドットコードが定義された,人が通常にそのまま目視にて認識することができる文字または図以外の微細なドットが配列されたドットパターンが該表面の所定領域に複数連続して繰り返して形成された,ボード,床面,シートおよび,前記ボードと,前記床面と,前記シートと,のいずれかに貼付されるシール,の少なくともいずれかを含む媒体であって,
前記自走装置が自走するときに,該自走装置に下向きに設置された読み取り手段から,前記ドットパターンを画像データとして撮影可能な,媒体。
【請求項6】
前記ドットパターンは,
基準となるドットと,
前記基準となるドットの配置に基づき特定される点からのずれ方で情報を定義する情報ドットと,
を備え,
少なくとも一つの前記基準となるドットの配置によって前記ドットパターンの向きを認識させるドットパターンである,
請求項5に記載の媒体。」
(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という。)

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の,令和2年7月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】
媒体の所定領域に複数連続して繰り返されて形成され,所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンを画像データとして撮影する,下向きに設置された読み取り手段と,
前記画像データを前記ドットコードに数値化する画像処理部と,
前記ドットコードに対応する処理を行う処理部と,を備える自走装置であって,
前記自走装置が自走するときに,前記読み取り手段が前記ドットパターンを読み取る,自走装置。
【請求項2】
前記ドットパターンは,
基準となるドットと,
前記基準となるドットの配置に基づき特定される仮想点からのずれ方で情報を定義する情報ドットと,
を備え,
少なくとも一つの前記基準となるドットの配置によって前記ドットパターンの向きを認識させるドットパターンである,
請求項1に記載の自走装置。
【請求項3】
前記ドットコードに対応する処理の少なくとも1つは,音声出力である請求項1または請求項2に記載の自走装置。
【請求項4】
前記画像処理部で数値化された前記ドットコードは,無線によって前記処理部を含む別体の装置に送信され,該処理部は,該ドットコードに対応する処理を行う,請求項1?3のいずれかに記載の自走装置。
【請求項5】
自走装置が表面を自走するために,該表面に所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成された媒体であって,
前記自走装置が自走するときに,該自走装置に下向きに設置された読み取り手段から,前記ドットパターンを画像データとして撮影させる,媒体。
【請求項6】
前記ドットパターンは,
基準となるドットと,
前記基準となるドットの配置に基づき特定される仮想点からのずれ方で情報を定義する情報ドットと,
を備え,
少なくとも一つの前記基準となるドットの配置によって前記ドットパターンの向きを認識させるドットパターンである,
請求項5に記載の媒体。
【請求項7】
前記媒体は,ボード,床面またはシートである,請求項5または6に記載の媒体。
【請求項8】
前記媒体には,前記ドットパターンが形成されたシールが貼り付けられている,請求項5?7のいずれかに記載の媒体。」
(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という。)

2.補正の適否
(1)補正事項
本件補正は,以下の補正事項を含むものである。

ア 補正事項1
補正前の請求項1の「媒体の所定領域に複数連続して繰り返されて形成され,所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターン」を「ボード,床面,シートおよび,前記ボードと,前記床面と,前記シートと,のいずれかに貼付されるシール,の少なくともいずれかを含む媒体の所定領域に複数連続して繰り返されて形成され,所定の情報を有するドットコードが定義された,人が通常にそのまま目視にて認識することができる文字または図以外の微細なドットが配列されたドットパターン」とする補正(以下,「補正事項1」という。)。

イ 補正事項2
補正前の請求項5の「自走装置が表面を自走するために,該表面に所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成された媒体」を「自走装置が表面を自走するために,所定の情報を有するドットコードが定義された,人が通常にそのまま目視にて認識することができる文字または図以外の微細なドットが配列されたドットパターンが該表面の所定領域に複数連続して繰り返して形成された,ボード,床面,シートおよび,前記ボードと,前記床面と,前記シートと,のいずれかに貼付されるシール,の少なくともいずれかを含む媒体」とする補正(以下,「補正事項2」という。)。

(2)新規事項について

ア 本件補正が,特許法第17条の2第3項の規定を満たすものであるか否か,即ち,本件補正が,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,これらを「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内でなされたものであるかについて,検討すると,
補正事項1に係る補正後の請求項1に記載の,
「ボード,床面,シートおよび,前記ボードと,前記床面と,前記シートと,のいずれかに貼付されるシール,の少なくともいずれかを含む媒体の所定領域に複数連続して繰り返されて形成され,所定の情報を有するドットコードが定義された,人が通常にそのまま目視にて認識することができる文字または図以外の微細なドットが配列されたドットパターン」(以下,これを「引用記載1」という。),
及び,
補正事項2に係る補正後の請求項5に記載の,
「自走装置が表面を自走するために,所定の情報を有するドットコードが定義された,人が通常にそのまま目視にて認識することができる文字または図以外の微細なドットが配列されたドットパターンが該表面の所定領域に複数連続して繰り返して形成された,ボード,床面,シートおよび,前記ボードと,前記床面と,前記シートと,のいずれかに貼付されるシール,の少なくともいずれかを含む媒体」(以下,これを「引用記載2」という。),
に関して,引用記載1の「ドットパターン」及び引用記載2の「媒体」と同等の記載は,当初明細書等に存在しない。
そこで,当初明細書等に記載の内容から,引用記載1及び引用記載2の構成が読み取れるかについて,以下に検討する。

イ 当初明細書等に記載された事項
(ア)本件補正前後の請求項1に係る発明は,「自走装置」の発明であり,また,本件補正前後の請求項5に係る発明は,「自走装置が表面を自走するために,該表面に・・・ドットパターンが・・・形成された媒体」の発明であるところ,当初明細書等には,「自走装置」に関して以下の記載が存在する。(下線部は,当審で付したものである。)

「【0288】
図80は,自走型の猫のヌイグルミ1141の腹部底面にスキャナ部1105を設けておき,ボードや家庭内の床面にシール等で形成されたドットパターン部1122上を該ヌイグルミ1141が自走することによってドットパターン部1122を読取り,該読取り信号を装置本体1102に送信するものである。
【0289】
図81は,自走式またはラジオコントロール式の自動車玩具1151の底面にスキャナ部1105が設けられており,ボードや床面にシール等で形成されたドットパターン部1122を読み取って装置本体1102に読取り信号を送信することによって装置本体1102のスピーカ1007からドットパターン部1122に対応する音声情報を出力するものである。
【0290】
たとえば,市街の道路を印刷したシートを用意し,当該シート上を自動車玩具を走らせて遊ぶ場合,交差点や踏切の手前には該シート上にドットパターン部1122を形成したシールを貼っておき,前記自動車玩具1151が交差点や踏切に接近した際に一時停止を促す音声情報を装置本体1102のスピーカ1007から出力させてもよい。」

(イ)また,上記補正事項1は,「媒体」に「形成され」る「ドットパターン」に関するものであり,上記補正事項2は,「ドットパターン」が「形成された媒体」に関するものであるところ,当初明細書等には,「媒体」に「形成され」る「ドットパターン」及び「ドットパターン」が「形成された媒体」に関して以下の記載が存在する。(下線部は,当審で付したものである。)

「【0009】
(1)本発明に係るトレース装置は,種々のマルチメディア情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムによりドットを所定の規則に則って配列したドットパターンを透明フィルムに形成したタッチパネルと,該タッチパネルのドットパターンの画像データを取り込む読取り手段と,からなるトレース装置であって,前記タッチパネルは紙面に重ねて配置され,前記読取り手段が連続してポイントの画像データを認識することにより,前記紙面がトレースされる,ことを特徴とする。」

「【0011】
(3)また,本発明は,種々のマルチメディア情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムにより生成されたドットを所定の規則に則って配列したドットパターン部が形成された印刷物等の媒体を読取り手段で画像データとして読み取り,該ドットパターン部の画像データをコードデータ化し,該コードデータに対応したマルチメディア情報を記憶手段から読み出して再生するようにしたものである。」

「【0014】
媒体としては絵本や写真とすることができ,この絵本等の絵柄に対応した音声情報を認識させるためのドットパターン部を絵柄に重畳して印刷しておいてもよい。
【0015】
また,ドットパターン部はシール材に印刷してもよい。
【0016】
また,ドットパターン部を透明フィルムに形成してもよい。その場合,当該透明フィルムは紙面に重ねて配置してもよいし,当該透明フィルムをタッチパネルとして,電子機器の表示手段上に貼付してもよい。この場合,表示手段に指示情報を表示させてユーザに対して読み取り手段の操作を促してもよい。」

「【0020】
(4)また,本発明は,種々の情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムによりドットを所定の規則により配列したドットパターン部と,文字または図等で表示することにより,そのまま情報内容を認識させる情報伝達部とを印刷物の同一面に印刷して,このドットパターン部の画像データのみをカメラユニットで取り込み,この画像データをデジタル化して数値化し,この数値より,前記ドットパターン部に対応した情報およびプログラムを,記憶部より出力および実行させるカメラ入力による情報入出力方法である。
【0021】
前記ドットパターン部と,文字または図等からなる情報伝達部とは印刷物の同一面に重ねて印刷してもよい。」

「【0024】
そして,前記のXY座標情報からなるドットパターン部と,前記コード番号情報からなるドットパターン部とを,前記印刷物の同一平面上に印刷してもよいことは勿論である。」

「【0033】
また,ドットパターン部を印刷した印刷物に粘着剤を介在させて種々の媒体に貼付して運用してもよい。」

「【0040】
(5)また,本発明は,種々の情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムによりドットを所定の規則により配列したドットパターン部と文字または図等で表示した情報内容を認識させる情報伝達部とを同一面に印刷した印刷物の中で,該ドットパターン部のみの画像データを取り込むカメラユニットと,この画像データをデジタル化して数値化する画像処理部と,前記ドットパターン部に対応した情報およびプログラムを,携帯電話機から出力および実行させるためにデジタル化した数値情報を転送するインターフェース部とを備えた携帯電話機用のカメラを用いた情報入力装置である。」

「【0044】
(6)また,本発明は,携帯用電子玩具を,書籍,ゲームカード,小物類または玩具等の媒体に形成した,種々の音声を認識させるための数値化データやコード情報が記録されたドットパターン部に対して,該ドットパターン部に対応する音声を記憶した音声記憶部と,前記ドットパターン部の画像データを取り込むカメラと,該カメラで取り込んだ画像データを処理すると共に,前記数値化データに対応した音声データを前記音声記憶部から読み出してスピーカから出力させる処理部と,前記音声記憶部と,前記スピーカおよび前記処理部を収納したケース本体とを備えた構成としたものである。」

「【0046】
さらに,前記ドットパターン部は,対戦型ゲームカードに印刷されたものであってもよいし,食玩としてコンビニエンスストア等で販売されるアニメーション等のキャラクタを模したミニチュアフィギュア(以下,「ミニフィギュア」という)にドットパターン部を設けたり,ドットパターン部を印刷したシールを貼付してもよい。」

「【0049】
(7)また,本発明は,所定の形態を有するフィギュアにおいて,情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムによりドットを所定の規則により配列したドットパターン部と,文字または図等で表示することにより,そのまま情報内容を認識させる情報伝達部とを同一面に印刷した印刷物中のドットパターン部のみの画像データを取り込むカメラと,画像データを数値化してデジタル化する画像処理部と,該画像処理部で画像処理した数値より,前記ドットパターン部から対応し,記憶部の情報およびプログラムを出力および実行させる処理部と出力部とからなるカメラ入力による情報出力機能を有する構成としたものである。」

「【0053】
また,フィギュアは,情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムによりドットを所定の規則により配列したドットパターン部と,文字または図等で表示することにより,そのまま情報内容を認識させる情報伝達部とを同一面に印刷した印刷物中のドットパターン部のみの画像データを取り込むカメラと,この画像データをデジタル化して数値化する処理部と,を内蔵したカメラユニット(A)と,前記カメラユニット(A)内の画像処理部で画像処理した数値より,前記ドットパターン部に対応し,記憶部の情報とプログラムを出力および実行させる処理部と出力部と,からなる出力ユニット(B)と,前記カメラユニット(A)と出力ユニット(B)との通信を仲介するインターフェース部を備えたカメラ入力による情報出力機能を有する構成としてもよい。」

「【0064】
上述したようなドットパターン601は,絵本,テキスト等の印刷物606に印刷することによりドットパターン部607に構成する。このドットパターン部607を,このカメラ602が画像認識し,該画像データから抽出された数値化データに基づいてそれに対応する音声情報をメモリから読み出してパソコン608,PDAまたは携帯電話等のスピーカ9等の出力手段からそれに対応する音声,音楽を再生する。」

「【0071】
このようなページでは,ページの左上のアイコン606aをカメラ602で読み取り,スイッチを入れる。次に,絵柄606bに相当する物語の文章が印刷されたその文章部分606cをカメラ602で読み取る。アイコン606aと文章部分606cそれぞれにはドットパターン部607が印刷されているので,これらのドットパターン部607は絵本の何ページのどの領域にある情報かを認識し,それに対応するように記憶した物語の音声をパソコン608に再生させる。たとえば,ドットパターン部607のドット605はカーボンで印字し,それ以外はノンカーボンのカラーインクで印字または印刷することにより,赤外線照射で読み取ることができる。」

「【0073】
本発明のドットパターンを用いた情報再生方法は,物語からなる絵本に限らず,図10に示すように,算数をわかりやすく教える教材に応用することができる。また,図11に示すように,音楽をわかりやすく教える教材に応用することができる。」

「【0076】
「音が出るポップ絵本」
カメラ602をドットパターン部607に当接または走査させるだけという特性を活かし,ページを開くと立体物が現れる「ポップ絵本」と組み合わせることができる。ページを開くと立体物の中にドットパターン部607を貼り付け,または印刷し,このドットパターン部607を探し出してカメラ602の先端部を当接させると,様々な音声が発生する「音が出るポップ絵本」として利用することができる。たとえば,ページを開くとポップアップで,「恐怖の館」が立ち上がり,「窓」にあるドットパターン部607をカメラ602でなぞると「キャー!」といった女性の悲鳴の音声が再生され,「廊下」にあるドットパターン部607をカメラ602でなぞると「コツ,コツ,コツ・・・」といった不気味な足音の音声が再生される。
【0077】
「創作絵本(創作本)」
印刷部606である絵本の好きな箇所にドットパターン部607を貼ることができ,使用者自身がコンテンツを創作できるドットパターン部607を貼れば,どこでもスイッチを設定できる「創作絵本(創作本)」として利用することができる。たとえば,絵本,セリフ集,サウンドリスト,音源データ等をセットにしたものを,使用者が好きなようにセリフや音楽のドットパターン部607を絵本606に貼ってオリジナルストーリーを作ることができる。
【0078】
さらに,何も描かれていない絵本に,ドットパターン部607の形成された音源リストのシールや,アイコンシール等を準備し,使用者が絵本に自分で絵を描き,これらのシールを貼り付けてオリジナルストーリーを創造し,音が出る絵本をユーザ自身に作成させることもできる。
【0079】
「音が出る教材」
本発明は子供から大人,老人までのすべての世代に向けた「音が出る教材」として利用することができる。たとえば,印刷物606のドットパターン部607にカメラ602の先端を当接させたり,走査させると音声が再生され,英会話等の語学教育や知育・音楽等の幼児教育,ドリル等の補助教材として使用できる。
【0080】
このように,本発明は印刷物606等に印刷した入力インターフェースとして使用できるので,コンテンツ毎にそれに合わせたインターフェースを製造することができる。また,インターネット等の汎用ネットワークを介して,ドットパターンデータをパソコン608にダウンロードさせるようにし,ユーザが当該ドットパターンデータを自由に組み合わせて汎用のプリンタ装置で紙面上にドットパターンを印刷することにより,前述の「絵の出る絵本」等をユーザ自身が作成することができる。
【0081】
さらに,印刷物606等その他媒体のドットパターン部607にURL情報を定義し,カメラ602でドットパターン部607を撮影した画像データから前記URLを抽出することにより,パソコン608にインストールされたブラウザプログラムが前記URLにアクセスして所定の動作を行わせるようにしてもよい。
【0082】
図12はドットパターン部607を形成したタッチパネルを説明する斜視図である。図13はドットパターン部607を形成したタッチパネルを説明する分解側面図である。」

「【0084】
そこで,本発明では高価にならないように,透明フィルム611にドットパターン部607を印刷したタッチパネル612と普及型のカメラ602(ペン型スキャナ)のみを使用した。」

「【0089】
図14はドットパターン部607を形成したマウスパッドとマウス型のカメラとからなる他の実施形態を示す断面図である。図15はマウス型カメラを示す平面図である。」

「【0090】
この実施形態では,カメラ602をマウス型のケース615に内蔵し,マウスパッド616と組み合わせる。このマウス型のケース615内に半透過式鏡体617を取り付け,このマウス型のケース615の下面615aからマウスパッド616の表面を認識することができると共に,ケース615の上面615bの開けた窓618から,マウスパッド616に印刷されている座標情報を持たせたドットパターン部607をなぞるようになっている。この窓618の側にボタン615cを設けたものである。」

「【0095】
図18はドットパターン部607を形成した印刷面をタブレットとして利用する他の実施形態を示す断面図である。
【0096】
この実施形態では,カメラ602が内蔵されているペン状部材619と,テーブル620(またはトレース台)と組み合わせ,ドットパターン部607を形成した印刷面をタブレットとして利用する。テーブル620の上に,ドットパターン部607が印刷された紙621(印刷面)をセットし,このペン状部材619で絵や文字をなぞり,スイッチ622aを入れることによりデータをパソコン608やPDAに取り込むことができる。さらに,ペン状部材619の先端に,圧力スイッチ622bの先端部を突出させている。」

「【0102】
なお,本発明は上述した発明の実施形態に限定されず,印刷物606や透明フィルム611(タッチパネル612)のドットパターン部607を認識することにより,所定の情報や音声を再生させて様々な使用を可能にする構造であれば,上述した形態に限定されず,本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。」

「【0106】
上述したようなドットパターン1は,種々の印刷物5に印刷することによりドットパターン部6を構成する。特に,本発明では,図23に示すように,このドットパターン部6の他に,人が通常にそのまま情報内容を目視にて認識することができる文字または図等で表示された情報伝達部7を印刷物5の同一面に印刷してある。ここで,情報伝達部7はノンカーボンインクを用いて印刷することが望ましい。また,ドットパターン部6を構成するドットはカーボンインクで印刷することが望ましい。
【0107】
本発明の情報入出力方法では,先ず,カメラユニット2を用いて,ドットパターン部6の画像データを取り込む際に,このドットパターン部6に赤外線を照射することにより,ノンカーボンのカラーインクで印刷した情報伝達部7から,ドットをカーボンで印刷したドットパターン部6のみを正確に読み取ることができる。すなわち,このような文字または図等で表示された情報伝達部7とドットパターン部6が同一面に重ねて印刷された印刷物5におけるドットパターン部6の画像データのみを取り込むことにより,ドットパターン部6の情報のみを抽出することができる。」

「【0110】
このXY座標情報からなるドットパターン部6によれば,予めドットパターン1を印刷した印刷物5を用意しておき,この印刷物5上に情報伝達部7を重ね印刷するだけで,特定の内容(コンテンツ)に対してXY座標の領域と音声等の情報およびプログラムとを関連付けることが可能になる。すなわち,情報伝達部7の内容に合わせたドットパターン部6を作成する必要がないので,その汎用性が非常に高くなる。」

「【0114】
なお,XY座標情報とコード番号情報からなるドットパターン部6を印刷物5の同一平面上に印刷することは勿論可能である。」

「【0116】
図示するように,印刷物5は白色用紙に対して,赤外線域波長において透明で,かつ可視光域波長において発色するインク,例えばノンカーボンインク(染料インク)などで印刷した情報伝達部7を形成したものである。次に,この印刷物5に対してさらに赤外線域波長において発色するインクで印字,例えばトナー等のカーボンインク,赤外線インク,透明インク等で印字したドットパターン部6を形成する。この情報伝達部7とドットパターン部6とを同一面に重ねて印刷した状態に対してカメラユニット2のカメラで撮像する。このとき,赤外線フィルター2aは,可視光線波長をカットし,赤外線域波長のみを通過させる。カメラにはドットパターン1のみの情報を入手することができる。逆に,ドットパターン部6を先に印刷し,次に情報伝達部7を印刷することも可能である。」

「【0118】
なお,カメラユニット2で印刷物5中のドットパターン部6の画像データのみを取り込む際に,ドットパターン部6に紫外線を照射する方法によることも可能である。
【0119】
上述した本発明の方法では,印刷物5という媒体を介在して種々の音声情報を出力,実行させることができる。たとえば,絵本,飛び出す絵本,写真自体,教材,テキスト,問題集,雑誌,新聞紙,カード,会員証,フォトスタンド,粘着剤付写真,博物館内の展示物の説明,カードゲーム,ボードゲーム,パンフレット,通信販売のカタログ等のあらゆる印刷物5に応用することができる。このように,印刷物5中の文字または図等からなる情報伝達部7からの視覚情報と同時に,ドットパターン部6からの音声情報を共に認識することができる。」

「【0121】
携帯情報入出力装置は,カメラユニット2からなるセンサ部8と,処理部9と記憶部(メモリ)10とからなる本体処理部11とを備えたものである。このセンサ部8は,印刷物5中のドットパターン部6の画像データのみを取り込むカメラユニット2と,この画像データをデジタル化して数値化する画像処理部12とを備えたものである。このカメラユニット2の近くに印刷物5に赤外線を照射する赤外線発光部13を備えている。」

「【0127】
さらに,印刷物5等その他の媒体のドットパターン部6にURL情報を埋め込み,スキャンしたら自動的にそのサイトに接続する。あるいはその接続後,特定の動作を行うように構成することも可能である。」

「【0132】
なお,本発明は図示例の実施形態に限定されず,印刷物5中のドットパターン部6のみを認識することにより,所定の情報や音声を再生させて様々な使用を可能にする構造であれば,上述した利用方法に限定されず,本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。」

「【0146】
情報入力装置118は,カメラユニット102からなるセンサ部108と,処理部109からなる本体処理部111とを備えたものである。このセンサ部108は,印刷物5中のドットパターン部6(図27参照)の画像データのみを取り込むカメラユニット102と,この画像データをデジタル化して数値化する画像処理部112とを備えたものである。このカメラユニット102の近傍に印刷物5に赤外線を照射する赤外線発光部113を備えている。」

「【0155】
この情報入力装置118は,携帯電話機110に装着して次のような利用方法がある。たとえば,印刷物5中の文字または図等からなる情報伝達部7からの視覚情報と同時に,ドットパターン部6に連動した音声情報を共に認識することができる。このときは,携帯電話機110に音声情報の他に,画像,テキスト等を同時に表示することができる。この印刷物5としては,教材,テキスト,問題集,雑誌,新聞紙,写真自体,カード,会員証,フォトスタンド,粘着剤付写真,博物館内の展示物の説明,カードゲーム,ボードゲーム,パンフレット,通信販売のカタログ等がある。」

「【0164】
実施形態の携帯用電子玩具801は,ドットパターンの情報を再生させることにより,媒体802となる書籍,ゲームカード,小物類または玩具等に関する種々の音声または音楽を発生させる玩具である。この携帯用電子玩具801は,書籍等の記載事項と関連する音声を認識させるドットパターン部803と,種々の音声を記憶した音声記憶部804と,その音声をスピーカ805に再生させる処理部(CPU)806と,音声再生LSI807とを備え,これらをケース本体808内に収納したものである。このケース本体808にケーブル809で,ドットパターン部803の画像データを取り込むためのペン型のカメラ810を接続したものである。」

「【0166】
カメラ810は,書籍,ゲームカード,小物類または玩具類に貼り付けるドットパターン部803または書籍等に認識信号となる数字,文字等を直接印刷したドットパターン部803の画像データを取り込むものである。カメラ810で取り込んだドットパターン部803の画像データは,画像処理アルゴリズムで処理してドットを抽出し,歪率補正のアルゴリズムにより,カメラ810が原因する歪を補正するので,歪率の高いレンズを付けた普及型のカメラ810でドットパターン部803の画像データを取り込むときにも正確に認識することができる。また,ドットパターン部803の面に対してカメラ810を傾けて読み取っても,そのドットパターン部803を正確に認識することができる。」

「【0175】
本発明の携帯用電子玩具801は,書籍,ゲームカード,小物類または玩具等の媒体802とドットパターン部803との組み合わせにより,次のような様々な使用方法がある。」

「【0177】
「対戦カードゲーム」
本発明の携帯用電子玩具801は,「対戦カードゲーム」として利用することができる。対戦カードゲームに対応した「専用シール&データ集」を制作し,それぞれのカードに対応したドットパターン部803を貼付すると,携帯用電子玩具801のスピーカ805からそのカードのキャラクタが生き生きと話し出すようにすることができる。また,キャラクタの声で解説を流したり,裏技を教えるなど,カード機能を拡張するアイテムとしても活用できる。
【0178】
または,人気の映画カードに対応した「専用シール&データ集」を制作すれば,カードに対応したドットパターン部803を貼ると,映画のセリフや音楽が流れるようにすることができる。あるいは,確実なファン層を持つ,アイドルカードに対応した「専用シール&データ集」を制作し,それぞれのカードに対応したドットパターン部803シールを貼ると,アイドル本人のプレゼントボイスが流れるようにすることができる。このとき,1枚に付き曲が1フレーズだけ流れ,全部集めると1曲になるといったタイアップ展開に利用することも可能である。
【0179】
本発明の携帯用電子玩具801は,身の回りにある様々なモノにドットパターン部803を貼り付け,音を出して楽しむことができる,イタズラ感覚の「専用シール&データ集」を制作し,身の回りのモノにドットパターン部803を貼り付けて,カメラ810でなぞると話し出させることができる。たとえば,男の子なら皆大好きなミニカーキットと組み合わせ,音の出る道路を作るための「専用シール&データ集」を制作する。踏み切りや建物が同梱されたミニカー用の道路キットにドットパターン部803を付け,踏み切りにきたら「カンカンカン」,道路からはみ出したら「キキー!危ないよ!」などと音声が流れるようにして,臨場感を出すことができる。
【0180】
本発明の携帯用電子玩具801は,ドットパターン部803が沢山プリントされたTシャツを制作し,身に付けて楽しむという,新しい遊び方に使用することができる。」

「【0183】
参加者の数だけ本発明の携帯用電子玩具801を用意し,事前にドットパターン部803を色々な場所に隠し貼っておく。その後,一斉にスタート地点(玄関など)を出発し,隠されたドットパターン部803を見つけ出し,「廊下を探せ」などといった次の場所へ行く指示を探しながら進んでいき,一番早くゴールのドットパターン部803を見つけた人が勝ちといったゲームに使用することができる。」

「【0189】
ドットパターン部803は,ミニフィギュア822の台824またはボトルキャップの内面天井に貼り付けられるように円形状のシート材からなり,その一面に粘着剤を貼付し,シート材の他面にドットパターン部803を表示したものである。なお,このシート材に代えて,ミニフィギュア822自体にドットパターン部803を印刷することも可能である。」

「【0216】
「すごろく」や「ボードゲーム」の駒としての利用
本発明のフィギュア218は,「すごろく」や「ボードゲーム」の駒として利用することができる。このフィギュア218を,「すごろく」や「ボードゲーム」の上に置いたときに,フィギュア218のカメラ202で印刷物5上のドットパターン803の特定の音声を発生し,指示内容を音声で知らせることができる。そこで,これらの「すごろく」や「ボードゲーム」の遊び方に幅を持たせることができる。
【0217】
「軍人将棋」の駒としての利用
本発明のフィギュア218は,「軍人将棋」の駒として利用することができる。このフィギュア218を,「軍人将棋」の将棋盤(印刷物5)上に置いたときに,フィギュア218のカメラ202でボードゲームのベース(印刷物5)上のドットパターン部803の特定の音声を発生し,指示内容を音声で知らせることができるので,今までとは違った新たな側面を持つゲームに飛躍させることができる。たとえば,本体の処理プログラムによって,駒(フィギュア218)の対決に偶然性や時間軸を設けることができる。このような付加価値は,実際の戦場をリアルに再現する重要な要素になり,ノーマルな軍人将棋にはなかった新たな戦略性を生み出し,楽しく遊ぶことができる。」

「【0219】
「新シミュレーション・ボードゲーム」の駒としての利用
本発明のフィギュアユニットは,「ボードゲーム」の駒として利用することができる。ベース(印刷物5)とフィギュア218をセットした状態で,ベース(印刷物5)の上にフィギュア218を配置して遊ぶことができる。対戦の際には,中央のバトルステージ(印刷物5)に向かい合わせにフィギュア218を置き,ステージにはドットパターン部803と情報伝達部7が印刷されており,このドットパターン部6をフィギュア218のカメラ202で読み取り,内部の処理プログラムによって,複雑な対戦を展開することができる。」

「【0253】
上述したような本発明のドットパターン1を,絵本,テキスト等の印刷物に印刷することにより,このカメラで画像データとして取り込み,それをデジタル化して求めた数値よりパソコン,情報出力装置,PDAまたは携帯電話等からそれに対応する情報,プログラムを出力させる。」

「【0256】
拡散反射では,図110の左図に示すように,表面に細かな凹凸がある場合,入射した光が全方向に拡散して反射する。この拡散反射において,物体表面の特性によって定まる一定の波長の光が吸収される。従って,上質紙やマット紙のように,紙面表面が凹凸である場合,印刷したドット605に含まれるカーボンインクがLED2022による入射光を吸収し,反射光を生ぜずドット605が黒点としてC-MOSカメラ202に写像される(図111左図参照)。ところが,コート紙やアート紙のように表面の平滑な紙やフィルム,プラスチック等にドットを印刷した場合,もしくは印刷したドットの表面をコーティング,あるいは透明フィルムでカバーした場合は鏡面反射を生じ,カーボンインクがLED2022の光を吸収しないでハイライトとなり,C-MOSカメラ202にドット605が写像できない状態となる(図111右図参照)。そこで,これを回避するために,図107に示すように,LED2022からの直接光が鏡面反射して,C-MOSカメラ202に入射しないような位置,すなわちC-MOSカメラ202の側方にLED2022を配置すると供に,拡散反射する表材を内壁2021に用いて,LED2022からの光を内壁2021に反射させ,間接光として柔らかな光を平滑な紙面に均一して照射することにより,ハイライトを生じさせないようにする。」

「【0278】
図72は,本発明をボードゲームに適用した場合を示しており,ミニフィギュア1101を駒としてボード1102に記載されたマス目1103をサイコロやスピーカ1104で決定された数字分だけミニフィギュア1101をマス目に沿って移動させるものである。この,ミニフィギュア1101の底面にはCCDやC-MOS等の読取り素子が設けられており,ボード1102のマス目にはドットパターン部が形成されている。したがって,ミニフィギュア1101をマス目上に置くことによってマス目毎に異なった音声情報をケーブルで接続されたスピーカ1104から出力させることができる。これによってたとえば次のマス目への移動指示やゲーム進行にとって必要な情報を音声情報として出力させることができる。」

「【0281】
図74は,ミニフィギュア1101の底面に設けられたスキャナ部1105で台座1110表面に形成されたドットパターン部を読み取る場合の変形例である。本実施形態では,スキャナ部1105のドットパターンに対する位置によって読取り内容を変えることができる。たとえば,ミニフィギュア1101の立設軸を中心にドットパターンに対して所定の角度ずつ傾けると,読取り信号も変化させることができるため,ミニフィギュアの向く方向によって出力させる音声内容も変化させることができる。ドットパターン部に対してミニフィギュアの角度を変化させることで音声内容を変化させる方法については前述したので省略する。」

「【0284】
図76は,カード1121にドットパターン部1122が設けられており,このドットパターン部1122を読み取るスキャナが内蔵された台座1123上にカード1121を所定角度で配置することにより音声や表示データで得点が出力される形式の玩具である。
【0285】
図78は,雑誌等に印刷されたクロスワードパズル1132をペン型スキャナ1001を用いて遊ぶ場合の例を示したものである。紙面のクロスワードパズル1132の空白枠内1133には本発明のドットパターン部1122が形成されており,ペン型スキャナ1001の先端を所定の空白枠1133内に当接させることによって当該空白枠1133に設定された縦列または横列のワードのヒントがペン型スキャナ1001の液晶表示部1131に表示されるようになっている。
【0286】
この場合,ペン型スキャナ1001の先端部をヒントを希望する空白枠内1133に当接させることで,該空白枠内に形成されたドットパターンを読み込んで当該ワードのヒントを液晶表示部1131に表示させることができる。このとき,同じ空白枠内に当接させる場合であっても,ペン型スキャナ1001を当接させる角度によって縦方向のヒント,横方向のヒント,斜め方向のヒントをそれぞれ表示させることができる。このとき,前述のように,格子ドットに対するキードットの格子点からのずれを中央処理装置(CPU)で計算する際に,カメラの傾き(紙面の鉛直軸を中心にした撮像素子の回転方向へのずれ)を計算できるため,カメラの傾きに応じたクロスワードパズルの縦,横,斜め方向を認識することができる。したがってそれに対応したヒントを記憶手段から読み出して表示したりスピーカ1007から発声させることができる。」

「【0292】
同図に示すように,装置本体1102には一対のカード挿入口が設けられており,各カード挿入口に対戦する2人のそれぞれの持ちカード1121,1121を挿入することにより,カード1121,1121に設定されたパラメータの優劣を判定するものである。カード1121,1121の表面には図77で説明したようにドットパターン部1122が設けられており,このドットパターン部1122を装置本体1102のスキャナ部1105で読み取ることにより,ドットパターン部1122に対応付けられたパラメータをメモリカード1004から読み出すことで勝敗の判定ができるようになっている。なお,この装置本体1102に液晶表示画面を設けて勝敗結果を表示できるようにしてもよい。なお,図83は,1枚のカードのみを挿入可能とした装置本体1102の例である。
【0293】
図84は,装置本体1102が単なるカードリーダであり,当該装置本体1102をパーソナルコンピュータと接続する場合の実施形態である。また,図85は,ドットパターン部の形成されたはがき大のシート1161を連続的に読み込むための装置本体1102の例であり,たとえばドットパターン部の形成されたユーザからの返信はがきを次々と読み込む場合に適した装置構成である。
【0294】
図86は,POSレジ等で利用可能な装置本体1102の例であり,表面にガラス面1171を備えており,ガラス面1171下に配置されたスキャナ部1105でガラス面1171上を通過する商品等に貼付されたドットパターン部1122を走査することによりバーコードと同様な商品管理,販売管理等をすることができる。この場合,本発明では,包装箱または包装紙の印刷表面に印刷面と重畳してドットパターン部を形成できるため,バーコードシステムのように商品の表面を体裁の悪いバーコードシールが占有することがない。
【0295】
図87は,装置本体を台座1102で構成し,ミニフィギュア1101と組み合わせた例である。この実施形態では,台座1102の上面にガラス板1171が配置され,その下方にスキャナ部1105が設けられている。そして底面にドットパターン部1122が形成されたミニフィギュア1101が台座1102上に載置されると,このドットパターン部1122がスキャナ部1105で読み取られてドットパターン部1122から読み出したコード番号に対応する音声データが挿入されたメモリカード1004から読み出されてスピーカ1007から出力されるようになっている。」

「【0297】
図89は,フォトスタンド形式の装置本体1102を示している。写真1181の裏面にはドットパターン部1122が形成されており,スタンド部分の背面にはスキャナ部(図示せず)が設けられており,このドットパターン部1122を読み取ったコード番号に対応した音声情報が装置本体1102に内蔵されたメモリまたはメモリカードから読み出されてスピーカ1007から出力されるようになっている。この実施形態によれば,写真1181毎に予めドットパターン部1122に対応した音声を内蔵メモリまたはメモリカード1004に登録しておくことにより,写真撮影時の解説または「誕生日おめでとう」等の音声メッセージをスピーカ1007から再生させることができる。
【0298】
なお,スピーカ1007の他にマイク1005を設けて,音声データを内蔵メモリまたはメモリカード1004に登録しておき,予め写真1181の裏面に貼付しているドットパターン部1122と対応付けておいてもよい。」

「【0305】
図95は,PDA1202の本体にスキャナ部1105を設けた構成であり,図96はパソコン本体1201にスキャナ部1105を設けた構成を示している。図95のようにPDA1202の本体にスキャナ部1105を設けた場合,PDA1202の本体のスキャナ部1105を紙面等のドットパターン部1122に翳して該ドットパターン部1122を読み取ることができる。一方,図96のようにパソコン本体1201にスキャナ部1105を設けた場合,名刺やカード1121(図77参照)に設けられたドットパターン部1122を前記スキャナ部1105に翳すことによってドットパターン部1105を読み取るように使用できる。なお,図97や図99に示すように,携帯電話1401の本体にスキャナ部1105を設けたり,ゲーム機本体にスキャナ部を設けてもよい(図示は省略)。」

「【0308】
このようなペン型スキャナ1001の使用例としては,レストラン等のメニューにドットパターン部1122を形成しておき,当該メニューとペン型スキャナ1001とを来店者に手渡す。」

「【0311】
図101は,ペン型スキャナ1001にマイク1005とスピーカ1007とを設けた構成を示している。この実施形態では,写真1181の表面に形成されたドットパターン部1122をスキャナ部1105で読み込んで,読取り完了後にマイク1005を用いて当該ドットパターン部1122に対応した音声を入力する。入力された音声データはペン型スキャナ1001内の図示しないメモリに登録される。このときの音声は,当該写真1181を撮影したとの説明文や挨拶文等が考えられる。なお,写真表面の全体にわたってドットパターン部1122を形成しておけば,集合写真等の場合,写真に写っている個人毎に説明文を登録しておくことも可能である。」

「【0313】
このように写真1181の他,個々のシールにドットパターン部1122を形成しておき,シール表面にペン型スキャナ1001を当接して音声データを入力させることができる。」

「【0315】
同図において,システム手帳1701のスケジュール欄1702にはあらかじめドットパターン部1122が形成されている。そして,スケジュール欄1702に予定を登録する際に,出先等で文字を記録する余裕がない場合,ペン型スキャナ1001の先端(スキャナ部1105)を当該予定を入力した日付のスケジュール欄1702に当接させて,図示しないマイクから当該日付の予定を音声で入力しておく。」

「【0317】
なお,前記ペン型スキャナ1001はパソコン1201とUSBインターフェース等で接続可能としておくことにより,パソコン1201内のスケジュール管理システム(たとえば,マイクロソフト社のアウトルックや,ロータス社のノーツ等)とデータリンク(シンクロナイズ)させておけば,ペン型スキャナ1001で日付の欄(スケジュール欄1702)のドットパターン部1122を読み込んだときに当該日付に対応する予定を文字データで同図に示すように液晶表示部1131に表示させることもできる。
【0318】
なお,ペン型スキャナ1001をパソコン1201に接続しておき,前記システム手帳1701,IDカード,免許証等の表面に形成されたドットパターン部を読み取ることによりパソコン1201の入力制御を行えるようにしてもよい。このようなパソコン1201の制御はいわゆる「ペーパーアイコン」ということができ,パソコン1201の画面上のアイコンを外部のドットパターン部1122が形成された媒体(システム手帳1701に添付したシールやIDカード)に置き換えることができる。」

「【0320】
前記ドットパターン部1122は,ペーパーアイコンとしてシールに印刷しシステム手帳1701,IDカード,免許証の表面に貼付してもよいし,パソコン1201に接続されたプリンタ装置でユーザ自身が印刷し,当該印刷シートを所持しておいてもよい。
【0321】
なお,前記ドットパターン部が形成されたペーパーアイコンはパソコン1201へのアクセスを制御するために用いたが,特定のアプリケーションの起動,特定のインターネットサイトへのアクセスの際のIDやパスワードの入力に用いてもよい。」

「【0334】
ドットパターン部1122は,実施形態で説明した絵本等の媒体の他,通常の書籍,グリーティングカード,新聞,通信販売カタログ,パンフレット,ペーパークラフト,折り紙,レシピ等に形成してもよい。
【0335】
たとえば,通信販売カタログにドットパターンを形成しておくことにより,当該ドットパターン部をスキャナ部で読み取って,商品の説明文を発声させたり,パソコン内のメモリに登録された購入申込みプログラムを起動させるようにしてもよい。
【0336】
また,ペーパークラフトや折り紙にドットパターン部を形成しておくことで,該ドットパターン部をスキャナ部で読み取って,作品の組み立て方をスピーカから音声で解説させるようにしてもよい。
【0337】
また,レシピにドットパターン部を形成しておくことにより,料理等のレシピを音声で出力させることができる。
【0338】
また,本発明のドットパターン部を用いてぬり絵のための絵本を提供してもよい。具体的には図106(b),(c)に示すような領域毎(マスク領域毎)に異なる色をクレヨン,フェルトペン,水彩絵の具等で着色させるようにしてもよい。この場合,ドットパターン部が形成された紙面上であってもノンカーボンの水彩絵の具,クレヨン,フェルトペン等であれば着色が施されていたとしても赤外線は前記着色層を透過させることができるため,ドットパターン部の読取りは可能である。
【0339】
また,ドットパターン部は,バーコードリーダと重ねて印刷されたものであってもよい。その場合,紙面等の媒体上でバーコードをノンカーボンインクで印刷し,さらにその上にカーボンインクでドットパターン部を印刷する。通常のバーコードリーダーは,小さなドットが打ってあっても,バーコードを正確に読み取ることができる。次に本実施形態のペン型スキャナを用いて,ドットパターン部のみを読み取り情報コードを入力する。」

ウ(ア)上記イ(イ)で摘記した記載から,当初明細書等には,ドットパターン部を形成する対象である「媒体」として,「印刷物等の媒体」,「絵本や写真」,「シール材」,「タッチパネルの透明フィルム」,「書籍,ゲームカード,小物類または玩具等の媒体」,「対戦型ゲームカード」,「ミニチュアフィギュア」,「絵本,テキスト等の印刷物」,「アイコンと文章部分」,「算数をわかりやすく教える教材」,「音楽をわかりやすく教える教材」,「立体物」,「タッチパネル」,「マウスパッド」,「絵本,飛び出す絵本,写真自体,教材,テキスト,問題集,雑誌,新聞紙,カード,会員証,フォトスタンド,粘着剤付写真,博物館内の展示物の説明,カードゲーム,ボードゲーム,パンフレット,通信販売のカタログ等のあらゆる印刷物5」,「ミニカー用の道路キット」,「Tシャツ」,「ミニフィギュアの台」,「ボトルキャップの内面天井」,「ボードゲームのベース(印刷物5)」,「ボードゲームのバトルステージ(印刷物5)」,「ボードゲームのボードのマス目」,「ミニフィギュアの台座の表面」,「クロスワードパズルの空白枠内」,「返信はがき」,「商品等」,「包装箱または包装紙の印刷表面」,「写真の裏面」,「名刺やカード」,「レストラン等のメニュー」,「写真の表面」,「シール」,「システム手帳1701のスケジュール欄」,「システム手帳,IDカード,免許証等の表面」,「システム手帳1701に添付したシールやIDカード」,「通常の書籍,グリーティングカード,新聞,通信販売カタログ,パンフレット,ペーパークラフト,折り紙,レシピ等」などの様々なものが例示されており,これらの「媒体」にドットパターン部を形成する際には,当該「媒体」にドットパターンを直接印刷する手法と,「媒体」にドットパターンを印刷したシールを貼り付ける手法があることが記載されている。
また,段落0179には,「身の回りにある様々なモノにドットパターン部を貼り付け」ることも記載されている。

(イ)補正事項1について
上記引用記載1の「ボード,床面,シートおよび,・・・シール,の少なくともいずれかを含む媒体・・・に・・・形成され・・・たドットパターン」との記載は,「シール」のみならず,「ボード,床面,シート」にも,「シール」と同様にドットパターンを形成することが特定されているから,上記引用記載1は,自走装置が自走するための「ボード,床面,シート」に,「シール」と同様に,ドットパターンを印刷することを特定しているものと認められる。
しかしながら,上記(ア)で検討したとおり,当初明細書等には,身の回りにある様々な「媒体」にドットパターンを直接印刷し,または,ドットパターンを印刷したシールを貼り付けることによって,ドットパターン部を形成することは記載されているものの,上記イ(ア)で摘記した自走装置の実施例では,ドットパターンをシールに印刷し,これを貼り付けることで「ボード,床面,シート」にドットパターン部を形成することが記載されているだけであり,当初明細書等から,自走装置が自走するための「ボード,床面,シート」にドットパターンを直接印刷することは読み取れない。また,自走装置が自走するための「ボード,床面,シート」にドットパターンを直接印刷することが,当初明細書等の記載から自明のこととも認められない。
してみれば,上記引用記載1を含む上記補正事項1は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであり,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(ウ)補正事項2について
上記引用記載2の「ドットパターンが・・・形成された,ボード,床面,シートおよび・・・シール,の少なくともいずれかを含む媒体」との記載は,「シール」のみならず,「ボード,床面,シート」にも,「シール」と同様にドットパターンを形成することが特定されているから,上記引用記載2は,自走装置が自走するための「ボード,床面,シート」に,「シール」と同様に,ドットパターンを印刷することを特定しているものと認められる。
しかしながら,上記(ア)で検討したとおり,当初明細書等には,身の回りにある様々な「媒体」にドットパターンを直接印刷し,または,ドットパターンを印刷したシールを貼り付けることによって,ドットパターン部を形成することは記載されているものの,上記イ(ア)で摘記した自走装置の実施例では,ドットパターンをシールに印刷し,これを貼り付けることで「ボード,床面,シート」にドットパターン部を形成することが記載されているだけであり,当初明細書等から,自走装置が自走するための「ボード,床面,シート」にドットパターンを直接印刷することは読み取れない。また,自走装置が自走するための「ボード,床面,シート」にドットパターンを直接印刷することが,当初明細書等の記載から自明のこととも認められない。
してみれば,上記引用記載2を含む上記補正事項2は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであり,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

エ 小括
したがって,上記補正事項1及び補正事項2を含む本件補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(3)請求人の主張について

(ア)請求人は,審判請求書の「3.」において,概略以下のとおり主張している。

「3.本願発明が特許されるべき理由
(中略)
出願人は,以下の通り請求項を補正致しました。
(2-1)請求項1
文頭の「媒体」を「ボード,床面,シートおよび,前記ボードと,前記床面と,前記シートと,のいずれかに貼付されるシール,の少なくともいずれかを含む媒体」と補正いたしました。この補正は,明細書の段落0288「ボードや家庭内の床面にシール等で形成されたドットパターン部1122」,段落0289「ボードや床面にシール等で形成されたドットパターン部1122」,段落0290「市街の道路を印刷したシートを用意し,当該シート上を自動車玩具を走らせて遊ぶ場合,交差点や踏切の手前には該シート上にドットパターン部1122を形成したシールを貼っておき」という記載を根拠としています。
(中略)
(2-4)請求項5
「該表面に所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成された媒体」を「所定の情報を有するドットコードが定義された,人が通常にそのまま目視にて認識することができる文字または図以外の微細なドットが配列されたドットパターンが該表面の所定領域に複数連続して繰り返して形成された,ボード,床面,シートおよび,前記ボードと,前記床面と,前記シートと,のいずれかに貼付されるシール,の少なくともいずれかを含む媒体」と補正いたしました。この補正は請求項1と同様です。
(中略)
(3)拒絶理由が解消したこと
(中略)
補正後の請求項1,5では,「媒体」が「ボード」「床面」「シート」「前記ボードと,前記床面と,前記シートと,のいずれかに貼付されるシール」の少なくともいずれかであるため,「媒体」がどのようなものであるかが明確です。また,「ボード」「床面」「シート」「前記ボードと,前記床面と,前記シートと,のいずれかに貼付されるシール」のいずれも,明細書の記載と合致しています。
したがって,補正後請求項1-6についてした補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲,又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり,ご指摘の拒絶理由は解消いたしました。」

(イ)しかしながら,上記(2)で判断したとおり,補正の根拠とされる明細書の段落0288?0290の記載,及びその他の記載を検討しても,当初明細書等からは,上記引用記載1及び引用記載2に相当する構成を読み取ることはできないから,請求人の意見書における上記主張は採用することができない。

3.本件補正についてのむすび
以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものであり,同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
令和2年11月11日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?8に係る発明は,令和2年7月16日付けの手続補正(以下,「本願補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された,上記「第2 1.(2)」において,本件補正前の請求項1?8として引用したとおりのものであるところ,以下に再掲する。

「 【請求項1】
媒体の所定領域に複数連続して繰り返されて形成され,所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンを画像データとして撮影する,下向きに設置された読み取り手段と,
前記画像データを前記ドットコードに数値化する画像処理部と,
前記ドットコードに対応する処理を行う処理部と,を備える自走装置であって,
前記自走装置が自走するときに,前記読み取り手段が前記ドットパターンを読み取る,自走装置。
【請求項2】
前記ドットパターンは,
基準となるドットと,
前記基準となるドットの配置に基づき特定される仮想点からのずれ方で情報を定義する情報ドットと,
を備え,
少なくとも一つの前記基準となるドットの配置によって前記ドットパターンの向きを認識させるドットパターンである,
請求項1に記載の自走装置。
【請求項3】
前記ドットコードに対応する処理の少なくとも1つは,音声出力である請求項1または請求項2に記載の自走装置。
【請求項4】
前記画像処理部で数値化された前記ドットコードは,無線によって前記処理部を含む別体の装置に送信され,該処理部は,該ドットコードに対応する処理を行う,請求項1?3のいずれかに記載の自走装置。
【請求項5】
自走装置が表面を自走するために,該表面に所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成された媒体であって,
前記自走装置が自走するときに,該自走装置に下向きに設置された読み取り手段から,前記ドットパターンを画像データとして撮影させる,媒体。
【請求項6】
前記ドットパターンは,
基準となるドットと,
前記基準となるドットの配置に基づき特定される仮想点からのずれ方で情報を定義する情報ドットと,
を備え,
少なくとも一つの前記基準となるドットの配置によって前記ドットパターンの向きを認識させるドットパターンである,
請求項5に記載の媒体。
【請求項7】
前記媒体は,ボード,床面またはシートである,請求項5または6に記載の媒体。
【請求項8】
前記媒体には,前記ドットパターンが形成されたシールが貼り付けられている,請求項5?7のいずれかに記載の媒体。」

2.本願補正前の特許請求の範囲
本願補正前の,令和1年11月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】
所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成されたボードから前記ドットパターンを画像データとして撮影する,下向きに設置された読み取り手段と,
前記画像データを数値化する画像処理部と,
該画像処理部で画像処理した数値と対応する処理を行う処理部と,を備え,
前記ドットコードはXY座標情報を含み,該XY座標情報を取得して自走する,装置。
【請求項2】
XY座標情報を元に装置が自走するために,XY座標情報を含むドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成されたボードであって,
前記装置の下向きに設置された読み取り手段から,前記ドットパターンを画像データとして撮影させ,前記ボード上で前記装置を自走させる,ボード。」

3.原査定の拒絶の理由

(1)令和2年6月10日付けの拒絶理由は,次のとおりである。
「(新規事項)令和1年11月19日付け手続補正書でした補正は,下記の点で願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由(新規事項)について
・請求項1,2
請求項1,2には,「…自走する,装置」と「…装置を自走させる,ボード」についての発明が記載されている。
「自走する装置」に関する記載は,PCT/JP03/12364(2003年9月26日国際出願)から明細書に含まれるものと認められる。
しかしながら,本願の明細書の第288-290段落及び図80,81に開示されている記載をみても,明細書全体を考慮しても,請求項1,2に記載されている装置あるいはボードが記載されているとはいえず,これらの発明は,出願当初の明細書,特許請求の範囲又は図面に開示がされているとはいえない。」

(2)令和2年8月5日付けの拒絶査定は,次のとおりである。
「この出願については,令和 2年 6月10日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって,拒絶をすべきものです。
なお,意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが,拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。
備考
●理由(特許法第17条の2第3項)について
・請求項1-8
(中略)
しかしながら,請求項1-8に記載されている「ドットパターン」が形成されるものとして「媒体」がどのようなものであるかが請求項1-8の記載からは不明であり,第288-290段落の「自走(する)玩具」の実施例に記載されている,「シール等で形成されたドットパターン部」という記載から,該「媒体」が「シール」であると想定しても,明細書の記載と合致しないので,補正された請求項1-8に係る発明も新規事項の追加と言わざるをえない。」

4.当審の判断

(1)本願補正は,以下の補正事項を含むものである。

ア 補正事項a
本願補正前の請求項1の「所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成されたボードから前記ドットパターンを画像データとして撮影する」を「媒体の所定領域に複数連続して繰り返されて形成され,所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンを画像データとして撮影する」とする補正(以下,「補正事項a」という。)。

イ 補正事項b
本願補正前の請求項2の「XY座標情報を元に装置が自走するために,XY座標情報を含むドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成されたボード」を本願補正後の請求項5の「自走装置が表面を自走するために,該表面に所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成された媒体」とする補正(以下,「補正事項b」という。)。

ウ 補正事項c
本願補正後の請求項7として,新たに,「前記媒体は,ボード,床面またはシートである,請求項5または6に記載の媒体。」を追加する補正(以下,「補正事項c」という。)。

(2)当初明細書等に記載された事項
当初明細書等には,「自走装置」に関して,上記「第2 2.(2)イ(ア)」の記載が存在する。
また,当初明細書等には,「媒体」に「形成され」る「ドットパターン」及び「ドットパターン」が「形成された媒体」に関して,上記「第2 2.(2)イ(イ)」の記載が存在する。

(3)判断

ア 上記補正事項aに係る本願補正後の請求項1に記載の,
「媒体の所定領域に複数連続して繰り返されて形成され,所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターン」(以下,これを「引用記載a」という。),
補正事項bに係る本願補正後の請求項5に記載の,
「自走装置が表面を自走するために,該表面に所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成された媒体」(以下,これを「引用記載b」という。),
及び,
補正事項cに係る本願補正後の請求項7に記載の,
「前記媒体は,ボード,床面またはシートである」(以下,これを「引用記載c」という。),
に関して,当初明細書等に記載の内容から,引用記載a?引用記載cの構成が読み取れるかについて検討する。

イ 補正事項aについて
本願補正後の請求項1は「自走装置」の発明であり,上記引用記載aの「媒体の所定領域に複数連続して繰り返されて形成され,所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターン」は,自走装置が自走するときに読み取る「ドットパターン」であるから,当該「ドットパターン」が形成される「媒体」は,自走装置の実施例における「ボード,床面,シート」に対応したものと認められる。
そうすると,上記引用記載aは,自走装置の実施例の「ボード,床面,シート」に対応する「媒体」に「ドットパターン」を「形成」すなわち「印刷」することを特定するものと認められる。
しかしながら,上記「第2 2.(2)」で検討したとおり,自走装置の実施例では,ドットパターンをシールに印刷し,これを貼り付けることで「ボード,床面,シート」にドットパターン部を形成することが記載されているだけであり,当初明細書等からは,自走装置が自走するための「ボード,床面,シート」にドットパターンを印刷することは読み取れないから,当初明細書等には,自走装置が自走するための「媒体」に関して,上記引用記載aの「媒体の所定領域に・・・形成され・・・たドットパターン」に相当する構成が記載されているとはいえない。
してみれば,上記引用記載aを含む上記補正事項aは,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであり,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

ウ 補正事項bについて
本願補正後の請求項5は,「自走装置が表面を自走するために,該表面に所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成された媒体」の発明であり,上記引用記載bの「自走装置が表面を自走するために,該表面に・・・ドットパターンが・・・形成された媒体」は,自走装置が自走するときに読み取られる「ドットパターン」が形成された「媒体」であるから,当該「媒体」は,自走装置の実施例における「ボード,床面,シート」に対応したものと認められる。
そうすると,上記引用記載bは,自走装置の実施例の「ボード,床面,シート」に対応する「媒体」に「ドットパターン」を「形成」すなわち「印刷」することを特定するものと認められる。
しかしながら,上記「第2 2.(2)」で検討したとおり,自走装置の実施例では,ドットパターンをシールに印刷し,これを貼り付けることで「ボード,床面,シート」にドットパターン部を形成することが記載されているだけであり,当初明細書等からは,自走装置が自走するための「ボード,床面,シート」にドットパターンを印刷することは読み取れないから,当初明細書等には,自走装置が自走するための「媒体」に関して,上記引用記載bの「自走装置が表面を自走するために,該表面に・・・ドットパターンが・・・形成された媒体」に相当する構成が記載されているとはいえない。
してみれば,上記引用記載bを含む上記補正事項bは,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであり,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

エ 補正事項cについて
本願補正後の請求項7は本願補正後の請求項5を引用するものであり,請求項7の引用記載cは,請求項5の引用記載bにおける「媒体」について,「前記媒体は,ボード,床面またはシートである」ことを具体的に限定するものであるから,上記引用記載cで限定された上記引用記載bについても,上記ウで引用記載bについて検討したことと同様のことが言える。そうすると,当初明細書等からは,自走装置が自走するための「ボード,床面,シート」にドットパターンを印刷することは読み取れないから,当初明細書等には,自走装置が自走するための「媒体」に関して,上記引用記載cで限定される上記引用記載bの「自走装置が表面を自走するために,該表面に・・・ドットパターンが・・・形成された」「ボード,床面またはシートである」「媒体」に相当する構成が記載されているとはいえない。
してみれば,上記引用記載cによって上記引用記載bを更に限定する上記補正事項cは,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであり,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

エ 小括
したがって,上記補正事項a?補正事項cを含む本願補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(4)意見書における主張について

ア 請求人は,令和2年7月16日の意見書「3.」及び「4.」において,次のとおり主張している。

「3.補正の説明
(1)請求項1
(中略)
(1-4)「前記ドットコードはXY座標情報を含み,該XY座標情報を取得して自走する,装置」を「前記自走装置が自走するときに,前記読み取り手段が前記ドットパターンを読み取る,自走装置」と補正いたしました。
この補正は,明細書の段落0288「ボードや家庭内の床面にシール等で形成されたドットパターン部1122上を該ヌイグルミ1141が自走することによってドットパターン部1122を読取り」という記載を根拠としています。
(中略)
(5)補正後請求項5(補正前請求項2)
(5-1)「XY座標情報を元に装置が自走するために」を「自走装置が表面を自走するために」と補正いたしました。
この補正は,明細書の段落0288「ボードや家庭内の床面にシール等で形成されたドットパターン部1122上を該ヌイグルミ1141が自走する」という記載を根拠としています。
(5-2)「XY座標情報を含むドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成されたボード」を「該表面に所定の情報を有するドットコードが定義されたドットパターンが所定領域に複数連続して繰り返して形成された媒体」と補正いたしました。
この補正は,明細書の段落0065,0103「ドットコードの生成」との記載および段落0289「ドットパターン部1122に対応する音声情報」という記載を根拠としています。
(5-3)「前記装置の下向きに設置された読み取り手段から,前記ドットパターンを画像データとして撮影させ,前記ボード上で前記装置を自走させる」を「前記自走装置が自走するときに,該自走装置に下向きに設置された読み取り手段から,前記ドットパターンを画像データとして撮影させる」と補正いたしました。
この補正は,明細書の段落0288「ボードや家庭内の床面にシール等で形成されたドットパターン部1122上を該ヌイグルミ1141が自走することによってドットパターン部1122を読取り」という記載を根拠としています。
(中略)
4.拒絶理由を解消したこと
審査官殿は,補正がなされた請求項1,2に記載した事項は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない,と指摘しています。
これに対して出願人は,請求項1,2(補正後請求項1,5)を補正いたしました。
上記「3.補正の説明」で説明した通り,補正後の請求項1,5に記載した事項は,出願当初の明細書,特許請求の範囲又は図面に開示がされています。
また,新設した請求項2?4,6?8に記載した事項についても,上記「3.補正の説明」で説明した通り,出願当初の明細書,特許請求の範囲又は図面に開示がされています。
したがって,本意見書と同日付けで提出する手続補正書でした補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるため,ご指摘の拒絶理由は解消しております。」

イ しかしながら,上記(3)で判断したとおり,補正の根拠とされる明細書の段落0288?0290の記載,及びその他の記載を検討しても,当初明細書等からは,上記引用記載a?引用記載cに相当する構成を読み取ることはできないから,請求人の意見書における上記主張は採用することができない。

第4 むすび
以上のとおり,本願補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから,本願は,拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-05-14 
結審通知日 2021-05-25 
審決日 2021-06-11 
出願番号 特願2019-191860(P2019-191860)
審決分類 P 1 8・ 55- Z (G06K)
P 1 8・ 561- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木村 貴俊  
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 須田 勝巳
塚田 肇
発明の名称 装置およびボード  
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